男「課金ライダー?」 2 (49)

前スレ 男「課金ライダー?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1413474902/)

前スレ読みたくない人でも分かる出てくる奴らの説明

男:課金ライダーに変身する。課金ライダーの正体は知られてない。

課金ライダー:金を払って戦う。無償の愛どころか金を払って悪と戦ってるんだから正義のヒーローに間違いない。

課金ドライバー:喋るベルト。金を入れると変身させてくれたり武器を出す。

幼馴染:ドライバーなどを作った守銭奴発明少女。ペットボトルにおしっこする

友:第三者。基本役立たず

技術主任:悪の三幹部。ロクな死に方しない。正体はザリガニ男。

HN(ハンドルネーム).シスターツバサ:ネットでちょっと話題になったからって調子に乗ってる娘。悪の三幹部。正体は蝙蝠女。

マンモス男:賢い。悪の三幹部。

財団B:表の顔は玩具・ゲーム開発会社な悪の組織。高機能化した3Dプリンタ技術を応用したスマートフォン向けアプリ「戦闘員アプリ」を開発した。通販限定フィギュアを発売し、我々の財布を苦しめるのが目的か? いや、違うか。

戦闘員アプリ:怪人の発生源。「3Dプリンタで銃も作れるなら兵器も作れるだろ」的な発想で開発されたアプリ。専用のアタッチメント(2000円 ※特殊樹脂繊維詰め替えは別売り)を付けて遊ぶ。本来はバーチャルなりきり対戦ゲーム。
怪人スーツから武器まで作る。ただし武器や強いスーツが欲しいなら一日一回の無料ガチャを引くか、課金してガチャチケットを買わなきゃいけない難儀な仕様(500円~)。それでも年齢性別問わず最近かなり流行ってる。何が流行るか分かんないね。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432695443

見返す時間のない忙しい人の為の前スレのあらすじ

一話:オンラインゲームのオフ会的な理由で集めた学生達を操りコンビニ強盗を繰り返す怪人蜘蛛男。幼馴染に課金ライダーになるように強制された男が渋々変身。なんか色々やってたら蜘蛛男は自滅した。

二話:最近話題の都市伝説「呪いのトンネル」。ヤバいって言ってるのに、わざわざ行って酷い目に会う男の同級生達。男のクラスの担任も巻き込まれて廃人になっちゃった。
探る内に分かった伝説の正体は怪人蝙蝠男。怒り心頭の男は自分の意志で課金ライダーに変身。なんやかんやでボコボコにした。キレる若者は怖いのだ。

三話:課金ライダーに変身するせいで財布がボドボドになった男はパン屋でアルバイトをすることに。しかし、その端正込めて作ったパンの中にはなんとサソリメカが入っていたのだ。
異物混入事件実際コワイ。 男は、パン屋のおばちゃん店長の為に外食産業潰しを行う敵と戦う(今スレに続く)

トゥルルル……

男「おーいおばちゃーん。俺電話出ますよー?」

ガチャ

男「もしもし。『パンのはやせ』ですが」

『……』

男「もしもし?」

『……』

男「もしもーし」

『……』

『オタクのパン屋さ。近頃流行りのドローン?のサソリが入ってたんでしょ?』

男「……は?」

『アタシもこの店でよくパン買ってたけどこういう店だったとは、ね。がっかりだわ』

男「おばちゃ……いや、店長がそれを入れた訳じゃ――」

『じゃバイト?』

男「んなっ! 俺な訳ねーだろうが!」

『バイトの監督責任を果たせない時点でダメダメね。ま、なんでもいいわ。もうここで買わないのは確かだから』

『窓から外、見てみなさいよ』

男「……?」

男「……」

男「……!!」

『カメラを持った人達。見えるでしょ?』

男「何人か……」

『サソリが出た所の学校の生徒が“呟いた”みたい』

男「誰がそんなことを……」

『いいじゃない、誰だって。あんなことが起きたら告発する権利は誰にだってあるわ。それに……アナタに何ができる訳じゃないでしょう?』

男「……俺だって」

男(変身すれば……)

