勇者「お前は俺が面倒を見る」魔王娘「……」 (39)

勇者「嫌とは言わせない」

魔王娘「……」

勇者「残念ながらお前の親は俺が殺した」

魔王娘「……」

勇者「お前の活動記録を取れば母国に多大なる貢献をする事が出来る」

魔王娘「……」

勇者「どうして殺さない?とでも言いたそうな目だな」ククッ

勇者「魔王の娘であるお前を俺の奴隷にする事こそが人類の完全なる勝利だと確信したからだ」

勇者「諦めろ、お前の人生は平和の為に使われるのだ」

勇者「人類の為だ、光栄だろう?」

魔王娘「殺す……殺す……殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」ギリッ

勇者「……」

パシンッ

魔王娘「っ~!」

勇者「殺す?」グイッ

勇者「この震えた手で?弱々しい力で?」

勇者「お前の泣きそうな目は無理だと悟っているな、身体は正直だ」ハハッ

魔王娘「……うぅっ」ポロポロ

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勇者の家

勇者「食え」

ゴトッ

魔王娘「……」

勇者「食わなかったら無理矢理食わせる」

勇者「自殺でも図ったら俺が作ってやったお前の親の墓を粉々にしてやろう」

魔王娘「……」パクッパクッ

勇者「不味いだろぅ?親の仇に食わせてもらう飯は不味いだろう?」

勇者「お前はこれから毎日豚の餌以下の食事をする事になる」

勇者「屈辱の日々だ」

魔王娘「……」モグモグ

勇者「豚以下さ」

勇者「……」

魔王娘「……」

勇者「無駄だ」

魔王娘「……」ビクッ

勇者「寝込みを襲おうとしたって無駄だ」

魔王娘「……」

勇者「俺はお前を痛めつけてやっても構わないがな」

魔王娘「……」

勇者「無駄な事やどうしようもない事はしない方がいい」

勇者「絶対に刃向かえない力には、特にだ」

1年後

勇者「いい目をするようになったなぁ……」

魔王娘「……」

勇者「復讐に燃えているぞ?」

魔王娘「……」

勇者「1年の歳月はお前の復讐心を燃やし続けた」

勇者「だが、まだ足りない。足りない」

勇者「俺を殺せるようになれよ、奴隷」

魔王娘「……」

勇者「さて、飯だ。食え」コトッ

魔王娘「……」パクッパクッ

勇者「ちなみに、だ」

魔王娘「……」

勇者「飯の味はどうだ?」

魔王娘「……」

勇者「……答えないか」

勇者「豚の餌以下に味なんて求める筈が無い」ククッ

魔王娘「……」

勇者「沈黙は金雄弁は銀と言う言葉がある」

勇者「実はな、金と銀の値段は時と場合によるのだよ」

魔王娘「……」

勇者「考えろ、得と損をな」

1年後

魔王娘「ねぇ」

勇者「なんだ」

魔王娘「稽古」

勇者「復讐の相手に稽古をつけろなど、図々しい事を抜かすようになったなぁ」

魔王娘(貴様から提案したことだろう……愚図が)

