俺の作ったギャルゲーで遊んで行かないか (64)

安価初心者がお前らとギャルゲーをやりたい


取り敢えず主人公の名字とそのフリガナ↓

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主人公


山田 太郎(やまだ たろう)


じゃあ早速始めるますよ

俺の友人の一人である乃島 信介(のじま しんすけ)が妙な事を言い出したのはほんの数時間前の事だった。

「俺、雛菱祭までに彼女作る!」
「おい、急にどうしたんだよ、何かあったのか?」

唐突な信介の言葉に話の流れが見えず、思わず訊き返すと、信介は呆れた顔でこちらを見る。

「お前は学園祭を俺と回るつもりか?」

彼女も居ないし、友人も信介を含めあまり居ない。

そうだ、と答えると彼は悲しそうな顔でこちらを見つめるのだった。

「高校2年の学園祭は実質俺達にとっちゃ最後の学園祭と言っても良い! だから受験勉強の前の重要な学園祭で俺は思い出を作りたい! 可愛い女の子と一緒に過ごしたいんだよ!」

そうか、と思わずその熱意に押されて頷くと、信介はにんまりと顔をにやつかせた。

「だからお前も彼女を作る努力をしろ!」
「何でだよ、俺は関係ないだろ!」
「良いだろ、一緒に努力、しようぜ!」
「一緒にトイレ行こ、とか言う女子高生かお前は!」

だって本当に高校生じゃん、と口を尖らせた信介はぽん、と拳で胸を叩いた。

「俺も協力するから、さ!」
「だから?」
「お前ももっと人と関わった方が絶対良いって! このまま大学進んでも意味無いって! だろ?」

確かに口数は少ない。
幼稚園や小学生の頃はあんなに喋りまくれたのに、と懐かしむ事も多々あるくらいだ。

「まあそういう理由なら良いがな……」
「じゃあそういう理由で良いから! 俺は違うけどな!」
「お前はいつも最後の一言が余計だ!」

喧しくて交友関係も広いこいつがわざわざこんな俺と一緒に過ごしてくれ、こんなアドバイスまでくれる。

何だか色々疑問にしたい事もあったが、取り敢えず努力はしてみようと、俺は床に就いた。





「ちょっと、兄貴、朝だよ朝! 遅刻するよ!」

ガバッと布団を捲りあげ、カーテンを大雑把に開ける音がする。

カーテンレール壊れちまう、と寝ぼけ眼を擦りながら起き上がると、妹の詩子(うたこ)が仁王立ちで立っていた。

「せっかく私が労力使って起こしてるんだから早くしなよ!」
「う、分かってる!」

あー朝から面倒なんだからなー、と頭を掻きながら階下へ降りていく妹に手を合わせて感謝しながら着替えを済ませ、学校へ向かった。


【1日目・昼休み】


「うお、寝ちまった……」
「お前らしくねえな、徹夜でもしたか?」

小鳥のさえずりと日向の暖かさに微睡んでいると、あっという間に昼になってしまった。

こんな筈では無かったのに、と頭を掻いていると、まあまあ、と慰めるように信介が言葉を繋いだ。

「休み時間は潰しちまったけど、昼休みは購買とか学食でも行ってみたらどうだ?」

早速アドバイスを頂いてしまったので、実行する事にしよう。


1 購買
2 学食
3 試食室
4 もう少し信介で情報収集







よし、試食室に行こう。

行ってくる、と信介に手を振り振り、教室から試食室へ移動する。

……いや、少し待て。

試食室は家庭科室の隣の教室。
全学年の授業を把握している訳ではないが、試食室を昼休みに利用する人間というのは3、4時間目に調理実習を行ったクラスの人々ではないか。

よって誰もいる筈が無い。

なんてアホなんだ。

自分のバカさ加減に頭を抱えながら試食室のドアに近付いて行くと、何やら人の声がする。

何だか香ばしいような良い香りもする。
何だ、これは一体何なんだ……!?


コンマ
1~5 家庭的な……
6~9 興味深い……


「ふんふふんふふーん♪」

そっと扉から中を覗くと、そこにはほかほかの湯気が上がった土鍋と茶髪の女の子の後ろ姿とその女の子の鼻歌とがあった。

「……う、うまそー」

思わずじゅるりと出た唾液を飲み込むと、それに呼応するように腹が鳴り、女の子が振り返る。

「あ、こんにちはー」
「ど、どうも」

こちらを振り返った女の子はにっこりと笑うと挨拶をした。
それにつられるようにして挨拶をするが、日頃のコミュニケーション不足が祟って上手く話を繋げられない。

「あ、あの」
「はい!」
「取り敢えず……、座りませんか?」

椅子にどうぞ、と言われてしまった俺は取り敢えず、その椅子に座り込んだ。


「私、2年生の津野 芳魚(つの よしな)、って言います」
「あ、俺は山田太郎。同じく2年」

山田太郎君、ですね、と頷く津野さん。

「私、『山田太郎』さんという方に初めてお会いしました」
「平凡そうに見えてあまり居ないですよね」

私は絶対被らないと思うので、と微笑む津野さんと俺の間には先程のほかほか土鍋。

「せっかくなので食べていきませんか? 私の自信作です」
「美味しそうですね……、ええっと、トマト鍋?」
「いいえ、キムチ鍋です」


「ちゃっかり拝借です」

そう言って席を立ち、箸と取り皿を取りに行った津野さん。
こういう時に男が動かなきゃ、といつも言っている信介の言葉が思い出され、こうしちゃ居られないと慌てて家庭科室の方へ向かう。

「うーん、取れないなぁ」

誰だろ、こんな高い所に押し込んだの、と呟きながら津野さんが取り皿を戸棚の上から取り出そうとしていた。

「あ、あとちょっと……」

うん、これなら取れそう、と入り口で安心していると、津野さんがこちらを向いた。

「取れそうなので心配しないでくだ……きゃっ!」

津野さんが、乗っていた台からバランスを崩して足を踏み外した。

「津野さん!」

日頃の運動不足を呪いながらコンロの間を走り抜ける。

間に合え、俺……!


コンマ ↓

1~4 失敗
5~8 成功
9、0 特別


どんがらがっしゃん、という音がして俺はやはり日頃の運動不足を呪う羽目になってしまった。

「いったあ……」
「津野さん! 大丈夫ですか?」
「あ、私は大丈夫だよ……」

えへへ、と笑う津野さんはよっこいしょ、と立ち上がった。

「ごめんなさい、俺が一緒に来ていれば!」
「ううん、そんな事ないよ」
「俺が入り口で邪魔してたからです、ごめんなさい!」
「謝らないで欲しいな、山田君」

まずは下げてる頭をあげて欲しいな、と津野さんは笑って試食室に俺を引っ張っていってくれた。

「考えてみれば、鍋から直接食べちゃえば良いんだもんね!」

ちょっと熱いけど、我慢我慢、と豪快に、それでいて器用に野菜で肉をくるみ、箸を口に運ぶ津野さん。

「うーん、美味しい!」

幸せそうな顔をする津野さんを見ながら、しかし俺はキムチ鍋に手をつけられずにいた。

「どうしたの? あ、もしかして辛いの苦手だったりした!?」

ごめんね、キムチ鍋って人選ぶしね、と手を合わせる津野さんはまた野菜で肉をくるみ、俺の口の元に差し出した。


「私、ご飯食べてる時には皆に笑顔でいて欲しい、って思ってるの」

取り敢えず苦手じゃないなら食べてみて、という言葉の勢いに押され、箸を口に入れる。

肉が含んだキムチの辛さを野菜が上手く飽和している。
じんわりとした辛さに温かさが滲む。

「美味しい、です」
「良かった」

ほっとしたよ、と微笑む津野さん。

「さっき私が落ちちゃったのはお皿が戸棚の凄く高い所にあったからで、お皿が凄く高い所にあったのはそれをそこに押し込んだ人がいるからで、山田君は全然悪くないんだよ」
「でも」
「君が悲しそうな顔をしてるとこっちまで悲しくなってきちゃう」
「それは、分かります」
「私の料理で皆に笑顔になってほしい、って言ったよね。それはね、ただ幸せになってもらうだけじゃなくって、悲しい気持ちを持っている人にもその悲しい気持ちを昇華してほしいっていう思いなんだ」

箸を置くと津野さんは訥々と話し始める。

「君のその誰かを悼む責任感が本当に背負うべきものならそれで良いけれど、本当に背負うべきものでないならそれは他の人までも悲しませてしまう事にも繋がるよ」

だから取り敢えず、食べてくれるかな、と首を傾げる津野さんの顔を、しっかりと見られたと思った。

【1日目・放課後】

「じゃ、また機会があれば私の料理、食べに来てね!」

いつでもここにいるわけじゃないけど、と手をひらひらと振って去っていった津野さんは、俺よりもずっと大人のように感じた。

「どうだった、昼は? 出会いはあったか?」
「出会いはあったがそれよりも大事な事を学んだような気がした」
「なんだそりゃ」



さて、放課後は何をしよう?

1 家に帰る
2 自由安価



よし、ゲーセンに行こう。

下足室で靴を履き替え、いつもの帰り道とは違う方向へ進む。

繁華街のゲーセン。久し振りだな。

入り口を入ると、パチスロ店並みでは無いものの、ほどほまの煩さに耳がきーんとなる。
この感覚も懐かしい。

何をしようかと店内に目を配らせていると、何やら人だかりが出来ている。

行ってみよう。


コンマ

1~3 種も仕掛けも……
4~6 パーフェクトな……
7~9 パンチ!
0 うーん……



「すっげえ、アイツ10連勝中だってよ!」
「ちげえよ、もう20連勝だとよ!」

ひえー、と男子高校生達の間から漏れる溜息にビビりながらも人々の隙間から白熱バトルが繰り広げられている向かい合わせの機体を覗き込む。

はぁっ、やぁっ、などとキャラクターの攻撃音声が聞こえる。格ゲーか。

懐かしい、俺も昔は格ゲーにはまってここに通い詰めてたんだよな。
家庭用のゲーム機版が出てからは疎遠になっていたけれど。

しかしスポーツ刈りらしき大男が歯を食いしばりながら涼しい顔をした女子高生と対戦しているのは何というか滑稽だ。

ん、この女子高生、俺の学校の制服じゃないか!

恐る恐る顔に目をやると、同時に決着を知らせるベルが鳴った。

「私の勝ちだ」

涼しい顔をする女の子を前に、もう一度だけやらせてくれと頼み込むスポーツ刈りだが、無下に断られてしまう。

「もう居ないのか? 私に挑戦しようという者は」

周りで見ていた男子達は、彼女の強さに恐れ入ったのか、びくともせずに視線だけを彼女に向ける。


どうしようか?

1 対戦をふっかける
2 見守る
3 補導員が来る前に帰った方が良いと声を掛ける
4 自由安価

絶対クソスレと思って開いたらすごい面白そうなんですけど…

とりあえず↓2 みたいに番号つけると分かり易いよ!


でも何故だかこのままではもやもやする。

在りし日の格ゲーマーとしての意地だろうか。
散って行った男子高校生達の思いを引き継ぎたいのだろうか。

いや、違う。

俺は勝ってみたい。
20連勝したこの女子高生をひれ伏せさせてみたいんだ!