『あそこに居る人達は地方局のテレビマンと地元の新聞社の人よ。でも……』

『明日はどんな人達が何人来るかしらねぇ? 時期も時期だし、こういう話題に人は敏感になるものよ?』

男「あ、アンタ一体……」

『ふふ、知ったところでアナタは何もできないわ。せいぜい頑張ってね“課金ライダー”クン』

ガチャ

ツー、ツー、ツー

――某社 会議室

ガチャ

蝙蝠女「キャハハハハハハハハ! あの悔しそうな声! 聞いた?」

マンモス男「聞きました。効いたようですね」

蝙蝠女「精神的に参ってる男の子にちょっかい出すのってたーのしいっ!」

マンモス男(悪趣味な……)

蝙蝠女「蠍男の奴もうまくやってるみたいだし。ここで課金ライダーの心をポッキリと折っちゃって再起不能にしてあげるの」

蝙蝠女「技術主任のデブはあいつのことはあんまり気にしてないみたいだけど、アタシはそうは思わないな」

蝙蝠女「――あのまま泳がせ続ければ、課金ライダーは計画の邪魔になる」

マンモス男「それについては同感です。蝙蝠男と交戦する映像を見ました。あの戦闘センス。補助脳を使ってもこうはいかない」

マンモス男「早急に排除しなければ……」

マンモス男「シスターツバサ、ドローン戦闘員専用フレームの使用を許可します。蠍男に配置してください」

蝙蝠女「りょ」

――パン屋 工房

男「おばちゃん! おいおばちゃん! 起きてくれよ! おい!」

おばちゃん「う、うぅ……」

男「おばちゃん! なぁおばちゃん!」

おばちゃん「……」

男「あ、あ……救急車! 救急車呼ばなきゃ!」



男「……あ、もしもし!? 救急車を――」

……

――病室

医者「――精神的ショックですね。簡単に言えば」

男「精神的……ショック」

医者「まぁ、私も事情について知らない訳ではないんですが……よっぽどショックだったのでしょう」

男「……です、よね」

医者「息子さんもお母さんのことが心配でしょうが――」

男「えっ?」

医者「はっ?」

男「あの、俺、おばちゃんの息子じゃないです。おばちゃんの店でアルバイトをしてる……学生で」

医者「あ、あぁ! そうなの! これは失礼しました。息子さんと二人暮らしをしてる聞いたので、私てっきりあなたが息子さんだとばっかり……」

男「いや、はは……」

男(おばちゃん、息子と二人暮らししてるんだ。知らなかったな)

男(しかし、その息子って言う奴。何やってんだ? 母親がこんなんになってるってのに)

医者「今は安定剤を投与してゆっくり眠ってもらってます。経過観察もしたいので、数日入院という形にしましょう」

男「は、はい(俺に決定権ないけど)」

医者「こういう時は安静にするのが一番ですから……」

男「はい、すいません」

医者「警察の人達も状況が安定するまでは来ないでしょうから安心して――」

男(そんな大事に発展してたのか……予想はできてたけど)

医者「それと、心配なのも分かりますがもうすぐ面会時間は終わりですので」

男「もうそんな時間か。じゃあまた明日来ます……」

……

――男の家 リビング

TV<ガヤガヤ…ワーワー…

男「……」

TV<『夜の情報LIVEヤミネ屋 この後すぐでーす』

男「……」

TV<ガヤガヤ…

男「……」



幼馴染「ドライバー、あれを見てお前はどう思う」

課金ドライバー「ハイ、マスター。アノ様ナ状態ヲ『心ここにあらず』ト言ウノデスネ?」

幼馴染「正解。男のやつ、帰って来てからずっとあの状態……心配だ」

課金ドライバー「私ニモ精神ノケア機能ハプログラムサレテオリマセン故、ドウニモデキマセン……」

幼馴染「精神は生物のデリケートな部分。医者にさえ簡単に治せるものではないのだ」

幼馴染「どこぞのケアロボットを発明する技術など私にはない。フィクションじゃあるまいし」

幼馴染「ここはゆっくり見守ろう。ドライバーと同じく、幼馴染の私にもそれしかできん……」

幼馴染「くそっ、こういう時自分の妙な慎重さに腹が立つ」

TV<ヤミネ『ん~、でも最近食品関係の事件多いですよねぇ。私事なんですけどボクなんて最近――』

男「……」

男(おばちゃんの息子、か。どんな人なんだ?)

