男「さて、コーヒーでも飲むか」狐娘「私は緑茶派なのですが」(122)

男「いや、何普通に居座ってんだ」

狐娘「何を言ってるんですか。私とあなたの仲で」

男「オマエと俺の間にどんな仲があると?」

狐娘「あの熱い夜を忘れたって言うのですか///!?」テレッ

男「さっき現れたオマエを追い返したばっかりなのだが?」

狐娘「あなたが話を聞かないからじゃないですか!私はここに来た説明をしようと思ったのに」プンスカ

男「狐耳と尻尾をつけたコスプレ女の子がいきなり『ここに置いて下さい』と言われたら誰だって追い返すと思うが」

狐娘「本物ですよ!触ってもいいですよ~。メッチャ手触りいいですよ~」ピコピコフリフリ

男「こんなもの今時どこでも売ってるっつの。まったく・・・って、え?何これ?取れないんですけど?」

狐娘「だから本物だって言ってるじゃないですか」

男「いやいやないない」

狐娘「まだ疑う気ですか!何なら繋ぎ目を見せますよ!」ヌギッ

男「いや待て脱ぐな。分かった。信じるから」

狐娘「え~。せっかく美少女が脱ごうとしてるのに止めるとは。まさかあなたロリk」

男「断じて違うから」

狐娘「はぁ・・・。まぁいいでしょう。では私の話をしてよろしいですか?」

男「まぁいいや。じゃあ何で狐のコスプレをした女の子が僕の家にきたのでしょうか?」

狐娘「まだそんなことを・・・。まぁいいです。そこから説明します。あんまり話の途中でツッコまないでくださいね」

狐娘「私は実は、裏の山に住む狐なんですが、訳あって山にはいられなくなりました。」

男「ストップ。いきなりおかしい」

狐娘「ツッコまないでって言ったじゃないですか。」ハァッ

男「いや、だって明らかにおかしいよね。裏の山に住む狐って。ありえないじゃん」

狐娘「さっき触らせたじゃないですか。まさかやっぱり見とけばよかったと思って、脱がせようとしてるんじゃ」

男「いやそれはないんだけど。えっ?マジで狐なの?」

狐娘「というか耳を見せれば済む話だった。ちょっとここを見てください。繋ぎ目とかないですから」

男「では失礼して・・・。うわっ、ホントだ」

狐娘「はい。では信じてもらえたところで続きを話しますよ」ヨッコラショ

狐娘「それで山にはいられないので、人間のいる街にやってきたのですが、外は雨降ってるし、お腹も空いて死にそうだったのです」

狐娘「そこで誰かのお家に泊めてもらおうと思いまして、現在に至るのです」

男「質問をしてもいい?」

狐娘「本当に狐なの?とかいう質問以外なら」

男「訳あってって、どういう訳があって山から出てきたのさ?」

狐娘「それはノーコメントです」

男「あっそ。じゃあ、何で俺のとこなの?」ガシガシ

狐娘「たまたまです」ニコッ

男「はぁ。別に泊まる必要なくない?とりあえず飯食わせてとか、雨宿りさせてくださいとかじゃダメなの?」

狐娘「いや、これからこっちで暮らしていかなきゃいけないので。そこはもうまとめてって感じです」

狐娘「それに、人間はすごく優しいと噂に聞いてます」

男「まぁそれはどうかと思うけど。何となくなら話は理解したけども・・・」

狐娘「じゃあ泊めていただけるんですか?」キラキラ

男「それとこれとは話は別。俺が少女を家に連れ込んでるなんて知られたらどうなることか・・・」

狐娘「何が問題なんですか!?私家事全般できますよ。自分で言うのもなんですが、すごく役に立つと思います」

男「でもなぁ・・・。人間界にはね、色々と勘違いをする人たちもいるんだよ」

狐娘「お慕いしている方・・・とかいらっしゃるんですか?」

男「いや、いないけども・・・」

狐娘「じゃあ何の問題もありません。お構いなしです」ニコッ

男「俺が構うの。とりあえず、雨が止むまでは置いてあげる。それからのことは、雨が止むまでに考えよう」

狐娘「ありがとうございます。私、狐娘って言います」

男「俺は男だ。とりあえず何か作るから。腹減ってるんだろ?」

狐娘「はい。昨日から何も食べてなくて・・・」グゥ-

男「そっか。じゃあ用意するから待ってて」

狐娘「ありがとうございます。油揚げが食べたいです」

男「一人暮らしの男の家に、そんなものないよ。ラーメンで我慢して」

男(はぁ、何かやっかいなの拾っちゃったなぁ・・・。これからどうしよう・・・)

~数時間後~

狐娘「雨、止みませんね。もう外も暗くなってきちゃいました」

男「そうだね。今日はもう止みそうにないかも・・・」

狐娘「では、今日はここに泊めてもらってもよろしいですか?」

男(まぁ、さすがに雨の中放り出すわけにもいかないし・・・。1日ぐらいならしょうがないかなぁ・・・)

男「まぁ今日ぐらいは泊めてあげるよ。お風呂沸かすから入りな」

狐娘「わぁっ、ありがとうございます。やっぱり優しいんですね」

男「明日雨が止んでたら出てってもらうからね」

狐娘「そこは今からの交渉次第で何とかします」

男「なかなか図々しいね、君」

男「いや、それは最初からだったね」クスッ

狐娘「あれは、どうにか置いてもらおうと必死だったんですよ」アセアセ

男「まぁいいや。ちょっとお風呂掃除してくるから待ってて」

狐娘「あ、そのくらいは私がやります。家事得意だって言ったじゃないですか」

男「そう?じゃあお願いするよ」

狐娘「任せてください!では行ってまいります」トテトテ

男(何だ。最初は何か変な子かと思ったけど、普通にいい子だな)

