電「司令官さんは・・・人じゃないのですね・・・」 (896)



※この物語はフィクションです



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白い軍服が太陽に反射して眩しく見え、高級将校の出入りが多い場所
そんな施設に僕は赴いていた
周りの視線が痛いのは僕の軍服が茶色のせいだろう

そんな視線を避けるように目的地へと急ぐ
海軍から陸軍の僕へ指名がかかったからだ
理由は知らない
何のとりえもない歩兵中尉の僕には指名を受ける覚えがない

いや、訂正する
今の僕には階級が無い

案内窓口らしきところで書状を見せ、案内役の人間が来るまでの数分の時間
きっとその数分は海軍というものを嫌いになる理由になりえると僕は断言できるだろう

貴様等の事だよ
笑うな
指を指すなと親に習わなかったのか
腰に下げたコイツの顔をそんなに拝みたいのかクソ野郎
いやもちろん奴等の本拠地で抜く度胸など無いのだが

あんまり見てるとやっちゃうぞ
そんな態度を殺気に込めて奴等にぶつける(ような気持ちで睨み付ける)

そうだ
散れ散れ、臆病者共が

そんなくだらないやり取りをしていると案内役の軍人が来た
階級など知らない
しかし私は見事であろう陸軍式敬礼をそいつに見せてやる



そしたらその河童・・・返礼してきやがった
貴様にはきれいな水をやろう
頭の白い皿に俺が注いでやる




そいつの後ろを追い、目的地へと急いだ


事を済ませ早急に立ち去りたいものだ


河童共の巣窟の居心地が良いはずはないのだから…



「失礼します」

「うむ」

ガチャリ

案内された部屋に入ると大柄な男がいた
貴様は力士でも目指した方が良いのでは?

「――中尉をお連れしました!」

「ご苦労、さがりたまえ」

「こんにちは陸軍中尉殿、私はこの鎮守府を任されている提督の1人だ。階級は大将、敬いたまえ」

中尉「はっ!」


Fuck you.
心の中で中指を立てておこう


中将「さて、君をここへ呼んだのは・・・わかるか?」

中尉「わかりません!」

大将「さすが陸軍はうるさいな、しかし威勢がいいと評価しておこう」

中尉「ありがとうございます!」

大将「褒めているわけではない、バカの一つ覚えのように敬うなバカ」

中尉「…」

大将「返事は?」

中尉「はい!」


このくそったれ、禿げろ


大将「話を戻そうか中尉・・・端的に言えば栄転だ、二階級特進で少佐だ、野戦任官の経験しかない貴様は泣いて喜ぶといい」

中尉「……理由をお聞かせ願いますか?」

大将「そうだな、それでいい、考えて返事をしろ」

大将「陸軍の貴様も艦娘は知っているな?」

中尉「十年ほど前から現われる原因不明の深海棲艦とやらを駆逐する生物兵器と聞いています」

大将「大筋あっているが言葉には気を付けろよ中尉・・・いや少佐、彼女等の前で生物兵器などと呼んだ日には後ろ弾に怯えることになるぞ」

中尉「申し訳ありません!」

大将「彼女等も一応人間だ」

大将「妖精というバカげた存在によって、かつての大戦の戦艦や駆逐艦の能力と一時的かつ限定的な不老不死を得たそこらの少女」

大将「それが艦娘だ」

中尉「???」

大将「その気持ちはわからんでもないが考えるのはよせ、明確な答えにたどり着けたものなど誰もいない」

中尉「はぁ…」


そんなわけのわからぬ者に国防を任せるとは…世も末だな…





大将「艦娘の説明はそのくらいでいいだろう…さて…話は変わるが私のモットーは物事は単純になのだ」

中尉「はぁ…」

大将「故に細かいことは後で質問として受け付ける」

大将「君に生殺与奪権を与える、鎮守府の信任提督の職を隠れ蓑とし、救いようのない提督・憲兵・艦娘を殺せ。全ての判断は君に委ねる」

中尉「…」

中尉「…仰ってる事の意味が分かりません」

大将「艦娘はな・・・贔屓目に見ても見目麗しい女ばかりだ、故にそれらの管理を任される提督の中には邪なたくらみを持つ者も少なからずいる」

大将「また戦果を急いて彼女等を酷使する者もいる」

大将「捕まるのは氷山の一角だ、そういったやからほど憲兵などを買収して外面は問題の無い鎮守府を演じる」

大将「大本営も、直属の憲兵艦娘を派遣したりしているが…撲滅には至らない・・・・・・それが昨今の海軍の現状だ」

中尉「…話は分かりました、しかしそういう事はそれこそ憲兵隊に任せればいいのでは?」

中尉「私は問題だらけの人間ですよ?誰彼かまわず殺すかもしれないのでは?」

大将「餅は餅屋というだろう?君を指名した理由は二つだ」

大将「幼少期から医者の卵として英才教育を施され、外科内科、精神医学にも詳しいそうじゃないか…まだ若いのに素晴らしい」

大将「精神科医ならば脅されているとか、様子が変だとかいう普通の人間が気付かないものも気づくかもしれない・・・これが一つ目の理由だ」

中尉「…」

大将「…徴兵されてからは数々の傷ついた軍人を戦地へ戻している・・・」

大将「しかし…助かる見込みのない者や気のふれた者は容赦なく殺すことで着いたあだ名が死神・・・かっこいいじゃないか…」

大将「そして死神は前線へ送られ、そこでも同じことを繰り返し・・・果てには将校にまで手をかけたという噂まで・・・」

大将「なるほど…君はそうやって中尉になったのか・・・」

中尉「…」ギロ

大将「そう睨むなよ…しかし死神中尉はついに陸軍教化隊に送られた」

大将「・・・味方を殺した理由が『生きても苦しかない、僕は彼等を死によって救ったのだ』か」

大将「詭弁だな…虫唾が走る・・・」

大将「その後は懲罰部隊で歩兵として奮戦・・・現在に至る・・・か」

大将「確かに問題だらけだな…」

大将「しかし…君が殺した者は共通して自ら懇願した者や手の施しようのない者、後はゴミだ」

大将「私はそこに君なりの信念というか…美学を感じた、もちろん私にとって貴様は共感できない人殺しであることに変わりは無い」

大将「君は人を躊躇なく殺せる、これが二つ目だ人殺し」

中尉「…」

大将「業を背負いたいのなら私が背負わせてやる、理由には興味はないが利用はさせてもらう」

大将「拒否すれば殺す、やり過ぎても殺す」

大将「貴様は少々やり過ぎたのだ中尉、死にたくば存分に殺せ、生きたくば考えて殺せ」

大将「監視もつける、私の指示で貴様の体は蜂の巣になる」

大将「さぁ頷け、この書面にサインしろ、その後初めの指示を与える」

大将「…早くしろ、殺しぞ」チャキ


銃口を僕に向ける大将
急かされるままに書面にサインした
よくは読んでいない
今の僕にとって、仕事を行えば殺されない
この保障だけで十分であったからだ

僕はまだ・・・死ねない


大将「…よろしい…中尉・・・」

大将「はじめの指令だが、実は今は鎮守府の提督に空きが無いのだ」

中尉「…」

大将「ここの鎮守府・・・ここの提督は解体後の艦娘で身寄りのない者を売りに出しているらしい」

大将「まずはこいつを殺せ、殺したら連絡しろ」

大将「貴様が人を殺す際、必要なものがあったら言え」

中尉「…」

中尉「それでは・・・大将の銃に込めた弾丸を一発いただけますか?」

大将「…殺害予告か?」

中尉「ご想像にお任せします」

大将「…いいだろう、銃ごと持って行け」スッ

中尉「…ありがとうございます」タシッ

大将「お前が死ぬ前に、私を殺せるといいな」

中尉「失礼します」


バタン


大将「私も死神の…ブラックリスト入りか…」

大将「精々殺して回れ・・・ゴミめ・・・」


中尉「散々な言われようだな…」


とはいうものの特に気にしちゃいない
だってそれは間違いのない事実だからだ
殺した数は両手の指じゃ足りない

誰かが言った
死に際、誰一人泣いてくれぬ人生に生きがいなど無いと
僕は僕が誰かを殺そうとした時、必ず後からその人物の死が悲しくて泣く
僕のようなゴミにしか泣いてもらえぬなど、あまりにも報われないからだ
だからと言って殺さないわけではない

引き金は思考を停止し、無慈悲に、そして機械的に引く
人間として酷く退廃的なこの一連の動作を止めたことは一度も無い

業か…特に業を背負った覚えはない…
何故人を殺すのか問われれば、それが救いであるからだと答えるだろう
互いの命のやり取りが極限に至った時、そこに論理や道徳など無い
奪うか奪われるか

僕に銃口を向ける者には人を殺した罪悪感に苦しんでほしくないから殺す
無駄な治療になりそうな患者は苦しいだろうから殺す

やはり死で救われると思うから
この答えがしっくりくる


だがしかしこんな人生を送る僕もまたその苦しみから逃れることなどできない
罪悪感に押しつぶされそうな夜は何度もあった
死ぬ夢を何度も見た


それでもなお、僕が死によって自分を救わないのは

今だなお、僕の死を悲しんでくれる人がいないからであろう

それはダメだ、それは悲しい



万が一それが見つかった時

僕は救われる





緑色の二輪車
エンジン音よろしく跨り進む
ここから3時間ほど
顔も知らない提督さん
死に救われる




僕が着任するであろう鎮守府に着いたころには、日も沈み夜になっていた
鎮守府近くの宿屋に泊り、機会を窺う

焦ることは無い
わざわざ乗り込んで射殺なんて真似をすれば返り討ちに合うのは見えている
手持ちの拳銃と道すがら買った安物の包丁
十分すぎるほどの装備を整えることができた

女将に頼んだ少しの酒と肴を飲みながら晩酌をする
炙りイカは最高のつまみだ



そんな日が三日ほど続くと奴らの行動パターンは読めてきた

夕刻、その時間帯になると鎮守府の向かい三本の道を小さな子供と決まって歩く
交差する道路を三本ほど超えたあたりの店で奴等は団子を買う

狙うならそこであろう
交差する道路のどこかですれ違いざまに仕留める

・・・しかし・・・・・
子どもが邪魔だ…
殺すところを見せるのは・・・少し気が退ける
僕は人殺しであるが…医者である

身近な者が目の前で殺されるのを見た子供がどれほどのショックを受けるのかを想像するのはたやすい

他に手は無いものか…
憲兵や諜報部の身分証明などの手筈を奴にとってもらうべきであった…
ええいくそ!無いものをねだってもしょうがない…

考えろ…
子どもを巻き込まない方法を・・・


いや…待て・・・
良く考えればあそこの提督を殺した後、僕が後釜に入るのであれば
僕が治療を行えばいいじゃないか

時間はかかるだろうが…できなくはないだろう…

決まった
子どもに関しては事後の対応を間違えずに行動すれば問題は無い


そして次の日の昼、国民服に着替えて僕は宿を出ることにした
女将には傷痍軍人の往診に来て、今日帰る事を話していたので宿に近寄らなければ怪しまれることは無いだろう
二輪を隠し道順の確認に向かった
軍服ではなく、国民服に着替えて

中尉(三本目の道・・・必ずここを通る・・・)

中尉(そうして真っすぐ・・・あの店で団子を買う)

中尉(二本目の交差路・・・奴から向かって右の位置は確認したら…死角になる・・・)

中尉(ここから・・・飛び出して、奴の心臓を抉り向かいに走る)

中尉(あらかじめ止めておいた二輪で逃走…これで行こう・・・)

そういえば奴らがいつも食う団子は上手いのだろうか?
ロクな娯楽も無いこの時代、食う事、酒を飲むことは全ての人間に共通する娯楽だ

中尉「よし…」

店に入ると子どもが持っていた団子に加え、おはぎやまんじゅうもあった
店主は何やら不思議そうな顔で僕を見る
そんな店主を無視し、おはぎを一つ買い外に出て口に運ぶ

中尉「!!!」

しつこすぎるほどの甘さが口に広がる
なるほどこれは子供の食い物だ
店主の奴め・・・知っていたな、商売上手め・・・

何とか我慢してそれを胃に流し込んできた道を戻る

振り向きざまに、ある集団の1人と目が合った

奴が連れていた子どもだ

ニコリと笑うと、あちらも笑い返してきた


…決行は明日だ……
適当なところで野営の準備をしなくては・・・

眠らねば


次の日の夕刻
帽子を深くかぶり、季節外れの外套を片手にあの路地に待機する
あちらからは視認できないこの絶好の位置に待機する
向かいの道路の先には隠してある二輪がある
奴さんの胸を抉り急いで二輪に跨り逃げる
顔を見られなければ何とかなるだろう…

肋骨に対し平行になるように包丁を突き刺す
痩せ形の奴さんには必ず致命傷となるはずだ…



奴を視認した、楽しそうに談笑している
隙だらけだ

奴等に向かい一歩踏み出そうとした時


中尉「!?」


背筋に悪寒が走った
何かが僕にこれ以上先へ進むなと言っている
稀に戦場で遭遇する現象だ
怯えとはまた違う直感
それを察知できなかった者は皆死んでいった

あの時の感覚が俺の脚を鉛のように重くした



深くかぶった帽子の中からちらりとのぞく



「…」



巫女装束のような服を纏った髪の長い女がこちら側をじっと見つめていた
間違いないあの悪寒は奴の殺気というかそんなものだ

流石は化物と戦ってる元人間だ
きちがいじみている

僕は何事も無かったように
顔を向いていた方向へ歩き出す

つまり彼女に向かい歩いているわけだ



すれ違いざまにちらりと顔を覗き見る

彼女の視線は間違いなく僕を捉えていた


僕は早足にその場を去る


作戦変更だ
畜生め、この日に限って奴のお守りに鬼がいた
運が悪い







「おい金剛?何をしている?」

「なんでもないヨ!速くお団子タベタイネー!!」スタスタ





大将「それで?おめおめと帰ってきたわけか臆病者め・・・」

中尉「陸の戦場では勇者から死にます!大将殿!」

大将「言い訳など聞く耳持たん、このような展開ぐらい予想せんかバカめ」

大将「で?何が必要だ?」

中尉「九九式狙撃銃を」

大将「あっちにあるから持って行け、とっとと消え失せろ」


大将が顎で指した先には九九式狙撃銃の他に南部式拳銃、二式小銃などが飾られていた


中尉「…お借りします・・・・・」

大将「返す必要は無い、一般的なものと同じだ」

中尉「頂きます」

大将「しくじるなよ」

中尉「はっ!」


大将から奴さんの殺害命令を受け二週間が経った
僕は当初の作戦を変更し、狙撃を行うことにした

これぞ暗殺という奴だな

綿密な観察の結果、彼の執務室の場所と最適な狙撃ポイントを見つけた
狙撃はきっと成功するだろう、僕は軍医であるが射撃も得意なのだ
懸念はあの金剛という艦娘
スコープを覗いたら奴と目が合った・・・なんてのは最高の恐怖だ

決行の日は近い・・・願わくば奴さんの近くに彼女がいないことを願おう


余談ではあるがその期間の間、僕はずっと野宿であった
長期間宿に泊まれば顔を覚えられてしまう
それは避けたかった
おかげで夜は蚊との戦闘で眠れなかった
まったく最高の気分だよ…


夜も更け、月が輝く今夜
鎮守府近くに位置する丘陵に横たわりスコープを覗く
スコープの先に彼を捉える
こんな遅くまで熱心に仕事を行う彼の姿には好感を覚える

しかしそれはまた別の問題である

艦娘の除隊は解体と呼ばれ、解体された時点で普通の人間に戻る
基本的に艦娘は歳をとらない
故に20歳で艦娘になったら10年経っても体の構造は20歳のままであるという

まさに現代版浦島太郎である

夢のような話であるが、いいこと尽くしではない
そんな彼女達を異質なものと捉え、排除する団体もいる

仮に自分の家族がそんな団体に毒されれば、解体後の帰る場所は無くなってしまう

勿論海軍もそれに対応する規則は作っている
しかし悲しいかな
規則や法は基本的に知っているものの味方なのだ

情報によると奴さんはそんな無知な艦娘に職業紹介と称して身売りをさせている
騙される方も馬鹿だが騙す方もゴミ

自由意思の介在しないそれを肯定するわけにはいかない

考えることを止め
スコープの照準を彼の頭に合わせる

無慈悲に
引き金に手をかけた

機械的に
それを引く

ボルトを上げて
引く

薬莢を排出して薬室に次の弾丸を込める

ボルトを押して
降ろす

無慈悲に
引き金に手をかけ

機械的に
それを引く




彼の胴体に二発目を撃ち込む



彼は机に伏していた
その様子はまるで踏みつぶしたザクロの様

あれで生きていたらそれこそ化物だ

僕は足早にその場を離れた


翌日、鎮守府を訪れるとそこには大量の憲兵がいた
野次馬に話を聞くと、鎮守府の司令官が殺されたという

僕はホッとした
彼は人間だった
正直、微細な殺気を感じ取る女たちを率いる人間の事だ
魔改造されていてもおかしくは無いと思っていた

そこで俺は見覚えのある人物を見かける
河童の巣窟で俺を案内したあの軍人だ

彼も僕を見つけ足早に近寄ってくる

「こんにちは中尉殿、覚えておられますか?大将の副官であります」

中尉「これは副官殿・・・どうしてここへ?」

副官「はい、実はこの鎮守府の提督が何者かに殺されまして…」

中尉「僕も先ほど野次馬から聞いたところです・・・心中お察しします…」

副官「…どこかで恨みでも買ったのでしょう・・・まぁそれはいいのです」

副官「大将は今回の件を連絡で受け、この鎮守府の提督にあなたを据えるとのことでした」

副官「私はその指令書を渡しに来たのです」

中尉「そうですか…ご苦労様でした」

副官「・・・あぁ失礼、今は昇進して少佐殿でしたね」

中尉「中尉で結構ですよ副官殿、少佐と呼ばれると何かむず痒いのです」

副官「では中尉殿・・・ひとつお聞きしてもいいですか?」

中尉「僕に答えられることであれば」

副官「何故中尉殿はここにおられたのですか?大将は中尉殿がここにいることを知っていました」

副官「ここの鎮守府の提督が殺され、貴方が後釜・・・ここにいたのは偶然ですか?」


あの野郎・・・何も説明していないのか・・・
ややこしい…面倒だ…
今度会ったら文句の一つでも言ってやろう


中尉「察しがいいですね副官殿、偶然ではありませんよ・・・僕があそこの提督を・・・この軍刀で真っ二つに・・・ね…」

副官「…」

中尉「…」

副官「冗談は笑えるものにしてください中尉殿、不謹慎です」

中尉「…それは失礼・・・・・」

副官「・・・それとここの提督は狙撃で殺されたんです……斬殺じゃありません」

中尉「ほぅ…そうだったんですか」


あいつめ・・・狙撃銃はすぐに補充していたのか・・・
罠にかけるつもりではなかったらしいな
間違いのない嫌がらせだ…


副官「それで?本当のところは?」

中尉「僕も大将に呼ばれてここに来たまでですよ…きっと行き違いになったのでしょう」

副官「つまり・・・大将はわざと我々を困らせた・・・と・・・」

中尉「嫌味な上官で心底同情します…」

副官「はぁ…なんだか疲れてしまった・・・・・ごちそうしますので何か甘いものでも食べませんか」

中尉「おっいいですね…それでは・・・・あそこの店にしましょう…」

副官「何かおすすめはありますか?」


中尉「おはぎがね…凄く美味しいんですよ」



副官「私は貴方が嫌いだ…」

中尉「僕は副官殿の事、結構好きですよ」

副官「・・・はぁ・・・・・あなたも大将と同類ですね」

中尉「それは心外です」

副官「まぁいいです…鎮守府には明日の午後に着任してください」

中尉「わかりました」

副官「では失礼します、この借りはいずれ返します」ビシィ

中尉「返り討ちにして差し上げます」ビシィ

副官「それでは失礼」

中尉「道中お気をつけて」


彼は帰った
あのクソ野郎の部下とは思えないほどの好青年だった
仲良くなれそうだ・・・

はてさて
明日の午後に着任か
どうしましょうかね…


霧島「お姉さまはまだ部屋から出てこないの?」

榛名「うん・・・提督が殺されてしまったんだもの…簡単には立ち直れないわ…」

比叡「…お姉さま・・・・・・」







金剛(テートク・・・テートク・・・・・・)

金剛(あの男だ…きっとあの男・・・・I swear it's true・・・あいつがテートクを・・・・)ギリィ

金剛(許さない許さない許さない許さない許さないユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ・・・・・・・・・)ギリギリギリィ





休日は掃除をせねば

乙とかコメとか嬉しいけど
作者が安価付けて返事するのはウザいと思うから基本返信しないので気を悪くしないでね


さてさて
いま僕は自分が着任するはずの鎮守府の前まで来た
着任前に何を用意すべきかと迷ったが、結局のところ職務上に必要なものはわからないし知らない
結局考えは自分をどう守るかに至った
腐っても陸軍が海軍にいるのだ、用心に越したことは無い
それにどこで恨みを買っているかもわからんしな

仕事も大事だが、やはり自分の命も大事なのだ
大事・・・大事か?
少なくともまだ死ぬ気はないのだからこの表現が妥当かな?


中尉「昨日の騒ぎも無かったかのように静かだな…」

中尉「そう言えば午前は奴の葬式であったな…そこに息つく間も無く新しい提督が着任ね…」

中尉「いったいどうなる事やら…」


歓迎など期待はしていない・・・というよりもこの状態で歓迎などされたら一週間は眠れないな
せめてこう・・・静かに・・・幽霊のように入り込みたいものだ…

気分は敵地に侵入して偵察兵だな…
よし行こう





中尉「よし…」

中尉「よしよーしよしよし…」

驚いた・・・
僕のスニーキングスキルは大変すばらしいものだった
目の前の表札には間違いのない表記
執務室
今日からここが俺の城か


中尉「…」ガチャリ

中尉「ふむ…やはりというか・・・・・前任者の私物などは全て片づけられているようだ・・・」

中尉「奥の荷物は頼んだものか…あの奴めぇ…いい仕事しやがる・・・」


奥の荷物・・・俺の身を守る武器だ
九九式小銃に狙撃銃にテラ銃
九九式軽機関銃・・・
各種弾薬

ふふふ…武器はあればあるほどいいのだ…
まさに一人分隊と言ったところか


中尉「机の上に乗っているのは・・・」ペラ

中尉「…胸糞わるいな・・・・・・」


顧客リストだ・・・
あえてこれを残したってことは・・・こいつらも殺せという事か?
口封じ・・・しかし書いている人物は僕が知っているのもチラホラと
こいつらがわざわざ自分の首を絞めるだろうか…


中尉「考えて殺せとはこういう事か…」


つまり、邪魔者は殺せ・・・・だな…

やり過ぎれば


死ぬ



中尉「大将殿は実は僕を殺したいんじゃないだろうか?」

中尉「いや…こういう嫌がらせを楽しんでいるとも考えられるな・・・・」

中尉「…」

中尉「考えるのは後だな…」


大将殿から送られた小銃に弾丸を込め、開いたドアに隠れるような位置に移動する


中尉(お客様だ…)







木曾「物音がしたのはこっちなのか?」

まるゆ「はい・・・ここここっちですぅ…」

木曾「盗っ人か…猫か…どっちにしろ確かめる必要があるな・・・・」

コンコン

木曾「おーい、誰かいるのか?」

まるゆ「き!木曾さぁん!!!」

木曾「平気だろ、俺は滅多に負けん」





中尉(おいおい・・・ノックしてきやがった・・・)

中尉(馬鹿なのか?いや馬鹿だろ・・・まぁ敵意が無いのはいいことだ…)

中尉「あぁいるぞ・・・敵意は無いか?」




木曾「ははっ・・・本当にいたぞ、どうするまゆる?」

まゆる「はわっわわわわわわわわ」

木曾「こりゃダメだな…敵意か…お前次第だ、てかお前は誰だ?」




中尉「新しく着任した君たちの上司だ」

木曾「そうか、なら話は早い…俺は球磨型軽巡洋艦五番艦木曾だ、入室してもいいか?」

中尉「…許可しよう・・・・・・」



木曾「それじゃあ失礼する・・・おら行くぞまゆる」ガチャ

まゆる「うぅ…失礼します…」

木曾「なんだその軍服…お前陸軍か?」

中尉「陸軍から出向した、今は海軍少佐だ」

木曾「なるほどなぁ!おいまるゆ!よかったじゃねぇか!」バンバン

まるゆ「ぐべべべべべべ!!」

木曾「で?どこの部隊にいたんだ?階級は?」

中尉「懲罰部隊の中尉だ」

木曾「はっはっはっ!はみ出しもんか!何をやったんだ?」

中尉「助かる見込みのない患者を殺しただけだ」

木曾「へぇ…医者が人殺しとは因果なもんだなぁ…」

まるゆ「懲罰部隊・・・中尉・・・・ああああああああああああああああぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁ!!!!!!」

木曾「なんだ…うるさいぞモグラ」

まるゆ「もぐらじゃありません!じゃなくて…この人・・・・・味方殺しの死神・・・」

木曾「……へぇ」

中尉「まるゆ・・・と言ったね、僕はその仇名が嫌いなんだ…わかるね?」

まるゆ「あっ・・・・ごめんなさい…」

中尉「よろしい…木曾と言ったな、階級は?」

木曾「何を言っている?俺たちに階級なんてないぞ?」

中尉「おいおい、それじゃあ誰が現場で指揮を執るのだ?」

木曾「主に旗艦がとっているな、俺たちは皆対等だ」

中尉(面倒だな…上下関係がわからないじゃないか…)

中尉「ならば木曾君、君に頼みごとがある」

木曾「面倒事は御免こうむるぜ」

中尉「簡単な事だ、今日の夜・・・ここの食堂に皆を集めてほしい」

木曾「…いいぜ、何をするんだ?」

中尉「今後の身の振り方をね…さぁ、僕は仕事があるので出て行ってもらえるかな?」

木曾「おう、いくぞまるゆ」

まるゆ「あっ、はい!失礼しました!!」


バタン

中尉「…」


あれが艦娘・・・姿かたちはそこらの女子供と変わらんな
年端もいかない子女を頼るとは


中尉「本格的に世も末だな…」


中尉「それと・・・」プルルルル

大将『私だ』ガチャ

中尉「中尉です」

大将『貴様か、いったい何の用だ?』

中尉「実は…」




大将『貴様本気で言っているのか?』

中尉「えぇ、その方が動きやすいですし…私は素人ですので」

大将『・・・よかろう』

中尉「では、失礼します」

大将『うむ』ガチャリ

中尉「…」チーン



中尉「さて…次はと・・・・」カキカキ




こうして時間は過ぎて・・・夕食時
この鎮守府に所属する艦娘の全員が食堂に集まっていた

そこに彼はやってきた

茶色の軍服に軍刀を腰に下げて
手提げ袋には大量の封筒が入っていた

全ての艦娘が彼に注目する
彼は早足に不自然に開いた一つのテーブルに荷物を置き
彼女達を一瞥した


中尉(軽く百人は超えているな…ん?)


彼はこちらをじっと睨みつけている女性に気が付いた
あの日自分の存在に気が付いた女性
高速戦艦金剛
前任者のただ一人の指輪保持者


中尉(気が付いたのか・・・注意しよう)

中尉「僕はここに新しく着任した提督…君たちの上司だ!」

中尉「話に先んじて渡すものがある!呼ばれたら来てくれ!」

中尉「まずは重巡洋艦青葉!」


―――
――


中尉「戦艦金剛!」

金剛「…」ガタッ

金剛「…」トトト

金剛「…」トト

金剛「…」スッ

霧島「!」

榛名「いけない!!!」

比叡「お姉さま!!!!」

金剛「…」ダダダダダダ

中尉「…」チャキ


鬼の形相で突っ込んできやがった
しかしこんなところで来るとは・・・こいつ猪か?
俺を殺すなら他に手があったろうに

仕方がない、正当防衛だ
間合いも考えずツッコむバカめ
軍刀を抜いて袈裟に・・・

降ろす!!!!!


榛名「お姉さま・・・大丈夫ですか?」

比叡「先ほどから顔色が・・・」

霧島「お姉さまの書類はこの霧島が・・・」

金剛「ノゥ・・・大丈夫ネ・・・」


中尉「戦艦金剛!」

金剛「…」ガタッ
(ワタシの番・・・)

金剛「…」トトト
(このタイミング・・・不自然ネ・・・・間違いない、あいつがテートクを・・・)

金剛「…」トト
(あの時もあいつを見た・・・絶対・・・絶対・・・)


金剛「…」スッ
(コロス・・・・コロシテヤル・・・)


霧島「!」

榛名「いけない!!!」

比叡「お姉さま!!!!」

金剛「…」ダダダダダダ
(テートク・・・仇は・・・私が!!!!)

中尉「…」チャキ


金剛「ヤアァアァァアアァ!!!!!!」


中尉「…」ギリギリギリギリ

金剛「ハァ…ハァ・・・・ハァ…ハァ…」グググ




僕の軍刀は彼女にはあと一歩届かず
彼女の包丁もまた、僕には届かなかった

第三者の手によって、阻まれたのだ


木曾「おいおい・・・女に手をあげんのかよ…」ガリガリガリガリ

中尉「…あげねば僕が殺されていた、戦闘に性別は関係ない…刃物を持てば皆一様に戦士だ」ギリギリギリ

木曾「筋は通っているが…気に入らねぇな・・・」ギリギリギリギリ

中尉「結構だ」スッ・・・チンッ

木曾「ふぅ…重い剣だな…」


金剛「離せ!!はなせぇぇ!!!!」

長門「くそ!面倒だ!!!」ギリギリギリギリ

金剛「はっ!!!ぐぅ・・・・かはっ・・・・」

金剛「…」

陸奥「ちょっと長門!絞め落とす必要は無いじゃない!!」

長門「こいつは冷静でなかったのだ!・・・これが妥当だ…」

陸奥「だからって…」

比叡「お姉さま!!」

榛名「長門さん!!!やり過ぎですよ!!」

長門「ならばメンタルケアぐらいはやっておくんだな」スタスタスタ

陸奥「ちょ!!長門!!!」

中尉「誰かそいつを医務室に連れて行け・・・」

榛名「ぐっ・・・」

比叡「お姉さま・・・しっかり・・・・」

金剛「…」グタァ

霧島「大丈夫、気を失っているだけよ」


提督「続けるぞ!敷波!」



ゲームうぃせねば

訂正
ゲームをせねば

関係ないことつぶやいたら一旦終わりと言う解釈で
ここまでとか書いたら暇になって書こうとした時気まずいし
一旦終わりと書いたらいざ書けないってなった時になんか申し訳ないし


そうして約百人分のとある書類を入れた封筒を渡し終えた
各人、それを勝手に開けることなくいる姿はある程度の常識を感じさせられる


中尉「全員渡せたな・・・では中身を確認してほしい」


僕の合図とともに各所で封筒を破る音が聞こえる
その後に聞こえた音は・・・ヒソヒソと話しを始める声
当然だろう、それは天国への片道切符に・・・あるいは地獄への片道切符に成り得るものであったからだ

やがて一人の艦娘が手を挙げた
僕が書類に関する質問かと問うと、頷く
僕は一つ咳払いをして話を始める準備をする



中尉「今、君たちが持っているものは・・・残すところ各人の署名のみという段階の転属願いだ」

中尉「早い話、希望する者はここから出て行って構わないという事だ」

中尉「転属など本当は認められていない・・・・しかしだ…」

中尉「僕は君たちの司令官としては素人・・・対してここの鎮守府の中にはいわゆる主力級と言える艦娘がチラホラといる」

中尉「それ故の精一杯の配慮だ」

中尉「ただしこれは一種の例外である為、書類提出後の転属先の変更はできない」

中尉「行先はよく考えてほしい、なお、転属希望の者の中で転属はしたいが特に希望はない」

中尉「しかしここに残留はしたくないという者は書類欄に横須賀カッコカリと書いてくれ、君たちの身柄は一時的にそこの大将が預かることになる」

中尉「またじょた・・・解体を望む者がいれば個人的にも受け付けよう」

中尉「解体後については艦娘取扱規定に則り各人に専門の支援員を付ける」

中尉「そのものの身柄は一時的に解体艦娘支援施設の預かりとなる」

中尉「次に気付いた者もいると思うが、その封筒にはお金が同封されている」

中尉「それは前任者が君たちに遺した心ばかりの金だ、大切に使え」
(まぁこれは嘘なんだがな、その金は奴が裏で稼いだ汚い金の一部だ…)

中尉「以上だ、質問のある者は?」

「よろしいか」スッ

中尉「先に名乗ってから、質問を述べてくれ」

長門「長門だ、何故我々をむざむざ手放す?精鋭が丸ごと手に入るのだぞ?素人だからという理由だけではどこか腑に落ちんのだ」

中尉「ふむ…」

中尉「長門よ僕も君たちも否が応でもその意思に関係なく戦場に出る、それは変える事の出来ない事実だ」

中尉「であれば従う上官、戦う戦場ぐらいは選ばせてやりたいと思ったのだ」

中尉「僕自身、頭にくる上官の下に来てしまったからな」

長門「…貴殿には出世欲が無いのか?」

中尉「僕の望みは今現在死ななければそれで達成されている」

長門「…そうか、ありがとう」

中尉「いいとも、武運を祈る」

中尉「他にはいないか」

「…」スッ

中尉「なんだ?」

青葉「あの…青葉です・・・・恐縮です……その・・・・・」

中尉「どうした?」

青葉「陸軍の・・・味方殺しの死神さん・・・・・・・ですよね?」


ザワザワザワザワザワザワ
シニガミッテアノ・・・・
ウソッ・・・
キイタコトアル・・・

中尉「……だったらなんだ?」

青葉「何故・・・・・その…海軍に?」

中尉「極秘事項だ、上層部に聞いてくれ」

中尉「君の身の安全は保障しかねるがな」

青葉「…」ゾクッ

中尉「他にはないか?・・・・無いなら解散だ!」

中尉「ここから出ていきたい者は明日のヒトサンマルマルまでに荷物をまとめてくれ!迎えが来る!」

 


艦娘へのこれからの指針は一応示した

出ていくか
残るか

そして僕は残った者を指揮してまったりと海の上で戦えばいい
必死に働くのは奴の指令があった時だ

しかし…味方殺しの死神の仇名・・・思った以上に広がっているな
いや…現実に何十人と殺しているのだからあながち間違いでもないのか・・・
であれば木曾と一緒にいた子供には嘘をついてしまったな
であれば死神の呼び名は仇名ではなく異名だな…

まぁいいどうでもいいことだろう

死神と言えば…20年前の大戦・・・帝国海軍の雪風
あれは大戦で一度も被弾することは無く
米国との決着がつく前に現れた深海棲艦に遭遇しても被弾しなかったという・・・

あれの異名も死神であったはずだ、艦娘となっているのか?
であればいったいどれほどに恐ろしい外見なのだろうか?

一度会ってみたいものだ…

さて、今日はもう寝よう
しかし…この執務室は居心地がいいな
台所に便所シャワーも併設されている

まったく贅沢だな…


中尉「施錠も確認・・・ゆっくり寝るかな…」



中尉「…十二時半か・・・・・」

その日の起床は予想以上に遅かった
まぁ疲れが溜まっていたのだ
そういう事にしておこう


中尉「飯は・・・後でいいな・・・」


とりあえず顔を洗い歯を磨く
窓の外には横須賀からの迎えと賑わう艦娘達
まぁ…こうなるだろうな
結局解体希望の者は来なかったところを見ると、皆一様に戦いを継続するらしい


中尉(…物好きな奴らめ)クチュクチュッペ

中尉「十三時か…仕事しないとな、残留組・・・いるのか?」

中尉「一応把握しないとな…」


執務室にある館内放送用マイクの電源を入れる


中尉「聞こえるな?僕だ」

中尉「誰が残留したのか・・・まぁいないのかもしれないが一応確認したいので、三十分後に食堂に集合してくれ、以上」


さぁて・・・死神と行動するのはどんな奴等なのかな?

・・・
僕は案外死神という異名を気に入っているのかもしれない・・・
味方をたくさん殺したが…それ以上に敵を殺した

評判は悪い方が盛り上がるからな…悪口と同じか畜生め・・・


中尉「ふむ…まさか残留する者がいるとはな・・・」

中尉「いや本当に驚いた・・・」

中尉「まぁいい一人ひとり自己紹介をしてほしい」

中尉「名前と・・・残留理由を聞こうか…」

中尉「右から頼む」



戦艦長門だ

残留理由は・・・そうだな…貴殿に興味が湧いたのだ…
私は貴殿が何故戦うのかを知りたいのだ



睦月型1番艦の睦月です

ここには睦月の大切なお友達のお墓があるのです
睦月は・・・それを守るためにここに残ります



吹雪です!

睦月ちゃんを残して違う鎮守府に行くなんてできません!



駆逐艦夕立よ!

理由・・・理由・・・
吹雪ちゃんと同じっぽい!!



知らない仲ではないよな?木曾だ

何故ここに残るのか…か…
どうせ誰も残らないと思ったからな
1人では守れまい?





睦月「吹雪ちゃん・・・夕立ちゃん・・・・」

吹雪「大丈夫!睦月ちゃんを一人になんてしないよ!!」

夕立「ぽいっ!!」

中尉「ありがとう…ちなみにそこの二人は?」

大淀「大淀です、主に提督の補佐をします…戦う為の装備はありません」

明石「明石です、装備の開発などをします…大淀さんと同じく、戦う為の装備はありません」

中尉「わかった、長門」

長門「どうした?」

中尉「普段深海棲艦と戦う時の編成を教えてくれ」

長門「基本は六人以下、縦一列の単縦陣、横一列の単横陣、二列に並ぶ複縦陣、一列の中央両横に一隻づつ見方を置く輪形陣」

長門「それらを戦況によって使い分けて戦う」

中尉「ふむ…では現在の我が艦隊の戦力について分析してみてくれ」

長門「そうだな…」

長門「二段階改装を終えた駆逐艦三隻に重雷装巡洋艦が一隻・・・そして戦艦・・・」

長門「制空権を無視して・・・敵に戦艦が複数いる場合を除けば・・・少なくとも弱い艦隊ではない」

長門「だが敵に空母がいた場合は悲惨だ、制空権を奪われて・・・最悪誰かが死ぬ」

中尉「なるほどな…早急な空母の手配が必要か…」

木曾「殴り合いなら俺と長門さんがいりゃあ大抵は何とかなるけどな…」

吹雪「提督!対空射撃なら私得意です!」ハーイ

夕立「夕立もたぶん得意っぽい!」ポーイ

睦月「睦月は・・・あまり・・・」


中尉「…わかった、対空に関しては対策を考えておく」

中尉「君たちは別命あるまで待機だ」

長門「待て待て、鎮守府近海の哨戒任務はどうする?」

中尉「…長門、しばらくは艦隊行動に関しては君に一任する」

中尉「ただし、戦闘に関しては迎撃のみを許可する」

中尉「僕はしばらく大淀に海の兵法を習う事にするよ」

長門「承知した」

中尉「では解散!!」


「「「「「…」」」」」ピシッ






中尉「…明石・・・・・」

明石「はい?」

中尉「君は装備の開発を担当すると言ったな…相談がある」

明石「…はぁ……」





明石「…すみません…もう一度言ってもらえますか?」

中尉「僕用の武器を作ってくれ、できれば小型ボートの上で撃てる九七式自動砲がいい」

中尉「作れるか?」

明石「…それは・・・・対深海棲艦という意味で?」

中尉「もちろんだ」

明石「バカ言わないでください!提督が自ら戦うなんて聞いたことがありません!!」

中尉「指揮官は現場に立ってこそだ、そこは譲れない」

明石「わからなくもないですが…あまりにも危険すぎます!!慢心です!!慢心!!!」

中尉「前例がないとか危険であるとかの話ではない、作れるか否か聞いている」

中尉「危険など百も承知だ、提督は皆鎮守府で待機しているという話も聞いている」

中尉「だが僕には部下のみを死地に送り、自らは安全圏で座して待つなどできない」

明石「……はぁ………作れます・・・・・・なんでしたら戦艦と同等の威力の対戦車砲も作ってみせます」

中尉「なんだ…頼もしいじゃないか」

明石「ただし・・・ボートは駆逐艦程度の紙装甲のものしか用意できません」

中尉「どの程度の防御能力がある?」

明石「魚雷日本で海の藻屑です」

中尉「なんてことは無い、当たらなければよいのだ」

明石「・・・・・・・三日下さい」

中尉「良いとも、期待している」

明石「今度の指揮官はとんだ戦闘狂ですね…人のみで深海棲艦と戦うなんて…」

明石「…もしかして死神の血でも疼いているんですか?」ジトッ

中尉「そう変な顔をするな、彼女たちの生還率を少しでも上げたいだけだよ」

明石「死んでも化けて出てこないでくださいよ…」

中尉「心配するな、化けて出る場所はもう決まっている」







大将「ブワックショイ!!!」

副官「あら大将、お風邪ですか?」

大将「…どこぞの屑が悪態ついているんだろう…」

副官「???」

訂正

明石「今度の指揮官はとんだ戦闘狂ですね…人のみで深海棲艦と戦うなんて…」
              ↓
明石「今度の指揮官はとんだ戦闘狂ですね…人の身で深海棲艦と戦うなんて…」


中尉「…」ガチャバタン

中尉「そう言えば飯を食い忘れたな…」

中尉「まぁ…夕飯がうまくなる・・・・という事にしておこう・・・」

深海棲艦か…想像がつかんな
従来の魚雷や大砲が通じない化物

妖精たちが作る装備と弾薬の身がその身を貫く

一時はどうしようかと思ったが・・・・僕も戦場に立つことができそうだ・・・
直接的な指示が出せるというのは大きいぞ

無線の指示だけでは判断のしにくい事態もあるだろうからな

後は空母だが…


中尉「・・・・大将殿でしょうか?」

大将『・・・なんだ?こちらは貴様が送ってきた艦娘の手続きで忙しいのだ』

中尉「ご苦労様です」

大将『で?要件は?』

中尉「空母の艦娘を一人送ってください」

大将『なんだ、残らなかったのか?人としての魅力が無いのを気付かれたか?』

中尉「私の魅力などたかが知れています」

大将『殊勝な心がけだな、人員に対する希望はあるか?』

中尉「…物静かで・・・・・・家事の得意な者はいますか?」

大将『・・・嫁にするつもりか」

中尉「ご冗談を、残留組は武闘派が多いみたいですから・・・」

大将『なぜわかる?』

中尉「カンです」

大将『・・・まぁいいだろう、明日の朝にそちらに着くようにしよう・・・丁度手の空いている者が横須賀の管轄にいる』

大将『ちなみにそこの提督は空母を嫁にしたそうだ』

中尉「そうですか」

大将『なんだ…女に興味が無いのか?それとも勃たないのか?』

中尉「ははっ・・・私はいい歳なのにいまだに女の尻を追いかけている大将とは違うんですよ」

大将『・・・ははは、言うじゃないか若造』

大将『だが言葉に気を付けろ・・・殺すぞ』

中尉「…万全の態勢で迎え撃ちましょう・・・・・・なんなら今からでも私は構いませんよ?」

大将『・・・』

中尉「…」

大将『ふふっ・・・・うはははははは・・・・あっはっはっはっは!!!」

中尉「…」

大将『・・・・・やめておこう・・・・・・貴様を殺すのは気が触れた時か・・・・私の指示に背いた時だ』

中尉「…」

大将『どうした?小便漏らしたか?』

中尉「・・・・・・空母の件、よろしくお願いします」

大将『あぁ、楽しみにしておけ』ブツン

中尉「…」ガチャン




中尉「…」フゥ


うわぁ・・・こわ・・・こっわ・・・・
実際攻めてきたらどうするよ…籠城しかじゃないか
ヤバいって…なんで僕あんなこと言ったんだ

こうなんというか
僕は多分、酷く見栄っ張りなのだろう

はったりが上手いというか…きっと今までもこういうことは何度かあったに違いない…
気を付けよう、命がいくつあっても足りない・・・

どっと疲れた
シャワーを浴びて寝よう

こんなに早く寝るのだ、空母が来る前には起きれるだろう


・・・嫁か

考えたことも無かったな
しかし、きっといいものなのだろうな
夫婦というのは



「すいませええええええええええっぇっぇぇえん!!!!!!!」ドンドンドンドンドンドン

「横須賀管轄の鎮守府から美少女が二人きましたよぉぉ!!!!」ドンドンドンドンドン

「二段階改装済みのばっちりな空母ですよおおおおぉっぉぉぉぉおぉ!!!!!!」ドンドンドンドン

「制空権とりますよぉぉぉぉぉお!!!!!敵機も貴方の心もおとしまああぁぁあぁぁぁぁす!!!!!!」ダンダンダンダンダンダン

「朝早すぎる?慢心ダメ!ぜったああぁぁぁあい!!!!」ドンドンドンドンドンドン

「友達もついでに引っ張ってきましたああぁぁぁぁぁぁぁあああぁあぁ!!!!!!」ドンドンドンドンドン

「今は門の所で寝てますけどね!!!どうよ!!!!きりっ!!!」ガンガンガンガンガンガン

「二航戦ですよぉぉぉぉぉ!!!!相方のおっぱい大きいですよぉぉぉぉぉおおおおおぉぉ!!!!!!!」ダンダンダンダンダンダンダン

「相方ともども本格的にはっきりフラれて傷心中なので口説くなら今ですよおおぉぉぉぉぉおおおおぉ!!!!!!!!ガガガガガガガガガガ

「後半うっそでえええぇぇぇぇええええええす!!!!!!!!」ガスッガスッ

「今どんな気持ちですかああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」ドンッ!!!!!ドンッ!!!!!

「あっ!!眩しいと思ったら朝日が昇ってきましたぁ!!!!!綺麗ですよおおぉぉぉぉおおおぉぉぉお!!!!!」ゲシッゲシッ

「一緒に見ましょうよおおおおおぉおぉぉぉぉお!!!!!!!!!!!!」ドゴンドゴンドゴン

「おおおおおおおぉぉぉっぉい!!!!!うおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!!!!!」ガチャガチャガチャガチャドンドンドンドンドンドン





中尉「うるせええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇえええぇぇえぇっぇ!!!!!!!!!!!!!!!!」ガバァ















「へくち・・・・」

「えっ?なんで外?てかここ何処さ・・・」

眠らねば

>>1に書き忘れましたが、いずれ轟沈描写があるかもしれないので気を付けてください
基本シリアスかつコメディかつハートフルです

一応前作貼っておく
提督「…」赤城「…提督、ここは遠征の予定が入っていますよ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428403422/)

前作と今作は同じ世界の同じ時代のお話
戦時中なのにこんなに笑顔ばかりの日常もおかしいよなぁって思って浮かんだのが今作
前作を陽とするなら今作は陰
中尉が暗殺しているとき、前作の提督は鎮守府で赤城さんや加賀さんとキャッキャウフフしているかもしれない
中尉が殺した提督は、前作の提督の同期だったかもしれない
明日の標的は前作の提督かもしれない
どっかでばったり出会う
多分出会う
出会うんじゃないかな・・・・
ま、 ちょっとは覚悟しておけ(さだまさし観)


一応こんな感じです
ただ今作だけ読んでも理解できるように書くつもり
そして今作の方が多分長い

本編はまだ書かない

関係ないけど
にわか中島みゆきファンだから物語の節々に自己解釈した歌の世界観が出てくるから
気付いた時には、よければ聞きながら読んでほしい
そしてCDを買うんだ(脅迫)


関係ないことであげちまったぴょん
すまんぴょん
許せぴょん

勝つか負けるかもわからない戦争の赤紙を握りしめて
那珂ちゃんは今日も一人
街角でひっそりと歌うんやで

書き始める


まさに騒音
その空母の登場は生涯忘れられないのではないだろうか

横須賀から来たその空母、名を飛龍、蒼龍というらしい
丈の短いスカートに上は普通の着物
なんというか…摩訶不思議な趣向だ
言ってみれば長門も変態のような恰好をしていたことから、きっと彼女達は抑圧された欲望が性欲向かってしまったのだろう


中尉「大丈夫だ、そのうちメンタルケアも行おう」モグモグ

長門「なんだいきなり、失礼な奴だな」

長門「あと食いながらしゃべるな」

中尉「すまない」


かくいう僕たちは現在、その空母共が作った朝飯を食べている
麦飯に味噌汁、焼き魚に漬物

悔しい
非常に腹立たしい
しかし俺は人の上に立つ者
評価は平等に、客観的に下さなければならない


中尉「…非常にうまい・・・・・・・」

飛龍「でしょー?この漬物はこの飛龍が漬けたものなんですよーいやー喜んでもらえてよかったよかった!」

蒼龍「お口に合って何よりです」

中尉「…後はそのけたたましい口を何とかしてもらいたいものだな」

飛龍「私、陰気くさいのは苦手なんです」キリッ

中尉「・・・・」ジロッ

飛龍「wwwwwwwww」

蒼龍「すいません・・・・」

中尉「君が謝る事ではない・・・蒼龍と言ったな?」

蒼龍「はい、何か御用ですか?」


僕は比較的常識人であろう彼女に尋ねた
睦月たちが相手にしているあの幼女集団の事だ

何を隠そう
彼女たちはこの蒼龍が連れて来たのだ



中尉「僕は孤児院を併設した覚えはないんだが…」

蒼龍「へ?あの子たちも横須賀から来たと言っていましたよ?」

中尉「そのような連絡は受けていない」

蒼龍「と・・・言われましても・・・・・・」

中尉「しょうがない、朝食が終わったら事情を聴くか」




子どもは・・・あまり得意ではない
というよりも接する機会がそこまで多くは無かった


中尉「はぁ…」


無意識に出た溜息を戻す様に、番茶を流し込んだ




朝食が終わり食休み
僕はこの鎮守府の提督となったが、特に自分からアクションを起こさない限り仕事はそう多くない
深海棲艦との戦争は前線で硬直状態である故に、迎撃する敵もいない
単刀直入に言えば中々に暇なのである

しかしながら敵の勢力がいったいどの程度あるのかというのも現在わかっていない
故に人類は兵士である艦娘を減らすわけにもいかない
暇な理由はこの位か

さぁ、暇であることの免罪符を得たところで本題に進もう
彼女たちの事だ


中尉「さて…まずは君たちの事を教えてもらえるかな?」


哨戒に出かけた木曾と吹雪そして飛龍を除く全員が集まるこの机で、彼女達の自己紹介が始まった


あかつきよ!

いちにんまえのれぢーとしてのあちゅかいをもとみぇりゅわ!!
・・・わらうなぁ!!



ひびきだよ

・・・
・・・これはじげだよ



いかづちよ!かみなりじゃないわ!

わたしがきたからにはこのちんじゅふもあんたいよ!
たくさんたよっていいんだから…ちょっといなづま! うしろにかくれないでじこしょうかいしなさい!!!



