～冬木～

切嗣（取り敢えず来たけど……）

ベイダー「コーホー」

切嗣（相変わらず何を考えているのかさっぱりだ……）

ベイダー「コー……」ﾋﾟｸｯ

切嗣（ん？）

ベイダー「そこの者、出て来るがいい」ｽｯ ﾊﾟｼｯ

切嗣（喋った!?　ってか喋れるのか!?）ｶﾞﾋﾞｰﾝ

アサシン「私に気付くとは……流石だな」ﾇｩ

切嗣（あ、アサシン居たんだ）

ベイダー「全てはフォースの導きだ」ﾌﾞｫﾝ

アサシン「ふふふ……その様なものこの私にかかれば他愛も無――かはっ！」

ベイダー「フォースを侮辱する事は赦さぬ……」ｷﾞﾘﾘ

アサシン「がっ、あっ！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

ベイダー「そのまま消えるがいい」ｸﾞﾘｯ

アサシン「っ――！」ｺﾞｷｯ

アサシン「」ﾄﾞｼｬ

切嗣（…………）

切嗣（え、もう終わり？）

切嗣（もっと苦戦するものかと思ったけど……）

切嗣（これは案外当たりかもしれない）

切嗣「アイリ、セイバーに良くやったと伝えてくれ」ﾎﾞｿｯ

アイリ「え、えぇ。 セイバー」

ベイダー「違う」

アイリ「え？」

ベイダー「セイバーではなくベイダー。 シスの暗黒卿、ダース・ベイダーだ」

アイリ「そ、そう……ベイダー、切嗣が良くやったと誉めていたわ」

ベイダー「コーホー」

切嗣（返事それかよ！）

支援するぞぉぉぉ！！！

もっとやってくださああぁぁぁい！

～数日後～

アイリ「切嗣、お茶が入ったわ。 ベイダー貴方もどう？」

ベイダー「有難いが遠慮しておこう。 飲めるような身体ではないのでな」

アイリ「そう……」

切嗣（この数日、ベイダーと過ごして解った事がある）

切嗣（まずベイダーは身体の殆どが機械で出来ている事）

切嗣（そしてフォースという魔術とも違う不可思議な力を操れるという事だ）

切嗣（これはひょっとすると……ひょっとするかも知れない）

　ｺﾝｺﾝ

舞弥「失礼します」ｶﾞﾁｬ

切嗣「舞弥か。 偵察はどうだった？」

舞弥「はい、それが……」ｺﾞｿｺﾞｿ

舞弥「このような物が」ｽｯ

切嗣「……これはっ」

アイリ「切嗣？　どうしたの？」

ベイダー「コーホー」

切嗣「……アイリ、ベイダーに伝えてくれ」

切嗣「決闘だ」

～夜～

アイリ「本当にここで待っていると？」

切嗣「あぁ、果たし状にはそう書いてあった」

アイリ「罠、という可能性は……」

切嗣「勿論それも有り得る。 ただ、他のマスターの動きが解らない以上餌に食い付いてみるのも一つの策だ」

切嗣「万が一に備えて舞弥をバックアップに付けている」

切嗣（それに……）ﾁﾗｯ

ベイダー「コーホー」

切嗣（この暗黒卿とやらがそう簡単に負けるとも思えない）

？？？「遅かったじゃないか」

切嗣「っ！」

ベイダー「コーホー」ｽｯ ﾊﾟｼｯ

切嗣「……ケイネス・エルメロイ・アーチボルト、で良かったか？」

ケイネス「これはこれは恐れ入る。 流石はアインツベルンの人間という事か」

切嗣「果たし状とはまた随分と古風だな」

ケイネス「私としても非常に不服なのだが……うちのサーヴァントがどうしてもと言うのでな。
　飼い犬に餌をやるのも飼い主の役割というわけだ」ﾊﾟﾁﾝ

ランサー「我が主……この恩義、必ずや勝利で持って報いましょう」ｻﾞｯ

切嗣「ランサーか……アイリ、ベイダーに気を付けるようにと」

アイリ「解ってるわ。 私も、彼もね」

ベイダー「コーホー」ｻﾞｯｻﾞｯ

ランサー「貴殿が噂に聞く漆黒のセイバーか」

ベイダー「コーホー」

ランサー「……返事くらいは欲しいものだな」

切嗣「あ、そのコーホー返事だから」

ランサー「え？　そ、そうなのか？」

ベイダー「コーホー」ｺｸｯ

ランサー「そ、そうか……ゴホン！」

舞弥（なんだこのグダグダ）

ケイネス（なんだこのグダグダ）

アイリ（なんなのかしら……このグダグダ）

ランサー「貴殿は聖杯戦争開始早々にアサシンを一捻りしたと聞いた」

切嗣（本当に一捻りだったもんなぁ）

ランサー「その噂を聞き、貴殿と一騎討ちをしてみたくなったのだ」

ランサー「この勝負受けてくれるな？」

ベイダー「……名を聞こう」

ランサー「ランサー……ディルムッド・オディナ」ｼｬｷﾝ

ベイダー「シスの暗黒卿、ダース・ベイダー」ﾌﾞｫﾝ

ランサー「いざ……参る！」ﾀﾞｯ!

