『夕食時』
真理亞「ベアトリーチェから手紙をもらったの」スッ
ザワッ!!
留弗夫「当主の封印に片翼の鷲……。いかにも本物っぽいが……」
絵羽「……真理亞ちゃん。その手紙、本当は誰にもらったの?」
真理亞「だから、ベアトリーチェ」
楼座「でも、真理亞。ベアトリーチェなんていないんだから……。ベアトリーチェ以外の誰かでしょ? それは誰?」
真理亞「譲治以外の人」
秀吉「なんやて! ほな、譲治を除いて全員がベアトリーチェっちゅう魔女を名乗った可能性があるって事やないか!」
蔵臼「……ベアトリーチェは譲二君以外の誰か。つまり、今ここにいないお父さんを含めて、この――」
朱志香「……!」
夏妃「……!」
南条「……!」
郷田「……!」
熊沢「……!」
嘉音「……!」
沙音「……!」
譲治「僕以外の、十五人の中にいるという事だね」
戦人「……何だって?」
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戦人「おかしいぜ。みんな、何を言ってるんだ……?」
戦人「犯人は譲治兄貴だろ! それ以外考えられねーぜ!」
譲治「……何を言ってるんだい、僕が犯人?」
譲治「そんな訳ないじゃないか。真理亞ちゃんは僕以外の人から手紙をもらったと言ってるんだよ」
朱志香「そうだぜ、戦人。真理亞は嘘なんかつかねーぜ」
夏妃「その真理亞ちゃんが譲治君以外からもらったと言っています」
霧江「そうよ、戦人君。犯人が譲治君というのだけは絶対に有り得ないわ」
戦人「みんなこそ、何を言ってるんだ。おかしくなっちまったのか?」
戦人「犯人は譲治の兄貴だぜ。それは絶対に間違いない」
戦人「理由も理屈もなく、犯人は譲治兄貴以外にいないんだからな。これはもう決定事項だぜ」
蔵臼「」ハァ……
留弗夫「おい、戦人。お前こそどうしたんだ。譲治君が犯人であるはずがないだろう」
楼座「真理亞は今まで一度も嘘をついた事がないわ。それはみんなも知っての通りよ」
戦人「そっちこそ、どうしちまったんだ!? 犯人が譲治兄貴ってのは確定事項だぞ。譲治以外に犯人がいるはずないだろう!」
譲治「」フッ
戦人「真理亞、俺の目をよーく見ながらもう一回答えてくれ」
真理亞「うー。戦人の目?」
戦人「ああ、そうだ。人間ってのは嘘をついた時、どこかにそれが出ちまうんだ。態度や表情にな」
戦人「真理亞が正直者だってのは俺も知っている。だからこそ、俺の目を見ながらもう一度話してくれ」
戦人「その手紙は誰からもらったんだ?」
真理亞「譲治以外」
戦人「本当は? 実際は違うんだろ? 譲治兄貴にそう言えって言われたんじゃないのか?」
真理亞「そう」
戦人「」フッ
戦人「聞いたか、譲治兄貴!」クルッ
戦人「真理亞は譲治兄貴からそう言えと言われたって言っているぜ!」
戦人「つまり、この手紙は真理亞に渡したのは譲治兄貴だ!!」ビシッ
夏妃「そんなっ!?」
絵羽「まさか! 違うわよね、譲治!?」
譲治「もちろん違うよ」ニコッ
蔵臼「なんだ、そうか」フーッ
秀吉「ホンマびっくりしたわー」フーッ
朱志香「そうだよな。やっぱり譲治がベアトリーチェの訳ないもんな」フーッ
霧江「まったく心臓に悪いわね」フーッ
戦人「!?」
『ベアトリーチェの部屋』
戦人「おい! どういう事だ、ベアトリーチェ!」
ベアトリーチェ「何がだ、戦人?」
戦人「とぼけるなっ! 今度のゲーム盤の事だ!」
ベアトリーチェ「くくくくっ……」
戦人「今度のゲーム盤はおかしいぜ! 何で譲治兄貴があんなに信頼を得ているんだ! どう考えてもおかしいだろ!」
ベアトリーチェ「言ってる事がわからぬなあ、戦人よ」
戦人「何だと……!」
ベアトリーチェ「では、逆に聞くぞ、戦人」
ベアトリーチェ「どうして犯人が譲治だと決めつける? 犯人は無限の魔女である妾だぞ? 譲治ではない」
ベアトリーチェ「そもそも譲治は、自分は違うと言っている。ならば犯人は譲治以外に考えられまい?」
