【艦これ】提督「安価で艦娘を壊す……?」 (1000)


・軽度のエログロリョナあり

・鬱あり

・全年齢

・艦娘が酷い目にあう

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 ――毀したい。

 いつからだろうか。そう思って止まないのは。

 例えば、こんな覚えはないだろうか。

 好奇心と嗜虐心が混じりあい、優越感と征服感が満たされるような昏い妄想だ。

 人に捨てられて人間不信になった犬を大切に大切に育てて、暮らして、行動を共にして――。

 漸く懐いてその犬のかけがえのない人間になった時に、再びどこか遠くに捨てに行くような。

 自分を慕い、崇め、敬う、元気で可愛い後輩を――手酷く練習試合で痛めつけるような。

 苦心して作り上げた恋人との思い出になるガラス細工を床に叩きつけて、その欠片を踏みにじって台無しにするような。

 向上心があり、明るく、純粋で、人が良く、気さくな少女に無修正のスナッフポルノを見せつけるような。彼女の姉を目の前で組み伏せ破壊するような。

 そんな、己の心の一部にも痛みを覚える自虐的で恍惚とした陶酔。心の瀉血を行うごとき快楽と愉悦。

 静かに頬が吊り上がる――どうしても今までは実行できなかった。

 だけれどもこれからは出来る。

 いい時代になったものだ――本当にそう思う。



提督「あー」



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓3 艦娘の名前を。シチュも採用する場合も

いきなりゾロ目とかクッソw

ちょっと待っててな


提督「望月」

望月「あいあい、なにー」

望月「遠征ばっかりで肩こってるんだよねぇ……いやー、ホントさぁ」

提督「……その、いつもすまないな」


 心底申し訳なさそうな、己が不甲斐ないという提督の寂しげな笑み。

 眺めつつ、望月は嘆息した。


望月「……別にいいって。言っただけだからさー」

提督「……」

望月「んー、もー、面倒だなぁ……」

提督「……」

望月「そんな顔するなってー、こっちも好きでやってるんだからさぁ……」


 そうは言っても晴れない目の前の男の顔に、長嘆息。

 男がどれだけ努力しているのか――正直面倒じゃないのか――、男がどれだけ誠実に振舞ってるのか知っている。

 本来なら、艦娘を前線に送り出す事も避けられるべきなのだろう。彼の中では。

 だからこそ……そんな優しさを持っている相手だからこそ、望月も口ではどう言いつつも指示には逆らわない。

 ……それだけでは、ないが。


望月「で、司令官。何の用なのさ?」

提督「ああ……その」


提督「うちに来てから、かなりの時間が経ったろう?」

望月「あー、そんなになるっけ?」


 とぼけた声。でもこれは嘘。

 面倒だけど、ちゃんと覚えている。


提督「そうだ。鎮守府が始まってから……本当に初めから、良くやってくれた」

望月「遠征ばっかだけどね」


 面倒だから前線には出たくないけれど。

 それでも、そういう戦い方面で力になれないのは少し悔しいし、悲しい。不甲斐ないと思う。

 肩で風切り出撃する戦艦を見ながら、思う事もあった。言いはしないが。


提督「物資がなければ、戦えない。表に立つ事だけが戦いじゃない」

望月「兵站ってのは分かってるって」


 なお、望月のその胸部装甲も平坦である。

 ……その事について思う事もある。無論だ。女の体をしているのだから。


提督「それで……話があるんだが」

望月「何さ」

提督「その……この戦いが、一段落したら……なんだが……」

望月「へ?」

提督「伝えたい事がある。……その、予約としてこれを預かっていてもらえないか?」


 差し出された紺色の、毛羽立った箱。

 その意味が解らぬ望月ではない。

 中を開けるな――と言われて。結局、それを持って遠征に出た。

 その遠征が終われば。伝えたい事があると。

 そう告げられて、遠征に出された。新たに表れた深海棲艦の撃滅作戦の最中。物資の確保に急行軍。

 使える兵を前方に回したがために、中には練度の低い艦娘もいた。

 兎に角一刻も早く補給線を保つのだと、慣れない航行を行う新人を連れて南に急いだ。

 そして――


望月(あー、クソ)

望月(台風で、敵艦見えなくてやられるとか……ホント、さぁ……)

望月(急ぐとか、そーゆーのキャラじゃないってのに……ドジっちゃって……あー)

望月(暗いなぁ、これ……慣れないって、こんなの……)

望月(……)

望月(せめてちゃんと、楽しかったって伝えとけばよかった……)

望月(何やってんだよ、あたし……)


 暴風に揉まれて、光も見えない水底に沈んでいく。

 本当ならきっと、回避できたはずだった。咄嗟に取りこぼしそうになった箱に気を取られて、それを受け止めようとしなければ。

 ああ……。

 せめて沈むんなら、これを指に嵌めて……。


望月(出来たら、司令官に嵌めて貰いたかったけど……)


 そして箱を開いたその場所には。

 見慣れぬ妖精の姿と、メッセージカードが。





   沈むのどうですか? これがあなたへの贈り物です。答えを直接訊けないのが残念です




提督「……よしよし、報告と妨害ご苦労妖精さん」

提督「さて……と」



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓3 艦娘の名前を。シチュも採用する場合も

ゾロ目あのさぁ……

あのさぁ……


はいちょいまち


提督「……」

秋月「あの……」


 例えば千の爆弾や万の魚雷を抱えた飛行機がいるとして。

 そのどれからも、艦隊を守れる覚悟である。

 そのために自分は産まれたのだから。その為に自分は存在するのだから。

 だけれども、きっと――。


提督「どうしたんだ、秋月」

秋月「いえ……司令、その……」


 だけれども、きっとこの男に降る雨を止める事は出来ないだろう。

 護る事は出来ても、救う事は出来ない。

 庇う事は出来ても、助ける事は出来ない。

 防ぐ事は出来ても、慰める事は出来ない。

 艦娘の一人が轟沈した。戦線が圧迫し、そして、物資が不足しつつある中での急行軍だ。

 司令官に咎があるかと言われたら、無論あるのだろう。万全の貯蓄を持って戦闘に及ばないのだから、そうなると言われればそれまでだ。

 だけれども、誰が彼を攻められようか。

 彼は忠実に、大本営からの指令を熟した。その中で、艦娘たちにも気配りを忘れなかった。

 本部からせっつかれて、国民から後押しされて、彼は何とか戦った。実際に戦うのは艦娘だとしても、彼はそれを整える為に尽力した。

 それに何より、先の激戦は敵から仕掛けられたもの。それを被害を抑えて迎撃しただけでも、彼の行動は称賛されるべきだ。

 その追撃と殲滅を行えという大本営の指示。断る事など出来る筈もない。


秋月「……」


 艦娘の、輸送中の轟沈に――司令の顔色は優れない。

 皆が皆、衝撃を受けはした。

 だけれども彼女たちは戦闘員だ。隣に居る仲間が絶対のものではないと知っているし、戦場でそんなものは幻想だと分かっている。

 だからいつだって覚悟している。

 だけど司令官は――同じ軍人なのに前に出る事が出来ずに、ただ知らせを受けるだけの彼はどうだろうか。

 一度死んで蘇った身である秋月らとは、きっと死の重さが違う。

 女子供を前に出し――なんて事ではないが、きっと、受け止める重みは違う。男として、司令官として。


秋月「あの、司令!」

提督「……どうした?」

秋月「その……上手くは言えないのですが……あの……」

提督「……」

秋月「……秋月では、提督の力になれませんか?」


 迷った末に、ついぞ切り出した。

 それから、渋る彼に付いて、項垂れる彼を起こして、口を閉ざす彼を前にして、ついに秋月は事情を聴いた。

 二人きりだった。誰にも言わないでくれと……そう言われた。

 彼が、轟沈した望月にケッコンを申し込むつもりであった事。

 彼女とどれだけ初めから苦労を共にしたのかという事。

 自分が急がせたせいで……と言う事。

 後悔を聞いた。懺悔を受けた。憂いを抱きしめた。


秋月「あの……」


 それから――。

 彼の言葉には、半ば衝撃を受けている自分がいる事に気づきながら。

 同時に、彼の背負ってしまった痛みに僅かばかりの悦びを覚えながら。

 そんな不謹慎な事を考えた己を恥じ、悔い改めようと思いながら。

 秋月は、言った。


秋月「……今じゃなくても。秋月が、代わりにはなれませんか?」


 図々しく、不躾で、押し付けがましい言葉だと思った。

 なんて恥知らずなのだろうと思った。

 でも――そう、そこには秋月の願望だってあるけど――あるのだけれども。

 それでも目の前の男の寂しそうな笑い顔を、何とか止めたいと思ったのだ。その台詞が余計に彼を苛む事になるかもしれないけど。

 だけども……。


提督「……ありがとう。でも、すぐには割り切れない」

秋月「いえ、あの……秋月の方こそ、申し訳ありません……」

提督「……だから」

秋月「?」

提督「だから、時間をくれないか?」

秋月「……!」

提督「君の練度だと、まだ不足だから……君が十分になるまで」

提督「そのときまで、待って貰えないか……?」

秋月「は、はい!」


 そんな彼の言葉が嬉しくて――本当に。なんて自分は酷い人間なのだろうと、酷い艦娘なのだろうと思った。

 どこかで、司令官の不幸を悦んでいる。望月の轟沈を歓迎している。

 そう思われても仕方がない。なんて自分本位で、歪んだ愛情なのだろう。

 でも――


秋月「この秋月、艦隊の為により一層頑張ります!」





   ―――― 駆逐艦娘、秋月型1番艦。頭部損壊により死亡。


   ――――尚、争った形跡はなく、自害したものと思われる。







提督「睡眠不足、栄養不足、過労……と」

提督「戦闘行動、負い目、承認欲求、目標の喪失」

提督「鬱になるには十分な条件だな」

提督「さて……」



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

やっと死なない話が書ける。轟沈は心が痛む

やや精神的より、やや被害


提督「……清霜」

清霜「なに、司令官?」

提督「本部の方から……戦艦への適性試験という試みが行われるんだが」

提督「その……」

清霜「戦艦!? 戦艦になれるの!?」

提督「……いや、それなんだが、まだ効果が」


 言われて直ぐに、清霜は飛びついた。

 戦艦になれる。

 戦艦というのは、憧れだ。目標だ。夢であり希望だ。

 駆逐艦は軍艦じゃない、なんて言葉がある。実際事実、帝国海軍では駆逐艦は軍艦とは別に区分された。

 言うなればアヒル。白鳥にもなれない、ただのみすぼらしいだけの小型船。

 対する戦艦は――――まさに花形だろう。

 実際のところ、かつての彼女が居た処ではそうではなかった。大艦巨砲主義は衰退し、戦場の華は航空機とその母艦に取って代わられた。

 でも――戦艦がいいのだ。

 颯爽と、震災に遭った国民の救援に向かった戦艦の話を聞いた。

 味方を悩ませる飛行場を撃滅した戦艦の話を聞いた。

 この国の名を背負う戦艦の話を聞いた。

 そして――


清霜「でも、マジになれるんだよね? ねえ?」

提督「かも知れないというだけだ……まだ試験中なんだ」


 戦艦ならきっと。死に行く仲間を守る事が出来る。沈みゆく味方の盾になれる。万の敵を打ち払う事が出来る。

 きっと、居るだけでその場の希望になれるのだ。自分が憧れるように。皆の目にも、燈を灯せる。

 激戦の中、昏い顔をして進みゆく兵士たち。前に向かって、別れたきり帰ってこない味方たち。

 そんな人たちにも、きっと――。



 ――――左目を抉られる。腹部を吹き飛ばされる。足を千切られる。耳を削がれる。胸を削られる。顎を砕かれる。


 ――――左半身へと集中する弾丸。焼きついた鏝を突き入れられる。穴を穿たれる。爆薬で脇腹が吹き飛ぶ。


 ――――直撃した魚雷に内臓が撹拌され混ざり合った小腸と大腸が僅かに残った腹膜を刺激し気が狂わんばかりの悶絶が。


 ――――叫んでも叫んでも声が届かない声帯が焼け落ちた指が動かないまだ動けるまだ死んでない嫌だ雷撃が。


 ――――置いて行かないで連れて行って嫌だ皆と一緒に帰りたい帰りたいどうしてこんな場所でお願い見つけて助けにきて。


 ――――両足がもがれて動く事もできずにただ焼け落ちるだけの街を見て逃げ惑う人々が大きな雲に覆われて蒸発して。


 ――――脊髄へと到達するほどの多大な爆裂に肉体が千切れ飛び下半身が皮一枚で繋がるそこに両足だけが前に出て真っ二つに。



 断続的に与えられる記憶の追体験に既に精神は限界へと達しいくら叫びを上げても誰も聞きとめる事なく淡々と狂った脳裏に電気が流され――。

 しかしそれでもまだ狂う事が出来ずに誰かになって死に行くものを見続け自分が砕かれ殺されてい行く手足に群がる羽虫のような艦載機――。

 沈んだ体の内から湧き出てくる溺死した人間の体が鮫に喰われて腐敗した体が蝦蛄の餌になり恨めしげな眼でこちらを見てきて――。

 魚が入ってくる自分を侵してくる笑いながら異人が自分の体を蹴りつけ――――。


提督「清霜……その、本部の方は……?」

清霜「っ」

提督「清霜……?」

清霜「あ、な、なんだっけ? じ、時報だっけ? あはは、あは」

提督「清霜、大丈夫か? その、本部で何か……」

清霜「な、何でもないよ! ご、ごめん司令官! ごめん!」


 白い軍服が近付いた瞬間に清霜の脳裏に浮かぶのは数多の映像。

 何度も殺された。何度も砕かれた。伸ばした手が届かず、味方が粉みじんに吹き飛び、無慈悲に破壊される。

 沈痛な顔を浮かべながら雷撃処分を行う艦の顔が焼き付いて離れない。

 戦艦になったら、希望になれると思った。

 だけど今は……。

 与えられたのは。呆然として、希望が奪われていく人々や仲間の顔。


清霜「ご、ごめんね司令官? あたしちょっと用事思い出しちゃった!」

清霜「ま、またあとでね?」


提督「肩を竦めて怯える清霜も新鮮だな……これは」


コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

今度はもうちょっとソフトですね。心が傷まなくて良いです

で、飛龍のについでにもう一体


コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

はい、こっちも威力は少ないですね。ソフトであまり女の子が泣かないで済みそうです
あと、0だとほのぼのします。イチャコラします。一心不乱にイチャコラします


いきなり二隻も沈むなんてこのスレどうかしてんじゃないかって感じのは驚きでしたが、明日のどっかでまたやるんでお願いしますね

どんなにアピールしても他人から完全無視される早霜とか…
史実ネタは控えたほうがいいかな?

あ、史実ネタ大丈夫ですよ
>>44とか史実ネタ(戦艦の境遇)ですから。出来れば礼号ネタで霞や足柄・眼鏡さんとも絡ませたかったけど

あと死んでない艦娘は再度取得して貰ってもオッケーです。徐々に壊します
あとイチャコラはちゃんとイチャコラしますので安心してください。ある程度大事になってから壊す方がそれっぽいですから

ちゃお、始めます


※単発不可
※連続取得不可


 人間の壊し方を知っているだろうか。

 人の壊し方はいくつかある。


 一つ目は、それまで支えにしていたものを踏みにじる事。

 信頼、矜持、人間関係、実力――なんでもいい。とにかく、価値があると思っていたものを、価値がないのだと思わせる事にある。

 ピアノのコンクールで優勝した少女が居たのなら、事故でその指を奪い去ればいい。

 体を鍛えて自負を持ったのならば、組み伏せて殴りながら犯せばいい。

 恋をしているのならば、盛り上げてから手酷く裏切ればいい。

 或いは、人間の命は尊いという誰しもが持つ大前提を破壊すればいい。それが即ち戦争である。人が人を殺す事は、容易く心を捻じ曲げる。


 二つ目が、役割を与える事。

 人間はみな、生まれながらにして人生という名の舞台の役者であるという言葉があるが。

 人間というのは面白い事に、役割を与えたのならそれを演じるようになる。

 軍隊で、部下が上官においそれと逆らえないのもそれ。学園のカーストも、家の秩序も、交友関係も、いつだって人がその役割を演じ始めるからこそ起こる。

 だから囚人と看守を作ると、恐ろしいまでに人間は役割に順応しようとする。

 自分が壊れてでも、枠に己を当てはめる。


 三つ目は、悪意をぶつける事だ。

 人は誰しも、己を認められたいと思っている。無意識の心の内で、そんな欲求がある。

 だから、認めなければいい。

 親という無条件に自分を愛してくれる存在から否定をされた子供は、歪んで育つ。注目欲しさに暴力事件を起こし、受け入れられるわけがないと捻くれて育つ。

 悪意は、最も強い否定だ。存在そのものを、拒絶される。

 強烈な悪意をぶつけられるというのは即ち、与えられた彼や彼女はそれほどまでに誰かにとって価値がなく否定されるべきものと突きつけられる事なのだ。

 強姦しかり、暴行然り、殺人然り――――強烈な悪意を受けた人間は、心に傷を負う。

 後は劣等を嗤えばいい。どんな身体的特徴でも、それが異常だと笑い続ければいい。存在が狂っていると教えればいい。

 正常を異常と笑えば、やがて狂気に包まれる。正しさを失う。マイナスにマイナスを掛けてプラスを保つように、人間は自然と異常を来たす。


 四つ目はそれを長く続ける事。そして吐き出させない事。

 吐き出す事で、それは過去となり思い出となり、いずれは心の内で消化されていく。
 
 故に許さぬ。いつまでも辛い現実を、今起こっているのだと教え込む。長ければ長いほど、人間の心は腐り膿む。

 何度も何度も与えられれば、それは誰かの日常になり、やがて誰かの世界となる。先が見えず、終わらない今の繰り返しに、心は時間の流れを失う。

 そうなれば、過去にならない。いつまでも揺り起こされる。決して風化せずに、幾度でも追想される。


 さて、どうやって壊そうか――。


提督「……」

まるゆ「隊長、どうしたんですか?」

提督「ああいや、車でも買おうと思ったんだが……」

まるゆ「?」

提督「中古品しかなくて……」

まるゆ「隊長さんは、中古品は嫌なんですか?」

提督「……他人が使ったものはどうにもな」

まるゆ「そうなんですか?」

提督「その人間の臭いというか、気配が残っている気がしてな……どうにも気に触るというか」

提督「前の癖が出ていて、運転しづらい気がするんだ」

まるゆ「まるゆは運転しないので判りませんが……そうなんですね」

提督「どうにもその所為で食い違いが出てきたりすると、命に係わるかもしれないからな」


飛龍「……っ」


 ――多聞丸、見ててくれた?

 ――ここで撤退? ……判りましたけど。

 ――提督、そんなんじゃ多聞丸に笑われますよ。

 ――多聞丸に言いつけますよ!


飛龍「……」

提督「……そうだ、まるゆ」

まるゆ「はい、司令官さん」

提督「いくらか潜水のやり方を調べてみた。やってみようか、素潜り」

まるゆ「ひっ」


提督「珍しく飛龍の笑いに元気がなかったな」




コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

超肉体的で威力ほぼなしですね
楽しいブートキャンプかな?

大体4ぐらいを境に破壊力あがりますんで


 戦艦は確かに、憧れだった。

 清霜が生まれたのが末期だったからだろうか。

 栄えある帝国海軍は既に斜陽であり、前線の兵は送られてくる海軍の外套にシラミが湧いている事に、

 常に精悍であるべき海軍の、そんな処にも気が回らないという事実に――決定的に敗戦を覚悟したという。

 皆が倦んでいた。

 皆が飽いていた。

 誰しもが俯きがちで、想像できる未来から目を背け、それでも決死で進んでいく。


清霜「……」


 でも、でもさ。

 戦艦は、格好いいんだよ。

 あんなにも強いんだ。

 だからきっとさ。大丈夫なんだよ。

 ああ、戦艦になれたのなら。

 戦艦になれたらきっともっと、皆も明るくなれるんじゃあないかな。

 仲間も死なずに済むんじゃないかな。


清霜「戦か……、――うっ」


 泣き別れする上半身の痛み/脊髄が音を立て破断する痛み/半身だけを焼かれる痛み/全身くまなく撃ちぬかれる痛み。

 置いて行かれる恐怖/声が届かない恐怖/ただ見ている事しかできない恐怖。

 呉が燃える/島が燃える/躰が燃える。

 腹に突き刺さる魚雷。太腿を千切り飛ばす爆弾。頬を撃ちぬく弾丸。食い縛ろうとした頬が裂けて、筋線維が一本一本解れて出血する。


清霜「あ……、あ、あ」


 どれも幻覚。ありもしない体のどこかが痛み、疼く。自分が自分でなくなる気分。

 戦艦を見れば、思い出す。自然と浮かんでくる。海軍服を見ても同じ。眠っていても、浮かび上がる自分でない過去の光景。

 ふと目にした執務室の机に置かれた、ペーパーナイフ。

 どこにでも売っている市販品。それを――




    思わず刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して――――。


    震える左手が止まった。じくじくと疼く痛みが仮初の体験を塗りつぶす。


    これは自分の躰だ。自分の痛みだ。これが自分だ。これが自分なんだ。


    突き刺す肉に快感を覚える。振り下ろしているのは自分だ振り下ろされているんじゃない。


    集中した肉に突き立てられた刃先が繊維を抉って絡ませるその度に悲鳴が上がるがこれは自分の声だ。


    これが自分なんだ。これが自分だ。そうだ大丈夫まだ痛いから壊れてないんだ。





提督「どうやら、別の物を買ってきたらしいな」

提督「気に入ってくれたなら何よりだ」




コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓2 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

駆逐艦ばっかりだ……なんだこれは、たまげたなあ……


肉体的に、それなりに強くですね

ゾロ目二回は肉体より(33)で足かせ付けて轟沈と中央値(55)で自害だから精神よりがまだやね
多分艦娘とゾロ目の数だけパターンはあるんじゃないかな?死は肉体的な意味だけではないだろうし?


提督「……」


 戦いは無益なものだという言葉がある。

 勝ったとしても犠牲は必然で。負けたならいうまでも無くて。

 失ったものは、決してどうあがいても戻ってくる事なんてない。

 勝者は良いだろう。犠牲者は、勝利の為に必要だったと――彼らのおかげで手に入れられたと言えるのだから。

 だけれども敗者は救われない。深く長い傷を与えられる。

 時に人はその傷を忘れたくて、それから目を反らそうとして、戦いをした事自体を思い出そうとしない。

 全ては一括りに悪。

 戦いに進んだものは悪。戦いをした人間は悪。戦いをする行為が悪。何もかもが悪。

 だから傷跡は悪で、悪を悪と割り切った自分たちは悪じゃなくて、自分たちは傷跡を持っていない/傷を負っていない。

 そうして人は、檻の中にすべてを仕舞って切り離す。


朝潮「……っ、司令官!」


 でも、自分たちはここにいるのだ。

 そうして、忘却の海へと沈められて、触れるべきものじゃないと遠ざけられて、あの日の思いもあの日の覚悟も無視されて。

 それでも今はこうして、ここにいる。戦うためにここにいる。その為に作られた存在が、こうしてまたもやここにいる。

 今度こそは胸を張れる戦いを。今度こそは、自分たちを使い切ってくれる戦いを。今度こそは、忘れられない戦いを。

 本当の意味で、自分たちが存在した事を誇りにしてくれるように――。


朝潮「朝潮は、どんな作戦でも全うして見せます!」

朝潮「御命令を!」


 だから大丈夫なのだと。

 そんなに消沈しなくたって、そんなに気負わなくたって、そんなに悲しまなくたって。

 大丈夫なのだと、言いたかった。貴方は決して間違っていないと。貴方は、貴方の今までを誇ってもいいのだと。

 誰も、恨んでも悔やんでもいないのだと。

 だけど――。


朝潮「しれい、かん……?」

朝潮「ぁ……」

朝潮「――っ」



 圧し掛かる男の両手が、顎を無理やり開かせた。

 掛かる体重に、唾液を纏った舌が自然と突きだされる。

 込みあがる吐き気と焦燥感。与えられる圧力そのままに、潤んだ目が飛び出してしまうという錯覚。

 喉の音がやけにうるさい。掠れた、乾いた吐息が喉に心臓があるみたいにずっと鳴り立てる。

 溺れていた。地上で溺れていた。喉を擦過する空気の音に、蟀谷で脈打つ心臓の音に、目の前の男の血走った目に溺れていた。

 かひゅう、と喉が鳴る。

 いくら吸い込んでも肺が膨らまない。動転する気道の内で、呼気と吸気が混ざり合う。肺に穴でも開いたのかと、空っぽなまま膨れ上がる。

 知らずに手を振り回していた。両足をバタつかせて、全身を跳ねさせて抵抗していた。

 でも――。

 だけど――。


朝潮(司……令官、泣……い、てる……?)