TV<ヤミネ『おばちゃんの指がお碗にズボーって』

男(母親が救急車で運ばれたら家に連絡行くよな? それでも来ないのって何か……)

男(忙しい社会人?)

男(まさかおばちゃんの息子さんに限って幼馴染みたいにひきこもってるなんてことはないよな……)

TV<ヤミネ『んで、ネイルのラメがプカプカ浮かんではるんですよぉ。川田さんも――』アハハハハハ

男(いや……まさかな。ははは)

男(とにかく“あんなこと”をしたのはおばちゃんじゃない。パン屋にかかって来た電話は課金ライダーの存在を知っていた)

男(蜘蛛男の事件と蝙蝠男の事件、そして今回の)

男(何か共通する点、か……)

TV<CMの後は各県の報道フロアからニュースです

TV<今日昼〇〇県立〇〇高校で、学食で販売されるパンの中に超硬度プラスチック製のサソリ型ドローンが混入する騒ぎがありました。

TV<学食で販売されているパンは、学校近くの製パン店「パンのはやせ」で製造されたものであり、警察は店長の早瀬寿子さん(59)に任意で事情聴取を行うと――

TV<パンの中に発見されたドローンは4体。その内一体が発見後すぐに逃げ出し、現在も学校内に潜伏しているとして――

TV<ドローンの生産元の某社では次のようなコメントを発表しています

最近、我が社の製品を使用した悪質な事件が多発し開発者一同胸を痛めております。
ドローンの法整備が施行されて10年。ドローンを安い価格で誰でも楽しく遊べるようにしたのは我々です。
これに屈せず、これからも「楽しい刻を創る」企業として民間用ドローンを始めとする製品を開発していくのが我が社の意向です。
警察のいち早い真相究明と犯人の特定を期待します。

TV<以上、報道フロアからニュースでした

男「Zzz…」

幼馴染「疲れたんだな、男。ソファで寝ると体が痛くなるぞ。ドライバー!」

課金ドライバー「了解シマシタ。【サポート】【N】【パワーハンド】出力シマス」ブウン…

幼馴染「持ち上げるぞ。寝室まで持って行くんだ。よっ……と」

課金ドライバー「シカシマスター、【パワーハンド】ハ男様ノオ金デ……」

幼馴染「機械のくせに余計なことは気にするな。行くぞ」

課金ドライバー「ハ、ハイ」

幼馴染「……非力な私にはこれぐらいしかできんのだ」

……

――次の日の朝

幼馴染「男、もう大丈夫なのか?」

男「あぁ大丈夫大丈夫。学校には行くよ」

幼馴染「そうか……」

男「留守番、頼んだぞ」

幼馴染「あぁ。男の家とその周辺を守るのが私の役目だからな。健康優良不登校生徒は今日も忙しいぞ!」

男「昼飯は台所にある。今日はサンドイッチだぞ」

幼馴染「やった! サンドイッチだ!」

男「じゃ、行ってきます」

幼馴染「おう。車には気を付けて行くのだぞ」

男「分かってるよ。じゃあな」バタン



幼馴染「……」

幼馴染「ふぅ。昨日よりは落ち着いているかもしれんな」

幼馴染(ドライバーを学校に持って行ったようだし、男は校内に放たれた蠍ドローンを見つけるつもりだろう)

幼馴染(ヒーローとしての自覚が出たのはいいが……やはり心配だ)

幼馴染(ドライバーのサポートがあれば男は強い。しかし、先の蝙蝠男の音波攻撃のようなものには……)

幼馴染(いや、私は男の幼馴染! 家でどーんと構えていれば良いのだ)

幼馴染(うん、そうだ。それがいいに決まっている……)

