タイトル通り
口調変&キャラ改変はお約束。無理なら回れ右
関西弁を文字で読むのは無理だから原作未読
なのでアニメ設定
以上まで注意点
次から投下
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432294857
葉月「久美子ってさ、トロンボーンの塚本と付き合ってんの!?」
久美子「…………えっ?」
緑輝「…………」
久美子「……いや、付き合ってない、けど……」
葉月「本当!?」
久美子「え、うん」
葉月「じゃ、じゃあ、お弁当とか作って行っても、大丈夫かなっ?」
久美子「う、うん……良いんじゃないかな」
葉月「よっし!」
緑輝「良かったですね! 葉月ちゃん!」
久美子「う、う~ん……ちょっと良い?」
葉月「なに?」
久美子「え、もしかして、秀一のこと……?」
葉月「えと、実は……うん」
久美子「えっ、なんで?」
葉月「え?」
久美子「なんで秀一なの?」
葉月「え、もしかして久美子も、塚本くんのこと……?」
久美子「いや、それはない」
久美子「じゃなくて、幼馴染だからさ」
久美子「なんで好きになったのか分かんなくて」
葉月「なんでって……う~ん……最初は普通にカッコイイと思ったから、かな?」
久美子「え~~~~~~~~~~……?」
葉月「えっ、嘘。かっこ良くない?」
緑輝「みどりはよく分かりませんけど、たぶんカッコイイんじゃないですかね?」
葉月「だよね?」
久美子「いやみどりちゃん分かんないって言ってるし。なんか答えフワフワしてるし」
葉月「もう! ともかく好きになっちゃったの!」
久美子「そ、そう……」
葉月「じゃあ、ちょっとお弁当一緒に食べないか誘ってきてみる!」
久美子「え、早くない?」
葉月「早くない!」
葉月「まず最初は一緒にお昼ご飯食べて、そこから食べてる物の話にするでしょ?」
葉月「で、その後に『私が作ってきてあげようか?』」
葉月「これで完璧」
久美子「はぁ」
葉月「私は久美子とは違うんだから!」
久美子「は?」
葉月「高坂さんとまだギクシャクしたままの久美子とは違うってこと!」
葉月「よ~し! それじゃっ!」
葉月「コレを期に一緒に食べられなくなっても許してねっ!」
緑輝「はいっ! 頑張ってください!」
久美子「みどりちゃんは聞いてたの?」
緑輝「あ、はい。気になる人がいる、って感じで」
久美子「なんで私には言わなかったんだろ……」
緑輝「そりゃ言えませんよ。だってもしかしたら付き合ってるかもしれない相手ですよ?」
緑輝「好きになった、なんて相談できないですよ」
久美子「そんなもんかな~……」
久美子「あ、で、葉月ちゃんは秀一のどこが好きになったって言ってた?」
緑輝「そですね~……楽器の運搬手伝ってもらった時に見せた男らしさとか」
緑輝「こけそうになったのを助けてもらったとか」
緑輝「オーディション頑張れって応援されたとか」
緑輝「あとたまに一緒になった時の話し声とか」
緑輝「そんなことを言ってましたね」
久美子「葉月ちゃん男の趣味悪いな~……理解に苦しむよ」
緑輝「それ、葉月ちゃん本人に言っちゃダメですよ」
久美子「え? そういうもん?」
緑輝「そういうものです。好きな男の人のことは、やっぱり悪く言われたくないはずですから」
久美子「そういうもんか~……」
緑輝「どうせだったら、好物とか教えてあげてください」
久美子「そうだね~。秀一が良いって気持ちは理解できないけど」
久美子「葉月ちゃんを応援したいのは確かだしね」
久美子「うん。じゃあ明日から一緒に食べるであろう秀一の好きなおかずぐらい教えてあげようかな」
~~~~~~
一週間後
~~~~~~
葉月「はい……」
久美子「えっ? 今日も?」
葉月「うん、今日も……」
緑輝「みどり、そろそろお弁当の量減らそうかな~……」
久美子「そうだねぇ。いい加減、増えた一人分を三人で食べ合うことも想定しないと、体重が増える一方だよ」