ランサー「はぁ！」ｼﾞｬｯ!

ベイダー「コー」ﾋﾗﾘ

ベイダー「ホー」ﾌﾞｫﾝ!

ランサー「当たるものか！」ｻｯ!

　　ｼﾞｭｩｩ

ランサー（地面が焼き斬れた!?　あの光る剣、避けて正解だった）

ランサー（ならば！）

ランサー「破魔の紅薔薇（ゲイ・ジャルグ）！」ｼｬｷﾝ

ランサー（魔力を打ち消すこれなら打ち合え）

ベイダー「コーホー」

　　ｼﾞｭ

ランサー「」

ランサー「そ、そんな……」ｶﾞｸｯ

ケイネス「宝具を斬っただとぉ!?」

切嗣「これがベイダーの力だ」

切嗣（僕も今知ったけど）

アイリ「えぇ、そうよ」

アイリ（私も今知ったけれど）

舞弥（……あれチートじゃね？）

ベイダー「コーホー」

ランサー「残るは必滅の黄薔薇（ゲイ・ボウ）のみか……だが！」ｻﾞｯ

ケイネス「そこまでだランサー」

ランサー「主っ!?　しかし！」

ケイネス「元々これはセイバーの実力を測る為の決闘。 謂わば前哨戦」

ケイネス「その前哨戦で最後の宝具も失うつもりか？」

ランサー「ですが私はまだ！」

ケイネス「それでも闘うと言うのなら」ｽｯ

ランサー「っ!?」

ケイネス「私は決して多くない令呪を一つ失う事になる」

ランサー「くっ……仰せのままに」

切嗣「おっと、このまま大人しく帰すと思うのか？」

切嗣（ランサーは頼みの綱を一つ無くした）

切嗣（今ならば簡単に落とせる。 チャンスだ）ｽｩ……

舞弥（合図……）ｶﾁｬ

ベイダー「止めよ」ｽｯ

切嗣「っ!?」ﾋﾟﾀｯ

舞弥（……？）

アイリ「……切嗣？」

切嗣（身体が動かない……まさかこれが!?）

ベイダー「そう。 これがフォースだ、我がマスターよ」

切嗣（僕の思考を読んでる!?）

ベイダー「この者は騎士道に則り正面から挑んで来た」

ベイダー「その様な者を闇打つなど、到底赦されるものではない」

切嗣「……ハハッ」

アイリ「切嗣？」

切嗣「聞いたかい？　アイリ」

アイリ「え？」

切嗣「この暗黒卿サマはご立派にも騎士道をお説きなさった」

切嗣「騎士道、正義、栄誉、名声」

切嗣「そんな幻想の為に一体いくつの若い命が散っていったか、これっぽっちも解っていらっしゃないらしいよ」

ベイダー「……コーホー」

切嗣「おまけにフォースだとか云うこの力も魔術の応用みたいなものさ」

切嗣「全く、導きだがなんだか知らないけれど――はぐっ！」

ベイダー「……マスターと言えどフォースを侮辱する事は赦さん」ｸﾞｯ

アイリ「っ！　ベイダー！　止めて！」

舞弥（っ!!）ｶﾞﾁｬ

　　ｶﾞｩﾝ!