勇者「良いだろう、来い」

勇者「今回も徹底的に痛めつけてやる」

勇者「そして、悟らせるんだ」

勇者「俺にはどうしても勝てないとな」

勇者「はははっ!」

1年後

勇者「魔物を痛めつけるのは最高に楽しいなぁ」

魔王娘「……」

勇者「今日もお前の親の側近に会って沢山痛めつけてやった」

勇者「殺せ、殺せ、やめてくれ、やめてください、悪魔、悪魔、ごめんなさい」

勇者「もう、斬らないで……」

魔王娘「……」ギリギリ

勇者「どうしたこの目は?」

勇者「家畜の癖に生意気だな」

魔王娘「……」

勇者「しかし、滑稽だ」

勇者「魔物に悪魔と言われるのだ。本物の悪魔がな」クククッ

勇者「良いか?この世は力が全てだ」

勇者「人間は俺によって魔物より上に立てている」

勇者「そして五年後にはお前を死刑にして全てが終わりだ」

勇者「完全なる敗北を知らしめてやるのさ」

勇者「ああ……楽しみだ」

1年後 城下町

勇者「……」

魔王娘「……」

勇者「見ろ家畜」グイッ

僧侶「殺せ……」

魔王娘「……」

勇者「いつも神とか平和などと綺麗事を抜かす哀れな俺の仲間だ」

僧侶「元をつけ忘れるなよ、悪魔!」

バキッ

僧侶「うぅっ!」

勇者「うるさいから俺が無理矢理ここまで引きずって来てやった」

勇者「こいつは様々な宗教に精通をしていてな」

勇者「全ての宗教から賄賂を受け取っているとの話だ」

僧侶「まやかしだ!嘘に決まっている!」

バキッ

勇者「うるさいぞ、駄神官」

勇者「今から俺が尋問する。恨むなよ」

僧侶「元から無いものを貴様はぁ……!」

僧侶「神に誓って無いと私は誓う……!」

四時間後

僧侶「うぅっ……ううっ……」グスッグズッ

魔王娘「……」

僧侶という男は目を当てられない程に醜く変貌していた。

城下町の人間も恐れをなしてこの場から去って行ってしまった。

かわいそうに、勇者の皮を被った悪魔に目をつけられたのが最後だ。

勇者「これで全部か?」

僧侶「はい……これで全部です」

勇者「嘘抜かせ」

バキッ

僧侶「ひぎっ!」

勇者「現在最も力を握っている信教が残っているが……?」

僧侶「貰っています……貰っていない所なんてありません」グズッグズッ

勇者「そうか、なら死ね」ググッ

魔王娘「……」

僧侶「話が違う!殺しはしないって!」

サクッ 

僧侶「」ドサッ

勇者「……」

勇者「……」

勇者「おい、貴様」

兵「はっ!」ビクッ

勇者「今から俺は全ての宗教を潰す」

兵「それは余りにも傲慢が過ぎるのでは……!?」ビクビクッ

勇者「幹部と教主だけだ。後は上から押さえ付けておけ」

勇者「勇者の仲間を誑かした罪は大きいと、な」ニィッ

勇者「王にはそう伝えろ」ククッ

兵「ひっひぃぃぃ!!」ダッ

魔王娘「……」

1年後 城下町

勇者「かなり大人しくなったなぁ、神神うるさいやつらも」

魔王娘「……」

勇者「やかましい宗教が消えたのは嬉しい限りだ」

賢者「次は政治と経済と報道ですか」

勇者「俺と国へのの批判が目障りだからな」グイッ

賢者「ぐっ……」

勇者「汚職、献金、賄賂、不正、やらせ。全てを吐いてもらうぞ」

賢者「私が見ている以上そんな事……」

バキッバキッバキッバキッ

勇者「……」

賢者「痛い……いた……い」ポロポロ

勇者「話せ」

魔王娘「……」

30分後

勇者「分かるか家畜」

勇者「この世は力が全てだ」

勇者「中途半端な力の使い所を間違えるとこうなるのさ」

賢者「殺して……やだ……殺して」

魔王娘「……」

恐らく自慢だったであろう豊満な胸は原型をとどめず、端正な顔立ちは醜い魔物のそれと変わらない物になってしまっていた。

勇者「全てを話してくれて助かったよ」

勇者「やはり組織のトップから崩していくのは簡単だ」

勇者「後は壊すだけだからな」ニィッ

サクッ

賢者「」ドサッ

勇者「……」

勇者「……」

勇者「……」

1年後 城下町 大広場

勇者「やぁ国のトップ様」

王「勇者か」

勇者「次は自分だって分かってただろう?」

勇者「世界統一もお疲れ様、素晴らしいな」

王「一番の面倒事を俺にやらせやがって」

勇者「悪いな」

勇者「しかし、献金、人身売買、汚職、犯罪、資金濫用は流石に見逃せなくてなあ」

勇者「お前に媚びればいいような国は駄目だと思ったのさ」

勇者「あとは、無闇に人を殺し過ぎたな。意味のない殺し」

勇者「必要悪も作り過ぎ、全部潰したけどな」

勇者「平和からは程遠いな、紛争、内乱、戦争ばかり、糞以下だ」

王「ならお前はなんだ?塵か?」

勇者「俺が全部壊す。人も魔物も俺の奴隷だよ」

魔王娘(行き過ぎた力は人を壊す……)