狐娘「フフ~ン、フンフン、フンフフン♪」

狐娘(男さん、すごく良い人だ。やっぱり・・・)

狐娘「男さん、お風呂沸きました」

男「そっか。じゃあお先にどうぞ」

狐娘「あ、あの、よかったら、一緒に入りませんか?」モジモジ

男「は?」

狐娘「いや、あの、お背中とか流した方がいいかなぁと思いまして」カァ-ッ

男「い、いや、それはまずいでしょ!そんなこと気にしなくていいから先に入ってよ」

狐娘「そう、ですか。ではお先に失礼します」ショボン

狐娘(はぁ、やっぱり私魅力とかないのかなぁ・・・)

男(ヤバッ、何あの生き物超可愛かった・・・。てか普通にダメだろ。狐とは常識が違うのかね)

二人(この後、微妙に気まずいかも・・・)

狐娘「お風呂お先に上がりました。あとtシャツ借りちゃいましたけど大丈夫ですか?」ポカポカ

男「あ、うん。大丈夫。じゃあ俺も入ってくるから」

狐娘「はい。ごゆっくり」

男(ヤバい。超色っぽく見える。童貞にこの刺激はキツイな・・・)

男「さて、二人とも風呂に入ったところで、明日からのことを考えよう」

狐娘「私はここに置いてもらいたいです。もう決めちゃいました」ニコッ

男「いや、それはまずいってさっきも言ったじゃん。せめて俺の知り合いの女のところにでも」

狐娘「男さんは、迷惑ですか?」ウルウル

男「い、いや、迷惑ってわけじゃないけどもさ、いや、どうなんだろうか・・・」

狐娘「じゃあ、私はここに置いてもらいます」

男(上目遣いに涙目は卑怯だなぁ・・・。まぁとりあえずバレなければ大丈夫かな・・・。)

男「とりあえず、もう遅いし寝ようか」

狐娘「はい」

男「じゃあそっちのベッド使っていいから。俺は床で寝るから」

狐娘「いや、それはダメです。私が床で寝ますから、男さんはベッドで寝てください」

男「いいって、一応客人なんだし」

狐娘「じゃあ・・・、一緒に寝ませんか?」

男「えっ?」

男(何か成り行きで一緒に寝ることになってしまったが・・・)

男(背中合わせで尻尾がピクピク動いてるのが分かる・・・)

男(ヤバい、普通にムラムラしてきた・・・)

狐娘「あの・・・、まだ起きてますか?」

男「あぁ、起きてるよ。どうした?眠れない?」

狐娘「いや、あの、尻尾が当たってしまうので、そっちを向いてもよろしいですか?」

男「あぁ、それは別に構わないよ」

狐娘「では、失礼します」ピトッ

男(うわっ、なんかさっきより密着してきてる。いや、何も考えないようにしよう)

狐娘「では、おやすみなさい」

男「うん。おやすみ」

---

チュンチュン

男「うーん、朝か・・・。ってあれ?狐娘は?」

狐娘「おはようございます。朝ごはんもうすぐできますから」トントン

男「うわっ、何かいい匂いする。そこまでしなくてもいいのに」

狐娘「いえいえ、これからお世話になるので、これくらいは」

男「いや、今日帰ってね」

男(うわっ、エプロン姿で尻尾メッチャ振ってる。カワイイ)

狐娘「さて、できましたのでいただきましょう」

男「ありがとう。いただきます」

狐娘「いかがでしょうか?」

男「すごくおいしいよ。本当に料理上手いんだね」モグモグ

狐娘「よかったぁ、いっぱい食べてくださいね」ニコッ

男「ごちそうさまでした」

狐娘「お粗末さまでした」

男「とりあえず、仕事があるから出掛けるけど。その間に荷物をまとめて帰ってね」

狐娘「・・・・・・。」

男「じゃあ行ってくるから。鍵は開けたままでいいからね」ガチャッ

男(このまま置いておくのもまずいし、これでいいよね)

---

男「で、 何でまだいるのかな?」

狐娘「言ったじゃないですか。私はここにいたいんです」

男「そうはいってもなぁ・・・」

狐娘「お願いします。何でもしますから」ドゲザ

男「いや、ちょっと。顔を上げてよ」

男(何か別に置いてもいい気がしてきた・・・。どうしようかな)

男「わかった。とりあえずはいてもいいよ」

狐娘「!」パァッ

男「ただし、いつまでもは困るし、帰れるようになったら帰ってね」

狐娘「わかりました。ありがとうございます。お礼に尻尾触ってもいいですよ」フリフリ

男「めっちゃモフモフしてそうだな。ではお言葉に甘えて」モフモフ

狐娘「あっ、あんまり刺激を与えないでくださいね。一応神経が、うんっ、あん」

男「いや、あんま変な声出さないでよ」

狐娘「出ちゃうんですもん、しょうがないじゃないですか」

男「まぁいいや。十分満足したよ」

狐娘「では、お風呂沸いてますから、お先にどうぞ」

男「じゃあ入ってくるよ。お先に」

男(はぁ、尻尾気持ちよかったなぁ・・・。もっかいモフりたい)チャプン

狐娘「男さん、お湯加減どうですか~?」

男「あぁ、ちょうどいいよ」

狐娘「では、私も失礼します」

男「うわっ、何してんの!ちょっとちょっと」

狐娘「やっぱりお世話になる人のお背中は流したほうがよいかと思いまして」テレッ

男「そういうのはいいって言ったじゃん」

狐娘「もう入っちゃったんですから、流します!ほら、こっちに来てください」

狐娘「強さはどうですか?痛くないですか?」ゴシゴシ

男「あぁ大丈夫だよ」

男(いや、この状況ダメだろ。てか、普通に裸見ちゃったよ)

