春香「みんなと同じ」 (95)
話の設定上、多数のオリジナルキャラ・モブキャラが登場します。
765プロキャラはほぼ春香のみ。
今回は前作と作風が異なり、世にも~でも1話くらいはあるコミカル枠っぽく書きました。
前作「765プロ事務所のとある日常」
「765プロ事務所のとある日常」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425055972/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425479212
このスレッドはsageでおなしゃす。
タ〇リ「我々の国には〝出る杭は打たれる″という言葉があります」
タ〇リ「この言葉が嫌いな人も多いのではないでしょうか」
タ〇リ「それを知ってか知らでか……」
タ〇リ「人間は無意識のうちに、周囲の意見に同調してしまう傾向があるようです」
タ〇リ「……たとえ、それが間違っていることであっても」
タ〇リ「無意識のうちに取ってしまう行動なわけですから……」
タ〇リ「人一倍〝空気が読める″人にとっては……息苦しいこと、この上ないでしょう」
タ〇リ「これから、あなたたちに観ていただく、奇妙な物語の主人公は……」
タ〇リ「何処にでもいそうなごく普通の、〝空気が読める″女の子です」
タ〇リ「一体に……彼女にどんな奇妙な出来事が降り懸かるのでしょうか」
「みんなと同じ」
誤爆です、初っぱなから大変申し訳ない
>>6 構わんよ!
こっちも初っ端からそうそう申し訳ないが、ちょっと席外します。
すみません
すみません。お待たせしました。
再開します。
― 春香家 ―
母「はるかー? そろそろ出発しないとまずいんじゃないの?」
春香「うん、わかってる! あれ?……お母さん! 私のお財布知らない?」
母「えー、お母さんは春香の財布なんて見てないわよ」
『今日の星座うらな~い☆』
『今日の運勢が最下位なのは……牡羊座のあなた!』
春香「えー、私じゃん……」
『今日は、周囲の人たちに――』
母「自分の部屋は探したの?」
春香「えっ?」
『――になるでしょう』
春香(あらら、重要なところがうまく聞き取れなかった)
母「ちょっと、テレビなんて観てる時間なんてないでしょ?」
春香「そ、そうだった!――って、あれ?」
春香「……お財布、カバンの中にありました」
母「全く、もう……」
『ラッキーカラーは赤!』
春香「あははっ、ごめん……それじゃ、行ってきまーす!」
母「はいはい。車には気を付けるのよー」
春香「はーい」
ガチャ バタン
春香「うぅ……今日も寒い」
春香(今日のラッキーカラーは赤かー)
春香(確か、この間買ったあの下着の色……赤だったような)
春香「自転車の鍵は……っと」ガサガサ
春香(どうしようかなー)
春香「はぁ、最寄り駅までとはいえ、やっぱり寒い日に自転車って辛い……」
春香「――よいしょっと」
春香(急いで着替えれば……まだ間に合う)
春香「……」
春香「……やっぱり着替えよう!」
ガチャ
母「あら? お帰り、早かったわね。今日は休校日だったっていうオチかしら?」
春香「そ、そこまでおっちょこちょいじゃないよ!///」
春香「ちょっと、下着を――あわわ!」
母「下着を?」
母「し……下着の上下が揃ってなかったから着替えなおそうと思ったの!///」
母「対して変わらないじゃない……」
――――――
――――
――
― 通学電車内 ―
春香「……危なかった」ボソッ
春香(ラッキーカラーに翻弄されて電車に乗り遅れるとか……本末転倒だからね)
春香(しかも、勢いでこんな下着着てきちゃったし///)
春香(だけど、これで私の今日の運勢はばっちりだよね? ふふふっ)
春香(えーと今日の予定は……5時間目に英語の小テストがあって、体育は確かバレーだったかな?)
春香(アイドル活動の方は、ライブに向けてのダンスレッスン)
春香(あと、帰りに英語の参考書も買わないとなー)
春香(……あっ! 千早ちゃんに今日返すはずのCD持ってくるの忘れた!)
春香(うぅ……千早ちゃん、ごめんね~)
春香(それにしても……)
春香(ほんと、この時間帯は人がほとんどいない)
春香(ふふふっ♪ 座席は座り放題!)
