これは3人で暮らしているある日のこと……
家
佳奈多「ただいま」
理樹「………」
佳奈多「…ちょっと返事ぐらいしなさいよ」
理樹「………」
佳奈多「……してよ」
理樹「えっ、あっ二木さん帰ってたの?」
佳奈多「あなたの耳はいつから遠くなったの?老化が進んだかしら」
理樹「ごめん、ちょっとこれ見ててさ…」
ステンアライング♪ステンアライング♪
佳奈多「……映画?」
理樹「うん、題名はサタデーナイトフィーバーって言うんだ!面白いらしいしまだ冒頭だから一緒に見なよ」
理樹(僕はまだ知らなかった。ここで二木さんを誘ってしまうことで起きる不幸(?)を…)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424351921
ナイトフィバー!ナイトフィーバー!
…
………
カチッ
理樹「どうだった?」
佳奈多「直枝にしてはいいセンスだったわ。ミュージカルなんてほとんど見たことなかったし」
理樹「うん、僕も最初は興味なかったんだけど恭介や来ヶ谷さんにもし暇ならってオススメされてさ」
佳奈多「へえ…」
ガチャ
葉留佳「やはー!たっだいまー!」
理樹「あっ、お帰り。今日はいつもより早かったね」
葉留佳「うんっ早めに仕事が終わったから帰らせてくれたんですヨ!それもこれもご飯のため!お姉ちゃんご飯炊けてるー?」
佳奈多「あっ…つい映画を見ていたせいですっかり忘れていたわ……」
葉留佳「にゃにー!?」
葉留佳「じゃあ理樹君が注意しても良かったじゃん!」
理樹「ごめん…実は僕もシフト入ってなかったから2人で見てたんだ」
葉留佳「なんですとー!?」
佳奈多「ご、ごめんなさい、今から作るわ…」
コトコト…
佳奈多「more than a woman~♪」
理樹(おっ…)
理樹「more than a woman to me~♪」
佳奈多「なっ…ちょっと!合わせてこないでくれる?」
理樹「いやぁすっかり気に入ったんだなあと思ってさ」
佳奈多「もう…」
理樹(それにしても驚いたな。まさか劇中で何度も歌ってたとは言え一度見ただけで歌詞を覚えるなんて)
休日
マスタァァーッ‼︎
理樹「クワイ=ガン!!」
佳奈多「ひゃ!?」
理樹「あ、ごめん!大声出しちゃった…」
佳奈多「映画よりあなたの声の方が大きいってどういうことよっ」
葉留佳「待って、ちょっと黙っててお姉ちゃん!今緊迫した状況だから…!」
佳奈多「えっ……う…真剣過ぎて何も言えない…」
ブォンブォン
葉留佳「おおーっ!そう来るかぁ!」
理樹「うわ真っ二つ…っ」
佳奈多「……ねえ、それ面白いの?」
葉留佳「そりゃもうスターウォーズと言えばSFの金字塔!これを見てないのは人生の半分を損してますネ」
佳奈多「ふーん…」
理樹「よかったら二木さんも見る?まだ1しか見てないけどここに6枚全部あるしあとで二木さんが1を見てくれるならそれ以降は一緒に観れるよ!」
佳奈多「……時間があったらね」
次の日
夜
理樹「ただいまー」
葉留佳「お帰り理樹君。さっき佳奈多と一緒にまたファントムメナス観ましたヨ!」
理樹「へえ!それじゃあ今から2観れるねっ」
佳奈多「いや…二度連続で観るのはちょっと…」
葉留佳「はい再生」
ポチッ
佳奈多「あっ…もう…」
テーテーテテテテーテ(op曲)
…
………
理樹「いやーどうだった葉留佳さん?」
葉留佳「パドメとアナキンの禁断の恋…涙なしには見れませんナー」
佳奈多「ねえ…IIIある?」
理樹「えっ3?あることにはあるけど…」
佳奈多「3じゃなくてIIIよ!」
理樹「ごめん、言葉で言われても困るけどなんとなく言いたいことは分かった…」
理樹(なにやら二木さんの様子が変だぞ?)
