ラブライブ! のSSです。
カプ無し。
オリキャラ注意。
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──プロローグ──
穂乃果「──ねぇ、スクフェスちゃん!」
穂乃果「アイドル研究部に入ってよ!」
スクフェス「え!?」
穂乃果「いまね、マネージャーを募集してるんだぁっ」キラキラッ
スクフェス「ま、マネージャー……?」オロオロ
穂乃果「おーねーがーいーっ!」
スクフェス(うぅ、なんでこんなことに……)ウツムキ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──遡ること少し前──
「はぁ、今日も疲れたなぁ」
自動販売機で買った缶コーヒーのプルタブを起こす。
……今日も一日、ご苦労様。
音ノ木坂にある小さな公園。
その公園は、お気に入りの場所だった。
アスファルトに囲まれたこの都市で、
唯一自然を感じられる場所。
音ノ木から出ることがあまりなかった私にとっては、
それがとてもすごい場所に感じられたのだ。
緑が覆い茂った木の枝が、太陽の陽射しを遮る。
同時に初夏の涼しい風が、肩まで伸びた私の髪を優しく撫でて行った。
気持ちいい……。
眼を閉じて缶コーヒーを一口。
口内に拡るミルクの甘みが、
疲れたカラダを癒してくれる。
はぁーっ、と一息ついたところで唐突に思い出した。
──LP 大丈夫かな。
普段、調整を怠る私じゃないけど今日は特別。
だって、お昼休みに委員会の仕事があったんだもん。
ポケットからスマホを取出す。
『ぶしもっ!』
あっ! 凛ちゃんだ。
可愛いなぁ。
お知らせをすっ飛ばしてホーム画面へ。
今日のホーム画面はお祭り穂乃果ちゃん!
覚醒後の元気溢れる姿が可愛くてお気に入りなのだ。
うわっ、LP ギリギリ……。
家に帰るまでに溜まっちゃうな。
仕方ない、一回消化してから帰ろう。
……家に帰っても、何かあるわけじゃないしね。
うーん、EX 夢夢夢にしよっと。
ユニットは……お気に入りので。
私はお祭り穂乃果ちゃんがセンターになっているメインユニット、
ユニット名: 私の大好きなμ's
を選択。
えへへっ♪
今日もみんな可愛いなぁ。
明日は誰をセンターにしよう。
ウエディングのんたん?
バレンタイン海未ちゃん?
花陽ちゃんも最近ご無沙汰だし……。
ま、帰り道で考えようかな。
ではでは。
「ミュージック……スタート」
『ファイトだよっ!』
うん、ファイトだよ。
夢なき夢は夢じゃない。
私がこのゲームで一番好きな曲。
軽快なリズムに合わせてノーツを叩くと心地のよい音がする。
シャンシャンシャンッ♪
重ねたコンボ数が三百から四百へ。
──楽しい。
リズムに乗ってる時が一番楽しい。
きっと穂乃果ちゃんやμ's のみんなと一緒だったら。
ずっとこんな気持ちなんだろうなぁ。
最後のノーツを叩く。
至福の時間が終わった後に浮かび上がるのは、『FULL COMBO』の文字。
いつもと同じゲーム画面。
こうやって私は、毎日一人でスクフェスを楽しむのだった。
──でも。
今日は違った。
──ガチャッ。
ドアが開くような音が頭に響く。
その瞬間、真っ白な世界が目の前に広がった。
……公園にいたはずだよね。
境界線のない白い世界。
ここが部屋なのか、外なのかもわからない。
空もなければ屋根もない。
ただ、白い世界。
なんだかふわふわして、とってもいい気分。
でも、そんな白昼夢にも似た不思議な体験は、
「──すごいっ」
一人の少女の声によって終わりを告げた。
「すごいっ! すごいよっ!」
(……ど、どうして!?)
我に返った私に浴びせられる称賛の声。
明るい声。
太陽みたいな笑顔。
目の前ではしゃぐ彼女があの人だということを認識した。
頭の中が疑問符で埋め尽くされていく。
なぜ私の前にいるのか、
なにをしているのか、
いまの状況はよくわからないけど、
その人の名前はよく知っていた。
「こ、こ、こ……っ!
──高坂 穂乃果さんっ!?」
……間の抜けた声が公園に響いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──穂乃果ちゃんとの出会い──
穂乃果「うんっ! 穂乃果だよ!」
穂乃果「あなたは……スクフェスちゃん、だよね!」ニコッ
スクフェス「は、はい……///」
スクフェス(あだ名だけど……)
穂乃果「ホントに上手だね!」グッ!
スクフェス「え!? あ……っ///」カァーッ
スクフェス(ち、ちかいよぉ……)
穂乃果「穂乃果はやってるうちに早く叩いちゃって……」
穂乃果「コツとかあったら教えてよっ♪」ニコニコ
スクフェス「あ、あの……私……」ウツムキ
穂乃果「あっ! 喉、渇いた? なにか買ってくるよ?」
スクフェス「そ、そうじゃなくて……」アセアセ
穂乃果「そうだぁ! ね、今から穂乃果の家にこない!? 和菓子もあるよ!」グッ!
スクフェス「い、いえ、そんな──」
穂乃果「そうだそれがいい! よぉーし! いっくよー!」ガシッ!
スクフェス「わっ! あ……っ」ズルズル
穂乃果「すすめーっ♪ すすめーっ♪」ニコニコ
スクフェス(……こんな時、花陽ちゃんならこう言うのだろうか?)
スクフェス「……だれかたすけてぇー」ボソッ
穂乃果「うふふっ♪」ニコニコ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──穂乃果ちゃんの部屋──
スクフェス(はぁ……)
スクフェス(公園でゲームなんてしなきゃよかった……)
穂乃果「絶対スクフェスちゃんに向いてると思うなぁっ!」
穂乃果「マネージャーになってみんなを助けて──」
スクフェス(助け、る?)
スクフェス「そ、そんなの無理ですよっ!」
穂乃果「え?」
スクフェス「クラスにも馴染めてない……」
スクフェス「アイドルにも興味ない……」
スクフェス「そんな私がμ's のみんなを助ける?」
スクフェス「そんなことできません……むしろ」
スクフェス(──私が助けてもらってるくらいだもん)
穂乃果「そんなことないと思うけど……」
スクフェス「そ、それに、どうして私なんですか?」
スクフェス「μ's は学院内でも人気があります」
スクフェス「私じゃなくてもマネージャーをしたい子はたくさんいますよ?」
穂乃果「でも──」
スクフェス「あ、あとほの──高坂さんとお話するのも今日がはじめてみたいなものです」ウツムキ
スクフェス「私よりもっと仲の良い人の方が──」
穂乃果「──あなたが良いんだよ」ニコッ
スクフェス「え?」キョトン
穂乃果「誰でも良いんじゃないよ」
穂乃果「穂乃果はあなたと一緒にアイドル活動したいの!」
スクフェス「な、んで……っ」
穂乃果「あなたは、μ's が大好きだから」ニコッ
スクフェス「……っ」
穂乃果「それだけじゃ、ダメ?」
スクフェス「──私が皆さんと一緒にいたら、変ですから」シュン
穂乃果「変?」
スクフェス「私には、その世界は眩しすぎるってことです」アハハッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──それから数日
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──お昼休み、屋上への階段──
スクフェス(さて、お昼を食べてLP を……)トントン
「あーあ、どうしたらいいんだろう」
スクフェス(……この声)
「穂乃果ちゃん、どうしてその子がいいの?」
スクフェス(穂乃果ちゃんたちだ)
スクフェス(……今日は中庭にしよう)
「スクフェスちゃんはリズムを取るのがすごく上手だから……。
いてくれたら、海未ちゃんと絵里ちゃんの負担が減るかなって」
スクフェス(……私の話、してる?)
「だからと言って、無理矢理はいけませんよ?」
「そうだね、いきなり勧誘したらびっくりしちゃうよ」
スクフェス(……負担が、減る?)
「だってスクフェスちゃんがいいんだもん!」
「穂乃果……」
「穂乃果ちゃん……」
スクフェス(穂乃果ちゃん……本気、なの?)
希「……」ジーッ
「穂乃果はもう決めたんだから!
スクフェスちゃんと一緒に夏の大会で優勝するんだもん!」
スクフェス「……夏の大会?」
希「気になる?」ニコッ
スクフェス「はい、μ's が出るなら……へ?」クルッ
希「興味があるならそう言えばいいのに」ニコニコ
スクフェス「のんたん!?」ビクッ
希「ちょっ、のんたんって/// 恥ずかしいやん///」
スクフェス「あぁぁっ! す、すみません東條先輩!///」
スクフェス(わ、私ったらなんて呼び方をぉぉぉぉぉっ!)
希「スクフェスちゃん、やね?」ニコニコ
スクフェス「は、はい……」ウツムキ
「──わかりました」
「ことりたちも一緒に説得するよっ♪」
「海未ちゃん! ことりちゃん!」
スクフェス「……え!?」
希「おー、ついに徒党を組むんやね」
希「徒党を組んであなたを勧誘するつもりやん」
「そうと決まったら早速勧誘だよっ!
穂乃果、先に戻るね!」
スクフェス「まずい! 隠れなきゃっ!」
希「うちにまかしときっ!」スッ
スクフェス「え!? なんですかこれ!?」
希「なにって、ダンボール?」
スクフェス「ダンボール!?」
希「これ被って隅っこで体育座りしてれば大丈夫だよ?」
ガサゴソ。
スクフェス(段)「先輩これ、頭しか隠せませんよ!? 大丈夫なんですか!?」
希「スクフェスちゃんのいけずー♪ のんたんってよ、ん、で?」ニコッ
スクフェス(段)「今はそんなことを言って──」
希(段)「隣いい?」ペタンッ
スクフェス(段)「先輩も座っチャウノォ!?」
希(段)「穂乃果ちゃんに見つかったらいけないんやろ?」
スクフェス(段)「は、はい」
希(段)「だったら、静かに、ね?」 シーッ
スクフェス(段)「……」コクン
希(段)「いい子やっ♪」ニコッ
ガチャンッ!
穂乃果「待っててスクフェスちゃん! 今──ん?」キョトン
希(段)「……」
スクフェス(段)「……」
穂乃果「……希、ちゃん?」
希(段)「……」
スクフェス(段)「ばれてますよ……?」ヒソヒソッ
希(段)「……」スクッ
スクフェス(段)(立ち上がった?)
希(段)「……にゃーんにゃーんにゃーんっ♪」ネコポーズ
スクフェス(段)「え!?」
スクフェス(段)(それはさすがに無理が!)