・・・・いなづまです…

たたかいは・・・その・・・・・すきじゃないのです・・・・・



長門「…子供だな・・・・・・・」

睦月「子供ですね…」

夕立「子供っぽい!!」


うん、間違いない
最初は小さな大人なのかもしれないとも思ったが
この子らは子供だ


中尉「それでは雷、早速君を頼ろうと思う」

いかづち「いいわ!なんでもいってちょうだい」

中尉「君たちが横須賀から来たというのは聞いた、それで・・・何かお手紙のようなものを預かっていないかな?」

いかづち「それは・・・うーん……あっ!あかつき!!!!」

あかつき「ふぇ!!なによ!!びっくりしたじゃない!!!」

いかづち「おてがみは?あんたがもってたじゃない!!」

あかつき「……?」

ひびき「やー」スイッ

中尉「あっありがとう、どれどれ・・・」ビリビリ


大将

特別育成艦娘だ
育てろ

”貴様”が育てろ

大切に扱わば八つ裂きだ



中尉「…糞爺・・・・・」

長門「何が書いてあったのだ?」

中尉「君たちは知らなくて良い…長門、夕立、この子らに部屋を・・・できれば執務室に近い四人部屋を与えてくれ」

長門「…了解した、皆ついてこい」

あかつき・いかづち「はーい」

中尉「…蒼龍、睦月、お前らには少し聞きたいことがある」

睦月「?」

蒼龍「はぁ…」


艦娘・・・
まったく面倒な部下たちを持ったものだ…


中尉「…育成艦娘とはなんだ?」

蒼龍「へ?海軍士官学校で習わなかったんですか?」

睦月「提督は陸軍さんなんです」

蒼龍「ほえ~なんで陸の軍服なんだろうって思ったんですけど…本職だったんですね…」

中尉「…で?」

蒼龍「そうですねぇ…それでは私たちについて簡単に説明していきましょう」

中尉「頼む」

蒼龍「まず人が艦娘になる為に二つの過程があります」

蒼龍「海軍が課す選抜試験を通過した志願式、そして小学校などからの推薦式です」

蒼龍「私は推薦式なので、そちらを説明します」

睦月「じゃあ志願式は睦月が説明しちゃうのです!!」

中尉「簡単な方から頼む」

睦月「それじゃあ志願式ですね…志願式は選抜を通過したら三か月間の新兵訓練を受け、鎮守府に配属されます」

睦月「選抜試験は三次試験まであります」

睦月「ちなみに受験資格は十四歳以上の女性です」

睦月「まず歴史、数学、国語、体育、そして家事学などの学力・実技試験があります」

睦月「次に野外演習・・・これは適当な班に分かれ無人島で一か月間過ごすというものです」

睦月「ライバルを蹴落とすのもよし、隠れてやり過ごすのもよし、とにかく生き残れば通過なのです!!」

睦月「ちなみに睦月は夕立ちゃんと吹雪ちゃんと同じ班だったのです!」

睦月「そして最後は・・・艦種適正です」

睦月「ここでは同じ艦種同士で、適性値の高い者達が合格になります」

睦月「こんなところですねぇ…何か質問はありますか?」

中尉「疑問というわけではないのだが…君たちは野外演習をどのように生き残ったんだ?」

睦月「殲滅戦です」ニッコリ

中尉「………え?」

睦月「とにかくライバルを蹴落としました、主に奇襲夜襲・・・食料を奪ったり…時には他の班と協力したり、裏切ったり・・・」

睦月「なので睦月たちの年は十日で終わりました、同期は私たち以外では・・・五人しかいません」

睦月「まぁ艦娘のお給料は破格ですからねぇ、必死にもなりますよ」

睦月「そう言うわけで・・・・睦月たちの年の野外演習は、睦月たちの班と、その五人でとにかくつぶして回ったというわけです♪」

中尉「…野外演習には何人が参加していたんだ?」

睦月「ざっと二百人はいましたよ」

中尉「…」

睦月「にゃししぃ♪ラッキーラッキー!」


にゃししじゃないだろ…
こいつらは白兵もいけるのか
陸軍も女を動員したらどうだろうか

艦娘恐るべし


蒼龍「あはは…聞きしに勝る苛烈ぶりだね…」

睦月「まぁ…女子供が働ける場所なんて…工場ぐらいですから」

蒼龍「そっか・・・」

中尉「…」

中尉「まさか推薦式はさらに・・・」

蒼龍「いえいえ、私たちは彼女等に比べれば楽な方ですよ」

中尉「それじゃあ説明を頼む」

蒼龍「はい、推薦式は主に小学校入学時に受ける適性検査の数値がずば抜けた子の為の制度です」

蒼龍「統計的に言えば空母に多いですね…式神を操ったり、矢を艦載機として扱えるのはそれが高いからです」

蒼龍「推薦式の子供たちは親の了承を得た後、鎮守府に配属されます」

蒼龍「そしてまだ艦娘になりきれていないけど、艦娘として訓練する子供の事を、特別艦娘といいます」

蒼龍「訓練の内容は現役の艦娘たちとそこまで変わりません」

蒼龍「と言っても訓練内容は鎮守府によって異なるんですけどね…甘い所もあれば厳しい所もあります」

蒼龍「そして練度制度に則って、第一次改装が行われて初めて特別艦娘は一人前と認められます」

蒼龍「練度制度は知っていますか?」

中尉「知らないな」

蒼龍「練度制度とは、一から百五十までの数字で表した・・・いわばその艦娘がどれだけ強いかという指標です」

蒼龍「練度は一月に一度測られます」

蒼龍「第一次改装は大体二十から三十の間に行われますね」

蒼龍「また高ければ低い者達よりも強いというわけではありません、艦種の相性やその時々の状況による下剋上はよくあることです」

蒼龍「練度の上限は九十九です、上限突破にはその鎮守府の提督と・・・その…結婚する必要が・・・あるんですよ…」

中尉「…結婚だと?」

蒼龍「まぁ…仮の結婚なので戸籍には残りません、希望すれば別ですが…あっ、でも指輪はしますね、重婚してる人は複数付けています」

中尉「・・・・訳がわからん…いったいどういう意図があるんだ?」

蒼龍「我々艦娘は強大な力とたくさんのお給金と引き換えにあらゆる拘束を受けます」

蒼龍「例えば…私達だけでは外出できないなどです」

蒼龍「その不自由を是正するための制度がケッコンカッコカリなんです」

蒼龍「結婚とは互いが互いものとなり、片方が悪事を働けば互いに責任を負うものです…」

蒼龍「つまり・・・お前が結婚した艦娘の悪事の責任は全てお前にあるぞ?考えて結婚しろよ?という事です」

蒼龍「こんなところでしょうか…」

中尉「飛龍が言っていた第二次改装とはなんだ?」

蒼龍「いわば精鋭部隊で改二と呼ばれています、ちなみに私も改二です」

蒼龍「改二一人で、同種の艦娘三人分の働きが期待できますよ!」

中尉「そいつは素敵だな…ちなみにこの鎮守府にはどれくらいの改二の艦娘がいる?」

睦月「長門さん以外は・・・改二だったはず・・・」

中尉「……随分ハッピーじゃないか…」

睦月「えへへ・・・・それほどでも・・・」



現在のこの鎮守府は少数精鋭というわけか…
ん?待てよ…


中尉「あの子たちも空母なのか?」

蒼龍「特型駆逐艦かと・・・」

中尉「…あの子たちを戦場に出すのか・・・・」

蒼龍「練度が二十まで上がれば改装しますから姿が変わります…だから睦月ちゃんぐらいの歳にはなるでしょう」

中尉「姿が変わる?」

蒼龍「特別艦娘は五歳から七歳が多いですから、改装の際に妖精の力で成長するんです」

蒼龍「私なんかは実年齢はまだ十一歳ですよ」

中尉「成長?バカげた話だ…」

蒼龍「しかし事実です…」

中尉「…そんなの・・・心が追い付かないじゃないか…」

蒼龍「そうですね…私も初めは戸惑いました、でも時間が経てば不思議と受け入れられ・・・歳相応の振る舞いも身に付けます」

中尉「…当事者が言うんなら・・・・・・そういうものなのだろうな…」

蒼龍「…」

中尉「どうした?」

蒼龍「この話をした人は皆一様に同情してくれましたが…提督はしないんですね…」

中尉「同情してほしいのか?」

蒼龍「したら叩きます」

中尉「だろうな、そう思った」

蒼龍「ふふ…提督とは上手くやっていけそうな気がします」

中尉「同感だ…」

蒼龍「そんな感じで飛龍も大事にしてください」

中尉「ご冗談を」

蒼龍「えへへっ…」

中尉「はは・・・」

睦月「にゃしし・・・」

中尉「…」

蒼龍「…」

睦月「…」

中尉「なんだいたのか?」

睦月「ふしゃー!!!!睦月も大事にしてください!!」

中尉「そう怒るな、冗談だ」


学校に行かねば


そんなこんなで時間は過ぎた
哨戒に出ていた連中や案内を終えた奴等も帰ってきて、食堂は一段と賑やかになった
丁度夕飯時、そういえば作るのを忘れていたと思い出した
しかしそんな心配も杞憂であった
僕との話が終わった後、蒼龍がいつの間にか作っていたようだ

甘口のカレーに舌鼓を打ちながら艦娘たちの食事風景を眺める

いつもみんなで並んで食べていたのだろう
自然とそれを思わせる並びとなった

僕は恥の席に陣取り、横に長門、前に木曾が座った

ここで僕はとある話題を出した

前任提督の話だ


中尉「そう言えば長門、僕が来る前の提督はどんな奴だったんだ?」


あくまで冷静に
そして何事も無かったかのように振る舞う


長門「…あの人か……そうだな・・・・・・金剛はやたらと入れ込んでいたな…」

木曾「バーニングラーブとか言ってたな、ありゃ相当なもんだった」

長門「そう言えば…提督はあれに襲われていたが…何かしたのか?」

中尉「…前任の人が死ぬ数日前に目が合ってな、普段いない町人がいたもんだから僕を犯人と決めかかったんだろう」

木曾「あんたも災難だな」

中尉「あの程度なら屁でもないさ、他の艦娘からの評判はどうだったんだ?」

木曾「ま、蚊もなく不可もなくってところじゃねえか?上司としても軍人としても」

長門「まぁ…並みだな、多数の向上心と練度の高い艦娘に助けられていた」

中尉「へぇ…」

長門「それで・・・何故気になる?」

中尉「なに・・・理由など無い、世間話だよ」

木曾「世間話・・・ねぇ…」

中尉「なんだ?」

木曾「いや、なんでもねぇよ」

中尉「そうか、では僕はこの辺で失礼するよ」

長門「あぁ、良い夜を」

木曾「おう」




長門たちの話を聞いてどこかほっとした自分がいた
たとえ善人であっても特に気には病みはしなかったが
今回はそいつと関係があった奴等と付き合っていくのだから

・・・
まぁどうでもいいことだ…

しかし…




中尉「…」






いかづち「このかれーすごくおいしいわ!!おばさんこんどつくりかたをおしえてちょうだい!!」

蒼龍「」

飛龍「wwっうぇうぇwwwっうぇうぇえwwwwwwww」

ひびき「はらしょー」

いなづま「いかづちちゃん・・・お、おねえちゃんのほうが・・・」

あかつき「うわあぁぁぁ・・・ゆーだちがあかつきのおにくとったああぁぁぁぁぁ・・・・」ビエー

夕立「早い者勝ちっぽい!!」ガツムシャー

睦月「こら!!夕立ちゃん!!!!」

吹雪「ほら泣き止んで暁ちゃん、私のあげるから…ね?」

あかつき「うん…おねえちゃんありがと・・・・」

吹雪「はぅ…」キュン

睦月「ほら!!ごめんなさいしなさい!!!」

夕立「睦月ちゃんは隙が多いっぽい!!!」サッ!!ダダダダダダダダ

睦月「あっ!!この駄犬!!」テテテテテテテテテテテ

ひびき「ぼるしちたべたい」

いなづま「はわわ…はわわわわ・・・・」

飛龍「おばちゃん!あたしにも教えてたもうwwwww」

蒼龍「んなっ!!怒るよ!!!」ギュウ

飛龍「いはいいはいいはい!!!!!」

いかづち「???」



中尉「随分と賑やかになったものだ…」



眠すぎる、眠らねば


流し目と声で悟ったその状況に僕は一つ溜息を吐く
この戦時中とは思えないはしゃぎ様
陸軍でこんなことをやったら怒号が間違いなく飛んでくるだろう

だがはしゃぐなというのも酷だろう
彼女等がそれでストレスを溜めないというのであれば、そこまで否定すべき事ではない
むしろ活気が出ることはいいことだと思う

士気は一度下がれば、中々上がらない
指揮官にとって士気の下降は避けるべきことだ
それを勝手に維持してくれるというのであれば是非も無い

ただまぁ…
決して僕を巻き込むなよ?

騒がしいのは好きじゃないんだ


「しれっいたっ!!!」ガチャバコン

「なによ、なんでかぎなんてかけてるのよ!」

「しれーかん!あさよ!!おきなきゃだめよ!!」ガチャガチャガチャ

「かぎを開けてちょうだい!しれーかん?ねぇったら!」

「うぅ……おきないとだめなのに・・・・」

「・・・・・そうだわ!」テテテテテテテテ



「やっ!」ガギン

「それっ!ガギン

「てやぁ!!」ガギンガンッ!!!!




「やった!あいたわ!!!」ガチャポイ

「うんと・・・こっちのへやかな?」カチャリ

「やっぱりまだねてる…もう・・・・しょうがないわね・・・・」ニコニコ

「しれいかん、あさよ!おきなきゃだめよ?」

「しれーかん!しれーかん・・・」

「むぅ…」テテテテテ

「・・・」ダダダダダダッダダ

「たああぁぁぁ!!!」ダーイブ


中尉「んヴぇ!!!」

いかづち「やっとおきたわ、おはようしれいかん!!もうあさよ!!!」



巻き込むなと・・・
念じただろうが…


中尉「…いかづち・・・・・・」

いかづち「もうあさよしれーかん!あさごはんはできてないけどおきましょう!!」

中尉「僕はまだ眠いんだが…それにまだ朝日も昇ってないじゃないか…」

いかづち「そんなんじゃだめよ!はやねはやおきはおとくなのよ!!」

中尉「…君とてまだ眠いんじゃないか?」

いかづち「…」

中尉「ふぁ・・・・」

いかづち「…ふぁ・・・・はふぅ・・」

中尉「それみたことか…寝所に戻りなさい」

いかづち「・・・・・んむぅ・・・・・」ゴソゴソ

中尉「あっ!バカ!自分の所に戻るんだいかづち!!!潜るなバカ!!貴様はもぐらか!!」

いかづち「ここのほうがあったかいわ・・・・・・・・・・・」

中尉「いかづち!!おいったら!!」

いかづち「・・・・すぅ・・・・・くぅ・・・・・・」」

中尉「…あぁくそ・・・・・今だけだ」バサァ

中尉「たくもう・・・・」

いかづち「・・・・」ギュウ

中尉(まったく…)

中尉(こいつめ・・・もしや初めからこういう意図だったのか?)

中尉(…人肌が恋しかったか……まだ甘えたい盛りの年齢・・・・仕方がないとも取れる)

中尉(しかし軍属であるなら甘えは許されん…今日だけだ…)

中尉(まったく…僕はまだ二十四だぞ…)

中尉(父親役などまっぴらだ…)


いかづち「・・・・・ふへへ・・・・・」ギュ




中尉「・・・・」

いかづち「…」セイザ

中尉「一つづつ聞こうか…君はここに何をしに来た?」

いかづち「その・・・・しれーかん・・・・おきてほしくて・・・・」

中尉「それで何故君が上から降ってくるんだ?」

いかづち「…ごめんなさい・・・・・」シュン

中尉「別にそれ自体は責めはしない、今後気を付けたまえ」

いかづち「!」パァ

中尉「しかしだ雷、なぜ執務室のドアが破壊されている?」

いかづち「…」

中尉「壊したのは君か?」

いかづち「…」コクン

中尉「何故壊した?」

いかづち「…かぎが・・・あいてなくて…」

中尉「だから壊すのか?君は馬鹿か?」

いかづち「…ごめんなさい」

中尉「そしてこの錨はなんだ?艦娘の装備の無断持ち出しは禁じられているはずだが?」

いかづち「きんじられ?…むだん?」

中尉「…しらばっくれるないかづち」

いかづち「…ちがっ・・・そうじゃなくて・・・・」ジワァ

中尉「だいたい君は・・・」クドクドクドリヅメ

いかづち「うぅ…ごめんなさい・・・・」ポロポロ

中尉「あーだこーだ」クドクド

いかづち「…うぅ・・・・スンッ・・・」

いかづち「ぅぁぁぁぁあぁあぁぁぁ・・・・・ごべんざざぁい・・・・」

中尉「…え」

いかづち「ごべんなさい・・・・あやま・・・ヒグッ・・・がら・・・・・スンッ・・・・おこらないで・・・・ウェェ」

中尉「あ」

いかづち「ヒッグ・・・・ざみじがっだのぉ・・・・・ひとりでなんでねれないよぉ・・・・」

中尉「」


長門「おいおいなんだこのド・・・ア・・・・」

中尉「あ」

長門「…はっ?」

いかづち「ごめんなさい・・・・ヒグッ・・・・ゴメ・・・・うえぇぇぇぇぇ・・・・」

長門「おい」

中尉「…」











ながもん「おい」

食わねば


食堂


ながもん「おい貴様なめてんのかブチ転がすぞ?あぁ?おい!!」

中尉「…」

ながもん「なんだあれは?えぇ?」

いかづち「くすんくすん」

蒼龍「よしよし、怖かったね?もう大丈夫だよ」

いかづち「…うん」

飛龍「ねえねえ雷ちゃん!これ何かわかる?」

いかづち「…・・・・・・」フルフル

飛龍「提督のさいふー、あとで美味しいもの食べにいこ?ね?」

中尉「おい飛龍きさ・・・ながもん「どこを見ている?」

いかづち「…うん!」


ながもん「何故泣かせた?なんだ?ひき肉にされたいのか?」

ながもん「鯖折り希望か?え?」

中尉「…確かに・・・・・・言い過ぎたとは思っている、しかしだな…」

ながもん「しかしも武蔵もあるか!ビッグセブンを侮るなよ?」

中尉「…悪かったとは思っている・・・・・・」

ながもん「ごめんで済むかバカものぉ!!駆逐艦が・・・駆逐艦が泣いているのだぞ!!貴様ァ!!何故写真を撮らないのダァ!!!!」

中尉「は?」

ながもん「んんっ・・・失敬・・・」

中尉「貴様幼女趣味だったのか・・・」

ながもん「子供が好きなことが罪だというのか?狂った世界だな!!」

中尉「…開き直るな」


蒼龍「ねぇ雷ちゃん・・・雷ちゃんはなんで提督のお部屋に無理矢理入ったのかな?」

いかづち「…」

飛龍「大丈夫だよ?恥ずかしくなんてない!!私も脱ぐから!」

蒼龍「黙って」

飛龍「━━(´・ω・`)━━(  ´・ω・)━━(  ´・ω)━━(    )━━(    )━━(´・ω・`)━━www」

蒼龍「殴るぞ」

飛龍「あっはい」

いかづち「ふふっ・・・」

蒼龍「あっ…」

飛龍「…」ドヤァ

蒼龍「…」イラァ


いかづち「…ひとりで…よるにねたことなかったから・・・・・さみしくて…」

蒼龍「そっかぁ…さみしかったんだね、それじゃあしょうがないよね…」

飛龍「飛龍もさみ――蒼龍「ホント黙ってて」・・・すいません」

蒼龍「提督、雷ちゃんたちのお部屋、姉妹達と一緒にしてはいけないでしょうか?」

中尉「…おい待て・・・・・・俺は執務室に近い四人部屋に案内しろと頼んだのだが?」

蒼龍「え?いかづちちゃん、四人部屋に案内された?」

いかづち「…あのね・・・」




ながもん「あ」

中尉「は?」


昨日

ひびき「はらしょー」


長門「それじゃあ行くぞ、私についてこい」

夕立「案内するっぽい!!」

チビズ「ハーイ!」



長門「提督の部屋に一番近い四人部屋と言えばここだな…」

あかつき「ねぇ、一人部屋は無いの?」

夕立「一人部屋は無いけど、空いてる部屋ならたくさんあるっぽい!」

あかつき「…あかつきはれでぃなのだからひとりがいいわ!」

長門「む・・・しかしだな・・・・」

あかつき「だめ?」キラキラ

ながもん「よかろう」

夕立「え?いいの?」

ながもん「よいのだ」

いかづち「だめよ!そんなのわがままだわ!!!」

あかつき「!」

ながもん「ふぇ…」

いかづち「わたしたちはまだきたばかりなのよ!めいわくなんてかけちゃだめよ!!」

ひびき「はらしょー」

いなづま「はわわ…けんかはだめなのです!」

あかつき「ふんっ!そんなこといって、ひとりがこわいんでしょ?」

いかづち「な!」

あかつき「だいじょうぶよ!ふたりがいるじゃない!・・・あかつきはひとりでもだいじょうぶだけどね!」

あかつき「だってあかつきはりっぱなれでぃなんだから!」アカツキーン!!

いかづち「べ、べつにこわくなんかないわ!!!」

あかつき「うそつき!!」

いかづち「うそじゃないもん!だったらわたしだってひとりべやにいくわ!!」

いなづま「ふ・・・ふたりとも、いいかげんに・・・」

ひびき「それじゃあわたしはいなづまとここでねるよ」

いなづま「ひびきちゃん!」

ひびき「あすにはねをあげるさ」

いなづま「うぅ…」

夕立「いいの?」

ながもん(怖くてトイレ行けなくて…泣いちゃう駆逐艦・・・・・クク・・・・いいぞ・・・・・)

夕立「ゆーだちしーらない!」ポイポイポイポイポイポイ


あかつき「なによ!つよがり!!」

いかづち「あかつきのばか!!」


いかづち「ていうことがあったの・・・だまっててごめんなさい」

蒼龍「そっかぁ…大丈夫よ?雷ちゃんは悪くないわ…」チラッ

飛龍「…」チラッ


ナガモン「・・・・」ダラダラ

中尉「…あ?」

ナガモン「いや…その、なんていうかだな……」

中尉「僕をどうするって?」

ナガモン「こぅ…出来心でな?わかるだろ?」

中尉「なんていったか…バカセブンだったか?」

ナガモン「ビッグ・・・・」

中尉「は?」

ナガモン「いや…なんでもないです・・・・」

中尉「…」

ナガモン「…」

ナガモン「…」ダッ!!

中尉「待てコラァ!!!」



蒼龍「はぁ…」

いかづち「しれーかん・・・おこってる?」

蒼龍「もう大丈夫よ」

いかづち「よかったぁ」パァ

蒼龍(わからなくはないけど…長門さんはいきすぎだよねぇ・・・)

飛龍「そう言えば蒼龍は昔、一人で寝られなくておもらハグゥ!!!」

いかづち「ひゃぁ!!」

飛龍「そ・・・そ・・・りゅ・・・・」

蒼龍「赤城流捕縛術、裸締め・・・」ギリギリギリ

飛龍「…」ペシペシペシ・・・・ペシ・・・・

飛龍「」クタァ

蒼龍「…」ポイ


いかづち「」パタッ


洗濯場


あかつき「びゃああぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ・・・・」

木曾「こいつは見事なまん丸だ…」

あかつき「みいいいいぃぃるうぅぅぅぅぅなあぁぁぁぁ!!!!」ペシペシ

睦月「大丈夫!!まだ大丈夫!!!みんな起きてないから!!!」

吹雪「睦月ちゃん洗濯板どこ!!」

睦月「洗剤の引き出しの一番下!!!」

木曾「おい暁・・・なんてったっけ?れ・・・れ?」

あかつき「くぁwせdrftgyふじこl!!!!!!!!!!」

睦月「木曾さん虐めちゃ駄目です!!!」

木曾「あっはっは!」

吹雪「睦月ちゃん!!桶は!!」

睦月「風呂場!!!」



ひびき「…ふぅああぁぁ・・・・・・・きもちのいいあさだ・・・・」

いなづま「すぅ…すぅ…」

夕立「ぽいー・・・ぽいー・・・」

ひびき「…」



ハヤクハヤクー
アッハッハッ



ひびき「…」

ひびき「だいじょうぶだよ…わたしはひとりでも・・・・」

ひびき「…ん?」


オモラシビシャア


ひびき「…」

ひびき「…」チラッ

いなづま「なの・・・ですぅ…」

ひびき「…」ササッサササ・・・サササササ・・・

いなづま「んぁ…ちめたい・・・・」

ひびき「…」ダダダ


ガチャバタン




ひびき「…」

ひびき「・・・・」




ひびき「ウラアァァー!!!!」ビシィ

眠らねば

今日は書けないです

サーセンwwwwww


ながもん「」


吹雪「…吊るされてるね・・・・・・」

睦月「うん…凄い吊るされてる…」

夕立「妖怪ねこ――木曾「それ以上はいけねぇ」ぽい?」

飛龍「ほえ~あの人強いね~」

第六「」ガクガクブルブル

蒼龍「あんなふうになっちゃだめよ?」

第六「」コクコクコクコク



朝の突然の落雷
その元凶への制裁

それを終えた僕は、鎮守府の工廠へと足を運んでいた
数日前に頼んだ、対深海棲艦用武器が完成したという報告を明石から受けたからだ
工廠の入り口の所にニコニコと笑う彼女を見つけ、工廠内へと入る
工廠内に設けられた海へと続く疑似運河に浮かべられた船


中尉「おぉ…」

明石「これが小型水上艦艇明石丸です!!!」

明石「最高続度は島風ちゃんを上回る48ノット!まぁ持続時間は10秒ほどですが…」

明石「三人乗りで一人が運転、一人が銃手、一人が砲手です!」

明石「操縦席には他の艦娘との通信に使う無線があります」

明石「機銃は7.7ミリ機関銃、威力は艦娘が使うものと変わりません」

明石「九七式自動砲に至っては重巡だって貫く威力です!さらに明石特製狙撃スコープもつけました!」


なんだかとんでもないものができたな…
僕としては指揮の為と最低限防衛武器でよいと思っていたから
・・・僕でも奴らを倒せるんじゃないだろうか?


中尉「これはいいな・・・近日中に運用試験を行おう」

明石「はい!そうしてください!」

中尉「明石はしばらく休むといい・・・」

明石「そうさせてもらいます…中々にくたびれて」

中尉「ご苦労だった・・・あぁそうだ」

明石「?」



僕はいま突然に思いついた疑問を彼女にぶつける


中尉「対艦の近接武器とかはないのか?」

明石「近接ですか?木曾さんが使っているようなのはそれですよ?短時間でできますがお作りしますか?

中尉「頼む」

明石「どんなものがいいんですか?」

中尉「…手斧だ」

明石「斧・・・ですか?」

中尉「なんだ?斧は嫌いか?」

明石「いえ・・・斧ってカッコ悪くないですか?切ったりとかは刀の方がいい気が・・・手斧より長いですし」

中尉「…貴様は阿呆か?」

明石「あ…いえ・・・」

中尉「斧は投げるのだ」

明石「…へ?」

中尉「そもそも対艦近接武器を手に取るような状況では生還の見込みなど無い」

中尉「だが僕は死にたくはない」

中尉「しかし奴等には人間が使う豆鉄砲など通用しないし、刀などで斬りかかろうものならば間合いに入る前に吹き飛ばされる」

中尉「であれば斧を投げて一矢報いるしいかないだろう?」

明石「…ん?・・・・・・斧も私達にはあまり効果は無いですよ?」

中尉「投擲武器・・・いや、斧を舐めるなよ?」

中尉「大きな斧は近接武器の中で一番強いのだ」

明石「え…?」

中尉「斧は強いのだ」

明石「…まぁ作れというならば作りますが」

中尉「…ならばこれを受け取りたまえ」ピラッ

明石「こ、これは!間宮グレイトデラツクスパフェー券!!」

中尉「斧は?」

明石「近接武器にて最強!」

中尉「手斧は?」

明石「投げるもの!」

中尉「よろしい、では頼むぞ」スタスタ

明石「はい!今日中にお届けします…よぉーし!頑張るぞ!!」


斧のフォルムも武骨でかっこいいじゃないか…
しかも斧は強い
何故皆刀にこだわる…
対人では両手斧が最強なのは疑い様無い事実であろうに
そして手斧がサバイバルでどれほど役に立つか知らんのか…
きっと睦月たちなら理解できるはずだ…


木曾「おっ!ここにいたか、客が来てるぞ?」

中尉「ご苦労、今向かう」

中尉「…」

中尉「時に木曾よ、武器を斧に変える気はないか?」

木曾「斧?あれは重くて適わん」

中尉「…そうか」


来客とのことで執務室に向かう
執務室のドアを開けると、すでに通されていたらしい
こちらに会釈する蒼龍、そして見慣れない奴が立ち上がり敬礼をした


「程久保鎮守府、秘書艦の菊月だ」

中尉「当鎮守府の提督少佐です、どうぞ楽にしてください」

菊月「気遣いに感謝します」


そう言って彼女は着席する
背もたれに体を預けず、背筋をピンと伸ばして座る彼女
あのバカ者(長門)にも見習わせたいものだ


蒼龍「すみません、対応に困りまして…とりあえずお通ししました」

中尉「ご苦労、対応はこれで構わない・・・お茶を頼めるか?」

蒼龍「わかりました」スタスタスタスタ ガチャバタン


中尉「それでどのようなご用件で?」

菊月「此方の要件に先んじてまずは、貴殿の提督就任に対してお見舞い申し上げる・・・これはつまらないものだが…」スッ


そう言って彼女は艦娘に人気の間宮羊羹を差出してきた


中尉「今、茶を用意させていますので一緒にいただきましょう」

菊月「いや、私は・・・」

中尉「そう遠慮なさらずに・・・ここの艦娘にはもったいない品です…」

菊月「…ならばいただこう」

蒼龍「失礼します」

中尉「おぉ…ちょうどいいタイミングだ…」

蒼龍「粗茶ですが」

菊月「かたじけない」

中尉「ありがとう蒼龍、あとしばらく執務室には誰も近寄らせないでくれ」

蒼龍「はい、失礼しました」ガチャバタン

中尉「お話は頂きながらしましょう」ガサガサ

菊月「…あぁ」



※鎮守府の頭についてる地名は架空の軍港がある地帯の名前であり、実在の地名とは関係ありません


中尉「そろそろ本題に入りましょうか」


羊羹を二人で半分ほど食べ、話をすすめる


菊月「そうだな…前任者が突然死んだと聞いた、故に貴殿は我が鎮守府との関係についてあまり知らないだろう」

菊月「単刀直入に伝えよう」

菊月「私は次の解体艦娘の斡旋の催促に来た、我々が仕事を用意する」


・・・なるほど…
まさかそっちから来るとは


中尉「……少々お待ちを」

菊月「あぁ…」


僕は立ち上がり執務室の机の引き出しを開ける
以前見つけた顧客リストを取り出して確認する
程久保・・・程久保・・・

見つけた、これか…
程久保特務准将・・・在籍艦娘数は一人
目立った戦績は無し
なるほど、碌に戦果も上げないボンボンのクズだな・・・
階級だけは無駄に高い


中尉「菊月さん、申し訳ないが今現在この鎮守府に解体の予定はない」

菊月「…ダメだ、それは困る・・・・・・無理矢理にでも用意してくれ、全責任はこちらがとる」

中尉「と言われましても・・・皆高練度の者ばかりでして…」

菊月「ここには特別艦娘がいただろう?それで構わない・・・」

中尉「…どこでそれを?」

菊月「私の提督の情報網だ…」

菊月「仕方ないだろう?高練度の者しかいないのであれば・・・」

中尉「…申し訳ないが断じて首を縦に振ることはできない・・・・」

菊月「・・・・・・私の提督は・・・その気になれば貴殿を更迭することもできる・・・・・・」

中尉「例えそうであっても、お断りします…僕がこの鎮守府の提督である限り、彼女達を変態の下へは行かせることはできない」

菊月「…知っていたのか・・・・・・」

中尉「菊月さん、同僚を売るような真似・・・恥ずかしくは無いのですか?」

菊月「…司令官は私にとって絶対だ……私にとっては・・・ここが最前線なのだ…」

菊月「一人の感情で司令官の命令を足蹴にするわけにはいかない・・・」


そう言って彼女は顔を伏せた
僕が立っていたからこそ見えた彼女の膝に置かれた手は、固く固く握られていた

失言であった、つい感情的になってしまった
そうだろう、恥ずかしくないはずがないのだ
味方を売る行為・・・明確な裏切りが
だがしかし彼女もどうにか納得していたのだ、理不尽な上司の命令に
ただ愚直に
殺せと命じられたから殺す
戦場での命令と、彼女に与えられたそれの本質はどちらも何ら変わらない
ただ”部下として上官の命に従った”
それだけの話
耐えがたき屈辱を耐え、今にも口から出てきそうな不満を飲み込み
彼女もまた、内なる恥辱と戦っているのだ


中尉「…菊月さん・・・・こんな事を言うのは場違いですが………ここに来ませんか?」

菊月「・・・・なんだと?」


中尉「僕なら、貴方を貴方の望むように使ってやれる・・・・・・貴方の上司は私が何とかします・・・・だから…」

菊月「…」キョトン

中尉「…何か?」

菊月「いや……そんなことを言ってくれたのは貴殿が初めてだ」

菊月「私は今…言葉にできないほどに嬉しい……」

中尉「であれば――菊月「しかし…遠慮させてもらう」

中尉「…」

菊月「すまない」


心の底から申し訳なさそうに笑う
その笑顔は、年相応のものであった


中尉「理由を・・・聞かせていただけますか?」

菊月「…貴殿の言うとおり・・・私は私の行いを常に恥じている・・・」

菊月「命令であっても、それは決して正当化されるものではない」

菊月「しかし…しかし私は・・・・・・捨てられるのが酷く怖いのだ…」

菊月「私に憑依した船は・・・敵に散々弄ばれた挙句、放置された・・・」

菊月「その記憶のせいであろう・・・私は怖い…」

菊月「だから例え外道の配下で、自らも外道となり果てようとも・・・」

菊月「私は・・・二度と捨てられたくはないのだ…」

菊月「故に裏切ることはできない・・・ゴミ溜めであろうと・・・あそこが私の居場所なのだ…」


再び笑う彼女
その笑顔は酷く侘しいものであった


中尉「…それは残念だ・・・・先ほどの発言、お許しください・・・」

菊月「なに・・・事実だ……」

菊月「それに・・・そんなことも気にならないほどに・・・貴方の誘いが嬉しかった・・・」

菊月「来世で私を・・・私が望む場所へ連れて行ってくれ」ニコ

中尉「…あなたはもっと笑った方が素敵だ」

菊月「戯れはよしてくれ…そろそろ帰ろう・・・解体艦娘の件は私が何とかしよう・・・」

中尉「…入り口まで送りましょう」

菊月「ありがとう」




入り口


菊月「もう会うことは無いだろう…だから最後に聞かせてもらえるか?」

中尉「なんでしょう?」

菊月「貴殿なら…私をどう使う?」

中尉「…迫撃兵として目測を、狙撃主として観測手を、戦車兵として砲手を・・・常に共にありて互いを守り合う・・・」

中尉「貴方はきっと優秀な副官になってくれる」

菊月「…なんだそれは?ははっ・・・まるで陸軍ではないか」

中尉「僕は元々陸軍ですので」

菊月「なるほど…常に共に最前線か…悪くない・・・・」

中尉「…」

菊月「遥か先の時代・・・巡り合えたなら、共に歩もう・・・」

中尉「武運長久を」ザッ

菊月「さらばだ、貴殿の事は永劫忘れはしない」ザッ



そう言って鎮守府を後にする彼女
その背中は、酷く小さい



中尉「…」

いかづち「しれーかん!!」

あかつき「まちなさいいかづち!!」

ひびき「はらしょー」

いなづま「みんなはやいのですー!!」

睦月「にゃにゃ!!走ったら危ないのです!!」

中尉「ん?どうした雷?」

いかづち「あさのおわびにくっきーやいたの!!みんなでたべましょう!!」

あかつき「あかつきもやいたわ!!」

ひびき「やー」

いなづま「いなづまもおてつだいしました!!」

中尉「そうか、ありがとう」ナデナデ

いかづち「んふふ・・・・もっともーっとなでていいのよ!!」

あかつき「あ、あかつきもやいたわ!!」

ひびき「わたしはこうちゃをいれたよ」

いなづま「がんばってきじをこねたのです!!

中尉「そうかそうか…みんなありがとう」

睦月「睦月も頑張りましたよ!!」

中尉「はいはい」

睦月「だから睦月も大事にしてください!!!」

中尉「ははは・・・ならば大事にしようじゃないか」ガシッ

睦月「にゃにゃ!?」

中尉「みんなは先へ行っていてくれ」

第六「はーい!!」ステテテテテ


中尉「さて…大事にするか…」

睦月「はにゃ・・・はにゃにゃにゃにゃにゃ・・・・・」

睦月「ななな・・・いけません!!睦月は・・・睦月はそんなに軽い女の子じゃないのですぅ!!!」ムツキーン

中尉「バカを言うな、別の用事だ」

睦月「あ…そうですか・・・・何の御用で?」

中尉「今日の夜、僕は出かけるから鎮守府を頼むよ」

睦月「誰と?」

中尉「一人で」

睦月「ふにゃ!?おひとりでは危険です!!睦月もご一緒します!!」

中尉「…」

中尉「…そうか…睦月も吉原に来るのか・・・それはそれは・・・」

睦月「よし…わら・・・?」

睦月「…」

睦月「」

睦月「はにゃあああああっぁっぁぁっぁああぁぁ!!!!!!!」

睦月「あううぅぅ/////ふけつですうぅぅぅ////////」イヤンイヤン

中尉「ははっ・・・生娘が、冗談に決まっているだろう」

睦月「」

睦月「ふしゃあああぁぁあぁぁぁ!!!!!」トビカカリーン

中尉「やめろ、飛びつくな、重い!!!」

睦月「睦月の純情を弄ぶのは許しません!!!!吐くのです!!!何をしに行くのです!!ていうか重くないのです!!!」ポカスカ

中尉「そうだなぁ…”踊り子の足を切りに行く”・・・だ…ていうか密着するんじゃない、無い胸が当たって――睦月「うにゃあ!!」いだっ!!!」

睦月「はぁ提督はでりかしーに欠けます……それでそれは何かの暗号ですか?」

中尉「そうだ…陸軍の軍医が良く使う・・・言われた奴は”片道切符を忘れるな”・・・決まってこう返す」

睦月「ふーん・・・よくわからないのです」

中尉「わかったら意味が無いさぁ行くぞ、茶が冷める」スタスタ

睦月「はぁーい」トテトテ




裏切りはいつも辛かろう
理不尽な命令は苦しかろう

届かぬ叫びは今日
僕が聞き入れた

命という狂った舞台で舞い続ける哀れな踊り子よ
今その舞台の幕を強引に降ろそう


僕自身の手でその苦しみから

菊月

貴方を救おう



睦月ちゃん・・・青ブラ・・・おへそ・・・・おへそぉ!・・・・うっ・・・・ふぅ・・・・

・・・思ったんだが…
睦月ちゃんの改二の中破絵で椿の花びら散ってるけど…
深海棲艦の攻撃でね
あれってさぁ…つまり・・・
・・・

抜かねば(第二射)


個人的な考察

素人がTシャツジーパンで一対一で戦った際を想定
評価は良い順にSS S A B C D

基本的にマチェット以外は長物を対象とする
(手斧や片手サイズのハンマーは除く)

使いやすさ 最高に使いやすければS
切れ味   滅茶苦茶斬れればS
強度    壊れにくければS(打撃武器として優秀であればS)
手入れ   すごくめんどくさければS

あくまで個人的な考察なのであまり本気になって反論はしないでください
冗談半分ぐらいの気持ちで読んでください
じゃあなんで書いたのって言われればホントなんとなくなんで本気にしないでください



日本刀 極めれば斬れぬものなし、骨も肉も関係無し

使いやすさ B
切れ味   S
強度    B
手入れ   S

言わずと知れた日本代表の剣
切れ味は本物だが、発揮するにはある程度の技量が必要
手入れは必須で刃こぼれしやすい


ロングソード 刀剣界の柔よく剛を制す筆頭、小細工は必要ねぇ

使いやすさ A
切れ味   B
強度    A
手入れ   B

西洋の剣、切れ味に加えて叩ける武器
日本刀が斬るに対して、こちらは叩き斬るパワーヒッター
しかし切れ味は日本刀に及ばない



槍・薙刀 間合い最強、卑怯汚いは敗者の戯言

使いやすさ S
切れ味   B
強度    C
手入れ   B

言わずと知れた近接最強本命馬、突くよりも叩く方が多いとか?
懐に入られなければ敵は無し
しかし長いものほど折れやすい、側面を叩かれないことが鍵


スコップ 掘ります殴ります削ります、家庭用と侮るなかれ

使いやすさ SS
切れ味   D
強度    S
手入れ   D

ホムセンで買える武器
陸軍では標準装備だとか
手入れする必要が無い、本気で叩かれたら洒落にならない
ちなみに剣スコで掘って角スコで削って塹壕をつくる(らしい)
掘る部分は弾除けにも使える対抗馬


ハンマー 力こそ正義、武骨な男のロマン武器

使いやすさ A
切れ味   D
強度    SS
手入れ   D

ホムセンで買える武器
強い(確信)
しかしその重量故に隙ができやすい
破壊力はすさまじく、急所でなくても大怪我は免れない
急所に当たれば一撃でお陀仏


マチェット 中南米の山東、柔らかく折れにくく軽量まさに刀剣界の細マッチョ

使いやすさ S
切れ味   A
強度    D
手入れ   C

農業・林業・軍用とその用途は広い
今回あげた武器の中では最も軽量、故に手軽さでは最強
しかし重量の武器を受けるにはあまりに脆い
近代兵器と併用してこそ、その真価を発揮する


トンファー (達人が使えば)攻撃よりも防御に優れた武器、体に当たらなければどうということは無い

使いやすさ B
切れ味   D
強度    A
手入れ   D

沖縄の古武道において使われる玄人向けの武器
本来の扱いには訓練を必要とする
ただ持ち手を持たなければならないという理由はなく、二刀流的に持ってもいいんじゃないか?
今回の想定ではおそらく警棒として扱われるだろう
近距離武器というよりも至近距離武器
個人的には、これを巧みに扱えば一番かっこいい


フレイル(連接棍) 手軽に遠心力を味方につける、わからない人はビニール袋に硬貨をたくさん入れて体叩いてみよう

使いやすさ S
切れ味   D
強度    A
手入れ   D

いわゆるモーニングスター
持ち手、鎖、球体(あるいは棒)という形状
遠心力を用いて相手を叩く武器、鎖でつながれている分ハンマーや斧よりも容易に力を相手に伝えやすいのでは?
ただしからぶると自らを中心とした円運動により簡単には止まらない為、隙ができやすい
基本的に受け止めるのには適していない為、盾との併用が良いのでは?


斧 男は黙って一撃必殺、殺るか殺られるか

使いやすさ S
切れ味   A
強度    S
手入れ   B

>>1イチオシの最強武器
現実においては冷遇されがちだが、使いやすく破壊力も申し分ない武器
重量に任せた一撃はまともに当たれば戦闘不能は間違いない
ハンマーと違い切れ味もある為なお厄介
しかし重量がある為


鰹節 日本料理に欠かせない材料、和食の人気は鰹節と昆布なしではありえなかった


使いやすさ(家庭的な意味で) S
切れ味  (味的な意味で)  S
強度   (食品的な意味で) SS
手入れ  (保存的な意味で) S

大正義、摂取した事の無い日本人はマイノリティ
一流のカツオ出汁の吸い物は芸術の域
保存に適しているが、削る前のものをかじったら口と歯を痛くする
その強度は炭素鋼を上回り、仮に80cmほどの鰹節が作れれば間違いなく暗殺に使われる
ふくろに入れて振り回せば間違いなく怪我をする
今回唯一のオールS(一部SS)









基本的にマチェット以外は長物を対象とする
(手斧や片手サイズのハンマーは対象外)


現在フタヒトマルマル

鞄に最低限の医療道具とテラ銃、弾薬を入れて背負う
腰には拳銃と手斧
服装は陸軍の制服に外套を羽織った

変態准将にはすでに電話を入れてある
菊月が妙な正義感を振りかざし我々の邪魔をしたという旨で
彼はその菊月の行動に憤怒すると共に、自分に従順な僕を評価した
菊月を共に躾けようと提案された

僕はそれを当然のように受け入れた
その約束をしていれば、少なくとも僕が行くまでに彼女は傷つけられないだろうからだ
事実その約束もした

待ち合わせ場所はとある軍港

僕は二輪のカギを持ち、鎮守府の駐車場へと向かう


蒼龍「あれ?お出かけですか?」

中尉「あぁ、少し出る」


執務室を出たところで彼女にあった
髪をおろしているところを見ると、風呂上がりのようだ


蒼龍「お気をつけて」

中尉「あぁ…」


彼女と二言程度の会話をして、再び駐車場に向かう




駐車場
二輪に跨り約束の軍港へ向かう
独りで来ているだろうか?
もしそうなら僕は幸運だ
まぁ十中八九、武装した共を連れているだろう…

しかし引き返すことは無い
これは僕に与えられた任務であり、使命なのだから
大きなエンジンの音と共に走り出す

今日の風は、思いのほか気持ちが良かった












蒼龍「…行ったね」

飛龍「だね…私たちは鎮守府の車を使おう」

飛龍「運転は誰がする?」

蒼龍「…お願いしていい?」

飛龍「あいよー」





約束の軍港には30分ほどで着いた

見つからないように港の中へ入ると車が一台
その周りには将校らしき人間と護衛らしき二人の憲兵
憲兵をも買収していたか…
しかしまぁあれだけならば手斧と拳銃だけで十分だ
その場にカバンを置く

僕は正面に回り、彼等がすぐに見つけられるように姿を見せる
准将は僕に気付き手を振ってきた
呑気な奴め・・・


中尉「四条鎮守府の少佐提督であります」ビシィ

程久保准将(以下准将「んふふ・・・どうも、程久保の准将です」


脂ぎった汚い男だ
嗅いだ事の無いような香水の匂いが鼻につく



中尉「此度は解体艦娘――准将「わかってるよ…ヂュフフ・・・」

中尉「いまだ子どもでありますがよろしいですか?」

准将「こ、子供だとぉ?おぉ!良いじゃないか!ぬふふ・・・ぬふふ・・・」

准将「子供かぁ・・・童顔は数多く抱いてきたが・・・・・子ども・・・・うひぃ・・・」

中尉「…その前に准将・・・おひとつ尋ねてもよろしいですか?」
(ロリコンめ・・・)

准将「・・・・まぁ…短くお願いね?」

中尉「何故このような事を始められたのですか?」


僕は気になった
行為についてじゃない
コイツが本当に殺さなければならない人間なのかをだ
もしかするとこいつは仲介者かもしれない、そうであれば元締めを殺す必要があるからだ


准将「私はねぇ少佐・・・女の子の苦痛にゆがむ表情が大好きなのですよ…」

准将「腹を殴った時のめり込む感触、輪姦した時の絶望の表情、妊娠した子供を目の前で海に捨てるその行為!!」

准将「艦娘を助けようとした憲兵をそいつの前で殺す!その後!こいつらと一緒になってそいつをなんどもなんどもなんども犯す!!!」

准将「そんな行為が私は大好きだ!!」

准将「私はねぇ!!この世のあらゆる絶望の表情が見たいのだよ少佐!!」

中尉「…」
(クズめ・・・)

准将「それに使用済みでもなかなか効果で売れるんだ…ぼろい商売さ!」


そう言ってケラケラと笑う准将と取り巻きの憲兵
間違いない、コイツは殺すべきクズだ


准将「まだまだある――中尉「もういいです…」

准将「…ツマラン奴だな…まぁいい、お前ら武器を持っていないか調べろ」


二人が近づいてきた瞬間
僕は腰の拳銃と斧を抜いた


憲兵AB「!!!!」


片方にありったけの弾を撃ち込み、片方の頭を斧でつぶす
悲鳴をあげることなく倒れこむ憲兵を越え、准将に斬りかかる


准将「あwせdrftgyふじこl!!!」


言葉にならない声
僕はそのままの勢いで斬りかかる

銃声はみっつ

斧で准将の頭をかち割る

何のことは無い
今回は至近距離でザクロが弾けた

それだけの事





准将「」

中尉「……はぁっ…はぁ…はぁ…」


倒れこむ肉塊
仕事はまだ残っている
人間だったものを、彼等の車に乗せてエンジンをかける
僕自身は運転席にドアを開けたまま乗り込む
自動車防御用ベルトを付けてあるのを確認し、エンジンをかける
横向きの車を、海の方に向ける
そのまま発進して、あと10mというところで飛び降りる
車は勢いを保ったまま、大きな音と共に海へと落ちる


中尉「これで…しばらくは見つからない・・・」


立ち上がろうとしたその時


中尉「なっ・・・・あぐっ・・・・」


腹部が熱い、痛い
僕はこの痛みを知っていた
待てよ?僕は准将殿に何発撃ち込んだ?
二回引き金を引いたはずだ…
じゃあ銃声は?なぜ一発多いのだ?
答えは明確であった
腹部に添えた手に感じる液体

僕は撃たれたのだ


中尉(マズイ・・・止血を・・・)

中尉(急いで・・・かばんを・・・・・)

中尉(いかん・・・・めがよく・・・・みえない・・・)


しかし足がふらつく
だいぶ血を流し過ぎた
闘いの緊張感が、脳内の警報を鳴らすことを許さなかったのだろう
叫び声が聞こえる・・・まさか過去に殺した奴らが迎えに来たか?
次第に意識が遠のく、もはや立つことすらもままならなかった


中尉(くそ・・・たれめ・・・)


僕は膝から崩れ落ち
柔らかな土壌の花畑に顔をついた









蒼龍「ちょっ!!提督!?提督!!しっかり!!」

蒼龍「聞こえてる!?ねぇったら!!!」

飛龍「あいつ等は上がって来ない、確実に藻屑だ!蒼龍!提督の状態は!?」

蒼龍「マズイよ!意識が無い!!」

飛龍「チッ・・・計画が甘いんだって!!近距離で、しかも一人で複数に挑むなんて狂ってるよ!!」

蒼龍「文句は後!!運ぶの手伝って!!このままじゃ死んじゃう!!」ズルズル

飛龍「わかってるよ!!蒼龍はそのまま傷口抑えててよ!」ズルズルズル

蒼龍「ヤダヤダヤダ…血が止まらないよ・・・」ガチャバタン

飛龍「ちゃんと抱きかかえて落とさないでよ!!多少運転は雑になるから!!」ブルルルン

蒼龍「提督!しっかりして!!すぐに病院につくからね!!!」ギュウ








「これが腎臓、これが胃、そしてこれが心臓だ!」

「…わかんない」

「お父さん、――にはそんなのまだ早いですよ?」

「むぅ…そうか…」

「それよりもご飯にしましょ」

「はーい」

「ちゃんと手を洗いなさいね?」

「うん」

「母さんの言う事はしっかり聞くんだなぁ」

「母は強しですよ?」

「てーあらったよー!!たべていい?」

「はい、おあがりなさい」

「いただきまーす!!」







中尉「…」


目が覚めた時、まず僕の五感が捉えたのはツンとした消毒液の匂い
真っ白な壁・・・いや天井
そして五感ではないが、見ていた夢を思い返す
僕がまだ子供の時の夢、両親がまだ僕を愛してくれていた頃の夢

この夢はたびたび見る
決して幸せな夢なんかではない
この夢を見るたびに、僕は人肌を感じたくなる
原因はわかっている
しかしこういう心理的なものは決して無くならない


中尉「…」


「お、起きたね」


今もっとも聞きたくないであろう人間の声ではっとする
ここに来てようやく腹部の痛みも思い出す
夢心地から現実に戻ったと言った所だろう

跳ばねば

縄跳びじゃ
ボクサーみたいに飛びたいんじゃ

夜のうちに安価らせてもらいます


安価下コンマ75以上で菊月が四条鎮守府にやってくる

そして>>197さん
ガス漏れ(大鳳)かフルタカエルか千歳姉ぇかドM駆逐艦(若葉)
誰か一人を選んで欲しいんじゃい!
安価ずれたら安価下

若葉だ

無能コンマですまぬ……すまぬ……


コンマ36
菊月は一旦お別れ

若葉だな、了解だ


ちなみに程久保提督の暗殺のもう一つの展開として

踊り子の足を切る=艦娘として働けなくするという意味で中尉が発言
(踊り子は足が無ければ踊れない)

強引に鎮守府に押し入った中尉は暗殺に成功したものの菊月に見つかる
菊月を取り押さえ縛る
口に布を咥えさせ叫ぶことができないようにする
ふくらはぎ半分あたりにモルヒネを注射して意識があるうちに明石製斧で切り落とす(対艦娘・深海棲艦用である為再生しない)
菊月はショックで記憶障害を発病、中尉の鎮守府を去った後の記憶がゴッソリ抜け落ちる
中尉が引き取る
義足の練習などのリハビリを得て、明石丸機関銃手に就任
愛に飢えた中尉が介護し、介護を受ける菊月という関係が続く
戦場でも常に共にある二人は良いか悪いか深い共依存に陥る

そして泥沼へ…

という設定があったけど胸糞注意を喚起してなかったからやめた

それじゃあもうそろそろ眠らねば
おやすみ





>>199
わざと高く設定したんだ
すまんな
しかし彼女は後々登場するからからそこまで落ち込む必要は無いぞ
ホントに寝る


飛龍「やだなぁ…そんな嫌そうな顔しないでってばぁ・・・」


そう言ってベッド脇の椅子に腰を掛ける
やかましさナンバーワンの彼女
傷に響く、絶対に響く

中尉「何の用だ…」

飛龍「ただのお見舞いだよ、午前中は蒼龍がいたんだよ」

中尉「そうか…」


そう言って彼女は買い物袋からリンゴとナイフを取り出す
皿を置き、慣れない手つきで皮をむく
指をそんなに・・・・動かすのはそっちじゃない・・・
あぁ…皮に実が・・・それに剥き方も下手くそすぎる

・・・ダメだ、危なくて見ていられない


中尉「…貸してくれ」

飛龍「かwまwwへwwwんwww」

中尉「いいから貸せ・・・」ヒョイ

飛龍「あっ…」

中尉「こうやってだな…ナイフでなくリンゴを動かすのだ」シャリシャリ

飛龍「・・・・・・へぇ…」

中尉「やってみろ」ヒョイ

飛龍「あっ、うん…」シャリシャリ


今度は綺麗に皮がつながって、リンゴの可食部が姿を現す


中尉「上手だ…」

飛龍「いやぁ・・・その・・・・」

飛龍「…なんか調子狂うなぁ・・・・・」ボソッ

中尉「なんか言ったか?」

飛龍「あいや…なんでもない・・・・」

中尉「そうか」


上手にむかれたリンゴは、六つに切り分けられ
爪楊枝を刺した一つが手渡された


中尉「美味いな…」

飛龍「ならよかったよ」


僕は予想もしなかった”静かな時間”というものを過ごした
コイツはどうしたんだ…調子が狂う・・・


中尉「そろそろ僕がここにいる理由を聞かせてほしいんだが…」

飛龍「…お腹の感覚無いんですか?」

中尉「いや…まぁ・・・・そうなんだが」

飛龍「?」

中尉「誰がここに運んだんだ?」


当然の理由
僕は一人で行動していたはずだ、それも人気のない軍港で
あの出血量
朝まで生きているはずがない
であれば誰かが近くにいたはずだ


飛龍「私と蒼龍です、蒼龍にはあとでお礼行ってくださいよ?止血頑張ってましたから」

中尉「…なんだと?」


まさか…見ていたのか?
その言葉が出る前に、彼女が疑問に答えた


飛龍「私達は大将の指令であなたを監視していたので、あの場に居合わせたんです」

中尉「監視・・・あぁ…そういえば言っていたな・・・・・・」

飛龍「何の問題も無く仕事を終えたあなたに死なれては困るんで」

中尉「そうか…」


まさかこんな近くに監視がいたとはな


中尉「礼を言う、ありがとう」

飛龍「あぁ…いえ・・・」

中尉「…」

飛龍「…」


沈黙が病室を包む


中尉「…」

飛龍「…なんか話してくださいよ…間が持ちません…」

中尉「帰ったらどうだ?」

飛龍「…酷くないですか?」

中尉「普通だ…」

飛龍「…」

中尉「…」

中尉「はぁ…何か聞きたいことがあるなら言ったらどうだ?今日の君は様子がおかしい」

飛龍「…いいんですか?」

中尉「構わん」

飛龍「…」

中尉「…」

飛龍「やっぱりなんか話題を振ってください」

中尉「面倒だな」
(面倒だな)

飛龍「心の中にとどめてくださいよ!」

まぁいい・・・話題・・・・話題か・・・・・


中尉「何故君は監視の任についたんだ?対深海以外の軍務において、艦娘には拒否権が与えられているはずだ」


これは艦娘の力を使い、反乱を起こす人間が現れないようにするための事前策だ
艦娘の力は強大であるが故の拘束法のようなもの
例えば僕が無理矢理自分の任務に艦娘を帯同させれば、極刑は免れない


飛龍「…前の鎮守府にいるのは辛くて・・・・・・」


地雷だ
今俺は確実に地雷を踏んだ


中尉「…何故だ?」

飛龍「……フラれまして・・・・・」

中尉「そうか…」
(くだらんな)

飛龍「今、くだらないと思ったでしょ?」

中尉「中々鋭いじゃないか」

飛龍「…あなたはもう少し乙女心を勉強してください」

中尉「善処しよう」

飛龍「まぁ…フラれただけならよかったんですけど…」

中尉「…」

飛龍「少しばかり・・・ひどい裏切りに遭いまして…」


地雷原だった・・・


飛龍「気にしてなかったんですけど…フラれたら・・・・なんか・・・・それがすごく悲しくて・・・・」

中尉「………そうか」

中尉「…」


ふむ…中々ヘビーな話題だな、少なくともケガ人に聞かせる話ではない
しかし…普段のこいつの態度からすると・・・
コイツため込むタイプだな?