春香(それに……)
春香(このときに車窓から見える朝焼けを眺めるのが、堪らなく好き)
春香「……ふぁ~」
春香(昨日、遅くまでテスト勉強していたから……なんだか……眠くなってきちゃった)
春香(さて……何の音楽……聴こう……かな)
――――――
――――
――
春香「……」
春香「……」
アナウンス「次は○○駅に止まります。お出口は~」
春香「――はっ!」
春香(危ない! 私……今、思いっきり寝ちゃってた!)
春香(今、どの辺りなん――)
春香「!?」
女子高生A「担任の××、マジうざくない?」
女子高生B「わかるわかる!てか、あいつぜってーロリコンだし、きっしょ!」
リーマン「……」 OL「……」
男子学生A「なぁ、昨日のトゥナイ〇2観た!?」
男子学生B「観た観た! 昨日の回はマジであたり回だったよな!」
春香「……」
春香(どうして、みんな床に座ってるの!?)
春香(座り込んでいる人たちで、床一面埋め尽くされてる……)
春香(座席に座っているの私だけ!?)チラッ
春香(なんで、みんな座席に座っていないの!?)
春香(全席優先席とかじゃ……ない、よね?)チラッ
春香(いやいや、そうだとしても! それ以前に、床に座るのはマナー違反だよね!?)
女子高生A「知ってる? クラスの△△、もう新しいカレシ作ったらしいよ」
女子高生B「聞いた聞いた。しかも今度のカレシ、族のメンバーなんでしょ?」
リーマン「……」 OL「……」
男子学生A「あー、俺も昨日のトゥナイ〇2録画しておけばよかったわー」
男子学生B「後で、俺が貸してやるよ」
春香(みんなの様子は普段と何も変わらない)
春香(だけどみんな……当たり前のように、床に座ってる……)
春香(と、とりあえず少し落ち着こう)
春香(そしてもう一度……よーく周りを見るの)
春香「……」チラッ
おじいちゃん「……」
春香(日曜日のお父さんみたいな姿勢で横たわってる!)
春香(……えーと)
春香(もしかして、この車両だけ今日は特別……なのかな?)
春香「……」チラッ
春香(隣の車両の人たちもみんな、床に座ってるよ……)
春香(うぅ……なんか私……みんなに見られているような気がする)
春香(なんだろう……とりあえず、私が周囲から浮いているっていうことはわかった)
春香(ど、どうしよう……だ、だけど)
春香(みんな、床に座ってるわけだから)
春香(私も……)
春香(さり気なーく、床に……)
春香「……」スッ
春香(正座しとこう)
春香「……」ペタン
春香(は、恥ずかしい///)
アナウンス「次は××駅に停車いたします。お出口は~」
――――――
――――
――
― 学校 体育館 ―
体育教師「全く……まだ全員集合しないのか?」
体育教師「クラス委員長、ちょっと様子見てきてくれないか?」
委員長「はーい」
体育教師「今日、女子には体育館でバレーをやってもらう」
春香「うぅ……体育館、寒い」
B子「うんうん。私、寒いの苦手……」
A美「これから運動するんだからすぐに熱くなるって!」
春香「そ、そうだね」
B子「それにしても今朝、春香が通勤電車内で体験した話、ホントなの?」
春香「――えっ? うん。信じられないと思うけど本当のことだよ!?」
A美「えーと、確か……居眠りから目を覚ましたら」
A美「車両内にいた人たちが全員、座席に座らず、床に座っていたんだっけ?」
春香「そう! もう、ホントびっくりしちゃって。しかも、私がいた車両だけじゃないんだよ!」
A美「春香……夢は寝ている時に見るんだぞ?」
春香「寝ぼけてたんじゃないってば! ……本当に夢みたいな光景だったけど」
体育教師「……よーし。それじゃ全員揃ったみたいだし、みんな準備しろー」
B子「全員揃ったみたい」
A美「まぁまぁ。貴重な体験ができたってことでよかったじゃん!」
春香「もう、A美ったら! 他人事だと思ってー」
A美「にししっ!」
春香「絶対、二人とも信じてないよね――って」
春香「なななななんでいきなり体操服脱ぎ始めてるの!?///」
B子「えっ!? な、なんでって言われても」
A美「だって、これから全員でバレーやるんだろ?」
春香「うん、そうだよね! 今からバレーやるのになんで体操服脱いじゃうの!?」
A美「?」
A美「いやだからさっきも言ったじゃん。運動するから熱くなるって」
春香「確かにそれは聞いたけど! だからって脱ぐのはおかしいよね!?」
A美「うん?」
春香(あれ?……この雰囲気)
春香「び、B子だってさっき寒いの苦手って言ってたよね!?」
B子「う、うん……寒いのは苦手だけど」
B子「バレーは下着でやるスポーツでしょ?」
春香「へっ?」
体育教師「天海、時間が押しているんだから早く準備しなさい」
春香「あっ! すみません! いきなり二人が体操服を脱ぎ始め――」
体育教師「ん、どうした? そんな驚いた顔して」
春香「……」
春香(あずささん並に……すごい)
春香(――じゃなくて! なんで先生までジャージ脱いでるの!?)