久美子「まさか初日に失敗して、やっぱいきなり作っていった方がビックリすると思って、って言ってからこんなに経つとはねぇ」
緑輝「あ、今の葉月ちゃんっぽいです」
久美子「あ、本当? 似てた?」
緑輝「はい。似てました」
葉月「だって! だってしょうがないじゃん!」
葉月「なんか見てるだけでドキドキするしさっ!」
葉月「こんなこと今まで無かったから余計にテンパるしさ!」
葉月「私だって、こんなに手こずるとは思わなかったんだよ!」
緑輝「ま、まあまあ、落ち着いてください」
久美子「そうだよ。やっぱり好きな人を前にすると緊張するもんだもん。仕方ないよ」
葉月「……本当? 二人共、怒ってない?」
緑輝「怒ってませんよ」
葉月「呆れてない?」
緑輝「呆れてませんよ」
久美子「まあ、私と違うところは結局見れてないままだけどね」
緑輝「こら久美子ちゃんっ」
久美子「あ、声に出てた?」
緑輝「出てましたっ」
葉月「くやしいぃぃいいいい!!」
久美子「しょうがないなぁ……じゃあ間に入ろうか?」
葉月「いや、それじゃあダメ」
葉月「だって久美子も高坂さんと仲直りしようとしてた時、結局私達に頼らなかったもん」
葉月「だから私も、背中を押してもらうだけで良い」
緑輝「葉月ちゃん……!」
久美子「カッコイイなぁ」
葉月「まあそれに、まだ久美子と同じ立ち位置だし」
久美子「は?」
葉月「だってそうでしょ? 久美子もまだちゃんと高坂さんと仲直りできてないし」
久美子「そ、そんなことないしっ。ここ何回か話してるしっ」
葉月「どんな話してるの?」
久美子「どんな、って……電車で一緒になったら、こう、世間話をチョロっと」
葉月「どう思う? みどり」
緑輝「たぶん、久美子ちゃんはオドオドビクビクしてると思います」
葉月「だよねぇ」
久美子「ちょっと決め付きは良くないよ」
葉月「じゃあ違うの?」
久美子「…………」
久美子「あ、あとほら、葉月ちゃんが楽器持って帰るって時、ケース大丈夫か聞きに行ったよ?」
葉月「それ業務連絡みたいなもんじゃん」
久美子「ぐっ……」
葉月「ほら、私と変わんないよ」
久美子「違うよ……だって高坂さん秀一と違って可愛いから緊張するんだもん」
葉月「ちょっと、塚本くんだってカッコイイんですけどっ!」
久美子「いやそれは無いわー」
葉月「なんだとー!」
緑輝「まあまあ二人共、落ち着いてください」
久美子「そうだね。みどりちゃんに言われたら」
葉月「落ち着かざるを得ない」
葉月「じゃあこうしよう」
久美子「なに? 告るの?」
葉月「毎日ずっとそのつもりだよ!」
葉月「じゃなくて、久美子も高坂さんと仲直りしようとするのを再開しなよ」
久美子「なに……?」
葉月「で、どっちが先に成就するか、しょ~ぶ!」
久美子「え~? いや、今あたし十分高坂さんと仲良いって」
葉月「どう思う? みどり」
緑輝「たぶんまだギクシャクしてますね」
久美子「そ、そんなことないよっ」
葉月「じゃあちょっと明日から高坂さん交えて四人でお昼ご飯食べよう」
久美子「ごめんなさい。まだ十二分に仲良くないです」
葉月「素直でよろしい」
葉月「じゃ、そういうことで」
久美子「う~ん……」
緑輝「そうして勝負って土俵じゃないと葉月ちゃんがいつまで経っても勇気でないみたいですから」
久美子「じゃあ仕方ないなぁ」
葉月「えへへ……ごめんね、久美子」
久美子「ううん。あたしも、いい加減高坂さんと仲良くなりたいし」
葉月「具体的には?」
久美子「えっ? て、手が繋げるぐらい……とか?」
葉月「からの?」
久美子「からのっ!?」
久美子「えっと……あっ、ハグが出来るぐらい」
葉月「もう一声っ!」
久美子「一声っ!?」
久美子「じゃ、じゃあ……一緒に演奏できるぐらいっ!」
緑輝「トランペットとユーフォですかぁ」
葉月「さらにさらに?」
久美子「……ああもう! ならば、ここに呼んで『あ~ん』が出来るぐらいまでだぁ!」
葉月「よっ、久美子男前っ!」
緑輝「それでこそ久美子ちゃんですっ!」