戦人「そんなのは譲治兄貴の嘘に決まってる! あいつは嘘つきだからな!」
戦人「つまり、犯人は嘘をついている譲治だ! それ以外はない!」
ベアトリーチェ「くくくくっ。そうかそうか、ならば戦人よ。こんなのはどうだ?」
『譲治は真理亞に手紙を渡してはいない』
戦人「赤き真実だと!?」
ベアトリーチェ「そうだ。言うまでもないが、この赤字で書かれた事は絶対に正しい」
戦人「ぐっ!」
ベアトリーチェ「これでわかったであろう、右代宮戦人?」
ベアトリーチェ「譲治は犯人ではない。故に、真理亞に手紙を渡してなどおらぬ」
ベアトリーチェ「真理亞が言った、『譲治以外からもらったと言えと譲治に言われた』という、そっちの方が嘘だ」
ベアトリーチェ「出直してくるのだな、戦人! きひははははははっ!!」
戦人「そんな訳がねぇ! 犯人は譲治兄貴に決まってるんだ! これには必ずトリックが隠されている!」
戦人「俺はそのトリックを暴いて、必ず譲治兄貴を犯人にしてみせるぜっ!!」
多分、続く
「もし譲治が犯人扱いされてたら」のss版か
戦人「まず、大前提からだ」
戦人「犯人は譲治兄貴。これは絶対に間違いない」
戦人「譲治兄貴に限って、言う事は全部信用できないし、やる事も全部疑いの目で見なきゃいけない」
戦人「何か妙な出来事が起きたら、それは全部、譲治の仕業だ。他の人って事はあり得ない」
戦人「つまり、今回の手紙もそう。真理亞に手紙を渡したのは譲治兄貴だし、真理亞に嘘をつかせたのも譲治兄貴だ」
ベアトリーチェ「ふっ。だが、赤き真実によって譲治は真理亞に手紙を渡していないのが確定しているぞ」
ベアトリーチェ「という事は、あの手紙は譲治以外の誰かが真理亞に渡したという事だ」
ベアトリーチェ「真理亞はその点について嘘は言っておらぬ。ゆえに、譲治は犯人ではない」
戦人「違うな。犯人は間違いなく譲治だ」
戦人「これは言葉のトリックだと俺は考える」
戦人「つまり、こういうのはどうだ、ベアトリーチェ?」
『戦人の推理』
譲治「」ポイッ 手紙
譲治(さて、これで手紙は捨てた。あとは真理亞ちゃんがこれを見つけて拾うだけだ)
真理亞「?」
真理亞「譲治、手紙がそこに落ちてたよ。これ」っ手紙
譲治「ああ、どれどれ。ふーん、これはベアトリーチェからの手紙だね」
真理亞「ベアトリーチェ? 本当に?」
譲治「ああ、間違いないよ。これは彼女からの手紙さ。ついでに、こっちにメモ書きがあるね、なになに……」
譲治「真理亞ちゃん。ベアトリーチェが言うには、その手紙を見つけた人は夕食の時にみんなの前で発表しなきゃいけないらしいよ」
真理亞「夕食の時に?」
譲治「そうだね。あと、この手紙を発表すると、必ず他の人たちが誰からもらったかを尋ねてくるから――」
譲治「その時は、この手紙は僕以外からもらったって言ってほしいってさ。ベアトリーチェはそう言っているよ。いいね?」
真理亞「うー。わかった」
譲治「約束だからね、真理亞ちゃん。間違えちゃ駄目だよ。僕以外からもらったって必ず言うんだからね」
『ベアトリーチェの部屋』
戦人「さあ、どうだ、ベアトリーチェ!」
戦人「これなら、真理亞は手紙を拾っただけだ! 譲治の兄貴は真理亞に手紙を渡してない事になる!」
戦人「真理亞は正直者だ! 嘘はつかない! というか、右代宮家で嘘をつくやつなんか譲治以外いねえ!」
戦人「つまり、赤き真実に一切反する事なく、真理亞が嘘をつく事もなく、これで譲治の兄貴が犯人になるんだ!」
戦人「犯人は譲治だ! これでチェックメイトだぜっ!」ビシッ
ベアトリーチェ「ふっ。違うな」
戦人「何だと!?」
ベアトリーチェ「なかなか面白い推理ではあるが、それだけでは譲治は犯人にはならぬぞ」
戦人「どういう事だ、ベアトリーチェ!」
ベアトリーチェ「繰り返すが、譲治は犯人ではない。それをこの赤字で証明してやろうぞ、戦人!」
『譲治は手紙を書いてはいない。この手紙を書いたのは譲治以外だ』