 きっとこれは自分が悪い。

 きっとこれは自分が悪い。

 無神経に彼の心を抉ってしまったから。

 整理を突けようとしている最中につついてしまったから。

 ああ、だったら……。

 そうだ、自分は戦う存在なんだ。司令官とは違うんだ。強いんだ。

 元は鋼の躰だった。元は海を行く躰だった。元は雨風に負けない躰だった。

 だから、大丈夫だ。こんなのは大丈夫なのだ。自分が受け止められるからきっと、大丈夫なんだ。


朝潮(あさしおは……ここに、います……)


提督「……すまない、朝潮」

提督「私は……どうかしてたんだ……済まない……」

朝潮「げほっ。ごほっ……へ、平気です」


 そう思っても体は抵抗していたのだろう。司令官の手のひらには、いくつもの爪痕が残っていた。

 手の甲に浮かび上がった傷跡が、彼の心から流れる涙のような気がした。


提督「君に……君に、こんな……」

提督「……」

提督「私は……」


 だから朝潮は、言った。


朝潮「他の人には、言いません」

提督「違う、そうじゃなくて……私が、きみに」

提督「君を、殺そうと……」

朝潮「問題ないです。朝潮は、朝潮型駆逐艦のネームシップなんです」

朝潮「司令官、傍には朝潮が居ます」


 その傷だらけの手を取った。自分が与えてしまった傷を、己の手のひらで包んだ。


朝潮「朝潮は、司令官の味方です」


提督「代わりにマフラーを欲しがっていたな」

提督「首の痣を隠すつもりなんだろう」



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓2 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

赤城ですね

ゾロ目は一応ゾロによって内容変わりますね。ただ轟沈するだけじゃないですよ


赤城「うー、ボーキボーキ」


 今、ボーキを求めて全力疾走している私は、艦隊に所属するごく一航戦な女の子。

 強いて違うところを上げるとすれば、MIに興味があるってことかナ――名前は赤城。

 そんな訳で、通り道にある提督の執務室に通りかかったのだ。

 ふと見ると、執務室の椅子に一人の若い男が座っていた。

 ウホッ、いいボーk……いい提督。


赤城(ドアが開いてる……)

赤城(提督は……電話中かしら?)

赤城(私はここで押し入ったりしませんよ。一航戦の誇りがありますから)


 そう、こんなとこで電話中にも関わらず突入するというのはよろしくない。

 それは例えるなら敵機が直上に現れているのにもかかわらず甲板に魚雷と爆弾を満載にしておくようなものである。

 誇りある一航戦は無茶しない。

 ここで気安く「提督さーん!」などと突入するのは、彼との関係に対する油断である。慢心である。

 だから大人しく廊下に立って辺りの索敵をするのである。

 提督の大事な会話を、そう、軍事的に秘匿とされるかも知れない会話を聞こうとする輩を取り締まるのである。

 その際で提督の会話が聞こえてしまうのは仕方ないのである。

 練度的に言ってそろそろ指輪とか気になるのである。


赤城(何かしら……)




提督「ですから、これ以上はできません」

提督「わが鎮守府としても、ただ今全力を持って作戦に――っ、はい!」

提督「国民に負担がかかっているのは承知ですが、そもそも深海棲艦を……!」

提督「ですから……!」

提督「断じて、誰一人として無駄に資源など使っていない! 皆が皆、全力を尽くしています!」

提督「……っ」

提督「ならば、直接こちらに赴いたらどうですか!」

提督「風呂桶の水のように、自分の勝手で資源を湯水のように使うものなどいません! それが分かるはずだ!」

提督「それが、前線に進む兵に対して言える事ですか!」

提督「彼女たちは、少ない資源の中でもやりくりして戦っているんだ!」

提督「ええ、そうです! そちらからの指示に基づいた作戦では、このままでは立ち行かなくなる!」

提督「中には、装備の修理を完全に行わずに、限界まで戦うものもいる!」

提督「輸送の為の急行で命を落としたものもいるんだ!」

提督「そんな中で……この艦隊には誰一人としても、無駄を行うものなどがいるはずがない! いいですか!」



赤城「……」

赤城「……」

赤城「……」


提督「……ふう」

提督「まあ、実際に大本営にそんな口調は聞けないがね」

提督「ここでクビになったら、困る」


コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓2 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

下3だったらますます赤城の絶食が進み、朝潮の躰の傷が増えてましたね。残念だ

イチャコラな……イチャコラ


鈴谷「てーとくー、ちーっす」

提督「鈴谷が」

鈴谷「そーそー、鈴谷でーっす!」


 やっほ、と隣の席に腰を下ろす鈴谷。

 その盆には、山盛りのパフェ。


鈴谷「んー、やっぱ戦いの合間には息抜きしないとねー」

提督「……」

鈴谷「んー、うっまー♪」

提督「……」

鈴谷「……」

提督「……」

鈴谷「てーとく、てーとく」


 気安い声で呼びかけられたそこに振り向けば、突き出されたスプーン。

 黒蜜がかかったバニラアイスと、寒天とミカン。

 岩手県盛岡市の吉村さんの牧場で太陽をいっぱいに浴びた牧草をたっぷり食べて育ったジャージー牛のミルクで作ったクリームあんみつ風パフェ。680円。そして幸せが訪れる。

 ……だったか。


鈴谷「ん」

提督「……どうしたん、――モガッ」

鈴谷「難しい顔をしてるときには、甘いものが一番ーってね」


 濃厚なクリームはしかし舌触りがよく、仄かな乳牛の持つ香りと甘みが鼻を抜ける。

 寒天の、僅かに歯を立てれば裂けるがしかし、弾力のある触感。ぷちぷちと、噛むたびに口腔で弾けるみかんの甘味と酸味。

 そのまま自然と、飲み込んでいた。――満足そうに笑う鈴谷。


鈴谷「へへ、どう?」

提督「……冷たいな」

鈴谷「そーそー、アイスクリームだから冷たい――って違うよ! そこじゃないからね?」

提督「……」

鈴谷「どーぉ、少しは元気づけられたりした?」

提督「……ああ」

鈴谷「提督が頑張ってるのはさー、鈴谷たちもよーく分かってるよ」

鈴谷「提督がちゃんと後ろに居てくれるんだって思うから、その……戦えてる訳だし?」


 視線を逸らして、「皆そう」と付け加える鈴谷。

 引き戻されたスプーンが、再びパフェの塔に埋められる。引き抜かれたそこに乗ったみつ豆とクリーム。

 口に運ぼうとした鈴谷の手が、止まる。


提督「どうした?」

鈴谷「へっ!? い、いや、か、かんせ――いや違くて、ちょっと考え事してて、うん、そうそう」

提督「そうか」

鈴谷「そうそう。鈴谷もね、まーこうたまには考え事とかしたりさー、まー、するんですよ。しちゃうんだって」

提督「……」

鈴谷「似合わないと思う?」

提督「いや、どうだろうな。特にそうは思わないが……」

鈴谷「鈴谷はまー、似合わないと思うけど。自分で言うのもどーなのかなってとこだけど」

鈴谷「だ、だからさ」

鈴谷「提督もそんな風に、ずーっと難しそうな顔をしてるのは似合わないって! うん、そーそー、そーなんだって!」

鈴谷「だ、だからもうちょっと……なんかあったら相談してよ? いつでも力になるから」


 それじゃ、と席を立つ鈴谷。パフェは結局その場に残された。

 なら処分しようと手を伸ばせば、顔を真っ赤にして速力一杯で反転した鈴谷が奪い去り、そのまま逃げ去って行った。


提督「……」



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

割と精神的で、レベルそこそこですね

やっぱりイチャコラは心が癒されますね。もっとイチャコラしていいのよ?

あ、ついでにもう一体




コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も


提督「春雨、任務を頼めるか?」

春雨「はい、任せて下さい。輸送や護衛、大事ですもんね」

提督「……すまないな。本当は、戦う前に十分に出来ていればよかったんだが」


 告げる司令官の顔色は優れない。

 本来ならば、彼の云うように十分に貯蓄を行ってから戦うべきであった。おおよそ深海棲艦が活発化する時期というのは分かっているのだから。

 だけれども、思った事が叶うと限らないのが――。いや、裏切られるのが戦場の常であろう。

 敵を知り己を知れば百戦危うからずというのは軍事の話ではなく、政治の話だ。

 それを踏まえた上で戦うか戦わないかを選択するのが、本来ならば行われる事。何も百戦とは、直接の武力行使に留まらない。

 本営の方針が故に、別海域の攻略に取り掛かっていた。

 そこで襲撃を受けたのである。無論のことながら、事前の準備を十分に済ませて於ける筈がない。

 その結果、犠牲者が出たのだ。多数方面に手を伸ばして、戦力が分散しているからこそそんな事が起こった。


春雨「いえ、皆、頑張っていますから……春雨も力になりたいです」

提督「そうか、ありがとう」

春雨「いえ……へへへ、司令官。夕食のお味はどうですか?」


 だからこそ――。

 だからこそ、皆でこの危機を乗り越えなくてはならない。

 全員が前線だ。直接戦いに出るだけが戦いでない。そんなの、もう誰だって知っている。

 こうして、自分の事を信じてくれる仲間たちの役に立ちたいという気持ちは、嘘じゃない。

 嘗て出現した深海棲艦と特徴が類似した容姿の春雨を、仲間だと受け入れてくれたこの鎮守府の助けになりたかった。


提督「では、名取。君が旗艦だ。……くれぐれも注意してくれ」

名取「は、はいっ……頑張ります、提督さん!」




   名取の躰が燃え盛る。


   潜水艦型深海棲艦の雷撃により航行不能。これ以上の行動は不可能。


   船団の護衛をするならば、これ以上彼女についてはいられない。


   残していったなら、貪り喰われる。深海棲艦に生きたまま食いちぎられて沈んでいく。


   なら、雷撃処分を選ぶのが――せめてもの情けなのだろうか。


   かつての記憶が甦る。

   共に戦いに向かった仲間が、傷つき動けない。首を振る彼女に目掛けて、姉と共に魚雷を撃ち込んだ。

   そう、忌まわしい思い出だ。だけれどもあの時は、ああするしか他なかった。

   でも――今は。

   今の自分がそれを行ったらどうなるのだろうか。


   ――コイツ、深海棲艦に似ている。


   ――本当は深海棲艦じゃないのか。


   ――化けているだけでは。


   ――きっと今回も、こいつが仲間を呼び寄せたんだ。


   ――こいつは深海棲艦だから、仲間を雷撃できるんだ。


   ――お前は敵だ。お前は敵だ。お前は敵だ。お前なんて化け物だ。お前なんて化け物だ。近寄るな。疫病神が。


春雨「あ、ああ……あ、あ……」


提督「護衛は無事に完了、っと」

提督「名取は炎上こそしたものの軽傷。春雨も無事」

提督「そうそう死なれてもな」




コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

また死ぬのか……

折角だからもう何人か追加してトラウマを与えようか



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓2~3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

羽黒もかよ(驚愕)
こりゃ龍田さんごりっごりですわ


22:羽黒
33:望月
44:足柄
55:秋月


ちょっと休憩でー17:00あたりから再会します


 適材適所という言葉がある。

 敵を知り己を知れば、百戦危うからずという言葉がある。

 どうやら昔から、そういうのは得意だった。

 話している間に、相手の考えている事が分かる。超能力などではなく、単純な勘だ。

 あとは、それをどうやって確かめてみるかという話だ。

 だから人の相談に乗った。誰からも疎まれぬようにおとなしく、しかし決して目立たぬ訳でなく。

 色々な人間から話を聞いた。色々な人間の悩みを聞いた。色々な人間の機微を察した。

 繰り返せば繰り返すだけ精度は上がり、そして自分の直感が間違いでないと判明していく。

 ほんの少し背中を押せばレールは外れて、戻る筈だった心の幹は軋み上げ衝突し、根から腐っていく。

 お互いが思いあう人間がぶつかり合って壊れていく事が、なんと楽しい事か。

 そうして静かに――誰にも気づかれる事なく、植物のように破滅させていく。


 それからまた、学んだ。

 自分を取り繕わなくても、相手が自分を気遣って抱え込んだまま沈んでいく事もあるのだと。

 一般には、情や愛と言われる気持である。それが自分の擬態を通して、周囲を補強してくれる。確たるものだと、自然と容疑者から外してくれる。

 加害者を庇う被害者。何とも愉快なものだ。

 だけれども、人間というのは難しい。会って話していても、その表面的な機微は分かっても奥底までが分かるわけではない。

 何が理由でそんな反応をするのか。その人間の半生はどうなのか。聞き出すのには酷く手間がかかるし、そのための準備も煩わしい。

 でも、いずれ積み上げて壊すためだと思えば耐えられる。

 そうして自分の中でも変わりが効かないものを壊す時には、なお一層の快感を得られる。

 そういう意味では、艦娘というのはよかった。過去の船の記憶を持っているという事は、それさえ調べればその人生が分かるという事。

 なんと壊しやすいのだろうか。

 静かに這い寄るように歯車を狂わせて、正しい筋道から外していく。破滅に導いていく。

 さながら爆撃機の腹に詰まれた爆弾のように、高々度への夢を見る。投下されてすべてを焼き払うその瞬間を――。


 それでも時々、そんな本性を打ち明けてその首を締め上げたくなる。

 全ての関節を外して踏みにじって、ナイフを突き入れたらどれだけ愉しいか。

 今まで信じていたものが全てまやかしだと告げたときの、相手の流す涙はきっと美味いだろう。


提督「補給線の維持が難しい」


 この間も、襲撃を受けたと提督が目を伏せた。

 襲撃を行った敵はその後複数に分裂して、また、入れ替わりに別方向からの攻撃を行う。

 南太平洋の中ほどなど、周囲は敵の勢力圏。

 陸上に位置しなければ生活できない人間と違って、いかなる生態か海上に湧き出る深海棲艦にとっては全てが領土。

 ならばその領土に散らばって、ジャングルのゲリラ戦宛らに攻撃を行う。

 徹底して、漸減作戦を行う。そんな戦術に移行してきていた。


提督「散発的に襲撃を行ってきている……いっそまとまってくれたならいいのだが」

龍田「でもぉ~、纏まらないって事はそれぐらい追い詰められてるって事ですよ~」

足柄「そうじゃなかったら、正面から叩き潰しにくるわね」

羽黒「え、と……その、ごめんなさい」

提督「……」


 ふむ、と提督が黙り込む。

 どうするべきか悩んでいるのかと、艦娘は考えた。

 既に敵の大規模編隊への攻撃を継続中。追撃戦を続けている。

 何か重要防護対象が居るのか、海域に散ってはいるが完全にどこかへと逃げ切る風ではない。

 並行しての小規模な襲撃は、精々の悪あがきとも覚えた。


龍田「だったらいっそ、ここらでまとめて叩いちゃうっていうのは~?」

足柄「このまま続けられて干上がるぐらいなら、ドカンってやっちゃった方がいいかしら?」

羽黒「補給が干上がって……って方が、怖いです」


 逡巡の後、提督は決断した。

 彼女たちの言葉に後押しされるように。


 龍田は後悔していた。

 そう、見誤っていたのである。深海棲艦の戦力を。

 漸減作戦とは、寡兵が行う戦法である。かつての日露戦争で日本もそれを行おうとしていた。

 相手の本体の周りを刺激し、呼び出した敵を包囲して殲滅する。或いは少数で、急襲する。

 そう、それにも理由があった。

 大群をなして襲撃してきた敵の撃滅に成功し、その追撃戦を行っていたから。

 相手は寡兵であると。敗残兵であると。故に少数での急襲であると。

 だからこそ――誘い込まれて包囲されるとは、夢にも思っていなかったのである。


羽黒「撤退してください……! ここは、私が……!」

龍田「それ、体……身体が……」

羽黒「大丈夫です。貴方たちの背中は、私が護ります」


 朱に染まった腹からは何かが零れ出ており、左腕は千切れかけて、右肩の砲塔は損壊。魚雷も撃ち尽くしている。

 それでも羽黒は、残る右手で左肩を無理やり動かして手動で照準して、敵艦隊への発砲を行う。

 龍田は額が穿たれ、流れ出る血が片目を塗りつぶす。丁度、姉妹艦の天龍と対になる箇所。

 足柄は、虫の息だった。

 一人で敵をひきつけ奮戦した。

 飢えた狼などと揶揄されたが――正しく飢えた狼に食いちぎられたように、肉体のいくつもから骨が露出している。


羽黒「もし、もしも……一つだけお願いできるんなら……」

龍田「な、何……?」

羽黒「足柄姉さんをお願いします……それと」


 その続きは聞こえない。砲撃音が塗りつぶした。

 二人を別つように上がる水しぶきに遮られる中、羽黒が龍田を見る。一心不乱に。

 行けと――言われていた。


龍田「……っ、わ、私に任せて?」



 背負った呼吸が浅く小さい。

 譫言めいて、戦闘の継続を望む声。

 必死に呼びかけた。羽黒の犠牲を無駄にしてはならないと呼びかけた。

 胸元に回された腕の片方はもう力がなくて、それでも必死にシャツを握る。


 ――お願い、戻して。

 ――まだ、戦える。

 ――勝利だけが、私の誇りなの。

 ――戦わせて。

 ――負けたくない。

 ――護らせて。

 ――お願い。


 やけにその場所が湿っているのは、きっと血だけではないはずだ。

 それでも必死に呼びかけた。声が小さくなって欲しくないと、そのまま死んではいけないと呼びかけた。

 今戻って。戦うのはそれからでも出来る。この痛みは、この苦しみは万全になってから深海棲艦にぶつければいい。

 だからここで死んではいけない。ここで死んではいけない。死にたい艦になってはいけない。

 徐々に冷たさを増す足柄の肉体に、龍田の胸が早鐘を打つ。

 これは、助かる傷だ。これはまだ、死なないで済む傷だ。動けないだけで、まだ大丈夫な傷だ。

 いつかを思い出す。過去の、軍艦であった頃の記憶だ。

 龍田とぶつかった潜水艦が、航行不能になった。彼らは生きていた。まだ生きていた。無事だった。死んでいなかった。

 だけれども、到底救助が間に合わなかった。貯蔵した酸素に対して、救助できる時間は余りにも遅すぎた。

 誰一人取り乱す事なく死んだ。そう言われた。恨み言の一つも言わずに、死んだ。胸を張って、帝国海軍であると死んだ。


 ――お願い。

 ――これは大丈夫なの。

 ――助けさせて。

 ――お願い。

 ――返事をして。

 ――鎮守府に帰れば。

 ――お願い。

 ――私が撃滅を提言しなければ。

 ――お願い。

 ――お願い。

 ――気をしっかり保って。

 ――お願い。

 




  ――お願い。せめて、恨み言の一言でも言って。




提督「判ってたけど……」

提督「まあ、そうなるわな」


 土台、深海棲艦の方が数が多いのだ。

 これは尋常なる戦ではなくて、武装した知性ある蟻やゴキブリと戦っているようなものなのだから。


提督「せめて君だけが生きていてくれてよかったって言ったときの龍田の顔」

提督「あれは、写真に残したいぐらいだった」


コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

これ(顔パン)じゃん

やっぱある程度積み上げてからじゃないとドラマチックに毀せませんね
もっとイチャコラしてもいいのよ?


提督「……っ、クソ! 私の所為で!」


 戻った龍田の報告を受けた提督は落ち着いて、いる風であった。

 静かに龍田に、怪我を治してくれと告げた後に執務室に戻った。その後ろ姿を眺めるだけで、誰一人として続けなかった。

 幾人かの艦娘には、龍田に付いていてやってくれと申し付けてその場を後にする提督。

 作戦の指揮を続けなければならない。それが提督の仕事である。

 那珂もそれを見送ったうちの一人である。あるがやはり、放ってはおけなかった。

 そして執務室の前を通りかかったとき、中から激しい音が聞こえてきたら――


那珂「てーとく、何をやってるの!?」


 拳を壁に叩きつける提督の姿が、そこにはあった。

 何度も、何度も行ったのだろう。

 手の皮が裂けたのだろう。海軍の白手袋に、赤く血が滲んでいた。

 那珂に気付く様子無くそのまま再度、撃ち込まれようとする右拳に――


那珂「だめっ!」


 思わず那珂は飛びついていた。



 何が起きているのか理解できない提督が、突然の拘束を振りほどこうとする。

 那珂としても手放すわけにいかない。思いっきり力を込めた。

 それが、無理やり外された。

 そんな衝撃と反動の所為で、那珂の躰が泳ぐ。よろけた目の前に迫るのは執務室に置かれた資料棚。

 頭部とガラス戸が、激しい音を立てた。


提督「……っ、な、那珂!?」

那珂「あたたた……」

提督「か、顔が……! す、すまない……すまない、那珂!」


 顔面を蒼白にして飛びついてくる提督。

 顔には脂汗で、今にも消えてなくなりそうなぐらいに瞳が揺れる。

 頬骨の上には、熱した針金でなぞったような痛み。そこにだけ小さな心臓が出来たように、脈動に合わせて疼く。

 当然痛いのだけれども――。

 それでも那珂は笑った。

 だってアイドルだから。

 笑顔はお仕事だから。

 みんなを笑顔にするのが那珂の役目だから。

 だから痛くても辛くても、笑える。

 もっと痛い人がいると思ったら、これぐらいなんてことはない。


那珂「大丈夫だよ、てーとく」

提督「那珂……?」

那珂「那珂、ここにいるから……」

那珂「那珂ちゃんはアイドルだからね、これぐらいなんて何ともないから」

那珂「だからね、てーとく……泣かないで」

那珂「那珂ちゃん、ここにいるから」

那珂「ね、てーとく?」


 だって那珂は――アイドルなのだから。


提督「那珂って笑顔が似合うよな」

提督「壊れた笑顔しかできない風にしたい」




コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

単発駄目やで
まあ今回は楽しそうだからオッケーだけどね


とりあえず、ぽいぬとイチャコラする


夕立「てーとくさん、てーとくさん」

夕立「今日も夕立、頑張ったっぽい? 褒めて褒めてー!」


 今にも尻尾が触れるような、そんなまま。

 戦闘の傷跡を治そうとしないで、夕立が提督に駆け寄った。

 どうぞ、と差し出された頭。

 上目遣いで、提督の方を見る。本当に楽しそうに。本当に嬉しそうに。

 戦いだっていうのに。

 今日は大丈夫でも。死んでいる艦娘もいるというのに。

 ただ、勝ったことが嬉しいって。ただ、倒せた事が嬉しいって。役に立てた事が嬉しいって。

 どこまでも純粋に、夕立は提督を見上げた。

 提督は、ちょっと困った顔だ。

 だって彼は失っているから。彼の指揮が原因で、艦娘を失っているから。

 だからいくら勝ったって、きっとその事が傷になっているのに。しとしとと、心を濡らしているというのに。

 そんな事に構わずに、夕立はただ褒めてという。


時雨「……」


 戦火が多いという事は即ち、被害も大きいという事だ。

 戦艦ならいざ知らず、駆逐艦が功労を受ける為には夜戦などで接近しての戦いが増える。

 だからどうしても、夕立の躰は傷だらけだ。

 資源が少ないって言っているのに。提督はそのために腐心しているのに。なのに傷だらけだ。

 時雨は今回、戦功ではない。それよりも、今は余計な消耗をしない事が大事だと思ったから。自分の名誉よりも、鎮守府の事を考えた。

 だから無理には攻撃しない。自分の防衛を第一に考えた。損害を抑えようと思った。きっと間違ってない。

 間違ってないのに。


提督「そうだな、夕立……よく頑張ったな」

夕立「えへへー、もっと撫でてー」


 どうして。


 気付けばいいのに。

 提督の笑いには力がない事に。

 提督だってきっと、前線に出ないだけで大変なのに。疲れてるのに。

 傷だらけの艦娘を見るって事は、提督の傷を抉る事なのに。

 なのに。


提督「夕立は良く頑張ったな。戦果は聞いてるぞ」

夕立「提督さんのために、いっぱいいっぱい倒したっぽい!」

提督「ああ、良くやってくれた。敵の数は判らないが、倒せる分倒すのは正しいぞ」

夕立「えへへ」


 倒せる分を倒すんだ。

 そう、敵の数は判らないんだ。だから、どれだけ倒しても意味はないかもしれない。

 出来る範囲で、損害を少なく倒すべきなんだ。

 でも、そう思ってたそれは――正しいのだろうか。


夕立「夕立、勲章はいらないけど……代わりに」

提督「ん?」

夕立「あたしにもっと別のご褒美が欲しいなー、なんてー」


 ――。


提督「そうは言っても……今は……」

夕立「特別なものじゃなくていいよ? 提督さん、お散歩いこう?」

提督「散歩?」

夕立「今なら一息つけてるっぽいから、気分転換も大事っぽい!」

提督「い、いや……それよりも入渠を」

夕立「散歩の方が大事でしょー」


 そうして、夕立は先に行ってしまった。

 困った風な、提督の顔。

 探しに行こうかと、やはり辞めさせて、入渠させようかと――。


提督「すまない、時雨」

時雨「……なんだい、提督? 僕が呼び戻してこようか?」

提督「いや、悪いと思うが執務室を明ける……その間の留守を頼んでいいか?」

時雨「……僕は大丈夫だよ」


 そういうなら、仕方ないけど。

 でも、無理に付き合う必要はないんだ。提督は優しいから。

 だから、きっと、夕立の事を叱れずに流されてしまったのだろう。


時雨「でも、提督だって付き合わなくても……」

提督「いや……夕立の言うとおり、気分転換も大事だからな」

時雨「……無理してないかい?」

提督「あれで居て夕立は、よく見ているからな。入渠しないでというなら、夕立に付き合うよ」

時雨「……」

時雨「判ったよ、提督」

提督「すまない。では、頼んだ」


 謝れた。頼まれた。任された。

 だけれども、一度も褒められていない。ただの一度も。怪我がないから、心配もされていない。

 



