阿笠「チンポから翼が生えたんじゃが」 (56)

阿笠「わしは飛べるんじゃろうか」バッサバッサ

コナン「結構がっつり生えてんな」

阿笠「そうなんじゃよ。パンツもろくに履けんわい」

コナン「それで下半身丸出しなのか」

阿笠「まぁこれはこれで気持ちいいんじゃがの」

コナン「またいつもの発明か?」

阿笠「いや、思い当たる節はないのう……ただ」

コナン「ただ?」

阿笠「こんな言い伝えを聞いたことがる……」

阿笠「一億の射精を迎えし時、その者チンポに翼を得る」

コナン「つまり……その伝承の通りになったと?」

阿笠「確かにこれまでの人生暇さえあれば自慰に耽っておったからのう……」

阿笠「一億回の射精を経て奇跡が起きたのかもしれんのう」

コナン「なるほどな」

阿笠「そう考えるとなかなか感慨深いわい」

コナン「つっても邪魔じゃねーか、それ」

阿笠「うぅむ……こうなってから外出もできておらんし」

阿笠「哀くんも部屋から出てきてくれん」

コナン「まぁ同居してる中年のおっさんのチンコから羽根が生えりゃあな……」

阿笠「どうしたもんかのう……」

コナン「そういえば飛べるのかとか言ってたけどどうなんだ?」

阿笠「どうじゃろう、羽ばたくことはできるんじゃが」バサバサバサバサ

コナン「さすがに無理みてーだな」

阿笠「……」

コナン「どうしたんだ?」

阿笠「やっぱり……大きくなっておるんじゃ」

コナン「バーロォ、どこからどう見ても粗チンじゃねーか」

阿笠「チンポの話じゃないわい。殺すぞ新一」

コナン「冗談だって……翼が、だろ?」

阿笠「まったく……まぁ、そういうわけじゃ」

コナン「どんくらいデカくなったんだ?」

阿笠「最初はこれくらいだったんじゃが……今はこれくらいじゃから」

コナン「二割増しくらいか?」

阿笠「うむ……それにおそらく、射精するごとに大きくなっとる気がする」

コナン「マジかよ……」

阿笠「もし仮にこのペースで射精し続けると……一か月後には体長を超えてしまうかもしれん」

コナン「オイオイ、今でさえ邪魔だってのにこれ以上大きくなったらやべーだろ」

阿笠「うむ」

阿笠「羽根に飲みこまれ、わしがわしでなくなるかもしれん……」

コナン「……なぁ博士……オナニーをやめることはできねーのか?」

阿笠「……」

阿笠「無理じゃよ……」

阿笠「わしはこれまで、発明とオナニーだけで生きてきた」

阿笠「発明発明オナニー発明オナニーオナニーオナニーオナニーオナニー発明オナニーオナニーくらいじゃ」

阿笠「オナニーをやめるというなら……それこそわしがわしでなくなる」

コナン「博士……」グスッ

阿笠「じゃから新一……旧い知り合いのよしみで、わしの最期を見届けてくれんかのう……」

コナン「……バーロォ」

コナン「俺らは親友だろ……それに最期なんて言うんじゃねーよ」

阿笠「新一……すまん……いや、ありがとう」

コナン「それによ、もし翼がデカくなって飛べるようになったら」

コナン「そんときは背中に乗せてくれよ!」

阿笠「もちろんじゃ!」バサバサ

阿笠「何処へなりと飛んでいってやるぞい!」バッサバッサ

ハハハハハ



灰原「なんなのあの男たち……」

それから博士と翼の共同生活は始まった。

博士の生活は一変し、オナニーオナニーオナニー発明オナニーオナニーオナニーオナニーオナニーオナニーオナニーオナニーオナニーオナニーくらいになった。

その甲斐あってか、日ごと巨大化する翼。

今ではもう博士から翼が生えているのか、翼からチンコが生えているのか、翼が博士をぶら下げているのかも分からない程だ。

そして、その日はやってきた―――。

…………

……



阿笠「……かのライト兄弟もこんな気分だったのかのう」

コナン「大空を飛ぶ夢は時代を超えて発明家に受け継がれるのかもしれねぇな……」

阿笠「準備はいいか、新一」

コナン「あぁ、いつでもいいぜ!」

阿笠「それでは行くぞい!!」バサバサバサァ!!!