穂乃果「なんだ、凛ちゃんかぁ」ホッ
スクフェス(段)「信じちゃうのぉ!?」
穂乃果「こんなところで何してるの?」
希(段)「凛はいま、ダンボールの気持ちにを考えてるんだにゃ」
穂乃果「ふーん、隣にいるのは……花陽ちゃん?」ニコッ
スクフェス(段)「あ、そ──」
希(段)「絵里ちゃんだにゃ」
スクフェス(段)「エリチカなのぉ!?」
スクフェス(段)(な、なんでエリチカ!?)
スクフェス(段)(別にいいじゃないですか、花陽ちゃんで!)
スクフェス(段)(わざわざ否定する意味がどこにあったんですか!?)
穂乃果「そっか! 絵里ちゃんもダンボールの気持ちに?」
スクフェス(段)「あ、えと。そ、そうよ! ダンボールってこう見えて奥が深いのよ!」
穂乃果「頭しか隠れてないのに?」
希(段)「ちっ、ちっ、ちっ!」
希(段)「容量の問題じゃないんだにゃー」
穂乃果「そうなの?」
希(段)「穂乃果ちゃんはまだまだだにゃ」
希(段)「まだダンボールに片足すら突っ込めてないにゃ」
希(段)「ね! 絵里ちゃ──」
穂乃果「あ」
絵里「…………」ニコニコ
スクフェス(段)「そうね凛、ダンボールに関しては頭から深く突っ込んでる私たちに一日の長があるわ」
絵里「……さすが賢いわね」ニコッ
スクフェス(段)「と、当然でしょ!?」
スクフェス(段)「子供のころは、かしこい、かわいいエリーチカ、なんて呼ば……え?」クルッ
絵里「……」ニコニコ
スクフェス(段)(ほ、本物ぉ!?)
絵里「で? このダンボールを取ったら、どんなかしこいかわいい子が出て来るのかしら?」ニコニコ
穂乃果「え、絵里ちゃんが二人!」ニコニーポーズ
スクフェス(段)「あ、これはその……」
希(段)「スピリチュアルやね!」
海未「穂乃果? どうしたので……絵里?」
ことり「……ダンボール?」キョトン
絵里「さっ、詳しい話は生徒会室で聞きましょうか?」ニコッ
スクフェス(段)「み、認められないわぁ……」ボソッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──生徒会室──
絵里「──なるほど、大体のことはわかったわ」
希「ナイスアイデアやろ? 白昼堂々ダンボールを被るなんて普通思いつかんよ」
絵里「そうね。そうだけど褒めてはいないわ」
スクフェス「あ、あはは……っ」
絵里「それで……あなたが噂の『スクフェスちゃん』ね」
スクフェス「は、はい……噂?」
絵里「ええ」
スクフェス(いい噂じゃないんだろうなぁ)ウツムキ
絵里「穂乃果がね、あなたのことをよく話しているから」
スクフェス「高坂さんが……?」
希「えりち」
絵里「ここまできたらちゃんと話した方が良いわ」
希「……せやね」
スクフェス「……?」
絵里「アイドル研究部がマネージャーを募集してるって話は知ってるわね?」
スクフェス「は、はい」
絵里「正確にはダンスレッスンで全体を見れるメンバーが欲しいの」
スクフェス「……それって」
希「今はえりちと海未ちゃんが全体を見てくれてるのだ」
スクフェス「園田さんがリズムを取ってる声、聞いたことあります……」
絵里「そうそう、それを誰かにやって欲しいのよっ」ニコッ
スクフェス「……なるほど」
絵里「そうしたら海未の負担も少し減るし、全体でも効率良く練習が出来るわ」
スクフェス「……負担が、減る」
絵里「夏の大会まで時間がないの……お願い出来ないかしら?」
スクフェス「……………?」
絵里「……お願い出来ない?」ニコッ
スクフェス「わ、私ですか?」
絵里「もちろんっ♪」
スクフェス「えぇっ!?」ガタッ!
スクフェス「せ、生徒会長まで言うんですか!?」
絵里「そうよ? 私だって知ってるわ。あなたがすごいこと」
スクフェス「そ、そんなこと」ウツムキ
絵里「それに──」
ガチャッ!
ばぁーん!
穂乃果「そうだよ! スクフェスちゃんは凄いんだよ!」
スクフェス「こ、高坂さん!?」
海未「すみません、止められませんでした」シュン
ことり「絵里ちゃんたちに任せようって言ったんだけど」アハハッ
絵里「……はぁ」
希「うふふっ♪ それに、なに?」ニコニコ
絵里「──うちのリーダーは、そう簡単に止められないのよっ」ニコッ
穂乃果「スクフェスちゃん、お願い!」
海未「あの、スクフェスさん。私からもお願いします」ペコッ
スクフェス「園田さん!? か、顔を上げて下さいっ!」アワアワ
絵里「もし、やってみて、合わないと思ったら言ってくれればいいから」
絵里「それに、チャレンジすることはあなたにとって、悪いことにはならないはずよ」
スクフェス「生徒会長……」ギュッ
絵里「だから、お願いします」ペコッ
スクフェス「や、やめて下さいみんなしてそんな……!」
希「往生際がわるいなぁ……ことりちゃん?」ニコッ
ことり「──スクフェスちゃんっ!」ウルウル
ことり「おねがぁいっ!」ウルウル
スクフェス「──かっ」
穂乃果(かわいい///)
絵里(かわいいわ、ことり///)
海未(ズルいですよ、ことり///)
希(ワシワシしたい)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
(──こうして、私はアイドル研究部に仮入部することになった)
穂乃果「はい、これ!」
スクフェス「なんですか?」
穂乃果「スクフェスちゃんの活動日誌だよ!」
(この時は想像もしなかった)
スクフェス「はぁ……」
(何気なく受け取ったこの日記帳と──)
穂乃果「あとね、あとね! もう一つお願いがあってね!」
スクフェス「な、なんですか?」
穂乃果「スクフェスちゃんがゲームしてるとこ、また見たいなー……なんて」アハハッ
(大好きなこのゲームが──)
スクフェス「そ、それくらいだったら……」
『ぶしもっ!』
穂乃果「わくわくっ♪」ワクワク
スクフェス(穂乃果ちゃん、顔がちかいよぉ///)
穂乃果「ん?」
スクフェス「え?」キョトン
(私たちの未来を大きく左右することになるなんて)
穂乃果「……これ、なに?」キョトン
スクフェス「……なに、これ?」
(──願わくば、その未来は明るいモノでありますように)
『お知らせ: イベントへのエントリーが完了しました』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
本日はここまで。
見て下さった方、コメント下さった方、ありがとうございました。
来週もお付き合い頂ければ幸いです。
コメントありがとうございます。
一応、シリアス路線です。
一応。
少し更新します。
──朝練 音ノ木坂学院屋上──
にこ「──なによ、全然なってないじゃない!」
スクフェス「……す、すみません」ウツムキ
海未「仕方ありません。まだ、初日ですから」
穂乃果「大丈夫! すぐ、慣れるから!」グッ!
にこ「どうだかね。すぐに音をあげるんじゃない?」プイッ
スクフェス「……」シュン
絵里「にこ……?」キョトン
にこ「だいたい、なによ!」
にこ「絵里も穂乃果も私に隠れてこそこそこそこそ……」ジーッ
穂乃果「そ、そんなんじゃ……」
にこ「……少しは相談してくれたって良かったじゃない」ボソッ
真姫「にこちゃん落ち着いて!」
凛「にこちゃん、除け者にされて寂しかったにゃ?」
にこ「──っ!」ギュッ
花陽「り、凛ちゃん!?」
にこ「……とにかく、私は認めないんだから!」ダッ!
ガチャッ!
凛「に、にこちゃん!?」アセアセ
絵里「──っ! にこ、待って!」
バタンッ!
希「大丈夫! えりちはここにいて!」ニコッ
ことり「希ちゃん!」
希「うちに任しときっ!」ダッ
海未「希……お願いします」
ガチャッ、バタンッ!
真姫「もー、にこちゃんったら」クルクルッ
花陽「凛ちゃん、言い過ぎだよ?」
凛「ご、ごめんなさいっ」シュン
スクフェス「──元はと言えば私のせいです。ごめんなさい」グスッ
海未「スクフェスさんのせいではありませんよ」
ことり「そうだよ、気にしないで?」ニコッ
スクフェス「……けど、出来ないのは事実ですから」ポロポロ
花陽「スクフェスさん……」
絵里「……」
穂乃果「……絵里、ちゃん?」
絵里「……ねぇ、穂乃果?」
穂乃果「なに?」
絵里「私、とんでもないことしちゃったのかも」
穂乃果「え?」
絵里「……にこ、泣いてたわ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──お昼休み 二年生教室──
穂乃果「一緒にお昼食べよう!」
スクフェス「あ、えと……」ウツムキ
海未「待ってください穂乃果」
ことり「穂乃果ちゃん、今日はことりと二人で食べよう?」ニコッ
穂乃果「え、でも──」
ことり「いいからいいからっ♪」
ことり「ここは海未ちゃんに任せよう?」ボソッ
海未「スクフェス……少し宜しいですか?」キッ!
スクフェス「園田さん……?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──アイドル研究部部室──
海未「──まったく、穂乃果にも困ったモノです」モグモグッ
スクフェス「……」モグモグッ
海未「最初は驚きましたよ、いきなり自宅に誘ってみた! なんて言うんですもん」
スクフェス「……」モグモグッ
海未「でも、そこが穂乃果のいいところなんですよね」クスクスッ
スクフェス「……」ゴクゴクッ
海未「あ、卵焼き美味しそうですね」
スクフェス「……唐揚げと交換なら」
海未「……っ!」パァァ
海未「ありがとうございますっ♪」ヒョイッ
スクフェス「……」モグモグッ
海未「……」モグモグッ
スクフェス「……園田さん」
海未「なんですか?」
スクフェス「唐揚げ美味しいです」
海未「卵焼きも美味しいですよっ?」ニコッ
スクフェス「……」モグモグッ
海未「……」ゴクゴクッ
『ご馳走様でした』
スクフェス「……どうして私とお昼を?」
海未「……」
スクフェス「私を、辞めさせないため、ですか?」
海未「……半分当たりです」
スクフェス「半分?」
海未「はい。もう半分は──」
スクフェス「……」ギュッ
海未「あなたを知るためです」
スクフェス「……私を、知る?」キョトン
海未「……」コクリ
海未「知っていますか? 私、本当はアイドルなんて……やりたくなかったんです」ニコッ
スクフェス「……聞いたことあります」
海未「人前に出るのが苦手だし」
海未「趣味や習い事は女の子らしくありません」
海未「性格だって……穂乃果やことりのように明るくも優しくもありません」
海未「『そんな私がアイドルなんて……』」
海未「はじめはそう思いました」
スクフェス「……じゃあ、なんでですか?」
スクフェス「嫌ならやらなきゃ良かったじゃないですか」ウツムキ
海未「確かにアイドルは嫌でした」
海未「だけどそれ以上に、私にはやりたいことが」
海未「──穂乃果とことりの力になりたかったのです」ニコッ
スクフェス「……二人の、力に?」
海未「ねぇ、スクフェスさん」
スクフェス「……」ウツムキ
海未「あなたのやりたいことはなんですか?」
スクフェス「──私の、やりたいこと?」
海未「出来る出来ないではありません」
海未「──やるか、やらないかですよ!」ニコッ
スクフェス「……園田さん」
海未「あなたの立場や私たちの立場……」
海未「思うところはたくさんあると思います」
海未「だけど私は、あなたにやりたいことを素直にやってみてほしいです」
スクフェス「……」グスッ
海未「ねっ?」ニコッ
スクフェス「……うっ」ポロポロ
──ぎゅっ。
海未「スクフェス、さん?」
スクフェス「私……」ヒッグ
スクフェス「このままなんて嫌だよ……」ポロポロ
海未「……はい」ニコッ
スクフェス「私が入ったせいでみんながギクシャクして」ヒッグ
スクフェス「私のせいでμ's が──」
スクフェス「大好きなμ's が壊れていく行く気がしてっ!」ポロポロ
海未「大丈夫です、大丈夫ですよ」ギュッ
スクフェス「そんなの我慢出来ない!」グスッ
スクフェス「ホントは、もう辞めようって思ってた」ポロポロ
スクフェス「だけど……っ」ギュッ
スクフェス「私だって、みんなの力になりたい」ポロポロ
スクフェス「何も出来ない私だけど──」グスッ
スクフェス「μ's の力になりたいっ!」ポロポロ
海未「──やっぱり穂乃果が睨んだ通りです」ニコッ
スクフェス「え?」グスッ
海未「ふふっ♪ なんでもありません」
海未「あなたの気持ちは、少なくとも私には伝わりました」
海未「──これを」
スクフェス「……これは?」キョトン
海未「私たちのPV です。これを見て練習しましょう?」
スクフェス「でも、私、矢澤先輩に」シュン
海未「にこのことは希に任せておけば大丈夫です」
スクフェス「で、でも──」
海未「夏の大会で優勝することはにこの目標でもあります」
海未「そのためにはあなたの『存在』が必要不可欠だと」
海未「穂乃果と絵里は考えています」
スクフェス「そ、そんなこと」
海未「──もちろん私も」
スクフェス「園田さん……」
海未「だから、お願いします」
海未「穂乃果や絵里……みんながやりたいことのために」
海未「あなたの力を貸して下さい」ペコッ
スクフェス「……っ!」ギュッ!
スクフェス「……一緒に」
海未「──っ!」
スクフェス「一緒に練習、してくれませんか?」
海未「はい、喜んでっ♪」ニコッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
『さあ、元気なかーおでーっ♪』
海未「……ここだけの話ですよ?」
スクフェス「え?」
海未「本当は私、ダンスが苦手なんです」
スクフェス「え!? だって、園田さんのお家は……」
海未「日舞とダンスでは少し勝手が違いまして」
海未「リズムやテンポが合わないんですよね……」クスクスッ
スクフェス「そ、そうなんですか?」
スクフェス(ピンとこない……)
海未「だから、出来ないことは恥じてはいけません」
海未「頑張ることを諦めなければ大丈夫です」
海未「絶対に上手くいくとは言えませんが……」
海未「努力無くして本当の成功はあり得ませんよ?」ニコッ
スクフェス「──はいっ!」
スクフェス(そっか、海未ちゃんにとってもチャレンジだったんだ)
スクフェス(毎日毎日努力して……)
スクフェス(ダンスが苦手なのに、メンバーを指導出来るくらいになったんだ)ゴシゴシッ
スクフェス(──私も頑張るんだ!)
『いまこーこでー♪ みつーけたー♪』
スクフェス「ワン、ツー、スリー、フォー……」パンッパンッ
海未「うふふっ♪」ニコニコ
海未「頑張ってにこに認めさせてやりましょう?」
スクフェス「──はいっ!」
海未「差し出がましいかとは思いますが」
海未「一つアドバイスを……」ニコッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──放課後 音ノ木坂学院屋上──
絵里「──じゃあ、はじめっ!」
スクフェス「……すーっ、はぁーっ」
希「……」チラッ
にこ「……」
スクフェス(……海未ちゃん)チラッ
海未「……」コクン
スクフェス「……せーのっ!」
スクフェス「ワン、ツー、スリーフォー……っ!」パンパンッ
穂乃果「よっ! ほっ!」ピッ
凛「はっ! にゃっ!」ビシッ
ことり「ちゅんっ♪ ちゅんっ♪」チュンチュン
スクフェス「ファイブ、シックス、セブン、エイトッ!」パンパンッ
花陽「ぴゃぁっ!」クルッ
希「ほっ! ほっ!」クイッ
真姫「んっ、はっ!」ビシッ
スクフェス「ワン、ツー、スリーフォー!」パンパンッ
絵里(……っ! ダメ、少しづつズレて来てる!)クルッ
海未(──ですが、そんなことは百も二百も承知です!)ビシッ
にこ「よっ! ほっ!」ヒラッ
スクフェス(次のサビ……っ!)
スクフェス(にこちゃんが一歩前に出るところ!)
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
──回想 部室──
スクフェス「──気持ちを込める?」キョトン
海未「そうです」
海未「μ's のダンスは絵里の加入により、一つ高いレベルのモノになりました」
海未「その結果、より多くの人の心を掴むライブが出来るようになった」
スクフェス「……それで、充分なのではないですか?」
海未「いえ、まだ足りません」フルフル
スクフェス「足りない……?」
海未「私たちのステージはまだまだ自分本意です」
海未「ですからあなたには、ファンの目線に立って練習に臨んで欲しいのです」
スクフェス「えと、どういうことですか?」
海未「私も絵里も、ですが」
海未「全体を見る時は、ズレていないか? 振り付けが間違っていないか?」
海未「……それくらいの確認しかしません」
海未「つまり──」
スクフェス「ファンの目線じゃない」
海未「そういうことです」
スクフェス「でも、それが心を込めることと……どう関係してるんですか?」
海未「最高のライブをするには、ファンの皆さんと私たち……」
海未「会場全体の一体感が大切です」
スクフェス「わ、わかります。μ's を見てると自分も元気になってきて……」
スクフェス「思わず大きな声で、海未ちゃーんっ!」
スクフェス「って呼んじゃったり……あっ///」カァーッ
海未「……///」
海未「つ、つまりはそういうことです」
海未「私たちはファンの皆さんがいてくれてやっとμ's になれるのですから」
海未「皆さんの声援や気持ちが伝わって、私たちはいつも以上の力を出すことが出来るのです」
スクフェス「──っ! そ、それって……」
海未「そうです」
海未「あなたには出来るはずです」
海未「私たちの力を引き出すことが……」
海未「そして、私たちが練習本番関係なく」
海未「常に実力以上の力を発揮できれば……」
スクフェス「より完成度の高いライブに……?」
海未「……」コクリ
海未「大切なのは心です」
海未「あなたが気持ちが伝わればきっと──」
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
海未(──スクフェス!)ギュッ
スクフェス「ファイブ、シックス、セブン、エイトッ!」パンパンッ
スクフェス(──私、にこちゃんにもっと笑顔なって欲しい!)
にこ(──ここねっ!)クルッ
スクフェス(センタースキル──)
スクフェス「ワン、ツー、せーのっ!」パンパンッ
スクフェス「スマイルプリンセス!」
にこ「にっこにっこにー☆」パァァッ! キラッ!
にこ「にこぉっ!?」
にこ(い、いまのは──!?)
穂乃果「す、すごい」
ことり「い、いま……」
凛「にこちゃんが輝いてみえたにゃ」キョトン
花陽「ラ、ライブの時みたいです……」
にこ「なに? ど、どういう──」
穂乃果「──すごいよにこちゃん!」ダッ
にこ「わっ! 急にくっつくんじゃないわよ!///」カァーッ
穂乃果「ねぇ、いまのどうやったの!? 穂乃果にも教えて!」キラキラッ
海未「やりましたねスクフェス!修行の成果ですっ!」グッ!
真姫「スクフェス先輩が? 海未、どういうこと?」
希「スピリチュアルやね!」カードピッ!
絵里「で、そのスクフェスさんは?」
海未「……おや? ど、どこへ?」キョトン
にこ「……」ギュッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
本日はここまで。
見てくださった方、ありがとうございます。
来週もよろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
再開します。
──公園のベンチ──
スクフェス「はぁぁぁぁぁあ……」シュン
スクフェス「やってしまった」
スクフェス(なによ、スマイルプリンセスって……)
スクフェス(ゲームじゃねぇっつの!)
スクフェス「気持ちを込めすぎました」ガクッ
スクフェス(……思わず逃げ出しちゃったし)
スクフェス「しかもリズムもテンポもバラバラで……」
スクフェス「あーあ、海未ちゃんに会わせる顔がないや……」
「──どんな顔よ?」
スクフェス「どんな顔ってそれはもういつもの冴えない…………へ?」
にこ「冴えない、顔って?」
スクフェス「や、矢澤先輩!? ど、どどど、どうしてここに!?」
にこ「ふんっ! 別にどうだっていいじゃない」プイッ
スクフェス「あ、す、すみません……」シュン
にこ「……隣、いい?」
スクフェス「……は、はい」ウツムキ
にこ「……」
スクフェス「……」チラッ
にこ「……」
スクフェス(気まずい……)
スクフェス(ダンボールがあったら入りたいよ……)
にこ「……ね、見せてよ?」
スクフェス「え?」
にこ「あんたがゲームやってるとこよ! 上手いんでしょ?」
スクフェス「あ、はいっ!」アセアセ
『ぶしもっ♪』
スクフェス「えと、曲は……?」
にこ「な、なんでも良いわよ!」
スクフェス「は、はい」アセアセ
スクフェス(あ、日替り『にこぷり』だ。これにしよっと)
にこ「……なんでこの曲なのよ」
スクフェス「え、やりたかったので」
にこ「ふーん」
スクフェス「あの、別の曲に……?」
にこ「いいわよ別に」プイッ
スクフェス「す、すみません……」
にこ(……あ、海未がセンターのユニットなのね)
スクフェス「では、行きます」
『前進あるのみっ!』
スクフェス「行くよ、海未ちゃん!」
にこ「……」ビクッ!
にこ(急に大きい声出さないでよ)ドキドキ
スクフェス「……」シャンシャンッ
にこ「……わっ」
スクフェス「……」シャンシャンッ
にこ(う、上手いっ! この子、本当に上手だわ)
スクフェス「……」シャンシャンッ
にこ(でも、サビはどうかしら?)
スクフェス「……っ!」シャンシャンッ
にこ(ふふっ♪ 苦しくなってきたみたいね?)
にこ「ここで終わりかしら?」ニコッ
スクフェス「──まだです!」シャンシャンッ
スクフェス「海未ちゃん、お願いっ!」
判定強化! 『 まだまだここからですっ!』
にこ「──っ!」
スクフェス「さっすが海未ちゃん!」シャンシャンッ
にこ(な、なによいまの!?)
スクフェス「──よしっ!」シャンシャンッ!
にこ「フルコンボ……」
スクフェス「──あ」
スクフェス「つ、つい熱くなってっ! 失礼しました……」ウツムキ
にこ「あ、ううん。いいの」
スクフェス「……」ウツムキ
にこ「……ねぇ、あんたさ。なんでそんなに俯いてるわけ?」
スクフェス「……あ、すみません」ウツムキ
にこ「いや、そうじゃなくて……」
スクフェス「……」ウツムキ
にこ「はぁ……」ハァッ
スクフェス(うぅ、にこちゃん怒ってるよね……)
スクフェス「す、すみません」シュン
にこ「……すぐに謝るの、やめた方がいいわよ」ハァッ
スクフェス「でも、私……こんな時どうしたらいいか──」
にこ「別に怒ってるんじゃないわ」
スクフェス「え?」
にこ「にこは、あんたの事をもっと知りたいなって思っただけよ」ニコッ
スクフェス「矢澤先輩……」
にこ「でも、にこもこういう時、なんて言ったらいいかわかんないや」シュン
スクフェス「あ、いえ……」ウツムキ
にこ「ごめん」
スクフェス「……」ウツムキ
スクフェス(にこちゃんも、海未ちゃんと同じことを……)
スクフェス(私は……)
にこ「──さて、それじゃあにこは」
スクフェス「──あ、あのっ!」
にこ「え?」
スクフェス「わ、私、その──」
「あ、スクフェスじゃん」
スクフェス「──っ!」ビクッ
女学生「なにやってんの?」ニコニコ
にこ「あんたの知合い?」
スクフェス「いや、あの……」オロオロ
にこ「……スクフェス?」
女学生「なにオロオロしてんの? 友達でしょ?」
スクフェス「……あ、えと」
にこ「──ストップ」キッ
女学生「あ?」
スクフェス「矢澤、先輩?」
女学生「どういうつもりだちびっ子?」
にこ「どうもこうもないわ」
にこ「あなた、本当にこの子の友達なの?」
女学生「……は?」キョトン
女学生「ぷっ! くくっ!」クスクスッ
女学生「そんなわけないだろ?」
スクフェス「──っ」ギュッ
にこ「そっか、やっぱりそうよね」ニコッ
女学生「こんな根暗で、ゲームばっかりやってるやつが友達な訳ないじゃん!」
女学生「髪型だって、幽霊みたいだろ?」ニヤニヤ
にこ「…………そっか、そうよね」ニコニコ
スクフェス「……っ」
女学生「あんたも、私と一緒でしょ?」ニコッ
にこ「──一緒って?」ニコニコ
女学生「こいつのこと、いじめてたんだろ?」
にこ「…………そっか、そういうことだったのね」ニコニコ
スクフェス「……先輩?」グスッ
にこ「あんたのこと、少しだけわかったわ」ニコッ
スクフェス「え?」
女学生「ねぇ、私も混ぜろよ?」ニコニコ
にこ「黙りなさい」ニコニコ
スクフェス「──っ!」
女学生「こいつのことからかうの楽しいんだよ──」
にこ「──黙れって言ってるでしょっ!」キッ!
女学生「なっ!」ビクッ
スクフェス(──先輩!?)
にこ「良かったわ、あんたみたいのがこの子の友達じゃなくて……」フンッ
女学生「な、なに?」
にこ「ま、当然よね」フィッ
にこ「あんたみたいな品も知性の欠片もないようなやつが、スクフェスの友達なわけないものっ」ハァッ
スクフェス「え……?」
女学生「なんだと……っ」ワナワナ
にこ「根暗で、ゲームばっかりやってるですって?」
にこ「あんたこの子のことなんにも知らないのね?」ニコッ
女学生「知ってるよ! こいつはいっつも一人ぼっちで!」
スクフェス「……」ウツムキ
女学生「臆病で弱いやつなんだ!」
スクフェス「……」シュン
にこ「──この子はね、一つのモノに一生懸命になれるの」
女学生「はぁ?」
にこ「大好きなモノのためなら自分を捨てることが出来るのっ!」
スクフェス「にこちゃん……」ポロポロ
にこ「嫌われてる人の前に立てる、勇気を持ってる子なのっ!」
女学生「なにそれ、意味がわからない」
にこ「わかんないなら教えてやるわ!」
にこ「あんた、自分を嫌ってる人に『笑って欲しい』なんて伝えられる!?」
スクフェス「──っ!」
にこ「もっと笑顔になって欲しいなんて想える!?」
スクフェス(……届いて、たんだ)グスッ
女学生「そ、そんなの出来るわけ──」
にこ「出来ないわよね」ハァッ
にこ「だったら、あんたなんかがこの子をバカにしないで」キッ
女学生「お、お前には関係ない!」
にこ「関係あるわ」
にこ「──この子は私の友達なの」
スクフェス「……っ」ポロポロ
にこ「友達が……仲間が困ってたらみんなで助けあう」
にこ「μ's はそういうグループなの!」
女学生「ぐ、グループ?」
にこ「スクフェスを──っ」
にこ「私たちの仲間をバカにするなっ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
スクフェス「うぅっ、ぐすん」グスッ
にこ「……少しは落ち着いた?」ニコッ
スクフェス「はい、お陰さまでっ」ポロポロ
にこ「全然落ち着いてないじゃない」ハァッ
スクフェス「だって嬉しいんですもん」ボロボロ
にこ「はぁ……」
スクフェス「……」ゴシゴシッ
にこ「──こないだは、ごめんね」プイッ
スクフェス「……へ?」キョトン
にこ「──そ、それより!」
にこ「明日もダメダメだったら練習の効率は悪くなるばっかりだわ!」
スクフェス「す、すみません」ウツムキ
にこ「そこで、にこからアドバイスよっ!」ビシッ
スクフェス「アドバイス……ですか?」
スクフェス(な、なんだろう! 宇宙ナンバーワンアイドルからのアドバイス!)
にこ「──ゲームだと思ってやってみたら?」
スクフェス「ゲームだと思って?」キョトン
にこ「そっ!」ニコッ
にこ「無理に絵里や海未みたいにやろうと思ってもぎこちなくなる一方だわ」
にこ「あんたはあんたらしく、楽しく伸び伸びやれば良いんじゃない?」
スクフェス「私、らしく……?」
にこ「そっ! 好きなんでしょ?」ニコッ
スクフェス「──っ!」パァァ
スクフェス「はいっ! 私、μ's のこと、大好きです!」ニコッ
スクフェス「もちろんにこちゃんのことも!」ニコッ
にこ「なっ!///」カァーッ
にこ「な、なななぬぁに言ってんのよ!///」
スクフェス「あ、そうですよね! ついにこちゃんって呼んじゃいました……すみません」ウツムキ
にこ「そこじゃなくて……」
にこ「それに私が好きっていったのはゲームのことよ……」
スクフェス「?」
にこ「はぁ……」ハァッ
スクフェス「す、すみません」ウツムキ
にこ「まあ、いいわ」
にこ「──戻るわよ?」ニコッ
スクフェス「ど、どこに?」
にこ「学校に決まってるでしょ?」
スクフェス「が、学校!? でも、私……」ウツムキ
にこ「会わせる顔なら大丈夫よ?」
スクフェス「へ?」
にこ「にこにお任せにこっ♪」ウインクパチッ
スクフェス「お、お任せって?」オロオロ
にこ「それに、書いてもらわなきゃいけない物もあるわ」
スクフェス「な、なんですか!?」
にこ「入部届けに決まってるじゃない」ニコッ
スクフェス「あっ」パァァ
にこ「ほら、早く行くわよっ」ダッ
にこ(──まったく、手の掛かる後輩が増えたにこっ)ニコッ
スクフェス「せ、せんぱーい! まってーっ!」ダッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
本日はここまで。
見てくださった方、コメントくださった方、ありがとうございます。
来週もまたお願いします。
コメントありがとうございます。
しばらくグダグダしますがお付き合い頂けると嬉しいです。
再開します。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
──回想 希とにこと絵里──
希「──にこっち、ここにいたん?」ニコッ
にこ「──別に?」ゴシゴシッ
にこ「にこが自分のクラスにいたら悪いって言うの?」ブスー
希「ご機嫌ナナメやね」ニヒヒッ
にこ「あったりまえでしょ!」バンッ!
にこ「みんな、にこに相談も無しで勝手に──」
希「──反対されると思ったからやない?」
にこ「………………し、しないわよ」プイッ
希「うちの目を見て言おうな?」クスクスッ
にこ「……」ウツムキ
希「大丈夫やよ」
にこ「え?」
希「にこっちの心配してるようなことにはならないよ」ニコッ
にこ「希……」
希「なにが起こってもμ's はμ's 」ニコッ
希「カードがそう言ってるんよっ♪」カードピッ!
にこ「……あんたまたカード?」
希「いいやん!」ニコッ
にこ「まったく、あんたってほんっとにお節介よね」クスクスッ
希「ふふっ♪」クスクスッ
にこ「そういうキャラ付け、ほどほどにしなさいよ?」ニコッ
希「ちょっ! 占いはうちの趣味やん!」ガタッ!