 天気が陰った。曇り空から、不機嫌な雨が零れ落ちる。

 大した強さじゃないけど。でもこれだったらきっと。

 あんな風に怪我をしていて、散歩なんてできないはずだ。


時雨「……ああ」

時雨「……」

時雨「……」

時雨「……」

時雨「いい雨だね……」

おおう、ミスった。ちょいまち


 天気が陰った。曇り空から、不機嫌な雨が零れ落ちる。

 大した強さじゃないけど。でもこれだったらきっと。

 あんな風に怪我をしていて、散歩なんてできないはずだ。


時雨「……ああ」

時雨「……」

時雨「……」

時雨「……」

時雨「いい雨だね……」


夕立「てーとくさん、てーとくさん」

提督「どうした、夕立」

夕立「提督さん、笑ってないのに笑わなくていいよ?」

提督「――」

提督「……笑ってないのに、笑ってる?」

夕立「うん」

提督「ははは、いや……そんな訳が……」

夕立「流石にそれぐらい、わかるっぽい!」


 自信満々に、胸を張る夕立。

 覗いたその肌。白い肌。熟練の職人が白木から削りだし、丁寧に磨きをかけた乳白色の表皮。

 だけれども、造形なんかじゃなくて。その体には、生物特有のみずみずしさと柔らかさがある。

 指で触れればわずかに沈んで押し返すだろう。ミルク色のきめ細やかな肌。染みや皺やくすみがない。弾力がある。

 掌をあてれば、手に吸い付くだろう。少しだけひんやりとしていて、だけれども静かに鼓動する肌。

 そんな完成品と言わんばかりの肌に、傷がある。赤い痣がある。僅かに黒さを帯びて、女性器の色みたいに充血した傷がある。

 だからこそ、素晴らしい。

 神が作り出した完成品ではなくて、その傷の為に不完全だ。でも、だから手の届く美しさだ。

 それが穢れるものだと分かる。穢せるものだと分かる。穢したらどうなるのか分かる。

 触れ得ぬほどの芸術的な白磁ではなく、そこに大小様々血が滲むからこそ、余計に美しいのである。

 芸術的で神秘的で――でも傷があるからこそそれは蠱惑的で扇情的だ。この、年頃の少女の肌というのは堪らなく美しい。


夕立「だからね……確かにちょっと痛いけど」

提督「……」

夕立「もっと痛くて、泣けない提督の分まで……夕立が笑ってあげるっぽい?」

提督「……そう、か。ありがとう」

夕立「うんっ!」

夕立「だから、提督さん……もーっと一杯お話しようね!」


提督「同じ条件で、片方だけに良条件を与える」

提督「そうすると、チンパンジーでも不公平を訴える……らしいな」


 提督になる一環で学んだ心理学。艦娘との接し方。

 それもまた、実体験と交えて幅を広げてくれた。




コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???


18:45に一番近いうちから二つでとるっぽい

トランザムするっぽい>00

ちょっとご飯食べてくるっぽい

お待たせ

ある程度数が揃ったら普通の安価スレみたいに女の子を攻略してもいいですね
ちゃんと壊すけど


鈴谷(提督、大丈夫かな……)


 補給線を攻撃する敵残存兵力の掃討作戦。

 しかしその結果は、想定以上の敵数による包囲戦。

 深海棲艦は、大打撃を受けた本体から更に多数の数を切り減らし、漸減作戦に移ったのだと聞いた。

 海が領土であるからこそ行えるゲリラ戦であり、そして、ゴキブリや何かのように群としての意識が強いからこそ行える捨て兵。

 誘き出されたこちらの艦隊は壊滅。

 二名の艦娘の命と引き換えに部隊は撤退した――という話だ。

 その作戦が正しかったのか否かは鈴谷には判らない。ただ、心情としては理解できた。

 同時に、作戦は失敗したのだとも。

 散発して現れる敵を放置し続ければ補給線の維持に支障を来たし、追撃を行っている途中で打ち止め。

 そのままジリ貧の痛み分け。

 かといって大体的に叩き潰しに行けば――その結果が前回の物である。


鈴谷(……)


 一つだけ確実に言える事は、間違いなく司令官は自責を感じている事である。

 確かに命じたのは司令官である。だから責任なんて感じてしかるべきだ。むしろ、後悔出来る内が華。

 実際に出撃して命を落とす艦娘は、悔やんでいる間に既に水底へと沈んでいるのだから。

 同時に――ある話を耳にした。

 殲滅作戦を申し出たのは、犠牲になった艦娘側からであると。

 当然最終決定は提督のものであるのだが……促されてそれを行って結果失敗したとしたら……。


鈴谷(……ショック、半端ないよねー)

鈴谷(……)

鈴谷(こっちから誘った方がいいのかな? 気分転換にどこか行こうとか……いやでも戦闘中だし)

鈴谷(な、なら手料理とか? いや、でもそれなんか恥ずいっていうか……って秘書艦になると振る舞ってるから今更か)

鈴谷(なんか奢るとか? 散歩とか? 他に元気づけるっていうと――)

鈴谷(――)

鈴谷(――なしなしなしなしなしなしなしっ、いくらなんでも恥ずいって! ヌメヌメする!?)


 あーでもないこーでもないと考えてはその度に、


鈴谷「夜戦!?」


 とか、


鈴谷「酸素魚雷!?」


 とか、奇声を上げる鈴谷である。親が見てたら泣いてる。戦友も草葉の陰できっと泣いてる。

 長らく続く戦闘が原因で精神に異常を来たしたと、艤装を解体されて軍病院に送られてもおかしくない珍妙さ。

 近くに時雨が居たら「いい雨だね。あと雷も」とブッダスマイルするだろう光景。

 ……と。


鈴谷(あれ、てーとくじゃん)

鈴谷(丁度よし……)

鈴谷(……)

鈴谷(……ちょいタンマ)

鈴谷(顔赤くなってないよね? あと枝毛とか)


 などと、手鏡を取り出している間に。


利根「提督よ。どうしたのじゃ、こんなところで」


 出遅れた。


提督「利根か……いや」

利根「?」

利根「吾輩がどうかしたのか?」

提督「なんでもないんだ。すまない」


 どう見ても、何でもある。

 しかしそれよりも放っておいてほしいと――或いは、艦娘の負担に成りたくないと。

 踵を返す提督の腕を、利根が掴んだ。


利根「何かあるなら、吾輩が聞いてやってもいいぞ?」

利根「吾輩はお姉さんだからな!」

提督「……」

提督「……利根は頼りになるな」

利根「うむ!」

提督「航巡の中でも、一番強いしな」

利根「当然じゃ!」


鈴谷(――ッ)


提督「なら……少し聞いて貰ってもいいか? 利根にしか話せないんだ」

利根「ん?」

提督「この間の作戦は……足柄と羽黒が死んだのは、私の所為だ」

利根「……それは、どういう」

提督「あの殲滅作戦は……噂されているように、龍田からの提案だった」

利根「ふむ」

提督「だが、それを決定したのは……私だ」

利根「提督だから、そうじゃな」


 それから――提督は利根にだけ話していた。

 自分がああも判断を急いだのには、原因がある。

 かつての輸送の最中に命を落とした望月に、ケッコンを申し込もうとしていた。

 だが彼女は死んだ。

 ここで補給線を攻撃され続けるのは、遠からず戦線の維持が不可能だと判断した。

 だが、ひょっとしたら――望月の復讐の意味も込められていたのかも知れない、と。

 正しい判断ではなく、間違った事を行ったのかもしれない、と。

 今まで誰にもいう事が出来なかった。

 望月は、あれほどの練度を持つ望月が死んだのは、きっと自分が戦闘に関わらない余計な話をしてしまったからではないか。

 だから誰にも言えなかった。誰にも打ち明けられなかった。

 でももう、限界だった。

 利根ならきっと大丈夫だと思うから。

 本当に悪いと思う。こんな事を突然話されても困ると思う。迷惑だと思う。

 だけれども、どうしても話したかった。利根だけが特別なんだ――と。

 他の誰にも言わないで欲しいと、提督は項垂れかかっていた。


 ……そこからは覚えていない。逃げ出していた。

 

鈴谷「……鈴谷みたいな艦じゃ、信用もされないって事かぁ」

鈴谷「……」

鈴谷「……」

鈴谷「……」

鈴谷「あはは、そっか……」

鈴谷「……」

鈴谷「そっかぁ……」


提督「女ってのは、特別を求める」

提督「ナンバーワンより、オンリーワン」


 それと、人の頭は秘密を抱え続ける事に慣れていない。

 秘密がある。それを打ち明けてはならない。

 そうなるとどうしても緊張する。必要以上に、気を使う事になる。

 それはまた、ストレスだ。



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

何人殺せば気が済むんだ……(驚愕)

22:羽黒
33:望月・那珂
44:足柄
55:秋月
66:加賀


はい、後ついでに赤城さんへのダメージ


↓3

イチャラブしてるんじゃねーよ赤城ィ!!!!!

赤城ァ!!!


はいちょいお待ち


加賀「……赤城さん」

赤城「は、はい……?」

加賀「あの……」

赤城「な、なんでしょうか……?」

加賀「いえ……」


 目に見えてふら付いている、と思った。

 調子が悪いのだろうか。

 そう言えば、いつもは十二杯も食べる白飯を八杯しか食べていないし、おまけに銀シャリではなく麦飯だ。

 何か調子が悪いのかも知れない。

 最近は同じ艦隊で出撃する事がなく、一航戦の仲間と言っても適宜艦隊に組み込まれている。

 提督からの提案で、鎮守府に空母をいくらか残し周辺海域の警戒や直掩を行うというものがある。

 だからこそ、鎮守府でも最大の空母搭載数を誇る加賀の出番はより一層多く、色々な方面で鎮守府に貢献する。

 そういえば、出撃前に言われた。


提督「加賀」

加賀「私に何か?」

提督「その……最近、君にばかり頼っていて済まない」

加賀「……いえ」

提督「どうしても、戦力で考えてしまうと」

加賀「解っています」

提督「……」

加賀「……」

提督「その、一段落したら何だが……まとめて休暇でも取って貰おうと思うんだ」

加賀「そう」


提督「だから、……これは今言うべき事ではないが、他に何か必要なものがあったら言ってくれ」

提督「君はそれぐらい貢献はしている。多少の無茶でも、聞こう」

加賀「……」

提督「……」

加賀「そうね……」

加賀「……」

加賀「……なら、静かな海が見たいわ。貴方と一緒に」

提督「……そうか」

加賀「ええ」

提督「そうだな……これが一段落したら、少しは海も静かになるな」

提督「ああ、我々で勝ち残ろう。きっと、この戦いに勝とう」

加賀「……」

提督「加賀?」

加賀「……なんでもありません」


 ……朴念仁。

 心中でそう呟いた加賀は、それでも顔を綻ばせた。親しいものしか分からない程度に。

スマンちょっと入渠してくる

安価で艦娘を壊す(物理)とかどうなってるんだ……

コンマ神見習い「この秘孔(コンマ)を突けばこのスレの面白さは2倍になる!…ん?間違ったかな?」

はい、再開します

ある程度ほのぼの交流させてから壊す予定だったのにね、おかしいね


 最初に出会った時には、優男だと思った。

 爽やかと言えば聞こえはいいが、逆に軍人らしくない。首席卒業とは本当か、とも。

 しかし少なくとも面倒見も良ければ、特段口煩くもない。しかし、締めるところは締める。

 嫌いではない、と思った。

 常に明るくあるし、礼儀正しくもある。何かに付けては感謝を口にする。少なくとも悪い人間ではないだろう。

 私情のまま、誰かを怒鳴りつけた事はない。かと言えば気弱ではない。

 悪くはない。正直に加賀はそう思っている。


赤城「索敵を厳に……」

加賀「しています。大丈夫です」


 ただ、誰彼構わず褒めちぎる訳ではない。いや、褒めはする。些細な事でも、美点を見付けようとする。

 だけど実力を評価するのは限られている。

 あの男が頼りにしているというのは、決してお世辞ではない。心底戦力であるからこそ、そう言われる特別だ。

 すると不思議なもので、皆、より提督に褒められたいと躍起になる。

 そして、言ってほしい事を言ってくれる。少なくとも、称賛するときはそうなっている。

 自分でもできたと思うところに言及してくれるから、だから皆、ちゃんと見てくれている提督だと信頼するのだろう。

 しかしそれでいて、どことなく朴念仁な部分がある。そういう、謎の手間がかかるところが、気になったりもするのだ。


加賀(……っ)

加賀(赤城さんのことを、言えないわね)


 眩暈を感じた。途端に襲ってくる疲労を、奥歯を噛み締める事で遠ざける。

 やはり彼が言うように、働きすぎたのかも知れない。


 そこからは――急激、だった。

 気が緩んでいたのかもしれない。慢心は駄目だと、十分に分かっていたのに。

 敵の艦載機。空を飛ぶ、大口を開けた饅頭のような、猫のようなあの機体。

 すぐさま攻撃を向かわせたところに、襲い掛かってきたのは戦艦の砲撃。

 厄介であると思った。

 艦載機を十分に発進させたのなら、一時的に敵の視界から隠れられるスコールの中へ。

 加賀は、身の安全を優先した。

 状態の悪い赤城を連れて、退避を試みた。

 それが、間違いだったのだろう。


 ――伏兵。

 スコールの波間に隠れる、潜水艦。姿は見えなかったが、きっと潜水艦が居たのだろう。

 それから、長槍が如き白い航跡を漂わせた魚雷が――来た。

 加賀は迷った。

 目の前を行く赤城を庇うのか。それとも、彼女を信じて退避するのか。

 一瞬だった。

 だけれども、その一瞬が明暗を分けた。

 調子が悪い赤城では、きっと避けきれないと判断して――でもそのまえに、提督との約束を思い出してしまって。

 結局、彼女の読み通り、赤城は一人では避けきれなかったのだけれども。

 その一瞬の逡巡が無ければ、二人とも無事で切り抜けられただろう。


加賀(……ああ)

加賀(静かな、海を見たかったのだけれど……)

加賀(……)

加賀(……残念ね)




  ――――彼女は最後に目撃した。


  其処に居たのは潜水艦ではなく、彼女も良く知る――甲標的の姿であった。





赤城「か、加賀さん……!」

赤城「加賀さん! 加賀さん!」


 悲痛な叫びと共に、加賀の体を抱きしめる赤城。

 スコールの下に隠れ入るという判断は間違ってはいなかった。ただ、警戒が足りていなかった。

 知っていたはずだった。

 昔からどれだけ潜水艦が厄介で、それが被害を齎したのかなんて。

 知っているはずだった。分かるべきはずだった。

 だから――他でもない自分が。潜水艦を抉る刃を持つ自分が、その警戒を果たすべきだった。


那珂「……赤城さん!」

赤城「は、えっ……は、はい!」

那珂「このままだと、航空の拮抗も崩れちゃう」


 加賀から飛び立った戦闘機が彼女に戻れず、また、第二次攻撃も行えない。増援も不可能。

 今尚その上空で状態を拮抗させているのは、ひとえに飛び立ち弾薬が満ちているからである。

 それがなくなったのなら、容易く綱は引き抜かれる。


赤城「も、もう一度私が……!」

那珂「違うよ、赤城さん」


 だから――那珂の判断は、至って明確であった。

 今の内に。敵機動部隊を引きつけておけるうちに。空中戦力が衝突しあっているうちに。


那珂「ここは、逃げて」


 撤退を選択するのである。


那珂「今逃げれば、敵の航空機の射程から逃げられる」

那珂「追ってくる敵機だって、打ち落とせる」

赤城「そ、それは確かに……きゃっ!?」


 しかし、許さぬのが敵戦艦の砲撃だ。

 背中を見せて一直線に逃げようとすれば、容赦なく釣瓶打ちを浴びせられる。

 加えて、あの、加賀に雷撃を行った潜水艦。

 今ではすっかり息を潜めたのか、それとも上手くスコールの立てる音に紛れたのか、那珂の音響探知にも反応はない。

 まさかステルス潜水艦など、そんな冗談はありえないだろう。

 一直線に逃げたのなら、容赦ない砲撃と、それ以上に恐ろしい迫り来る雷撃に見舞われる。

 撤退なんて、出来る筈が――。


那珂「できるよ?」

那珂「だってここで――那珂ちゃんが残ればいいんだから」

赤城「!?」

那珂「潜水艦の相手も出来るし、速力(あし)も早いし、上手くやれば雷撃で戦艦も倒せる」

那珂「そんな那珂ちゃんしか、適任はいないよね?」


 でも大丈夫と、那珂は笑った。

 自ら殿を務めるのだと、いつもと変わらぬ笑顔である。


赤城「でも、それじゃあ貴女は……!」

那珂「……」

那珂「だから、速力(あし)も早いんだって……那珂ちゃんは歌って踊れるアイドルだから」

那珂「いいところまで引き付けて逃げるんなら、速力が早い方がいいよね?」



 ごめんね、てーとく。


 那珂ちゃん、アイドルだから大丈夫だって言ったのに。


 傍に居てあげるって言ったのに。


 ゴメンね。那珂ちゃん、ここでフィナーレです。


 ……残念だなぁ。


 泣かないで、てーとく。


 那珂ちゃん、笑ってるから。


 痛いけどさ、これぐらいなんてことないから。


 だって、アイドルだもん。


 那珂ちゃん、これぐらいじゃ負けないんだから!


赤城「……すみません、提督」

提督「……」

赤城「……慢心や、油断は禁物だと分かっていたのに」

提督「……」

赤城「何度もそう言いながら、私は……」

提督「……いや」


 これは、事前に不調を見抜けなかった私の責任だ――。

 そう告げようとした提督が、止まる。


赤城「なので、食べます!」

赤城「加賀さんの分も食べて! 万全の体調で! 加賀さんの仇を取ります!」

赤城「ぐすっ……もぐっ、ぐすっ……」

提督「……そ、そうか」


 なにいってだこいつ。

 それに那珂はどうした。加賀だけじゃなくて那珂はどうした。

 あと、もぐってなんだ。もぐって。


赤城「あ」

提督「どうした?」

赤城「那珂さんの分も……那珂さんも分も食べて、敵に勝ちます!」

赤城「もう絶対に、不覚なんて取らない……! 食堂に行ってきます!」

提督「アッハイ」


提督「……使い物にはなるようだな」


 遠隔操作式、甲標的試作型。

 本来なら艦娘に搭載するものを、何とか本部からの指示で動かせないかと試みたもの。

 あの時、望月の死を看取ったのと同じ妖精が勤務する。


提督「ああ……でも……」

提督「どうせなら、自分の手で壊したいものだ」




コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

流石幸運の空母……イチオオイ

卯月これ腹パンですわ


提督「……」


卯月(司令官、元気ないぴょん)

卯月(……)

卯月(……)

卯月(……)

卯月(ここは励ますチャンスだぴょん!)

卯月(ここは卯月秘伝の、弥生の顔面神経も動かざるを得なかった島村有情破顔拳で――)


 本棚を見つめ、肩を落とす提督。

 その背ににじり寄る卯月が、両手の人差し指を立て意味深に微笑む――照準開始。

 ここでは、彼女なりに司令官を励まそうとしていたのだろう。

 極めて真面目に提督の話を聞くというのは、今までの卯月の振る舞いからも難しい。

 なら精々、笑わせるとかなんかして。或いは涙が出るぐらいまで笑わせて、それで気分を転換させる。

 笑うといいと、何かに書いてあった気がする。免疫が高まるとか、痛みに強くなるとか、気分が晴れるとか、ストレス解消になるとか。

 だから――。


卯月(おろ?)


 いざ背中に突き立てようとすれば、司令官が逃げた。

 しかし卯月に気付いた様子はない。偶然だろう。

 そのままもう一度、気を取り直してその背中目掛けて砲撃――


卯月「たわばっ!?」


 しようとして爆撃された。

 卯月が死んだ。この人でなし。


瑞鶴「加賀が……加賀が死んだって、どういう事よ!」

提督「……瑞鶴か」


 艦載機を飛ばして殴り込む瑞鶴。

 まさか本気で提督目掛けて攻撃を行うなんて誰もが想像しないし――というか実行しない。

 言うまでもなく、深海棲艦用の武器を生身の人間に打てばどうなるか判るから。

 しかし激昂する瑞鶴は、そのまま提督の胸倉を掴み上げた。


瑞鶴「嘘よね、あの加賀が死んだなんて……!」

提督「……」

瑞鶴「嘘だって、言いなさいよ……! ねえ!」


卯月(うーちゃんが死にそうだ……ぴょん……)


 演習用の模擬弾であったが。

 当たると痛い。なんてものを直撃させてくれたんだ。

 そう言いたい卯月だったが、ここは黙って焼き兎になっていた。尚、野生のウサギは余りおいしくない。肉がどんぐり臭い。卯月は油臭い。


瑞鶴「何とか言ってよ……! どうせ、あんな奴なんだからどこかできっと、平然と……」

提督「……」

瑞鶴「ねえ!」

提督「……事実だ」


瑞鶴「……そん、な」

提督「連戦の疲労で、魚雷を避けきれなかった赤城を庇った……らしい。それが加賀の最期だ」

瑞鶴「……ッ」


 淡々と告げる提督の目に、瑞鶴は涙と怒りを滲ませた。

 一航戦の加賀は、気に喰わない奴だった。いつだって自分たちが一番強いと、瑞鶴たちを軽んじていたのだから。

 でも事実、彼女の練度は凄まじかった。決して口だけではない――その艦載機搭載数もそうである。

 冷徹で鉄面皮で厭味ったらしくて辛辣で、兎に角好きになれそうにない奴だ。視界に入るだけで、うんざりする。

 でも――。

 そんな瑞鶴でも、知っている事がある。

 加賀の声色が少しだけ優しげになる瞬間を。

 それは赤城と話しているときと、提督と話しているとき。それから――平和で静かな海について喋っているとき。

 その時だけは、加賀は心の底から穏やかそうな声を出した。

 だから――本当に、嫌いだけども。好きにはなれないけれども。

 目指している先は同じなんだな、と思った。

 それなのに。

 目の前の男は、加賀の死を淡々と告げる。なんでもない机上で起きた事のように、一切の情を交えずに伝聞する。

 加賀は嫌な奴だったけど――。


瑞鶴「なんで、そんなに平然としてるのよ!」

提督「……」

瑞鶴「なんとか言ったら――」

提督「……爆撃については不問にする。任務に戻れ」


 ついにそれが口火を切った。

 胸倉をつかみ上げたまま頬を張り、踵を返して部屋を後にする。

 よりにもよって――そんな言葉が訊きたいわけじゃない。


瑞鶴(あんな奴、あんな奴、あんな奴――――!)

瑞鶴(あれじゃあ、加賀も報われない! あいつなら、そんな事はどうでもいいって言うかも知れないけど……!)


