服部「工藤、オレンジデーって知っとるか?」コナン「はぁ?」 (59)

ウォッカ「兄貴、オレンジデーって何なんですかい?」ジン「あぁ?」
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↑の話のコナンサイドです



――4月10日・午後8時・工藤邸の図書室――

コナン「相変わらずアポなしで東京に来て、突然ここまで引っ張ってきやがったと思ったら……」

コナン「いきなり何なんだよ?」

服部「まぁええやないか。ほんで、お前は知っとるんか? オレンジデー」

コナン「……知ってるよ。『第3の愛の記念日』とかいう、くっだらねーアレだろ?」

服部「オイ……くだらんは言い過ぎちゃうか?」

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コナン「だってよー。結局はバレンタインやホワイトデーと同じで」

コナン「企業の販売戦略に踊らされてるだけじゃねーか」

コナン「理由もこじつけみてーなもんだしな」

服部「そらそうやけど……お前、ホンマ夢の無いやっちゃのぉ」ハァ…

コナン「で? そのオレンジデーが一体どうしたってんだよ?」

服部「実はな……和葉と毛利の姉ちゃんに、ちょっと意趣返ししたろ思うてるんや」

コナン「意趣返し?」

服部「お前も覚えとるやろ? Mr.正影の家に行った時のこと」(※原作47巻参照)

