男「どこにあるんだよ」

友「旧校舎。学校の裏にあるだろ」

男「あぁ…そういえばあったな」

友「今日友達に聞いたんだよ。あるんだって」

男「…ふーん」

友「なぁ、今度行ってみよーぜ」

男「あそこ立ち入り禁止なんだろ」

友「何だよ真面目だな」

男「帰ろうぜ」

友「おう」

友「あっ、ほらアレだよ、見えるだろ」

男「うん」

友「夕方だと不気味だな」

男「そうだな」

友「早く壊しちゃえばいいのに」

姉「開かずの教室ぅ？」

男「うん。なんか友が言ってた」

姉「あー、あったわねそんな噂」

男「あったんだ」

姉「ん、あんま覚えてないけど。どんなんだったっけ…」

男「ねーちゃんなら知ってると思ったのに」

姉「なんだったかなー、忘れたかも」

男「そ。ならいい」

姉「ん」

男「…」ﾎﾞｰ

友「お　は　よう！」ﾄﾞﾝ

男「うあ」

友「ボーっとしてるな、眠いのか」

男「んー…」


男(開かずの教室…か)

男「なあ」

友「ん？」

男「何だよ開かずの教室って」

友「おお…昨日適当に流しといて今聞くのかい…」

男「なんとなく気になるから」

友「んー、俺先輩にちらっと聞いただけだからあんま分かんねぇ」

男「何だよ」

友「先輩も詳しくはしらないんだって。噂だよ、噂」

男「…ふーん」

先輩「開かずの教室？」

男「はい」

先輩「あぁ、この学校の噂ね」

男「どんな噂なんですか？」

先輩「なんだっけなぁ…うーん」

先輩「聞いたことある気がするんだけど…どんなんだっけ、忘れたなぁ」

男「…そうですか…」

男(…おかしい)

男(なんで誰も知らないんだ？)

友「よお」

男「うわ」

友「お前今朝からボーっとしてんな」

男「別にしてねーよ」

友「まぁいいけど。お前部活ねーの？」

男「今日は休みだよ」

友「ふぅん。いいな」

男「じゃあお前も文芸部入ればよかったのに」

友「あそこほぼ帰宅部だろ」

男「ちゃんと活動もしてるよ」

友「そっか。じゃあ、俺部活だから」

男「おー」



男「…」

男「…」ﾃｸﾃｸ

男(…夕方見るとやっぱ不気味だな)

男(つーか汚ねえ)


男「…」ﾃｸﾃｸ

ﾌﾞｰｯ､ﾌﾞｰｯ

男「ん？」

姉『…もしもし？弟？』

男「そうだけど」

姉『…』

男「…ねーちゃん？何か用…」



姉『旧校舎には絶対行っちゃ駄目よ』

男「…え」

ﾌﾞﾂｯ

ﾂｰ､ﾂｰ…

男「…なんだよ」

男「いかねーよあんなとこ…」

男「…」

男「…ただいまー」

男「…？」

男(誰もいないのか…)

男「あのアホ姉貴、脅しやがって…」

男「…」

『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』

男「…マジかよ」

男「…」

男「…なんでつながらねーんだよ」

男(変えたのか…？)

男(でも帰る前は必ず知らせるし…)

男「もしもし父さん？ちょっとねーちゃんに電話してみて」

父『なんだ急に…』

男「いいから早く！」

父『…じゃ一旦切るぞ』

男「…」

ﾌﾞｰｯ､ﾌﾞｰｯ

男「もしもし？つながった？」

父『いや』

男「…」

父『あいつ携帯変えたのか？』

男「…分かった、ありがとう」