【東京喰種】 永近英良「カネキ・・・いいかげんにしろよ」 (955)

東京喰種のssです
:reの内容は含みません
東京喰種のss書くのは初めてなのでゆっくり書いていきたいと思います。
初心者なので暖かく見守っていただけると幸いです。

・下ネタ注意
・キャラ崩壊注意


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♯001 [眼鏡]


ヒデ 「で、どの子だ?」

カネキ「いや、今日は居ないみたい」

ヒデ 「あの子とか結構可愛いじゃん?」


トーカ「―――奥の席にどうぞー・・・」


カネキ「いや、ダメだ。メガネかけてない」

ヒデ 「・・やっぱりか」


カランカラン・・

カネキ「あ」

ヒデ 「・・・あの子だろ」

カネキ「うん、あの黒縁メガネ」

ヒデ 「お前・・いい加減にしろよ。メガネしか見てねーじゃねーか」

カネキ「いやだって、メガネかけてるか、かけてないかで雲泥の差だろ!」

ヒデ 「あの子、メガネ取ったら化けるぞ」

カネキ「何言ってるんだヒデは。むしろメガネかけてるから魅力的なんだろ?!」

ヒデ 「分かった!分かったから大声出すな。出禁にされるぞお前」


数日後。

ヒデ 「え?あの子とデート行く約束した?!」

カネキ「ああ・・ついてるよ僕は」

ヒデ 「お前、まさかナンパしたのか?」

カネキ「まさか。たまたま彼女が読んでた本を僕も読んでてね」

ヒデ 「ふーん・・お前本好きだもんな。何の本?」

カネキ「高槻泉の『黒山羊の卵』だよ」

ヒデ 「ああ、最近有名な作者だよな。名前だけ知ってる」

カネキ「内容も素晴らしいけど、なんとヒロインがメガネかけてるんだよ・・!」

ヒデ 「左様ですか」

カネキ「いやー楽しみだなー。夢の本屋デートと眼鏡屋デートができるって考えると夜も眠れないよ」

ヒデ 「・・その二つとも俺には分からないデートだけどな。とりあえず警察のお世話にはならないでくれよ」


デート当日。

リゼ 「・・高槻さん面白いですよね」

カネキ「ハイ!・・ところでこの後、眼鏡屋行きませんか?」

リゼ 「え?眼鏡屋さん??」

カネキ「はい。実はちょっとメガネ探したいなって思ってて。リゼさんてセンスいいのかけてるんで一緒に探してもらえたらなって・・ダメですかね?」

リゼ 「別にいいですよ。カネキさんは普段はコンタクトなんですか?」

カネキ「いえ、視力は悪くないですよ」

リゼ 「あら?それじゃあ伊達メガネ?」

カネキ「ええ、まあ」

リゼ 「そうなんですか。私結構目悪いから、羨ましいな」

カネキ「いえ!そんな素敵なメガネをかけられるリゼさんのが羨ましいですよ!!」

リゼ 「??」

***

リゼ 「もう暗くなっちゃいましたね」

カネキ「そうですね」

リゼ 「・・私、この先のアパートに住んでるんですけど、最近・・喰種の事件あったじゃないですか・・私・・怖くて」

カネキ「よければ送っていきますよ?」

リゼ 「本当ですか?!よかった!ありがとうございます!」

カネキ「い・・いえ//」

リゼ 「でも・・なんだか不思議ですね」

カネキ「え?」

リゼ 「私たち年も同じ、読書の趣味も同じで・・なんだか共通点多いですね」

カネキ「え・・あ・・そうですね」ドキドキ

リゼ 「カネキさん・・私・・//」

カネキ「え・・//」

リゼ 「あなたが・・私のこと見てるの・・気づいてたんです//」

カネキ「ぼっ・・僕//」

リゼ 「私も・・あなたを見てたから!!」
がぶ

カネキ(え?)

リゼ 「うふふふふふ・・・気づかなかったでしょ・・私がまさか『喰種』なんてぇ!!」
ゴキゴキ・・ズグゥゥゥウウウ!!

カネキ「・・・」

リゼ 「・・・」

カネキ「・・・はぁ・・」

リゼ 「・・え?」

カネキ「せっかく・・・最高のメガネ美人と知り合えたと思ったのに・・・」

リゼ 「・・ハイ?」

カネキ「僕に・・・触手属性は無いッッッ!!」


リゼ 「・・えっと」

リゼ 「私・・喰種なんだけど・・」

カネキ「・・でしょうね。目赤いし、喰種出てるし」

リゼ 「いえこれは、赫子って言ってね、これでアナタを殺して食べるのよ?」

カネキ「・・・いや確かにポーやマシスンは、究極の愛の形についてカニバリズムをあげてるけど、僕らまだそこまで進んでないし」

リゼ 「・・・・ていっ」
ザシュ

カネキ「ぐえ」

リゼ 「ウフフ・・と・・とりあえず私カネキさんみたいな体型の人好きよ。おいしそうで」

カネキ「う・・まって・・」

リゼ 「あら、命乞い?」

カネキ「いや、メガネ落ちてますよ」

リゼ 「は?」

カネキ「どうせ殺すんなら、ちゃんとメガネかけた顔を見せてくださいよ!」

リゼ 「なんて精神力の強い変態なのかしら」

ズウウウ・・

リゼ 「?」

ドガアアアアン!!

リゼ 「ぐ・・アアアア・・・!!」
ぐちゃ

カネキ「うっ・・僕は・・・グロ属性も・・無い」



ピーポー ピーポー・・・・


それから何日か経って。


嘉納 「経過は順調だよ」

カネキ「はぁ・・そうですか」

嘉納 「退院しても免疫抑制剤を忘れずに飲むようにね」」

カネキ「・・はい」

嘉納 「それとナースから聞いたんだけど、好き嫌い多いみたいだね」

カネキ「え・・いや。前はそんな事なかったんですけど・・なんか食事が全然おいしく感じないんです」

嘉納 「ふむ・・・臓器移植を受けた後、食べ物の指向性が変わってしまうことがあるからね」

カネキ「そうなんですか」

・・・

ヒデ 「退院オメ!ビックガール行こうぜ!!おごるぞ!!」

カネキ「・・うん。ありがとうヒデ」


ヒデ 「なんていうかさ・・残念だったな。リゼさん・・だっけ?」

カネキ「あー・・うん」

ヒデ 「?」

カネキ「いい子だったよ」

ヒデ 「・・そっか」

カネキ「でも触手属性持ってたからなぁ・・」

ヒデ 「・・は?」

・・・

ヒデ 「え・・?リゼさんて・・喰種だったのか?!」

カネキ「うん」

ヒデ 「それってお前・・かなりヤバかったんじゃねーの?」

カネキ「うーん・・確かに殺されかけた気がする」

ヒデ 「ある意味・・死んじゃってよかったのかもな」

カネキ「いや、別にあの子が僕のこと食べようとしなければ僕は構わなかったんだけどな」

ヒデ 「え?・・だって喰種だろ?」

カネキ「まあそうだけど見た目変わんないし、ていうか見た目(メガネ)は僕の理想にかなり近かったし」

ヒデ 「・・なんていうかお前ってホントすげえ奴だな」

カネキ「そう?」


店員 「お待たせしましたー!!」

ヒデ 「お・・来た来た!」

カネキ「・・・」

ヒデ 「にしてもやっぱりビックガールは女の子のレベルも高いな」

カネキ「そう?メガネが居ないよ」

ヒデ 「相変わらず徹底してるな」

カネキ「さ、食べようか・・・う」

ヒデ 「ん?どうした?」

カネキ「これ・・ちゃんと焼けてる?全然おいしそうな匂いしないけど」

ぱく
ヒデ 「いや、俺のはフツーにうまいぞ?生焼けなら石で焼いたら?」

カネキ「ん・・そうする」

ジュウウウ・・

パク
カネキ「うっ・・!!」
豚の内臓?!いやこれは栄養障害で死んだ肥育牛の胃内容物を啜っているかのような悪臭ッ!!

ヒデ 「え?どうした?」

カネキ「ヒデ・・めっちゃまずい」

ヒデ 「嘘?」

カネキ「・・臓器移植を受けてから指向性変わっちゃったみたいでさ」

ヒデ 「そういうことってあるんだな・・」

カネキ「めっちゃマズイけど我慢して食うよ。ヒデが奢ってくれたものだし。それに栄養学的に考えて食べないと体に悪いから」

もぐもぐ・・おええ

ヒデ 「泣きながら食ってる・・」


今日はここまでにします

それと6レス目の12行目は
×喰種出てるし
○触手出てるし
でしたスイマセン

つづきですー

#002 [高槻]


テレビ パチッ

小倉 『・・・おまけに喰種は舌の作りが我々と異なり、食べ物がメチャクチャまずく感じる・・』

カネキ「・・・(なんか僕みたいだな)」

小倉 『・・人前では我慢して食べるけど、食べた後は強い吐き気に襲われるだろうね・・』

カネキ(まさか・・・リゼさんの臓器を移植されたから僕の体も喰種に・・?)

カネキ「・・腹減ったな・・」

カネキ「・・・」


冷蔵庫ガチャ

もぐっ

カネキ「まずっ!!」

カネキ(でもヒデにおごってもらってから何も食べてない・・)

もぐもぐ・・まずっ!

**


プルルルル・・

ガチャ

カネキ『もしもし?』

ヒデ 『おーカネキ。お前体調大丈夫?』

カネキ『うんなんとか』

ヒデ 『そうか?だったら大学来いよ』

カネキ『うん。明日は行くよ』

ヒデ 『ところでさ、今日駅前の本屋で、お前が好きな高槻ナントカのサイン会やってるらしいぞ』

カネキ『そうなんだ』

ヒデ 『元気出すためにも行ってみたらどうだ?・・まあ体調良かったらだけど』

カネキ『うん、ありがとう。行ってみるよ』


**

【高槻泉先生サイン会 会場】

カネキ「あ、まだやってた」

・・・

カネキ「あ、まだ大丈夫ですか?」

塩野 「あ、ついさっき終わっちゃたんですよー」

カネキ「あー・・そうでしたか」


衝立の向こうの声「こらこら塩野くん」

塩野 「・・はい?」

「まだいいじゃあないか。私はここにいるんだし」

塩野 「しかし・・もう1時間以上押してますよ」

「時間は大事だが、多くの人と触れ合うことによって作家は新たなインスピレーションを得るのだよ」

塩野 「はぁ・・」

「という訳でこれはもはや仕事なのだよ。という訳で次の人こっち来てくださーい!」


カネキ「あ・・なんかすいません」

高槻 「いやいや。お兄さんとこうやって話すことで私も得るものがあるんですよ。で、お名前は?」

カネキ「あ、カネキケンです。曜日の“金”“木”で、名前は研究の“研”です」

高槻 「ふむふむ。カネキさんっと・・そういえば太宰治の出身地が金木町ですね」

カネキ「ああ、そういえば」

高槻 「いいですねえ」

カネキ「いえ・・伊勢大和の芥川が流れる高槻市のがいいですよ」

高槻 「ふむ・・古典お詳しいですねぇ」

カネキ「あ・・いえ、僕大学の国文科なので」

高槻 「ほうほう、さすがですね」

カネキ「いえ、先生の作品素晴らしいです。最初の『拝啓カフカ』から全部読んでます」

高槻 「それは嬉しいですね」

***



高槻 「それにしてもカネキさん・・顔色悪いけど大丈夫です?」

カネキ「あ・・いえ大丈夫です。最近あんまり食欲わかなくて」

高槻 「ふーん・・コレ食べます?」ごそごそ

カネキ「大福・・ですか」

高槻 「お嫌いです?」

カネキ「そんな事なかったんですが・・なんか匂い嗅ぐだけで吐き気がするんですよね」

高槻 「ふぅん・・」

塩野 「先生・・さすがにそろそろお時間が・・」

高槻 「おっと、もうこんな時間か・・・カネキさん」

カネキ「はい?」

高槻 「コレ、私の名刺です」

カネキ「え?」

高槻 「ズバリあなた、面白そう!」

カネキ「はい?」

高槻 「今度もう少しゆっくり話しましょう」


カネキ「え?・・僕と?」

高槻 「はい。文学知識もあるし、なんだか浮世離れした雰囲気をお持ちです」

カネキ「はぁ・・そうですかね?」

高槻 「これは私の取材を兼ねたお願いなので、カネキさんの都合のいい時間と場所で結構ですよ」

カネキ「そうですか・・じゃあ大学の無い時がいいので後で連絡するんでいいですか?」

高槻 「ええ、もちろん」

カネキ「あ・・それと・・」

高槻 「?」

カネキ「高槻先生って、昔メガネかけてませんでした?」

高槻 「え?ああ、拝啓カフカの時はメガネでしたね。今はコンタクトですが」

カネキ「メガネのがッ・・似合いますよ!」

高槻 「はぁ・・そうですかねぇ」

・・・

高槻 「じゃあ連絡待ってますよー」

カネキ「どうも」

**


高槻 「“メガネフェチ”っと」


次の日、上井大学にて。

ヒデ 「おーなんか久しぶり」

カネキ「うん」

ヒデ 「でもなんか顔色悪いぞ」

カネキ「いや・・あれ以来食事がなにもおいしくなくてね」

ヒデ 「・・・」

カネキ「ん?どうしたの?」

ヒデ 「いや・・何でもない」

カネキ「そういえば、高槻先生のサイン会行ったよ」

ヒデ 「お、そうか!どうだった?」

カネキ「なんか取材したいって名刺渡された」

ヒデ 「・・・お前は相変わらず俺の予想の斜め上を行くな」

カネキ「でも・・・少し残念だったよ」

ヒデ 「どうした?」

カネキ「高槻先生ってさ、デビューの時メガネだったんだよ。なのに今はコンタクトだった・・・」

ヒデ 「少しはブレろ」



カネキ「ヒデは最近なんかあった?」

ヒデ 「学園祭実行委員に誘われてさー」

カネキ「・・それって楽しいの?」

ヒデ 「相変わらずバッサリだなー、お前は」

カネキ「本当ヒデって行事ごと好きだよね。僕と違って」

ヒデ 「カネキもやれば楽しいぞ」

カネキ「僕はやめておくよ」

ヒデ 「だろうなー・・・あー・・しゃあ無いな。今回は俺もやめとくわ、実行委員」

カネキ「え?別に僕に合わせなくていいよ」

ヒデ 「バカお前、どう考えてもお前の取材の方が面白そうだろ」

カネキ「えー・・たぶん同席はできないと思うけどいいの?」

ヒデ 「おう!」


ヒデ 「で、いつ取材なの?」

カネキ「あーこっちから日時場所指定していいって話だからまだ決まってないんだ」

ヒデ 「ほー・・でいつにすんの?」

カネキ「とりあえず大学無い土曜かなー」

ヒデ 「場所は?」

カネキ「うーん・・あ」

ヒデ 「?」

カネキ「実はコーヒーはおいしいって感じるんだよ」

ヒデ 「・・は?」

カネキ「いや、味覚の嗜好性変わったって言ったじゃん」

ヒデ 「ああ」

カネキ「だからどこかコーヒーショップとか」

ヒデ 「ならさーあそこはどうだ?」

カネキ「?」

ヒデ 「お前がリゼさん見つけた喫茶店」

カネキ「・・いいね」

ヒデ 「じゃあ決まりだな。俺も違う席座ってていいだろ?」

カネキ「ツッコミは無しだよ」

ヒデ 「まあ、お前が法に触れなければな」


カネキ「じゃあ高槻先生にメールしようかな」

ヒデ 「おう」

カネキ「えっと・・」
ピッ・・ピッ・・・



~♪
高槻 「おっ・・ケンカネ君から早速メール!」

『この間のお話ですけど、今週土曜日13時に20区の喫茶店“あんていく”でどうですか?』

高槻 「マジか」



ヴー・・ヴー・・
カネキ「あ、返信」

カネキ「・・・OKだって」

ヒデ 「おし!」

カネキ「とりあえずさ、今日授業の後、あの喫茶店行かない?」

ヒデ 「いいけど何すんだ?」

カネキ「いや、あそこのコーヒー飲みたいだけ。またメガネ美人に出会えるかもしれないし」

ヒデ 「・・・お前って本当にリゼさんに殺されかけたんだよな?」

カネキ「え?うんたぶんそうだけど」

ヒデ 「うん・・まあいいや。今更」

今日はここまでにしときますー

こんばんは
またすこしだけいきます

#003 [変化]


カランカラン

トーカ「い・・・!いらっしゃいませ」

カネキ「えーっと・・」

トーカ「奥のお席にどうぞ」

カネキ「あ、待ち合わせなんで」

トーカ「あ・そうですか。失礼しました」


ヒデ 「あ、霧嶋さん、そいつこっちです!」

トーカ「あ・・えっと、ハイ」

カネキ「あ、ヒデ。遅れてごめん」

ヒデ 「別に大丈夫だけど、どうしたんだ?」

カネキ「ちょっと本屋に寄っててさ」

ヒデ 「そうか・・・で、そのメガネは何だ」

カネキ「え?伊達メガネだよ」

ヒデ 「そういうことを聞いてるんじゃない」


カネキ「コレ、デートの時にリゼさんに選んでもらったんだ」

ヒデ 「ああ・・そうなんだ」

カネキ「うん。いいセンスでしょ?」

ヒデ 「お前さ・・なんだかんだ言ってリゼさんのこと好きだったのな」

カネキ「うん。理想的なメガネだったよ」

ヒデ 「もう少し本体も見てあげてください」


カネキ「そういえばさっき店員の子の名前呼んでたけど知り合い?」

ヒデ 「うんにゃ、さっき名前聞いた」

カネキ「ナンパ?!変な事するなよ」

ヒデ 「カネキに言われたくないな」



トーカ「・・・」

ずず・・
カネキ「ふー・・」

ヒデ 「ん?」

カネキ「あのさ・・ヒデに相談があるんだけど」

ヒデ 「珍しいな。どうした?」

カネキ「実はさ・・・臓器移植受けてからちょっと変なんだ」

ヒデ 「・・・ああ」

カネキ「明らかに移植受ける前と変わったことがあって」

ヒデ 「おう」

カネキ「・・・まずこれ見てくれる?」

ヒデ 「本?」
パラパラ・・

ヒデ 「!・・・おまえコレ」

カネキ「そう、BL小説だよ」

ヒデ 「・・俺、本読まないけどコレが危険物だってことは分かるぞ」

カネキ「僕もそう思ってたよ」


カネキ「これってさ、基本的には書き手も読み手も女性で、しかも特殊な思考の持ち主のものだと思う生んだ」

ヒデ 「ああ、たぶんそうだろうな」

カネキ「僕、本は何でも読むけどこのジャンルには全く興味なかった」

ヒデ 「ああ」

カネキ「でも、最近このジャンルもアリかなって」

ヒデ 「・・・・・」

カネキ「勘違いしないでほしんだけど、僕はゲイじゃないし、現実世界にそういうの求めてない」

ヒデ 「そうであることを願うよ、俺も」

カネキ「いや、僕が言いたいのは、以前の僕なら興味なかったのに、移植受けてからそういう嗜好が出始めたってこと」

ヒデ 「・・そうなのか?」

カネキ「臓器移植技術が確立されてからしばらく経ったころ、それを題材にした本が多数出たんだけど、その中に、『臓器は意志を持っていて移植を受けるとドナーの性格がレシピエントに移ることがある』っていうのがあったんだ」

ヒデ 「ん・・?それってつまり・・」

カネキ「つまり僕が推測するに、リゼさんはBL小説を嗜んでいた」

ヒデ 「えー」



カネキ「現に喰種であるリゼさんの臓器移植されて、僕の体も喰種になってるみたいだし」

ヒデ 「いや、でもそれとこれとは・・・ん?!」

カネキ「ん?どうしたの?」

ヒデ 「お前・・さらっと何言ってんの?!」

カネキ「え?BLのこと?」

ヒデ 「じゃなくて、お前の体が喰種って!!」

カネキ「え?だって普通の食べ物食べると吐き気がして、コーヒーだけ飲めるってどう考えても喰種でしょ?」

ヒデ 「いや・・でも・・」

カネキ「それに、この前包丁で体を傷つけてみたけど刃が通らなかったし、若干人間がおいしそうに見える」

ヒデ 「・・・お前、それでよくそんな平常心保てるな」

カネキ「まあ、なってしまったものはしょうがないし、そもそも移植受けてなけりゃ死んでたから。死ぬよりは全然マシ」

ヒデ 「はあああ・・・心配して損したわ」

カネキ「?・・ああ、やっぱりヒデは気づいてた?」

ヒデ 「あー・・・まあなんとなく疑ってはいた」

カネキ「やっぱりヒデは鋭いなぁ」



ヒデ 「だけどさ、実際どうするんだよ。飯食えないんだろ?」

カネキ「いや、気合で食ってるよ。不味いけど」

ヒデ 「そ・・そうか」

カネキ「でも他の人にバレるのはやっぱりまずいよね」

ヒデ 「まあ・・喰種対策法・・だっけ?たしか喰種ってヒトとして扱わないって法律あったよな」

カネキ「うん。たしか捜査官に捕まえられるんだよね」

ヒデ 「そうそう。だからばれたらお終いだぞ」

カネキ「まあ、バレない様に頑張るよ。それに僕の場合は不可抗力でなったわけだし、犯罪行為しなければ不問にしてもらえるかもしれない」

ヒデ 「そう、うまくいくか・・?」


ヒデ 「ていうか、俺に言って良かったのかよ」

カネキ「うん、たぶん隠してもばれるし。それにヒデは僕の味方だって分かってるから」

ヒデ 「あ・・ああ。そうだけどさ」

カネキ「それよりも問題はBL趣味が追加されたことだよ。世間では腐男子って言うみたいだよ。僕のこと」

ヒデ 「お前の心配事の優先順位は明らかに間違っている」

カネキ「まあ、読める本の幅が広がったって思えばむしろウェルカムなんだけどね」

ヒデ 「ポジティブが過ぎるぞ」


トーカ(どういうことだ・・・あのメガネかけてる男。確かリゼが狙ってたはずだよな)

トーカ(ここ最近リゼの奴来ないし、死んだって噂が流れてる)

トーカ(そして、そのリゼが狙ってた奴が普通に来たってことは・・)

トーカ(アイツ・・・リゼを殺ったのか?)

トーカ(まさか・・・白鳩?!)


***


ヒデ 「あのさ」

カネキ「ん?まだ誘い受けの説明の途中だよ?」

ヒデ 「・・もう勘弁してくれ」

カネキ「しょうがないなぁ・・」

ヒデ 「・・お前土曜日にインタビュー受けるんだったよな」

カネキ「うん、そんな大層なものじゃないと思うけど」

ヒデ 「気を付けた方がいいと思うぞ」

カネキ「何を?」

ヒデ 「お前が喰種になってるってことばれない様にだよ」

カネキ「あー・・やっぱりそう思う?」

ヒデ 「そりゃそうだろ!」


カネキ「うーん・・・頑張るよ」

ヒデ 「ばれたらたぶん通報されるぞ」

カネキ「そうかなぁ」

ヒデ 「当たり前だろ」

カネキ「そうだね」

ヒデ 「ばれちまったら・・俺ももう何も出来ねーから」

カネキ「うん・・ありがとう。気を付けるよ」

ヒデ 「ああ」

カネキ「ヒデ」

ヒデ 「ん?」

カネキ「ありがとう」にこっ

ヒデ 「あ、ああ」

ヒデ (現実世界ではBL求めてないって話、本当だよな?)

今日はここまでにします
おやすみなさい

つづきですー

#004 [親子]


土曜日、“あんていく”にて


カネキ「先生遅いなぁ・・」

トーカ「・・マンデリン、お待たせしました」

カネキ「あ、ありがとうございます」


トーカ(・・・こいつら、また来てる・・しかも二人離れて座ってる・・)


トーカ「ラテお待たせしました」

ヒデ 「ありがと!霧嶋さん!!」

トーカ「い・・いえ」

ヒデ 「ラテアート、可愛いネコだね!」

トーカ「あ・・ありがとうございます(ウサギのつもりなんだけど・・)」

ヒデ 「~♪」

トーカ「あ・・あの!」

ヒデ 「ん?」


トーカ「きょ・・今日はあちらの方と一緒じゃないんですね」

ヒデ 「ん?・・ああカネキのことか」

トーカ「え?あ、ハイ(“カネキ”って言うのかァ・・)」

ヒデ 「うん、今日はね、あいつにお客さんだから。俺は一人で霧嶋さんのラテアート見に来ただけ!」

トーカ「あ・・アハハ」


カヤ 「トーカ、ちょっとこっち手伝ってくれない?」

トーカ「あ、ハイ」


・・・


カラン カラン

高槻 「・・・えーっと、あ、居た。お・く・れ・て・ごめんね~」


芳村 「!!!」


高槻 「ゴメン、ゴメン。道に迷ってしまいまして~」

カネキ「・・・」

高槻 「ん?どした?」

カネキ「・・いえ、別に何でもないです(メガネキターーーーーー!!)」

高槻 「あー店員さん、私ブレンドでー。あとカネキさん鼻血出てますよ」



高槻 「さて、カネキさん、早速いいですか?」

カネキ「はい・・ていうかどんな感じでやればいいのか全然わからないんですが・・」

高槻 「いえいえ、コーヒー飲みながらお話しましょうってだけですよー」

カネキ「はぁ・・そうですか」


トーカ「あ、ブレンドです」

高槻 「お、どうもです」


カネキ「・・あれ、先生のコーヒーカップ、なんかアンティーク調で可愛いですね」
高槻 「ん?おや、カネキさんのとは違いますね。いろんなカップで提供しているんでしょうか」

カネキ「うーん・・僕何回か来てるんですがそのカップは初めて見ましたよ」

高槻 「ほー、そうですか」



古間 「お疲れサマ」

トーカ「あ、コマさん。お疲れです」

古間 「・・なぁトーカちゃん、店長何かあったの?」

トーカ「え?別に何もないと思いますが・・」

古間 「ボクの見間違えじゃなければバックヤードで泣いてたんだけど・・」

トーカ「何それ見たい」


高槻 「・・カネキさんはご家族は?」

カネキ「あ、両親とも亡くなってます」

高槻 「あ、そうですか・・すみません」

カネキ「いえ、もうずいぶん前のことですし」

高槻 「・・・差し支えなければ、どんな方だったか教えてもらえます?」

カネキ「ええ、いいですよ」


カネキ「・・・という訳で母は過労で亡くなり、僕はその叔母のところでやっかいになることになったんです」

高槻 「・・・気軽に尋ねてしまってごめんね」

カネキ「え?・・ああ、別に大丈夫ですよ」

高槻 「カネキさんはそういった経験を経て、その達観したような雰囲気をお持ちになったんですね」

カネキ「うーん・・たぶん違うと思いますよ。僕ってもともとこんなでしたから」

高槻 「そうですか?」

カネキ「母はよく自己犠牲を貴ぶよう僕に教えてくれましたが、僕的にはそれは一つの意見でしかないなぁと思ってましたし」

高槻 「ほぅ」


高槻 「・・では今はその叔母様のところで同居を?」

カネキ「いえ、今は一人暮らししてます」

高槻 「叔母様が母親代わりになったんですねー」

カネキ「ええ、最初はそうだったんですが、僕の成績が叔母さんの息子の成績を越え始めるとだんだん険悪になってしまって」

高槻 「・・・」

カネキ「夕食なども、千円渡されるようになりました」

高槻 「それは・・お辛かったですね」

カネキ「まあ最初は。でもその千円で食材を買ってきて僕が夕食を作るようになってら関係は改善しました」

高槻 「え?」

カネキ「で、そのイトコに勉強教えて彼も志望校に合格したので」

高槻 「・・・」

カネキ「まあでも僕は一人の方が気が楽なので一人暮らししてますが」

高槻 「・・・カネキさんは生活力ありますねー」

カネキ「そうですか?」

高槻 「ええ。でもそろそろ鼻血拭かないと貧血になりますよ」


高槻 「あ、そういえば最近はちゃんと食べてますかー?」

カネキ「いえ・・相変わらずですね」

高槻 「何か切っ掛けとかあったんですか?」

カネキ「いや、少し前事故にあって、臓器移植を受けたんですよ。それからですね」

高槻 「・・・カネキさんはもはや自叙伝でも出した方がいいんじゃないんですかね?」

カネキ「?」

高槻 (臓器移植・・ね)



芳村 「・・・」キュッキュッ

カヤ 「店長」

芳村 「・・・」キュッキュッ

トーカ「あの、店長?」

芳村 「・・・」キュッキュッ

古間 「芳村さーん」

芳村 「・・・」キュッキュッ

トーカ(今度は笑顔でカップを磨き続けてる・・・)


高槻 「ねえカネキ君」

カネキ「え?あ・・ハイ」

高槻 「これは相談なんだけど」

カネキ「?」

高槻 「私のところでアルバイトしない?」

カネキ「ええ?」

高槻 「君、国文科でしょ?知識もあるし、ちょっと普通じゃない考え方。ぜひアシスタントに欲しい!」

カネキ「はぁ・・でも僕アルバイトとかしたことないですし・・」

高槻 「・・実は君みたいに臓器移植の後、食欲が出なくなった人も食べられる食事のアテがあるんだよ」

カネキ「え?!それは嬉しいですけど・・(ていうかたぶん人の肉じゃないとダメなんじゃないか?)」

高槻 「それと、これからはコンタクトやめてメガネにしようかと思うんだけど」

カネキ「これからよろしくお願いします」



ヒデ 「お、話し終わったみたいだな」

ヒデ 「・・・つーかあの先生結構きれいな人だな」

ヒデ 「・・まあアイツは完全にメガネしか見てなかったな・・・」


高槻 「とりあえず明日は大学無いでしょ?」

カネキ「あ、ハイ」

高槻 「ならばとりあえず私の仕事場に来ない?」

カネキ「今からですか?」

高槻 「ええ、例の、ゴハンでも」

カネキ「まあ、先生が大丈夫なのであれば(なんか変な展開になってきたな・・ヒデにはあとで連絡だな・・)」

高槻 「じゃあ行こうか、私の家に」←比較的大きい声


ヒデ 「えっ?!」


芳村 「・・・」ピキィ・・!


高槻 「ごちそうさまー」

カヤ 「あ、ハイお勘定ですね・・・・店長、赫眼仕舞ってください・・」


とりあえずここまででー

ではまたちょっとだけ


#005 [宿泊]


高槻 「カネキ君、好きな食べ物って何?」

カネキ「うーん・・以前はハンバーグが好きだったんですが・・」

高槻 「ハンバーグ・・!」

カネキ「この前お店で食べたんですが、やっぱりまずく感じちゃって・・」

高槻 「ふむふむ・・しかし私秘伝の味付けならばいけるかもしれませんよ?」

カネキ「はぁ・・」

高槻 「実績もあります」

カネキ「じゃあお願いします・・でも、食べられなかったらゴメンナサイ」

高槻 「いいって!実は私も好き嫌い比較的多いですからねー」

カネキ「そうなんですか」

高槻 「とりあえずスーパーに行きましょう。挽肉無いので」

カネキ「はい」


ウイーン(スーパーのドア音)


ヒデ 「・・・スーパーに入った・・なんで取材受けてスーパーで買い物することになってるんだ??」



そのころ“あんていく”では・・

芳村 「・・・・」そわそわそわそわ

ヨモ 「・・・・トーカ・・何があった」

トーカ「私が聞きたいですよ」

ガチャン!!
芳村 「・・・」そわそわそわそわ

カヤ 「あ・・また割った」

古間 「・・魔猿クリーニングサービス通りまーす」



ウイーン

高槻 「よし、じゃあ行こうかー」

カネキ「はい」


ヒデ 「カネキが買い物袋を持って出てきた・・・これ以上ついてくのはよそう・・」


***


カネキ「お邪魔します」

高槻 「どうぞー」

カネキ(ここが高槻先生の仕事部屋か・・さすが本だらけだな・・)

高槻 「ハハハ・・あんまり掃除してないから汚いけどねー」

カネキ「いえいえ」

高槻 「じゃあ早速作ってみるよ、ハンバーグ」

カネキ「え?もう?」

高槻 「だってもう5時だし、夕食として」

カネキ「ホントすいません」

高槻 「よかったらその辺の本でも読んでておくれ」

カネキ「じゃあお言葉に甘えて・・」


ジュー・・・


カネキ(・・・ハンバーグ焼いてる・・・あれ?なんか嫌な吐き気起きないな・・)

高槻 「~♪」

カネキ(・・・なんか・・懐かしいな・・母さんを思い出す・・)

カネキ(・・でも結局その後自分で使った方がおいしくできたんだよなぁ・・)

高槻 「さて」

カネキ「え?」

高槻 「あとは蒸らすから休憩ー」

カネキ「あ、そうですか」

高槻 「何読んでるんですかね?」

カネキ「・・あ」

高槻 「“真夜中の相棒”」

カネキ「いえ・・たまたま手に取ったんですよ」

高槻 「・・私の書いた“ルサンチメンズ”に出てくる男性同士の気わどめの友情あるじゃないですか」

カネキ「・・ええ」

高槻 「あれ書くための参考にいくつか読んだんですよー」

カネキ「そ・・そうですか」

高槻 「作家としてはあらゆる方向にアンテナを張ってなければいけないと思いますのでー」

カネキ「スバラシイデスネー」


※“真夜中の相棒”は比較的有名なBLの雰囲気の強い小説です



カネキ「・・・という訳で、臓器移植後そういう本を読むことにも抵抗なくなったんです」

高槻 「ほー」

カネキ「・・・・信じてませんね」

高槻 「いえいえ。そういう事あると思いますよー味覚と同じで」

カネキ「ええ」

高槻 「でも、それだけ変わり者のカネキ君ですからねー今更そういう属性があっても驚きませんけどねー」

カネキ「アハハハハハ(空笑)」

高槻 「では、ハンバーグ食べましょうか」

カネキ「・・ええ」


・・・


ぱくっ

カネキ「・・・あれ、吐き気起きない」

高槻 「どうですかぁー?」

カネキ「ええ、なんというか、食べられます」

高槻 「おいしくはないですかー」

カネキ「いっ・・いえ、僕移植の後、味覚相当バカになってるので。それで普通に食べられるってことは、これは相当おいしいってことですよ」

高槻 「そうですかねぇ」


カネキ「あのーコレの味付けの仕方教えてもらえません?」

高槻 「うーん・・・ダメ教えない」

カネキ「え?」

高槻 「だって教えたらカネキ君自分で作るでしょう?」

カネキ「ええ・・そのつもりですが」

高槻 「食べたくなったらうちに来てくださいな」

カネキ「え」

高槻 「こんな面白いアシスタント、手放したくないので」

カネキ「はぁ・・」

高槻 「それに、私自身カネキ君に興味あるので」にっ

カネキ「・・え」ドキ

高槻 (すごく興味あるよ、ケンカネ君♡)
高槻 (君は今気づいてないけど、君の左目すごく綺麗だよ・・フフ)

高槻 「それにしても、今まで吐き気して何も食べてなかったんですか?」

カネキ「いえ、普通に食ってました。気合で」

高槻 「・・・・そーですかー」

カネキ「そういえば先生は食べないんですか?」

高槻 「あー食べますよ。一緒に食べようかと。よっと」
ゴトッ(ハンバーグ皿)


カネキ「はい・・・え?」

高槻 「・・・いや、食べるときはメガネ取りますよ、曇るので」

カネキ「そ、そーですよねー(チクショウそれがいいのに)」


高槻 「さて、この後今日特に予定無ければアルバイトお願いしたいのですが」

カネキ「え?まあ特に予定はないですが・・」

高槻 「実はもう少しで新作を出すつもりなんですが、その最終チェックをしてほしいんですよー」

カネキ「えっ?!新作出るんですか?!」

高槻 「ええ」

カネキ「あ・・すいません。で、チェックって何を?」

高槻 「ここに原稿があるので文法の誤りとか誤字がないかのチェックをお願いします」

カネキ「分かりました・・・なんか新作を一足先に読めるって嬉しいですね。今さらですが、大ファンなので」

高槻 「アハハ・・嬉しいけど仕事目線でお願いねー」

カネキ「あ、はい。スイマセン」


・・・

高槻 「私は隣の部屋で次の作品考えてるから。眠くなったらそこのベッドで寝ていいよー」

カネキ「え?」

高槻 「じゃあねー」

パタン

カネキ「・・・まいいや。ゆっくり読もう」



チュン チュン・・

カネキ「ん・・・あ、しまったいつの間にか寝てた・・(毛布が掛けられている・・)」

高槻 「おはよー」

カネキ「あ、おはようございます」

高槻 「読み終わった?」

カネキ「はい、えっと・・」

高槻 「あー朝ご飯食べながらにしよう」

カネキ「あー了解です」

・・・


高槻 「じゃあ食べようか」

カネキ「はい(パン、味噌汁、ソーセージ、それとコーヒーか・・)」

高槻 「ん?やっぱり食べられそうにないかい?」

カネキ「えっと・・大丈夫です」
もぐっ

高槻 「・・・」

カネキ「うっ・・・もぐもぐ」

高槻 「あー・・無理して食わんでいいよー」

カネキ「いえ、大丈夫ですから・・・ん?」

高槻 「どした?」



カネキ「えっと・・ソーセージいけますね」

高槻 「おや、違いが分かる男ですねカネキ君は」

カネキ「?」

高槻 「それは通販で買ったお取り寄せなんですよー(嘘)」

カネキ「へー・・それ教えてく」

高槻 「教えません」

カネキ「ですよねー」

・・・

カネキ「あ、で、新作の“吊るしビトのマクガフィン”ですが」

高槻 「あ・どうでした?」

カネキ「43章と64章と182章、セリフの前後にある文法の間違いは、囚人の心理を表すためにワザとってことでいいんですよね?」

高槻 「ええ」

カネキ「“こうよう”って言葉を“高揚”と“昂揚”の二種類で書いてるのもわざとですよね?」

高槻 「ええ、ええ」

カネキ「それと・・これは間違いとかじゃないんですが、看守長のオオタキミオは『塩とアヘン』のタニザキ捜査官の叔父ですか?」

高槻 「いやー・・さすがですねー。塩野君とは大違いですなー」

カネキ「?」

高槻 「いえいえ、前は出版社のヒトに見てもらってたんですがねー、的外れのことばかり言われてたのでー」

カネキ「ハハハ・・」


高槻 「さて、じゃあ今日のアルバイトはおしまいです。ありがとうございました」

カネキ「いえ・・じゃあ僕は帰りますね」

高槻 「ハイハイ。あ・それと一応言っておきますが読んだ内容は発売まで内緒ですよー」

カネキ「ええ、もちろんです」

高槻 「よろしい。ではまた今週末にお願いできますかね?」

カネキ「僕、特にサークルとか入ってないんで、いつでもいいですよ。授業無い時とテスト前なら」

高槻 「おっけー。じゃあメールするねー」

カネキ「はい」

高槻 「ではでは」

ガチャ


***

カネキ「あ・・ヒデにメールするの忘れてた・・」

ピッ・・ピッ・・ピッ・・


ヒデ 「霧嶋さん今日のラテアートのネコ、耳長いね?」

トーカ「え・・そうですか・・ハハ(だって・・ウサギだもん・・)」

~♪

ヒデ 「ん?カネキからだ・・」

『おはよう、結局先生の家で泊まりこみのバイトだったよ。昨日は連絡しないでゴメン』

ヒデ 「ぶばっ!!」


ピリリリリリリリ

カネキ「あれ?ヒデから電話だ」


カネキ「もしもし?」

ヒデ 「おまっ・・朝帰りかよ?!」

カネキ「え?まあ結果的にそうかな」

ヒデ 「・・本当にただのバイトか?」

カネキ「え?バイトだけど。あ・夕食と朝食はご馳走になった」

ヒデ 「夕食と朝食ご馳走?!・・って言うか先生と二人きりだったんだろ?ふつうそこまでするもんか?」

カネキ「うーん・・まあでも(新作発売までは)詳しくは言えないけど役得だったよ。このバイト、サイコーだよ」

ヒデ 「役得って・・・お前・・大人になったんだな・・・」

カネキ「ヒデ・・なんか勘違いしてない?」

ヒデ 「・・・とりあえず詳しくは月曜にも教えてくれ」

カネキ「え・・うん、教えられる範囲までなら」

ヒデ 「・・・・」

ピッ


ヒデ 「・・・・」
ズズ・・

ヒデ 「・・・ごちそうさま」

トーカ「え・・あ、ハイ」

ヒデ 「カネキ・・お前は俺の手の届かないところに簡単に行ってしまうんだな・・」

トーカ「え・・(カネキって・・たしかあのリゼを殺ってかもしれない・・)」

ヒデ 「・・お代ここに置いときます」

カランカラン・・

トーカ「あ・・・また聞けなかった・・」

カヤ 「トーカ!ドアCLOSEにして!!」

トーカ「え?ハイ・・?」

古間 「芳村さん落ち着いて!赫子しまって!!」

芳村 「・・・・」ズズズズ・・・!!

古間 「よしむ・・えぶしッ!!」

トーカ「入見さん・・私には無理です」

ここまででー

こんばんは
もう少し行きます


#006 [永近]


月曜日、上井大学にて。


ヒデ 「あ、カネキ先輩おはようございます」

カネキ「うん、やっぱ完全に誤解してるね、ヒデ」

・・・

ヒデ 「はー・・そういう事か」

カネキ「そうだよ全く・・・確かにいいメガネだったけどね」

ヒデ 「・・・はぁ・・」

カネキ「それにしてもさ、さすがだよ先生は」

ヒデ 「何かあったのか?」

カネキ「僕のメガネ嗜好も、BL嗜好もバレてしまった。さすがの洞察力だよ」

ヒデ 「いや結構分かりやすいからな」

カネキ「それでさ、僕考えたんだけど」

ヒデ 「ん?」

カネキ「いずれ、僕が喰種ってこともバレてしまうかもしれない」

ヒデ 「・・・気を付けろよ?」

カネキ「うん・・でも万が一がある。だから」

ヒデ 「?」

カネキ「学校以外で・・・ヒデとはもう会わない方がいいかもしれない」

ヒデ 「えっ?」



カネキ「バレたとき、ヒデに迷惑がかかる」

ヒデ 「俺は・・大丈夫だぜ?」

カネキ「喰種対策法、僕もちゃんと読んだよ。喰種を喰種として匿った場合、どれだけ重い罪になるか知ってる?」

ヒデ 「だけどさ・・」

カネキ「僕にとってヒデは本当に大切な友達だよ」

ヒデ 「カネキ・・」

カネキ「だから・・・さ」

ヒデ 「・・・」

カネキ「でも、学校では普通に今まで通り接してよ?」

ヒデ 「・・・・あたりめーだろ」

カネキ「・・まあたまには一緒に食事もしたいな。むしろいきなり接点無くなるのも不自然だし」

ヒデ 「・・・そうだな」

カネキ「頻度を減らそうってこと」

ヒデ 「・・・あ、でもお前、飯食って大丈夫なのか?その・・吐き気とか」

カネキ「あ、それは平気。気合でカバーできるから」

ヒデ 「そ・・そうか」




ヒデ 「あ・・それならさ、あの喫茶店にしようぜ」

カネキ「あんていく?」

ヒデ 「おう。霧嶋さん、結構俺のタイプなんだよなー!」

カネキ「・・・・ヒデ」

ヒデ 「?」

カネキ「僕さ、喰種になって分かるようになったことがあるんだ」

ヒデ 「え?」

カネキ「例えばさ、ヒデはおいしそうな匂いがするんだよ」

ヒデ 「怖えこと言うなよ」

カネキ「いや、食ったりしないよ。常識的に考えて」

ヒデ 「まあ・・分かってるけどよ」

カネキ「でさ、高槻先生もそれなりにおいしそうな匂いがする」

ヒデ 「?」

カネキ「同じ講義受けてるみんなもおいしそうな匂いがする・・・でも」

ヒデ 「・・・」

カネキ「“あんていく”の店員さん、全然そういう匂いがしない」

ヒデ 「・・え?」

カネキ「霧嶋さん・・だっけ?それに他の店員さんも、おそらく喰種だよ」

ヒデ 「マジ・・・か?」

カネキ「リゼさんがよく来てたのも納得できるし、そう考えると他のお客も喰種が多いかもしれない」

ヒデ 「・・・冗談だろ?」

カネキ「だからあそこにはもう行くのやめよう。ヒデが危ない」


カネキ「じゃあ僕は帰るよ。また明日大学で」

ヒデ 「・・・ああ」


ヒデ (・・・・・馬鹿野郎)

***


ヒデ 「・・・霧嶋さん・・ホントに喰種だったのか・・・?」

ヒデ 「・・・あー考えてもしょうがねぇな」

ヒデ 「カネキ・・・」

『学校以外ではもう会わない方がいいかもしれない』
『僕にとってヒデは本当に大切な友達だよ』

ヒデ (アイツはドライだけど・・たぶんアイツなりに悩んだ答えなんだろうな・・)

ヒデ (なら・・・俺れも出来る限りのことをカネキのためにしてやりたい・・)


ヒデ 「ん・・・待てよ?」



嘉納総合病院。


看護師「永近さーん、永近英良さーん」

ヒデ 「へーい」

ガチャ

嘉納 「で、今日はどうしました?」

ヒデ 「実は最近食べ物を見ると吐き気がして・・」

嘉納 「ほう・・・」


・・・

嘉納 「うーん・・特に異常はないですからストレス性のものかもしれませんね」

ヒデ 「そうですか・・ところで嘉納先生」

嘉納 「ん?」

ヒデ 「先生って・・例の臓器移植を執刀した先生ですよね?」

嘉納 「・・・ああそうだよ・・・倫理的ににね、よくない事なのは確かだったよ。ニュースで言ってることは正しいよ」

ヒデ 「でも、そうしなきゃ、カネキを助けられなかったんですよね?」

嘉納 「ん?」

ヒデ 「カネキは、俺の友達です」


嘉納 「・・・そうか。彼、最近検査に来てくれなくてね。よかったらまた来るように言ってもらえないかな?」

ヒデ 「はい。言っておきます。でも大丈夫なんじゃないですかね?」

嘉納 「ん?」

ヒデ 「むしろ前より体丈夫になったようですし、相変わらず元気ですよ。ただ、食べ物を見ると吐き気がするみたいですけど」

嘉納 「・・・・君は」

ヒデ 「Rc値」

嘉納 「・・・」

ヒデ 「カネキの検査してる先生なら当然分かってますよね?」

嘉納 「永近君」

ヒデ 「はい」

嘉納 「ここでは何だから、後でゆっくり話そうじゃないか」

ヒデ 「そうですね」

嘉納 「よければ私の家でゆっくり話そう。迎えに行くが、明日は空いてるかね?」

ヒデ 「大学の講義の後なら」

嘉納 「よろしい」


次の日。


ブロロロロロ・・・

嘉納 「さ、ここだ」

ヒデ 「広い家ですね」

嘉納 「かつて私の友人の家だった。彼が喰種に殺されたのち、私が買い取って別荘にしている」

ヒデ 「・・・・」

ガチャ


嘉納 「この部屋で待っていてくれ。今、私の大切な実験体達がお茶を出す」

ヒデ 「?・・どうも」

・・・

シロ・クロ「「お茶です、どうぞ」」

ヒデ 「あ、どうも」
ズズ・・

ヒデ (双子かな?)


嘉納 「お待たせ」

ヒデ 「いえ」


嘉納 「で、私に話したいことがあるんじゃないのかね?」

ヒデ 「ええ」

ヒデ 「なんで、カネキの体を喰種に変えたんです?」

嘉納 「・・・・不可抗力だった」

ヒデ 「?」

嘉納 「事故に遭って亡くなった少女が普通でないことは、すぐに分かった。しかし、移植をしなければ彼を助けることはできなかった」

ヒデ 「そうですか・・・でも、カネキは悩んでいます。もっと早くカネキに教えるべきだったんじゃないですか?」

嘉納 「・・一か八かだったからね。喰種の臓器を移植された人間が喰種になるかなんてわからなかった」

ヒデ 「・・・」

嘉納 「君は友達思いだね」

ヒデ 「いえ・・」

嘉納 「しかし、不思議に思わないかね?」

ヒデ 「え?」



嘉納 「喰種の臓器は、人間のそれと同じなんだよ」

ヒデ 「そうなんですか」

嘉納 「君も本を読んでRc細胞のことを知ったんだろ?」

ヒデ 「はい」

嘉納 「実はごく微量だがRc細胞は普通の人間にもある」

ヒデ 「え?そうなんですか?」

嘉納 「人間と喰種の違いってのはね、その多い少ないの違いだけなんだよ」

ヒデ 「はぁ・・」

嘉納 「じゃあなんで人は喰種を区別するのか」

ヒデ 「あ・・れ・・」

嘉納 「そもそも、喰種はどうして生まれたのか」

ヒデ 「なんか・・寝、むく・・」

嘉納 「・・・それを知っていたら、誰だって私と同じことをするさ」

どさ

嘉納 「睡眠薬が効いた。シロ、クロ運ぶのを手伝ってくれ」

シロ・クロ「「はい、パパ」」



・・・

・・・・・

・・・・・・・


ヒデ 「・・・・あれ・・ここは?」

シロ 「おはよう」
クロ 「目が覚めた?」

ヒデ 「あれ・・・あ・・さっきの双子」

シロ 「暴走してないね」
クロ 「じゃあ成功だね」

ヒデ 「?何言ってんだ・・・ん?なんか背中痛てえ・・」

シロ 「お兄さんは手術を受けた」
クロ 「私たちより先に」

ヒデ 「手術・・・?」

シロ 「お兄さんは喰種になった」
クロ 「お兄さんの友達と一緒」

ヒデ 「ぐ・・喰種・・?」



シロ 「どんな感じ?」
クロ 「どんな気持ち?」

ヒデ 「・・・君らも手術受けるのか・・?」

シロ・クロ「「うん」」

ヒデ 「なんで?」

シロ 「パパとママを殺した奴に」
クロ 「復讐するため」

ヒデ 「・・・人間?」

シロ・クロ「「喰種」」

ヒデ 「・・・じゃあなんで喰種になるんだ?」

シロ 「本当の意味で殺したのは喰種じゃない」
クロ 「CCGとシステムを作った奴」

ヒデ 「・・・そっか」

シロ・クロ「「・・・」」

ヒデ 「だったら別に喰種になる必要ねーんじゃないのか?」

シロ・クロ「「喰種になってパパを助ける。それが近道」」

ヒデ 「パパ・・?・・・もしかして嘉納先生?」

シロ・クロ「「そう」」

ヒデ 「・・・・ははは」


シロ・クロ「「なんで笑う?」」

ヒデ 「嘉納先生、君たちのこと何て呼んでるか知ってる?」

シロ・クロ「「・・・」」

ヒデ 「実験体」

シロ・クロ「「・・・嘘だ」」

ヒデ 「嘘じゃねーぞ」

シロ・クロ「「・・・・うそだ」」

ヒデ 「・・・別の方法もあるんじゃねーの?」

シロ・クロ「「えっ?」」

ヒデ 「復讐・・が正しいのか俺には分かんねーけど、別に喰種にならなくてもその道はあるんじゃねーの?」

シロ・クロ「「・・・」」

ヒデ 「CCGがダメなら他にもあると思うぜ。俺は・・どうやら喰種にされたんだろ?・・だから人間も喰種も受け入れてくれそうなとこ行くから」

シロ・クロ「「そんなとこ無い」」

ヒデ 「あるよ・・・たぶん」

シロ・クロ「「・・・お兄さんは、どこ行くの?」」

ヒデ 「20区の“あんていく”。君らも行く?」

シロ・クロ「「・・・行かない」」


ヒデ 「・・よっと・・動けるな・・」

シロ・クロ「「行くの?」」

ヒデ 「おう。嘉納先生はもういないのか?」

シロ・クロ「「・・・東京に戻った」」

ヒデ 「あっ!そういえば道分からん!!」

シロ・クロ「「・・家の外まで送ってあげる。道なりに歩けばバスが通る通りに出る」」

ヒデ 「そっか。サンキュー」

・・・

シロ 「・・あんまり驚いてないね」
クロ 「喰種になったこと」

ヒデ 「うーん・・まあ若干は覚悟してた!」

シロ・クロ「「・・なんで?」」

ヒデ 「親友と・・気になってる子のため」

シロ・クロ「「単純だね」」

ヒデ 「ひでーな」

シロ・クロ「・・・じゃあ私たちはここで」

ヒデ 「ああ。ありがとう・・・よく考えた方がいいぞ喰種になること」

シロ・クロ「「・・・」」

ヒデ 「なんなら俺は君らの味方になるぜ」

シロ・クロ「「バカじゃないの?」」

ヒデ 「ハハハ・・」

**********


カラン カラン・・

トーカ「いらっしゃいませー」

ヒデ 「こんちわ、霧嶋さん」

今日はここまでにします

なお、次あたりから最初の予告通り下ネタ増えますので

では続きです
パンツはまだ履いていてください

#007 [笛口]


亜門 「6998ッ!!  6999ッ!!  7000ッッ!!!」

亜門 「ハァッ!!・・・ハァッ!!」


亜門 「ふう・・」

男の一人暮らしには似つかわしくない、全身が写るサイズの鏡に己の肉体を映しながら亜門はつぶやいた。

亜門 「・・・今日も僧帽筋は歌っている・・美しい・・」

ごくごくごくッ!!

プロテインを一気飲みし、掌にチョークを付ける。

個人邸宅、しかもマンションにあるということを考えれば狂気の沙汰である、としか言いようのない懸垂吊り輪に手をかける。

亜門 「ふんッツ!!」

十字懸垂である。

ギシ・・・ギシ・・・

天井が軋む。

亜門 「なのになぜッ!!!」

亜門の目から涙が毀れる。

亜門 「なぜ私がッッ・・・二位なのだああああ!!!」

『ボディビル選手権2位』と書かれた杯が部屋で光る。


亜門 「おおおお!!この世界は間違っているううううぅぅぅ!!!」


CCG本部。

真戸 「亜門くん、ちょっといいか?」

亜門 「どうしました、真戸さん」

真戸 「我々の新配置が決まった。20区だそうだ」

亜門 「20区?あそこはそこまで危険な喰種は居なかったと思いますが」

真戸 「それがね、“フエグチ”のつがいが逃げ込んだって情報が入ったのだよ」

亜門 「ほう・・・」

真戸 「私のクインケもつがいに会いたがっているようだよ・・フフフ」

亜門 「相変わらずですね、真戸さんは」

真戸 「キミも相変わらずワイシャツの下のタンクトップが透けているよ。タンクトップがそこまで似合うのはフレディ・マーキュリーかキミくらいのものさ」

亜門 「フフ・・ありがとうございます」

真戸 「さて・・私は士気を高めてくるよ。君も準備をしたまえ」

亜門 「またクインケでオ●ニーですか?娘さんにバレても知りませんよ」

真戸 「ふふ・・そのスリルが私の勘を高めるのだよ」


CCG20区支部。


ざわざわ・・・

「おい・・あれが噂の・・」

「ああ・・そうらしい」

「・・しかし、一人なのか?」

「分からん・・」


20区支部は、本局からの捜査官の派遣によりざわついていた。
それは、20区が比較的喰種の活動が静かであり、捜査官派遣が稀であるということだけではなかった。
今回派遣されてきたのが局内でも有名な変態職員コンビだからである。

亜門 「すみません、私とともに真戸上等捜査官が来る予定だったんですが、所用で今日は来られなくなってしまいました」

中島 「あ、そうですか」

亜門 「とりあえず今回のミーティングは私だけで」

草場 「はい、わかりました」

ブチッツ!
亜門 「・・おっとすみません。ボタンがはじけ飛んでしまいました。お気になさらず」

中島・草場「・・・・」


――――――――――そのころ真戸家。

アキラ「・・父よ、何度言ったらわかる?家でそういう事をするのはやめてもらいたい」

真戸 「ふっ・・成長したなアキラ」

アキラ「規則もあるだろうから私はそのクインケに触れることはしない、というか触れたくもないが、次家でそのようなことをしたら、燃えないゴミの日に出すぞ」

真戸 「ハハハ・・アキラはどんどん微に似ていくな」


少し時間はさかのぼり、“あんていく”にて。


トーカ「おいクソ新人、そのカップはそこに仕舞うんじゃねーよ」

ヒデ 「あれ?そうだっけ?めんごめんご、トーカちゃん!」

トーカ「・・・ったく。店長ももう少し注意してください」

芳村 「ふふ・・トーカちゃん、彼はこう見えて物覚えがいいよ。コーヒーの淹れ方もどんどん上手くなっている・・・それに私は嬉しいんだ。人間であった彼が、私たちとともに働いている」

トーカ「・・・ふん。まあ確かに上達は早えよな」

ヒデ 「いやーありがとうございます!店長、トーカちゃん!」

トーカ(・・・軽い)

芳村 「そうだ、永近君。ちょっと聞きたいことがあるんだ」

ヒデ 「?なんすか?」

芳村 「前キミが人としてウチに来ていた時、よく一緒に来ていた青年居ただろう?たしか・・・カネキ君と言ったかな?」

ヒデ 「ああ、カネキがどうかしたんですか?」

芳村 「・・・じっくり聞きたい。二階に来てくれるかな?」

ヒデ 「え?いいですけど・・」

芳村 「じゃあトーカちゃん、古間君あとはお願いするよ」ギンッ

トーカ・古間「!!は・・・い・・」


トーカ「・・・コマさん」
古間 「言うな・・・ヒデ君が無事帰ってくることを祈ろう」


ヒデ 「・・・ってわけで、あいつも俺と同じで元人間の喰種なんですが、色々あって素性を隠しながら大学行ってます。で、最近作家の・・えっと・・なんて名前だっけ・・」

芳村 「高槻泉」

ヒデ 「そうそう、その高槻先生ってヒトのとこでバイトしてるみたいですよ。でもその人にも喰種ってこと隠してるから、いずれバレた時俺に迷惑がかかるかもしれないって言って、今は大学以外ではあんまし会ってませんが・・」

芳村 「ふむ・・・・そうか」

ヒデ 「?・・まあアイツは俺よりもずっと冷静でドライなやつなんで心配はしてないですけど」

芳村 「・・・うんそうか。彼・・カネキ君は君が喰種になったことは知ってるのかい?」

ヒデ 「いえ、言ってないです」

芳村 「ふうむ・・・」

ヒデ 「?」

芳村 「言った方がいいかもしれないね。彼、カネキ君は君の友達なんだろう?」

ヒデ 「・・・そうっすね」

芳村 「・・私はね、君たちのような存在が、いつか喰種と人間の関係を良好にすることに繋がるんじゃないかと思ってるんだ」

ヒデ 「・・店長は、喰種なんですよね?」

芳村 「そうだよ」

ヒデ 「それなのに店長は、人間との共存を考えてるんですか?」

芳村 「・・そうありたいね。それに、君だってそう考えてるんじゃないのかい?」

ヒデ 「ハハハ・・そうっすね」


芳村 「私自身、カネキ君にはぜひ会ってみたいからね。よかった今度連れておいで。ぜひ会ってみたいからね」

ヒデ 「ええ、もちろんっす(なんで二回言ったんだ?)」


コンコン

トーカ「店長、リョーコさんとヒナミが来てますよ」

芳村 「うん、お通しして」

ヒデ 「あ、お客さんっすね」

芳村 「うん、まあそんなところだよ」

ヒデ 「?」


ガチャ

リョーコ「店長さんお久しぶりです」

芳村 「お久しぶりです、リョーコさん。それにヒナミちゃんも大きくなったね」

ヒナミ「こ・・・こんにちは」

リョーコ「あなたは新人さんかしら?」

ヒデ 「あ、ハイ。永近っていいます。よろしくっす!」

リョーコ「ふふ・・よろしく。ほら、ヒナミもご挨拶なさい」

ヒナミ「あ・・・あの・・ヒナミです・・」

リョーコ「もうこの子ったら人見知りで、すみませんね」

ヒデ 「いえいえ」


ヒデ 「トーカちゃん、あの人たちって店長の知り合い?」

トーカ「お客だよ」

ヒデ 「?なんで二階に?」

トーカ「・・・荷物受取に来ただけだから」

ヒデ 「荷物?」

トーカ「・・・肉だよ。アンタと同じで自分で狩れないから」

ヒデ 「あー・・・そっか」

トーカ「・・・」

ヒデ 「ダンナさんは居ないの?」

トーカ「・・・・白鳩に殺られた」

ヒデ 「・・・そっか」



芳村 「じゃあ取ってきますね。ちょっと待っててください」

リョーコ「いつもすみません」

ガチャ



ヒデ 「あの」

リョーコ「?どうしたの?永近さん」

ヒデ 「リョーコさんたちは20区に住んでるんですか?」

リョーコ「ええ、今はね」

ヒデ 「あ、そうっすか。いや、働く前から“あんていく”はよく来てたんですけど、初めてお会いするなーって思って」

リョーコ「うん・・・夫のお墓がこの近くにあるの」
ヒナミ「・・・・」

ヒデ 「・・・すいません、余計な事聞きました」

リョーコ「いいんです・・・私も、ヒナミも、もうあの人に縋って生きていてはいけないから」

ヒデ 「・・・俺に出来ることがあったら言ってください」

リョーコ「うん、ありがとう。大丈夫よ。もう、お墓に通うのはやめようと思うの。夫の・・マスクもお墓に埋めて・・・・私ったら初対面の人に何を話してるのかしらね・・ごめんなさいね」

ヒデ 「いえ」


ヒナミ「・・・・」ぐすっ

トーカ「・・・」

トーカ「ヒナミ、こっちおいで、一緒に本読もう?」

ヒナミ「うん・・お姉ちゃん」


ガチャ
芳村 「お待たせしました、どうぞ。またなくなったら言ってください」

リョーコ「ありがとうございます」

ヒデ 「・・・」

リョーコ「・・店長さん」

芳村 「どうしました?」

リョーコ「ごめんなさい、私のせいで白鳩をおびき寄せてしまって」

芳村 「・・・ヒナミちゃんのためにもあまり目立つ行動をしない方がいいですよ」

リョーコ「ええ。今彼と話していたんです」

ヒデ 「あ、ハイ」

リョーコ「主人のマスク、お墓に埋めて、それであの人に縋らずに生きていこうって」

芳村 「そうですか」

ヒデ 「あの・・ちょっといいですか」

リョーコ「え?」
芳村 「?」

ヒデ 「辛い聞いてすみません・・あのお墓ってお寺とかにあるんですか?」

リョーコ「・・いえ、林の中です」

ヒデ 「・・余計なお世話かもしれないんですけど、そこにマスク埋めるの危険じゃないっすか?」

リョーコ「え?」


ヒデ 「えっと・・喰種捜査官はリョーコさんたちを追ってるんですよね?て事は外出してるときマークされてるはずですよね。それなのに今まで直接リョーコさんを捕まえに来ないっていう事は、捜査官も今はリョーコさんが喰種か確信できてないって事なんじゃないっすか?」

リョーコ「!」

ヒデ 「・・で、その疑ってる人が山の中にある墓に喰種のマスク埋めたら、リョーコさんが喰種だって確信に変わりません?」

芳村 「・・・確かにそうかもしれないね」

リョーコ「・・・でも、私、主人のマスクが手元にあったら・・・あの人のこと思い出してしまって・・」

ヒデ 「・・・もしよかったらそのマスク、俺にくれませんか?」

リョーコ「え?!」

ヒデ 「俺、まだマスク持ってなくて・・・それに、別にダンナさんのこと忘れなくてもいいじゃないですか。俺は・・ダンナさんの代わりはできないっすけど、出来るだけみんなの役に立ちたいんです。だから俺がそのマスク受け継いで、ヒナミちゃんや、リョーコさんや、店の皆を守れるように頑張りますから」

リョーコ「・・・・永近さん・・!」


ガチャ
トーカ「店長ー辞書ってありましたっけ・・・ってなにリョーコさん泣かせてんだクソ新人!!」

芳村 「トーカちゃん・・・大丈夫だよ」

トーカ「え?」

芳村 「辞書は一階にある。行こうか?」

トーカ「え?え?」

芳村 「・・・永近君は大した男だよ」
ガチャ

今日はここまでにします


>>116
× ヒデ 「辛い聞いて・・」
○ ヒデ 「辛い事聞いて・・」

でした
すみません

続きいきますね


#008 [暴露]


高槻 「あー・・・行き詰ったなぁー」

カネキ「なんです急に」

高槻 「カネキ君」

カネキ「はい」

高槻 「取材行こう!取材!!」

カネキ「え・・・どういう事です?」

高槻 「今週の金曜の夜から日曜の夕方まであいてる?」

カネキ「まぁ特に予定はないですね」

高槻 「おっけ!」

カネキ「?」



カネキ「・・・ていう訳で、今週末また泊まり込みでバイトになりそうなんだよね・・」

ヒデ 「マジか・・結構ハードだな」

カネキ「うん。だから今週はやめとくよ」

ヒデ 「そっか」


ヒデ (はー・・・大学でいきなり“実は俺も喰種になったんだ”なんていう訳にもいかねーし・・)

ヒデ (なんか店長もカネキに会いたがってたから“あんていく”に連れてって、そこで打ち明けようと思ったんだけどなー・・)

ヒデ (また来週にすっか)


・・・

ヒデ 「つーワケで、カネキを週末にでも連れてこようと思ったんですけど」

芳村 「・・・」

ヒデ 「店長?」

芳村 「いや・・何でもないよ。そうか、まあ急に出なくても良い。時間が合うときに来てくれればいいんじゃないかな」

ヒデ 「そうっすね」


リョーコ「永近さんこんにちは」

ヒデ 「あ、リョーコさん。“荷物”取りに来たんですか?店長今『少し一人にしてほしい』とか言って地下行っちゃったんですよね・・」

リョーコ「あ、そうじゃないの今日は」

ヒデ 「?」

リョーコ「・・・マスク持ってきたの」

ヒデ 「・・・はい」


金曜日。


カネキ「ふー・・授業終わったね」

ヒデ 「おう。あれ、お前今日の夜からバイトだったよな?」

カネキ「うん。いったん家帰って着替え持ってから行くつもり」

ヒデ 「なんつーか。ホント大変だな」

カネキ「いや、もう慣れたよ」

ヒデ 「それにしても高槻先生・・だっけ?結構綺麗な人なのな」

カネキ「うん、メガネが引き立つよね」

ヒデ 「・・・まあ敢えて今更突っ込まねーが、あんな綺麗な人の家に泊まり込みでバイトってなんか問題起きねーのか?先生独身だろ?」

カネキ「いや、泊まり込みって言っても殆どの時間文章呼んでるだけだし。ヒデの期待するようなことは何もないよ(基本的には)」

ヒデ 「ふーん」

「ねえねえカネキ君」

カネキ「え?」くるっ

ぶに←高槻先生の人差し指がカネキのほっぺにささる音

カネキ「えっ?!高槻先生?!」

高槻 「ゴメンねー時間無くて大学まで来ちゃったー」

カネキ「え?」

高槻 「新幹線の時間あるからー」

カネキ「はい?」

高槻 「ホラ行くよー乗り遅れちゃう」

カネキ「ちょっと意味が分かりません」

高槻 「とにかく遅れるから早く!駅までタクシーで行くよー温泉が待ってる!!」

カネキ「ちょっ!手引っ張らないで!!今行きますから!!・・ごめんヒデまた来週!!」

ヒデ 「」


新幹線の中。

高槻 「ふー・・間に合ったぁ」

カネキ「・・・説明をお願いします」

高槻 「え?取材に行くって言ったでしょ?」

カネキ「・・さっき“温泉”とか言ってませんでした?」

高槻 「取材先の近くに温泉があるからねー入らないわけにいかないじゃないですかー」

カネキ「はぁー・・・ってこのまま泊まりですか?!」

高槻 「え?そうだけど?」

カネキ「僕、着替えとか何も持ってきてませんよ・・」

高槻 「下着くらいどっかで買えるよ」

カネキ「・・・まあもういいですけど。すでに電車乗っちゃいましたし」

高槻 「うむうむ」


カネキ「で、取材って何ですか?僕は何をすればいいか全くわからないんですが」

高槻 「うん、実はね次の作品なんだけど“喰種”をテーマにしようと思うのだよ」

カネキ「・・・“喰種”ですか」

高槻 「どした?」

カネキ「あ・・いえ、なんか怖いなって」

高槻 「ははは、大丈夫。喰種とお話しするわけじゃないから・・まあお話しできたら一番いいんですがねー」

カネキ「そうですか」



高槻 「CCGって知ってる?」

カネキ「ええ、まあ。喰種を捕まえたりする人たちですよね」

高槻 「うん、これから取材に行くのはね、そのCCGと関係のある会社なのだよ」

カネキ「・・・つまり捜査官サイドから書いていくってことですか?」

高槻 「それはまだ分からないけど。でもCCGにとって有益な情報は得られるかもしれないと思ってね」

カネキ「?」

高槻 「本当はCCGに直接取材したいんだけど、あそこセキュリティ厳しいんですよー」

カネキ「でしょうね」

高槻 「だからCCGに有益な情報をゲットして、タレコミの名目でCCG捜査官とお話しする機会を得る!」

カネキ「なるほど」

カネキ(・・・でもCCGか・・・バレないようにしなきゃな、僕のこと)

高槻 「ついでに温泉にも入るのだよ」

カネキ「・・そっちメインではないですよね?」

高槻 「取材の時は私がお話をするので、特に何かしなくていいですよ。ただ、気づいたことや、違和感など感じたことがあったら後で教えてください」

カネキ「はあ・・・わかりました。」


***

高槻 「ふいーお疲れ様」

カネキ「お疲れ様です」

高槻 「じゃあ宿行こうかねぇ」

カネキ「はい」

・・・

高槻 「で、何か気づいたことあった?」

カネキ「・・・なんていうか先生、そもそも喰種を溶かした溶液の話とかってどこから聞いてたんです?」

高槻 「知り合いの社長さんから」

カネキ「・・・さすが人脈広いですね」

高槻 「で、どうでした?」

カネキ「うーん・・・取材に答えてくれた人、何か隠してる感じがしましたね」

高槻 「ほうほう」

カネキ「特に社長さんのこと聞いたとき、目が泳いでました」

高槻 「さすがだねワトソン君」

カネキ「いや、だって辻褄合わないじゃないですか。CCGとの契約で溶液を販売するっていうのは言うなれば硬い売買ですよね?それを特に理由なく契約解除して、しかもその社長は事故死って」

高槻 「うん。まるでよくできたミステリー小説だよねぇ」

カネキ「ええ」



高槻 「という訳でここで出来る仕事はお終いですねー」

カネキ「?」

高槻 「社長の事故死の件はこれ以上会社に聞いても答えてくれないですよ。あとは東京に帰ってからの作業ですね」

カネキ「はあ・・・あ、じゃあ明日帰ります?」

高槻 「何言ってるんですか!今日中に取材が終わったおかげで明日一日オフですよ!温泉入ったりしないと!!」

カネキ「・・・やっぱりそっちメインなんじゃないですか?」



高槻 「でも今日はさすがに疲れました。温泉は明日の朝に入るとして、今日は部屋についているお風呂に入って寝ます」

カネキ「そうですか」

高槻 「カネキ君は大浴場行ってきていいですよ」

カネキ「いえ、僕も疲れたので部屋の風呂に入ります。先生先入っていいですよ」

高槻 「そうですか?ではお言葉に甘えて」

・・・

ガチャン

カネキ(・・・)

カネキ(先生・・・・無防備すぎますよ)ニヤァ



カネキ(そもそも、アシスタントだからって一緒の部屋に泊まるってどうかしてますよ)

カネキ(先生はその辺の常識皆無ですね)

カネキ(家にお邪魔するときも、いっつも思うんですが、風呂入るとき身に着けていたもの部屋に脱ぎ散らかして行くの、やめた方がいいですよ)

カネキ(僕だって、健康な男子なんですから)

カネキ(だからそれが僕に使われても)

カネキ(仕方 
     ないよ 
  ね?)



ごそごそ・・・・






ガチャリ

カネキ「!!」

高槻 「オーケーそこまでだ」

カネキ「なっ・・・!!」



高槻 「・・ワトソン君、君は二つのミスを犯した」

カネキ「・・・ミ・・スだって?」

高槻 「一つ、いつも私は、君が仕事をしている部屋から一つ隔てた私の仕事部屋に、着ていたものを脱ぎ散らかして行く。だが今日は同じ部屋でさすがに君のいる前で服を脱ぐ訳にはいかず必然的に私はバスルームで服を脱ぐ」

高槻 「そうなると、さすがにバスルームに入ってくるわけにはいかず、君はまだ着ていない下着を拝借するために私の荷物を漁ることになる!」

カネキ「・・・くっ」

高槻 「二つ、普段私は着替えのパジャマをバスルームの前のスペースに置いている。しかし今日は急いで出てきたため、パジャマは無く、旅館備え付けの浴衣を着るしかない」

高槻 「その浴衣はどこにある?」

カネキ「ハッ・・・布団の上に置いたまま・・!」

高槻 「そう。いつもと勝手が違うため、うっかり布団の上に置き忘れた私が戻ってくるということに気付かなかった!!」

カネキ「・・・・ふっ」

高槻 「さあ観念しなさい。そしてその右手に隠しているものを見せるんだ!」

カネキ「・・・ふっ・・・はっはっはっ!!」

高槻 「何が可笑しい?!」

カネキ「ええ・・いいですよ?お見せします。僕が右手に持っているものでしたよね・・・ほらァ!!」

高槻 「下着・・・じゃない!!それは・・私のメガネッ!!」


カネキ「そうですよ。メガネです。メガネがどうかしました?!確か先生・・・僕の聞き間違えじゃなければ“下着”とかなんとか言ってましたよね?」

高槻 「・・・くっ!!」

カネキ「どうしたんです?ホラ。メガネですよ?コレがなんだっていうんですかァ?!」

高槻 「・・・」

高槻 「でも、使ったよね?」

カネキ「・・・へ?」

高槻 「私がお風呂から出るといつもスッキリした顔してたけど」

カネキ「え?あの」

高槻 「試しに一回、私がお風呂入ってるときのトイレの音声を録音したことがあるんだけど聞く?」

カネキ「・・・・・えっと」

高槻 「・・・ていうかカネキ君、声大きいからいつも結構聞こえてるけど」

カネキ「・・・あの」

高槻 「『先生、すごくいいメガネですッ!!』」

カネキ「えー・・・・・・・・・ごめんなさい」




高槻 「・・・・」じー

カネキ「・・・そ・・そんなに見つめないでください」

高槻 「・・・・」じとー

カネキ「・・・あの・・・・・あっ!!」


・・・・先生の瞳の中に映る僕の左目は、赤く染まっていた。


カネキ「・・・っ!!」

とっさに左目を手で覆った。

バレた。

間違いなくバレた。

どうする?

どうする?


高槻 「知っていたよ」


カネキ「・・・え?」


高槻 「別にカネキ君が喰種だからって私としては構わないんだけど、それに私が気づいてるって知ったら、逃げちゃうんじゃないかと思ってね」

カネキ「あー・・・・僕と同じ考え方ですね」

高槻 「ていうか、ホントのこと言うとカネキ君から取材したかったんだけどねー」

カネキ「それってたぶん無理ですね。僕、元は人間なので」

高槻 「ん?」

カネキ「実は・・・・」


・・・


高槻 「へー、喰種から臓器移植されると喰種になるのか。ほー」

カネキ「絶対そうなのかは知りませんけど」

高槻 「それ、面白いね。ネタにしよう」

カネキ「えっ?!やめてくださいよ。それこそCCGとかにばれたら日常生活困難になるじゃないですか」

高槻 「えーじゃあ実名出さないし、設定色々いじるからさー」

カネキ「うーん・・・」

高槻 「それで今回の件を不問にしてあげてもいいのだが」

カネキ「存分にネタにしてください」

ちょっと休憩します

では続きです


#009 [仮面]


高槻 「はー取材お疲れ様ー」

カネキ「まあ後半は温泉入ってただけでしたけどね」

高槻 「カネキ君だって温泉入りまくってじゃない」

カネキ「まぁあったら入りますよ。常識的に考えて」

高槻 「欲望に忠実なのは素晴らしいよね。よし、昼ご飯を食べて今日は解散としよう」

カネキ「先生の家行くんですか?・・・ってちょっと待ってください」

高槻 「ん?」

カネキ「・・・今まで先生が僕に作ってくれたゴハンって・・もしかして人間の肉ですか?」

高槻 「そうだと言ったらどうする?」

カネキ「・・・まぁもう食べてしまったので今までの分はしょうがないですが、倫理的にも今後はやめたいですね。僕、気合で普通のゴハン食べられますし」

高槻 「うーん・・私が集めた情報によると喰種は気合でも普通のゴハンで空腹を満たすことはできないはずなんだけどなぁ・・・・まあ、違うよ。人間の肉じゃないから安心して食べ給え」

カネキ「・・・本当ですか?」

高槻 「本当だとも。もし嘘だったら、私を食べていいよ」

カネキ「恐ろしいこと言う人ですね、先生は」

高槻 「ほれほれ噛みついてごらん」

カネキ「まったく先生は・・まあ信じますよ」

高槻 「じゃあ今日もハンバーグにするかね」


カネキ「ごちそうさまです」

高槻 「はいはい」

カネキ「じゃあ僕そろそろ帰りますね」

高槻 「うん・・あっちょっと待って」

カネキ「なんですか?」

高槻 「知ってるかい?巷では喰種は“マスク”を付けてるらしいよ?」

カネキ「マスク?花粉症か何かですか?」

高槻 「いやいや、マスクって言っても仮面みたいなものだよ。CCG捜査官と戦うときに顔がバレないように着けるようだよ。それにその赤い目を隠せるからじゃない?」

カネキ「へー・・先生詳しいですね」

高槻 「だってCCGのホームページに書いてあるし」

カネキ「あーそうですかー」

高槻 「だからさ、カネキ君もマスクつけてみてよ」

カネキ「はい?」

高槻 「考えてみてよ。喰種のつけるマスク作ってる人ってどんな人?」

カネキ「あー・・・喰種でしょうね」

高槻 「でしょー?だからマスクを作る傍ら、潜入捜査をお願いしたいのだよ」

カネキ「でも僕そんなお店知りませんよ」


高槻 「ふっふっふ・・実はもうアタリを付けてあるのだよ」

カネキ「まあそういう流れになることは大体想像してました」

高槻 「場所は4区。お店の名前は“HySy ArtMask Studio”。来週のヒマな時にでも行ってみてよー」

カネキ「はぁ・・分かりましたよ」

高槻 「さすが私の見込んだ変態有能アシスタントだね」

カネキ「変態ではありません。美学です」

高槻 「ずいぶんと大きく出たね。じゃあこれを前にしても平常心でいられるかね?」
すっ

カネキ「・・・そのメガネどうしようっていうんです?」

高槻 「君が望むならあげようか?」

カネキ「いえ、いりません。早急にかけてください」

高槻 「なん・・だと?」

カネキ「美しいメガネは美しい人がかけてこそです」

高槻 「・・・ま、いいでしょう」すちゃっ

カネキ「じゃあ、帰ります。マスク屋さん、出来る限り来週行きますから。行ったら連絡しますので」

高槻 「あ、ウン」

カネキ「それじゃ、おつかれさまでした」
ガチャ

高槻 「・・・」


上井大学にて。

ヒデ 「おーっす」

カネキ「おはよう、ヒデ」

ヒデ 「・・・温泉行ったのか?」

カネキ「え?ああ、行ったよ。取材の後」

ヒデ 「はあ・・羨ましい奴」

カネキ「いや・・なんというか・・大切なものを失った気がするよ」

ヒデ 「・・・お前、まさかッ」

カネキ「?・・・まあでもこのバイト、何もしてないときは本読んでること多いしすごい楽しいよ。ヒデはバイトとかしないの?」

ヒデ 「あ、俺もバイト始めたんだぜ」

カネキ「へー。何?」

ヒデ 「喫茶店のアルバイト」

カネキ「ヒデなら何でも上手くいくと思うよ」

ヒデ 「そうか?・・・じゃあさ、俺がバイトしてる店、来てみねー?」

カネキ「あー・・行きたいけど今日はちょっと行かなければいけないとこあるから」

ヒデ 「そっか・・もしかしてまた高槻先生関係?」

カネキ「うん。さすがヒデは鋭いね」

ヒデ 「いや・・・なんていうか・・・最近お前高槻先生とずっと一緒にいるだろ・・・」

カネキ「言われてみればそうかも」

ヒデ 「・・・前は俺とばっか一緒に遊んでたのにな・・」

カネキ「・・・あれ?ヒデもBL理解し始めた?」

ヒデ 「断じて違う」



カネキ「じゃあ、近いうちに必ずヒデのバイトしてるお店遊びに行くよ・・・あ、そこコーヒーあるよね?」

ヒデ 「もちろんあるぜ」

カネキ「よかった・・・・あ授業始まる」

ヒデ 「おう」


・・・


ヒデ 「じゃ、俺バイト行くから。また明日な」

カネキ「うん」


カネキ「さて、4区だったよね」


――――――――――“HySy ArtMask Studio”

カネキ「ここかぁ・・・雰囲気怪しすぎるなぁ・・まあいっか」
ガチャ

カネキ「こんにちはー」

・・・・

カネキ「人いないのかな?」

カツ  カツ・・・

カネキ(店内にはマスク、髑髏・・・)

カネキ(まあ確かに4区ってこういう雰囲気のお店多いけど)

カネキ(店主の人、バカなのかな?これじゃ喰種ってバレるでしょ)


バサッ!!
ウタ 「・・・きみ、誰?お客さん?」

カネキ「あ、そうです。マスク作ってほしくて来ました」

ウタ 「・・・・」

カネキ「?どうしました?」

ウタ 「いや・・ちょっと驚かそうと思って隠れてたんだけど・・・驚かないね、きみ」

カネキ「え?・・ああそうだったんですか。すいません」

ウタ 「いや・・きみが謝ることじゃないよ。まあいいや・・ぼくは店主のウタです。こっちに来てください」

カネキ「はい」


ウタ 「きみ、どこの区に住んでるの?」

カネキ「20区です」

ウタ 「20区か・・・平和でいいよね。ここ座って。サイズ測るから」

カネキ「あ、ハイ」

・・・

ウタ 「名前、聞いてもいいかな?」
カネキ「カネキケンです」

ウタ 「いいね・・名前にキケンが隠れてる」
カネキ「はぁ」

ウタ 「うーん・・きみ喰種だよね?」
カネキ「そうですけど」

ウタ 「不思議な匂いがするね。よかったら赫眼見せて?」
カネキ「あ、ちょっと待ってください」

カネキ(カクガンってあの赤い目のことかな?・・しまったどうやれば目が赤くなるのかわかんないや・・まずいな、このままじゃ色々とばれちゃうかもしれない・・)

ウタ 「あれ?もしかして赫眼出せない?」
カネキ「あ、ちょっと待ってください」

カネキ(そうだ、この前の旅行の時のこと思い出せば・・・)

カネキ(メガネメガネメガネメガネメガネメガネメガネメガネ・・・)

ギンッ

ウタ 「!きみ・・・片目なんだね」

カネキ「え?・・・ああそうです。珍しいですか?」
ウタ 「うん・・初めて見たよ」

カネキ(そうなんだ)

ウタ 「きみ・・・もしかして・・隻眼の梟・・・じゃないよね?逆だし」
カネキ「?なんです?それ?」

ウタ 「・・・・」
カネキ「?」


ウタ 「うん・・・なんとなくイメージ降りてきたかな・・」
カネキ「そうですか」

ウタ 「なにか、要望ある?」
カネキ「要望・・ですか?」

ウタ 「うん・・このデザイン入れてほしいとか」
カネキ「あ・・・それなら」

ウタ 「?」
カネキ「これ、何かに使えませんか?」

ウタ 「眼鏡?・・・伊達メガネだね。どうしたのこれ?」
カネキ「僕の友達が選んでくれたものです」

ウタ 「ふうん・・大切な友達?」
カネキ「ええ、まあそんな感じでした」

ウタ 「・・・うん分かった」

・・・

ウタ 「じゃあ出来たら連絡するから連絡先教えてもらってもいいかな?」

カネキ「はい」

ギーーッ

イトリ「よっ!ウーさん・・・ってあれお客さんいたか」

ウタ 「もう終わるよ」

カネキ「あ、もう帰りますんで」



ウタ 「どうしたの、今日は」

イトリ「いやーたまにはさ、ウチで飲まない?って思ってー」

ウタ 「うん、いいよ。もう今日は終わりにするから」

イトリ「おっし!蓮ちゃんも呼ぶかぁ!来るかなーアイツ?」

カネキ「・・じゃあ僕はこれで失礼します」

イトリ「・・・ん?キミ・・人間・・じゃないよね?」

カネキ「・・・えっと」

ウタ 「大丈夫だよ、カネキくん。このヒトも喰種だから」

イトリ「やっぱ喰種だよね?変わった匂いしてるなぁー?」

カネキ「僕、そんなに変わってる匂いします?」

イトリ「うん。喰種なのに半分人間みたい。ちょっとおいしそう」

カネキ「怖い事言わないでくださいよ」

イトリ「ハハハっ!ねえ、キミ、キミも一緒に飲まない?」

カネキ「僕未成年なんで、お酒はちょっと」

イトリ「おー純だねぇー大丈夫アルコールじゃないよ」

カネキ「うーん、だったらお邪魔してもいいですか?(なにかネタになる情報が得られるかもしれないし)」

ウタ 「ぼくも嬉しいね。今日会ったばかりだけど、カネキくんには僕も興味あるし」

イトリ「へー。ウーさんがそう言うなんて、期待しちゃうなー!よし、れっつごー!」


では今日はここまでにします
おやすみなさい

さて、本日も更新します


#010 [交換]