勇者「じゃあな、戦士」

王「……じゃあな勇者」

サクッ

ドサッ

1年後 城 玉座

魔王「……」

魔王娘「……」

魔王「結局は魔王扱いだ」

魔王「世界を救ったとしても、だ」

魔王「全てを壊した真の魔王」

魔王「勇者が魔王になるのは皮肉だなぁ……」

魔王「俺はただ、目に入る人間と魔物を痛めつけているだけだ」

魔王娘「……」

魔王「俺は人にも魔物にも属さない」

魔王「分けるのが元々駄目なんだよ」

魔王娘「……」

魔王「民衆はお前を頼るしか無いだろうな、魔王の娘、勇者に育てられた唯一無二の存在とな」

魔王娘「……」

魔王「さぁ、最後の飯だ。食え」

魔王娘「……」パクッパクッ

1年後 城下町 大広場

魔王「俺がやられるとはな」

勇者「……」

勇者「もう、終わりだ」

魔王「だろうな」

魔王「身体も動かない、殺せ」

勇者「平和の為には礎が必要だ」

魔王「知っている」

勇者「貴方は最高の礎だ」

魔王「知っている」

勇者「貴方のご飯は美味しかった」

魔王「知っている」

勇者「それ以外にはロクな事は無かった」

魔王「ボーイフレンドを作っておいてぬかすな、自分で良い思い出を作っている癖に」

勇者「……全てがお見通しか」

魔王「俺程では無いが、いい男だったな」

魔王「あれなら大丈夫だ」

勇者「……」

魔王「さぁ殺せ、勇者」

勇者「最後に名前を……」

魔王「……」

勇者「……」

勇者「さよなら」

サクッ

ドサッ

魔王の娘である勇者が全てを立て直し、王となった。

世界を根本的に壊した魔王を倒す事により、魔物と人間は勇者に心酔。勇者が世界を統べる事に誰も異論を述べる事が無かった。

勇者は人と魔物の共存を成功させたのだ。

人と魔王のハーフだからこそなし得たのだ。

人と魔物を傷つけた魔王を倒す事によって勇者は真の平和を築いて行くだろう。






end

20年前 とある集落

男「……女」

女「私、幸せだなぁ」

女「男の子供を宿すなんて、とっても幸せ」

男「ああ、俺も幸せだ」

男「村一番の美女との子供だからな」

男「賢者と僧侶と戦士にも報告して来るよ!」ダッ

女「皆は隣村で遠いのにはしゃいじゃって」クスクス

??「……」コソコソ

3時間後 とある集落

賢者「男と女さんの間に子供が……おめでたいですね」

戦士「おめでとう!」

僧侶「加護があらんことを……」

勇者「さぁ、ここで女が待ってるぜ」

ギィィ

ガチャ

女「おっ……男」

ポタッポタッ

女「ごめ、ごめんね、赤ちゃんが……赤ちゃんが」

男「っっ…… !」

女は犯された上に、お腹の子供までもがその狂気の被害者となった。

戦士「誰の仕業だぁ!?」

女「それはね……もう殺した」

賢者「きゃっ……!」

ゴロンッゴロゴロッ

僧侶「村長と国王様ですね……」ウプッ

男「腐ってる……何もかも……!」

女「本当に、その通りだね」

女「私は、全てが憎いよ」シュウウウウウゥゥゥ

驚くべき事に女から流れる血は黒い瘴気となって、空気に溶けて行く。

賢者「見て!」

戦士「村の周りに大量の魔物が……!」

女「良かった……なんとか子供を再生できた」

男「!」

女「私ね、実は魔王なんだ……力を隠して人に溶け込んでたら忘れちゃったけど……」

女「ゴミのおかげで思い出したよ」

女「人は滅ぼすべきだって」

女「ねぇ、男。私の隣でこの世の破滅を見よう、ね?」

男「……………」

12年後 魔王の城 玉座

魔王「……男が勇者になるなんてね」

勇者「お前は間違っている」チャキ

魔王「誰よりも平和を愛しているもんね、男は」

魔王「じゃあ、平和にして貰ってもいいかな?」

賢者「?」

僧侶「……」

戦士「何を……?」

魔王「私を倒してからね」

魔王「本当の平和を見せてあげてよ、私と男の子供に」

勇者「!」

勇者「行くぞ……」ダッ