幼馴染「……」

幼馴染「……む」

幼馴染「これが夫の帰りを待つ妻の気持ちか」

幼馴染「研究に使えるかな……」

幼馴染「……暇だな。ドライバーはいないし」

幼馴染「話し相手がいないと必然的に独り言が増える。前からか……」

幼馴染「ん~っ」ノビーッ

幼馴染「毎晩PCの前で作業すると肩がこるな。引きこもりがちではいけない。今日は何をしようか……」

幼馴染「そうだ。犬の散歩がてら公園で昼食を取るとしよう。男が作ったサンドイッチもあるし」

幼馴染「我ながら良い案だと思うぞ。散歩も日光を浴びるのも健康に良いのだからな」

犬「わん」

幼馴染「よしよし、お前もそう思うか! 思い立ったが吉日、すぐ準備をしよう!」

幼馴染「パンツパンツ……男のやつ私のパンツどこにしまったんだ?」

……

幼馴染「着替え完了だ!」ビシッ

犬「飯! 散歩!」

幼馴染「目的地はいつもの公園だ! あそこは誰もいなくていい。交番さんのパトロールエリア圏外だから補導もされない!」

幼馴染「まさに……」

幼馴染「不登校児の『黄金郷(エルドラド)』だ!」

幼馴染「準備は出来たか犬隊員!」

犬「わん!」

犬「そちらの準備はできたか幼馴染二等兵」

幼馴染「無論だ。サンドイッチOK、ドッグフードOK、ノートPC、エチケット袋、トング……オールOKだ!」

幼馴染「では行くぞ! えいえい――」

幼馴染・犬「おー!」

――公園前

犬「あぢぃ……」

幼馴染「まだ夏を引きずっている感じだ。暑いのも無理ない……あぢぃ」

犬「し、死ぬ……」

幼馴染「諦めるな! もうすぐ公園だ、犬の好きな砂場もあるぞ!」

犬「うむぅ……」

幼馴染「ほら! ブランコが見えてきた……ん?」

犬「どうした」

幼馴染「見ない顔だ。ブランコに知らない男が座ってる」

――公園

???「……」ギィコ、ギィコ、ギィコ…

幼馴染(私のブランコ特等席が……ま、まあそれは良いとして)

???「……」ギィコ、ギィコ、ギィコ…

幼馴染(ちょっと怖いな。無精ひげに伸ばしっぱなしの髪……生気のない眼……)

幼馴染(ホームレスな人か? や、違うな。特に理由はないがなんとなく違う気がする)

幼馴染(うーむ、どうしたものか。このまま帰るのもイヤだ)

幼馴染(むむむむむ……)

幼馴染(かくなる上は――)

幼馴染「犬よ」

犬「わう?」

幼馴染「砂場で遊んでろ。私は……ブランコに乗ってくる」

犬「ばう! 砂場!」

幼馴染(……怖くない、怖くない)ズンズン

幼馴染(待ってろブランコ男。私はお前なんか怖くない……!)

???「……?」

幼馴染「……」チョコン

???「……」

幼馴染(い、勢いで隣に座ってしまったぁ! 近くで見るとなお怖い! やつれてるのが特に!)

???「……」

幼馴染(この空気を壊せ! 壊すのだ私!)

幼馴染「あ、あの……」

???「……?」

幼馴染(喰らえブランコ男! 必殺の「幼馴染スマイル」だ!)

幼馴染「こ、こんにちはっ」ニコッ

説明しよう。「幼馴染スマイル」とは本来引きこもりでコミュ症気味な幼馴染が、常人を装う為に発射する笑顔のことである。
そこそこかわいい笑顔は少しぎこちなくても基本許されるのだ! 例え平日ゲーセンをぶらぶらしてる時少年課のお巡りさんに声をかけられても、これさえあれば上手く切り抜けられるぞ!

???「あ、ども……」ペコ

幼馴染(ふ、ふふふ。うまくいったみたいだな。次の手に出るとするか)

幼馴染「て、天気が良いですね」

???「そう……だね。俺には少し眩しすぎるくらいだ」

幼馴染「あはは……」

幼馴染「……」

幼馴染(奴め、手練れか!? 私の残されたカードは「どちらからいらっしゃったんですか?」と「洗濯日和ですねー」だけだぞ!)