コナン「あぁ、マジシャンの星川童吾が犯人だった事件か。あの鏡を使ったトリックなら……」

服部「いや。殺人事件やのうて、その前の晩飯作りのことや」

コナン「晩飯作り……って、オレ達が包丁でキュウリを切ってたら指をケガしちまって」

コナン「蘭と和葉ちゃんにキッチンから追い出されたアレか?」

服部「そうや。やっと思い出しよったか」

コナン「……もしかしてオメー、あの時のことを根に持ってんのかよ?」

服部「当たり前やろ! 『使えん奴や』言われて、お前は悔しぃなかったんかい!?」

コナン「悔しいったって……しゃーねーだろ?」フゥ…

コナン「オレもオメーも、普段料理なんてしねーから包丁使いは下手くそだし……」

コナン「実際あの時だって、慣れない作業でモタモタするばっかで」

コナン「オレ達がいると、かえって邪魔になってたじゃねーか」

服部「せやけどなぁ、工藤。今のご時世、男が一人で料理もできへんっちゅうのは恥ずかしいで?」

服部「毛利のねーちゃんは優しいし、お前のためやったらいくらでも美味いもん作ってくれるやろけど」

服部「ねーちゃんが調子悪い時に、粥も作ってやれへんし」

服部「自分が食う分も用意できんのは、人としてさすがにアカンと思わんか?」

コナン「そ、それは……まぁ…………そう、だな」

コナン「レトルトとか、買ってくるって手もあるけど、自分で作れるに越したことはねーし」

服部「せやろ? やっぱオレらも、ある程度は作れるようになっとかんとなぁ」

コナン「……おい、服部。オメーの意趣返しって、もしかして……」

服部「あぁ。オレらだけで美味いモン作って、あの二人を驚かしたろ思うてな」ニッ

コナン「……それ、意趣返しじゃなくて、サプライズって言うんじゃねーのか?」

服部「細かいことはええやろ。どないする、工藤? この計画、お前も乗るか?」

コナン「……………………」

コナン「――――そーだな、乗ってやるよ」フッ

コナン「蘭に、いつも美味いメシを作ってもらってる礼もしてーし」

服部「なら、決まりやな♪」

コナン「でもよー、服部。今年の4月14日は平日だぞ? 一体どうするつもりなんだよ?」

服部「せやから金曜日の今日、学校終わってから東京に来たったんや」

服部「この週末に、オレンジデーを先取りしたろ思てな」

服部「オレかて平日に和葉を連れてこっちに来るんはキツイし、2、3日のズレやったら許容範囲やろ」

コナン「……だな」

服部「メニューはもう決めてあんねん。もちろん、料理初心者のオレらでも作れるやつやで」

コナン「そっか。あれこれ考える手間が省けて、助かるぜ」

コナン「……んで、どんなメニューだ?」

服部「肉も野菜も一緒に摂れるように、タコライスや!」

コナン「なるほど。上に乗っける具材さえ作れれば大丈夫ってわけか」

服部「あぁ。ついでにスープも付けたら、ちょうどええで」

コナン「デザートは?」

服部「今回は無しや。作るもんがぎょうさんあったら大変やろ?」

コナン「そーだな……ところで、それって昼飯か? それとも晩飯?」

服部「昼飯や。晩飯やと、昼間はあの二人にあっちこっち連れ回されてしもて」

服部「こっそり買い物に行く暇があらへんやろ」

コナン「ハハハ……まぁな」

服部「っちゅうワケで、工藤。明日の午前中に買い出しした後、ここのキッチン使わせてくれや」

コナン「へいへい、わーったよ。……あ……」

服部「何や? もしかして、明日はガキ連中と約束があって都合悪いんか?」

コナン「いや、あいつらはそれぞれ家族と予定があるって言ってたから大丈夫だ」

コナン「オレが気になったのは、蘭と和葉ちゃんをここへ呼び出す方法だよ」

コナン「今回の計画だと、ストレートに『昼飯作ったから食いに来い』って言うのはまずいだろ?」

コナン「オメー、何か良い口実でもあんのか?」

服部「え…………」パチクリ

コナン「……おい。考えてなかったのかよ」

服部「すまん……オレらでも作れるメニューと材料を調べるんに必死やって、そこはスルーしとったわ」ハハ…

コナン「……ったく」ハァ…

昴「それなら、私がランチに誘っているということにしては?」

コナン・服部「「へ?」」

昴「あぁ……すみません。コーヒーを持ってきたら、二人の会話が聞こえてしまって。どうぞ」カチャ

コナン「あ、ありがと……」

昴「私がよく料理を作りすぎてしまうことは、蘭さんも知ってますし」

昴「先程提案した口実なら、この家に招かれることに大して疑問も抱かないと思いますよ」

コナン「……でもさー。それだと蘭姉ちゃん達、昴さんが作った料理だって思っちゃうんじゃない?」