 いくらなんでも、酷すぎる。

 情けなく咽び泣いて欲しい訳ではない。

 でも、せめて一言ぐらい――一言ぐらい、悲しいとか、辛いとか、そんな言葉を言ってほしかった。

 そうじゃなきゃ、加賀が……。


卯月「待つぴょん」

瑞鶴「……何?」

卯月「欲もうーちゃんの事を爆撃してくれたっぴょん!」

瑞鶴「え、あ、その……ご、ごめん。ごめんなさい!」

卯月「……」

瑞鶴「痛かった? 本当ごめん!」

卯月「たーしーかーにー、目茶目茶痛かったでっす!」

瑞鶴「うう……」

卯月「……でーもー、きっと司令官の方が何倍も何倍も痛いっぴょん!」

瑞鶴「……へ?」

卯月「うーちゃん暫く司令官の事を見てたけど、うーちゃんの事に全然気付かずにずーっとぼーっとしてたんだよ」

卯月「いつもならうーちゃんが近づいても、すぐ気付いて振り向いてくるのにそんな事なくて」

瑞鶴「……」

卯月「司令官は司令官だから……きっと、あんな風にしかできないっぴょん! こないだから、ずっとずっと悲しんでるっぴょん!」

瑞鶴「……」



 「それだけ、それじゃ!」と敬礼を取り、卯月はまたどこかへと走り出す。

 その背を見送りながら――瑞鶴は床に目線を落とした。

 言われなくたって分かっている。望月が死んだときも、足柄が死んだときも、羽黒が死んだときもそうだった。

 ただの八つ当たりだって、本当は判っていた。

 でも――どこかでそうじゃないかもと思ってしまっただけだ。本当の本当に、誰かが死ぬ事を何とも思ってないのではないかと。

 あの冷たい目は本心で――従っていたら、いずれ皆が死んでしまうのではないかと。

 瑞鶴も、仲間が死んでいて気が立っていた。

 軍艦であった頃からの縁だ。こうして艦娘となって、再び見えた縁だ。

 それが損なわれて――だから心がささくれ立っていた。何度も何度も仲間がいなくなる事に、そんな指示を出していた提督が許せなかった。

 でも。

 聞けば、足柄と羽黒が死んだ作戦は提督が提案したものではない。

 そして、加賀が死んだのは体調不良の赤城を庇ってのもの。

 全責任が司令官に在るなんて言いきれないし――強いていうなら、何よりも悪いのは直接彼女たちの命を奪った深海棲艦だ。

 ……そう考えても。

 簡単に、割り切れるものでもない。


瑞鶴「……今度会ったら、謝らなきゃ」


 でも――。

 あの、頬に打ち込んだ掌の衝撃が。

 棘のように、瑞鶴の心を苛んだ。


提督「昔、罪悪感に応じて心に『錠』を被せて重くする……という超能力がある漫画があったけれど」

提督「実際、人を静かに歪めていくのに有効なんだ」


 激昂する人間は、その近くで激昂する人間が居れば、自然とその熱が冷める。

 寧ろ、そこまでいう事はないのにと――段々と冷静になる。

 あまりに数が多ければ、匿名性の仮面を被って集団心理が働くが。

 お互いの顔が具に見える状況なら、むしろ批難は言わせた方が良い事もあるのだ。



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

何人殺すんだよ……(驚愕)


22:殿死亡羽黒
33:ケッコンの約束死亡望月
33:アイドルとして最後まで気付かず笑顔で死ぬ那珂
44:龍田の背中で死亡足柄
55:自殺秋月
66:特性甲標的で愛する者に殺される加賀
77:吹雪

12:自傷清霜
14:顔に怪我那珂ちゃん
35:ガードベントうーちゃん
36:首絞め朝潮
41:軽傷名取
42:片目に怪我龍田
56:罪悪感マシマシ瑞鶴
63:中古飛龍
64:戦艦の体験トラウマ清霜
68:嫉妬を煽られた時雨
73:素潜りまるゆ
74:トラウマ抉り春雨、断食赤城
75:目茶目茶泣き付かれてプレッシャーを与えられる利根
95:遠回しに鈴谷は信用できないと言われる
イチャラブ:鈴谷、夕立
なんかやたら食べてる:赤城


7/24……大体30%で誰か死んでるんですけど。壊してる余裕すらないんですけど

はい、一応ね


赤城さんのダメージ

↓3

よし、やや精神よりのダメージマックスですね。最高ですね
こりゃあ捗るなぁ……


それでは今夜はここまででお願いします。始めるときはアナウンスして始めますんで

◆備えよう◆


 交感神経と副交感神経という言葉を知っているだろうか。

 所謂、緊張や興奮状態を司るのが交感神経。安穏や平穏を司るのが副交感神経。

 俗に言われるリラックスというのは――副交感神経である。

 この交感神経は、闘争状態に関わっている。

 自分の内の恐怖を殺し、痛みを鈍くし、飢えや渇きを感じなくさせて、戦闘に最適化させる。

 激しい戦いに晒されていたり、或いは常に狙われ続けていたりすれば――交感神経が優位に立ち続け、気持ちが休まる暇はない。

 映画などでよく見かける、僅かな物音で飛び起きるというのもそれだ。

 常に緊張し、過度に覚醒する。いつまでも心が休まらない。警戒を続ける事をやめない。

 戦闘への適応という観点なら実にそれは自然で、生き残るためには不可欠であろう。

 だけれども、所詮はそれはケダモノだ。

 今を生きる為だけに積み重ねられる促進させる緊張は、人間性を奪い去る。

 彼や彼女の脳裏には、過去や未来の観点がなくなる。いつだって、いつまでも現在が冷凍保存される。

 本来ならば切り替えられる物事だけど。

 ある引き金で、容易くそれは瓦解する。


 ――それは悪意。


 誰かの日常を非日常に、愛を憎に、平和を戦場に、好意を殺意に、正常を異常に――。

 スイッチを壊すのは簡単だ。

 それまで価値があると思っていたものを、踏みにじればいい。価値を全て無価値に変えればいい。自尊を卑下にすればいい。

 その人間の抱いていた希望を全て絶望で塗りつぶしたときに、人は容易く狂気に堕ちて破滅する。

 ああ――だから――。

 戦場というのは、素晴らしいものだ。 


 愛してくれるものと思っている相手からの恒常的な暴力は、害意と好意の一体化を図る。

 人間は自分を騙し込む。

 受け止めたら壊れてしまうものを受け続けたら、その心が破断する。

 人が知恵を持ち、心を持ったが故の弊害。

 そう、先に副交感神経と言ったが――。

 君は、ある毒ガスによる死者の死ぬ原因を知っているだろうか。

 その毒ガスは、人体で生成されるある物質にとても良く似ている。あまりにも似すぎている。

 吸い込まれたそのガスに含まれる成分は、ある物質に変わってそれと結びつくべき受容体を確保する。

 本当ならばブレーキの役目も果たすはずの受容体を、すべて奪い去る。

 結果として、過剰になったある物体により――人間は自分自身の機能を破壊して、死亡する。

 人は常に、己を殺す毒を抱えている。

 人の脳は、いつでも自分自身を殺傷できる。

 そう、だから――。

 思い込みで人が死なないなんて、どこの誰が決めたのだろう。


 人間は素晴らしい。生命は素晴らしい。

 どれほどの矛盾を孕んでいても。どれほどの破綻を孕んでいても。

 なんとしてでも生き残ろうと、自己欺瞞を重ねて生存を図ろうというのだから――生きている者は素晴らしい。

 そんなかわいい弱点を晒されたら。

 抉らない訳には、いかないじゃないか。


提督「……ふざけた話だ」


 眉間を押さえた提督が、物憂げにそう漏らした。

 手元に残った指令所に書かれた文字は簡単――「主力艦隊を本土に引き上げさせろ」だ。

 大本営としては敵残存勢力数は一定値よりも減であると推測。

 であるがこそ、主力艦隊は引き揚げさせて残った艦艇による掃討作戦を決行。

 尚、本土への資源輸送については敵艦艇による既存を超える襲撃を警戒し、高速戦艦を用いる事。

 などなど。

 実際に交渉を行いつつ、すぐさまにその要求には従いこそしないが。

 それでも永くは持たないであろう。いずれはこの場所を引き払う事になる。敵を掃討しないまま。

 未だに敵残存勢力は、少なくはない。むしろ、散発的な攻撃を見せているものの、未だに余裕があるとみるべき。

 そこで引上げでもすれば、今回の戦果はそっくりそのまま奪われる。

 これ幸いと襲い掛かってくるだろう。


提督「……とは言っても、従わない訳にはいかないが」

提督「赤城?」

赤城「……お断りします」

赤城「加賀さんの犠牲や……那珂さんの犠牲……」

赤城「望月さん、足柄さん、羽黒さん……彼女たちの犠牲を無駄にしない為にも……!」

赤城「これまで食べたボーキに報いる為にも、私は断固としてここを引きません!」

提督「アッハイ」


 なにいってだこいつ。提督はそんな言葉を飲み込んだ。

 彼も正直そう思わざるを得ない。赤城の決意は悲愴めいているし、事実真剣にそう言っているのだろう。

 顔を見なくても声だけ聴けば分かる。分かるのだけども。


吹雪「流石、赤城さん……!」

綾波「……えっと」


 目を輝かせる吹雪と、困り顔の綾波。

 それでいいのか。もう既にこの艦隊は壊れているのではないか。別の意味で。

 提督はなんとなく、寂しい気分となった。


提督「ならば……そう長くは待ってはいられないな」

赤城「行うなら、徹底的に……というのはどうでしょうか」

提督「なるほど……」

赤城「細かい作戦については私の一存では決められませんが、作戦時間に限りがあるのなら」

提督「短期間で、溜められるだけの資源を溜めて、一息に打って出る――――赤城、それでいいか?」

赤城「はい! 必ずや、その作戦を成功させてみます!」

提督「となれば、今以上に物資の輸送を行わなければならないが……」


 言って、提督は二人の駆逐艦を見た。

 どちらも高い練度を誇り、再び改善(改二である)された艦娘。

 特に吹雪は、提督がこの鎮守府に来た頃よりの付き合いだった。


 赤城は再び食堂に走った。更に力を蓄えようというのである。

 確かに、よく運動して食べれば筋肉が余計にグリコーゲンを蓄え、さらなるパフォーマンスを発揮するというのは有名な話。

 でも、赤城の場合、食っちゃ寝してるだけではないか? 提督は訝しんだ。

 綾波は、艤装の調整に向かった。

 これ以上の改修は望めないが、本番で不調が起こらないようにという心掛けである。

 部屋に残されたのは、提督と吹雪のみ。


提督「……吹雪」

吹雪「はい、司令官」

提督「これまで……長かったな。本当に本当に、長かった」

吹雪「……はい」


 目を閉じる提督の脳裏を過るのは、二人三脚でやってきた思い出だ。

 これまで共に苦労を重ねた。少しずつ海を取り返し、少しずつ戦力を拡大させた。

 時には圧倒的な敵の勢力に鎮守府が揺らぎそうになったときも、傍で提督を支えたのは吹雪である。

 実際のところ、彼の中でも吹雪は代えがたい存在になっていた。

 伊達でも酔狂でもなく、彼は本心からそう思っている。


提督「吹雪、君の夢はなんだい?」

吹雪「平和に……この海が、いつか静かになった海が……穏やかになった海を眺める事です」

提督「そうだ。私も、そうだ」

吹雪「そう、ですよね」

提督「ああ、そうなんだ」


提督「だから……頼めるか?」

吹雪「はいっ、吹雪、がんばります!」

提督「……吹雪は、いい子だな」

提督「……」

提督「……赤城についてやってくれないか? きっと彼女は、あれでも不安なはずだから」

吹雪「不安、ですか……?」

提督「戦友の……親友の加賀が轟沈したんだ。それも、目の前で」

提督「あんな覚悟は、赤城の心の痛みの裏返しだ」

提督「彼女を傍で……支えてやってくれ。きっとそれが必要だろう」

吹雪「……はい!」


 踵を返した吹雪が、ふと立ち止まる。

 どことなく、寂しげな瞳。


吹雪「司令官」

提督「……どうした?」

吹雪「……」

吹雪「いえ……」

提督「なんだ? やっぱり君も、不安なのか?」

吹雪「えっと」

吹雪「……」

吹雪「……なんでもないです、司令官」



 司令官は、最後まで打ち明けてくれることがなかった。


 ずっと一緒に居ても、どこか遠くを見てて。


 笑っているようでいて、心の底ではまるで楽しんでいなくて。


 悲しんでいるようで、何とも感じて居なくて。


 それは戦いだと頼りになるのだろう。きっと、そんな人だからどこまでも冷静に判断を下せる。正確に、勝ち筋へと進める。


 きっと強い人なんだ。これからに必要な人なんだろう。人類が深海棲艦と戦うためには必要な人なんだろう。



 ……ああ。


 彼を恨むべきなんだろう。彼は恨まれて当然なんだろう。それが自然なんだろう。


 彼は怪物だ。放っておいたら、取り返しのつかない事を起こすかもしれない――既に或いは起こしているだろう。


 でも、だけど。


 全てが嘘じゃなかった。嘘じゃなかったと信じたい。


 きっと一時は――同じ場所を見ていられたのだと。同じ場所に立てなくても、同じところを見ていたのだと。


 無責任なのかもしれない。無責任なんだろう。無責任だと思う。


 でも、まだ彼には人間の心があるのだと信じたい。怪物だとしても、何もかも人とは分かり合えない異星人ではないと信じたい。


 ここで自分は死んでしまうけど。


 この事が、何かを変える事になってくれたら――――。


提督「……」

綾波「本土への輸送船が、大破炎上しているのを見付けて……それで……」

綾波「吹雪ちゃんが……一人で、身に行くって……」

綾波「私は、離れられなくて……そうしたら……」


 船員と、その船は囮であったと。

 道中幾度も、強敵に襲われた。その度に綾波と吹雪は撃滅してきた。誘き寄せるように、何度も突いてきた。

 しかし彼女たちはそれらを打ち払った。打ち払って護衛を行った。取り囲まれそうになっても切り抜けた。

 であるからこそ、彼女たちは誤解した。それが敵の最大兵力なのだと。

 その結果が――陸軍のスナイパーが行うような友釣り作戦だ。

 未だに人が残る大破船と、物資を乗せたタンカー。

 その二つを狙って放たれた雷撃を前に、吹雪はその身を盾にして死んだという。


提督「……分かった。下がってくれ」

綾波「司令官……」

提督「この件は、正式に上奏する。『我ガ海域ノ平穏ハ未ダナラズ』――最高練度の艦が、再改造までした艦が沈められたんだ。文句は言わせない」

綾波「……」

提督「君だけでも無事で、本当によかった」

提督「作戦完了、ご苦労」

綾波「……」

提督「それと――吹雪は、吹雪は何か言っていたか?」


 小さく首を振る綾波に、提督は長息。


提督「……では、赤城にも伝えてくれ」

提督「吹雪が、君を慕う吹雪が、命を賭してまで運んだ資源だ」

提督「決して無駄にしないでくれ――と」

間違えた。ここは赤くねえよ


提督「……」

綾波「本土への輸送船が、大破炎上しているのを見付けて……それで……」

綾波「吹雪ちゃんが……一人で、身に行くって……」

綾波「私は、離れられなくて……そうしたら……」


 船員と、その船は囮であったと。

 道中幾度も、強敵に襲われた。その度に綾波と吹雪は撃滅してきた。誘き寄せるように、何度も突いてきた。

 しかし彼女たちはそれらを打ち払った。打ち払って護衛を行った。取り囲まれそうになっても切り抜けた。

 であるからこそ、彼女たちは誤解した。それが敵の最大兵力なのだと。

 その結果が――陸軍のスナイパーが行うような友釣り作戦だ。

 未だに人が残る大破船と、物資を乗せたタンカー。

 その二つを狙って放たれた雷撃を前に、吹雪はその身を盾にして死んだという。


提督「……分かった。下がってくれ」

綾波「司令官……」

提督「この件は、正式に上奏する。『我ガ海域ノ平穏ハ未ダナラズ』――最高練度の艦が、再改造までした艦が沈められたんだ。文句は言わせない」

綾波「……」

提督「君だけでも無事で、本当によかった」

提督「作戦完了、ご苦労」

綾波「……」

提督「それと――吹雪は、吹雪は何か言っていたか?」


 小さく首を振る綾波に、提督は長息。


提督「……では、赤城にも伝えてくれ」

提督「吹雪が、君を慕う吹雪が、命を賭してまで運んだ資源だ」

提督「決して無駄にしないでくれ――と」



 既に、嫌な予感はしていた。


 出迎えの数が、居なかった。


 大体的に輸送船団が来た時は、司令官がそれを皆に伝える。


 そうして、皆で喜びを分かち合い、苦労を共にするのだ。


 よくぞここまで来てくれた――。


 よくぞ届けてくれた――。


 よくぞ守ってくれた――。


 だから戦えるのだ――。君たちの為に戦うのだ――。君たちが戦いを支えるのだ――と。


 そうしているから、前線の兵と銃後の民に垣根はない。支援を行う艦隊と、出撃する艦隊に境はない。


 己が前に出られぬ事を恨む兵はいない。なぜなら、自分たちの行いが戦線を支えるから。


 己だけが前に出続ける事を厭う兵はいない。なぜなら、自分たちは決して一人ではないと分かるから。


 そうして、この艦隊は成り立っている。


 だから――知らされないという事は。つまりは。


 輸送船団に少なくない被害が出たか――それとも、別の可能性。


 今回は、多くの輸送船が来た。待ちきれない艦娘たちが、補給を前に声を上げた。


 だけれども赤城は、赤城の心には暗雲が立ち込めていた。



綾波「司令官から、伝言です」


 来たのが綾波一人であったとき。

 赤城には、もう意味が分かった。その先の言葉を聞かずとも、何が起きたのか理解できた。

 綾波の言葉が耳を滑る。


 ――吹雪が。

 ――君を慕う吹雪が。

 ――命を賭してまで運んだ資源だ。

 ――決して無駄にしないでくれ。


 それは激励なのかも知れない。それは発破なのかもしれない。

 だけれども――だけれども。

 加賀という唯一無二の戦友を失い、その悲しみを怒りとして両足で踏ん張っていた赤城には。

 出撃の前に、必死に気遣って声をかけてくれた吹雪の死というのは。

 その明るい瞳には。

 彼女が命を賭してまで、船を守る理由があったのだと――その意味なのは貴女なのだと。

 むしろ、咎められている風さえ覚えた。


 自分がここに残ると言わなければ。

 ここで戦闘を行うと言わなければ。

 強硬策を主張しなければ。


 ――吹雪は、死なずに済んだのではないか?



提督「積み上げて、積み上げて、積み上げて……すべての努力を払って」

提督「その上でそれを台無しにする」

提督「……それは、どんな事よりも楽しい」


 自分の手で壊したのなら。

 それは徒労ではなく、必要な努力となる。

 有用性の証明になる。



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

吹雪が死んだというのにイチャコラする人間のクズですねコイツァ


赤城さんはどれぐらいアレしちゃったのかな?




コンマ十の位 1ほど虚無感 9ほど好戦的
コンマ一の位 1ほど小 9ほど大
0:特殊判定
ゾロ目:???
↓5

【悲劇】赤城、引きこもり【ニート航戦】


ちょっと入渠してきますね。30分ぐらい

お待たせ

ところでうちで沈んだの赤城なんですがここは安価で1の心を壊すスレだっけ


五月雨「提督……大丈夫ですか?」

提督「五月雨か? 私は問題ないが……」

五月雨「……」

五月雨「え、えっと! じゃあご飯持ってきますね! 奮発したらしくて……!」

提督「五月雨、走ると――」


 提督からどこか笑顔が減った。五月雨はそう思っていた。

 これまでの戦いで、犠牲者が居なかった訳ではない。戦闘であるから、それは付き物だ。

 しかし少なくとも、そんな危機は乗り越えてきた。皆で力を合わせて。

 だから――今回の状況には、少なからず動揺を隠せない。

 相次ぐ轟沈だ。中には当然、提督の指揮を疑う者も出始める。

 それでも表に出ないのは、これまでの提督の功績を讃える声と――この異常な戦況にある。

 深海棲艦の作戦が、より高次なものになっている。

 加えて、大本営からの無理難題だ。勝ち続けると欲が出たのか、戦力の投入を渋るようになった。

 航空機の利点は知っている。だからこそ、空母は作戦に組み込まれてはいるものの……。

 戦艦などの主力が、碌に存在しない。これははっきり言って異常だ。

 敵の襲撃に於いては無論のことながら戦艦が投入はされたものの、それもすぐさまに引き上げを命じられる。

 最初は言外の圧力で。次は、指示という形で来たらしい。

 本当に大丈夫なのかという声が上がる。このまま闘っていて、平気なのかと。


五月雨(吹雪は、提督とずっと一緒にいたから……)


 そんな吹雪の轟沈に、少なからず衝撃は隠せないだろう。

 斯く言う五月雨とてそうである。一番の古手であり、駆逐艦ながらに艦隊を陰で支えた吹雪の死には、相当な動揺を覚える。

 ならば、提督は……。


五月雨(だから――)


 せめて吹雪が命がけで届けた物資を。資源を。

 彼女はもうここにはいないけれど、彼女は確かにいたのだと。

 その証明があるのだと。

 せめて、ようやく届けられた新鮮な食べ物でも食べて、元気を出して欲しいと――。

 久々に食べる満足な食事は涙が出るくらいで、天にも舞う心地だったと――、


五月雨「ああっ!?」


 ――文字通り、天に舞った。ただし、味噌汁が。


五月雨「す、す、すみません……提督、すみません!」

提督「……いいんだ。疲れもあるさ、仕方がないだろう」

五月雨「でも、これは、吹雪が……!」

提督「……」

五月雨「……提督?」

提督「吹雪は、死んだんだ。もう帰ってこない」

五月雨「……」


提督「……だけど」

五月雨「え?」

提督「だけど、あの娘なら……きっと君に怪我がない事を喜ぶ。こうして貴重な物資が不意になってしまう事より、君の心配をするだろう」

五月雨「……」

提督「いいんだ、五月雨。慌てたのは良くなかったが……皆疲れてる。仕方がないんだ」

五月雨「……提督」

提督「それよりも、君に怪我がなくてよかった。……本当に」

五月雨「ありがとう、ございます……」

提督「……ああ」

提督「彼女の分まで、私たちも戦わないとな」

五月雨「はい!」


 一方の、飛龍はと言えば。


飛龍「赤城さん、補給が……」

赤城「……」

飛龍「せっかく、色々なものが届いたんですよ! 赤城さんの好きだった……えっと、とにかく好きだった食べ物が!」


 とりあえず、食べれるものは何でも嬉しそうに食べる。そんな赤城の好物を挙げるのは難しい。

 何もかもが好物である。だからとりあえず食べ物が届いたという他ない。

 ドア越しに呼び掛ける飛龍は、特に良い文句が浮かばない。

 自分ではなく、同じ艦娘から呼びかけた方がいいだろう――提督はそう言ったが。

 これではどうにも、難しすぎる。


赤城「放っておいて……下さい」

飛龍「……」

赤城「今の私には……もう、何もかも判らないの。慢心しているのか、そうでないのか」

飛龍「……」

赤城「私はもう……艦娘としての誇りも持てない」

飛龍「……っ」

赤城「私がした判断は……どれも、間違えたものにしかならないから」


 ドアの向こうで、動く気配が感じられない。

 真実、赤城は彼女が言うように――見失ってしまったのだろう。

 戦う理由も。一航戦としての誇りも。底抜けの食欲も。彼女の矜持や信念は、歪み切ってしまっている。

 彼女を庇って戦友が死んだ。一航戦の親友が死んだ。

 彼女を支えようと後輩が死んだ。輝かせた目を向ける駆逐艦が死んだ。

 その痛みは――すべてを理解しきれないけども。

 それでも、飛龍の胸を吐く事があった。


飛龍「そんな姿、見せられるんですか!」

飛龍「死んだ仲間に! 戦友に! 私たちの事を信じている人々に!」

飛龍「栄えある一航戦の空母がそんな風にしてたら、多聞丸にも笑われますよ!」


 そんな姿は見たくないのだ。

 一航戦。航空機動部隊の基幹。この国最強の航空戦力。

 その、赤城ともあろうものが。

 かつてこの国の空母の先駆けでもあった赤城ともあろうものが、女々しく蹲って自らを悔いているなどと。

 そんなのは、許せない。許せる筈がない。許したくない。

 だから、立って欲しかった。

 自分たちの過去の記憶を無駄にしない為にも。これまでの戦いを無益にしない為にも。戦友の想いを無残に変えない為にも。

 ここは、立って戦う場面だった。彼女の司令官ならきっと、それを選択した。

 だから――



 ――私は……私は山口提督とは違います!



 だから、そんな言葉が投げ掛けられたとき。

 金づちで頭を殴られたような衝撃だった。



 ――確かに私は……貴女の言うように、情けないでしょう。


 ――でも……私は、誰でもなく私なの。


 ――加賀さんにも……吹雪さんにもなれない……私なんです。情けない私なんです。


 ――情けないですけど……本当の本当に、情けないけど。


 ――貴女が誰の事を誇ろうと勝手だけど。


 ――それを誰かに、押し付けないでください。


 ――そんな風な貴女の方こそ、昔に囚われているだけです。


 ――私は、その人や……皆みたいに、上手くできないんです。


 ――もう、そっとしておいて……。


提督「脳というのは、無駄を嫌う」

提督「繰り返された刺激には、同じ反応を示さない。……それが順応」

提督「或いは、同じ刺激を覚えて次に生かす。……これも順応」

提督「応用すれば、無力感を学習する」


 人だけでなく。犬や、猫や、鳩でさえも。

 精神は人間だけの持ち物ではない。

 実験の結果、ハトでさえジンクスを持つのだから。



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 3 艦娘の名前を。シチュを採用する場合も

あのさぁ……

金剛嫁艦なんですけどォ!!!!!