「俺、やっても良い?」

高鳴る気持ちが抑えきれず、思わず手を上げて去って行こうとする女の子を引き留める。

「何だ、やるのか?」
「ああ、やる。お前に勝ってみせる」
「良いだろう、やってやろうじゃないか」

予想していなかった挑戦者の登場に、チャンピオンだけでなく大衆も騒ぎ出す。
頑張れよ、などと見知らぬ相手に声を掛けてくれる高校生達の熱い視線を身体中に感じながら、俺は片方の機体の丸椅子にどっかりと腰を掛ける。

丸椅子、レバー、ボタン。
それに大声援。

何だか俺は、リングの上で果敢にもチャンピオンに挑戦していく格闘家のような気分になっていた。

「用意は良いか?」
「ああ!」

相棒とも言えるキャラクターを選択し、リロードを待つ。

女の子の操作キャラクターとの相性は半分半分といったところだろうか。

レディ、ファイト、という電子音声に合わせて、俺はレバーを思い切り引いた。



1~5 負け
6~9 勝ち
0 大勝利

コンマ 8 よって……





そろそろ握力の限界が近付いて来ている。
と、同時に双方ともゲージが3割程に減ってきていた。

ゲージが5割を切るまでは大胆かつ派手な技を仕掛けてきていた女の子だったが、5割を切り出し4割も切るか、というところまで来て、通常技を丹念に重ねるネチネチとした攻撃が増えてきた。

自然に手に、肩に、目に力が入り、大衆も大声を出しながらも俺らの緊迫感に圧倒されている風にもあった。

しかし俺もただネチネチ攻撃を防いできた訳では無い。

俺の相棒は、通常技の攻撃の威力が低く設定されているものの、防御は中の上、必殺技に至っては上の上、という強さを誇っている。
ネチネチ攻撃を防ぐ度にじわじわと増えていく必殺技ゲージと相手の体力ゲージとを見比べ、どこでどう必殺技を発揮するか思案していたのである。

「はあッ!」

遂には攻撃する際に声まで出すようになった女の子のその攻撃を最後に、俺の必殺技ゲージが満タンになった。

行ける!

「まずい!」

苦々しい言葉を口にした彼女はキャラクターをどうにかして必殺技から守ろうとするが、体力の限界によって上手く動けず、俺の相棒に行く手を阻まれてしまった。

「だああッ!」

必殺技発動!

紅の光が彼女のキャラクターを貫いた瞬間、俺の中にはスカッとした気持ちが芽吹いていた。

それを噛み締めながら、俺は大衆のどよめき、歓声、そして彼女が機体に突っ伏す姿を身体に刻み込ませた。

「すっげー!」
「お前どこの高校?」
「握手してくれ!」

色んな方向から飛んでくる言葉の数々に耳を傾け、時折返事をしていると、女の子が俺の方に歩み寄ってきた。

「お前」

黒い何かが染み出してきているように見える程疲れ切っているような女の子に周りもビクッとする。

「凄いな、また対戦してくれ」

そう弱々しく微笑み手を差し出してくる彼女に応え、手をしっかり握ると、ギャラリーからは更に一層歓声が沸き起こった。

手を離すと立ち去ろうとする女の子は、振り向きざまこう言い放った。

「私は矢道 小樹(やどう さき)。お前はなんて名だ」
「や、山田太郎」
「また会おう、山田太郎」

入り口の自動ドアを颯爽とくぐり抜けていく彼女の後ろ姿に、思わず拍手が巻き起こった。

【1日目・夜】

「あー疲れたぁ……」
「兄貴何してきたの?」
「ちょっと格闘をな」
「そういう疲れるのって面倒なのによくやるね」
「お前が面倒くさがり屋なだけだろ」
「確かに」

あ、そうだ、と詩子は手を差し出す。

「なんだよ」
「お菓子だよ、おーかーしー」

省エネモードから頑張って身体起こして、兄貴のために色々情報集めてきてあげたんだからさ、ね、と更にもう片方の手を差し出してくる。

「別に頼んでないから良いよ」
「良いから貰えるモノは貰っときなよ! 兄貴が他人からどう思われてる、とか知りたくないの?」
「別に知らなくても」
「これも人と接する事の範疇に入るから!」

分かった、と渋々頷くと、詩子はリザルト表なるものをくれた。

【1日目・リザルト】

山田太郎:健康

左の欄:山田太郎→キャラクター

右の欄:キャラクター→山田太郎



?? ???:ーー/ーー

?? ??:ーー/ーー

?? ???:ーー/ーー

矢道 小樹:友好/興味

津野 芳魚:友好(罪悪感・小)/友好

?? ?:ーー/ーー

?? ?:ーー/ーー

??・????・??:ーー/ーー

?? ??:ーー/ーー

山田 詩子:友好/友好

乃島 信介:友情/友情


取り敢えず今日はここまでで寝ます

遅くまでこの遅筆に付き合って頂き有難うございました


>>26
指摘有難う
改善します

今日から明日の深夜にかけて来られるか分かりませんが、安価・コンマの取り方やその頻度、文章についての改善点などありましたら教えて下さい


システムは特に問題ないと思いますが
女性キャラの顔、体格などの外見を描写してくれるとありがたいです
制服とあったので大体の年齢はわかりましたが、主人公から見た予想でいいので
年下、年上、同年代などの情報を発言してほしいです
とても面白いので期待してます

遅くなりました


>>35
ご指摘&感想有難うございます

行き当たりばったりな人間なもので今しがた作ったような乱雑な設定ですが宜しくお願いします


遅筆ですが今夜もお付き合い下さい
ではゆっくり進めて行きたいと思います

「サンキューな」
「お菓子は?」
「ほいほい」
「んじゃまた宜しくー」

詩子は両手にチョコレートと飴玉を乗っけて部屋を出て行った。

しかしこんな夜過ぎにお菓子なんか食べて良いんだろうか。気にしてないんだろうか。
痩せぎすだしな、と考えていると眠くなってきた。

そろそろ寝ようか……。
お休みなさい。


1日目特典:2日目起床判定に+2




↓1 起床判定

んー来るのが遅かったですね

ではまた明日

来てみたら終わってたでごさる
コンマで>>38を使うかは分からないがこのレスを使うなら使ってください
期待してます。最初のキムチ鍋さん見てたらフォトカノの人イメージした


>>39 いらっしゃいませ、感激です

8+2=9で成功


【2日目・朝】

「うう……」

目覚ましを見るとまだ6時になったばかりだ。

「目覚ましより早く起きれたなんて久し振りだよ」

時間をこのまま持て余すのも勿体無いので何かしてみよう。

1 登校する(その後の行き先もお願いします)
2 詩子にイタズラする
3 朝食を作る
4 自由安価

↓1


>>42 3 朝食を作る


よし、朝食を作ろう。

普段は母親か詩子が作ってくれるのだが、今日は何だか早く起きられて良い気分だし、やってみる事にする。

お、羽釜で白米が炊けてるから今日は和食か。
となると、冷蔵庫にあるのは……。
えーと、卵とウィンナーぐらいだからそれを使おう。

油敷いて、クッキングペーパーで適度に拭き取って、ガスで火を着けて焼いて皿に盛り付ける!

よし、完成!
詩子にこれを見せて驚かせてやるぞ!


完成した料理の出来具合
↓1 見た目
↓2 味

>>47
書き方が悪かったです
一桁目が見た目、二桁目が味って事でお願いします




「お、朝ごはん」
「どうだ、作ったんだ!」
「兄貴にしてはまあまあ良い感じじゃない」

じゃ早速、と卵を切り口に運ぶ詩子。
どうだ、どうなんだ。

卵を口に入れると、少し間を置いてから詩子は箸を置いた。

「……ん、まあ良いんじゃない?」
「美味しいか?」

反応が微妙なのでさらに問い詰める。

「……うんまあ、自分で食べてみなよ」

そう言い残し、茶碗に白米を盛りに行った詩子の背中を眺めながら自分の卵を口に運ぶ。

「……ああ」

あまり美味しく出来なかったようだ。

ちょっと眠気がマッハなのでここで終わらさせて下さい

お越し頂き有難うございました

出来れば次回は早めにきます

どなたかいらっしゃいますか?

いらっしゃるようなら再開していきたいと思います


【2日目・午前授業開始前】

あれから気まずい雰囲気の中もそもそと朝食を食べ続けた。
食べ終わり席を立った詩子は作ってくれてありがとう、と言ってくれたが、こちらとしては朝から美味しくないものを食べさせてしまって申し訳なくなった。

自分が料理で人を笑顔にするには、まずは修行が必要だと痛感した。

「おはよう!」
「ん、おはよう信介」
「何だ、ちょっと浮かない顔してるぞ」
「まあな」


↓1 コンマ
授業イベント

1~4 無し
5~6 速いッ!
7~8 式が……
9~0 ぐつぐつ……


うーん、清々しい。

靴を履き替え校庭に出た俺達は、今グラウンドに書かれた丸い白線のトラックの外側にいる。

「しっかし100m走なんて久し振りだな」
「去年はやらなかったからな」

普段から運動不足だと自覚しているからタイムなんて気にもしないが、やはり標準タイムと見比べてしまう。

うわ、去年より0.4秒遅くなってる。

「よし、いっせーのーせでお互いの見せあおうぜ!」
「お前自分が速いからってそういう事言うのやめろよ!」

文句を言いつつも紙を見せあうと、結果はほぼ変わらなかった。

「何だよ、お前も速いんじゃんかー」
「うっせ」


男同士でじゃれあっていると、不意にトラックの向こう側からきゃー、という女の子達の黄色い声が聞こえてきた。

スタートラインに目を凝らすと、茶色の髪を緩く後ろで縛っている女の子がクラウチングスタートの姿勢を取っている。

「健仲さん頑張ってー!」

位置に着いて、よーいどん、とピストルが打ち鳴らされ、女の子はさっ、と走り出した。

「速え……」

腕を振り、薄く焼けたすらりと長い脚を前に前にと出していく。
フォームの美しさに見惚れていると、いつの間にか彼女はこちら側にゴールしていた。

「相変わらず速いよな、健仲雅(けんなかみやび)。いつもだるそうにしてて顔も始終機嫌悪そうだけど足は早いんだよな」

すごーい、と女の子に囲まれ拍手されていた健仲さんをぼうっと見ていると、囲み女子の間をだるそうにすり抜け水飲み場に向かおうとしている彼女と目があう。

怪訝そうに目を細めながら縛った髪を降ろす彼女に一瞬びくりとし、慌てて目を逸らす。

やっぱり何だか機嫌が悪そうな顔をしていた。


【2日目・昼休み】

そうこうしている内に授業は過ぎて行き、あっという間に昼休みになった。

「今日はどうするんだ?」

わくわく、という気持ちが前面に押し出された信介の顔が何だか気持ち悪くてつい吹き出すと、なんだよ、とはたかれた。
ちなみに彼の名誉のために言っておくと、彼は男の目から見ても結構格好良い。


さあ、どうしよう?


