十代「って事でさ」

遊矢「アルバイトか」

柚子「どういうアルバイト？」

十代「それがさ見せてくれねえんだよな」

遊矢「前みたいに失敗しないかな」

柚子「少し不安よね」

十代「あいつは一度ミスったら同じミスはしねえよ。それは遊矢と柚子が一番わかってるんじゃないか？」

遊矢「そうだけど」

十代「俺が構うと嫌がるからさ」

柚子「私達がセレナを見守るのね！」

遊矢「大丈夫だよ十代さん！今度はちゃんと見てるから」

十代「じゃ任せたぜ」

遊矢「もう行くの？」

十代「自分達の事はなるべく自分達でしなきゃな」

セレナ「私は配達が向いているはずだ。お前もそう思うだろ？」

ファラオ「ニャ」

セレナ「このピザを届けるだけだ。腹が減ったからといって食べるのはダメだったな」

ファラオ「ニャ」

遊矢「ちゃんとわかってる感じだな」

柚子「うん」

セレナ「金を貰ったらお前の餌を買ってやるからありがたく思え」

ファラオ「ニャ」

遊矢「十代さんの猫と会話してるぞ・・・」

柚子「そういう所は女の子らしいのよ」

セレナ「今回は地図が無いからよくわからん・・・店長とかいう奴もも地図ぐらい書け」

ファラオ「ニャ」

セレナ「こっちか？こっちでいいんだな？」

ファラオ「ニャ」

セレナ「少し休憩するか」

ファラオ「・・・」

セレナ「どうした？」

ファラオ「・・・」

セレナ「まさか腹が減ったのか」

ファラオ「・・・」

セレナ「わかった。何かタヌキが食えそうな餌を探して来てやるから大人しく待ってろ」

遊矢「何処か行ったぞセレナ」

柚子「遊矢！」

ファラオ「ニャ」クチャクチャ

遊矢「ピザ食べてるぞあいつ！」

柚子「止めないと！」

ファラオ「ニャアアアアアアアアア！！！」

遊矢「逃げるな！待て！」

セレナ「とりあえず、このミカンでいいだろう」

柚子「セレナ」

セレナ「何をやってるんだ？」

柚子「こ、これ」

セレナ「ピザが・・・お前か！？」

柚子「ち、違うわよ！十代さんの猫が」

セレナ「タヌキが？そのタヌキは何処へ行ったんだ？」

柚子「逃げちゃった」

セレナ「逃げた！？」

柚子「けど遊矢が・・・ほら！」

遊矢「つ、捕まえた」

セレナ「お前たち！私をつけて居たのか！？」

遊矢「ほ、ほら心配だから」

セレナ「私は子供じゃないんだぞ！あっちへ行け！」

セレナ「ここでいいんだな？まったく奴らは・・・」

ファラオ「・・・」

セレナ「食ったものは元には戻らん。事情を話せばわかるだろ、所詮は一切れ程度だ」

ファラオ「・・・」

セレナ「ここで待っていろ」

ファラオ「・・・」

セレナ「入るぞ」ガチャッ

「ちょっと遅かったんちゃう？」

セレナ「色々とゴタゴタがあってな」

「そうなんや・・・それやったら強言えんな・・・まあええわ、なんぼなん？」

セレナ「確か1600円らしいぞ」

「ちょっと待ってな・・・カードでも買い、お釣りいらんわ」

セレナ「あ、ああ・・・実は」

「ちょっと待って！これ何？」

セレナ「・・・は、腹が減って私が食べた。あいつが食べたんじゃない！」

「あのさあ・・・腹減ったからって食べたらあかんやろ？」

セレナ「・・・」

「でもな、わからんでもないねんこの気持ち」

セレナ「・・・」

「俺もめっちゃ腹減ってんねん・・・わかるなこの意味」

セレナ「ああ」

「俺も食べ」

セレナ「何をする！」

「お前やろ先につまみ食いしたんわ！俺にもさしてや！」

セレナ「くっ・・・」

「これからな、こういう事はいくらでもあんねん」

セレナ「な、何をするんだ」

「慣れんとアカンでこういうの、こんなつまみ食いやったらまだまだ大丈夫や」

セレナ「私の身体に触るな！」

「ピザは無くなったやんもう、ここはまた・・・終わっても残ってるやん？」

セレナ「そ、それとこれとは関係がない！」

「でも俺のピザはもう一生ないねんで？わかる？この罪の重さ」

「俺がちょっとつまみ食いするくらい笑顔でやらしてくれてもええんちゃう？」

十代「そういうのはつまみ食いって言わないんだぜ」

「何やこのデュエリスト！？」

セレナ「十代！」

十代「ピザ食ったのは俺の猫なんだ。悪かったな」

セレナ「ち、違う！私が」

十代「こういう時は素直に謝らねえとダメだぜ、セレナ」

セレナ「だがこいつは私に」

十代「金はいらない。だからこの子を勘弁してやってくれないか？少し世間知らずな子なんだ」

セレナ「ど、どうして」

十代「たまたま通りかかったんだ」

セレナ「たまたまか・・・」

十代「ああ、一人でちゃんとやれるもんな？」

セレナ「あ、当たり前だ・・・さっきだってちゃんと謝ってやろうとしたぞ」

十代「そうか」

セレナ「あ・・・」

十代「どうした？」

セレナ「な、何でもない！用が済んだならもう行っていいぞ！」

十代「わかったよ。また会おうな」

セレナ「・・・」

セレナ「・・・ありがとう十代」

十代「礼はちゃんと言えるんだな。偉いぞセレナ！」

セレナ「まだ居たのか！？！私は礼なんて言ってない！」

十代「へへへ！ガッチャ！お礼を言ってくれて俺も嬉しいぜ！」