男(すごく綺麗な体してたなぁ・・・。いや、考えちゃダメだ)

狐娘「では流しますね。ふうっ、終わりましたよ」

男「ありがとう。もういいよ。俺はあがるから」

狐娘「まだ、前を、洗ってないですよ」モジモジ

男「いやいや、最初に背中って言ったじゃん」

狐娘「でも・・・」

男「でもじゃないの。そういうのは好きな人同士がすることなの」

狐娘「じゃあ・・・」

男「うん?」

狐娘「いや、何でも、ないです」

男「ゆっくり入ってていいから、俺はあがるよ」

狐娘「あの・・・、私の背中も流してもらえませんか?」

男「はい?」

狐娘「背中なら、好きな人同士じゃなくてもいいんですよね?」

男「そういう意味で言ったんじゃないんだけど・・・」

狐娘「いいから洗ってください!こっちだって恥ずかしいんですから」カァッ

男(いや、これはマジでヤバい。どうしよ、ホントどうしよう)

狐娘「あの、お願いします」ウルウル

男(また出たよ、涙目上目遣い!はぁっ、俺って流されやすいのかな・・・)

男「わかったよ。じゃあちょっとだけね」

狐娘「はい!ありがとうございます」

男「このくらいの強さでいい?」ゴシゴシ

狐娘「はい!気持ちいいです」

男(尻尾がフリフリしてる。本当に気持ちいいのかな?)

狐娘「あの・・・、尻尾も洗ってください」

男「えっ、いいの?」

狐娘「はい。ただ、優しくしてくださいね」

男(はぁ、何か発言が微妙にエロいんだよね。マジで天然でやってんのかな)

狐娘「はぁ、気持ちいいです。男さん、上手ですね」

男「それはよかった。じゃあ流すよ」

狐娘「えっ、もう?」

男「もうって・・・。ちゃんと洗ったよ。じゃあ流すからね」ジャバァ

狐娘「ありがとうございました・・・」

狐娘(もう少し洗ってほしかったなぁ・・・)

男「さて、何か普通のように同じベッドだね」

狐娘「いいじゃないですか。どっちかが床に寝るよりマシですよ」

男「まぁそれもそうだね。じゃあ寝ますか」

狐娘「はい。おやすみなさい」ギュッ

男「ちょ、ちょっと」ドキッ

狐娘「・・・」スースー

男(もう寝てるし。尻尾触ってもバレないかな・・・」

男「・・・」サワサワ

男(やっぱ気持ちいいなぁ・・・)

狐娘「・・・、エッチですね」ボソッ

男「あ、お、起きてたの?」アセアセ

狐娘「尻尾、そんなに気持ちよかったですか?それなら寝るまで触っててもいいですよ」ニコッ

男「・・・・・・・」サワサワ

男(何かバレてすごい罪悪感だなぁ・・・)

狐娘(ちょっとは意識してくれたのかな?まぁ一歩前進?)

---

チュンチュン

男「うーん、朝か・・・」

狐娘「おはようございます。男さん、朝ゴハンできてますよ」ニコッ

男「あぁ、ありがとうね。別にもうちょっと寝ててもいいのに」

狐娘「いえいえ。私も家事をするの好きですから」

狐娘「フンフン、フンフフン♪」パンパン

男(楽しそうに家事をするなぁ。まぁ休日にゆっくりできるしいいか)

