工藤忍「上京物語 そのさん」 (34)

アイドルマスターシンデレラガールズ工藤忍のSSです。

以前投稿した

工藤忍「上京物語」 「上京物語 そのに」

工藤忍「上京物語」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428411771/)
工藤忍「上京物語 そのに」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429354949/)


の続きになります。

よろしければ前作もご覧ください。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431143790

トレーナー「ワン、エン、ツー、エン、スリー、エン、フォー、エン、…」

前、後ろ、ターンして…

トレーナー「ほら腕が遅れているぞ」

忍「ハイ!」

アイドル事務所に正式な所属となったアタシは初めてのダンスレッスンを受けていた。

ダンス自体は学校の授業でも選択していたし、
友達と踊ったこともあるけれどやはりプロのレッスンはかなり厳しい。

トレーナー「よし、今日はここまで。また来週続きやるからな」

忍「ありがとうございました」

息を切らしながらお礼を言う。

基本的なステップはアタシも踏めるんだけど
先生はリズムへの合わせ方や
止まったときの姿勢など細かい点をチェックしてくれる。

P「どうだ忍、調子は?」

忍「あ、プロデューサーさん来てくれたんだ」

P「まあ近くまで寄ったついでにな」

忍「この後レッスン付き合ってもらってもいい?」

忍「時間までスタジオ使っていいって言うから自主練しようと思うんだ」

P「それはいいけど、その前に少し休憩しようか」

プロデューサーさんはスポーツドリンクのペットボトルをアタシに渡す。

P「少し話もあるしな」

忍「それで話ってなに?」

スポーツドリンクを飲んで息を整えるとアタシはプロデューサーさんに話しかける。

P「ああ、忍に仕事が決まった」

忍「仕事って…アイドルの!?」

P「もちろん」

忍「ほんとに?どんな仕事なの!?」

P「春から放送するドラマのエキストラだ」

忍「なんだあ、エキストラかあ」

それってアイドルの仕事っていうのかな?

P「まあそう言うなって、ちゃんとギャラも出るしな」

P「先方の希望が真面目で可愛い女の子がいいって事だから忍がピッタリだと思ったんだけどな…」

可愛い?へへっ…アタシプロデューサーさんから見て可愛いかな?

忍「しょうがないなあ、プロデューサーさんが取ってきてくれたお仕事だもんね。アタシ頑張るよ!」

忍「うう…まだかな」

初めて芸能関係の仕事をすることになった日の朝、
アタシは三杯目のアメリカンコーヒーを啜っていた。

エキストラとはいえテレビの仕事をすると思うと
昨夜は興奮してなかなか寝付けなかった。

ようやく眠りについてもすぐに目が覚めてしまい
夜中に時計を何度も確認する。

結局朝までそんな繰り返しをして
外が明るくなった頃家を出た。

プロデューサーさんと待ち合わせをした駅まで来ると
ドーナッツショップで時間を潰すことにした。

忍「いくらお代わり自由とはいえ何杯も頼むのは、ね…」

表は寒いけれどそろそろここを出てコンビニで立ち読みでもしようと考えた頃、
ようやく駅のロータリーに見覚えのある車が入ってきた。

アタシはトレイを返却口に戻すと店を出て車に向かって手を振る。

忍「おはようございます。プロデューサーさん」

穂乃香「おはようございます、忍さん」

忍「あれ、穂乃香ちゃんも来たんだ♪」

P「ああ、忍と一緒の現場だ。今日は二人でよろしく頼むぞ」

忍「うわ…人がいっぱいいるね、これみんな撮影の人なの?」

プロデューサーさんの車が目的のアミューズメントパークに着くと
そこには百人近い女性が集まっていた。

P「いや違うな、どっかから情報が漏れたらしい」

プロデューサーさんの推測では彼女たちは
今日主演する男性アイドルの追っかけで入り待ちをしているようだ。

P「今日は貸し切りにしているからこのゲートは一般人は立ち入り禁止のはずだが…」

駐車場に止めた車から降りるとアタシと穂乃香ちゃんはPさんの後に着いて入り口に向かう。

P「すいません、通りますよ」

入り口付近に居る女性の群れにプロデューサーさんが声をかける。
彼女たちは意外に整然と道を開けてアタシたちを通してくれる。
プロデューサーさんが警備員になにか見せるとゲートが開かれる。