春香(他のみんなも全員、下着姿になってる!?)
春香「いや、その……」
春香(まずい……この流れは非常にまずい気がする!)
春香「あ、あの先生……私、ちょっと体調が――」
A美「春香!」ガバッ
春香「きゃっ! A美!?」
A美「さては、お主何か隠しておるなー?」
春香「ちょちょちょちょっと!/// こらっ! い、いや……だ、だめっ……服が捲れちゃ――」
B子「あら?」
春香(やだ/// 今もしかしてB子に下着見られた!?)
B子「あらあら~。ちょっと春香……ずいぶん今日は気合いが入っているね?」
春香「っ!?///」
A美「ん、何? なんか気付いたのかB子?」
B子「ううん、別に。私たちの年頃ならそれほど騒ぐことでもないよ」
春香(うぅ~/// 占いなんて見るんじゃなかった!)
体育教師「おーい……盛り上がっているところすまないが、そろそろ始めたいんだが」
A美「あっ、みっちゃん! すみませーん」
体育教師「馴れ馴れしくあだ名で呼ぶな!/// 天海も早く準備しなさい!」
春香(みんな、私の方を見てる……)
春香(この状況は普通に考えておかしいよ……)
春香(で、でも……)
春香(この状況下で浮いているのは……私だ)
春香(ど、どうしよう……だ、だけど)
春香(A美もB子も先生も他のみんなも、この場にいる人たちみんな下着姿なんだし)
春香(ぬ、脱いでも……は、恥ずかしくないよね?///)
春香「……す、すみません。今……ぬ、脱ぎます///」
春香(べ、別にこの空間には女性しかいないんだから……)
春香「っ~///」
A美「……わ~お。春香、そんな勝負下着穿いてどうするつもりだったのかな~?」
春香「ち、違うの!/// これには深い事情があって――」
体育教師「よし! それじゃ二人でペアを組んで準備体操から始めるぞ」
体育教師「それが終わったら2チームを編成して練習試合だ」
A美「は~い! ねぇ、みっちゃん? あたしのペア組んで準備体操しようよ?」
体育教師「だから、そのあだ名で呼ぶなって言ってるだろ!?///」
みっちゃん「お前のせいで、みんなから陰でみっちゃんって呼ばれるようになったんだからな!?///」
A美「にししっ! 可愛いから別にいいじゃん!」
B子「春香は私と組もう?」
春香「う、うん。そうだね」
それから私たちは下着姿でバレーを行いました……
――――――
――――
――
― 街中 (夜) ―
春香「……ホントによかった!」
春香「私……765プロのみんなまで変なこと言い出すんじゃないかって、ダンスレッスン中ずっとびくびくしてたんだよ!」
千早「春香!? とりあえず落ち着いて」
春香「うぅ……千早ちゃ~ん!」
千早「よしよし」ナデナデ
千早「でも、春香が言っていることが本当なら確かに異常だと思うわ」
春香「だよね!? 千早ちゃんだったらどういう行動を取ってた?」
千早「どうかしら……よく、わからないわ」
千早「確かに春香の話を間接的に聞いて状況は理解できるし、それを馬鹿馬鹿しい、あり得ないと述べることは簡単だわ」
千早「でも、実際に似たような場面に遭遇する、ましてやそれが、危機的状況下であったなら私は……」
千早「ごめんなさい、うまく答えられないわ」
春香「ううん。そんな気にしなくて大丈夫だよ、千早ちゃん」