にこ「ああ、キャラ付けはその胡散臭い関西弁だったわね」ニコニコ
希「にこっちー?」ニコニコ
にこ「なによその手は! いいじゃない、たまには少しからかったって」プイッ
にこ「ありがと、希」
希「にひひっ」ニヒヒッ
にこ「だけどあの子、てんでダメじゃない!」
希「まあまあ、それはこれから海未ちゃんがなんとかするやん?」
にこ「海未が?」
ガラガラッ。
絵里「──にこ、いるの?」
にこ「絵里? 早かったわね」
絵里「え、ええ……」シュン
希「えりち……」
にこ「……? どうしたのよしょんぼりしちゃって」キョトン
絵里「あの、その……」オロオロ
にこ「なによ、言いたいことあるなら言いなさいよ。あんたらしくもない」ハァッ
絵里「えっと、私……」
希「にこっちにこっち! あんまりえりちをいじめんといて!」ニコニコ
にこ「はぁ? なんでそうなるの?」
絵里「そ、そうよ希! 私は別に……」プイッ
希「えりちもね、にこっちと同じ気持ちなんよ」
絵里「……っ」
にこ「絵里がにこと……?」
希「あ、正確にはちょっと違うか。えりちはにこっちと──」
絵里「希!? ストップ!」
にこ「──んなわけないないっ♪」
絵里「に、にこ……」
にこ「美人でスタイルも良くて全校生徒の代表で……誰にでも好かれるような絵里が──」
絵里「ち、違うのっ!」
にこ「──え、り?」キョトン
絵里「そんなんじゃないの!」
絵里「私だって、みんなのために何かしたいっ!」
絵里「それなのに空回りばっかりで──」
にこ「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ! あんたは充分にやってるわ!」
にこ「みんなのダンスだってあんたのお陰で──」
絵里「そ、それはそうかもだけどっ!」
にこ「だったらいいじゃない? これ以上なにがあるのよ?」
絵里「…………にこのこと、泣かせちゃった」
にこ「────はっ?」キョトン
希「ぷっ……くくっ」クスクスッ
絵里「笑わないでよ! 私は真剣なのっ!」グスッ
希「堪忍堪忍っ♪」
にこ「えと……どういうこと?」
絵里「夏の大会でいい結果が出せれば……」ウジウジ
絵里「にこがスカウトさんの目に止まるかと思って……」
にこ「にこが……?」
絵里「それにはマネージャーさんがいてくれたらって……」
絵里「だから穂乃果の勧誘も手伝ったし……」ウジウジ
絵里「その結果、にこを泣かせちゃったから……」ウジウジ
絵里「それは私のせいだし……」ウジウジ
にこ「な、なにをうじうじしてんのよあんたは……」
絵里「だ、だって……」モジモジ
希「つまりえりちはにこっちが大好きなのだっ♪」
にこ「は?」
絵里「あぁぁぁっ! 希ぃ! ダメって言ったじゃない!」
希「いいやん! この際、言いたいことは言っとかんと!」
絵里「で、ででででもぉっ!」アセアセ
にこ「もーっ! ちゃんと話してよぉ!」
にこ「話が全然繋がらないわよ!」
絵里「うぅ……っ」
希「隠してても、しょうがないんじゃない?」ニコニコ
絵里「…………に、にこ」
にこ「……なによ?」
絵里「──私、にこの親友になりたいの!」
にこ「……へ?」
絵里「μ's に入って、同じ三年生のにこを知って、その……」モジモジ
希「好きになっちゃったんやね?」ニコニコ
にこ「えぇ!?」
絵里「ちょ、希! そういう言い方はやめて!///」カァーッ
にこ(顔、真っ赤にこぉ……)
絵里「と、とにかく! 私はにこの力になりたいの!」
絵里「だ、だけど、希以外に友達って出来たことなかったから……」
にこ(──そっか)
絵里「どうしたらいいかわからなくて」
にこ(そうなんだ)
絵里「それで……」
────ぎゅっ。
絵里「──っ! に、にこぉ!?///」カァーッ
にこ「絵里、ありがとう」
にこ(希の言った通りだ)
絵里「え、えと///」
にこ「──絵里はとっくに、にこの大親友にこっ!」ギュッ
にこ(μ's がにこの──)
絵里「は、ハラショー!///」
にこ「希も、ね?」ニコッ
にこ(にこたちの居場所なんだ)
希「にこっちのいけずぅー。うちのことは抱き締めてくれないん?」ニコニコ
にこ「まったくもー! にこに抱き締めてもらえるなんて……」ハァッ
にこ(──μ's はμ's なんだっ!)
にこ「二人は世界一の幸せ者にこっ♪」
────ぎゅっ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──アイドル研究部部室──
にこ「出来たにこっ♪」フフンッ
ことり「前髪を流して、ピンで止めてみましたっ♪」
スクフェス「こ、こんなの……///」
にこ「さすがことりね! ヘアアレンジが上手いにこっ!」
ことり「にこちゃんの案があってこそだよぉっ♪」ニコッ
ことにこ『いえーいっ!』ハイタッチ
スクフェス「恥ずかしいですよ!///」
にこ「大丈夫よ。あんた素材はいいんだから!」
ことり「そうだよ! 自分に自信を持って行こうよ!」グッ!
にこ「そうよ! あんたは今日から明るくなるの!」
ことり「そのおでこと一緒だねっ♪」ニコッ
にこ「ことりの言う通りよ! おでこと一緒に本当の自分をさらけ出していくのよ!」
スクフェス「うぅ……っ/// でも……っ///」カァーッ
ことり「大丈夫っ♪ アイドル研究部に正式に入部したって、みんなに伝えるだけですよっ?」ニコッ
にこ「そうよそれだけ! 簡単、でっしょ?♪ はぁいっ♪」
スクフェス「うぅ……っ/// でも……っ///」カァーッ
ことり「そうだよ! にこちゃんも一緒に付いていてくれるから、頑張ろう!」
にこ「そうよ、にこも一緒付いて……いくの?」
ことり「うん、部長だもんっ♪」ニコッ
スクフェス「あ、それなら安心です」
にこ「安心なのぉ!?」
ことり「ハラショー! さすがにこね!」グッ!
にこ「……しょ、しょーがないわねぇ!」
ことり「よかったねっ♪」ヒソヒソッ
スクフェス「あ、ありがとうございますっ///」ヒソヒソッ
にこ「大会初日まであと一週間! グズグズしている時間はないわ!」
にこ「ほら、早く行くわよ!」
ぎゅっ!
スクフェス「は、はいっ!」
(私の手を引いて走り出したにこちゃん)
(そして、手を引かれるだけの私)
(躍動するツインテールを見て思う)
(──いつかはこんな風に)
(誰かに背中を見せながら走れるのだろうか)
(誰かの手を引くことができるのだろうか)
(誰かを助けることが……)
(みんなを助けることが出来るのだろうか──)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──部室、残されたことり──
ことり「もー、にこちゃんってば行動がはやいなぁ」
ことり(ことりも一緒に連れて行ってくれれば良かったのに)クスクスッ
──ピピピピッ。
ことり「ん?」
ことり(スクフェスちゃん、携帯忘れてる)
ことり(届けてあげなきゃ……)
ことり「──え?」
ことり「なに、これ?」
『お知らせ: イベント開始まであと一週間となりました』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
────数日後。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──お昼休み二年生教室──
海未「──簡単に説明するとですね」
海未「パフォーマンスごとにお客様投票を行います」
海未「今回は十六チームがエントリーしていますので、四チームごとに競い合います」
海未「最後に残った二チームで投票を行い、もっとも支持を得たチームが……」
ことほの『優勝だねっ♪』
スクフェス「投票はどこからするんですか?」
海未「インターネットの公式サイトで受付ます」
スクフェス「ライブはどこで行うんですか?」
海未「基本的には学校内です」
海未「ただ、混雑が予想される決勝戦は別途会場を設ける可能性があるそうです」
スクフェス「す、すごいんですね……」
穂乃果「というわけで、初戦に向けて穂乃果たちも行動を起こさないとね!」グッ!
スクフェス「行動を……?」キョトン
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──放課後、秋葉原──
スクフェス「……あ、あの」ピラッ
通行人「……」フィッ
スクフェス「……」シュン
穂乃果「μ's ライブやりまーす!」ピラッ
花陽「よ、よろしくお願いします!」ピラッ
ことり「絶対来てくださいっ♪」ピラッ
海未「さすが穂乃果たちですね」
絵里「さっ! 私たちもやるわよ?」
凛「負けてられないよっ!」
海未「ええっ!」
スクフェス「あ、あのライブ……」ピラッ
通行人「……」フィッ
スクフェス「……」シュン
真姫「来てくれなかったら、承知しないんだからっ!」ピラッ
通行人「は、はい///」
スクフェス(真姫ちゃんも上手だなぁ……)
真姫「……なに?」
スクフェス「う、ううん。上手だと思って」
真姫「…………別に」プイッ
スクフェス(うぅ、冷たい)
真姫「──μ's ライブやります!」ピラッ
真姫「お願いします!」
スクフェス(……真姫ちゃん一生懸命、だな)
にこ「にっこにっこにー☆ スクフェスちゃん、調子はどうにこ?」ニコニーポーズ
スクフェス「先輩! チラシ配りって難しいんですね……」シュン
真姫「……」チラッ
にこ「うーん、あんまり進んでないわね」
スクフェス「すみません」ウツムキ
にこ「ライブを生で見てくれたお客さんの方が投票してくれる確率が高いわ!」
にこ「だからにこのようにたくさんチラシを渡しなさいっ!」ニコッ
真姫「……」チラッ
スクフェス「わっ! 先輩凄い! もうそんなに配ったんですか!?」
にこ「あと十枚よっ!」ニコッ
スクフェス「わ、私も頑張らないと……」
真姫「……」チラッ
にこ「ふふんっ♪ 今日のにこはことりにだって負けないにこっ!」
スクフェス「せ、先輩良かったらその……コツとか教え──」
真姫「ちょ、ちょっとまって!」
にこ「真姫ちゃん?」
スクフェス「西木野さん?」キョトン
真姫「あ、その! 私……先輩に……///」
スクフェス「ど、どうしたんですか?」オロオロ
真姫「じゃなくて、その……」
にこ「──っ!」
にこ(はっはーん! なるほどねっ♪)
にこ「真姫ちゃん、あと何枚?」ニコニコ
真姫「じゅ、十枚だけどっ?///」クルクルッ
にこ「そっかー! じゃあ、にこと勝負する!?」
真姫「勝負ですって!?」
にこ「ふふんっ♪ 残り十枚。先に配り終えた方の勝ちよ!」フフンッ
にこ「でもって勝った方がスクフェスにコツを教えるって事で!」ウインクパチッ
真姫「じょ、上等じゃない!」クルクルッ
真姫「教えるとかは興味ないけど、この天才美少女マッキーがにこちゃんに負けるわけないんだからっ!」クルクルクルッ
希「なるほど!」シュタッ!