ガチャッ

??「ここにいましたか!探しましたよ」

男「えっ、誰?」

??「まったく、探すこっちの身にもなってよ」

男「いや、だから誰だって・・・って君も狐なの?何か普通に耳と尻尾があるけど」

狐娘「うわっ、何しに来たの?!私は帰らないわよ!」

??「何を駄々こねてんの?いくつだと思ってんのよ~」

狐娘「帰らないと言ったら帰りません!私はもうここで暮らしていくと決めましたから」

男「えーっと、とりあえず最初から説明してくれる?」



男「てことは、あなたは狐娘の妹で、山から出ていった姉を探すためにこっちに来たと」

??「そういうこと。わたしは狐妹。よろしくね」

狐娘「わたしは絶対に帰りませんから!男さんは私の味方ですよね?」ウルウル

男「いや、帰れるんなら帰ってもらった方が・・・」

男「そういえば、こっちに来た訳話せないって言ってたけど、狐妹は知ってるの?」

狐妹「あぁ、それはおt」

狐娘「ダァァァッーー、メェェェッーー」ガシッ

狐妹「・・・・・・・・・プハァ~、何よそんな思い切り口塞ぐことないじゃない」

狐娘「うるさいです、絶対に言わないで」

男「そんなに言えないことなの?」

狐娘「いえいえ、何でもないです。男さんは気にしないでください」

狐妹「つーか、何で言ってないのよ。言ったほうが手っ取り早いじゃん」ボソボソ

狐娘「言ったら困らせることになるじゃないですか。」ボソボソ

狐妹「多分今でも困らせてると思うんだけど・・・」ボソボソ

狐娘「いや、それは、その・・・」ボソボソ

男「はぁ、とりあえず狐妹は狐娘を連れ戻しに来たんだろ?」

狐妹「そうそう。じゃあ連れて帰ります。さぁ行くよ」

狐娘「いやです。本当にここで暮らしていきます」

男「でも、連れ戻しに来るんだから家族とかが心配してるってことでしょ?」

狐妹「まぁ心配というか、いないと困るんですよ」

狐娘「困るのは私じゃないです!お父さんだけじゃないですか」プイッ

狐妹「男さんも説得してよ」クイッ

男「そうは言っても、本人が嫌がってるからなぁ・・・」

狐娘「やったぁ、男さんも私の味方ですよ」

狐妹「グゥ~、何か知らないけど悪者の感じだ」

男「まぁいいや、ちょっとお茶でも入れてくるよ」

狐娘「あ、お茶なら私が」

狐妹「・・・・・・」

男「なぁ、狐妹は狐娘がこっちに来た理由知ってるんだろ?何なの?」ボソボソ

狐妹「それは・・・、お姉ちゃんお見合いさせられるらしくて・・・」ボソボソ

狐妹「それが嫌で逃げたみたいで・・・。来ないとお父さんのメンツが丸潰れでさぁ」ボソボソ

男「何か人間の世界とあんま変わんないんだな」ボソボソ

狐娘「なにを話してるんですか・・・あっ、まさか事情話しちゃいましたか・・・」

男「うん。聞いちゃった。でもどうしてそんなに嫌がるの?」

狐娘「だって好きじゃない人と結婚させられるかもしれないんですよ。嫌に決まってるじゃないですか!」

狐妹「まだ結婚するって決まったわけじゃないのにさぁ」

狐娘「それでも嫌です。私は好きな人と結婚したいんです」プンプン

男「狐娘は好きな人とかいるの?」

狐娘「えっ?それは・・・その・・・」カァッ

狐娘「とにかく私は家に帰りません。狐妹もそのことをお父さんにお伝え下さい」

狐妹「絶対に連れて帰って来いって言われてるんだけどなぁ・・・。どうしよう」

男「何か嫌な予感がしてきた・・・」

狐妹「じゃあ私もこの家に住みます。お姉ちゃんの気が変わるまで」

男「的中してしまった。はぁっ・・・」

狐娘「そんなことは私が許しません!帰ってください」

男「いや、ここ俺の家なんだが」

狐妹「ほらぁ、男さんも乗り気じゃん」

男「いや、別に乗り気ってわけじゃ・・・」

狐娘「・・・裏切り者」グスッ

男(いや、裏切ったわけじゃないけど。何だこの罪悪感・・・)

狐妹「じゃあお姉ちゃんが帰るまでよろしくね」ニコッ

男「いや、ちょっと勝手に決めないで」

狐妹「まぁまぁいいじゃん。女の子が増えるんだから」

狐娘「・・・男さん、エッチです」グスッ

男「そういうつもりもないし・・・。まったく何か色々メチャクチャだな」

---

男「さて、風呂でも入るかな。用意できてる?」

狐娘「できてますよ」ムスッ

男「そろそろ機嫌なおしてくれてもいいじゃん。じゃあ入ってくるから」

狐妹「あっ、私も一緒に入る~」

狐娘「そ、それだけは絶対にダメです!」

狐妹「何でよ~。お姉ちゃん一緒に入ってなかったの?」

狐娘「それは・・・、その・・・」

狐妹「やっぱ入ってたんじゃん。じゃあ私もいいよね、男さん」

男「はぁっ、気苦労が絶えなさそうだ」

男「はぁっ、結局3人で入ることになってしまった」

狐妹「別に二人きりでもよかったのにね~」

狐娘「何で私が邪魔みたいになってるんですか!私は背中を流さなきゃいけないので・・・」

男「はいはい、分かったよ。じゃあ流してよ」

狐娘「お姉ちゃんは流してたんでしょ?じゃあ今日は私がやるよ」ゴシゴシ

狐娘「ダメです。これは私の仕事です」ゴシゴシ

男「ちょっと、どっちか一人にしてよ。少し痛い・・・」

男(なんだかんだ全員裸なんだよな。狐妹はお子様体型だな)

狐妹「今なんか失礼なこと考えませんでした?」ゴシゴシ

男「い、いや、そんなことはないぞ」

狐娘「もう、狐妹ばっかり気にして。男さんひどいです」

男「なに、ヤキモチでもやいてるの?」

狐娘「そんなんじゃありません!男さん意地悪です」

男(どうすればいいんだよ・・・)

狐妹「次は私の背中洗って~」フリフリ

男「えっ、そこは姉妹仲良く洗えばいいんじゃ」

狐妹「男さんに洗って欲しいんの~。ほら早くっ」

男「はぁっ、わかったよ」ゴシゴシ

狐娘「・・・・・・」ジィーッ

男(うわぁ、何かメッチャ見られてるんですけど)

狐妹「はぁ、気持ちいい。ほら、尻尾も洗って」フリフリ

男「はいはい」ゴシゴシ

男(狐娘のもだけど、やっぱモフモフだなぁ)