春香「こちらこそ、こんなウソみたいな話をちゃんと聞いてくれてありがとう」
千早「ううん。だって春香がこんなウソ付くはずないじゃない」
春香「千早ちゃん……」
春香「――あっ、ごめん千早ちゃん! 私、この後用事があるから、今日はここでお別れなんだ」
千早「えっ、そうなの? ……わかったわ」
千早「春香……今日のあなたは奇妙な出来事に遭遇しやすいみたいだから気を付けるのよ?」
春香「いや、流石にこれ以上の変な出来事に巻き込まれることはないよ。あははっ」
春香「またね! 千早ちゃん! CDは明日必ず持ってくるから!」
千早「えぇ、わかったわ。またね春香」
――――――
――――
――
私は今、千早ちゃんの言葉を思い出している
なんで、あの忠告をちゃんと真摯に受け止めなかったんだろう
― 閉じ込められたエレベーター内 ―
04:59 ピッ
04:58 ピッ
04:57 ピッ
DQN男「おい! 早く赤いコードを切れって言ってんだろ!?」
DQN女「いやだ……死にたくないよ……」
老紳士「待て! 犯人のメッセージをまんま鵜呑みにしてどうする!?」
DQN男「うっせーな! いいから早くコードを切れよJK!」
春香「……」
春香「……」チラッ
[赤いコードを切れば爆弾は解除されるよ!]
春香(赤いコードと青いコード……どっちを切ろうかなー?)
春香(――って、あれ? なんで私、今爆弾を解体しようとしてるんだっけ?)
春香(えーと確か……)
千早ちゃんと別れた後、参考書を買いに、このビルの6階にある
本屋さんへ行こうと思って、このエレベーターに乗ったんだっけ。
その時に、この3人も一緒にエレベーターに乗ったんだけど……。
あっ、もちろん帽子とメガネはしっかり装備しているから変装はばっちりだよ!
エレベーターに乗った時、白い煙が立ち込めていることにすぐ気づいて
エレベーターが故障しているんじゃないかなって、すごく焦ったんだよ!
だけど、周りの人たちが全然驚いている様子がなかったから
そこまで危機的状況じゃないのかなって思ったの。
うぅ……あの時、やっぱり強引にでも降りればよかった……
そうこう考えているうちに、案の定エレベーターが急停止……
それから、非常用ボタンを押してみたんだけど全く外部と連絡が取れなくて
これからどうしようかと、みんなで話し合っていた時に
突然、天井からクラッカーが鳴ったような音がしたの。
文句を言いつつも、怖いお兄さんが上の様子を見に行ってくれたんだ。
だけど、この工具箱の型をした爆弾なんて、見つけてこなくてもよかったのに……
この工具箱の中に、何か役に立つものがあるかもって、お兄さんが蓋を開けたから
……今みたいな状況になっているわけです。
えっ?
なんで、私が爆弾を解体する役目になっているか……皆さん気になりますか?
その答えは非常に簡単です。
この怖いお兄さんに脅されたからです。
この閉じ込められた空間の中では、このお兄さんが一番強い存在なのです。
私にもよくわからないんだけど、なぜか自然と……
このお兄さんには逆らえない空気が今、この密室空間を支配しているのです。
――――――
――――
――
02:59 ピッ
春香(あぁ……なんで私は今日、こんなあり得ない出来事ばかり巻き込まれるのかな?)
春香(神様、私なんか悪いことしましたか?)