佳奈多「今からそれを見るわよ」
葉留佳「ええーっ!もう11時だよ!?」
佳奈多「関係ありません。ここまで来たらIIIを観るというのがジョージルーカスに対する礼儀でしょう!」
理樹「凄いハマりようだね…」
佳奈多「当たり前よ。ほら葉留佳、直枝、あなた達はIIIが見たくなる…」
スッ
理樹「いやフォース使ってもダメだから」
葉留佳「な、なんだか見たくなってきた…ポチッとな!」
テーテーテテテテーテ
理樹「き、効いてる!?」
佳奈多「愚か者には効くらしいわ」
おやすみ
お前らは乙と書き込みたくなる…(スーッ
ジリリリリリ
理樹「ううん…わっ!もうこんな時間っ」
理樹(あれから結局4…じゃなくてⅣも見てしまった。どうやら3人ともエンディングで力尽きて仲良くソファで座りながら寝てしまったらしい)
葉留佳「くかー…」
理樹「葉留佳さん起きて!もう8時だよ!あと30分で家を出なくちゃ遅刻しちゃうよ!?」
ガタガタ
佳奈多「直枝…やめぇ…」
理樹「それは前の話でしょ!?」
理樹・葉留佳「「行ってきまーす!」」
佳奈多「はい、行ってらっしゃい。…さて、私も洗濯物干さないと……」
チラッ
佳奈多「……いっぱい用意したのね…映画」
…
………
……………
理樹「ただいま……ってなにしてるの?」
佳奈多「……」ヒュンヒュン
理樹(二木さんが手を大袈裟に振りながら夕飯のおかずであろう豚カツを斬っていた)
佳奈多「はっ…はっ…!」
ズバッズバッ
理樹(ふとテーブルを見ると『沈黙の戦艦』が置いてあった)
理樹「ライバック…?」
佳奈多「その声は…クリル中佐!?」
理樹「直枝理樹だよ」
佳奈多「紛らわしいわ。あっち行っててくれないかしら」
理樹「むしろクリル中佐が近くにいるなら教えてほしいよ…」
理樹(どうやら完全にケイシーライバックになりきっているようだ。まさかそんなことする人だとは……)
葉留佳「たっだいまー!」
佳奈多「ストラニクス…っ!」
ビュンビュン
葉留佳「えっ…ちょっ怖!?なんで包丁振り回してるんですカー!?」
理樹「葉留佳さん逃げてーっ!!」
…
……
二木「……ごめんなさい」
葉留佳「まったくもー!怖かったんですヨ!?」
理樹「まあまあ…それにしても二木さんって結構影響されやすい人だったんだね…」
二木さん「ええ…映画を観てから30分くらいは真似したくなる衝動を止められないらしいの……」
葉留佳「でもだからって映画を観るのを我慢するのも悪いですナァ…」
理樹「アクション映画を観なかったらいいんじゃない?」
葉留佳「それだ!」
佳奈多「わ、分かったわよ…」
理樹(しかし注意しなければならないのはアクションだけではなかった…)
次の日
葉留佳「すぅ…」
佳奈多「葉留佳、起きなさい、もう朝よ?直枝はさっさと朝ごはん済ませて行っちゃったわ」
葉留佳「んん…いいじゃん今日は私休みだし……」
佳奈多「もう…っ」
居間
佳奈多「やる事なくなっちゃったわ…葉留佳は起こせないし映画でも見ましょう。何があるかしら………『エスター』?」
理樹「ただいま」
シーン
理樹「……?」
理樹(いつもなら返ってくるはずの…とりわけ葉留佳さんが家にいる時は必ずくるはずの『おかえり』がない。……この家、何か変だ)
キィ…
理樹「…誰も居ないの…?」
理樹(居間への扉を開けた。明かりはなく薄暗い)
ドンッ
理樹「えっ……?」
理樹(明かりを付けようと中へ進むと足に何かが当たって思わず転けてしまいそうになった)
理樹「なにが落ちて………ハッ!」
葉留佳「う……」
理樹「はっ、葉留佳さん!?」
理樹(そこにはうずくまっている葉留佳さんの姿が…っ!!)