幼馴染(「天気が良いですね」とコンボを発動させる為に「洗濯日和ですねー」を出すか、私でも会話を幾らか繋げられるであろう「どちらからいらっしゃったんですか?」を出すか……ここは……)

幼馴染(ここは……)

グ~

幼馴染「あっ」

???「腹……」グー

幼馴染「……」

???「……」グー

幼馴染「……あの……良かったらサンドイッチ、食べますか?」

???「……」バクバク

幼馴染「……お茶もありますよ」

???「……」ゴクゴクゴク

幼馴染(すごい食いっぷりだな。ひさしぶりに食べるみたいだ。私の分がもうない)

幼馴染「お腹……すいてたんですね」

???「そう……だな。“こう”なってからはロクに食ってなかった」

幼馴染「そうなんですか……」

???「……」

幼馴染「……」

???「このサンドイッチ、うまいな。どこかで買ったものか……?」

幼馴染「いえ! 男が――いや、私の幼馴染が作ってくれたんです! パンから作ってるんですよ!」

???「ああ、そうか……すごいな……おいしかったよ」

???「……まるで――」



???「お袋が作ったサンドイッチみたいだ」

――学校(放課後)

友「どうしたんだよ男。虫取り網なんか持ってさあ」

男「サソリ取りだよ。サソリ取り。パンの中にいたサソリがまだ一体学校にいるってニュースでやってたろ?」

友「そりゃ知ってるよ……でも担任とかが『あぶないから近寄るな』って言ってただr――」

男「このまんまじゃおばちゃんが……報われないよ。捕まえて犯人を探す」

友「見つけるってお前、見つけて……どうするんだよ。まさか……」

男「方法は幾らでもある」

友「そ、そういう問題じゃないだろ! 犯人見つけてどうするんだって聞いてんだよ!!」

男「ああ、そりゃ俺が変s――や、何でもない。……何もしないさ。警察に突き出すだけ」

友「……」

友「俺、バカだからよく分かんないけどさ……俺、男が心配だよ。何だか最近おかしくないか?」

友「……担任の見舞いに行った時もトイレ行ったきり帰って来なくて、屋上で倒れてたじゃねーか。それに……あー、えーと」

友「とにかく心配なんだよ!」

男「……」

友「先、帰る。じゃあな」ダッ

男「……友」

男「俺、なんかおかしいかな? ……悪い、思いつかない」

男(……でも友が先に帰ってくれて良かった。これで――)

男「心置きなく変身できる。ドライバー、もう喋っていいぞ」

課金ドライバー「了解。今ノ所、現在位置校舎二階ニ人影ハアリマセン」

課金ドライバー「蠍型ドローント見ラレル反応モ確認。D組教室ニイマス!」

男「分かった。じゃ、誰か来る前にちゃっちゃと捕まえてやるか!」チャリン

男「アーマー展開、使用確認書既読、パスワード『全てのワームは俺が倒す』!」

課金ドライバー「パスワード承認」

男「おばちゃん、待っててくれよ。俺が必ず……『変身』ッ!」

ピピッ

課金ドライバー「アーマー展開準備完了。コレヨリ『変身』シマス」

シュウウウ…

課金ライダー「ふう、課金ライダーwith虫取り網ってところか?」

課金ライダー「今日は持ち込み武器。これならわざわざ有料ガチャ引かなくても済むぜ」

課金ライダー「これからは鉄パイプやらバール持参で戦おうかな」ブンッ ブンッ!