魔王「ぐぅっ」ドサッ

魔王「負けちゃった」

魔王「じゃあ、娘をよろしくね……」

賢者「……」

僧侶「この子ですね」

魔王娘「お母さん……お母さん……」エグッエグッヒック

戦士「どうするつもりだ?」

勇者「皆、話がある」

勇者「女…… 魔王は倒した」

勇者「しかし泣いている暇はない」

勇者「このまま魔王を倒してめでたしめでたし」

勇者「それでいいと思うか?」

賢者「思いません」

僧侶「思わないですね」

戦士「根本から変える必要があるな」

魔王娘「……」ヒックヒック

勇者「……完全なる平和の為に死ぬ覚悟はあるか?」

「「「………………」」」

旅の道中勇者達は様々な世界の汚れを目の当たりにしてきた。

勇者達の心は同じだった。

僧侶「当たり前じゃないですか、この世のためなら醜く死んでも大丈夫です」

賢者「勿論です」

戦士「当然だ」

勇者「俺は全てを虐げ、全てに嫌われる」

勇者「僧侶は宗教を統べろ、そこに闇あらばすべて俺に教えてくれ」

僧侶「なるほど……根本的ですね」

勇者「賢者は政治、経済、報道だ。一番頭の良いお前なら容易だろ?」

賢者「おやすい御用です」

勇者「戦士は王様になり、近づく下衆を記録しろ」

戦士「おうよ!」

勇者「皆を多少痛めつける事になるが……許してくれ」

僧侶「気にしなくても大丈夫ですよ」

賢者「貴方が一番辛いくせに」

戦士「悪いな、一番辛い事をやらせて」
賢者

勇者「そして、世界を救う救世主は俺の娘だ」

戦士「親ばかだな」アハハ

賢者「本当に親馬鹿ですね」クスクス

僧侶「親馬鹿です」コクッ

勇者「全部終わったら後を追うよ」

賢者「まってますね」

戦士「別に来なくても良いけどな!」

僧侶「まったくです」

勇者「最後にはこの子が俺を殺すのさ」

勇者「この子が勇者になって魔王である俺を殺すのさ」

魔王娘「……」

賢者「理解しているのでしょうか?」

勇者「どちらでもいいさ」

勇者「親らしい事は出来ないが、うまい飯は必ず食べさせる。ごめんな」

魔王娘「……」

勇者「女……待っててくれ」





勇者「さぁ、哀れな魔王の娘よ」


 



勇者「お前は俺が面倒を見る」




 

8年後 城下町 大広場

ドサッ

男「……俺は死んだのか」

魔王娘『……』ポロポロ

男「本当に泣き虫な娘だな」

僧侶「お疲れ様でした」

男「やっぱり一番はお前か」

僧侶「神の使いですから」

男「ふふっ……お前以上の聖職者はこの先現れないだろうな」

賢者「やはり、あの子は全てに気付いていましたね」

勇者「俺を殺すまで我慢するなんてな、本当に偉いさ。賢者にも似たかもな」

戦士「……お疲れ様」

勇者「ありがとう。お前と会えてよかったよ、お前は最高の男だ」

僧侶「さぁ、彼女が待っていますよ」

勇者「そう言えばあの時出かけてから言ってなかった言葉があったな」

「あっ……」ピクッ

遠くを見ていた愛しき人は振り返る。

全てを抱き抱えるかのように笑顔で手を開く。

女「おかえりなさい」

男「ただいま」

本当の平和を望んだ者達が居た。

本物の馬鹿が居た。

しかし、彼等の思いは実った。

彼等は本物の愛と本物の勇気を持っていた。 

誰よりも世界を愛していた。

彼こそが本当の勇者だった。

以上で終わりですありがとうございました。


久しぶりのまおゆうで緊張しました。
 
ありがとうございます。

素敵な感想をありがとうございました。



過去作の宣伝がてら、まおゆうでは

勇者「俺と魔王の101日決戦」

医術士「東奔西走!!皆を癒しちゃうよ!!」

弓使い「勇者……私が?」

勇者「2024年……標的は魔王」

等を作ってました。

HTML化申請を出します。拙いですが、ありがとうございました。

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