パチッ
理樹「うっ…」
理樹(急に電気が付いた。暗さに慣れた直後というだけあって回りを直視出来ない)
葉留佳「理樹君…かっ、佳奈多は……!」
「佳奈多?いいえ、違うわ」
理樹(目の前から声が聞こえた。薄眼を開けると顔がくっ付くくらい近くに二木さんが立っている)
佳奈多「私の名前はエスターよ」
理樹(この少女、何か…いや、絶対おかしい)
佳奈多「……あっ…あれ…?」
理樹「?」
理樹(急に二木さんが慌てだした)
佳奈多「私さっきまで何を……は、葉留佳!…そうだわ私…っ!!」
葉留佳「り、理樹君…次からホラーも禁止で……ぐぇ」
理樹(葉留佳さんの服が散々乱れていた。髪もボサボサだ。いったい何をされていたのやら……とりあえず忠告はしっかり受け取った)
佳奈多「アパーム!弾持って来なさいっっ!」
葉留佳「へいへい」
佳奈多「誰にも腰抜けなんて言わせないわ…!」
葉留佳「言ってませんヨ」
佳奈多「月夜に悪魔と踊ったことはある?」
葉留佳「ないですネ」
理樹(なるほど、見ている分には面白い。しかし遂に悲劇は幕を開けた……。見た映画の真似を必ずする二木さん、ある日その性質を葉留佳さんが利用しようと僕に持ちかけてきたのだ……)
またある日
夜
葉留佳部屋
理樹「何の用?急に呼び出して…」
葉留佳「ふぇっふぇっふぇっ…私凄く良いこと思いついちゃった」
理樹「また何かイタズラする気?」
葉留佳「ノンノン!それもいいけどさ、お姉ちゃんって映画の真似したがるじゃん?」
理樹「うん」
葉留佳「今まで見てなかったラブロマンス物見せたらどうなるのかな」
理樹「ええっ?」
葉留佳「もしかしたら理樹君とお姉ちゃんが……いやんいやん!」
理樹「ち、ちょっと!」
葉留佳「ねぇやってみない!?」
理樹「そ、そんなことしてもそんな都合のいいことになる訳ないじゃないか…!」
葉留佳「そう思うなら借りましょー!理樹君なにかそういうジャンルの映画知らない?」
理樹「うーん…そっち系は見たことないから詳しくないなぁ……強いて言うならミュージカルで恋愛物っぽいのがあったね」
葉留佳「おおっ!そのタイトルは?」
理樹「えーと……忘れちゃった」
葉留佳「じゃあダメじゃないですカ!」
理樹「いや待って、確か来ヶ谷さんに聞けば分かると思う」
プルルルルル
来ヶ谷『もしもし?』
理樹「あ、来ヶ谷さん久しぶり」
来ヶ谷『やあ、君からかけてくるとは珍しいな』
理樹「うん、少し聞きたいことがあって…」
来ヶ谷『言ってみろ』
理樹「ちょっと映画のタイトル忘れちゃったんだけど当ててくれない?」
来ヶ谷『ノーヒントのクイズ…というわけではないだろう?』
理樹「確か劇中でこの曲を歌ってたんだ。…sing in the rain~♪」
来ヶ谷『ああそれか。それなら私が持っているが貸そうか?』
理樹「えっ、本当!?ありがとう!」
来ヶ谷『うむ。劇中でそれを歌っている映画だろう?間違いない』
次の日
来ヶ谷「理樹君が言っているのは多分『雨に唄えば』だろうな…」
恭介「なにか言ったか?」
来ヶ谷「いや、なんでもないよ。ところで恭介氏よ、今日はあの3人の家へ遊びに行く予定は無いか?ちょっと用があるんだが…」
恭介「俺を足にする気だろ!?……まあいいが…どんな用事だ?」
来ヶ谷「うむ、これを理樹君が見たいと言っていたから貸してやるのさ」
スッ
恭介「おまっ…!?そ、それ本気で理樹が観たいって言ったのかよ……」
来ヶ谷「ああ、直接明言はしていないがこれだろう」
恭介「まさか理樹がキューブリック好きだったとはな…」