ベイダー「コーホー」ｽｯ

　　ﾋﾟﾀｯ

舞弥（弾丸が止まった!?）

切嗣「くっ……あ……」ｷﾞﾘｷﾞﾘ

ベイダー「我がマスターよ」

ベイダー「今の台詞はライトサイドを信奉していた者のみが言える言葉だ」

ベイダー「かつての私のように……」ﾊﾟｯ

切嗣「かはっ！」ﾄﾞｻｯ

切嗣「はぁ！　はぁ！　はぁ！」

アイリ「切嗣！　大丈夫!?」

ベイダー「次は無いぞ、マスター」

舞弥「ご無事で!?」ｻﾞｯ

切嗣「あ、あぁ……ケイネス達は？」

アイリ「この騒動に紛れて帰って行ったわ」

切嗣「そう……か……」

舞弥「貴様っ!!」ｶﾞﾁｬ

ベイダー「貴様達に言っておく」ｽｯ

舞弥「うっ……身体が……」

アイリ「ベイダー！　もう止めて！」

ベイダー「決して……暗黒面に堕ちるな」ｽｯ

　　ｶﾊﾟｯ

ベイダー「こうなる前に、な」

舞弥「うっ！」

切嗣「っ！」

アイリ「ベ、ベイダー……貴方、その顔……」

ベイダー「…………」

　　ｶﾞﾁｯ

ベイダー「話はそれだけだ、先に屋敷に戻る」ﾊﾞｻｧ

取り敢えずここまで。

ちょっとした思い付きで立てたスレだったのになんでこうなった……

>>5>>6
ありがとうございます！

シスの暗黒卿ってダース・シディアスが図抜けて外道だっただけで、
他の連中はそうでもなかった気がするんだよな

光熱の理力剣

な、なんだが予想以上の反応にびっくり……ありがとうございます。
取り敢えず時間が出来たので書いていきます。

>>26
暗黒面の矜持ってのを感じますね

>>28
なら『全智の息吹(フォース)』とかですかね？

～数日後～

切嗣「あれから数日……他のマスター達の情報も掴めてきた」

切嗣「そろそろ攻勢に出ても良い頃だと思う」

アイリ「えぇ、そうね」

舞弥「はい」

切嗣（ただ心配なのは……）ﾁﾗｯ

ベイダー「コーホー」

切嗣（あれからベイダーが一言も言葉を発していない）

切嗣（本当に何を考えているのか……）

ベイダー「コーホー」

切嗣（…………元々話すつもりなんて無かったんだ。 この方が都合良いか）

アイリ「それで、誰を狙うの？　ランサー？」

切嗣「いや、向こうには手の内を知られてしまっている。 それに宝具を一つ失ってる今、大した脅威じゃないさ」

切嗣（最悪、他の誰に倒される可能性もあるしね）

切嗣「キャスターはそこら中を点々としていて所在が掴めない。
　そしてアーチャーに到っては情報が殆ど入ってこない」

アイリ「それじゃあ残るのは……」

切嗣「ライダーかバーサーカーか……狙うのはそのどちらかになる」

切嗣「これがそのマスターの写真だ」ｽｯ

舞弥「私が撮影してきました」

アイリ「……心無しかこのライダーのマスターの写真が多いようだけど」

舞弥「気のせいです」

アイリ「それにこれ……お風呂の脱衣場じゃあ……」

舞弥「気のせいです」

切嗣「……これ以上踏み込んだ写真なんて無いよな？」

舞弥「まさかそんな」

ベイダー「コーホー」

　　ﾌﾜｧ……

舞弥「あぁ！　しまっておいた秘蔵の一枚が！」

切嗣（やっぱあんじゃねぇか）

アイリ「ベイダー、どうしたの？」

ベイダー「……感じる」

切嗣（喋った）

舞弥「感じる……？　はっ！まさか貴方も私と同じ」

ベイダー「この写真の者から微弱ながらフォースの力を感じる」

舞弥「」

アイリ「舞弥……貴女って……」

舞弥「ち、違います！　誤解です！」

切嗣（今度から偵察は別口にしようかな……）

～その頃～

ウェイバー「うぅっ！」ｿﾞｸｿﾞｸ

ライダー「おい、どうしたのだ。 よもや風邪でも引いたか？」

ウェイバー「わ、解らないけど……なんか……凄く気分が悪いんだ……」ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ

ライダー「やぁれやれ、新作はお預けだな」ｶﾞｼｶﾞｼ

ウェイバー「今日は偵察だって言ったろ！　また勝手に予約したの!?」

ライダー「そのついでよ。 もしかするとゲーム屋に他のマスターがおるかもしれんだろうが」

ウェイバー「そんなのいるわけないじゃないか！」

ライダー「ほれ、具合が悪いならそんなに叫ぶな」

ウェイバー「誰のせいだと思ってるのさ！」

～ゲーム屋～

時臣「王よ……失礼ながら買い過ぎなのでは？」

アーチャー「貴様……我に指図する気か？」

時臣「滅相も御座いません！　ですがいくら王と云えどこの量のゲームを全てプレイなされるなど……」ﾄﾞｯｻﾘ

アーチャー「ふっ、見くびるなよ時臣」

時臣「は？」

アーチャー「この我を満足させたければ、この店のゲーム全て……その三倍は持って来い！」ﾄﾞﾝ!