私見であるが、人は辛い記憶を忘れることはない
忘れたという奴は忘れたように感じているだけで、その記憶はしっかりと脳に刻まれている
辛い、悲しいと言った体験はストレスになる、故に何か再びストレスを感じた時、ふと思い出す
忘れたい記憶ほど、それが顕著だ

対処法は一つ
受け入れる事、ただそれだけ
受け折れることができなければ、影のように一生付きまとう
そんな記憶が背負いきれなくなった時

人は死を選ぶ


飛龍「そんな時に・・・大将からうちの鎮守府にお声がかかりまして…」


間違いない


飛龍「味方殺しの死神を監視せよ・・・渡りに船でした・・・」


こいつ


飛龍「…一つ・・・・・・聞かせてもらってもいいですか?」


死を望んでいるな…
若干目も死んでるし…



溜めこむというよりも・・・振り切ったって感じか?
元々の性格がさらに勢いを増した・・・
ストレスの反動と考えるのが妥当・・・


中尉「なんだ?」

飛龍「貴方は・・・何故人を、味方をあんなに殺したんですか?」


かつて考えたこと
何故僕が命を奪うか


中尉「…それが救いになると思ったからだ」


唯一にして絶対の答え


飛龍「だったら…頼めば私も殺してくれるんですか?」


ほら来たよ
こう言う奴は過去に何人かいた
ピンピンしているのに俺の噂を聞いて殺してほしいと頼みに来る馬鹿共

他人に自らの人生の責任を清算させようとする奴
死の間際まで逃げることを辞めない
闘わないという病気にかかった病人

別に逃げることは否定しない
辛いことから逃げても構わないと思う
だが・・・だがな…

・・・こう言う奴は荒療治に限る


中尉「その前に付き合え・・・」

飛龍「へ?」

中尉「ふぎぎ!!!」

飛龍「え!?何を!!」


いたたた・・・やはり動くと痛いな…
しかし立てないというほどではない・・・
我慢だ我慢


中尉「お前を裏切った奴というのは誰だ…」

飛龍「…前の・・・・・・提督です…」

中尉「何をされた?」

飛龍「……それは・・・」

中尉「連れてけ・・・」

飛龍「へ?何をするつもりですか?」

中尉「いいから連れて行けぇ!!」

飛龍「!」

中尉「あたた・・・車を出せ・・・」

飛龍「は・・・はい・・・」






飛龍がここまで来るのに使ったであろう車に乗り込む
彼女が前に在籍していた鎮守府とこの病院は割と近くであったためすぐについた


飛龍「ここだよ…そろそろ教えてよ!何―――」


彼女が言い終わる前に僕は車を降りて全力で走る
いい感じに高揚してきた・・・腹の痛みを感じない

僕は今怒っているのだ
面倒事の元凶など作りやがって…
八つ当たりだ

鎮守府の構造というのは大体が似たようなものである為、執務室はすぐに見つけた
途中何人かの艦娘に声をかけられたが振り切った

僕はそこを


中尉「らぁ!!!」


勢いよく蹴破る


「「「!!!!」」」


中にいたのは椅子に座る将校と両隣に控える赤い弓道着の奴と青い弓道着


赤い奴「な!なんなんですかあなたは!!!」

中尉「四条鎮守府の指揮官だ、貴様はそこに送られた飛龍の前任提督だな?」

青い奴「陸軍の味方殺しの死神・・・」スッ


青い奴が俺を取り押さえようとしたのだろう
此方に近づこうとしてきた


中尉「…」ギロ

青い奴「!」


近付いたら必ず殺す、絶対殺す
そういう忠告を本気で込めて彼女を睨む
伝わらないはずがない、本気なのだから
もちろん彼女の動きは止まった
わざわざ陸軍に格闘戦を挑もうとするのもどうかと思うが


将校「…そうですが……彼女が何か?」

中尉「そうか…なら話は早い…」


僕の間合いに入るように、将校に近づく
脇を閉めて左の拳をその下まで引く
腰を入れて右の拳を将校の鼻っ面に真っすぐ突き出す


中尉「しゃあ!!!」

将校「んぐっ!!!」ベキィ


正拳突き
あらゆる徒手格闘の基本
何度も何度も何度も何度も繰り返し練習してきた僕のそれは
将校の鼻を間違いなく砕いた




赤い奴「て!提督!!」


将校は派手に後ろに転げる


青い奴「貴様ぁ!!」

中尉「しゃ!」ヒョイ

青い奴「んあぁ!」ドテーン


艤装の無い艦娘など何の脅威も無い
勢いのまま背負い投げる
飛びかかってきた青い奴を投げ飛ばして拘束した瞬間


飛龍「ちょ!!なにやってんのさ!!!」


やっと彼女が来た


青い奴「これはどういう事かしら…飛龍・・・」

飛龍「加賀さん!いやこっちが聞きたいよ!!」

赤い奴「提督!!気を確かに!!」

提督「がっ…」


長々と話しをするつもりはない
端的に事実を述べる


中尉「僕の部下・・・飛龍が僕に殺してくれと頼んできた!原因は貴様だ!!」

赤い奴「は?」

提督「・・・・・なん・・・だと・・・」

加賀「・・・・事実なの?」

飛龍「あ…いや・・・・・・・」

提督「…」

中尉「言葉の謝罪など必要ない、信用できないからな」

中尉「これからは彼女の面倒は僕が見る」

中尉「その痛みが彼女に与えた恥辱の代償だ!胸に刻め!!」

提督「…」

赤い奴「だからって…これはやり過ぎです!!上官に手をあげるなど・・・軍法会議ものです!!」

中尉「勝手にしろ!!行くぞ飛龍!!!」


僕は足早に去る
騒ぎを聞きつけて野次馬が集まってきたからだ


飛龍「あっ…待ってよ!!」

中尉「見せもんじゃないぞ!!道をあけろぉ!!!」


僕の怒号で道ができる
ふぅ…すっきりした・・・
すっきりしたが…


中尉「…」ダラダラ


傷が痛んできた・・・
さっさと病院に帰ろう・・・


赤い奴「大丈夫ですか?」

提督「…あぁすまないな赤城・・・・・・」

赤城「…とにかく治療を・・・・・」

「自業自得クマね」

提督「球磨・・・」

赤城「黙ってくださいウィニー」

加賀「黙りなさいウィニー」

球磨「お前らホントいい加減にしろクマ」

球磨「…いやぁそれにしても……スカッとしたクマァ」

提督「…」

球磨「あいつを軍法会議にかけるなら…球磨はあいつの鎮守府に行くクマ」

球磨「じゃ、さいならクマー」スタスタ

提督「…」

赤城「あいつ・・・」

加賀「気にしない方がいいわ」

提督「…そう言うわけにはいかんだろ・・・・・・」

加賀「…」

赤城「…」


中尉「あたたたた・・・」

飛龍「もう!!滅茶苦茶だよ!!!」


飛龍に肩を貸してもらい、ベッドに横たわる
少しはしゃぎ過ぎたな…


飛龍「なんであんなことすんのさ!!バカじゃないの!!」

中尉「いやぁ・・・まったくだ…」

中尉「でも…少しは気が晴れただろう?」

飛龍「…」

中尉「僕は君の苦しみを理解することはできないし、代わりに背負ってやることもできない」

中尉「だがその苦しみの原因をぶん殴ってやることはできる」

中尉「さっきのようにな」

飛龍「…」

中尉「傷つくのが怖いなら、僕の後ろをついて来い」

中尉「弾除けぐらいにはなってやる」

中尉「君はまだ生きていた方がいい」

飛龍「…」


精一杯の励まし
僕にできるのはここまで
選ぶのは彼女


飛龍「…フフッ」

飛龍「んふふふふふふへへへへへふふふえへへ…」

中尉「…は?」



・・・え?

まさか壊れたか?


彼女はベッドに座り、僕の頬に手をそっと当てる
くいっと引いて、強引に顔を自分の方に向ける


飛龍「ねぇ…もっとよく顔を見せて?」


僕の脈が速くなる
心なしか頬が熱い

バカな・・・緊張している?
この騒音女に?
いや確かにこいつは顔だけ見れば美少女で、胸もある方でいい匂いが
おいおいおいおい・・・おい!!


飛龍「うん……」

中尉「な、なんだ」

彼女はニコリと微笑んだ
その笑顔は可憐で、僕の脈波さらに速くなった

彼女の唇が・・・そっと動く


















飛龍「…やっぱタイプじゃないんだよなぁ・・・・・・」

中尉「お前もう帰れ」

飛龍「wwwwwwwwww」


やはりこいつは嫌いだ


飛龍「ねぇwwwww今wどwんwwなw気w持wwwち?wwwwwwwねwwwwwぇwwwwww」スッ

飛龍「うwwwはwwwwwww脈wwwwがwwwぜwwwwwかwwまwwwwwしwwwww」

中尉「もうホント帰れよ」


はぁっと溜息ひとつ
目を閉じた瞬間



頬に柔らかな感触を感じる


飛龍「wwwwwwwww/////////」

飛龍「今wwww日wwwwはwwww・・・・・・・・アリガト・・・・・」ダダッダッダダダダ

中尉「」


全速力で去る彼女
僕は黙って見送る
彼女の顔の赤さが、照れから来たものなのか夕陽のせいなのか
僕には知る由もない

ただ一つ確信がある
・・・言葉にできないとは・・・
きっとこういう時に使う言葉なのだろう・・・・・・

中尉「」


飛龍「たwwwwだwいwwwwwwまwwwwwww」

蒼龍「……風邪ひいた?」

飛龍「げwwwんwwwwきwwどwwwwwすwwええええwwwwww」

蒼龍「顔がま―――飛龍「おっぱいぼいーん!!」ピョイーン

蒼龍「うっ・・・飛びつかないでよ…」ガシィ

飛龍「…」ギュウ

蒼龍「…なんか嬉しいことでもあったの?」ナデナデ

飛龍「…」

飛龍「うん/////」

眠らねば
明日は書きません

今日は書かないと言ったな?
明星の輝き、今だ見えず…という事だ(厨ニ並)


その頃の四条鎮守府


「「「「ぜんちいっかげつ?」」」」

吹雪「うん、そういうことなんだ」

睦月「あの時止めていれば・・・」

夕立「もう過ぎたことっぽい!」

あかつき「ぜ、ぜんちね?おいしいわよね、あれ・・・」

ひびき「あかつき、ぜんちというのは、けががかんちするといういみなんだ」

いかづち「えぇ!!!しれーかんはけがをしたの!?たいへん!おみまいにいかなくちゃ!!」

いなづま「ま、まずはなにを」オロオロ

吹雪「あのね、お見舞いには――夕立「その必要は無いっぽい!!」

いかづち「へ?」

睦月「夕立ちゃん?」

夕立「キミタチがいつまでもお子様なせいで夕立はいつまでもお留守番っぽい!」

夕立「提督さんが怪我した理由は、直接的でないにしろ君たちが弱いからっぽい!」

吹雪「ゆ、ゆうだーー夕立「吹雪ちゃんは黙ってて!」

吹雪「あぅぅ・・・」

夕立「睦月ちゃんも」

睦月「…」

ひびき「わたしたちがよわいから?」

いなづま「いなづまたちのせいで…」ジワッ

夕立「泣いても解決しないっぽい!!」ツクエバンッ

いなづま「ひぅ…」

あかつき「!!!???!?!?!」

いかづち「!」キッ

夕立「生意気な目だね…弱さを受け入れられないっぽい?」

いかづち「…くっ・・・・・・」

夕立「バカじゃないみたいね…そんなに提督さんが心配?」

いかづち「しんぱいにきまってるでしょう!!」

あかつき「そうよ!!おみまいにいかせなさいよ!!」

いなづま「い!いかせるのです!!!」

ひびき「…そこをどきなよ・・・・・・」

夕立「夕立にまいったって言わせれば・・・とーしてあげるっぽい?」

ひびき「ひとりあいてにそん――夕立「四匹の黒蟻が人に勝てるの?」

ひびき「…いかづち」

いかづち「・・・・・・えぇ…やるわよ…みんな・・・」

いなづま「たたかいはいやです…でも、やるしかないのです!」

あかつき「???」

夕立「うふふ・・・素敵なパーティー始めましょう?」ウットリ


吹雪「睦月ちゃん!夕立ちゃんを止めないと!!」

睦月「止まらないよ…」

睦月「それに、理由は滅茶苦茶だけど…睦月もそろそろと思ってたから…」

睦月「せめて自分ぐらいは守れるようにならないと・・・いつまでもお客さんじゃいられないっていうのは・・・」

吹雪「わかるけど…せめて司令官の許可ぐらいは・・・」

睦月「特別艦娘の教育は同艦種の義務であり務めだよ・・・内輪の慣習法みたいなものは吹雪ちゃんだってわかってるでしょ」

吹雪「…そんなの・・・・そんなの所詮不文律だよ!私はまだ早いと思うもん!!」

睦月「吹雪ちゃん・・・」

吹雪「あの子たちの司令官を心配する気持ちを押しつぶしてまでやることじゃないよ!!!」ダッ

吹雪「止まらないなら!!止める!!」ダッ


吹雪「…」スッ

夕立「吹雪ちゃん・・・ちょっと邪魔っぽい…」

いなづま「ふぶきさん!」

いかづち「じゃましないで!これは――吹雪「バカ言わないで!!」

吹雪「夕立ちゃんは・・・あなた達だけでどうにかできる相手じゃないの!」

吹雪「私が隙を作るから!そこをついて夕立ちゃんを取り押さえるの!!」

ひびき「…いかづち、みかたはおおいほうがいい…」

いかづち「…みんな!いくわよ!!」テテテテテテ

あかつき「え?あ、うん?」テテテテテ

いなづま「はいなのです!!」テテテテテテテ


夕立「…」

吹雪「追わないの?」

夕立「吹雪ちゃんは安々と通してくれないっぽい…でもさぁ…」

夕立「…敵の目の前で堂々と相談なんて・・・・吹雪ちゃんは夕立の事なめてるの?」

吹雪「聞かれても問題ないってだけだよ…」

夕立「うふふ・・・・なんだかゾクゾクしてきちゃったぁ」ペロリ

吹雪「…」ゴクリ

夕立「怪我しても・・・・・・知らないっぽい!!!!!!!」ダッ

吹雪「フゥー・・・」

睦月「…」


夕立「初撃は右っぽい!!!!」ガンッ

吹雪「くぅ・・・・」ギリギリ


睦月(始まっちゃった…)

睦月「…」ダラダラダラダラ

睦月(かっこつけちゃったけど…事後報告で怒られないよね?)

睦月「…」


白兵戦
海上で戦う艦娘にはいらないと思われがちだけど、意外と必要なんだよね
海上で弾が無くて戦えない…そんな時どうするの?
答えは白兵戦
腕が無ければ食いちぎれってやつだね…
例え漂流しても生き残るための技術

だから睦月たちみたいな志願式艦娘は選抜でサバイバルを行う
そうして選ばれた子たちが特別艦娘に白兵及びサバイバル技術を教える
艦娘の性能は志願式は推薦式に勝てない
でも白兵戦なら彼女達には負けない

これが志願式と推薦式の間に溝ができない理由の一つ
まぁそれでも睦月たち志願式を見下す人は結構いるんですが

にゃはは・・・

生きるための技術だから…死ぬ気で教えるし死ぬ気で覚える
だから戦闘狂(目の前で言ったらコチョコチョされる)の夕立ちゃんはこれが結構好き
でも艦娘の白兵訓練では、不思議なことに死者は出ない

それはこの制服に秘密がある


睦月(口ではあぁ言ったけど…睦月もまだする必要は無いと思ってたんだよね…)

睦月(でも…)ピラッ

睦月(今日、下着が上下別の色なの、ごめんね吹雪ちゃん)ニャハペロ


この制服は妖精さんの加護を受けた服には二つの特徴がある

装甲、火力、雷装、対空などの性能は艤装を付けて初めて発揮できる
でもこの制服を着ていれば、軒並み成人の男性ぐらいの体力は発揮できる
この付加効果が一つ目の特徴

二つ目がダメージ蓄積
例えばこの服で軽機関銃の前に立ったら、マガジン二つぐらいの弾を受けても怪我はしない
でも…攻撃を受けるたびに服が少しづつ破けていく
それが限界に達した時、裸に近いぐらいに破けて・・・防御できなくなる
まぁ艤装を付けたらそもそも軽機関銃なんて玩具と同じなんにゃけど・・・


だから・・・いまの睦月の裸体を見られる訳にはいかにゃいのだ!!!




睦月(そもそも睦月って、陸では工作兵扱いだから戦闘能力なんて無いに等しい…)

睦月(だから吹雪ちゃんとコンビ組んでも足引っ張るだけなんだよね…)


白兵戦において、吹雪ちゃんは防御タイプ
相手の攻撃を凌いで凌いで凌いで凌いで・・・疲れたところをグサッと行く
だから他の人が携帯武器にナイフや刀剣を選ぶ中、吹雪ちゃんはトンファーを選んだ

携帯場所は・・・腰だったかな?

対して夕立ちゃんは攻撃タイプ
攻めて攻めて攻めて攻めて、相手を力づくで押し殺す
一本のナイフとおのれの拳だけを武器に・・大人にも勝ったことがある

だからこの二人が組んだら・・・白兵で勝てる人は結構少ない


睦月(何気この二人の本気バトルって初めてかもしれない・・・)

睦月(お茶とお菓子持ってこよー)トテトテトテ

訂正

×この制服は妖精さんの加護を受けた服には二つの特徴がある

○この制服は妖精さんの加護を受けた服、これには二つの特徴がある


時を同じくして
四条鎮守府 応接室


木曾「おいおい長門、なんか騒がしくないか?」

長門「…死人は出ないだろう、ほっとけ」

長門「それよりも・・・本当にここを去るのか?」

飛龍「うん…大将には話はつけちゃったし…それに責任もとらないといけないしね…」

長門「お前もか?」

蒼龍「飛龍ほっとけないからね」

長門「そうか…お前らがそれでいいならいいが」

木曾「野暮かもしれないが…お前らは元々対空迎撃の為に派遣されてきたはずだ」

木曾「それはどうするつもりだ?」

蒼龍「それに関しては大将がすでに手を打ってるって言ってたから、大丈夫だと思う」

木曾「そうか」

飛龍「…」

木曾「ちなみに・・・先ほど言っていた責任てなんだ?提督の怪我と関係あるのか?」

蒼龍「あれは程久保提督暗殺に巻き込まれただけだよ…責任の件は私事」

長門「良ければ聞かせてもらえないか?」

飛龍「いいよ、何にも言わずに去るってのはさすがに悪いしね」

飛龍「…私がここに来た理由は・・・死神に殺して欲しかったからってのが本音なんだ」

飛龍「理由はフラれて、以前嘘をつかれた時のことがすごく・・・悲しくなったから」

飛龍「バカみたいだよね?でもその時の私には十分な理由だった」

蒼龍「飛龍・・・」

長門「バカみたいなどというな…人の感情を物差しで測ろうというのが、そもそも論外なのだ」

飛龍「ありがと・・・続ける・・・」

飛龍「そしたらあいつ、誰にやられたって聞いて来て、答えたらそいつを思いっきり殴りに行ったの」

木曾「ほぉ…」

飛龍「そいつは私が前に所属していた提督、階級は大佐」

飛龍「上官への反逆は軍においてご法度、あいつは気にするなと言ったけど…責任は追及される」

長門「だから追及される前に原因である自分が・・・という事か」

飛龍「そういう事」

長門「何とかなるのか?」

飛龍「大将が何とかしてくれるって、自分の管轄での問題だから」

長門「…」



木曾「しかし解せんな…そこまでして何故奴の責任を負おうとする?所詮他人だろう?」

飛龍「…さっきも言ったけど…上官への反乱はご法度、必ず罰を受ける」

飛龍「それでもなお、私の為に上官を殴って・・・生きろと言ってくれたことが」

飛龍「私はたまらなく嬉しかったんだ」

長門「…」

飛龍「私たちと提督の関係ってさ…下士官と兵士に似てると思うんだよね…」

木曾「…というと?」

飛龍「士官が作戦を立案して、下士官と兵たちが実行する」

飛龍「士官が下士官に、下士官が兵にっていうのが軍の基本」

飛龍「でも提督は士官であるけれど作戦を直接兵に伝える・・・だから下士官と兵に似ていると思う」

木曾「…そうなる・・・のか?」

長門「どう感じ、受け取るかは個々人の自由だ」

飛龍「あくまで私が感じたことだから、貴方が納得する必要は無いと思う」

木曾「すまんな…」

飛龍「うん…でも一つだけ違う点がある、この点でやっぱり士官なんだなって自覚する・・・」

蒼龍「…」

飛龍「…艦娘たちの提督っていうのはさ、基本的に私たちの戦果を鎮守府で待ってればいいんだよ」

飛龍「安全圏で、戦場にいる私たちが戦果をあげればあげるほど、彼等の階級と給金は上がっていく」

飛龍「戦闘っていう一面では楽な仕事だと思う・・・死ぬ心配が無いんだもん」

飛龍「その地位につくまでの過程がどうであれ・・・ね?」

飛龍「でも兵士にはそんなの関係ないから…自分たちに都合がいいか悪いか、それだけ」

長門「…」

飛龍「そんなおいしい仕事を自分から手放す危険を自らの意志で犯す提督が、この時代にはどのくらいいるかな?」

飛龍「私は正直、この仕事は辞めたくない」

飛龍「給金がいいからね…だから裏切られたとき、私は前の提督を殴るようなことはしなかった」

飛龍「残ったのは・・・裏切られたという自分勝手な気持ちと・・・少しの後悔・・・」

飛龍「でも彼が払拭してくれた・・・きれいさっぱり・・・」

飛龍「スカッとした、嬉しかった・・・」

飛龍「それと同時に自分が浅ましく思えた・・・私は私の心配しかしてないなって…」

木曾「俺は利口な選択だと思うがな…」

飛龍「私もそう思う…でも・・・・・・ここで責任をとらないと、私は必ず後悔する」

飛龍「だから私は責任をとる・・・自分の道ぐらい、自分で切り開いて見せる」

飛龍「そう決めた」

飛龍「いつかあなたが生かした人間は、生きていてよかったと思ってるって胸を張って言いたいからね…」

蒼龍「…」

飛龍「それに・・・彼は罰せられるべきではない」

飛龍「今はまだね…」

長門「まるで彼は咎人であるかのような言い方だな?」

飛龍「大なり小なりそんなもんでしょ?人なんて」

長門「…違いない」


蒼龍「飛龍、そろそろ」

飛龍「そうだね…私たちはもう行くね?」

長門「随分と忙しないな」

飛龍「大将によばれてるの、それに突然の別れなんて珍しくないでしょ?」

木曾「それとこれとは別だろうに…」

蒼龍「飛龍は寂しいのよ、なんだかんだ言ってね」

飛龍「ちょ!蒼龍!!」

長門「なんにせよ引き留めては悪いだろう…入り口までは送ろう」

蒼龍「ありがとうございます」



鎮守府入口


飛龍「短い間だったけど…楽しかったよ」

長門「お前のような騒がしい艦娘は久々だった・・・こちらこそだ」

蒼龍「木曾さん…今日のお料理当番お願いしますね?」

木曾「あぁ、心配するな」

飛龍「それじゃあ…いずれまた」

蒼龍「お元気で」

長門「武運を祈る」

木曾「達者でな」











長門「さて…そろそろ駆逐艦どもの教育は終わったかな?」

木曾「覗いてみるか…」スタスタスタスタ



四条駅 ベンチ


蒼龍「…こんな事言うとあれだけど・・・・」

飛龍「ん?」

蒼龍「飛龍、新たな恋をする!・・・・だと思ってた」

飛龍「ん~当たらずとも遠からずって感じかな?」

蒼龍「へー・・・・ううぇ!!ほんとに!!それじゃあ近くにいなくていいの!??

飛龍「大丈夫だよ、”マーキング”しといたから」

蒼龍「ま!!そそそそそおそれってまっままっまっまmっま!!!!!」

飛龍「蒼龍にはナイショー・・・そろそろ汽車が来るよ!」

蒼龍「ちょ!!話はまだ!!!」


飛龍(今はまだ・・・言えないでしょー・・・)

飛龍(尻軽みたいに思われたくないし…)

飛龍(でも…)

飛龍(戦争が終わったら…伝えに行くから…)

蒼龍「もう!!飛龍ったらーーー!!!!」

飛龍「ヨシッ!!航空母艦飛龍!!明日からも頑張ります!!!」ダッー!!




(それまで死なないでよね、中尉!)


















病院


中尉「…」

若葉「若葉だ」

中尉「誰だよ、若葉なんて知らないよ」

若葉「なんだと?」

中尉「…」

若葉「…」

中尉「…」

若葉「若葉だ」

中尉「帰れ」

ご飯作らねば

2つ

38歳


ノックはおろか事前通達も無く病室に入り込んできたのは、ショートヘアーのチビ女
ゆるゆるのネクタイはその役割をすでに放棄し、シャツの裾は片方が外に出ている
僕は部下に対して、そこまで外見や言葉遣いなどをぐちぐちと言わない
結局のところ、場を弁えて、ちゃんと働いてくれて、不快でなければそれでいい

ただ・・・


中尉「自己紹介ははっきりとしてくれ、まったくもって伝わらない」


相対する人間がどこの誰で何が目的かぐらいははっきりとして欲しい
こう願うのは傲慢であろうか?


若葉「すまない…様式美だ」

中尉「…」

若葉「横須賀鎮守府、横須賀大将より貴殿の補佐をするように命じられた」

若葉「初春型駆逐艦3番艦の若葉だ、よろしく頼む」

中尉「補佐だと?それが艦隊運営を指すのであれば駆逐艦は現状十分であるはずだ…」

若葉「若葉にそんなことを言われても困るぞ…」


不服そうに目を背ける彼女
しかし部下を派遣されたなら、そこにはそれなりに意味があるはずだ


中尉「君がここへ来た理由・・・補佐とは具体的に何を指す?」

若葉「そのままの意味だろう、命じてくれれば何でもやるつもりだ」

中尉「…何でもと・・・言ったか?」

若葉「…戦場での士官の死因の2割は、部下によるものだと聞いている」

中尉「冗談だ」


下ネタは通じるようだな
性的嫌がらせではない、下ネタは万人に通じる軽いジョークだ


若葉「安心したぞ、できれば上官殺しの汚名は避けたいのでな」

中尉「…君は大将から僕の事をなんと聞いている?」



真に知りたいのはここ
副官は僕の事を知らないようであったから、特に言及しなかったがこいつは別だ
同じ鎮守府で働く以上、秘密は少ない方がいい


若葉「陸軍の味方殺しの死神が、悪しき人間を粛清する任についたと聞いた」

中尉「…粛清とはまた崇高だな、僕はゴミを掃除しているだけだ」」

若葉「…人によっては形見になる、言葉には気を付けた方が良い」

中尉「…」


仕事をどう表現するかなどどうでもいいか…
しかしまぁ…こいつは知っている
僕が何者で、何をしているかという事を


中尉「僕の仕事を補佐してくれる…そう受け取っていいのだな?」

若葉「言ったはずだ…命じてくれれば何でもやるつもりだと」


監視兼補佐という事か…
1人ではこの先厳しい事態もあるだろう…そう予想した故の処置
まぁ妥当か


中尉「君には何ができる?」


わかりやすい質問
自分は何ができるか、僕は部下に必ずこれを聞く
彼女は少しだけ口角を上げて、寂しげに答える


若葉「若葉は、貴殿が望むことを絵に描いたように実現できる」

若葉「十分だろう?」

中尉「…」


何とも頼もしい限りだ
僕の生存率は彼女の加入で間違いなく上がった


中尉「その言葉、忘れるなよ?」

若葉「もちろんだ」


僕は、中々にいい相棒を得たのではないだろうか?
そう思った

騒がしくないしな



若葉「これから背中を預ける身として、ひとつ聞いておきたい」

中尉「なんだか君が聞こうとしていることが手に取るようにわかるよ…」

若葉「まぁそう言うな…」


うんざりするほどの問答であった
僕と関わる人間は、大体最後にこう聞くのだ


若葉「何故、特に悪人でもない味方も殺したのだ?」


決まってこう答える


中尉「それがそいつらにとって救いとなるからだ」


大抵はここで空気が凍る
そりゃそうだろう
自覚している
僕がしていることは医者としても人間としても狂っている


若葉「ではその結論に至った経緯を聞かせてくれ」

中尉「…」

若葉「…どうした?」

中尉「いいや、そこまで踏み込んでくる奴は珍しいからな…」

若葉「…そうだろう、貴方は狂っているからな」

若葉「若葉も助かる見込みが無ければ殺すのだろう?」

中尉「…行きたいと望む患者を、すぐに殺すなどという非道なことはしない」

若葉「そうか…なら話は早い、自らを非道でないと自覚しているならば」

若葉「話せるはずだ…己がのみ理解できる行為の道理と正当性を」

中尉「…」


コイツの言っていることは至極真っ当な事だろう
僕自身狂っていると自覚しているが、それが間違いでは?と問われれば答えは否である
僕には僕だけが理解できる正当性が僕の行為にはある
だが・・・


中尉「答える気は無いな…」

中尉「話そうと思えば確かに話せる、だがそれと今ここで話すというのはまた別の問題だ」

中尉「今この場においては」

中尉「”僕は僕が行う世間一般的な不合理の正しさについて、自分が解釈している範疇で答えることができる”」

中尉「これで勘弁してくれ」

若葉「…」


相手を救うために相手を殺す行為
間違いなく矛盾したこの不合理を、僕が如何に正当性のある行為であると解釈したのか
その過程を話すことができる、その用意がある
しかし今は話す意思が無い
そのような意味を込めて彼女に伝えた



若葉「…では待とう」

中尉「助かる」


ここで明確な拒絶の意志を表さなかったのは
きっと心のどこかで
”もしかしたらこの若葉という女は、心の底から僕の死を悲しみ涙を零してくれるかもしれない”

そう思ったからに違いない


中尉「君は・・・」

若葉「ん?」

中尉「君は何故そこまで知りたがる?」

若葉「…誤解しないでくれ、君自身を理解したいわけじゃない・・・」


そう言うと彼女は、栗色の髪をかきあげて静かに笑う
その視線は窓の外のどこまでも高い青空に向けられている
つられて僕も窓の外に目を向けると、彼女は言った


若葉「何事も半端で終わらすのは嫌なのだ」

若葉「全て…終結まで知りたい、経験したい」

若葉「それだけだ…」



言葉を発する彼女の声に
僕はどこか懐かしい感情を感じた




個人的に若葉は問答なら結構喋ると思う
ねば

忘れてた

>>251
私はその隠語のような暗号のような記述を理解することはできません
意味があるものであったのならすみませんでした

1乙~
蒼龍と飛龍の出番ってもしかしなくても終わり? このキャラ大好きなんだが…

おそらくこのSSであろう君には失望したよ的なレスを見つけたから予防線張りに来た

>>259
人も艦娘も関係なく、死なない限り出番はある


気 に 入 ら な け れ ば ブ ラ ウ ザ バ ッ ク 推 奨

キ ャ ラ 崩 壊 注 意

常 に 技 量 不 足




すまん、煽るつもりは無かった
だが>>260は頭に入れておいてほしい
作者と読者の許容範囲は必ずしも同じというわけでもないし、見解の相違というのもあるから
重ねて言うが煽るつもりは無かった
気分を害した人はすみませんでした


横須賀


大将「…若葉は奴の下に向かったか」

副官「はい、同時進行で飛龍・蒼龍の当鎮守府への帰還」

副官「四条鎮守府への新たな空母の艦娘の手配」

副官「駆逐艦菊月の配属、全て滞りなく進行しています」

大将「ご苦労…」

大将「奴を提督にしてからは中々に苦労が多いな…」

副官「しかし…新任の方の支援を大将自らなさるとは…」

副官「もしかして…何か裏があったりするんですか?」

大将「…裏か、聞きたいのか?」

副官「良いのですか?」

大将「構わん、奴には戦況打開の新たなカギとなってほしいのだ」

副官「…」

大将「現状、深海棲艦との縄張り争いは膠着状態にある」

大将「原因は艦娘と深海棲艦の兵器の拮抗にある」

大将「妖精という未知の存在によって、兵器開発部も手をこまねいている」

大将「であれば他で優劣をつけるしかない・・・そこで私が目を付けたのが…」

副官「…白兵戦法」

大将「ご名答」

大将「元々存在してはいたが、形式的なものでありそこまで重要視していなかった…だが…」

大将「流れを変えるには…何か破天荒なものが必要なのだよ」

副官「ですが…接近戦は危険極まりない、艦娘の戦死者が増えます」

大将「…戦争に負ければ死者は倍以上に増える」

大将「より多くの人間の為に少数の人間が死ぬ…これは仕方のないことなんだよ」

副官「…少なくとも私は、その言葉は常に支配者層が使う詭弁であると思います」

大将「ではみな平等に[ピーーー]ば満足かね?」

副官「それは…」

大将「理想論は結構だ、夢や希望の無い人生は得てしてつまらない」

大将「しかし同時に現実もよく見なければならない・・・」

大将「でなければいざ失敗した時の対処法がわからないじゃないか」

大将「犠牲を恐れて、現在の我々の軍事力を敵が上回った時」

大将「君はどうする?」

副官「…」

大将「私の言葉を受け入れられないというのであれば、偉くなりたまえ」

大将「我が帝国海軍は自らが残した実績さえあれば、赤ん坊だって大将になれる」

大将「偉くなれ…誰よりも偉くなりその理想論を現実としてみせてみろ」

大将「艦娘の…我々将校の頂点に立ってみせたまえ」

大将「大日本帝国海軍初の女性将校よ…」



横須賀


大将「…若葉は奴の下に向かったか」

副官「はい、同時進行で飛龍・蒼龍の当鎮守府への帰還」

副官「四条鎮守府への新たな空母の艦娘の手配」

副官「駆逐艦菊月の配属、全て滞りなく進行しています」

大将「ご苦労…」

大将「奴を提督にしてからは中々に苦労が多いな…」

副官「しかし…新任の方の支援を大将自らなさるとは…」

副官「もしかして…何か裏があったりするんですか?」

大将「…裏か、聞きたいのか?」

副官「良いのですか?」

大将「構わん、奴には戦況打開の新たなカギとなってほしいのだ」

副官「…」

大将「現状、深海棲艦との縄張り争いは膠着状態にある」

大将「原因は艦娘と深海棲艦の兵器の拮抗にある」

大将「妖精という未知の存在によって、兵器開発部も手をこまねいている」

大将「であれば他で優劣をつけるしかない・・・そこで私が目を付けたのが…」

副官「…白兵戦法」

大将「ご名答」

大将「元々存在してはいたが、形式的なものでありそこまで重要視していなかった…だが…」

大将「流れを変えるには…何か破天荒なものが必要なのだよ」

副官「ですが…接近戦は危険極まりない、艦娘の戦死者が増えます」

大将「…戦争に負ければ死者は倍以上に増える」

大将「より多くの人間の為に少数の人間が死ぬ…これは仕方のないことなんだよ」

副官「…少なくとも私は、その言葉は常に支配者層が使う詭弁であると思います」

大将「ではみな平等に死ねば満足かね?」

副官「それは…」

大将「理想論は結構だ、夢や希望の無い人生は得てしてつまらない」

大将「しかし同時に現実もよく見なければならない・・・」

大将「でなければいざ失敗した時の対処法がわからないじゃないか」

大将「犠牲を恐れて、現在の我々の軍事力を敵が上回った時」

大将「君はどうする?」

副官「…」

大将「私の言葉を受け入れられないというのであれば、偉くなりたまえ」

大将「我が帝国海軍は自らが残した実績さえあれば、赤ん坊だって大将なれる」

大将「偉くなれ…誰よりも偉くなりその理想論に

大将「艦娘の…我々将校の頂点に立ってみせたまえ」

大将「艦娘初の将校よ…」




大将「海軍大佐、航空母艦大鳳」

大鳳「はっ!」ビシィ

大将「今日付けで私の副官としての任を解く」

大将「四条鎮守府の新たな航空戦力並びに四条少佐の艦隊運営の補佐の任を命ずる」

大鳳「大鳳!最善を尽くします!」

大将「今までの尽力、大儀であった」

大将「新天地での活躍を期待する」

大将「ついでに奴に白兵も鍛えてもらえ」

大鳳「ありがとうございます!失礼しました!」



ガチャバタン


大将(…)

大将(これであそこの艦隊運営に関しては憂いが無いな)

大将(若葉の加入で本来の職務の遂行も円滑に進むだろう)

大将(報告書によれば飛龍の奴も立ち直っているという)

大将(死神も中々に使えるではないか…)

大将(死にかけたと聞いた時は正直肝が冷えたが…)

大将(まだまだ殺して欲しい奴は山ほどいるのだ、こんなところで死なれては適わん)

大将(さて…残った問題で気になるのはこれぐらいか…)




報告書


横須賀近海ニテ駆逐艦春雨ニ酷似シタ深海棲艦ヲ発見
以降コレヲ駆逐棲姫ト呼称ス


元四条鎮守府ノ戦艦金剛今ダ発見ニ至ラズ
捜索ニハ姉妹艦比叡、榛名、霧島ガ尽力



大将「…死神の明日は光か闇か・・・・・」

大将「精々身を粉にして働きたまえ…」


イタゾー!!
ダイイチジコウゲキタイハッカン!!


「…………!」


キョウサ!!
イヤダンチャクダ!!



「あガ…がア……ァァ…」



ニゲルゾ!!ツイゲキスルゾ!!



「うう…ゥうゥ…ウうウゥ…」


「ナんデ…ナンで攻ゲきスルの…?」


「まも…レなかったからナノ…?」


「ワタしハ…私は・・・・」


テキノコトバニミミヲカスナァ!!
ウテェェェ!!!



「シラ露がタゴ番かンの…はル雨!!!」



「お願イ!!!」










「こウゲ――」





キリのいいところまで書けて満足
ねば


中尉「随分と久しぶりな気がするなぁ…」


程久保暗殺の折、腹に銃撃を受けた俺は一月の入院を余儀なくされた
本来であれば2週間もあれば業務に支障が無いほどには回復するんだが
まぁ…大事をとってという奴だ
入院中は特に見舞いなどは来なかったため、静かに過ごすことができた


中尉「ん?」


鎮守府の門を通り抜けてすぐだ
此方に向かい走る少女
随分急いでいるな…
いや違う…
あれは…


「しれーかぁーん!!!!」デデデデデデエデデデデデ


僕が目標だ
間違いなく飛びついてくる体勢だ

・・・話しが変わるが体さばきというものをご存じだろうか?
柔道で相手を投げる際にとる予備動作の事だ
あれはそこそこ巧い人間にやられると、いつの間に横に?となることがよくある(実話)
いや何が言いたいのかというと


中尉「…」スッ

「えっ!?きゃあ!!」ステーン


猪のように直線に突っ込んで来る人間を避けるには
これで十分なのだ


「…」ガバァ

中尉「…大丈夫か?」

「信じられないわ!!なんで受け止めてくれないのよ!!」

中尉「いや、なんだ…病み上がりでな?」

「あ!わかったわ、お見舞いに行かなかったから拗ねているのね?」

「心配ないわ!お見舞いに行けなかった分いっぱいいーーーーっぱい頼っていいんだからね?」

「新しい人も来てるのよ?紹介するわ!!!」

中尉「いや、その前に聞かせてほしいんだが…」

「なに?なんでも答えるわ!!!」


矢継ぎ早に話した後僕の手を引こうとする彼女
柔らかなその感触は飛龍を思い出した
その前に聞かなければならないことがある

中尉「君は誰かな?ここに何の用事で来たんだい?」







「………え?」

中尉「え…」


その時の彼女の目をどう表現したらいいだろうか?
この世のあらゆる絶望と悲劇を野良犬のゲロで煮詰めたような色…
当然そのようなものは存在しない、比喩だ

しかし伝わるだろう
それほどに彼女の目が…凄かったんだ…
僕はここであらゆる仮定を考えた、そして彼女をよく観察した

よく見れば…彼女はチビ達が着ていた制服を着ている
そうか…改装したのだな?そうに違いない
髪の毛の色からして、雷電姉妹のどちらかだ…
ええい特徴などよく覚えていない

五分五分の確率…間違えるな…
彼女の目は…凄い、凄いんだ
復讐は間違いなく起こる

何を恐れることがある…
僕は彼女自身ではなく
彼女の瞳に潜む形容しがたい何かに挑みかかるように呼びかける


中尉「久しぶりだな…」

雷「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」パアアァァァァァァ


たった一言
まるで釈迦が垂らした蜘蛛の糸を見つけたカンダタのようだ
輝いてる、眩しいぐらいの笑顔だ
だがここが終点ではない・・・問題はこの先だ
彼女はまるで主人の帰りを一日千秋の思いで待ったものの
愛する主人から”待て”の命令を受けた愛犬のようにうずうずしている
いいだろう抱きしめてやる
こんな僕でよければ壊れるほどに抱きしめてやる
さぁ言え!言うんだ!
声を振り絞るように僕は言葉を紡いだ


中尉「電、会いたかったぞ?」

雷「…ヘェ・・・・・・」

雷「私は…どうでもイいんだ…ヘェ・・・・フーン…」

雷「ソウ…ソウナンダ……」

雷「ネェシレーカン…」


雷「ワタシハドウデモイイノ?」ハイライトサンタイショク

中尉「」


気付いたことは三つだ

まず蜘蛛の糸を上っていたのは僕だという事
そしてその糸は切れたという事
そしてその糸を垂らしていたのは釈迦でなく


雷「…」ブツブツブツブツブツブツブツbツブtブtブ


修羅であったという事

訂正

矢継ぎ早に話した後僕の手を引こうとする彼女
柔らかなその感触は飛龍を思い出した
いや、それはさして重要でない
彼女には聞いておかなければならないことがある


雷「忘れてたの!?ひっどーい!!!」

中尉「…悪いと思っている……」

雷「もう間違えたりしたらダメなんだからね?わかった?」

中尉「大丈夫…だと思う…」

雷「情けない返事ね、そんなんじゃダメよ!!」


あの後
姿が変わってわからなかったこと
僕にとってはみんな大事であること
お見舞いに来れなかったことは気にしていない事
それらを懇切丁寧に説明したら、彼女は理解してくれた

雷、意外と話が分かる奴である

計算外と言えば…僕が口を滑らせたことだ
うっかり”何でもする”と言ってしまった

そう言うと彼女は…


安価
直下

雷は中尉に何を頼んだ?



※度し難い内容と判断した場合は、全年齢対象の内容に書きます

セックス→コウノトリさん


雷「デートしましょう!!」

中尉「デート?そんなのでいいのか?」

雷「もちろん二人きりよ?」

中尉「まぁいいか…どこへ行きたい?」

雷「そうね…水族館に行きたいわ!!!」

中尉「…毎日海に出ているのにか?」

雷「もう!野暮な事聞かないでよ!!」

中尉「あぁ…すまん・・・・・・」

雷「いいのよ、気にしていないわ!!」

雷「約束よ?指切りしましょう?」

中尉「ううむ…」


彼女の細い指と僕の世辞にも綺麗と言えない指が絡む


雷「ゆーびきーりげんまん♪」


そう言えば指切りなどいつ振りであろうか?


雷「うーそつーいたーら♪」


何事も久々であると新鮮に感じるモノだ






雷「入籍」

中尉「え?」


雷「指切った♪さぁ!大鳳さんが待っているわ、行きましょう!」


そう言って強引に僕の手を引く


子どもは背伸びが好きだな
どこか嬉しい笑みがこぼれる
小さな娘に結婚を申し込まれる気持ちというのはこういうものなのだろうか…

中々に嬉しいものである
きっと一年もすれば忘れるのかと思ったら
それはそれで悲しいのだろうな



そんな雷の話はひとまず置いておいて、懐かしき執務室についた


雷「司令官がいない間は、横須賀から来た大佐さんが音頭をとっていてくれたのよ!」

中尉「大佐…」

僕よりも階級が上の人物か…
僕は身だしなみと姿勢を整える

雷「大鳳さん!司令官が帰ってきたわ!」コンコンコン

大鳳「開いていますよ」


大鳳大佐というのか…
ん?
どこかで聞いたことのある声だ…
まさか…


雷「失礼するわ!!」

中尉「失礼します!四條少佐!ただいま戻りました!」

中尉「不在中の部下のご指導!大変感謝いたします!大佐殿!」

中にいたのはやはり彼

大鳳「うふふ、知らない仲ではないのですから…大佐殿と呼ばれてはむず痒いです」

大鳳「大鳳とお呼びください」

中尉「やはり貴方であったか、お久しぶりですね副官殿」


かつてちょっとした悪戯を仕掛けた相手
趣味の悪いあの大将にはもったいないほどの副官


大鳳「本当に久しぶりですね…怪我はもうよろしいのですか?」

中尉「この通り根治であります」


撃たれた場所をポンと叩く
彼は嬉しそうに笑う
備え付けのソファに移動する為だろう、彼はイスから立ち上がる
うぅむ…こうしてみると…凛とした女性のようだ


大鳳「いろいろと説明しなければなりません…互いにそこに座りましょう」

中尉「」

大鳳「中尉殿?」



スカート…だと…?