老紳士「よく考えてみなさい! このメーセージが正しいものだったら、幼稚園児でも解ける問題じゃないか!?」
DQN男「そんなこと言ったら、どっちのコードが正解なのかわかんねーだろ!?」
DQN男「さっきから同じことぐだぐだ言いやがって!」
DQN男「時間だけが無駄に過ぎていくじゃねーか!」
老紳士「そうか……犯人は私たちがこういう状況になるのを、楽しんでいるのか」
DQN女「あ、あたしたち……どうすればいいの!?」
DQN女「まだ……死にたくないよ……」
DQN男「さっきからお前もうるせーよ! 今考えてるんだから、お前は少し黙ってろ!」
DQN男「……」
02:15 ピッ
DQN男「……青だ。青いコードを切れ!」
老紳士「さっきと言っている色と違うじゃないか?」
DQN男「うるせーな! お前も赤は選ぶなって言ったじゃねーか!?」
老紳士「別に赤を選ぶなとは言っておらん。闇雲に選択するんじゃないとい――」
DQN男「そんなことはどうだっていい!!」
DQN男「仮に死ぬとしたら、犯人の指示通りにして死ぬよりは反抗して死んだほうがいいじゃねーか!?」
老紳士「……犯人は我々がそう考えると思って、このメッセージを残したかもしれないじゃないか?」
DQN男「う、うるせーよ! 俺が青って言ったら青なんだよ!!」
老紳士「……そうかい。なら、もう好きにしなさい」
DQN女「ど、どっちでもいいから……私を助けてよー!!」
DQN男「おい、JK! 早く青いコードを切れ!」
春香(ホント好き勝手な事ばかり言ってるなー、この人たち)
01:45 ピッ
春香(あーあ。A美もB子も先生も……みんなみんなどうしちゃったのかな?)
春香(今さら冷静になって考えてみると、やっぱり下着姿でバレーなんて絶対変だよ……)
春香(私の勝負下着、みんなに見られちゃったし///)
春香(私はA美たちに見せるため、この下着を買ったわけじゃないんだけどなー)
春香(あっ……そういえば)
春香(今日はプロデューサーさんに会えなかった)
01:29 ピッ
春香(残り一分半を切った……)
春香(私、ここで死ぬのかな?)
春香(死にたくないなー)
春香(でも、それはここにいる人たち全員が思っていることだよね)
春香(つまり今、私はここにいる人たちの命運を握っているということになるのかな?)
春香(……あははっ。私にはそんな責任重大な役なんて無理だよ)
春香(ど、どうしよう……だ、だったら)
春香(みんなが言っている通りに青いコードを切ったほうがい――)
『みんな、床に座ってるわけだから』
……違う
そうじゃない
『A美もB子も先生も他のみんなも、この場にいる人たちみんな下着姿なんだし』
A美もB子も先生もここにいる人たちも誰も
悪くない
『みんなが言っている通りに青いコードを切ったほうがいいのかな?』
今日、私がこんな嫌な思いをしているのは
全て……
春香(私の所為だ!!)
00:48 ピッ
春香(周りのみんなにただ何となく、合わせていたからこんな嫌な思いをしているんだ)
春香(無暗に周囲の人たちと同調することは逃げているのと何も変わらない)
春香(自分を信じなきゃダメ! 春香!)
春香(周囲の意見に流されて、死ぬなんて絶対に嫌だ!)
00:40 ピッ
春香(さっき、おじいさんが言っていた……)
『……犯人は我々がそう考えると思って、このメッセージを残したかもしれないじゃないか?』
春香(私もそう思う)
春香(犯人は私たちがメッセージを疑って青いコードを切るように仕向けているんだ!)
00:29 ピッ
春香(それに何より……)
春香(今日は周りの人の意見に合わせていた結果、全然良いことがなかった)
春香(だから、あえてここは周囲の意見の反対を選択するべき!)
『ラッキーカラーは赤!』
春香(――そうだよ! それに今日の私のラッキーカラーは赤!)
春香(私のイメージカラーも赤!)