ヒュゥゥゥゥゥゥ

コナン「スゲー……ほんとに飛んでるぜ」

阿笠「人目のない夜間の飛行なのが残念じゃがのう」

コナン「バーロォ!見ろよ、最高の夜景じゃねーか!」

阿笠「……そうじゃのう」グスッ

コナン「泣くなって!」バシッ

阿笠「……わしはの、嬉しいんじゃよ」

阿笠「歳をとって夢など見られんと思っておった」

阿笠「ましてや大空を自由に飛ぶという、少年の日に置いてきた夢なんてのう」

阿笠「それが今……現実としてここにある。なんと素晴らしいことじゃろうか」

コナン「博士……」グスッ





キッド「」

…………

……



コナン「またデカくなったな」

阿笠「そうじゃのう……」バッサァ

コナン「さすがにこのままだと夜に飛んでも気付かれちまうかもしれねーな」

阿笠「……」

コナン「……なぁ博士、オナ禁っつーのは」

阿笠「新一」

コナン「……わーったよ」

阿笠「どこか……誰もいない田舎にでも引っ越すかのう」

コナン「……」




???「博士ー!!」

阿笠「?」

阿笠「何事じゃ」スタッ

コナン「バーロォ!その格好で外に出るんじゃねーよ!」

阿笠「そ、そうじゃな。すまん」

コナン「灰原もいねーみたいだし、オレが出るよ」タッ

元太「はか……あれ、コナン?」

コナン「オウ、二人ともどうしたんだよ」

歩美「あのね、光彦くんが大変なの!」

コナン「落ち着けって、一体どうしたんだよ!」

元太「光彦の住んでるマンションが火事になっちまったんだよ!」

コナン「!?」

歩美「それで光彦くんが取り残されちゃってるの!」

コナン「消防車は!?」

歩美「それが……光彦のために国民の血税を使う訳にはいかないって……」

コナン「クッソ、いつものパターンか……!」

阿笠(どうしたんじゃ新一)コソコソ

コナン(バーロ、出てくんな!)

元太「いるのかよ博士!」

元太「なァおい!光彦を助けてくれよ!」グイッ

阿笠「だ、だめじゃ引っ張っては……」

ドテッ

歩美「!?」

元太「!!」

阿笠「……」バサッ

コナン「……違うんだ二人とも……これは博士の趣味のコスプレで……」

阿笠「……いいんじゃよ、新一」

コナン「博士!」

阿笠「遅かれ早かれこうなることは分かっておった」

阿笠「それに少年探偵団の子らに秘密にするものしのびないしの……」

コナン「……」

元太「なぁ博士……それ、本物か?」

阿笠「……」

阿笠「そうじゃよ」

阿笠「わしのチンポには羽根があるんじゃ」

元太「……」

歩美「……」

阿笠(これで……これでよかったんじゃ)

阿笠(チンポに翼の生えた異形……ここいらで潮時じゃの)

元太「す……」

阿笠「……」

元太「スゲー!!」

歩美「すごーい!ふさふさしてるー!」

元太「チンコもうまいぜ!」ジュッポジュッポ

阿笠「ふ、二人とも!?」

コナン「……だから言ったろ、博士」

コナン「『俺ら』は親友だってな」

阿笠「……」グスッ

コナン「よっしゃオメーら、いくぞ!」

阿笠「何処にじゃ?」

コナン「光彦を助けにだよ!」

コナン「もちろん、空を飛んでな!」

…………

……



阿笠「あの黒煙を目指して飛べばいいんじゃな」

コナン「あぁ、そうだ」

コナン「にしてもスピードでねぇな」

阿笠「仕方ないじゃろう、三人も乗っておるんじゃから」

コナン「そのうち一人が元太だしな……」

歩美「コナンくん、下の人たちが気付いたみたい」

コナン「そりゃ真昼間から中年が空飛んでればな」

阿笠「しかし今はそんなことを気にしてはいられん!」

コナン「あぁ、その通りだ!」

元太「……ん、なんだありゃ?」

コナン「どうした元太……って、あれは……!」

阿笠「警視庁のヘリコプターか!?」

歩美「私たちの方に向かってくるみたい!」

コナン(クッソ、誰かが通報しやがったのか!?)

阿笠「くっ、このままではぶつかるぞい!」

コナン(このままだと光彦を助けるどころか、オレたちが危ない!)

コナン(どうする……!?何かあるはずだ、ここからの打開策が!)

元太「どけー!」ヒュッ ヒュッ

コナン「バーロォ元太!靴なんか投げたってどくわけ……!」

コナン「!!」ティロリン

コナン「あるじゃねーか……とっておきの正解が……!」カチカチ

歩美「コナンくん?」

コナン「歩美ちゃん、博士にしっかり掴まってて」

歩美「う、うん」ギュッ

阿笠「むおおおおおおおお!?」ビクビク

コナン「元太……動くんじゃねーぞ……」シュィィィン

元太「お、おう?」

コナン「っしゃぁいくぞ!!!」

コナン「らあああああああああああああああああああん!!!!!」ドッゴォォォォォ!!!