戦人「馬鹿なっ!? 嘘だろ……!」
ベアトリーチェ「くくくくっ。赤字は嘘はつかぬ。聞いての通りだ。譲治は手紙に関わってはいない」
ベアトリーチェ「つまり、犯人は譲治以外であるぞ、戦人」
戦人「うぐっ……!」
戦人「――いや、だがそんな訳がねえ! 犯人は譲治だ!」
ベアトリーチェ「ならば、青き真実で反撃してみせよ、戦人!」
ベアトリーチェ「犯人は譲治以外だ! 書いたのも、真理亞に渡したのも譲治以外なのだから、これは覆らぬぞ!」
ベアトリーチェ「素直に譲治は犯人ではないと認めるのだな、戦人よ! きひははははっ!」
戦人「ぐっ!!」
戦人「まだだっ! まだ俺は諦めねえ!」
戦人「何故なら譲治は絶対に犯人だからだっ! それを必ず証明してやる!」
>>13
せやね。元ネタはあの動画
多分、もう少し続く
ベアトリーチェ「ふっ」
ベアトリーチェ「無駄なあがきだな、戦人よ」
ベアトリーチェ「それよりも良いのか? お前が譲治にこだわっている間に、ゲーム盤は進んでいるぞ」
戦人「何っ!?」
『屋敷』
秀吉「とにかく、その手紙を読んでくれんか、真理亞ちゃん」
蔵臼「そうだな。譲治君以外が書いたという事だけはわかったが、他は皆目さっぱりだ。とにかくどんな内容かを知る必要がある」
楼座「真理亞、読んでみて」
真理亞「うん!」
真理亞「」ガサッ、ペラッ
『やあ、僕はベアトリーチェだよ。今日は黄金を巡ってちょっとしたゲームをみんなでやろうか。
最後まで勝ち残った人には沢山の金塊と当主の資格をあげるね。でも、もしも僕以外の全員が負けたら黄金は僕のものだから。
この手紙はその目印さ。どこか目立つところに置いといてね。
黄金の魔女、ベアトリーチェ』
「何だと!?」
「何ですって!?」
『ベアトリーチェの部屋』
戦人「おい、ふざけるなっ!」
戦人「どう考えても、譲治兄貴が書いたものじゃねーか!!」
戦人「これだけの証拠を残しておいて、どうして譲治兄貴が犯人じゃないんだ! おかしいだろっ!」
ベアトリーチェ「くくくくくっ」
ベアトリーチェ「だが、赤字は絶対に嘘をつかぬ」
ベアトリーチェ「あの手紙は譲治が書いたものでない事はすでに赤き真実によって証明された」
ベアトリーチェ「たかだか文体で全てを判断しようなどというのは愚かな事だぞ、戦人よ」
ベアトリーチェ「いい加減に譲治以外が犯人だと認めたらどうだ?」
戦人「だから言っているだろう! 譲治は間違いなく犯人だと!」
戦人「譲治が犯人じゃないと認めるぐらいなら、魔法の存在を認めた方がマシだ!」
戦人「魔法を使って譲治がこれを書いたんだとな!」
ベアトリーチェ「強情だな、戦人。肩の力を抜けよ」
ベアトリーチェ「まだ宴は始まったばかりだぞ。これから起きる出来事、その全てが譲治が犯人ではないと証明してくれるのだ」
ベアトリーチェ「今から先、それでは思いやられるなあ。くひははははははっ!」
戦人「ぐっ!」
戦人「ちくしょう! 譲治のクソ野郎が!」
戦人「いつまでもやりたい放題出来ると思うなよ!」
まだ続く、と思う
> 戦人「譲治が犯人じゃないと認めるぐらいなら、魔法の存在を認めた方がマシだ!」
>
> 戦人「魔法を使って譲治がこれを書いたんだとな!」
ワロタ
『屋敷』
留弗夫「当主の資格に金塊だって。しかもゲーム? 一体何をやらせるつもりなんだ、ベアトリーチェは」
蔵臼「待て。勘違いするな、留弗夫。当主はお父さんだ。お父さんの決定なしにそんな事は許されない」
夏妃「そうです。それに、その手紙だって本当かどうか怪しいというのに!」
霧江「だけど、手紙のその封印は確かに当主によってされたものなのでしょう? だとしたら――」
絵羽「お父さんもそれは了承済み、という事になるわよねえ? 違うの、蔵臼兄さん?」
楼座「もし、違うというのなら、これはお父さんに直接会って話を聞くしかないわ。そうしなければ私たちは信用しない……。そうよね、みんな?」
秀吉「せやな。それが筋っちゅうもんやろ」
蔵臼「…………」
夏妃「っ……」
戦人「おいおい、ちょっと待ってくれ」
留弗夫「戦人。これは大人の話だ。お前が口出しするな」
戦人「いや、だけどそれでもこれだけは言わせてもらうぜ。その手紙はどう考えたって譲治の兄貴が書いた偽手紙じゃねーか。まともに議論する必要なんかないだろ!」
霧江「……」ハァ
絵羽「あらあら、何を言い出すかと思えば……」
楼座「戦人君、あなたは少し黙っていてもらえる? 今、大事な話をしているのだから」
留弗夫「悪いな、みんな。こいつのせいで話が中断しちまって。ほら、戦人謝れ」
戦人「なっ!?」
秀吉「まったくや。譲治は違ういうのは証明されとるのに、何でそないな事を言うのか……」ハァ
朱志香「戦人、いい加減にしろよ、お前……。みんな真面目に話をしてるっていうのに……」
譲治「そうだよ、戦人君。僕たちは黙っていた方がいいよ」
真理亞「うー、譲治の言う通り。戦人はしつこい」
戦人「ち、ちょっと待ってくれ! 何で俺が……!」
蔵臼「とにかく――」
蔵臼「今は食事中だ。一旦この話は置いておこう」
夏妃「そうですね。子供たちもいますし」
絵羽「…………」
楼座「…………」
秀吉「…………」
霧江「…………」
留弗夫「……戦人、余計な事をしてくれたな」フゥ
留弗夫「今回は大目に見るが、二度とこんな真似はするなよ」ボソッ
戦人「そんなっ……!」
戦人(くそっ……。なんだよ、これは……)
戦人(何で俺が怒られなきゃならないんだ)
戦人(腹が立つが今の俺にはどうしようも出来ないのも事実だ)
戦人(まあいい、後で譲治の野郎を尋問して白状させれば……)
戦人「!?」
戦人「おい、俺の皿が――料理がいつのまにか消えてるぞ! 何でだ!!」
譲治「」ムグムグ、モグモグ
朱志香「戦人の皿が……? ああ、ホントだ。確かになくなってるけど、一体どこに……」
譲治「」ムグムグ、ゴクンッ
譲治「」フーッ
譲治「あれ? ひょっとしてここにあるの、戦人君の皿じゃないかな? 全く気がつかなかったよ。もう空になってるけど……」
戦人「譲治ぃ! またお前かよっ! ふざけるなっ!!」
譲治「ふざけるなってどういう事だい、戦人君。僕は君の料理をこっそり盗んで食べてなんかいないよ。なにせたった今、気がついたんだからね」
戦人「いい加減にしろよっ! 俺の皿が譲治の兄貴のすぐ近くにあるだけで、証拠としては十分だろ!」
戦人「どう考えても、譲治の兄貴が俺の料理皿を盗んで食べたとしか思えないじゃねーかよ!」
絵羽「ちょっと。失礼でしょ、戦人君。うちの譲治に限ってそんな事はしないわよ」
秀吉「そうやで。譲治も否定しとるやないか。今の状況だけ見ると、むしろ、戦人君が譲治に罪をなすりつけようとしているようにしか見えへん」
戦人「そういう親に限って子供はやってるんだよ! 間違いなく犯人は譲治だ!」
霧江「やめなさい、戦人君。そういうのを言いがかりと言うのよ。証拠もなしに決めつけるものじゃないわ」
夏妃「戦人君。今は食事中です、静かに。お代わりが欲しいなら郷田にまた作らせます。だから、そういう事はやめてもらえる」
蔵臼「育ち盛りなんだから、沢山食べたいという気持ちはわかる。だからといって、そのやり方は許される事ではない」
留弗夫「戦人。頼むからこれ以上、俺に恥をかかさないでくれ……」ハァ
朱志香「あーあ……。なっさけねえなあ、戦人。見損なったぞ。まだ腹が減ってるっていうなら、そう言えばいいだけの事じゃねーか。それを誤魔化す為に、譲治に罪をなすりつけるとか、最低だぜ」
譲治「やめなよ。そういう言い方は良くないよ。……戦人君、僕ので良かったらまだ少し残ってるから、これをあげるよ」
真理亞「譲治、優しい。戦人、いやしい」
戦人「違う違う! 何で俺が犯人みたいな空気が出来上がってるんだ! 俺は被害者だぞ!!」
『ベアトリーチェの部屋』
戦人「どうなってるんだよ、ちくしょう!!」ダンッ!!