昴「私が作ったと思いきや、実は君達の手料理……と種明かしをした方が、彼女達の喜びも大きいでしょうし」

昴「君達の思惑通りのサプライズになるのでは?」

服部「……なるほど。それ、ええなぁ」

コナン「じゃあ、そうしよっか。平次兄ちゃん」

服部「おぅ!」

コナン「昴さん、ありがと♪」ニコ

昴「いえいえ。明日の朝、探偵事務所に電話を掛けたら、私は出かけますので。頑張って下さいね」

コナン「うんっ♪」

昴「後で良い報告があることを期待してますよ」フフッ

――翌日・午前9時・毛利探偵事務所――

和葉「平次、もう9時が来とるで! 早よ起きて!! コナン君も」ユサユサ

コナン「ん~……」ムク…

平次「……何でオレだけ言い方キツイねん」ブツブツ

和葉「文句言うてる暇があったら、さっさと着替えてや」フン

prrrr…prrrr…

ガチャ

蘭「はい、毛利です…………あ、沖矢さん?」

昴『突然電話して、すみません。蘭さん、今日の昼ご飯はこちらで食べませんか?』

蘭「え?」

昴『実は、また料理を作りすぎてしまいましてね。食べるのに協力して頂けないかと……』

蘭「はぁ……それは嬉しいですけど。博士の家にはお裾分けしたんですか?」

昴『いえ。博士は今朝早くから、小さな彼女と静岡県で開かれる学会に行ってるので留守なんです』

昴『探偵団の子供達も、今日は家族と一緒に過ごす約束があって、来られなくて……』

蘭「そうなんですか……」

昴『昨日コナン君から聞いたんですが、大阪の友達が泊まりがけで遊びに来てるんですよね?』

昴『その方々も一緒にどうかと思ったんですけど……いきなりで迷惑でしたか?』

蘭「いえ、そんな! ……それじゃ、お父さんも浮気調査でいないし、お言葉に甘えちゃおうかな」

昴『ありがとうございます。作ったものが無駄にならなくて、助かりますよ』ホッ

蘭「いえいえ。こちらこそ、誘って下さって嬉しいです」

昴『では12時半頃、工藤邸にいらして下さい』

蘭「はい。じゃあ、また後で」

昴『ええ』

チン…

和葉「誰からの電話?」

蘭「新一の家に下宿してる、大学院生の沖矢昴さん」

蘭「料理を作り過ぎちゃったから、みんなでお昼に食べに来ないかって」

和葉「作り過ぎた? ……料理自体はできても、量の加減までは中々できへん人なん?」

蘭「うん、そうみたい」アハハ…

蘭「私も前に一度食べたけど、味はすごく美味しかったよ」

和葉「へぇ~。ほな、楽しみやわぁ♪ 何の料理なんやろ?」

キャアキャア♪

服部「あの兄ちゃん、うまいこと誘導してくれはったな」ヒソヒソ

コナン「あぁ。後はオレ達が動くだけだ」

服部「……着替えたか? 工藤」ゴソゴソ

コナン「おぅ」

服部「ほんなら、オレらは用事で出かけてくるよって。後で工藤の家でな~」

コナン「行ってきまーす!」タタタ…

蘭「あ、ちょっと! コナン君!?」

和葉「平次!」

バタン!!

和葉「……も~、せっかく錦座のスイーツ食べ歩きに連れてくつもりやったのに」

蘭「どうする? 私達だけで行っちゃう?」

和葉「ん~……でも、沖矢さんがお昼の用意してくれてるんやろ?」

和葉「ケーキ食べ過ぎて、肝心のお昼が入らへんなんて失礼やし……」

蘭「そだね……あ、じゃあ米花デパートに行かない?」

蘭「今日と明日、春物処分セールをやるんだって。最大80%オフって、チラシが入ってたよ」

和葉「ホンマ!? 行こ行こ♪」

――午前10時・杯戸ショッピングモール――

服部「ほな、必要なもんを仕入れよかー♪」

コナン「……朝からテンション高ぇな、オメー」フワァ…

服部「工藤が寝起き悪すぎるだけや。いつまで欠伸してんねん」

コナン「うっせー。……にしても、わざわざ隣町のショッピングモールに来なくったってよー」

服部「近場やと、あの二人に鉢合わせしてしまうかもしれへんやろ?」

コナン「それもそうか……あれ、メール?」ピロリン♪

ピッ

服部「誰からや?」

コナン「……昴さんから。炊飯器のタイマーはセットしてあるからって」

コナン「調理に気を取られすぎて、肝心の米が炊けてねぇ……なんてことが無いように、だと」

服部「そ、そうか……気が利く人やのぉ」ハハ…

コナン(昴さん……いや、赤井さんGJだぜ)

コナン「なぁ、服部。買い物リストは、ちゃんと作ってあるんだろーな?」

服部「当たり前や。コレ見てみぃ! 必要な分量から作り方まで、バッチリやで!!」ババーン

コナン(……コイツがそんな入念に下調べするなんて……)

コナン(和葉ちゃんから「使えない奴」認定されたの、よっぽど悔しかったんだな)