はい、ここで肉体のマックスダメージですね



金剛はどれぐらいアレしちゃったのかな?




コンマ十の位 1ほど内臓 9ほど外見
コンマ一の位 1ほど小 9ほど大
0:特殊判定
ゾロ目:???
↓5

イチタリタ……危なかった……

あ、肉体ダメージで特殊な判定が出るとハイエースされたり激しく前後されたり殆ど違法行為されたりダンケダンケします


金剛「Hey,テイトクゥー!」

提督「金剛か? 今、船団の護衛をしている筈じゃ……」

金剛「テイトクの事が気になって、Can not stay thereデース!」

提督「そうか」

金剛「Kept you waiting~? ワタシが来たからには、オオブネに乗ったつもりで任せてくだサーイ!」

提督「……そうか」


 ドアを強く開くと同時に、甲高い声を上げる金剛。

 静かに微笑む提督と、堂々と胸を張る金剛。


山城「……私もいます」

山城「私じゃ……不足かもしれないけど」


 遅れて扉を潜った山城の顔色は優れない。

 それは果たして、引け目を感じているのか。それともこうして、末期的な場所に連れてこられた事への不満か。

 或いは……。


提督「いや、心強い。君が来てくれて、本当に嬉しい」

提督「我が艦隊の戦艦での練度いうなら、君が一番だろう」

山城「……実戦には、あまり加えられてませんけど」


 そう答えつつも山城は、どこか嬉しそうだった。


提督「聞いてはいると思うが……敵残存勢力による散発的な行動に、掃討な被害を受けている」

金剛「榛名がDoCkのCraneよりもFuckなBuddhaって言ってたネー」

山城「え」

金剛「Jokeデース」


 クスリとも笑わない山城と、咳払いをした提督。

 場を和ませようとしたつもりであったが、どうにも外してしまったらしいと金剛は頬を掻く。

 つまりはそれだけ、真実戦況が逼迫しているという事だ。


提督「既に、望月・足柄・羽黒・那珂・加賀・吹雪が犠牲になっている」

山城「……」

金剛「Oh...ブッキー」

提督「敵は未だに相当な航空機を有し、航空機による機動性のある奇襲……潜水艦による群狼作戦、戦艦クラスの編成による包囲戦を行ってくる」

提督「ただし、行える数には限りがある……少なくとも、損害は回復し切れてないようだ」

提督「損傷の観点から、同一の個体が窺える」

提督「それすらもブラフである可能性もあるが……」

金剛「そこでワタシたちの出番デスカー?」

提督「そうだ」

提督「特に山城。君に、期待している」

山城「わ、私……!?」

提督「主砲の威力は、大和型ほどでないにしても十分。航空機に対しても備えがあり、潜水艦にも対応できる」

提督「君の力が……必要なんだ」


山城「その……えっと、あ、あの……」

提督「こんな状況になってしまって申し訳ないとは思うが……私に、君の力を貸してほしい」

山城「え、え、あの……その……」

提督「頼んだぞ、山城」

山城「その……こ、光栄です……提督」


 頬を赤らめて視線を泳がせる山城と、彼女をじっと眺める提督。

 そんな様を見ながら、金剛は不満げに口を尖らせた。


金剛「それじゃあ私は要らない子みたいデース……」

提督「そんな事はない。君の速力と打撃力には大いに期待をしているし」

金剛「……」

提督「君の明るさには、癒される。特にこんな戦況にもなると、どうしても……士気が」

金剛「……」

提督「……金剛?」

金剛「Hum...ちょーっとCourtshipには……Love callには足りないけど、そういう事なら任せてくだサーイ!」

金剛「テイトクとこの艦隊の為に頑張るから、見ててよネ?」

提督「……ありがとう、金剛」


山城「……私も」

提督「山城?」

山城「私も……その、頑張りますから」

はい、ここまでで

いい具合に戦力が充実してきましたね(棒)
これは海戦の勝利も期待できますね(棒)
明るい高速艦と暗い低速艦のコンビはいいものですね


というわけで、ある程度数と艦種が揃ってきたのでそろそろ本腰を入れて攻略するかもしんないです
もうちょっとしたら新規船がなくなるかもなんで、嫁艦で愉しくやりたい人は頑張って下さい

ここまでの状態


●羽黒(22):殿として死亡
●望月(33):ケッコンの約束をして遠征に出たら提督の策略により死亡
●那珂(33):顔に怪我をした(14)が、提督を気遣い笑顔。最後までアイドルとして笑顔で死亡
●足柄(44):龍田の背中で息を引き取る。トラウマメイカー
●秋月(55):過労で精神状態が不安定となり、自殺
●加賀(66):提督の事を憎からず思っていたが特性甲標的で提督に殺される
●吹雪(77):初期艦として提督の傍で戦い続けた。提督の本性に気付いていた。護衛船と大破する船を庇い死亡。トラウマメイカー

○清霜:戦艦に憧れていたが、本部製の実験段階仮想試作機でトラウマ(74)、その後幻痛に悩まされ自傷(12)
○卯月:ガードベント(35)。瑞鶴に提督も辛いんだと言ったり
○朝潮:喪ったものの傷も癒えない司令官を促したために首絞められた(36)と思っている
○名取:魚雷攻撃で炎上したが軽傷(41)
○龍田:深海棲艦の攻撃により片目に怪我(42)。更には軍艦時代のトラウマを足柄に抉られる
○瑞鶴:加賀が轟沈したショックで提督と激突。罪悪感(56)

○飛龍:提督から前の人の事とか感じる中古はちょっと(63)と言われた後に、赤城から人と比べないでと怒鳴られる(58)
○時雨:姉妹艦の夕立は褒められているのに、提督に気遣った自分は余り良い目を見れていない。病み(68)
○まるゆ:素潜りしよっかと爽やかにプレッシャーかけられる(73)
○春雨:深海棲艦っぽいとか言われてたけど提督は受け入れてくれたから役に立ちたい、けど艦艇時代のトラウマを抉られる(74)
○鈴谷:暗くなってる提督にいつでも相談して、という。あと勇気づける(意味深)想像したらヌメヌメする。でも利根に比べて信用できないと遠回しに……(95)
○利根:実力があるからと、かつて望月とケッコンしようとしていたんだ……とここだけの話を打ち明けられプレッシャー(75)

○綾波:一緒に船団護衛をしていた吹雪が目の前で……(94)
○夕立:ぽいぬ。てーとくさん、笑顔じゃないのに笑顔にならなくていいっぽい!
○五月雨:吹雪は死んだ! もういない! だけど吹雪の生き方は俺たちの心の中で(ry
○赤城:資源が少ないという提督と本営の会話を聞き断食を決意(74)、そののち体調不良の赤城を庇って加賀と那珂が轟沈。でも二人の分までボーキ食う!
     今度は万全だ、仇を取るためにここに残って打って出ると言っていたら、その資源を集めようと奮戦した自分を憧れと崇める後輩の吹雪が轟沈(79)
     今はすっかり何が正しいのか解らなくなり、虚無感に包まれて自室にこもる(39)

【回避】備えよう【重点な】


今回ちょっと長くなる。嫁艦だから仕方ないね


山城「……霧が多いわね」

金剛「こういう時は不吉デース」


 そう漏らしながらも鼻歌でも歌わんばかりの隣の戦艦を一瞥して、山城は内心嘆息した。

 気に喰わない。有り体に言ってそうだ。

 どこまでもポジティブに見える鷹揚さを持つ金剛と、ペシミズムに塗れた心が翳りとなって現れる山城。

 金剛は高速戦艦。山城は低速戦艦。

 一緒に進んでいるだけで惨めになる。戦速というのは、その艦隊で一番遅い船の最高速に合わせるから。

 だから金剛が何も言わなくたって、自分の所為で制限を付けてしまっていると――山城は負い目を抱く。

 そして極め付けが、過去。

 金剛はその使い勝手から大戦中も東奔西走、獅子奮迅の働きを見せた。

 対する山城は、艦隊に居るのが珍しいと揶揄されるほど出番がなかった戦艦。

 竣工した時期も近しい。数度と近代化改修を行ったのも同じ――だけど、その戦歴には余りにも隔たりがあった。

 ついでに言うならそれぞれ、姉と妹。ここも違う。


金剛「こうも霧が深いとRadarも上手く働かないネー」

山城「……」


 電探とは、極を交互に素早く切り替え放電する事で高周波を産みだし、その波を射出して、反射によって対象を探知するもの。

 性質としては光に近い。強い雨や霧などの中ではその水分によって、障害を見せる。

 無論、それを除去する機能は備えられているのだが、それをすると今度は今度で小さな目標が分かりづらくなる。

 つまり、如何に科学技術の結晶と雖も、万能とは行かないのだ。

 それはそうとして。


山城(……うるさい)

 


 何も考えてないみたいに能天気な性格が気に障る。

 バカに嬉しげに明るい声が気に障る。

 その経歴が気に障る。

 その速度が気に障る。

 こんな状況でもなければお近づきになりたくない……というぐらいだ。

 それに加えて、この海霧。いい加減にウンザリする。海雪のように、不満が積み重なる。


金剛「これじゃ、Air supportも大変そうネー」

山城「……」


 作戦に当たっては、空母から発艦した艦載機が支援を行う事になっていた。

 いたが……この天候だ。期待しても仕方がない。

 提督からは潜水艦への備えも期待していると言われたが、この霧ではそれも果たせそうにない。

 本当に憂鬱だな、と山城は思った。


金剛「ところで、威力偵察はいいけど敵に囲まれたらどうするデスカー?」

山城「……」

金剛「ヘーイ、山城ォー」


 ああ、うるさい。


山城「……出てきた奴を叩く。そのまま叩きまくるのよ」

金剛「Oh, Search and Destroy! 英国の伝統デース!」


 本当かよ。

 山城は眉を寄せた。聞いた事がない。どこかで褐色肌の眼鏡金髪の女性が眼鏡を押し上げた気がしたが、多分気のせい。

 無茶苦茶過ぎて戦術とも呼べないが……というか、それしか方法がない。

 何故なら山城は低速だから。逃げ切ろうとしても、逃げ切れる筈がない。

 代わりに十分な火力がある。提督に期待された練度もある。モーゼが海を切り開いたように、無理やりに敵陣を割れるだけの力がある。

 山城が遅いからだなんて分かっているだろうに。嫌味か、と言いたくなった。


金剛「せめて潜水艦が出てこない事を祈るだけデスネー。潜水艦はTerribleネー」


 うるさい。

 それはもうとっくに考えたし、わざわざ言われなくても判ってる。

 かつての帝国海軍がどれだけ潜水艦に悩まされたかなんて、言うまでもない。

 一々癇に障るな、と唇を噛み締める山城。


山城「……それでも」

金剛「What's that?」

山城「威力偵察をするなら、戦わなければならないでしょ」

金剛「Exactlly。ここで叩いておいた方がイイと思いマース」


 ――別に貴女の意見は聞いてませんから。

 思わずそう言いたくなるほど、山城は苛立っていた。自覚なく、指先を擦り合わせる。


 仲間が次々と、こんな場所で沈んでいる事。

 自分が碌に実戦に参加できていなかった事。

 それでも今回の作戦の要になると言われた事。

 なのに全く生かせそうにない天候だという事。

 諸々条件が積み重なって、さらには大役を果たさねばならないという自負と、漸く活躍の場が与えられるという高揚と、

 細心の注意を払い続けなければ自分もどうなるか判らないという危機感――全部が綯い交ぜに、山城から余裕を奪う。

◆ボーキ補給してきマース


早く瑞鶴壊したい

【回避】ネタバレ:金剛が大活躍します【重点な】

それじゃあ始めます


 そして始まった水上戦闘。

 厄介なのは視界の悪さ。

 戦艦の利点である射程が活かせない。めくら打ちでは、無駄に己の場所を知らせてしまうだけ。

 この状態に於いては駆逐艦や潜水艦などの方が有利であった。

 駆逐艦は、小回りが利くのだ。

 霧という天然の防護膜を盾に、次々に波濤の如く押し寄せる駆逐艦の群れ。

 そして潜水艦は言うまでもない。早期発見こそが潜水艦に対する最善の対処であるのはいうまでもないが、それをできないのである。


 夜戦と同じだ。

 当てれば、戦艦の装甲とて平常では居られない魚雷を抱えた駆逐艦が、容易く懐に飛び込んでくる。

 人間や艦娘と異なり、奴らは恐怖を持たない。危機を感知しても、危険に怯えたりはしない。

 であるが故に、同士討ちの可能性を顧みずに縦横無尽に霧の中を移動する。

 だが、金剛と山城はそうもいかない。

 この視界の利かない中で互いに接触する愚など犯そうものなら両者ともに無事では済まないし、そうなれば後は囲まれて捕食される。

 となると、互いを確認できる位置で。その位置ながら回避の最中には激突しないように。

 襲い掛かる敵の攻撃に最大限の警戒を行いながら、迫り来る雷撃や砲撃への回避は相互に注意した軌道をしなければならない。

 土台、不利な話であった。


 ……が。


山城「だから、どうしたって言うの……?」


 一切構わない。

 霧で見えにくいのなら、当たるまで撃てばいい。

 一発の砲撃で命中させられないなら、千発の砲撃を行えばいいのだ。実際、実にシンプルである。

 そして山城の主砲の火力は、至近弾でも駆逐艦に十分な損害を与える。


金剛「Oh...デタラメデース」


 霧があろうがなかろうが知った事じゃないと薙ぎ払う山城の雄姿に、金剛も開いた口が塞がらない。

 流石に、提督から頼りにしていると言われるだけはある。

 主砲の火力で言うなら大和型の方が上だろうが……なんというか鬼気迫るものがある。恐ろしい。

 彼女を尻目に、金剛も主砲を放つ。が、この速力を生かせない場面だ。どうにも見劣りがする。


 これは最大戦功は山城だろうかな、と感じていた金剛であったが、


山城「きゃっ!?」


 山城の至近距離を通過する白い航跡。魚雷である。

 電探に反応はない。

 ということは即ち潜水艦であり、報告からするなら群狼戦術――多方向からの雷撃が襲い掛かる。

 砲撃を激しく行えば、自ずとその位置が判明する。特に金剛と山城は固まっている為、顕著だ。

 打てばどちらかには命中するであろう。また、立て続けに行えばいずれ直撃するのは目に見えている。

 何の足しにもならないだろうと、航跡の方向へと砲撃を行うが……やはり、反応はない。

 発射の後に自動で推進する魚雷は、その発射方向に母艦がいるとは限らない。諸元を入力すれば、あとは概ねその通りに進むのだ。

 雷撃を放ち、逐次位置を変える潜水艦。

 静穏とは程遠い戦闘行動となるが、この霧は彼らの味方である。

 それを前に――


山城「……ここは、引きます」


 山城は判断を下した。

 実戦経験が少ない彼女でも判る。このまま欲張って戦い続ける事は、単なる自滅と同義。

 今更、功を急くつもりはない。

 ここは帰って、出直せばいい。

 幸いにして敵の練度というのは判明した。天候が悪条件でなければ、山城や金剛なら問題ない。威力偵察の意味は十分。

 ただ、


山城「逃げ切れればの話だけど」


 当然、降りかかるのはその難問。


 幸いにしての霧は、きっと彼女たちへも助けになる。

 だが――やはり脅威は潜水艦だ。というより、雷撃だ。金剛や山城の戦速よりも早く直進する魚雷と進路が一致したなら最後、海の藻屑。

 同じく霧が、遠方より襲い来る雷撃の白条の航跡を気付かせない。

 元より避けきれるものでもないが、こうなると息絶えるその瞬間まで、何が起きるか判らずに無防備な背を貫かれる。

 やはり、無理かもしれない。

 折角、前世とは違って期待されたというのに。前世の先の改装をされたというのに。

 そんな信頼にも応えられず、そんな性能も活かせない。そのまま、沈むのだろうか。


金剛「Cloudy mornings turn to clear evenings」

山城「……は?」

金剛「イギリスの諺デース!」

山城「いや……その……日本語で……」


 なんでそんなフィリピンパブみたいな喋り方してるの。行った事ないけど。

 凄く場にそぐわないが、山城はそう思った。


金剛「『曇った朝は晴れた夕方になる』デース」

山城「え、いや、それが……?」

金剛「つまり、サイオー・ホースってとこデスカー?」

山城「え、あ、はい」


 だからなんだ、と告げようと山城に。

 金剛の35.6cm砲が上空を臨み、そして発砲。


金剛「三式弾の信管を速めて撃てば……霧なんてイチコロデース! It's killer clear!」

山城「……凄い」

金剛「霧は散るもんさ……朝の光の中にって奴デスネー!」

山城「アッハイ」



 立て続けに撃ち上がった爆炎が巻き起こす上昇気流が、局地的に霧の切れ間を作る。

 白い幕を奪われて晒される、数多の敵深海棲艦の姿。


金剛「向こうにとってこの霧はこちらを沈めるchanceデスから、それはそれは大勢揃っていマース」

山城「……なるほど」

金剛「そんな風に集まってくれているところを一網打尽! これが漁夫の利デース」

山城「いや、それは違うと思いますけど……」


 どちらにしても好都合だと、山城は嗤う。

 霧の中でも相当数の撃破をできたのである。不利である条件でも、金剛と山城は戦況を均衡に持ち込んだ。

 であれば、そんな不利がなくなったというのなら。


金剛「It's show time! Jackpotデース!」

山城「ああ……えっと、はい、とりあえず倒します」


 その戦いがどちらに傾くのか、言うまでもないだろう。

 ホンの少しだけ。

 ホンの少しだけ、この光みたいに……眩しくて五月蠅い高速戦艦の事を、好きになれるかもしれない。

 山城は、知らず頬を綻ばせた。



山城「あ……あ、ああ……なんで……なんで……」


 腹部から血を流す金剛が、山城の腕の中で微笑む。

 呼吸と共に競り上がる赤き潮が、彼女の白い巫女めいた衣装を染め上げる。

 指先が真っ白になるくらいに抑えた傷口からの噴血は、それでも一向に止まる様子を見せない。


 ――馬が合わないと思ったのに。

 ――あまり好きになれないと思ったのに。

 ――煩い奴だなと思ったのに。


金剛「ダメですネー、山城……かわいい顔が台無し……デー、ス」

山城「何で、私の事……庇って……どうして……」


 何が起きたのか解らない。心底山城には理解できない。

 塞翁が馬。金剛はそう言った。禍福はあざなえる縄の如しだと。

 ああ、そうだろう。

 霧は敵の有利を導いた。だが同時に、双方に制約を与えていた。

 それは、艦載機の利用が難しいと言う事。とても、あの視界の中で航空機の運用は困難だった。

 それが晴れたのなら、どうなるか。



金剛「私は山城のお姉さんじゃないけど……私にも妹が……い、マース」

山城「あ、ああ……嘘……やだ、こんな……うそ……」


 伝え聞いた、戦時中の扶桑を彷彿とさせる。

 肉体が真っ二つになって没したと言われた、その姿。

 連想させるには十分だ。金剛は、腹部にあまりにも大きな傷を負ってしまった。


                            ネームシップ
金剛「いもう、と……を、庇……う、のは……お姉ちゃんの……仕、事デース……」

山城「やだ……誰か……! やだ……ねーさま……! ねーさま……! 誰か……助けて……誰か……」


 混乱が、山城の頭を包み込む。

 霧が晴れたら敵艦載機が来る。そんなのは分かっていた。実際に襲い掛かりもしてきた。

 でも、一番判らないのは……


金剛「だから……あん、まり……悲しんじゃ……ノー、なんだ、からね……?」

山城「あ……あ、あ……」


 金剛を爆撃したのが。

 ――そんな敵艦載機を撃ち払った、味方航空機だったと言う事だ。



 ――金剛型戦艦娘一番艦:金剛。


 腹部への重傷。しかし、治療によって一命を取り留めた。


 だが同時に、その傷は……。


 戦いが終わった後、艤装を外して普通の女性になったとしても。


 決して女性としての幸せは与えられないのだと、一部の臓器の摘出を生んだ。




 悔しいけれど。

 悔しいけれど、あいつの代わりになんてなれない。

 あいつが居なくなってから、ずっとそうだ。

 あいつは――一航戦の加賀は。やはり、あいつの言うように、強かったんだ。


 指が擦り切れた。

 もう、どれぐらい艦載機を飛ばしただろう。

 あいつの抜けた穴は大きかった。

 腕を持ち上げるのも、一苦労だ。

 そこだけがずっと熱を持って……動かし過ぎて、内出血している。


 でも、打たなければならない。放たなければならない。

 味方を助けられるのは、自分しかいないのだから。

 加賀が居なくなったって、自分がいるのだ。あいつがいなくなった分も、自分がやらなければならないのだ。

 そんな自分を見たら、あいつはなんていうだろう。案外、「その程度で音を上げるの?」とでも言いそうだ。

 ……ああ。

 本当に嫌な奴だったけど。全然好きになれないけれども。

 やっぱりあいつは、凄かったんだ。


 今、この部隊で動ける空母は自分しかいない。

 だからずっと、援護を出すのは自分だけ。

 もう一人の一航戦は、何があったのか知らないけど出て来れない。

 二航戦は何をしているんだろう。でも、いない。

 だから、自分がやるしかない。


 金剛と山城の援護をしてくれと、提督から頼まれた。

 結局あれから、謝れてはいない。なんとなくの、疑念が拭えない。

 それとも、ずっと戦い続けて……そういうことを考えるのが、面倒になったんだっけ。

 でも、いい。


 漸く来た戦艦での威力偵察。二人の練度ならそれが可能らしい。

 ただ、恐ろしいのは敵の航空機だ。

 最低限の対処と潜水艦への対処は出来るけど。空母による飽和攻撃があったなら、どうしようもないと言われた。

 本当に、眠れないぐらい腕が痛いけど。痛みでずっと、起こされてしまうけど。

 ここで、弱音なんて吐けない。

 そうしたら、きっと加賀に笑われる。


 居てくれたらな、なんて言わない。

 でも、加賀が居た事を無駄にはしない。

 吹雪が居た事を。那珂が居た事を。足柄が居た事を。羽黒が居た事を。望月が居た事を。

 絶対に、嘘になんてしない。

 だから、ここで逃げちゃいけない。


 ……戦闘は、どうなったんだろう。

 何か鎮守府が、騒がしい。

 きっと、勝ったんだと思う。ちゃんと、二人は敵を倒したんだと思う。そうであって欲しい。そうに決まってる。

 これ以上、敵に仲間が沈められるのなんて……見たくないから。

 ああ。

 本当に、体が重い。


提督「“当日、戦闘海域には霧が発生。また、多数の艦影が存在”」

提督「“それ故にこれは故意の攻撃ではなく、不幸な事故だと思われる”」

提督「“また、被害に遭った当該艦艇からの嘆願がある事も留意を望む”――と」


 大本営への報告書をしたためて、提督は天を仰いだ。

 やれやれと、一息。煙草に火をつける。


提督「艦娘への、あらゆる薬剤を用いた洗脳はできない。というのも彼女たちは、人の形をした軍艦だからだ」


 言うなれば、子供が語るジャン・クロード・ヴァンダムとスタローンのどちらが強いかと同じような。

 全ての生物が同じサイズで戦ったら、どれが最強かを論ずるに似ている。

 人間大になった昆虫は外骨格を自重で崩壊させるとか、サイズが大きくなったから同じ速度で動く訳がないとか。

 そういうのを、一切無視して論ずるのに似ている。

 艦娘は言うなれば、そんな概念である。

 だからこそ――


提督「メタンフェタミン」

提督「末期の潜水艦乗りや航空機の搭乗員が疲労回復の為に使用していたと聞くが……」

提督「ある程度親和性があるなら、上手く適合するらしい」


 似たような、現実に即した概念を付与する行為ならば。

 そんな不可侵というのは、侵される。 

 強い高揚と興奮を覚えたパイロットには、全てが敵に視えた事であろう。


コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 2 4

青葉かわいいよね
あんなに元気溌剌そうに振る舞う青葉の耳元で過去のトラウマを囁き続けて、涙を流して壊れた笑いを浮かべるだけにさせたい

トラウマが重なり過ぎて、レンズ越しじゃないとパニックになって人と接せなくなっちゃった青葉からカメラ取り上げたい



クッソ!!!! なんでだよ!!!!!