――――――――――“BAR Helter Skelter”

イトリ「わが店へようこそ!えっと・・・名前なんだっけ?」

カネキ「カネキです」

イトリ「カネキチ君かぁー!どこ住んでるの?」

カネキ「20区ですよ」

イトリ「ふーん・・“あんていく”のとこか」

カネキ「・・・(やっぱり“あんていく”は喰種の店なのかな)」

ウタ 「ねえ、せっかくお店来たんだから何か飲もうよ」

イトリ「おっとそうだった!血酒“ワイン”でいい?」

ウタ 「うん」

カネキ「僕、水かコーヒーで」

イトリ「釣れない事言うなよー!!飲もうぜ!!お姉さんが奢ってあげるから!」

ウタ 「イトリさん、彼困ってるよ?」

イトリ「おっとすまんすまん。いや、若いコが店に来てくれて嬉しくてさー・・・ね、ちょっと飲まない?無理にとは言わないわ」

カネキ「うーん・・じゃあちょっとだけ」

ごくごく

カネキ(飲める・・ていうか美味い・・・やっぱりコレ人の血だよなぁ)

イトリ「おっ、意外といけるんじゃない?」


イトリ「おや?」

カネキ「?」

イトリ「ちょ・・・ちょっとカネキチ君!キミって隻眼なの?」

カネキ「?ああ、この目のことですか?ええ、そうですね」

イトリ「初めて見たワ・・でも左か・・確か“あんていく”にもいるって聞いたけど」

ウタ 「らしいね。僕も会ったことないけど」

カネキ「あの・・コレってそんなに珍しいんですか?」

イトリ「珍しいも何も!隻眼てのは人と喰種のハーフじゃなきゃならないって聞いてるけど!」

カネキ「はあ・・そうなんですか」

イトリ「でも噂によると“あんていく”の奴はちょっと違うみたいだけど」

カネキ「?」

ウタ 「カネキくんは、やっぱりハーフなの?」

カネキ「えっと・・・よくわかりませんが、母は人間でした。父は僕が物心ついたときは居なかったので・・(とでも言っておこう・・)」

イトリ「じゃあパパが喰種だったんだねー!“隻眼の梟”もそうなのかなー」

カネキ「隻眼の梟?」

イトリ「知らないの?」

カネキ「ええ、お恥ずかしながら」

イトリ「隻眼の梟ってのは・・まあ噂なんだけど、白鳩も恐れる最強の喰種だよ」

カネキ「へー」


カネキ「そういえばさっき言ってた“蓮ちゃん”て人も4区の人なんですか?」

ウタ 「蓮示君は20区だよ。“あんていく”に行けば運が良ければ会えるかもね」

カネキ(じゃあ前に会ってるかもな・・)

イトリ「そうそう。あんていくで一番小汚い服着て、無精ヒゲの奴!」

カネキ(会ってないな)

ウタ 「ひどいなイトリさんは」

イトリ「だってホントじゃん」

ウタ 「イトリさんだって。・・・今日は履いてる?」

イトリ「・・・・」

ウタ 「女の子なんだから下着は履いた方がいいよ」

カネキ「・・・・??」

ウタ 「ホラ、カネキくん引いてるし」

イトリ「これは健康法!健康法なのよ!!」

ウタ 「人間の世界では“露出狂”って言うんだよ、それ」

ウタ (まあ4区で白鳩狩ってたとき散々色仕掛けやらせちゃったからそのせいなんだろうなー)

カネキ「・・・・・・・・・・」

ウタ 「ちなみにカネキくん」

カネキ「・・・はい」

ウタ 「蓮示君、ちょっとソッチの気があるから、もし会うことがあったら気を付けてね?」

カネキ「え?ソッチ?」

ウタ 「うん。彼、血酒飲んだ時なんかすごい絡んでくるし、ボディタッチすごいよ」

イトリ「んな事言ったらニコのがガチオカマじゃん」

ウタ 「うん、でも蓮示君の風貌で攻められる方が怖くない?」

イトリ「あーそうかも」


・・・この時カネキは“マジかよ3次元でBL?!超見てみたい!!”と思った。
そして実際に蓮示とニコを見て、“そういうの求めてないから”と吐き気を催したという。


30分後。

ウタ 「・・・ぼく、もう、ちょっと限界かな・・」

イトリ「にゃにおー!ウーさん弱すぎぃ!かにぇきち君だってまだ平気にゃ顔してんのにー!」

ウタ 「・・イトリさん、呂律、まわってないよ」

カネキ「これ、おいしいですねー」
ごくごく


ウタ 「蓮示君も来ないみたいだし、ぼくは帰るね」

カネキ「え、ちょっとウタさん・・」

イトリ「うたさんばいばーい☆かにゃきちは帰らないよねー?☆」

ウタ 「キミのが強そうだし、イトリさんお願いね?出るときはCLOSEにして出れば大丈夫だから」

カネキ「・・・・」


***


カネキ「もう・・イトリさん、大丈夫ですか?」

イトリ「うーい」

カネキ「はぁ・・・」



イトリ「・・・ハッ!!」

カネキ「あ、眼覚めました?」

イトリ「今・・・何時?」

カネキ「えっと・・23時半ですね」

イトリ「イテテ・・ごめんよカネキチ君・・ってかキミ強いねー」

カネキ「そうですか?初めて飲みましたが」

イトリ「暇なときウチでバイトしない?」

カネキ「あー・・結構忙しいんでやめときます」

イトリ「っち残念・・・ってあれ?私に上着かかってる・・かけてくれたの?」

カネキ「ええ・・風邪ひいちゃいますよって思って」

イトリ「・・・・そう。あんがと」

カネキ「いえ」


カネキ「あ、そういえば聞きたいことあるんですが」

イトリ「ん?何?」

カネキ「さっき言ってた20区の“あんていく”って店員さんはみんな喰種なんですか?」

イトリ「あれ?知らないの?」

カネキ「はい・・、それと“あんていく”にも隻眼の喰種がいるって言ってませんでした?」

イトリ「おや、意外と聞いてるね・・・うーんそうねぇ。交換条件てのはどう?」

カネキ「交換条件?」

イトリ「情報ってのはすごい価値のあるもんなのよ?だからカネキチ君が“喰種”のレストランについて調べてきてくれたら、私も教えてあげるよ」

カネキ「“喰種のレストラン”ですか・・・」


数日後。

カネキ「お邪魔します」

高槻 「どうぞー」

カネキ「マスク、出来ました」

高槻 「ほう!どれどれ?」

高槻 「・・・」

高槻 「伊達メガネがはめ込まれて、左目だけ見えるようになってるね」

カネキ「はい」

高槻 「コレ作った人はカネキ君をよく分かってますなー」

カネキ「そうですか?」

高槻 「で、喰種とは接触できた?」

カネキ「はい、2人だけですが」

高槻 「どんなだった?!」

カネキ「えっと・・・一人はピアスにタトゥーで赫眼出しっぱなし。もう一人は露出狂。その二人の話で、少なくとも2人の同性愛者が出てきました」

高槻 「待って、意味わからない」


***

高槻 「なるほどねー。喰種は本能に忠実なのかなぁ?」

カネキ「いや、会った人が偶々そういう人たちばっかってだけかもしれないですよ」

高槻 (いや、君もなかなかだけどね)

カネキ「で、そのバーの主人に交換条件を持ち掛けられました」

高槻 「ふむふむ。どんな?」

カネキ「“喰種のレストラン”について調べてきてくれたら“あんていく”のことを詳しく教えてくれると」

高槻 「ああ、“喰種のレストラン”なら知ってるよ」

カネキ「知ってるんかい」

・・・

高槻 「ってわけでこのレストランは普段は喰種相手に食事出してるみたい。たぶん人間を捕まえて料理してるんじゃないかな?ここに取材に行ってその後行方不明になった人いるみたいだし」

カネキ「それは怖いですね」

高槻 「だからいずれここにもカネキ君に行ってもらおうと思ってたの」

カネキ「ええ?!」

高槻 「だって喰種なら食べられないでしょ?」

カネキ「・・まあそうかもしれませんけど」

高槻 「“あんていく”については私もよく知らないから助かりますねー」

カネキ「はぁ・・やっぱり行かなきゃダメなんですね」

高槻 「いやー優秀なアシスタントが居て助かるわ」

カネキ「もう、わかりましたよ。じゃあそのレストランでバーの人と食事してきますよ。嫌だなー人間食べるの・・・」

高槻 「・・・・」


高槻 「カネキ君、ちょっと待って」

カネキ「なんです?」

ごそごそ
高槻 「コレ」

カネキ「・・・肉?」

高槻 「キミにいつもご馳走してる材料だよ」

カネキ「・・・何の肉ですか?」

高槻 「なんだと思う?」

カネキ「人・・ではないですよね?」

高槻 「違うよ。でもとっても珍しい動物の肉だよ。なんの動物かはヒミツ」

カネキ「へーまあ人間じゃなきゃいいですけど」

高槻 「この肉を持っていってレストランの人に調理してもらいなさいな」

カネキ「それって可能なんですか?」

高槻 「情報によれば、そういった事してる喰種も居るみたい」

カネキ「そうなんですか?まあ一応試してみます」

高槻 「一回、一人で行ってみたら?いきなりその人と一緒に行って失敗したらアウトだし」

カネキ「まあそうですね」

***



――――――――――7区“喰種のレストラン”

カネキ「ここでいいのかなぁ・・」

カネキ「レストランって言うから一応正装できたけど・・」


高槻 『会員制レストランのようだけど強気に行けば意外と入れるかもしれませんよー』


カネキ「先生・・・だいぶ適当なこと言ってたな・・・ま、入ってみよう」

カネキ「こんにちはー」

・・・

ガチャ
店員 「・・・はい?」

カネキ「レストランだって聞いてきたんですが」

店員 「・・申し訳ありませんが当店は限られたお客様にのみご提供する会員制のレストランとなっておりますので」

カネキ「会員制ですか・・こちらは一流の料理を出すって聞いてきたんですが」

店員 「ええ、希少な素材を使用する場合も多ございます。ですから会員制という立場を取らせていただいております」

カネキ「へえ・・・じゃあこの食材、なんだかわかります?」

店員 「・・・これは・・」

カネキ「分からないんですか・・・はぁ・・一流のお店でありながらそんな事も分からないんですね。残念です・・・食事、出来なくて却ってよかったかもしれませんね。それでは僕はこれで」

店員 「・・・」

「待ちたまえッ!!」


カネキ「あなたは?」

月山 「僕はMM。もちろん本名ではないよ。このレストランではそう呼ばれているってことさ」

カネキ「店員さんですか?」

月山 「Non!僕はこの店の会員さ・・・でもさっきのやり取りを見ていて思ったよ。もうこの店の会員などやめた方がいいかもしれないってね」

店員 「え・・MM氏?」

月山 「この彼の言う通りじゃないか?この食材が分からないなんて・・君は本当にこのレストランの店員かい?!」

店員 「・・・申し訳ありません」

月山 「どうだろう、僕にもこの食材をご馳走してもらえないかな?代わりと言っては何だが僕の紹介で会員にしてもらうようお願いしてあげるよ。いいだろ?店員君」

カネキ「いいですよ」

店員 「もちろんMM氏の紹介であれば」

月山 「決まりだね!」

カネキ「すみません、ありがとうございます」

月山 「いや、いいんだ。君のように一流の味を知る人と知り合え、語り合うことができることこそ僕の喜びだからね!」

カネキ「ははは・・ぼくも嬉しいです」


***


月山 「ところでその食材・・どこで手に入れたんだい?」

カネキ「そうですね、それは秘密です」

月山 「・・・!僕としたことが・・お互いのプライベートについてはSecretだったね。許してくれるかい?」

カネキ「ええ。MMさん(あんまりあなたに興味ないですし)」ニコッ


月山 「中ではマスクをつける決まりになっているんだ。持っているかい?」

カネキ「ああ、そうですか」すっ

月山 「Verres(メガネ)・・・キミ、ここでの名前はまだ無かったね。その独特のマスクからVE君と呼んでいいかい?」

カネキ「ええ。(なんでも)構いませんよ」

店員 「お待たせしました」

月山 「Impatiemment(待ちかねたよ)!」



カチャ
月山 「・・・これはッ!!甘味・苦味・酸味が混ざり合う複雑な味わい・・・!!ただ甘いだけの肉に慣れた下賤なものはきっとこの複雑な味わいを不味いと断じるだろう・・しかし僕には解る!この味わいに隠され得難き幸福が!!」

カネキ「・・・ふーん」

月山 「VE君・・まさか・・・お気に召さないかい?」

カネキ「いえ、そんな事ないですよ。ただ・・いつも食べてる料理の方が美味しいですね」

月山 「なっ・・・なんと!!君は・・自身でも料理をするのかい?!」

カネキ「いえ、作ってもらっているんですが」

月山 「ふむ・・・なるほどね」

カネキ「?」



月山 「主婦は常にCafeの香りに責任を持たねばならず、主人は吟味に抜かってはならないという・・・キミに料理を作ってくれる人とはそんな方なのかな?」

カネキ「“味覚の生理学”ですか?別にそういう訳じゃあないと思いますが・・」

月山 「フフ・・なんにせよ素晴らしい」


・・・

店員 「VE様、本日は失礼いたしました。次回からはご自由にお越しくださいませ」

カネキ「素晴らしい料理でした。僕こそ無礼な物言い、失礼いたしました。次回はこの素晴らしい料理を友人にも食べていただきたいので、二人で来ても構いませんか?」

店員 「勿論でございます」


カネキ「今日はありがとうございました」

月山 「こちらこそ素晴らしい時間をありがとう。今度は僕のからご馳走したいな。よければまたご一緒できないかな?」

カネキ(めんどうだなぁ・・)

カネキ「ええ、じゃあまたこのレストランで会いましょう。あなたとは、示し合せなくてもまたここで会える気がしますね」

月山 「エクセレント!」

カネキ(よし、連絡先教えないで済んだぞ)


***


カネキ「先生、おかげでレストランの会員になれました」

高槻 「マジで?!」

カネキ「・・・やっぱりテキトーな事言ってたんですね・・」


カネキ「・・・という訳で近く、イトリさんとレストラン行ってきます」

高槻 「うん・・・ん?イトリさん?」

カネキ「あ、バーのマスターですよ」

高槻 「ああ。女性なんだ?」

カネキ「ええ」

高槻 「ふーん」

カネキ「?」

高槻 「カネキ君、相手は喰種とはいえ女性なんだからちゃんとエスコートするんだよー?」

カネキ「エスコートって言われてもよくわかりませんが・・まあ頑張ります」

高槻 「ウン」

今日はここまでにします

では続きです

非常に不本意ながらまたしばらくシリアスになるかもです


#011 [逢引]

数日後。


ギーッ
イトリ「いらっしゃーい」

カネキ「こんにちは、イトリさん」

イトリ「おっカネキチ君。こんな早い時間にまた飲みに来たかー?」

カネキ「いえ、ちょっとイトリさんに用事があってきました」

イトリ「ん?」

カネキ「今日、これから時間あります?」

イトリ「え?何急に?」

カネキ「デートしません?」

イトリ「ふえっ?!」

カネキ「時間無いならまた今度でいいですけど」

イトリ「拒否する選択肢は無いってか・・カネキチ君意外と強引なんだね。いいよ今日はもう店終わり!」

カネキ「大丈夫です?」

イトリ「こんな誘われ方して行かないなんて女じゃないよ!」


カネキ「こんにちは」

店員 「いらっしゃいませVE様」

イトリ「え・・?ここって・・」

カネキ「レストランです。一緒に食事でもと思いまして」

イトリ「ここって、まさか」

カネキ「ええ」


・・・

イトリ「それにしてもカネキチ君には驚いたわ」

カネキ「何がです?」

イトリ「まさかカネキチ君がすでに喰種のレストランの会員だったなんて」

カネキ「いえ、イトリさんに言われた後、会員になりました」

イトリ「え?・・・それってそんな簡単になれんの?」

カネキ「いえ、多少強引になりました。大丈夫ですよ、会員から紹介されればなれるみたいなので、イトリさんは会員になれると思いますよ」

イトリ「強引って・・・カネキチ君って見た目の割に意外と狂暴なのかな?」

カネキ「狂暴?言われたことないですけどね」

イトリ「ふーん・・」


店員 「お待たせいたしました。本日は特別な食材を使用いたしました」

カネキ(あ、そういえば人の肉食べなきゃいけないんだろうなぁ・・)

店員 「前回VE様がお持ちいただいた食材を、今回は我々の方で用意させていただきました」

カネキ「そうですか(あ、人の肉じゃないみたいだ、ラッキー)」


イトリ「・・カネキチ君てホントは常連じゃない?」

カネキ「今回が二回目ですよ」

イトリ「本当侮れないわねぇ」

カネキ「とりあえずいただきましょうよ」

イトリ「そうね、いただきます」もぐっ

もぐ
カネキ(うーん・・やっぱり高槻先生の味付けのが美味しいなぁ・・)

イトリ「・・・・」

カネキ「あ、イトリさんどうです?」

イトリ「あ、うん。変わった味。おいしいよ」

カネキ「よかったです」


イトリ「はー・・・いや本当参ったわ。約束だから“あんていく”のことで私が知ってること教えてあげる」

カネキ「ありがとうございます、でもそれは後にしましょう」

イトリ「え?」

カネキ「今はイトリさんとの食事を楽しみたいですし」

イトリ「なっ・・・//」

カネキ(ふぅ・・・デートってこんな感じかな?思ってもいないこと言うのって疲れるなー)

イトリ「・・・お、お姉さんをからかっても何も出ないわよ」

カネキ「?」


***

イトリ「ねえカネキチ君」

カネキ「なんです?」

イトリ「キミさ、私たちの仲間にならない?」

カネキ「私たちって・・ウタさんとかですか?」

イトリ「うん。ウーさんもそう。あと何人かいるんだけど・・まあ4区からの腐れ縁連中よ」


カネキ「僕、とりあえず今は20区に住んでますし、人の大学に通ってるんですが」

イトリ「マジか!・・キミは知れば知るほどミステリアスだね」

カネキ「そういうもんですか」

イトリ「で・・・仲間になるってハナシ、どう?」

カネキ「仲間って具体的に何をするんです?」

イトリ「うーん・・そう言われると困るんだけど・・・まあ一緒に楽しいことするだけだよ」

カネキ「はぁ・・」

イトリ「キミの掴めない感じと不思議な雰囲気、そして隻眼!たぶん歓迎してもらえるよ・・・それに私ももっとキミと話したいし」

カネキ「うーん・・(仲間ってたぶん喰種の仲間だよなー・・面倒だなぁ・・)」

イトリ「ダメ?」

カネキ「少し考えさせてください。これから何回かイトリさんのお店に通って、他の仲間の方と会ってから考えたいですね」

イトリ「ん・・正論だね」

カネキ「それと、下着は履いてください」


イトリ「実を言うとさぁ、この喰種のレストラン調べてって言ったのもちょっとした悪ノリだったんだよねぇ・・」

カネキ「悪ノリ?」


イトリ「ここってさ、噂によれば不定期で人間解体ショーが行われるらしいのよ」

カネキ「それは踊り食い的な感じですか?」

イトリ「たぶんそうじゃない?」

カネキ「悪趣味ですねぇ」

イトリ「ふふっ・・でね、ハーフ喰種の君がそれ見たらどんな反応するかなーって思ったのよ」

カネキ「それは僕が半分人間だからって意味ですか?イトリさんもだいぶ悪趣味ですね(そういえば僕、ハーフってことになってるんだったな・・)」

イトリ「アハハ・・ゴメンゴメン!」

カネキ「まったく・・」

イトリ「私たちの仲間はね、そうやってお互いタチの悪いジョークを言い合うの」

カネキ「なんか急にそのグループに入りたくなくなってきましたね」

イトリ「冗談通じないなーカネキチ君は・・・まあでも・・・仲間に入るのが嫌だったらさ・・それどもいいけど、それとは別に・・私とは・・・・その友達でいてよ」

カネキ「え?・・・まあそれならばいいですよ?ってかもうすでに友人じゃないですか?こうやって一緒にご飯食べてるし」

イトリ「そっ・・・そうね!」

カネキ「あ、あと下着は履いてくださいよ」

イトリ「・・・・」





エト 「・・・」



カネキ「ふぅ・・ごちそうさまです」

イトリ「ねぇカネキチ君、この後さ・・・ウチの店で飲まない?」

カネキ「え?これからですか?」

イトリ「うん。だって“あんていく”の情報教えなきゃ」

カネキ「ああ、そうでしたね」

イトリ「ね?いいでしょ?貸し切りにするよ」

カネキ「・・なんか悪いですね」

イトリ「何言ってんの!他でもないカネキチ君のためだもの!!それに情報交換持ち掛けたのは私だし、これでこちらだけ情報もらったままなんてのは情報屋としてあるまじき行為だわ」

カネキ「・・じゃあちょっとだけお邪魔します」

イトリ「おーし!じゃあ準備しなきゃな!私は一足先に帰って準備するよ」

カネキ「そこまでしなくてもいいですよ」

イトリ「いいからいいから!・・まあでもちょっとだけ一緒に外歩こうよ」

カネキ「え?」

イトリ「だって・・・デートなんでしょ?」

カネキ「あ、うん。そうですね」


店員 「VE様、またのお越しをお待ちしております」


・・・

イトリ「ふふ・・デートだから手、繋ごうか?」

カネキ「そうですね」
ぎゅっ

イトリ「・・・・//」

カネキ「夜景でも見ましょうか?」

イトリ「あ・・うん」

・・・

カネキ「あのタワー、完成してからしばらく経ちますね。登りました?」

イトリ「まだ、登ってないよ。人間てすごいわねぇ。あんなでかい建物作るんだから」

カネキ「そうですね」

イトリ「カネキチ君は登ったの?」

カネキ「いや、僕も登ってはいないです」

イトリ「・・じゃあ今度登るか!人間のフリして!」

カネキ「ハハ・・そうですね」



カネキ「夜景綺麗ですね」

イトリ「夜景見てるとさ・・思い出すんだよね。4区にいたころのこと」

カネキ「4区は都会ですからね」

イトリ「ウーさんってさ、前は4区のボスだったんだよ」

カネキ「へーそうなんですか」

イトリ「でね、ある日蓮ちゃんが来てウーさんとケンカしだしたのよ」

カネキ「最初は仲悪かったんですね」

イトリ「まあ蓮ちゃんもツンデレだからねー・・でね・・ある日4区にCCGの死神がやってきた」

カネキ「CCGの死神?」

イトリ「おや、知らないの?有馬って奴だよ。噂では蓮ちゃんのお姉さんを殺したとか」

カネキ「強いんですか?」

イトリ「ウンすごく。で、結局その時は蓮ちゃんとウーさんが一緒に戦ったんだけど勝てなくてね」

カネキ「・・」

イトリ「蓮ちゃんにとってはお姉さんのカタキだからさ、無謀にも突っ込んでいきそうになったのよ」

カネキ「よく無事でしたね」

イトリ「直前で、ある喰種が蓮ちゃんを助けたの。その喰種が今の“あんていく”の店長よ」

カネキ「へー(あのおじいさんかな)」


イトリ「結局その後、蓮ちゃんはその喰種・・“芳村店長”と一緒にあんていくの一員となったの」

カネキ「あれ?蓮さんて人は仲間じゃないんですか?」

イトリ「違うよ。トモダチではあるけどね」

カネキ「ふーん・・じゃあウタさんの他ってどんな人です?」

イトリ「芳村店長があんていくの店長になる前に仲間だった奴とか、あと今はアオギリってチームに身を置いてる奴とか」

カネキ「結構ゆるいんですね」

イトリ「まあ、そういう緩いのもウリだからね・・・ハハハ」

カネキ「?」

イトリ「私ったら何喋ってるんだ。情報は命よりも重いのね・・・とりあえず今喋ったことはナイショね」

カネキ「ええ、わかりました」

イトリ「・・そろそろ私は店に帰って準備するよ。1時間ぐらいしたら来て」

カネキ「スイマセン」

イトリ「ふふ、じゃあまた二時間後に」


***

イトリ(はぁ・・・私なに浮かれてるんだろ)

イトリ(・・このイトリ様をこんな気持ちにさせた責任はとってもらわなきゃね)

イトリ(・・・・下着・・履くかぁ・・)





ピピピピピピピピピピ・・ピッ

イトリ「・・え?」

ズオォォォォン!!

今日はここまでにします

明日明後日は出張のため更新はできそうにありません

戻りました。再開します

それと>>195のイトリの最後のセリフは
×「二時間後に」
○「一時間後に」
でしたすみません


#012 [現実]


ヒナミ「あ・・・これはなんて読むの?」

ヒデ 「ちょっと待ってな・・・えっと・・これは『驟雨(しゅうう)』で意味は“急に降って来て、しばらくすると止んでしまう雨”だって。へーそんな言葉あるんだなー」

ヒナミ「ふふ・・お兄ちゃんも知らない言葉いっぱいでヒナミとおんなじだね」

ヒデ 「おう!自慢じゃねーが俺は漢字を知らないぞ!」

リョーコ「こらヒナミ、教えてくれるヒデさんにそんなこと言わないの!」

ヒデ 「ははは、いーんすよ。俺、本当にあまり本読まなかったので・・・友達にもよく“活字に触れろ”って言われます。最近ヒナミちゃんと一緒に勉強しててもっと本読もうかなーって思います」

リョーコ「うふふ・・じゃあ良ければ私の読んでる本お貸ししましょうか?ヒナミの読んでいる本ももともとは私の本なんです」

ヒデ 「これは“虹のモノクロ”・・・ああ高槻先生の本ですね」

リョーコ「ご存じなんですか?」

ヒデ 「ああ、さっき言ってた俺の友人が好きなんですよ。この人の本」

リョーコ「そうなんですか。その方にもお会いしてみたいですね」

ヒデ 「あー・・・・あいつに会うときは眼鏡かけてた方が好感度上がりますよ」

リョーコ「?」


コンコン
トーカ「おい、新人」

ヒデ 「あれ、どうしたの?トーカちゃん」

トーカ「どうしたのって、交代の時間なんだけど」

ヒデ 「あっゴメン!・・じゃあ俺下に行くんで!」

リョーコ「はい。いつもありがとうございます」

ヒナミ「お仕事、いつ終わるの?」

ヒデ 「あ、シフト夜までだから今日はもう無理かも。ゴメンね!」

トーカ「じゃあ私と一緒に本読もう、ヒナミ」

ヒナミ「うん!」

ヒデ 「じゃあ行ってきまーっス!」


ガチャン

トーカ「全く、アイツ軽いんだから・・」

ヒナミ「・・・お姉ちゃん、ヒデお兄さんのこと嫌い?」

トーカ「あ、イヤ!そういう訳じゃないよ。なんかアイツ軽いだろ」

リョーコ「・・・でもヒデさんは私たちやあんていくの皆さんのために一生懸命ですよね」

トーカ「・・まあそうなんですけどね」

ヒナミ「ヒデお兄さん、優しいから好きだよ」

トーカ「・・・まあ悪い奴じゃないよ。それに案外気が利く奴だし・・」

リョーコ「ええ・・私たち、ヒデさんのおかげで救われている気がするんです」

トーカ「そうですね」

リョーコ「・・・はい///」

トーカ(あれ?)



ヒデ 「スイマセン遅れました」

古間 「ヒデ君、お勉強は終了かい?」

ヒデ 「はい。ヒナミちゃん結構難しい本読んでて、俺も読めない漢字があったりするんすよねー」

古間 「うん・・・ところでヒデ君はどちらかというと年上好きなのかな?」

ヒデ 「え・・?何のことっすか?」

カヤ 「コラ、猿男。今日は店長お休みなんだから真面目に仕事しなさい」


**

ヒデ「ふう・・そろそろ終いかな」


カランカラン・・

ヨモ 「・・・英良」

ヒデ 「あ、ヨモさん。どうしました?」

ヨモ 「・・仕事終わったら話がある」

ヒデ 「?」


ヒデ 「で、どうしたんすか?」

ヨモ 「お前・・上井大学だったな?」

ヒデ 「はい。そうっすけど」

ヨモ 「西尾錦という奴を知っているか?」

ヒデ 「上井の学生ですか?・・・うーん知らないですね」

ヨモ 「薬学部の2年生だそうだ」

ヒデ 「いやー!学部違うし先輩なんてわかりませんよー」

ヨモ 「・・そういうものか」

ヒデ 「で、その西尾さんて人がどうしたんすか?」

ヨモ 「・・実はそいつがリゼの喰場だったところを荒らしている・・それ自体はそこまで問題ではないが、数が多い・・このままでは・・」

ヒデ 「・・・ハトをおびき寄せるってことっすか」

ヨモ 「そういう事だ」

ヒデ 「俺、その人に会ってみますよ」

ヨモ 「・・・すまないな」

ヒデ 「いえ、皆のこと守れるなら俺は・・」

ヨモ 「・・・」

ヒデ (・・ヨモさんってなんか距離近いんだよなぁ・・)


上井大学にて。

ヒデ 「えっと・・この部屋だって聞いたな」

コンコン

ヒデ 「しつれいしまーっす」
ガラガラ

西尾 「・・ん?誰オマエ」

ヒデ 「あ・・えっと国際学部1年の永近っす。あの・・実はお願いがあってきたんですけど」

西尾 「?」

ヒデ 「俺“あんていく”で働いてます」

西尾 「・・・ふーん。で?」

ヒデ 「ヨモさんから聞きました。西尾さん、最近食べ過ぎだって」

西尾 「・・・」

ヒデ 「このままだとハトを呼びかねないから・・」

西尾 「・・・あーそうだな。悪い悪い」

ヒデ 「?」

西尾 「いや、俺が悪かったよ。ホント。今後は気を付けるよ」

ヒデ 「あ・・えっと、スイマセン。ありがとうございます」

西尾 「いや、謝るのは俺の方だって」

ヒデ (ヨモさんの話と違って意外と話せる人なのか?)

西尾 「・・お詫びと言っちゃなんだけどさ、今日夜ヒマか?」

ヒデ 「え?」

西尾 「そうそう。“俺ら”でも行ける飲み屋あってさ」

ヒデ 「飲み屋っすか・・(人の肉出てくんのかよ・・)」

西尾 「そうそう。奢るよ?」

ヒデ (好意を断るのは良くねーな・・)
ヒデ 「そうっすか?じゃあぜひご一緒させてください」


***


西尾 「こっちだから着いて来いよ」

ヒデ 「はぁ・・なんか裏路地みたいなとこにあるんすね」

西尾 「ああ、だって裏路地のがいいだろ?」

ヒデ 「確かにそうっすね」

西尾 「裏路地の方が糞うるせーお前の悲鳴が聞こえないで済むしよ」

ヒデ 「え?」

西尾 「オラァァァァアア!!」

バシイイイイン!!

ヒデ 「グッ!!」

西尾 「俺さーオメーみたいな年下の糞生意気なガキに指図されんのスゲームカつくんだよ」

ヒデ 「にしお・・せんぱ」

西尾 「オラァ!」
ドゴッ!!

ヒデ 「ぐアッツ!」

西尾 「ん?お前片目だけ赤いのかよ、気持ちわりーな。つーかヨモに言っとけよ。あそこは俺の喰場だから文句言うなっての・・・ま・・言えねーか。お前ここで殺すからよ」
ヒュンッ!

ザシュッ!!
ヒデ 「あ・・・ぐ・・」

西尾 「お前、スゲー弱いのな。人間並みに柔らかいんじゃねーの?」


ヒデ 「西尾・・先輩・・。なんで最近食う量増えたんですか・・?月に1回も狩れば十分なんじゃないんですか・・?」

西尾 「内臓出しながら喋ってんじゃねーよ。ウゼー。てか赫子も出せねーのかよ」

ヒデ 「しかも・・全部食わずに少しだけ食って死体を捨ててる・・まるで憂さ晴らしに殺してるみたいだって・・・何かあったんですか?」

西尾 「・・・ウゼー・・・死ねよ」
ヒュンッツ!

・・・


ヒデ 「・・・」

ヒデ (・・・俺・・死ぬのかな・・)

ヒデ (・・内臓でまくって・・・喰種になってなけりゃー、即死だな・・)

ヒデ (俺が死んだら・・・・カネキ・・悲しむかな・・いや、アイツは一人でも大丈夫かもな)

ヒデ (・・・・)


『夫のマスクです。永近さんのおかげで私たちは先に進めそうです』

『お兄さん、早く帰って来て、またヒナミと一緒に本読もうね』

『ふんっ・・・クソ新人のくせにラテアート上手いじゃねーか』

『君が私たちと一緒に働いてくれていることが、とても嬉しいよ』


『僕にとってヒデは本当に大切な友達だよ』


ヒデ (・・俺、ここで死んだら誰のことも守れねーじゃねーか!)
ズグッ


西尾 「ッチ・・・ウゼーこと思い出させやがって」

ズグンッ!!

西尾 「え」

ズギュウンンン!!

西尾 「な・・・グアアアアアアア!!!」

ヒデ 「・・・・」

西尾 「テメッ・・・赫子をッ!!ギャアアアアアア!!!」

・・

西尾 「バカなッ・・・・俺が・・・っ」

ヒデ 「・・・うっ・・ぐっ・・」
ドサッ

西尾 「死・・・ミ・・き・・・・すま・・・」


***


――――――――――20区“あんていく”


ヨモ 「・・すまない。俺が見つけた時はもうこの状態だった・・・人工呼吸と応急処置をしたが・・」

トーカ「くそッ!!」

芳村 「・・赫子が出たことで少しだけ体の再生が行われたようだ・・しかし栄養が足りないためか目が覚めないのかもしれない」

ヨモ 「・・俺が西尾のことを言わなければ・・」

芳村 「ヨモ君のせいではない・・それに今は永近君が回復する方法を考えよう」

トーカ「・・コイツはついこの間まで人間だった。人間の医者に見せるのはどうですか?!」

芳村 「それはできない。医者が見れば彼が喰種であることがばれてしまうだろう。それに喰種である彼の体には針やメスなどは刺さらない」

リョーコ「あのっ!針が刺されば助かるんですか?!」

芳村 「・・人で言う“点滴”をすれば手っ取り早く栄養を摂取できるからあるいは・・」

リョーコ「・・・なら私、心当たりがあります!」


***


――――――――――11区某所

リョーコ「あの、すみません」

ヤモリ「ん?誰?」

リョーコ「私、笛口アサキの妻です」

ヤモリ「・・ああ」


リョーコ「お願いがあってきました。夫が作った喰種に使う医療機器を分けてもらえないでしょうか?」

ヤモリ 「なんで?」

リョーコ「知り合いの方がケガをしたんです。でも普通の機器では喰種には使えないので・・」

ヤモリ「・・・ふーん」

リョーコ「お願いですっ!」

ヤモリ「いいよ。別に」

リョーコ「ありがとうございます!!」

ヤモリ「でももう僕の前に現れないでくれる?面倒だからさあ」


・・・


ニコ 「アラ?よかったの?タダであげちゃって」

ヤモリ「ウン。アサキは便利なやつだったけど死んじゃったし。それにすごく弱そうだったじゃん今の奴。弱いだけのもの壊してもつまらないよね」

ニコ 「ふーん今日はなんだかクールなのね・・そんなヤモリもステキよ♡」

ヤモリ「ぜんぜん嬉しくなーい」



リョーコ「これで・・・ヒデさんがっ・・・」

「すみません」

リョーコ「え?」

「ちょっとお聞きしたいんですが」


***


ぴくっ
ヒナミ「・・・?!」

トーカ「ん?どうしたの、ヒナミ」

ヒナミ「・・・私・・お母さんをお迎えに行く」

トーカ「え?・・・あ、おい!」

カランカラン!



ヒデ 『カネキ・・トーカちゃん・・入見さん・・古間さん・・ヨモさん・・店長・・リョーコさん・・ヒナミちゃん・・・みんな・・』

『こんにちは』

ヒデ 『・・・誰?』

『・・・失礼ね』

ヒデ 『あ・・・カネキが気になってた眼鏡の人』

『本当に失礼ね、あなたたち』

ヒデ 『あ・いえ・・カネキがあんまりメガネメガネ言うもんでそのイメージになっちゃって』

『まったく、あの変態メガネフェチは』

ヒデ 『ハハハ・・・的確な表現っすね』

『あの子、自我が強固すぎて私の問いかけガン無視するから、アナタの方に会いに来たの』

ヒデ 『はぁ・・そうっすか』

『なによ、その乗り気じゃない感じ』

ヒデ 『いや・・・だって俺、あなたのことよく知らないんで』

『・・・確かにそうね。でも今はもう私とアナタは一体なんだから』

ヒデ 『?』


『アナタの中で、ずっとあなたを見てたわ』

ヒデ 『はあ』

『アナタ、大変ね。変態に振り回されて』

ヒデ 『いや、アイツは変態だけど、頭いいし冷静ででいい奴ですから』

『アナタだって頭いいじゃない?それなのにわざとチャラい言動で周りに嘘ついてる』

ヒデ 『別に嘘ついてる訳じゃないっすよ。俺は・・なんつーか勘は鋭い方かもしれないけど頭良くはないんで』

『そうね、そうやって勘が鋭いから、色々と先のことや隠されたことに気付いちゃって苦労する』

ヒデ 『ハハ・・』

『なのに最近のアナタの言動は少し変よね?医者のとこに行けば殺されるか、あるいは喰種にされる可能性、気づいてたでしょ?』

ヒデ 『いや・・まさか本当に喰種にされるとは思ってなかったっすから』

『・・寂しかったんでしょ?お友達は違う世界に行っちゃって、気になってた子も違う世界の住人だった』

ヒデ 『・・』

『アナタは昔から社交的で誰とでも仲良くなれる。でも俯瞰的に物事を見つめられるからこそ、“主体”が曖昧で心から信じることができる友達は居ない・・いえ、カネキ君くらいしかいない』

ヒデ 『・・』

『彼、常軌を逸した言動とるから、もう一周してヘタに気を回す必要がないものね』

ヒデ 『・・・』

『それに、退屈だったんでしょ?彼以外は大体“予測”できてしまうこの世界が』

ヒデ 『俺は・・・平和が一番だと思いますよ』

『フフ・・そろそろ起きたら?あなたのお気に入りのトーカちゃんが、心配してるわよ?』

ヒデ 『・・トーカちゃん』

『それに、“退屈じゃない”現実も待ってるわよ』

ヒデ 『・・・え?』


・・・

ぱち
ヒデ 「あれ・・・?俺・・」

トーカ「!」

今日はここまでにします

アサキって原作出てきたっけ?

続きです

>>226確かマンガには出てなかったと思いますよ


#013 [白鳩]


亜門 「真戸さん・・723番、あれ以来“石碑”に通う様子もなく特に目立った行動も見られませんね・・やはりシロなんでしょうか?」

真戸 「クク・・どうだろうねぇ。何とも言えないが結論を出すのは早い。私の勘では696番との関連はともかく、クロのような気がするがね」

亜門 「そうですか・・真戸さんの勘は当たりますからね」


篠原 「おーい、ちょっといいかい?」

亜門 「あっ篠原さん!」

篠原 「ようムキムキ亜門。あ、いちいち上腕二頭筋を強調するポーズ取らなくていいぞ」

亜門 「すみません、つい」

真戸 「で、どうした?」

篠原 「ああ、真戸。実はマルちゃんから二人に要請があってさ」

亜門 「丸手・・特等から?」

篠原 「ああ。アイツさ、今“11区特別対策班”の指揮官サマやってるみたいなんだよね」

亜門 「ああ、11区は最近物騒ですからね」

篠原 「でさ、二人には20区の担当と一緒に11区の捜査の助けをしてほしいんだと」

真戸 「ほう・・」


亜門 「具体的に何をすればいいんですか?」

篠原 「それは後でマルちゃんから直接聞いてよ。ちなみに俺も同じこと言われたから後で一緒に行こう」

真戸 「ふむ。じゃあ早速行こうか」


**


ガチャ
篠原 「うっす来たぞー」

丸手 「おおー篠原、真戸ォ良く来たな」

真戸 「クク・・あなたが呼んだんでしょうが。で、具体的に我々は何を?」

丸手 「おっとそうだったな。実はな、知っての通り最近11区がホットだ。そんで近く奴らのアジトと思しき場所を襲撃することになると思うんだが、まだ情報が少くねぇ。そこでお前たちで11区の喰種共の情報収集をしてもらいたいんだ」

亜門 「情報収集・・ですか」

丸手 「おぅ。主要な喰種の情報と敵戦力の量だな・・・それにしても相変わらずでけえなぁ・・」

亜門 「ふふ・・そうですか?毎日の筋トレの賜物ですよ」

丸手 「の割には去年の選手権、2位だったそうじゃねーか」

亜門 「・・・(昔からこの人の一言多いところが嫌いだ)」

丸手 「ま・そういう訳で、情報収集終了後はアジト突撃となるが、そん時はお前らも特別対策班として協力してもらうからな」



什造 「・・・情報収集しながら、いっぱい殺してもいいですか?」

丸手 「おう殺せ殺せ!喰種ならな!・・そういやお前が鈴屋だっけ?積極的でいい奴じゃねーか、さすが総議長推薦ってか?・・けど女みてーな外見だなぁ」

什造 「・・・・」ニヤァ

篠原 「ま・・マルちゃん、鈴屋は置いといて、他に声かけてる奴いるの?」

丸手 「おう、あとは黒磐班にも声かけたぜ」

篠原 「ああ、新しく2人加わったんだろ?」

丸手 「そうそう。黒磐んとこはとりあえずはお前らとは別行動だ。襲撃んときは一緒だがな」

真戸 「クク・・アジト襲撃か・・新しいクインケが手に入りそうだ・・」

丸手 「真戸・・“玩具”で遊ぶのも大概にしろよ」

真戸 「クックック・・・さて士気を高めてくるかな」

丸手 「だからそれを止めろって言ってんだよ」



美郷 「・・という訳で私たちは引き続き13区の捜査をしながら11区の喰種集団の情報を集めることとなった。分かったか奈白、黒奈」

クロ 「私が黒奈」
シロ 「私が奈白」

美郷 「あっすまない」

クロ・シロ(見分けつくように服の色変えてるのに分かんないのかな、この人)

黒磐 「うむ、そういう訳でとりあえずは13区の捜査に当たる。13区は狂暴な喰種が多い。安久達は十分注意するように」

クロ・シロ「「はい」」


***


――――――――――20区“あんていく”


シロ 「・・今日も休みだね」

クロ 「そうだね」

シロ 「あの人、ここに行くって言ったよね?」

クロ 「うん、言ってた」

シロ 「・・・」
クロ 「・・・」

シロ 「また今度にしようか」

クロ 「うん」


篠原 「・・なあジューゾー」

什造 「なんです?シノハラさん」

篠原 「お前、どう思う。“大食い”の件」

什造 「どうって何が?」

篠原 「あれだけの捕食数を誇っていたにも関わらず、最近は忽然と姿を消している・・」

什造 「うーん、ダイエットですかねぇ?」

篠原 「ハハ・・それは考えてなかったな」

什造 「早く捕まえて僕のクインケにしたいです」

篠原 「うーん・・・できたらいいんだけどさ。もしかしたらもう死んでるかもよ」

什造 「えー?!それじゃあ僕のクインケは・・」

篠原 「しばらくはサソリちゃんだな」

什造 「ぶー・・こんなちっこいナイフだけなんて嫌ですぅ」

篠原 「とにかくさ、“大食い”の足取りもう一回追ってみようよ」

什造 「はいです」


亜門 「真戸さん、ちょっといいですか?」

真戸 「あッツ・・・亜門君、今いいところだ。後にしてくれないか?」

亜門 「真戸さん・・怪我しないように気を付けてくださいよ」

真戸 「クク・・大丈夫だよ」


亜門 「さて、真戸さんがオ●ニーしてる間に俺は筋トレかな」



丸手 「おい亜門」

亜門 「丸手特等、どうしました?」

丸手 「13区の喰種集団について“神父”に知ってることは無いか聞いて来い」

亜門 「・・・」

丸手 「気が進まんのかもしれんが、これは命令だ。拒否権は無え」

亜門 「・・承知しました」

丸手 「・・・あと、局内の廊下で突然スクワットを始めるな・・新人が怖がる」

亜門 「拒否します」




――――――――――23区“喰種収容所コクリア”


ドナート「鋼太郎・・いとしい我が息子」

亜門 「黙れ変態ロリコン野郎」



ドナート「父親に対してなんて口の利き方だ。それにお前は変態筋肉野郎だろ」

亜門 「筋肉をバカにするな」

ドナート「ふっ・・・そういえばお前のパートナーはどうした?あの死神のような男だ」

亜門 「答える義務はない」

ドナート「そうか、またクインケオ●ニーか」

亜門 「・・・」

ドナート「相変わらずだな・・この私でもドン引きするよ」


**

真戸 「ふぅ・・・おや亜門君?」

丸手 「終わったか・・ファブリーズしとけよ。亜門は“神父”のところに向かわせた」

真戸 「なるほど・・情報収集のためか」

丸手 「ああ・・奴は筋金入りの変態だからな。勝手を知っている亜門に行かせる方が情報を聞き出せる可能性が高い」

真戸 「確か“小児喰い”のドナート」

丸手 「そうだ。肉が柔らかいからかは知らんが小児を好み喰っていた。女児に関しては二つの意味で喰っていた」

真戸 「クク・・変態だな」

丸手 「どの口が言うか」


ドナート「で、今日は何を聞きに来た?」

亜門 「11区の喰種についてだ」

ドナート「11区か。最近は色々と物騒らしいな。以前“ハギ”という喰種が治めていたころは比較的穏やかだったが、そいつが殺されてからは権力闘争が激しいようだ」

亜門 「・・・現在11区を治めているのは?」

ドナート「さぁてな・・・私もずっとこの中にいる。そこまでのことは知らん」

亜門 「・・では有力な喰種は?」

ドナート「ふん・・・鋼太郎、自分で考えたらどうだ?」

亜門 「黙れ・・お前はただ質問に答えれば良い」

ドナート「ふふ・・まあいい。では逆に聞くが、以前の11区リーダーを殺ったのは誰だと思うね?」

亜門 「・・・」

ドナート「11区を現在治めてる奴が誰かは私も知らん。だがな、11区の元リーダーを殺した奴が、現リーダーでないなら、それは何かカラクリがあるということだ」

亜門 「・・・」

ドナート「それで質問は終わりか?」

亜門 「いや・・もう一つ」


亜門 「ある喰種の夫婦のうち夫が駆除された」

ドナート「ほう」

亜門 「妻の喰種はしばらく夫の墓に通っていたとする」

ドナート「うむ」

亜門 「だがある日突然、墓に通わなくなったとしたら・・その理由は何だ?」

ドナート「ふふ・・お前らしいな。正解に近づいてはいるが経験不足からたどり着くことができていない」

亜門 「・・なんだと?」

ドナート「新しい男ができたんだろう。童貞のお前には難しいかもしれんがな」

亜門 「ど・・童貞ちゃうわ!!」



ドナート「以上で終わりか?」

亜門 「・・ああ。お前の欲しがっていたものはここに置いておく」

ドナート「助かるよ」

亜門 「しかし・・このコミックエルオーとはどんな雑誌なんだ?」

ドナート「鋼太郎・・お前は知らなくてもよい」


真戸 「お帰り、亜門君」

亜門 「あ、真戸さん。スッキリしましたか?」

真戸 「ああ。ずいぶんと士気も高まった。それでは早速11区に行ってみようじゃないか」

亜門 「はい、そうですね」



――――――――――11区、某所

亜門 「・・あの建物が11区喰種のアジトですか?」

真戸 「ああ、そうらしい」

亜門 「かなりの広さですね・・ん?誰か出てきましたよ」

真戸 「・・・おやおや」

亜門 「あれは・・・723番?!」

真戸 「ククク・・・亜門君我々はツイているようだよ」

亜門 「ええそうですね。真戸さん」

真戸 「行こうか。クインケの準備はいいかな?」

亜門 「はい」

では、今日はここまでにします

遅くなりました、続きです


#014 [均衡]


カネキ「・・・そろそろ一時間経つな」

カネキ(一応食事ご馳走になるし、お土産持参した方がいいだろうと思って急ぎ買い物も済ませた・・・そろそろ行くか)



――――――――――14区“BAR Helter Skelter”

コンコン
カネキ「イトリさん、カネキです」

・・・

カネキ「あれ?返事がない・・・」

カネキ「・・・うーん・・」
ガチャ

カネキ「あれ、空いてる・・・・おじゃましまーす」



・・・・・バーカウンターには血まみれで横たわるイトリの姿があった。

カネキ「うわ、イトリさんが死んでる」

イトリ「・・・生きてるよ・・アホ」

カネキ「え・・でも片腕ないですけど・・」

イトリ「・・フフフ・・・」

イトリ「このイトリ様が・・・まさかこんなカタチで殺られるとはなぁ・・」

カネキ「え・・?」

イトリ「カネキチ・・・私、赫包をやられたから・・もう時間がない・・・だから生きてるうちに君に“あんていく”のこと、教えるわよ」

カネキ「救急車呼びますよ」

イトリ「アホか・・・こっちも情報屋のプライドがあるからね・・時間無いからしっかり聞きな」

カネキ「・・・」



イトリ「“あんていく”は20区の喰種の喰場を管理している・・・従業員はすべて喰種だ。しかも皆かなりの手練れだよ」

カネキ「前言ってた店長ってお爺さんですか?」

イトリ「・・・ああ。芳村店長は20区では並ぶものが居ないほど強力な喰種。でもあの人は今は争いを好まない」

カネキ「“今は”?」

イトリ「かつて・・・“V”という集団が居た・・・芳村店長はVの殺し屋だった。Vは人間と喰種の均衡を保つ役割を担っていて、その均衡を壊すものを消していたんだ」

カネキ「あの人殺し屋だったんですか」

イトリ「うん・・・だがある時芳村さんは人間の女性に恋をし、二人の間に子供が生まれた。子供は半喰種だった・・と言われている。君と同じ」

カネキ「・・・それがこの前言ってた隻眼の梟?」

イトリ「アタリ・・・あくまで噂だけど」

カネキ「“あんていく”にも隻眼の喰種が居るって言ってませんでした?」

イトリ「うん。それは隻眼の梟とは別。なんでも事故で死んだ喰種から臓器移植を受けた元人間らしいわ」

カネキ(あれ?・・・それって僕だぞ??)

イトリ「・・実はその事故は仕組まれたものだったのよ」

カネキ「え?」

イトリ「20区にさっき言った“均衡”を壊す可能性のある喰種が現れた。その喰種は他の喰種と比べ奔放で、束縛を嫌い、各区の喰種集団の作ったルールを守らなかった」

カネキ「各区の喰種集団が決めたルールを守ることが“均衡”を保つことなんですか?」

イトリ「・・・・」

カネキ「・・・イトリさん無理しないでください」

イトリ「大丈夫よ・・・この先を聞いたら君は“均衡”を壊そうとするかもしれない・・・そしたら、私みたいに狙われるかもしれない・・・」

カネキ「・・大丈夫ですよ」

イトリ「カネキチ・・・私・・カネキチには生きていて欲しいから・・」

カネキ「ええ、約束します」


イトリ「・・・うん、わかったよ」

イトリ「・・・私たち喰種は白鳩に狩られないように、いくつかの集団を作って生活している」

カネキ「・・ええ」

イトリ「だから私たちは各集団でルールを作り、目立つほどには人を食わないようにしている・・“あんていく”もそう」

カネキ「はい」

イトリ「私たちが目立った行動をとらないから、白鳩も私たちを狩りつくすことはできない」

カネキ「・・・」

イトリ「・・わかった?それが均衡」

カネキ「それじゃあ、CCGは自分たちの仕事がなくならない程度に適度に喰種を狩ってるってことですか?」

イトリ「まぁ・・白鳩側からすればそうかな・・・でもねそれだけじゃない。もしCCGが無くて、私たちが好き放題に人間を食い続けたらどうなる?」

カネキ「人間は居なくなりますね・・・そうか、そしたら喰種はいずれ全滅する」

イトリ「そ。・・・だからお互いが滅びないようにバランスをとってる奴らが居るの。それがCCGとV」

カネキ「よくできたハナシですね」

イトリ「でしょ?・・・ホント悪い冗談よね・・・」

カネキ「・・・ん?待ってください、イトリさんはそのバランスを壊そうとしたんですか?」

イトリ「・・そのつもりは無かったけどさぁ・・・でもカネキチに出会って少しだけ考えが変わった」

カネキ「?」


イトリ「芳村店長の奥さんはねVの正体を追うジャーナリストで・・Vの正体に気付いてしまった。だからVによって消された・・・・消したのは芳村さん自身」

カネキ「え?なんで??」

イトリ「“ケジメ”を付けさせられたのよ」

カネキ「ヤクザじゃあるまいし」

イトリ「とにかくね、それがきっかけで芳村さんはVを抜け、20区で“あんていく”を始めた。自分の子供は24区に預けて」

カネキ「24区?」

イトリ「この東京の地下に張り巡らされた広大な迷宮の最深部よ。私も詳しくは知らない」

カネキ「はぁ」

イトリ「でね、・・・これは私の予想だけど、20区で芳村さんは有力な喰種を集め、奥さんとは違った方法で“均衡”を崩そうとしている」

カネキ「・・・それは?」

イトリ「人間と喰種の和解」

カネキ「・・そんな事出来るんですか?」

イトリ「私も無理だと思ってたけど・・君の存在を見てその可能性が見えた・・・・私も・・・それが出来るなら・・君と一緒に・・・」

カネキ「・・・」

イトリ「私は直接見てはいないんだけどね、そういう訳で“あんていく”にも隻眼が居る。彼が、元人間の喰種なんて言う、アブナイものを手中に置いてるのはそういう理由があるんだと思うの」

カネキ「店長さんの子供は?」

イトリ「さぁ?・・・一緒には居ないみたい。仲悪いのかもね」



イトリ「・・・・く」

カネキ「・・・イトリさん」

イトリ「ヤバ・・・目が霞んできたわ・・・」

カネキ「・・・・・イトリさん」

イトリ「そういえばさ・・・“カネキ”って苗字でしょ?・・・ナマエ・・あるの?」

カネキ「・・僕の名前はカネキケンです」

イトリ「あのさぁ・・・ケン、お願いがあるんだけど」

カネキ「え?」

イトリ「・・・私を喰べてくれない?」

カネキ「・・はい?」

イトリ「・・・知ってるよ。キミ・・・共喰い・・・するんでしょ。レストランで・・出てきた肉・・・・喰種のものだったじゃない」

カネキ「・・え?」

イトリ「お願い・・私が・・・・・死んだら・・・私を・・・・・」

イトリ「・・・ここに置いてかれる・・より・・・ケンと・・一緒に・・」


カネキ「イトリさん・・・あ・・そういえば、僕、イトリさんにプレゼント買ってきたんです。手ぶらじゃ悪いと思って」

イトリ「・・・・え?」

ごそごそ
カネキ「・・コレ」

イトリ(・・・なんでメガネ?)

カネキ「似合うかと思って」

イトリ「・・・よく・・わかんないけ・・ど・・・ありがと・・・かけさせて」

カネキ「はい」

そっ
イトリ「・・・け・・ン・・・・」



赤ぶちの眼鏡は、思った通りイトリさんにとても似合っていた。

僕の手の中で、イトリさんの鼓動が止まった。

僕はイトリさんの願いを叶えるため、イトリさんの首筋に噛みついた。

イトリさんの肉の味は、いつも高槻先生が僕のために用意してくれた料理の味だった。




イトリさんは予想に反して、下着を着けていた。



ガチャ
カネキ「こんにちは」

高槻 「おや、カネキ君。情報収集は進んだ?」

カネキ「ええ、かなり。でもその前に先生に聞きたいことがあります。」

高槻 「ん?何?」

カネキ「先生が僕に食べさせてくれてた肉って、喰種の肉だったんですか」

高槻 「そうだけど?」

カネキ「即答かよッ!!」

***


高槻 「だって、喰種は人の食べ物は食べられないって言うからね」

カネキ「だからって喰種の肉ですか」

高槻 「だって人の肉は嫌でしょ?」

カネキ「まあそりゃ嫌ですけど」

高槻 「だったら喰種の肉が落としどころかな、と」

カネキ「・・ていうかどこから手に入れてるんですか、喰種の肉なんて」

高槻 「この間取材した“スフィンクス”って会社で喰種の肉売ってますよ」

カネキ「もうスフィンクスめっちゃ怪しいじゃん!!」

高槻 「だから取材したんですよ」

カネキ「よく取材受けてくれたな、スフィンクス」


高槻 「まあ正確には、スフィンクスはある機関にのみ喰種の肉体を売っているようですね。それを先に突きとめたので、横流しをしてもらっていました」

カネキ「・・・売り先はどこです?」

高槻 「CCG」

カネキ「もうスフィンクスもCCGも真っ黒だろ!!」

高槻 「まぁまぁ落ち着いてください。カネキ君らしくないですよ」

カネキ「ああ、僕としたことが。取り乱しました」

高槻 「はい、落ち着いたところで、取材の成果を教えてください」

カネキ(・・・“均衡”の話はやめた方がいいな。僕の命もそうだけど、高槻先生も狙われるだろうな。この人の性格からいってVに直撃取材を敢行するだろうし)

カネキ「まず、“あんていく”は20区の喰種集団を取り仕切っているようです」

高槻 「なんと!」

カネキ「そして従業員は全員喰種で、しかも全員かなりの手練れだそうです」

高槻 「ほうほう」

カネキ「そして、最近僕と同じように喰種から臓器移植を受けた元人間の喰種がいるそうです」

高槻 「・・・・」

カネキ「ん?どうしました?」

高槻 「いや、何でもないよ(・・・それは知らなかったなぁ)」

カネキ「?」

高槻 「ウン、じゃあ次の仕事は決まりだね!」

カネキ「はぁ・・・“あんていく”行ってきますよ。先生も一緒に来てくださいよ」

高槻 「怖いからイヤ」


次の日。

カネキ「・・・・結局今日もヒデ大学休みだったな・・・風邪ひいてんのかな?」

カネキ「ま、いいや。さっさとバイト終わらそう」




――――――――――20区“あんていく”

カネキ「あれ?」

『CLOSE』


カネキ「定休日かなぁ・・いや前は休みじゃなかった気がするけどなぁ・・まあいいや。今日は無理ってことだから高槻先生に電話して、そのままどっか遊びに行こう」


ピッ ピッ・・・

カネキ「・・・という訳でお休みだったので、またにします」

高槻 『そっか残念。これからどうするの?』

カネキ「11区の図書館で本でも読もうかと思います」

高槻 『ああ、11区の図書館多きいもんねー分かった。じゃあまたー』

ピッ


カネキ「さて、久しぶりにゆっくり本読むか」

カネキ「・・・BLコーナーも充実していることを祈ろう」


***


カネキ「ふっ・・・タニス・リーは天才、天才だよ・・・・三島はなぁ・・・何というかガチすぎるんだよなぁ・・・」


モブA「・・・ちょっと・・・あの人・・」

モブB「馬鹿・・見んなって・・・ちょっと趣味がアレなんだろ・・・」


カネキ「ずいぶん遅くなったな・・人通りも少ないし、そろそろ帰るか」

カネキ「ん?」



リョーコ「や・・やめてください・・私はただ友人のために・・」

真戸 「ククク・・・ならば私たちと一緒に来てくれますかァ?」

亜門 「そのバッグの中身、見せてもらえませんか?」



カネキ「痩せこけた中年男性と筋肉隆々の青年・・・この組み合わせは下剋上のない王道だな。おそらくあの中年は敬語攻めで・・マッチョはツンウルかなぁ・・・」

カネキ「じゃなくて、あれ完全に暴漢に襲われてるね、あの女の人」




亜門 「真戸さんッこれは・・!!」

真戸 「これは喰種用の機器・・ククク・・やはり貴様喰種だなァ!」

リョーコ「い・・いやッ」

真戸 「逃がすか、クズめッ」
バシッ!!

リョーコ「ああッ・・」
ドサッ



カネキ「うわ殴った。ていうか血めっちゃ出てる。警察に通報だな。常識的に考えて」


カネキ「もしもし警察ですか?11区の○○交差点の近くで女性が二人組の暴漢に襲われています。至急来てください」

警察 『わかりました、すぐに向かいます!時間を稼いでください!!』ガチャ

カネキ「えっ?時間稼ぐ?」



真戸 「ククク・・・さて帰ってゆっくりと解体しようかねぇ・・亜門君」

亜門 「そうですね真戸さん・・・ん?」

ヒナミ「ぁ」

真戸・亜門「?」


ヒナミ「ぁ・・・ぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
ギンッ!

亜門 「赫眼ッ!!」

真戸 「クク・・どうやらこのメスの子供ですかねぇ!!」



カネキ「・・あれ?あの子・・喰種??」

カネキ「・・・えーっと・・」

カネキ「つまりあの暴漢は捜査官で、あの女性は喰種・・」

カネキ「警察呼んじゃった」



ヒナミ「うわああああ!!おああさああああん!!」

真戸 「死ねゴミめっ!!」

ズオオオッ!!

真戸 「ん・・・?消えた?」

亜門 「真戸さんッ後ろです!!」


真戸 「・・貴様、新手のゴミか?」

カネキ「・・・(あーあ・・間一髪助けちゃった。どーしよマジで)」

ヒナミ「・・??お・・・かあ・・さん・・」
ガクッ

カネキ「はぁ・・・(一応仮面したけど・・)」


真戸 「纏めて死ねぇぇぇ!!」

ヒュンッ

真戸 「・・・・」
ドサッ

亜門 「真戸さんッ!!!」

カネキ「あれ?」

亜門 「くそッまた新手か!!」


エト 「・・・・」

カネキ「・・・キミは?」

エト 「・・・ナカマ」

カネキ「・・殺したの?」

エト 「・・ミネウチ。子供、貸して」

カネキ「え?うん」

エト 「・・大人の方はムリ・・・キミも逃げな」
ヒュン

カネキ「あ・逃げた」


亜門 「真戸さん!!貴様ァァァ!!」

カネキ「うわ危なっ!!」
ヒュッ

亜門 「くそッ!!」

カネキ「・・・」
ヒュッ

亜門 「・・なぜ当たらん・・クッ」

カネキ(冷静さを失ってるな。攻撃が単調すぎる)


亜門 「はぁ・・はぁ・・」

カネキ「あの・・」

亜門 「・・?!」

カネキ「ぼくそろそろ帰るんで」

亜門 「?!!?」

カネキ「いや、攻撃とかしませんよ。傷害罪ですから」

亜門 「き・・貴様の言ってることが分からん」

カネキ「いや、常識ですよ・・・では」
スタスタ・・


亜門 「・・・・眼鏡の・・喰種」


ファン ファン ファン


・・・この後、警察に暴漢と間違えられた亜門はその風貌も相まって、一度警察署まで連行された。


ここまでにします

おやすみなさい

こんばんは
更新します


#015 [旗折]


・・・では次のニュースです。

本日の夕方、11区の○○交差点付近で大捕物がありました。
2人組の男が女性を暴行しているとの住民の通報を受け、警視庁○○警察署が現場に急行しました。
現場では女性一人と男性一人が倒れており、現場にいた男性一人を緊急逮捕しました。

しかしながら、その後の調べで倒れていた女性は喰種であり、男性二人は喰種捜査官であったことが判明しました。

近隣住民がインタビューに答えてくれました。

『いやー私はね、男性が叫ぶ声がしたんで驚いて道路出てったんだけどねー、私が見た時は二人倒れてて、立ってた男の人はすごい筋肉した人でね。とても怖かったわよー』

『警察が来た後どうでしたか?』

『なんかそのムキムキの人が大声で“マドサーン”とか叫びながら上半身裸になって筋肉見せるようなポーズとり出してね。私はなんか薬でもやってんじゃないかと思ったわよー。警察もその男の異常な行動を見てね、増援が続々来て・・・ええ15人くらい居たかしらねぇ』

・・・




・・・・部屋の中ではテレビが点けっぱなしになっていた。

さっき起こったことが喰種がらみだったから、僕はさっさと報告しておこうと高槻先生の部屋に向かった。

ニュースキャスターの声が響く部屋には、さっき僕の前に現れた包帯を全身にまいた喰種が立っていた。

ピキィ・・
僕の左目は、初めてメガネの呪文を唱えることなく自分の力で赫眼となった。



エト 「・・・『勇気』って言うのは“困難や危険を恐れない勇ましい意気”のこと。でも君のは『蛮勇』。事の是非や理非を考えてない無謀な行動」

カネキ「・・キミは何故ここに?」

エト 「はぁ・・・この子、連れてくとこ無いから、ここに連れてくるしかないじゃないの」

カネキ「?」


そう言うと、その喰種の包帯がしゅるしゅると解けていった。


エト 「ほら見て」

カネキ「せ・・先生」

エト 「キミは左目、私は右目。まるで鏡みたいだね」

カネキ「ちょっ・・せっ・・先生!!」

エト 「・・さすがの君も驚いたんだね」

ブバァアア!!
カネキ「」

エト 「え?鼻血?!」

カネキ「せ・・・先生・・・おっぱい丸出しですから!」

エト 「・・・」
エト 「・・・///」

エト 「た・・確かにそうだけど、このシリアスなシーンでその反応はおかしいだろうがっ!!///」






ヒナミ「・・・ん・・」

ヒナミ(・・どこだか分からない部屋でヒナミは目が覚ましました)

ヒナミ(目を覚まして最初に見たこうけいは、じょうはんしんがはだかの女の人が、私を助けてくれたお兄さんをビンタしてるこうけいでした)

ヒナミ(こういうのってたしか“ちわげんか”っていうんだよね)


カネキ「先生・・・なぜ・・?」

高槻 「・・・作家である“高槻泉”と喰種である“エト”が同一人物だってことを知ってる人は少ないの。ばれたら作家続けられないでしょ?だから隠してたの」

カネキ「そうじゃないッッ!!」

高槻 「え?」

カネキ「なぜ・・・何故ッ!さっきメガネかけててくれなかったんですかッッ!!あの姿でメガネかけてればッッ!!僕の記憶に永久に保存されたのに!!!」

高槻 「あ、左もビンタしてほしいですかね?」

カネキ「・・・先生も隻眼なんですね。まさか先生が“隻眼の梟”なんですか?」

高槻 「・・・」

高槻 「そうだよ・・・隠してもどうせバレるから言っちゃうけど」

カネキ「じゃあ先生は“あんていく”の店長の子供?」

高槻 「・・・そうかもね」

カネキ「やっぱり親子仲悪いってのは本当なんですね」

高槻 「・・・」

カネキ「そういうのも含めて他の人には秘密ってことでいいんですね?」

高槻 「・・・助かるよ。何も言わなくても私の言いたいこと分かってくれて」

カネキ「この短期間にどれだけ先生にツッコんだと思ってるんですか」

高槻 「心の中では私もだいぶカネキ君にツッコんでるけどね」



高槻 「・・・そういう訳だから。私のこと誰にも言っちゃダメよ。もう起きてるんでしょ?」

ヒナミ「びくっ」

高槻 「怖がらなくても大丈夫だよ」

ヒナミ「あの・・・お姉さんは・・たかつきせん先生なんですか?」

高槻 「そうだよー。キミの名前は?」

ヒナミ「ふえぐちひなみ」

高槻 「ヒナミちゃんかー。よろしく」

カネキ「僕はカネキ。よろしくね、ヒナミちゃん」

ヒナミ「カネキ・・・さん?」

カネキ「ん?・・・そうだけど?」

ヒナミ「・・・ヒデお兄さんが・・言ってた人?」

カネキ「え?!」


高槻 「?」




――――――――――20区“あんていく”二階


トーカ「ヒデッ!!」

ヒデ 「トーカ・・ちゃん?」

トーカ「お前ッ・・・大丈夫か?」

ヒデ 「うん・・あ・・ちょっと腹減ってるかも」

トーカ「!・・ま・・待ってろ!!」
どたどた・・ガチャン!!


ヒデ 「あれ?・・・・えーと・・・俺なんで寝てたんだっけ?」

ヒデ 「あ!そうだ!確か西尾先輩に急に攻撃されて・・・・あ・・俺・・」


ガチャン!

トーカ「これ食え!!」

ヒデ 「あ・・うん。サンキュー」

・・・



ヒデ 「・・・トーカちゃん」

トーカ「・・ん?」

ヒデ 「俺、どれくらい眠ってた?」

トーカ「4日」

ヒデ 「そんなに?!」

トーカ「・・・うん」

ヒデ 「俺・・・西尾先輩って人と・・・戦ったんだよな?」

トーカ「みたいね」

ヒデ 「・・・その・・西尾先輩は?」

トーカ「・・・」


ガチャ

ヨモ 「英良・・・起きたか」

ヒデ 「ヨモさん・・・心配かけました」

ヨモ 「・・・・・トーカ」

トーカ「?」

ヨモ 「・・・すまないが少し席をはずしてくれ」

トーカ「・・・・うん」

ガチャン


ヨモ 「・・・・」

ヨモ 「・・・・英良」

ヒデ 「・・はい」

ヨモ 「西尾は死んだ」


ヒデ 「・・・・え?」

ヨモ 「西尾は・・お前を殺そうとした・・・だからお前が気に病む必要はない」

ヒデ 「・・・俺・・・」

ヨモ 「西尾は・・・人間の恋人がいた」

ヒデ 「・・・え?!」

ヨモ 「だがお前と出会う2週間ほど前に、その恋人を捕食したようだ」

ヒデ 「・・・・う」

ヨモ 「・・・西尾は・・おそらく後悔をした・・・そしてやり場のない気持ちを他の人間たちにぶつけていた」

ヒデ 「・・・・」

ヨモ 「・・・過ちを犯すことは誰にでもある・・・芳村さんは、西尾をここで働かせたいと考えていた」

ヒデ 「だから・・俺に説得に行かせたんすか?」

ヨモ 「そうだ・・・・すまなかった、ヒデヨシ」

ヒデ 「・・・・少し・・一人にしてもらえますか?」

ヨモ 「・・・ああ」


ガチャン


・・・



芳村 「ヨモ君・・・永近君は?」

ヨモ 「・・・一人にしてくれと」

芳村 「・・・そうか・・・リョーコさんとヒナミちゃんのことは・・・今は言うのはよそう」

ヨモ 「・・はい。トーカにも言っておきます」

芳村 「・・・すまないね」



***

ヒナミ「・・・ヒデお兄さんは・・私と一緒に本を読んでくれたし・・・それに・・・」

ヒナミ「お母さんもヒデお兄さんと話してると楽しそうだった」


カネキ「・・・ゴメン、ヒナミちゃん。僕が気づいた時には・・」

ヒナミ「・・うっ・・・うっ・・おかあさん・・・」

高槻 「・・・」

カネキ「・・・」


高槻 「ヒナミちゃん、眠ったみたい」

カネキ「・・そうですか」

高槻 「・・・それにしても君の友達・・だっけ?」

カネキ「ええ、ヒデが喰種だったって言ってましたよね、ヒナミちゃん」

高槻 「実はあなたに隠してたってだけでもともと喰種だったってことは?」

カネキ「うーん・・・そうれは無いですね。食事も普通に食ってましたし」

高槻 「いずれにしろ“あんていく”で取材した方がいいね」

カネキ「そうですね・・・ていうか学校で会うんで」

高槻 「おや、そうでしたね」


カネキ「ああそういえば」

高槻 「なんです?」

カネキ「先生の家庭の事情もあると思うので“あんていく”は僕が取材に行きますけど、その他の喰種関連は先生行ってくださいよ。先生だって喰種なんですから」

高槻 「えーせめて一緒に行こうよ」

カネキ「その間ヒナミちゃんはどうするんですか」

高槻 「お留守番」

カネキ「薄情だなぁ」

高槻 「だからって喰種だらけのところに連れてくのは危険ですよ」

カネキ「まあ確かにそうですけど・・・あ、ていうか“あんていく”に帰ってもらった方がヒナミちゃん的にもいいんじゃないですか?」

高槻 「それはやめた方がいいですね。カネキ君のお友達のためにも」

カネキ「?」

高槻 「喰種がマスクをする意味を忘れたんですか?」

カネキ「あー・・確かに捜査官に見られてますね、ヒナミちゃんの顔」

高槻 「ええ。なので、ヒナミちゃんがずっと“あんていく”にいれば、CCGに“あんていく”は喰種の巣窟ですと教えてるようなものですから」

カネキ「はー・・確かに」


高槻 「それはそうとカネキ君」

カネキ「今度は何です?」

高槻 「今夜はもう遅いので泊って行ったらどうですか?アルバイトとは関係なく」

カネキ「いえ、明日の大学のしたく持ってないので帰ります」

高槻 「そ・・そうですか」



ヒナミ(トイレに行きたくなって目を覚ますと、お兄ちゃんとたかつき先生がおはなしをしていました)

ヒナミ(わたしは、トーカお姉ちゃんやヒデお兄さんにめいわくをかけないために、もうあんていくには帰らないほうがいいのかもしれません)

ヒナミ(あと、さいごにお兄ちゃんがフラグを折っていました)


ここまでにします
おやすみなさい

はい、更新します


#016 [再会]



――――――――――20区“上井大学”


カネキ「ヒデ遅いなぁ・・・今日も来ないつもりかなぁ」

カネキ「・・・」



―――昨日の夜、トイレに起きてきたヒナミちゃんが僕に言った。

ヒナミ『お兄ちゃん・・・ヒデお兄さんには私の事言わないで』

カネキ『え?なんで?』

ヒナミ『私が・・・生きてるって知ったらみんな私に“あんていく”にきていいよって言ってくれるかもしれない・・・でも・・それじゃあ・・・みんながハトに狙われちゃうから・・』

カネキ『・・・・』

ヒナミ『・・・お願いします』

高槻 『・・ちゃんヒナはいい子だね』

ヒナミ『・・・もう・・誰にも居なくなってほしくないの・・・』ぐすっ



カネキ「・・・・ヒナミちゃんの事隠してって言われてもなぁ・・・じゃあどうして僕がヒデの事知ってるんだって話になるよなぁ・・・」

カネキ「うーん・・・」


ガラガラ
ヒデ 「・・・・」


カネキ「あ・来た」



ヒデ 「・・・よ。カネキ」

カネキ「ヒデ、一週間ぶり。風邪でも引いてた?」

ヒデ 「ああ・・・まあそんなんとこ」

カネキ「先週の授業で僕とかぶってるやつは出席カード出しといたよ」

ヒデ 「・・すまん」

カネキ「ヒデ」

ヒデ 「ん?」

カネキ「今日、授業の後ヒマ?」

ヒデ 「え?・・ああ」

カネキ「キャンパスでコーヒー飲みながらダベろうよ」

ヒデ 「ああ、いいぜ」


****


カネキ「おーい、こっち!」

ヒデ 「お、すまん」

カネキ「はい、ヒデのコーヒー」

ヒデ 「お、サンキュ・・お前そんな薄着で寒くないのか?」

カネキ「え?そんな寒い?コーヒー飲んでるからそんなに寒くないよ」

ヒデ 「そうか?」


ヒデ 「お前、今日はバイトないのか?」

カネキ「うん。休み」

ヒデ 「そっか」

カネキ「ヒデは?喫茶店でバイト始めたんでしょ?」

ヒデ 「いや・・辞めた」

カネキ「え?!なんで?」

ヒデ 「いやー・・・なんか忙しくて」

カネキ「ふーん・・・」

ヒデ 「・・・」

カネキ「ヒデさぁ・・今日授業全然聞いてなかったよね?」

ヒデ 「え?・・そう見えたか?」

カネキ「ヒデってさぁ、うわの空で考え事するとき手のひらを頬にあてて頬杖つく癖あるよね?」

ヒデ 「マジか・・確かにやってたかもしれん」

カネキ「・・・」

ヒデ 「・・・」

カネキ「じゃあさ、僕の方から重大発表するね」

ヒデ 「へ?」

カネキ「高槻先生に僕の正体がバレました」

ヒデ 「ええ?!!」


カネキ「バレたけど、別に気にしないって。むしろ次は喰種モノ書きたいと思ってたからってちょうどいいってさ」

ヒデ 「マジか・・・なんつーか、お前と同じ匂いがするぜ」

カネキ「でさ、僕が喰種なのを良いことに、喰種が屯する場所に取材に行かせるんだよ」

ヒデ 「そりゃひでえな」

カネキ「・・・当然さ、“あんていく”にも取材行くつもりで準備してたんだ」

ヒデ 「え・・・・そうか・・・・・バレてたか」

カネキ「・・・うん」

ヒデ 「あー・・・・じゃあ俺の方からも重大発表するわ」

カネキ「うん」

ヒデ 「カネキを手術した医者のとこ行ったら、俺も喰種にされました」

カネキ「ええ?!」

ヒデ 「あ、そこまでは知らなかったか」

カネキ「え?だって・・・え?嘉納先生が??」

ヒデ 「お前なぁ・・・能天気すぎるだろ・・お前嘉納先生のとこで検査とか受けてるんだろ?それでその人がお前の変化に気付かないはずないだろが」

カネキ「確かに言われてみればそうかも・・・でもなんでヒデまで?」

ヒデ 「いや詳しくは俺も分かんねーよ。ただあの医者が人を喰種にする方法知ってるって事だけは確かだろ」

カネキ「あー・・ゴメン僕のせいでヒデまで喰種に」



ヒデ 「いや、別にもういいって」

カネキ「食事とかどうしてるの?」

ヒデ 「いや・・“あんていく”で貰ってる」

カネキ「へー・・“あんていく”ってそんなこともしてるんだね」

ヒデ 「俺も『こう』なって分かったけどよ・・・喰種の中にも人を殺してりしないで平和に生きたいって人もいるみてーなんだよ。そういう人に肉を配ってるみたいだぜ」

カネキ「え・・じゃあ“あんていく”の人は定期的に人間殺してるって事?」

ヒデ 「いや・・自殺者の肉を拾ってる」

カネキ「・・・なるほどね」


イトリ『芳村店長は今は争いを好まない・・・人間と喰種の和解を目指してる』


カネキ(イトリさん・・・本当にそうなのかもしれませんね・・)


ヒデ 「ん?カネキ?」

カネキ「ああ、何でもないよ」


ヒデ 「・・・なあカネキ」

カネキ「ん?」

ヒデ 「お前はどう思う?・・人を殺さない・・温厚な喰種も駆除すべきだって思うか?」

カネキ「・・・まあ僕はもう喰種だからね。喰種を全部駆除するって話になると僕も駆除されちゃうから」

ヒデ 「ハハ・・俺もそうだな」

カネキ「でも僕はそう思わないな。そもそも喰種になる前から、別に僕のこと食べようとしなければ眼鏡美人はウェルカムだし」

ヒデ 「ああ・・・お前はそういう奴だったな」

カネキ「・・・・」


ヒデ 「・・・あのさ」

カネキ「ん?」

ヒデ 「俺、喰種に襲われた」

カネキ「え?」

ヒデ 「相手は俺のこと殺すつもりだったらしい・・・俺は無我夢中になって・・逆にその喰種を殺しちまった」

カネキ「・・・しょうがないんじゃないの?」

ヒデ 「俺、“あんていく”でさっき言った温厚な喰種に会った。俺、その人は喰種だけど生き方は正しいと思った・・・・だけど・・殺しちまった俺はもうその人みたいに生きることはできないかもしれねぇ」

カネキ「ヒデ、刑法第36条だよ」

ヒデ 「え?」


カネキ「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防御するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。」

ヒデ 「あー・・正当防衛ってことか?」

カネキ「うん。だってヒデ殺されかけてたんでしょ?」

ヒデ 「・・まあな」

カネキ「それならしょうがないでしょ」

ヒデ 「・・・」

カネキ「僕だって今のところ殺しはやってないけど、仲良くなった喰種が殺されたり、人間解体ショーやるレストラン行ったり、CCGと戦ったりして色々と大変だったよ」

ヒデ 「なんか俺が悩んでるのがバカらしくなった」

カネキ「とにかくさ、あと3週間で試験だしそろそろ勉強した方がいいよ」

ヒデ 「お前・・いきなり現実に引き戻すなよ」

カネキ「だって事実だし」

ヒデ 「はぁ・・・・あ、そうだお前に聞きたいことあったんだ」

カネキ「ん?何?」

ヒデ 「お前さぁ、先々週旧食堂で大盛りカレー食ってたじゃん。あれって食ったふりで、やっぱり後で吐き戻してたのか?」

カネキ「え?吐き戻し?なんで??不味いけど普通に気合で食ってたよ?」

ヒデ 「・・・ホント尊敬するわ」



カネキ「あ、そういえば“あんていく”のバイト本当に辞めちゃったの?」

ヒデ 「あー・・気持ちの整理着くまで無期休暇ってことにしてもらってる」

カネキ「ふーん・・じゃあヒデが復帰したら今度こそ僕も行くよ、取材もかねて」

ヒデ 「取材?・・まあ、店長お前に会いたがってたぜ」

カネキ「え?なんで?」

ヒデ 「さあ?でも、俺もカネキも、人間であり、喰種でもある存在だからじゃねーの?あの人喰種だけど人間と和解する方法模索してるみたいだし」

カネキ「やっぱりそうなんだ」

ヒデ 「やっぱり?」

カネキ「ああ、知り合った喰種の情報屋からそういう情報をもらったから」

ヒデ 「お前のバイトって何だったっけ?」



****


カネキ「・・・という訳で、“あんていく”の取材は試験明けに行きますから」

高槻 「そうですか」

カネキ「にしても、人間の医者が人を喰種に変える意味ってあるんですかね?」

高槻 「うーん・・たぶん再現実験してるのかな?」

カネキ「?」

高槻 「ま・いいや。私はその嘉納という医者について調べますか」

カネキ「はぁ」

高槻 「そういえば今更ですが、私ある喰種のグループに属してるんですよー」

カネキ「は?」

高槻 「勿論そこでは“高槻泉”の正体は隠して」

カネキ「なぜです?」

高槻 「だって取材のために所属してるなんて言ったら追放されそうですし」

カネキ「ホント、先生って逞しいですね」

高槻 「でね、カネキ君もその喰種集団に属してもらおうかと」

カネキ「面倒なので嫌です」

高槻 「うわっ!即答!!」

カネキ「だって本当に面倒そうですし。それに僕元人間ですから間違いなくハブられますよ」


高槻 「いや実はね、その集団の中でもね、元人間で喰種から臓器移植受けた隻眼の喰種が居るって噂になってたんですよー」

カネキ「完全に僕のことじゃないですか」

高槻 「でもね、その元人間は20区にいる・・20区なら“あんていく”にいる可能性が高い・・・ってハナシになってたんですよ」

カネキ「はぁ・・・あ、それヒデだと勘違いされるんじゃ」

高槻 「その通りだよ!」

カネキ「つまり、元人間の喰種はヒデだって思われてるから僕は大丈夫だと?」

高槻 「そうそう、お父さんが喰種だったって言えば誤魔化せますよ」

カネキ「・・・はぁ・・・で、先生のことはどこまで知ってるんですか、その喰種達は」

高槻 「物分かりがよくて助かりますなぁ」

カネキ「だってすでにそこまで考えてるなら、もう絶対強引に来るでしょ」

高槻 「いやぁー私はアシスタントの意思を尊重しますよー」

カネキ「とんだブラックバイトだぜチクショウ」

高槻 「そういう事言うとコンタクトに戻しますよ?」

カネキ「“隻眼の梟”であることは皆さん知っているんですか?」

高槻 「・・・」



高槻 「基本的にはナイショ。普段はこの前みたく包帯巻いてるから。ていうかリーダーは、とりあえずは存在しない“隻眼の王”って言う喰種だってことになってるから」

カネキ「それって完全に先生がリーダーですね」

高槻 「幹部ではあるけど、とりあえずリーダーではないよ。それと私が喰種の格好してる時は“エト”って呼んでね」

カネキ「はぁ・・ぼくはマスクつけてればいいですか?」

高槻 「ウン。キミのことは“ケン”って呼ぶよ。喰種の時は」

カネキ「ああ、それと一番重要な事だと思うんですが、僕はその組織に属して何をすればいいんですか?」

高槻 「喰種の視点から、人間、喰種、CCGなんかのことを分かる範囲で調べてほしいのよ。ただし、他の喰種達に無理に個人的な事聞かないようにね。嫌がる奴や隠してる奴も多いから」

カネキ「なんかすごくデンジャラスな匂いがするんですが・・」

高槻 「まあ・・・カネキ君なら平気だよ!」

カネキ「また根拠のない適当な事言ってますね」

高槻 「アハハハー何のこと?」

カネキ「まったくもう・・・とりあえず僕、今日はヒナミちゃんの勉強を見て、その後自分の勉強しますんで」

高槻 「了解ですわ」




――――――――――20区“あんていく”

シロ 「あ、開いてる」
クロ 「うん、そうだね」

シロ 「入ろうか?」
クロ 「うん」


カランカラン・・

今日はここまで
おやすみなさい

更新します


#017 [青桐]


シロ・クロ「「カフェラテを」」

トーカ 「あ・・えっとカフェラテ2個でいいですか?」

シロ・クロ「「はい」」

・・・

シロ 「おいしいね」

クロ 「うん、おいしい」

シロ 「この顔なんだろう?」

クロ 「イヌ・・・かな?」


トーカ(う・・さぎ・・なのに・・)



シロ 「でも・・居ないねあの人」

クロ 「うん・・お休みかな」

シロ 「困ったね」

クロ 「とりあえず店員さんに聞いてみようか」

シロ 「そうだね」


シロ・クロ「「すみません」」

芳村 「どうしました?」


シロ・クロ「「永近さんって男性はこちらにいますか?」」

芳村 「ん?・・君たちは?」

シロ・クロ「「私たち、前に永近ヒデヨシさんに親切にしていただいたことがあって、一言お礼が言いたくて来ました。こちらで働いていると聞きましたので」」

芳村 「・・・そうですか。彼は今お休みです。もしよければ彼が来た時にお伝えしておきますが?」

シロ・クロ「「・・・」」

シロ・クロ「「永近さんが出勤される日って教えていただけますか?」」

芳村 「・・・彼は今、長期休暇中なんですよ。彼自身が納得した時戻ってきますので、いつになるかは分からないんです」

シロ・クロ「「・・・そうですか」」


トーカ「・・・・」



シロ・クロ「「ご馳走様でした。また来ます」」

芳村 「はい、お待ちしています」

カランカラン

シロ 「お店の人、全員喰種かな?」

クロ 「そうかもね。あの人も言ってたし」

シロ 「あのお爺さん、いい人だったね」

クロ 「うん、そうだね」

シロ・クロ「「・・・」」

シロ 「・・また来ようね」

クロ 「うん、私たちは私たちのできることをしようね」


トーカ「・・・店長」

芳村 「なんだい?」

トーカ「私・・アイツと話してきます」

店長 「トーカちゃん、彼の問題は彼が解決しなければならないよ」

カヤ 「トーカ、時間が経てばヒデは必ず帰ってくるわよ」

トーカ「でも・・アイツ・・ここに来なければ食事もできないのに・・・」

トーカ「食事だけでもしに来るよう言ってきます!!」

カランカラン

カヤ 「あッ・・・まったくもう」

古間 「青春だねぇ・・ヒデ君もトーカちゃんも」

カヤ 「・・・でも大丈夫かしら、あの子」

古間 「ヒデ君が、かい?」

カヤ 「ええ・・・彼が西尾の事、乗り越えることができたとしても・・・フエグチさん達のこと知ったら・・」

芳村 「・・・」



カネキ「ヒナミちゃん、じゃあ今日は算数の勉強しようか」

ヒナミ「さんすう・・ヒナミさんすう苦手・・」

カネキ「うん、だからやらないとと思って」

ヒナミ「うー・・頑張る!」

カネキ「うん、偉いぞ」

高槻 「二人とも、もうご飯出来るからお勉強は後にしましょう」

ヒナミ「やったぁ!」

カネキ「先生もたまにはヒナミちゃんの勉強見てあげてくださいよ」

高槻 「現役大学生が教えた方が効率いいにきまってますよ。なので私は家事全般を」

カネキ「なんか所帯じみてきたなぁ・・」


***

高槻 「ところで今日の夜、例の集会に行こうかと思うのですが」

カネキ「え?・・ああ。今日ですか。いいですよ、金曜ですし」

高槻 「じゃあキマリですね」



ヒナミ「先生・・どこか行くの?」

高槻 「ウン、今日は遅くなりそうだから、ちゃんヒナは先に寝ててね」

ヒナミ「先生・・ちゃんと帰って来てね?」

高槻 「アハハ、何言ってるの。大丈夫だよー」

ヒナミ「・・うん」

高槻 「そのうち、カネキ君もここに住み込みになるから寂しくないよ」

ヒナミ「ほんと?!」

カネキ「いや・・何適当なこと言ってるんですか」

高槻 「もうすぐ大学お休みでしょ?そしたら泊まり込みでバイトしてください」

カネキ「ムチャクチャ言ってるわ、この人」

高槻 「でなければ、ちゃんヒナを“アオギリの樹”に連れて行かなければならなくなりますよ?」

カネキ「・・・それは“アオギリの樹”のヒトたちを見てから僕が決めます」

高槻 「まぁ毎日とは言いませんから、泊まり込みバイトをお願いしますよ。今後のこととか色々決めていきたいので」

カネキ「なんですか今後のことって・・僕国文科の大学一年生ですよ」

高槻 「あれ?そうだっけー?!」

カネキ「最初それを口実に僕をバイトに勧誘しましたよね?」


高槻 「それじゃあ、行ってくるね」

ヒナミ「はい、行ってらっしゃい。先生、お兄ちゃん」

高槻 「行ってきます」

カネキ「早く寝るんだよ」

***



――――――――――11区“アオギリの樹”アジト


エト 「こんにちは、タタラさん」

タタラ「エトか・・・横の奴は誰だ?」

エト 「このヒトはね“ケン”。私のトモダチでうちに入りたいって言うから連れてきたよ」

カネキ「言ってない言ってない」

タタラ「・・そうか・・強いのか?」

エト 「ウーン・・ある意味ね」

タタラ「?」

カネキ「あー・・ケンです。よろしく」

タタラ「・・・ふん・・眼を見せてもらっていいか?」

カネキ「?・・ああ赫眼ですか?いいですよ」

カネキ(メガネメガネメガネメガネかけた高槻先生のおっぱい・・)

ギンッ

タタラ「・・・・(なんて冷めた目をしてるんだ)」

タタラ「・・不坏・・・よろしく、ケン」

カネキ(ん?チャイ語?)

カネキ「请多关照」

タタラ「你能说汉话吗?!」


ノロ 「・・・」

エト 「え?・・ウン、あんなに楽しそうに喋るタタラさん初めて見たね」

ノロ 「・・・」

エト 「え?なんて言ってるの?って?」

エト 「えっとね・・タタラさんが上海にいたころのことずっと喋ってるんだと思うよ・・たぶん」

ノロ 「・・・」

エト 「ウン、中国語喋れる人いなかったからよっぽど嬉しかったんだろうね」




タタラ「哈哈哈哈・・!研、你喜欢戴眼镜的人吗?哈哈!!」

カネキ「你喜欢戴面具的人吗?」

タタラ「笨蛋。我不同你」

カネキ「哈哈」


アヤト「た・・タタラさんが談笑してる・・」


エト 「ねえ、二人とも。そろそろ他の人紹介したいんだけど」

タタラ「啊、对不起。じゃあケン、またあとでな」

カネキ「ええ、今度はタタラさんの性癖の話しましょうね」

タタラ「哈哈・・・エト、最高の奴を連れて来てくれたな。心が躍るよ」

タタラ「~♪」

エト 「・・・」


**

カネキ「エト、タタラさんって冗談も通じるし面白い人ですね」

エト 「・・・そう思うのはケンだけだと思うけどね」

カネキ「?」

エト 「あ、あとエトって呼ぶときは敬語やめて。トモダチって設定なんだから」

カネキ「あ、うん。了解」

エト 「それにしてもケン、中国語喋れたんだんね」

カネキ「ああ、第二外国語、チャイ語とってるんで。ネイティブと喋るのが一番勉強になるよ。あの人僕の練習台にちょうどいいな」

エト 「タタラさんがかわいそうだから、本人の前でそういう事言わないであげてね」


エト 「あ、アヤト君」

アヤト「・・・エト・・その人は?」

エト 「私のトモダチ。名前はケン」

アヤト「そ・・そうか。アンタ、タタラさんとも知り合いなのか?」

カネキ「いや、初対面だよ。面白い人だね、タタラさんって。僕はケン。よろしくね」

アヤト「あ・・・ああ。よろしくお願いします」

カネキ「そんな畏まらなくてもいいよ・・・ん?前にどっかで会ったことあったっけ?」

アヤト「え・・?・・いや・・無いと思います・・が?」

カネキ「そうかな・・?まあいいや。よろしくね」ニコッ

アヤト「は・・ハイ(笑顔が逆に超怖え・・)」



カネキ「アヤトくんて中学生?すごく礼儀正しい子だね」

エト 「・・うん・・そうだね・・一応、タタラさんもアヤト君も幹部だよ」

カネキ「へー・・・あんな子供も。なんだか平和で楽しそうな集団ですね。アジトが廃ビルだからちょっと怖かったんですが、なんか安心しました」

エト 「ウン・・ケンがそう思うならそれでいいんじゃないかな?」


ビン弟「兄ィ・・知らない奴がいるぞ」

ビン兄「ん?エトか。そいつは誰だ?」

エト 「このヒトは(以下略)」

ビン兄「そうか・・お前も賛同者か。王のために働くんだな」

ビン弟「よろしく、ケン」

カネキ「よろしくお願いします。お二人はご兄弟ですか?」

ビン兄「そうだ」

カネキ「なるほど」



カネキ「なんか普通な人たちだね。お兄さんの方はちょっと喋り方が中二病ぽいけど・・“賛同者”てwww」

エト 「ケンは時として辛辣だね」

カネキ「そう?・・・あと幹部の人っているの?」

エト 「さっきタタラさんの横にいたデカい人がノロさん。あと今日居ないみたいだけどヤモリさんって人がいるよ」

カネキ「ヤモリさん・・ぷ・・可愛い名前ですね」

エト 「キミは本当に恐れを知らないね」


エト 「私、タタラさんとお話ししてくるから好きに歩いてきて」

カネキ「うん」

・・・


カネキ「ん?建物の外に誰かいるな」

カネキ「おーい!何してるんですかー?」

バンジョー「!!!やべえバレた!!みんな走れ!!」

カネキ「??」

カネキ「あ、結構いっぱいいた・・なんだろう森の方向かって行っちゃった・・・何かあるのかな?僕も行ってみよう」


・・・

ヤモリ「こらこら君たち」

バンジョー「ヤ・・モリ・・なんで」

ヤモリ「あんまり僕たちを舐めない方がいいよ」

ニコ 「うふふ♡」



バンジョー「た・・頼む・・モクとテツを離してやってくれ・・俺が代わりに・・」

ヤモリ「はぁ・・キミ立場分かってる?」

モク・テツ「バンジョー・・さん・・」

がさがさ

カネキ「ん?」

ヤモリ「ん?」

バンジョー「ん?」

ニコ 「アラ?」

・・・


ヤモリ「キミ、誰?」

カネキ「あ、ケンです」

ヤモリ「いや・・名前聞いてもしょうがないよね。ウチの構成員だっけ?」

カネキ「ああ・・エトに連れられて今日初めて来ました。何やってるんです?」

ヤモリ「・・・」

ニコ 「・・・♡」

ヤモリ「ハハハ・・やだなぁちょっと演習をね」

カネキ「演習?」


ヤモリ「そ、演習だよ。僕らもいつ白鳩に襲われるか分からないじゃん。だからこうやって定期的に演習してるんだよ・・・ね、バンジョー君」ギンッ

バンジョー「はッ・・・はい」

ヤモリ「ね。で、今日はもう終わりだから」

カネキ「あー邪魔しちゃってスイマセン」

ヤモリ「いいって、いいって!じゃあさ、君たちはもう帰っててよ・・・・ねェ?」

バンジョー「・・・ッ」

ニコ 「じゃあ、一緒に帰りましょうか♡」

・・・


ヤモリ「ケン君、この後時間あるかな?」

カネキ「え?今このアジトの中を探検してたんですが」

ヤモリ「あーそれならボクが案内してあげるよ」

カネキ「え?ホントですか?助かります」

ヤモリ「ははは・・僕はヤモリ。よろしくね」

カネキ「ああ、幹部の。よろしくお願いします」

ヤモリ「ふふふ」ニィ

ここまでにします

チャイ語間違ってたらスイマセン。

つづきです


#018 [帰巣]


ズズ・・
ヒデ 「・・・苦ぇな・・」


トーカ「はぁ・・・はぁ・・・」

トーカ「・・・ヒデ」


ヒデ 「・・・トーカちゃん?」


***


ヒデ 「どうしたの?大学まで来て」

トーカ「・・・別に・・ちゃんと食ってるかと思って」

ヒデ 「ハハ・・心配してくれてんだ。サンキュー!」

トーカ「そっ・・そんなんじゃねぇ!!・・・でもお前・・自分で狩らないだろ?」

ヒデ 「・・・」

トーカ「?」

ヒデ 「トーカちゃんはさ・・・・・いっつも自分で狩ってるんだよね?」

トーカ「・・・」

ヒデ 「あ・・ごめん」

トーカ「・・・いいよ」


トーカ「私がまだ子供だった頃、お母さんとお父さんが居た」

ヒデ 「ん」

トーカ「お母さんが・・・白鳩に殺されてからは、お父さんと弟と3人で暮らした。その時はお父さんがご飯を作ってくれた」

ヒデ 「・・」

トーカ「ある日・・お父さんが帰ってこなかった・・・だから私と・・弟が生きるために、初めて自分で狩りをした」

トーカ「・・・・店長と出会うまでは弟と二人で狩りをしてた」

ヒデ 「生きるため・・・か」


トーカ「お父さんは変わったヒトでさ、喰種のくせに近所の人間と仲良くして、人間のご飯貰って、自分で作った人間のご飯近所に配って・・・」

トーカ「・・・・」


ヒデ 「・・・弟居たんだ」


トーカ「店長にさ、学校行けって言われたんだよ。で、学校で人間のトモダチもできた。でも弟・・アヤトは・・そんなの間違ってるっていって出ていった」

ヒデ 「・・・」

トーカ「まあ・・今でも狩ることはあるよ・・・でも・・分かんねぇんだ・・・人間のトモダチ出来て・・・人間は何だろうって・・私は人間とどう付き合っていけばいいのかって」


トーカ「ヒデが悩んでるのは正しいと思う・・だってアンタは人間だったんだし」

ヒデ 「・・・・トーカちゃん」

トーカ「・・ん?」

ヒデ 「・・サンキュー」

トーカ「あ?・・・な・・何言ってんだよ・・//」

ヒデ 「俺、正直・・自分で・・人間狩ることできないし、西尾先輩のこと・・まだどうすればよかったのか答え出ない」

トーカ「・・・」

ヒデ 「でも、今は・・新しく出来た仲間、“あんていく”の皆のために出来ることするよ」

トーカ「・・・ヒデ」

ヒデ 「・・俺いつかさ、喰種と人間が和解させて・・・トーカちゃんの悩みを解決できたらなって思うんだよ。前店長に言われたんだ、それができるのは人間でもあり喰種でもある俺だけだって」

トーカ「・・・・・・じゃあ期待しないで待ってるよ」

ヒデ 「ハハハ・・ひでー!・・・それにそろそろ“あんていく”帰んないとリョーコさんにも笑われそうだしなっ。マスク預かっといて何してんだって!」

トーカ「・・・そーだな・・」



―――――――――――20区“あんていく”

カランカラン

ヒデ 「ちわっス!スイマセン遅くなりました」

芳村 「・・・うん、お帰り永近君」


***


芳村 「そういえば、君が休んでる間に双子の女の子が君のことを訪ねてきたよ」

ヒデ 「双子?」
ヒデ (もしかして・・嘉納先生のトコにいた)

古間 「ヒデ君は隅に置けないねぇ・・トーカちゃんに飽き足らず謎の双子の女の子まで」

ヒデ 「い・・いやそんな事無いっすよ」

トーカ「・・・・チッ」

ヒデ 「え゛っ・・なんで舌打ち?!」

古間 「僕が20区で暴れてた頃はそれこそ、街を歩けば女の子たちが気絶したもんだけど、そろそろヒデ君に譲って引退かな?」

カヤ 「黙れエロ猿」ドゴォ!

古間 「グエッ!!」



――――――――――23区“喰種収容所コクリア”

亜門 「・・・本来なら貴様を生かしておくという判断はされなかった。だが、貴様にはまだ聞きたいことがある」

リョーコ「・・・」

亜門 「貴様には娘がいるな・・名前は何という」

リョーコ「・・・いません。私に娘なんて」

亜門 「・・・では質問を変えよう。貴様が11区で出入りしていた建物。あそこには仲間がいるのか?」

リョーコ「・・仲間などいません」

亜門 「貴様が持っていた器具は喰種用の医療器具だった・・かつて我々が駆逐した696番・・確か“アサキ”という喰種は、喰種の医者だったそうだ」

リョーコ「・・・・っ」

亜門 「・・喰種も・・喰種を治療するのか?」

リョーコ「・・・知りません・・・私は喰種です・・・あなたはCCGの捜査官で私たちを殺すことが仕事なんでしょう?」

亜門 「そうだ・・・この世界を歪めているお前たちを滅ぼすのが仕事だ」

リョーコ「・・・・ならばもう殺してください・・私は・・仲間などいません。私はあなた方に話せる有益な情報を持っていません」

亜門 「・・・・」


シロ・クロ「「亜門一等」」


亜門 「・・どうした安久」

シロ・クロ「「私たちも喰種に質問してよろしいでしょうか?」」

亜門 「ああ」

シロ・クロ「「ありがとうございます」」


リョーコ「・・・」

シロ 「お姉さん」

リョーコ「・・・」

シロ 「あなたは捕まるとき戦闘をしなかったと聞いていますが、それはなぜですか?」

リョーコ「・・・」

クロ 「赫子を使って戦闘をしたことはありますか?」

リョーコ「・・・」

シロ 「・・では質問を変えます。人間を捕食するときは赫子を使っていますか?」

リョーコ「・・・」

クロ 「もしあなたに仲間がいないなら、あなたは食事のために自分で人間を狩っているはずですよね?」

リョーコ「・・・・あなた達に言っておきたいことがあります」

亜門 「?」
シロ・クロ「「・・・」」

リョーコ「私たちは人しか食べられないから、人を食べます。でも、喰種のすべてが人間を殺して食べているわけではありません」

亜門 「・・・」

リョーコ「人を殺すことを避け、必死に生きている喰種も居る。例えば自殺した人間の肉を食べて」

亜門 「?・・・なんだと?」

シロ・クロ「「・・・」」


リョーコ「もし・・あなた達が・・・これから先そういう喰種に会ったら・・ただ殺すのでなく、彼らの話を聞いてほしい。彼らはただ喰種だっただけで、それ以外はあなた達と同じだから」

亜門 「・・ふざけるな」

リョーコ「・・・私の話は以上です。もう、私が言う事はありません」

亜門 「・・・・・行くぞ安久」

シロ・クロ「「はい」」


***


亜門 「・・・」

シロ・クロ「「・・・亜門一等」」

亜門 「・・なんだ」

シロ・クロ「「今日は何故私たちを連れてきたのですか?真戸上等は・・?」」

亜門 「真戸上等は・・士気を高めている」

シロ・クロ「「?」」

亜門 「いや・・お前たちが優秀であることは知っている。アカデミーでは目立っていたからな。黒磐特等にお前たちを連れて行けと言われたんんだ・・勉強のためにな」

シロ・クロ「「・・・そうですか、光栄です」」


亜門 「安久、先に帰っていてくれ。俺はもう一体と話す」

シロ・クロ「「私たちもついていってはいけませんか?」」

亜門 「・・・いや、ダメだ。SSレートの危険な喰種だ」

シロ・クロ「「・・・承知しました」」



亜門 「・・・」

ドナート「待っていたよ、いとしい我が息子」

亜門 「黙れ変態LO野郎」

ドナート「ふふ・・・私への差し入れを覗いたな。悪い子だ」

亜門 「無駄口を叩くなロリコン」

ドナート「ハハハ・・・で、何が聞きたい?」

亜門 「・・・・人を殺さない喰種も居るのか?」

ドナート「ふふ・・聞こえていたよ。先ほどの尋問・・いや、オハナシかな」

亜門 「・・・」

ドナート「今日の昼食、お前は何を食った?」

亜門 「ふざけるな。質問に答えろ」

ドナート「真剣だよ、鋼太郎。大事な話をしてるんだ」

亜門 「・・・カレーだ」

ドナート「ふむ・・そのカレーには豚肉か鶏肉が入っていただろ」

亜門 「・・・」

ドナート「その肉をお前は食った・・・だがお前はその豚や鶏を殺したかね?」

亜門 「・・・」

ドナート「何も変わらんよ、それと」

亜門 「・・だが貴様は殺して食っただろう」

ドナート「屠殺をする人間は肉を食わないのか?」

亜門 「・・・」


ドナート「いいことを教えてやろう・・・私がドイツにいたころの話だ」

亜門 「・・・」

ドナート「私が幼かった頃、ドイツに喰種は少なかった」

亜門 「・・?」

ドナート「私も含め、少ない喰種達は自分たちが“喰種”であると知らなかった」

亜門 「・・・?何の話だ?」

ドナート「私の周りにいた人間たちも、誰も私を喰種とは気が付かなかった」

亜門 「・・・言っている意味が解らない」

ドナート「違いなど、人しか食えないか、そうでないかだ」

亜門 「・・・だが貴様は仮に人間であったとしても犯罪者だ。このロリコン野郎」

ドナート「・・・ふふ。話は終わりか?」

亜門 「・・・」

ドナート「・・・?」

亜門 「・・貴様は・・カズキを喰った・・ユウスケも・・アキエも・・!」

ドナート「・・・懐かしい名前だな」

亜門 「なのになぜ・・・何故俺を喰わなかった!・・なぜ俺をその後もそばに置いていた?!!」



ドナート「個人的な質問だな・・そんなことを聞いていいのか?悪い子だ」

亜門 「・・・」

ドナート「・・・何故だろうな?・・フフ・・こうして未来に親子の会話を楽しむためかもしれんな」

亜門 「・・ふん・・聞いた俺が馬鹿だった」

ドナート「あ、そうそう、今度から差し入れはコミックiにしてくれないか?」

亜門 「それがなんだか現時点で俺は知らないが、とりあえず言っておく。死ねロリコンジジイ」

ドナート「・・・鋼太郎」

亜門 「・・なんだ」

ドナート「最近は和姦もいいと思うんだが、どう思う?」

亜門 「ぶっ殺すぞ」



***


亜門 「・・・終わりました」

灰崎 「ああ・・なにか情報を聞き出せたか?」

亜門 「いえ・・723番は・・何も知らないのかもしれません。すみません俺の勘はあてにならないです」

灰崎 「・・・そうか?一応真戸上等にも報告しておけ」

亜門 「はい」

亜門 (・・・眼鏡の喰種・・奴は何故あんなことを・・)


――――――――――11区“アオギリの樹”アジト

ヤモリ「ここが僕たちが食事をする場所だよ」

カネキ「なるほど(不衛生極まりないな・・後で掃除しよう)」

ヤモリ「まあ、みんな勝手にいろんな場所で食事するからあまり使わないけど」

カネキ「そうですか(やっぱりやめよう)」

カネキ「ん?階段がありますけどこの上があるんですか?」

ヤモリ「ああ、この上は懲罰房があるんだ」

カネキ「え?何に使うんですか?」

ヤモリ「悪いことした奴にお仕置きをね。多少の規律は必要だろう?」

カネキ「まあ、そうかもしれませんね・・・なんかここ暑いですね」
ぬぎっ

ヤモリ「・・・」

ヤモリ(コイツ意外と頑丈そうな体してる・・確かエトの友達とか言ってやがったなァァァ!我慢・・今は我慢だ・・何かしら理由を付けて俺の部下にして・・楽しむのはそれからァァァ!!)

カネキ「ヤモリさん?」

ヤモリ「ん?・・ああゴメンゴメン。次行こうか」

カネキ「はい」


ヤモリ「ここは集会場。いつもここで会議をするんだよ」

カネキ「ふーん・・あの、会議って何を話すんです?」

ヤモリ「ん?食料のこととか、白鳩のこととかだよ。僕は幹部だけど基本的な方針はタタラとかが決めてるみたいだよ」

カネキ「そうですか(そういえばイトリさんが言ってたな・・各区の喰種達は小さなグループを作って規律に従って行動してるって)」

カネキ「ん?」


ぞろぞろ

カネキ「ずいぶん大勢のヒトたちが来ましたけど?」

ヤモリ「ああ、ちょうど会議の時間だね」

・・・


タタラ「・・・さて、始める」

ノロ 「・・・」
エト 「・・・」
アヤト「・・・」
ビン 「「・・・」」

タタラ「・・・白鳩たちの動きは予定通りだ・・そろそろ動き出すころかもしれない」

タタラ「“動き”が確認できた時点で俺とエトは予定通りあっちに行く」

エト 「ウン」

カネキ「?」


ヤモリ「なぁちょっといいか?」

タタラ「・・どうした?」

ヤモリ「今日、このケンって奴加わったんだろ?」

タタラ「ああ、そうだった。紹介しよう。俺の朋友、ケンだ」


エト (私が連れてきたんだけどなぁ・・・)


カネキ「あ、皆さんどうも。ケンです、よろしく」

タタラ「过一会、我引导建筑物中(あとで俺が中を案内するよ)」ニッコリ

カネキ「啊、刚才我请壁虎先生引导了(あ、もうヤモリさんに案内してもらいました)」

タタラ「・・・ヤモリ、余計なことをするな」

ヤモリ「え゛?!」


アヤト「笑顔怖えぇ・・マジ怖えぇ・・」ブルブル

エト 「・・・」


その他の喰種「・・・」ブルブル・・


ヤモリ「あ・・エト、このケンってお前の友達なんだろ?」

エト 「ウン」

ヤモリ「ちょうど俺、部下が居なくなっちゃってさぁ・・ケンに俺の仕事手伝ってもらいたいんだけど」

タタラ「ダメだ。ケンは俺と23区に行く」

ヤモリ(なんでタタラが??)


エト 「・・タタラさんも、イモリさんも。ケンは私が連れてきたんだよ?だからしばらくは私と一緒に行動するよ」

タタラ「む・・・そうか・・」

イモリ「・・・ッチ」

いけない

途中からイモリさんになってた・・
ヤモリさんに直して読んでください


――――――――――CCG

シロ 「・・あのコクリアの喰種、資料読んだ?」

クロ 「うん。突然現れた片目を隠した“眼鏡の喰種”と“包帯の喰種”に襲われて、子供を取り逃がした」

シロ 「片目を隠した喰種・・・」

クロ 「・・・うん、そうかもしれないね」

シロ 「今日、仕事終わったら行ってみよう」

クロ 「うん、行ってみよう」

・・・


黒磐 「安久達、勉強になったか?」

シロ・クロ「「はい」」

黒磐 「うむ・・・明日は美郷と3人で13区の見回りをしてもらう。クインケの扱いにはもう慣れたか?」

シロ・クロ「「はい」」

黒磐 「良し。ではまた明日」

シロ・クロ「「お疲れ様でした、黒磐特等」」



***


――――――――――20区“あんていく”


カランカラン

ヒデ 「いらっしゃいませーッ!!」

シロ・クロ「「いた」」

ヒデ 「・・あれ?」

今日はここまでです
誤字すみませんでした

イモリは最初見たときエトが煽ってんのかと思った
そんで名前までイモリになって腹筋が崩壊した

とりあえずヤモリさんの特殊性癖に期待

>>344そう言われるとイモリさんでもいいかなとも思っちゃいますが

とりあえず続きです


#019 [試験]


ヒデ 「あの時の・・?」

シロ 「私は安久奈白」
クロ 「私は安久黒奈」

シロ・クロ「「嘉納先生のところではお世話になりました」」

ヒデ 「あ、やっぱり」


***


ヒデ 「・・・で二人は・・その手術受けたのか?」

シロ・クロ「「受けなかった」」

ヒデ 「!・・そっか!」

シロ 「・・お兄さんのおかげです」
クロ 「・・ありがとう」

ヒデ 「い・・いや。ハハ・・」

シロ・クロ「「でも、私たちはパ・・嘉納先生の考えがすべて間違えだとは思わない」」

ヒデ 「・・・」

シロ 「だから私たちは・・」
クロ 「私たちのやり方で復讐をする」

ヒデ 「・・・そっか」

シロ・クロ「「・・・お兄さん」」

ヒデ 「ん?」

シロ・クロ「「・・私たちは、CCGに戻った」」

ヒデ 「え?」


シロ 「CCGの中に敵がいるのは確か」
クロ 「だからそいつに近づくために私たちは捜査官になった」

ヒデ 「・・・うん」

シロ・クロ「「・・・お兄さんを狩りたくない」」

ヒデ 「・・・」

シロ 「私たちは13区と11区を担当してる」
クロ 「だからお兄さんが何もしなければ、私たちも何もしないですむ」

ヒデ 「俺は・・何もしねーよ」

シロ・クロ「「・・この間11区で女の喰種捕獲を邪魔したのはお兄さん?」」

ヒデ 「?よくわからんが俺じゃないと思うぞ」

シロ 「片目を隠したメガネのマスクを付けた喰種と、全身包帯を巻いた喰種が・・」
クロ 「女の喰種捕獲を邪魔し、子供の喰種を逃がした」

ヒデ 「・・・あー・・それは俺じゃないけど俺の知ってる奴かもしれない」

シロ・クロ「「?」」

ヒデ 「とりあえずそいつに会ったら言っとくよ」

シロ 「うん・・・CCGでは“眼鏡の喰種”って呼ばれてる」
クロ 「眼鏡の喰種は・・人を殺さない喰種なの?」

ヒデ 「ああ・・俺が思ってる奴で合ってるなら人を殺したりする奴じゃねーよ」

シロ・クロ「「・・・・そう」」

ヒデ 「?」



シロ・クロ「「・・・“あんていく”は?」」

ヒデ 「え?」

シロ・クロ「「“あんていく”は本当に人間も喰種も受け入れてくれた?」」

ヒデ 「ああ・・店のお客さんは人間も喰種も居るぜ・・もちろん人間は知らないけどよ」

シロ・クロ「「・・・」」

ヒデ 「それに、俺がここでバイトしてるのが何よりの証拠だろ?」

シロ・クロ「「・・・そうかもね」」

ヒデ 「CCGになっちまったシロクロちゃんには難しいかもしれないけどさ、俺とか“あんていく”みたいな喰種に会ったら、ただ駆除するんじゃなくてそいつらのハナシしっかり聞いてやってくんねーかな・・・俺、ここで人を殺さずに平和に生きようとするヒトと会ってきたから」

シロ・クロ「「・・・」」

シロ 「・・お兄さんはこの間捕まった女の喰種とおんなじこと言うね」
クロ 「・・あの女の喰種・・確か“フエグチ”って言ったっけ?アイツも人を殺さない平和を望む喰種なのかな・・」

ヒデ 「・・・え?」

シロ・クロ「「?」」

ヒデ 「捕まった・・喰種?・・なんて名前だって?」

シロ 「?・・・確か“フエグチリョーコ”だったと思うけど」
クロ 「お兄さんの・・・知り合い?」


ヒデ 「・・・ウソ・・だろ・・?」



――――――――――11区“アオギリの樹”アジト


エト 「ねえ、ケン」

カネキ「ん?」

エト 「どうだった?“アオギリの樹”」

カネキ「うん、幹部の人たちも特に変な人いないし、見た目の割に普通でしたね・・あ、ビンさんは中二病ですが・・ププ」

エト 「うん・・見事なカネキフィルターだね」

カネキ「?」

カネキ「あ、そういえばさっき会議の時言ってたタタラさんが言ってた“あっち”ってどこ?」

エト 「ああ・・23区だよ」

カネキ「?なんで23区に?」

エト 「アオギリはね、都内に何か所かアジトがあるんだよ。で、近く23区でやることがあるから私とタタラさんはそっちに行くってハナシ」

カネキ「ふーん・・意外と大きな組織なんですね」

エト 「ウン。私その大きな組織の幹部なんだよ。すごいでしょ」

カネキ「あー・・ハイハイそうですね」

エト 「うわっ・・適当な返し!」



カネキ「だって取材のために潜入してるんでしょ?それで幹部になっちゃうってどうなの?もっと目立たずに動いた方がいいんじゃないの?」

エト 「ハハ・・その言葉はキミにそっくりお返ししますよ」

カネキ「え?僕は目立たずに行動してるよ」

エト 「・・・今日の集会で11区の構成員は全員ケンのことを覚えたと思うよ?」

カネキ「それはそうと23区でなにするんですか?」

エト 「23区に“コクリア”ってのがあるの知ってる?」

カネキ「なんですそれ?ジブリ映画ですか?」

エト 「ウン、コクリコではないよ。CCGが捕まえた喰種の収容所があるんだよ」

カネキ「ふーん・・刑務所みたいなものですか」

エト 「ちょっと違うかな」

カネキ「?」

エト 「CCGは喰種を捕まえた場合ほとんどその場で殺しちゃうよ」

カネキ「野蛮ですね。アメリカンポリスですか」

エト 「でも、情報を持っていそうだったり、無抵抗で捕まった喰種なんかはその“コクリア”に一時収容しておくの」

カネキ「一時?」

エト 「結局は殺しちゃうから」

カネキ「怖いなぁ」


エト 「で、そこに潜入して捕えられてる仲間を開放したりするのが目的なんだよ」

カネキ「スパイ映画状態ですね。日本でそんなことが現実に行われてたんですか」

エト 「コクリア潜入は今回が初めてだよ。たぶんアオギリ側にもかなりの被害者が出ると思う」

カネキ「ちょっと、僕そんなのに加わるの嫌ですよ。先生だってやめてくださいよ」

エト 「“エト”でしょ、今は・・・ふふ心配してくれるのかな?」

カネキ「い・・いやエトが死んだらヒナミちゃんとかどうするの?」

エト 「・・・まあ大丈夫だよ。コクリア潜入班にはあまり被害は出ないよ」

カネキ「?」

エト 「実はコクリアの警備を手薄にするため、最近ここ11区でCCG捜査官狩りを大々的に行ってるの」

カネキ「捜査官狩りって、殺し?」

エト 「ウン」

カネキ「ダメだよ。殺人罪に問われます」

エト 「喰種は『喰種対策法』で人間と認められていないから問われないよ?」

カネキ「うーん・・」

エト 「それに私たち喰種は生きるために人間を食べなければいけませんからね。なんの罪もない一般人を殺して食べるより、喰種を殺そうとしてる捜査官を食べた方が心情的にも納得できるでしょ?」

カネキ「・・・ちょっと待ってください、確認したいんだけどエトって時々大福とか食べてるよね?」

エト 「・・・ウン」

カネキ「エトは人間食べなくても平気なんじゃないの?」



エト 「キミと同じだよ。私は半喰種だからどっちもいけるの」

カネキ「吐き気とかは?」

エト 「これはここだけのハナシにしてほしいんだけど」

カネキ「・・ええ」

エト 「・・喰種は体の中に“赫包”という器官があるの。喰種は、赫子の元となるRc細胞の多くをここに蓄えていて戦うときなどにそこから出して赫子を形成します」

カネキ「ああ、あの触手」

エト 「私は、たぶん半喰種だからだと思うんだけど、この赫包のRc細胞の全てを取り込むことができるんですよ。だからその時は赫包以外の体は人間と同じなの」

カネキ「へー・・だからその時は普通のゴハン食べられるんですね」

エト 「ウン。たぶん半喰種は体のつくりが人間に近いからなんじゃないかな?ケンもそうでしょ?普通の喰種は人間の食事なんて絶対に食べられないし、無理して食べたら体調不良起こすよ」

カネキ「うーん・・意識はしてないけど・・でも確かに吐き気も最初のころに比べてしなくなってきたなぁ。僕は単に慣れたのかと思ってたけど」

エト 「ん?・・普通のゴハンも食べてるの?」

カネキ「ええ。学食で」

エト 「・・・相変わらずすごい精神力だね」



エト 「・・で、コクリア潜入だけどケンも一緒に来ない?」

カネキ「嫌だ。面倒」

エト 「・・・ですが、ケンの事がお気に入りなタタラさんは、ケンと一緒に行く気満々ですよ」

カネキ「お気に入りって・・今日会ったばかりですよ?」

エト 「キミは主人公属性があるね」

カネキ「?」

エト 「まあいいじゃないですか、第二外国語の勉強と思って」

カネキ「えー・・でも最悪CCGの人、殺すんですよね?」

エト 「その辺はタタラさんとか23区アジトの人に任せるから。それに、私も救出活動に専念したいので取材が疎かになりそうなんですよ。写真撮影とかお願いしたいんですよー」

カネキ「はぁ・・しょうがないですね」

エト 「やった!」

カネキ「これからは食事の時もメガネかけててくださいよ」

エト 「曇るんだよなぁ・・」

カネキ「だから、それが見たいの!!」

エト 「なんでもいいけどなんで上半身裸なの?風邪ひくよ?」


タタラ「・・・ケン、エト」



エト 「ん?どうしたのタタラさん」

タタラ「23区入りの件だ・・来週アタマにしようと思うがどうか?」

エト 「ウン、私はいいよ」

タタラ「ケンは?」

カネキ「あ、来週から試験だから、僕パスで」

タタラ「・・・明白了。では再来週は?」

カネキ「再来週の月曜結果発表なので、それで追試なければいいですよ」

タタラ「好。・・・考试努力」

カネキ「谢谢」

エト (ケンの都合で日程があっさり変わるアオギリってどうなんだろう・・・)


***

カネキ「じゃあ僕はこれで。帰って試験勉強の続きするので」

エト 「ウン。わたしも帰る」

・・・

ガチャ
ヒナミ「・・・あ、先生お帰り!」

高槻 「ただいまーまだ起きてたの?」

ヒナミ「うん・・先生とお兄ちゃんが心配で眠れなかったの・・・お兄ちゃんは?」

高槻 「ケンは来週から大学の試験だから自宅に帰って勉強するって」

ヒナミ「うん・・・ケン?」

高槻 「あ、カネキ君が」

ヒナミ「・・・先生って・・お兄ちゃんと“こいびとどうし”なの?」

高槻 「・・ちゃうよー」

ヒナミ「ふーん・・」


ガチャ
カネキ「ただいまー・・・・ん?」

カネキ(ヒデから着信が入りまくってる・・時間遅いけどかけた方がいいかな?)