スクフェス「のんたん!?」ビクッ
にこ「あ、あんたどこから!?」
希「スピリチュアルやろ?」ニコッ
希「 要約すると、こういうことやね! 凛二等兵!」
凛「はいにゃっ!」ビシッ
真姫「り、凛!? あなた向こうの方でチラシ配ってなかった!?」
希「まあまあ、細かいことは置いといて……」
海未「リリホワ劇場スタートです!」ビシッ
凛(真姫)「お願いします!」
凛(真姫)「μ's ライブやります! お願いします!」
希「コンクリートに囲まれたここ、秋葉原」
希「健気にチラシを配るのは音ノ木坂学院の一年生の真姫だ」
希「他を寄せ付けない美しさに溢れる知性」
希「パーフェクトな彼女はダイヤモンドプリンセスと呼ばれていた」
希「しかし、そんな彼女にも苦手なことがあった」
凛(真姫)「はぁ……もう、なによ」
海未(凛)「スクフェス先輩っ! チラシ配るにゃ!」
凛(真姫)「……私も凛みたいに素直になれればいいのに」
凛(真姫)「私だってスクフェス先輩と仲良くしたい……」
希「──それが真姫の本心であった」
希「同じ一年生で、親友で大好きな凛みたいに」
希「新しくできた先輩と仲良く出来たらいいのに!」
希「そこに救世主が現れた!」
花陽(にこ)「にっこにっこにー☆ あれは真姫ちゃん!」
花陽(にこ)「にこのかわいい後輩の真姫ちゃんが困ってるにこ!」
花陽(にこ)「真姫ちゃん、きっとスクフェスちゃんと仲良くしたいにこね!」ニコッ
花陽(にこ)「だったら──」
希「さすがにこね!」
希「大好きな妹分の真姫のために勝負を持ちかけるにこ!」
希「素直になれない真姫も勝負という名目だったら……」
希「そう、にこはギリギリのところで負けるつもりなのだ!」
希「かくして戦いの火蓋は切って落とされた!」
凛「──リリホワ劇場、これにて閉幕にゃ!」
海未「ま、またのおこしをお待ちしております」
にこまき『…………//////』
スクフェス「え、えと……」オロオロ
真姫「な、なによこれもー! もー! なに!?///」クルクルクルクルッ
にこ「のーぞーみー? あんたねー?///」ゴゴゴッ!
希「では、勝負スタートやん!」カードピッ!
真姫「もー! ばかー!」ダッ
にこ「覚えてなさいよ!?」ダッ
花陽(にこ)「にこーっ☆」ニコニーポーズ
海未(凛)「か、かよちんかわいいにゃっ♪///」ネコポーズ
花陽「……あ、ありがとう///」
海未「……///」
スクフェス(……二人ともかわいいです///)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
にこまき『……』ハァッハァッ
希「と、いうわけで!」
希「──勝者! 南 ことり!」
ことり「い、いいのかな?」オロオロ
にこ「いいわけないでしょ!」バンッ!
真姫「そうよ! 私とにこちゃんの勝負でしょ!」バンッ!
花陽「にこちゃん、真姫ちゃん! それは違うよ!」
にこまき『花陽!?』
花陽「アイドルの世界は残酷な格差社会です! 弱肉強食の世界です!」
花陽「今回はことりちゃんが勝利しました!」
花陽「スクフェス先輩にチラシ配りのコツを教えることが出来るのはことりちゃんだけなのです!」
花陽「勝者が全てなんですぅ!」
にこまき『ぐぬぬぬ……』ワナワナ
ことり「じゃあ、花陽ちゃんに任せるねっ♪」ニコッ
花陽「……へ?」
ことり「ことり、コツとかよくわかんないから……花陽ちゃんお願いねっ♪」ニコニコ
花陽「わ、わたしぃ!?」
ことり「うんっ♪」
花陽「むむむ、無理ですよぉ! 私、人に教えるなんて──」アワアワ
絵里(花陽)「勝者が全てなんですぅ!」
花陽「え、絵里ちゃん!?」
凛「いいじゃん! かよちんも先輩と話したがってたしっ♪」
花陽「で、でも──!」
絵里「と言っても今日はもう遅いわ」
海未「明日また、ですね?」
凛「かよちん、凛も手伝うからさ! 一緒に頑張ろっ!」
真姫「わ、私も手伝ってもいいわよっ///」
絵里「ふふっ♪ 仲が良いのねっ」ニコッ
穂乃果「一年生がスクフェスちゃんの教育係りってこと?」
スクフェス「──そ、そうなんですね!」
スクフェス「三人とも、宜しくお願いします」ペコッ
凛「宜しくにゃっ! と言っても何を教えればいいんだにゃ?」ネコポーズ
絵里「まずは、凛たちのことを教えてあげたらどう?」ニコニコ
凛「凛たちのこと?」キョトン
絵里「そっ。お互いを知ることはとても大切なことよ」
真姫「それがチラシ配りと何か関係があるの?」クルクルッ
海未「コミュニケーションをとる練習をするということですか?」
絵里「さすが海未、察しがいいわねっ♪」
希「なるほど、チラシ配りって一瞬のコミュニケーションだもんね」
ことり「たしかに、ことりも相手の方がどう思うだろうって結構気にするよ」
スクフェス「ちゃんとお話し出来ればチラシを受け取ってもらえますもんね」
にこ(……オーラじゃなかったのね)
穂乃果「そっか! コミュニケーションかぁ、よぉーしっ!」
海未「ほ、穂乃果?」
穂乃果「海未ちゃん、これからはコミュニケーションだよ!」
穂乃果「大切なのは、コミュニケーションだよ!」グッ!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
本日はここまで。
見てくださった方、ありがとうございました。
また来週お願いします。
コメントありがとうございます!
展開は決まっています。
最後までお付き合い頂けると嬉しいです。
再開します。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──次の日。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──お昼休み、一年生教室──
花陽「はぁーっ、今日もおいしい……おにぎり最高っ♪」モグモグッ
凛「先輩のから揚げ美味しそう……」ゴクリッ
スクフェス「た、卵焼きと交換する?」ニコッ
真姫「……」モグモグッ
凛「いいの!? ありがとう!」ネコポーズ
スクフェス「はいっ♪」
花陽「さすが花陽のお母さん……っ! きっと御飯の炊き方に差があるんですねっ!」モグモグッ
真姫「……」モグモグッ
凛「うーんっ♪ おいしーにゃっ♪」モグモグッ
スクフェス「わ、私が作ったんです! 園田さんも美味しいって言ってくれて……///」カァーッ
真姫「……」モグモグッ
花陽「もっと精進しなきゃですっ! お母さんのようなお米マイスターになるために!」モグモグッ
凛「そうなの!? むむむ……海未ちゃんに先を越されていたにゃ!」
真姫「……」モグモグッ
花陽「真姫ちゃん……食べる?」ニコッ
真姫「……あ、ありがとう」
花陽「やっぱり! さっきからずっと黙って花陽のおにぎり見てたから……」
花陽「そうじゃないかと思ってたんだ」ニコッ
真姫「ちょっ、見てないわよ! 私が食いしん坊みたいな言い方しないで!」バンッ!
凛「ていうか真姫ちゃんのお弁当おっきいにゃ! ウインナー貰ってもいい?」
真姫「す、好きに取れば?」クルクルッ
スクフェス「えと、食いしん坊なんですか?」オズオズ
真姫「違うわよっ! みんなで食べるって言ったらママが作ってくれたのっ!」プイッ
花陽「はぐはぐっ! さ、さすがは西木野家のおかず……御飯によく合います!」モグモグッ
真姫「と、当然でっしょー?///」クルクルッ
スクフェス「……」ゴクゴクッ
真姫「……」
スクフェス「……ふー」
真姫「……せ、先輩もなにか食べたら?」クルクルッ
スクフェス「い、いいんですか? じゃあ、卵焼きを……」モグモグッ
スクフェス「わぁー、甘くてとっても美味しいですっ♪」ニコッ
真姫「……ふんっ、別に普通よ///」ガタッ!
凛「真姫ちゃん?」
花陽「どこにいくの?」モグモグッ
真姫「音楽室。ちょっとピアノでも引いてくるわ」トコトコ
スクフェス「あっ、西木野さん──」
凛「言っちゃったにゃ」モグモグッ
スクフェス「ごめんなさい、きっと私がいたから……」シュン
花陽「……ふふっ♪」ニコニコ
凛「スクフェス先輩大正解にゃっ!」ニコッ
スクフェス「がーんっ! や、やっぱり……」シュン
花陽「凛ちゃん、先輩に意地悪な言い方しちゃダメだよ!」
凛「あははっ♪ ごめんごめん」ニコニコ
スクフェス「……意地悪な言い方?」キョトン
花陽「先輩は、真姫ちゃんが先輩に対してネガティブな感情を持ったから席を立ったと思うんですよね?」
スクフェス「違うんですか?」
凛「全然違うにゃっ!」ニコニコ
花陽「はいっ♪ あれは嬉しい時の真姫ちゃんですっ♪」ニコッ
凛「しかもとびっきりにっ♪」ニコッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──音楽室──
真姫「……」ガタッ
真姫「……ふふっ♪」ニコッ
真姫(……やればできるじゃない、私!)
〜〜〜♪
〜〜♪
真姫(スクフェス先輩は穂乃果たちと違ってネガティブだから)
真姫(どう接したらいいかわからなかったけど……)
〜〜♪
〜〜〜〜♪ ♪ ♪
真姫(根は明るくて優しい人なんだからっ♪)
〜〜〜♪
真姫(ふふっ♪ 卵焼きが好きなんて、可愛いじゃないっ♪)
〜〜♪ ♪
真姫(少しずつ、仲良くなっていけばいいのよ)
〜♪
真姫「……ふぅっ、まあまあね」ニコッ
スクフェス「す、すごい……」パチパチパチパチッ
真姫「当然でしょ?」ニコッ
スクフェス「私、感動しちゃいました! 」
スクフェス「真姫ちゃんの弾き語りが生で聴けるなんて……最高ですっ!」パチパチパチパチッー
真姫「そ、それくらいならいつだって……」
真姫「──ってなんでいるのよぉっ!」ガタッ!
スクフェス「え、いや、凛ちゃ……星空さんが──」
スクフェス「『コッソリ音楽室に入っていきなり感想を言う』と西木野さんが喜ぶって言ってたから……」
真姫「あんの、猫娘!///」バンッ!
真姫(まさか私のダイアリーを見たんじゃないでしょうね……)
スクフェス「ご、ごめんなさい! 私に言われても嫌、でしたよね……」シュン
真姫「あ、いや──」
スクフェス「お邪魔しました! また、放課後──」ダッ
真姫「せ、先輩!?」
スクフェス「きゃっ!」
ずってーん!
スクフェス「……うぅ、痛い」
真姫「大丈夫!? もーっ、急に走るから……ん?」
真姫(これ、ダイアリー?)パラッ
スクフェス「はぁ、なんにもないところで転ぶなんて、ドジだなぁ」シュン
真姫(これって……)
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
──スクフェスダイアリー──
今日はμ's のみんなとチラシを配りました。
憧れだったみんなと一緒に活動が出来るなんてそれだけで幸せっ♪
……なんて思ったのも束の間。
チラシ配るのって凄い難しいんだね。
みんなすっごい上手!
そんな中で私が惹かれてしまったのは真姫ちゃんです。
私の知ってる真姫ちゃんはクールでカッコ良くて、
ちょっぴり不器用だけどとっても可愛い女の子!
そんな真姫ちゃんが一生懸命にチラシを配ってて……。
こんなに素敵な子にお願いされちゃったら、みんな受け取っちゃうよね!
よし、決めた!
次にチラシを配る時は私も真姫ちゃんみたいに一生懸命配ろっと!
