男「人生を売ります」(12)

女「…いらない」

男「君がいらなくても、君のお母さんは買ってくれた」

女「お金はもういいから、放っておいて」

男「そんな訳にはいかないよ」

男「もう僕薬飲み始めてるし」

女「……」

女「……ごめんなさい」

男「謝らないでよ」

男「僕が売って君のお母さんが買った、それだけだよ」

女「それでも…っ…」

男「もういいんだって」

男「……じゃあ、今日は帰るよ」

女「……」

男「……また明日」

女「……」

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男「や、来たよ」

女「……」

男「相変わらずだね」

男「美人がもったいないよ」

女「…………殺して」

男「?」

女「私を、ここで、殺して」

男「…できる訳ないよ、そんなの」

女「あなたに殺されるなら、いいから」

男「僕はよくないなあ、人殺しにはなりたくないし」

女「……」

男「商品を渡す前に死なれたら、困っちゃうからね」

女「…商品」

男「僕の人生」

女「……ごめん、なさい…」

男「謝らないの」

女「私は…あなたを殺して…生きるの?」

男「どうだろうね」

女「なんであなたは、笑っていられるの?」

男「なんででしょう」

女「どうして……自分の人生を……簡単に売れるの…?」

男「簡単には売ってないよ」

男「悩みに悩んだ結果がこれ」

女「なら…尚更…」

男「……混乱してるんだよ、きっと」

男「急に話されて困るのはわかるけど、死んだりしないでほしいな」

女「……」

男「……じゃあ、帰るよ」

女「……」

男「……また明日」

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男「よっす、来たよ」

女「……」

男「明後日だってさ」

女「!!!」

男「1週間後には、もう退院できるんじゃないかな」

女「い、いや、いや……」

女「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

男「やめてよもう」

男「……僕は、謝罪よりお礼の方が嬉しいな」

女「い、今からでも、お母さんに言って止めてもらうから、だから」

男「……もういいよ」

男「…じゃあね、また明日」

女「や、やだっ!行かないでよっ!男っ!やだぁっ!」

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女「……体、すごい軽いよ」

女「息苦しくないし…」

女「今なら走り回っても倒れないかな」

女「……」

女「ずるいよ、ほんと…」

男「……」

女「何にも答えてくれなくてさ」

女「言いたいことだけ言ってさ」

女「…私が、わがままなだけだよな」

男「……」

女「……男の分も、生きるからね」

設定
薬 … 肉体と魂を離れさせる薬
この世界では寿命をあげることができましたとさ
短いけどおわり

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