コナン(……ま、オレも人のことは言えねーけどよ)ポリポリ

コナン「そんじゃ、さっさと買い物を済ませちまおうぜ」

服部「おう! まずは野菜コーナーからや!」

―― 野菜コーナー ――

コナン「ここで仕入れるのは?」

服部「レタスとミニトマトや。玉ネギとニンニクは、お前の家にまだストックあったからのぉ」

コナン「へいへい……トマトは皮に張りがあって、赤色が鮮やかなやつが良いんだよな」ヒョイ

服部「レタスは芯の切り口が小さく、変色してへんのを選ぶんが基本や」スッ

服部「葉っぱがフンワリ巻いとるんも、良いやつの証拠やで」

コナン「あと必要なのは……長ネギか」

服部「長ネギは白色の部分が長うて、張りとツヤがあるんをチョイスするんやぞー」

コナン「わーってるよ……おい、普通サイズのトマトは買わねーのか?」

服部「そっちやと、湯むきする手間が必要やからのぉ。今回は缶詰を使うんや」

服部「ほな、次行くで。工藤」

コナン「おい、待てよ」タタタ…

―― 乾物コーナー ――

服部「お、あったあった♪」ガサ

コナン「……カットわかめ?」

服部「スープに使うんや。あと、そっちの白いりごまを取ってくれや」

コナン「おぅ」

服部「よし、どんどん行くでー♪」

―― 精肉コーナー ――

服部「今回使うんは、牛と豚の合い挽き肉や」

服部「挽き肉は、全体的に色が均一のやつを選ぶとええで」

コナン「肉が細かくなってる分、空気に触れる面積が大きいから、普通の肉よりも傷むのが早いんだよな」

服部「せやから、買うたその日に使うてしまうんがベストや」

コナン「ま、今回は昼飯に必要な量だけ買えばいいから楽だけどよ」

服部「お。ここの肉売り場、量り売りしてくれるみたいやぞ?」

コナン「へぇ。肉屋ならともかく、こんなショッピングモールの中でやってるのは珍しいな」

服部「おっちゃん、合い挽き肉400gくれや! 帰るんに少し時間かかるから、保冷バッグも頼むで」

男店員「あいよ!」

コナン「しかしよー、服部」

服部「ん?」

コナン「オレ達ってさ……ホント食材を選ぶ知識しかねーよな」

服部「それを言うなや。買うた食材を調理するスキルは努力で身につくんやから、地道に頑張るしかないやろ」

服部「まぁ、今回は絶対失敗せんメニューにしてあるさかい。心配すんなや」

コナン「おう……」

―― レジ ――

コナン「買い忘れたもんは無ぇよな?」

服部「あぁ。中華スープの素とタバスコは、まだあったの確認済みやし……」

コナン「トマトの缶詰にチリパウダー、チリソース、ピザ用チーズもOK……と」

服部「よっしゃ。会計しよか♪」



女店員「エコバッグはお持ちですか?」

服部「あ……」

コナン「ごめんなさい、忘れちゃって」

女店員「あ、はーい。レジ袋を用意しますね」ガサ


ピッピッピッピッ…ピピッ

女店員「合計で、2846円でーす」

コナン「は~い」ゴソゴソ

服部「待てや。オレが払う」

コナン「え?」

服部「ガキに支払い任せる高校生なんておかしいやろ。後で折半や!」ヒソヒソ

コナン「へいへい……」

――午前11時半・工藤邸・キッチン――

コナン「お。ちゃんと時間通りに帰って来れたじゃねーか」

服部「せやな。途中で寄ったコンビニに強盗も入って来ぇへんかったし」

コナン「通りかかった米花公園で変死体も見つからなかったし」

服部「どこぞのお嬢様が誘拐される現場にも遭遇せんで済んだし」

コナン「あの白いバカが予告状を出したりもしなかったな」

服部「オレらにしては、平和な週末やのぉ♪」

コナン「あぁ。これで心置きなく料理に集中できるぜ!」

服部「やる気満々やな。ちゃんと手ェ洗ったか?」

コナン「おう。一応、エプロンもした方が良いんだよな……」ゴソゴソ

服部「工藤。この黒のエプロン、借りてもええか?」ヒョイ

コナン「それ昴さんのなんだけど……まぁ、汚さなきゃ大丈夫だろ」

服部「おおきに。……ん?」ププッ…クスクス

コナン「何だよ?」

服部「……工藤。お前、それ給食当番で使うやつやないか!」クックック

コナン「これしかサイズが合うのが無ぇんだよ! 笑うんじゃねー!!」

服部「すまんすまん。ほな、始めよか」

【タコライス(4人分)】
ご飯:茶碗4杯分
合い挽き肉:400g
玉ネギ:1個
ニンニク:2片
トマト缶(カット):1缶(400g)
塩・コショウ:各少々
チリパウダー:小さじ1~2杯(好みに応じて調節)
レタス:8枚分
ピザ用チーズ:大さじ6杯分
ミニトマト:8個
サラダ油:大さじ2杯


服部「まずは、玉ネギとニンニクをみじん切りにするで」

コナン「……また手を切らねーようにしねーとな」キラーン

服部「待てや、工藤。今回は、なるべく包丁を使わんと作るんや」

コナン「え? じゃあ、どうやってみじん切りにするんだよ?」

服部「心配せんでええ。オレら初心者の強い味方、この文明の利器があるやないか!」ババーン!!

コナン「……母さんが使ってたフードプロセッサーじゃねーか。よく見つけたな」

服部「すぐそこの棚に置いてあったで? あの昴っちゅう兄ちゃんも、結構使うてるんやろ」

コナン「あぁ……そういや母さん、こっちの方が手間省けて良いって昴さんに教えてたっけ」

服部「工藤。包丁は置いといて、お前はニンニクの皮むいてくれや」

コナン「へいへい」コト…バリバリ

服部「玉ネギの上と下を切り落として、皮むいて」ストン、ストン…バリバリ

服部「幅が大きめのくし形に切ってやな……」ザクザクザク

服部「ニンニクと一緒にフードプロセッサーに入れて、スイッチオンや!」カチ

ギュイィィィィン

コナン「おぉ~、すげー。あっという間にみじん切りになってくぜ」

服部「あんまりやりすぎると、すり下ろしたみたいになってまうから、大体の所で止めるとええで」カチ

コナン「次は何すりゃ良いんだ?」

服部「そうやな……お前はコンロまで背が届かへんからのぉ」

コナン「……それはしゃーねーだろうが」ムッ

服部「レタスを洗って、手で一口サイズにちぎってくれや」

服部「あと、ミニトマトのヘタを取って、四つ切りか八つ切りにするんも頼むで」

服部「それが終わったら、このメモの通りにスープ作っといてくれ」ピラッ

コナン「了解」ジャー…バリバリ

服部「トマトを切る時は、気ぃ付けーや♪」ニシシ

コナン「わーってるよ」チッ

コナン(包丁で切る時は、猫の手……と)ストンストン

服部「その間に、オレは中火にかけたフライパンでサラダ油を熱して」カチ、チチチ…ボッ

服部「みじん切りにした玉ネギとニンニクを入れる」ザラザラ

服部「香りが出てきたら、ここに合い挽き肉を入れて、肉がパラパラになるまで炒めるんや」ジュー…ザッザッ

コナン「お~、肉の良い匂いだ」クンクン

コナン「……腹減ったな。そういや朝飯食ってねーんだっけ」グゥゥ…

服部「オレかて食うてへんわ。もうちょい我慢せぇや」

服部「肉に火ィ通ったら、トマト缶を加えて強火にして、混ぜながら煮る」ジャー…グツグツ

服部「煮詰まってきたら、塩、コショウとチリパウダーを入れて、味を調えたら……」パッパッ

服部「タコミートの出来上がりや!」

服部「工藤、そっちはどないなっとる?」

コナン「レタスとミニトマトは用意できてるぜ」

服部「おう、助かるわ」

ピロリン、ピロリン♪

コナン「ちょうどメシも炊けたな」

服部「ほんなら器にメシ入れて」ヨソリヨソリ

服部「レタスを敷いて、タコミート、ピザ用チーズ、ミニトマトの順番に具を乗せたら……」チョイチョイ

服部「完成や! 食べる時、好みでタバスコかけても美味いで~♪」

服部「辛いのがダメやったら、スイートチリソース使うても構へんぞ」

コナン「えーっと、わかめスープの作り方は……」


【わかめスープ(4人分)】
カットわかめ:小さじ3杯分
白ネギ:6cm分
水:600ml
中華スープの素(顆粒):小さじ1杯
塩・コショウ:各少々
白いりごま:小さじ0.5杯


コナン「本当はネギを包丁で小口切りにするんだが……」

コナン「今回はフードプロセッサーで、粗めのみじん切りにする」ギュイィィィン

コナン「耐熱性の容器に、白いりごま以外の材料を全部入れて」ジャー…ザラザラ

コナン「ラップをして、600Wの電子レンジで3~4分加熱……か」ピッ……ガチャ、ピコ♪

ウィィィィン…

~3分経過~

ピロリロリロリーン♪

コナン「お、できた」

服部「オレが出すわ。器がだいぶ熱うなっとるからのぉ」ガチャ

服部「ほれ」コト

コナン「サンキュ」

コナン「最後に白いりごまをふって……完成!」サッサッ

コナン「……って、メチャクチャ簡単じゃねーか。オイ」

服部「当たり前や。そういうレシピ探したんやから」

コナン「それは感謝してるよ。よく考えたら、オレ一人で料理して失敗しなかったの初めてかも」ハハ…

服部(どんだけ不器用やねん……)ヒク…

服部(まぁ、オレも最近やっと包丁の扱いに慣れてきた段階やし、あんまり偉そうなことは言えんけどな)