久美子「くそぅ……コレ絶対乗せられたやつだよ」
~~~放課後・電車内~~~
久美子「はぁ~あ……」
久美子(どうしよっかな~……どうやって誘おうかなぁ)
久美子(っていうか誘えたらとっくに誘ってるんだよなぁ)
久美子(それにそう都合よく高坂さんと会える訳が)チラッ
麗奈「…………」
久美子(いたよ)
久美子(また隣の車両……)
久美子(……これはもう、運命的なあれかな)
久美子「……よしっ」
久美子「あ、あの! 高坂さん!」
麗奈「えっ、あ、なに?」
久美子「そ、そのね……?」
麗奈「…………」
久美子「え、えと……」
麗奈「とりあえず、隣に座ったら?」
久美子「えっ、あ、うん。ありがとう」
麗奈「…………」
久美子「…………」
麗奈「……それで?」
久美子「えっ?」
麗奈「何か用事でもあったんじゃないの?」
久美子「あ、うん…………」
麗奈「…………」
久美子「……あのさ! お昼ご飯って、いつもどうしてるの?」
麗奈「お昼?」
久美子「あ、答えたくなかったら、別にいいんだけど……」
麗奈「……いつも、お弁当か購買かってこと?」
久美子「あ、違っ、そうじゃなくて……!」
麗奈「……?」
久美子(ああもう小首傾げるとか可愛いなぁ!)
久美子「えと、そのね、いつも誰かと食べてるのかなぁ、って」
麗奈「いつも……」
久美子「そのさ、もし良かったらなんだけど、一緒に食べない?」
麗奈「えっ?」
久美子「あ、もちろん二人きりじゃないよ!?」
久美子「私と二人きりなんて、気まずいだけだもんね、うんっ」
久美子「ほらあの、低音パートの、葉月ちゃんとみどりちゃん……加藤ちゃんと川島ちゃんと一緒に、さ」
麗奈「……どうして?」
久美子「えっ……?」
久美子「あ、やっぱり、イヤだったよね。ごめん、その、急に誘って」
麗奈「あ、違うの。別にイヤとかじゃなくて……」
麗奈「その、加藤さんと川島さんとは、そんなに話したこともないから……」
麗奈「私と一緒に食べても、気まずいだけかなって思って」
久美子「そ、そんなことないよっ」
久美子「二人共、とてもいい子だし」
麗奈「でも……」
久美子「あ、だったら、その」
久美子「まずは、あたしと二人きりでとか……だったら、良い?」
~~~翌日~~~
葉月「よしっ! じゃあ今日こそ行ってくるよ!」
緑輝「いってらっしゃい。葉月ちゃん」
久美子「あたしも、ちょっと行ってくるね」
緑輝「え? 久美子ちゃんもですか?」
久美子「うん。昨日、帰り道高坂さんを誘ってね」
久美子「まずは二人なら良いって言われて」
緑輝「わぁ~! おめでとうございますっ!」
久美子「ありがとう、って、言っても良いのかな」
葉月「くそ~……やっぱり久美子の方が一歩先にリードしたか」
葉月「でも今日でその差を埋めてやるんだからっ」
緑輝「頑張ってください、葉月ちゃんっ」
緑輝「あ、でもそうなると、今日はみどり一人ですね……」
久美子「大丈夫だよ、みどりちゃん」
緑輝「え?」
久美子「どうせ今日も葉月ちゃんは帰ってくるから」
葉月「おいこら」
久美子「え、と……」
久美子(ここで……良いんだよね?)
久美子(っていうか、共通で知ってる場所がここしかないからって……)
久美子(こんな裏庭の誰もいないところで食べる羽目になるなんて……)
久美子(そもそもここだと高坂さんに呼び出されて殺されるかもと考えたりその後変なこと言ったりちゃったことを思い出しちゃうんだけど……)
麗奈「お待たせ」
久美子「えっ、あ、う、ううん! 全然! 全然待ってないよ、高坂さん」
麗奈「そう?」
久美子「で、でもその、どこで食べるのかなぁ、って」
麗奈「シートを持ってきたから、その辺で食べましょう」
久美子「準備良いね」
麗奈「場所を提案したのは私だから」
久美子「あ、ううん。ありがとう」
久美子(しまった~。また声に出てた~!)
久美子「…………」モグモグ
麗奈「…………」モグモグ
久美子(き、気まずい……!)