課金ドライバー「男様! 幾ラ人ガイナイトハ言エ、ココデ虫取リ網ヲ振リ回スノハオヤメクダサイ! モニターノ前ノ良イ子ノ皆サンハ真似シナイヨウニ!」

課金ライダー「あ、ごめんごめん」

課金ドライバー「アーマーハ言ワバ『パワードスーツ』。男様ガ思ッタ以上ニ強イ力ガ作用シテイマス。見テクダサイ、網ノ射線上ヲ……」

課金ライダー「あ……(美術部が作った謎のオブジェが吹っ飛ばされてる……あれがもし“人”だったら)」

課金ドライバー「敵ヲ倒ス“力”ハ、同時ニ誰カヲ傷ツケルコトモデキル“力”デモアリマス。オ忘レナキヨウ」

課金ライダー「うん……覚えておくよ(怪人のシステムとドライバーのシステムは同じだったんだよな……使い方が違えば、って話か)」

課金ドライバー「スイマセン、オ時間ヲ取ラセテ……行キマショウ。蠍ドローンハマダ教室カラ出テイマセン」

――教室

課金ライダー「どこだ……」ヒソヒソ

課金ドライバー「教卓ノ下デス!」

課金ライダー「了解。そーっと、そーっと近付いて……っと」ソロソロ

課金ライダー「…………おっ」

蠍ドローン「……」カサカサカサカサ

課金ライダー「いた。いたァーーーーっ!」

蠍ドローン「敵反応確認。迎撃態勢ニ入リマス」

課金ライダー「大人しく捕まれよ!」ブンッ!

蠍ドローン「回避行動ヲ開始シマス」シュバッ

課金ライダー「ふんぐぁッ!」ブンッ!

蠍ドローン「回避行動ヲ開始シマス」シュッ

課金ライダー「ぬぁあー、ちょこまかと逃げやがる! ……うぅらあッ!」ブンブンブンッ!

蠍ドローン「回避、回避、回避」カサカサカサカサ

課金ドライバー「力ノ使イ方ニハ気ヲツケテト言ッタハズデス!」

課金ライダー「分かっちゃいるけど気にしてられるかよ! 捕まれ!」ブォンッ!

蠍ドローン「回避」カサカサ

蠍ドローン「……ターゲット、敵所持ウェポン。迎撃シマス。【ニードル】発射!」プシュッ

バシッ

ジュウゥゥウ…

課金ライダー「……お? お?」

課金ライダー「む、虫取り網が……溶けた?」

課金ドライバー「ア、アノドローンノ発射シタ針ニ強力ナ酸ガ塗ラレテイルヨウデス!」

課金ライダー「あれに当たったら……」

課金ドライバー「恐ラクアーマーモ溶カシテシマウカト……ソレニ剥キ出シノ皮膚ニ当タレバ……」

課金ライダー「あー、言うな! 言わなくていいから! グロイの無理!」

蠍ドローン「【ニードル】発射!」プシュッ

課金ライダー「おっと! あ、あーっと、ドライバー! 一日一回無料ガチャだ!」

課金ドライバー「了解!」ガシャ

課金ドライバー「ガチャ結果……【ウェポン】【N】【アイアンナックル】デス」

課金ライダー「出力!」

課金ドライバー「了解。出力シマス」ヴゥン…

課金ライダー「装着完了……ナックルか。殴って潰せってことね! はいはい!」

課金ライダー「食らえ! ライダー床殴り!」ボゴォ

蠍ドローン「ギィッ!?」

課金ドライバー「ナ、ナンテコトヲ……床ガ抜ケテシマイマスヨ!? 男様ノ身体ニモ負担ガ!」

課金ライダー「すぐ終わらせる! おらぁッ! ライダー……ちゃぶだい(机だけど)返し! ちゃぶだい(机だけど)殴り!」ガシャァァン

蠍ドローン「……ギ、損傷率60パーセント。離脱シマス、離脱シマス」カサカサカサカサ

課金ライダー「ゴキブリみたいに動き回りやがって! どこに逃げた!?」

蠍ドローン「離脱、離脱」カサカサカサカサ

課金ライダー「壁か! 逃がしゃしねェ! トドメだッ」

課金ライダー「ライダー……壁ドンッ!」ド ン !