1 購買
2 食堂
3 試食室
4 屋上
5 中庭
6 誰かをお昼に誘う(芳魚・小樹のみ可能)
7 信介に質問会


>>54 3 試食室


よし、試食室に行こう。

信介に行き先を伝え、教室を出る。

昨日と行き先が同じだからか、良い出会いがあったのか、お父さん嬉しい、などと目に手をやるのでお返しに頭をはたいておいた。


渡り廊下を進み、試食室に向かう。

昨日のように津野さんが居るのだろうか。
それとも違う誰かか。
いやいやそんな簡単に話が上手く行く筈も無い。誰も居ないかもしれないぞ。

少しの期待と不安を抱えながら、俺は試食室のドアを開けた。


↓1 コンマ

1~4 誰も居ない
5~7 実験……?
8〜0 今日は……

はい


>>56 0 よって……



「あ、こんにちは」
「こ、こんにちは」

ドアを開けると、入り口のすぐ前の机の向こう側に津野さんが座っていた。

「今日もご一緒しませんか」

じゃーん、と津野さんが皿の上に被せておいた銀色の蓋を開けると、中からほかほかのロールキャベツが出てきた。

「今日も私の自信作です!」

ふふ、と首を傾け微笑むと、低めのお団子から垂れた髪の毛が頬に触れる津野さんの姿に、つい顔が緩んだ。


二度と同じ轍を踏まないように、と家庭科室に向かう。

今日はロールキャベツだからナイフとフォークだな。
腹辺りの引き出しを開け、二人分取り出す。
これくらい低い所にあれば昨日みたいな事にはならずに済んだのにな、と悪い癖が頭をもたげ、慌てて首を振る。

せめて津野さんの料理を食べる間だけは幸せな気持ちでいたい。

心持ち笑みを浮かべるようにして試食室へ向かうと、津野さんは慌てるようにしてこちらへ駆け寄ってきた。

「ごめんなさい、持ってこさせちゃって!」
「いえ、俺が持ってきたいと思って勝手にやった事ですから」

ナイフとフォークをそれぞれの場所に置き、座って下さい、と津野さんの椅子を引くと、ありがとう、とはにかむように津野さんはスカートを撫でながら腰を掛けた。


「うーん、美味しい!」
「凄く美味しいです」

一口大にロールキャベツを切り分け口に運んだ津野さんは頬に手を当てて声を上げた。
今日も大成功のようだ。

市販のもののようにざらざらとせず、しっかりと、それでいてふんわりと練られ固められた肉団子を、透き通るような緑のキャベツが優しく包み込んでいる。

「今日はハプニングもなくって本当の本当に大成功、って感じだね」

うんうん、と頷きながらまたロールキャベツを口に運ぶ津野さんに少々の罪悪感を感じながらも俺もまたロールキャベツを口に運ぶ。

「あ、そうだ。さっきから聞きたかった事があったんだけど」
「何ですか?」
「なんで今日、お昼休みに試食室に来たの?」
「へ?」
「もしかしたら私は居なかったかもしれなくて、誰も居ない可能性もあったわけでしょ? どうしてかなって」

そう、さっきここに入るまで、俺の頭の中には誰もここに居らず一人寂しく教室まで戻るかもしれない可能性はあった。

俺は何故足を運んだんだろう。
それは……


↓1 選択肢

1 津野さんの料理が食べたかったからです
2 津野さんの笑顔が見たかったからです
3 津野さんに会いたかったからです


>>60 1


「津野さんの料理を食べたかったからです」

勇気を出してそう言うと、津野さんはふふ、と笑ってくれた。

「凄く、すっごく嬉しいな」

その言葉を聞き、俺はほっとした。
変な事を言ってしまったかと思いびくびくしていたが、どうやら喜んでもらえたようだ。

「前にも言ったかもしれないけど、私は料理をすることがとても好き」

ナイフとフォークを置くと、津野さんは話し始めた。
昼休みにまでこうして作ってるくらいだから分かるとは思うけど、と恥ずかしそうに頭を掻く。

「自分の中で、お料理をする、っていう行動は大きな事で、だから授業中にだって、通学の間だって、小テストの間だってレシピとか工夫とか考えちゃう。だからそんな大事な事をきちんと知ってもらえて、料理を美味しいって食べてもらえて、その上また食べに来てくれるなんて凄く嬉しい事なんだ」

ありがとう、と頭を下げる津野さんに、俺も頭を下げた。

「津野さんのそういう思いがちゃんと聞けて良かったです。……また食べに来ても良いんですよね?」
「はい、勿論!」

にっこりと笑った津野さんからは、暖かな気持ちが伝わってきた。

すみません、2日目を全て終わらせたかったのですが今日はここで終わらさせて下さい。
ありがとうごさいました。

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