コナン「後は片付けとテーブルセッティングか」

服部「テーブルはオレがやるさかい。工藤、そっちで洗いもんを頼むわ」

コナン「了解」

ジャー…ゴシゴシ、キュッキュッ

――午後12時15分・工藤邸・玄関前――

蘭「ちょっと早く着いちゃったね」

和葉「大丈夫ちゃう? 沖矢さんがまだ用意できてなかったら、手伝ったらええやん」

蘭「それもそっか」

ピーンポーン

蘭「沖矢さーん、来ましたよー」

コナン『蘭姉ちゃん、カギ開いてるから入ってきてー』

和葉「……コナン君、先に来てたんや」

蘭「じゃあ服部君も一緒だね。お邪魔しまーす」ガチャ

――工藤邸・玄関――

コナン「いらっしゃーい♪」

服部「やっと来よったなぁ」

蘭「あれ? 沖矢さんは?」キョロキョロ

コナン「『ちょっと駿河湾が見たくなったから』って、ドライブに行っちゃったよ」

蘭「え…………」パチクリ

和葉「ほな、作り過ぎたっていうお料理は? どないしたん?」

服部「心配せんでええ。こっちに用意してあるで」

――ダイニング――

和葉「あ、ええ匂い」

蘭「ホントだ。……わぁ、美味しそうなタコライス!」

和葉「野菜もいっぱいで、彩り豊かやねぇ」

和葉「コナン君も平次も早よ来ぃや。食べよ食べよ♪」

蘭「…………あ……」

コナン「どうしたの? 蘭姉ちゃん」

蘭「ねぇ…………これ作ったのって、もしかしてコナン君と服部君?」

コナン・服部「「えっ……」」ドキ(////)

蘭「あ、やっぱり♪」

コナン「な……何で分かったの?」

蘭「コナン君、椅子の背に給食当番用のエプロンを掛けたまんまよ?」ピラ

コナン「え……あ゛っ!」

コナン「いっ、いや、あの……ボクは平次兄ちゃんのお手伝いをしてただけで……っ」ドギマギ

蘭「はいはい♪」フフッ

和葉「平次が料理ぃ? ……あんた、熱でもあるん?」

服部「ちゃうわ、ボケ! 文句あるんやったら食うな!」

和葉「……も、文句やったら……食べた後で言うわ」ボソボソ

服部「へ……」

服部(そ……そんな照れたような顔するなんて、反則やろ!) カァァァ…

和葉「ほ、ほら、みんな突っ立っとらんと座ろ? せっかくのご飯が冷めてまうで」

蘭「そうだね。さ、コナン君と服部君も」

コナン「う……うん」

服部「おぅ……」

コナン・蘭・服部・和葉「「「「いただきまーす」」」」

パク…モグモグモグモグ

蘭「ピリッとした味付けで美味しい~♪」

コナン「……ホントに?」

和葉「ホンマやで♪ チリパウダーの辛みと、野菜の甘さのバランスがちょうどええわ」

和葉「平次が作ったにしては上出来やと思うで♪」

服部「そ、そら良かった……」ヒク…

服部(一言余計なんじゃ! 褒めるんやったら素直に褒めんかい!)

服部「スープはどうや? このボウズが頑張って作ったんやで」

ズズー…

蘭「……うん。わかめの塩っ気と、ゴマの風味がとっても良いよ」

蘭「作ってくれてありがとね、コナン君。服部君も」

服部「お、おぅ……」ポリポリ

コナン「……うん」(////)

蘭「新一もコナン君を見習って、少しは料理できるようになれば良いのに……」フゥ…

コナン(今回はちゃんと作ったっつーの! ……お手軽レシピだけど)