久美子(いやでも、誘ったのはあたしだし……!)
久美子(ここはあたしから……!)
久美子「あ、あのねっ!」
麗奈「うん?」
久美子「今日、授業中にあったことなんだけど」
麗奈「うん」
久美子「葉月ちゃんがね――」
麗奈「…………」
久美子(……あれ?)
久美子「で、みどりちゃんが――」
麗奈「……うん」
久美子(なんか……)
久美子「……ごめん。つまんないよね?」
麗奈「え? う、ううん。そんなことないよ」
久美子「そ、そう……?」
麗奈「うん」
久美子(その割に何か、つまんなそう……に見えたんだけど)
久美子(やっぱり、授業中の話なんてされても仕方ないよね。別クラスだし)
久美子(じゃあえと……共通の……何か共通の~……!)
久美子「そ、そういえば、ここに呼び出された時、私高坂さんに殺されるかと思ったな~。あはは~」
久美子(ってよりにもよってそれかぁ! 私っ!)
麗奈「えっ?」
久美子「あ、あはは~……ホント、何考えてんだって話だよね」
麗奈「…………」クスッ
久美子(あ、笑った)
麗奈「おかしい、黄前さん」
麗奈「私、そんなに怖かった?」
久美子「そ、そうじゃないんだよっ? ほら、この辺のこの、人気の無い空気感って言うかさ」
久美子「そういうのがね」
久美子「それに、それまであたし、高坂さんに結構失礼なことしてたし」
麗奈「失礼なこと?」
久美子「あの、ほら、滝先生のこと、とか」
久美子(中学の時のはまだ言えない、かな……)
麗奈「あれは、私が言い過ぎた」
麗奈「だから謝りたくて、ここに呼んだの」
久美子「そ、それは分かってるけど」
久美子「でも、なんかこう、結構怒ってたように見えたし……」
久美子「たぶん、滝先生のこと好きだから、バカにされて怒ったのかなぁ、って」
麗奈「す、好きっ!?」
久美子「えっ、違うの?」
麗奈「ち、ちがっ! そ、そういうのじゃなくて!」
麗奈「その、尊敬、というか、そういうので……!」
麗奈「決して、その、恋愛感情とか、そういうのじゃな、なくて!」
久美子「あ、これ照れ隠しの方だ」
麗奈「だ、だから違うのっ!」
久美子(やっちゃった。また声に出ちゃった)
麗奈「そ、それに私、今はその、黄前さんのことの方が気になってるし!」
久美子「ううぇっ!? あ、あたしっ!?」
麗奈「こ、ここで、トランペットで元気出たって言われて!」
麗奈「それがとても、嬉しくて……!」
麗奈「なんかそれから、意識するようになって!」
麗奈「いや、もちろんその前から気にはなってたんだけどっ!」
麗奈「でもそれでより一層……!」
久美子「…………」///
麗奈「……あ! あ、あの、その……」///
麗奈「えと……あの……うん、そういう、こと、だから……」///
久美子「あ、えっ、うん……あの、あ、ありがとう……?」///
麗奈「その……ど、どういたしまして……?」///
久美子(な、なんか、さっきとは違う空気で気まずいな……)
久美子「そ、それじゃあ、高坂さん」
麗奈「は、はいっ!?」
久美子(声が裏返る高坂さん可愛い)
久美子「あの……明日は、四人で食べない?」
麗奈「えっ?」
久美子「その、ね……あたしの友達とも、その、友達になって欲しいな、って……」
麗奈「う、うん……黄前さんがそう言うのなら」
麗奈「明日は、そっちの教室に行ってみようかな」
~~~さらに翌日~~~
葉月「負けた~~~~!!」
麗奈「っ!!」
久美子「あ~……気にしないで」
緑輝「いらっしゃいです、高坂さん」
麗奈「あの……」
緑輝「川島みどりです。みどりって呼んでください」
麗奈「みどり、さん……?」
緑輝「はいっ」
麗奈「あれ? 田中先輩は確か、緑輝(サファイア)ちゃんって呼んでたような……」
緑輝「あぅ……」
久美子「まあ、それも気にしないで」
緑輝「みどりはみどりですので。どうぞみどりと呼んでくださいっ」
久美子「そういうことで」
麗奈「はぁ」
葉月「加藤葉月だよ。葉月って呼んでね」
麗奈「葉月、さん」
葉月「やだな~。同級生なんだからさん付けもしなくて良いよ~」
麗奈「じゃあ、葉月」
葉月「うん。私も麗奈って呼ぶから、これでお互い様だね」
麗奈「うん。これからよろしく、葉月」
久美子(……あれ?)