戦人「譲治の兄貴が盗み食いをしたんだぞ! どうして俺が濡れ衣を着せられなきゃならねーんだ!!」
ベアトリーチェ「わからないのかあ、戦人?」
ベアトリーチェ「お前が譲治を犯人扱いするからそうなるに決まってるだろう?」
ベアトリーチェ「譲治の敵になるやつは、全員の敵になる。何故なら、譲治は無実だからだ」
戦人「違うっ! それだけは断じて違う!」
戦人「悪いのは全部、譲治の兄貴だ! あいつが無実なんてそれこそ有り得ねえ!!」
戦人「俺の料理を全部食べた挙げ句、俺を犯人扱いにした悪魔だ、あいつは!」
ベアトリーチェ「いちいちうるさいやつだなあ、お前は。くくくくっ」
ベアトリーチェ「ならば、赤き真実を見せてやろうぞ」
ベアトリーチェ「とくと見よ、右代宮戦人よ」
『譲治は、戦人の料理を食べてはいない』
戦人「なに!?」
ベアトリーチェ「これでわかっただろう、戦人? つまり譲治は犯人ではない」
ベアトリーチェ「お前は犯人によって騙され、無実の罪を譲治になすりつけた大マヌケだ」
ベアトリーチェ「反省せよ、無能な戦人よ」
戦人「違う!」
戦人「これぐらいの赤き真実で俺を誤魔化せるとでも思ったのか!?」
戦人「だったとしたら、お前が大マヌケだぜ、ベアトリーチェ!」ビシッ
戦人「俺はこれぐらいの事で騙されたりはしない! 犯人は譲治だ!」
戦人「俺の推理による、青き真実を食らいやがれ!」
『譲治は俺の皿を盗った後に、その皿を隣の真理亞の皿とすり替えた』
『だから、譲治が食べたのは真理亞の料理であり、俺の料理ではない。だが、盗った犯人は譲治だ』
戦人「つまり、犯人は譲治だが、これで譲治は俺の料理を食べてない事になる」
戦人「赤き真実に抵触はしていない! その上で、犯人が譲治である事に変わりはない!」
戦人「違うというのなら、赤き真実で返してみやがれ、ベアトリーチェ!」
ベアトリーチェ「ふっ」
ベアトリーチェ「ならば、お望み通り返してやろうぞ」
ベアトリーチェ「繰り返す。譲治は犯人ではない!」
『譲治は皿や料理のすり替えを行ってはいない』
戦人「うぐっ!」
ベアトリーチェ「さあどうだ、戦人」
ベアトリーチェ「お前の青き真実はへし折ったぞ」
ベアトリーチェ「反論があるというなら、してみせよ!」
戦人「まだだっ!」
戦人「それならこいつでどうだっ!」
『譲治は真理亞を暴力で脅して、俺の皿とすり替えさせた』
『つまり、すり替えたのは真理亞だが、それを裏で実行させたのは譲治だ』
戦人「譲治は鬼畜な男だ。相手が子供だろうが女だろうが容赦なく殴るだろう」
戦人「か弱い真理亞はそれに逆らえず、仕方なく俺の皿とすり替えたんだ」
戦人「こんな下劣で外道な事をするのは、譲治の兄貴以外いない! つまり犯人は譲治だ!」
ベアトリーチェ「くくっ。残念だが、それも違うな、戦人よ!」
ベアトリーチェ「更なる赤き真実だ! これで諦めるが良い!」
『料理を盗んだ犯人に共犯はいない』
『つまり、単独犯だ。犯行は一人で行われた。首謀者と実行犯でわかれてはおらぬ』
戦人「馬鹿なっ……!?」
ベアトリーチェ「理解したかあ、戦人?」
ベアトリーチェ「譲治はお前の料理を食べてもいないし、すり替えもしていない。そして、共犯者もいない」
ベアトリーチェ「この状態で、どうお前の料理を盗んで食べると言うのだ、戦人よ?」
ベアトリーチェ「出来るものならやってみせるのだな。無論、そんな事は――」
ベアトリーチェ「出来っこないけどなあ!」
戦人「ぬっ! ぐぅっ!」
戦人「譲治の野郎、どんなトリックを使ったっていうんだ……!」
戦人「一体、どうやって俺の料理を盗んだんだ、あいつは……!?」
きっと、まだ続く
はず
ベアトリーチェ「違うな、ハズレだ」
『屋敷』
戦人「譲治の兄貴、しらばっくれるのはやめろ! お前が俺の料理を盗ったんだろ!」
戦人「証拠は一切ないが、状況証拠からいって、譲治の兄貴以外考えられねーじゃねーか!!」
譲治「いやだなあ、戦人君。僕はさっきからやってないって言ってるじゃないか」
譲治「『予め料理をもう一人前用意しといて、それをテーブルに出した後に、戦人君の料理を盗って外に捨てた』なんて事を僕はしていないよ」
戦人「なっ! てめえっ!!」ダンッ!!
