勇者「はわわわわ」(14)

というわけだ
お前ら最近勇者モノ書くのサボってるだろ

というわけでどうぞ

勇者「喉がからっからだよー」

子供「しゃべったぁぁあぁぁぁぁぁああああぁaaaaAaaaああああぁぁぁぁあああぁぁああぁぁぁぁぁああああ!!!!!!キエエェェェェエエエエエェェェエ!!!」

勇者「はわわわわ」

魔王「な、何故なのだ勇者よ!私たち魔族は人間に干渉などしていなかったでは無いか!」

四肢を切断され、なす術無く横たわる魔王がかすれた声で叫ぶ。

魔王「何故一方的に攻撃され、滅亡させられなければならないのだ!」

勇者「・・・・・・」

魔王「そなたは人間の代表なのだろう?頼む、答えてくれ・・・」

勇者「はわわわわ」

勇者「そんなこと、あたしに分かるわけないですぅ」

魔王「なん、だと?」

勇者「あたしは、ただ単に、魔族を、皆殺しに、しろって、王様から頼まれただけですぅ」

少し困ったように視線を流しながら、勇者は言う。

勇者「そんな事よりも、そろそろとどめ刺しちゃって良いでしょうかぁ。まだまだ魔族の皆さんが残っているんですよねぇ」

魔王「勇者、頼む・・・・。私の事はこのまま殺して構わない、しかし、民衆をこれ以上殺す事は・・・」

魔王「頼む・・・・!」

魔王は涙を流していた。涙を流しながら、目の前の少女に懇願していた。
いや、悪魔のような少女か、少女のような悪魔なのか。

勇者「ごめんなさい、今なんて言ったんですかぁ?もう一回言ってもらっても良いですかぁ」

そう言いながら、勇者は魔王の首を切断した。
人間と同じ、赤い血液が飛び散る。

勇者「魔王も殺した事だし、さっさと残りも殺そ~っと」

勇者は魔王の体を無造作に蹴飛ばし、一歩踏み出す。
しかし、ふとそこで動きを止め、魔王の首を探す。
見つけた首を持ち上げると、勇者は唇を歪める。

勇者「どうせだから、お土産に持って帰ろうっとぉ」

勇者「えへへへへ」

その笑顔は、この空間において不自然な程に自然な少女の笑顔だった。

数日後、地上から魔族は消え去った。
誰一人として、虐殺を止める事は出来なかった。
逃げる者、剣を持ち立ち上がる者、祈る者、大人、子供、皆平等に殺された。

腰にぶら下げるは、魔王の首。身に纏う神聖なる衣は、血液で赤黒く染められている。
玉座まで戻った勇者は、満面の笑みで王に首を手渡す。

勇者「王様の言う通り、みーんな殺してきたよ!」

王「よくやった勇者、魔族の殲滅をあとで盛大に祝うとしよう。今は部屋で休むといい」

勇者「は~い!」

勇者が去るのを見届けると、王は側近を呼んだ。

王「さて、手はずの通りに頼むぞ?」

側近「はい、お任せください」

柔和だった表情は消え去り、醜くつり上がった唇からは、低い笑い声が漏れ出ていた。

メイド「こちらが勇者様のお部屋でございます」

勇者「ありがと~」

メイド「お着替えも準備出来ていますので、中にございます浴槽でごゆるりとごくつろぎ下さい」

勇者「久しぶりのお風呂だなぁ、わ~い!」

部屋に入ると、すぐに血なまぐさい衣を脱ぎ捨て、浴室へと向かう。

メイド「何かお飲物はいかがですか?」

勇者「そうだなぁ、何かジュースでも飲みたいかな~」

メイド「かしこまりました、少々お待ちください」

メイドが去るのを見届け、勇者は浴槽に体を沈める。
ほんのりと薬草の香りが漂う湯が、少女の身体を包み込む。

勇者「はぁぁぁ、あったまるなぁ」

メイド「ジュースをお持ちいたしました」

勇者「ありがとぉ」

勇者は上気した顔でジュースを受け取ると、グラスに注がれた黄色い液体を一気に飲み干した。
ゴクゴクと喉が鳴り、液体は少女の胃に注がれる。

勇者「う~ん、このジュースなんだろう」

舌に残る酸味は、柑橘系のものだった。
しかし、口にした事が無い、ちょっとした苦みが少女を困惑させた。

勇者「初めて飲んだかなぁ・・・・、あ、れ、れ?のぼせたか、な・・・?ぁ・・・・・」

グラスがポチャンと湯に落下する。
少女の瞳が光を失い、まぶたが閉じる。
しかし、少女の身体が湯に沈み込む事は無かった。

メイド「可哀想ですが、仕事ですので」

意識の無い少女に言い訳でもするように、メイドが呟く。
メイドは少女の身体を持ち上げ、床に横たえる。
横たわる少女の肢体は細く、傷一つなかった。

側近「ご苦労様です、もうあなたは下がって良いですよ」

部下を連れながら、側近が部屋に入ってくる。

メイド「では・・・・・」

一礼して去るメイドを横目に見ながら、側近は部下に指示を出す。

側近「処刑台まで連れて行け」

部下「承知いたしました」

横たわる少女を軽々と持ち上げると、部下は自分の方に少女を担いだ。
完全に脱力しきった指の先から、雫がしたたる。

側近「すまないな、王の命令は絶対なのだ」

側近もまた、呟くのだった。

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