いろは「本当の気持ち」 (29)
書きたい場面を書いてくので季節感は滅茶苦茶です。
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いろは「葉山先輩好きです!付き合ってください」
葉山「…俺の答えは変わらないよ」
いろは「…そう、ですか」
葉山「いろは、君は」
いろは「…はい?」
葉山「…いや、何でもない」
いろは「ご迷惑かけてごめんなさい」
葉山「気持ちは凄く嬉しいよ」
いろは「でもわたし、もっと綺麗になっていきますよー」
葉山「期待しているよ」
いろは「ありがとうございます、ではまた部活で!」
葉山「ああ」
葉山「気付いているのか、いないのか…」
初めての告白は確かに本気だったと思う。
だけど今はきっと違うだろう。
葉山「断られた方が安心した顔を見せ付けられるとな…」
いろはは無自覚なのだろうか。
告白する前は緊張した表情を浮かべ、断られたら安著の表情を浮かべるのだ。
何度も告白された事はあるがこんな告白は初めてだ。
影響をうけているとは言ったがこうなるのは正直、予想外だった、かな。
葉山「…君はもっと自分も周りも大切にすべきだ」
誰かに向けられて呟いたであろうその言葉は。
誰に届くでもなく風に乗り消えていった。
****
いろは「先輩~…またふられました?…」
八幡「はぁ!? やっぱお前馬鹿だろう…」
これで5度目だ。
意味が分からない、俺だったら軽く10回は死んでる。
一色のハートが鋼鉄なのか、ただの馬鹿なのか。
たぶん、馬鹿だ。
いろは「ぶーぶー、傷付いてる女の子に向かって馬鹿って先輩、ありえないですよ~」
八幡「はぁ…」
いろは「健気な女の子が一途にアタックし続けたらきっと葉山先輩だっていつかは!」
いろは「それにほら、肉食系女子って流行っているじゃないですかー」
あ、そう…。
流行っているのかどうかは分からないが一応、一色の中での戦略らしい。
いろは「ともかく慰めてくださいっ!」
俺の裾を掴み上目使いでじっとこちらを見上げる一色。
うわぁ…本日もあざといですです、この子。
やめろよ、勘違いしそうになるだろ。
振り回される身としてはたまったものではない。
まぁ葉山スキーのこいつが相手だと勘違いしようもないが。
いろは「駄目ですか…?」
八幡「はぁーーーーー… わかったよ」
いろは「さっすが先輩! じゃあ、あの場所に行きましょうよー」
八幡「へいへい」
いろは「先輩の懐具合も考えつつ場所をチョイスするわたしって女子力たかいですね!」
いや、そもそもお前が無理矢理誘ったんだろうが。
つうか何で奢る前提になってるの、可笑しいだろう。
いろは「では、きりの良い所で切り上げるので待っててくださいね」
八幡「40秒で支度しなっ!」
いろは「は? 無理に決まってるじゃないですか。馬鹿なんですか」
八幡「…」
ジェネレーションギャップってやつなんだろうか…。
いやたまたま通じなかっただけだよね。たぶん。
つか1学年しか歳ちがわねーし…。
いろは「えーっと、これは副会長さんにお願いする奴で」
いろは「こっちは部長会の……」
八幡「…」
一色はなんだかんだ言って生徒会長の仕事はこなしている。
初めの頃は文句ばっか垂れていたが、今では意外と様になってきている。
いろは「うげぇ…これ生徒指導向けのやつですねー…面倒くさいです…」
まぁ、今でも文句は言うけどな、コイツ。
一色がまだ目を通していない資料を何枚か手に取る。
八幡「…手伝ってやるよ」
いろは「ふふっ、ありがとうございます。先輩ってやっぱ優しいですよね」
八幡「」ポリポリ
照れくささを誤魔化すように頬をかく。
少し頬が熱くなっているようだ、赤くなってなければ良いが。
いろは「先輩、ちょろいですね」
八幡「おい、どうせならあざとさは最後まで貫けよ」
途中で本音漏らすんじゃない。
色々中途半端なんだよ、お前は。
いろは「大丈夫です。先輩にしかこういう事言いませんから」
俺は文句を言おうと一色を見るが、
一色のの表情を見て言葉を飲み込んでしまった。
穏やかな笑みを浮かべやがって、ったく…、似合わないったらありゃしない。
八幡「早く、終わらすぞ」
いろは「はーい」
****
いろは「今日もほとんど人が居ないですねー」
八幡「そうだな」
いろは「うんうん。良い景色ですね~。あ、まだ桜咲いてますよ」
一色ととある公園に来ている。
高台にあり町を一望でき、目の前に広がる景色はなかなかのものだ。
場所は学校からそれほど遠くない。
ちなみにここを見つけた経緯はあまり良いものじゃない。
くだらない理由で喧嘩(もっとも一色にとっては重要らしいが)した時に、
いつも一緒に帰る所を、その日はギャーギャー五月蠅かったので仕方なくいつもの通学路を利用せずに遠回りした時に見つけた。
後日、一色をここに連れてきた事でなんとか機嫌を直すことに成功したので結果的には良かったのかもしれないが。
いろは「はい、先輩の分です」
一色がここに来る途中で買ったアイスを手渡してくる。
ここの近くに飲食できるお店はなく途中で買ってからここで食べることが殆どだ。
近くにあれば便利なのだが、一色曰く。
それだったら人気になっちゃうじゃないですか、ここは秘密のスポットだから良いんですよー。
らしい。
八幡「その言い方だとお前が用意したみたいに聞こえるが俺が買ったのだからね、しかもどっちも」
いろは「慰めてくれるって言ったじゃないですかー。細かい事は気にしないでください、だから友達出来ないんですよー」
いや、言ってねーし。つうかちゃんと奢ってやっただろう。
それに、友達って、多分それ関係ないよね。
…えっ? 関係ないよね?
良いもん、俺には戸塚が居るし。
あーでも戸塚は天使だから友達とも違うか、マイラブリーエンジェル戸塚。
八幡「…なんだよ」
いろは「まぁた、それ飲んでるんですね」
八幡「別に良いだろう」
手元にはマックスコーヒー。
俺の命の水である。
---体はマックスコーヒーで出来ている。
---血潮は砂糖で 心はマカオ豆
うん、あまり格好良くはないな。
いろは「そんなに美味しいんですか~?」
八幡「不味いと思うものを買うほど俺はマゾじゃない」
いろは「ふーん」
八幡「…」
チビチビとマックスコーヒーを飲んでいると、いきなり一色が声を上げる。
いろは「あっ、戸塚先輩」
八幡「どこだっ!?」
周りを見渡すが戸塚らしく人影はない。
というか人っ子一人いないぞ。
いろは「頂きっ♪」
一色の声が聞こえたと思ったら手元が軽くなる。
一色をみるとマックスコーヒーが奪われていた。
八幡「あっ、おっ、おまえ!」
いろは「んっ…」
いろは「うえぇ~~あっまぁ~~…」
しかめっ面を浮かべる一色。
だったら飲むなよ…。
いろは「スイーツと合わせる気がないコーヒーですね…」
八幡「いいから返せ」
いろは「は~い、もういりません」
無情にも量が減り半分以下になったマックスコーヒーを受け取る。
うおおお、2割近く減ってる…。
恨みがましく一式を見るが、全く気にした様子はなく
気持ちよさそうに風を受け目を閉じていた。
おのれ…。
八幡「はぁ…」
飲みなおそうと口許に近づけるが、
動きを止める。
こっ、これって間接キスだよな。
チラッと一色を見ると
気持ちよさそうに風を受け、左手で髪をかきあげていた。
視線が一色の唇にうつる。
瑞々しくほんのり桜色の唇。
意識したためか顔が熱くなるのを感じた。
うおおおおおおおおおおおお。
悔しい。
なんだかすごく悔しい。
負けた気がするので平静を装う。頑張れ俺。
いろは「~♪」
>>16
マカオ豆ってなんだ…
すいません、気にしないでください。
このSSまとめへのコメント
期待しています
いいぞーもっとやれ!
いい!