ちょっと入渠してきまーす


金剛嫁艦なんで気合入れて書いてしまった。長くなってスマンな

お待たせな


さて大井っちにちょい判定


十の位 1ほど過去に、9ほど現在
一の位 1ほど実感、9ほど感覚
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓3

大井っちさぁ……君さぁ……

大井っちさぁ……


 甘い臭いがする。

 というのも別に、メタンフェタミンの……あの、プラスチックを燃したような、人工的に作った果実の如きやけに色濃い甘い香りではない。

 卵焼きである。

 そう、卵焼きだ。

 卵焼き。


瑞鳳「あの……」

提督「……」


 何故か卵焼き。既に卵焼き。いつの間にか卵焼き。

 卵と言えば鳥、鳥と言えば七面鳥、つまり七面鳥の焼き討ち。焼き鳥製造機。殺人長屋。あんまり最後らへんは関係ない。

 目の前には、卵焼きの皿を持った弓道風の装束の少女。


瑞鳳「その、何か手土産にと思って……」

提督「あ、ああ……」

瑞鳳「卵焼きを」

提督「あ、ああ……」

瑞鳳「卵焼き、食べるぅ?」


 三択――ひとつだけ選びなさい。

 ①クールな提督は逆転の秘策を思いつく。

 ②吹雪が来て助けてくれる。

 ③たべりゅぅぅぅぅうううううう、現実は非情である。


提督「いや……」

瑞鳳「食べないの……?」

提督「……」


 潤んだ瞳で見上げられて、提督は内心目をしばたたかせた。

 瑞鶴による友軍誤爆。彼女は本部へと一時的に連行された。その代わりに派遣されたのが、瑞鳳だ。

 それはいい。そこまでは分かる。

 だがこの、卵焼きはなんだろうか。


瑞鳳「嫌い、だった……?」


 提督は困惑した。

 着任は分かる。分かるからいい。

 でも、それがどうして卵焼きなのだろうか。新手のスタンド使いの攻撃だろうか。

 あまりにも唐突な行動に、流石の彼も笑顔の仮面を忘れた。

 彼は――決して非常識ではない。少なくとも体裁を取り繕う程度の、常識を持っていた。

 であるならここは一体、何が正解なのだろうか。

 タマゴヤキ、ナンデ!?


瑞鳳「あーん」

提督「あ、あーん……?」


 思考停止するその間に、箸で丁寧に切り取って口元へと伸ばされる卵焼き。



 ――――ちっ。




 部屋の入り口からなされたその音に、思わず提督は振り向いた。

 彼にしか聞こえなかったのだろうか。瑞鳳はと言えば、強い拒絶を受けたものとして目尻に涙を浮かべつつある。

 その先に居たのは……


提督「久しぶりだな、大井」

大井「ええ、また会えるなんて思っても居ませんでしたから」

提督「君は……君も増員なのか?」

大井「はい! どうやら……戦艦が二隻も大破したようなので」


 金剛は、大規模な治療の末、未だベッドから動けない。

 山城は、彼女も撤退に於いて相当な損傷を負っているというのに、そんな金剛に付きっ切りで看病をしていた。

 怪しげな光を持つ、大井の視線。

 提督は――彼は、大井が苦手であった。或いは同様に大井も彼を苦手とするのかと思うが、その真意は窺えない。

 慇懃無礼。或いはところどころ毒が覗く大井であるが……それすらも本心からなのか、彼には判別不能だ。

 唯一、と言っていい。

 彼をしても、その本音が見えない……見る事が出来ないのが、大井だ。


大井「友軍による、誤爆だとか……」

瑞鳳「えっ」

提督「……憶測でものを語らないでくれないか?」


 言っても、僅かに口角を吊り上げた微笑の大井。

 僅かに、提督だけに聞こえる声で呟く。


大井「作戦が悪いのよ、作戦が」


 それは敢えて聴かれる為に行ったのか。

 わざと聞かせるにしても何がしたいのか。今一つ、理由が不明だ。

 あからさまなまでに拒絶を口にする艦の、その心情は分かる。簡単に裏が透けて見えるし、その方が余計に“毀しやすい”。

 口を開けばクソ提督などと言われようものなら、その実、その言葉の裏には甘えがある事が理解できる。

 だが、これは何だ。

 ただ、嫌味を言いたいなら分かる。しかし、嫌味を言うなら、普段を笑顔で取り繕う意味はない。

 嫌われて困るからこそのおべっかであるが、彼女はそれを行いながらも実際真逆の行動を取っているのだ。


大井「兎に角、大本営も本気みたいですよ?」

提督「……初めからそうして貰えると、助かったんだが」


 犠牲を出したのは、偏に提督のその趣味だけに由来するものではないだろう。


大井「さあ、私に言われても……?」


 微笑。張り付いた笑み。理解ある風で、それでいて酷薄な笑み。

 提督の心の檻の中で、僅かに獣が瞼を開いた。


瑞鳳「え、えっと……えっと、卵焼き……」



 妹から、話を聞いていた。

 前世の反動とも言うべきほどに面倒くさがりで、怠けたがりで、覇気がない妹にしては珍しいなと思った。

 何でもない風に振舞ってはいるけど。

 多分、心の底では……一緒に居られて嬉しいとか、そんな風に思っているのだろうと。

 三日月は、そう当たりを付けていた。

 ……。

 その妹は、もういない。輸送中の襲撃により、轟沈したのだと聞いた。

 彼女がこの艦隊への派遣を臨んだのは、それからだ。

 或いは妹がそうまで入れ込んでいた艦隊への興味もあったのかもしれないし、それとも単に、妹の想いを無駄にしたくないのかもしれない。

 彼女は、幾度となく上奏を行った。


 ――未だその海域の鎮圧はなっていない。

 ――万全を期すためにも、ここは本腰を入れるべきだと。


 たかが駆逐艦の言葉である。おいそれと受け入れられる筈もなかった。

 だが。

 重巡二隻の轟沈。正規空母の喪失。初期から秘書官を務めた、極めて練度の高い艦娘の死亡。

 加えて、空母による味方の誤爆。

 漸く司令部も本腰を上げた。其処に来て彼女は、かねてよりの希望通り配属されたのである。


 それにしても。

 目の前で繰り広げられる、この光景はなんだろうか。

 傍から見たら、痴話喧嘩にも見える。唐突に提督に手料理を振る舞おうとする艦娘と、昔なじみの艦娘との。

 そこには……初めから妹などいなかったようで。

 彼は、まるで妹に対して後悔や興味も抱いていないようで。


 やけに――ざわつく。


提督「……内偵も、あり得るかもしれないか」

提督「……」

提督「前線とは言っても、こうも立て続くとな」


 本当に――。本当に。

 深海棲艦には、吐き気を覚える。完全に侮蔑が浮かぶ。

 奴らを隠れ蓑にしている利点もあるが、叶うなら、この地上から――海上から一掃したい。

 忌々しい、人間の形をした何かだ。



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 2 4

鈴谷は癒しか何かかな?


そろそろ、艦娘の追加を締めきろうかなと思いますがね
本腰を入れて壊……攻略しないとね。いけないからね


で、直後

1~3:あと1体追加
4~6:あと2体追加
7~9:あと3体追加
0:4回までなら増やしていい!

あと三体だね

連投はまあね、あと単発もね……ちょっと置いておこうか
じゃあ後三体壊そ……いや、増やそうかね


【回避】 次範囲安価出すからね? 【重点な】

じゃあ、行くよ



下1~6のうち、反転コンマ大から3つ

※新規な
※登場時のあれはまたやるからな

あきつ丸、鳳翔、大鳳になりました
これ登場予定枠ね。あとは今まで出たの+登場予定から出す感じになるんでな


で、朝潮の連投のところだけどね
あの分、取り直します。【既存の艦娘+今追加されたの+更に新規】で好きにとってくれていいっぽい
次に出すっぽい

大体50分ぐらいっぽい
回避したいならそれまでに行って欲しいっぽい

大鳳たちのコンマはまたやるっぽい


埋め合わせ分の次も範囲安価っぽい

特殊ルールっぽい

艦娘の名前と一緒に、数字を書いてほしいっぽい

その数字を足した数で大小比べるっぽい

99を超えたら一週するっぽい

境遇は普通のコンマで取って、あくまでも登場をそれで決めるっぽい

まだ出してないのに早いっぽい



さあ、素敵なパーティしましょ?



↓1~6


榛名  58
青葉  49
大淀  32
伊58 14
翔鶴  10
能代   8


順番ですね

あー


鍛えてるのに無慈悲な男の力で蹂躙されて提督に両手関節全部外されてリョナられる皐月とか

普段クソ提督って言ってるのに鎮守府が爆撃されてしまったところを、涙ながらに素手で掘り返して皆に止められるも振りほどいて営倉送りになる曙とか

カメラが無ければ人間を見る事ができなくなってるのにカメラを取り上げられて、挙句その泣き笑いを写真に収められる青葉とか

やらかしてしまった妹という負い目に付け込まれて身体を良いように弄ばれる被害担当艦翔鶴姉とか

そういうのはいなかった……

という訳でこの艦隊の最終人員です


●羽黒(22):殿として死亡
●望月(33):ケッコンの約束をして遠征に出たら提督の策略により死亡
●那珂(33):顔に怪我をした(14)が、提督を気遣い笑顔。最後までアイドルとして笑顔で死亡
●足柄(44):龍田の背中で息を引き取る。トラウマメイカー
●秋月(55):過労で精神状態が不安定となり、自殺
●加賀(66):提督の事を憎からず思っていたが特性甲標的で提督に殺される
●吹雪(77):初期艦として提督の傍で戦い続けた。提督の本性に気付いていた。護衛船と大破する船を庇い死亡。トラウマメイカー

○清霜:戦艦に憧れていたが、本部製の実験段階仮想試作機でトラウマ(74)、その後幻痛に悩まされ自傷(12)
○卯月:ガードベント(35)。瑞鶴に提督も辛いんだと言ったり
○朝潮:喪ったものの傷も癒えない司令官を促したために首絞められた(36)と思っている
○名取:魚雷攻撃で炎上したが軽傷(41)
○龍田:深海棲艦の攻撃により片目に怪我(42)。更には軍艦時代のトラウマを足柄に抉られる
△瑞鶴:加賀が轟沈したショックで提督と激突。罪悪感(56)。
     誰もいない分奮戦したらメタンフェタミンを投与された搭乗員による誤爆で味方大破。本部へ連行(59の10)。トラウマメイカー

○飛龍:提督から前の人の事とか感じる中古はちょっと(63)と言われた後に、赤城から人と比べないでと怒鳴られる(58)
○時雨:姉妹艦の夕立は褒められているのに、提督に気遣った自分は余り良い目を見れていない。病み(68)
○まるゆ:素潜りしよっかと爽やかにプレッシャーかけられる(73)
○春雨:深海棲艦っぽいとか言われてたけど提督は受け入れてくれたから役に立ちたい、けど艦艇時代のトラウマを抉られる(74)
○鈴谷:暗くなってる提督にいつでも相談して、という。あと勇気づける(意味深)想像したらヌメヌメする。でも利根に比べて信用できないと遠回しに……(95)
○利根:実力があるからと、かつて望月とケッコンしようとしていたんだ……とここだけの話を打ち明けられプレッシャー(75)

○綾波:一緒に船団護衛をしていた吹雪が目の前で……(94)
○夕立:ぽいぬ。てーとくさん、笑顔じゃないのに笑顔にならなくていいっぽい!
○五月雨:吹雪は死んだ! もういない! だけど吹雪の生き方は俺たちの心の中で(ry
○赤城:資源が少ないという提督と本営の会話を聞き断食を決意(74)、そののち体調不良の赤城を庇って加賀と那珂が轟沈。でも二人の分までボーキ食う!
     今度は万全だ、仇を取るためにここに残って打って出ると言っていたら、その資源を集めようと奮戦した自分を憧れと崇める後輩の吹雪が轟沈(79)
     今はすっかり何が正しいのか解らなくなり、虚無感に包まれて自室にこもる(39)。君がいない間に奮戦した後輩がメタンフェタミンで……
○山城:気に喰わないと思ってた金剛だけど、戦いを通して実は……と思ったところで瑞鶴の艦載機による誤爆。トラウママシマシ(57)
△金剛:山城を庇って艦載機により誤爆。子宮全摘出で現在療養(49の45)

○瑞鳳:卵焼き
○大井:提督に舌打ち。なんかあーんとか見せつけられる(72)。どうやら何かあるようだ(44)
○三日月:妹が気になっていたであろう人が妹なんて初めから居なかったかのようにあーんしてた(58)
○ゆーちゃん:47
○榛名:35
○あきつ丸:

○大鳳:
○鳳翔:


なんだかすごい事になっちゃったぞ

これからのルールの説明っぽい


①ゾロ目が出ると死にます

②0が出るとイチャコラほのぼのします

③9が出ると更に判定して強烈に壊れます


実際簡単


提督「……」


 ここからはひょっとしたら、内偵がある。そう考えてもいいだろう。

 だけれども――。

 彼の身の内の獣はもう、目覚めてしまっていた。鴉が鳴いた。

 いつからだろう。どこからだろう。

 それは、望月を追いやったときかもしれない。

 それは、秋月を自殺に追い込んだときかもしれない。

 それは、吹雪が不慮の攻撃で命を落としたからかもしれない。

 或いはそもそも度重なる深海棲艦との戦いにより、彼のキャパシティがフローしたのかもしれない。

 それとも運悪く、この場が目覚めの時だったのかもしれない。

 彼自身、知らない。敢えて目を閉じた。


鈴谷(……うう)

鈴谷(てーとくに声かけたいけど……でも、なぁ)


 ――利根にしか、言えないんだ。


鈴谷(……)

鈴谷(鈴谷じゃ、力不足……なんだよね。悔しいけどさー)

鈴谷(でも……さぁ)

鈴谷(……)

鈴谷(考えててもしょーがない! それより、てーとくを元気づけないと!)


鈴谷(……よし!)


 心を決めたら一直線。後は余計にそれずに、ブレずに進むだけだ。

 仕方ないじゃないか。鈴谷はだって、中途半端な航空巡洋艦なんだから。

 でも、嘆いても仕方ない。

 そんな不安など噛み砕いて、ここは提督の心を優先させるべきである。

 彼の悩みを晴らすのである。力になるのである。


鈴谷「てて、ててて、てててて提督!」


 嘘だった。

 ブレブレだった。

 不安どころか、言葉を噛み噛みだった。噛み砕こうとして全然呑み込めてなかった。


提督「……鈴谷か。どうしたんだ」

鈴谷「い、いや、そのー、きょ、今日もヌメヌメするね?」

提督「え、何が」

鈴谷「じゃなくて! ほら、今日もいい天気だね!」

提督「……曇り空だが」

鈴谷「……」

提督「……」

鈴谷「……」

提督「……何か悩みでもあるのか?」


 というか逆に心配された。悩みを晴らすどころか、悩みを聞かれて力になろうとされてしまった。


鈴谷「い、いやーそのー、なんていうかー」

提督「……私じゃ、力になれない事なのか? だったら、他に……」

鈴谷「じゃなくて! そうじゃなくて!」

提督「じゃあ」

鈴谷「じゃあ……」

提督「……」

鈴谷「……」

提督「……」

鈴谷「……ごめん、相談」


 なんだこれ。

 駄目駄目だった。


提督「相談か」

鈴谷「そ、そうなんだよねー、いやー、もうものすごくってさー、いっぱいでね?」

提督「沢山……そうか、教えてくれるか?」

鈴谷「……」

提督「……」

鈴谷「……」

提督「……」

鈴谷「……」


 墓穴掘った。

 沢山どころか一個も考えてなかった。

 勝手に動く口が憎い。

とりあえずここまで

一定数死ぬか、ある条件で終わりになります




 一つだけ苦手な食べ物がある。

 ある日、姉がどこかから貰い受けてきた外国産の柑橘系の果実。

 どうにも今はそれが苦手だ。

 知っているだろうか。人間の眼球に親指を突き入れるときの感覚を。とても良く似ている。

 だから、あの日と/あの日から――その食べ物だけは口にはすまい。


U511「はぁ、はぁ……」


 何故彼女がこの場所にいるのか。複雑だけど簡単だった。

 かつての海軍力を持つ国はそのまま艦娘の保有数となり、国際的なプレゼンスを誇る。

 そんな国との交友という観点からの派兵である。母国を離れ、はるばる彼女は東洋の果てに居た。

 確かに寂しいけれど……この国は、嫌いじゃない。

 漁民は優しかった。少なくとも表立って、ナチスの残滓や亡霊だのと騒がれる事も無い。

 そして、ある基地へと派遣される事となった。U511――さつき1号或いはユー――の艦の記憶が関係している。

 群狼戦術。通商破壊として名高いドイツ海軍の潜水艦が誇った戦法である。

 そんな狼の一角を為す彼女であったが、


U511(Helfen.......)

U511(Helfen Sie mir......! Helfen...!)


 今は追い立てられる、羊と同じであった。


 海上から放たれる爆雷が、行く手を遮る。

 軽巡と駆逐の深海棲艦が、群れを成して襲ってきているのだ。哨戒網に触れてしまった。

 まさしく、群狼戦術と同じ。

 バスケットのゾーンディフェンスのように海域を持ち回り、そしてその担当領域に入った船を複数で喰らう。

 行く手を阻む者。横合いから攻め立てるもの。そして遊撃要員。

 万に一つの取り逃がしもないように、完全なる殺意で襲い掛かる。


 偏に彼女がここまでの生存を許されているのは、日本に着任してからの対潜訓練――での敵役:アグレッサーに由来する。

 狙い続けられるからこそ、必然実戦に出ずとも回避だけは上達した。

 だけれども、やはり、実戦と訓練は違う。

 度重なる爆雷の衝撃波、水中では地上の五倍近くで駆け巡る音が、彼女の下腹を揺らす。

 そんな状況が始まって、優に数時間。太平洋の穏やかな波間はしかし、U511に取っては自我を希薄とさせる責苦でしかない。

 そしてついに……。


U511「あ……」

U511(Wieder.....wieder vor dem Sterben...)

U511「死ぬ前に……故郷の太陽、見たかった……な……」


 いずこへの回避な不可能なほど、眼前へと爆雷が投じられた。



 目を固く瞑って。咄嗟に両手で顔を庇う。

 ペットボトルほどの爆雷の炸薬が破裂。

 ゴムで出来たグローブで殴りつけられたような衝撃の槌が、腹部を盛大に殴りつけた。

 意識せずに、肺の中の空気が気泡をなし、水中に咲いた。

 クラゲに似ているな……なんて、どうでもいい事を考えた。

 そのまま沈むのだろうかと考えていれば、さらなる爆発。

 その水圧に、下腹を殴り挙げられる。吐き気に似た圧迫感が競り上がり、胃を裏返しながら無理やり水上へ。


U511「いた……痛いよ……」


 それでも痛みがあると言う事は生きているという事であるが……。

 鮫の背びれめいた突起物と波紋が、彼女の周囲を旋回しながら輪を縮めて来るではないか。


U511「ひっ」


 もう、潜れない。

 しかし、このまま浮かぶこともできない。

 人間と同じ歯並びを持つその牙が、無防備に晒されたU511の腕を咀嚼せんと開かれる。


U511「いやっ……」

U511「ゆー、おいしくないです。ゆー、食べ物じゃないです……!」


 言っても、きかない。

 咥えられた二の腕。

 臼歯が挟み込んだ左手。掛かる圧に皮膚が撓み、靭帯が異様な音を立て、筋線維の一本一本が張力限界を迎え、骨が軋み立てる。


U511「やだ……やだよ……」

U511「食べないで……やだよ……! やだ……!」
 



 引き攣ったU511の頬。

 残る片手で、必死に深海棲艦の頭を叩く。

 金属と生体の異様な触覚。キチン質で覆われた昆虫が如き感触に、水棲生物特有のぬめりけを帯びている表皮。

 不気味な、非人間のそれ。


U511「離して……! やだ……!」


 U511は知っている。戦争というものを知っている。実戦に出ずとも、知っている。沈む事も知っている。沈められた訳ではないが知っている。

 だが、これは、なんだ。

 こんなの知らない。絶対に知らない。聞いた事もない。あり得ない。

 戦船であった頃には、しるべくもない根源的な恐怖だ。人の身を得たからこそ、彼女はそれを知り得た。


 即ち――捕食。


 そこに人間性の欠片も無い。ただの“もの”だ。

 戦争は、戦闘は、殺人は――それでも相手が人間であると識っている。人間が、人間を殺そうとしている。人間と分かった上で殺しに来ている。

 でも、これは違う。

 U511は、ただの餌だ。

 彼女の戦歴は関係ない。彼女の半生は関係ない。彼女の人格は関係ない。

 ただ、喰えるものだから喰う。一切の人としての持つ尊厳を否定される陵辱行為であった。


U511「や、助け……! やだ、誰か、助け……っ! や、やだ……!」



 しかし――違った。

 そのまま皮膚を食いちぎらんとした牙は、万力が如く彼女を締め上げるだけ。

 まさか、話が通じたのか。深海棲艦にも、言葉が通じるのか。

 恐怖と混乱により千々に乱れた彼女の心が、そんな的外れな思考を生み出したが――


U511「え」


 すぐさま、否定された。

 誰もが、一度は見た事があるのではないだろうか。しばしば平和な家庭でみられるそれだ。

 犬が。犬がおもちゃを持って――咥えてそうするように。

 深海棲艦は、U511の体を“振り回した”。


U511「~~~~~~~~~~~~~~~~っ」

 
 左右に。上下に。前後に。

 波に翻弄される木の葉も斯くやというほどに、U511の躰が弄ばれる。

 顔面から水面に叩きつけられ、思わず開いた口に海水が躍り込む。吐き出す事も叶わぬうちに引き上げられ、再度また水面目掛けて一撃。

 それが海水なのか、唾液なのか、涙なのか、鼻水なのか判らない。

 顔から液体を滴らせて、U511は玩具とされた。関節が異様な方向への力を受けて、靭帯が伸びる。曲がる筈がない方へと、引かれる。


 やだ。

 やめて。

 いたい。

 いやだ。

 おねがい。

 たすけて。

 やめて。


 言葉も発せないままに、肩口に鋭く鈍い痛みを滾らせながら、何度も何度も打ちつけられた。


 やがてそんな責苦も漸く止んだ。

 限界的な展張を行われた皮膚と関節は内出血を起こし、損傷した靭帯はやがてその腕の太さを何倍にもするだろう。

 しかし今は、麻痺していた。左腕など、ないも同然だった。

 それなのに首輪に繋げられた鎖が如く、U511の躰は深海棲艦の所有物であると、一切の自由を許さぬと――。

 そんな証明となるべく、歯と歯に圧せられて彼女の動きを制限する。


U511「げほっ、ごほっ……げほ、げほっ」

U511「げほっ、ごほっ……ごほっ、ごほ、ごほっ」

U511「ぅ……ぁ……ぉ、終わ、り……?」


 呆然とした目でU511が、深海棲艦を見た。

 ところで――こんな話を知っているだろうか。

 人間の、把握にもっともすぐれた感覚器官が手であるように、鮫の持つ最大の感覚器は口である……と。

 故に彼らがしばしばダイバーやサーファーを襲うと言うのは……。

 空腹と言うよりは、好奇心によるものなのではないか……という話を。

 すぐさま殺さないのは、深海棲艦が或いは見慣れぬ外国艦であるU511を理解しようとして行った行為なのかもしれない。


 しかし一方、こんな話もある。

 知性が高い動物は、好奇心が強い動物は、同じだけの嗜虐心を併せ持つ。

 人のほかに強姦や暴行を行うのは――知性が高いと言われるイルカだ。

 だから……。

 或いは、U511の安堵や期待を受けて、そして納得したように。それを待ちわびたように。

 彼女がそんな目を向けるのを見計らったかのように、実に丁度良く――再び深海棲艦は、力を込めた。


 あれがくる。

 またくる。

 またあの、いたいのがくる。つらいのがくる。くるしいのがくる。

 きっとこのまま。あそばれて、ころされる。


U511「や……」

U511「もう、やめて……。やめて……!」

U511「ゆー、食べ物じゃないけど……おもちゃじゃ、ないです」

U511「やめて……もう……」


 しかし、深海棲艦は無慈悲である。情の籠らぬ鬼火めいた単眼で彼女を収めて、再び運動を開始せんとその主機に力を込めた。




 ただし少なくとも深海棲艦に慈悲はなくとも――



榛名「勝手は! 榛名が! 許しません!」



 ――正しき慈悲を持つものは、存在した。




鈴谷「うー」

鈴谷「あー」

鈴谷「うー」


 結局あの後、鈴谷は何とか答えをひり出した。

 ちゃんと、言った。言い切った。力になりたいと――噛まずに見事に言い切ったのである。

 良くやった、偉いぞ鈴谷と自分で自分を褒めたくなった。

 ……その後に、艦隊の力に成りたいとか。なんかそんなのを付け加えなければ。ヘタレか。

 そして彼女は、提督に命じられるがままに行動していた。

 内容はお使い……ではなくお迎えだ。


鈴谷「……で、大丈夫?」

榛名「はい、榛名は大丈夫です!」


 いや嘘こけよ。

 どう見ても中破している。所々煙が上がっている。肌を晒している。

 よくぞ恥ずかしくないものだ。

 鈴谷なら赤面する。誰かに観られでもしたら多分三日ぐらい部屋に引きこもる。体育座りで。ジャージで。ショーツは一応勝負下着で。

 ……が、特に突っ込まなかった。本人が大丈夫と言うなら大丈夫でいい。


鈴谷「そっちは……」

U511「ひっ」

鈴谷「あー、まー……その、手酷くやられたっぽいねぇ……」

U511「えと……あの……その……」

U511「えと、でも……榛名さんが助けてくれたので……その、大丈夫です……」

鈴谷「そーお? まあ、あんま無理はしないでね?」


 大丈夫が口癖になったらどうしよう。なんて、とりあえずバケツを頼みながら鈴谷は頬を掻いた。


提督「……とりあえず」

提督「司令部は、現存で回せるだけの戦力を回したらしいな」


 着任したU511は、榛名の服の裾をいつも右手で掴んでいる。

 榛名は、困り気味であったがそれを無理に離そうとはしていない。




コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 2 4

ねえ

ねえ、なにしてんの

ねえ

よめなんだよ

◆ゆーちゃんが嫁でもないのになぜ長いかはだってみなさんゆーちゃんのリョナ読みたそうだったからね◆リョナが似合う◆



ちょっと入渠して考えてきます
しかも99って……99ってさぁ……99ってさあ……

なんなのこのスレ


◆嫁艦で愉悦する前に嫁艦が轟沈しますか?おかしいと思いませんか?あなた◆新システム導入◆安心安心実際安心◆

◆嫁艦で愉悦したいけど轟沈が怖いあなた。そんなあなたに朗報。新システム導入◆

◆ダメコンを積めます◆応急修理要員はダメージを段階減らします。ゾロ目をMAXダメージに落とします◆

◆応急修理女神はゾロ目で轟沈させません。ゾロ目を普通の判定と同じにします。十の位、一の位それぞれです◆

◆使い方は簡単。レスに艦娘の名前と一緒に書くだけ◆でも使い切り。ゾロ目がでなくても消費します◆注意重点な◆

◆この次の安価から導入◆金剛はケジメ◆安全に艦娘を壊すライフを◆

はい、という訳で嫁艦愉悦したい人の為に『応急修理要員』と『応急修理女神』を導入します
これをレスに書いておけば、万が一ゾロ目が出ても轟沈しません。安心して愉悦できます
ただし、ゾロ目が出なくても消費します。数に限りがあります。注意してね。