元太「」

ドォン

阿笠「見事撃墜じゃ!」

歩美「コナンくん、すごーい!」

コナン「よぉし!」

コナン「これで邪魔者は消えてスピードも上がった!」

阿笠「うむ!一気に行くぞい!」

…………

……



光彦「誰かー!助けてくださーい!」

光彦「どうしましょう……幸い火はまだ回ってきていませんが、とても脱出できる状況じゃないですし……」

光彦「飛び降りるにしてもこの高さからじゃ……」

光彦「それにしても消防車はどうして来ない……ん、なんでしょうあれは?」

光彦「……大きな、鳥でしょうか?」

歩美「博士見えたよ、あそこ!」

コナン「なんとか無事みてーだな」

博士「うむ!」

博士「じゃがこの先は危険じゃ!一旦二人を降ろすぞい」

コナン「分かった」

光彦「は、博士!?」

光彦「なぜおちんちんから翼が生えているのかは分かりませんが、ボクを助けにきてくれたんですね!」

光彦「おーいこっちでーす!早く助けてくださーい!」

コナン「っせぇよバーロォッ!!今やろうとしてんだろうが!ゴタゴタ抜かしてんじゃねえよソバカスのバケモノがよぉ!」

光彦「」

歩美(コナンくん、私の言いたいこと全部言ってくれた……)

阿笠「とにかく行ってくるぞい!」

コナン「あぁ!頼んだぜ博士!」

歩美「頑張って!」

光彦「こ、こっちでーす……」

阿笠「むぅ……!」

阿笠(火もまわっとらんし煙が立ち込めているわけでもないがなんとなく近寄りたくないのう)

阿笠(しかし勢いでここまで来た手前助けんわけにもいかんし……)

阿笠(……そうじゃ!)

阿笠「光彦くん!今助けるぞい!」

光彦「あ、ありがとうございます!」

阿笠「……むん!」バサバサバサ

阿笠「むおおおおおおおおお!!!!」シコシコシコシコ

光彦「!?」

歩美「?」

歩美「コナンくん、博士何してるの?」

コナン「……」

歩美「コナンくん……?」

コナン「そうか……分かったぜ博士」

コナン「アンタが今から何をしようとしてるのかがな……!」

―――一億の射精を迎えし時、その者チンポに翼を得る―――


コナン「そうだ……あれはただ翼が生えるということを指してるんじゃない」

コナン「シコリつづけた者だけに許された、どこまでも自由な空」

阿笠「むおおおおおおおおお!!!!」シコシコシコシコシコシコォ!

コナン「見せてくれよ博士……アンタならイけるはずだぜ」

コナン「その翼で飛ぶよりもっと高く……果てしない宙まで……!」

阿笠「イくぞおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!」

阿笠「フサエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」ドピュゥゥゥゥゥォォォオオオオ!!!!


光彦「え


歩美「なにあれ!?」

コナン「ザー……特殊な液だよ。あれで博士はマンションの火を消そうとしてるんだ」

歩美「ほんとだ!火がどんどん消えていくよ!」

コナン(あれだけの射精……間違いない……博士は命を懸けたんだ)

歩美「すごーい!見て、光彦くんも真っ白だよ……って、コナンくん?」

コナン「ん?」ポロポロ

歩美「……泣いてるの?」

コナン「……!」

コナン「いや……さっき飛んでる時に目にゴミが入ってさ……」

歩美「……そっか」

歩美「……!」

歩美「博士の翼がどんどん大きくなっていく……!」

コナン「火も完全に消えたみてーだな」

歩美「戻ってくるよ」

阿笠「……」

コナン「……」

コナン「……行くんだな」

阿笠「そのようじゃな」

歩美「行くって……どこに?」

阿笠「そうじゃなぁ……この空よりもっとずっと高くかのう」

歩美「それって―――」

阿笠「お迎えも来たようじゃ」

コナン「あれは……!」

阿笠「皆わしと同じじゃのう」

阿笠「揃ってチンポに立派な翼が生えておるわい」ニッコリ

歩美「天使さま……?」

コナン「あぁ……」

阿笠「それでは、行くとするわい」

阿笠「他の皆にもよろしくのう」

コナン「博士……」

歩美「博士!」

阿笠「さらばじゃ」ニッコリ

阿笠「……」

阿笠「そうじゃのう……」

阿笠「時々でいい。気が向いたら空を見上げてくれんか」

阿笠「きっとわしは……」

阿笠「その空を、飛んでおるから……」

ゆったりと、博士はチンコの翼を羽ばたかせ天へと昇っていった。

オレと歩美は、その姿が見えなくなるまで笑顔で手を振り続けた。

そして博士が空の果てに消えたとき、堰を切ったように泣きじゃくった。

ヘリと衝突した元太も、ザーメンで窒息した光彦も、きっと地獄からあの空を見上げていたんじゃないだろうか。

青く澄み渡った空から、一枚の真っ白な羽がふわりふわりと落ちてくる。

オレはそれを、そっと拾い上げた。

…………

……



園子「ねぇ蘭、角から何か生えてない?」

蘭「え?」




HAPPY END

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