服部「あ~、そうや。これも使うてみ?」ヒョイ

蘭「あ、スイートチリソース! 私、この銘柄のやつ、好きなんだ」

和葉「私も使うてみよっと。蘭ちゃん、後で貸してや♪」

蘭「うん♪」

コナン(……ま、いっか。あんな嬉しそうに笑う蘭を見るの、久しぶりだし)クスッ

キャハハハ…オイシイネー

コナン「なぁ、服部」ボソッ

服部「んー?」モグモグ…ゴクン

コナン「ありがとな。この計画、言い出してくれて」コソ…

服部「せやな……オレらが作ったって、あっさりバレてしもたけど」ヒソヒソ

服部「結果は上々やったな」

コナン「おう」

蘭・和葉「「ごちそうさま~♪」」

コナン「食後のコーヒー、飲む?」

蘭「ありがと。でも、やってもらうばっかりだと悪いし、私がやるね」カタン

和葉「ほな、ケーキは私が出そか?」

蘭「お願いできる?」

服部「……その箱、何が入っとるんか思たら、ケーキだったんかい」

蘭「荷物を置きに一旦探偵事務所に戻った時、梓さんが『おやつにどうぞ』って差し入れしてくれたの」

蘭「『ポアロ』で出してる、オレンジデーまでの期間限定ケーキよ♪」ジャーン

蘭「コレ、本当に大人気で、お店じゃ一時間待ちなんだって」

コナン「あぁ……そういえば『ポアロ』の前に、そんな看板が出てたね」

蘭「コナン君と服部君は、ブラックで良い?」コポコポ

服部「おぅ」

和葉「はい、コナン君の分。平次も」コト

コナン「ありがと、和葉姉ちゃん」

服部「カップケーキか……オレ、甘いもんは量が食べれんのやけど」

和葉「まぁまぁ。とりあえず、一口食べてみ♪ アカンかったら、あんたの分は私が食べとくし」

服部「お前なぁ……」パク

モグモグモグ…ゴクン

服部「……お、美味い!」

コナン「ホントだ。ケーキにありがちな、くどい甘さが全然ないね」

服部「生地にすり下ろしたオレンジの皮が入ってるんか……」

コナン「搾った果汁も入れてるみたいだね。すごく爽やかな味になってる」

蘭「このケーキ、安室さんが前の職場の同僚からレシピを教わったって言ってたよ?」

コナン「へぇ~」パク

コナン(前の職場ってことは……公安の先輩か誰かかな?)モグモグ

和葉「コレ、優しい味やなぁ♪」

蘭「うん。きっとこのケーキのレシピを考えた人も、優しい人なんだろうね♪」パク

――同時刻・黒の組織のアジト――

ジン「はっくしょい!」

ウォッカ「兄貴、風邪ですかい?」

ジン「いや……大丈夫だ」ズズー

ジン「それより新千歳行きの飛行機のチケット、早く取っとけよ」

ウォッカ「へい!」

――同時刻・錦座の喫茶店――

羽田「ううぅっ、由美タ~ン……」シクシクシク

世良「キチ兄……いい加減、泣くのは止めてくれよ」ゲッソリ

世良「せっかくの期間限定ケーキが不味くなるじゃないか」

羽田「真純が冷たぁい……」グスン

世良「誰のせいだと思ってるんだ?」ジロッ

世良「大体ボクは、兄貴が『非常事態だ!』って言うから」

世良「わざわざ予定を変更して、すっ飛んできたっていうのに」

世良「キチ兄が彼女にデートを断られて、ヤケ食いするのに付き合わされるなんてさぁ」ハァ…

羽田「仕方ないじゃないか……」

羽田「店のケーキ全種類が運ばれてきた後で、由美タンから『行 か な い』ってメール来たんだよ」ホラ

羽田「こんなにたくさん、僕一人じゃ食べきれなかったし」

羽田「由美タンに誤解されたら困るから、女の子の知り合いは呼びたくなかったし……」

世良「だからと言って、ボクを巻き込むのはご遠慮願いたいね」

世良「それに、彼女からメールが来た時点で、店側と交渉してケーキを下げてもらえば済んだ話だったんじゃないのか?」

羽田「うぅっ、それは悪かったよ! ここは僕の奢りなんだから、これ以降、文句は禁止っ!!」

世良「ハイハイ……ん?」

世良「…………」フッ

世良「兄貴。このレモンパイ、ボクがもらうよ」

羽田「由美タ~ン、何で僕の愛を分かってくれないんだ~」ガツガツ

世良「……聞いてないし」

世良(あ~あ。このお店、ホントはコナン君と来たかったんだけどなぁ……)



【おわり】

今回のメニュー(タコライス&わかめスープ)は
ジン&料理スキルの上がったウォッカには簡単すぎるなぁ…と思ったので
コナンと服部に出てきてもらいました
タコライスの玉ネギとニンニクは、普通に包丁でみじん切りにしてOKなんですが
今回料理するのは手先が不器用な探偵×2なので、フードプロセッサーを使っています
ここまでお読み頂きありがとうございました

あと、自分はマジキチは書けない方なので…
スレタイからマジキチや┌(┌^o^)┐を期待した方は悪しからずw

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