あ、金剛はケジメで沈めますから。その次からです


とりあえず、安価。それぞれ1の位


↓3 応急修理要員  ↓5 応急修理女神


◆という訳で応急修理要員3つ◆応急修理女神1つになりました◆

◆こんなんじゃ安心できないあなた。朗報です。0を引くと数が増えます◆ほのぼのは実際重要な◆

◆増えるのは応急修理要員だけど◆複数艦安価で0がいくつか出ると応急修理女神が貰えます◆

◆愉しんで嫁艦とほのぼのしましょう◆カラダニキヲツケテネ◆


はい、と言う訳で金剛殺すんだけどさ……嫁艦殺すんだけどさ……

最後の安価のところが単発だったので、別の艦出しますね



山城へのダメージ


↓3

0に挟まれたかなりのダメージの山城とかいう不幸艦。草生える

ちょっと待っててね


提督「……さて、今日だったか」


 金剛が完全に回復して戦線に復帰する日。彼女が眠る船渠に向かう提督。

 山城と共に深海棲艦相手に奮戦し、そして、瑞鶴によって焼き払われた金剛。

 二人はどうしているか――と病室に近付けば。


金剛「山城ぉー、もう看病はいいデース……ウサちゃんAppleは見飽きマシター」

山城「む……」

金剛「心配してくれるのは嬉しいけどー、山城はちょっとOverネー」

山城「だ、誰があなたの心配なんか……ただ、その、ちょっと……気になってるです」

金剛「……それを心配って言いマース」


 どこか楽しげな、二人の声。

 部屋に入るか――などと考えて。


提督(いや……)


 彼は一人、にやりと口角を上げた。



金剛「それに今のは何ですカー? “気になってるです”ー? ワタシの喋り方のParodyですカー?」

山城「なっ!? ち、違いますから……」

金剛「まったく、山城は面白いデース。また妹が増えたみたいネー」

山城「なっ!? わ、私の姉さまは扶桑姉さまだけよ! だ、誰があなたなんか……」

金剛「そうですカー? ワタシは山城の事、気に入ってるケドー」

山城「うっ」

金剛「ワタシの片思いですカー……残念です」

山城「ううっ」


金剛「……じー」

山城「うううっ」

金剛「……じー」

山城「ううううっ」

金剛「……じー」

山城「うううううう」

金剛「……じー」

山城「……うぅ」


山城「……その」

金剛「What?」

山城「姉さまは……扶桑姉さまだけだけど……」

金剛「ケド?」

山城「あの……その……い、妹分でよければ……その……」


 ひえー、とどこかで悲鳴が聞こえた気がした。


提督「すまない、入ってもいいか?」


 ノックを三つ。返事を待って、部屋へと入る提督。

 向けられた視線――金剛は微笑んで。山城はどことなく怯えるように。


山城「て、提督……」

金剛「ヘーイ、提督ゥーお見舞いが遅いヨー!」

提督「……ああ、すまない」


 処理に手間取ってしまって、と呟くと二人が視線を落とした。

 山城は忌々しそうに。金剛は、困ったような寂しげな瞳。


山城「幸運の空母だか何だか知らないけど……!」

金剛「山城……」

山城「あの空母のせいで……!」

金剛「……」

提督「……それについては、司令官である私の責任だ。本当にすまなかった」


 その通りだと言いたげに不満が覗く山城の目は、既に彼女の心根が金剛に近寄っている為か。

 それはそれで好都合だと、内心提督は舌を舐め擦った。

 山城の弱点を、可愛らしい傷口を見つけた気分だった。


金剛「……山城」

山城「何?」

金剛「提督と話したい事がありマース……ちょっと外して貰っていいですカー?」

山城「わ、私も……」

金剛「……」

金剛「お姉ちゃん離れできないと駄目ですヨー?」

山城「なっ!? だ、誰が……!」

金剛「ネ?」

山城「……判りました」


提督「それで、話というのは?」

金剛「……瑞鶴は、どうなりましたカー?」

提督「……ああ」

提督「本部まで事情聴取として連行された。……どうやら、道中何事もなく到着したようだが」

金剛「……」

提督「それと、今回の件で司令部も本腰を上げた。禍福はなんとやら……だけれども」

提督「増員についても認められたんだ。その中には、榛名も居る」

金剛「榛名が……」

金剛「……」

金剛「……そう、ですカー」

提督「その、こんな状態だが……後で顔を合わせてやるといい。それぐらいの時間は用意するよ」

金剛「……」


 せめてもの罪滅ぼしだ……と、努めて声を沈める提督。

 対する金剛にいつもの活発さはなく、どことなく口数が少ない。

 ――。

 ざわりと、心の中で何かが湧き上がる。むしろ好都合だと、頬を吊り上げる深淵の獣。


提督「その……今回の件は、かなり衝撃的だったと思う」

金剛「……」

提督「だから……もしもショックが大きいと言うなら、無理に戦線に復帰しなくてもいい」

金剛「……提督?」

提督「艤装を外して……普通の女性として生きてもいい。そんな風に幸せを掴む権利が、君にはある」


 知らぬ存ぜぬと。

 彼女の身に何が起きたのか、一切聞いておらぬと。

 何しろ、男性には知り得ぬ部分の損害だ。わざわざ知らされなくても不思議ではない――と言い訳も立つ部分。

 そこを敢えて、提督は抉った。条件は整っているのだから。


提督「もう、十分に君は働いた。確かに戦線は忙しいが……君一人の分なら、何とかするさ」



 そんな表情の裏に――見えてしまった。

 ああ、やはりな……と。

 ……ある意味それは、残念だった。残念で仕方なかった。



金剛「……」

提督「今、すぐにでなくてもいい。少し時間を置いて考えてくれていい……それぐらいの話だからな」

金剛「……」

提督「二三日、ここで過ごしてくれ。なんなら山城と一緒に居ていいし――」

金剛「――提督」

提督「どうした、金剛?」

金剛「……」

金剛「二つ……提督に聞きたい事があるけど、いいですカー?」

提督「私に答えられる範囲なら」


 さて、どんな質問が来るか……口腔に唾液が満ちる。目尻が緩みそうになるのを、必死に堪える。

 女性としての機能を奪われたところに、こんな提案だ。

 ましてや、それが少なからず好意を抱いている異性から――となると。

 突きつけられた相手の心というのはどうなるのか。一体、どんな質問を寄越すのか。

 予想が付かない/しかし確実に愉快である事は分かる金剛の質問とやらに、提督は昂りを覚えていた。


金剛「――提督の、ずっと心に居る女性は誰ですカー?」

提督「――」


 今、なんと。


金剛「……ふふ、これは答えらない範囲の質問みたいデース」

提督「……は?」

金剛「……」

提督「金剛、何を……?」


 しかし提督の質問には答えずに。

 金剛は笑う。

 普段の彼女からは想像もつかない、儚げな微笑。

 それでいてどこか母性と慈愛を持った不思議な目線――不快な目線。


金剛「もう一つ、提督に聞きたいデース」

提督「あ、ああ……」


 混乱が冷めやらぬ提督。

 予想していたものと、金剛の質問も、提督に向ける態度も違い過ぎた。

 もっと、悲愴を隠せぬものだと考えていた。もっと、嘆き悲しむものだと考えていた。もっと、絶望するものだと考えていた。

 だけれども、これはなんだ。

 何故、そんな聖者のような微笑みをできる。どうして、殉教者のような笑いが出来る。何故そうも、強さと覚悟すら感じさせる儚さを持つのだ。


金剛「これが一番大事だけど……提督にとって、深海棲艦とはなんですカ?」

提督「――」

金剛「提督は、ワタシたちに誓えますか? 深海棲艦は倒すべきだと。決して、深海棲艦の有利を求めていないと」


 そんなの、決まっている。

 すぐさま提督の心は切り替わった。戸惑いや困惑を捨てて、猛烈な怒りの業火が露わになる。

 言うまでもない。


提督「奴らは……敵だ……!」

提督「何があっても、絶対に奴らだけは倒す……倒さなきゃならない」

提督「奴らの生存だけは、絶対に許さない。何があっても」

金剛「……」

金剛「……それは、本当みたいですネー」

提督「さっきから、何を……?」

金剛「いえ……これで、覚悟は決まりマシタ」

提督「……金剛?」

金剛「ワタシは、艦娘を続けマース。提督のその言葉は、信じるからネー?」

提督「……」



 襲い掛かる大群の中に、身を踊り入れる。

 入れ替わり立ち代わり、押し寄せる砲撃と雷撃。装甲が既に砕け散った。

 腹部を撃ち抜かれる。空っぽの臓器。もう何もない場所。

 そのまま、倒れがかりながらも一撃。敵の重巡が大破した。

 でも、そこでお終い。

 続いた砲撃に跳ね飛ばされて、水切りの石みたいに水面を転がる。出血と衝撃で意識を手放した。

 心臓の鼓動が止まる。開いた両手と、仰向けの躰。


 ――本当はこんな判断、間違っているのかもしれないけど。

 ――あの提督は救いようのないところにいるのかもしれないけど。

 ――或いは誰かが救うのかも知れないけど。もう取り返しが付かないのかもしれないけど。

 ――少なくとも。

 ――初めから狂っていた訳ではなかった。深海棲艦が居るこの状況を楽しんでいる訳ではなかった。

 ――利用はしただろう。でもあの憎しみは、本当だ。

 ――少ない犠牲で、多くの勝利をなどとは考えない。

 ――提督を糾弾するよりも、そのまま深海棲艦を倒す方が利であるとは考えない。

 ――今更彼が許される存在であるとも思えない。

 ――事情があれば何をしていいという話でもない。

 ――でも。

 ――あの、剥き出しの怒りが。深海棲艦への怒りが。

 ――あれだけは確かなのだと、そう信じたい。

 ――どちらにしても、長くはなかった。

 ――なら、ただ一つの確かなものに懸けるのがいい。


 鼓動が停止した体に、近寄る深海棲艦。捕食を狙うのか。

 口を開いて、身体を飲み込もうとしたそれを――逆に圧し折る。

 当惑は当然だろう。死したと思った存在が生きているなら、必然だ。

 応急修理の装備を積んでいる。であるが故に、死しても死なない。死ぬまで死に続ける。殺すまで殺し続ける。

 砲の火力は足りないが――それは何とかなる。経った今殺した深海棲艦の砲塔を引きはがし、その弾薬を叩きつける。

 この程度では死なない。

 金剛石は、砕けない。


山城(どこで……何をやっているの……!)


 ホンの少し、目を離した隙だった。

 提督との会話が終わった金剛にまた果物を向いて、少し話をしてからだった。

 ベッドの隣に腰掛けて、いつの間にか眠ってしまっていた。

 久しぶりに――楽しい夢を見た気がする。

 扶桑と金剛と、三人で。……いや、あと、金剛の姉妹も居れて。

 静かな海を見ながら、紅茶を飲む……悪くはない夢だった。

 それから起きたら、金剛がいなかった。周りの話を聞いても、誰の話を聞いてもそうだった。

 武器管理庫に向かっても、金剛が来たという話はない。ならば、出撃している筈がない。

 艦娘はそれぞれ固有の艤装を持つが――それとは別に、その補強する概念や装備がある。ソフトウェアというか、艤装への裏付けと言おうか。

 だから、理論上は本来持っていた主砲よりも大口径の主砲などの搭載も出来るし、持ちえなかった艦載機の搭載も出来る。

 艤装に、更に特殊なものを付加するのである。

 これをしないでも戦闘は可能であるが、まさか行う艦娘はいない。素の火力だけで倒せるほど、深海棲艦は甘くはない。

 金剛が出撃するはずはない。きっと、風にでも当たっているのだろう。

 なんて考えていた。どうせなら自分も誘ってくれたらよかったのに――と。



山城(金剛! 金剛! どこに、どこにいるの!?)


 ひょっとしたら入れ違いになって病室に戻っているのかも知れない。

 そう、引き返そうとした山城だったが――ある種の勘に従って、足を運んだ場所があった。

 そうして得られた裏付け。

 金剛が、応急修理の――つまり急速修復剤を持ち運び可能にしたものを、いくつか調達していったと。

 そこからは、嫌な予感が拭えなくなった。“ひょっとしたら”は――“そうかもしれない”“お願いだからそれはやめて”になった。

 そして今――見つかった。


山城「こん、ごう……?」


 金剛の亡骸が、見つかった。

 辺りには数えるのも嫌になるほどの破片と、重油と、黒煙と火災。

 呼びかけても。返事が返ってこない。身体はあるのに。大切な何かが、そこにはない。

 深海棲艦の屍の上に、金剛がいた。

 とても穏やかな顔で。両手を天に広げて、何かを抱きしめるように。

 眠っていた。永遠に、眠っていた。


山城「……ぁ」

朝城「これは……どうして……」


 隣で誰かが何かを言ったが、もうそんなのは構わない。

 確かなのは、たった一つのシンプルな事だ。それ以外無いぐらい、シンプルな事だ。

 金剛が死んだ。深海棲艦と戦って死んだ。

 どうして彼女が抜け出したのとか、そんなことはどうでもいい。

 ただ、金剛が死んだ。

 深海棲艦に、殺された。――それだけは何よりも確実な事。


山城「あはは、あははは……」

朝潮「や、山城さん……?」

山城「ははは、はははははははははは……そう、そうなの……」

朝潮「ひっ」



山城「そう……そういうこと」

朝潮「あ、あの……何……?」

山城「そう……」


 切れた。

 自分の中の大事な何かが、切れた。

 そう、初めてだ。

 扶桑が死ぬ姿も――前世に於いて彼女の最期のその姿も、見た事がない。

 だからこれは、初めてだ。

 昔は船だった。軍艦だから、戦艦だから――戦うのは、そういう定めだった。その為だった。同じような別の国の船と戦った。

 だからきっとこれは、初めてだ。


山城「……」

山城「……」

山城「……」


 よくも。


山城「よくも……」

朝潮「や、山城さん……?」

山城「よくも……金剛を……!」


 深海棲艦、深海棲艦、深海棲艦――――――!


山城「殺して……殺してやる!」


 奴らだけは殺す。絶対に殺す。何があっても殺す。どうあっても殺す。

 無残に殺す。容赦なく殺す。一片の欠片も残さず殺す。絶対に殺す。絶対に。

 そこに慈悲などなく――――殺す。

山城「ドーモ、戦艦水鬼=サン。シンカイスレイヤーです。深海棲艦[ピーーー]べし。慈悲はない」


提督「……」

提督「“敵艦隊には甚大な被害”……か」



コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 2 4

鳳翔さん(78)、飛龍(63)、単発除きとかでズレにズレて瑞鶴(79)ですね


さーて、瑞鶴は?




コンマ十の位 1ほど虚無感 9ほど好戦的
コンマ一の位 1ほど小 9ほど大
0:特殊判定
ゾロ目:???
↓5

取り調べで・・・(ゲス顔)

>>556でダメだったのに今回はおkなのか?

空母とかいうメンタル豆腐ども
これは取調べと称して色々されちゃって頭がパーンしてますわ……

そんな娘たちを見る空母の母・鳳翔さんはどんな気分なんでしょうかねぇ……(ゲス顔)


本日はここまでで纏めるからちょい待ってな

●羽黒(22):殿として死亡
●望月(33):ケッコンの約束をして遠征に出たら提督の策略により死亡
●那珂(33):顔に怪我をした(14)が、提督を気遣い笑顔。最後までアイドルとして笑顔で死亡
●足柄(44):龍田の背中で息を引き取る。トラウマメイカー
●秋月(55):過労で精神状態が不安定となり、自殺
●加賀(66):提督の事を憎からず思っていたが特性甲標的で提督に殺される
●吹雪(77):初期艦として提督の傍で戦い続けた。提督の本性に気付いていた。護衛船と大破する船を庇い死亡。トラウマメイカー
●金剛(99):山城を庇って艦載機により誤爆。子宮全摘出で療養(49の45)。山城は妹分デース!
        その後、提督の何かを見抜いた後単身相当数の深海棲艦を撃滅。トラウマメイカー

○清霜:戦艦に憧れていたが、本部製の実験段階仮想試作機でトラウマ(74)、その後幻痛に悩まされ自傷(12)
○卯月:ガードベント(35)。瑞鶴に提督も辛いんだと言ったり
○朝潮:喪ったものの傷も癒えない司令官を促したために首絞められた(36)と思っている。ぐちゃぐちゃの戦場と戦闘鬼化した戦艦を見る(56)
○名取:魚雷攻撃で炎上したが軽傷(41)
○龍田:深海棲艦の攻撃により片目に怪我(42)。更には軍艦時代のトラウマを足柄に抉られる
△瑞鶴:加賀が轟沈したショックで提督と激突。罪悪感(56)。
     誰もいない分奮戦したらメタンフェタミンを投与された搭乗員による誤爆で味方大破。本部へ連行(59の10)。トラウマメイカー
     (79の95)

○飛龍:提督から前の人の事とか感じる中古はちょっと(63)と言われた後に、赤城から人と比べないでと怒鳴られる(58)
     (63)
○時雨:姉妹艦の夕立は褒められているのに、提督に気遣った自分は余り良い目を見れていない。病み(68)
○まるゆ:素潜りしよっかと爽やかにプレッシャーかけられる(73)
○春雨:深海棲艦っぽいとか言われてたけど提督は受け入れてくれたから役に立ちたい、けど艦艇時代のトラウマを抉られる(74)
○鈴谷:暗くなってる提督にいつでも相談して、という。あと勇気づける(意味深)想像したらヌメヌメする。でも利根に比べて信用できないと遠回しに……(95)
○利根:実力があるからと、かつて望月とケッコンしようとしていたんだ……とここだけの話を打ち明けられプレッシャー(75)

○綾波:一緒に船団護衛をしていた吹雪が目の前で……(94)
○夕立:ぽいぬ。てーとくさん、笑顔じゃないのに笑顔にならなくていいっぽい!
○五月雨:吹雪は死んだ! もういない! だけど吹雪の生き方は俺たちの心の中で(ry
○赤城:資源が少ないという提督と本営の会話を聞き断食を決意(74)、そののち体調不良の赤城を庇って加賀と那珂が轟沈。でも二人の分までボーキ食う!
     今度は万全だ、仇を取るためにここに残って打って出ると言っていたら、その資源を集めようと奮戦した自分を憧れと崇める後輩の吹雪が轟沈(79)
     今はすっかり何が正しいのか解らなくなり、虚無感に包まれて自室にこもる(39)。君がいない間に奮戦した後輩がメタンフェタミンで……
○山城:気に喰わないと思ってた金剛だけど、戦いを通して実は……と思ったところで瑞鶴の艦載機による誤爆。トラウママシマシ(57)
     結構金剛にベタベタ。い、妹は駄目だけど妹分なら……と思ったところで金剛の凄惨な討死を見て鬼に(58)
○瑞鳳:卵焼き

○大井:提督に舌打ち。なんかあーんとか見せつけられる(72)。どうやら何かあるようだ(44)
○三日月:妹が気になっていたであろう人が妹なんて初めから居なかったかのようにあーんしてた(58)
○ゆーちゃん:派遣中に深海棲艦に追い立てられ、腕を咥えられて犬がやるようにブンブン振り回される(47)。助けてくれた榛名にベッタリ
○榛名:中破したけど、榛名は大丈夫です(35)! ……でも姉が
○あきつ丸:
○大鳳:

○鳳翔:(78)


ひええ

金剛は嫁艦だけどね、99だから仕方ないね
本当にね……仕方ないね
金剛×山城のカップリング結構ありじゃね?と思ってたけど仕方ないね……

そして女神が消費されましたね。これからほのぼのして溜めていきましょう


それじゃあ今夜はここまでで

乙乙。ぽいぬだしてほのぼの稼ごう

提督は短剣で師を後ろから刺してる(意味深)んだよ

◆すまない◆>>820の件でスタッフをケジメした◆お詫びします◆


お詫びするんでな、ちょっとな


1~3:応急修理要員2つ
4~6:応急修理女神2つ
7~9:両方2つずつ
0:金剛死んだ分新しく艦をね
ゾロ目:???

↓ 直後 ※十の位と一の位でそれぞれな

◆と言う事で『応急修理要員』×4と『応急修理女神』×2を手に入れた◆合計:要員×7、女神×2◆ミスは実在しない、いいね?◆

今後は


①ゾロ目が出ると死にます

②0が出るとイチャコラほのぼのします

③9が出ると更に判定して強烈に壊れます

④単発ダメゼッタイ。安価出てからの回避ダメゼッタイ。セプク。ズレます

⑤『応急修理要員』と艦名と共に宣言すればゾロ目を最大ダメージにダウン

⑥『応急修理女神』と宣言すればゾロ目を、その目の通常判定にランクダウン

⑦宣言しただけで消費。ほのぼので『要員』、複数ほのぼので『女神』補強

⑧二人の正規空母が実際平坦なまな板を晒しますか?おかしいと思いませんか?あなた


です。30分ほど入渠します

◆それでは始めます◆待たせたな◆


 舌骨という骨を知っているだろうか。

 下顎と咽頭の間にある独立していて、関節を持たない骨。その名の通り、舌の筋肉が繋がる骨。

 喉仏の上を触れば判る、蹄鉄の形をした骨。

 この骨が折れているときは、自殺ではなく他殺の証明ともなるのだという。

 首を吊れば、首が引き上げられ顎は下がって舌骨が隠れる。

 だが、仰向けに寝かせた相手の喉へと体重をかけると、頤が上がり舌骨が露呈する。そのまま力を加えれば、これが折れる。

 一つだけ、勉強になった。


飛龍「……」


 気が重い。

 頭の中で何度も言葉がリフレインする。


 ――……他人が使ったものはどうにもな。

 ――その人間の臭いというか、気配が残っている気がしてな……どうにも気に触るというか。

 ――前の癖が出ていて、運転しづらい気がするんだ。

 ――どうにもその所為で食い違いが出てきたりすると、命に係わるかもしれないからな。


 ――私は……私は山口提督とは違います!