……

課金ライダー「や、やり過ぎたかな?」

課金ドライバー「……男様ハ『壁』ヲドローンゴト『ドン』ト殴リ突キ破ルコトヲ『壁ドン』ト呼ブノデスカ? 私トシテハ『やり過ぎ』ト判定イタシマス」

蠍ドローン「……ガ、ガガ、機能、停、止――」

課金ライダー「あ、で、でもドローンも動かなくなったみたいだし! 万事OKと言うことで! ……ダメかな?」

課金ドライバー「ダメ、デスネ。教室ヲガチャニ収録サレテイル修理モジュールデ直シマショウ」

課金ライダー「ど、どのガチャを回せば早く出る?」

課金ドライバー「5STEPガチャガ一番出ヤスイカト。【R(レア)】以上ノ【ウェポン】マタハ【サポート】ガ5枚入手デキマスノデ」

課金ライダー「お、おいくらですか?」

課金ドライバー「3000円デス」

課金ライダー「あ、ぁああぁぁぁあぁあぁぁあぁ……」

課金ライダー「……一発で来い。一発で来い」ガチャ

課金ドライバー「5STEP(5連)ガチャ選定結果……」

【ウェポン】【R】【ビッグアックス】
【ウェポン】【R】【ビッグアックス】
【ウェポン】【R】【ビッグアックス】
【ウェポン】【R】【ビッグアックス】
【ウェポン】【R】【ヒートボディ】

課金ライダー「」

課金ライダー「……頼むぞ」ガチャガチャ

課金ドライバー「選定結果……」

【ウェポン】【R】【ビッグアックス】
【ウェポン】【R】【ビッグアックス】
【ウェポン】【R】【ヒートボディ】
【ウェポン】【R】【ツイスター】
【ウェポン】【UR】【ミツルギソード】

課金ライダー「」ガタガタガタガタガタガタガタガタ

課金ドライバー「オメデトウゴザイマス! 【UR(ウルトラレア)】ヲ引キマシタ!」

課金ライダー「これで破壊した教室が直る訳じゃ……」

課金ドライバー「ナイデス」

課金ライダー「」ガタガタガタガタガタガタガタガタ

課金ライダー「」ガチャガチャガチャガチャ

課金ドライバー「選定結果……」

【サポート】【R】【ホッパーレッグ】

課金ライダー「……」ゴクリ

【ウェポン】【R】【ビッグアックス】

課金ライダー「……来い」

【サポート】【R】【センリガン】new!

課金ライダー「……それじゃない」

【ウェポン】【R】【ビッグアックス】

課金ライダー「もうやだ……」

課金ドライバー「最後ノウェポンデス」

課金ライダー「……」





【サポート】【HR】【修理モジュール】new!