ピ ピ ピ・・


ヒデ 『・・・カネキ』

カネキ「ごめんバイト中で電源切ってたよ。どうしたの?」

ヒデ 『・・・フエグチさんて知ってるか?』

カネキ「?」

・・・

ヒデ 『・・・という訳なんだが』

カネキ(・・・たぶんヒナミちゃんのお母さんだな・・ヒナミちゃんのことは黙ってるって話だったし・・さてどうしたものか・・)

カネキ「とりあえず今日は遅いから明日にしない?」

ヒデ 『あ・・おう。すまん』

カネキ「じゃあ大学の食堂に10時でいい?」

ヒデ 『了解』

ガチャ

***



――――――――――20区“上井大学”


カネキ「あ、おはよう。ヒデ」

ヒデ 「・・よ」

カネキ「顔色悪いけど大丈夫?」

ヒデ 「ああ・・大丈夫だ。・・・で」

カネキ「うん。たまたまこの間僕が助けようとした人だと思うよ」

ヒデ 「リョーコさんは・・無事なのか?」

カネキ「・・正直分からないよ。僕が助けに入った時は女性は倒れてて、女の子は逃げたから」

ヒデ 「・・・あの人たちは、人を殺したりしない平和を望む人たちだ・・なんでこんなことに・・・」



カネキ「・・で、ヒデの知り合いの捜査官によるとその“リョーコさん”て人は収容所に
入れられたって事?」

ヒデ 「・・そうらしい」

カネキ(・・・たぶん先生が言ってたコクリアだな)

ヒデ 「・・俺・・出来ることならリョーコさんを助けたい・・」

カネキ「・・・ヒデ」

ヒデ 「・・え?」

カネキ「これは僕の知り合いの喰種から聞いたことなんだけど来週の月曜の夜以降に、大勢の喰種がその収容場を襲って、囚われてる仲間を助けようとするらしい」

ヒデ 「・・マジか?!」

カネキ「うん。確かな情報だよ。でもそのリョーコさんて人は彼らの仲間じゃないから救助隊対象外だと思うけど・・・」

ヒデ 「でも、収容所って警備厳重だろ?」

カネキ「それに向けて色々と準備してるみたい。その時には手薄になる予定だって。そのために今わざと11区で暴れて、CCGの捜査を11区に向けさせてるみたい」

ヒデ 「・・・マジか・・・俺・・」

カネキ「・・行くの?」

ヒデ 「ああ」

カネキ「十分気を付けてよ。僕はヒデが居なくなったら悲しいよ」

ヒデ 「ああ・・サンキュー」

カネキ「それと、僕らが来週の定期試験を追試なしで突破しないと、その襲撃は行われないから」

ヒデ 「・・・は?」

カネキ「という訳で勉強するよ。一旦戻って勉強道具持って午後にココ集合ね」

ヒデ 「・・マジかよ」

では、ここまでで

つづきです


#020 [参戦]


月曜日。

カネキ「・・どうだった?ヒデ」

ヒデ 「セーフ!CあるけどDは無い!!」

カネキ「良かった。これで安心して襲撃に参加できるね」

ヒデ 「あ・・ああ。俺は若干、この会話の意味わからないけどな」

カネキ「ん?・・ちょっと待ってて。僕、教務課寄ってくるよ」

ヒデ 「?・・ああ・・また成績優秀者で呼び出されてるのか・・」

カネキ「10分くらいで済むから」

ヒデ 「早くしないと先に行くぞー」


***

カネキ「あ、そうだ。連絡しとかなきゃ」

ピピピ・・


ヴーヴー・・
高槻 『お疲れー。いやさすがですね』

カネキ「いえ、ただの定期試験ですし」

高槻 『そうそう、カネキ君に伝えておかなければならない事がありまして』

カネキ「なんです?」

高槻 『昨日の夜、11区に“あんていく”の人が来たんですよー』

カネキ「ん?ヒデではなく?」

高槻 『ええ、“イリミ”という女生と“ヨモ”という男性でした』

カネキ「はぁ・・何の用で?」


高槻 『先週、ヒデ君という方がコクリア行くのに参加するって話を聞きましたが、どうやら彼らはそのサポートをするそうで』

カネキ「なるほど」

高槻 『カネキ君つながりという事を言ったらタタラさんもオッケー出したので』

カネキ「それは良かったです」

高槻 『まぁ彼らは基本的に別行動とるみたいですが、我々とは利害が一致するということでとりあえず共同戦線をはるということになりそうですね』

カネキ「そうですか」


ヒデ 「・・ん?俺のこと話してる?」


カネキ「あ、ヒデ。えっと・・今収容所に襲撃する人たちと電話でしゃべってるんだけど、どうやら“あんていく”のイリミさんて人とヨモさんって人がヒデのサポートをするらしいよ」

ヒデ 「・・・マジか」

高槻 『カネキくーん』

カネキ「あ・ハイハイ」

高槻 『カネキ君は今お腹すいてる?』

カネキ「え?なんでですか?まあそこそこすいてますが」

高槻 『いえね、タタラさんがカネキ君のために満漢全席を作ってるみたいなんですよ』

カネキ「いや・・ちょっと意味分かんないです」

高槻 『たぶんタタラさん的にはカネキ君が科挙的な試験に受かったと思ってますね』

カネキ「襲撃の準備はいいのか」

高槻 『ちょっとは食べてあげてね。鼻歌歌いながら笑顔で料理を作るタタラさんをずっと見てる私からすると不憫でならないので』

カネキ「はぁ・・いい人なのは分かるんだけどさぁ・・」


カネキ「ヒデ、じゃあ僕一旦帰って支度するから」

ヒデ 「あ、おう。じゃあ俺も一旦帰って“あんていく”に行くわ」

カネキ「僕もヒデの手伝いしたいけど、取材もあるし」

ヒデ 「いや、大丈夫だ。“あんていく”のみんながサポートしてくれるなら心強いぜ(取材?)」

カネキ「じゃあ、気を付けて。情報によればCCGの捜査官はあんまりいないと思うけど、彼らは喰種見つけたらすぐ発砲するアメリカンポリスみたいな奴等らしいから」

ヒデ 「お、おう。カネキも気を付けてな」

カネキ「うん」

***


カネキ「さて、着替えてアジト行くかぁ・・一応液キャベ飲んどこう・・はぁ」


***


ヒデ 「リョーコさん・・必ず助けますから・・」



――――――――――11区“アオギリの樹”アジト



エト 「あ、ケン」

カネキ「お疲れ。ヒナミちゃんは?」

エト 「お留守番」

カネキ「まあそうだよね」

エト 「タタラさん、まだ調理中だから。終わったら声かけるって」

カネキ「そうですか」

エト 「夜まで特にすることないし、アジトの中ぶらぶらしてくれば?」

カネキ「うん、そうする」


・・・

カネキ「ん?地下に続く階段がある・・行ってみよう」

カン カン カン・・

カネキ「なんか牢屋みたいな造りだなぁ・・」

カネキ「ん?」


バンジョー「うわっつ!!」

カネキ「あれ?あなた確か・・ヤモリさんと防災訓練してた人たち」

バンジョー「・・あ・・・アンタ・・無事だったのか?」

カネキ「無事?・・ああ試験は無事追試なしでしたよ」

バンジョー「??」

カネキ「??」


・・・

カネキ「え?“アオギリの樹”から抜けようとしてたんですか?」

バンジョー「・・ああこいつら全員そうだ。アオギリのやり方には賛同できねぇ・・」

カネキ「んー・・僕入って日が浅いけどそんなに野蛮な事してる印象ないけどなぁ・・むしろCCGって結構非道なんだなぁって思ったけど」

バンジョー「・・・アンタみたいな・・強い喰種には居心地いいのかも知れねぇが・・俺たちみたいな弱い喰種は虐げられるだけなんだ・・」

カネキ「え?バンジョーさんめっちゃ強そうじゃないですか。逆に僕は特に戦った事無いですし」

バンジョー「いや・・俺は見た目だけだ・・赫子も未だに出せねぇし」

カネキ「あ、僕も出したことありませんよ」

バンジョー「へ?そうなのか??」

イチミ「・・バンジョーさん、それってつまり赫子出すまでもないって事なんじゃないっすか?」

ジロ 「・・タタラのあの様子見る限りケンさんの強さは半端ないと思いますよ」

サンテ「そうそう、バンジョーさんの弱さは半端ないですし、それと比べるのは失礼っすよ」

バンジョー「お前らぁ・・・まあ、ホントのことだけどよ」

カネキ「アハハハ」


ガチャ
アヤト「おい、お前らァ!」

ケイ 「きゃぁっ」


カネキ「ん?」


アヤト「・・・あ・・ケン・・さん。何してるんですか、こんなとこで」

カネキ「あ、アヤト君。ヒマだからバンジョーさん達と話してたんだよ。アヤト君は?」

アヤト「あ、いや・・もうすぐ白鳩どもと戦うことになるってタタラさんから聞いたんでこいつらに配置を伝えようと・・」

カネキ「ああ・・アヤト君はココに残るんだ?」

アヤト「あ・・ハイ。ケンさんは?」

カネキ「コクリアの方についてくよ」

アヤト「・・・・」

カネキ「?」

アヤト「ケンさん!俺、ケンさんやタタラさんみたいな強い喰種の戦いが見たいんです!だからコクリアの方ついて行っちゃダメですか?!」

カネキ「え?それは僕が決めることじゃないんだけど・・タタラさんに聞いてみる?ていうか僕強くないと思うよ」

アヤト「いや・・・あんな(気持ちの悪い)タタラさん見たこと無ぇ・・ケンさんの強さはあのタタラさんの様子見れば分かります。お願いです、タタラさんに聞いてみてください!」

カネキ「うーん・・・まぁいいけど・・あ、そうだこのバンジョーさん達ってアヤト君の仲間なの?」

アヤト「え?ああ・・こいつら俺の部下なんですけど脱走を企てやがったんですよ。だからそろそろ処分してやろうかと考えてて」

バンジョー「・・クッ」

カネキ「(処分?懲戒的な?かわいそうだなぁ・・)じゃあさ、アヤト君がコクリア行けることになったら、彼らに僕の仕事手伝ってもらっていい?」

アヤト「え?まぁ別にいいですけど・・そいつら使えないですよ」

カネキ「大丈夫、いい考えがあるんだ」ニコッ

アヤト「」ビクッ

バンジョー「」ビクッ


バンジョー「・・・」

ウス 「バンジョーさん・・・あの人・・信じていいんでしょうか?」

バンジョー「分からねぇ・・・だがこれで俺たち、アヤトの部下じゃなくなるかもしれねぇな・・」

・・・


カネキ「エト」

エト 「あ、丁度いいところに。料理出来たって」

カネキ「あ、うん。じゃあ僕食べてる間に、取材用カメラをあと9個くらい用意できない?」

エト 「9個?!」

カネキ「うん、上手くいけば9人くらい取材スタッフが仲間になりそうだから」

エト 「・・よくわからないけど一応用意しておくよ」

カネキ「ありがとう」


***



タタラ「请你吃吃吧。(さあ、食ってくれ)」

カネキ「すげえ量」

タタラ「恭喜恭喜。我想必须我盛大地祝福吧。(めでたいことだ。盛大に祝わなければと思ってな)」

カネキ「ハハ・・」





(すいませんが変換大変なので、以下日本語にします)



カネキ「すごい美味しいですね。タタラさんは料理上手なんですね」

タタラ「ふ・・お世辞を言うな。以前上海にいたころイェンという仲間がいてな。そいつから習った・・・料理上手なやつだった・・白鳩に殺されてしまったがな・・・」

カネキ「・・・そうですか・・・大切な仲間だったんですね」

タタラ「ああ・・・だが日本に来て新たな仲間もできた・・・むろんケンもそうだ」

カネキ「いや・・嬉しいです。でもこんなに料理上手ならアオギリの他の人にも作ってあげればいいのに」

タタラ「・・・それは俺のキャラじゃない」

カネキ「そうですか?アヤト君なんかタタラさんの事慕ってるみたいですし、喜ぶと思いますよ」

タタラ「む・・・そうか」

カネキ(口元が緩んでる・・きっと嬉しいんだな)

カネキ「あ・そういえば」

タタラ「ん?」

カネキ「そのアヤト君ですが、今回のコクリア救出作戦に加わりたいって言ってましたよ。タタラさんの戦いぶりを近くで見たいって」

タタラ「・・確かにコクリアに着いて来たいとは言っていたが・・・俺の戦いを見たいなどとは一言も言っていなかったな・・」

カネキ「アヤト君、まだ子供ですし、シャイだから面と向かって言うの恥ずかしかったんじゃないですか?」

タタラ「・・・そ・・そうか・・フフ」

カネキ(すっげぇ嬉しそう)


ガチャ!
ビン兄「タタラ・・白鳩が動き出した。コクリア班は移動を開始した方がいい」

タタラ「ビン・・貴様・・(俺とケンとの楽しい時間を)邪魔をするな・・」ギン

カネキ「まぁまぁ・・タタラさん仕事優先で行きましょうよ」

タタラ「しかし・・まだ全然食っていないではないか」

カネキ「こういう事もあるかと思って、タッパを大量に持ってきましたから。持って帰って食べますよ」

タタラ「フフ・・ケンは本当に準備がいい」

カネキ「ハハ・・(コレ食いきれないし、おいしいから帰ってヒナミちゃんにあげよう)」

ビン兄「・・・」


***


集会場。

タタラ「・・・という訳で、俺と、エト、それにアヤトは23区に移動する。後は任せたぞノロ」

ノロ 「・・・」

アヤト(・・・すげぇ・・本当に俺コクリア行けるみたいだ・・ケンさんパネェ・・)


エト 「ケン、カメラ君の分もあわせて10台用意したよ」

ケン 「ありがと(よし!これで僕の負担がだいぶ減るぞ)」

エト 「じゃあ突入はタタラさんとアヤト君がするから、私たちは救助活動と取材に専念しましょう」

ケン 「ええ。エトもくれぐれも気を付けてよ」

エト 「ウン、ケンもね」


――――――――――20区“あんていく”


ヒデ 「カヤさん、ヨモさん、本当にありがとうございます!」

カヤ 「いいのよ。あなた一人じゃ不安だし」

ヨモ 「・・・」

芳村 「任せたよ、永近君」

ヒデ 「・・ハイ」


トーカ「・・・店長」

芳村 「?」

トーカ「・・私も行く!」

芳村 「・・・“アオギリ”によれば、今回の潜入は危険を伴う可能性は低い。だがCCGの内部に潜入することには変わりない・・危険かもしれないよ?」

トーカ「・・・私は、リョーコさんが出ていくのを止められなかった・・ヒナミも・・。今度こそ・・・私が・・・!」

ヒデ 「トーカちゃん・・・」

トーカ「・・それにクソ新人が一人で先走って無茶しないかちゃんと見ないといけないし・・//」

古間 「・・・」
カヤ 「・・・」
芳村 「・・・」

ヨモ 「・・英良は俺もしっかり守る・・安心しろ」

トーカ「・・・それがちょっと心配ってのもあるし」

ヒデ 「?」


・・・

ヴー ヴー・・
ヒデ 「ん?カネキ?・・・!店長、CCGが動き出したみたいっす!」

ここまでにします

こんばんは
更新します


#020 [惨骸]



――――――――――11区“アオギリの樹”アジト


亜門 「・・・おかしいですね」

真戸 「そうですねぇ・・」

亜門 「確かに喰種は多いですが・・幹部クラスと思われる奴が居ない」

真戸 「同感です。私のクインケの材料に値する奴が居ませんねぇ」


***


黒磐 「うむ・・このあたりの喰種はほぼ一掃したな」

美郷 「ハイ!」

黒磐 「しかし・・うーむ・・篠原」

篠原 「いわっちょ」

黒磐 「ボスがおらんな・・そっちがまだ探索してない場所は?」

篠原 「一番奥の4棟と8棟だね」

黒磐 「うむ・・鈴屋は?」

篠原 「一人で先に行っちゃったよ・・はぁ」

黒磐 「・・・うむ」


シロ・クロ((お兄さん・・この中にいないよね?))




黒磐 「ん・・・待て」

美郷 「ハイ!安久、待機だ」

シロ・クロ「「ハイ」」


ヤモリ「・・・雑魚ばっかでつまらないでしょ?」

黒磐 「・・・美郷、“ジェイソン”だ。SS級配置をとれ」

美郷 「ハイ!!」

篠原 「あの子どこ行っちゃったのかねー・・とりあえずいわっちょに加勢するよ」

***


ビン兄「・・・白鳩」
ビン弟「兄ィ・・何番で行く?」


亜門 「・・・ん?」

真戸 「おやおや・・・ずいぶんと出てきましたね・・真ん中は幹部でしょうか?」

亜門 「真戸さん、奴ら全員赫子使えるみたいですね」

真戸 「ああ・・クク・・久々に腕が鳴るよ・・」


***


什造 「あれ?アナタ“アオギリ”ですか?」

ノロ 「・・・」

什造 「何か言わないと殺しちゃいますよー?」

ノロ 「・・・」
バゴォ・・!!

什造 「おっと」
ヒョイ

什造 「・・・」ニヤァ



――――――――――23区“コクリア”


タタラ「・・・行くぞ、アヤト」

アヤト「ハイ」

ガチャリ


監獄長「ん?誰だおまえた」

監獄長の首「・・・ち」
・・ゴロン


タタラ「この下か」

アヤト「・・みたいですね」

タタラ「アヤト・・・お前の技はデカい音が出る・・・静かに殺るんだ」

アヤト「・・ハイっ!」

・・・


エト 「ケン、私たちも行くよ」

カネキ「ええ。じゃあバンジョーさんたち、写真撮影お願いしますね」

バンジョー「お・・おう」

コウト「お母さん、この機械どうやって使うの?」

ケイ 「ええと・・このボタンを押せばいいのかしら」

バンジョー「ここで、覗いて、このボタンを押すんだぜ」

カネキ「バンジョーさん達は上の階の方をお願いします。出来るだけたくさんの写真を撮ってください」

バンジョー「おう、任せてくれ!!」


カネキ「ん?どうしたの、皆止まって」

エト 「どうやら強い人間がいるみたい。攻撃すると大きな音が出てバレそうだから、作戦を考えてるんだよ」

カネキ「ふーん・・・」

アヤト「ケンさん・・・アイツ倒せませんか?!」

タタラ「倒すのは簡単だ・・しかし仲間を呼ばれるのはやっかいだからな・・」

カネキ「うーん・・OKちょっと待ってて」

カネキ「エト、リョーコさんの時みたいなミネウチって誰にでもできる?」

エト 「え?・・まあスキがあれば」

カネキ「それとCCGの人って役職の名前は会社と同じなの?係長とか、課長とか」

エト 「え?確か一番下が三等捜査官、二等、一等って上がっていって、その上は上等、準特等、で一番上が特等捜査官だったよ・・でもそれが?」

カネキ「じゃあスキ作るからミネウチお願い」

エト 「・・いいけどアイツにスキ作れるの?」

カネキ「うん、やってみる」

アヤト(ついにケンさんの戦いが見られる・・)ゴクリ

カネキ「・・・」ジィィィィィィィイイ

エト 「きゃっ!なんでチャック全開に?!」

カネキ「僕がアヘ顔ダブルピースしたらミネウチをお願いします」

エト 「え?・・え?!」



カネキ「あ・・スイマセン」

喰種一同(えええーー??!マスクもつけずに普通に話しかけたぁぁぁ??!)


灰崎 「ん・・・お前は?」

カネキ「あ、新任の佐々木三等捜査官です。コクリアを見学するように言われて来ました」

灰崎 「??報告は受けていないが??」

カネキ「え??入口に居た方には連絡いってたみたいですけど・・・?」

灰崎 (・・・監獄長、また伝達を怠ったな・・まあ監獄長のセキュリティーチェックを通過したのなら大丈夫だろう)

灰崎 「いや・・そうか、ご苦労。お前は配属はどこだ?」

カネキ「13区です(適当)」

灰崎 「13区か・・あそこは危険な喰種が多いからな・・黒磐のところか?」

カネキ「はい!(誰?)」

灰崎 「そうか・・黒磐も立て続けに新人が入って大変だな」

カネキ「いえ、とても勉強になります!」

灰崎 「ん?・・佐々木・・その・・社会の窓が開いているぞ」

カネキ「え?あ・・スイマセン」v(^o^)v

灰崎 「???なぜ突然、変顔をォ」
どさっ

エト 「・・・ミネウチ完了」

カネキ「よし、行こう」

エト 「・・・ケン、一瞬キミの方をミネウチしようかと思ったよ」

カネキ「ひどいなぁ」


エト 「・・にしてもケン、度胸ありすぎ」

カネキ「だってこの間、コクリア潜入は初めてって言ってたよね?だからまさか喰種が攻めてくるなんて考えてもいないだろうと思って」

エト 「そのためにわざわざスーツ着てきたのね・・顔、見られたけど平気?」

カネキ「考えても見てよ。チャック全開でアヘ顔ダブルピースを決めた人のことをそれ以上覚えてると思う?情報過多で、このヒト僕が適当に言った“佐々木”って名前しか覚えてないよ。一応監視カメラには背を向けたし、あとで監視カメラ壊しておけば問題ないでしょ」

エト 「・・・まあでも、もうチャックは上げた方がいいんじゃないかな?」

タタラ(・・・さすがだ、ケン)
タタラ「・・アヤト・・静かに殺るとはああいう事だ・・」

アヤト(・・・ケンさん、パネェ・・・俺にはとても真似出来ねェ・・)



カネキ「じゃあタタラさん、アヤト君、あとはお願いします」

タタラ「・・ああ」
アヤト「ハイっ!!」


エト 「・・じゃあ取材はお願いしますよー」

カネキ「うん、このヒト(灰崎)の私物はゲットしたので、あとは監視カメラ壊したら写真撮りまくるよ」

エト 「ウン」


カヤ 「・・・アオギリの潜入確認・・・トーカ、ヒデ、準備して」

トーカ「はい!」
ヒデ 「うっす!」

ヨモ 「・・・俺は一足先に潜入する・・万が一アオギリがしくじった場合は連絡する・・」

ヒデ 「はいっす!」


カヤ 「ヨモは無事潜入したみたい・・コクリアは危険な喰種ほど深部に収容されている・・おそらくリョーコさんは上層に収容されてるはず」

トーカ「・・リョーコさんの収容されてる部屋はどこだか分からないですか?」

カヤ 「・・残念ながら私はそこまで分からないわ・・・でもさすがアオギリね・・かなり深部まで侵入してるようだけどCCGが騒いでいない・・よほど頭の切れる奴が指揮を執ってるようね」

ヒデ 「・・・じゃあ片っ端から部屋を散策するしかないですか?」

カヤ 「残念ながらそうね。とりあえず誰も居ない部屋は分かるからそこは除外していきましょう・・・・一階は入口から3番目、8番目、12番目は空。地下1階は4番目、5番目、7番目、11番目が空。地下2階は1番目16番目が空ね。それより下はアオギリが探索中よ。ヨモも地下3階にいる」

トーカ「じゃあとりあえず地下2階までを探すかっ!」

ヒデ 「ああ、そうだな!」

・・・


トーカ「おかしいな・・・どの房にも居ない」

ヒデ 「うん・・もっと下の階かな・・?」

ヨモ 「英良」

ヒデ 「あ、ヨモさん!」

ヨモ 「・・この下には居ないようだ・・S級と書かれた先は“アオギリ”達が探索している・・そこには居ないだろう・・」

ヒデ 「・・・おかしいな」



ヒデ 「入見さんの見立て間違ってたのか?」

トーカ「いや・・カヤさんの探知は外れないと思うけど・・」

ヨモ 「・・・すでに“アオギリ”が侵入してかなりの時間が経つ。とりあえずまだ探索していない部屋を確認して、発見できなければ一度撤退すべきだ・・」

ヒデ 「・・・リョーコさん・・」

ヨモ 「俺は地下二階をを見てくる・・トーカは地下一階、英良は一階を確認しろ」

トーカ「はい」
ヒデ 「うっす」


***


ヒデ 「・・・カヤさん誰も居ないって言ってたけど・・とりあえず見てみるか・・・ん?」

ヒデ 「!!リョーコさん!!」

リョーコ「」

ヒデ 「リョーコ・・さ・・・ん?」



“フエグチリョーコ”だったものは静かに床に横たわっていた。

壁には、血とも汚れとも分からない、どす黒いシミができていた。

暗くてよく見えなかったが、目を凝らしてみると、躰は夥しい数の痣と、破れ爛れた皮膚が見て取れた。

閉じられた眼の端は、掠れた血の跡と乾いた涙の跡で汚れていた。

英良が彼女の躰を抱き上げると、四肢の骨格が破壊されていたのか、だらりと手足が曲がった。

両手足の指先は、剥された爪の跡が、まるでマニキュアのように染まっていた。


抱き上げたリョーコの残骸を見る視界が赤黒く濁っていくのを感じた。


ヒデ 「うああああああああおおおあおああおあおああおおあ!!!!!」


ヨモ 「?」

トーカ「?!ヒデッ?!」

カンカンカン!!

トーカ「?!」

トーカが英良の異常を感じて急いで階段を駆け上がった時最初に見た光景は、コクリアの異変を察知していち早く駆けつけた23区局職員を喰いちぎり、ブラウン運動のように暴れまわるヒデの姿だった。

ヒデの背中には鱗赫の喰子が4本踊っていた。

トーカ「ヒ・・ヒデ!!」

ヨモ 「トーカ・・ダメだ。下がってろ」
ズモモモモ!!


ドオオオォォォン!!!

ヒデ 「あああああああああ!!」

トーカ「さ・・再生してる・・」

カヤ 「ちょっと!何なのアレは!!」

ヨモ 「・・英良が暴走している・・・三人の赫子で同時に攻撃して動きを止めるしかない」

トーカ「でも!」

ヨモ 「・・アイツの再生力は異常だ・・・ここで俺たちがアイツを止めなければ白鳩にやられる」

トーカ「・・・くそッ!!」
ゾオオオオオオオ・・

カヤ 「・・・英良・・死なないでよ」
バキキキキ・・・・


***


――――――――――11区“アオギリの樹”アジト


什造 「アハハ・・アナタ、どうして死なないです?」

ノロ 「・・・」

什造 「おかしいですねぇ・・お腹の中身ぶちまけるとこ切ったんですがねぇ」

ノロ 「・・・・」

ピピピピピピピピピピピピピピ!


什造 「ん?なんです?」

ノロ 「・・・」
ピッ

ノロ 「・・・」
シュン!

什造 「あ・逃げるな僕のクインケ!!」


**


亜門 「こいつら・・コンビネーションで・・!」

真戸 「クク・・幹部ですか。中々骨がある・・・いいクインケになりそうだぁ!!」

ビン兄「食らえッ!!」

亜門 「ふんッ!!」
ドンッ!!

ビン弟「なっ!!兄ィの赫子を素手で?!」

真戸 「おやおや、私を忘れてますね」
ザザン!!

ビン弟「がっ・・・!!」

ビン兄「貴様ッ!!」

亜門 「終わりだッ!!」
ザシュッ!!


**


黒磐 「うむ・・効いとらんな・・」

篠原 「さすがッ・・・半赫者は堅いね・・・いわっちょ」

黒磐 「・・・やるか?」

篠原 「・・いや、まだヒラが居る」


ヤモリ「ふぅー・・ふぅー・・・グハハ・・・どうしたハトォォォ・・!!」

篠原 「行くよ、いわっちょ」

黒磐 「うむっ!」

ガギイイン!!

ヤモリ「きかねええええよォォォオオ!」


ザシュ!!

ヤモリ「?!」

平子 「・・・・」


篠原 「さすが上手いね!赫子の隙間をついた」

平子 「・・いえ」

黒磐 「・・・後ろ!!」


平子 「・・・っ!!」
ヒュン!!


ノロ 「・・・」

篠原 「な・・どこから現れた・・?!」


ノロ 「・・・・」

ヤモリ「・・・ち・・時間か」

黒磐 「?」


ノロ・ヤモリ「・・・」
トンッ・・

ヒュン!!

篠原 「・・・逃げた・・のか?」

黒磐 「・・・・うむ」


とことこ
什造 「・・・アレ?皆さん・・僕のクインケの材料見ませんでした?」

篠原 「はぁ・・・」



今日はここまでにします

リョーコさん、ごめんなさい

こんばんわ
いきなり訂正ですみませんが、1個前は#021でした。訂正します。

では、今日の更新をします
少し長いです


#022 [変態]



ピー ピー
篠原 「ん?マルちゃんから連絡だね」

篠原 「・・・・な!」


黒磐 「?」

篠原 「・・・やられたよ」

黒磐 「どうした?」

篠原 「コクリアが襲撃されてる・・・ココは囮だったみたいね」

黒磐 「・・・・うむ」


亜門 「あ、篠原さん!」

黒磐 「お、ムキムキ。ちょうどいいとこに」

亜門 「?」

黒磐 「お疲れのとこ悪いけど、コクリアに直行ね」

亜門 「?」


***


亜門 「・・・幹部が少なかったのはそういう訳ですか」

真戸 「ふっ・・通りでね・・・我々も行きますかね亜門君」

亜門 「はい」

黒磐 「・・まぁ先に近くにいた有馬が向かったみたいだから着いた時やること無いかもだけどね」

真戸 「しかしコクリアか・・ふむ・・やはりあの喰種、このことを知っていたのかも知れないですねぇ」

亜門 「?・・・ああ723番ですか」

真戸 「ええ。結局何も喋りませんでしたよ」

亜門 「・・・そうですか。真戸さんでも何も聞き出せませんでしたか」

真戸 「しかも赫子も出さなかったのでクインケにも出来なかった・・まったくただのゴミになってしまったよ」

亜門 「・・・」



――――――――――23区“コクリア”


エト 「・・・驚くほど人間居ないね」

タタラ「・・ケンのおかげだ」

エト 「そうだね・・・やり方はともかく」

タタラ「・・・ん?この先はSS級か」

エト 「私、行く?」

タタラ「いや、エトはS級を頼む」

エト 「ウン」

タタラ「アヤト」

アヤト「ハイ」

タタラ「お前は念のため入口に戻って待機してもらえるか?白鳩が来たら知らせてくれ」

アヤト「分かりました!」


パシャ
カネキ「なんかこのあたり同じ景色ばっかりで写真撮るに値しないなぁ・・」

オオオオ・・

カネキ「ん?・・今なんか上で聞こえたような・・・」



アヤト「あ、ケンさん!」

カネキ「あ、アヤト君。上行くの?」

アヤト「ハイ。入口で白鳩来ないか見張ります」

カネキ「そっか、気を付けてね。なんか変な音聞こえたから」

アヤト「ハイッ!!」

アヤト(ケンさんなんで写真撮ってるんだ??・・・まあケンさんのことだからスゲェ作戦があるんだろうな)

カン カン カン・・


アヤト「ん・・・お前らァ」

バンジョー「げっ!!」

アヤト「・・・なんでお前らまで写真撮ってるんだ?」

バンジョー「くっ・・・ケン・・さんに頼まれたんだよ・・」

アヤト「・・・・そうか・・がんばれよ」
カン カン カン・・・


バンジョー「・・・へ?」

バンジョー一味「・・・」


アヤト(確かに・・アイツら弱くて使い物になんねェって思ってたけど・・・弱い奴は弱い奴なりに使い道はあるってことか・・・さすがだぜ・・ケンさん)




アヤト「・・・・ん?・・・アレは・・・!!」



アヤト「トーカァ・・!てめーこんなとこでなにしてんだ?ああ?」

トーカ「・・アヤト?!」

アヤト「テメーみてーな弱い奴が来るとこじゃねェ・・・何なら俺が殺してやろうかァ?」


カヤ 「トーカ!よそ見しないで!!」

トーカ「ハイッ!!」
トーカ「うっさいアヤト!!後にしろ!!今大変なんだよ!見て分かんねーのか!!」

アヤト「へ?」



ヒデ 「アアああああああああアアあ!!!」

アヤト「・・・・(なんだアレ)」



ヨモ 「・・・決めるぞ・・!」

トーカ「ハイッ!!」
カヤ 「ええ!!」

ドオオオオオン!!!

ヒデ 「う・・・ううぐ・・」
・・ドサ

ヨモ 「・・運ぶぞ」

トーカ「ハイ!」
カヤ 「危なかったわね・・」



アヤト「・・・・・・あ・・とーかァ・・・・・行っちゃった・・」


タタラ「エト、ノルマは達成した」

エト 「ウン、こっちも」

タタラ「そろそろ行くか」

エト 「そうだね」

アヤト「・・・」

タタラ「アヤト、白鳩は来ていなかったか?」

アヤト「いや・・・トーカが・・いやなんて言うかよく分かんないけど白鳩は居なかったです」

タタラ「?・・そうか。まあいずれにしろ潮時だ」

エト 「ウン・・・まさかコクリア班は被害ゼロとはね」

タタラ「11区の奴らは概ねやられただろうな」

エト 「そうかもね」

***


カネキ「あれ?もう撤収?」

エト 「そうだよ。そろそろ逃げないと怖い奴来ちゃうから」

カネキ「まだSS級の階の写真撮ってないんだけど」

エト 「・・・じゃあ私着いてくからさっさと済ませて」

タタラ「俺も残ろう」

エト 「タタラさんは入口に居て。すぐ行くから」

タタラ「そ・・そうか」(´・ω・`)

アヤト「あ、俺もタタラさんと一緒にいます」

タタラ「うむっ!」(`・ω・´)


バンジョー「あー・・ケン」

カネキ「あ、バンジョーさん達」

バンジョー「とりあえず写真撮り終わったぜ」

カネキ「あ、どうもありがとうございます。先帰っててください」

バンジョー「・・・俺達アオギリには帰りたくねぇ!!」

カネキ「え?じゃあどうするの?」

バンジョー「このまま・・・東京の外にでも逃げようかと思うんだが・・・ダメか?」

カネキ「・・せっかく懲戒処分なしに出来そうだったのに・・」

バンジョー「?」

エト 「お取込み中悪いんだけどさ」

バンジョー「うわっ!!」

バンジョー(コイツたしか幹部のエト・・・ヤバい・・逃げること聞かれた・・・!!)

エト 「たぶん11区のアジト、白鳩に襲撃されてるから、帰ったら死ぬよ?」

カネキ「ええ?イモリさん・・じゃなくてヤモリさんとか中二病兄弟とか大丈夫?!!」

エト 「・・分かんないけど、とりあえず11区アジトには帰んない方がいいよ。タタラさんも別のアジトに行ったと思うし」

バンジョー「・・・くっ」

カネキ「うーん・・じゃあさ光が丘駅の出たとこにあるLIVINのフードコートにいて。僕もバイト終わったら行くから」

バンジョー「・・へ?」

カネキ「ん?・・・ああお金持ってないか!じゃあハイ、5000円渡しとくから。みんなの電車代とコーヒー代。足りるよね?」

エト 「9人だと微妙だよ」

カネキ「そっかぁ・・はい、じゃあもうあと5000円」

バンジョー「え?・・・えーと・・」

エト 「早く行って。信じられないかもしれないけど、ケンはいたって真面目だから」

カネキ「?何言ってんの?」

バンジョー「・・・あ・・ああ。じゃあ行ってます・・・?」

カネキ「都営大江戸線だから間違えないでねー」


・・・

エト 「そろそろいいんじゃない?」

カネキ「そうだね。だいぶ写真撮ったし、色々とアイテムも拾ったよ」

エト 「まあ内容は後で確認するとして、タタラさん達待ってるから急ごう」

カネキ「うん」

***


タタラ「終わったか?」

カネキ「ハイ。ありがとうございました」

アヤト「・・トーカが・・変な喰種が・・・」

カネキ「・・アヤト君大丈夫?」

アヤト「あ・・ハイ・・・多分大丈夫です」

タタラ「さっきからこの調子だ・・・何か見たようだが説明が要領を得ない」

カネキ「?・・たぶん上階のほうの様子は撮影隊の皆が写真撮ってるから、あとで確認できますよ」

タタラ「・・・さすがだ、ケン」


エト 「・・・で、タタラさんはどこ行くの?」

タタラ「とりあえず23区アジトに行く。アヤトも連れていく」

エト 「じゃあ私とケンは一旦、私たちのアジトに戻るから」

タタラ「・・・そうか。後で合流だな」



・・・・エト・カネキとタタラ・アヤト・その他の喰種達が別れた直後であった。

死神の声が聞こえた。


『・・・・IXA』


エト 「・・しまっ・・!!」


背を向けたタタラたちは認識することができず、タタラたちの方を向いていたカネキも認識することができなかった。

カネキに向かって伸びる死神のクインケを。

唯一その死神の手に気付いたエトは、とっさにカネキを押し飛ばした。

ドサッ!!
カネキ「うわっ・・!」


ザシュゥゥゥウウ!!
エト 「・・・ッ!!」


カネキ「いてて・・・エト?」

エト 「・・・くっ」

とっさの出来事で赫子を出すことが間に合わなかった。
ほとんど人間に近い状態の体でIXAの攻撃を受けたエトは利き腕を吹き飛ばされていた。


カネキ「・・・・え?」

カネキの脳裏には血まみれのイトリの姿が浮かんだ。

カネキ「・・先生・・左腕が・・」

エト 「・・・アイツ・・・そっか・・これじゃ分かんなかったか・・・・・・・油断したよ」

カネキは背中に燃え上がるような熱いものを感じた。




カネキ「・・・僕の」


カネキ「僕のメガネっ子になんてことするんだァァ!!!」



有馬 「・・・アオギリ本隊か・・・ずいぶんと多いな・・」


カネキ「・・・・」ヒュンッ!!

有馬 「?・・・IXA防御モード・・」

ガイィィィン!!

有馬 「?!」

ドサッツ!!

飛び込んでくる見慣れぬ喰種から身を守るため、クインケで防御した有馬の体は、10メートル以上弾き飛ばされた。


ピシィ・・
有馬 「・・・IXAの防御壁を・・」


カネキは突然現れたCCG捜査官から、負傷したエトを遠ざけるため、ありったけの力で突進した。
突進しながらカネキは感じた。
今までの人生で感じたことのない加速を。

感情の昂ぶりが、カネキの体内に蓄えられたRc細胞を目覚めさせた。


エト 「・・・・・ケン・・逃げて」




アヤト「エト!ケンさんっ!!」

タタラ「行くなアヤト・・・“有馬”だ。お前では勝てない」

アヤト「・・でも!!」

タタラ「最初に決めたルールを守れ・・奴が来たら逃げる・・・目的は果たした」

アヤト「クッ・・!」



有馬 (・・・他の喰種達が逃げていく・・)

有馬 「・・・!」

カネキ「・・・お前の相手は僕だ」

有馬 「・・・そうか」

カネキ「・・ひとつ言っておく」

有馬 「・・・なんだ」

カネキ「そのメガネ、全然似合ってない!!」

有馬 「・・・」


篠原 「おっと・・有馬が居るな。間に合わなかったかな?・・・・・・ん?!皆止まれッ!!!」

黒磐 「む?!」

篠原 「なんだ・・・アイツは」


篠原は目を疑った。

“CCGの死神”とまで言われた男が膝をつき、見慣れぬ喰種がそれを見下ろしていることを。

しかしそれ以上に、その喰種の風貌の異様さに言葉が出なかった。



ズググググググ・・・
カネキ「・・・・」

カネキの背中から延びる赫子の数は見えるだけで10本以上。
しかも様々な形状をしていた。
そしてそれらの赫子がスーツを着た体を覆っていく・・・。

ズググググググググググググ!!!


篠原 「か・・・赫者・・いや・・・9/10赫者・・位?」

亜門 「・・・・眼鏡の喰種」

真戸 「ほう・・奴が・・」

亜門 「眼鏡・・・貴様は・・・」

什造 「アハハ♪新しいクインケの材料になりそうですねぇ」

がしッ!
什造 「?!」

先走る什造の体を篠原が掴んだ。

什造 「篠原さん?何するですっ?!」

篠原 「・・ダメだ・・・一人で飛び込めば死ぬ」

什造 「・・・・・ぶぅー」



シュウウウウ・・
カネキ「・・・・」

カネキ「行きますよ?」

有馬 「・・・・」

・・・


有馬とカネキは、特等捜査官たちでも目で追うのがやっとの動きで動き回り、幾度となく衝突した。

有馬 「・・・・ナルカミ」
バチチチチ!!

カネキ「おっと」
ヒョイ

有馬 「・・なっ!」


亜門 (有馬特等の顔に何度も手を伸ばしては戻している・・・奴は・・何をしてるんだ?)


カネキ「・・・ふう・・・じゃあ、もう終わりましてんで。さようなら」

有馬 「くっ・・・ナルカミ!」
バチチチチチ!

カネキ「おっと」
ひょい

カネキ「・・・言っときますけどアナタ許しませんからね」
シュン!

有馬 「・・・」


篠原 「逃げるぞ!」

真戸 「ん?・・奴、仲間を負ぶっていきましたね・・」

亜門 「・・・・」


黒磐 「大丈夫か、有馬」

有馬 「・・・ええ」

黒磐 「・・・有馬・・そのメガネ・・レンズに文字が」

有馬 「・・・・・ええ」

『そのメガネ全然似合ってねーよ!バーカバーカ!!!』


篠原 「子供か」


・・・

“特等捜査官会議”


和修吉時「・・・アオギリという喰種集団もそうだが今回は新しく確認された喰種の情報共有を行おうか・・篠原くん説明をお願いするよ」

篠原 「あぁ・・ハイ・・・新しく確認された“赫者”はコクリアを襲撃したアオギリ本隊の構成員と思われます。赫包は10個以上、レートはSS~・・・力量から言ってあるいはアオギリのリーダーかもしれませんね」

宇井 「赫包10個以上?!まさか・・!どんな奴なんですか?!」

丸出 「報告書をちゃんと見ろ!宇井」

宇井 「え・・でも報告書には外見などの情報がありませんよ」

黒磐 「・・・うむ」

篠原 「なんつーか・・女性の安浦さんもいるし・・」

安浦 「?なんですか・・?私が女性であるからと言って遠慮するのはやめていただきたいですね」

和修 「・・・篠原くん、説明をお願いできるかな」

篠原 「えー・・・新種の赫者の外見は・・上半身はネクタイを締めたスーツ状のものにフードがついたような赫子が覆っており、顔は巨大なメガネをかけたようなマスクで左目だけが見えるようになっています。下半身は・・・腰付近から出たおそらく鱗赫と思われる赫子がトレンチコートのように下に広がっております。ただし、局部は露出」

安浦 「・・・・は?」

篠原 「もう一度言いますが、戦闘中局部は露出状態でした。そのため11区で遭遇した“ジェイソン”のような半赫者あるいは9/10赫者かと思われましたが、実際に戦った有馬によると、局部のみ赫子が透明であり、窓のように外から見える仕組みになっていたそうです」

和修 「・・・・」
田中丸「・・・・」
宇井 「・・・・」
安浦 「・・・・・ヘンタイ」

篠原 「・・・まあ完全に変態ですが実力だけ言えば有馬と同等以上ですから・・奴は有馬の攻撃を躱しながら、有馬の眼鏡に油性マジックで落書きをしたそうです・・・外見と嗜好から我々は奴のことを“変態眼鏡”と呼ぶことにしました」

丸出 「変態の喰種か・・・色んな意味で厄介な奴だ・・・で、なんでその有馬が出席してないんだよ」

篠原 「いやぁ・・有馬の奴、お気に入りの眼鏡落書きされて、無表情だったけど相当怒ってたみたいで、急いで新しい眼鏡造りに行っちゃったよ」

丸出 「子供のケンカか」

今日はここまでにいたします

>タタラ「そ・・そうか」(´・ω・`)
>アヤト「あ、俺もタタラさんと一緒にいます」
>タタラ「うむっ!」(`・ω・´)

タタラさんが可愛すぎる

こんばんは、続き行きます


#023 [添寝]



ガチャ

カネキ「先生・・!」

高槻 「・・カネキ君、そんな大声出したら・・近所迷惑ですよ」

カネキ「そんな事言ってる場合じゃないですよっ・・・!」


ヒナミ「お帰りなさい。お兄ちゃん、先生・・・・先生?!」

高槻 「おー・・ただいま」

ヒナミ「い・・・イヤ・・先生!!」

高槻 「ちゃんヒナも・・大丈夫だよ。赫包やられてないし、もう血は止まったから、命に別状はないよ」

ヒナミ「でもっ!」

カネキ「とりあえずベッドで安静にしてください!」


・・・


カネキ「・・・ヒナミちゃん眠りました。泣き疲れたみたいです」

高槻 「そっか」

カネキ「・・・本当に命に別状はないんですか?」

高槻 「ウン。左腕やられただけ。カネキ君が戦ってる間自分で止血したから」

カネキ「・・そうですか」

高槻 「・・にしてもカネキ君、強いんだね」

カネキ「そんな事無いです・・・あの時は我を忘れてしまって・・・今、あの時の力出せって言われても、たぶん無理です」

高槻 「・・・その割には攻撃はしなかったね」

カネキ「え?だって暴行罪になるでしょ?」

高槻 「・・・相変わらず君の判断ラインは謎ですね」


カネキ「・・・でも先生、利き腕が無くなって・・・文字を書いたりとか・・これからいろいろと大丈夫なんですか?」

高槻 「・・・」

カネキ「僕に出来ることは何でもしますよ」

高槻 「ホント?」

カネキ「ええ」

高槻 「・・実は来週、“吊るしビトのマクガフィン”が発売されるんですよ」

カネキ「あ・・そういえばそうでしたね」

高槻 「で、それに合わせてサイン会を行う予定なんですが」

カネキ「いや・・そんな事してる場合じゃないでしょ」

高槻 「そういう訳にもいかないの。ファンの方との交流は大事ですよー。君と出会ったのもサイン会だったでしょ?」

カネキ「・・・まあそうですが」

高槻 「だからサイン会は行かなければいけないのです」

カネキ「・・・わかりましたよ。手伝いますよ。だから無理しないでください」

高槻 「ウン」


高槻 「・・・とりあえず疲れたから今日はもう寝ようかな」

カネキ「そうですね。僕も疲れました。そろそろ帰ります」

高槻 「・・・帰っちゃうの?」

カネキ「え?」

高槻 「傷ついた女性を置いて帰ってしまうんですか。ほー」

カネキ「はぁ・・・わかりましたよ」

高槻 「カネキ君はホント押しに弱いですね」

カネキ「帰りますよ」

高槻 「嘘嘘!!」

カネキ「・・・ったく。まあ僕をおちょくる元気があるなら大丈夫そうですね」

高槻 「・・・えと、早速お願いがあるんですが」

カネキ「ん?なんです?」

高槻 「・・・背中が洗えません」

カネキ「・・・・・・はい?」

高槻 「片手だとお風呂で背中が洗えません。何度イメージしても洗う方法が思い浮かびません」

カネキ「いや・・・ちょっとそれは・・」

高槻 「そもそもブラもつけられませんし、服も上手く着るのは難しいです」

カネキ「・・・・」

高槻 「・・・いや、つけてますよ。小さいですが」

カネキ「僕なにも考えてないよ!」


ヒナミ「・・・ん・・・といれ」

・・・

ヒナミ(あれ・・・お兄ちゃんも先生も居ない・・・お兄ちゃんは帰ったのかな?)


ジャー・・・

ヒナミ(・・・・お風呂?)



『せっ・・先生、動かないでください』

『動いてないですよ・・意外と下手っぴですね』

『だって僕初めてなんで』

『私だって初めてですよ』


ヒナミ(はわわわわわわわわわわわっ!!!)

ヒナミ(一緒におふろ入ってる!!)

ヒナミ(・・・やっぱり“こいびとどうし”だったのかな?!)