00:14 ピッ
DQN男「おいおいおい!! 早く青いコードを切れよ!! もう時間がねーぞ!?」
00:09 ピッ
DQN女「もういや!……助けて神様!!」
00:07 ピッ
老紳士「っ!!」
00:05 ピッ
春香(もう行くしかない! これが私の意志で決めた選択!! みんなの主張と敢えて反対の赤い――)
『ラッキーカラーに翻弄されて電車に乗り遅れるとか……本末転倒だからね』
『今日は、周囲の人たちに翻弄される一日になるでしょう』
あ、あれ……
もしかして私、まちが――
春香「――あっ」
パチン
春香(プロデューサーさん好きでした好きでした好きでした好きでした好きでした好きでした)
春香(千早ちゃんも響ちゃんも律子さんも真も雪歩もやよいも伊織も亜美も真美m……)
春香(お母さんもお父さんもA美もB子もみっちゃんもそれからそれから……)
春香「……あれ?」チラッ
0:01
春香「……」
春香「……」
春香「……あは」
春香「……あははは」
春香「あはははははははははははははっ!!」
春香「し、信じられない! こんなことって――あははっ!」
春香「ずるいよ、こんなの……ふ、ふふっ……あはははははっ!!」
DQN男「あ……あれ? 爆発……していない」
DQN女「うぅ……ひぐっ……助けてよ……」
DQN男「おい……やったぞ! 俺たち助かったぞ!?」
DQN女「えっ……あ、あたし……まだ生きてるの?」
老紳士「……どうやら……助かったみたいだ」
春香「あはははははははははははははっ!!」
春香「はぁホント……こんなのおかしくて笑っちゃうよ」ボソッ
老紳士「大丈夫かね、お嬢ちゃん?」
春香「――えっ? あっすみません……急に緊張の糸が切れちゃったみたいで」
老紳士「いや、こんなありえない事態が起こったんだ。無理もないよ。それより……」
老紳士「お嬢ちゃんは結局、どっちのコードを切ったんだい!?」
春香「そ、それなんですけど……」
春香「切る瞬間、何を思ったのか」
春香「両方のコードを同時に切っちゃいました。あははっ……」
老紳士「……なるほど」
老紳士「こんなふざけた仕掛けを施した犯人は……この結末をどう見るだろう」
春香「そうですね……きっと」
春香「悔しがっていると思いますよ」
ガガ……ガガガッ
DQN男「――おい! みんな静かに! 上の方から何か聞こえるぞ……」
ガガガガガッ
レスキュー隊「――よし!開いたぞ!」
レスキュー隊「エレベーター内に閉じ込められている人たち、無事ですかー!?」
DQN女「やったー! これであたしたち外に出られる!」
DQN男「俺たちは全員無事だー!! 早くここから出してくれー!!」
レスキュー隊「よかった! 今から救助に向かいますので、もう少しだけ待ってください!」
老紳士「はははっ……やっとここから脱出できる」
春香「そうですね」
老紳士「お嬢ちゃん、今日は散々な一日だったね」
春香「あははっ……ホントです」
――――――
――――
――
本部へ、応答願います。
エレベーター内に閉じ込められていた要救助者は全員無事救助。
しかし、エレベーター内に何者かが爆弾を仕掛けていたことが新たに判明。
爆弾は既に要救助者の一人が無事に解体したとみられ、爆発しなかった模様ですが至急、爆弾処理班の出動を要請します。
また、エレベーターが故障した際に発生したと思われる白煙がシャフト内から漏れ出し、各売場フロアに蔓延。
煙を吸い込んだ人たちが予想以上に多いため至急、救急隊員の増員もお願いします。
― 店内フロア ―
レスキュー隊「――これでよし。けが人の方は任せたぞ?」
救急隊員「了解。えーみなさん! ただ今、救急隊員の増員を要請しました!」
救急隊員「申し訳ありませんがそれまではこの人数で順々に応急処置を行います」
救急隊員「列をなってお待ちください!」
おばさん「ちょっと! なんでそんなやつが先に応急処置受けてるのよ!」
おばさん「私の方が年寄りなんだから先に治療受けさせなさいよ!」
救急隊員「えーと……」
DQN男「ふざけんなBBA! そんだけ元気があるなら大したことねーよ!」
おばさん「ふざけてるのはあんたのほうよ! 年配者に向かってその口の利き方は何よ!!」
DQN男「うるせーな! こっちは今さっき修羅場潜ってきたばっかなんぞこらぁ!!」
救急隊員「二人とも、少し落ち着いてください!」
春香「……」
春香(さっきまであんなことがあったのに、元気だなーあの人は)
春香(はぁ……今日はほんっっっとうに疲れた)
春香(――あっ! そういえば結局、英語の参考書買ってないや)
春香(……まぁいいか。それどころじゃなかったし)
老紳士「探しても見当たらないと思ったら……こんな隅っこで、何をしているのかな?」
春香「えっ? あ、あなたは……」
春香「なんだか……未だに現実が受け入れられなくて……少し気分を落ち着かせていました」
老紳士「……無理もない。私だって未だ、この事実を受け入れられていない」
老紳士「しかし我々が助かったのは、君のおかげだという事実だけは素直に受け入れられるよ」
老紳士「本当にありがとう」
春香「いえ、私はただ……無我夢中だっただけですから」
老紳士「……お嬢ちゃん。よかったらお名前を教えてくれないか?」
春香(アイドルが事件に巻きこまれたっていうの……やっぱまずいよね?)
春香(でも、変に断るのも失礼だし。それに……この人だったら素顔だけでも)
春香「あの……わたし」ゴソゴソ
老紳士「んっ? メガネと帽子をとって素顔をよく見ると、どこかで見たことあるような……」
春香「えへへっ。私、一応アイドルやっているんです!」
老紳士「おぉ、それは凄い!」
春香「あわわ! あの、周りのみんなには内緒にしてください! ばれるといろいろと……」ボソッ
老紳士「おっと、これはすまない……しかし」
老紳士「君は皆のアイドルであり、我々のヒーローでもあるわけか」
春香「えっ、そんな!? ……そうなんでしょうか? えへへ///」
老紳士「あぁ、間違いなくお嬢ちゃんは私のヒーローだよ」
モブ男「おい! 早くしてくれよ!」
モブ女「ほんと、どうにかしてよー」
老紳士「……いいのかい? 君も救急隊員の応急処置を受けた方がいいとは思うが」
春香「そう……ですね」チラッ
救急隊員「順々に応対しますので列をなってお待ちくださーい!」
モブ女「ねぇ? 私たち別に対した怪我なんてしてないし、帰ってもよくない?」
モブ男「まぁ確かに……でもさー」
モブ男「みんな並んでいるんだから、とりあえず俺たちも並んでおいた方がいいだろ?」
春香「いえ……やっぱり、こういう事件に巻き込まれたってことが世間にばれたらいろいろとまずいかなって……」
老紳士「なるほど、確かに。だがしかし――」
春香「それに、私って意外と体は丈夫なんですよ!」ニコッ
老紳士「……そうか。わかったよ」
春香「わざわざ心配してくれてありがとうござます」
老紳士「いや、礼を言うのは私の方だよ」
春香「……それじゃ、ヒーローはばれないうちに退散しようかなっと」
老紳士「お嬢ちゃん。最後にもう一つだけ質問してもいいかな?」
春香「あっ、はい。何でしょう?」
老紳士「両方のコードを切った瞬間……どんな気持ちだったのかね?」
春香「……」
春香「スカッとしました!」ニコッ
老紳士「……あはは、そうか! きっと君は大物になれたよ!」
春香「?」
老紳士「うん……すまなかった。変な質問をしてしまって」
老紳士「それじゃ、お嬢ちゃん。お元気で」
春香「はい! おじいさんもお元気で」
春香「……はぁ」ボソッ
春香(明日は学校休みだし……家に帰ったらすぐ寝ようかな)
春香(はぁ……これからまた電車に乗るのやだなー)
春香(……ううん! 今度は何があっても絶対に座席に座る!)