時臣「お、王よ！　それは……」

アーチャー「ふっ、まぁ良い。 今はこれで我慢してやろう」

時臣「は、はっ！」

時臣（英雄王がゲームに嵌まり過ぎて全く行動が取れない……情報を漏らさないようにしていたのが唯一の救いか）

店員（最近変な客多いな……）

～翌日～

切嗣『悪いけど今回僕は行かない。 キャスターの居場所を突き止めないとね』

切嗣『本当なら舞弥一人に任せたかったんだけど……』

切嗣『とにかく、頼んだよ』

アイリ（って切嗣は言っていたけど……）

ベイダー「コーホー」

アイリ（大丈夫かしら……ベイダーの強さは折り紙付きだけど問題は私……）

アイリ（足を引っ張らないようにしないと）

ベイダー「その心配は無い」

アイリ「え？」

ベイダー「代理とはいえそなたは私のマスターだ。 堂々としていれば良い」

アイリ（ベイダー……）

アイリ「えぇ、そうね」ﾆｺｯ

ベイダー「それに、私は貴婦人の扱いには慣れている」

アイリ「あら。 貴方が冗談を言うなんて」ｸｽｸｽ

アイリ「でもそうね……なら、マスターとしてお願いしても良いかしら？」

ベイダー「なんなりと」

アイリ「乙女の頭の中を覗くのはちょっと失礼じゃなくて？」

ベイダー「コーホー」

アイリ「それでライダーとそのマスターはこの近辺の民家に隠れてるって話だったけど……って、ベイダー？」

ベイダー「こっちだ」ｽﾀｽﾀ

アイリ「え？　でも地図には……」

ベイダー「フォースが導いてくれている」ｽﾀｽﾀ

アイリ「ちょ、ちょっと」ﾀﾀﾀｯ

アイリ（またフォース……一体彼の言うフォースってなんなのかしら）

ウェイバー「やっと解放された……」

ライダー「仕方なかろう。 予約と併せて買うつもりだったゲームが品切れだったのだからな」

ウェイバー「なら諦めればいいだろ!?　なんで他店舗から取り寄せるまで居座るのさ！」

ライダー「ワシの辞書にそんな言葉は載っとらん！　ハァッハッハッ！」

ウェイバー「全く……」

　　ﾄﾞﾝ

ウェイバー「あ、すみません」

ベイダー「コーホー」

ウェイバー「」

アイリ「ハァハァ……ベイダー……ちょっと待って……休憩……」ｶﾞｸｯ

ベイダー「到着だ」

アイリ「え？」ﾊﾟｯ

ライダー「おやぁ？　お主……」

ウェイバー「な、なな、な……」

アイリ（本当にいた!?）

ベイダー「これも全てフォースの導きだ」

アイリ（だからなんなの!?　フォースってなんなの!?）

ライダー「その様子からすると……お主らサーヴァントとマスターか」

ウェイバー「え!?　こんなのもサーヴァントなの!?」ｻｻｯ

ベイダー「コーホー」

アイリ「ハァ……ハァ……」

ウェイバー「い、いきなり戦闘だなんて……」

ライダー「まぁ待て、敵にまだ戦う意志は見られぬ」

ウェイバー「解るの？」

ライダー「目を見ればな」

ベイダー「コーホー」

ウェイバー（目なんて見えないじゃん……）

アイリ（目なんて見えないけれど……）

ライダー「とにかく、こんな往来で立ち話もなんだ。 場所を移そうではないか」

ライダー「わざわざ奇襲せずに現れたのも、それが狙いであろう」

ベイダー「コーホー」

ライダー「ほれ、そう言っているであろうが」

ウェイバー「どこが!?」

アイリ「初見でベイダーの返事を見極めるなんて……」

ウェイバー「あ、なんだかそっちも大変みたいですね」

アイリ「えぇ……お互いにね」

ライダー「早く来ぬか。　置いて行くぞー？」

今回はここまでにします

ありがとうございました

遅くなってすみません。
早朝ですが時間が出来たので書いていきます。

～河原～

ライダー「ふむ、ここらで良いか」ｻﾞｯｻﾞｯ

ベイダー「コーホー」ｻﾞｯ

ライダー「さぁて」ﾄﾞｻｯ

ウェイバー「な、何座ってるんだよ！　今から戦うんだろ!?」

ライダー「だから待てと言っとろうが。　男同士、腹を割って話したいだけよ」

ライダー「ほれ、お主も座れ」ﾊﾞﾝﾊﾞﾝ

アイリ「ベイダー……」

ベイダー「案ずるな、我がマスターよ」ﾊﾞｻｧ

ライダー「さて……まずは名乗りから始めようかのぉ。　余は征服王イスカンダルだ」

ベイダー「シスの暗黒卿、ダース・ベイダー」

ライダー「ほほぅ。　聞いたことは無いが暗黒卿とは……大層な肩書きだのう」

アイリ「っ！」

アイリ（いけない！　彼は侮辱されたら何をするか！）

ベイダー「コーホー」

アイリ（……？　何故かしら……大丈夫な気がしてきたわ）

アイリ（そう……大丈夫……理由は解らないけど……）

アイリ「大丈夫……大丈夫……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂ

ウェイバー「？」

ライダー「では次に行こうか暗黒卿」

ライダー「お主、王とはなんだと思う？」

ベイダー「……王」

ライダー「そうだ、王だ」