ヒナミ(気になるけど寝よう・・・お兄ちゃんも先生も“おとな”なんだね・・・)




高槻 「本当にへたくそですね。髪の毛引っ張らないでください」

カネキ「だって人の背中洗うなんて初めてなんですから!しかも髪長い人のなんて!髪の毛どうしておけばいいんですか」

高槻 「右手で胸を隠してるので私が髪を持つのは無理です。そこにあるクリップで止めてください」

カネキ「あ、これそうやって使うんですか・・・よいしょ」かち

高槻 「・・・一応確認するんですが、さっきから流れまくってる赤いのはカネキ君の鼻血ですよね?」



高槻 「ありがとうございました」

カネキ「ええ、先生こそずっと眼鏡かけてくれててありがとうございました」

高槻 「カネキ君は本当に正直者だね」

・・・・


高槻 「かねきくーん!」

カネキ「なんですか?」

高槻 「お風呂でました」

カネキ「そうですか」

高槻 「背中拭いてくれませんか?」

カネキ「ああ、ハイ」

ガラガラ

カネキ「・・・」

高槻 「いや、さすがにお風呂上がりには眼鏡外してますよ」

カネキ「ええ、分かってます」
ふきふき

高槻 「・・・えっと、髪の毛も拭いて?左側がうまく拭けないの」

カネキ「はい、いいですよ」
ごしごし

・・・・


高槻 「ありがとうございました。カネキ君も入るでしょ?」

カネキ「ええ」

高槻 「では、行ってらっしゃい」

カネキ「はい、お借りします」


***


高槻 「おかえり。ずいぶん長かったですね」

カネキ「ええ、世界からなぜ争いが無くならないのかを考えていたら長くなってしまいました」

高槻 「・・・・そうですか」

カネキ「ええ。やはり教育の拡充により貧困を無くすことが争いを無くす近道だと思いますね、僕は」

高槻 「・・・・」


***


高槻 「さて・・そろそろ寝ようかと思います」

カネキ「そうですね、もう12時まわってますし」

高槻 「では、一緒に寝ましょうか」

カネキ「突然何言ってるんですか」

高槻 「考えたんですが」

カネキ「ええ」

高槻 「私、物心ついたころから誰かと一緒に寝たことないんですよ」

カネキ「そうなんですか」

高槻 「幼い頃、24区に捨てられたので」

カネキ「24区って・・東京大地下ですか」

高槻 「ご存知でしたか」


カネキ「前にイトリさんから聞きました」

高槻 「なるほど」

カネキ「結構ハードなとこだって聞いてますけど」

高槻 「ウン。いつか教えてあげるよ。24区のこと」

カネキ「・・・ええ」

高槻 「でね、私いつも思ってるんですが、新たな体験は作品に新たな切り口を与えるのではないかと」

カネキ「まあ確かに“居は気を移す”なんて言いますからね」

高槻 「ええ、なので一緒に寝ましょう。次回作に新たな側面が生まれそうです」

カネキ「あの、先生、一応言っておきますが僕は健康な男子ですよ」

高槻 「ええ、そのうえ露出狂でメガネフェチの変態ですね」

カネキ「まあ、今更否定しませんが。知りませんよ、僕に襲われても」

高槻 「いえ、大丈夫ですよ。今のカネキ君は賢者なので」

カネキ「アハハ・・・何のことでしょうか?」

高槻 「・・・」

カネキ「・・・・ハイハイ、わかりましたよ」

もぞもぞ



高槻 「・・・・//」

カネキ「暑いですか?」

高槻 「・・・そうですね。お風呂上りですし」

カネキ「ええ・・僕も暑いです」

高槻 「あ、だからって脱がないでくださいよ」

カネキ「・・・くっ」

高槻 「カネキ君・・私、腕枕してもらって寝たことないんですよー」

カネキ「ええ。僕もだれかに腕枕して寝たことないですね」

高槻 「・・・」

カネキ「しょうがないですね」

高槻 「・・・カネキ君、朝までちゃんと一緒にいてくれますか?」

カネキ「え?・・ええ。まあトイレとか行くかもしれませんが、ちゃんと戻ってきますよ」

高槻 「ホント?」

カネキ「ええ。逆にもう今更布団出るの面倒ですし」

高槻 「そっか・・・よし」ギンッ

カネキ「え?赫眼?」



高槻 「はっ・・!」ぐぐぐ・・!

カネキ「え?!」

シュウウウ・・・
高槻 「・・ふう」

カネキ「・・・なんで腕が生えるんですか」

高槻 「回復強い喰種は赫子出せば欠損した部位も回復できますよ・・・ただし“食事”をしないといけませんが」
がぷ

カネキ「痛い」

高槻 「ん・・・ごくん・・・ウン、やっぱりおいしいね、君は」

カネキ「予告なくいきなり食べないでください」

高槻 「でも、ほら見て」

カネキ「ん?・・・あ」
シュウウウウ・・

高槻 「ほら回復した」

カネキ「・・・ホントだ」

高槻 「君も回復力強いんだね」

カネキ「そうなんでしょうか」


高槻 「さて、五体満足になってところで寝ますか」

カネキ「はぁ・・なんか化かされた気分ですね」

高槻 「あ・・・そういえば」

カネキ「ん?なんですか?」

高槻 「私は・・・ケンのものなんですか?」

カネキ「・・はい?」

高槻 「“僕のメガネっ子に何てことするんだ”」

カネキ「・・・・いやあれは」

高槻 「おやすみ、ケン」

カネキ「・・・」


***


LIVIN店員「あの・・お客様、申し訳ありませんがフードコート閉店のお時間ですので・・・」

バンジョー「お・・・おう!」

イチミ「・・・」
ジロ 「・・・」
サンテ「・・・」

バンジョー「・・・」

ウス 「・・・まさかケンさん・・忘れ・・」

バンジョー「そんな訳ねぇ!!きっと・・・色々忙しいんだ・・もしかしたらCCGと戦ってるのかもしれねぇ・・!!」

モク 「でもこれからどこ行きます?」
テツ 「・・・えっと・・残金4000円ちょっとですね」

バンジョー「・・・コウトとケイさんはマンガ喫茶・・俺たちはコンビニだ」

ケイ 「す・・すみません」
コウト「お母さん、まんがきっさて何?」

今日はここまでです

手は治っちゃうのか……
治らない場合のエトルートなら「僕があなたの左手になるのでずっと眼鏡をかけさけてください」みたいなこのカネキにぴったりの告白ができたのに

こんばんは
>>469なんか原作でも両腕再生してるっぽいですし、それくらいいいかなーと・・

では続きです


#024 [姉抜]


ヒナミ「・・・ん」


カネキ「あ、ヒナミちゃんおはよう」

ヒナミ「お兄ちゃん・・・おはよう・・・泊まったんだね」

カネキ「うん。昨日は遅かったからね」

ヒナミ「・・・・うん」ドキドキドキドキ・・


高槻 「あ、ちゃんヒナ起きたんだーおはよー」

ヒナミ「あ、先生、おはようご・・・あれ?」

高槻 「ん?どした?」

ヒナミ(・・・・あれ?先生の手・・・ある・・・夢だったのかなぁ・・)

高槻 「今日の朝ご飯は豪華だよー」

カネキ「朝から中華って結構キますけどね・・」

ヒナミ(・・・じゃあ先生とお兄ちゃんが一緒におふろ入ってのも・・・夢?)


ヒナミ「・・・」

カネキ「ヒナミちゃん、おいしい?」

ヒナミ「あ、うん。おいしいよ、お兄ちゃん」


ヒナミ「お兄ちゃん、先生・・・えっと・・昨日はどこに行ってたの?」

高槻 「ああ・・・23区で取材をしてたんだよー」

カネキ「ええ・・そうでしたね、取材」

ヒナミ「そうなんだ・・・本を書くためのしゅざい?」

カネキ「うん。だから写真もいっぱい撮ったんだよ・・・あ」

高槻 「・・・・あ」

ヒナミ「?」

カネキ「先生・・・僕・・急用を思い出しました」

高槻 「うん・・・・急用なら早く行った方がいいね」

カネキ「はい・・ごちそうさまです」

高槻 「えっと・・私はサイン会の準備とかありますのでしばらく“アオギリ”はお休みしますので」

カネキ「ええ。分かりました」

高槻 「今タタラさん達が居るとこの詳細は後でメールで送るので」

カネキ「承知です。じゃあまたあとでメールしますので」

高槻 「ウン」

ガチャン


ヒナミ「・・先生、お兄ちゃんどこ行ったの?」

高槻 「えっと・・・取材の続きだよー」

ヒナミ「お兄ちゃん一人で?」

高槻 「ウン。カネキ君はもう一人で大体のことは出来るので」

ヒナミ「・・・先生はお兄ちゃんのこと“しんらい”してるの?」

高槻 「ウン、そうだよー」

ヒナミ「・・・先生、お兄ちゃんのこと・・好き?」

高槻 「・・・え?」


LIVIN店員「いらっしゃいませー」

カネキ「・・・えっと・・・・あ、居た」


バンジョー「ケンさん!」

カネキ「すみません、遅くなって」

バンジョー「いや、いいんだ!・・でも俺達これからどこに行けば・・」

カネキ(あ・・そういえばそれ考えてなかったな・・)

カネキ「とりあえず僕の家に行きましょう。一人暮らしなんで大丈夫ですよ」

バンジョー「ああ、助かるぜ!!」



―――――――――――20区、カネキのアパート


バンジョー「・・・」
イチミ「・・・」
ジロ 「・・・」
サンテ「・・・」
ウス 「・・・」
モク 「・・・」
テツ 「・・・」
ケイ 「・・・」
コウト「・・・」

カネキ「・・・(さすがにワンルームにこの人数は狭いな)」

カネキ「とりあえずコーヒー入れますね。あとお腹すいてたらこの料理食べてください。中華ですけどすごい量なんで」



カネキ「えっと、皆さんがこの後どこへ行くかは後で考えるので、しばらくここにいてもらってもいいですか?・・・かなり狭いですが」

バンジョー「いいのか?!・・いや、居させてもらえるんなら俺達どこだって構わねぇ・・・な?」

イチミ・ジロ・サンテ「もちろんです」

ウス 「本当に助かります」


モク 「あ・・・そういえばケンさんに頼まれた写真どうすればいいっすか?」

カネキ「あ、忘れてた。じゃあ撮った写真のデータ僕のパソコンに入れてもらっていいですか?」

テツ 「スイマセン・・俺パソコンの使い方分かんないっす」

コウト「僕出来るよ!“まんがきっさ”で覚えたから!」

バンジョー「マジか?すげえなボウズ!」

カネキ「そう?じゃあお願いね」


・・・


バンジョー「そういえばケンさん・・アンタに聞きてぇことがあるんだ」

カネキ「なんです?」

バンジョー「・・リゼさんって喰種を知らねぇか?」

カネキ「眼鏡かけてる人ですか?」

バンジョー「知ってるのか?!」

カネキ(うーん・・・僕、ハーフ喰種ってことになってるしなぁ・・)


カネキ「・・バンジョーさんはその人とどういう知り合いなんですか?」

バンジョー「・・・実はリゼさんは“アオギリ”が来る前に11区に居たんだ。だが色々あってリゼさんはココ20区に移動したんだ」

カネキ「そうですか・・でもなんでその人をバンジョーさんが探してるんですか?」

バンジョー「・・・ケンさん・・アンタは“アオギリ”だけど俺たちを助けてくれた・・だからアンタを信じて喋るよ・・」

カネキ「?」

バンジョー「アヤトやタタラたちが最近リゼさんを探していた・・だがどうやら事故で死んだらしいという噂が流れた」

カネキ「・・・」

バンジョー「俺は・・・もしまだ生きてるならリゼさんを救いたい・・・!“アオギリ”に捕まっちまったらリゼさんも酷いことされるかもしれねぇ・・」

カネキ「・・・バンジョーさん・・隠してもしょうがないんで言いますけど、リゼさん亡くなってますよ」

バンジョー「・・・!マジ・・か?」

カネキ「ええ・・20区で事故に遭って」

バンジョー「・・・・マジ・・だったのか・・」

・・・



イチミ「ケンさん」

カネキ「ハイ?」

イチミ「・・バンジョーさんてリゼさんのこと好きだったみたいなんですよ」

カネキ「そうですか・・確かにきれいな眼鏡でしたからね」

イチミ(・・眼鏡?)



コウト「お兄ちゃん、データ移し終わったよ!」

カネキ「ありがとう!じゃあ僕ちょっと確認するね」


カネキ「ん・・・?この喰種は・・・まさかヒデ?周りにいるのは・・“あんていく”の人だよなぁ・・なんでヒデと“あんていく”が戦ってるんだ?・・・それに・・」

カネキ「・・・そうだ一回“あんていく”行って取材ついでにヒデと話そうかな・・」

ピ ピ ピ・・
カネキ「もしもし先生ですか?」

高槻 『ハイハイ、どうしました?』

カネキ「とりあえず合流できました。彼らはしばらく僕の家に居てもらおうかと思います」

高槻 『よかった。写真は回収できました?』

カネキ「ハイ。それで、ちょっと気になったことがあったので取材もかねて“あんていく”に行こうかと思います」

高槻 『ウン。もしよかったらその前にタタラさん達のトコに行って、私たちの生存報告をしてほしいんですが』

カネキ「え?それってメールじゃダメなんですか?」

高槻 『タタラさんがカネキ君の生きてる姿を見ないと信じられない・・って言うか会いたいってうるさいんですよ』

カネキ「・・・・・まあいいですよ。アヤト君に聞きたいこともありますし」

高槻 『それと、ついでに調べてきてほしいことあるんですが・・』


――――――――――23区“アオギリ”新アジト


カネキ「こんにちはー」

鯱  「努(ぬ)・・貴様、何奴?!」

カネキ「あ、僕ケンて言います」

鯱  「研・・・御主・・まさか“有馬”と戦闘した・・眼鏡かツ?!!」

カネキ「あー・・たぶんそうですね」

鯱  「御主の“武”・・・昨日確と視たッ・・・一度手合せをしたいと思って居たッ!!」

カネキ「はい?」

鯱  「御免ッ!!」
ブンッツ!!

カネキ「うわ危ねっ!!」
ひょい

鯱  「我初弾を避けるかッ・・!」

カネキ(あのセンス悪い眼鏡の人よりは遅いなぁ)


タタラ「・・・そこまでだ」

鯱  「努・・・タタラ!」

カネキ「あ、タタラさん」


タタラ「ケン・・信じていたぞ・・生きていると」

カネキ「いえ・・・・まあ何とかなりました。あ、エトも無事なので安心してください」

タタラ「・・うむ・・・ところで鯱・・どういう事だ。俺の朋友に手を出すとは・・」ピキィ

鯱  「憤ッ・・・云った筈だ。儂は儂の意思で蹌く」

カネキ「・・・まぁまぁ二人とも、別にいいですよ。怪我したわけじゃないし。でももう攻撃するのやめてくださいよ?」
(握手)すっ

鯱  「・・・賦・・御主は無駄には争わんと云う事か・・」
(握手)ぎゅっ

カネキ「えっと・・アナタは23区の仲間なんですね?よろしくお願いしますね」

タタラ「いや・・違う。“鯱”はコクリアから救出した者の一人だ」

カネキ「ああ・・他にはだれかいるんですか?」

タタラ「知っているかもしれんが白鳩は俺たちをその強さからレート分けしている・・SS級から救出した奴は4人。鯱はその一人だ」

鯱  「憤ッ」

カネキ「じゃああと3人ここにいるんですね」

タタラ「いや、うち2人はここにはいない」

カネキ「・・ふーん、そうですか」

タタラ「もう一人はヤモリが尋問中だ」

カネキ「?尋問??」

タタラ「・・喰種でありながら人間に情報を漏らしていた奴だ」


カネキ「・・・とりあえず、僕このアジト初めてなんで色々と探索してきていいですか?」

タタラ「ああ・・構わない」

カネキ「あ、アヤト君いますよね?」

タタラ「ああ、どこかにいる」

カネキ「どうも」

・・・


カネキ「うーん・・とりあえずアヤト君に“あんていく”の人たちが戦ってた状況を聞こうかな・・・先生の依頼は後まわしだな・・・・ん?」

カネキ「・・・あれ?この部屋からアヤト君の声がするぞ・・誰かと喋ってんのかな?」



アヤト「チッ・・・クソトーカの奴・・・俺に指図しやがって!弱ぇクセに」

カネキ「・・?(独り言?)」


アヤト「・・・あーホント弱ェのに・・ムカつくぜ・・」

アヤト「弱ぇんだから・・戦ったりすんじゃねーよ・・・怪我したらどうすんだよ」

カネキ(・・・あれ?なんかアヤト君写真に話しかけてる?)


アヤト「だいたい、女なんだからよ・・・弱いの当たり前なんだよ」

アヤト「弱いのに出てきて白鳩とかに攻撃されたらどうすんだよ・・・まあその時は俺が絶対指一本触れさせねーけどよ」

カネキ「・・・」


アヤト「全く、俺がこんなにテメーのこと心配してんのになんで気づかねーんだよ・・クソッ」

アヤト「俺がガキの頃はテメーが俺のこと守ってくれたから、だから大きくなったら俺がお姉ちゃんのこと守ってあげようと思って強くなったんだよ」

アヤト「大好きなお姉ちゃんは俺が守るんだよッ・・・だからオメーは安心して学校でも行ってろ」

アヤト「・・でもたまには昔みたいにお姉ちゃんと一緒に遊びたいんだよォ」

アヤト「またお姉ちゃんにおんぶしてもらいたいよぅ」

アヤト「ああっ・・おねえちゃん・・スキスキ大好きだよォ」

アヤト「お姉ちゃんのにおい大好きだよぉ」

アヤト「お姉ちゃんのおっぱいも太もももすごくかわいいよぉ」

アヤト「お姉ちゃんの引き締まった腹筋すごく好きだよぉ」

アヤト「はぁああああ・・お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん・・・うっつ!!!」

アヤト「・・・はぁーッ・・・はぁーッ・・・」


アヤト「・・・チッ・・クソトーカめ」



カネキ「・・・・・」

―――――僕は彼の尊厳を守るため、その音声を録音した後、そっとその場を立ち去った。


今日はここまでにします

なお、明日は所用のため更新できないと思います

こんばんは。また少しだけ更新します


#025 [拷問]


カネキ「うーん・・・アヤト君の件も後回しだな。仕方ない普通にアジト散策するかぁ」

・・・

『グハハは・・俺がジジイだからって手加減すると思ったら大間違いだぜェェェ・・』

『ふ・・・私は長く生きた。殺したければさっさと殺せばいいだろう?』

『貴様ァァ・・ムカつくなぁ・・なんだその態度はァァええ??!』

『残念ながらお前に話せることは何もない』


カネキ「ん?この部屋からイモリさんの声がするなぁ」

コンコン
カネキ「イモリさーん」

ヤモリ「・・・ん?」

ガチャ
ヤモリ「はは・・・なんだケン君か。よかった、無事だったんだね」

カネキ「ええ、イモリさんも」

ヤモリ「うん、瓶やほかの奴は殺られちゃったけど、僕とノロは無事だったよ・・ちなみに僕の名前はヤモリだよ」

カネキ「あ・・そうでしたね、すいませんヤモリさん」

ヤモリ「うん、分かってもらえればいいよ」

カネキ「・・ところで、誰と話してたんですか?」

ヤモリ「ああ・・コクリアから連れてきた喰種さ。奴は僕らのこと白鳩に売ってたかもしれないから尋問してたんだよ」

カネキ「へえ・・元仲間なんです?」

ヤモリ「そういう訳じゃないけどね・・・いやぁ尋問も疲れちゃったよ。ちょっと休憩にしようと思ってたところだから、一緒にコーヒーでも飲まない?」

カネキ「いいですね」


ヤモリ「・・ところでさぁ、エトはどうしたの?」

カネキ「ああ、エトも無事ですよ。ただちょっと怪我したので療養中ですね。しばらくはお休みするって言ってました」

ヤモリ「・・・そっかぁ・・」

チャポン

ヤモリ「さて、コーヒー入れたよ。インスタントだけどね」

カネキ「あ、ありがとうございます」

・・・

ヤモリ「・・君ってさぁ、結構強いよね。それに意外といい筋肉してる。何かやってたの?」

カネキ「え?別になにも。ただ基礎体力は大事ですから週3くらいでジム行ってますが」

ヤモリ「ふぅん」

カネキ「そういえばさっきタタラさんに会って、コクリアから救出した人の話聞いたんですけど、ヤモリさんはその人たちに会いました?」

ヤモリ「僕が会ったのは、尋問してる奴と6区のリーダーやってたって言う鯱って奴、それと昔仲間だったナキって奴だけかな。ナキは今、“お使い”にいってるよ」

カネキ「そうですか」

ヤモリ「・・・ねえケン君、それよりさ、コーヒーもう一杯飲むかい?」

カネキ「あ、いいですか?お願いします」

ヤモリ「うん」

・・・

カネキ「ふぅ・・ヤモリさんも結構コーヒーすきですか?」

ヤモリ「ま・・まあね。ぼくも喰種だし」

カネキ「あ・・ハハそうですよね」

ヤモリ「・・・」

ヤモリ(・・・おかしい・・なぜこいつにはRc抑制液が効かないんだ?もうかなりの量飲んでるはずなのに)


ヤモリ「な・・なあケン君・・その、体の調子はどうだ?」

カネキ「?体の調子?・・ああのCCGの人と戦った時のことですか?大丈夫ですよ。特に怪我しなかったですし」

ヤモリ「そ・・・そう。それは良かったよ」

ヤモリ(・・・Rc抑制液を取り込むと体中のRc細胞が反応して体調崩すはずなんだが・・)

ヤモリ「・・・」

カネキ「ん?どうしましたヤモリさん」

ヤモリ(・・・まあいい・・エトも居ない今がチャンスだ。この機を逃す手はねェェ!)

ヤモリ「ケーンくぅん」

カネキ「?」

ヤモリ「君の体って、結構頑丈そうだよね・・ちょっと触ってみてもいいかな」

カネキ「え?・・別にいいですけど、僕そんなに頑丈じゃないですよ」

ヤモリ「いやそんな事ないよ・・フフ」

ガチャリ

カネキ「ん?手錠?」

ヤモリ「そう、手錠だよ・・・ククク!」

カネキ「・・・なんで勃起してるんですか?」

ヤモリ「だってェェ・・これからお前みたいな頑丈な奴をゆっくりいたぶれると思うと楽しくて楽しくてェェェェ!!」

カネキ「・・・うわぁ(汗)」



カネキ「ヤモリさん、僕、男なんですけど?」

ヤモリ「ああ知ってるゥゥ・・男のがいい!簡単に悲鳴をあげない分、音を上げた時の表情が堪らないいいいいいい!!!」

カネキ「・・・」

ヤモリ「これからお前の体をねじ切り、回復させ、またねじ切り回復させるゥゥ!!出来うる限りの最悪を想像しろ・・これはそれのもっと上だァァ!!!」

カネキ(・・・このヒト・・極度のドSでそのうえ同性愛者なのかぁ・・・)

ヤモリ「これなんだか分かるぅ?お前の足をねじ切るペンチだぁ・・・そらッツ!」
バツンッ!!

カネキ「痛い」

ヤモリ「グハハハハ!!お前がさっき飲んだコーヒーにはRc抑制液が入ってたんだよォォ!!白鳩医療機構の特別性だよぉぉぉん!!コレが喰種の体内に入ると喰種のRc細胞活性が弱まって生身の人間と同じになる!!どうだ再生できないだろォォ!!」

カネキ「え・・・いや、できますよ」
にょきにょき

ヤモリ「な・・・?!」

カネキ(赫包にRc細胞全部入れてたから抑制液が効いてないんだな・・・先生に教わったように、再生の瞬間だけRc細胞開放して、再生したら赫包に戻すを繰り返せば大丈夫そうだな)

ヤモリ「な・・なぜだあああああ」

バツン バツン バツン

カネキ「痛い痛い痛い」
にょき にょき にょき


***

ヤモリ「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・何故だ・・なぜ効かねぇぇぇぇ!!」

カネキ「まぁまぁ、落ち着いてくださいヤモリさん。腱鞘炎になりますよ」

ヤモリ「う・・・うるせええええ!!おれに指図するなぁぁああ!!!」

カネキ「うーん・・僕も結構痛いんだけどなぁ・・」

ヤモリ「くそおおお!!“嘉納”が作ったって言う元人間の喰種は異常な再生力を持つって言う・・いつかそいつを痛めつけてやろうと思って居たのにィィ・・・お前の回復力も異常すぎるゥゥゥ・・なぜだぁぁ!!!」

カネキ(・・・ん?それって僕のことだよね・・でもこのヒトの言いぶりだと、たぶんヒデの事言ってるな)

ヤモリ「きさまぁぁ・・答えろ!!どうすればきさまの体にダメージを与えられるゥゥゥ?!!」

カネキ「いや、ダメージ受けてますよ。結構痛いですし」

ヤモリ「そういう事いってんじゃねぇぇぇ!!」

カネキ「うーん・・困ったなぁ・・会話にならない」

ヤモリ「貴様に家族は居るかァァ?!母親を貴様の前で殺してやろうかァァ?!」

カネキ「母親?いえ、とっくに死んでますよ」

ヤモリ「・・・・・・」


カネキ「父親ももっと昔に死んでますし」

ヤモリ「・・・オマエもそうなのか・・」

カネキ「?」

ヤモリ「・・いったいどれだけ多くの喰種が何かを失わずにいられるんだろうな」

カネキ(まあ僕はもともと喰種じゃないけど)

ヤモリ「俺もそうだ・・白鳩に母親を殺された・・・そして俺自身白鳩に捕まって拷問を受けた」

カネキ「そうですか・・じゃあヤモリさんの拷問趣味はその時から」

ヤモリ「俺を拷問した奴は人間のくせにネジぶっ飛んだ奴でな・・ある時スキをついて逃げ出すまで精神的にも肉体的にも追い詰められた。その中で俺は他人を痛めつける悦びを知った」

カネキ「殺されずに捕まったんですね」

ヤモリ「ああ、そのころ13区は“ピエロ”っていう喰種集団が台頭していてな・・13区に詳しかった俺は情報を聞き出すために生け捕りにされた」

カネキ「そうですか・・よかったですね。殺されなくて。亡くなったあなたのお母さんもきっとそう思ってますよ」

ヤモリ「・・・ケン・・・・お前は・・・拷問しようとした俺にそんな事言うのか?」

カネキ「ええ・・あなたの気持ち良くわかりますから・・大変だったでしょう。異常性癖でオカズも少なく苦労したんですよね・・・・僕もそうです。最近は特に」

ヤモリ「(オカズ?)・・・オマエ・・・分かるのか・・俺の気持ちが・・・俺もお前のように精神的にも肉体的にも強い喰種だったら・・・母親を救えたかもしれないな・・」

カネキ「・・・居なくなってしまった人のことを考えてもしょうがないですよ。生きているあなたが幸せになる方法を考えた方がよほど有意義です・・・僕も協力します」

ヤモリ「・・・・ケン」


***

ニコ 「ヤモリぃー♡」
ガチャ

ヤモリ「ん?」

カネキ「あ、(カマ野郎さん)どうも」

ニコ 「アラ、お取込み中だった?」

ヤモリ「いや・・・もう終わるよ。僕はケンとお話ししてたんだ」

ニコ 「ヤモリ・・・アナタ・・髪黒かったかしら?」

ヤモリ「うん・・生まれ変わった気分だよ」

カネキ「ニコさん・・でしたっけ?何か用ですか?」

ニコ 「いえ・・別に何でもないわ・・・」

ヤモリ「そうか・・・ケン・・また僕とお話ししてくれるかな」

カネキ「ええ、もちろんですよ。色々教えてもらってありがとうございました。それと年末のコミケではヤモリさんが好きそうな同人誌あったらゲットしておきますので」

ヤモリ「うん・・よくわからないけどありがとう」

・・・・それからしばらくして、ヤモリは液タブを買ったという。



宗太 「・・あれ姐さん、もういいんスか?」

ニコ 「・・・ああ宗ちゃん・・なんか私のヤモリがつまんない感じになっちゃったのよね・・」

宗太 「やっと俺の連絡に応えてくれたと思ったらなに落ち込んでるんすか」

ニコ 「はぁ・・・まあいいわ。そろそろ顔出さなきゃね。ロマちゃんも帰ってきたし」


――――――――――20区“あんていく”

ガチャン!!
ロマ 「あーーっ!!すみませーん!!」

ヒデ 「ロマちゃん・・俺も器用じゃないけど今日何枚目?」

ロマ 「すッ・・すいませーんツ」

芳村 「帆糸くん、次は気を付けてね」

ロマ 「はっ・・ハイ」

トーカ「・・・ヒデ」

ヒデ 「ん?どーした?トーカちゃん」

トーカ「い・・いやなんでもねぇ」

ロマ 「??・・古間先輩、トーカさんどうしたんですかね?」

古間 「ふふ・・トーカちゃんもお年頃だからねぇ」

ロマ 「!!それって・・!」

カヤ 「コラ、ちゃんと仕事しなさい・・ロマ、このエロ猿のことは聞かないでいいからね」

ロマ 「えーでも気になりますよぉー・・それにヒデさんって・・伝説の“隻眼”なんでしょ?そんな凄い人のプライベート・・気になります!!」

カヤ 「はぁ・・まったくどいつもこいつも」


トーカ「先上がります」

古間 「うん、あとは任せてくれよ、トーカちゃん」
ロマ 「お疲れでーっす!」
ヒデ 「試験勉強だろ?がんばれよ!」

トーカ「・・うん。ありがとう」

・・・


ガチャ
トーカ「あ・・店長。二階にいたんですね」

芳村 「ああ。ちょっとコーヒーミルの掃除をしてたんだよ。二階で勉強するのかい?」

トーカ「はい・・・・・あのっ!」

芳村 「ん?どうしたんだい?」

トーカ「・・・ココだけの話なんですが・・・アイツは大丈夫なんでしょうか?」

芳村 「・・・・永近君か」

トーカ「・・ハイ」


芳村 「・・君たちが“コクリア”から帰ってきた日、彼は肉体も精神もボロボロだった」

トーカ「・・・」

芳村 「君たちが赫子で攻撃したから・・というよりもあまりに急激に強力な赫子を発現させたせいでエネルギー不足だったからね」

トーカ「・・・アイツは・・リョーコさんの事詳しくは教えてくれませんでした」

芳村 「彼は見てしまったんだろう。リョーコさんの死体を。・・・ヒナミちゃんがどこかで生きていることを祈ろう」

トーカ「・・・店長・・アイツは・・・仕事の時とかは前と同じだけど・・時々すごく険しい顔をするんです・・思い詰めて妙な事しなければいいんですが」

芳村 「・・うん。私もそれとなく彼を見ているから」

トーカ「・・ありがとうございます」

とりあえずここまで!

こんな時間ですが、更新します


#026 [大喰]



アキラ「おい、亜門上等」

亜門 「・・・アキラか」

アキラ「何を考え込んでいる?」

亜門 「いや・・ある喰種のことだ」

アキラ「・・・“変態”のことか?」

亜門 「・・・ああ」

アキラ「うむ・・・奴は危険だな。あの有馬特等と互角だというからな・・間違いなく奴は今後我々にとって大きな障壁となる」

亜門 「・・そうだな」


“コクリア”に喰種集団が襲撃してからしばらく後、“しっぽブラザース”駆逐の功績が認められ、俺は上等捜査官に、真戸さんは準特等捜査官に昇任した。

上位捜査官となった俺には部下として真戸さんの娘である“真戸アキラ”がついた。

父親同様、クセのある奴だが、同時に勘が鋭く、非常に高い能力を持っている。

パートナーが空いた真戸さんの下には、臨時的に黒磐班に入っていた安久三等達がつくこととなった。

原則として親子でパートナーとなることは無いのだが、アキラは『あの変態の父親と組まされるくらいならCCGを辞める』とまで言った事から、真戸・安久班は、俺達とは異なる、23区の担当となった。

アキラ「・・・そういえば、今日は篠原特等たちと会議だったのではなかったか?」

亜門 「そうだ・・・そろそろ行くか」



篠原 「や、アキラちゃんとムキムキ」

アキラ「どうも」

亜門 「こんにちは」

篠原 「・・どうした亜門、具合でも悪いのか?お前がポージング決めないで挨拶するなんて」

亜門 「いえ・・・これは“ラットスプレッド”というポーズです。前からだと分かりづらいですが広背筋を強調しているんです」

篠原 「そ・・そうか」

什造 「?」

アキラ「・・・」



・・・さすが篠原教官だ。

そう、俺は今悩んでいる。

俺は知りたかった。なぜドナートが俺を喰わなかったかを。

そして、なぜ“眼鏡”が俺を傷つけず、さらには有馬特等には眼鏡に落書きするだけで攻撃をしなかったのかを。

・・・ドナートは“アオギリ”によりコクリアから逃がされてしまった。

“眼鏡”が“アオギリ”の一員である以上、それらの答えを得るためには“アオギリ”を追えばいい。



篠原 「・・・なあ亜門」

亜門 「あ・・・はいどうしました?!」

篠原 「ハハ・・珍しいね。亜門がうわの空で聞き返すなんて」

亜門 「す・・スイマセン」

アキラ「亜門上等、しっかりしてくれ」



篠原 「うん、じゃあもう一回言うけど、俺たちが担当している“大喰い”について」

亜門 「ハイ!」

篠原 「長らく痕跡が途絶えていた“大喰い”が活動を再開した」

亜門 「・・・」

篠原 「・・・しかも奴、CCGの捜査官狩りをしてるんだよね」

亜門 「・・・“大喰い”って捜査官狩りをする喰種ではなかったと思いましたが?」

篠原 「うん、そうなんだよねー・・俺もさ、別の喰種なんじゃないかって思ってたんだけど、一致しちゃったのよ、赫子痕がさ」

亜門 「・・・そうですか」

アキラ「それについては私も別の喰種のような気がしていたんだがな・・資料によれば以前は“大喰い”は一定期間一つの区にとどまって捕食し、しばらく経つと別の区に移動していた・・・しかし今回は20区での捕食が多いとはいえ、様々な区で食事をしている」

篠原 「うーん・・まあ確かに前とパターンは違うんだけどさ、赫子痕照合結果は間違いないみたいでし、とりあえずそいつがなんであれ、ウチらがその“大喰い”ちゃんを追うのには変わりないんだよね」

亜門 「・・・そうですね」

篠原 「それでさ、これは上からのお達しなんだけど、亜門たちも一緒に“大喰い”を探してほしいんだよね」

亜門 「そうですか・・・確かに今、我々が担当してるのは“アオギリ”の残党と逃げたと思われている“フエグチ”の子供で、いずれも対象がはっきりと確認できていない奴ばかりですからね」

篠原 「いやぁ助かるよ」

亜門 「そういえば什造は?」

篠原 「・・・単独捜査という名の自由行動だよ・・はぁ」


真戸 「よろしく、安久くん達」

シロ・クロ「「よろしくお願いします、真戸準特等」」

真戸 「ふむ・・そういえば、君たちは先の“アオギリ”討伐での駆逐数が認められてSレートクインケを使うことになったそうだね」

シロ 「はい、ビンオトウト1/3と」
クロ 「ビンアニ1/3です」

真戸 「なるほど・・・尾赫か。よければ少し貸してくれないか?」

シロ・クロ「「それだけは断固拒否させていただきます」」

真戸 「・・・ふむ」

シロ・クロ「「・・それで、我々の捜査対象はどんな喰種なんでしょうか?」」

真戸 「ああ・・・クク・・ここ23区は知っての通り先日襲撃された“コクリア”がある。襲撃した喰種集団である“アオギリ”がまだこの付近に潜伏している可能性は高い。したがって我々は奴らの調査と残党狩りを行う」

シロ・クロ「「了解です」」

真戸 「まずは奴らと直接対峙した“コクリア”灰崎監獄長とお話ししようか」

シロ・クロ「「はい」」

***


灰崎 「・・・真戸か」

真戸 「ご無沙汰しております・・“フエグチ”の件以来ですな」

灰崎 「ああ・・・今日は“アオギリの樹”の情報収集に来たのだな」

真戸 「ええ。そうですよ」

灰崎 「真戸、ちょっと両手でピースサインを作って変顔をしてくれないか?・・・・あ・いやお前の年齢ではないな・・何でもない忘れてくれ」

真戸 「・・・例の件ですか」

灰崎 「・・・ああ。私の失態だ・・・前任者が殺されたから自動的に服監獄長だった私が監獄長となったが・・喰種共の侵入を許してしまった私に本来その資格は無い・・」


真戸 「聞きましたよ。あの後、“佐々木”という苗字を持つ全職員を集め、全員にアヘ顔ダブルピースをさせたとか」

灰崎 「ああ・・・奴の顔を覚えていない私の失態だ。しかし・・やはり奴は“アオギリ”の喰種だったのかもしれんな・・あの時は全くそういう印象を受けなかったんだが」

真戸 「報告書を見ましたが、チャック全開の点といい、おそらくそいつは“変態眼鏡”で間違いないでしょうな。奴が若い男であるという情報が得られただけでも収穫でしたよ」

灰崎 「ああ・・・だがそもそも“変態眼鏡”は戦闘中、局部をブラブラさせていたんだから男なのは分かってるだろう?」

真戸 「はは・・そうでしたな」


シロ (クロ・・真面目な会話とはとても思えないね)
クロ (うん・・出来ることならその喰種とは会いたくないね、色んな意味で)


・・・

真戸 「それと、気になる点はありましたか?」

灰崎 「・・私の私物が盗まれていた」

真戸 「それは財布とか?」

灰崎 「いや・・・すべてだ」

真戸 「?」

灰崎 「私の部屋にあるメモ帳やカバン、名刺に至るまで・・そのうえ私の服もすべてだ・・」

真戸 「・・・奴らは何を考えてるんでしょう?」

灰崎 「分からん・・・私に対する嫌がらせかも知れん・・目が覚めた時、何もない部屋に全裸で横たわっていた私の気持ちが想像できるか?」

シロ・クロ(うわぁ・・)

真戸 「・・・他には?」


灰崎 「これは関係ないかもしれんが、上層の“フエグチ”を収容していた独房が壊されていた」

真戸 「?他の部屋同様、逃がそうとして開けただけでは?」

灰崎 「・・いや、あの部屋は収容喰種が死亡したから鍵は掛かっていなかった。そもそも壊されていたのは鍵ではなく、壁やドアが内部から破壊されていた。ちょうど室内で爆弾でも爆発させたように」

真戸 「ふむ・・・確かにそれは妙ですねぇ」

シロ・クロ「「・・・」」

・・・

真戸 「・・・では、ありがとうございました灰崎特等」

シロ・クロ「「ありがとうございました」」

灰崎 「ああ・・私の無念を晴らしてくれ」


真戸 「さて、安久くん。君たちはどう思う?」

シロ・クロ「「“変態眼鏡”の件なら、とりあえず警察に不審者情報は無いか聞いた方がいいんじゃないでしょうか?」」

真戸 「ふむ・・なるほどな。それは考えていなかった・・・よし23区の交番をまわって不審者情報を集めるとするか」

シロ・クロ「「はい」」



――――――――――7区、某所。

「うわあツ!!喰種だッ!!誰か助けて!!」

モブ喰種「へっへっへ・・こんな時間に路地裏でうろついてるのが悪いんだぜガキィ」

有根 「児張ッ!」

児張 「はいっ!!」

ザシュウ!!
モブ喰種「ぐあああッ!!」


有根 「ふぅ・・・間一髪だったな。君、大丈夫かい?」

ヒデ 「あ・・アナタ達って・・喰種を退治する・・」

児張 「ああ。CCGの喰種捜査官だ」

ヒデ 「ありがとうございます・・助かりました!」

有根 「良かった。どこも怪我していないかい?」

ヒデ 「はい、おかげさまで」

児張 「最近はこの辺も物騒だから気を付けた方がいいよ?」

ヒデ 「はい・・ホント助かりました」

有根 「うん。そうだ、これは形式的にやらなきゃいけない事なんだけど」

ヒデ 「?」

有根 「喰種に襲われてる人を助けた場合報告書を作らなきゃいけないんだよ。だから喰種と会った時の状況など教えてくれるかな?」

ヒデ 「あ、ハイ。いいっすよ」

児張 「悪いね」

・・・

ヒデ 「そういえば・・喰種が妙な事言ってました」

有根 「ん?なんだい?」

ヒデ 「『人を殺さないで静かに暮らしてる喰種も居る』って」

有根 「?」

ヒデ 「・・実際そういう喰種も居るんですか?」

児張 「・・・どうだろう?有根さんは会った事あります?」

有根 「いや・・私は会った事無いな・・しかしそんな奴がいたとしても人間を食料にするのには変わりない。喰種は見つけ次第駆除するから、君も安心しなさい」

児張 「そうですね。そういう抵抗しなそうな喰種ばっかりだったら駆除も楽なんですけどね」

ヒデ 「・・・そうっすか・・じゃあ俺も捜査官見つけ次第駆除しますわ。そんな考え持ってる奴は特に」
バシュン!!