忍「ん…?」

中に入ろうとしたアタシは視線を感じる。

P「振り向くなよ。」

前から低くはっきりした声が聞こえてくる。

プロデューサーさんの背中を見つめ黙ったまま入り口を通り過ぎ階段を上る。

忍「すごい数の人だね、やっぱり人気あるんだ」

P「ああ、今度のドラマはテレビ局も力を入れているみたいだしな」

穂乃香「とっても広いんですね」

穂乃香ちゃんとアタシはプロデューサーさんに案内されるまま施設の中を歩いていく。

P「まあ室内型の遊園地ってとこかな、二人はこういう場所は初めてか?」

普段は家族連れで賑わうであろう館内は静まりかえり
照明なんかもほとんどは消えている。

穂乃香「私はこういう場所には来たことがないので…」

忍「アタシもこんな大きなのは行ったことないよ」

プロデューサーさんに置いて行かれないようにしながら辺りを見回す。
お化け屋敷に占いに…あ、向こうには食べ物屋もあるんだ。

穂乃香「造りも複雑で…迷ってしまいそうですね」

P「今日は撮影のためにこっちのエリアは貸し切っているからな、スタッフも居るから分かるだろう」

プロデューサーさんに案内されて撮影現場に入る。

P「おはようございます、こちらがうちのアイドルです」

忍「工藤忍です、はじめまして」

穂乃香「綾瀬穂乃香です、今日はよろしくお願いします」

制作主任「ああご苦労さん、時間がきたら呼ぶから楽屋で待機しておいてね」

P「はい、後ほど監督さんの方へも挨拶に伺いますので」

制作主任「ああそう、シンデレラさんのところ売込みに熱心だね」

P「さて、営業はこんなものでいいかな」

ドラマの監督にカメラマン、メイクの人たちまで
プロデューサーさんはアタシたちを紹介して周った。

P「それじゃあ俺は一端抜けるから」

忍「え、プロデューサーさん。帰っちゃうの?」

P「今日は他の現場にも行かないといけないんだよ」

忍「そうなんだ…」

P「時間があればまた撮影終わる頃に来るからさ」

穂乃香「はい、よろしくお願いします」

穂乃香ちゃんはプロデューサーに深々とお辞儀をする。

プロデューサーさんを見送るとアタシと穂乃香ちゃんは
楽屋に入って待機していた。

AD「以上が説明になりまーす。何か質問はありますか?」

他の事務所からも集められたエキストラの人と一緒に楽屋で待たされたあと
アタシたちは現場に集まってADさんから説明を受ける。

撮影の舞台となるのはアミューズメントパーク内のゲームコーナー

エアホッケーみたいなものからビデオゲームの筺体、
大人向けのメダルゲーム、スロットまで様々なものが揃っている。