狐娘「はい、男さん終わりです。次は私の背中ですよ」

男「えっ、狐娘も?」

狐娘「当たり前です!狐妹だけなんてふこーへいです」プイッ

男「わかったから。拗ねるなよ」

狐娘「拗ねてません。早く洗ってください」

男「・・・・・・」ゴシゴシ

狐妹「お姉ちゃん、何か顔真っ赤だよ」ニヤニヤ

狐娘「そんなことありません!」

男「はぁ、仲良くしてくれよ・・・」

男「はぁ、さて風呂も上がったし今日はもう寝るか。今日はもう疲れた」

狐妹「男さん、一緒に寝よっ」

狐娘「またそうやって。私が一緒に寝てたのに・・・」ブツブツ

男「さすがに3人で寝るのは狭いからなぁ。俺が床で寝るから二人でベッド使いな」

狐妹「え~っ。つまんな~い」バタバタ

狐娘「あなたが来たからですよ。少しは自重してください」

狐妹「お姉ちゃんが帰らないのがいけないんじゃん」

狐娘「・・・・・・」

狐妹「ンー、ムニャムニャ」

狐娘「スースー」

男「やっと寝たよ。ちょっとベランダで外の空気でも吸うか」

ガラガラッ

男「はぁっ、何か大変なことになったなぁ。何か慣れてる自分が怖い」

狐娘「やっぱり・・・迷惑でしょうか?」

男「うわっ、ビックリした。ゴメン起こしちゃった?」

狐娘「いえ。やっぱり私帰ろうと思いまして・・・」

男「えっ、急にどうしたの?」

狐娘「何かいつまでもここにいるのはやっぱり迷惑ですし。それに・・・」

男「それに?」

狐娘「やっぱり他の人とイチャついてるのは見てられなくて・・・」

男「えっ?どういうこと?」

狐娘「いや、なんでもないです。忘れてください///」

男「帰ってお見合い、するの?」

狐娘「男さんはどう思いますか?」

男「いやぁ、それは俺からは何も言えないというか・・・」

狐娘「・・・・・・」

男「まぁ、狐娘が来て楽しかったよ。ありがとう」

狐娘「お礼を言うのはこちらです。本当にありがとうございました」

男「さて、もう寝ようか。体も冷えるし」

狐娘「・・・、あの」ダキッ

男(えっ、後ろから抱きしめられた!なにこれ?え?)

狐娘「わ、私はですね、その、男さんがですね・・・」

男「う、うん。どう、した?」

狐娘「す、好きなんです!だから、その、なんというかですね・・・」

男「えっ?なに、どういうこと?」

狐娘「本当は止めてほしかったんです・・・。行くなって・・・」

男「お見合いは、どうするの?」

狐娘「好きな人がいると言えば諦めてくれるはずです!だから、その、ダメ、ですか?」ウルウル

男(でたよ、涙目上目遣い。こんな可愛い子に告白されるなんて・・・)

狐娘「じ、実はですね、私は昔、おとこs」

男「わかった。狐娘の気持ちを受け止めるよ。僕も狐娘のこと好きだからね」ダキッ

狐娘「えっ、ちょっと。その、いいんですか?///」

男「自分で言っといて何だよ。それともやっぱりやめとく?」

狐娘「いやすごく嬉しいです。すごく嬉し、く、って」グスッ

男「泣いてるの?よしよし」ナデナデ

狐娘「もう、離さないでくださいね」ギューッ

男「いつ俺が君を離したんだよ」ギューッ

狐娘「いや、それは、その・・・」

男「まぁいいや。離さないよ。なんてったってこの尻尾があるからね」サワサワ

狐娘「もうっ!いい雰囲気が台無しです///」

男「それで、さっき何か言いかけてたけど、大事なこと?」

狐娘「い、いえ。何でもないです」

男「そっか。それじゃあもう寝ようか」

狐娘「そうですね。ちょっと寒くなってきましたし」

ガラガラッ

男「じゃあおやすみね」

狐娘「あの・・・、一緒に寝てもいいですか?」

男「うん。こっちにおいで」

狐娘「ありがとうございます。おやすみなさい」ギュッ

男(なんか幸せだなぁ)