緑輝「じゃあ、わたしのこともみどりって呼び捨てにして下さい」
緑輝「その代わり、わたしも麗奈ちゃんって呼びますから」
麗奈「うん。よろしく、みどり」
久美子(なんか二人共、あたしより仲良くなってない……?)
葉月「それにしても、麗奈のトランペットってカッコイイよね」
麗奈「そ、そう……?」
久美子(ああ~……あの名前呼びが出来る流れがどこかに行っちゃう~……)
葉月「うんっ。サンフェスの時とか特に。皆の緊張を一気にほぐしちゃってさ」
葉月「実はね私、最初はトランペット志望だったのっ」
葉月「麗奈の見てたらやっぱトランペットってカッコイイなぁって思って」
久美子(……サンフェスか~……)
麗奈「そ、そんな……大袈裟だよ、葉月」
葉月「ううん! 麗奈はやっぱりカッコイイよっ!」
緑輝「はいっ。とてもカッコイイですっ!」
久美子「そういえば、高坂さんの胸大きかったな~……」
葉月・緑輝「「ん?」」
麗奈「えっ!?」
久美子「えっ? あ……!」
久美子(しまった! また声に出てたっ……!)
久美子「あ、あのね! そのっ……!」
葉月「どうしたの? 久美子?」
緑輝「何か言いました?」
久美子(き、聞こえてないっ……!)
麗奈「…………」///
久美子(いや一番聞かれちゃダメな人に聞かれてるよコレっ!)
久美子「あ、あのー……ほら、今日は葉月ちゃん、秀一のところ行かないのかなぁ、って」
葉月「え? あ~、今日は麗奈来てるし、良いかなって」
久美子「そ、そっか」
麗奈「は、葉月、どうしたの……?」
葉月「ん?」
緑輝「どうかしましたか、麗奈ちゃん? 顔が真っ赤ですけど」
麗奈「う、ううん。何もないの」
麗奈「それよりも葉月、教えて?」
葉月「あ~……実はね、今私、塚本くんにアタックかけようとしてて……」
麗奈「え、それって……」
葉月「う、うん……実は、好き、なんだ……」
麗奈「そ、そうなんだ……」
麗奈「……なんだか良いな、そういうの」
葉月「おっ、もしかして麗奈……好きな人、いるの?」
麗奈「そ、それは……」
緑輝(…………!)ピン
緑輝「あ、そういえば葉月ちゃん、負けた罰ゲームとか決めてませんでしたけど、何かするんですか?」
葉月「うえっ!? い、いきなりだねみどり……」
久美子(恥ずかしがってる高坂さんを察したな、みどりちゃん。……さすが)
葉月「う~ん……罰ゲーム罰ゲーム……」
麗奈「あの、罰ゲームって、なに?」
緑輝「実はですね、葉月ちゃんが塚本くんに声をかけて一緒にお弁当を食べるのが先か、ここに久美子ちゃんが麗奈ちゃんを呼ぶのが先かで、競争してたんですよ」
麗奈「…………」
葉月「……いや! でもちょっと待って! まだ私負けてないよねっ!?」
久美子「えっ?」
緑輝「あ……そういえばそうですね」
緑輝「久美子ちゃん、まだ言ってたアレ、やってないですよ」
久美子「言ってたアレ?」
久美子「……合奏?」
緑輝「それもですけど、まずここで出来ることがあるじゃないですか」
久美子「……え!? あれって本気だったの!?」
葉月「言い出したのは久美子の方じゃん」
久美子「いやそうだけど……」
葉月「ほら、その玉子焼きなんてちょうど良いんじゃない?」
久美子「いや、でもそんな急に……」チラ
麗奈「?」
久美子「あ、う……」///
緑輝「ほら、久美子ちゃんっ」
久美子(……えぇい! 腹をくくれ、久美子!)