ベイダー「…………」

ベイダー「……………………」

アイリ「珍しい……彼があんなに悩むなんて……」

ウェイバー「あれ、悩んでるんですか？」

アイリ「だってコーホーしてないでしょ？」

ウェイバー「あ、確かに」

ベイダー「…………王とは」

ライダー「王とは？」

ベイダー「統べてを手に納める者。　そして」

ベイダー「……統べてを擲(なげう)てる者」

ライダー「成る程。　それがお主の考える王か」

ベイダー「コーホー」ｺｸｯ

ライダー「うむ、良く解った」

ライダー「余はな暗黒卿。　王とは誰よりも鮮烈に生き、人を魅せる者だと考えておる」

ライダー「だからこそ、王の姿、輝きは臣民の志の総意そのものとなる」

ベイダー「コーホー」

ライダー「暗黒卿。　お主の強さは一目見ただけで解った」

ライダー「そして先のお主の言葉で、余は決めた」

ライダー「お主の意志、余の輝きとさせてはくれぬか？」

ウェイバー「うぇ!?」

アイリ（これは……スカウトされている）

アイリ（ベイダー……貴方はどう答えるの？）

ベイダー「…………may the force be with you」

ライダー「ぬ？」

ベイダー「フォースと共にあらんことを」ｻﾞｯ

ベイダー「私が信じるのはフォースのみ」ｻﾞｯｻﾞｯ ﾊﾞｻｧ

ベイダー「そして、私が従うのは我がマスターのみだ」ｽｯ ﾊﾟｼｯ

アイリ「ベイダー……」

ライダー「ふむ……やはりそう来るか」

ウェイバー「わ、解ってたならなんで聞いたのさ！」

ライダー「解らぬか？」ｻﾞｯ

ウェイバー「え？」

ライダー「それが王と云う者だからよ！」ﾊﾞｯ!

ゴッド・ブル「ブルルル……」

ライダー「乗れい！」ｶﾞｼｯ

ウェイバー「うわぁぁぁ！」

アイリ「ベイダー、気を付けてね」

ベイダー「コーホー」ﾌﾞｫﾝ

ライダー「さて……暗黒卿の力、見せてもらおうではないか！」ﾊﾟｼｨﾝ!

ライダー「先ずは小手調べよ！」ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞ

アイリ（一直線……ベイダーの剣なら宝具も斬れる。　いけるわ）

ベイダー「…………っ」

ベイダー「コーホー」ｻｯ

アイリ（避けた……？　何故攻撃しないの？）

ライダー「そらそらそらぁ！」ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ

ウェイバー「あわ、あわわわ！」

ベイダー「コーホー」ｻｻｯ

ライダー「どうした暗黒卿！　避けるだけでは話にならぬぞ！」

アイリ（攻撃しない……いえ、攻撃出来ない理由がある？）

ライダー「その光る剣は飾りかぁ！」ﾊﾟｼｨﾝ! ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ

アイリ（………………そうか、電気だわ！）

アイリ（ベイダーは身体の殆どが機械。　迂闊に近寄って大量の電気を浴びれば一溜まりも無いわ）

アイリ（オマケに相手は高速で空中を飛び回っている。　下手に攻撃も出来ない）

アイリ（厄介な相手ね……ベイダー、どうするの？）

ベイダー「……コーホー」ｽｯ

ライダー「ぬ？」

ベイダー「行け」ﾋﾞｭﾝ

ライダー「ハハッ！　剣を飛ばして来おった！」

ライダー「だがそんなモノに当たる余では無いわ！」ﾊﾟｼｨﾝ!

ベイダー「コーホー」ｽｩ

ライダー「なんと！　曲がりおった!?」

ライダー「中々面白いがその程度で余を斬る事は」

ウェイバー「ライダー！　伏せて！」

ライダー「何っ!?」ｻｯ

ベイダー「コーホー」ｽｯ ｽｯ

ライダー「くっ！　何故余の戦車が遅くなっておるのだ……！」

ゴッド・ブル「ブル……ブルルル……」

ウェイバー「アイツだ！　アイツが操ってるのは剣だけじゃなくて、この戦車もなんだ！」

ライダー「なんと……器用な奴よ！」

ライダー「降りるぞ！」ｶﾞｼｯ

ウェイバー「へ？　うわぁぁあぁぁ!!」

ライダー「ふん！」ﾄﾞﾝ!

ウェイバー「あだっ！」ﾄﾞｻｯ

ゴッド・ブル「ブルォォォ!!」

　　ｼﾞｭｩｩ

ベイダー「コーホー」ﾊﾟｼｯ

ウェイバー「いてて……あぁ！　神威の車輪（ゴルディアス・ホイール）が！」

ライダー「余の宝具をこうも容易く破壊するとは……思っていた以上だな、お主」

アイリ（これで恐れる物は無くなった。　決めるなら今！）

アイリ「ベイダー！」

ベイダー「コーホー」ﾀﾞｯ

ライダー「よもやこんなに早く使う事になるとは……」

ウェイバー「ライダー？」

ライダー「下がっておれ！」

ウェイバー「うわっ！」ﾄﾞｻｯ

ベイダー「コーホー」ﾀﾞｯ

ライダー「出来れば一対一で決着を付けたかったがそうも言ってられんか……」

ライダー「来てもらうぞ暗黒卿！」

ライダー「これが、余の忠臣達だ！」ｶｯ!