すぐに落ち込むのは私の悪い癖だもん。
失敗してもいいから、一歩踏み出す勇気を持たなきゃっ!
まずは何事も前向きに考えなくちゃっ!
そのためにも一年生から沢山のことを教わりたいなっ♪
いつも元気な凛ちゃん。
頑張り屋さんな花陽ちゃん。
優しい真姫ちゃん。
三人とお話しできるのがとっても楽しみですっ♪
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
スクフェス「あ、あの……///」
真姫(な、なによこれ……)
スクフェス「西木野さん、その……それ……///」
真姫(照れるじゃない///)
スクフェス「うぅ……返してぇ///」グスッ
真姫「──はっ!」
真姫「こ、これ! 落ちてたわよ!///」スッ
スクフェス「うぅ、知ってます……///」グスッ
真姫「ご、ごめん……///」
スクフェス「……ダメなやつなんです、私」
真姫「え?」キョトン
スクフェス「いつも下ばっかり向いてて」
スクフェス「下ばっかり向いてるのに小さな段差にも気付かなくて」
スクフェス「根暗で友達もいないし」
スクフェス「クラスでもいつも浮いてて」アハハッ
スクフェス「だから、μ's のみんなに憧れてるんです」
真姫「μ's に?」
スクフェス「はじめて見たライブ……みんなはキラキラ輝いていて」
スクフェス「落ち込んでた私の心を支えてくれた──」
スクフェス「私も、そんな風に誰かの支えてになれたらいいなって」ニコッ
真姫「先輩……っ!」
スクフェス「ご、ごめんなさい! 私ったら、なに言ってんだろ///」
スクフェス「忘れて下さい……」ウツムキ
真姫「……なれたら、じゃないわ」
スクフェス「え?」
真姫「先輩は、アイドル研究部に入ったんだもの」
真姫「その、私たちの仲間に……」
真姫「だから、あの……」ウツムキ
スクフェス「西木野さ──」
真姫「ああっ、もう!」
スクフェス「……っ」ビクッ!
真姫「──なるのよ!」クワッ!
スクフェス「へ?」キョトン
真姫「先輩も、誰かの支えになるの!」
スクフェス「──っ!」
真姫「一緒にがんばるんでしょ!? もーっ!///」
スクフェス「……あ、ありがとう、西木野さん!」ニコッ
真姫「『真姫』よっ!」
真姫「μ's は先輩後輩、禁止なんだから!///」カァーッ
スクフェス「……っ!」パァァ
スクフェス「うんっ!」グスッ
スクフェス「ありがとう、真姫ちゃん!」ニコッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
──真姫ちゃんダイアリー──
今日、穂乃果がマネージャーを募集しようと言っていた。
私は作曲もあって、音楽室行ったから。
詳しい内容は知らないのだけれど。
誰に声を掛けるかは穂乃果の中では決まっているらしい。
同じ二年生、とかなんとか。
……不安半分、楽しみ半分ってところかな。
私は、みんなが知っての通り『メンドウな人』だから。
仲良く出来るかとっても不安なの!
いつもみたいにツンケンしてたらすぐに嫌われちゃうかも……。
けど、仲良くなれたら、一緒にお昼を食べたり、
帰りにクレープを食べたり。
それからそれから……。
やだ、私ったら食べるコトしか考えてないじゃない。
うーん、そうね。
マネージャーって言うくらいだもん。
私のピアノを聴いてくれて、感想を言ってくれたら嬉しいな。
そうしたら、もっともっと作曲活動が頑張れるかもっ♪
仲良くなれたらいいな。
……いや、違うわね。
受け身じゃダメ。
これからは苦手なコトも一生懸命やるんだから。
私はマネージャーさんと仲良くなるの!
そう、決めたの。
だけど、欲を言うなら一つだけ。
……優しい先輩だといいな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
──回想、部室──
凛「──真姫ちゃんのダイアリーにゃ」パラッ
花陽「り、凛ちゃん!? ダメだよ勝手に読んじゃ!」アワアワ
凛「真姫ちゃんだって凛が書いてる時にちらちらみてくるにゃ! だから、おあいこ……」パラッ
凛「……」パタンッ
花陽「……凛ちゃん?」キョトン
凛「かよちんの言う通り、やっぱりこういうのは良くないにゃ!」ニコッ
花陽「うん、そうだよ! それに言えばちゃんと見せてくれるよっ♪」ニコッ
凛「うん!」パァァ
凛「さっ! 今日も練習、いっくにゃぁ!」ネコポーズ
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──放課後、秋葉原──
真姫「μ's ライブやります! 宜しくお願いします!」
スクフェス「ぜ、絶対来て下さい!」ピラッ
真姫「スクールアイドルのμ's です!」
スクフェス「宜しくお願いします!」ニコッ
絵里「ハラショー! 凄いじゃないスクフェスさん!」ハラショー
凛「ふふふっ♪ コミュニケーションの成果にゃ!」
花陽「お昼美味しかったよねぇ! またみんなで食べたいなぁっ!」
スクフェス「真姫ちゃんのおかげでいい感じだねっ♪」ニコッ
真姫「と、当然でっしょー?///」
真姫「す、スクフェスも中々いい笑顔よ///」ニコッ
スクフェス「ホント!? ありがとう///」カァーッ
真姫「なによ、もーっ!///」カァーッ
凛「な……」
花陽「……なにあれぇ?」
絵里「あららっ♪ ずいぶん仲良くなったのね」ニコニコ
凛「認められないわぁ」プイッ
希「凛は嫉妬していた。彼女も先輩と──」
絵里「それはもういいから……」
海未「なにを騒いでるのです?」
穂乃果「みんな、どうしたの?」
ことり「なにを見てるの?」
にこ「ちょっと、ことり? 勝負の途中でしょ?」
凛「みんな、見てよあれ!」
μ's『んー?』
真姫「ねぇ、あの唐揚げ……私も気になるんだけど」
スクフェス「それなら明日ももってこようか? 他に食べたいものある?」
真姫「別にないけど……」
スクフェス「うーん、トマト料理はお弁当に入れられないしなー」
真姫「ふーん、あなたって料理が上手なのね」
スクフェス「ま、真姫ちゃんのお口に合うかはわかりませんよぉ」アワアワ
真姫「べ、別になんだって合うわよ!」アセアセ
真姫「それより今度、家に来て料理教えてよ///」カァーッ
スクフェス「い、いいの!?」
穂乃果「い、いつの間に……っ!」ガーン
凛「真姫ちゃんを取られたみたいでモヤモヤするにゃっ!」
花陽「でも先輩と仲良くしてて羨ましいね……っ」
凛「それ!」
ことり「二人ともモテモテだねっ♪」ニコニコ
希「にこっちはええの?」
にこ「にこはみんなが仲良しならいいにこっ♪」ニコニコ
絵里「……顔、引きつってるわよ?」アハハッ
にこ「うっさい!」
海未「ほら、みんな? 手が止まってますよ!」パンパンッ
μ's『海未(ちゃん)!』
海未「真姫もスクフェスも聞いて下さい!」
真姫「……なにかしら?」
スクフェス「……作戦会議?」
海未「全員で固まっていたら効率が悪いです」
μ's『ふむふむ』
海未「ここからは二人ペアになって効率よくチラシを配りましょう!」グッ!
μ's『おーっ!』パチパチッー
海未「では、ペアですが……」
海未「穂乃果、ことり」
ことほの『はーいっ♪』
海未「希と絵里」
絵里「あら?」クスクスッ
希「一緒やね、えりちっ♪」ニコッ
海未「凛、花陽」
凛「かーよちん!」ギュッ
花陽「凛ちゃんくすぐったいよぉ〜♪」ニコニコ
海未「にこ、真姫」
真姫「……こっち見てる?」プイッ
にこ「……こっちみないで!」プイッ
海未「そして、私とスクフェス」
スクフェス「は、はい!」ドキドキ
海未「このペアで今の手持ちを配ってきて下さい」ニコッ
海未「何か質問は──」
にこ「ちょっと待ちなさいよ! なんでにこが真姫ちゃんとペアなのよ!」クワッ!
真姫「そうよ! おかしいわ! 理由を言いなさいよ!」クワッ!
海未「ほら、二人ともいつも言い合っているでしょう? この機会に仲良くなって頂きたいと──」
にこまき『別に仲が悪いわけじゃないわよっ!』
海未「さっ、行きますよスクフェス」
にこ「スルー!?」ニコニーポーズ
海未「他のペアに負けないように頑張りましょうね」ニコッ
スクフェス「は、はい。頑張りましょう園田さん!」ニコッ
海未「ふふっ♪ 海未と呼んでくれても良いのですよ?」ニコッ
スクフェス「うぇぇっ!? そ、そんな……///」
μ's『じーっ』
海未「な、なんですか?」タジタジ
穂乃果「なんだかんだ言って……」
ことり「スクフェスちゃんと仲良くしたい、だけ?」アハハッ
海未「そ、そんなことはありません! ちゃんと効率を考えて……」
花陽「海未ちゃん、ズルい……」ジトーッ
海未「な、なんですかその目は!?」
にこ「ズルいズルい」ジトーッ
凛「ズルいコトはー」ジーッ
海未「なんでそんなに突っかかってくるのですか!?」
海未「い、いいでしょう? 私だって級友と仲良くなりたいと思いますよ!///」
真姫「開き直ったわね……」ジトーッ
希「まあまあ、ここは間をとってうちがワシワシMAX を……」ワキワキ
ことり「なんでそうなるの!?」
絵里「そ、それはダメよ! スクフェスさん逃げて!」
スクフェス「い、いえ! 私、少しだったら大丈夫です!///」カァーッ
にこ「にこぉっ!?」ビクッ
真姫「意味わかんないっ!」
希「ほぉ? 覚悟はええのんか……?」ニタァ
スクフェス「で、でも!」
スクフェス「触るってことは、触られる覚悟があるってことですよね!」
μ's『ワシワシ返し!?』
希「……ウェルカムやん?」
(──こうして)
(憧れのμ's に少しだけ近づけた私)
(この楽しい日々が、これからずっと続くのかな?)
(今はまだ、自分になにができるかはわからないけど)
(みんなの力になりたい)
(──いや……なりたいじゃない)
(なるんだっ! みんなの力に──)
希「……ふーっ、中々やんなぁ」ニコッ
μ's((やりすぎ……))
スクフェス「うぅっ、もうお嫁にいけない……///」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
本日はここまで。
見てくださった方、ありがとうございます。
来週はのんたんのお誕生日SSを書くため、
お休みする可能性がございます。
コメントありがとうございます。
今週はお休みです。
コメントありがとうございます。
今週もお休みです。
書き溜めが充分にできませんでした。
すみません。
とりあえず来週で一区切りさせます。
再開します。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──大会当日。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──夢の世界──
「あなたの夢はなに?」
(……ここは、どこ?)