大鳳「どうしたのですか?もしかしてお怪我が…」

中尉「あっ!いや失礼…」


僕は冷静を装いソファに座る
そうか…彼も奴の下で苦労したのだな
女装に走るなど…
しかし僕はそういった者に対する偏見は無い

安心してほしい…僕は貴方を決して蔑んだりはしない

大鳳「…」

大鳳「…何かとても失礼なこと考えませんでした?…」

中尉「とんでもありません」

大鳳「…そう」


いずれ彼のメンタルケアもしなければな…

ねば


大鳳「中尉が入院している間、ここの皆さんにはひたすら遠征と演習を繰り返してもらいました」

中尉「あぁ」


そもそも女装をするほどの心の傷を負った奴にどう接すればよいのだろうか…
いや、外面はいい
受容だ、許容することでそれは自然なものになりそれが彼となるのだ
問題は彼が心の底から女になっているか否かだ


大鳳「その甲斐あって特Ⅲ型駆逐艦の皆さんは練度20・・・わかりやすく言えば第一次改装を終えることができました」

中尉「うむ」

組織としての行動で問題が生じるかもしれない
僕は彼の性別を知る必要があるだろう
例えば彼が心の底から女になっているとしたら…
風呂に共に入る事や、トレーニングなどは嫌がるはずだ…
逆に男であればそれらに抵抗はそこまでないだろう…


大鳳「雷ちゃんの姿を見たでしょう?」

中尉「もちろんだ」


であれば…
彼に対するファーストコンタクトは
”あなたは男が好きですか”
これに間違いない…
Yesであれば彼の心は女だろう…
Noであれば彼は男だ…


大鳳「驚かれたと思われますが慣れてください、この先も同じような体験はあるでしょうから」

中尉「あぁ」


いや待て…例えば僕がいきなり男は好きかと聞かれたら…
”お前は俺のケツを狙ってんのか?勘弁してくれよ”という
しかし彼はまじめな若者だ
怒るかもしれない・・・
仮にも彼は大佐だ、罰を受ける可能性もゼロではない


大鳳「ここまでで何か質問はありますか?」

中尉「うむ」


でははじめは何を言う?何を聞く?
いや…初心に戻ろう
僕が知りたいのは
”彼の性別”
これは個人的な興味だ…
真に知りたいのは…
”彼の心の性別”



大鳳「なんでしょうか?」

中尉「もちろんだ」

大鳳「???」


いやまてまてまてまて、少し落ち着こう…ここは慎重であればあるほど良い
そもそも彼のが男か女かその心はどうなのかという事を確実に知る必要は無い…
であれば
”どちらにより近いか”を知る
そしてそれによって明らかとなった性別に対する僕が取るであろう態度をとればよい…


大鳳「…お話を聞いていましたか?」ジトー

中尉「あぁ…」


これがきっと最適解のはずだ…

大鳳が男か女かを知るために中尉は質問をします
中尉に聞いてほしい質問があれば早い者勝ちで3つまで受け付けます
無ければ無いでいいです
時間も時間ですしね

※もちろん1人一つ

なお
セックス=入れる穴と出す穴…どちらがお好きですか?


大鳳「…まぁいいでしょう・・・・・・」

大鳳「では次に私のお話をします」

中尉「うむ」


では…質問はどうする?
女性が好きなもの=男が嫌いなものではないだろう…
しかし女性が好きなものが好きであるほど、女性らしいとは言えるのではないだろうか?


大鳳「…ご存知かと思いますが私は艦娘初の将校です、もちろん権力を振りかざすつもりはありません」

中尉「もちろんだ」


女性が好きなもの…
甘いもの、ピンク、動物、光るもの(カラスみたいだな…)


大鳳「しかし…立場上中尉より階級は上です」


ぬいぐるみ、中身のない長話、香水(そう言えば女からはフェロモンが出るとか…)
後はなんだ…個人的な興味に関して聞くか


大鳳「ですが私はあくまで艦娘…公の場以外では貴方の副官として働かせていただきたいと思っています…」

大鳳「了承していただけますか?」

中尉「あぁ…」

大鳳「それでは、航空母艦大鳳は本日付で中尉の副官兼秘書艦として働かせていただきます!」

中尉「うむ…」


よし
考えはまとまった


中尉「大鳳…僕は君の事が知りたい…」

中尉「いろいろと質問してもいいかな?」

大鳳「私にお応えできる範囲であれば、いくらでも」

中尉「ありがとう」

中尉「では…」




中尉「君は甘いものが好きか?」

大鳳「好みの一つではありますね、訓練の後などはたまに食べます」

大鳳「あっ…あそこのおはぎは甘すぎます!お土産に買ってきたりしてはダメなんですからね?」

中尉「あれは単なるジョークだよ」


甘いもの好き…か


中尉「ピンク色は好きか?」

大鳳「目立ちますし、ちかちかして好きではありません」

大鳳「ただ、桜や梅などの花は好きです」


身に付けるものとしては好きではない・・・


中尉「動物は好きか?」

大鳳「…可もなく不可もなくと言ったところでしょうか」

中尉「ふむ」


そこまで…という感じだな


中尉「光るものは好きか?」

大鳳「…私はカラスではありません!失礼しちゃうわ」プイッ


プイッ!だ
擬音を付けるならプイッ!だ
仕草は女みたいだな


中尉「ぬいぐるみは好きか?」

大鳳「…頂けるなら断りません」
(さっきから好きか嫌いかばかり…もしかして……まさかね…)


好きだな


中尉「長話は好きか?」

大鳳「いえ…あまり長いと飽きてしまいますので」

中尉「香水はどうだ?」

大鳳「!!??!?!?」

中尉「ん?」

大鳳「に、臭いますか…?」

中尉「いや、単なる好きか嫌いかの質問だ」

大鳳「…身だしなみとして…一応…」

中尉「そうか」


使うには使うか…
総評して…」
彼の心は女っぽいな


中尉「君は、その…スカートが似合うのだな?」

大鳳「へっ?あっ!はい・・・ありがとうございます…」

中尉「自前か?」

大鳳「これは…艦娘としての支給品です…」

中尉「そうか…」


という事は…彼の女装には軍が関わっている?
バカな…海軍は男色の気でもあるのか…
というか…男も艦娘になれるのだな
将軍は謎が多いと言っていた
何があっても驚くまい…


大鳳(いきなりなに!?思っていた人とだいぶ違う…)

大鳳(もう少し意地悪な人だと思っていたのに…)


中尉「攻めと受け、どっちが好みだ?」

大鳳「…空母ですからやはり目標射程外からの攻撃が得意です」

中尉「」

中尉「な、なるほど・・・・もう一度聞くが…」

中尉「空母は(共通して)目標(受けの相手は)射程外(あえて好みの年齢ではない奴を)を好むのか?」

大鳳「好むというよりも…それしかないと言いますか…」

中尉「」



空母は…つまるところ自分を追い込むのが好きなのか?
好きではない相手と攻防を広げ、興奮するように訓練?



!!!!?!??!?!?
つまりこいつらは


好 き な 相 手 の 時 に は よ り 激 し く 乱 れ る の で は ! ?


中尉「…」ゴクリ

大鳳「?」


こいつめぇ…可愛い顔してなんて淫乱な女…いや男だ
コイツの穴はもはや私有地かつ一歩通行ではない
男達の公道だ
畜生…とんでもない奴だ…
俺はもしかしたらとんでもない奴を従えてるのかもしれない
主に性的に


中尉「…」フゥ

中尉「これが最後だ」

中尉「僕のいない間の彼女達の様子はどうだった?」

大鳳「みなさんしっかりと私の命令にも従ってくれました」

大鳳「特に特Ⅲ型の子たちは頑張っていましたよ?」

中尉「そうか…よかった」


中尉「いろいろ聞かせてくれてありがとう」

大鳳「はい、それでは私は私室にいますので、用があればノックをしてくださいね」


そう言って彼は俺の私室の横の部屋に入る

中尉「…え?」


唐突であるが鎮守府の執務室は無駄に広く、設備がいい
執務室の入り口から向かって左には
水洗トイレ、檜風呂、台所、洗濯機などがある
右には一人なら十分な広さの部屋が二つ

ひとつは俺が使い、もう一つは何に使うのかと考えていた

その空き部屋に彼女は入ったのだ
ちらりと見えたその空き部屋は
絨毯にベッド、本棚などが置かれていた


中尉「た、大鳳…その…」

大鳳「あっ、ひとつ言い忘れていました」


続けられた彼女の言葉に僕は戦慄すると共に
菊門がキュッと閉まった


大鳳「秘書官と提督は執務室で同居するのが決まりなんです、緊急時の対応の為に」

大鳳「なので…」


大鳳「こ の お 部 屋 は 私 が お 借 り し ま す」


中尉「」

大鳳「…覗いたりしたら叩いちゃいますからね?」

大鳳「なーんて…ふふっ、末永くよろしくお願いします」ニコッ



中尉「」


ひまわりの花のような笑顔を残し、部屋に消える彼女
その笑顔は頬が上記するほどに可憐であった
女だったら…


女だったらよかったのに!!

あぁ…

神というものがいるならば
どうか…

どうか僕が彼の射程外であることを願う
待てよ?
というよりも…彼は穴なら何でもいいんじゃないか?
好き嫌いは存在しないのだから…



ダメじゃないかチクショウめ!!!

ねば


今後の生活に早くも幾ばくかの不安を覚え、部屋を後にする
廊下の窓から外を眺めると艦娘達が訓練をしていた
そう言えば彼女たちの訓練を見た事が無い
そう思った僕は、階段を下りて彼女たちの下へ向かう

訓練・演習場は広大な海で行う
港のようなものを考えてくれればよい
沖合の方に的を立てて、それを砲撃・雷撃するのが主な訓練内容
他には…


木曾「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラララララララララララララララララララララララララオラァァァァア!!!!!!!!」

夕立「ぽーーいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽいぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽーーーーーーい!!!!!!」

中尉「…」


あぁ言う手合いが海上で格闘訓練を行っていたりする
今現在砲撃訓練は第六駆逐隊が行っている
長門、そして睦月が訓練を施していた

僕はベンチに座ってそれを眺める艦娘の1人、吹雪の横に座る


吹雪「あっ!司令官!お疲あぅ…」


立ち上がり敬礼をしようとする彼女
それを強引に頭から押さえつけて阻止する


中尉「敬礼などは不要だ、楽にしてくれ」

吹雪「はい」


僕は彼女から不在の間の様子をより詳しく聞いた
話しによると第六駆逐隊の面々は僕のお見舞いに来ようとしていたらしい
しかし闘いの無い日々に堪忍袋の緒が切れた狂犬が立ちはだかり、彼女たちの行方を遮った
そこに吹雪が乱入して五対一の戦いが始まったと


中尉「それで?」

吹雪「結局のところ…私と夕立ちゃんが相討ちで倒れたところに長門さんが来て」

吹雪「面白そうな事をやっているじゃないかって乱入してきて」

吹雪「木曾さんも加わって…後はあの子たちの姿を見れば大体想像できるのではないのでしょうか…」


視線を吹雪から”あの子たち”に視線を移す
重低音の大砲を放つ四人
その頼もしい姿に一抹の不安を覚えたのは

きっと気のせいではないだろう


そんな彼女たちの訓練を眺めていたら、すでに陽は水平線に沈みつつあった
吹雪達は夕飯の準備に鎮守府に戻ったが、僕はまだここに残っていた


今現在、両隣には第六駆逐隊の面々が座っている
といっても…


暁「…」スピースピー

響「…」ハラョーゥハラショーゥ

雷「…」クゥクゥ

電「司令官さん、ゴメンナサイなのです…」

中尉「いや構わない」


僕の膝の上に乗る響
両隣りには暁と雷
三人は同様に寝息を立てていた
唯一起きている電は申し訳なさそうに彼女達を見ている

しかし…小学五年生あたりの子供が三人体重を預けているんだ…
重くないわけが無かった


中尉「みな大きくなった…数日しか過ごせなかったがよく覚えている…」

中尉「きっとドアを壊されたりお漏らしをしていたからなのかな?ははは」

電「///」


恥ずかしそうに俯く彼女


中尉「大きな体に大きな力、どうだい?慣れたかい?」

電「…簡単には慣れないのです…」

中尉「まぁ仕方ないだろう、いずれ慣れると睦月も言っていた」

電「本当でしょうか?」


真っすぐに僕を見る彼女



電「誰かを殺せるほどに大きな力…」

電「それに慣れることはいいことなのですか?」

電「電は…できれば戦いたくないのです・・・・・・」

電「沈んだ敵も助けたいのです…」


徐々に声が小さくなる彼女
自らの主張に自信が無いという事が良くわかった


中尉「だが慣れておかねば姉妹を守れない」

中尉「敵は電のそんな思いを理解はしてくれないぞ?」

電「そうですけど…でも……でも・・・・・・」


理解はできる、しかし納得はできない
こういうことはよくあることだ
それを理解したうえで僕は彼女に問いを投げる


中尉「君はその力を何に使いたい?」


膝のあたりで握りこぶしを作り、振り絞ったような声で彼女は答えた
見てくれは情けない子供
しかしその目は確かな決意に燃えていた


電「電の力は…誰かを守るために…使います…」

電「ダメでしょうか…?」


だがすぐさま自信無さ気な目に戻るあたり、彼女には挑戦心が足りないな


中尉「好きにするといい…子供は間違う事が仕事だ」

中尉「君が道を踏み外した時は必ず僕が導く」

中尉「子供の間違いを正すのは大人の仕事だ」

電「じゃあもし…」

電「もしも電が絶対正しいと思った道が…司令官さんにとっては絶対に間違った道だったら…」

電「司令官さんは…どうするんですか?」



このような質問をしてくるあたり
彼女は自分がいずれ歩く道は、僕にとって許容しがたいものだという事をわかっているのだろうか?
勿論未来はわからない
しかし、救うために殺す僕と守るために力をふるう彼女
その道は決して交わることは無いだろう


中尉「そうだなぁ…その時は…」

中尉「僕を殺してでも…君の言う正しい道を貫きたまえ」

電「!」

中尉「その時…君はもう子供ではなくなる」

中尉「故に僕も自分の道を全力で貫き通す」

中尉「その勇気もないならば、子供のままで僕の後ろを黙ってついてくることだ」

中尉「少なくとも…大事には至らない」

電「…」

中尉「さぁ、そろそろ行こうか」

電「・・・・・・もう少しここにいるのです…」

中尉「そうか」


僕は三人を担いで鎮守府に戻る
言い過ぎただろうか?
しかし事実だ
子どもと言えど一人の人間
綺麗事で汚い現実を隠すのは、大人の怠慢であると思う
許容できない現実であろうと、それをどうとるかは子供次第

善悪は置いておいて、1人の大人としては
願わくば彼女が僕に牙を剥くことを期待している
大人に真っ向から反抗すること
私見ではあるが、それが大人への近道であると思う

単純に楽じゃないからな……







電「…」


電「…」ショボン



「うう…ゥうゥ…ウうウゥ…」バシャバシャ


電「ふぇ!!な!なんなのです!?」キョロキョロ



「あうぅ…ウァ…」


電「あれは…深海棲艦?…」


電「怪我してる…たすけ――」




僕を殺してでも…君の言う正しい道を貫きたまえ





電「!!!」




電「ううぅぅ…うぅー…」



「ガッ・・・・ゴホッ・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・」ブクブクブクブク



電「うー!!!うー!!!!」



電「みんなで幸せになれる道が!きっとあるのです!!」

電「絶対あるのです!!」

電「だから…だから!!!」

電「沈んだ敵も!!助けるのです!!!今行くのです!!」ザブーン





















若葉「…」


若葉「ふむ…」スタスタスタスタ

どうでもいいけど出す穴と入れる穴二つにホースブッ刺してぬるま湯を目いっぱい流し込んだらどうなるのかな?
お腹パンパン…吐く…いや零れる?
…大鳳…ガス漏れ?

書かねば(使命感)

大鳳「や、やめて…近づかないで…」提督「ふふふ…」ジリジリ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432656027/)

今日は書けそうにないからよければこれを読んでくれ
ここだけの話、次のターゲットは睦月なんだ…

初めてスマホ買ったら課金ゲームテラオモシwwwwwwwwwwww
うwwwwwwwwっうぁあああwwwwwwwwさんびゃくえんも課金しちまったwwwwwwww
OH!WAROTARION!!!─=≡Σ((( つ•̀ω•́)つ





明日書く
許しは請わない、だが後悔だけはさせない

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短編 カミツレは淑女の胸に



大鳳「ダンスパーティですか?」

中尉「あぁ、陸軍時代の同期が好きでな…顔だけでも出そうかと」

大鳳「はぁ…中尉はダンスはなさるんですか?」

中尉「…小さいころは父によく連れて行かれてな…たしなむ程度だ」

大鳳「しかし…ダンスパーティーであれば…お相手が必要では?」

中尉「それならうってつけの子がいるじゃないか」

大鳳「…意図的に恥をかかせようというのですか…」

中尉「僕は大将に育てろと言われたのだ、であればどこに出しても恥じない女にすべきだと思っている」

大鳳「…」

中尉「井の中の蛙大海を知るといったところか…」

中尉「明日の昼、彼女に正門まで来るように伝えておいてくれ」

大鳳「嫌です」キッパリ

中尉「え」

大鳳「この大鳳も女性なのです」

大鳳「仕事ならまだしも私用で他人…ダンスパーティーの誘いを他の女性にさせるなど…」

大鳳「中尉は少し…いや、大変よろしくありません」

中尉「あっはい」
(そうだ…そう言う設定だったのだ…)

大鳳「善は急げです!さぁさぁ!」グイグイ

中尉「あぁおい!」バタム

大鳳「…ふんっ!」

中尉「まいったなこりゃ…」




コンコン はーい


中尉「すまん、暁はいるか?」ガチャ

そこは第六駆逐隊に当てられた部屋
以前は皆小部屋だったが…
そこら辺の事情は我々を俯瞰する神にでも聞いてくれ

響「こんにちは中尉

響「暁」クルリ

暁「こんにちは中尉、ごきげんよう」

中尉「…暁、こんにちはかごきげんようか…挨拶はどちらかひとつでいいのだぞ」

暁「へっ?…あっ」

暁「に!二回言ったらその分お得なのよ!!」

響「暁…」

中尉「まぁいい…明日は暇か?」

暁「何か御用?」

中尉「あぁ、ヒトゴマルマルに正門前まで来てくれ」

暁「え?なんで?どこかへお出かけ?」」

中尉「来ればわかる、じゃ」バタン

暁「???????」

響「そんな顔されても…」








暁「??????????????」


中尉「さて…来たな」

暁「もうそろそろどこへ行くか教えてよ!」

中尉「いいから車に乗るんだ」

暁(街の方かしら?)テコテコ




美容院


中尉「パーティーがあるんだ、この子を素敵なレディにしてやってくれ」

美容師さん「はい、かしこまりました」

暁「え?」



洋服屋


中尉「パーティーがあるんだ、この子をステキナレディにしてくれ」

洋服屋のお姉さん?「うふん、いいオ・ト・コ♪今度お茶しましょ?」

中尉「え」

洋ry「冗談よ、さぁお嬢ちゃんこっちよ」

暁「え?」

暁「え?」


凄い豪邸


暁「ふああぁぁ…すごい…」

中尉「さぁ胸にこのブローチを付けて…行こうかお嬢さん」スッ

暁「あっ…はい・・・・・・」ギュッ

中尉「今からダンスパーティーがあるんだよ」

暁「えっ?暁はそんな…踊れないわ…」

中尉「僕に身を預ければ大丈夫、さぁ行こう」グイッ

暁「あっ…」

暁「////」ドキドキ


暁「…」ドキドキ
(わぁ…大人のレディがいっぱいいる…)

暁(恥ずかしいよ…司令官はなんでこんなところに…)

中尉「いいかい暁?恥ずかしくても背筋を伸ばして胸を張るように…」

暁「…こう?」

中尉「そうだ…ゆっくりでいいからな」

暁「…」シャナリシャナリ


「ん?貴様死神ではないかぁ!!」

中尉「…友じゃないか」

友「まさか貴様が来るとは思わなかったぞぉ!!」

友「なにせ――…あぁ、すまん…」

中尉「構わんさ、そういえば大佐に昇格したとか聞いたぞ?おめでとう」

友「ありがとう、しかし貴様も…あんなことをしなければ…」

中尉「よしてくれ、終わったことだ」

中尉「しかしいいのか?俺といたらあらぬ噂を立てられるぞ?」

友「友人を捨てねば維持できないものなど俺はいらんな」

中尉「ふふっ…」

友「くははは…」

中尉「久しぶりだ親友よ」ガシッ

友「元気で何よりだ」

暁「…」ウズウズ

友「そういえば先ほどからそこにいる麗しい少女は?」

中尉「あぁ…暁、自己紹介を」

暁「ご、ごきげんよう…あっあか…暁です!!」
(かんじゃったよぉ…)

友「ふむ…このような場は初めてかな?」

暁「は…はいぃぃ…」

友「ではこのような場での事を学んだ方が良いな…妻を呼ぼう」

中尉「いいのか?」

友「なぁに、うちの妻もこういった場は好まんのだ、故に手透きでな」

中尉「どういう事だ?このパーティーはおまえ―――友「その辺についても話しておこう」ボソッ

中尉「…わかった・・・・・・」

友「それじゃああそこのバルコニーに妻はいるから」

暁「あっ!はい!ありがとうごじゃいましゅ!!」





ねば
明日には終わる
ていうか艦これは課金当たり前じゃん(白目)

>>325
お前のせいで一日潰れた(硝酸)


暁ちゃん素敵って当たり前の事なのよね

>暁「もうそろそろどこへ行くか教えてよ!」
>中尉「いいから車に乗るんだ」

抜粋するといかがわしくなるから不思議


ガチャ


暁「えと…あの人かなぁ…?」キョロキョロ

妻「あらっ?どうしたのかな?」

暁「あの…その・・・・・・」

妻「?」

暁「えと…司令官が、旦那さんと話してて…」

妻「…そう・・・・・・来たのね」

妻「なら少しお話しましょうか」

暁「あっ…はい」


多分一時間は経っていたと思う
暁は奥さんからいろいろな話を聞いた
旦那さんとの馴れ初めや日々の生活の愚痴
「司令官は自分の事を話さないから、時々話題に困っちゃうんだけど…二人は困らないの?」
ふと暁はそんな質問をした
そしたら奥さん…ちょっと困ったような顔して
「私たち二人がまくしたててたから、彼は話す必要が無いの」
暁には、奥さんが何故困った顔をしていたのかはわからなかった

二人の話が終わったのかな?、司令官がこっちに手を振っていた

暁は最後にこう質問した
「立派なレディになるにはどうしたらいいですか?」

奥さんは暁の目線までかがんで
「そんなのわからないわ」
「ただ…あの堅物が自分の事をあなたに話した時、きっとあなたは立派なレディだわ」

続けて
「あいつは本来隠し事なんてできるタイプじゃないのよ…嘘はつけてもね…」

そう言うと奥さんは暁に戻るよう催促した

暁は聞いた
「司令官は何かいけないことをしたの?」

奥さんは押し黙るように俯いちゃった
「…綺麗なブローチね?よかったらいただけるかしら?」

特に入れ込みも無い装飾品、暁はそれを奥さんにあげた
奥さんはそれを受け取ると、お返しなのかな?
真っ白なお花のブローチを暁の手に握らせた

「これはあの人の…中尉が過去に置き忘れた思い出…」
「それをあなたにあげるわ、誰にも恥じない淑女に成れた時…付けなさい」
「このことは…いや、今日ここで話したことは全部レディの秘密よ?」

暁は頷いて奥さんにお礼を言った
暁は中尉の下へ向かう

「さよなら小さなレディ、いつか彼を救ってあげてね?」



それが奥さんと話した最後の言葉だった





中尉「さぁ暁、そろそろ帰るぞ?」

暁「うん、わかったわ」

中尉「…場の空気に慣れたか?余裕だな」

暁「立派なレディとお話したんですもの!当然よ!」

暁「あんなレディを奥さんに持った人は幸せね!」

中尉「そうか、よかったな」

暁「なによ、他人事ね…」

中尉「まぁ他人だからな…」

中尉「ん?暁、胸のブローチはどうした?」

暁「へ?奥さんにあげちゃったわ?」

中尉「奥さん?」

中尉「あぁ、君の言う立派なレディの事か?」

暁「そうに決まってるじゃない、司令官は知らないの?」

中尉「知っているも何も…ここには知人なんて友ぐらいだ」

中尉「その人は僕を知っていたのか?」

暁「そりゃ――」



―今日ここで話したことは全部レディの秘密よ?―



暁(そうだ…暁は約束したんだ…)

中尉「暁?」

暁「…秘密よ!!」

中尉「…まぁいいか、君が少しでもレディの勉強ができたなら良しとしよう」

暁「えぇ、素敵な時間だったわ!」

暁「連れてきてくれてありがとう!司令官!」










中尉「暁、少し寄り道をしていいかな?」

暁「えぇ、いいわよ」

暁「どこへ行くの?」

中尉「…大切な友人の所だ」



暁「ななな…なな…ここ…ここここ…」

中尉「心配するな、いい幽霊しかここには出ない」

暁「それが怖いのよ!!」


連れられた場所は屋敷から車で30分ほどの森
暗い暗い森


ガァガァ!!!!!!!!!!!


暁「いやあああぁぁぁぁぁぁ!!!」ガシィ

中尉「うるさいぞレディ、もうすぐだ」



歩き続ける事20分
月明かりが照らす開けた場所に出る

大きな木の下
そこにたたずむ墓石と咲き誇る花々


暁「…綺麗・・・・・・」

中尉「ここは昔火事が合ってな…」

中尉「あの墓石はその時の死者を弔うためのものなんだ」

暁「…そう」


暁は石碑に近寄り、手を合わせ黙祷する


暁「怖がってごめんなさい」

中尉「…ありがとう暁」

中尉「心配するな、そのくらいで怒るような奴等じゃない」


中尉は途中で買ってきたであろう饅頭を備える
その間あたりを見渡していた暁はある事に気が付いた
咲き誇る花々


中尉「綺麗だろう?ここで死んだ友人が好きだったんだ」

中尉「カミツレと言ってな…彼女はブローチにして常に身に付けるほど好きだった」

中尉「オーダーで作った唯一無二のブローチだった」

中尉「カミツレにはな?苦境の中の強さ、貴方を癒すと言った花言葉があるんだ」


暁の脈拍は速くなっていた
中尉の話など耳に入らないほどに
暁は知っていた、この花の事を
彼女はポッケの中のあるものに触れる


暁(これは…)

中尉「凄い火事でな…当時の人の遺品は何一つ残らなかった」

暁(このブローチは…)

中尉「彼女のブローチも…きっと…」

暁(カミツレの花のブローチ…)

中尉「跡形もなく燃えてしまったんだろうな…最後まで大事に握っ……んんっ…」

暁(ここで死んじゃった司令官の友人の…大切なもの…)

中尉「…願わくばあの世で同じものを造れる職人がいたらいいんだがな・・・・・・」

暁(最後まで持っていた持ち物…)


暁(唯一無二の…)


暁(じゃあこれは何?)


暁(それを持っていた・・・暁とお話してた奥さんは・・・・・・)









誰?



短編 カミツレは淑女の胸に

本編に続く

お盆にお面が売られてるのは、生者と死者がわからないようにする為なんだって
もしかしすると君と一緒に踊っている人は、君が逢いたい誰かなのかもしれないね 
byなんかの小説

ねば

ウィズ面白いね
モバマスは宗教、俺は文月教
先入観は怖い

ではお前ら


世に文月のあらんことを


中尉「ふむ・・・・」

若葉「というわけだ…どうする?」

中尉「敵意は?」

若葉「無かった」

中尉「では電は無事だと?」

若葉「そういう事だ」

中尉「であれば…」


執務室に若葉が来たのは、夕飯が終わってすぐの事だった
電と少々問答を行った後の彼女の動向について
若葉の話によると、電は鎮守府近海に漂流していた人型深海棲艦を助けたそうだ
彼女が選んだ道は僕と反対
であれば僕は…


中尉「泳がせよう、ただこの鎮守府に害ありと判断したら僕に報告してくれ」

中尉「僕が殺す」

若葉「…人の身で深海棲艦を?」

中尉「陸に上がればシャチでさえ人に殺される」

若葉「それもそうか…承知した」

中尉「ご苦労だったな…」

若葉「気にするな、若葉は中尉の片腕なのだ」


そう言って部屋を後にする若葉
残ったのは二人



中尉「…何か言いたげだな副官殿」

大鳳「大鳳とお呼びください」

大鳳「一つよろしいですか?」

中尉「許可しよう」

大鳳「深海棲艦を殺す…そのことについては重ね重ね同意です」

大鳳「しかし早急に殺さねば…情が移ります」

中尉「その時はその時だ、守りたいものを…助けたいものを僕からすら守れないようなら彼女は何も守れない」

中尉「仲間でさえな…」

大鳳「…私は反対です…やり過ぎです」

中尉「ではどうする?今すぐ殺すか?」

大鳳「何故中尉は殺す殺さないの二択で話し合おうとしないのですか!」

中尉「説法はいい、僕に反対というならば君はどうするのだ?」

大鳳「…まずは接触します、その後話し合う」

大鳳「そして…」

大鳳「排除しようというものの排除」キッ

中尉「僕を殺すのか?」

大鳳「殺しはしませんが泣かせます」


そう言って彼女は執務室の出入り口に向かう


大鳳「ご心配なく、責任もって看病しますので」

大鳳「失礼します」バタン

中尉「…まったく・・・・・・」

中尉「感情的なところはホント女だな…」

中尉「尻まで振っちゃってまぁ…」


大鳳(戦ばかりの世の中、派閥争いの繰り返す本部に艦娘を兵器としてしか見ない提督)

大鳳(ゴミだめみたいな世界、誰が敵か味方かもわからない世の中)

大鳳(電ちゃんは艦娘の使命に背を向けてまで敵を助けようとした)

大鳳(それは…間違っているかもしれない)

大鳳(でも…)

大鳳(私は泥の中で光る花を見つけた、そんな気がした)

大鳳(私はあの心を折らせたくはない…)

大鳳(電ちゃんは何処へ)

若葉「入り江の洞窟だ」

大鳳「!」

若葉「探してたのだろ?」

大鳳「…そうですけど」

若葉「黙っていろという命令は受けていない」

大鳳「では何故…」

若葉「なに、中尉のおぜん立てさ」

大鳳「……中尉もあなたも…何を考えているのかさっぱりわかりません…」

大鳳「言いなさい、おぜん立てとはなんですか?」

大鳳「これは命令です」

若葉「…若葉の上官は中尉だ、失礼する」スタスタ

大鳳「…今は…入り江に…」

neba


ナノデス・・・・
キルノデス!


(誰かの声が聞こえる・・・・)

イシキガナイノデス・・・・

(よかった、私はまだ沈んでいないんだ・・・・・)

ミズハハキダシタシ・・・・

(この人が…助けてくれたんだ・・・・・)

・・・・ヤムヲエナイノデス

(お礼を・・・・言わないと・・・・・)

「…」パチリ

電「Nano death!!!!!!!!」ドゴォ

「ブッフォン!!!!!」メリメリゲフゥ

電「あっ!やっとおき…「ぅぅ・・・・」あわわわ!寝ちゃ駄目なのです」

電「こうなったらもう一発」スッ

「待って!起きた起きました!!!」

電「良かったのです・・・・闘いは嫌ですから・・・・」

(戦いというよりもリンチ・・・・)

(それよりも…)

「・・・・・あなたが助けてくれたの?」

電「はい!危ない所だったのです!」

「ありがとうございました・・・・えっと・・・・・」

電「電は電なのです」

「あっ私は春雨」

春雨「駆逐艦春雨・・・・です・・・・・」

春雨「・・・・・いや・・・・・・今はもう・・・・・」

春雨「ごめんね迷惑かけて、すぐに出ていくから」

電「その必要は無いのです!」

春雨「・・・・えっ?」

電「深海棲艦でも戦う気が無いなら友達なのです!」

春雨「友達・・・・?」

春雨「でもここ・・・・・鎮守府の近くなんじゃ?」

電「そうですが?」

春雨「電ちゃんが許してくれても・・・・・提督さん達は・・・・」

電「電が守るのです!!」

春雨「・・・・なんで?」

電「なんで・・・・ですか・・・・」

電「電は・・・・・あなたを助けたいと思ったのです…」

電「それだけなのです」


春雨「・・・・ないでよ・・・・・」

電「へ?」

春雨「同情なんて・・・・・しないでよ・・・・・」

電「あ?」

春雨「私の姿はそんなにも醜いですか?」

春雨「白い肌に赤い目、膝から下はイ級が付いてて・・・・」

春雨「私の存在はそんなにもかわいそうですか?」

春雨「深海棲艦に堕落した身でも!私は誇り高き艦娘です!!!」

春雨「私の気持ちなんてあなたにはわからないでしょうけどね!!!」

春雨「他人の情けで生き延びるくらいなら!!」

春雨「死んでやる!!!こんな生き恥耐えられない!!!!」



電「うるせーのです!!」バチン

春雨「うえぶ!!」

電「ぎゃーさかやかましいのです!!死ぬとかなんとか物騒なのです!!

電「こちとら半端な覚悟で助けるって言ってないのです!!」

春雨「ふぇ…」

電「最悪司令官さん殺してでも守ってやるって言ってんのです!!」

電「確かに電は貴方の気持ちなんてわからんのです!!」

電「でも!泣きたいときに傍にいてあげるくらいの事は出来るのです!」

電「悲しいことを分かち合うことはできるのです!!」

春雨「うぅ・・・・でもぉ・・・・・」

電「そんなにも怖いですか?また攻撃されるのが?」

春雨「うっ・・・・・なんでそれを・・・・・」

電「ケガを見ればわかるのです・・・・」

電「そんなにも傷つくのが怖いなら、電の後ろに隠れるのです!」

電「電が壁になるのです」

電「とにかく生きるのです!」

春雨「・・・・・」グジュ

電「生きていれば何かが変わります!でも死んだら終わりです!!」

電「答えるのです!生きるのか!本当に死ぬのか!!」

電「二つに一つなのです!!」

春雨「・・・・・」マブタゴシゴシ

春雨「・・・・私は・・・・・生きたい・・・・・です・・・・」

春雨「・・・・勇気が出るまで、私を守ってください」


電「その言葉が聞きたかったのです」

電「さぁ行くのです!」グイッ

春雨「えっ?ど、どこへ?」

電「ばれる前に先手を打つのです」

春雨「ま、まさか・・・・・」

電「敵(中尉)は鎮守府にあり!なのです!」

春雨「えええぇぇ!!!!!」


イクノデスー!!!
ウソッ!ジョウダンデショ!?


大鳳「・・・・」

大鳳「ふふっ・・・・若い子は無鉄砲でいいわね・・・・」

大鳳「ヤダ!私何おばさんみたいなことを・・・・」スタスタスタ


それは一本の館内放送
夕食が終わり皆が各々で自由に過ごしてた時に鳴り響いた


電『電の本気を見るのですー!!』

電『司令官さん!今すぐ演習場に出てくるのですー!!』


電の突然の館内放送
鎮守府の面々は演習場に集まった



電の放送直後


雷「電・・・・あんたなんて奴を招いてるのよ!!」

電「覚悟の上なのです!」

暁「・・・・艤装までつけてる」

響「電、悪いことは言わない、こっちにくるんだ」

電「この子は友達なのです」

睦月「・・・・姫級?」

吹雪「多分・・・・」

夕立「・・・・・春雨?」

夕立「随分とハッピーな恰好っぽい?」

春雨「・・・・」タジ

長門「・・・・・」ゴゴゴゴ
(新たな駆逐艦・・・・しかも・・・・・美肌!!)

木曾「・・・・」ゴクリ
(姉さんが笑ってる・・・・こいつはここが戦場になるかもしれない・・・・)


五分後・・・・


雷「電!私はあんたをそんなふうに育てた覚えは無いわ!!」

電「育てられた覚えは無いのです!!」

暁「不良よ!不良だわ!!」

響「電!雷になんてことを言うんだ!!」

電「うるさいのです!このわからずやぁ!」

睦月「・・・・コント?」

吹雪「多分・・・・」

夕立「へぇ・・・・・これ浮くんだ・・・・」サワサワ

夕立「ちょっとうらやましいっぽい!」

春雨「あ・・・・えへへ・・・・」

長門「・・・・・」ドドドドドド
(浮く・・・・だと?・・・・か?・・・・・ホバリングなのか!!)

木曾「・・・・」ゴクリ
(姉さんがますます笑ってる・・・・あの眼は深海棲艦から装備を剥ぎ取った時と同じ目だ・・・・)



20分後


雷「うぅ・・・・電が悪い子になっちゃった・・・・司令官に合わせる顔が無いわ・・・・」オヨヨ

電「あっ・・・・その・・・・・くぅぅ・・・・・」

暁「・・・・なんか苦しそうね?」

響「良心の呵責という奴だ」

電「冷静に分析しないで欲しいのです!」

睦月「・・・・反抗期かな?」

吹雪「それは違うかな・・・・」

夕立「きゃー♪艦載機みたーい!」

夕立「もっと高くとぶっぽーい!!」ユラシユラシ

春雨「姉さん!あんまり暴れないで!」ヒューン

長門「・・・・・」シュインシュインシュインシュイン
(あの深海棲艦!!)

木曾「・・・・」ゴクリ
(何かに気付いたのか!?)


30分後


雷「・・・・」

暁「・・・・・・・」コクンコクン

響「暁、眠いなら帰ろうか?」

暁「・・・・まだいりゅ・・・・」

睦月「・・・・にゃは?」

吹雪「にゃは・・・・」

夕立「ぽいー!!!!」

夕立「ぶふっ」ザブーン

春雨「暴れないでって言ったじゃないですか!!」ヒューン

長門「・・・・・」シュー
(はいてない)

木曾「・・・・」ゴクリ
(一転して穏やかな顔に)



電「なんで来ないのです!!!!」






大鳳「行かないのですか提督?」

中尉「行くかバカ」

大鳳「バカとはなんですかバカとは」グリグリ

中尉「頼みがあるなら来るのが礼儀だ」








          (>ry<)-\
     /  { { { 八  '、
   <,_彡ハ_八_/リ\// 彡_>  
    f⌒)|八 |>  <  |八
    \ ∨ 「" r'ー┐"∠ィ|) \__
      ∨ 人   、_丿  イ| , \  \
    / ∧」」>、 __, イト八 V⌒) 厂
  /   ノ '\__/├‐) )く.  \
 /  ( (  くr:《人》└∠/   \厂
 |/\ \|\r「|:::::::::::::r< F_ヲ/⌒

     \ノ 厶乂_/X/┘,」 \
         |  |マ┴く ̄ ̄\厂
         l∧| ー‐ヘ
             \∧ 

次は夕立ちゃんがぽいぽいする話をかきたいっぽい!!!

ねば

いやそこはポイポイっぽい犬みたいなポイをポイポイしてからポイポイをだなポイポイしてポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイ


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ぽいを書こうと思ったら睦月ssや大鳳ssはおろか前作すらポイされてなかった
ポイされてから書くわ
情熱的な>>377すまんな


中尉「さて・・・・正直なところ、こんなに強引に来るのは予想外だったぞ」

中尉「電」

電「・・・・電は本気なのです」フンス

場所は変わって執務室
一向に演習場に来ない提督に腹を立てた電は、自ら執務室へと足を運んだ

執務室への入室を許可されたのは電、春雨、長門、木曾、吹雪であった

春雨「電ちゃん・・・・」

電「大丈夫、電が守るのです」

中尉「そいつが若葉の言っていた・・・・」

春雨「うぅ・・・・・」スス

長門「こいつの様子を見ていた限り、敵意は無いと思えるが」

中尉「長門、貴様の言葉は今では説得力は無い」

中尉「そのドアを壊す原因を作ったのは誰だったかな?」

長門「ぐっ・・・・しかしだな・・・・・」

木曾「あぁー姉さんの味方をするつもりはないが・・・・少なくとも敵意は無いと思うぜ?」

中尉「そんなことはわかっている、あればお前が見過ごすはずはない」

中尉「しかし問題はそこではない」

中尉「こいつが深海棲艦であることが問題なのだ」

春雨「・・・・」

電「深海棲艦なら誰でも殺していいはずが無いのです!!」

中尉「・・・・」ハァ

中尉「吹雪、お前たちの使命はなんだ?何のためにお前たちはここにいる?」

吹雪「それは・・・・」

中尉「答えろ」

吹雪「・・・・深海棲艦の・・・・・殲滅・・・・です」

中尉「その通りだ」

電「吹雪さん!」

電は批判的な目で吹雪を見る

吹雪「ごめんね・・・・・でも・・・・・」

木曾「電、俺たちは軍人だ」

木曾「軍人は上官が定めた敵と戦うから軍人だし金が貰える」

木曾「軍人は敵を殺す、敵の抑止力となることが仕事なんだ」

木曾「軍人として、そこがぶれちゃやってけねぇんだよ」

木曾「吹雪は軍人として正しい、今お前がやってんのは軍紀違反だという事を理解しているか?」

木曾「わかってんならそんな目で吹雪を見るな、わかってないなら今すぐ軍から抜けろ」

電「・・・・・・」

春雨「・・・・電ちゃん・・・・・・」

電「大丈夫、大丈夫なのです・・・・・」

地味に台本書きと地の文の改行を二行から一行に変えた
その方が多く書けるという理由だ
読みづらかったら言ってくれ
二行に戻す



大鳳「木曾さん・・・・」

大鳳が木曾をなだめようとした時
中尉が彼女を手で制す

中尉「木曾、確かに電のやっていることは軍紀違反だ」

中尉「しかし、彼女のやっていることを咎める気は僕には無いんだ」

木曾「・・・・何故だ?」

中尉「ついさっき、電と話した」

中尉「彼女は自分の力を誰かを守るために使いたいと言った」

中尉「僕は彼女にこう返した、貫きたい信念があるなら僕を殺してでも貫けと」

中尉「そして今、彼女は敵の前に立ってその力を行使しようとしている」

中尉「僕を殺す覚悟を決めてだ」

中尉「僕はそんな彼女の姿勢を評価したい」

中尉「無論、勝手に鎮守府に敵を入れた罰は与えるがな」

木曾「・・・・お前がそう言うなら俺がいう事じゃないな」

電「・・・・司令官さん」

中尉「勘違いするなよ電、僕は君の味方をするつもりは無い」

中尉「だが・・・・よく知っておいてほしい」

中尉「守るというのは、本当に難しいんだ」

中尉「どんなに傍にいようと、助けられない命もある」

中尉は立ち上がり後ろにある窓を開ける
そして引き出しから電鍵を取り出し、打ち込んだ

ツ ツー ツ ツ  ツー ツ

中尉「良く肝に銘じておくといい」

中尉「自らの無力さを」

中尉「そして学ぶんだ」

中尉「君はどうすればよかったのかを」スッ

中尉が左手をあげる

瞬間

発砲音






春雨「ああああぁあぁぁぁあぁぁ!!!!!」

電「・・・・・え?」


響き渡る絶叫
春雨の左肩から血が噴き出す
目の前に立っていた電は大量の血飛沫を浴びた

電「・・・・はる・・・・・さめさん?」

状況が理解できない電を置いて、状況は進む

木曾「お前・・・・」

春雨「痛いぃ!肩が!!肩が!!!!」

吹雪「狙撃!!電ちゃん伏せて!!」バッ

電「ひゃあ!」

吹雪は飛びついて電を床に倒す

長門「とにかく止血だ!傷口を抑えつつ入居施設へ運ぶ!」

素早く駆け寄る長門

大鳳「待って!艤装を付けていない段階ではお湯につけてもダメ!!」

大鳳「まずは銃弾の摘出と縫合を!」

春雨を連れて行こうとした長門を止める大鳳

長門「深海棲艦の艤装は常に展開されている!」

大鳳「でも血が出てるじゃないですか!!」

春雨「あぅぅ・・・・・いだい・・・・いやぁ・・・・・・」

長門「バカモン!つまりこいつは妖精の加護を受けた弾にやられたという事だ!!」

大鳳「妖精の加護?まさか!!!」

中尉「・・・・」

長門「とにかく手伝え大鳳!!」

長門「艤装を展開してると言えどこのようすじゃ障壁なしで食らっているんだ!!」

大鳳「わ、わかったわ!!」ダダダ

静まりかえる室内
床に伏せる吹雪と電
目を真ん丸に開けて注意を見る木曾
そして

中尉「なんだ電」

中尉「守るんじゃなかったのか?」

中尉「あの深海棲艦を」スラッ

静かに抜刀する中尉



電「あ・・・・」

彼女はようやく状況を飲み込んだ
そしてそれをシンプルに解釈する

結果
その怒りは中尉へ向かった

電「・・・・なんで・・・・・なのです・・・・・」

木曾「電・・・・・」

電「なんで電を狙わないのですかぁ!!!」

吹雪「電ちゃん!!」ガシィ

電「離して!離してよぉ!!!」

暴れ狂う電を吹雪が羽交い絞めにして止める
練度の差はあれど、電は興奮していた

吹雪「くぅぅ・・・・」

電「司令官さんは!!司令官さんは!!!」

中尉「これが道を貫くという事だ電」

中尉「僕は僕の流儀で道を貫く」

中尉「言ったはずだ、勇気が無ければ黙って僕について来いと」

電「吹雪さん離してよ!!」

吹雪「出来るわけないでしょ!!」

中尉「あぁ、何故春雨を狙ったのかだったな」

中尉「僕の経験上、死ぬ気で守ろうとする奴は強いんだ」

中尉「だがそう言う奴は守る奴が傷つけば途端に弱くなる」スッ

電「離せぇ!!!」バッ

吹雪「ダメぇ!!!」

中尉「怒りに身を任せるから攻撃が単調になる」

中尉「こんな風にな」

電「このおおぉぉおぉ!!!」

咆哮と共に中尉に直進する電
上段に構えた軍刀を振り降ろす中尉

しかしそれはかつての金剛の時のように
第三者の手で阻まれた

木曾「やめねぇかてめぇら!!!」ゲシィ ガキィン

電「ふぇぶ・・・・」

中尉「…」キリキリ

木曾は電の横面を蹴り飛ばし、その勢いで抜刀
中尉のひと振りを止める

木曾「吹雪!そのバカを地下牢に入れとけ!!」

吹雪「は!はい!!」

吹雪は電を担いで素早く執務室から出ていく

中尉「・・・・懐かしいな」キン

中尉「前も君が止めた」

木曾「んなこと言ってる場合じゃないだろ・・・・」キン

木曾は刀を鞘に戻し、ソファに座る
そして諭す様に中尉に言った

木曾「やり過ぎだ」

中尉「・・・・」


中尉は開けた窓を閉め、イスに座る

中尉「君だってあそこまで蹴る必要は無かったんじゃないか?」

木曾「仕方ねえだろ・・・・」

木曾「姉さんは腕は立つがいかんせん駆逐艦に甘い」

木曾「大鳳は厳しく叱ることができない」

木曾「それで俺までへらへらしてたら兵士の質が下がる」

中尉「下士官の鏡だな」

木曾「そりゃどうも、だが話を逸らすな」

中尉「・・・・」

木曾「あそこまでやる必要は無いだろ?口で言ってやりゃあいいじゃねぇか」

木曾「あいつらは素直に聞くぞ?」

中尉「木曾・・・・それではすぐに忘れてしまうのだ」

中尉「なるほど、毎日のように言い聞かせれば皆忘れないだろう」

中尉「だが・・・・・どれだけ奴が清い奴であろうと、我々の敵の1人なのだ」

中尉「悲しいかもしれないが、それが現実だ」

木曾「・・・・」

中尉「長く過ごせば慣れが出てくる、慣れは隙を生む」

中尉「ふとした切っ掛けで上層部にばれればどうなる?」

中尉「俺は責任を取って辞任、春雨は殺されるだろう」

中尉「ではどうするか?」

中尉「電の信念を尊重し、助けた敵を守るにはどうすればいいか?」

中尉「答えは身近に敵を作ることだ」

中尉「少なくとも今回の僕の反応で、電は僕を警戒する」

中尉「僕にばれぬ様に隠すだろう・・・・だがそれでいい」

中尉「これで彼女の信念も、彼女の守るものも僕は守れる」

中尉「この環境を作り出すために、今回の事は必要だったのだ」

木曾「・・・・じゃあ俺たちに見せたのは」

中尉「事の顛末を広げるためだ・・・・話がどう変わろうと悪人が変わることは無いだろう?」

木曾「・・・・知ってるか?あんたのそれは自己犠牲というんだぜ?」

中尉「それは見解の相違だ」

中尉「これは教育だよ」

木曾「教育だと?」

中尉「そうだ教育だ」

そう言うと中尉は引き出しからチョコレートを出して机の上に置いた


中尉「胎児の時から耳に響くのは母の声だ」

中尉「故に子供は、母に甘えることが多い」

中尉「何せ生まれる前から自分を守ってくれた奴なのだからな」

中尉「では家庭内に置いて、父親がすべきことは何か?」

中尉「それはいずれ超えるべき壁となり、子供を正しい方向へ導くことだ」

中尉「例え殴ってでもだ」

中尉は立ち上がり、戸棚を開ける
取り出したのはせんべいの袋

中尉「甘やかすのは母親がやってくれるからな」

中尉「電に限らず、第六駆逐隊の心はまだ未熟だ、だから教育が必要だ」

中尉「鎮守府において、母の役割は皆でやれるだろう」

中尉「だから僕が厳しくする、君がやってきたようにな」

中尉「こう言ってみれば・・・・」

中尉「たしかに僕の行動は自己犠牲と言えるのかもしれん・・・・」

木曾「お前・・・・見k中尉「では君と僕の見解の相違とは何か?」

まだ僕がしゃべっている
そう言っているかのように木曾の話を遮る

中尉「僕は決して仕方なく叱るのではない」

中尉「ましてや兵の質を高めるために叱るのなどもってのほかだ」

中尉「僕は君たちを人あるいは軍人として、正しき方へ導くために叱る」

中尉「よって木曾、君では嫌われ者としていささか不適格と言える」

中尉は取り出したチョコレートを木曾に投げ渡す

木曾「うわっと!!」

中尉「お役御免だ、さっさと謝ってこい」

中尉「あとこの会話は誰にも言うなよ?」

木曾「・・・・言えるかこんなの」

もう何も言うことは無い
中尉はそう主張するかのように窓の外に視線を向ける

木曾「・・・・あんたの言ってることは・・・・正しいのかもしれない」

木曾は立ち上がり出入り口に向かう

木曾「でもその理論には・・・・あんたが幸せになる為の勘定がねぇ・・・・」

木曾「俺ぁ嫌いだ・・・・」

そう言い残し、彼女は出て行った

中尉「・・・・」

中尉「僕が幸せかどうかは」

中尉「僕自身が決めるのだ馬鹿者め・・・・」

中尉の木曾への悪口は
誰に聞かれるでもなく、ふわりと宙に消えた

訂正
中尉は取り出したチョコレートを木曾に投げ渡す

中尉は取り出したチョコレートとせんべいの袋を木曾に投げ渡す


翌日、中尉が何者かに依頼して春雨を狙撃したという噂はすぐに広まった
いつ、誰に、何故あんなよいタイミングだったのか?
数々の不明確な点はあったものの、確かなことが一つあった

”司令官は春雨を殺そうとしている”

演習場で顔を合わせた艦娘たちは彼女に敵意が無いことを知っていた
故に数人を除いてほぼ全員に

”私たちが協力して春雨をかくまう”

という共通認識が生まれた


中尉はそのことを大鳳に言われるも

黙認した





ねばねば

安価出すの忘れた
さぁ!選ぶのだ!!
題名でなんとなく艦娘と物語は察すのだ!