久美子「こ、高坂さんっ!?」ガッ
麗奈「えっ、な、なに……?」
久美子「あ、あ~ん……」///
麗奈「え、……えっ!?」
麗奈「えと、これは……」
緑輝「ほら早く、麗奈ちゃん」
葉月「早く食べないと落ちちゃうよ」
麗奈「え、でも、その……」
久美子「は、早く……落ちちゃうから……」プルプル
麗奈「あ! はむっ」パクッ
葉月「おぉ!」
緑輝「目標達成です~!」
久美子(は、恥ずかしかった……)
麗奈「…………」モグモグ
麗奈「あ、おいしい」
~~~~~~
久美子「きょ、今日のお昼はごめんね。その、騒がしくなって」
麗奈「ううん……別に、楽しかったからいいよ」
久美子(……あれ?)
久美子「高坂さん、その、勘違いだったら悪いんだケド……何か、怒ってる?」
麗奈「怒ってないよ」
麗奈「ただ、私を誘ったのって、競争でだったんだな~、って思って」
部活上がりの帰り道。
ホームを出て一緒になった高坂さんに、お昼の賑やかさを謝ったところ、少し頬を膨らませながら、そんなことを言われた。
今まで見たこともない、私と同級生だと当たり前のことを分からせてくれるその表情を見て、
久美子「……ぷっ」
私は、つい吹き出してしまったのです。
麗奈「なっ……なにがおかしいのっ?」
久美子「う、ううん。ごめん、高坂さん」
久美子「おかしかったんじゃないの。ちょっと、嬉しくて」
麗奈「え?」
久美子「競争のためなんかじゃないよ」
久美子「私が高坂さんに声をかけたのは、仲良くなりたかったから」
久美子「それが、私一人の願望じゃなくて良かったな、って」
久美子「それが、嬉しくて」
そう。
仕方なく、だと思って不機嫌になったということは、そういうこと。
ちゃんと私の意志で、私が呼んで欲しかった。
その高坂さんの気持ちが伝わってきて、つい、嬉しさが笑みとなって、口から溢れてしまったのだ。
久美子「本当、高坂さんは可愛いな」
麗奈「かっ……!」
また、心で思ったことが、勝手に口をつく。
でも、今のはそれで良い。
だって、真っ赤になった高坂さんの表情は、とても嬉しそうだったから。
麗奈「わ、私は、そんなことないよ」
久美子「ううん。そんなことあるよ」
久美子「だから、誘ったんだもん」
麗奈「~~~~~っ!!」
信号を渡り、いつもの別れ道に差し掛かる。
久美子「それじゃあ高坂さん、また明日」
麗奈「……二人も、そう呼んでるんだから良いよね?」
久美子「え?」
思っていた返事とは違う言葉に、つい、聞き返してしまう。
麗奈「久美子、また明日」
その、しっかりと聞き取ろうと澄ましていた耳に届いた言葉は、私の顔を自覚させるほどにまで熱くさせた。
久美子「えっ? あ、ふぇあっ!?」
言葉にならない言葉を紡ぐ私を見て、高坂さんは、今日一番の笑顔を見せた。
麗奈「あははっ」
麗奈「これで、仕返しは終わり」
それだけを告げて、私に背を向ける。
麗奈「また明日、黄前さん」
元に戻った呼び方は、一度だけ変えた呼び方を、さらに印象付ける。
ようやく動くようになった口で、私はまた、彼女にお別れのお返しをする。
久美子「麗奈ちゃん、また明日」
車の音に紛れて聞こえなかっただろうその言葉。
でも、これもまた、これで良い。
私もちゃんと、しっかりと彼女に聞こえ、不意打ちになるような状況で、言ってあげたい。
そして赤くなった彼女を見て、こう言ってやるのだ。
これでまた仕返しが必要になったね、と。
終わり
あ~! 途中の名前欄にも書いたけどタイトルでの久美子の名前を間違えたのがすげぇ心残り
失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した失敗した(ry
次はこんなことないようにする
久美子と麗奈のカップルが良すぎてつい衝動的に書いた
最新話で急に隣りに座ってたのとか
(今日、横前さんミスが多かったな……やっぱり、あの先輩のことだよね)
(わたしで何か力になれないかな……)
(あ、友達が降りた。今なら)
(って、今度は塚本くんっ!?)
(ど、どうしよう……今更隣の車両に戻るのも……)
(……とりあえず、近くに座ってよ)
とかだったら最高…って妄想から膨らませたかったけど無理だったので今回みたいな形になった
それじゃあ依頼出してきます
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