「世の中にはね、人の数だけ夢があるんだ」
(あなたは……?)
「この世界はたくさんの夢で溢れているんだよ」
(たくさんの夢?)
「『誰か』と同じだったら、それはもっと大きくなる」
(『誰か』?)
「ねぇ、あなたの夢はなに?」
(私の、夢?)
(……なんだろう?)
「……まだ、思い出せないんだね」
(……そうなのかな?)
「じゃあ、一緒に見つけよう」
(……)
「この世界は夢で溢れてるから」
(……うん)
「叶え、あなたの夢────」
──ガチャッ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──自室──
「……んっ」ゴシゴシッ
「…………いまの、夢?」
「……」
「──朝シャンしよっと」
『ぶ・し・もっ♪』
「あ、絵里ちゃんっ♪」
「……え?」
「これって──」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──音ノ木坂学院講堂──
スクフェス「ワン、ツー、スリーフォー!」パンパンッ
スクフェス「凛ちゃんっ!」パンパンッ
凛「にゃにゃっ♪」
スクフェス「にこちゃんっ♪」パンパンッ
にこ「にこっ♪」
スクフェス「穂乃果ちゃんっ!」パンパンッ
穂乃果「ここだねっ♪」クルッ
スクフェス「全員合わせてーっ」パンパンッ
μ's『はいっ♪』
スクフェス「ワン、ツー、スリーフォー!」パンパンッ
スクフェス「ファイブ、シックス、セブン、エイト!」パンパンッ
μ's『決めっ!』
スクフェス「わーっ! みなさんお疲れ様です! 最高です!」キラキラッ
真姫「当然でっしょー?」クルクルッ
穂乃果「うんうんっ! いい感じ!」グッ!
凛「決まったにゃっ♪」ネコポーズ
にこ「衣装もバッチリねっ!」クルッ
海未「さすがことりですっ♪」ニコッ
ことり「みんなが手伝ってくれたからっ♪」ニコッ
絵里「……」ニコニコ
希「順調やねっ♪」ニコニコ
絵里「ええっ。ちょっと前が嘘みたい」クスクスッ
希「スクフェスちゃんも──」
スクフェス「花陽ちゃん、緊張してますか?」アセアセ
花陽「ちょ、ちょっとだけっ」ニコッ
スクフェス「だ、大丈夫ですっ! 私が花陽ちゃんの分まで緊張しますから!」
花陽「えぇっ!?」
スクフェス「もう、さっきからドキドキが止まんないんですっ!」ドキドキ
花陽「ふふっ♪ スクフェスちゃんったらっ♪」クスクスッ
希「……もう、すっかり仲良しさんやねっ♪」ニコッ
絵里「さすがスクフェスねっ!」ハラショー
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──控室──
絵里「──っと、そろそろ時間ね。にこ?」ウインクパチッ
にこ「──準備はいい?」
μ's『はいっ!』
にこ「スクフェスも、大丈夫?」ニコッ
スクフェス「う、うんっ!」
にこ「今日みんなを、一番の笑顔にするわよっ!」
穂乃果「いちっ!」
ことり「にっ!」
海未「さんっ!」
真姫「よんっ!」
凛「ごっ!」
花陽「ろくっ!」
にこ「ななっ!」
希「はちっ!」
絵里「きゅうっ!」
スクフェス「じゅうっ!」
穂乃果「よぉーしっ! 行こう!」
スクフェス「が、頑張ってくださいっ!」
穂乃果「スクフェスちゃん! 応援しててねっ!」グッ!
スクフェス「はいっ!」
スクフェス「ふぁ、ファイトだよっ!」グッ!
穂乃果「──っ!」パァァ
穂乃果「うんっ! ファイトだよっ!」ニコッ
スクフェス「……うんっ♪ 私も、頑張るねっ!」ニコッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──μ'sと『私』の未来──
──パタン、とドアが閉まった。
「みんな、頑張って下さいね」
μ's の大きな夢。
それが叶う第一歩だね。
本当はステージを見たいけれど……。
「やらなきゃいけないことがあるし、ね」
──今朝、朝シャンを試みた時だった。
『あなたの夢はなんですか?』
それが、ゲームにログインした時の最初の画面だった。
まさに夢で聞いたあの問い掛け。
それが画面一杯に映っていた。
その文章の意味を理解することは出来なかったけど、
なにか引っかかるモノを感じた。
もっとも、その引っかかるモノがなんなのか。
それを理解するまでにそこまで時間を要することはなかったけど。
画面をタップすると、イベントの説明文があらわれた。
このイベントは一曲プレイするだけ、というシンプルなモノ。
ユニットはイベント用に用意された固定ユニット。
ランクに応じてクリア条件が課せられるということ。
という、いままでにないイベントだった。
そして、最後に。
意味深なメッセージが。
『この物語はあなたがμ's と叶える物語。
みんなの夢はあなたの手のひらに。
叶え、みんなの夢──』
……最初から違和感はあったんだよね。
いちいちエントリーをしないと参加出来ないイベントなんて……。
しかも、イベントのお知らせが『特定』の人間にしかこないイベントなんて。
いままではなかったから。
──だけど、おかしなことはもっと根本にあることに気付いた。
……μ's、とは。
『九人の歌の女神』である。
そもそもがおかしいんだよ。
マネージャーとはいえ、どうして私が──。
『どうしてμ's に十人目がいるの?』
もしかしたら答えはゲームの中にあるのかもしれない。
ポケットに入れておいたスマホを取り出す。
画面には大きな文字。
『μ's music s.t.a.r.t !』
……落ち着いて。
こんな時は深呼吸。
すーっと、大きく息を吸い込む。
新鮮な空気が身体を満たしていく。
心は落ち着いたけど、頭の中から疑問が消え去ることはなかった。
『私』という存在はもしかしたら……。
それでも。
それでも私は──。
私は画面をタップした。
課題曲は……。
「タカラモノズ、か」
そう。
今日、μ's が講堂で『初披露』するはずの曲だ。
クリア条件は……。
「ライブ成功?」
それって当たり前じゃ?
まさか、超難関より難しい譜面が?
いや、考えても仕方ない。
最後までやり遂げればいいだけの話だもの。
さあ、はじめよう。
「μ's ミュージック……スタート」
シャンッ♪
シャンッ♪
心地いい音が響く。
百コンボを越えたあたりで身体と心の硬直は随分感じなくなってきていた。
──譜面自体はそんなに難しくない。
エキスパートのランダム譜面。
…………なぜだろう。
私は、みんなと過ごした日々を思い出していた。
穂乃果ちゃんの家に行ったこと。
にこちゃんに護ってもらったこと。
海未ちゃんに指導をしてもらったこと。
ことりちゃんにヘアアレンジをしてもらったこと。
花陽ちゃんがおにぎりを食べてたこと。
凛ちゃんが真姫ちゃんのモノマネをしていたこと。
絵里ちゃんがハラショーと褒めてくれたこと。
真姫ちゃんとチラシを配ったこと。
のんたんとダンボールを被ったこと。
全てが大切な思い出だった。
だけど。
それは本当にあったことなのだろうか?
それは本当に私の……。
私たちの『タカラモノズ』なのだろうか。
「ワン、ツー、スリーフォー、ファイブ、シックス、セブン、エイト」
凛ちゃん、にこちゃん、穂乃果ちゃんと次々にスキルが発動していく。
そして。
──最後のノーツをタップ。
浮かび上がるフルコンボの文字。
それと同時に遠くから聞こえてくる拍手と歓声。
μ'sのライブも、大成功だったんだね。
安堵のため息が自然に漏れた。
私がライブに失敗していたらどうなっていたんだろう。
『みんなの夢はあなたの手のひらに』
考えるだけでも充分怖かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
穂乃果「ふーっ、楽しかったーっ♪」ニコッ
凛「凛もすっごく気持ちよかったにゃっ♪」ネコポーズ
スクフェス「みんな、お疲れ様っ♪」ニコッ
にこ「スクフェス! ちゃんとにこのダンス見てくれた!?」
スクフェス「あ、あははっ……」アハハッ
にこ「ちょ、ちょっとー!」ウガー!
希「まあまあにこっちっ♪」
絵里「そうよっ♪ 九人もいるのよ? 見所はにこだけじゃないわっ♪」ウインクパチッ
花陽「スクフェスちゃんのおかげで緊張しなかったよぉー」ニコッ
ことり「うんっ♪ 落ち着いてたよねっ♪」ニコニコ
真姫「むしろ緊張してたのは……」
海未「き、緊張しました……失敗しなくてよかったです」
スクフェス「あははっ♪」アハハッ
穂乃果「大丈夫! みんな全力でやったんだもん! あとは結果を待つだけだよっ!」グッ!
希「カードもそう言ってるっ♪」カードピッ!
凛「きっと次に進めるよ!」
海未「……次の衣装はもう少し露出が少なくなりますかね?」グスッ
ことり「そ、それはどうかなー」メソラシ
μ's『あはははっ』クスクスッ
スクフェス(──やっぱり、みんなと一緒だと楽しいな)
スクフェス(本当に夢みたいな話だけど……)
スクフェス(この時間がいつまでも続けばいいのに)
『ねぇ、あなたの夢はなに?』
スクフェス(────そっか)
スクフェス(私の夢、思い出したよ)
スクフェス(でも、それはもう、叶っている)
スクフェス(こんな風にたくさんの『友達』と笑い合うこと)
スクフェス(それが私の夢だったから)
「そっか、思い出したんだね」
スクフェス「え?」キョトン
穂乃果「スクフェスちゃん?」
スクフェス「いまなにか、言った? 思い出したとかなんとか……」
穂乃果「ううん、言ってない、けど……」キョトン
絵里「さっ! みんな部室に戻るわよ!」
海未「今日のライブのおさらい……緊張します」ドキドキ
希「一番遅い子にはワシワシマックスやよー!」ワキワキ
穂乃果「あぁっ! マズイよスクフェスちゃん! はやく行こうっ!」アワアワ
スクフェス「う、うんっ!」
────ぎゅっ。
スクフェス(……穂乃果ちゃんの手、あったかい)
スクフェス(ずっと──)
スクフェス(ずっとみんなで、一緒にいられたらいいのに)
「思い出したのなら……もう」
ギィィィィッ。
「────お別れだね」
ガチャンッ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【ラブライブ!】穂乃果「μ'sのことが大好きなあなたへ──」
一時閉幕
見ていただいた方、コメント下さった方ありがとうございました。
7、8、9とメンバーの誕生日が続くので一度閉めます。
再開は10月以降になる予定です。
こんな長文駄文に付き合って下さってありがとうございます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
コメント、閲覧頂きありがとうございます。
スレタイは現在のを含むものにする予定なのですぐ分かるかと思います。
このSSまとめへのコメント
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