1、スキ?キライ!・・・・スキ・・・・

2、美しき鶴の羽

3、復員船は南へ

4、勅令、いざ戦場へ

5、ソロモンの狼の孤独

6、がるるー

7、提督今ダ帰還セズ


安価下二つ目

安価了承
次は叢雲編だ!

じゃあおやすみ


雷「おはようしれーかん!いい朝ね!」

中尉「あぁ・・・・」

響「おはよう」

中尉「うむ・・・・・」

暁「おはようごじゃ・・・・ございます」

中尉「無理をするなよ?」

夕立「ぽい!」

中尉「ん?」

春雨銃撃から二日
昨日こそ避けていた第六駆逐隊も、普通に挨拶をしてくるようになった


電「・・・・」

中尉「挨拶位したらどうだ?」

電「んべーなのです!」ダダダダダダ

あの電さえもだ

食堂で隣り合った長門との会話によると

普通の鎮守府でこのようなことがあれば、最悪銃殺刑
それを見逃してもらった上に春雨まで黙認する
このようなことは普通であればありえない事である
それを何故見逃したのか?見逃してもらえたのか?

それらを第六駆逐隊が吹雪や木曾などの先輩と考えた結果があの態度なのだという
他の者も今回の一連の騒動に対する処置に不服は無いという

しかし春雨の銃撃に対する電のショックは大きく
1人で背負うには厳しい
故に皆で春雨をかくまうという建前で電を支える

これらが今回の騒動の結末である

中尉「・・・・そうか」

長門「まぁそういう事だ、しかしもうあんなことは勘弁だぞ?」

中尉「わかっているさ」

温くなったコーヒーを一気に飲み干す

中尉「・・・・・・・・今日も演習か?」

長門「そうだ」

演習と言えば、明石に作らせた九七式自動砲のテストがまだだったな・・・・
近いうちにそれもせねば

いやその前にやるべきことがあるな・・・・
春雨の件だ
隠しているとはいえいずれ上にばれる

何とかしなくては・・・・」


大鳳「艦娘に一番詳しい人?」

中尉「あぁ・・・・」

大鳳「もしかして春雨ちゃん?」

中尉「そうだ」

大鳳「であれば・・・・・呉ですかね」

中尉「であれば?」

大鳳「あぁ・・・・艦娘の研究については各主要鎮守府でその専門が違うのですよ」

大鳳「佐世保の専門は武器開発、舞鶴は兵站」

大鳳「呉は艦娘自体の研究、横須賀はその運用全般」

大鳳「艦娘の研究者はその多くが暮れに集まります」

大鳳「もしも春雨ちゃんを艦娘に戻そうというのであれば・・・・呉が一番かと」

中尉「そうか、ありがとう・・・・早速向かってみる」スクッ

中尉「その間の事は頼むぞ?」

大鳳「はい、お任せください」

中尉「若葉」

若葉「了解だ」


中尉と若葉は駐車場まで移動し、車に乗り込む

中尉「先日の狙撃は見事だったな」

若葉「当然だ」

中尉「そうか・・・・・」

若葉「・・・・・」

中尉「・・・・・・」

若葉「今日も暑いな」

中尉「そうだな」

若葉「見ろ中尉、アイスクリーム屋だ」

中尉「そうだな」

若葉「アイスクリーム屋だ」

中尉「そうか」

若葉「食べたい」

中尉「じゃあ寄るか」ブロロロロ

いまいち言葉の足りない二人の会話は
呉までの道中、途切れることは無かった
守衛に階級章を見せ、鎮守府内の駐車場に車を停めて受付へと向かう
中尉「・・・・横須賀よりも大きいな・・・・・・」

若葉「日本国最大の研究施設だからな」

「何か御用ですか?」

中尉「失礼、四条鎮守府の少佐です」ビシィ

若葉「若葉だ」

「これは失礼しました」

呉大将「私、この鎮守府の責任者の呉大将でございます」

中尉「大将殿?大将殿が何故受付などを?」

呉大将「いやはや、ここの研究者はみなさん優秀でありまして・・・・・私などは暇で仕方がないのですよ」

中尉「はぁ・・・・そうですか」

呉大将「それで?どんなご用向きで?」

一旦離れる

キリが悪くてすまん、
今日はここまでだ


艦娘の事についてよく知りたい
そう伝えると彼は快く執務室に通してくれた

僕は呉大将にある程度までぼかして話す
切り口は、新人なので艦娘について教えて欲しいと
彼は嬉しそうに語ってくれた、本当に研究が好きなのだろう

呉大将「でも最近の情勢で研究費用が削られましてねぇ・・・・」

という話から各鎮守府への予算分配の話になった時は焦った
横須賀への不満を僕にぶちまけるとは・・・・

数時間が経ったところで僕は本題に入った
深海棲艦の艦娘化について
彼は口淀んだ
艦娘以上に未知なる彼等
当然研究していないはずが無かった


呉大将「・・・・そうですね・・・・艦娘が深海棲艦に墜ちる・・・・・」

呉大将「それはありえない事ではないのです」

中尉「というと?」

呉大将「まぁ・・・・ウィルス感染の様なものといえばいいでしょうか・・・・」

呉大将「そのウィルスを体から消し去る事が出来れば、深海棲艦を艦娘にすることも可能・・・・だと思います」

中尉「また中途半端なのですね」

呉大将「・・・・・まぁいろいろ事情があるのですよ・・・・・君と同じようにね」

中尉「・・・・」


呉大将「四条の死神・・・・話には聞いています」

呉大将「提案があるのですが・・・・」

中尉「・・・・・」

呉大将「先ほど話した鎮守府の予算というのは主に結果と戦力でその配分が決まります」

呉大将「この呉鎮守府は結果において全てに勝るが戦力は大きく劣る」

呉大将「故に横須賀、舞鶴よりも予算が少ないのです」

呉大将「上層部も馬鹿だ・・・・我々の挺身がどれだけの恩恵を与えているかを理解していない!!」

中尉「つまり・・・・部下と共に呉に来いと?」

呉大将「それができれば一番なんだですが・・・・君にも立場というものがあるだでしょう?」

呉大将「そこで・・・・南西鎮守府の叢雲をここへ引っ張って来てほしいんですよ」

中尉「叢雲?」

呉大将「その鎮守府は数か月前に提督が戦死しました」

呉大将「加えて前線で突出していたから・・・・放棄されたんですが」

呉大将「ただ一人提督の帰りを待つ艦娘がいるのです」

呉大将「それが駆逐艦叢雲、歴戦の猛者の1人です」

中尉「そいつが呉に来れば・・・・戦力差が縮まる・・・・と」

呉大将「そうです・・・・しかしこれは命令ではない」

呉大将「書面上、各鎮守府を統括する大将と元帥は君に命令する権限を持っている」

呉大将「だが、私は命令というものが好かんのです・・・・どうでしょう?」

中尉「・・・・」

呉大将「もし・・・・引き受けてくれるのであれば、君の願いは全力でかなえてみせます」

中尉「・・・・出発はいつですか?」

呉大将「今すぐにでも・・・・どうでしょう?」

中尉「・・・・いいでしょう」

呉大将「よし!善は急げというしね!すぐに船を出そう!」

悩む理由などなかった
これで春雨の件を何とかできるならば
安い買い物だ

呉大将「あぁそれと・・・・各鎮守府も彼女を狙っている」

呉大将「理由は私が作っておきます、邪魔するものは殺して構いません」

呉大将「叢雲も・・・・他にわたるぐらいなら殺してください」

呉大将「出来ますね?」

中尉「・・・・・善処しよう」

呉大将「それでは、港へ向かってください」

呉大将「早急に手配をします」





執務室を出て、軍港へ足早に向かう
武器や日用品などは船に常備されているものを自由に使っていいという事だった
迎えは一週間後
大鳳にはまた世話をかけるな・・・・

若葉「中尉」

中尉「なんだ」

道中若葉が話しかけてきた

若葉「これは偶然だろうか?」

中尉「というと?」

若葉「あまりにも話がうまく行き過ぎている」

中尉「・・・・」

若葉「おかしいと思わないのか?」

若葉「春雨の件・・・・ことが早急に進み過ぎだ」

若葉「我々を陥れようとしている輩がいる

言いたいことはなんとなくわかった
まるで踊らされているよう
春雨の深海棲艦化、解決の糸口、その条件
どれもが用意されたシナリオのようだ

中尉「ならば踊らされてやろうじゃないか、その舞台に」

若葉「・・・・虎穴にいらずんば虎児を得ず・・・・というところか?」

中尉「そんなところだ」

やがて軍港につくと、太陽が燦々と僕らを照り付ける
さて・・・・鬼が出るか蛇が出るか

中尉「帰ってもいいんだぞ?」

若葉「運転席に座ったら前が見えないのだ」

中尉「・・・・」

若葉「・・・・小さくて悪かったな」

そう言う問題ではないんだがな・・・・


同時刻

提督「赤城さん、準備はいいかな?」

赤城「はい提督!」

提督「加賀、武蔵、伊勢、瑞鶴、球磨!」

「「「「はい!(クマー!)」」」」

提督「さぁ・・・・南西のお姫様を迎えに行こうじゃないか!」

赤城「あ?」

加賀「提督のお姫様は私たちで十分では?」

武蔵「止めんぞ?」

伊勢「右に同じく」

球磨「まーた始まったクマ・・・・」

横須賀大将「まったく・・・・夫婦漫才もほどほどにするんだな」

提督「た、大将!!失礼しました!!」

横須賀大将「さぁ、出向だ」

「「「「「はっ!」」」」」





???


「死神は横須賀を殺せるでしょうか?」

「・・・・・・・」

「そうですか・・・・失敗したら春雨の件はいかがするつもりですか?」

「・・・・・・」

「司令を見ているとこの世には・・・・仏などいない」

「そう思います」

「・・・・・・・」

「気になりますよ・・・・」

「同じ死神ですからね・・・・」

「私も・・・・死神・・・・・」

キリがいいねば


中尉「というわけで僕と一緒に来てほしい」モグモグ

若葉「おかわりだ」モキュモキュスッ

中尉「よろしく」スッ

叢雲「あんたらホント何しに来たのよ・・・・」ガタッ

中尉「だから言っただろう、僕と一緒に来てほしいと」アリガトウ

若葉「若葉はピーマン嫌いだ・・・・」ピーマン・・・

叢雲「好き嫌いしないの」

若葉「・・・・」シュン

叢雲「・・・・はぁ・・・・・・」

叢雲「で?あたしを連れ戻そうとしてる奴等が、なんでご飯かっ食らってんのさ」

叢雲「てっきりいつものように力づくで来ると思ったんだけど?」

中尉「なるほど・・・・理由は二つある」

中尉「一つはここに来る間に食った船内の食堂が不味かった・・・・」

中尉「二つ目は訪れた廃墟で美味そうな飯の匂いがした」

中尉「こういう時はどうする若葉?」

若葉「無論だ、食事は皆で食べた方が良い」

中尉「以上だ、何か質問は?」

叢雲「あるわよ、おおアリよ、びっくりしてんじゃないわよ!」

若葉「若葉だ」

叢雲「あんたは早くピーマン食べなさい!・・・・・はぁ・・・・・」

中尉「やかましい奴だな」

叢雲「誰のせいよ誰の・・・・」

若葉「というか中尉、人が変わったようだぞ」

中尉「肩肘張る必要もないからな・・・・レラァックスしているのだ」

若葉「リラックス・・・・確かにこの鎮守府は落ち着くな」

中尉「レラァックスだ、二か月前までは根無し草だったからな・・・・」

中尉「こう言った廃墟でよく眠ったものだ・・・・」

叢雲「もう帰んなさいよあんたら・・・・」

中尉「向こう六日は世話になるからな」

若葉「頼むぞ、家事は出来るぞ」

叢雲「・・・・頭痛くなってきた」



呉の軍港から出発した僕たちは、約二日かけてこの南西鎮守府へとたどり着いた
木がうっそうと生い茂る島国
僕たちは下着や火器類を船から持ち出し、南西鎮守府を目指した
そこの鎮守府は出撃口と本艦が分かれているタイプで、鎮守府は森の奥地に存在していた

コンクリートは焼け、ほぼ半壊と言った外見
中を見てみると一部分だけが丁寧に補修されており、良い匂いもそこからしてきた

その瞬間、背筋に冷たい感触と尖った存在を感じた

そして交渉の結果が

中尉「しかし夏野菜カレーとは・・・・僕たちが来るのをわかっていたようだな」

中尉「歴戦の猛者というのは伊達ではないらしい」

若葉「しかしピーマンはいけないぞ、いけない」

叢雲「もういいわ・・・・」

中尉「ところで僕たちは何処で寝ればいい?」

叢雲「・・・・ここで寝なさいよ」

中尉「よし、ならばここを借りよう!」

若葉「風通しもいいし、最高の場所じゃないか」

叢雲(寝るのかよ・・・・)

中尉「では叢雲、寝首はかかないでくれよ?喧嘩する時間ならたくさんあるのでな」

叢雲「起きててもしないわよ・・・・・」

若葉「待て中尉、若葉と寝るのだぞ?」

中尉「?」

若葉「もう少し興奮したらどうだ、女だぞ?女がすぐ傍にいるのだ」

若葉「・・・・どうだ?昂ってくるだろう?」フフン

中尉「・・・・・僕は今、特にダイエットはしていないんだ」

若葉「・・・・どういう意味だ?」

中尉「ささみはお呼びじゃ無いという事だ」

叢雲「んふっ」

若葉「・・・・死ぬか?」

中尉「上等だ」

叢雲「ささみ・・・・・くふ・・・・・・ふふふふっ・・・・・」

若葉「まずはお前からだ!!若葉と大して変わらんくせに!!」ビュッ

叢雲「あっははは!おっかしぃ!あんたよりあるわよささみ!」パシッ

中尉「おぅ!行けささみ!」

若葉「黙れ不能!」

中尉「・・・・」ブンッ

叢雲「ほんっと馬鹿ばっかね!」

中尉「うるさいぞ白髪!」

若葉「このババア!」

叢雲「失礼ね!生まれつきよ!!」




ヤンヤヤンヤヤンヤ!!!!!


チュンチュンチュン

若葉「」大破

叢雲「」大破

中尉「」大破


こういうことだ


叢雲「・・・・今日は・・・・お互い休みましょう・・・・」ゼェゼェ

中尉「あぁ、休戦だ」ハァハァ

若葉「ささみじゃ・・・・ない・・・・」クスンクスン

ネバ

面白いRPGが無ければ作ればいいじゃないか!つRPGツクール
今日は書けん
すまんな


若葉「昼飯だ」モグモグ

若葉「ささみ梅肉とはな・・・・若葉への当てつけか?」

若葉「だが許そう、若葉は寛大だ」

若葉「だからおかわりだ」

叢雲「あんたってわりかし単純よね・・・・」

中尉「しかし・・・・酒が欲しくなるな・・・・」

若葉「中尉・・・・そんなm叢雲「あるわよ」

中尉「・・・・嘘をつくな」

叢雲「・・・・」ドンッ

中尉「・・・・・どぶろくとは、貴様中々わかってるじゃないか」

叢雲「こんなんしかやる事が無いのよ・・・・ちょっと付き合いなさいよ」

中尉「ありがたく頂こう」

叢雲「あんたは?」

若葉「いただこうか・・・・」






若葉「わかばだぁ!!いたいのはきもちーのだぁ!!!」

叢雲「・・・・」

中尉「これでも頼りになる奴なんだ・・・・」

叢雲「・・・・・」ジトッ

中尉「本当さ」

若葉「むらくもぉ!きさまからではないかぁ!!!」(コップが)

若葉「さぁ!のみなさいのみなさい!!」トクトク

叢雲「・・・・はぁ・・・・・」


ウハハハ・・・・・ワカハ!ヌギマス!!


中尉「さて・・・・そろそろ聞かせてもらおうか」

叢雲「何をよ」

中尉「ここにいる意味だ、お前の提督は死んだのだぞ?誰を待つ?」

叢雲「待ってなんかないわよ」

中尉「ならばなおさら何をしている?」

叢雲「何もしてないわ」

中尉「・・・・・うん?」

叢雲「何もしていない事の何が悪いのよ」

叢雲「生きていくだけの食料も作る技術もあるわ」

叢雲「魚にヤシの実、野菜も作れて酒もある、夜に見上げれば星の海」

叢雲「離れるなんてもったいないのよ・・・・」

中尉「確かに・・・・僕もずっとここにいたいものだ」

叢雲「そう・・・・なら、いればいいじゃない」

叢雲「部屋は腐るほどあるわよ?」


中尉「なんだ?僕に惚れたか?」

叢雲「冗談はよして、来るならあの騒がしいのも一緒よ」

若葉「・・・・ささみじゃないぞぉ!!」ヤンヤヤンヤ

中尉「・・・・」

叢雲「妖精さんとあいつと一緒におじいさんになるまで世話してあげるわ・・・・どう?」

中尉「・・・・不老不死の艦娘か」

叢雲「今となっては呪いもいいところだわ・・・・」

中尉「呪いねぇ・・・・」グイッ

叢雲「そう・・・・解けない呪い・・・・」

中尉「嘘をつくな、解体されればそれは無くなるはずだ」

叢雲「そうね・・・・」

叢雲「でもそれはごめんだわ」

叢雲「私が反骨しても咎められないのは私が強いから」

叢雲「その力を捨てたら・・・・何されるかわからないじゃない、私美人だし」

中尉「自分で言うなよ…」

叢雲「あら?事実よ?」

中尉「否定はしない、だが肯定もしたくない」

叢雲「ふふっ・・・・・」

叢雲「数か月前まではこんな調子だったんだけどな・・・・」

中尉「・・・・」

叢雲「私が怪我してた隙に皆死んじゃった・・・・」

叢雲「あいつも初期艦残して死ぬなんて・・・・癪だわ」

中尉「初期艦?」

若葉「初めての女という意味だ」

叢雲「誤解を招くからやめて」

中尉「おぉ若葉、正気に戻ったか」

若葉「まだ少しのこtうぃくっ!!てるがな」

中尉「まず服を着てこい」

若葉「この方が涼しくて良いからこのままでいる」

中尉「乳首が透けてるぞ」

若葉「これは見せ乳首だ童貞」

中尉「はぁ・・・・勝手にやってろ・・・・」

中尉「で?コイツはほっといて続けてくれ」

叢雲「この空気で続けろって・・・・あんた童貞の上に場の空気も弁えないのね」

若葉「まったく・・・・これだから童貞は…」

中尉「お前ら殺すぞ?」

叢雲「休戦協定破るなんて最低ね童貞」

若葉「少しは落ち着け早漏」

中尉「ファイッ!!!」





ホーホー



若葉「」大破

叢雲「」大破

中尉「ヒュー・・・・ヒュー・・・・・」大破


叢雲「・・・・・・・・もうバカにしないから・・・・・座りましょう・・・・」ゼェゼェ

中尉「・・・・・あぁ・・・・・休戦だ」ハァハァ

若葉「・・・・ささみ出てきそう・・・・」ウェッ




叢雲「ゼェ・・・・ゼェ・・・・・結局・・・・理由なんてこじつけよ・・・・」

中尉「ハァハァ・・・・・・あぁ?」

叢雲「生きてるうちに・・・・何かと苦労しといて・・・・あの世であいつらに言うのよ!」

叢雲「あんたらのせいで!ロクな人生じゃなかったわってね!」

中尉「酷い八つ当たりだな・・・・」

叢雲「正当な主張よ、私なりのね」

叢雲「だからとりあえず軍紀違反してるわけよ、わかった?」

叢雲「だから私はあんたに付いていかないし、無理やり連れてこうってんなら抵抗もする」

叢雲「誰でも等しくそうする、それでもういいでしょ」

叢雲「それよりも・・・・」

中尉「・・・・もちろん反論はあるんだが・・・・若葉」

若葉「あぁ・・・・」

若葉「囲まれてるぞ・・・・」

中尉「さて叢雲」

中尉「僕は君を連れ出すために邪魔する奴等は殺してもよいと言われている」

中尉「故に奴等を迎撃する」

中尉「出来れば三つ巴というのは避けたいんだが・・・・」

叢雲「やるんなら外でやって頂戴、外なら私は手を出さないわ」

叢雲「もちろん、戦うんなら助力はしない」

叢雲「あんた達の喧嘩よ」

中尉「ありがたい」

若葉「中尉」スッ

中尉「あぁ・・・・」

ここで若葉は中尉に小銃と軍刀を手渡す
自らも小銃を持つ

中尉「一応いるか?」スッ

中尉は腰の拳銃を叢雲に差し出す

叢雲「嫌よ物騒ね」

中尉「そうか・・・・・」

若葉「中尉」

出陣を急かす若葉


中尉「叢雲」

叢雲「なによ」

中尉「くれぐれも奴等についていくなよ?」

叢雲「はぁ?」

中尉「君はまだ僕が口説いているんだ」

中尉「浮気な女は嫌いだ・・・・・失望させるなよ?」」

叢雲「・・・・・」

叢雲「あはっ・・・・」

叢雲「あれが口説き?あほくさっ・・・・」

中尉「そう言うな叢雲・・・・」

中尉「僕はまだ最高の口説き文句を言っていない」

叢雲「へぇ・・・・なら今聞いてあげるわ」

中尉「いいのか?僕が童貞を卒業してしまうぞ?」

叢雲「あははは!!随分な自信ね?」」

叢雲「いいわ!聞かせなさいよ、あんたの最高の口説き文句!」

中尉「いいだろう」コホン

中尉は銃を置き、叢雲に正対する
腕組みをして中尉を見つめる叢雲

その様はまさに叢雲の値踏みであった
この男は自分を理解できるのか?
全てを捧げるほどの男なのか?
中尉の本意はわからない
その口説きが艦娘としてなのか、あるいは男女の話なのか
しかし少なくともこの時点で叢雲は、本当にこの男に抱かれてもいいと思っていた
無論自らを楽しませてくれるような、気の利いた一言が言えればの話だ

それは傷心、孤独、寂しさが彼女にあったからかもしれない
どちらにせよ本当のところは当人達にしかわからないが・・・・

この時若葉は二人が纏う空気が変わるのを感じ取っていた
酒を飲んでいた時が陽気なオレンジなら、敵の存在に気付いた時が黒
そして今、二人はどことなく別れ往く戦友のような・・・・そんな空気
二人は生来の友というわけではない、つい先日の招かれざる客と家主の関係
それがこのような空気を曝け出せるというのは・・・・

きっと二人の相性がいいという事なのだろう



中尉「では行くぞ」

叢雲「えぇ、どうぞ」

若葉「・・・・」ゴクリ


中尉の口が開く



中尉「叢雲・・・・」

叢雲「ん?」

中尉「僕と・・・・」

叢雲「・・・・」





中尉「一緒の骨壺に入ってくれ!」

叢雲「嫌よ、狭いわ」

中尉「」

叢雲「そもそも入るなら墓でしょ?」

叢雲「なんで同じ骨壺なのよ、絶対息苦しいじゃない」

若葉「・・・・」

中尉「・・・・行くぞ若葉」

若葉「中尉・・・・」

中尉「やめろそんな目で見るな」

若葉「若葉も・・・・一緒の骨壺はさすがに嫌だぞ・・・・」

中尉「やめろぉ!」

現われた敵の迎撃の為に走りゆく二人
叢雲はそんな二人の背中を見送る

叢雲「・・・・んふっ・・・・・・・」

その表情は心配というわけでも、あほらしい告白に対する侮蔑でもなく

叢雲「・・・・骨壺はないでしょ・・・・骨壺は・・・・」


出来の悪い弟を見るような
慈愛に満ちた表情であった






若葉「いっそ海にでも散骨するのはどうだ?」

若葉「少なくとも狭くは無いぞ?広すぎて会えんがな」

若葉「僕と海に沈んでくれ!」キリッ

若葉「・・・・もっと前向きな口説き文句がいいな・・・・」

若葉「僕に沈んでくれ!」キリッ

中尉「お前の方が性格変わってるぞ・・・・」

若葉「中尉とは仲良しだからな」

若葉「どうだ?キュンときたか?」

若葉「なぁおい!聞いているのか!」

中尉「もういい・・・・」

ねば
皆さんもよかったら口説き文句にどうぞ
私は使う機会が無いので


若葉「ところで中尉この銃の弾は対人か?対艦娘か?」

中尉「対人だが?」

若葉「それは残念、だ!!」バッ

中尉「んなっ!!」

ザザザ

若葉が僕を押し倒す
瞬間、僕が立っていた所に矢が刺さる

中尉「この暗がりで矢だと!?」

若葉「相手は艦娘だ!月の明かりが差すところまで走るぞ!」

中尉「武器はあるか!?」

若葉「ない!」

中尉「ならばこれを使え!」

中尉は腰に差していた斧を投げ渡す

中尉「対艦武具だ!たとえ障壁を張っていても通るぞ!」

若葉「ありがたい」

明るい方へひたすら走る

中尉「ここで迎え撃つ!」

若葉「了解だ!」

そこは海岸
少し海に入ればごつごつした岩も漂着している
息を整えようと思った矢先

横から咆哮

「ヴォオオオオ!!!」

中尉「ぐっ!!」ガギィン

凄まじい勢い
紙一重で防ぐ

中尉「らぁ!!」ブンッ

「伊勢ェ!!やるクマァ!!」

「あいよぉ!!恨むなよ!!」ブン

中尉「くっ!!」ギィン

軍刀によるひと薙ぎ
間一髪の反応でまた防ぐ

伊勢「やるじゃないかぁ!!」ギリギリ

つばぜり合い
グッと押し込むも簡単に抑えられる
これが艦娘の力か・・・・
確かに常人では敵わない

だが

中尉「・・・・」シュイン

体さばきで体を左にずらす
そのまま刀も同じように引く

伊勢「んおっ!」

すると彼女は押していたものがいきなり消えたため前にのめる
ここを叩く

中尉「南無三!!」

「甘いクマァ!!」

今度は逆に間一髪で防がれる


伊勢「ふえぇ・・・・あぶねー、助かったぞ球磨」

球磨「油断すんなクマ、コイツ強いクマ」

中尉「・・・・」チャキ

見た所こいつら・・・・艤装はつけていないのか?
ならば!!


バチャバチャバチャ


僕は海に入った

伊勢「おいおい、海はあたしらの十八番だよ!!」バババババ

当然ついてくるだろう
艦娘なのだから
まさに水を得た魚のように得意げになるだろう

だがしかし・・・・だからこそ油断するはずだ
敵はまだ、この斧の性質を知らない

伊勢「鬼ごっこは終わりだぁ!!」ブン

中尉「ぬぐっ・・・・」ガギィ

当然すぐに追いつかれる
上段から受けた斬撃はやたらと重い
だが、ここが勝機

中尉「らぁあぁ!!」

右手でもう一つの斧を抜いて横に振る
伊勢と呼ばれた奴は防御をしなかった
奴は驕った、だからこその勝機

僕は生暖かい液体を浴びる

伊勢「えっ・・・・?うそ・・・・」

腹を押さえて後ろに二、三歩下がる
とどめを刺そうと近寄ろうとする
しかし

球磨「てめぇ何するクマァ!!」ゲシィ

中尉「がっ!!」ベギィ

もう一人の奴の蹴りをまともに受けて砂浜へ吹っ飛ぶ
左の二の腕か?
嫌な音がした、刀も手放した

ズザザザザザザ

中尉「ん・・・・・ゲホォ・・・・」

視界に誰かの足が入った
反射的に斧で切り付ける

「うぐぅ!!」

「赤城さん!?」

赤城?どこかで聞いた名だった
そんなことはどうでもいい駆け寄る奴を斧で叩き斬ろうとする
その時

タァンタァンタァン

三発の銃声が鳴り響く

中尉「うっ・・・・・あ・・・・・」

全てが僕に命中した

「私の大切な妻達に何をする、死神」

中尉「貴様ァ・・・・・飛龍の・・・・・」

そこにはかつて殴り飛ばした奴がいた


提督「・・・・」

中尉「うぐっ・・・・・」

提督「加賀さん、赤城さんは?」

加賀「軽傷よ」

提督「そうか・・・・武蔵、あの少女は?」

武蔵「まぁ健闘したと思うぞ?」ポイッ

僕の傍に何かが投げ飛ばされた

若葉「・・・・」グタァ

中尉「わ・・・・・かば・・・・くっ・・・・・」

僕は若葉を右手で抱いて、後ろに後ずさる
左足が上手く動かない

中尉「んぐっ・・・・ぐぅぅ・・・・・」ズリズリ

若葉「ちゅ・・・・い・・・・」

中尉「とり込み中・・・・・だ・・・・・」

若葉「わかば・・・・おいてにげろ・・・・・」

中尉「だまれ・・・・・」

中尉「だまってろ・・・・馬鹿者・・・・」

若葉「・・・・・すまん・・・・・・・」

奴等・・・・厳密に言えば三人
そいつらは芋虫のように這う僕らと距離を詰めない
だが決して遠ざからない
ただ見下ろす

そんな奴等を無視して僕はただ下がる
やがて背もたれになるような気までたどり着くと
やっとの思いで言葉が出てくる

中尉「僕を・・・・そんな目で見るな・・・・」

中尉「このクソ野郎・・・・」

提督「・・・・」

奴は何も言わない

中尉「さぁ!とどめを刺すなら刺しやがれ!!」

提督「・・・・・・死神・・・・お前は確かに強い・・・・」

中尉「あぁ?」

提督「だがそれは奇襲においてのみだ」

提督「君を調べさせた貰った、君の陸軍時代の小隊の主要戦法は主に奇襲夜襲」

提督「しかし個人戦でも君は恐ろしく強い」

提督「だから君と戦う時は必ず近接戦闘に長ける者を複数当てるようにしようと考えていた」

提督「まさか本当に戦うとは、思わなかったがね」

中尉「何が言いたい・・・・・」

提督「君の敗北だ」

中尉「はっ・・・・だからなんだという!」

僕は恐怖にとり込まれそうな心を奮い立たせる
言葉を発するたびに、若葉を抱く右手に力が入る
きっと怖いからだろう

提督「私は・・・・特に用は無い、あるのは私の上官だろう」

奴の後ろから来たのは
俺を海軍に引き入れた忌々しい奴


大将「・・・・・」

中尉「ごきげんよう・・・・・大将」

大将「きっさまはぁ!!!」ゲシィ

中尉「ぐっ・・・・」

奴は俺の顔を思いっきり蹴る

大将「誰だ!誰にそそのかされたぁ!!!」ゴスゴスゴス

中尉「んぐっ!げぇ!!!がっ!!」

大将「言え!貴様誰に尻尾を振っていやがる!!!」

胸ぐらを掴まれた

大将「この野郎!恩をあだで返しやがって!!」ゴスゴス

中尉「・・・・」

クソ野郎が・・・・答えたくても答えられるかよ・・・・・
意識が・・・・もう・・・・・・

中尉「」

若葉「もう・・・・いいだろう・・・・」

若葉が力なく中尉の顔を抱いて盾になる

若葉「もうい・・・・しきがないのだ・・・・・」

大将「くっ!!!邪魔だぁ!!」ゲシィ

若葉「あう!!」ゴロン

提督「大将!!このままでは死んでしまいます!!」

大将「黙れ大佐!!野良犬は痛い目を見ないとわからんのだ!!」

提督「しかし!私は彼に借りがあります!」

大将「黙れといっとろうがぁ!!」

「黙るのはあんた等でしょうが、うるさいわね」

大将「・・・・次から次へと」

提督「叢雲・・・・」

叢雲「あんた等の論調から言うと・・・・私の庭に入った野良犬は殺してもいいのかしら?」

叢雲「特に・・・・」チラッ

若葉「・・・・うぅぅぅ・・・・・・・・」

中尉「」

叢雲「人様の客に噛み付くような野良犬はさぁ」

大将「やれるものならやってみろ・・・・大佐」

提督「・・・・武蔵!球磨!加賀!瑞鶴!」




球磨「クソ・・・・赤城!伊勢を頼んだクマァ!」ダダダダダ

赤城「え、えぇ・・・・」

加賀「赤城さん」

赤城「私は大丈夫よ、行って加賀さん」

瑞鶴「行こう!加賀さん!」ダダダダダダ

加賀「えぇ・・・・」ダダダダダ



大将「降れ叢雲、痛い目を見たくなかったらな」

提督「数はこちらが有利だ、降参してくれ」

叢雲「・・・・・」

叢雲(たしかに、こいつらを守りながら戦うのは分が悪いわね・・・・)

叢雲(・・・・ん?」

叢雲「んふっ・・・・」

大将「なにがおかしい?」

叢雲「聞きたいんだけど・・・・あんた等これで全部かしら?」

提督「そうだ、だが十分だ」

叢雲「そう・・・・どちらにせよ私に勝機は無いわね」

大将「ならば・・・・」

叢雲「南西鎮守府の叢雲には・・・・・ね」

大将「何を言っている?」

叢雲「自慢じゃないけど、私、目がすこぶるいいの」

提督「どういう意味だ?」










その頃の四条鎮守府


大鳳「・・・・」カリカリ

「・・・・」ズズズ

大鳳「・・・・よろしいのですか?」

「?」

大鳳「貴方がしているのは造反なのでは?」

「wwww」

大鳳「笑っている場合ではないでしょうに・・・・」

「・・・・友達に会いに来たら、友達の部下が偶然友達がいるところに出撃しちゃった」

「それに私の補佐が付いて行っただけでしょ?」

「別に私は何にもしてないよ」

大鳳「そう言う問題では・・・・」

「wwww」

大鳳「・・・・まぁいいでしょう、もう出てっちゃったものは仕方ありませんし・・・・」

「あwwwえwwwwwwだwげwwwwwwめwっwけwwwwwww」

大鳳「はぁ・・・・」

「そう心配すんなって」

大鳳「ホントがさつね・・・・」

「あんたほどじゃないよ」

大鳳「なんですって!?」

「wwww」



「ぽいー!!!!!」

「突撃にゃりー!!」

「夕立ちゃん!!先行しすぎだよぉ!!!」

「睦月ちゃんは弱いんだから下がってよ!!」

「にゃう!吹雪ちゃん酷い!!」

「武蔵はこの長門に任せろぉ!!」

「ここは賑やかだな・・・・・」

「そうだろ?これでなかなか居心地がいいんだぜ?」




大将「奴等!何故!!」

提督「冗談だろ・・・・・武蔵!球磨!瑞鶴!迎撃しろ!!」

武蔵「奴等四条の・・・・・」

球磨「こいつの部下クマか・・・・」

瑞鶴「ちょっと!空母にどうしろってんのよ!!!」

叢雲「あはははは!!傑作ね!!どんでん返しじゃない!!」

提督「このぉ!!!」

加賀「提督!!撤退を!!」

武蔵「しんがりは我々がやる!赤城!伊勢を連れて船までに逃げろ!!」

赤城「ハイ!!!」

伊勢「いや、大丈夫だ、血は止まった」

伊勢「あたし達もやるよ!!」

赤城「・・・・無理は禁物ですよ?」

伊勢「わかってらぁ!!」




加賀「・・・・・どきなさい・・・・」

叢雲「ふふっ・・・・・少しは遊んでいきなさいよ?」

加賀「提督、大将、先に」

提督「頼んだぞ!」ダダダダダダ

大将「クソ・・・・」ダダダダダダ






「加賀に赤城に伊勢に球磨に武蔵・・・・」

「あはっ!横須賀のエースがそろい踏みっぽい!!!」

「素敵なぱーてぃ!始まるっぽい!!!!」ブンッ

球磨「あぁもう!面倒だクマァ!!」ドゴォ!

「うぇぇ!!重いぃぃ!!!」

「夕立ちゃん!右に避けて!!睦月ちゃんは司令官の所に!!」

夕立「ぽい!」スッ

睦月「あいあいさー!!吹雪ちゃん任せた!」テテテテテ

吹雪「たああぁぁ!!!」ブン

球磨「ジャリガキ共はすっこむクマァ!!」ズォォォ


伊勢「うらぁ!!!!」ガギィン

木曾「木曾だ!!お前に勝つ奴の名前だ!!!」ギィン

伊勢「ぬかせぇ!!」ブン


赤城「一航戦赤城!いざ参ります!!」ヒュン

「正確な矢・・・・しかし当たらなければ意味が無い」

菊月「菊月だ、借りを返させてもらおうか死神」ダァンダァン





武蔵「どらぁあぁぁあぁぁ!!!!」ドゴオオォォオォオッォォ

長門「うらあぁぁぁぁぁ!!!」ズガアアァァァァァァァァァ





                        ヽ`
                              ´
                               ´.

                           __,,:::========:::,,__
                        ...‐''゙ .  ` ´ ´、 ゝ   ''‐...
                      ..‐´      ゙          `‐..
                    /                    \
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::´                       ヽ.:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙       .'                             ヽ      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;......
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            /                           ゙:                ゙゙゙゙゙;;;;;;
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............        ;゙                              ゙;       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;.......;.............................              ................................;.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                ゙゙゙゙i;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;l゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
                    ´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
                         ´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´







睦月「ふえぇぇぇ・・・・・人間やめてるよぉ・・・・・」

睦月「まぁいいや、提督!若葉ちゃん!しっかり!」ペシペシ

中尉「」

若葉「うぅ・・・・」

睦月「あぁ・・・・完全に伸びてる・・・・」

睦月「とりあえず森の中へ・・・・・ふぬぬぬぬぬぬ!!!!」

睦月「・・・・・」

睦月「ふぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!!」

睦月「あうぅ・・・・・睦月女の子だから動かせない」




瑞鶴「あ」

睦月「あ」


睦月「・・・・・」

瑞鶴「・・・・・」






睦月「ふしゃああああぁぁぁぁ!!!!」バッ!!

瑞鶴「うぇ!!なんなのさもー!!!」バッ!


加賀「瑞鶴!!」

叢雲「よそ見なんて!余裕じゃない!!」ヒュン

加賀「くっ!!!このぉぉ!!!」ブン

ねば

今日は書けない
昨日沢山書いたし許して平壌
聞きたいんだけど
若葉って何歳位だと思う?
このssに濡れ場が入ったら嫌?

よし、間をとって15にしよう。若葉15歳。名は体を表すという奴だな
あと濡れ場はチューまでだな、ちゅー

皆サンクス
余談だがチューをちゅーにした途端生々しく感じる
また明日


叢雲「よっ!はっ!!」

加賀「くっ・・・・・」

まるで踊るように槍を振るう叢雲
加賀は終わる事の無い連撃を弓で何とか防ぐ

叢雲「防いでばかりじゃ!死ぬわよ!!」

叢雲を中心にして回る槍
間合いの長いそれは加賀の接近を許さない

加賀「別にあなたに勝利する必要は、ないのよ」

叢雲「逃がすと思う?」

加賀「それでも、退くの」

叢雲「小賢しいわね!」

加賀は三本の矢を叢雲に射る
叢雲がそれを避ける隙に全力で瑞鶴の下に走った

睦月「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!!!」ぽかぽかぽかぽかぽか

瑞鶴「あっ、痛い!何すんのよ!」ゲシィ

睦月「ふべぇ!このぉ!!!」ブンッ

瑞鶴「ちょ!!いたぁ!!!鰹節痛い!!」

睦月「ふふふ・・・・・睦月の鰹節のサビとなるにゃし・・・・・」

瑞鶴「く・・・・・雑魚だと思っていたのに・・・・・」

加賀「退くわよ瑞鶴」ダダダダダダ

瑞鶴「うぇ!」

加賀は瑞鶴を肩に抱えて走った

叢雲「・・・・・逃がしたみたいね」

睦月「そうみたいにゃね・・・・・」
 
叢雲「なんで鰹節なの?」

睦月「・・・・・しゃぶろうかなって」

叢雲「そう・・・・・」




夕立「ぽぽぽぽぽーい!!」

球磨「クッ!マッ!クマッ!」

ナイフと正拳の連続を繰り出す夕立
それを軽くいなす球磨

吹雪「夕立ちゃん左!」

夕立「ぽい!」

吹雪「たぁぁぁあぁ!!」

柔軟な体をめいっぱい使って攻撃を繰り出す吹雪
トンファーの遠心力を利用した殴打
そして後ろ回し蹴り
だが全ていなされる
上段蹴り
そこで吹雪の足は球磨に掴まれる

吹雪「うっ・・・・・離せぇ!!」グイグイ

球磨「おぉ~白いパンツとは・・・・スパッツぐらい履くクマよ、女の子なんだから」

吹雪「ひっ・・・・・」

夕立「吹雪ちゃんを離せぇ!!!」ブンッ

球磨「おっとっと・・・・若いクマねぇ・・・・・」

夕立「大丈夫っぽい?」

吹雪「ありがとう・・・・・」

球磨「さて・・・・・加賀も退いたし、球磨もぼちぼち退くクマよー」トコトコ

夕立「・・・・・」

吹雪「・・・・・」

球磨「うむ、誰が強いかわかるというのは、生きるためには必須クマ」

球磨「精進するクマよー」ステステ

夕立「・・・・・ぷはぁ・・・・・あいつでたらめっぽい…」

吹雪「さすが横須賀の1人艦隊・・・・・」



ねば

追いついた
>>1のせいでこんな時間まで読んでしまったわどうしてくれる

ぅぅぅ・・・・・スマンナ・・・・・・
トイレと結婚してた、今離婚調停中だ
夕方アヘンからあげて書いていく
ユルシテ・・・・・ユルシテクレメンス・・・・

>>511
ユルシテクレメンス・・・・・○○コアゲルカラユルシテクレメンス・・・・・

<<512
燦々と 輝く星々 見下ろす地上
仰ぎ見たるは 独り叢雲
瞳に輝く 星は六等

彼女は生まれながらの悲劇のヒロインなんだよ・・・・




木曾「はっ!てあぁ!!」ガギン

伊勢「くっ・・・・・ちょこまかと!!」ギリギリ

木曾「ほらぁ!足がお留守だぜぇ!」ゲシィ

伊勢「ぐぅ・・・・・貴様!その剣はお飾りか!!」

伊勢の剣術はまさしく演武を実践に昇華したかのような
そんな美しさがあった
抜刀から上段、振り上げ、袈裟に至るまで何度も何度も練習を重ねた、美しい一撃の数々
そしてそれらは彼女の地力も相まって凄まじい威力となる
まさに剛の太刀

対して木曾の剣術はでたらめそのもの
上段切りが来るかと思えば蹴りが来る
距離をとったかと思えば足元の石を投げつけてくる
まるで喧嘩のような、ただ勝利だけを求める剣術
柔の太刀ならぬ獣の太刀

しかしそんな木曾の戦いぶりは伊勢には有効であった
伊勢も歴戦の強者である、決して彼女が弱い訳ではない
むしろ単純な強さだけであれば伊勢に軍配が上がる
では何故木曾が優勢なのか?

木曾「ほら!こいよっ!」クルリ

伊勢「さっきから背中ばっか見せやがって!!正々堂々と闘え!!」ダダダ

木曾「そうかよ!」ズザァ

伊勢「!!!」

伊勢「くそっ!!・・・・目が・・・・」

走り出した木曾を追いかけた伊勢
しかし木曾は瞬時に振り返り砂を蹴り上げる
蹴り上げた砂は伊勢の顔にかかる

木曾「らぁ!!」ブォン

伊勢「!!」ゴロン

木曾「ちぃっ・・・・・」

伊勢「ハァ・・・・・ハァ・・・・フゥー」

木曾の挑発やそのペースに乗ってしまった
彼女の土俵で戦ってしまった、それこそが伊勢の劣勢の原因だった

伊勢「加賀が退いたか・・・・・」

木曾「どうした!?もう終わりか?」

伊勢「・・・・そのようだな」

木曾「そうかよ」チンッ

伊勢「・・・・・なんだ?追わんのか?」

木曾「敗走兵は追わねぇ、勝負は決した」

伊勢「・・・・次は殺す」

木曾「あぁ、楽しみにしておくよ」

不吉な言葉を残し、伊勢は走り去った

木曾「ふぅ・・・・他の奴等は大丈夫かね・・・・」



二人は森の中で互いに互いの位置を探り合うという静かな戦闘を行っていた
赤城は三回
菊月は二回
互いが自らの獲物を使った回数だ
菊月に至っては最初に赤城の注意を引く時のみにしか使ってはいない
そこからは死のかくれんぼ
暗い暗い森の中で

赤城(加賀さんと伊勢さんが退いた・・・・ここが引き際か・・・・・)

味方が次々へと撤退する中、彼女も撤退を始めようとしていた
しかし一向に菊月が見つからない
このままでは敵に背中を見せてしまう、それは避けたい
何とかしてこの状況を打開せねば
策を練ろうとした瞬間だった

菊月「動くなよ」ゴツ

赤城「!」

後頭部に固く細いものが当てられた
間違いない、彼女の小銃だ

菊月「殺し合いの最中に考え事か?」

赤城「・・・・あなたから何とか逃げようと必死なんですよ」

菊月「なるほど・・・・安心しろ、逃がしてやる」

赤城「え?」

菊月「振り向くな、そのまま海岸まで進め・・・・」

赤城「・・・・・何故・・・・・ですか?」

菊月「横須賀には職場斡旋の件について借りがある、だからお前は殺さない」

赤城「ならばなおさら・・・・何故私たちにそれを向けるのですか?」

菊月「死神にも借りがある、それだけだ」

赤城「・・・・奴は味方に手をあげるような奴ですよ?そいつの借りの方が大きいというのですか…」

菊月「善悪はどうでもいい、問題は筋だ」

菊月「死神の借りの延長線上にお前らへの借りがある」

菊月「そいつらが争えば、先に借りていた奴を助けるというのが道理じゃないか?」

菊月「覚えておけ、お前が今日生き延びたのは死神の挺身ゆえであるという事を・・・・・」

菊月「ギリギリで奴は私を救った・・・・ともすれば私は、憎しみでお前を殺していたかもしれないのだからな」

赤城「にく・・・・しみ?」

菊月「まともな司令官の下で幸せか?」

赤城「・・戦争中にそんなこと・・・・」

菊月「だが事実だ、薬指のそれはまさに象徴じゃないか」

菊月「さぁ早く行け、私の気が変わる前に」

赤城「・・・・・」

まだ何か言いたげな顔で赤城は去る

菊月「・・・・・」スッ

菊月「さて死神よ・・・・あと何度助ければ、この借りは返せる?」

菊月「いっそこのまま連れ去ってくれれば・・・・」

菊月「手間が省けるのだがな・・・・」

ねば


長門「・・・・」

武蔵「・・・・」

他の艦娘が懸命に闘っている中、この二人はただ向かい合って立っていただけだった
腕を組み、じっと相手を睨み付ける

長門「お仲間が続々と撤退しているようだが?」

武蔵「そうだな、では私も去るとしよう・・・・と言いたいところだが」

長門「勘繰りはよせ、無粋な真似は嫌いなのだ」

武蔵「ふふ・・・・・武人だな」

長門「かくありたいと常々願っているよ」

そう言って自嘲気味に笑う長門

武蔵「上手くいってはいないようだな?」

長門「わかるか?愛と武は両立しないのだ、こればかりは時代が私に追いついていないというべきか・・・・」

長門「片方を極めんとすれば片方が遠のくのだ・・・・」

武蔵「何を言う、両立してこそ真の武人であろう?」

長門「言うではないか、では貴様に問おう」

長門「真の武人とはなんたるや?」

武蔵「決まっている、この武蔵こそが武人で武人とは武蔵である」

武蔵「故に武人を目指すというのであればこの武蔵を手本とすればよい」

長門「ほぅ・・・・つまり貴様は愛と武を両立していると?」

武蔵「否、私であれば両立はたやすいという事だ、故に武蔵を手本とすればいずれ両立できるだろう」

長門「この長門が貴様に劣ると?」

武蔵「然り、貴様は先ほどから愛だ武だと・・・・小さい!小さい!」

そう言ってたかだたと笑う武蔵

武蔵「すなわち、武人とは!」

武蔵「自らが武人であるという事を信じて疑わぬ者こそが武人なのだ!」

武蔵「愛も武も極めることが不可能だと思う貴様に、この武蔵が劣るわけがなかろう?」

武蔵「相反すると判断した二つでさえも受け止め、極めんとする度量を持て・・・・」

武蔵「さすれば、道は自然と開かれるだろうよ」

長門「・・・・」

長門「私もまだまだ未熟者だな・・・・」

長門「この長門は無意識のうちに限界を作っていたという事か」

武蔵「精々精進しろ」

そう告げて去る武蔵

長門「あぁ・・・・だが次は・・・・」

長門「この長門が笑う番だ」

武蔵「・・・・ぬかせ」







そこは燃え盛る一つの家屋
非凡な医者の平凡な家庭

昨日までは


「父さん!母さん!」

「チッ・・・・即死だ・・・・」

「そう言えば――・・・・・は?」

「――!!」

「――どこだ!返事をしてくれ」

「――」

「――!!諦めるな!大丈夫!」

「――」

「――――!!」

「おい・・・・何を!!・・・・・おい!!!」


中尉「・・・・」

まただ、またこの夢だ
最近このような夢ばかりを見る・・・・
これは暗に僕の後悔を形にしているのだろうか?

起き上がると前と同じ痛み
そうだ・・・・僕は撃たれたのだ
横を見ると寝息を立てる少女・・・・
僕を看病していてくれたのだろうか?
なんにしてもありがたいことだ



安価直下

長門、木曾、吹雪、睦月、夕立、菊月、叢雲

いずれか一人を選んで
誰かを選んだからってエンドが変わるとかじゃないから軽い気持ちでお好きな艦娘を


菊月「・・・・」

俗にいう女の子座りで眠る彼女
とても静かな寝息
というかコイツ息しているのか?
いやそういう事じゃない、何故こいつがここにいる?
コイツはもう平和な鎮守府に行ったはずじゃ?