課金ライダー「!」

課金ライダー「……」

課金ライダー「……やった」

課金ライダー「やったぞ」

課金ライダー「やったあああああああああああああああああ!!」

課金ドライバー「欲シカッタ物ガ当タルカモシレナイ、ソノ可能性ニカケル……課金トハ恐ロシイモノダト私ハ記憶シマシタ」

――帰り道

蠍ドローン「」シーン

男「こいつも捕まえたし壊した教室も直ったし一件落着だな!」

課金ドライバー「発信元ヲ検索シマシタガ複数ノロックガカカッテイマス。ヤハリコノ作業ハマスターデナケレバデキマセン」

男「だろうな。こいつも“あいつら”みたいに一筋縄じゃいかない」

課金ドライバー「油断ハ禁物デス」

男「そう……だな。あっ、それにしてもさ、ドライバー」

課金ドライバー「ハイ?」

男「お前さ、さっき俺を心配してくれただろ? 『敵を倒す力は誰かを傷つけることもできる』ってさ」

課金ドライバー「アア……」

男「ありがとな」

課金ドライバー「!」

男「少し……いや、かなり忘れてた。ドライバーが教えてくれなきゃ誰かを傷つけてたかもしれない」

課金ドライバー「エエ……ソンナ、私ハ……タダ」

男「謙遜すんなって。ありがと!」

課金ドライバー「……」

課金ドライバー「ドウ……イタシマシテ」

男「でも不思議だよな」

課金ドライバー「何ガデスカ?」

男「ドライバーと最初に会った頃はもっと機械的だったというか……」

課金ドライバー「学習システムガ初期値状態ニアリマシタノデ。私ノ会話中ノ語彙マタハ表現ハ男様ヤマスターノ会話ニ基ヅイテ“アップデート”サレテイクノデス」

男「へぇ、すごいんだな。でも今は――」



男「“人間みたいに”俺を心配してくれるようになって……」

課金ドライバー「……」

男「“心”があるみたいだ」

課金ドライバー「……」

男「ドライバー?」

課金ドライバー「ハ、ハイ」

男「どした?」

課金ドライバー「エエ、私ハアクマデ機械デス。男様ガ“心”ダト認識シタノハ私ノ擬似的人格ニヨルモノ」

課金ドライバー「私ニ……機械ニ心ハアリマセン。常識デス」

男「はは、そっか……」

課金ドライバー「帰リマショウ。ソロソロマスターガ空腹ヲ訴エル時間デス」

男「おっと、もう6時過ぎか」

――男の家 リビング

男「今日のメインおかずは酢豚だぞ」

幼馴染「わー!」



男「――って訳で蠍ドローンを捕まえてきたんだ」

幼馴染「大変な1日だったのだな。分かった、食べ終わったら解析作業を開始しよう」

男「ところで幼馴染は今日は何してたんだ?」

幼馴染「私は今日男が作ったサンドイッチを持って公園まで散歩してきたぞ!」

犬「砂場行った! 砂場!」パタパタ

男「ほー、そうか。楽しかったか?」

幼馴染「うん! 友達もできた!」

男「友達?」

幼馴染「無精ひげで頭ぼさぼさのやつだ!」

男「お、男友達ぃ? 大丈夫か……」

幼馴染「最初は私も不審者だと思ったが話をしてみたら案外面白くてな――」

――幼馴染の家 ラボ

幼馴染「……」カタカタ…

幼馴染「……ふぁ」

課金ドライバー「マスター」

幼馴染「なんだドライバー。まだ起きていたのか」

課金ドライバー「ハイ、スリープモードガウマク起動シナイモノデ」

幼馴染「何? 不具合があるのか?」

課金ドライバー「イ、イエ! ソウイウコトデハ」

幼馴染「……なるほど。お前にも寝付けん日もある、ということか。まぁいい、何かしたのか?」

課金ドライバー「蠍ドローンノ解析作業状況ニツイテ聞クヨウ男様ニ頼マレテイマシタノデ、ソレヲ……」

幼馴染「なるほどな。進捗状況は……微妙なところだな。このドローン幾つものロックが複雑に絡んでいる。解くにはそれなりの時間が必要だ」

課金ドライバー「ロックガ絡ム、デスカ」

幼馴染「ああ、さながら複雑なパズルを解いている気分だ。なかなか手ごわい」

課金ドライバー「マスターノ技術ヲ持ッテシテモ簡単ニ開カセナイトハ……」

幼馴染「だが、良いことも分かった」

課金ドライバー「良イコト?」

幼馴染「このドローン、データの消去をしていないんだ」

幼馴染「発信元の犯人がデータ消去の設定をし忘れたのか、起動してから男に起動停止されるまでのモノがそっくりそのまま残っているんだ」

幼馴染「迂闊な奴だよ、蝙蝠男はドローンに『損傷率が一定値を下回った時に全データを消去する』なんて凝ったプログラムを入れていたのに……」

幼馴染「だから、このロックさえ解除すれば犯人の特定は目の前に来てくれる……はずなんだが」

課金ドライバー「……」

幼馴染「ドライバー?」

幼馴染「……寝てしまったか」

幼馴染(最近メモリの使用割合が多くなっているからスリープモード時のデータ整理に時間を割いているのだろう)

幼馴染(人間で言う『睡眠』……か)

幼馴染「……ふわぁ」アクビー

幼馴染(私も今日のところは寝るとしよう)

幼馴染(明日にはロック解除できるだろうし……)

蠍ドローン「……」

幼馴染「ん?」

幼馴染「……気のせいか」

――次の日 男の家

幼馴染「ふぁ……おはよ、男」

男「なんでお前昨日自分の家に帰ったのに俺の部屋から出てくるんだよ」

幼馴染「一人だと……寂しいだろ」

男「はいはい。いいんだけどさ、俺も話す相手もいないのは寂しいし」

犬「犬がいるだろ!」

男「お前は話す言葉限られてるからダメ!」

犬「わふ」

保守

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