---

チュンチュン

狐妹「んー、朝か・・・。って何この状況!二人抱き合って寝てるし」

男「ん、あぁ、狐娘、朝だぞ」

狐娘「ムニャムニャ、男さ~ん・・・」グゥグゥ

狐妹「男さん、ちょっと説明を。はよ」

男「いやぁ、何かまぁ、こんな感じ?」

狐妹「私が寝ている間に・・・。はっ!横に人がいる状況に興奮して・・・、やらしい」

男「いや、そういうことはしてないんだけど」

狐妹「ふぅ~ん、まぁいいや。で、どうすんの?」

男「どうするとは?」

狐妹「いや、まぁお見合いの件ですけど。一緒にお父さんに説明に行くのが筋かと」

男「それって、『僕は狐娘さんとお付き合いするので、見合いの件は諦めてもらえませんか?』みたいな?」

狐妹「まぁそんな感じ。お父さん許してくれるかなぁ・・・」ニヤニヤ

男「そういうのは正直面倒くさいなぁ」

狐娘「面倒くさいなんて酷いです。もう愛情は冷めてしまったんですか?」グスッ

男「うわっ、起きてたの?そういうことじゃくてさ、何か色々とあるじゃん」アセアセ

狐娘「もう離さないって言ったのに・・・」

狐妹「うわ~、そんなこと言ったんだ。起きてればよかった」

男「でもさぁ、まだ結婚とかって話じゃないのに早くない?何時間か前にそういう関係になったのに」

狐娘「時間なんて関係ないです。男さんさえよければ今からでも籍を入れましょう」

男「いや、そもそも狐に籍なんてあるの?」

狐妹「まぁ100%ないね。狐の世界は儀式的な感じで結婚って感じだから」

狐娘「男さんは私が連れ戻されてもいいんですか?」ウルウル

男「いや、それは嫌かなぁ・・・なんて」

狐妹「よし、そうと決まれば早速山に帰ろうよ。私1日だけの滞在だったけど」

狐娘「さぁ、男さん準備してください」

男「どうしてこうなった・・・」

---

男「何か流れに任されて山まで来てしまった・・・」

狐妹「あ、お父さんだ。お~い」ブンブン

狐父「おう、狐娘は連れて帰ってきたか。ご苦労。して、その男は何だ?」

狐娘「私の恋人です」ニコッ

狐父「は?」

男(もうちょっと遠まわしに言ってもいいんじゃないかな)

狐父「何の冗談だ・・・。お父さんはそういう冗談が大嫌いだ」

狐娘「冗談ではありません。私はこの方と結婚を前提にお付き合いしております」

男(あぁ、火に油を注ぐとはこのことかな・・・)

狐父「ということは何だ。この男がいるから見合いをしないということか?」

狐娘「そういうことです。これからは男さんの家で住むことになります」

狐妹「とりあえず私は怒んないでね。関係ないから」

狐父「貴様は人間だろう?なぜこの山にいるのだ?帰り道はあっちだぞ」

狐娘「いえ、帰るなら私も一緒に帰ります。今日はとりあえず報告だけのつもりでしたし」

狐父「お前は帰らんでよろしい。お父さんはこの男と話しているのだ」

狐妹「男さん、どうすんの?お父さん軽く怒ってんだけど」ボソボソ

男「あれ軽くなの?だいぶイライラしてるように見えるんだけど」ボソボソ

狐父「帰りなさい、人間よ。ここは貴様がいていい世界ではない」

男「ですが、お義父さん」

狐父「貴様にお義父さんと呼ばれる筋合いはない!何を狐娘を娶った気でおるのだ!」ワナワナ

男「すいません、えーと」

狐妹「狐父です」ボソボソ

男「あー、狐父さん。狐娘さんとはまだ知り合ったばかりではありますが、心惹かれ合った間柄でして」

狐父「そんな短期間で惹かれ合うものか!どうせお前が誑かしたんだろうが!」

狐妹「何かお見合いも否定した感じになってない?」

狐父「お前は黙っていなさい!話すことはもうない。帰りなさい。行くぞ狐娘」フンズ

狐娘「ちょっとお父さん、離してよ!」

狐父「いいから来るんだ。見合いの前に色々と用意せねばならんものもあるのだ」

男「あっ、狐娘・・・」

狐娘「ちょっと・・・。男さ~ん・・・」

狐妹「あ~あ、行っちゃったねお姉ちゃん。てか男さん何か止める素振り一回も見せなかったね」

男「いやぁ、普通にデカさにビビっちゃったよね。人型だけど2メートルぐらいのムキムキのオッサンだったよ」

狐妹「まぁ、一応一族の長的な感じだし」

男「そんな話は初耳だよ!もう少し事前に情報が欲しかったよ!」

狐妹「でもそこは『連れて行くなら俺を倒してからにしろ!』みたいな男らしい発言は出てこないわけ?」

男「そんなことしたら俺死んでたかもよ?」

狐妹「まぁお姉ちゃんが誰と見合いしようが別にいいけどね。どうします?家には絶対入れてくれませんよ」

男「うーん、ここは一旦家に帰って立て直すかな。見合いっていつなの?」

狐妹「明日だね」

男「それまた急な」

狐妹「お姉ちゃんが帰ってきたらすぐやるって言ってたから。まぁ準備もあるし多分」

男「そっか。じゃあまた明日来てから見合いを止める感じでいこうかな」

狐妹「じゃあ私も一緒に帰ろっかな」

男「え?何で?」

狐妹「まぁいいじゃん。何なら私が男さんと付き合ってもいいよ?」ニヤニヤ

男「それはない。はぁどうしたもんかな・・・。何か色々ありすぎて頭痛くなってきた」

---

男「さて、帰ってきたのはいいものの、特に対策もないのだが」

狐妹「まぁ協力はするよ。何か面白そうだし」

男「ありがと。というか狐って何か普通に家に住んでたんだけど」

狐妹「あれ普通は人には見えないんだけど、男さんは私達といるから認識できたみたいな」

男「よく意味が分からんが、まぁそういうことにしとこう。で、どこで見合いやるかとか分かる?」

狐妹「そのへんはわかると思うけど」

男「うーん、じゃあ狐の世界ではさ、『あとは若いお二人で』みたいなことってあるの?」

狐妹「あぁ、何かお見合いの定番だね。あるある」

男「よし、じゃあその場面になったら登場して、俺が彼氏ですって言って連れて帰ろう」

狐妹「うわっ、普通だね~」

男「しょうがないでしょ。俺にはそれぐらいしか思いつかないんだから」

狐妹「まぁいいや。じゃあ私は男さんの彼女ですって言って場を乱せばいいの?」

男「本当にこの状況を楽しんでるんだね」

狐妹「人の不幸は蜜の味」ニコッ

男(この子絶対ドsだな・・・)