戦人「そんな手を使ってたのかよ! 手の込んだ真似しやがって!!」
譲治「だから、してないって。困ったなあ。どうして僕を信じてくれないんだい、戦人君は」
戦人「信じられるかよ、てめえみたいな人の皮を被った悪魔なんかっ!!」
留弗夫「おい、戦人! いい加減にしろ!」ガタッ
霧江「戦人君。落ち着きなさい! 世の中には譲治君に言っていい事と悪い事があるのよ! それぐらい理解出来るでしょ!」
戦人「親父……! 霧江さんまで……!!」
朱志香「戦人。譲治はさっきからやってねーって言ってるだろ。譲治の言う事に間違いはないんだ。やめろよ」
夏妃「戦人君。これ以上言うなら、悪いけどここから出ていってちょうだい。空気が悪くなるわ」
戦人「夏妃さん……! 朱志香も……! どうしちまったんだよ……!」
絵羽「留弗夫兄さん、子供にどういう躾をしてるの? 身内とは言え、そこまで自分の子供を馬鹿にされたら流石に私も腹が立ってきちゃうんだけど?」
蔵臼「戦人君。座りなさい。そして、今後二度とその話はしないように。これは最後の通告だと思ってもらっていい」
戦人「絵羽叔母さん……! それに、蔵臼叔父さんまで……!」
真理亞「戦人は卑怯もの。譲治は悪くない。真理亞は卑怯な人間は嫌い」
秀吉「……わしもこんな事は言いたくないが、戦人君。もう黙っとり、君は」
戦人「ぅう……!」
楼座「」ガタッ
楼座「」スタスタ
楼座「戦人君」
戦人「楼座叔母さん……。信じてくれ、俺は何も……! 全部、譲治の兄貴が――」
楼座「」バシンッ!!
戦人「っ!?」
楼座「その譲治譲治言うのをやめなさいって言ってるでしょう!!」
戦人「ちょっ! 今初めて言っ――」
楼座「黙りなさいっ!!」バシンッ!!
戦人「うぐっ!!」
譲治「楼座叔母さん。どうか落ち着いて」
譲治「戦人君も、もう十分反省したと思うから……」
戦人「な、このっ! 人でな――」
楼座「だから、やめなさいって言ってるでしょうが!!」バシンッ!!
戦人「ぐふっ!!」
譲治「楼座叔母さん。もう本当にその辺で許してあげて下さい」
譲治「それと、戦人君」
戦人「っ! なんだよっ!!」
譲治「僕は戦人君の言う事を信じるよ。君は犯人じゃない。信じてる」ニコッ
譲治「きっと、ベアトリーチェが魔法を使って君の料理を盗ってしまったのさ」ドヤァ
戦人「ふざけ――!」
霧江「なるほど……。流石、譲治君ね。それは名推理だわ」
秀吉「なんや、そうだったんかいな。すまんな、戦人君。酷い事を言うてもうて」
蔵臼「ならば仕方がないな。楼座、戦人君を責めるのはそこまでにしておけ」
楼座「そうね。悪かったわね、戦人君。私もちょっと頭に血が上ってたのよ。ごめんなさい」
譲治「良かった。これで無事解決だね」ニコッ
譲治「穏便に済んで良かったよ。ね、戦人君?」
戦人「っ……! ちくしょう!! ちくしょう!!」ポロボロ
戦人「俺が何をしたって言うんだよ……。譲治のやつ! 死ねよ……ちくしょう!」ポロボロ
もう少し続く、かもしれない
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