 ――貴女が誰の事を誇ろうと勝手だけど。

 ――それを誰かに、押し付けないでください。


飛龍「……」


 自分は間違っているのだろうか。いやきっと、間違っているのだと思う。

 だけども、“彼”は誇りだった。“彼”は鮮烈であった。“彼”は優秀であった。だから彼が好きだった。共に死んだ、彼が。

 しかしやはりまた、提督や赤城の言葉に理があるのだろう。

 形から見れば――飛龍としてはそう言われたなら断固として憤慨するが――彼は敗戦の将だ。

 戦という観点から見たのなら、結果としては彼は敗因に包括されてしまう。

 そして、赤城の言うように……誰かが誰かと同じの筈がない。


飛龍「……多聞丸」


 彼への想いは本物だ。

 彼を貶されれば烈火のごとく飛龍は憤怒するし、彼を褒められれば我が事よりも喜ばしい。

 だけれども同じだけ、信じられない。

 彼ではなく――己を。

 己が彼をいつまでも慕うと言うのは、提督の戦術との食い違いや、或いは艦隊の中での仲違いを生むのではないか。

 思えば、改めた方が良い。

 しかし、嘘にしたくない。

 だけれどもこのままなら――――なんて、堂々巡りをしてしまう。


飛龍「赤城さんのとこに……行かなきゃね」


 そういう意味では。

 赤城の説得のために彼女の部屋を訪れる事の方が、実戦よりもよほど気が楽だった。

 呼びかけても返事はされない。反応は返らない。暖簾に手押し、糠に釘、赤城にボーキサイト。

 それでもその間は、悩まずに済む。

 ある意味結果が分かりきっているというのは――非常に、楽だった。

 或いは自分がそんな思いだから赤城は部屋を出ようとしないのかも知れない……とも飛龍は考えていた。

 気が重い。

 自分が前に出ずに赤城に呼びかけている間に、起きた事件。

 どんな目を、向けられるのだろうか。同じ空母であると言う事に。

 どんな目を、向けられるのだろうか。全てを押し付けられ、事故を起こした後輩に。

 そうして今日も飛龍は、赤城の部屋を目指し――


鳳翔「どうしたのですか?」


飛龍「あ……えっと……」


 不味い時に、不味い人に出会ったと……飛龍はそう思った。

 航空母艦:鳳翔――いわば全ての空母の母であり、先駆けである。

 まさか、いつの間にか。彼女が着任していたなんて。

 目を見られない。合わせる顔がないというのはこの事か。

 栄えある一航戦も担った鳳翔。――対する自分たちは、この体たらくであった。

 だが、


鳳翔「少し、やつれてますね」

飛龍「え」

鳳翔「一緒に、食事にしましょうか」

飛龍「え、いや……その……」

鳳翔「行きますよ?」

飛龍「あ、えーっと……」

鳳翔「ね?」


 穏やかな笑みのままの鳳翔に釣られるように、飛龍も足を促される。

 とは言っても、ここ暫くは……食堂にも顔を出せてはいない。

 怖いのだ。自分に向けられるかもしれない眼が。それを想像すると。他人から向けられるだろう目線が。

 それ故、二の足を踏んでしまう。

 そんな、普段の意気はどこへやらと言った様子の飛龍に――


鳳翔「なら、私の部屋はどうでしょう?」


 鳳翔は静かに微笑んだ。

 それから――彼女が食事の支度を整える間も、互いに無言であった。

 鳳翔は、落ち着いた物腰で――何も聞かない。何も言おうとしない。何も咎めもしなければ、何も哀れむ事もない。

 ただ、優しく食事を作ってくれた。


 一杯の味噌汁が、やけに目に染みた。

 どれほどだろうか。

 どれほどこうして、食事を取るという事を、忘れていたのだろうか。

 結局そのまま、五人前ほど平らげた。


鳳翔「良い食べっぷりですね」

飛龍「そりゃ、多聞丸が――――、ぁ」

鳳翔「健啖家に、悪い人はいませんよ」


 直接的な言葉は掛けられない。鳳翔は慈愛の笑みで、飛龍を見つめているだけだ。

 責められないのか不安になる。責められるだけの事をしてしまったのだと、漠然と思っているから。

 ただ、必要以上に鳳翔は語らない。

 でもその態度は、何もかも受け入れてくれるような……優しい雰囲気だった。


飛龍「あの……」


 と、口を開いたところで、サイレンが鳴った。

 空襲警報。しばらくは聞いてはいない。

 この泊地に攻め入るほどに、敵は勢力を増したのか。艦隊はどうなってしまったのだろう。戦況は。

 自然と、身体が動いていた。

 見れば鳳翔も飛龍と同じく、長弓を片手に白いたすきをかける。

 どちらともなく頷いて、二人は部屋を飛び出した。



 ――これは一体、なんだろうか。

 ――燃える。

 ――何もかもが、燃える。


瑞鶴「あはは、どう?」


 中心で嗤うのは一隻の航空母艦娘。

 矢を番えて撃ち出すが、そのどれもが全て爆撃機。

 対する敵深海棲艦の上空には護衛戦闘機。空母艦娘目掛けて迫り寄るのは、多数の爆撃機とその直掩の戦闘機。

 しかしそれでも、ただ彼女は嗤う。

 土台、航空戦闘など起こらぬ一方的な鴨撃ち。ただの七面鳥撃ちとなるだろう。

 でも、彼女は何も怯えずに――撃った。射るのではなく、撃った。


瑞鶴「近付きすぎて、いいの?」


 彼女が放った爆撃機を迎撃せんとした要撃機。

 一機たりとも母艦に向かわせない――向かわせてしまったのならば、敵の航空母艦を仕留めても既に放たれた航空機による爆雷撃で轟沈の危険があるから。

 多数から纏わりつこうと、その背中や尾目掛けて殺到する空戦機はしかし――


瑞鶴「あはっ」


 瑞鶴自身の手により撃ちぬかれた爆撃機の爆弾の誘爆に巻き込まれて、姿を消す。

 動揺の事が、数度立て続けに起こった。

 空戦の概念を否定する、力押しの焼き討ち。一切構わない、煉獄の大火。己の艦載機に執着を見せない航空機母艦。

 撃って撃って撃って撃って――無理やりに、敵の航空優勢を破壊する。

 爆撃機を、空飛ぶ空中機雷としてだけ使う――――常識外れの、異常な戦闘。


瑞鶴「これが五航戦の、本当の力よ?」


 空を包む数多の爆炎。

 撃ち出された砲弾が味方航空機を貫き、敵航空機を巻き込み吹き飛ぶ。

 ならば近寄らなければいいかといえば、そんな話ではない。

 何故なら迎撃しなければそのまま、爆撃が行われる為である。

 しかし――。

 瑞鶴の狙いは、違った。

 そんな、敵の逃げ腰を期待しての戦いではなかった。


瑞鶴「いい?」

瑞鶴「飛行機っていうのは……こうやって使うんだから!」


 放った矢が――艦載機へと、変化――


        ・ ・ ・
 ――――“しない”。


 そのまま深海棲艦の装甲に矢が撃ち込まれた。眼球に突き刺さった、一筋の矢。

 呻く深海棲艦。人間なら致命傷だが、彼女はまだ死ななかった。生きていた。しぶとくも生存していた。

 己に突き立った矢を、引き抜かんと――


瑞鶴「遅い」


 瞬間――矢が、艦載機へと変化。

 深海棲艦の内部で膨れ上がる爆撃機。深海棲艦の体内圧と、艦載機変貌への膨張圧で――

 “オレンジの中で圧縮空気で高強度のゴム風船を膨らませるように”。

 内向きと外向きのそれぞれの圧力に耐え切れない機体の、搭載された爆弾が――破砕し、爆発した。


 頭部を失った空母型深海棲艦の体が、ただ静かに、海面へと没した。


飛龍「――ッ、なんて使い方を!」


 それだけは――。

 その方法だけは――やってはいけない戦い方だ。

 飛行機を爆弾代わりに敵に特攻させるなど、そんな方法だけはやってはいけないものだ。

 搭乗員を、人の命をただ使い捨ての炸薬の誘導機として使用する忌まわしい方法。大戦の生み出した負の遺産。

 そんなものは、絶対に許してはならない。

 後に歴史を知った飛龍は、己たちのMIの敗戦がそんな結論へと帰結した事を恥じ――そして、繰り返してはならないと誓った。

 そんな方法を取らなければならないほどに、この国を疲弊させてはならないと誓った。


鳳翔「……あ、ああ」


 見れば、鳳翔の顔面が蒼白に。

 鳳翔は知っている。その大戦の最後まで生き残ったが故に、そんな方法が行われたのを身を持って知っている。

 そして練習空母であるから――搭乗員たちが、どれほど泣き、笑い、育っていくのかを知っている。

 そんな搭乗員の命を使い捨てた軍部を知っている。


飛龍「瑞鶴!」


 掴みかかる蒼龍に、しかし瑞鶴が向けるのは濁った目線だ。

 髑髏が如き――一切の光を失った、虚無を外に目掛けて撒き散らすだけの、戦になれば開かれる好戦的な獣の双眸。


瑞鶴「だって、数射れないんだから……しょうがないじゃない」


 言って、瑞鶴が右手を差し出した。何かと思えば、顎で、その手を掴むように促される。

 震えていた。

 そして冗談みたいに……その手には、力が籠っていなかった。


瑞鶴「手、靭帯とかボロボロで炎症してたって」

飛龍「――」

瑞鶴「ずっと使い続けたから、そうなってたんだって」

飛龍「――」

瑞鶴「取調べとかあったせいで、処置が遅くなって……もうどうにもならないって、言われたんだ」

飛龍「……ぁ」

瑞鶴「ねえ、二航戦の先輩」

飛龍「……」

瑞鶴「これで……真っ当な空母の戦い方なんて、できる?」


 己が射れるだけの数、それ以外を全て副砲に積み替えて。

 持てるだけの矢も全て、爆撃機と化して。

 瑞鶴に出来る攻撃は、それしかなかった。

 彼女はもうすでに、空母としては死に体になってしまっているの――である。


 自分の放つ艦載機を副砲と機銃で撃ちぬき、空中機雷として敵の艦載機を破壊し――。

 限界まで近寄って、矢が殺傷能力を持つ射程まで近接して、攻撃する。矢を相手の体内に打ち込んでから艦載機に変化させ、内部から吹き飛ばす。

 それはもう、空母とは呼べない。

 飛行機を運用するだけの、別のナニカだ。


瑞鶴「命中率とか損害率とか、そんなのはもうどうでもいい」

瑞鶴「七面鳥にだけは、ならないんだから」


 それっきり、背を向けて。

 飛龍と鳳翔を残し、瑞鶴は泊地へと帰投した。


提督「……これで、少なくとも二人か」

提督「……」

提督「いい塩梅と言えば、塩梅なのか」




コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓1 3 4

ぽいぬは応急のどっちか判らないから要員って事にしておくね

うーん、この赤城……

ちょっと面白い事になってるから赤城さん判定します


十の位 1ほど後ろ向き 9ほど前向き
一の位 1ほど利己的 9ほど利他的
0:特殊判定
ゾロ目:???

↓5

赤城「ボーキおいしい」


駄目だこの一航戦……


提督「……赤城、私だ」

赤城「……」

提督「その、少し顔を見せてくれないか?」

赤城「……」

提督「……」

赤城「……」

提督「部屋の前でもいいが……できれば、会って君の顔を見たいのだが」

赤城「……」

提督「間宮もある」


 冗談のつもりだった。

 それでまさか、扉が開くとは。

 流石の提督もこれには驚きを隠せない。いや、その前の言葉が聞いたのだと信じたい。流石に。


提督「赤城……」

赤城「すみません、提督……私……」

提督「……。いや、いいさ。君はうちの艦隊に来てから、働き詰めだった……少し休んでも罰は当たらないだろう」

赤城「……」

提督「……その、君さえよければ、今の状況について説明したいのだが」

赤城「……は、」


 ――い、と言おうとしたところで。

 腹が鳴った。赤城は赤面した。提督は頭を抱えたい気持ちでいっぱいだった。


提督「その……食べてからにしよう。物資もある。ある程度、海域が安定したんだ」


 お前が引きこもっている間に――。

 言外にそんな意味を含ませながら笑顔を向ける提督のその先の、赤城の表情は暗い。

 当然だ。そうでなくては面白みがない。


提督「何か希望はあるか? この間までとは違って、ある程度は好きに選べる」

赤城「……私は」

提督「ああ」

赤城「何でも……いいです」


 棘に感じるものは感じる程度の刃を孕んだ言葉。

 肩を落とす赤城を見て、提督は内心の愉悦を滾らせる。

 戦友である加賀が死に――。

 先輩と慕う吹雪が死に――。

 己を心配した飛龍に当たり――。

 代わりに戦い続けた後輩の瑞鶴が壊れ――。

 それが故に金剛と山城が損傷した――。

 それらの罪咎を突きつけられた時、一体どんな気分になるだろうか。

 特に瑞鶴と顔を合わせさせたい。切にそう思った。

 あの、空母としての能力の殆どを喪失した瑞鶴は、己がそうなった原因でもある赤城に対してどんな目線を向けるだろうか。


赤城「何でも……」

提督「ん?」

赤城「何でもいいから食べさせて下さい。お腹が減って、三段甲板がくっつきそうなんです……」

提督「アッハイ」


 ……。

 今まで肩を落としていたのは、それが理由なのか。いや、ひょっとして。……提督は訝しんだ。


提督「その」

赤城「……」

提督「あのだな」

赤城「……」

提督「赤城?」

赤城「ふぁいひょーふへふ、ひいへまふ」


 物凄い勢いでカレーライスを平らげる赤城が、ハムスターみたいに口を膨らませてそう言った。

 飛ぶ。白い海軍制服にカレーの飛沫が跳ぶ。

 比叡をこの場に連れてきてやろうか。半ば本気で、提督は心の内で青筋を立てる。

 漸く姿を現した赤城へと集中する目線に込められた感情は様々だ。

 ……だが当人は一切気にする様子もなく、カレーを平らげている。提督の話を本気で聞いているのかも判らない。


提督「とにかく……」

赤城「はい、今まで申し訳ありませんでした」

提督「ああ、その……」

赤城「これからはこの一航戦赤城、艦隊の力となるべく邁進します!」

提督「あ、ああ」

赤城「なので……」

提督「……ん?」

赤城「勝利の験を担いで、カツカレーを食べたいのですが……提督、よろしいでしょうか?」

提督「アッハイ」


 ――一方。


夕立(てーとくさん、最近お話できてないなー)


 夕立は一人、泊地の桟橋を歩いていた。

 輸送や周辺海域の警戒に出撃する事はあっても、あまり敵の大体的な戦力とは出会ってはいない。

 何とか提督やこの艦隊の力に成りたいな、と考えている彼女にとっては些か不満である。

 いや――。

 実際に仲間が幾人も命を落としている。せめてその時自分がその海域に居られれば、と考えざるを得ない。

 この身に在る力は――敵の喉笛を食い破り、味方を背に庇うためにある。

 ここは最早、ある意味で鉄底海峡とも同じ。数多の味方の血で染められた赤い海。

 なら、夕立がやる事は一つである。


夕立(てーとくさん)

夕立(忙しいっぽい? 大変っぽい?)

夕立(心配だなぁ……てーとくさん)


 なおその頃。提督の海軍制服は大変な事になっていた。

 任せて下さいと胸を叩いた赤城が咽て、カレーのついたご飯粒という名の艦載機で急降下爆撃を行った為である。

 白い海軍服にカレーは割と洒落にならない。

 実際金曜日にカレーを出すのは、半減上陸の前の嫌がらせという説もあるのだ。埃一つ付いてただけで下士官を外出させないほど身なりには厳しい海軍だ。


 と、そんな夕立は……桟橋に腰掛け、夕日を眺める女性を発見した。

 あれは確か、金剛型三番型:榛名。

 金剛の事は知っていた。彼女の身に起きた事も、そしてその最期も。

 ……姉妹が死ぬのがどれだけ悲しいか。夕立にも分かる。

 それは、かつての駆逐艦の頃からそうである。あの頃は鋼の躰が故に、深い悲しみとは無縁だったが――。

 この体になってから思い返せば、きっとあれは悲しい事だったのだろう。胸が、引き裂かれんばかりに痛い。

 とは言っても、艦娘としてこの場に居るものの中では――姉妹の中で一番先に死んだのは、夕立だ。


 だから。

 だから残されたものの事が、気になったのかもしれない。


夕立「おねーさん、戦艦のおねーさん」

榛名「あら……えっと」

夕立「夕立よ?」

榛名「そう、夕立ね……どうかしましたか?」

夕立「んーっと」

夕立「隣に座っていーい?」

榛名「ええ……構わないけど……」


 首を傾げる榛名の隣に、夕立が腰掛ける。

 ……と、座ったところでどうしたものかと夕立は思った。思ったが直ぐに、そんな懸念なんて忘れた。

 迂闊に突いていいものかとか、考えない。その辺りはシンプルだった。



夕立「戦艦のおねーさん」

榛名「榛名です」

夕立「榛名さんは……大丈夫っぽい?」


 夕立の嗅覚が、何となく照準された。

 武勲というのは死に近付く事であり、死に塗れる事だ。

 だからこそ彼女も、ある種の嗅覚が働いた。硝煙や死、それに類する類いのものへの嗅覚である。

 しかし、


榛名「ええ、榛名は大丈夫です」

夕立「本当に本当に大丈夫っぽい?」

榛名「はい、本当に本当に大丈夫よ?」


 返ってきたのは、そんな笑い。

 一見したら悲しみも気負いも感じられない、ただ熱意だけがある笑いだ。

 でもその後ろに、なんとなく――。

 なんとなく、一抹の寂しさがある風な気がした。


夕立「うーん、それでも」

榛名「え?」

夕立「夕立でいいなら、いつでも相談に乗るっぽい」

榛名「相談……ですか」

榛名「……」

榛名「……」

榛名「……」

榛名「榛名は大丈夫です」


 しかし、当人にそれに気付いた様子がない。

 なんとなくその様は――夕立の不安を駆り立てるものであったが、結局彼女もそれを忘れ、別れるまで榛名の隣に居た。

【艦これ】提督「安価で艦娘を壊す……?」02
【艦これ】提督「安価で艦娘を壊す……?」02 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426178433/)


◆次スレな◆折角1スレ目が埋まるからゴシュウギ安価を出す◆備えよう◆

今後、何らかの形で話に登場する可能性がある艦



↓ 1~6 反転コンマ大

と言う訳で翔鶴姉と北上様ですね


◆あとどうでもいい話ですがこのスレを書きながら大型回したらビス子一発ツモしました◆9回で大型レア全部揃いました◆長門不在鎮守府です◆

じゃあ最後に安価置いとくね


次回登場 >>830のリストから


コンマ十の位 1ほど肉体的 9ほど精神的
コンマ一の位 1ほど威力小 9ほど威力大
0:特殊判定
ゾロ目:???
↓1 ↓2 ↓3

はい、了解です。時雨が応急修理要員を持ってきてくれました

それじゃあ次スレにこれまでのあらすじを張りますのでここまででー

合計:要員×7、女神×2

●羽黒(22):殿として死亡
●望月(33):ケッコンの約束をして遠征に出たら提督の策略により死亡
●那珂(33):顔に怪我をした(14)が、提督を気遣い笑顔。最後までアイドルとして笑顔で死亡
●足柄(44):龍田の背中で息を引き取る。トラウマメイカー
●秋月(55):過労で精神状態が不安定となり、自殺
●加賀(66):提督の事を憎からず思っていたが特性甲標的で提督に殺される
●吹雪(77):初期艦として提督の傍で戦い続けた。提督の本性に気付いていた。護衛船と大破する船を庇い死亡。トラウマメイカー
●金剛(99):山城を庇って艦載機により誤爆。子宮全摘出で療養(49の45)。山城は妹分デース!
        その後、提督の何かを見抜いた後単身相当数の深海棲艦を撃滅。トラウマメイカー

○清霜:戦艦に憧れていたが、本部製の実験段階仮想試作機でトラウマ(74)、その後幻痛に悩まされ自傷(12)
○卯月:ガードベント(35)。瑞鶴に提督も辛いんだと言ったり
○朝潮:喪ったものの傷も癒えない司令官を促したために首絞められた(36)と思っている。ぐちゃぐちゃの戦場と戦闘鬼化した戦艦を見る(56)
○名取:魚雷攻撃で炎上したが軽傷(41)
○龍田:深海棲艦の攻撃により片目に怪我(42)。更には軍艦時代のトラウマを足柄に抉られる
〇瑞鶴:加賀が轟沈したショックで提督と激突。罪悪感(56)。
     誰もいない分奮戦したらメタンフェタミンを投与された搭乗員による誤爆で味方大破。本部へ連行(59の10)。トラウマメイカー
     疲労で手が炎症を起こし、取り調べから発見が遅れ、矢を数射れなくなった。艦載機を特攻徹甲弾や空中機雷として使う空母カッコカリに(79の95)

○飛龍:提督から前の人の事とか感じる中古はちょっと(63)と言われた後に、赤城から人と比べないでと怒鳴られる(58)
     鳳翔さんに癒されたと思ったら、後輩が戦闘マシーンと化していたでござる (63)
○時雨:姉妹艦の夕立は褒められているのに、提督に気遣った自分は余り良い目を見れていない。病み(68)
     提督とイチャラブ、うれしいね(70)
○まるゆ:素潜りしよっかと爽やかにプレッシャーかけられる(73)
○春雨:深海棲艦っぽいとか言われてたけど提督は受け入れてくれたから役に立ちたい、けど艦艇時代のトラウマを抉られる(74)
○鈴谷:暗くなってる提督にいつでも相談して、という。あと勇気づける(意味深)想像したらヌメヌメする。でも利根に比べて信用できないと遠回しに……(95)
○利根:実力があるからと、かつて望月とケッコンしようとしていたんだ……とここだけの話を打ち明けられプレッシャー(75)

○綾波:一緒に船団護衛をしていた吹雪が目の前で……(94)
○夕立:ぽいぬ。てーとくさん、笑顔じゃないのに笑顔にならなくていいっぽい!
     榛名さん心配っぽい。本人気付いてないっぽい(95)
○五月雨:吹雪は死んだ! もういない! だけど吹雪の生き方は俺たちの心の中で(ry
○赤城:資源が少ないという提督と本営の会話を聞き断食を決意(74)、そののち体調不良の赤城を庇って加賀と那珂が轟沈。でも二人の分までボーキ食う!
     今度は万全だ、仇を取るためにここに残って打って出ると言っていたら、その資源を集めようと奮戦した自分を憧れと崇める後輩の吹雪が轟沈(79)
     今はすっかり何が正しいのか解らなくなり、虚無感に包まれて自室にこもる(39)。君がいない間に奮戦した後輩がメタンフェタミンで……
     でも間宮でつられて顔を出した。これからは艦隊の為に頑張ります!(71の10)。シリアス&ボーキスレイヤー
○山城:気に喰わないと思ってた金剛だけど、戦いを通して実は……と思ったところで瑞鶴の艦載機による誤爆。トラウママシマシ(57)
     結構金剛にベタベタ。い、妹は駄目だけど妹分なら……と思ったところで金剛の凄惨な討死を見て鬼に(58)
○瑞鳳:卵焼き

○大井:提督に舌打ち。なんかあーんとか見せつけられる(72)。どうやら何かあるようだ(44)
      (52)
○三日月:妹が気になっていたであろう人が妹なんて初めから居なかったかのようにあーんしてた(58)
○ゆーちゃん:派遣中に深海棲艦に追い立てられ、腕を咥えられて犬がやるようにブンブン振り回される(47)。助けてくれた榛名にベッタリ
○榛名:中破したけど、榛名は大丈夫です(35)! ……でも姉が。でも榛名は大丈夫です!(71)
      (23)
○あきつ丸:
○大鳳:

○鳳翔:自分の後に生まれた空母たちが傷付き、さらには一人が艦載機を爆弾として運用するようになっていた(78)


今後話にでる予定:翔鶴姉、北上様

◆またせたな◆今回はほのぼの小ネタで始めます◆安価が出るので備えよう◆回避重点な◆

◆折角のホワイトデーアプデなので、チョコレートを捨てたいと思います。そうするのが自然だと思いませんか?あなた◆


◆小ネタ◆

チョコレートを渡す艦娘


コンマにてダメージ

↓2

え、あれだよ? 普通の小ネタだから轟沈とかしないよ? ほのぼの甘々だよ

よし、次スレで小ネタから始めようか。ほのぼのです


◆1000は一応考慮するからな◆埋めよう◆

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年03月09日 (月) 00:43:38   ID: DRTB0oRn

この鎮守府には死神が憑いてるのかな?(´・ω・`)

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