アタシたちエキストラはここで
【楽しく遊んでいる普通の学生】を演じればいいらしい。

セリフもないしカメラで抜かれる事もない。

メインの役者さんたちの演技の邪魔にならないように
気を付ければ特に問題はないよね。

AD「それではリハーサルが始まるまで楽屋で待機していてくださーい」

忍「ねえ穂乃香ちゃん、まだ始まらないのかな」

とっくにお昼を過ぎているのにまだ撮影は始まらない。

楽屋で待機しているエキストラの人たちはおしゃべりしたり
ゲームをしたりして時間をつぶしている。

穂乃香「そうですね、主役の方が遅れているようですから」

ドラマの主演である男性アイドルは
売り出し中の人気者で今日もこの前に仕事が入っているらしい。

穂乃香ちゃんはイヤホンをつけて音楽を聴いていた。
歌のレッスンの課題曲のようだ。

アタシは持ってきた雑誌も読み終えて暇を持て余していた。

忍「ねえ、撮影始まる前に現場を見学させてもらおうか。邪魔にならないようにさ」

穂乃香「そうですね、私も一緒に行きましょう」

貸切にされたゲームコーナーでは大勢の人が動いていた。

普段は大勢の客でにぎわう空間には
撮影のための足場が組まれ、大きなカメラが何台も設置されている。

強いライトが据え付けられて
照明のスタッフが映りをチェックしている。

「ほらボヤボヤすんな!早く持って来い!!」

さっきアタシたちに段取りを説明してくれた
ADのお兄さんが怒鳴られながらケーブルを運んでいる。

忍「すごい数の人だね」

穂乃香「ええ、テレビドラマってこうやって撮影するんですね」

邪魔にならないように隅っこの方にいたアタシたちの横を
台車を押したスタッフが忙しそうに通り過ぎる。

「主役はまだ来ないのか!?」

「前の現場が押してるみたいです!!」

「もう一回連絡してみろ!!」

喧嘩するような口調で大人の人たちが話し合っている。

普段は穏やかな遊戯施設に緊迫した空気が張りつめている。

穂乃香「楽屋に戻りましょうか、お邪魔になるといけませんし」

忍「うん、そうだね」

アタシたちは撮影現場を離れ楽屋に向かう。

キャラクターのポスターが貼ってある通路は
さっきの現場の喧騒が嘘だったみたいに静まっている。

穂乃香「こちらの道ですよね」

元々が入り組んだ構造になっている上に
今日はほとんど電気がついていない。

一度来た道だし大丈夫だと…

あれっ…

忍「穂乃香ちゃん、今地震あった?」

穂乃香「? いいえ感じませんでしたけど…」

そっか、気のせいかな?

あれ…楽屋こっちの道だっけ?