春香(それと……)
春香「今度から、占いを観るのは辞めよう」ボソッ
老紳士「……」
老紳士「君はここぞという時に、己の意志を立派に貫き通すことができる勇敢な人だった」
老紳士「ありがとう……お嬢ちゃん」
老紳士「君がいてくれたおかげで本当に……」
老紳士「楽しかったよ」 ポイッ
カラン カラン
リモコン「 」
――――――
――――
――
― 春香家(翌朝) ―
母「はるかー、朝ごはんできたわよー!」
母「……」
母「もう、あの子ったら……まだ寝てるのかしら?」
『皆さん、おはようございます』
『本日は通常の番組内容を一部変更して』
『昨夜、○○県××市にある△△ビルで起きた爆弾騒ぎ事件を中心にお送りします』
母「あらやだ……この現場って春香が通う事務所から結構近いじゃないの……」
父「ん? なんだ。春香のやつ、まだ起きてこないのか?」
母「あら、おはようあなた」
母「そうみたいなの……昨日も家に帰ってきてからすぐ部屋に籠っちゃって」
母「それっきり、一度も部屋から出てこないのよねー」
父「少し疲れが溜まっているんじゃないのか?」
『今回の事件現場となったエレベーターの中に設置されていた時限式爆弾は』
『調査班の分析により、偽物と断定されました』
『最初から爆発する仕掛けにはなっていなかった模様です』
『更に、エレベーターには遠隔操作により、急停止する仕掛けが施されており……』
父「最近は本当に物騒な世の中になってきたな」
母「そうね……」
母「はるか! 早く起きてきなさーい! 朝ごはん冷めちゃうわよ!?」
父「まぁまぁ、母さん。今日は学校休みだろ?」
父「普段からアイドルと学業をしっかり両立しているんだから、たまにはゆっくり休ませてあげないか」
母「……それもそうね」
『そして、現場で被害に見舞われた人たちを搬送した病院先が検査を行った結果』
『遅効性の猛毒ガスが事件現場で使用されていたことが新たに判明しました』
母「やだ! 猛毒ガスだって……」
『今回の事件で使用された猛毒ガスは薄白色で、数時間以内に適切な処置を』
『行わなければ最悪の場合、死に至る大変危険な毒ガスだった模様です』
『すぐさま適切な解毒治療を行った被害者たちに、命に別条はありません』
『しかし、現場で応急処置を受けなかった結果、病院に搬送されずに』
『事件現場から立ち去った人も多数いる模様です』
『未だ適切な治療を受けていない人たちは、大至急119番に連絡するよう呼び掛け……』
母「しかも数時間以内に治療しなきゃ助からないんじゃ、現場から立ち去った人たちって……」
母「もう、とっくに死んでいるんじゃない?」
タ〇リ「彼女は腑に落ちない多数派の意見と無暗に同調することへの疑念が高まり」
タ〇リ「最後の最後に勇気を振り絞った結果、己の主張を貫くことの重要さに気づくことができました」
タ〇リ「結末はどうであれ……彼女にとって、むしろ本望だったのではないでしょうか」
タ〇リ「しかし、私は多数派の意見と無暗に同調することも、決して悪いことではないと思います」
タ〇リ「その方が……気楽ですからね」
タ〇リ「今回、彼女が体験した奇妙な物語は決して絵空事ではありません」
タ〇リ「あなたが普段生活している学校や職場……あるいは、偶然訪れた見知らぬ場所で」
タ〇リ「今回の物語と似たような場面に遭遇したら……あなたはどのような行動を取りますか?」
タ〇リ「これを機に……あなたも一度、日常を振り返ってみてはいかがでしょうか?」
タ〇リ「もしかしたら案外、あなたが気付いていないだけで、既に……」
タ〇リ「〝同調圧力″という名の深い闇に、飲み込まれているかもしれません」
終
ROM&レスしてくれた方。
そして、これからROMってくれる方&もしも感想レスしてくれる方、ありがとう。
つ、疲れた……
同調圧力をテーマで書こうと思ったとき、
・765キャラだけだと仲間外れや疎外感が強調される話になっちゃうから嫌だった
・同調圧力の効果を高めるため
多くのモブ・オリキャラを出しました。読みにくかった人すみません。
春香以外の765プロメンバーが狂っていて春香が徐々に洗脳されていく的な話も思い浮かんだけど……悲しくなるからやめました。
>>13
母「下着を?」
母「し……下着の上下が揃ってなかったから着替えなおそうと思ったの!///」
母「対して変わらないじゃない……」
母ちゃん‥‥
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