ふと彼女の髪を撫でる
さらさらと柔らかい手触り
白く滑らかなそれはまるでシルクのような・・・・

菊月「・・・・何時まで触っているつもりだ?」

中尉「なんだ起きていたのか」

菊月「あれだけワシャワシャと撫でられれば犬も起きるぞ」

中尉「そうか、それはすまなかったな」

菊月「いや・・・・別に気にはしていない」

少しの間が空く
菊月も気恥ずかしかったのだろう
顔を背け明後日を見ている
そんな空気を打破するために僕は自ら話し始める

中尉「何故ここに?」

菊月「貴方の鎮守府を訪問したら南西に向かっていることを知った」

菊月「私とあなたの下にいた飛龍は今、とある場所の密偵をしている」

菊月「そのことから今回のいさかいを想像した私は、貴方の部下に同行してここに来た」

菊月「それが今回の経緯だ」

中尉「そうか・・・・世話をかけたな」

菊月「気にするな・・・・あなたには返しきれないほどの借りがある」

彼女の借りというのは、以前彼女を助けた時のものであろう

中尉「あれは仕事だ」

菊月「あなたが私を助けたことは事実だ」

中尉「それは過程であって目的ではない」

菊月「それでも私は感謝している」

菊月「恩を感じているんだ・・・・深く・・・・深くな・・・・」

そんな事を言いながら四つん這いで近寄り
彼女は布団に寝て居た僕の太ももの上に乗った
僕の肩を掴んで、顔を近付ける

中尉「よせ・・・・」

そう言って右腕で彼女を拒否しようとする
しかしそれは叶わぬ事であった
片腕には力が入らず、足も動かない
対して彼女に目立った外傷はない
僕は彼女に簡単に押し倒される
優しく、柔らかくだ
右手は彼女の左手に簡単に制圧され頭の上に置かれる
そして指も絡ませられた
垂れ下がる彼女の長い銀髪が、顔付近の情事を隠す
それほどに僕と彼女の距離は近づいていた

菊月「望むなら・・・・全て受け入れよう」



そう言って僕の瞳を見つめながら、左手で僕の胸を撫でる彼女
僕が首を縦に振るまで手は出さない
誠実な彼女らしい
だがしかしその息はどことなく荒い
心なしか頬も赤い

そう言えば聞いたことがある
人間は命の危機に陥ると子孫を残すために発情するらしい
僕がそんなことを考えていると、彼女は耐えきれなかったのか
あろうことか僕の首筋に舌を這わせる

中尉「おい!」

抗議をせんとする僕
しかし僕の言葉は彼女の言葉で制される
彼女は僕の耳元で

―沈黙は肯定だ中尉殿―

ゾクリとした感覚が体を走る
あぁそうだ・・・・
僕は対男との戦闘にはめっぽう自信があるが
体女は経験が無いのだ
こと情事に至っては・・・・
あぁ対男というのは決して男色ではない、殺し合いの事だ
そんな無駄な事を考えている暇など無い
この隙にも彼女は僕を着実に昂らせているのだから

再度抗議を・・・・とも思ったのだが
もはや発する口はそれと同類のものに塞がれ
体感したことも味わったことも無い異物が口の中を這った
不思議と違和感はない
というよりも感じない

もはや今の僕には余裕が無かった
故に今一番大きな欲に流された

そうか・・・・これが脱童貞の電撃戦
僕は見事に陥落させられたというわけだ・・・・

いや訳がわからん

永遠にも思われたこの時間
終わらせたのはやはりあいつであった






ねば
挿れてないからセーフ(白目)


軽く読み返しながら思ったんだが
今何文字ぐらい書いてるんだろうな
数えとけば良かったぜ

先に安価とっておく
さぁ!選ぶのだ!!
題名でなんとなく艦娘と物語は察すのだ!


1、伏竜鳳雛

2、Unlucky girls.

3、姉を探して三千海里

4、工作艦?あたしゃ北上さまだよ

5、えっ!?あなたがAdmiralさん!?

6、がるるー


下みっつまでで一番コンマの数字が高い奴採用

初の海外艦は重巡
叢雲編はまだ続く
ホントにネバ


若葉「貴様何をしている?」

菊月「・・・・んぅ・・・・・・・・邪魔が入ったな」

若葉「それは失礼、さぁ・・・・中尉から降りろ発情猫め」

中尉「・・・・」クタァ

菊月「別に良いだろ?別段嫌がってもいまい?」

若葉「不快だ」

菊月「ならば出て行け、ついでに耳も塞いでおけ」

菊月「私も声は抑えられんかもしれんのでな」ニタァ

若葉「あぁ?」

菊月「ふん」

中尉「・・・・」クタァ



この後叢雲が助けに来るまで二人は睨み合っていた




叢雲「はぁ・・・・まったく」

若葉「」

菊月「」

中尉「すまん助かった」

叢雲「あんたも抵抗しなさいよね?男でしょ」

中尉「男だから逆らえないものもある」

叢雲「はぁ・・・・呆れた・・・・」

中尉「他の奴等は?」

叢雲「早々に帰っちゃったわ、鎮守府が心配だってね」

中尉「そうか・・・・」

中尉「そう言えば・・・・まどろんだ意識の中で君の声が聞こえた」

中尉「もしかして・・・・助けてくれたのか?」

叢雲「きっと気のせいよ」

叢雲「言ったじゃない、助力しないって」

中尉「そうか・・・・」

中尉「そうだ叢雲、リンゴでも剥いてくれないか?」

叢雲「はぁ?ないわよそんなもん」

叢雲「あぁバナナならあるわよ」

中尉「ならそれを剥いてくれないか?」

叢雲「バナナ位一人で剥きなさいよ」

中尉「なんとなく誰かに甘えたい気分でな」

叢雲「・・・・仕方ないわね」

若葉「若葉も食べたい」

中尉・叢雲「!」



こんな調子で、中尉と若葉はその傷が癒えるまで叢雲に甘えた
余談だが菊月と若葉が中尉が動けない事を良い事に
毎晩のように夜這いに来たため、叢雲が幾度も鉄拳を振るったのだがそれは別のお話


中尉「今日で最後か・・・・」モグモグ

若葉「あぁ、この飯が食えなくなるのは嫌だな」モグモグ

叢雲「これで解放されるわ・・・・」

中尉「・・・・菊月は?」

若葉「あいつならもう帰ったぞ」

中尉「そうか」




中尉「さて・・・・飯も食ったところでもう行くか」

若葉「若葉は先に行ってるぞ、達者でな」

叢雲「えぇ、幸運を祈るわ」



叢雲「さぁ・・・・松葉杖は急増だから内地で病院行きなさいよ」

中尉「ありがとう」

中尉「・・・・」

中尉「・・・・叢雲、本当に共に来る気は無いか?」

叢雲「愚問よ、私を支配下に置きたいならもっとマシな口説き文句を用意することね」

中尉「なら最後にひとついいか?とっておきのがあるんだ」

叢雲「聞こうじゃないの」

中尉「僕に沈んでくれ」キリッ

叢雲「失格」

中尉「やっぱりか・・・・」

叢雲「生きてればチャンスは何度もあるわ」

叢雲「それまで死ぬんじゃないわよ?」

中尉「あぁ・・・・また来るよ叢雲、元気でな」

叢雲「さよなら中尉、武運を祈るわ」






叢雲「・・・・久しぶりに気持ちのいい連中だったわね・・・・」

叢雲「あいつらは今回で諦めるのかしら?」

叢雲「それならそれで結構」

叢雲「でも・・・・また来たなら」

叢雲「その時は・・・・」



こうして中尉は南西鎮守府を後にした

叢雲は連れて帰れず、横須賀にも手ひどくやられた中尉

しかし当の叢雲とは友好関係を築く事が出来た

彼女にまた会うその時には

もしかすると

行動を共にするかもしれない



叢雲コンマ 直下 40以上

57確認、まぁ期待しておいてくれ
ねば



南西鎮守府から帰還して二日
僕は自分の部屋のベッドに横たわっていた
先の戦闘で受けた傷は入院するほどではないが、すぐに治るものというわけでもない
鎮守府運営は大鳳に任せて今は療養というところだ

そんな僕の下に一通の手紙が届いた
あの呉の大将からである
内容は


拝啓四条鎮守府少佐殿

先の私の要請で、手酷い傷を負ったという連絡を受けた。
是非とも見舞って直接話したいと思っていたのだが予想以上に業務が忙しい。
故に失礼ながら手紙で伝えさせてもらおうと思う。
本題だが、君の言っていた深海棲艦を艦娘に戻せるか、あるいは変質させられるかという問い。
それを達成させるための過程を説明する。
まず人はいかに艦娘に昇華されるかという点、これについては、深海棲艦ともども簡潔に説明できる。
三者の違いは血液の類別だけなのだ。といってもA型B型というものではない、それらは完全に別物だ。
人ならA、艦娘ならB、ただ深海棲艦は厳密に言えばB′というように艦娘と非常に酷似した血液タイプなのだが。
まぁそれはいいか。
人は妖精の加護を受けるとその血液タイプがAからBに変質する、理由は日夜研究中だ。
そして艦娘は侵食ウィルスと呼ばれる艦娘だけに感染するウィルスによってB′に変化する。
この侵食ウィルスはガンのようなものでね、艦娘はこれに対する抗体を持っていないし我々も作れていない。
これが血液変質の仮定の仮説だ。

そこで我々はその変質について明らかにするために、それらを混ぜ合わせてみた。
結果A+Bはどのような比率でも等しくBに変化した。
B+B′も同様にB′に変化した。
しかしA+B′だけは違った。
5:5ではB’8:2でもB′、ただ唯一7:3にするとどちらでもないものに変化した。それはCと仮定しよう。

そのCはいわばハーフというべきか。
AがB′を駆逐しながらも共生するように互いの細胞は残った。
互いに駆逐せずにだ。
そしてそのCをB′に5:5で混ぜると、なんとAになったのだ。
まとめると
7A+3B′=C
5C+5B′=A

つまり理論上

人間の血と深海棲艦の血を正しい比率で混ぜたものは。
同様に正しい比率で深海棲艦の血と混ぜると。
深海棲艦の血を人間のものに変質させることができるものになるという事だ。

しかしここで問題が起こった。
Cは冷蔵、常温、密封、如何なる環境にも適応しないのだ。
つまり大量生産ができないのだ、少しづつCを混ぜてもCの中のAがB′に駆逐されてしまう。
唯一残った方法は人体。

そこで我々は禁忌ともいえる実験方法を考えた。
以下に記す。

1、人間と深海棲艦を用意する。
2、人間の血を3割抜いて深海棲艦のそれを3割入れて、Cを体内で生成する。
3、そうしてできたCを5割抜いて深海棲艦に入れる。

これを我々は猿で実験した。
結果8割は2の段階で拒絶反応を起こして即死。
1.8割は3の段階で失血死。
残りはCを作れたものの、深海棲艦のような容姿に変化し、狂暴化した

次に深海棲艦の方に人間の血を入れてみた。
理論上は生成できるはずだからな。
だが再び取り出したモノはCなどでは無かった。

結論
侵食ウィルスのワクチンに成り得るCは人体を用いることで生成が可能。
しかし生成の確率は2%、その被験者の生存もほぼ絶望的で。
生存後も元の生活に戻ることは困難。
採算が取れず人権も軽視したこのワクチンを普及することは困難。

これが君の問いに対する答えになれば幸いだ。
伝えたいことは以上だ、早く職務に復帰できるように祈っているよ。

敬具


呉大将

予想以上に疲れた
ねば

矛盾点があったら目をつぶってくれ
学問的な指摘はファンタジーだからで片づけてくれ


中尉「・・・・」

不可能ではない、それがわかっただけでも十分だ
それよりもまずはお礼の手紙を書かなければな
任務に失敗し本来罰せられるはずなのに、奴は僕に借りを作らせた
いずれ返さねば・・・・

中尉「大鳳!済まないが便箋とペンをとってくれないか?」

中尉「・・・・」

中尉「大鳳?」

呼んでも返事が無い、さては手洗いか?
しかし予想は外れて思いもしない人物がドアから入ってくる

「よう少佐殿、二階級特進とは・・・・まさかお前は幽霊なのか?」

中尉「貴様は・・・・どこから入った中佐殿?」

「今は大佐だよ・・・・よいしょ」

そいつは陸軍時代の同期であり、俺の幼馴染の友

友「具合はどうだ?貴様が俺との約束をすっぽかすから俺が来てやったぞ」

中尉「すまなかったな、この通り今は俺の方が治療が必要なんだ」

友「その通りだな、で?診察はするのか?」

中尉「・・・・そうだな、少し質問しようか」

中尉「仕事の方では支障はないか?」

友「おう、昇進もしたし、妻が祝ってくれたよ」

中尉「そうか・・・・彼女はどうだ?元気か?」

友「あの火事の後遺症は酷くてな・・・・今もよくうなされているよ」

中尉「普段の生活でも支障は?」

友「いや、特に無いな」

中尉「ならいい、これで質問は終了だ」

友「ならば帰るぞ、お前も元気そうだしな」

中尉「あぁ・・・・」

友「そうだ、今度俺の昇進祝いのダンスパーティーをやるんだ」

友「お前もよかったら来てくれよ、踊れなくてもかまわないからよ」

中尉「いやs友「俺は何も気にしないからよ!」

中尉「・・・・わかった」

友「じゃあな!」

中尉「あぁ」

そういって出ていく彼
入れ違いに雷が部屋に入ってくる

雷「失礼するわ、やっぱり通して大丈夫だったみたいね」

中尉「君が通したのか」

雷「陸軍大佐を門前払って司令官がにらまれたら困るもの!」

中尉「そうか、気を聞かせてくれてありがとうな」ワシャワシャ

雷「えへへ・・・・司令官の為だもの!」

頭を撫でてやると嬉しそうに目を細める


雷「そう言えばあの陸軍さんは結婚してるのね、中尉は・・・・その・・・・」モニョモニョ

中尉「・・・・そうだな、彼は・・・・結婚していた」

雷「・・・・していた?」

中尉「あぁ・・・・彼の妻は、もういないんだ」

雷「なら・・・・陸軍さんが言っていたことは嘘なの?」

中尉「いや、嘘ではないんだ」

中尉「彼は病気なんだ、深い深い愛情が原因で・・・・彼の妻は死してなお彼の前に現れるのだ」

雷「・・・・お化け?」

中尉「いいや・・・・僕にも君にも見えない、彼にしか見えないんだ」

雷「愛する人が死んでも・・・・見える病気・・・・」

雷「・・・・でもそれって、とっても幸せなことだわ」

中尉「幸せ?」

雷は両手で中尉の手を包み込むように掴む
そしてそれをぎゅっと抱きしめた

雷「例えば・・・・司令官が死んじゃったら、私は悲しいわ」

雷「体の中の涙が・・・・きっと全部出ちゃうと思うの」

雷「それでね?雷は司令官が大好きだからきっとその病気にかかると思う」

雷「どんなに辛くても苦しくても・・・・死んじゃいたいほど悲しいことがあっても」

雷「司令官が私の前に現れてくれるなら、私は絶対に前に進めるの!」

雷「だから幸せなの!絶対よ?」

中尉「雷・・・・」

雷「きっと陸軍さんもその病気にかかって幸せだと思うの・・・・だから・・・・」

雷「だから・・・・泣かないで・・・・」

中尉「何を?僕は泣いてなんかいないが」

雷「私にはわかるわ・・・・少ない時間だけど、ずっと司令官を見ていたもの」

雷「今の司令官は・・・・泣いてるのよ、でも・・・・泣けない」

中尉「・・・・まぁそういう事にしておこう」

雷「えぇ・・・・でも死ぬなら私も一緒よ?」

中尉「バカを言うんじゃない・・・・ところで雷、一つ聞きたいことがあるんだが?」

雷「なに?」

中尉「実はデートの約束なんだが・・・・行先は動物園でよかったかな?」

雷「まぁ!覚えていてくれたのね!嬉しいわ!」

雷「私は動物園に行きたいって言ったじゃない!」

中尉「そうか・・・・よかったよ、あぁ・・・・すまないが水を持ってきてくれないか?」

雷「わかったわ!少し待っててね!」タタタタタ

中尉「・・・・」


コンコン

中尉「どうぞ」

夕立「失礼するっぽい!」

ノックの後に入ってきたのは、おぼんを持つ夕立

中尉「どうした?水なんか持って」

夕立「廊下で雷に頼まれたっぽい!」

中尉「そうか・・・・ところで夕立」

夕立「ぽい?」

中尉「今日の第六駆逐隊の予定はわかるか?」

夕立「んー?夕立と睦月ちゃん以外は沖で演習ちゅ・・・・ぽい?」

中尉「化かされたな夕立、そのコップの水には絶対に手を付けるなよ」

中尉「ここに置いていけ」

夕立「え?あの雷ちゃんは誰っぽい?」

中尉「雷っぽい何かだろうな」













「ふふふ・・・・・ふふふふふふふ・・・・」

「・・・・おい海の死神、奴は殺すなよ」

「大丈夫です、陸さんの死神さんはあの程度では死にません・・・・」

「きっと気付いてましたよ?ふふふ・・・・」

「それはそうだ・・・・奴は基本的に人を信用しないからな」

「そもそも人を愛するという感情は奴には無い」

「あれば・・・・」




「奴は俺の妻を殺していない」


呉大将「彼に手紙を書いた理由ですか?」

「えぇ・・・・何を書きましたか?」

呉大将「・・・・あなたに言う必要はありませんね・・・・」

「まぁいいでしょう・・・・では先の件について」

「横須賀の大将を殺せなかったのは、貴方にも失態があるのでは?」

呉大将「研究者にこれ以上どうしろと・・・・」

「責任は取ってもらいましょうか・・・・」

「その指を一本いただきましょう」

「若葉さん」

若葉「・・・・」ガシッ

呉大将「貴様!何を!!ムグッ!!!んぐううううううううぅぅぅうぅぅぅぅ!!!!」ベキッ

呉大将「!!!???!」

「・・・・ご家族を同じような目に合わせたくなければ、賢く振る舞う事をおすすめします」

呉大将「ぐぐっ・・・・外道め・・・・・」

「外道で結構、では失礼します」

「行きましょう若葉さん」

若葉「・・・・」スタスタ





「さぁ行きましょう・・・・雪風ちゃんと友さんが待っています」

若葉「・・・・」

若葉「もう一度聞くぞ?」

「わかっていますとも・・・・どのような事態になろうとも彼は死なせません」

「しかし・・・・何故そこまで彼にこだわりを?」

若葉「詮索するな、若葉とて貴様の目的を知れど動機は詮索していない」

「私は言ってもいいんですが・・・・まぁいいでしょう」

「お約束します、彼は生かします」

「例えどんな結末を迎えようと・・・・







「この大鳳の名にかけて」






ねば


偽雷の持ってきた水
それを明石に調べさせた結果、ヒ素が混入されていた
気付かすに飲んでいたらと思うと、体が震える

そんなことも今は昔、もう二か月も前だ
僕は今、暁を伴い友の出世祝いの席に赴いていた
友は二人きりで話したいのか、妻がいると言って暁をテラスに移動させる
暁には説明していない、しかしまぁ子供がうろついていたらどこかの淑女が声をかけてくれるだろう
連れ去られるという事は考えにくかった
観察すればいたるところに警備がいる
友が裏で手を回しているなどが無ければ誘拐などは無理だろう
なんてことを考えていると、友がワインを片手に向かいに座る

友「さて・・・・どこから話せば良いか・・・・」

中尉「離しにくいなら結論から頼む、聞きたいことを僕が質問しよう」

友「そうか、助かるよ」

グラスに口を付けてワインを飲み込む

友「実は・・・・大陸に進出していた陸軍が、戻ってくる」

中尉「陸軍が?何故?」

友「資源確保の為に、東南アジアを本格的に独立させようという腹だ」

中尉「・・・・そうか」

中尉「・・・・聞きたいことは山ほどあるが、我が国と陸軍について過去と現状を確認しようか」

友「うむ、意見の相違があるかもしれんしな」

1941年、米から日本へ対する中国大陸、仏印からの全面撤退と、日独伊三国同盟の解消などを条件としたハル・ノートが提示された
それを良しとしなかった時の内閣は、御前会議において開戦を決定した
そしてマレー作戦を皮切りに米英との大東亜戦争が始まった
真珠湾攻撃、マレー沖海戦で大勝利を収めた我が軍は
マレー半島、フィリピン、シンガポールで米英に対し圧倒的な優性で戦局を進めた

しかし1942年珊瑚海海戦の事だ
そこで奇妙なことが起こった
日米両軍の空母機動部隊が互いに第三者に攻撃を受けたのだ
その時の両軍は、勿論敵にやられたと錯覚した
それからだ、両軍の部隊がたびたび謎の攻撃を受けるようになったのは

しかしそれも特に問題にはならず、時は過ぎた
しかし時が過ぎるほどに我が国は劣勢を強いられた
国力の差ともいうべきか・・・・
ミッドウェー、ガダルカナル、ソロモン、アッツ、ニューギニアで大敗したことにより、戦局は一気に米英に傾いた
さらにインパール作戦、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦で敗北し、いよいよ我が国は追い詰められた

しかし、ここで奴等が現れたのだ
そう・・・・深海棲艦だ
奴等は太平洋に展開する米の海軍を次々と攻撃した

人くらいの大きさで軍艦並みの攻撃翌力を持つ奴等に、為す術が無かった米軍はすぐさま撤退を開始した
戦力の差というよりも、兵が怯えきって戦えなかったのだ
当然だろう、奴等は人くらいの大きさのくせに駆逐艦を沈めた
そして漂流した水平を・・・・食うんだ

そして1945年
米と日本の間で一時的な日米休戦協定が結ばれた

これが25年前に起きた大東亜戦争の始終だ



次に陸軍について
深海棲艦の登場で東南アジアに展開していた陸軍兵は撤退を始める
補給もままならないのでは餓死するだけであったからだ
大陸に進出していた陸軍は度重なる敗走と深海棲艦の出現を機に満州まで一気に後退
満州を取り返さんとする中国に対し徹底抗戦を図っていた

日米の休戦により、大陸に裂ける戦力が大きくなった我が国は
満州の国力をあげようと移民を送り込む
そして今現在も両国との戦争は続いている

中尉「このようなところか・・・・」

友「うむ、相違ない」

中尉「でだ、満州国は一つの国としても機能できるほどの国力があるはず」

中尉「それが今になって何故東南アジアなんだ?」

友「・・・・」



山椒ウィキペ
歴史的事実の間違いや矛盾は見逃してくれー


友「・・・・陸軍は欲張りなのさ」

中尉「良く張り?」

友「上層部はいまだに先の戦争の敗因は海軍にあると言っている」

友「バカな奴等だよ・・・・だがそれは建前だ」

友「欲しいのさ、艦娘が」

友「艦娘を自分たちの指揮下に置いて、シーレーンを確保した上で・・・・東南アジアに進出するつもりだ」

中尉「バカを言うな、深海棲艦との戦争は現在も続いているんだぞ?」

友「慢心という奴だ、奴等自分たちなら何とかできると本気で信じてるのさ」

友「具体的な策など無い・・・・まさに老害という奴だ」

友「無駄に歳食って根拠のない自信だけは大きいんだ」

中尉「なら・・・・搦め手か・・・・あるいはもっと直接的な」

友「最悪内戦だな・・・・」

中尉「国を潰す気か?」

友「かもな」

中尉「・・・・おい」

友「冗談だ、そんな顔をするな」

中尉「はぁ・・・・で?何故それを僕に伝えた?」

友「そりゃ海軍とのパイプが欲しいからさ」

中尉「僕は少佐だぞ?」

友「だが曲がりなりにも鎮守府の提督だ、そいつとパイプがあって言うのは中々武器になるんだ」

友「机の上ではよりな」

友「それにお前の名前は陸軍でも有名だ、そいつが味方であると・・・・」

友「すまん、士気下がるわ」

中尉「・・・・」

友「まぁ、本音を言えばつまんない事で死ぬなよっていう友人からの忠告だ」

中尉「・・・・そういう事ならありがたく頂戴しておこう」

中尉「・・・・」チラッ

中尉「そろそろお暇するよ」

友「あぁ・・・・おい」

中尉「ん?」

友「死ぬんじゃねぇぞ」

中尉「・・・・死ぬものか」


アカツキー


友「・・・・」



友「・・・・」シュボ プハー

妻「こっちは手筈通りよ」

友「あぁ・・・・ご苦労」

妻「貴方の台本通りに話して、ブローチも渡したわ」

友「そうか」

妻「あいつに陸軍の事話してヨカッタの?」

友「あいつは馬鹿じゃない、いずれ気付く」

友「早いか遅いかの話だったから俺から伝えたのさ」

友「少しぐらいは信用してほしいからな」

妻「ふーん・・・・まぁ貴方の思惑なんてどうでもいいんだけど」

妻「私は私の目的が果たせればイイカラ」

友「・・・・ショートの黒髪も似合うじゃないか」

妻「そう」

友「ご苦労さん奥さん、今日はもういいぞ」

妻「・・・・二度とワタシを奥さんなんて呼ぶな」

妻「演技は我慢してやる、けれど・・・・」

妻「私の妻と呼んでいいのは・・・・」









「ヴァルハラにいるあの人だけデス」



よしよし役者が揃ってきたぞ
ねばねば


中尉「・・・・・・・・」ズズズ

うむ、やはりコーヒーは良い
心が落ち着き、頭もすっきりするからな

友のから聞いた話し、陸軍が内地に帰ってくるという話
確かに実現すれば大問題であるが今は気にすることは無い
それよりも問題なのは

侵食ウィルスに対する抗体をいかにして作り出そうとするかだ
人体実験ともなれば僕の体でいい、しかし死にたくはない
故にどうにかして高すぎる致死率を下げる必要がある
しかし実験をするにしても一人では心もとない
この鎮守府にはいわゆる脳みそ筋肉な奴等しか揃っていないからな
大鳳に手伝ってもらうという手もあるが、彼には鎮守府運営を任せている
これに加えて手伝えというのはあまりに酷であろう

そこで僕はある一人の人間・・・・いや今は艦娘か
そいつを呼んだ
いつか言ったと思うが、本来鎮守府間の異動というのは原則認められていない
今回は・・・・・まぁ、個人的な
酷く個人的な手を使ったのだが・・・・


プリンツ「コーヒーの味はどう?お兄ちゃん?」

中尉「あぁ、とてもおいしい・・・・」

プリンツ「よかったぁ!んふふふふ~」

中尉「その・・・・プリンツ、お兄ちゃんというのは・・・・」

プリンツ「なんでですか?お兄ちゃんはお兄ちゃんじゃないですか?」

中尉「まぁそうなんだが、そうなんだがな・・・・」

大鳳「・・・・お邪魔でしたら私室に戻りましょうか」シラー

中尉「違うんだ大鳳、これは決して僕の趣味ではない、本当だ」

大鳳「では失礼します」

中尉「あぁ!大鳳!待つんだ!せめて誤解を!!」

プリンツ「・・・・もしかして、私は邪魔ですか?」ジワッ

中尉「いやっ!そうでもなくて・・・・はぁ・・・・」

若干後悔をしている・・・・・


プリンツ・オイゲンもちろん本名ではない
彼女はドイツのアドミラル・ヒッパー級の艦娘だ
生粋のドイツ人である彼女は、一時帰国をした時に艦娘になるための訓練を受け
日本の鎮守府に国家間艦娘交流の先駆けとして配属された

ではいかにして彼女を呼びよせたか
それを語るには彼女との関係を説明した方が早いだろう

彼女はいわゆる許嫁という奴だ
僕の父親と彼の父親は友人であり
僕と彼女の父は医師として師弟関係にあった
父が亡くなった後、僕はドイツに渡り彼の下で医学を学んでいた
その時、看護師見習いとして共に学んでいたのが彼女だった
彼は僕を大変可愛がり、将来は娘を是非嫁にと言われたのが発端だ
僕は彼女の意志を尊重したうえならと、一応了承した
ここが誤算であった

彼女は乗り気であったのだ
即答だ、あの時は五回ぐらい聞き返した記憶がある
つまり僕たちは、将来婚姻関係を結ぶ誓いを立てた相手であると言える
下衆かもしれないが、僕はその関係性を利用した

艦娘取扱規定にはこのような記述がある

『提督と艦娘が人間時に婚姻、あるいは許嫁として両人が認知・合意していた場合に限り
 正当な手続きを踏めば艦娘は夫または夫になるものの鎮守府に異動することができる。
 しかし婚姻の際には戸籍、許嫁の際には艦娘側への親の確認を必要とする』

これを使い、彼女を呼びよせたというわけだ
お兄ちゃんという呼び方は、ドイツにいた頃の名残である
あるが、僕たち以外はそれを知らない

中尉「・・・・そのな?みんなには僕たちの関係は言ってないだろ?」

プリンツ「だからお兄ちゃんはお兄ちゃんでいいじゃないですかー!」

プリンツ「もー!意味わかんないよ!」

中尉「違うんだ、そうなんだがそうじゃないんだ・・・・」

中尉「こうな?僕が君にお兄ちゃんと呼ばせてるのではと皆が邪推するのだ」

プリンツ「じゃー・すい?」

中尉「・・・・君に無理矢理お兄ちゃんと呼ばせているのではと思われるのだ」

プリンツ「私は私の意志でお兄ちゃんて呼んでるんだよ?」

中尉「・・・・もういいや」

プリンツ「どうしたんですか?天気もいいんですから元気だしましょー!!」

中尉「はぁ・・・・」

彼女は頭脳明晰・眉目秀麗と文句の付けどころのない
大変すばらしい女性なのだが
その・・・・
若干アホの娘というか、確かにそういうところも彼女の魅力だ
魅力なのだが・・・・

少ないがネバ、眠いんだ
どうでもいいがプリンツが名前を呼んでくれて
初めて心臓が跳ねるという意味を理解した

今日は多分書けない
どうでもいいが>>597の発言があれだな
今になって読み返してその不気味さに気が付いたわ
あれだ、真昼には別の言い方があるだろ
ああいう事だ


中尉「はぁ・・・・」

プリンツ「?」

こうなってしまっては話が進まない
そうだよな・・・・・許嫁というのも真実、彼女の兄代わりであったことも真実
彼女が艦娘取扱規定の異動の項による特例を使ってこの鎮守府に来たというのを、他の人間には隠せ
それならば彼女は僕を兄と呼ぶことを選んだ、それすらもまた強引に変えさせるというのは

中尉「・・・・」チラッ

プリンツ「???」クビカシゲッ
↑そこまで深く考えてはいない

流石にやり過ぎか・・・・」

中尉「呼び方についてはもういい・・・・今回呼んだのはこれについてだ」

僕は呉大将から届いた手紙を彼女に渡す

プリンツ「・・・・・へぇ」

中尉「僕はその抗体を作りたいんだが、何か手は無いだろうか?」

プリンツ「ふむふむ」

ひとしきり読み終えたのか、手紙を机に置いて彼女は腕を組む
首を横に傾げ右下を見つめる
この格好は彼女が真面目に物事を考えるときに取る恰好だ

プリンツ「・・・・A+B′は 唯一7:3にするとどちらでもないものに変化した」

プリンツ「なら9.9:0.1とか・・・・そう言うのはどうですか?」

プリンツ「ほら、少量の毒から慣れて行けばいずれ体に抗体ができるっていうじゃないですか?」

中尉「しかし手紙にはその比率が、唯一Cに変化する道であると書いてあるが?」

プリンツ「めー、確かめてみないとわかりませんよ」

プリンツ「1ℓの血の中にたった一滴でも深海棲艦の血が勝つんでしょうか?」

プリンツ「そもそもこのウィルスの感染経路というのはどこからですか?」

中尉「話では・・・・研究中だと」

プリンツ「なるほど、でもそれはお兄ちゃんが実験をやらない理由にはなりません」

プリンツ「はっぽーさいなのはわかります」

プリンツ「でも少なくとも人には何かをトリガーにして抗体を作る事が出来る」

プリンツ「それは十分に実験の動機に成り得ます」

プリンツ「さぁ!そうと決まればまずは深海棲艦を捕まえましょう!!腕がなりますよー!!」

中尉「・・・・」ファイヤーファイター

押しが強いな、思い返してみれば彼女の行動を阻止で来たことは一度も無かったな・・・・

中尉「深海棲艦の血ならすぐに手に入るだろう」

プリンツ「え?鹵獲してあるんですか?」

中尉「まぁな」





雷「最近暇ね・・・・暁以外」パチッ

響「良い事じゃないか、平和という事だ・・・・・暁は訓練に明け暮れているが」パチッ

電「訓練ばかりじゃ萎えるのです・・・はいリーチ」パチン

春雨「チッ」

電「・・・・」ニヤッ

春雨(ここは流れに身を任せる・・・・)パチ

雷(腕を上げたわね・・・・)パチン

響(まだだ・・・・まだ振り込まない・・・・)パチン

雷「ツモ!チンイツトイトイサンアンコウサンカンツアカイチリンシャンカイホウ!!」パチーン

響「ブッ!!!」

電「は?」

春雨「うそだ!!!」

雷「はい私の勝ちー♪全部貰って行くわねー」ガサガサ

響「」

電「えっ?マジ?」

ガラッ ハイルゾ

春雨「くそっ・・・・これが横須賀の雀鬼・・・・」

雷「これで司令官に美味しいお肉買おっと♪」

春雨「お願い!それをとられたらもうお金が無いの!!見逃してください!!」

雷「麻雀は余興や遊びじゃないのよ・・・・」

春雨「なんでも・・・・しますからぁ・・・・」

春雨「体でもなんでも売りますからぁ・・・・」

中尉「なるほど、なら俺が買おうか」ヒャイ

春雨「くぅ・・・・初めてなのに・・・・」

電「・・・・ん?」

雷「あら?」

春雨「ふぇ?」

中尉「じゃ」




電「いやああぁぁぁぁダメなのですぅぅぅぅぅ!!」ドンドンドン

雷「あれ?開かないわ!しれーかん!愛人は二人までだからね!!聞こえてるの!!」

響「」



春雨「・・・・あの・・・・」

中尉「悪いようにはしない」

中尉「ちょっと血を抜くだけだ」

春雨「」

春雨「いやぁぁ!!やめろぉぉぉ!!死にたくなーい!!!!!」







中尉「連れて来たぞ」ドサッ

春雨「グエッ」

プリンツ「じゃあベルトで椅子に固定してください」

中尉「あいよ」カチャカチャ

春雨「ななな・・・・」

プリンツ「はーい♪すぐ終わるからねー」

春雨「あわわわわわわ・・・・・」ガクガクブルブル

プリンツ「大丈夫よ・・・・我がドイツの医学薬学は世界一だからー」

プリンツ「そして私は・・・・・世界一の看護師なんです!!」チュウシャビシィィ

中尉「春雨・・・・」

春雨「お願い・・・・やめて…」

中尉「人間の偉大さは、恐怖に耐える誇り高き姿にあるのだ」

春雨「」

プリンツ「あ、墜ちた」

プリンツ「こーつごーこーつごー♪」チクッ チュウウウウゥゥゥウゥゥ







中尉「深海棲艦の血は青いのだな」

プリンツ「それに冷たいんですね・・・・」

春雨「」

ねば

>>614
咲っていう麻雀漫画の有名なシーンなんだよ
リアル麻雀で考えちゃダメだ


中尉が春雨を拉致して、プリンツと実験を続け
雷電姉妹が提督の不貞を許すまじと走っていた頃


居酒屋鳳翔 横須賀店

大鳳「・・・・おかわり」

龍驤「もうその辺にしとき・・・・鳳翔さん、水一杯頼むわ」

鳳翔「えぇ・・・・」

大鳳「おかわりぃ!」

龍驤「あかん!しまいや!あほんだら!!」

大鳳「うぅ・・・・」

龍驤「昼間っから呼び出して、何かと思えば酒なぞかっ食らってからに・・・・」

龍驤「なんや?なんかあったんと違うか?」

大鳳「うぅぅ・・・・うーうーうー!!!!」ブンブンブンブン

大鳳「ううぅうぅうっぅーーーーーーーーーー!!!!!」ブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンブンドゴブンブンブンブン

龍驤「ちょ!!あかん!!あかんて!!」

龍驤「あかーん!!!」バチーン

大鳳「きゃっ!!」ステン

鳳翔「まぁ!」

龍驤「駄々子みたいに暴れるなあほぉ!!たく・・・・また一人で溜めこんで・・・・」

龍驤「まぁわからんでもない、女性初の海軍士官・・・・おまけに悪名高い陸軍の提督とくらぁ」

龍驤「こりゃストレス溜まるでぇホンマァ」

大鳳「提督・・・・ていとくぅ・・・・・」ポロポロ

大鳳「うっ・・・・ふぎゅ・・・・」

龍驤「あぁもう!!とりあえず鼻かみーや。ほらちーんて」

大鳳「・・・・・ちーんぅ」

龍驤「ドあほ!口で言ってどないすんねん!!」

大鳳「・・・・・」チーン

龍驤「よし・・・・ほら話してみいや、何があったんや?」

大鳳「誰にも言わない?」

龍驤「うちと鳳翔さんはお前の姉代わりみたいなもんや!ぜぇぇったい誰にも言わへん!」

鳳翔「えぇ・・・・どのような話でも・・・・です」

大鳳「ホント?」

龍驤「約束や!ウチが約束やぶったことあったかいな!」

大鳳「・・・・」フルフル

龍驤「そら・・・・いってみぃ」

大鳳「うん・・・・あのね・・・・」


龍驤「・・・・」

鳳翔「・・・・これはまた」

大鳳「・・・・」プルプル

龍驤「大鳳・・・・なんでウチらに一言いわへんかった?」

大鳳「お・・・・怒って」

龍驤「怒っとる、当然や」

鳳翔「当然です」

大鳳「ぅぅ・・・・」

龍驤「だけど・・・・少し嬉しいわ、お前も立派になったなぁ」ワシワシ

大鳳「ぐすっ・・・・」

鳳翔「陸軍の友さん・・・・どうにも信用できません」

龍驤「まぁ、大鳳はまんまとそいつの口車に乗せられたというところやな」

鳳翔「一度話をまとめましょうか・・・・」

龍驤「そうやな」


四条鎮守府に着任して間もなく、大鳳さんに手紙が届いた
話しがしたいという内容
そして自分ならあなたを大将の位置まで登らせることができると
これに興味を持った大鳳さんは向かった先で友さんと雪風に出会った
そこでこれからの海軍は腐敗の一方で陸軍にいずれ掌握されるかもしれないという話を聞いた
そこで大鳳さんは彼等と協力体制を結んだ
深海棲艦化した春雨ちゃんが四条鎮守府に住み着いた後またしても手紙が届いた
内容は春雨の治療には呉鎮守府の助けが必要だという事
そして四條の提督は呉へ、そして南西へ向かった
大鳳さんは提督さんが療養している隙に呉へ向かい
呉の大将に若葉さんを使って脅しをかけた・・・・


鳳翔「こんなところでしょうか・・・・」

大鳳「はい・・・・」

龍驤「わからんなぁ・・・・自分なんで横須賀の大将に牙を剥くんや?あんなに慕っとったのに」

大鳳「・・・・皆さんも知っていると思いますが・・・・」

大鳳「全国の各鎮守府ではたびたび規律が乱れることがあります、被害者は全て艦娘です」

鳳翔「・・・・提督への全権委譲による悪行ですね」

大鳳「えぇ・・・・私はそれが許せなかった、黙殺される悪が・・・・」

大鳳「・・・・いつか私がのしあがって解決しようと、そう思っていた」

大鳳「でも・・・・事態はそんな悠長なことを言ってはいられなかった」

大鳳「被害者は・・・・雪風ちゃんは壊れていた・・・・春雨ちゃんは手遅れだった・・・・」

鳳翔「・・・・」

大鳳「だから私はあの男の口車に乗った、利用してやろうと思った」

大鳳「提督が南西に行った後、私は飛龍さんに聞いたんです」

大鳳「横須賀の大将は・・・・あの人に汚れ仕事を押し付けていた・・・・」

大鳳「自らの管轄の自らの不手際を他の人間にやらせていた・・・・」

大鳳「こんなの・・・・許されるはずはない・・・・ならば!!」

大鳳「なら!私が正しい方向へ!!持っていく!!他の誰でもない私が!!!」

大鳳「多少強引な手を使ってでも!!多くの業を背負ってでも!!私が!!!」

龍驤「・・・・」




龍驤「大鳳・・・・つまるところ自分の目指す世界は真っ白な世界っちゅー事か?」

大鳳「そうです。誰もが笑って過ごせる世界です」

龍驤「そらえぇな・・・・ホンマにえぇ世界やと思う・・・・でもな?」

龍驤「仮に・・・・仮にやそんな世界ができたとする」

龍驤「でもどっか狂って悪人が現れた・・・・そいつはどうするんや?お前が殺すと思うか?」

大鳳「当然です、それが私の責務です」

龍驤「ちゃうなぁ、そいつはウチが殺すで」

龍驤「必ず殺す・・・・だってなぁ」

龍驤「うちは自分のそないな悲しそうな顔見たくないもん」

大鳳「!」

龍驤「ええか?お前が幸せを願う人間の数だけ、お前の幸せを願う人間てのはおるんや」

龍驤「多分、その提督さんもその一人やろ、うちがやらんでもそいつがやるで」

鳳翔「なんなら私もやっちゃいます!」

大鳳「鳳翔さん・・・・」

龍驤「なぁ大鳳、誰もが笑って過ごせる世界・・・・その誰もに」

龍驤「君は入っちゃいかんのか?」

大鳳「・・・・私の手は・・・・・」

龍驤「洗えばええやん」

大鳳「でも!私はもう・・・・・」

龍驤「まだや、踏みとどまれる」

龍驤「本当に友君の口車に乗って利用してやろう思たら、自己犠牲はあかんで」

龍驤「うちの為に、うち等の為に働くんや!!」

龍驤「そういう気でいな・・・・視野がせもうなるで?」

大鳳「・・・・・」

龍驤「真っすぐ・・・・どこまでも真っすぐてええやん、美徳やでホンマ」

龍驤「お前のいう事は何一つ間違っちゃない」

龍驤「でも・・・・だからこそ一人で突っ走ったらあかん、善人は利用されるんや」

龍驤「やからな?少しは頼らんとあかんで?」

龍驤「これからはうちらを頼ったらええ、お前が高みを目指すっちゅうなら手ぇ貸したる」

龍驤「もう一人で悩まんでええ・・・・だから」






龍驤「もう泣くなや・・・・可愛い顔が台無しやで・・・・」






大鳳「・・・・・」スゥスゥ

龍驤「まったく・・・・まだまだうちが付いてなあかんな」

鳳翔「龍驤さん・・・・敵の狙い、どう思われますか?」

龍驤「・・・・まだ何とも言えへんな、情報が足りん」

龍驤「大鳳が協力してから呉大将を脅迫するまでの期間・・・・全てを偶然とするには流石に出来すぎや・・・・」

龍驤「どこか・・・・怪しい所があるはずや・・・・」

鳳翔「・・・・」



1、四条鎮守府に着任して間もなく、大鳳さんに手紙が届いた

2、話しがしたいという内容

3、そして自分ならあなたを大将の位置まで登らせることができると

4、これに興味を持った大鳳さんは向かった先で友さんと雪風に出会った

5、そこでこれからの海軍は腐敗の一方で陸軍にいずれ掌握されるかもしれないという話を聞いた

6、そこで大鳳さんは彼等と協力体制を結んだ

7、深海棲艦化した春雨ちゃんが四条鎮守府に住み着いた後またしても手紙が届いた

8、内容は春雨の治療には呉鎮守府の助けが必要だという事

9、そして四條の提督は呉へ、そして南西へ向かった

10、大鳳さんは提督さんが療養している隙に呉へ向かい

11、呉の大将に若葉さんを使って脅しをかけた・・・・



安価下三つ
怪しい所はどこか

とりあえず今日はネバ
安価の分岐の際のifはこのSSが完結した時に書く
安価下


鳳翔「海軍の腐敗とはなんでしょうか…」

龍驤「そりゃあれやろ、不貞をやらかす提督とそれを見過ごす大本営の事を指してるんとちゃうか?」

鳳翔「そうでしょうが・・・・それで陸軍が海軍に勝てるとは思えません」

龍驤「そやなぁ・・・・陸さんも虎視眈々と狙っとる、けども現状の戦力を覆せるわけあらへん」

龍驤「搦め手なら話は別やけどな」

鳳翔「つまりハッタリ・・・・」

龍驤「心理的に揺さぶりをかけた・・・・とちゃうか?」


鳳翔「春雨の治療には呉鎮守府の助けが必要だ・・・・何故呉鎮守府を名指しで?」

龍驤「食の舞鶴開発佐世保、研究呉に武横須賀・・・・ちゅうことやろな」

龍驤「艦娘全般の研究をやっとる呉や、当然敵の研究もやっとるやろうからな」

龍驤「選択肢としては妥当やと思うで」

鳳翔「・・・・もしくは他に呉でなければならない理由があった・・・・」

龍驤「あるかもなぁ」


鳳翔「待ってください・・・・友さんは何故春雨さんが四条にいることを知っていたんでしょうか?」

鳳翔「深海棲艦をかくまったとなれば大問題です、関係者は隠すはず・・・・」

鳳翔「なのに友は春雨ちゃんありきで手紙を送ってきた・・・・」

鳳翔「ということは・・・・」

龍驤「・・・・裏切り者がおる・・・・・」

鳳翔「かもしれません、そしてその可能性が一番高いのは?」

龍驤「死神か?」

鳳翔「えぇ・・・・彼も元陸軍、もしかすると・・・・」

龍驤「次点で電か・・・・いっちゃん最初の発見者や・・・・」

鳳翔「疑えばキリがありませんね・・・・」

龍驤「逆に考えようや、友はそもそも春雨の存在を知っていた・・・・どうや?」

鳳翔「知ったうえで送り込んだ、となれば春雨ちゃんはグル?」

龍驤「もしくは何も知らされていない捨て駒か」

鳳翔「友は・・・・南西に横須賀が向かうのを知ったうえであえて四条に春雨さんを送り込み、死神に呉に行くように誘導した」

鳳翔「情報提供を理由に南西で死神に横須賀を消させる」

鳳翔「空いたポストへ大鳳さんを・・・・どうでしょう?」

龍驤「だとすれば友と呉大将はグル?ならなんで大鳳は呉大将を脅したんや?」

鳳翔「・・・・大鳳さんは初めから蚊帳の外?何かの陽動でしょうか?」

龍驤「そもそもそうだとしたら春雨をどう手懐けたんや?腐っても深海棲艦やろ?」

鳳翔「・・・・」

龍驤「敵さんの目的はもっと単純なのかもなぁ・・・・」

鳳翔「単純ですか、例えば?」

龍驤「そやなぁ・・・・例えば・・・・」

龍驤「嫌がらせ、もしくは本当の目的を隠すための」

龍驤「大がかりな群集劇を大鳳にお膳立てさせたのかもなぁ」

龍驤「主役はまだ暗幕の裏だったりしてなぁ・・・・」


「そう言えば先日忍び込んだ艦娘はどうしたんですか?」

「ふふふ・・・・うふふふふふふふふふ」

「話も通じないとは・・・・まぁいい目標数まであと数週間」ガチャ

「・・・・・私です、生産を急がせなさい」

「材料が足りない?なら特別艦娘も充てなさい、構いません」

「これは全て正義です、正義の名の下の行いに罰などありません」








「コレであなたもワタシとイッショデース」

「No problem.....すぐにラクになりますヨ」

「トモダチが増えて・・・・とってもウレシイデース・・・・」

「そんな目をしないデ・・・・カナシイーデス」プスッ


(あぁ・・・・冷たい・・・・)

(ここまでかぁ・・・・ねぇ、傷だらけの死神さん・・・・)

(信じてるよ・・・・救ってくれるって・・・・)

(貴方の手で・・・・もう一度)







コイツラヲナグッテクレルッテ






ねば
内容が薄っぺらい気もするが書いてて楽しいから良しとしよう
あと麻雀について
>>615だうん、その通りだ、代弁してくれてありがとう
本気で考えないでくれ、雰囲気を出したかっただけなんだ


プリンツ「それじゃあお兄ちゃん、私は部屋に戻るね♪」

中尉「あぁ、今日はありがとうな」

プリンツ「いいですいいです♪」ガチャバタン

プリンツと実験を行ってわかったことがある
彼女の言うとおり極端な比率であれば、人間の血は侵食ウィルスに侵されないという事だ
ゆっくり、ゆっくりではあるが人間の血は徐々に抗体をつくることが可能であるという事だろう
まさか本当にプリンツの言う通りになるとは、やはり優秀だ
これで長い目で見て、春雨の件は解決だな・・・・

コンコン

中尉「どうぞ」

電「失礼するのです」

中尉「電か、どうした?」

電「これはどういう事なのです?」

彼女はある人物を背負っていた

春雨「」コワレチャウコワレチャウ

中尉「あぁ、彼女は実に役立ってくれた」

電「まさか・・・・ここまでするとは思いませんでした・・・・」

電「春雨ちゃんは部屋に帰ってくるなり倒れて・・・・うわごとのように壊れるって・・・・」

電「司令官さんは・・・人じゃないのですね・・・」

中尉「・・・・さすがに抜き(血液的な意味で)すぎたか?」

電「ぬきっ!!(抑えられない性への好奇心的な意味で)」

電「変態!獣!えっちなのです!!!」

中尉「意味が分からんな・・・・」

雷「御飯よー」ガチャ

中尉「あぁ、ご苦労」スクッ

雷「今日はステーキよ!!」スタスタ

中尉「む?奮発したな?」スタスタ

電「あっ!待つのです!話はまだ終わってないのです!!」テコテコ

春雨「」ズルッ

電「あぁ・・・・ごめんなのです・・・・」




中尉「あれ?暁はどうした?」

睦月「まだ訓練をしてますよ?」ムグムグ

中尉「何故止めない?」

吹雪「止めましたが、あれは何を言っても聞き入れませんよ・・・・」

響「何を焦っているんだろうね、司令官は何か心当たりがあるかい?」

中尉「そう言うのは直接聞くのがいいだろう」ガタッ

響「私も行っていいかい?」

中尉「構わん」

響「ありがとう」ゴソッ


中尉「何を持っているんだ?」

響「みかん」


暗い海面の上、跳ねるように動く者がいた
その者は紫紺の髪を揺らし、胸に白いブローチを付け、手に持つ砲で的を打ち壊す
今だ拙い動き、しかしその目は決して自身の無いもののそれではない

中尉「あかつきー!!」

僕が呼び掛けると彼女は僕に気付き、近づいてくる

暁「ごきげんよう司令官、どうしたの?」

響「もうご飯の時間だよ」

暁「え?」

中尉「気付かなかったのか?こんなに暗いのに」

響「お腹が空いてると思って持ってきた、食べなよ」

暁「あ、ありがと」

中尉「ならばそのみかんを食べてから行こうか」

暁「うん!」

中尉(ん?)