さっき来た時とはまるで違う空間に見える。

穂乃香「忍さん?」

なんだろう…目の前がチカチカして…

足元がふわふわ浮きあがるような気がする…

だめ…息がくるしい…

穂乃香「忍さん、忍さん!大丈夫ですか!」

忍「…ごめんね穂乃香ちゃん。迷惑かけちゃって…」

穂乃香「大丈夫ですよ、気分はどうですか」

忍「うん、さっきよりは良くなったよ」

穂乃香「そのまま楽にしていてくださいね」

昨夜の寝不足が祟ったのかアタシは目眩を起こして倒れてしまった。
穂乃香ちゃんに手伝ってもらいソファーに横になり休んでいる。

穂乃香「スタッフの方に毛布とお薬もらって来ました」

穂乃香「プロデューサーさんに連絡して今こっちに向かっているそうです」

うう…情けない…自分が舞台に上がるわけでもないのに…

穂乃香「服を緩めておきますね、まだ撮影まで時間あるからゆっくり休んでください」

アタシの様子がおかしいのを感じた穂乃香ちゃんが
すぐに介抱してくれたおかげで大事には至らなくて済んだ。

穂乃香「けっこう多いんですよ、舞台の前に貧血で倒れちゃう事とか」

穂乃香「ジュニアの頃は緊張で泣き出してしまう子なんかもいたりして」

ああそうか、穂乃香ちゃんはバレエやってるもんね。

穂乃香「そういえばね、忍さん。私、最近母にいろいろ習っているんです」

穂乃香「料理とか編み物とか。アイドル活動に役立つかもしれないと思って」

穂乃香「この間卵焼き作ったんですけど、失敗して焦がしちゃいました」

穂乃香ちゃんがアタシの気持ちをほぐすように
手を握りながらおしゃべりしてくれている。

AD「それではリハーサルはじめまーす」

遠くからスタッフさんの声が聞こえてくる。

穂乃香「そろそろ時間ですね、忍さん立てますか」

穂乃香ちゃんが心配そうにアタシの顔を覗き込む。

忍「うん、ありがとう。もう大丈夫だよ」

AD「それではエキストラの方はこの線から向こうのゾーンで適当にゲームをしていてください」

ADさんの合図でみんながゲームコーナーの中へ散らばっていく。

さっきまで暗く張りつめた空気の現場には
賑やかな電子音とピカピカのライトが満ち溢れている。

穂乃香「忍さん、私達はどれにしますか?」

うーん、そうだな。

普段なら体を動かすダンスのゲームとか
太鼓叩くやつとかが好きなんだけど…

今のアタシはあまり激しい動きをしない方がいいよね。

忍「穂乃香ちゃん、これなんかどうかな」

アタシが選んだのはぬいぐるみを取るクレーンゲーム。

これならあまり体力も使わないしね。

穂乃香「はい構いません。けどこれはどうやって遊ぶんですか?」

あー、穂乃香ちゃんはこれも知らなかったか。

忍「それじゃあアタシがまずやってみるからね」

♪~

コインを入れると軽快な音楽が鳴ってクレーンが動き出す。

忍「よし、ここだ!」

ぬいぐるみの山の中から頭一つ飛び出している人形の上でアームを開いて下りていく。

忍「ああーだめかあ…」

人形の頭をつかんだアームは曲面で滑って落としてしまう。

空のクレーンがそのまま戻ってきてスタート位置でアームを広げる。

忍「今のは失敗しちゃったけど、この穴に落とすとぬいぐるみがもらえるんだよ」

穂乃香「分かりました、それでは私がやってみますね」

忍「もうちょい左、うん、そこで行ってみよう」

アタシがナビをしながら穂乃香ちゃんがクレーンを操作する。

穂乃香ちゃんが狙っているのは緑色のぬいぐるみ。

頭にリボンをつけた猫というかタヌキというか…
目つきの悪い…
まあはっきり言ってブサイクなやつだった。

他にもっと可愛いのがあるのに何でこれがいいんだろう?

忍「惜しい、またダメかあ…」

穂乃香「すみません、私が未熟なばかりに…」

忍「穂乃香ちゃんはクレーンゲーム初心者だし気にしないで!」

何回かトライしてだいぶいい感じになってきたしね。

忍「それじゃあさ、今度は作戦を少し変えてみようか」

穂乃香「作戦ですか?」

忍「うん、まずはあのブ…目的のぬいぐるみの周りの人形を先に動かそうよ」

忍「そうしたらスペースが増えて取りやすくなるしね」

穂乃香「わかりました。ご指導よろしくお願いします」

アタシたちはすっかりクレーンゲームに夢中になっていた。


だからアタシはすっかり忘れちゃっていたんだ。


ここがドラマの撮影現場だってことに。


そして聞こえていなかったんだ。


「本番始まりまーす」と声が掛けられたことに…

ここで一端投下中断します。

夜に時間あればまた続き投下します。

それでは続き投下します

忍「きゃあ!!」

突然アタシの足元に大きな塊が飛んできた。
ドスンと音がしてクレーンゲームの台が揺れる。

「この野郎!!やりやがったな!!」

アタシの足元の塊が飛び上がると飛びかかっていく。

ボカッ!!
ドス!!