狐妹「じゃあ対策も決まったことだし、お風呂にでも入ろうか」

男「そんな入るのが当然みたいに言わないで」

狐妹「だって男さん上手いんだもん。私の体はもう虜になっちゃった」テヘッ

男「勘違いするような発言はしない」

狐妹「ほらっ、グダグダ言ってないで入るよ。体洗ってもらうんだから」グイッ

男「ちょ、ちょっと・・・」

---

男(はぁ、なんだかんだ一緒に風呂に入ってしまった。しかも念入りに洗わされた)

狐妹「はぁ気持ちよかった。やっぱり男さん上手」テカテカ

男「まぁ、俺も気持ちよかったからいいけどさ・・・」

狐妹「ワーオ、今のは軽く問題発言だね。お姉ちゃんが聞いたら何て言うか」ニヤッ

男「いや、俺は悪くない。そのモフモフがいけないんだ(キリッ。でも言わないでね」

狐妹「じゃあ今日一緒に寝たら許してあげる」

男「まぁそれぐらいなら・・・」

狐妹「じゃあ、ホラこっち来て」ポンポン

男「じゃあお邪魔します。俺のベッドだけど」

狐妹「やっぱ人肌に触れながら寝るのはいいねぇ。あっ、尻尾触りたいなら触ってもいいよ。好きなんでしょ?」

男「うっ、その誘いは断れない。では失礼して」モフモフ

狐妹「あん、感じちゃう~」

男「マジでやめてくれ。もうおやすみね」

狐妹「もういいの?つまんないの。おやすみ~」

男(はぁ、尻尾あれば誰でもいいのかよ俺。いやいや、そんなことはない。狐娘ちゃん一筋でいこう・・・明日から)