中尉はここで気が付く、彼女の胸に輝くカミツレのブローチに
だが彼は特段取り乱すことも、突然追求することも無かった

暁「んー♪甘酸っぱくておいしいわ!!」

響「そうか、それは良かった」

中尉「・・・・なぁ暁、ひとつ聞いてもいいかい?」

中尉は優しく、そして静かな声で聴く
それはまるで幼い子供に道を尋ねるような
敵意も無く、期待も無く、意図があるわけでもなく
ただただ戯れを目的とした、大人の意地悪
彼は彼女が取り乱すことをわかって尋ねる

暁「ふぇ!!あの!!これは・・・・その・・・・」

中尉「ははっ」

響「慌てすぎ」

暁「うぅ・・・・司令官」

中尉「わかっている、友の奥さんと名乗る人にもらったのだろう?」

暁「知ってたの?なら・・・・あの夜何があったのかも?」

中尉「僕は神様じゃないからね、詳細なことはわからないよ」

中尉「でも、友が僕に何かしらの揺さぶりをかけていることは知っている」

中尉「生来の付き合いだ・・・・雰囲気でわかるし心当たりもある」

暁「じゃ・・・・じゃあ過去に置き忘れた思い出っていうのは?」

中尉「それも自称奥さんから?」

暁「・・・・うん」

中尉「聞きたいのか?」

響「ヤー」

中尉「・・・・何故君が返事をする?」

響「私たちはあまり貴方の事を知らない、知りたい」

中尉「気持ちのいい話ではないさ・・・・僕が15の時の話だ・・・・・」


僕には二人の友がいた
暁があった友、そしてその恋人の女だ
二人は婚約をしていてね、よく僕に仲人だ赤ん坊を取り上げろだと言ってきていた
それもそうだろう、僕は医者なのだから
彼等との出会いは同じ地区であったというだけであった
勿論他にも子供は大勢いた、でも、この二人といるのが一番楽しかったのだ

しかしいつまでも楽しい時間は続かない
友は軍人としての英才教育を受ける為、僕らと遊ぶことが少なくなった
そんな折に作ったのが・・・・カミツレのブローチだった
彼女はつながりを形に残したかったのだと思う
軍人としての友、医者としての僕
歳をとるたびに会うのは難しくなるだろうからね
まぁ・・・・それも今は叶わないのだがな

あくる日の事だ
女は僕の別荘にとある用事でやってきた
あぁ・・・・あそこだよ、あのお墓があったところだ
彼女の用事も一通り終わり、僕は少し町まで出かけた後だった
放火にあったんだ
からっとした天気で別荘が木造だったこともあって火はすぐに燃え広がった
加えて周りは森だ、一面火の海に囲まれていた
僕は火を抜け、必死に家を目指した
目にしたのは倒壊した一部の家屋に巻き込まれて死んだ両親
そして・・・・身動きの取れない彼女
僕は必死になって彼女を助けようとしたが・・・・僕だけではとても手に負えなかった

心当たりがあると言ったね?
僕はね、彼女を殺したんだ
ほかならぬ僕の手で

僕はじわじわと足が焼け、悲鳴をあげる彼女を見ていられなかった
そして、とっさに持っていた小刀で彼女の胸を・・・・突き刺したんだ

彼は酷く悲しみ・・・・そして壊れた
一時期は本当に幻覚と幻聴に苛まれ、本当にどうしてよいかわからなかった

でもまぁ・・・・彼も今ではだいぶ立ち直ってな・・・・

えっ?なんで小刀を持ち歩いていたかって?
それはね・・・・

雷「いい加減にしないと冷めちゃうわよー!!」

暁「あっ!今行くわー!!」

中尉「まぁこんなところか・・・・」

響「一つ聞いてもいいかい?」

中尉「ん?」

響「話を聞く限り友は司令官を恨んでいる・・・・何故手をうたないのだ?」

中尉「・・・・僕は何があっても彼を受け止めるつもりだし、彼にも僕を恨む理由がある」

中尉「それに・・・・彼は僕のかけがえのない友人だ」

響「・・・・わからない、彼は間違っていると思う」

中尉「例え間違っていても、味方でいるのが友人というものだ」

中尉「それがたとえ三文芝居であっても、付き合ってやるのが友情だ」

響「じゃあ・・・・例えばその三文芝居で、関係のない人が巻き込まれて死んだらどうする」

響「それでも司令官は同じ事が言えるのかい?」

中尉「目の届くところにいたら守ってやれるが、それ以外では自己責任だ」

響「それは無責任というのではないのかい?」

中尉「とるべきものが責任、負うべきでないのが責任感、君のは後者だ」

中尉「僕はただの人だ、限度がある」


雷「いい加減にしないとご飯下げるわよー!!」

中尉「さぁ行こう、冷えてきた」



そう言って彼は去る



響「限度がある・・・・か」

響「限度があるから、巻き込みたくないから司令官はいつも一人で出かけるのかい?」

響「あの深夜、司令官は二輪に跨りどこに行っていたんだい?」

響「なぜ、そんなにも怪我が多いんだい?」

響「私たちは艦娘、司令官を守るのも仕事だ」

響「それなの・・・・何故守らせてくれない?選んでくれない?」

響「非常に、非常に不愉快だ・・・・」

響「私たちは・・・・守られるだけの人形ではない・・・・」


誇り高き不死鳥の独白は
夜の闇に静かに消えた

ねば


短編 狂気の果て




雪風「くすんくすん」

「…」

雪風「くすんくすん」

「…どうしたんだい?」

雪風「雪風は泣いているんです」

「どうして泣いているんだい?」

雪風「どうして泣いているのかわからないんです」

「それは困ったね、何か心当たりはあるかい?」

雪風「無いんです」

「事情を知る友達はいるかい?」

雪風「それもわからないんです」

「そうかい…こまったなぁ…」

雪風「くすんくすん」


赤城「あら、雪風ちゃん?どうしましたか?」

雪風「雪風が泣いている理由を知りませんか?」

赤城「ん?何か悲しいことでもあったの?」

雪風「それもわからないんです…」

赤城「そっか…きっと不安なのね…」

赤城「みんなーちょっと来てー!」

加賀「どうしたのかしら赤城さん」

飛龍「はーい」

蒼龍「何か御用ですか?」

赤城「雪風ちゃんが不安がってるの」

加賀「そう…心配することは無いわ」

加賀「この戦いは勝利しかないわ、なぜなら私たちがいるからよ」

飛龍「そうだよ!この飛龍様がもついているからね!」

蒼龍「こら!慢心はダメよ!!」

雪風「…」

蒼龍「まだ不安なら…えい!!」ギュッ

雪風「わふ!」

蒼龍「これで怖いことなんて何もないよ!」

蒼龍「ん~雪風ちゃんあったかーい!」

飛龍「あっ!ずるいよ蒼龍!!」

蒼龍「早い者勝ち―!」

加賀「まったく、騒がしいわ…」

赤城「ふふふ…」

赤城「さて…そろそろ戦闘用意です」

蒼龍「うぅ…名残惜しいなぁ」

飛龍「鎮守府に帰ればまた抱きしめられるよ!」

加賀「さぁ…持ち場に戻って」

赤城「第一攻撃隊!発艦はじめ!!」


比叡「えへへ…情けない姿になっちゃっいましたね…」

雪風「比叡さん?」

比叡「悪いんですが…二つだけ頼みごとがあるんです、いいですか?」

雪風「あっ、はい」

比叡「金剛お姉さま…榛名に霧島…みんなに愛していると伝えてほしいです」

比叡「そして…どうか最後は味方の手で沈みたい…」

雪風「わかっ・・・」ビービービー

雪風「退避命令?」

比叡「あちゃー無粋だなぁ」

雪風「すみません比叡さん、また戻ってきます」

比叡「はい、待ってますよ」

雪風「…すぐ戻ってきますから」

比叡「大丈夫です!雪風ちゃんが戻るまでは沈みません!」







比叡「まだ…まだ……動ける…」

比叡「お願い…連れて行って…」

比叡「私を……」

比叡「一人にしないで…」

比叡「お姉さま…」


時津風「雪風…」

雪風「時津風ちゃん?その怪我…」

時津風「いやぁ…とちったぁとちった…もう動けないわー」

雪風「そんな…一緒に…」

時津風「ゆきかぜーいきのこれーいきのこるのだー」

時津風「いきのこってみんなをまもるのだー」

時津風「時津風のぶんまでいきるのだー」

時津風「なくなよー、ないたらばけてでるからなー」

時津風「だから…もうバイバイ…」







天津風「いいこと雪風、よく聞いて」

雪風「天津風ちゃん…時津風ちゃんが」

天津風「知ってるわ、だから聞いて」

天津風「夜寝る前には必ず歯を磨くこと、夜更かしも駄目よ」

天津風「汗をかいたらお風呂に入って、ご飯もちゃんと食べるのよ?」

雪風「なんで…そんなこと」

天津風「嫌な予感がするのよ…まぁあたらなければいいんだけど…」

天津風「ほら、そんな顔しないの、大丈夫だから…ね?」

雪風「…本当?」

天津風「本当よ?嘘なんてつかないわ」





雪風「…」

雪風「…嘘つき」


浦風「なんじゃ雪風?そがいに暗い顔見せんな!」

浦風「だいじょーぶじゃ!うちらは沈まんきん!なぁ浜風!」

浜風「そもそも死神など気にするほどではありません」

浜風「そのような戯言を気にするようでは、貴方が先に沈んでしまいますよ?」

浦風「こりゃ!浜風!おんどれはお高くとまりよってからに!」

浜風「事実よ、彼女は沈まない」

浜風「誰であろうと私が必ず守り抜きます」

浦風「じゃけんな雪風?」

浦風「そがぁ悲しそうな顔すなや…」

磯風「うん?どうした?新入りか?」

浜風「磯風も何か言ってあげて、元気がないの」

磯風「ふむ…雪風」

雪風「…」

磯風「流言を気にするな…というのは難しい」

磯風「故にこの言葉だけ覚えておけ」

磯風「生きることは恥ではない、生き残ることもまた立派な戦いなのだ」

浦風「ん?谷風はどこじゃ?」

磯風「やつめはトイレだ」

浜風「逃げるわよ雪風」

浦風「賛成じゃ」

磯風「おい待て!もう昼飯が出来ているんだぞ!!」

雪風「…ふふ」

浜風「やっと笑ったわね」

浦風「めんこい笑顔じゃねぇ」



雪風「…」

雪風「…」



雪風「…思い出しました……」

「ん?そうか…」

雪風「雪風は…悲しくて、辛くて泣いていた」

雪風「駆逐艦として多くの人を守りました…でも…」

雪風「それ以上に多くの味方を守れなかった…」

雪風「それが…辛かった」

「それは仕方がないことだ、君は神ではない」

雪風「なんで…なんで…」

「深海棲艦は強い、そのような状態も起こり得るだろうな」

「理由がわかったところで聞こう…」

「…ここで君はどうする?」

雪風「どうって…」

「ただここで膝を屈して泣き続けるかい?なるほど、それもいいだろう」

「雪風に適応した者は、皆同様にここを去って行った」

「その背負うものに耐え切れずに…だ」

「逃げるか、戦うかは自由…」

「しかし君が見てきた者たちはどうだろうか?」

「膝を屈していたか?死を望んだか?」

「違うな、皆一様に戦った、戦って死んだ」

雪風「死ぬのは…怖いです」

「死が怖いのならここにとどまり膝を抱えるのもいい」

「しかし…それは決して生きているとは言えない」

「生きることもまた戦いだ」

「戦うことも抗うことも放棄した君は決して死なない」

「だが生きない」


「さぁ決断の時だ」

雪風「雪風は弱いです…」

「ならば強くなればいい」

雪風「もう誰も死なせたくないです…」

「ならば守りぬけ」

雪風「戦えば雪風と同じ思いをする人がいるかも…」

「ならば死ぬな」

「思い出して欲しい…君の足跡を…」

「君はもうそのすべてを持っている」

雪風「…」



「さぁ…決意が出来たらこの手をとってくれ…」

雪風「…雪風は…戦えるでしょうか?」

「それは君の手で確かめるといい…」

雪風「…」

「守り抜け、友を」

「幸運を手繰り寄せろ」

「地べたを這っても、明日が見えずとも、噛り付いてでも」

「願うなら叶えられる…」

「奇跡艦だからでも、不死身だからでもない」

「雪風だから、叶えられるのだ」

「ようこそ、国内初の雪風」

「南西鎮守府の少将だ」

「秘書官の叢雲よ!ほら!駆けつけ一杯!」

「バカ、彼女は未成年だ」

「いいじゃない、今日はお祝いよ!」

「まったく…すまんな雪風」

「いえ…楽しそう…です」

「あら?なかなかわかるじゃない」

「まったく…」




雪風「…」パチ

雪風「しれぇ…また同じ夢です…」ギュウ

「…」

雪風「しれぇと雪風が初めて会った時の夢です…」

「…」

雪風「みんな…元気かな?」

雪風「でももうすぐ会えますよしれぇ…皆さんはいま陸軍にいるんです」

「…」

雪風「しれぇじゃない司令官がお仕事が終わったらまた会えるって…」

雪風「だから雪風は負けません、戦います」

雪風「決してお膝を曲げません」

雪風「だからしれぇ…みんなが帰ってきたらまた…」

雪風「雪風とお話してくれますか?」




駆逐艦雪風
遠き日を想う

彼女の夢は現実か、あるいは虚構か
そもそも彼女が認識しているのは現実なのか幻想なのか
誰にも理解はできない

ただそれは甘い甘い毒であり
彼女をただ蝕み続ける


彼女は夢から覚めず、今日も夢を見る


腕に抱く人形

本物のそれに抱かれる日まで

ねば


夕食を終え、執務室でいっぱいひっかけていた時
彼が帰宅した
その様相はなんというか・・・・とても酷かった
千鳥足で備え付けのソファに飛び込むと、うつぶせのまま変な笑い声をあげて足をバタバタさせる
少しすると黙り込んだ

そうして一言

大鳳「私は・・・・最低な女です・・・・」

中尉「バカを言うな、君は男だろう」

大鳳「れっきとした女の子です・・・・」

中尉「まぁいい・・・・随分とヤケ酒のようだな」

大鳳「・・・・」

大鳳「私は最低なんです・・・・」

中尉「そうか・・・・なにが最低なんだ?」

大鳳「・・・・言いたくないです・・・・・・」

中尉「それにしては随分と聞いてほしそうだが?」

大鳳「聞いてほしいけど、言いたくは無いんです」

中尉「それはつまり…当てて見せろという事か?」

大鳳「正解でも不正解にします」

中尉「なるほど・・・・つまりなんだ、大鳳、君は構って欲しいのか?」

大鳳「・・・・はい」

中尉「・・・・これはあくまで推察だが…」

中尉「誠実な君の事だ、その最低な気持ちというのは近しい人間との問題で自覚したものだろう・・・・」

中尉「恥ずかしがることは無いよ、人の悩みの大体は人間関係と金だからね」

大鳳「知りません」

中尉「相手にとっては・・・・とても矮小な事ではあるが君が気にしすぎているか、もしくは悪事を働いてしまったか・・・・」

中尉「僕としてはそこらへんだと思うが、どうだろうか?」

大鳳「不正解です」

中尉「君はどうにも面倒な性分だな・・・・悩むのであれば行動は控えればいいだろうに・・・・」

大鳳「私がやらなきゃダメなんです・・・・」

中尉「不正解なのでは?」

大鳳「どうせ正解なんてわかりはしないですもん」

ある晴れた昼下がりの事
俺は昼飯のかつ丼を手早く胃に押しこんで、とある場所に向かっていた
PC専門ジャンク店、手持ちの物が壊れたら大体ここに世話になる
話しは変わるが最近俺の天使が優しい
きっと彼女もこの俺の人間的魅力に気づいたのだろう…
彼女とのソウルブレイキングタイムはあれはあれで効果的だったのかもしれない
さて、そんなことは俺のドーナツの輪のような日常の一コマに過ぎない
振り返ってみれば俺の日常というものは、恵まれていたと感じる
平凡なヒトでありながら、他とはまた違う刺激的な日常であるということは自信を持って言える
しかし俺はそれに満足はしていない
つまるところ人間というものは等しく欲深なもので、常に今あるもの以上のものを求めてしまう動物だと言えるだろう
例えば科学
現在の人類の文化について語るならこの科学という学問は外せない

いや…一口に行ってしまえば誤解が生じるな…
俺が言及する科学
それはすなわち自然科学のことである
古来の冷蔵庫は二段構えの扉付きの箱の上の部分、そこに氷を入れて下段の食物を冷やしたという
現在の冷蔵庫は電気を使って冷やす、その構造はよく知らないが…不思議なもので冷蔵庫の後ろの部分は暖かい…
冷やす道具が暖かいのだ

まぁ何が言いたいのかというと、科学の発展に寄与してきた人物の欲望の結果が現在の文化なのだ
はやく目的地に着きたい
冷えたものを食べたい
良い女を抱きたい
あれが欲しい
これが欲しい
つまり人類の歴史というものは、すなわち人類全体の欲望とイコールであるといえる
人間が持つ欲望はいったいなんであるか?
こんな問いを出されたとき、歴史を紐解けば明確になるだろう

昨今、この欲望を抑えようという動きがみられる
そして俺にとって一番身近な問題が
ロリコンの風評被害、先入観による過度な表現規制
それによる画材の免許制導入
ロリコン撲滅のために全国健全美術協議会が発令したこの規則
俺はこのような現状に対し毅然とした態度でNOを突きつけたい
欲望を無くすという事は、それすなわち幸福追求の放棄
幸福を求めて何が悪いのだ?
ロリコンで何が悪いのだ?
人を殺そうというのではない、金を強奪しようというのではない
ただ愛する、幻想の少女を愛しているだけ
現実のションベン臭いクソガキでなく
決して触れ得ぬ可憐な少女
それだけの話

そもそも奴らは俺たちのことをまるで犯罪者のように扱いやがる
やれ現実と非現実を認識していない、やれ現実に非現実を持ち込んでいる
バカな奴らだ、お前らこそ二つの世界の境界線があいまいになっている
俺たちは日々いかにして非現実を現実にしようかと四苦八苦しているのに
奴らは経験がないから憶測で叩きやがる
一部の大きな問題を全体の問題にしやがる
要は加減だよ、やつらはアパートのボヤ騒ぎを江戸の大火事にするんだ

まぁこんなことをぼやいても仕方がない
結局のところ俺らの存在は許されないものになりつつある
時代は俺たちを許さない
いいだろう
ならば闘争だ
戦うのだ、勝ち取るのだ
生き生きとした少女を
一冊のスケッチブックと一本の鉛筆で堂々と表現できる世界のために

彼女たちの笑顔の為
何より・・・
後ろに続く次代のロリコン紳士の為に・・・・

無粋な傍観者は退室を
勇気ある聴者は拍手を
中庸の語り手は拍子木を
愚かな演者は諸刃の剣を


紳士淑女よお待たせしました
今の今から

最初で最後の奇跡が起こる


二次表現解放同盟メンバー最後の1人のゴザル
ヒトの“ココロ”と“カラダ”に憧れ続けるAIコユキ
脆弱な二人が描く夢物語に
画材はいらない

中尉「・・・・悪は善の事を知っているが、善は悪の事を知らない」

大鳳「なんですかそれ?」

中尉「カフカの言葉さ・・・・つまりだ」

中尉「君が何を悩んでいるのかはわからないが・・・・確かなことは君が善人であるという事」

中尉「そして僕は悪人であるという事だ」

大鳳「なにそれ、私のやる事なんて透けて見えるという事ですか・・・・」

中尉「すべて見えるわけじゃない、だが君が抱えそうな悩みはある程度絞り込めるという事さ」

大鳳「なら・・・・予想して私に助言をください・・・・」

中尉「そうだな・・・・」

中尉「なんでもやり通せばいいというものではない」

中尉「時には勝負を捨てることも、より大きな勝利の為には必要だ」

大鳳「・・・・そんなの・・・・無様です」

中尉「無様かどうかは自分で決めるといい、なんにせよ僕には君の問題を解決できない」

大鳳「・・・・」

中尉「さぁもう寝ると言い、明日も早いのだから…」

そう促すと、素直に起き上がる彼女
うるんだ目でじっとこちらを見つめる
特に何も言わない、言いたいことがあるなら彼女が言うはずだ

大鳳「もしも…身内に敵がいる、そんな疑いを持ったら」

大鳳「あなたはどうしますか?」

なるほど・・・何が発端かは知らないが疑心暗鬼になっていると見える

中尉「それは僕に人徳がなかった、それだけだ」

大鳳「…処分はしないんですか」

中尉「明らかになれば何らかの処分はするさ」

中尉「ただ…裏切りにはそれ相応の理由があるだろう」

中尉「僕個人としては、それを責める気にはなれないな」

大鳳「おやすみなさい…」

中尉「あぁ、お休み」

その日隣の部屋からすすり泣く声が聞こえた
翌日、彼女は目を赤くして僕の前に現れたが僕は特に言及はしなかった
言及しても無駄だからだ
・・・おっと
“彼は”だ

すまん忙しくて全然書き込めなかった
とりあえず生存報告を兼ねて少しだけ書き溜めておいた
ねば

ホントごめんなさい
>>664は無視してください間違えました


中尉「さて…」スッ

僕は机の引き出しを開け、二つのイヤホンを出す
そのうちの一つを耳に当てた
聞こえてくるのは、少年のころから親しみのあった声
最も信頼し、もっとも疑ったただ一人の親友の声

中尉「…まったく、僕は最低だな」

中尉「何時からこうなってしまったんだろうな…」

そんな愚痴を一人で吐きながら
素早くメモを取っていく

ここで僕は奇妙な事に気が付いた
きっと酔っているからだろう、そんな言い訳もできないほどに奇妙な事だ

そう、僕は今
間違いなく玉砕覚悟の作戦を立てている
まったく酔狂な事だ、そのことに僕は今、たったいま気が付いた
眼前のメモがそれをゆるぎない現実であるという事を告げている

中尉「ははは…まったく、笑い話にもなりやしない」

いや、結局のところ妥当な判断ではないのだろうか?
カフカではないが、僕はいつも死にたがっていた
しかし、着任した当初はここは僕の死に場所ではないと思っていた
故に醜くも生き恥を晒し続けた

だが、今はどうだ?
僕を生に執着させ続けたものは今は無い
何が無いのだ?
違う、あるのだ

それは形あるものではないが、形ある何よりも固いもの
それは饅頭よりも甘く、春の木漏れ日より美しいもの
僕の中で咲き誇り続けるあのカミツレの花に似た感情
僕は確信してしまったのだ
僕が彼女達を心底愛しているという事に

この鎮守府の者達は
間違いなく僕の死を悲しんでくれるという事に

やり方は汚かった
彼女達を傷つけたこともあったろう
そんな回り道を続け、つづけ
僕はやっと確信したのだ


僕が彼女達を慕っているように
彼女達もまた、僕を慕ってくれている




よくよく考えればわかりきったことだ
彼女達は南西の鎮守府まで僕を助けに来た

それだけじゃない

僕の力になろうと訓練に励む者
己の無力さをかみしめる者
ドアを破ってまで僕の傍に来ようとするもの

そして…
反目してまで、己が道を突き進む者


はやくに気付けたはずなのに、どうも僕の頭は凝り固まっていたようだ

自覚すると嬉しいものだな
窓に映った顔が酷く気持ち悪いものになっている


僕は再度、引き出しを引いてイヤホンとカセットテープを取り出した
プラグを接続して、録音された声を聞いた

「みんなで幸せになれる道が!きっとあるのです!!」
「絶対あるのです!!」
「だから…だから!!!」
「沈んだ敵も!!助けるのです!!!今行くのです!!」


中尉「まったく…甘い奴だ」


「確かに電は貴方の気持ちなんてわからんのです!!」
「でも!泣きたいときに傍にいてあげるくらいの事は出来るのです!」
「悲しいことを分かち合うことはできるのです!!」
「うぅ・・・・でもぉ・・・・・」
「そんなにも怖いですか?また攻撃されるのが?」
「うっ・・・・・なんでそれを・・・・・」
「ケガを見ればわかるのです・・・・」
「そんなにも傷つくのが怖いなら、電の後ろに隠れるのです!」
「電が壁になるのです」
「とにかく生きるのです!」
「・・・・・」グジュ
「生きていれば何かが変わります!でも死んだら終わりです!!」
「答えるのです!生きるのか!本当に死ぬのか!!」
「二つに一つなのです!!」
「・・・・・」
「・・・・私は・・・・・生きたい・・・・・です・・・・」
「・・・・勇気が出るまで、私を守ってください」
「その言葉が聞きたかったのです」


中尉「だが…強く、優しい」


引き出しの中の類似した機器をすべて取り出し
それに酒をかける

中尉「さて…後は」

僕は彼女の部屋の戸を開ける

大鳳「すー…すー…」

深い眠りについたのだろう
彼女は少しも気づかない


中尉「…」

僕はそっと彼女の髪を撫でた

大鳳「ん…」

そして、小さな声で話した

中尉「僕はね、意地悪をしていたんだよ」

中尉「君はあまりにも彼女に似ているから…ついね」

大鳳は答えない
静かに眠っている

中尉「君を責めないのは、知っていたから」

中尉「全部、知っていたからなんだ」

中尉「汚いだろう?許しは請わない」

中尉「よく頑張ったね?辛かっただろう?」

中尉「でももういいんだ、ここから先は僕がやる」

中尉「おやすみ大鳳、せめてものご褒美にこれを置いていくよ」


そうして僕は、彼女の小さな手を開いて贈り物を握らせた


中尉「さよなら大鳳」



その言葉と共に、僕は扉を閉めた


執務室にある武器を全て持ち、研究室へ向かう

そして僕は、もう一つのカセットテープを再生する


「あwwwえwwwwwwだwげwwwwwwめwっwけwwwwwww」


中尉「ふっ…」

それはうっとおしくも、嫌でなく
二度とは聞けない奴の声

中尉「待っていろ飛龍…すぐに開放してやる」


僕は最低限の医療キットを手に
鎮守府を出た

待ってた人ごめんな
色々あったんだ
またコツコツ書いていくから優しい目で見てくれや


矛盾に気づいた


その日隣の部屋からすすり泣く声が聞こえた
翌日、彼女は目を赤くして僕の前に現れたが僕は特に言及はしなかった
言及しても無駄だからだ
・・・おっと
“彼は”だ


これは見なかったことにしてくれ
そうすれば合点がいくはず


鎮守府を出て少しの所、木々に囲まれた一本道の真ん中
複数の人間が立っているのが見えた
それは懐かしくも憎らしい面々

中尉「これはこれは…」

赤城「…」

加賀「…」

伊勢「…」

武蔵「…」

蒼龍「…」

中尉「なんだ…蒼龍もいるのか、久しぶりじゃないか?」

蒼龍「…死神」

そうつぶやき僕を睨み付ける彼女
その瞳の色を僕はよく知っている
あれは…戦死した部下の家族との顔合わせでよく見た

提督「蒼龍」

蒼龍「…」

彼女を手で制し僕を見据える

提督「こんな夜中にどこへ行かれるのですか?」

中尉「…さぁ」

提督「失礼ながら南西鎮守府の件より、貴方を監視していました」

提督「何故監視されるのか、心当たりは?」

中尉「さぁね」

提督「…最近の事です。陸軍に不穏な動きが見られます」

提督「呉鎮守府周辺に友大佐の中隊が駐屯しているそうです」

提督「彼とは友人だそうで?何か知っているのでは?」

中尉「それも、さぁね」

提督「…どうしても答えないという事ですか」

中尉「そういう事だ、そこを通してもらうよ」

提督「そう言うわけにはいきません」

彼が手をあげると同時に前面の空母たちが小銃を構える
伊勢が刀を抜き放ち、武蔵が拳を作りながら前に出る
それと同時の事
背面に球磨

提督「数で勝ち、相手は艦娘です…痛い目を見たくなければご同行願います」

中尉「そいつはごめんだな…」

提督「正気ですか?勝ち目があるとでも?」

中尉「…南西でのことだ……あんたは言ったな」

中尉「俺の先方は奇襲夜襲だと、それは正解だ」

中尉「では何故俺が死神と呼ばれているか…考えたことはあるか?」

提督「それは貴方が味方殺しを行っているからでしょう」

中尉「ちがう…違うんだよ坊ちゃん」

中尉「一度も考えたことは無かったのか?」


中尉「俺が嘘を言っている可能性について」

提督「なに?」

その瞬間、中尉の周りから白煙が上がる
そして鎮守府に向かって中尉は走り抜ける

提督「しまった!!追え!!」






中尉(くそ…奴等にも盗聴器を仕掛けるべきだった)

中尉「だが…構わない、仮定が正しければ…」

中尉「成功するはず」



工廠


中尉「艦種適正の際に…自らが何になるか」

中尉「それは妖精の加護を受けた様々な艤装を装備するという」

中尉「適性が合わなければ艤装は装備できない」

中尉「深海棲艦の血はそもそもが艦娘の血とほぼ同じ」

中尉「人が艦娘になる際に傍にあるのは妖精の加護」

中尉「艦娘が深海棲艦になる際には妖精の加護はすでに受けている」

中尉「人が艦娘に成れるのであれば何故人は深海棲艦に成れない!?」

中尉「過程だ、必要な過程と条件を満たしていなかった」

中尉「深海棲艦化を強引な妖精の加護の剥離と考えればどうだ」

中尉「つまり艦娘と深海棲艦の違いは妖精の加護があるかないか」

中尉「妖精の加護と深海棲艦の毒…それらが同じであれば…」

中尉「足りないのは艤装」

中尉「艤装の定義は妖精の加護とそれらが存在していたか」

中尉「ならば・・・・頼むぞ明石丸!!」


中尉は工廠に置いてある明石丸に乗り込み、首筋に注射器をあてる
そして

中尉「南無三!!」


中の液体を体内に入れる

ねば


あの時の彼の姿は、そこにいた者は皆忘れられないだろう…

我々が追っていたのは四条鎮守府の少佐のはずであった

だが…我々が次に目にした彼は

人間でも深海棲艦でもない・・・

化物だったんだ






我々は工廠へと向かう中尉を追っていた
先行する球磨と武蔵
それに続く形で赤城、加賀、蒼龍、伊勢、私

提督「武蔵!球磨!殺すんじゃないぞ!!」

武蔵「わかっている!!」

その言葉と共に工廠の扉を吹っ飛ばす武蔵
球磨と共に工廠へ突入

球磨「観念する…く…ま?」

提督「どう…」

赤城「…なんですか…あれは」

ほの暗い工廠の電燈
色あせたそれは照らす景色を橙色に染める
それが一層、目の前の光景を受け入れがたいものへと変えた

中尉「……」

カーキ色の軍服
…間違いないはずなのに、決定的に間違っている

金の瞳に腰に携えるは日本刀ほどの長さの鉈
黒い髪の毛は白く染まり、片腕が欠損していた

提督「ちゅ・・・中尉…なのか?」

そう問うた刹那
全身を柔らかい感触に包まれる

加賀「いけない!!!」

突然、押し倒される
次に耳に入ったのは鈍重な金属音

伊勢「んぐっ!!!」

武蔵「なんだこいつのスピードは!!」

球磨「赤城ぃ!!!」

赤城「ひっ…」

めまぐるしく変わる状況の中
彼女の肩越しに見た景色は
彼が鉈を振りかぶるその姿であった

そこから先の記憶は無い


蒼龍「はぁ…はぁ…」

蒼龍(やばいやばいやばいやばい!!)

みんな…みんなやられた!
なんであんな巨大な鉈を持ちながらあんなスピード出せるのよ
あんなの人間じゃない

蒼龍「勝てない!!!勝てるわけがない!!武蔵も球磨もやられて!!」

蒼龍「逃げなきゃ・・・・ひっ!!」

中尉「…」

蒼龍「いやっ…」

廻り込まれた!?
何時の間に?どこから!?

中尉「…」ザッザッザッ

蒼龍「いや…死にたくない・・・・」コテン

中尉「か…ヤク…」

蒼龍「へ…」

中尉「カガ…やけル…アカツきの…すいへイセン・・・・」

中尉「そのサキ・・・・に…ミルケシキがだいしょうを必要と…するならば…」

中尉「ワレ…こそが…その先駆けとならん」

中尉「無力ナタミが安寧をキョウじゅし、コウフくを謳歌するならば」

中尉「殉ずる命に意味ハ問わず」

中尉「その意志こそが後世への教示にナランコトヲ」

蒼龍「な…なにを?」

中尉「ネガワクバ吾が身が・・・・・貴様の矢で射ぬかれんことを」

中尉「…」ザッザッザッ


蒼龍「・・・・はぁ…はぁ…」

蒼龍「なによ…なんなのよあれ…」

ねば


中尉「…」

注射を打った後、僕の意識はしばらくはっきりとしなかった
今認識しているものは現実なのか、幻なのか


明晰夢と言えばいいのか、はたまた他の誰かに乗り移ったのかは定かではない
僕は夢の中では一人の海兵で、たくさんの戦闘機が僕の乗る船を取り囲み
戦友であろう奴等があ次々と戦死し、無力さをかみしめる中
僕の船が沈む夢

そして次に見たのは、たくさんの爆撃機に向かい対空砲を放つ船の姿
僕はそれを俯瞰的に眺めていた・・・まるでこの世界の神であるかのように

夢みる方や奴等とも戦っていた
こちらがきっと現実なのだろう

この時の僕はまるで壊れた傀儡のように、自らの体を自らの意志で操る事が出来なかった
人知を超えた速さに肌が切れても止まらず
筋肉が千切れる感覚に陥っても大きなな鉈を振り続けた

だがこんな私でも、ただ一つの想いだけは最後まで貫く事が出来た
決して誰も殺さない

事実奴等を殺すようなことは無かった


いま僕はようやく戻りつつある自らの肉体の疲労と高揚感を抑えつつ
呉に向かっている

さぁ、決着をつけようか……我が最愛の友よ
そして…金剛


工廠に面した海上を高速で移動する中尉
そしてそれを追う一人の少女


「くそ…速すぎる」

「司令……君は病んでいる」

「巻き込まれた人間にも家族がいる…何故それを考える事が出来ない」

「私たちに向けるその目は、間違いなく情愛であったはずなのに!」

「間違いなんてさせない・・・その道は間違っているんだ!」



そうかそうか…みんなありがとう


「…あの笑顔を嘘だとは言わせない・・・・・・」

「二人で帰るんだ……あの場所へ」


「不死鳥の名は伊達じゃないんだ!」


銀の髪を携えし少女は
妖精のように海上を舞う

また夜に

飲んでー呑まれてーねむいー
やーがてー俺はー
眠ったーすまんー


中尉の前方およそ3キロ先
そこに彼女はいた

ヲ級「…」

それはかつて彼と笑いあった艦娘
名を飛龍
背筋をピンと張りつめ、遥か先からの来訪者を待つ
その様はまるで出征した恋人を待つ、凛とした少女
しかしその目は鋭く冷たい

右手に携えし杖を天高く突き上げ、言葉を紡ぐ
そこにかつての快活な彼女の面影はない
抑揚のない無い号令
しかしその声は確かに彼女のものであった

ヲ級「ダイイチジコウゲキタイ…ハッ…ハ・・・・」

ヲ級「ハッ・・・・ハ・・・・」

ハッ
それより先の言葉が出ない
彼女は深海棲艦としてはまだ赤ん坊のようなもの
もしかすると発声器官の未発達があったのかもしれない
ただその口元は歪み、発することを耐えているようにも見える
彼女の気持ちを知るものは無く、理解できる者は来訪者の遥か後方

仮に彼女がもがき、必死に海面へと手を伸ばしていたのだとしても

ヲ級「ハッ・・・・シン…」

慈悲は無い

彼女の頭上にある機関の口が開き、艦載機たちは飛び立つ
もう戻らない、いや艦載機は戻るだろう
訂正しよう

ヲ級「・・・・」

彼女はもう元には戻らない
そんな事実を知らず、艦載機は敵へと向かう
数えきれないほどの夜鷹が、暗い空へと飛び立った


それから2分後、時間にしてマルヒトヒトマル

中尉「!」

敵影目視

彼はその場で停止中腰になり、鉈を小銃のように持つ

中尉「マルヒトヒトヒト、迎撃を開始する」

静かにそう宣言すると、持っている鉈をまるで小銃のように持ちなおす
すると鉈は静かにその形を変える
機械的ではなく生物的
変形でなく変態
とにかくその変容はまるで意志を持った何かの様
やがて鉈は一丁のライフルような形状になる

中尉はそれを空へと向ける
明かりも何もない闇の中、彼は何の躊躇もなく引き金を引く
途端に響く轟音
彼のモデルとなった明石丸に積まれていた兵装の一つ
九七式自動砲のそれとはまったく次元が違う

中尉「…」ガチャコン

まるでシングルアクションの銃を扱うように薬莢を排出し、次弾を装填する
撃って排出して装填、撃って排出して装填
ただただその操作を、何度も何度も繰り返した

中尉「状況終了」

その掛け声とともにライフルは鉈へと戻り、彼は再び前進を再開する
彼にとっては蚊を払うような行為、しかしこの何でもない行動が

彼女への助け舟へとなった




響「見つけだぞ、中尉!」



ヲ級「・・・・」

今までは雲に隠れてていたのだろうか
綺麗な満月が姿を現した

それをただ見上げるヲ級
全ての艦載機との通信が途絶え、もはやなすすべがない
迫りくる来訪者を狩る武器も身を守る盾も無い

彼女に待つのはまず間違いのない敗北
それを本当にわかっているのだろうか
彼女の顔はどこか柔らかい
徐々に近づく来訪者

彼女は顔を降ろし、彼を見据える
その体には力みは無くただ待っている

自らに降りかかる運命の中に光るそれをただ見据える
ふと彼女の口が開く


来訪者はもう目前まで来ている


ヲ級「・・・・ァァ・・・・」
両手を広げヲ級は笑った


彼は鉈を一気に振り上げる











ヲ級「すき・・・・」



ヲ級の頭部は勢いよく千切れた


彼女には目もくれず、彼は突き進む
目に映るのはかつて訪れたあの場所

中尉「・・・・」

呉の鎮守府

夜の寒さが心地よい
俺はいまから
穏やかに眠るんだなぁ

おやすみ!


「とんでもない速さで接近する敵だ!迎撃翌用意!」

平和であるはずの近海に突如現れた敵
その存在に呉鎮守府は騒然としていた

その指揮を執っているのは鎮守府の警備隊長
時期が悪かった、呉の主力艦隊は今遠洋に出ていたのだ

「しかし…深海棲艦など私たちでは…」

「いいからやるんだ!!」



呉の鎮守府が慌てている頃、彼は一人の艦娘に道をふさがれていた


「いつか…いつか来ると思っていました…」

中尉「…随分と懐かしい顔だな」

「覚えていらしたんですか?嬉しくは無いです…」

中尉「…」

「あの日…あの日から金剛姉さまはおかしくなってしまった…」

「怪しげな陸軍と手を組み・・・・お姉さまはお姉さまでなくなってしまった…」

「すべては…すべてはきっとあなたのせい…」

中尉「それは逆恨みというのだ」

「それでもあなたを恨まずにはいられない」

中尉「勝手にしろ」

「…呉へは何の用ですか?」

中尉「けじめをつけにだ」

「金剛姉さまを[ピーーー]のですか?」

中尉「当然だ」

「で…あれば…」





「まずはこの榛名お相手いたします!!覚悟!!!」









榛名「やああぁぁぁ!!!」

夜だというのに…随分と目の利く戦艦があったもんだ…
彼女は的確に僕を狙い撃ってくる
しかし…今の僕は尋常でない、手に握る鉈ですべての弾を防ぐ

中尉「戦艦と言えどもこんなものか…」

榛名「くっ…防御が堅い…」

夜も明けないうちに力を手にした中尉
彼も今はまだ人間の心を持っている、そこには確かな慢心があった
”この程度なら楽に勝てる”と

しかしそんな慢心は彼が培ってきた感覚が許さなかった


ママー


中尉「!!!子供の声!!」

それは後ろから聞こえたものであった

中尉(なぜ!このタイミングで船が!!!)

榛名「近づけばやられる…砲撃で何とか!!」


奴は気づいていないようだ
如何に艦娘、いかに砲撃がうまくとも本来戦艦の砲撃の命中率は低い
このままあの船が近づけば…危険

だがしかし…




この時
中尉の目に呉の鎮守府が映る
暴走する親友の殺害、飛龍の仇
それらを捨ててまであの船を守る理由がどこにある?

中尉は迷った、ただ一瞬の出来事
しかし運命はそれを許さない

榛名「てぁ!!!・・・・・目測が・・・・」

中尉「!!!!!」


大きく外れた砲弾
間違いなく外れた

中尉「僕からは!!!」



全速力で砲弾を追撃する
しかし運命はまたも彼に牙を剥く

中尉「何故だ!!速度が上がらない!!」

艦娘であれば当然のこと
すなわち燃料切れ
彼の燃料の容量は駆逐艦以下
そもそも長い戦闘の継続は困難だったのだ

「ままーぴかぴかひかってるよ!!」

「砲撃の音?伏せて!!!」

近付くにつれ聞こえてくる母子の声

榛名「逃がしません!!!!!」

追撃してくる艦娘


振り返り艦娘を攻撃することもできたであろう
しかし…彼はそれをしなかった

出来なかった

中尉(今度こそ・・・・今度こそ!!!!)

彼の脳内に刻まれた過去の記憶
親友との禍根の原因

あの時の彼女と、子供を庇い抱きしめる母親が重なった
今の中尉には軍の事、金剛の事飛龍の事、自分の目的
全てが眼中になかった


中尉「くそ!!くそおおおおおおぉぉぉ!!!!!!!!!」

ここで榛名、前方の船に気付く

榛名「そんな!?この時間帯に船が通るなんて!!!」


着弾まで僅か
中尉は身を挺して砲弾の前に飛び込んだ




報告書

マルフタフタマル
戦艦榛名、接敵
榛名は遠方からの砲撃で敵を攻撃するも効果なし
戦闘から数分後、突如敵は後退
動機は不明
敵は流れ弾に自ら向かい撃沈、沈没

数分後、四条鎮守府所属の駆逐艦響が現れる

駆逐艦響の証言と
横須賀鎮守府の報告における四条少佐の変貌後の外見と極めて酷似することから
四条少佐と判明
以後人口深海棲艦甲級と呼称する

甲級の捜索は困難を極め
見つけること適わず

以上

なお、密入国船は戦艦金剛により撃沈、沈没を確認


呉鎮守府

提督代行
友大佐


友「…」カリカリ カリカリ

金剛「…」ズズズ

金剛「まさかこんな幕ギレなんてネー…しらけちゃったヨ」

友「奴は生きている…間違いなく」

金剛「それならいいけどネー」

友「…」

金剛「結局、何がしたかったノ?」

友「…」

金剛「だんまり…カ」

友「…」



友「奴は…生きている」

金剛「ハイハイ」

友「奴は俺が殺すのだ…死なれては困る」

金剛「ヘーヘー」

友(そうだ…困るのだ…」


友(中尉!)


大鳳「…」

若葉「…そろそろしっかりしないか」

大鳳「えぇ…」

若葉「あいつらはもう立ち直っているぞ」

若葉「探しに行くんだろ?中尉を」

大鳳「…」

大鳳「そうね…」

大鳳「いったいどこへ行ってしまったのかしら…」

大鳳「そしてこれ…白い花…」

大鳳「…中尉」





雷(中尉…あなたがいなくなってからみんなすごく変わっちゃったわ…)

暁「今度も!暁が一番なんだから!!」

響「負けられない・・・私は力が欲しい!!!もっとだ!!!!」

長門「ほう…ならば来い!!次は殺す気で行くぞ!!」

木曾「力を求めてどうなる…なんて柄じゃねえか」



吹雪「げほっ・・・・」

睦月「吹雪ちゃん大丈夫?」

吹雪「あれ…化物だよ…」



夕立「ああああはははっははっはあっははっはっはっはあh!!!!!!!!」

電「あああああああああぁぁぁぁぁああああああぁぁ!!!!!」

春雨「やあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあぁあ!!!!!」



雷「…」

雷「水族館にもまだ行ってないのに…」

雷「うそつき…」


提督「…」

赤城「…敵が減ったのは良い事では!?」

伊勢「あぁそうだぞ!強かったもんな!」

球磨「クマー」

加賀「…」

瑞鶴「一概に良いとは言えないでしょう…」

瑞鶴「あいつのが野に放たれれば海軍の闇が一部漏えいする危険もあるのよ」

瑞鶴「提督が私たちに真実を離した意味を真剣にズイイイイイいい!!!」

加賀「うるさいわよ」

武蔵「壁にめり込んだぞ…」

加賀「提督、あの子を呼びましょう…」

提督「誰の事だ?」

加賀「青葉です、彼女なら人探しは得意かと」

提督「それもそうか…」

提督「良きに計らえ」

加賀「はい」



プリンツ「…浮気かな?」

ユウビンデース

プリンツ「はいはーい…」

プリンツ「あれ?」

プリンツ「注射器…紫の液体・・・・」



1年後



叢雲「アンタほんとにこ・の!雪風を見たのよね!?」

「へへ…俺が嘘つくように見えるかい?」

叢雲「昔のあんたなら疑わなかったけどね…変わり過ぎでしょ…」

「あんまり褒めるなよ、うきうきしちゃうぜ?」

叢雲「褒めてないわよ!!」

叢雲「まったく…ちょっと飛龍!あんたなんてもん拾ってきてんのよ!!」

飛龍「ん?なんか打ち上げられてたのよ?」

叢雲「こいつ…誰よ?」

「重巡青葉、昔四条で見たことがあるぜ」

叢雲「また変なのが増えた…」

「おいおい、それじゃあまるで俺たちが変なのみたいじゃないか?」

叢雲「むしろ変じゃないと思ってたのが不思議よ…」

「だってー」

飛龍「私たちおんなのこだもーん」

?・飛龍「ねー♪」

叢雲「グギガガコココ!!!」

「ははは…さて飛龍」

飛龍「なにさ中尉?」

中尉「ハネムーンはどこがいい?」

飛龍「そりゃあもちろん…」


叢雲「呉の鎮守府よ!!」




青葉「はっ!!」

青葉「ここは…」キョロキョロ






第一部 艦これ

理由

忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙してい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しいしい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙いしい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しいしい忙忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しんい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しいかしい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しこい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しいに忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙ましい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しつい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しいた忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい忙しい



        /\Y/ヽ
       / (ー)(ー) ヽ
      /::::⌒`  ´⌒::::\
     | ,-) ヽ__ノ(-、|

     |  l   |r┬-||   |
      \    `ー'´   /
     /          \

   _/((┃))______i | キュッキュッ
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \
/  /_________ヽ..  \
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



         /ニYニヽ
        / ( )( ) ヽ
       / ⌒`´⌒ \   zzz...
      | ,-)    (-、.|

      | l  ヽ__ ノ l |
       \  ` ⌒´   /
    .   /            \     +
     .|. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  トン

    _(,,)           (,,)__
 .. /. |    neru   |  \
 /    |            |   \

ここから特に意味は無いギャグ


暁ちゃんとコーラ



ゴクゴクゴク…ハイパー!!!

スッゲー!!プランキー!!!!

ンン・・・ジーザス!!


暁「・・・・」

提督「zzz...」


響「コーラかい?冷蔵庫にあるよ」

響「飲み過ぎないようにね?」

暁「うん!」


レイゾウコガパッ

暁「…」

ペプシー

暁「…」ドキドキ

暁「んぅ…」ゴキュゴキュゴキュ

暁「…」

暁「…」





暁「げふっ」


暁ちゃんと三式弾


サンシキダン!!サンシキダン!!

暁「…」

暁「…」オモソウ

暁「!」ピコーン

がちゃがちゃのカプセル

小豆詰める

うわーこれはよけられないぞー

こんな命中率は初めてだ、さすがレディ!


暁「…」ワクワク


鳳翔「え?小豆?」

暁「!」コクコク



鳳翔「はいどうぞ」オシルココトッ

暁「!!」パァー

暁「!!」ニコニコ

暁「!!」ハフハフ






暁「^^」ハフハフ

暁ちゃんとアカギ

アカギ「まだだ、まだまだ終わらせない・・・」

アカギ「地獄の淵が、見えるまで…」


暁「…」


暁「…」テテテ

暁「チラッ」




赤城「まだだ、まだまだ終わらない」

赤城「倍ライスだ」


暁「やせ~…」


ろーちゃんだよ!!






暁「…ろ~?」



赤城「…」ダッ


暁「ヒィ」


暁ちゃんはぷにえちゃん

スゴイクライ


提督「ん?」

暁「ガクガクブルブル」

提督(はは、暗いのを怖がってるぞ…」)





提督「わっ!!!」

暁「やああああぁぁぁぁぁ」ジョバアアアァァ

提督「」

暁「うっ…ふぐっぅ・・・・・」

暁「びゃああああああぁぁぁぁっぁぁ・・・・・」

提督「おぅ・・・・・」





提督「Sugoi cry...]

最期だけミスった
いっか、ねよう

すまん…実習さえなければぁ……
(言えない・・・・今から徹夜マージャンだなんて言えない・・・)


「君たちは…毛利元就の三本の矢という話を知っていますか?」

「簡単な話です…」

「矢は一本なら容易く折れるが、三本束ねれば簡単には折れない…」

「皆で力を合わせろという事ですね…」

「あの日から半年…貴方達は様々な任務に就き、時には人前で言えないようなものさえも…」

「しかしその代償に大きな力を得ました、それは経験、知恵、知識…」

「それらは貴方達の自信であり、誇りです」

「どうかこの先もそのことを忘れないでください」

「第六駆逐隊及び春雨、若葉」

「横須賀鎮守府管轄、四条鎮守府が提督、大日本帝国海軍准将の大鳳がここに命じます」

「先週南西鎮守府の叢雲が、何者かと共に北上しているのを遠征中だった佐世保鎮守府所属の艦娘が目撃している」

「足の速い貴方達は先遣隊として、私たちに先んじてその調査…場合によっては討伐を行ってもらいます」

「以上、作戦開始は明けのヒトマルマルマルです」

「長期間の任務ですので、潤沢な予算が大本営から支給されますが、無駄遣いはしないように」

「では解散」


電たちにその指令が出されたのは寒い冬の事でした
その日の夜は睦月さんや吹雪さんたちが、私たちの旅立ちを豪華に祝ってくれました
司令官さんが人口深海棲艦甲級と呼称されるようになってから半年
皆さんはそのショックから立ち直り、日々を過ごしている様に見えます
そんな折のこの指令、皆さんは張り切っているようでした
司令官さんは生きている…と

電だって嬉しいはず…嬉しいはずなのに
なんだかすごくイライラします
勝手に一人で出撃して
勝手に背負って
勝手に死にかけるなんて
なんなのですか…
1人でヒーロー気取りなのですか?

気に入らないのです

春雨ちゃんが銃撃されたとき…あの時に電が闇雲に殴りかかったのを覚えていますか
木曾さんに止められましたよね

電は確信していますよ?
今なら貴方のハラワタを抉りだせるという事を

もう…司令官さんは・・・人じゃないのですね・・・

それはつまり

手加減はいらないという事ですよね?



中尉


四条鎮守府で宴が行われている頃


榛名「死神が生きているというのは本当ですか!?」

戦艦榛名
中尉を撃沈したその本人である

金剛「Oh...榛名」

友「…」

榛名「そんなはずはありません!!確かに!奴に砲撃は当たっていました!!」

比叡「榛名?とりあえず落ち着こうよ」

榛名「比叡姉さま…」

霧島「…どうしますか?この情報が真実であれば…姉さま」

金剛「今はそれどころじゃないネー」

友「その通りだ」

霧島「何かあったんですか?」

友「呉提督と雪風が失踪した…」

霧島「…今となっては用済みでは?」

友「馬鹿者、実験部隊の旗艦は雪風、奴等は旗艦の命令しか聞かない」

友「つまりアンコントロールだ」

榛名「実験部隊?」

比叡「?」

「こちら工廠!!間もなく隔壁を破られます!!」

友「了解、全員直ちに避難せよ」

友「金剛、艦隊を率いて奴等の追撃を行え」

金剛「ハー…面倒ネー…」

霧島「お待ちください!!実験部隊には姫級に匹敵する奴等もいるんですよ!?」

霧島「ろくな準備もせずに行くなんて無茶です!!」

友「腰抜け共め…」

金剛「…」

友「構わん、追撃しろ」

友「奴等の総数は数十の連合艦隊に昇る」

友「多くの実験体を撃沈しろ、砲撃でも雷撃でも爆撃でも構わん」

友「確実に始末しろ」

友「我々に背いたことを後悔させてやれ」

金剛「了解ネー♪」スタコラ

榛名「あっ!榛名もお供します!!」

比叡「私も行きます!!」

霧島「あぁ…もう!!」

バタン


友「…」

何故か下げてた





友「因果応報か…」

友「踏んだり蹴ったりだな」

ガチャ...プルルルルル....