ベイダー「っ！」

　　ﾊﾟｧｧｧ……

アイリ「消え……た？」

アイリ（ベイダー、一体何が……）

ウェイバー「王の軍勢（アイオニオン・ヘタイロイ）……」

アイリ「え？」

ウェイバー「ライダーの持つ固有結界だよ」

ウェイバー「自分の軍勢数千人を英霊として丸ごと現界させて相手を蹂躙する……最強の宝具さ……」

アイリ「数千人!?　そんな馬鹿げた宝具があるわけ無いわ！」

ウェイバー「それを言うならあの剣だってそうでしょう？」

アイリ「それは……確かに」

ウェイバー「ライダーは戦友達と戦いに向かったんだ」

ウェイバー「僕は足手まといだから……だから置いて行かれた……」

ウェイバー「僕を馬鹿にした奴等を見返そうと聖杯戦争に参加したのに……僕は役立たずのままだ」

ウェイバー「僕は……僕は！」ﾀﾞﾝ!

アイリ（この子……）

アイリ「……そんな事は無いと思うわ」

ウェイバー「……え？」

アイリ「さっきベイダーが剣を飛ばした時、貴方は戦車の動きも制御されている事に気付いた」

アイリ「悪いけど、貴方が気付かなければあのまま終わっていたと思うわ」

ウェイバー「…………」

アイリ「それに本当に役立たずなら、そもそもこの場にすらいないはずよ」

アイリ「自信を持ちなさい。　貴方は、あのライダーのマスターなんだから」

ウェイバー「…………うん」

ウェイバー「でも……敵に慰められるなんてなんか変な感じだよ」

アイリ「あら？　そう言えばそうね……フフッ」

ウェイバー「……ハハッ」

アイリ「フフフフッ」ｸｽｸｽ

ウェイバー「アッハハハハ！」

今回はここまでにします

ありがとうございました

問題は、あの名台詞が聞けるかどうか、だな

お待たせしました！
時間が出来たので書いていきます。

>>74
名言だらけ過ぎてどれがどれだか解りませんが頑張ります。

～３０分後～

ウェイバー「多分、もうそろそろ決着がついてると思う」

アイリ「そうね……何となく解るわ」

ウェイバー「…………どっちが勝つんだろう」

アイリ「あら？　自分のサーヴァントを信じてないの？」

ウェイバー「そ、そんなわけない！　勿論ライダーが勝ってるに決まってるさ！」

アイリ「私はベイダーが勝ってると思うけど？」

ウェイバー「そりゃあ……僕ら一応敵同士なんだし……」

アイリ「フフフッ」ｸｽｸｽ

　　ﾊﾟｧｧｧ……

アイリ「っ！」

ウェイバー「来たっ！」

　　ﾄﾞｻｯ

ライダー「ぐぅぅ……」

ウェイバー「ライダー！　酷い傷だらけ……大丈夫!?」

ライダー「なぁにこれしき……ゴホッ！」

ウェイバー「全然大丈夫じゃないじゃないか！」

アイリ「ベイダー……ベイダーは!?」

ライダー「ハッハハハ！　あの男、流石暗黒卿を名乗るだけはある。　余の軍勢をたった一人で退けるとはな」

ライダー「だが……その代償はもらった」

アイリ「代償……？　まさか！」

アイリ（ベイダーが……やられた？）

　　ｶﾞｼｬ

アイリ「っ！」

　　ｶﾞｼｬ

ライダー「ふふふ……」

　　ｶﾞｼｬ

ウェイバー「嘘だろ……」



ベイダー「コーホー」

アイリ「ベイダー……腕が……」

ウェイバー「数千の軍勢と闘って左腕一本失っただけなんて……」

ライダー「誠に強者よ……ハハハ！」

アイリ「ベイダー、大丈夫なの!?」

ベイダー「生身では無いのでな。　問題は無い」

ライダー「さて、暗黒卿よ。　余はお主に敗北した」

ライダー「その手で終わらせるが良い」

ウェイバー「っ！」

ベイダー「……コーホー」

　　ｻﾞｯ

ウェイバー「ま、待てよ！」ﾊﾞｯ

アイリ「ウェイバー君!?」

ライダー「何をしておる！　そこを退け！」

ウェイバー「ま、まだ勝負は終わってない！」

ウェイバー「僕が……僕が相手だ！」

ベイダー「……」

ウェイバー「どうしたベイダー！　怖いのか！　かかってこい！」

ベイダー「…………」ｽｯ

ウェイバー「っ！」ﾌﾜｧ

ベイダー「コーホー」ﾌﾞﾝ

ウェイバー「うわぁ！」ﾄﾞｻｯ

ウェイバー「うぅ……」

ウェイバー「まだ……まだだ」

アイリ「ウェイバー君！　危険よ！」

ライダー「余は闘いに敗れた……その根性は認めるが」

ウェイバー「そんなの知るか！」

ライダー「……何？」

ウェイバー「僕はライダーのマスターだ！　なら、僕は最後までライダーと一緒に闘う！」

ウェイバー「うぉぉぉ!!」ﾀﾞﾀﾞﾀﾞｯ

ベイダー「コーホー」ｽｯ ﾌﾞﾝ