「てめえ、ふざけんじゃねえぞ!!」

アタシの後ろで殴り合いのけんかが始まる。

あ、撮影…

ドラマの事をすっかり忘れていたアタシは
迫力のある殴り合いに気圧され立ちすくんでしまう。

「お前ら何をやってるんだ!!」

アタシの対面で遠巻きに見守っていたエキストラをかき分けて
何人かの役者さんが出てきて喧嘩している少年たちを引きはがす。

「はーい、オッケーでーす」

助監督さんの声が現場に響くと空気が和らいでいく。

「悪かったな、力が入って当たっちまった」

「いいって、おかげで迫力あるシーンになったし」

どうやら段取りだと殴られる振りをするだけだったのに
本番の勢いでパンチがきれいに決まってしまったらしい。

それで予定が狂ってアタシたちの方に飛んできたのか。

穂乃香「忍さん大丈夫ですか?」

穂乃香ちゃんが心配そうに声をかけてくる。
手には緑色のブサイクを抱えて。

忍「あれ、穂乃香ちゃん。それ…」

穂乃香「ハイ、忍さんの作戦通りにしたら取ることができました」

えー!?あの騒ぎの中で集中切らさずにクレーンゲームしてたの!?
さすが舞台慣れしてるというかなんというか。

穂乃香「ついでにこちらも取ることができました。よろしければ忍さんに差し上げます」

そういって穂乃香ちゃんが熊のぬいぐるみを差し出す。

P「おう忍、大丈夫か?」

ゲームコーナーから引き上げる人波の中からプロデューサーさんが現れる。

忍「あ、来てくれたんだ」

アタシは小さく手を振る。

P「さっき到着したんだけどリハが始まってたから入れなかったんだ」

P「まあ元気そうで安心したよ」

忍「心配かけちゃってごめんね、もう大丈夫だよ」

穂乃香「お疲れ様ですプロデューサーさん」

P「ああ穂乃香、ありがとうな。忍についていてくれて助かったよ」

穂乃香「はい、忍さんが無事で良かったです」

P「お、なんだそのぬいぐるみは?」

穂乃香「忍さんに教えていただいて私が取ったんです」

P「へえ…穂乃香がクレーンゲームをねえ…」

驚いたような表情でアタシと穂乃香ちゃんの顔を交互に見比べる。

P「それでどうだった、今日の感想は?」

穂乃香「はい楽しかったです!」

穂乃香「私ゲームセンターに来たの初めてだったんですけど、とっても楽しめました!」

忍「あの…穂乃香ちゃん。それは…」

プロデューサーさんはクレーンゲームの感想じゃなくて
ドラマの撮影について聞いてるんだと思うよ。

アタシがそう言おうとする前に…

P「いやそうかそうか、それは良かった!」

P「また今度も楽しませてやるから期待していろよ!!」

プロデューサーが穂乃香ちゃんの肩に手を回して引き寄せ背中を向けてしまう。
肩越しにアタシの方を振り向くと『余計なことを言うな』みたいに睨んでくる。

なんだろう、やな目つき!
まるでさっきのブサイク人形みたいだよ!!

忍「ねえ…プロデューサーさん」

P「ん、どうした?」

穂乃香ちゃんを駅まで送って行ったあと、二人きりになった
車内でアタシはプロデューサーさんに訊いてみた。

忍「アタシってさ、アイドル向いてないかな?」

P「どうしてそんな事を言うんだ?」

忍「だって…緊張しすぎて本番前に倒れたりしちゃったし」

P「んー…」

プロデューサーさんは信号待ちで車を止めると飲みかけの缶コーヒーに手を伸ばす

P「むしろ忍は芸能界向いてるんじゃないか」

忍「え、どうして!?」

P「忍が緊張したのは裏方さんの働きを見にいったのが原因だろ?」

P「本番前の現場なんてピリピリしてて当然だよ」

P「そういう空気を敏感に察知できたんだからさ」

P「スタッフに気を使える方がアイドルとしてはいいんじゃないかな」

忍「そう、なのかな」

信号が青に変わり車が再び走り出す。

P「ま、初めてなんだし。これから慣れていけばいいだろ」

P「最初から何もかも上手くはいかないさ」

忍「うん、そうだね」

P「まあ前の日はできるだけ眠っておいた方がいいな。この業界体力勝負だし」

忍「はーい…努力するよ」

プロデューサーさんに答えながら
アタシは穂乃香ちゃんにもらった熊を両手でギュッとする。
このコを抱きながら寝たら少しはリラックスできるかな?