「こちら横須賀鎮守府です」

友「呉の客員提督、友大佐だ」

友「我が呉鎮守府近海に多数の深海棲艦を確認、奴等の狙いは鎮守府ではないようだ」

友「ただ沖に向かっている」

友「近くの部隊を援軍に回してくれ、挟撃する」

「了解です」

友「よろしくどうぞ」

ガチャ


友「なぁ死神・・・・」

友「…貴様は今、どこにいるんだ?」


金剛達が出撃したころ


叢雲「……もうすぐで沖縄よ」

中尉「沖縄の俺はなんだ?」

叢雲「・・・・・・は?」

飛龍「なにが有名かってことでしょ?中尉それじゃあわかりにくいですよ」

中尉「周知かとな」

中尉・飛龍「「HAHAHAHA!!」」

叢雲「しばくぞ…」ボソッ

青葉「沖縄だと…ソーキソバが有名ですよ!!」

飛龍「さすが記者さんですね!!」

中尉「汽車さん?」

飛龍「せーの!!」

中尉・飛龍「せーんろはつづくーよー」

中尉・飛龍「どーこまでーもー」

青葉「へーいへーい!」


叢雲「あんたら頭おかしいんじゃないの!!!」

叢雲「夜よ!よ・る!!潜水艦に気付かれたらどうするのよ!!」

中尉「まかせろ叢雲」ブクブクブク

飛龍「おー…潜った…」

叢雲「そう言えば半分深海棲艦だったわね…」



叢雲「はやく雪風見つけて帰りたい…」




叢雲「はぁ…」




中尉「叢雲!!めっちゃウニいた!!ウニ!!」

叢雲「うるせぇ!!!」

飛龍「www」

青葉「はい!はい!青葉砂浜でお米炊いてうに丼食べたいです!!」

中尉「よっしゃ!!もう一回獲ってくる!!」

叢雲「だから!!中尉「食べないの?」

叢雲「ぁ・・・・うぅぅ・・・・」

叢雲「・・・・・」






叢雲「食べる…」

中尉「おっしゃ!」






第二部 雪風「ここで全部返してもらいます!!」


ねば
わかめご飯食って寝るぜ


四条鎮守府の面々が明日に備えて眠りについた頃
呉の金剛姉妹が深海棲艦の駆逐に当たっている頃

中尉達はというと


中尉「ひりゅー米炊けたー?」

飛龍「なかぱっぱですよ」

青葉「うにーうにーうにうにー」

飛龍「ウに好きなんですか?」

青葉「なんとなく歌ってみただけです」

飛龍「あっそ」

青葉「え」


飛龍に声をかけた中尉
その目線の先に皆と距離をとっている叢雲を見つけ歩み寄る


叢雲「…」

中尉「賑やかなのは嫌いか?」

叢雲「戸惑ってるだけよ、久々の仲間って奴とあんたにね」

中尉「俺か?」

叢雲「当たり前じゃない…何よその意味不明なテンション…」

叢雲「はっきり言ってムカつくわ」

中尉「話しただろうに…」

叢雲「だから尚更よ…」

中尉「…」

叢雲「別に責めてるわけじゃないのよ…」

中尉「…人それぞれに命の使い方があるのだ」

中尉「私は今、好きでこの命を使っている」

中尉「気負うことは無い」

中尉「さぁ、食べに行こうじゃないか」

中尉「新鮮なうに丼を」



叢雲「一つだけ覚えておきなさい」

中尉「?」

叢雲「アンタは今の行為を自分が好きでやっている…」

叢雲「だからそれは肯定されてしかるべきだ…そんな免罪符を得ているつもりなんでしょうけどね…」

叢雲「そんなのに付き合わされるこっちはたまったもんじゃないのよ」

叢雲「覚えておきなさい」

中尉「付き合わせてるのはそっちじゃないか」

叢雲「うるさい、行くわよ」

中尉「…気難しいお姫様だ…」






別スレで頑張り過ぎた
寝ねば


叢雲「…」モグモグ

青葉「叢雲ちゃん、むすっとした顔で食べてもおいしくないですよ?」パクパク

叢雲「うるさい」

青葉「あら手厳しいですね」

中尉「青葉ちゃん随分馴染んだな」ガツガツ

青葉「飛龍さん軽いんで青葉も軽いノリで行けば輪に入れるかなと」

飛龍「テヘペロ♪」

中尉「さて…腹も膨れたところで確認しなきゃいけないことがある」

中尉「俺たちは俺と飛龍の傷が癒え次第ここに来た」

中尉「主に情報収集の為にな」

青葉「もー!青葉が教えるって言ったじゃないですか!!」

叢雲・飛龍「うさんくさい」

青葉「えへ☆」

中尉「というわけだったから…俺たちは互いに目的の周知をしていなかった」

飛龍「あぁ…そう言えば」

中尉「という事ではい、青葉ちゃんから」

青葉「青葉は横須賀の提督から四条の少佐を探す様に命じられています!」

叢雲「…」チラッ

飛龍「…」チラッ

中尉「…そっか」

青葉「?」

中尉「叢雲は雪風の捜索、飛龍は蒼龍との再会」

叢雲「…」コクッ

飛龍「まぁ…最初はね?」

中尉「そして俺は…叢雲の手伝いしたら旅する」

飛龍「旅?どこに」




中尉「ベーリング海だ」

叢雲「ベーリング海ですって?」


電「…」

静かな四条鎮守府
そこで海を静かに眺める者が一人いた
駆逐艦電

死神亡き後、まるで自らを鼓舞するかのように常に最前線に立ち続けた彼女
駆逐艦でありながら数多くのル級を一人で沈め
あのレ級に対し勝るとも劣らない戦闘を繰り広げた彼女
彼女の戦闘スタイルは単純明快
近付いて白兵戦に持ち込む
ただそれだけ

その名は海軍全体に広がり
突いたあだ名が”乱麻”

戦局が詰まればとりあえず彼女を送ればいい
そのような上層部を皮肉ったようにも聞こえる
しかし彼女のあだ名はもう一つあった
それは”笛吹き”
かの童話からとったものだ

それは彼女のスタイルにあこがれ、散る艦娘が後を絶たないからだ
いつか大鳳が心配したそれは、奇しくも彼女の鎮守府の艦娘が切っ掛けとなってしまった

そんな彼女が見つめる先
月に照らされたニ人の艦娘
あの日からずっとだ
皆が寝た後にずっとニ人で練習を重ねている


電「…」

彼女はただそれを見つめている

電「響ちゃん…暁ちゃんは優しすぎるのです…」

電「司令官さんは私たちを信じずに死んだバカです」

電「…」


そんな彼女の独白を二人は知らない



響「暁!まだだ!遅いぞ!!」

暁「うるさいわね!わかってるわよ!!!」

響「このままじゃ電の足を引っ張ってしまう!!」

暁「だから言ってるじゃない!!その考えがおかしいのよ!!」

暁「電ははっきり言っておかしいのよ!夕立さんと同じよ!」

響「しかし!!」

暁「でも吹雪さんと睦月さんはついていけてる!それを考えなさいよ!!」

暁「役割分担よ!!暁たちには電より優れてるものがあるじゃない!」

暁「響は総合的に上だし暁は索敵ができるわ!!」

暁「司令官さんを探したいのはわかるけどもう少し冷静になりなさいよ!!」

響「あ…う…」

響「…」

響「すまない…」

暁「ふんっ」

響(司令官……)

響「くそっ!!」


彼女が不死鳥と呼ばれるのはまだ先の話である

暁「…」ポリポリ

彼女がレディ扱いされるのはもっと先の話である

前回宣言なく消えたのは大帝国が届いたからだ
そして今日までそれをやっていたのだ(ユリウス可愛い)
また書き進めてく


榛名「ふぅ…あらかた片付いたというか…」

霧島「どちらかと言えば逃げたって感じかしら?」

榛名「霧島…」

金剛率いる呉艦隊
彼女達は呉の軍港から逃げ出した実験部隊の追撃を行っていた
その様相は金剛達の圧倒的勝利
敵はただ逃げ、反撃の一つも見せなかった

比叡「ねぇ…あれって深海棲艦・・・・だよね?」

榛名「…霧島は何か知ってるの?」

霧島「私の口からは何も…」

霧島「…金剛姉さまに聞いてみましょう」

榛名「その姉さまは?」

比叡「あれっ?」キョロキョロ

霧島「…お戻りになられたのでは?」



前線から離れた呉鎮守府
その執務室に二人はいた
金剛と新しい呉の提督
友大佐だ

金剛はとある新聞を何とも気味悪そうに読み
友提督は冷めたコーヒーを口に含んだ


金剛「なんですカこのマッカなペーパーハ?」

友「アカの新聞だ…」

金剛「アナタ…アカなんですカ?」

友「それは奴の金庫から見つかったものだ…」

そう言い指を指すのは
扉の空いた金庫

金剛「ヘェ…つまりどういうコト?」

友「俺たちは私怨に我を忘れ、奴の隠れ蓑にされたという事だ」

金剛「…」

友「奴の艦娘深海棲艦化論…その実現の為に俺たちは手を貸した」

友「実験部隊の管理などの裏の仕事は俺たちがやり、あいつは表で無害な人間を演じていた」

友「そもそもそれが間違っていたのだ」

友「奴は機を窺っていた・・・我々を出し抜く機を」

友「怪しまれぬように飼い犬を俺に付けてな…」

金剛「雪風…」

友「そして機は熟した、実験部隊旗艦雪風は完成した」

友「クソッたれめ…」

金剛「……やることは決まっタ?」

友「あぁ…」

友「我々は死神を見つける前にやる事が出来たようだ…」


友「これからは奴等の動向に目を向ける必要があるな」

友「実験部隊については呉の艦娘達こう伝えろ」

友「奴等は我々の母港に住み着いていたシロアリである」

友「見つけた場合には何よりも優先して撃沈せよ」

友「手段は問わない…と」

金剛「…」

友「どうした?早く行け」

金剛「ハァイ」

バタン


金剛「なんだかタノシソウ…」

金剛「ハァ…面倒ネー」


叢雲「ベーリング海まで何しに行くのよ?」

中尉「何って…味方を増やすんだよ」

飛龍「北方に私たちの味方がいるの?」

中尉「いるぞ?とびっきりの女がな」

叢雲「…北方棲姫とか言わないわよね?」

中尉「ビンゴ」

叢雲「アンタ何考えてんのよ!!」

飛龍「そうですよ!!自殺行為です!!」

中尉「まぁ聞けって」

そう言って二人の首に手を回し小声で話す

中尉「いいか、雪風は今友と共に呉にいる…らしい」

叢雲「そうらしいわね…」

中尉「呉の提督は俺に深海棲艦になるためにヒントを与えてくれた」

飛龍「あっ…」

中尉「理解できたか?雪風を取り戻すとなればあいつ等との戦闘を想定しなきゃいけない」

中尉「そしてあいつらの戦力には深海棲艦もいる事を考慮しなきゃならん」

叢雲「いないかもしれないじゃない…」

中尉「全て未知数だ…」

叢雲「交渉材料はあるの?」

中尉「あるさ…」

飛龍「ホントですか?」

中尉「あぁ…美人に悪い奴はいない…」

叢雲「なにそれバカみたい、失敗したらどうするのさ?」

中尉「失敗したら…」







中尉「笑ってごまかすさぁ!」

飛龍「ヒュー!!」

叢雲「」

青葉「ハフッハフッ…」


ベーリング海



レ級「シャー!!」

ほっぽ「キャー!シッポ!!シッポ!!」

港湾「…」ニコニコ

イ級「イッイー!!」

港湾「ハァ…」



港湾「クルナト…イッテイルノニ…」

さて…ドクツ救うために南下するか…
ハイル貧乳(   ・ω・ )/


中尉一行、四条鎮守府、呉鎮守府それぞれの夜が明けた半日後の報告であった
呉鎮守府海域に出没した深海棲艦の援軍に向かい、これを撃退
呉鎮守府で補給を終えて帰港していった佐世保の艦隊が行方不明になったというのは

以下は呉提督から大本営宛に提出された、呉の近海に出現した深海棲艦と艦娘との戦闘記録である


突如として呉の近海に出現した深海棲艦
彼等は複数の縦列でただただ沖合に向かって針路を進めていた
しかしその数は膨大にして強大、とても呉の残存部隊だけで対応できるモノでなかった
ただ弱点はあった、観測部隊がそれを突き止めた
実験部隊は姫級を中心に外に広がるほど個々の能力の弱い艦が配置されていた

これに対し主に高速艦で構成された金剛率いる呉の追撃部隊は、隊を四つに分けて攻撃した

背後から攻める金剛艦隊
右翼から攻める榛名艦隊
左翼から攻める霧島艦隊
そして前方から来るはずの援軍との合流を急ぐ比叡艦隊である

それに対し実験部隊
統率者のいない烏合の衆がそれぞれの艦隊を襲った
無論戦術など無いそれらは脅威でなかった
だが倒せど倒せど湧いてくる敵たち
数のなせる業、慈悲無き戦法”人海戦術”
命の概念を覆す実験部隊のその戦法に、金剛達は徐々に追撃の速度を落として行った

しかし彼女等はその程度では音をあげない
雷撃、砲撃、白兵などを用いて確実に敵を始末していった

その後、佐世保からの援軍と合流
佐世保の援軍は呉で補給を済ませ当鎮守府を出港した

以上が昨日の戦闘記録である
なお、戦闘時には呉近海において原因不明の電波障害が発生
それにより音声記録は残っていない

呉鎮守府 友提督


”佐世保鎮守府の遠征艦隊行方不明”
”呉近海の警戒度最大か!?”

比叡「…」

比叡「……金剛姉さま…」

比叡「本当にこれは正義なのですか?」

比叡「私は馬鹿だからわからないです…」

比叡「金剛姉さま…」




―――――
―――


半日と少し前



金剛「Hey,Sister's.現状の報告をよろしくネー」

霧島『こちら霧島、実験部隊の足は予想以上に早く…襲ってくる敵が邪魔で殲滅は出来ませんでした』

榛名『榛名です、霧島に同じく湧いてくる敵に阻まれて…』

金剛「ドンッマイネーみんなよくやったヨ」

金剛「…」

金剛「比叡チャン?比叡チャン?」

比叡『……こちら比叡、援軍らしきものを視認』

金剛「モー!ちゃんと返事しなきゃダメデショ!!」

比叡『ごめなさい……』

霧島『比叡姉さま?どうされたのですか?』

比叡『報告します……』


その報告に金剛達は震撼する


比叡『援軍の艦隊……全滅です…』

榛名『ウソ…』

霧島『チッ……』

金剛(マズイ…近海に突然一艦隊を蹴散らすほどの深海棲艦が現れタ…)

金剛(そんな不可思議なことが起これば、当然呉の鎮守府も監査が入るネ…)

金剛(呉の地位を下げたい奴等からすれば…これは好機…)

金剛(ただでさえ前の提督が失踪してるってのニ…)

金剛(今アイツに失脚されたりでもしたら…)

金剛「比叡チャン?落ち着くネー」

比叡『姉さま…』

金剛「大丈夫…全部ワタシに任せるネ!」

比叡『…ありがとうございます……』



比叡の返答を聞くと金剛は姉妹専用の回線を艦隊全体の回線に切り替えた

金剛「アー…こちら金剛……戦いの中で不吉なモノも見たデショウガ…」

金剛「このことについては箝口令デス、秘書艦権限で最高機密に指定しまス」

金剛「万一喋った子は…お仕置きデス」

金剛「大丈夫、全部ワタシに任せるデス…」

金剛「鎮守府に帰ったラ他の子が不安にならないようにあえて反撃は無かったと報告してくだサイ」

金剛「以上デス…サァ、帰りマショウ」




―――
―――――


比叡「…」

榛名「比叡姉さま…」

比叡「榛名…」

榛名「金剛お姉さまを信じましょう…今は…」

比叡「今は?」

榛名「金剛姉さまは…あの陸軍中尉と関わってからどこかおかしい」

榛名「でも…それでも私たちのお姉さまです…だから信じましょう?ね?」

比叡「…でも」

榛名「大丈夫です…大丈夫ですから…」サスサス

榛名「勝手は榛名が許しませんから…」

榛名「例え…相手がお姉さまであろうと…」

比叡「…ありがとう…なんかこれじゃあ榛名がお姉ちゃんみたいだね」

榛名「比叡姉さまは今は妹でもいいんですよ?」

比叡「ふふっ…」

榛名「えへへ…」







霧島「・・・・」

霧島「…」クルッ スタスタスタ







呉鎮守府 執務室


友提督「…これはどういう事だ金剛?」

金剛「…」

友提督「貴様、昨日は反撃は無かったと言ったな?援軍は補給を済ませすぐに帰ったと言ったな?」

友提督「誤報はまだいい…だがなんだこれは?何故大本営に私の名で勝手に報告書を送った!!」

金剛「…」

友提督「弁解があるなら述べてみろ…」


金剛「箝口令も、その後の対応も全てワタシの判断デス」

金剛「イッタデショウ?役割分担デスヨ?」

金剛「表はアナタ裏はワタシッテ」

友提督「…チッ」

友提督「とにもかくにも、勝手な真似は止めろ…あの男に復習したいと今も思ってるのなら名…」

金剛「当然ネー…ソウジャナケリャ…」

金剛「オマエナンカニシタガワナイヨ?」


バタン


友提督「…化物め」


金剛「まったく…肝のスモールな男ネー…」

霧島「金剛姉さま」

金剛「霧島?どうしたの?」

霧島「少し問題が…」





金剛「フーン…比叡と榛名がネー…」

霧島「二人は純粋ですから…こうなるのも仕方がないかと…どうしましょうか?」

金剛「どうするっテ?」

霧島「消s金剛「Hey,霧島」

霧島「なんでし――」

霧島の言葉を遮り、言葉も言い終わらぬうちに金剛は彼女を睨んだ


金剛「ワタシ…仲良くしない子は嫌いネ…」

霧島「…」

金剛「言っていること…ワカル?」


霧島は自分の体が一気に冷や汗に包まれた気がした
殺気というものはきっとこういうのを言うんだろう…
目の前の敬愛する人からは、まさしくそれがひしひしと感じられた


霧島「…失言でした」

金剛「それでイイネ…これからは皆で行動スルネー…」

霧島「…はい」


ハァ…ハァ…誰か・・・・助けて

助けて…助けて…








助けて




ユーフォリアやってた
人として第二ステージに進めた気がする

安価下コンマ偶数で助かる奇数でユーフォリアする

安価下好きな艦娘



へ(^o^)へ 秋月ちゃんユーフォリアするの?
   |へ  
  /

\(^o^ )へ ユーフォリアしないの!?
  \|
   >

┐(^o^)┌ なんだーユーフォリアしないのかぁ…
  ( )     ざんねん…
 ┘┘

<(^o^)/ えっ!?やっぱりするの!?
 ( )     やっぱりユーフォリアするの!?
  ||

<( ^o^)> やったぁー!!ユーフォリアするんだ!!
 三) )三  電気椅子していいよね!?コンクリに埋めるのもやりたいな!
< ̄ ̄>

Σ ( ^o^)  
 <) )>グキッ
< ̄ ̄>


_人人 人人 人人 人 _
> 次はフラテルニテ <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

※ユーフォリアしません
おやすみ

彼女とか……いらっしゃらないんですか?(小声)


中尉「…」

飛龍「ねぇ…この子…」

青葉「虫の息って奴ね…」

秋月「…」

中尉「だがまだ間に合う、飛龍、青葉と共に横須賀にこの子を連れて帰れ」

飛龍「そんな!私も…」

中尉「事態は急を要する、足手まといだ」

飛龍「…わかった」

中尉「青葉もいいな」

青葉「あっはい」

叢雲「私たちはどうするのよ?」

中尉「言ったはずだ…ベーリング海に向かう」

叢雲「雪風は!私の目的はそれだけよ!」

中尉「いいから黙って俺について来いって言ってんだよ!!!」

叢雲「!」

飛龍「え?」

中尉「すまん…」

叢雲「…悪かったわ、任せるわよ」

中尉「…すまん」


俺たちは飛龍を横須賀に届けるために、進路を通っていた。
しかし呉の鎮守府が管轄の海域で所属不明の艦を発見。
直感であるが、きっと奴等だ。
深海棲艦の勘だが、きっと間違っていないだろう。


中尉「のんびり世直しといきたかったが…どうやら時代はそれを許してくれないみたいだな…」

叢雲「何呑気な事を言ってんのよ」

中尉「さて、ここからは猛スピードで行くぞ」

叢雲「はっ?」

中尉「俺は速いんだ」

叢雲「なにいっ…」


俺は叢雲を担ぎ上げフルスロットルで北に向かった。


飛龍「…はっや……」

青葉「私たちも早く行かないと!秋月さんが」

飛龍「えぇ…」

飛龍(待っててね中尉…すぐに助けを呼ぶからね!)






響「風が…泣いている…」

電「戦争の支度をするのです」

春雨「彼方にこそ敵アリ…」

若葉「生娘どもは邪魔だ、私の射線に立つな」


暁(あいつ等頭うったのかしら?)

雷「中尉…」



大鳳「…戦が…始まる……」


ベーリング海

イ級「ホウコク!スサマジイスピードノヤツラガ!」

港湾「カンムスカ!」

ホッポ「レップウカ!」

レ級「シャーシャ!」

イ級「シンカイセイカンデス!!」


ィィィィィィィィィィィィィィィィ

いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい


中尉「カチコミジャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアイイイイイイイ!!!」

港湾「!!!!!!!??!?!?!?!!??!?!!」

ホッポ「イッツアゼロォ!」

レ級「チガウダロ」

ホッポ「カンムスィル?」

叢雲「」

イ級「し…死んでる…」

レ級「ナンノヨウダ、テイウカオマエダレダ」

中尉「コブラダ」

レ級「ツマリダレダヨ」

港湾「闘いに来たようではないようね…」

中尉「俺たちに戦う気はない、情報が欲しい」

中尉「昨今、深海棲艦と称し無茶苦茶に暴れまわる奴がいる…そいつらについてだ」

港湾「ほぅ…奴等には我々も迷惑している」

ホッポ「フツーニハナシテル」

レ級「コウワントコウワ?」

ホッポ「wwwwww」

イ級「ハイハイアッチニサバガアリマスヨ」スタコラ

「「ワーイ」」

港湾「貴様らが奴等を葬るというのなら願っても無い、我々も迷惑していた所だ」

港湾「で?何が聞きたい?弱点か?居場所か?」

中尉「貴方の心の弱点を」

港湾「ならば花束の一つでも持って来い」

中尉「わかった、約束だ」

港湾「…」

中尉「…」

港湾「奴等は今横須賀に向かっているぞ」

中尉「ありがとう」ビュン



港湾「…」

港湾「ツイニワタシモヨメイリカ///」






中尉「さて叢雲…」

叢雲「なによぅ…オェェ…」

中尉「横須賀に向かっているそうだ」

叢雲「…そうね・・・・・・」

中尉「覚悟はいいな?本土を戦場にするわけにはいかない」

叢雲「えぇ…」

中尉「相手は実力も数も未知数だ。死ぬかもしれない」

叢雲「今さら追い返そうったって無駄よ」

中尉「ならば行くか…」

叢雲「作戦は?」

中尉「強いて言うなら…」


中尉「奴等の横っ腹に突撃するのが作戦だ、後は野となれ山となれってな」

叢雲「私は雪風の捜索に力を入れるからね」

中尉「わかっている」

エロゲをしていた、だが気付いた、沙織先輩が好きなのは俺ではなくけーくんであると
絶望し悲観し嘆いた、だが虚構を捨てられるほど俺の現実に支えは無かった
そしてモバマスへ…
覚えておけ、みりあちゃんを見ているときみりあちゃんもまた俺を見ているのだ

そしてついに俺は一時創作に踏み切った
だが気付いた、俺の為すべきことに
これを終わらせなければと

終わらせに行くから多少強引に物語が進んでも許しやがれなのですたーん



>>816
いないよ、君という羽が僕にはあるから


七つの海を渡る風よりも彼は速かった。

光陰矢のごとしとはこういう事を言うのだろう。

突然だが艦娘については謎が多い、その最たるものは彼女等の速度であった。

彼女等の速度は基本的に戦中の艦種の速度に比類している。

だがそれは現代科学の観点から見ればおかしいのだ。

真空中でもなければ、同等の質量で異なる体積のものが同じ高さから落ちれば空気抵抗がより小さいものの方が早く下につく。

その理論から言えば、比類するはずが無いのだ真に赤城であると自称するのであれば。

航空母艦赤城よりも艦娘赤城の方が速く無くてはならないのだ。

是非はともかく、これも彼女等の艤装とやらの力なのだろうか?

とにもかくにも艦娘には謎が多い。


彼は今、横須賀より数百海里の場所にいる。


中尉「…さぁ来るぞ、準備はいいか」

叢雲「えぇ…」

二人が見つめる先に、浮上する群体が見えた。
数百メートルも先である。
その群体から近づく人影があった。
その姿は雪風によく似ている。

「…そこをどいてください叢雲さん」


そう言って近づいてきた一体の深海棲艦。
その服は雪風のものであろうと推察できる、しかしその姿は見るに堪えない。


中尉「叢雲…彼女は…」

叢雲「いいのよ、いいのよ…もう…」

叢雲「あの子はあたしに任せて、あんたは後ろの奴等を蹴散らしてきなさいよ。邪魔しないから」

中尉「…わかった」


中尉はそう答えると、雪風を横切り群体へと突撃した。


叢雲「雪風、やっと見つけた」

雪風「雪カゼは…あイウツらをユリシママせん、だからコワします」

叢雲「そう…」

雪風「…どコにも…どこニモ司令官さンはいなカッタ!いなかった!」

叢雲「うん…」

雪風「だかラ…だから壊します!ユキカゼが悪いコになっちゃったのはあいつらのせいナンダ!」

叢雲「…」

叢雲「ねぇ…覚えてる?あたしたちが初めて会った時のことを?」

雪風「…は?」

叢雲「あたしは覚えてるわ、鮮明にね」

叢雲「だからこそ、もう一度いうわ…あいつの言葉を」



守り抜け、友を

幸運を手繰り寄せろ

地べたを這っても、明日が見えずとも、噛り付いてでも

願うなら叶えられる…

奇跡艦だからでも、不死身だからでもない

雪風だから、叶えられるのだ


叢雲「お帰り雪風、今全てから解放してあげる」

叢雲「ごめんね…愛していたわ」

雪風「!」


雪風が動く前に、叢雲の槍はその小さな頭を貫いた。
膝から崩れ落ちると、彼女は暗い深海へと沈む。

叢雲「さよなら雪風、愛しているわ」






訂正



七つの海を渡る風よりも彼は速かった。

突然だが艦娘については謎が多い、その最たるものは彼女等の速度であった。

彼女等の速度は基本的に戦中の艦種の速度に比類している。

だがそれは現代科学の観点から見ればおかしいのだ。

真空中でもなければ、同等の質量で異なる体積のものが同じ高さから落ちれば空気抵抗がより小さいものの方が早く下につく。

その理論から言えば、比類するはずが無いのだ真に赤城であると自称するのであれば。

航空母艦赤城よりも艦娘赤城の方が速く無くてはならないのだ。

是非はともかく、これも彼女等の艤装とやらの力なのだろうか?

とにもかくにも艦娘には謎が多い。


彼は今、横須賀より数百海里の場所にいる。

おそらく群体は何らかの形で燃料を共有していたのだろう、中尉が攻撃をしたところでほとんど抵抗は無かった。
ただただ己が身を守るために、じっとしていた。
それ故に殲滅も容易であった。

あらかた壊し尽くした後に中尉は叢雲の下へと向かう。


中尉「…終わったようだな」

叢雲「えぇ…なんとなくすっきりしたわ」

中尉「すっきり?」

叢雲「アンタだって昔死んだ大事な友達が化物になってたら…悲しいけど殺すでしょ」

叢雲「だってあんたは死神なんだものね?移っちゃたのかしら…」


そう言って自嘲気味に話す彼女。


中尉「…行動の理由を他人に求めるのは感心しないな」

叢雲「これからどうするの?どうせ行くところも無いんだから南西に来なさいよ」


アンタの話など聞きたくはない、そんな感じで叢雲は提案をする。


中尉「…やることがある」

叢雲「そう…どうせなら最後まで付き合ってあげる」

中尉「そうか…」


中尉「ならば…まずは奴等を何とかしなけりゃな…よう、久しぶりだな」


中尉「金剛」


金剛「…」






金剛「アッアアァ!」

耳をつんざくような雄叫びと共に、金剛は中尉めがけて一直線に進んだ。
遠くから砲撃を浴びせた方が楽という考えは最早金剛の中には無かった、一刻も早く奴を殺したい、その一心であったからだ。
中尉も大鉈を振り上げ、迎撃の準備をする。
二人が始めた逢った時のように、間に入る者はいない。

中尉「遅い!」

中尉は金剛が自分の攻撃範囲に入ったのと同時に大鉈を振り下ろす。
ここまではあの日と同じ風景、しかし。

金剛「ッッ!」

金剛はほぼ直角に右に避ける。
彼女はことのほか冷静であった、初めからこれが狙いだったのかもしれない。
砲塔からは煙が吹いている。

金剛「ソコォ!」

金剛の第二射、中尉の横っ腹はがら空きであった。
砲弾は鈍い音を上げて着弾、したはずだった

中尉「…」

金剛「ウソ・・・」

呆気にとられているその瞬間を中尉は見逃さない。
お返しとばかりに彼女の腹を蹴り飛ばす。

金剛「ウゲゥ!」

くの字に曲がる金剛、その頭を中尉は思い切り殴りつけた。
強制的に海に叩きつけられた彼女、追い討ちをかけるように大鉈で打ちのめす。
金剛の体は少しづつ沈みゆく、このまま続ければ確実に轟沈できる。
しかし中尉はとどめを刺さなかった。

中尉「お前じゃ今の俺には勝てない、もう帰れ、妹達が心配するぞ?」

どこか自分と似た境遇の者に対する、彼なりの温情だったのかもしれない。
やり方は違えど、彼がこれから行おうとしているのもある意味金剛と同じであったからだ。
どちらも、因縁を断ち切ろうとしているのだから。
だが。

金剛「寒い…ジョークネ・・・」

ふらふらと金剛は身を起こす」

金剛「ワタシは・・・あの人への想いを捨てられなかっタ・・・」

金剛「裏の顔がドンナにdirtyであろうと、あの人はワタシに優しかったカラ・・・」

金剛「ダカラ・・・お前が憎かった、殺すためにイロイロなものを巻き込んダ」

金剛「…デモ妹達はそれでもワタシを信じてくれた」

金剛「そのせいで…妹達は疑心暗鬼に陥っタ」

中尉「自業自得だな」

金剛「ニクイ・・・お前がニクイ・・・」

金剛「オマエガ提督を殺さなけれバ・・・」

中尉「言いたいことはそれだけか?そろそろ黙れ」

中尉は大鉈を振り上げる。

金剛(あぁ…ごめんね…)

金剛「ダメなお姉ちゃんデ・・・ゴメンネ」

無情にも大鉈は振り下ろされる。



中尉「…」

金剛「…」




鈍い音、滴る血液。

大鉈は彼女の命を奪う事は出来なかった、誰でもない彼女自身によってそれを阻まれた。

金剛「ギギ・・・グゥ・・・」

彼女は両手で大鉈を握り止めていた、まさに間一髪。
しかしその様相は凄惨たるものであり、何本かの指は切断されてしまっていた。

中尉「…」

金剛「ダメナ・・・お姉ちゃんだけド・・・」

金剛「マダ・・・」

金剛「死にたくないヨ・・・」

金剛「霧島・・・榛名・・・比叡チャン・・・」

金剛「提督ぅ…」

鼻声でつぶやく彼女、だが中尉は容赦が無かった。

中尉「それは通らないな、過ちは正さねばならない・・・」

金剛「ゥァッ・・・」

中尉は乱暴に大鉈から金剛の手を引きはがすと、かろうじてつながっていた指はその勢いで千切れてしまう。

金剛「ヤダ・・・死にたくなイ・・・」

中尉「さらばだ…」

中尉は再び大鉈を振り上げる。













「この一撃は!通すのです!」


その叫びと共に中尉の右腕が宙に飛ばされた。
右腕は弧を描いて海面に音を立てて落ちた。
しかし右腕は瞬時に再生される。

「なるほど…本当だったのですね…」

「司令官さんは・・・人じゃないのですね…」

「なら手加減も必要ないのです…」

「電は嬉しいです…やっと・・・やっと・・・」




電「貴方に追いつきましたよ、司令官さん」

中尉「進むべき道を見つけたか…電」


中尉は、穏やかに笑った。


金剛と中尉の間に割って入った電、彼女の手には二本の斧が握られていた。
それはかつて中尉が明石に頼んで作らせた対深海棲艦用の斧である。
深海棲艦としての限界まで昇華し、金剛の砲撃をも防いだ体も深海棲艦に特化した武器には勝てなかったという事である。

電「殺し合う前に、ひとつ聞きたいのです」

中尉「…言ってみろ」

以前得物を降ろさず、多少の警戒心と少しのためらいを含んだ言葉を彼女は中尉に投げかけた。
対して中尉は構えすらせずに、彼女の話に耳を傾ける。

電「何故・・・深海棲艦に?」

中尉「目的に対する手段を講じた結果だ」

電「…貴方の目的はなんなのですか?何を成そうとしているのです」

中尉「俺の根底はあの時と変わっていないよ電」

中尉「かつて君はこう尋ねたな、もしも電が絶対正しいと思った道が…俺にとっては絶対に間違った道だったら…」

中尉「どうするんですか?と」

中尉「俺はこう答えたな、俺を殺してでも君の言う正しい道を貫きたまえと」

電「覚えているのです、酷く昔のような気がするのです」

中尉「救うために殺す僕と守るために力をふるう君、いずれぶつかるであろう互いの信念」

中尉「時は来た、行くぞ電」

中尉「目に見えるすべての者を助けるなどという痛ましい夢から覚まさせてやる」

電「電のセリフなのです…司令官さん」

電は一呼吸置いて、挑みかかるように中尉に叫んだ。

電「電達はもう、あなたに守られるだけの子供じゃないのです!」

そして彼女は真横に駆けだした。

中尉「!?」

不可思議な行動を目で追った矢先、耳には空気を切り裂く音が聞こえた。
中尉は上を見上げる。

12.7cm連装砲の射程は、約30キロであった。


中尉「なるほど…電達は、か」

砲撃は正確に着弾した。


電の後方8キロの地点に彼女達はいた。

春雨「着弾です!」

春雨からもたらされた吉報に、四条鎮守府から派遣された第六駆逐隊の面々からは歓喜の声が湧く。
暁と春雨は両手をあげて喜び、雷はどこか口惜しそうな表情を浮かべていた。

暁「やったわ!あとは電が拘束するだけね!」

春雨「はい!まさかこうも上手くいくとは思いませんでした」

喜ぶ春雨に目むくれず、響と若葉はどこか訝しげに着弾点を見つめていた。
すると若葉の目にこちらに一直線に向かってくる物体が映った。
それはかつて南西鎮守府で共に戦った艦娘、叢雲だった。
恐ろしい速度で向かってくるそれは、15キロの距離をドンドンと詰めている。

若葉「戦闘用意!」

響「敵影確認、沈めるよ」

ほぼ同時の号令、その声と共に二人は魚雷を放ち砲弾を撃つ。
それに続いたのは雷だった、彼女もまた魚雷を放つ。
いまだ状況を確認しきれていない暁に春雨、この間約6秒。
やっと事態を理解した暁と春雨が攻撃を始めようとした時、叢雲は肉眼ではっきりと見えるほどに近づいていた。


この戦いに心理的、物理的な益が存在すると仮定しよう。
中尉からしてみれば電達は最早娘のような存在であり、この戦いにおいて彼女たちの成長を目の当たりにするという益がある。
対して電達からしてみれば人類に仇名す可能性のある彼を沈めに来たのか、もしかすれば彼を捕えに来たのかもしれない。
どちらにせよ能動的に彼の下まで来たというならば、そこには確かな目的があると考えられる。
目的の遂行、直接的か否かは置いておいてそれ自体は益とみなす事が出来る。

では、それでは叢雲に関してはどうだろうか。
彼女の目的は雪風と共に帰るという事であり、それ自体が彼女の存在意義と同義であったはずだ。
彼女は南西の鎮守府で仲間たちの帰還を待ち続けたのだから。
だがその目的は雪風をその手で葬ったことで幻と成り果てた。
その叢雲が何故まだ戦うのか、この戦場ででその真意を知る者は叢雲を除いて存在しない。
だがしかし、ここに一つだけ確かなことがある。

第六駆逐隊が彼女に勝つ見込みは無い。



第六駆逐隊は叢雲に対して丁字戦法の横棒の形になっていた。
すなわち、叢雲は艦隊の横っ腹に直線的突っ込んできたのだ。
本来この陣形は戦闘において有利である、それが普通の艦娘及び深海棲艦であるのならばだが。

叢雲「ごあいにくさま!リンチにはなれてんのよ!」

叢雲は綺麗に並んだ陣形の間を素早くすり抜ける。

叢雲「はぁっ!」

春雨「ふぇ!」

そして一番早く慌てた春雨に向かって、魚雷を投げつけた。
魚雷は春雨に当たると爆発し周囲を多量の煙が覆った。

叢雲「まだよ!」

そして叢雲は煙の中で手当たり次第に砲撃を放つ。
これに慌てたのは雷であった。

雷「春雨!今助けるわ!」

響「やめるんだ雷!」

煙の中で春雨の下まで進む雷、その耳に響の声は届かなかった。

雷「あがっ!」

春雨「雷ちゃん!」

でたらめな砲撃の中で、一発が雷の背中に直撃した。

若葉「くっ・・・一旦引くぞ!この煙の中では不利だ!」

若葉の声と共に第六駆逐隊は一時撤退を余儀なくされた。
煙の中から最後に出てきたのは春雨とそれに支えられた雷であった。
助けに行った側が助けられるとは皮肉なものである、雷の損傷は中破と言ったところだ。
艦隊は雷とそれを支える春雨を中心に、輪形陣を獲った。

暁「春雨に投げた魚雷、何かおかしいわ」

若葉「あぁ、おそらく煙幕弾。本命は雷に当てた一発だけだったのかもしれないな」

響「つまり叢雲は最初から一人だけ潰すつもりで?」

若葉「煙幕を張ってからどうやって雷に当てたのはわからないがな」

煙が晴れると、叢雲は彼女等に対し50mほどの距離の所に立っていた。
ここから先には通さないと言うかのように。


あああ

俺・・・私?それとも僕?
どうやらこの身は、深海棲艦の身は素晴らしい戦闘能力と引き換えに記憶を摩耗させるらしい。
なるほど、深海棲艦が轟沈した艦娘だという説、確かにその通りかもしれないな。
連戦で私はこの身を酷使し過ぎたようだ、もはや自分の事を何と呼んでいたのかもよく思い出せない。
毎秒、毎秒私は私でなくなっていく感覚をピリピリと脳裏に感じている。
だが・・・たしかにひとつわかることがある。

「はぁっ!」

俺はこの目の前の少女と決着をつけなければいけない、確か僕はそう思っていたはずだ。

「この!わからずや!なのです!」

「さっさと降参するのです!」

これは間違いなく殺し合いなのだろう、だというのに何故だ。

「一緒に帰るのです!」

「引きずってでも・・・連れて行くのです!」

何故この子は泣いている?
そんな疑問を抱いたと同時に、私の頭が・・・
僕の頭は澄み渡る空に浮かぶ太陽のように、鮮明な記憶を蘇らせていた。

そして少女

いや…電は


その一瞬の隙を見逃さなかった。






電「もらったのです!!」


電の一撃が、ついに僕を捕えた。


叢雲「…」

春雨「くっ…せめて響ちゃんたちだけでも!電ちゃんの下へ!」

若葉「あぁ!わかっている!」

私は・・・何をしているんだろうか?
今の私は自らの欲に駆られ、あの日の私と同じ思いをさせようとしているんじゃないかしら?

雷「二人とも・・・」

暁「でも…」

響「すまないっ!行くぞ!強行突破だ!」

もしも・・・仮にもしもそうなのだとしたら…
あの日の私の悲しい思いを、この子たちにもさせる可能性があるのだとしたら…
私がとるべき行動は・・・







若葉「おまえ・・・」

春雨「…叢雲さん」

叢雲「私達は艦娘、兵器よ」

叢雲「そんな兵器にもね、たしかにあったのよ…心は」











邪魔をしない事・・・

間違ってないよね?雪風・・・


提督…

尉の体から青い血が流れ出る。

電「はぁ…はぁ…」

中尉「げほっ・・・ふふっ」

中尉「長く過ごせば慣れが出てくる、慣れは隙を生む…自分で言っておいてこのざまか…」

電「さぁ…決着はついたのです、電達と一緒に帰るのです…」

手を差出す電、中尉は背筋を伸ばしその姿をじっと見つめていた。
そのうちに暁、響、雷が電達の下へやってきた。

中尉「…ふふふっ」

中尉が笑みをこぼす、彼女等はそれを訝しげに見つめている。

中尉「随分と・・・いつのまにか随分と大人になっていたようだ・・・」


中尉は優しく彼女等に微笑む。

中尉「訂正しよう・・・響。僕は君を頼るべきだった」

中尉「暁、妹を思いやる君は立派なレディーだ

中尉「雷、約束を守れなくてすまない…次があったなら必ず守るよ…」

響「な・・・なんだい急に・・・まるで別れ・・・」

中尉「電」

中尉は響の言葉を遮り、ひたすらに言葉を紡いだ。
どこか焦燥感に溢れた早口で、しかし笑みは崩さず。
その目は四人を目に焼き付けるように、瞬きすら躊躇う様に真っすぐに彼女達に向けられていた。

中尉「君の背中は・・・僕なんかよりもずっと大きい」

中尉「僕がこれまで、守れずに、救えずに・・・」

中尉「ただただ無能を晒しながら捨ててしまってきたものすら・・・君なら守れるだろう」

電「し、しれ」

中尉「電・・・」



中尉「望む方を向いて、望むように向かって行くといい…」

中尉は目を閉じた。

中尉「あぁ…本当に・・・」

そこで中尉の口は言葉に詰まった。
そして糸の切れた人形のように崩れ落ちる。




力なく、無念なく、後悔なく崩れ落ちたのだ。

その体を支える手は少し小さい。

白い軍服が太陽に反射して眩しく見え、高級将校の出入りが多い場所
そんな施設に私は赴いていた
周りの視線が痛いのは私が女だからだろうか

そんな視線を避けるように目的地へと急ぐ
横須賀、呉、舞鶴、佐世保に続く大規模鎮守府になった四条鎮守府の司令官として、私に指名がかかったからだ。
理由はおそらく、先の人口深海棲艦討伐作戦の功績という事だろう。
階級は大将となった。
案内窓口らしきところで案内を受け、私は会議室に急ぐ。


そこには新顔が私をいれて三人、古株が三人の計六人が集まっていた。
新顔には呉の友提督、横須賀の提督、そして四条の私だ。

なぜ陸軍の友提督が海軍の重要ポストになれたかは・・・まぁ陸軍のお偉いさんに聞けばわかるのだろう。
今回の議題は人口深海棲艦事件の尻ぬぐいについてだった。

舞鶴と佐世保の司令官はあの人をやり玉に挙げて事態の収拾を図ることを提案した。
しかし横須賀、呉、そして私の三人はあの人に責任能力が無いことを理由に、極秘事項としたうえで箝口令を引くことを提案した。
つまりもみ消そうというわけだ。
以前の私ならば絶対にそんなことはしなかったのだろうが、あの人に毒されてしまったという事だろう。

最終的な判断は元帥閣下がなされるのだが、あの調子なら事件は世間には深海棲艦の新兵器という事になって広まる事だろう。

私は車に乗り、鎮守府への帰路についた。

元帥閣下があのような判断を下したのには、彼の隠れた功績もあっただろう。
彼のおかげで深海棲艦についての研究もだいぶ進み、春雨のように深海棲艦に完全に堕ちる前に助けることもできるようになった。

それに加えて彼は私達の管理下にあり、今はもうただの人間に戻っているのだから危険も無い。
彼はもう、依然と同じ人間である。
記憶が無いという事を除けばだが。

彼の場合は記憶の喪失では無く、記憶が消えている可能性が高いのだという。
それも自分のことについての一切を、だ。
彼は食事も作れるしトイレにも行ける、街に出れば会計もできるし法も守る。

しかし、自分が医者であったこと、陸軍にいたこと私達との思い出などの記憶については全くないのだ。

それを聞いて私は酷く落ち込んだ、他の鎮守府のメンバーも同様であった。
しかし彼女達は違った。






響「そんなことは些細な事じゃないか、中尉は生きている。それだけで十分さ」

雷「思いでなんてまた作ればいいじゃない!いっぱい、いーっぱいね!」

暁「暁たちはそんなのへっちゃらよ!だって立派なレディーですもの!」

電「そうと決まったら、さっそく思い出を作りに行くのです!」


「「「「おー!!」」」」


大鳳「本当に・・・強い子たちね…」

きっとあの人と彼女達は今日も共にいるのだろう…

昼下がりの公園
はしゃぐ三人の少女と木陰で休む一人の少女、そして一人の青年。
青年は楽しげに三人を見つめ、少女は青年を見つめていた。

青年はその視線に気づくと、少女の頭を軽く撫でた。
少女は自然と青年に質問をしていた。
同じ答えなどかえって来ないとわかっているのに、それでも少女は青年に問い始めた。

電「あの…」

青年「ん?どうした電?」

電「電には・・・戦う力があります…」

青年「前に見せてくれたね…

電「電は・・・電の力は…誰かを守るためだけに…使います…」

電「それってダメな事でしょうか…?」

青年「いや、それはきっと良い事なんじゃないか?」

青年「君は強いからな」

少女は軽くはにかむ裏側で、少し落胆した。
あぁ…やっぱりか、と。
それが身勝手な感情であることは承知の上であったが、やはり悲しい。
表情がばれないように、少女は俯く。
そんな少女を余所に青年は話を続けた。

青年「けどもしも、もしも君がくじけそうになった時は」

青年「必ず僕が導く」

青年「子供の成長を助けるのは大人の仕事だ」

少女は彼の言葉にはっとした、そして藁にもすがる思いであの日の問答を再現した。

電「じゃ!じゃあもし!」

電「もしも電が絶対正しいと思った道が…司令官さんにとっては絶対に間違ってるとおもう道だったら…」

電「司令官さんは…どうするんですか?」

青年「そうだなぁ…その時は…」











青年「以前君がしたように」

電「へ?」

青年「僕を倒してでも…君の言う正しい道を貫きたまえ」

電「!」

電「…あ」

青年「…君はもう大人なのだ」

青年「望む方を向いて、望むように向かって行くといい…」

青年「…本当に・・・大きくなったな」


電は声をあげて泣いた。
嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて泣いた。
その声に気付いた三人が慌てて駆け寄り、彼女達もまた青年の言葉に泣いた。

青年「ただいま・・・と言いたいところだがまずは君たちの事を教えてもらえるかな?」

青年「僕がいない間の君たちをたくさん僕に教えてくれないか?」

青年「許されるならば・・・」

中尉「僕はまた君たちと一緒に居たいから。



青年の頬を涙が伝い、それは止まらない。

今まで堪えてきた涙を全て清算するために。
そして

新たな一歩を踏み出すために。

青年もまた、声をあげて泣いたのだ。


木漏れ日の中で五人は寄り添いあう

青年はつぶやいた

もうお前らと離れたくはない、と

少女は嬉しそうに笑い肯定した

そして青年にしがみつく三人を見て

青年に告げた

司令官さんは・・・人じゃないのですね…

電達みんなにとって

司令官さんはもう…

大切な・・・大好きな人なのです…

青年は笑うと、目を閉じる

少女もまたそれに倣う






救いの手を掴み

死神は消えた

季節外れのカミツレが

そっと風に揺れた




~Fin~

行き当たりばったりだったから矛盾点とか未回収の伏線とかは勘弁な
まぁ終わらせる事が出来て良かった

読んでくれた人や保守してくれた人ありがとな

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月15日 (月) 20:02:15   ID: lW2HxtHy

うおー若葉が結構出てくるssなんて珍しいじゃないか!(歓喜

2 :  SS好きの774さん   2015年06月22日 (月) 02:07:42   ID: XFaxwhnM

どうでも良いけどただのツモで嶺上開花にはならないんだよなあ

3 :  SS好きの774さん   2015年06月30日 (火) 03:15:01   ID: -GVuvazs

陸軍と海軍のツンデレ関係が好きなんだ

4 :  SS好きの774さん   2015年07月10日 (金) 20:04:05   ID: sHM9ydXT

いいね!

5 :  SS好きの774さん   2015年07月31日 (金) 21:38:04   ID: YogaqJyp

内容が深くて最高!

6 :  SS好きの774さん   2015年07月31日 (金) 21:43:55   ID: xoxVxt2t

面白いから早く続きが読みたい

7 :  SS好きの774さん   2015年08月02日 (日) 03:34:14   ID: Z2dIEnws

面白い続きを読みたいです。

8 :  SS好きの774さん   2015年08月05日 (水) 11:48:52   ID: Ap6vyf0f

先が気になるぞおおおおお

9 :  SS好きの774さん   2015年08月08日 (土) 01:49:36   ID: izp2nw1f

続きが気になる

10 :  SS好きの774さん   2015年08月08日 (土) 23:23:30   ID: izp2nw1f

気になる・・・続きが

11 :  SS好きの774さん   2015年08月12日 (水) 02:07:03   ID: Lo08P0Kd

すごく続きが気になる

12 :  SS好きの774さん   2015年08月12日 (水) 21:26:32   ID: aadgUUj_

いままで見た中で一番ワクワクしてます❗

13 :  SS好きの774さん   2015年09月09日 (水) 10:20:28   ID: dg5SSZEv

やばぁい、面白い!続き待ってます!

14 :  SS好きの774さん   2015年09月12日 (土) 08:39:13   ID: kXZbBWSB

続き(゚∀゚)キタコレ!!

15 :  SS好きのうなぎさん   2015年10月08日 (木) 08:51:14   ID: xN6JYDWM

深海棲艦になるとわ                                         いいセンスだ

16 :  SS好きの774さん   2015年10月09日 (金) 09:02:39   ID: KsTGOTxg

euphoriaはガチ

17 :  SS好きの774さん   2015年10月10日 (土) 16:58:19   ID: JpNWIuQj

ポイポイポーイ

18 :  SS好きの774さん   2015年10月10日 (土) 22:15:40   ID: HAWgKhjo

続きまだかな

19 :  SS好きの774さん   2015年12月11日 (金) 00:01:29   ID: DJTPMVm8

続きだ(歓喜)

20 :  SS好きの774さん   2016年01月22日 (金) 04:44:31   ID: DZwClOyF

なんか何がしたいのかよぉわからん

21 :  SS好きの774さん   2016年02月24日 (水) 20:45:04   ID: OlDAWPR2

斧はあのリンカーンも吸血鬼狩りに愛用したからな。きっと深海棲鬼にも効果あるのだろう。

22 :  SS好きの774さん   2016年03月29日 (火) 09:04:49   ID: wo5VSJC1

おー、結構間が空いて内容ほとんど忘れてたけど
完結したから良いや

23 :  SS好きの774さん   2016年06月09日 (木) 19:37:58   ID: gqRR_qMT

何がしたかったのかようわかん
最後まで見たけどイライラがのこる

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