ウェイバー「わぁっ！」ﾄﾞｻｧ

ウェイバー「僕は……最後までライダーを信じるんだ……」ｻﾞﾘｯ

アイリ「ウェイバー君……」

ベイダー「コーホー」

ライダー「……そうか……」

ライダー「ならば……ウェイバー・ベルベットよ」

ウェイバー「？」

ライダー「お主は今から余の臣下だ」

ウェイバー「……え？」

ライダー「余を信じ、余の為に闘い、余と共に戦場に立つ戦士」

ライダー「それを臣下と呼ばずなんと呼ぶ？」

ライダー「お主は紛れもなく、余の自慢の臣下だ」

ウェイバー「…………うん」

ライダー「ウェイバーよ。　お主に使命を授ける」

ウェイバー「……なんなりと」

ライダー「生きろ。　生きて後の世に主の王の伝説を語り継げ」

ライダー「それが余の最初にして最後の命令だ」

ウェイバー「……はい」

ライダー「うむ」

ライダー「待たせたな、暗黒卿。　余の臣下の無礼を赦してくれ」

ベイダー「……良い従者だ」

ライダー「であろう？　ハッハッハッ」

ベイダー「コーホー」

ライダー「さぁ、一思いにやってくれ」

ベイダー「コーホー」ﾌﾞｫﾝ

ライダー「最後にお主のような者と闘えて、心の底から嬉しく思うぞ」

ライダー「礼を言う……」

ベイダー「……さらばだ」

　　ｼﾞｭｩｩ

ウェイバー（ライダー……僕の信じる王）

ウェイバー（必ず……必ず使命を果たすからね……）

ウェイバー（もし、また逢えたら……その時は……）

――――――――

――――――――

切嗣「そうか……解った」ﾋﾟｯ

舞弥「どうなりましたか？」

切嗣「ベイダーが勝った。　ただし左腕を犠牲にしたそうだ」

舞弥「それは……」

切嗣「今後の展開に支障を来すかどうかはあの暗黒卿と僕たち次第だ」

切嗣「さぁ、引き続きキャスターの居場所を探そう」

舞弥「はい」

舞弥「ですが……この程度の偵察、何故私一人に任せて下さらないのですか？」

切嗣「……情報に依ると、キャスターのマスターも少年らしいからだ」

舞弥「」

今回はここまでにします。

前回に比べて短めですが、ライダー編完という事でご容赦下さい。

ども、なんとか二、三日以内に戻って来ました。

どこまで書けるか分かりませんが、今から書いていきます。

～数日後～

切嗣「皆、集まったかい？」

舞弥「はい」

アイリ「えぇ。　ベイダー、左腕の調子はどう？」

ベイダー「少し動きが鈍い。　やはりこの星の技術力ではこれが限界か」ｷﾞｷﾞ

アイリ「そう……」

切嗣（ベイダーの切り落とされた左腕はライダーの固有結界の中に置き去りにされていた）

切嗣（残っている右腕から模造品を造ったは良いけど……想像を遥かに超える程に複雑な物質と構造だった）

切嗣（今は魔術による保護で何とか動かせている状態……戦いへの影響は避けられなさそうだな）

切嗣「さて、キャスターのアジトらしき場所は特定出来たわけだが……舞弥」

舞弥「……はい」ｽｯ

アイリ「あら、写真はこれ１枚だけ？」

切嗣「僕がこれ以上撮らせなかったのさ」

アイリ「何かあったの？　トラップ？」

切嗣「いや、もっと達の悪いものだったんだけど」ﾁﾗｯ

舞弥「スクラップブック……秘蔵本……同人誌……限定品……」ﾌﾞﾂﾌﾞﾂﾌﾞﾂ……

切嗣「……今話すべきはそれじゃない。　本題に入ろう」

アイリ「え、えぇ」

切嗣「地図で示すと、おおよそこの辺りだ」ｽｯ

アイリ「随分広いけど……これは工場後？」

切嗣「そう、だから正確な場所が分からない上に下手をすれば返り討ちだ。　厄介な場所に構えられたものだよ」

アイリ「ウェイバー君の時みたいに探せない？　ベイダー」

ベイダー「コーホー……」ｽｩ……

アイリ「どう？」

ベイダー「…………フォースの導きを感じない」

アイリ「そう……弱ったわね」

切嗣「僕に案があるんだ。　ベイダーとアイリはこのポイントにいて欲しい」

アイリ「案？　どんな案なの？」

切嗣「それは……悪いけど言えない」

アイリ「え？」

切嗣「ただ、成功すれば必ずキャスターを炙り出せる。　僕を信じてくれ」

アイリ「それは勿論だけど……ベイダーは？」

ベイダー「…………」

アイリ「ベイダー？」

切嗣（恐らく僕の思考を読もうとしているんだろうけど……精神を防御する魔術を仕込んだ。　そう易々とは読ませはしないさ）

切嗣「暗黒卿サマからの異論も無いみたいだし今回はこれでいく。　良いね？」