ピンポーン
理樹「あっ、恭介達かな?」
葉留佳「はいただいまー!」
ガチャ
来ヶ谷「やあ」
恭介「うっす」
佳奈多「お久しぶりです、今日ここにいる事は皆さんのお陰です…改めてありがとうございまし…」
理樹(二木さんが言い終わる前に恭介が言った)
恭介「おっと礼は理樹に言ってくれ、これは全部理樹が考えたことだからな」
佳奈多「分かっていますがそれでも……」
恭介「分かった分かった。じゃあそれはまた全員集まった時に頼むわ」
理樹「そういえば今日は2人だけなんだね?」
恭介「ああ、なんでも来ヶ谷が渡したい物があるらしいからな」
葉留佳「あっ!頼んでおいたっていうあれっすネ!?」
来ヶ谷「うむ。それではここに置いておくぞ」
理樹「ありがとうっ」
恭介「ようし!せっかくここまで来たことだし今日は夜まで遊ぼう、サタデーナイトフィーバーだぜっ!!」
理樹「あっ…!」
理樹(思わず二木さんの顔を見る)
佳奈多「ふふっ」
葉留佳「セイッ!ナイットフィーバーナイットフィーバー!」
恭介「おっ、ノリノリだな三枝!てか映画観たことあったんだな」
理樹(こうして夜までとは行かないけどみんなで遊んで過ごした)
理樹「じゃあちょっと僕寄るところがあるから先行っておいてよ」
葉留佳「了解ッス!」
佳奈多「用事はなによ?別について行っても…」
葉留佳「まーまーいいじゃないですカ!理樹君、映画観ておくね!」
理樹「う、うん…!」
葉留佳「さーて到着~」
佳奈多「ねえ葉留佳、さっきの観ておくというのはどういう意味?」
葉留佳「ある映画を観てほしいんですヨ!」
佳奈多「もしかして来ヶ谷さんが置いていった物がそれ?」
葉留佳「ナイス名推理!それでは上映!………ふむふむ名前は『時計仕掛けのオレンジ』って言うんですネ~」
ポチッ
理樹「ただいまー」
シーン
理樹「あれっ?」
~♪
理樹「あっ、この歌は……」
理樹(紛れもなく『雨に唄えば』だった。どうやら二木さんが歌っているらしい)
理樹「やあ、2人ともどうだっ………た?」
ペシペシッ
葉留佳「……っ」
佳奈多「雨に唄えば!蘇る幸せ!♪」
理樹(なかなか混沌とした光景だった。もはや動くことすら出来ない葉留佳さんに二木さんは一方的に尻叩きをしていた____何故か雨に唄えばを歌って)
葉留佳「う…り、理樹君……逃げて!」
理樹「何があったのさ!?」
葉留佳「いや…ただあそこの映画を観ただけですヨ…っ!」
理樹(指差した方向には見知らぬ映画のパッケージがあった。よく分からないけど多分葉留佳さんは間違ってまた暴力的な映画を見てしまってこうなったんだろう)
理樹「またやられたんだね葉留佳さん…大丈夫、これでも男だしそうやすやすとやられる僕じゃないよっ」
理樹(珍しく意気込んでみた)
葉留佳「いや理樹君…多分やられるんじゃなくて男の子だからその……ヤられる」ボソッ
理樹「ええっ?」
理樹(この時僕があの映画を観たことがあったなら全力で逃げていただろう。そしてこの不幸は起きなかったに違いない)
佳奈多「来なさい!私が笑顔で受け止めてあげるわ!♪」
ビリッ
理樹「えっ、ちょっ!なんで服脱がせて…!?」
理樹(あっという間に裸にされた)
佳奈多「ふふっ、案外可愛いのね。直枝の理樹は」
理樹「や、やめ…っ!」
佳奈多「観念なさい直枝、ライティライト?」
理樹(この後映画の通りになりました)
~the end~
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません