露伴「Gペンを5指の間に一本ずつ挟む」
露伴「試し書の用紙に一気に線を引く」
露伴「一番きれいに引けたGペンが今日一番手に馴染むGペン、これがぼくのペンの選び方」
ライター「…」
露伴「おいおい、ポカンとするなよ、キミがその日のペンの選び方を聞いたんだぜ?」
ライター「い、いや…そんなんで選べるのかなーって…」
露伴「当然だろ」
ライター「は、はぁ…ところで話は変わりますけど…露伴先生は舞台とか見ますか?」
露伴「舞台?いきなり何だい?」
ライター「いや、どうかなーってふと思いまして」
露伴「あんまり見ないけど…」
ライター「なら、ゲームは?」
露伴「やらないね」
ライター「音楽鑑賞とか?」
露伴「それなりかな…」
ライター「ホントに露伴先生は漫画のことしか頭にないんですね…」
露伴「悪かったな」
ライター「ま、まぁそれは置いといて…本題に入りますね」
もしや累か…?
期待
露伴「まだ本題じゃあ無かったのか…キミは前置きが長いな」
ライター「これは性分でして…露伴先生は先程舞台は見ないとおっしゃいましたね?」
露伴「言ったけど?」
ライター「なら女優さんもあまり知らない?」
露伴「知らないね」
ライター「特に誰なら分かる、とかありますか?」
露伴「しつこいな、無いって言ってるだろ」
ライター「これはすみません、では…この方も見たことありませんかね?」
つ写真
露伴「ん?これって?」
ライター「どこかで見たことありますか?」
露伴「淵透世だったっけ…?」
ライター「お!ご存知とは!」
露伴「まぁ、伝説とまで言われてる女優だしね」
ライター「それなら話が早い!露伴先生、淵透世の舞台…漫画の参考資料になりませんかね?」
露伴「確かにリアリティはあるだろうし、参考資料になると思うよ、でも無理じゃあないか?だって淵透世って…数年前に亡くなってるハズだろ?」
>>3
そうですね!累とジョジョのクロスです!
ライター「あ、それならご安心を!とある耳寄りな情報を手に入れましてね…」
露伴「耳寄りな情報?」
ライター「淵透世の遺伝子は途絶えてなかったようです…」
露伴「どういうことだい?」
ライター「淵透世の再来と呼ばれるとある女優がいること、もう一つは、淵透世の娘がいるらしい、という噂があることですね」
露伴「へぇ、まぁその辺はキミが色々教えてくれよ、ぼくは仕事に戻るからさ」
ライター「長々とお疲れ様でした」
数日後…
露伴「やっぱりデマだったのかな?あまりに連絡が来ないけど…」
露伴「こっちから少しだけ調べてみるかな」
ピッピップルルルルル
康一「もしもォーし、露伴先生ですかァ?」
露伴「康一くん、少しだけ聞きたいことがあるんだ」
康一「聞きたいこと?」
露伴「淵透世の舞台は見たことあるかい?」
康一「えっ?淵透世ってあの伝説の淵透世ですか?」
露伴「ああ、漫画に使おうと思ってね」
康一「いやぁ…ぼくは見たことないですね、そうだッ!承太郎さん!承太郎さんは見たことあるって言ってましたよ!」
露伴「そうかい、ありがとう康一くん」
ピッ
露伴「承太郎さんか…あまり仲が良くないんだよな…まぁ…やむを得ないか」
プルルルルル
承太郎「ん?随分と珍しいヤツから電話だな」
ピッ
露伴「承太郎さん、お久し振りです岸辺露伴です」
承太郎「ああ、久しぶりだな、何か用か?」
露伴「あなたにお聞きしたいことがありまして」
承太郎「なんだ?」
露伴「昔見た舞台の事とか覚えてますか?」
承太郎「舞台?ちゃんと見たのは一度だけだぜ、性に合わねーんでな」
露伴「そのちゃんと見た一度の舞台には淵透世が出ていませんでしたか?」
承太郎「ああ、確かに出ていたな、それがどうした?」
露伴「いや、今回は淵透世について調べてましてね、どんな舞台だったか教えていただけませんかね?」
承太郎「…そうだな、別に話さない理由もねーからな」
露伴「なら、メモを取るんで詳細をお願いします」
承太郎「やれやれ、研究前にめんどくせー話をすることになっちまったぜ」
承太郎「まず…そうだな、その舞台を見たきっかけは、まだまだ元気だったじじいが淵透世の舞台を見たがっててな、チケットを3枚も応募したんだ…」
ジョセフ「承太郎、困ったことになった…舞台のチケットが、3枚とれてしまったのじゃ、後悔はさせんから一緒に行ってくれんかの?」
承太郎「俺は高校の舞台鑑賞とかは大体フケてきたんでな、遠慮しとくぜ」
ジョセフ「そんな普通の舞台と一緒にするなァーッ!」
承太郎「どうしたじじい、いきなりキレるなんてよ」
ジョセフ「超名女優が出るんじゃ!」
承太郎「??」
ジョセフ「後悔はさせん!着いてこいッ!」
承太郎「やれやれ」
承太郎「俺は半ば無理矢理連れていかれることになった…」
承太郎「そして当日…俺とじじいは舞台を見に行くことになった、もう一枚のチケットは俺の母親の分のつもりだったんだが逆にじじいの妻とメシに行く予定だったらしく、悔しそうにしながらメシに向かっていった…」
ジョセフ「ワクワクするのぅ!承太郎!」
承太郎「開演前は大人しくしとくもんだぜ」
ジョセフ「大丈夫、まだ皆ざわざわしとる」
承太郎「やれやれ、一番一緒に見たくねーような性格の野郎と来ちまったぜ…」
ジョセフ「まぁそう言うな!」
ブーーーーッ
ジョセフ「おっ!始まるぞ!」
承太郎「フン」
承太郎「俺は途中で抜け出すつもりだった…」
承太郎「だが…」
ジョセフ「ブラボー!!」
パチパチパチパチ
承太郎「…」
ジョセフ「承太郎ォ~、途中退席するって言ってたのはどこのだれじゃったかのォ~?」
承太郎「チッ、うるせーじじいだ」
承太郎「俺はその舞台に引き込まれていた…いや、淵透世の演技に引き込まれていた…醜さも美しさもすべてを表現できるほどのあの演技に」
露伴『なるほど、伝説の女優の名は伊達じゃあないみたいだな…』
露伴「わかりました、ありがとうございます」
承太郎「ああ、またな」
ガチャッ ツー ツー
露伴「まんざらウソじゃあないな…」
翌日
ライター「露伴先生、新しい情報です!」
露伴「今更なんだい?」
ライター「まあまあ、落ち着いてくださいよ、淵透世の娘の名前がわかったんですよ!」
露伴「娘?ああ、なんか言ってたね、一応名前だけ聞いておくよ」
ライター「いえいえ、名前と一緒に隠し撮りした娘の写真もお見せしまァ~す」
ライター「まず、名前は累(かさね)淵累って言います、顔がこちらになるんですがァ…」
つ写真
露伴「おい…」
ライター「どうかなさいましたか?」
露伴「キミはぼくを怒らせたいのか?」
ライター「何がですか?」
露伴「ふざけるなッ!こんなインクが溢れてネームの段階で輪郭が狂ったような顔の女が伝説の女優の娘のワケがあるかァ~ッ!」
ライター「ところが…ちゃ~ァんと遺伝子が受け継がれてるんですよォ~」
つ動画
露伴「これは?」
ライター「累の一人演技の隠し撮り動画です」
露伴「…」
数分後
露伴「確かに、演技は伝説レベルだ…それ故勿体無いな、まぁ美容整形なんて無くはない話だからね」
ライター「あれェ?興味無くなっちゃいましたァ?」
露伴「いや、もう一人の淵透世レベルの女優には会いたくなってきた、ホントに淵透世レベルの女優ならぼくの漫画の参考になるかもだからね」
ライター「そう言うと思って…チケット取っておきました」
露伴「用意がいいね」
ライター「ありがとうございます、では、明後日はそちらの駅で待ち合わせと言うことで」
露伴「ああ」
二日後
露伴「待ち合わせはここだったな、今日の舞台は…ロミオとジュリエット?またありきたりだな」
ライター「お待たせしました!」
露伴「いや、待ってないけど、それより先に行く場所ってどこ?」
ライター「丹沢ニナさんに会いに行きましょう」
露伴「舞台前なのに会えるのかい?」
ライター「露伴先生が会うって言ったら会ってくれるみたいですよ」
露伴「そうかい、それは嬉しいね」
丹沢ニナの楽屋
ライター「失礼しまァ~す!」
ニナ「あっ、露伴先生!お待ちしてました!」
露伴「キミの演技が漫画の表現の参考になると思ってね、演技力はすごいんだろ?」
ニナ「いやいや、そんな」
ライター「あっ、よろしければ二人で話しててくださァ~い」
ニナ「私、露伴先生の『ピンクダークの少年』大好きなんですよ!」
露伴「そうかい、それは嬉しいね、後でサインでもするかい?」
ニナ「あ、ありがとうございます」
露伴「なら、次はぼくから質問…『ヘブンズ・ドアー』ッ!」
露伴「申し訳ないけど、これが手っ取り早いからね」
ペラペラ
露伴「ん…?」
ペラペラ
露伴「な、なんだこれはッ!」
ゴゴゴゴゴゴ
露伴「丹沢ニナの人生が書かれてないどころか名前すら丹沢ニナと書かれてないぞッ!」
露伴「ここに書かれてる名前は…淵累…淵累だって!淵透世の娘の名前じゃあないか!」
露伴「何が起こっているッ!」
ゴゴゴゴゴゴ
露伴「まさか、こいつ『スタンド使い』かッ!」
ペラペラ
露伴「ん?」
露伴「『あの口紅でくちづけをすれば顔が自由に変わる!』…なんだこの書きこみは?」
ライター「露伴先生、そろそろ舞台が始まりますよォ~」
露伴「チッ、あとは終わってから見るとするかな」
ニナ「え?あれ?露伴先生?もうお話は終わりですか?」
露伴「そろそろお客さんとして見せてもらうことにするよ」
ニナ「はい!楽しんでくださいね!」
-----開演5分前----
露伴『丹沢ニナの秘密は早急に調べる必要がありそうだな…』
露伴『いざというときの漫画の材料にもなるし、別人がページに出てくるなんて始めての体験だからな』
露伴『よしッ!終わったら丹沢ニナのところへ急ぐぞッ!これは決めたことだ!』
ライター「始まりますよ!露伴先生!」
露伴「ん?ああ」
露伴『ついでに僕がどれ程引き込まれるか、見せてもらおう!』
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