---

狐妹「いや~、また来ちゃったね我が故郷に」

男「俺はあんまり来たくなかったけどな」

狐妹「あ、あそこみたいだよお見合い会場」

男「おぅ。てか始まってんじゃん。隠れとかないと」コソコソ

狐妹「今行ったほうが面白いことにならない?」ニヤニヤ

男「ちょっ、マジ勘弁。やりそうで怖い」

狐妹「いいじゃ~ん。まぁ邪魔はしないよ」

男「そうしてくれ。ほぅ、あれが相手か。まぁ普通にイケメンだな。まぁ耳と尻尾が生えてるんだが」

狐妹「そりゃあ狐だからね~。あっ、あれがお母さんだよ」

男「うわっ、メッチャ美人じゃん。狐娘もあんな感じになるのかなぁ」

狐妹「私もなりますよ~。将来有望ですよ~」

男「はいはい。おっ、もう二人になりそうだ」

男「はいはい。おっ、もう二人になりそうだ」

狐妹「もうちょい近くに行ってみようよ。ここじゃ会話が聞こえない」

男「それもそうだな。よし行くか」

狐男「狐娘さん、あまり喋っていませんでしたが、緊張でもしてるんですか?」

狐娘「いえ。ところで狐男さん、話があるのですが」

狐男「はい。何でも聞きますよ」

狐娘「私には心に決めた方がおります。なので、このお話はなかったことにしたいのですが」

狐男「なるほど。道理で会った時から好意的な目で見られてる気がしなかったのですね」

狐娘「いえ。あなたが嫌いという事ではないんですが・・・」

狐妹「おっ、何か私たち出番ないかもしれないね」

男「そうなってくれた方がこっちとしては楽なんだがな」

狐妹「え~、何かそれだとつまんないんですけど」プンプン

男「ちょっ、うるさい。話が聞こえんだろ」

狐妹「もうちょっと構ってよ~。もう突撃しちゃうよ」ガサガサ

男「絶対にそれだけは勘弁してくれ」グイッ

狐男「あなたのような美しい御方が好きになる人に興味がありますね。よければ話してくれませんか?」

狐娘「つまらない話ですが、よろしいでしょうか?」

狐男「構いません。お願いできますか?」

狐娘「では。少し昔の話になりますが、私がまだ小さい頃に外で怪我をしまして、家に帰れなくなったんです」

狐娘「そのときに私を助けてくれた方がいました。その方は暗い森の中自分のハンカチを取り出し怪我の手当をしてくれて、私を抱えて安全な場所まで連れて行ってくれました」

狐娘「私はその方を忘れることができずにずっといました。いつかまた会えると思って待っていました」

狐娘「でも今回のお見合いの件で無理やり結婚させられると思い、私は家を飛び出しました。その方を探しに」

狐娘「正直その方がどこにいるかは分かっていました。ハンカチに住所が書いてありましたから」

狐娘「山から出るのは初めてで不安でしたが、その住所の場所に行くと、昔の面影があるその方に再会することができました」

狐娘「その方は昔と変わらず私に優しく接してくれました。少し怪しがってはいましたが」ハハッ

狐娘「その方にこの話はしていないのですが、私の想いを受け止めてくれました」

狐娘「長々と話してしまいすいません。でも私はその方を真剣に想っています」

狐妹「へぇ、そんなことがあったんだ。男さん意外と男前じゃないですか」

男「そんなことあったかなぁ・・・。なんか記憶にないというか」

狐妹「えっ、じゃあ人違いってこと?お姉ちゃんの初恋は無様に散ったってことだね、そうだね」ワクワク

男「いや、この山で昔迷子になった記憶はあるんだが、少女を助けた覚えはないんだよなぁ・・・」

狐妹「あぁ、多分それは普通の狐の姿をしてたんじゃないかな。小さい頃は人間の姿にはなれないから」

男「思い出した!助けたよ狐。いや、助けたっていうのかなあれは」

狐妹「というと?」

男「そのとき暗い森で一人きりで寂しくて、泣きそうになってたときに、たまたま狐がいてさ」

男「怪我してたから介抱したけど、その後は俺の寂しさ紛れに抱きかかえてて」

男「その後親父が迎えに来てくれて、その場で狐離しちゃったんだ」

狐妹「・・・、つまりかなり美化されている話だと」

男「そういうこと。安全な場所に連れて行ったところは完全に違うね」

狐妹「・・・このことは言わない方が本人のため・・・なのかな」

男「・・・そうした方がいいんじゃないかな・・・」

狐妹「でも、お姉ちゃんは一途に男さんのことを想っていたってことだよね」

男「そのことに関しては嬉しいかな。何で俺のところに来たのか納得したよ」

狐妹「まぁ助けた事実は変わりないしね。昔からお人好しだったんですね。いやお狐好し?」

男「意味わからんわ。別にお人好しでもないし」

狐妹「でも普通、見知らぬ人が来ても家に泊めないと思うんだけど」

男「まぁそれもそうか・・・」

狐父「そこで何をしておる!?」

男「うわっ、バレた!」

狐娘「あっ、男さんと狐妹。来てたんですか!?」

男「まぁね。一応助け出そうと・・・」

狐父「その必要はない!帰れ人間!」

狐男「ほぅ、あなたが男さんですか。話に聞いた通り優しい目をしていますね」

狐妹「お人好しとも言いますが」

男「うるさいなぁ、そこに突っ込むなよ」

狐男「狐父様、申し訳ありませんがこのお見合いお断りしようと思います」

狐父「何!?どういうことだ!?娘が気に入らんかったのか?」

狐男「いえ、私は先程狐娘さんの男さんに対する愛を聞かせてもらいました。私が入り込む余地など微塵もないと思いまして」

狐妹「うわっ、あの人中身も超イケメンだよ。男さんよりお姉ちゃん幸せにしそう」ボソボソ

男「うーん、何か俺も自信なくなってきた」ボソボソ

狐父「しかし、この見合いは狐男の両親とも色々と話した上で・・・」

狐娘「お父さん、私は男さん以外の人と結婚するつもりはありません。どうしてもと仰るならこの家と縁を切ってもらっても構いません」

狐父「何!?クソッ、狐娘をここまで誑かすとは!この人間め・・・」

??「もういいじゃない。許してあげなさいよ」

狐妹「あっ、お母さん」

狐母「いつまでもウジウジ言ってるもんじゃありませんよ。まったく・・・、娘の幸せが最優先でしょう」

狐父「しかしなぁ、私の面子というものもあってだな・・・」

狐母「面子と娘の幸せとどっちが大切なんですか?」ニコッ

男「何か笑顔が非常に怖いんだけど・・・」ボソボソ

狐妹「まぁ、尻にしかれてるからねぇお父さん」ボソボソ

狐娘「男さん!」ダキッ

男「狐娘!ゴメンな、何かカッコつかなくて」ナデナデ

狐娘「いえいいんです。こうしてまた一緒にいられますんで。ところで・・・、さっきの話もしかして聞いてました?」

男「あぁ、聞いてたよ。ありがとうな、そんな前から俺のこと想ってくれてたんだな。嬉しいよ」

狐娘「いえ、やっとあのときのお礼が言えます。ありがとうございました」グスッ

男「泣くなよ。ここは笑うところだから。俺、狐娘の笑顔が好きだから」

狐娘「はい!」ニコッ

狐妹「クサッ!」ハナツマミ

男「そこ、うるさい」

男「ところで、本当に俺でいいのか?あのイケメンの方が幸せにしてくれるかもしれないよ」

狐娘「いえ、男さんがいいです。男さんじゃないとダメです」ダキッ

狐男「二人とも幸せそうですね。では後は若いお二人に任せて」

狐娘「狐男さん、ありがとうございました」

狐男「私は何もしていませんよ。それでは、また」

男(最後の最後までイケメンだった・・・)

狐母「ほらっ、私たちも行きますよ」グイッ

狐父「だがしかし、このままじゃ・・・」

狐母「つべこべ言わない!」

狐父「・・・・・・」

狐妹「私もそろそろ。あんまりアツアツを見せられても吐きそうになるしね」

男「あぁ。ありがとうな、手伝ってくれて」

狐妹「それと、昨日の夜の熱い出来事お姉ちゃんには秘密にしておいた方がいいかな?」ニヤニヤ

男「ちょっ、バカ、今言うかそれ」アセアセ

狐妹「あとは若いお二人で~」ハンカチヒラヒラ

狐娘「男さん、昨日の夜に何があったんですか?」ニコッ

男「狐娘さん、その笑顔はものすごく怖いです・・・」ビクッ

狐娘「まぁ今日は来てくれたので許してあげます」
男「あ、ありがと。それとさ」

狐娘「何ですか?」

男「結婚して下さい」

狐娘「えっ?」

男「ほらっ、俺意外と結婚する気はないって言ってたじゃん。今すぐは無理だけどさ、よかったら」

狐娘「うっ、ひっぐ、えぐ、ずるいです男さん。不意打ちです」グスッ

男「ほらっ、泣かないの。笑顔が好きって言ったでしょ。それと返事は?」

チュ

狐娘「もちろん。よろしくお願いします」ニコッ

終わり

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