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――――――――

～工場後～

龍之介「なー青髭の旦那ー。　今日はどんなのやる？」ﾜｸﾜｸ

キャスター「それなのですが……今日は私は行けません」

龍之介「え！　なんで!?」

キャスター「申し訳ありません龍之介。　今日は私が生前から欠かさない祈りの日なのです」

龍之介「そうなんだ……あ！　じゃあそれ見てて良い？」

キャスター「えぇ構いませんよ。　龍之介は他ならぬ我がマスターなのですから」

龍之介「やりぃ！」

龍之介「それでそれで!?　いつやんの!?」ﾜｸﾜｸ

キャスター「ハッハッ、そう慌てないで下さい。　まずは広い所に行きましょう」

龍之介「んじゃあ……あっちの大工場の方？」

キャスター「はい。　神聖な祈りですから、それに相応しい場所で行わねばなりません」

龍之介「さっすが旦那だ！　超クールだぜ！」

～工場後・大工場～

キャスター「では始めます……心を静かに……膝をついて手を組んで……」

龍之介「うん……こう？」

キャスター「えぇ。　では私の後に続いて下さい。　一気に行きますので聞き逃さぬよう」

龍之介「オッケー」

キャスター「では……行きます……」

キャスター「」ｽｩｩ……



キャスター「ジャンヌ！ジャンヌ！ジャンヌ！ジャンヌぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん！！！ あぁああああ…ああ…あっあっー！あぁああああああ！！！ジャンヌジャンヌジャンヌぅううぁわぁああああ！！！あぁクンカクンカ！クンカクンカ！スーハースーハー！スーハースーハー！いい匂いだなぁ…くんくんんはぁっ！ジャンヌダルクたんのブロンドの髪をクンカクンカしたいお！クンカクンカ！あぁあ！！間違えた！モフモフしたいお！モフモフ！モフモフ！髪髪モフモフ！カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい！！
矢傷を受けて泣き出すジャンヌたんかわいかったよぅ！！あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ！！ふぁぁあああんんっ！！
パテーの戦いで大勝利出来て良かったねジャンヌたん！あぁあああああ！かわいい！ジャンヌたん！かわいい！あっああぁああ！
大聖堂での戴冠式を促して…いやぁああああああ！！！にゃああああああああん！！ぎゃああああああああ！！ぐあああああああああああ！！！悪魔崇拝なんて異端じゃない！！！！あ…異端審問も異端再犯もよく考えたら…ジ ャ ン ヌ ち ゃ ん は 極刑 に さ れ た ？にゃあああああああああああああん！！うぁああああああああああ！！そんなぁああああああ！！いやぁぁぁあああああああああ！！はぁああああああん！！ぁああああ！！
このイングランド軍め！ちきしょー！やめてやる！！騎士なんかやめ…て…え！？見…てる？絵画のジャンヌちゃんが私を見てる？絵画のジャンヌちゃんが私を見てるぞ！ジャンヌちゃんが私を見てるぞ！ジャンヌちゃんが私を見てるぞ！！
銅像のジャンヌちゃんが私に話しかけてるぞ！！！よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ！いやっほぉおおおおおおお！！！私にはジャンヌちゃんがいる！！やったよデュノワ伯！！ひとりでできるもん！！！
あ、姿絵のジャンヌちゃああああああああああああああん！！いやぁあああああああああああああああ！！！！あっあんああっああんあミカエル様ぁあ！！ラ・イール！！アランソン公ぅああああああ！！！シャルルぅぁあああ！！
ううっうぅうう！！私の想いよジャンヌへ届け！！天界のジャンヌへ届け！ 」

キャスター「……ふぅ」

龍之介「」

キャスター「どうです？　私の長年に渡るジャンヌへの愛の祈りです」

龍之介「す」

キャスター「す？」

龍之介「すっっっげぇぇぇぇ!!!!　超超チョォォォゥクールだぜ旦っ那ぁぁぁぁ!!!!」

キャスター「そうです、そうですとも！　この愛の素晴らしさを理解してくれたのは龍之介だけです！」

龍之介「なぁなぁ旦那！　俺も出来るかな!?」

キャスター「出来ますとも。　そこに愛があれば」

龍之介「なら出来るさ！　この世界は愛に満ちてんだもん！」

キャスター「そうですね……では最初からやりましょうか。　この祈りを一晩中続けなくてはならないのですから」

龍之介「オッケー！　俺も頑張るぜ！」