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本編以上になります。

以下、おまけコーナーになります。

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♪チャーチャチャチャチャチャー

忍「これがその時のビデオだよ」

穂乃香「まさかオンエアに乗るなんてあの時は思いもしなかったね」

柚「おおーっ!」

あずき「けっこう話題になってた番組だよね」

柚「アタシもこのドラマ見てたけど忍チャンと穂乃香チャンが出ていたのは気がつかなかったな」

♪ヤッサイモッサイキコエルカ

あずき「一瞬だけど二人ともちゃんと顔が写っているね」

忍「穂乃香ちゃんは夢中でクレーンゲームやってるけどね」

穂乃香「お恥ずかしいです…」カオマッカ

あずき「こんなに真剣な表情の穂乃香ちゃん初めて見たかも?」

忍「最近はレッスンでもお仕事でもいつも笑顔だもんね」

穂乃香「それは…みんなと居ると楽しいから…」

柚「んー!?フリスク以外の現場でも笑顔が増えたってPサン言ってたよ」ホッペツンツン

あずき「穂乃香ちゃんもかなり柔らかくなったよね♪」

あずき「二人ともデビューする前にテレビに写るなんてすごいね!」

柚「これは将来バラエティーとかでお宝映像として紹介されるやつだね!」

あずき「衝撃、綾瀬穂乃香と工藤忍があの人気ドラマに出演していた!?」

柚「それではVTRを見てみましょ~」

あずき「穂乃香ちゃん、何まじめな顔でゲームしとんの」エセカンサイベン

穂乃香「やめてくださいよ~」アセアセ

忍「うう…びっくりして変な声出ちゃってるから恥ずかしいな」

柚「初々しくていいんじゃないカナ」

忍「アタシの地元だとこの局のドラマは一週遅れて放送されるんだよね」

忍「プロデューサーさんがわざわざ録画してアタシの実家に送ってくれたんだよ」

あずき「それにしても忍ちゃんずいぶん緊張していたんだね」

忍「あはは、当日よりも前の夜に寝れなかったのが効いたみたい」

柚「やっぱりステージの前は緊張するよね、アタシは眠れないとき体を動かすよ」

あずき「あずきはあんまり緊張しないかな?」

あずき「撮影の時とかメイクさんやカメラマンさんとおしゃべりしてると楽しいしね♪」

柚「緊張をほぐすためのおまじないとかもあるよね」

あずき「うん、手のひらに人の字を書いて飲み込むとかね」

忍「あーアタシはそれあんまり効果ないんだよね…」

穂乃香「他にも人前で話す時は"アマリリス"って17回言うと落ち着くと言われてますね」

柚「アマリリス?花の?」

あずき「どうして落ち着くの?」

忍「確か…花言葉が"おしゃべり"だったからかな」

あずき「そう言えばステージに出る前に好きな物で掛け声をする人っているよね」

忍「そうだね、食べ物の名前と…か…」ン?

柚 ツンツン

忍「どしたの?」

柚「ねえねえ忍チャン、この流れはまずいよ」ヒソヒソ

忍「どうして?」ヒソヒソ

柚「アタシたちの中で好きなもので掛け声をするとしたら…」

忍「あっ…」

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LIVE前

あずき「それじゃあみんな今日も頑張っていくよ!」

オー!!

忍「それじゃあいつものあれ行くよ!」

穂乃香「ぴ~」

柚「にゃ~」

あずき「こら~」

忍「たー!」
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忍「…どう考えても締らないね」ヒソヒソ

柚「4人で分けずらいセリフだしね」ヒソヒソ

忍「なんか手から気の塊が出そうなリズムになるよね」ヒソヒソ

柚「そしたら最後のセリフは来週号になるね」ヒソヒソ


穂乃香「そうですね、私たちも何か掛け声を…」

柚「あー!やっぱりシンプルなのがいいんじゃないカナ?」

忍「そうそう"フリルドスクエア、ファイトー"でいいんじゃない」

柚「そうそう、ユニット名叫ぶのがいいよね」

あずき「どしたの二人で、なにか必死だよ??」

以上で終りです。

それではHTML化依頼出してきます。

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