有根の首「・・え」
児張の首「・・・あれ?」
・・・ゴロン


モブ喰種の死体「・・・」

ヒデ 「・・・」
・・ゾブッ


アキラ「・・亜門上等!」

亜門 「ふんッ・・ふんッ!!・・・アキラか、どうした?」

アキラ「捜査官室にマルチジムを持ち込んで筋トレをしてる場合じゃない!・・7区の有根準特班がやられた・・・“大喰い”だ」

亜門 「・・今度は7区か・・」

アキラ「篠原特等は現地に向かったようだ」

亜門 「我々も向かうか」

アキラ「ああ」

・・・


篠原 「お、ムキムキとアキラちゃん」

什造 「こんにちわーです」

亜門 「スイマセン、遅くなりました」

アキラ「お疲れ様です。で、現場は?」

篠原 「うん、こっち」


亜門 「・・・明らかな鱗赫の赫子痕だな・・しかし、有根さん達の死体に食われた跡が無いですね」

篠原 「そーなんだよ・・で、こっち来てくれる?」

アキラ「ん・・・この血液は?」

篠原 「鑑定の結果喰種の血液だってさ」

什造 「アリネさんが“大喰い”に攻撃したですかねー?」

篠原 「うーん・・たぶん違うね」



篠原 「位置関係がおかしいでしょ?有根さん達の首と胴体が喰種の血痕を挟んで落ちてる。それにこの血痕の量、致命傷じゃないかな?その割には有根さん達は一撃でやられてる」

什造 「」ぷしゅー

アキラ「・・・つまり、大喰いの他に別の喰種が居た?」

篠原 「うん。そう考えるのが妥当かな。おそらく有根さん達が別の喰種と戦い、倒したところで、“大喰い”が現れて、彼らを一撃で倒した」

亜門 「しかし・・・最初に居た喰種の死体は?」

篠原 「うーん・・もしかしたら“大喰い”が持って行ったか・・あるいは捕食した」

什造 「喰種も喰種を食べるですか?」

篠原 「アキラちゃん以外は見ただろ・・・“変態”」

亜門 「・・・はい」

篠原 「奴は赫者だった・・・赫者は共喰いの結果生まれる。もしかしたら“大喰い”も・・」

亜門 「・・だとしたら危険ですね」

篠原 「うん、非常にマズイ・・・什造」

什造 「はい?」

篠原 「赫者に一人で挑むのはダメだ。これからは単独行動はダメだよ?」

什造 「えー?!」


***

アキラ「・・・さっきの篠原特等の話だが」

亜門 「ん?ああ、“大喰い”の」

アキラ「君は“変態”を見たんだったな・・どんな奴だった?」

亜門 「どんな・・・いや、名前の通り眼鏡をかけた変態だったが?」

アキラ「・・・私の母親は“赫者”にやられた」

亜門 「・・・“隻眼の梟”か」

アキラ「父から聞いた・・・24区探索で梟に遭遇・・母を残し部隊は退避し・・・・後日戻るとそこには母の遺体があった・・・片腕と・・片脚だけだったそうだ」

亜門 「・・・アキラ」

アキラ「私は・・・いつかこの手で“隻眼の梟”を仕留めたい・・そのためには赫者との戦闘が必須だと考えている」

亜門 「“隻眼の梟”はここ10年間現れていない・・・最後に戦った有馬特等なら情報を持っているかもしれんが」

アキラ「亜門上等・・赫者が現れたら、私はそいつと戦うと思う」

亜門 「ダメだ」

アキラ「しかし!」

亜門 「俺も一緒だ。アキラ、お前は一人で戦ってるんじゃない」

アキラ「・・・亜門上等」

亜門 「・・俺もそうだ。24区で仲間を失った・・・もう誰かを失うのは嫌なんだ」

アキラ「ふ・・・キミの筋トレが無駄にならないよう祈るよ・・・でなければキミは父と同じただの変態捜査官だからな」

亜門 「筋肉をバカにするな」


――――――――――23区、某所。

「喰種だぁ!たすけてくれーーっ!!」

真戸 「おや?聞こえました?」

シロ・クロ「「ハイ」」

真戸 「行きますよ。クインケの準備を」

シロ・クロ「「ハイ!」」


・・・


ナキ 「ごめんね、おにーさん。久々のシャバでお腹すいててさぁーっ!」

ヒデ 「助けてくれーっ!!」


真戸 「クク・・・クズめ」
ギャリリリリリ!!
ズボッツ!!

ナキ 「あれ?・・・いてええええええええ!!」

真戸 「ククク・・・いいところに入ったなぁ・・どうだ私のお気に入りの“フエグチ壱”は?」

ヒデ 「・・・“フエグチ”?」

真戸 「安久くん!トドメは頼むよ」

シロ・クロ「「ハイッ」」
ビィィィイイイン!!・・シュバッツ!!

ナキ 「くっそおおおおおお!!」
ブウン

シロ・クロ「「くそ・・避けられたか」」

真戸 「キミ、大丈夫かい?」


ヒデ 「はい・・・あの、おじさんがさっき使ったのって・・喰種の触手ですか?」

真戸 「クク・・詳しくは言えないがそうではないよ・・まあ奴らの体を使って作る武器みたいなものだ。だから大丈夫。安心したまえ」

ヒデ 「・・さっき呼んでた“フエグチ”って誰です?」

真戸 「ああ、それはこの武器の名前さ。本当はコイツのメスも武器にしたかったが、奴は最後まで無抵抗だったからなぁ・・・おっと君には関係ない話だったね。ゴメンゴメン」

ヒデ 「・・・」


シロ・クロ「「アイツ・・しぶとい!」」

シロ・クロ「「真戸準特等!!加勢をお願いします」」

真戸 「・・・ゆ」

シロ・クロ「「・・・?」」

真戸 「・・だんした・・・まさか私がッ・・・こんなところで・・・」
ドサッ
真戸 「かす・・か・・アキラ・・・すまん」

ヒデ 「・・・」・・ピキィ

シロ・クロ「「・・・・お兄ちゃん?」」

ヒデ 「・・・シロクロちゃん」

シロ・クロ「「な・・・なんで・・・」」

ヒデ 「シロクロちゃんはさ・・・人を殺さずに平和に生きようとする喰種も・・駆除すべきだと思う?」

シロ・クロ「「・・・“フエグチリョーコ”のこと?」」

ヒデ 「・・あの人はさ、人を殺したことなんか無かったんだぜ?すごく優しい人だったよ・・ただ喰種に生まれただけ、それだけで、あんなに酷い殺され方をされなきゃいけなかったのかな?」



ナキ 「おわっ・・アイツ喰種だったのかよぉぉ・・しかも片目だけで気持ち悪ぅ・・とにかく逃げようこのままじゃ死んじゃう!神兄貴に頼まれたもの届けなきゃだし!!」


シロ・クロ「「なんで・・・なんで・・こんな事・・・私たち、お兄ちゃんと戦いたくなかったのに!!」」

ヒデ 「シロクロちゃんはさ、いい子だよな。たぶんリョーコさんみたいな人を殺したりはしないよな?」

シロ・クロ「「・・お兄ちゃんは間違ってる!私たちも・・昔は同じ考えだった・・でもお兄ちゃんのおかげで間違いに気づけたのに!!」」

ヒデ 「ハハ・・そーだな・・・・君らはさぁCCGに入ってよかったと思ってる?」

シロ・クロ「「もう少しで・・分かりそうなの。お父さんとお母さんを殺したシステムの正体が」」

ヒデ 「そっか・・じゃあ分かったら教えてくれよ」

シロ・クロ「「・・・ダメ。前に言った。“何もしなければなにもしない”って」」

ヒデ 「・・・そっか」

シロ・クロ「「・・・ごめん、お兄ちゃん」」
ビィィィイイン!!

ヒデ 「・・・」
ズグググググ!!


・・・


ヒデ 「・・・」
ヒュン

シロ・クロ「「くっ・・・強い・・・でも・・攻撃してこないんだね」」

ヒデ 「・・・ん?」
ざく
ヒデ 「・・・・って」

什造 「“大喰い”みっけ!!加勢しますよー!!」

シロ・クロ「「什造!!」」

ヒデ 「・・・」

什造 「さぁて・・どうしましょうかねー」にやぁ

シロ・クロ「「・・・什造!上!!」」

什造 「ん?・・・おっと!!」

芳村 「・・・・」
ズズズズ・・

什造 「・・・ん?またカクジャさんです?」

芳村 「・・」
がしっ
ヒデ 「わっ」
ヒュン!


什造 「あ、また逃げた!!」

シロ・クロ「「・・・(お兄ちゃん)」」

ここまでにします。
来週は忙しのでちょっと更新遅くなるかもです

こんばんわ
終盤に差し掛かり、ちょっとシリアスが続きそうです・・

では続きです


#026 [撒餌]


――――――――――23区“アオギリの樹”アジト

カネキ「イモリさんからだいたいのことは聞けたな・・・後は先生からの宿題を片付けるか」

カネキ「・・・この部屋だったな」

ギィ・・

カネキ「あ・こんにちは」

ドナート「・・誰だお前は?」

カネキ「あ、ケンって言います。初めまして」

ドナート「・・お前も“アオギリ”の構成員か?」

カネキ「うーん・・まあそんなとこですね」

ドナート「ん・・・?その声、お前まさか“佐々木”か?」

カネキ「ん??ああ、そうですよ(笑)聞いてたんですか」

ドナート「くっくっく・・傑作だったよ。灰崎の愚かさと言ったら・・・!ところで灰崎が言っていた変顔とはどんな感じなんだ?」

カネキ「あ、こんな感じですよ」v(^o^)v

ドナート「あッはッはッはは!!つまらん連中かと思って居たらこんなに面白い奴がいたとはな!!・・・まったく息子にも見せてやりたいわ」

カネキ「ああ・・息子さんいらっしゃるんですか」

ドナート「ああ・・。筋トレフェチの堅物さ」

カネキ「ふーん・・」

ドナート「・・・で?私に何か聞きたくてやってきたんだろう?」

カネキ「ああ、そうでした」




カネキ「あなたって、昔ドイツに居た通称“神父”さんですか?」

ドナート「ああ、そうだ」

カネキ「ドイツに喰種って多いんですか?」

ドナート「・・・お前・・本当に“アオギリ”か?」

カネキ「ええ、一応」

ドナート「・・・なるほどな。“アオギリ”も一枚岩ではないのか・・・ふざけた奴ほどその実、物事の本質を捉えていることもある」

カネキ「?」

ドナート「・・・ああ、質問の答えだったな。居るよ。だが、私が子供の頃はそう多くなかった」

カネキ「なるほど。じゃあもう一個聞きますが、喰種が全くいない国ってあります?」

ドナート「クックック・・・お前、知っていて私に確認しているのか?」

カネキ「いえ、そういう訳ではないですよ」

ドナート「・・・ケン、と言ったか・・・お前が本当に知りたいのはなんだ?この世界の真実か?」

カネキ「そんな大それたものじゃないですよ・・僕はCCGのこと調べてるんです。前、“スフィンクス”という会社に取材したことがあります。そこでは喰種の体を溶かした溶液を製造し、CCGに販売しています。この前、“コクリア”に潜入した時も看守の人の部屋から“スフィンクス”製の喰種溶液や、喰種の体から作られたものを見ました」

ドナート「なるほど“スフィンクス”というのか・・名前は私も初めて聞いた。しかしなぜ“スフィンクス”製だと確証が持てる?」

カネキ「え?普通にバーコードの横に書いてありましたよ」

ドナート「・・・CCGは愚か者ばかりだな」


カネキ「さらにはCCGが使う拳銃の弾丸、あれも喰種の体から作るそうですね」

ドナート「ああそうだ。クインケを使えぬ局職員が使用しているな」

カネキ「単純に疑問なのはどこからそんなに喰種の体を手に入れているのか」

ドナート「フフフ・・お前、それを知ってどうするつもりだ?・・・と言うより、もう凡その答えは出ているんだろう?」

カネキ「まあ大体はスフィンクスの取材と(主に高槻先生がやった)その後の調査で分かってます。後はその証拠ですかね」

ドナート「・・・いいことを教えてやろう。今CCGにその“スフィンクス”の元社長であった安久七生の縁者あるいは親族が居る」

カネキ「名前は分かります?」

ドナート「残念ながら苗字が“安久”であること以外分からんが、以前コクリアに囚われていた“フエグチ”という喰種と会話をしていた。その時の声の感じからおそらく一卵性の双子だ」

カネキ「・・・(“フエグチ”か・・もしかしたらヒデが絡んでるかもな)」

ドナート「・・・以上か?」

カネキ「ええ、ありがとうございます」

ドナート「ははは・・お前は本当に“アオギリ”か?前にここに来たやつは私を拷問して私がお前たちの事を白鳩に密告していないかを聞こうとしていたぞ」

カネキ「ん?密告したんですか?」

ドナート「ははは!!本当、他人事みたいだな。私は別にお前たちのことは言っていないぞ・・・知ってはいるがな」

カネキ「?何をです?」

ドナート「お前たちのリーダー隻眼の王の正体」

カネキ「・・・そうですか。じゃあ僕はこれで」

ドナート「・・なあケン。一ついいことを教えてやろう・・・これは証拠は無く私の推論だが」

カネキ「?」

ドナート「・・・喰種は×××」


ガチャン

カネキ「・・・」

タタラ「・・ケン、お前が尋問していたのか」

カネキ「いえ、別に尋問はしてませんが」

タタラ「・・何か聞き出せたか?」

カネキ「彼は、“隻眼の王”の正体を知っています。ただしそれをCCGには喋っていないそうです」

タタラ「・・・・!」

タタラ「そうか・・・さすがだケン・・・こいつが危険であることがよく分かった。後は任せろ」

カネキ「?」

タタラ「それと、尋問を任せたヤモリは知らないか?」

カネキ「ああ、さっき一緒にコーヒー飲んでその後はさわやかな表情でどこか行きましたよ」

タタラ「??・・・そ、そうか。いや、ヤモリの部下のナキという奴が探していたからな」

カネキ「ああ、じゃあヤモリさんにLINEでメッセージ送っときますね」

タタラ「(らいん?)よく分からんが、頼む」



ナキ 「神兄貴ィィ!!」


カネキ「・・見慣れない人がいる。あの人かな?」

ナキ 「ん?お前は誰だ?」

カネキ「こんにちは、僕はケンです。あなたがナキさん?」

ナキ 「うわっ!!お前なんで俺の名前知ってるんだ?えすぱーかっ?!」

カネキ「タタラさんに聞いたんですよ。ヤモリさんを探してるんですよね?」

ナキ 「うん!お前、神兄貴がどこにいるか知ってるのか?」

カネキ「いまLINEの返信あって、もう少しでここに来るみたいですよ」

ナキ 「らいん?よく分かんないけどお前が呼んでくれたのか?お前いい奴だな」

カネキ「別に仲間なんですから当然ですよ。それよりその服、お腹のとこ破けてますよ?」

ナキ 「ああ゛っそうだった!!あの双子CCGの奴―!!」

カネキ「双子?」

ナキ 「なんか旨そうな奴が居て、食おうとしたらCCGの奴に襲われてさぁ・・あれ?穴開けたのって双子だったっけ??・・・そういえば食おうとした人間も実は喰種でしかも片目だけ赫眼で気持ち悪かったー!」

カネキ「・・・とりあえずその服縫ってあげますから脱いでください」

ナキ 「うお?お前そんな事出来るのか?!」

カネキ「一人暮らししてると大体のことはできますよ」
ちくちく

ナキ 「俺もこくりあでは一人暮らしだったぞ!!」

カネキ「ハハ・・かわりにその双子のことと片目赫眼の喰種のこと教えてくれません?」


カネキ「ハイ、とりあえず応急的に縫いましたよ。でも時間あるときにちゃんと仕立て屋さんとか行ってくださいね」

ナキ 「お前・・ほんといい奴だなぁ・・なんかお母さんを思い出したぜぇ・・」

カネキ「そんな、泣くほどのことじゃないですよ?こちらこそ色々教えてもらってありがとうございました」

ナキ 「ううっ・・いつでも言ってくれぇ。俺に出来ることならなんでも協力するぜ!ケン兄貴・・いやケン母さん!!」

カネキ「母さんは複雑だなぁ・・・・あ、ヤモリさん」

ヤモリ「あ、ケンくん。ナキが僕を呼んでたんだって?」

ナキ 「神兄貴ィ!!・・・あれ?兄貴髪黒かったっけ?」

ヤモリ「うん・・・このケン君が昔の僕を思い出させてくれたんだ」

ナキ 「マジかよ神兄貴も!?俺もケン母さんと話してたらお母さん思い出したぜ!」

ヤモリ「・・うん。僕もそうさ」

ナキ 「あ・・そういえば兄貴に頼まれたグッズ買ってきました!」
がさがさ

『極太ローソク』『ラバー鞭』『ボンテージ』『巨大シリンジ』etc・・・etc・・・

ヤモリ「うん、ありがとう。すぐに拷問してあげるよ、ナキ」

ナキ 「兄貴ィ!!」


カネキ(・・・うん・・・SとMのカップルだったんだね・・・お幸せに)

カネキ「じゃあ僕はこれで」

ナキ 「ケン母さんも一緒にやるかっ?!」

カネキ「あはは・・・また今度にしておくよ(いや、マジで)」



アヤト「あ、ケンさん!無事だったんですね!!」

カネキ「あ、アヤト君。スッキリした?」

アヤト「・・・え?」

カネキ「トーカちゃん」

アヤト「っつ!!」

カネキ「・・・とか、“あんていく”の人がコクリアの上層で戦ってるの見たんだよね?」

アヤト「はっ・・はい」ドキドキドキドキ

カネキ「もしよかったら、その時のこと教えてくれない?」

アヤト「え?・・・あ、ハイ」ドキドキドキドキドキドキ・・

・・・

カネキ「・・うん。参考になったよ。ありがとう」

アヤト「い・・いえ」

カネキ「それにしても“あんていく”のトーカちゃんてアヤト君のお姉さんだったんだね」

アヤト「は・・ハイ。アイツ・・弱いからきっとケンさんのお役には立てないっすよ」

カネキ「そう?僕は喫茶店でしか会った事無いけど、結構強そうに見えたけどね・・・・腹筋とか」

アヤト「はっ!!・・・ぐ・・・そ・・そうっすかね」

カネキ「うん・・まあいいや。どちらかというと、僕が聞きたかったのは“あんていく”メンバーが戦ってた鱗赫の喰種だし」

アヤト「ハ・・ハハ・・お役に立てて光栄です・・」

カネキ「ありがとう」


アヤト「」・・がくっ
ドキドキドキドキドキドキドキドキ・・
アヤト(見られたのか?!・・いやしかし・・・!)


カネキ(アヤト君面白いなぁ・・・今度トーカちゃんの私物ゲットしてアヤト君に与えてみよう・・・もっと面白い音源取れるかもしれないな)



カネキ「ノロさん」

ノロ 「・・・・」

カネキ「そういえばちゃんと挨拶するの初めてですね。僕、この間アオギリに入ったケンです。よろしく」

ノロ 「・・・・」

カネキ「ノロさんてタタラさんやエトと仲良いですね。古い付き合いなんですか?」

ノロ 「・・・・」

カネキ「うーん・・無口なんですね・・僕が僕の秘密喋ったらノロさんも喋ってくれます?」

ノロ 「・・・・」

カネキ「・・・実は僕、エトと付き合ってるんですよ」

ノロ 「・・・  ・・・・・」

カネキ「あ!今ちょっと反応しましたね」

ノロ 「・・・・」

カネキ「・・・うーん・・これくらいじゃノロさんの声は聞けないか・・・じゃあ僕帰るんで。一応今言った事は秘密ですよ」

ノロ 「・・」


**


カネキ「・・・さて“あんていく”に行くかな」

タタラ「ケン、ちょっと待て」

カネキ「ん?タタラさんどうしました?」

タタラ「いや、今ちょうど調理が終わってな。どうだ昼食でも」

カネキ「うーん・・確かにちょうどお腹すいてたのでいただきます」

タタラ「それは良かった。少々固いが新鮮な肉が手に入ったからな。一番栄養のある部分はぜひケンに食べてもらいと思ってな」

カネキ「いつもスイマセン」


――――――――――20区“あんていく”前

カネキ「あれ?ヒデ?」

ヒデ 「・・・カネキか」

カネキ「もしかしてバイト上がり?」

ヒデ 「あ・・ああ。どした?コーヒー飲みに来たのか?」

カネキ「うん。なんだ、タイミング悪かったなぁ」

ヒデ 「ハハハ・・悪ぃ」

カネキ「あ、そういえばヒデに聞きたいことあったんだよ」

ヒデ 「ん?なんだ?」

カネキ「安久さんて人知ってる?たぶんCCG捜査官で双子だと思うんだけど」

ヒデ 「?!なんでお前がそんなこと聞くんだ?」

カネキ「取材の一環で“コクリア”に収監されてる喰種から聞いたんだよ。その人が“フエグチ”さんと話をしてるのを聞いたそうなんだけど、“フエグチ”さんってヒデが探してた人だよなぁって思って」

ヒデ 「・・・・・・シロクロちゃん」

カネキ「え?」

ヒデ 「・・・“フエグチ”さんは・・ダメだった。俺が行った時はもう亡くなってた」

カネキ「・・・そうだったんだ」

ヒデ 「・・・・安久さんが・・“フエグチ”さんと喋ってた内容って聞いたのか?」

カネキ「いや、内容までは聞いてないよ」

ヒデ 「・・・もしよかったら聞いておいてくれないか?あの子たちの住所教えるから」

カネキ「え?知ってるの?ていうか知り合いならヒデが聞けば?」

ヒデ 「・・・ちょっとケンカしちゃってさ」

カネキ「・・・(やっぱりナキさんが言ってた双子の女の子が安久さんかな)」

ヒデ 「住所は○○。もし会ったら俺が謝ってたって言っておいてくんねー?」

カネキ「え?うん・・いいけど」

ヒデ 「サンキュー・・・じゃあな」

カネキ「え・・・うん。じゃあまた」



カランカラン・・・

芳村 「いらっしゃいませ・・・・ん?君は・・」

カネキ「・・・?」

今日はここまでです

明日はおそらく更新できません

眠い・・・更新します


#027 [嘉納]



芳村 「・・金木君ではないかね?・・・永近君の友達の」

カネキ「はい、そうですけど」

芳村 「・・・そうか。永近君に会いに来たのかね?」

カネキ「いえ、普通にコーヒーを飲みに来ました。ブレンドをお願いします」

芳村 「・・・そうですか」

・・・


芳村 「お待ちどう様。ブレンドです」

カネキ「ありがとうございます・・・やっぱりおいしいですね、芳村さん」

芳村 「・・・ただコーヒーを飲みに来たわけじゃないね」

カネキ「いえ、メインはコーヒーです。ただちょっと芳村店長とお話がしたくて」

芳村 「・・・私も君と話がしたかった」

カネキ「?」

芳村 「・・・去年の秋だったか・・。君が最後にここに来てくれたのは」

カネキ「そういえばそうですね・・・その前はよく来てたんですが」

芳村 「その時は君も“人間”だったね」

カネキ「・・・ヒデから聞いたんですね」

芳村 「うん・・・聞かせてもらった。君たちのことを・・・・ちょっと待っていてくれるかね、今日はもう“CLOSE”にしてくる。二階で話そうか」


芳村 「・・喰種になって、慣れない生活で大変だっただろう」

カネキ「まあ、色々ありましたね。でも、特に生活に支障が出てるわけではないですが」

芳村 「・・・君は本当にタフなんだね。永近君が羨ましがっていた」

カネキ「そうですか?でも僕にとっては、僕みたいな変わった奴とずっと友人でいてくれるヒデの方がすごいと思いますが」

芳村 「永近君にとっても、君はかけがえのない友人だと思うよ」

カネキ「そうだと嬉しいですが」

芳村 「・・・永近君はついさっきこの店を辞めた」

カネキ「え?!今店の前で会って、今日は上りって言ってましたけど?」

芳村 「・・・君は“アオギリの樹”に所属しているそうだね」

カネキ「まぁ・・なし崩し的に」

芳村 「君たちが“コクリア”を襲撃した日、彼はあそこに囚われていた仲間の死を目の当たりにした」

カネキ「“フエグチリョーコ”さんですね」

芳村 「・・・ああ。そして彼は怒りで我を忘れ、暴走し、多くの人間を殺した」

カネキ「え?!」

芳村 「リョーコさんを殺した白鳩を見つけて殺すまで、手あたり次第CCG職員を手にかけていたようだ」

カネキ「・・・ヒデらしくないですね」

芳村 「そしてつい先日、目的を遂げた・・・しかしながら白鳩に顔を見られた・・と言うより白鳩に知り合いが居たそうだ。そこで私が彼を連れ帰った」

カネキ「・・・・知り合いってもしかして双子の女の子ですか?」

芳村 「そうだよ・・・君はもう大体のことは分かっているんだね」

カネキ「いえ、僕も手探り状態です」


芳村 「彼は、自分が“あんていく”に居ることで、ここに居る他の喰種達に迷惑がかかるからと言い、出ていった。ちょうど私しかいない日を狙ってね」

カネキ「ヒデは・・・社交的ですから、きっと他の従業員の方が止めたでしょうね」

芳村 「だろうね・・・そこにある勉強道具はウチの従業員の女の子のものだよ。彼女、永近君と同じ大学にいきたいからと言って、今必死に受験勉強しているんだ」

カネキ「・・もしかして霧嶋トーカちゃんですか?」

芳村 「本当に君は何でも知ってるね」

カネキ「いえ、前にヒデが言ってたんです。かわいい子が居るって」

芳村 「ふふ・・・トーカちゃんが聞いたら喜ぶよ」


カネキ「・・・これは他の店員さんには内緒にしてほしいんですが」

芳村 「・・・なんだい?」

カネキ「“フエグチヒナミ”ちゃんは生きています。“フエグチリョーコ”さんがCCGに捕まった時、たまたま僕がその場に居て助けました。どこにいるかは言えませんが、ヒナミちゃんは元気です。ただ、彼女自身がヒデと同じ理由で、“あんていく”に自分のことを言わないでほしいと言ったので内密にしていましたが」

芳村 「そうか・・・久しぶりにいいニュースを聞いた気がするよ」

カネキ「・・・ヒデにも早い段階で言うべきでしたね」

芳村 「・・・そうかもしれないね」

カネキ「・・・」

芳村 「金木君、お願いがある」

カネキ「なんでしょう」

芳村 「今後ヒデ君に会うことがあったら、彼が無茶しないように見守ってあげてほしい・・・むろん私もそうする」

カネキ「ええ、もちろん」

芳村 「ありがとう」


カネキ「芳村さん・・・僕もいくつか聞きたいことがあるんですが」

芳村 「・・・うん、そうだったね」

カネキ「あなたは“隻眼の梟”と呼ばれている喰種であるエトの父親ですか?」

芳村 「・・・そうか。それも知っているのか」

カネキ「情報屋から聞きました。それに本人からも」

芳村 「・・そうだよ。エトは私の子供だ。かつて私が『功善』と呼ばれていたころ、知り合った人間の女性との間に生まれた子だ・・・エトは私を恨んでいるだろう」

カネキ「差支えが無ければ教えてもらえますか」

芳村 「・・・私はかつて“V”という組織に属していた。彼女・・『憂奈』とはその時知り合った。だか彼女は私の組織を追うジャーナリストだった。私たちはお互いの素性を知らずに子供をもうけた」

カネキ「・・・僕はあなた自身が『憂奈』さんを手にかけたと聞きました」

芳村 「・・・そうだ。組織はあまりに大きく、私一人の力では対抗できなかった・・・・そして組織の追跡を躱すため私はエトを24区に預けた。憂奈が持っていたノートを形見に持たせて」

カネキ「・・・そうですか。大体わかりました」

芳村 「君は・・・エトにとって大事な存在なのだろう?だから教えた。あの子を守ってやってくれ」

カネキ「あ、その事ですが・・・・」

・・・

芳村 「・・・にわかには信じがたいが・・・心当たりがある」

カネキ「そうですか、じゃあ何か分かったら連絡をいただけますか」

芳村 「ああ・・・ありがとう。私と娘の橋渡しをしてくれて」

カネキ「いえ・・・僕はそろそろ行きます。他にも行かなければいけないところがあるので」

芳村 「うん、よろしく頼むよ」



カネキ「あ・・・そうだこれは個人的に聞きたかったことなんですが」

芳村 「?」

カネキ「この喫茶店の名前ってどういう意味だろうって」

芳村 「憂奈と・・・出合った喫茶店の名前が“antique”だった」

カネキ「・・・それだけじゃないですよね?」

芳村 「・・・」

カネキ「今日、エトのお母さんの名前を聞いて分かりました」

芳村 「・・・そうか」

カネキ「それじゃあ、ありがとうございました」

・・・

カランカラン

カネキ(・・・“あんていく”という名前に込められた思い)

カネキ(芳村店長の、妻と娘への思いが詰まっているんですね)

カネキ(目頭をおさえるあなたの行動でよくわかりましたよ)

カネキ(・・・おかげで)






カネキ(その隙にトーカちゃんの私物(ハンカチ)ゲットさせていただきました)ニヤァ


カネキ「えっと・・・この先だな。マピオンは便利だなぁ」

カネキ「・・・ここか」


――――――――――東京郊外某所“旧安久邸”

カネキ「こんにちはーっ!!」


カネキ「・・・誰も居ないか?」

ガチャ
嘉納 「はい、どなたかな?」

カネキ「・・・あ」

嘉納 「・・・あ」

・・・



嘉納 「・・・とりあえずお茶を出す。ここで待っていなさい」

カネキ「はぁ」


嘉納 「・・・さて、私に何を聞きにきたんだね?」

カネキ「いや・・・まず、むしろなんでアナタがここに居るんですか」

嘉納 「な・・じゃあなんで君はここに来たんだね」

カネキ「安久さんに会いに来たんですよ」

嘉納 「はぁ・・そういう事か・・私はなんてツイてないんだ」

カネキ「?」

***


カネキ「・・・なるほど。じゃあここはあなたの所有物件なんですね」

嘉納 「そうだよ。あの子たちももうずいぶん前に出て行ってしまった・・・おかげで私は普通に病院で働きながらここに帰って来てリゼ君に栄養を与えるだけの生活だよ・・はぁ」

カネキ「ちょっと待て、リゼさん生きてるのか?」

嘉納 「あ、しまった」

カネキ「ていうかアナタ、ヒデを喰種にしただろ」

嘉納 「げ・・・そういえばそれもそうだった・・・彼もあれ以来ここにも病院にも来てくれないからすっかり忘れてた」

カネキ「・・・先生、なんかもうボロボロなんでいっそ全部教えてください。でないと食べちゃいますよ」


嘉納 「・・・はぁ・・・・わかったよ。私はね、かつてCCGの医療部で働いていた」

カネキ「ああ、喰種の体のい・ち・ぶ☆をスフィンクスから仕入れて武器とか薬とか作るとこですね。あと喰種を手術したり解剖したりとか」

嘉納 「なっ・・?!なんでそんな事知ってるんだね?!!」

カネキ「いや、色々とガバガバですよ。とりあえずCCGは喰種製薬使うときは商品タグをはずして使った方がいいですね」

嘉納 「あの馬鹿ども・・横着しおって・・・!!」

カネキ「いや、先生は今はCCGじゃあないんでしょ?」

嘉納 「あ、そうだったスマンスマン」

カネキ「もう、しっかりしてくださいよ」

嘉納 「いや、私が居たころも部下たちは結構横着でな・・・・」

カネキ「で、なんで今は人間を喰種に変えてるんですか。こっちはいい迷惑ですよ」

嘉納 「実はな・・・CCGは人間を喰種に変えていた」

カネキ「今のアナタと同じですね」

嘉納 「違う違う!奴らは人間を喰種に変えて殺し、そこから喰種製薬なんかを作ってるんだよ!」

カネキ「証拠は持ってます?」

嘉納 「CCGに居たころの資料が地下の研究施設にあるよ・・・奴らの巧妙な所はそれを“スフィンクス”という民間企業にやらせ、そこから製品化されたものを仕入れるという形で世間の目を誤魔化しているところだ・・・この建物のかつての所有者である安久七生もその事実を世間に公表しようとして消された。君が探している安久奈白・黒奈の父親だ」

カネキ「CCGは暗殺屋でも雇ってるんですか?」

嘉納 「違うよ。殺したのは喰種だ。奴らはおそらく何らかの喰種集団と繋がりがある・・・だが私もその実態は知らない」

カネキ「ふぅん・・・で、話は戻りますがなんで僕とかヒデとかを喰種にしたんです?」

嘉納 「CCGに対抗するには実態の分からない喰種集団や実践慣れしたCCG捜査官と対峙しなければならない。そのためにはCCGに居た時伝え聞いた“雑種強勢”で強まった“隻眼の梟”のような強い力の喰種が必要だ」



カネキ「・・・なるほど。そのために僕らみたいな人間に喰種の臓器を移植して無理やり雑種の喰種を作ったと」

嘉納 「うん」

カネキ「・・・そうやって無理やり作った喰種が言うこと聞くと思ったんですか?」

嘉納 「シロとクロは言うこと聞いてくれそうだったんだ・・・なのに移植する前に出て行ってしまった」

カネキ「シロクロさんが正解です」


ピンポーン

嘉納 「!」
カネキ「?」

カネキ「お客さんですよ」

嘉納 「待て・・・・モニターを見よう」
カチッ

カネキ「あ、この筋肉達磨はCCG捜査官ですよ。横の女性は知りませんが」

嘉納 「ついに・・・来たか」

カネキ「まあ普通に考えて先生を殺しに来たんでしょうね。さっきの話聞く限り」

嘉納 「・・・君も永近君も私の味方にはなってくれそうにないし、シロとクロも居ない・・・仕方がない諦めるか。顔を知られていない君は裏口から逃げなさい」

カネキ「まあまあ、待ってください。僕が先生の味方にならないっていつ言いました?」

嘉納 「え?」

カネキ「先生がCCGから持ち出した資料をください。あと、そのうちCCGのしていたことを証言してもらう日が来るかもしれません。それを了承してくれるなら先生を助ける方向で動きますよ」

嘉納 「それをやるということはCCGに全面戦争を仕掛けるようなものだが・・・まあ死ぬよりマシか。乗った」

カネキ「オーケー。じゃあ地下行きましょうか」

嘉納 「ついておいで」


カネキ「・・・ずいぶんと気持ちの悪い壁ですね」

嘉納 「Rc細胞を使用した壁だ。私が在籍する前からCCGはこの壁を作る技術を持っていた。24区はこの壁の技術を使い、迷路のようになっている」

カネキ「ふーん」

嘉納 「・・・さて、ここだ」

カネキ「ん・・・リゼさん?」

嘉納 「そうだよ。あの日“事故”で死んだわけではなく、赫包を抜き取り君に移植した。そのままでは彼女は死んでしまうから培養液に浸し赫包の再生を促してその後新たな赫包を永近君に移植した」

カネキ「で、今は?」

嘉納 「赫包はふたたび再生し、今はRc抑制薬と睡眠薬で活動をおさえている。むろん栄養は与えて」

カネキ「それってつまり放っておいたらリゼさん目覚めるってことですね」

嘉納 「そうだよ」

カネキ「・・・・とりあえず先生は証拠となる資料を集めてもらえます?僕はこの施設の写真撮るので」

嘉納 「え?!極秘研究所なんだけど・・・」

カネキ「食べてほしいですか?」

嘉納 「私は資料を集める。存分に写真を撮りたまえ」

カネキ「・・・なんかやってることが高槻先生に似てきたな」


***


嘉納 「資料は集まった。撮影は終了したかね」

カネキ「ええ。それじゃあそろそろ行きますか」

嘉納 「うむ・・・ん?・・・マズイこのモニターを見給え。CCG捜査官が地下に来る入口を見つけたようだ」

カネキ「他に出口ないんですか?」

嘉納 「残念ながら」

カネキ「秘密の施設なら別のルートくらい作ってくださいよ・・・はぁ」
ズググググググ・・・


亜門 「お前っ・・嘉納か?!」

嘉納 「・・・CCG捜査官か」

亜門 「なっ・・!なんだその水槽の中は・・・女性か?」

嘉納 「・・・」

アキラ「待て・・・亜門上等」

亜門 「?」

アキラ「・・・喰種が居る」

亜門 「貴様・・・“眼鏡”ッ!!」

カネキ「・・・・またお会いしましたね。筋肉捜査官さん」
ぶらん

アキラ「・・きゃっ!!///」

亜門 「貴様ッツ!!恥ずかしくないのか!!(アキラ・・・そんな顔もするんだな・・はぁはぁ///)」

カネキ「え?健康法ですよ」

亜門 「いいんだな・・・ただの“変態”でいいんだなッツ!!」

カネキ「人聞き悪いなぁ」


カネキ「・・先生・・“助けてくれ、殺される”って叫んでください」ぼそっ

嘉納 「え?・・・ああなるほど」

嘉納 「た・・・助けてくれ!!このヘンタイに襲われるっ!!」

カネキ(なんか若干ニュアンス違いますよ)

亜門 「なッツ!!変態ィィィ!!!」

カネキ「ハァッ!!」

アキラ「きゃあああっ!!////」

亜門 「なぜM字開脚をッツ!!」

カネキ「怯んだ!今だッ!!」

ドオオオオオン!!

亜門 「クッ・・・羽赫の攻撃か!いったん退避だ避けきれん!!アキラ!!」

アキラ「はっ・・私としたことが!!承知したっ!!」


二人の捜査官が部屋の外に退避したのを確認すると、僕は暴れに暴れた。

途中、嘉納先生が“私の研究施設が”とか何とか言ってたがとりあえず無視して破壊しつくした。

粗方、証拠隠滅が終わったところで僕は天井に穴をあけ、先生を背中に乗せて地上へと脱出した。

まあ、捜査官の人たちも来た道戻れば帰れるだろう。

地上に出ると、なんか無精ひげを生やした男性が何か言いたげにこちらを見ていたが、とりあえず無視し、先生を連れて急ぎ20区へと向かった。


――――――――――20区“カネキのアパート”

ガチャ
カネキ「ただいまー」

バンジョー「あ、ケンさん!!」

カネキ「バンジョーさん達、食料は足りてる?」

バンジョー「ああ、問題ねぇ・・それより俺たちはまだここに居ていいのか?」

カネキ「ええ、もちろんです。行くあて無いんでしょ?喰種が入れそうな再就職先探しますんで」

バンジョー「うう・・すまねぇ」

カネキ「あ、それで、今日からしばらく新しい仲間が加わります」

バンジョー「・・・へ?」

カネキ「人間だけど食べちゃダメだよ」

バンジョー「・・・えっと」

カネキ「じゃ、嘉納先生。しばらくここに居てください。食事は冷凍庫に入ってる冷凍食品を食べててください。あと、僕のことは彼らには一切秘密で。言ったら食べますよ」

嘉納 「あ・・・ああ」

カネキ「じゃあまた来ます。皆仲良くね」

ガチャン

バンジョー「・・・」
イチミ「・・・」
ジロ 「・・・」
サンテ「・・・」
ウス 「・・・」
モク 「・・・」
テツ 「・・・」
ケイ 「・・・」
コウト「・・・」
嘉納 「・・・」


***


ヨモ 「・・・瓦礫の下か・・」
ガチャ

ガチャ

ヨモ 「・・・しっかりしろ」

リゼ 「う・・・あら・・・私・・・」

リゼ 「私、すっごいムカついてるわ」

ヨモ 「・・・だろうな」

はぁ・・こんな時間に何してるんだろう・・

ここまでにします
おやすみなさい

仕事のヤマを越えました・・続きです


#028 [少女]


亜門 「・・・嘉納、元CCGの医師。奴はいったい何をしようとしていたんだ・・」

コンコン
アキラ「亜門上等」

亜門 「・・アキラか」

アキラ「瓦礫の下から少女は見つからなかったそうだ」

亜門 「・・そうか」



―――3日前。


シロ・クロ「「亜門上等・・ちょっとよろしいでしょうか」」

亜門 「ん?安久か。どうした?」

シロ・クロ「「・・・・相談があります」」

亜門 「?なんだ畏まって」

シロ・クロ「「今夜、お時間ありますでしょうか?」」

亜門 「構わないが・・・?」

シロ・クロ「「では後ほどよろしくお願いします」」

**


亜門 「で、どうしたんだ?」

クロ 「亜門上等は・・これから私たちが言うことを秘密にしていただけますでしょうか?」

亜門 「?・・プライベートなことか?もちろん秘密は厳守するぞ」

クロ 「・・・」
シロ 「・・・」

シロ 「亜門上等は・・・人間が喰種になるということがあるということを信じられますか?」

亜門 「・・・言っている意味が分からない」

クロ 「そのままの意味です・・・人間に喰種の赫包を移植すると、その人間は喰種になる可能性があるということです」

亜門 「・・・それが本当だとして、なぜお前たちはそれを俺に言う?」

シロ 「・・・」
クロ 「・・・」


シロ 「亜門上等は・・私たちみたいに両親を喰種に殺されたわけではないですし」
クロ 「偏見なく喰種と人間を見ることができると思うんです」

亜門 「・・・私は・・」

シロ・クロ「「?」」

亜門 「・・・喰種に育てられた。私が育った孤児院の神父が喰種だった。奴は私以外の子供たちを隠れて喰っていた・・・偏見は無いが、恨みはある」

シロ・クロ「「・・・そうですか」」

亜門 「・・・だが奴がなぜ俺だけを喰わなかったのか・・・その答えを探している」

シロ・クロ「「私たちも同じです。喰種という存在に両親を殺されました」」

亜門 「・・・」

シロ 「だから、喰種という存在を恨んでいます・・ですが」

クロ 「すべての喰種を恨んでいるわけではありません」

亜門 「どういう事だ?」

シロ・クロ「「真戸準特等を殺した喰種は・・・元人間です」」

亜門 「!!」


シロ・クロ「「かつてCCGに在籍していた医者である“嘉納”という医師が人間に赫包を移植して生まれた人工喰種です」」

亜門 「・・・お前たちは・・“大喰い”を知っているのか?・・いや、その話が本当だとして、そもそもなぜその“嘉納”のことを知っているんだ?」

シロ・クロ「「・・・以前私たちも嘉納医師から移植手術を受け、喰種になるところでした」」

亜門 「なんだと・・・?!」

シロ・クロ「「しかし直前で、今“大喰い”と呼ばれている彼のおかげで手術を受けずに済みました」」

亜門 「ではお前たちの代わりにその人間が喰種になったという事か?」

シロ・クロ「「・・・はい」」


亜門 「にわかには・・・信じられん・・・」

シロ 「彼が手術を受けた後、一度だけ会いました」

クロ 「彼は“喰種”となっていましたが、決して人間は殺さず自殺した人間だけを食べて生きていました」

シロ 「だから・・・彼は“喰種”ですが、私たちは彼が人間に危害を加える存在ではないと判断し、駆除しませんでした」

クロ 「規律を違反しました・・・申し訳ありません」

亜門 「・・・その話が本当だとしても・・その“喰種”は喰種として扱うか人間として扱うか『喰種対策法』では記載がない。なので私はお前たちの行動が合っているとも間違っているとも言えない」

シロ・クロ「「・・・」」

亜門 「・・・しかし、その元人間の喰種は何故その経緯を公表しなかった?それが事実であれば曲がりなりにも彼は被害者だ。CCGも何らかの措置を講じる可能性は高かったはず」

シロ 「・・・おそらく彼が、喰種の社会で出会ったからだと思います」

クロ 「生まれつき喰種でありながら、彼と同じように人間に危害を加えずに静かに生きようとする喰種に」

亜門 「・・・・そうか・・・それが“フエグチ”か」

シロ・クロ「「・・・はい」」

亜門 「・・・」

亜門 「・・・・」

シロ・クロ「「お願いがあります」」

亜門 「・・・・なんだ」

シロ・クロ「「彼を・・・止めてあげてください」」

亜門 「・・・“大喰い”はすでにかなりの捜査官を殺している・・・奴を止めるということは奴を駆除するという事だ・・・あるいは奴が人間として裁かれても・・極刑だろう」

シロ・クロ「「・・・これ以上、私たちの恩人が人を殺すのを見たくありません」」

亜門 「・・・・わかった」


亜門 「しかし現実問題として、奴につながる情報が無い。お前たちは奴について何か知っているのか?」

シロ・クロ「「・・・」」

亜門 「・・・この件は現時点ではすべてが未確定情報だ。特に真戸準特等の娘である私のパートナーには、お前たちが言った事は伝えるつもりは無いし、現時点で上司に報告するつもりもない・・・だからお前たちが知っていることを教えてほしい」

シロ 「・・・嘉納医師は、私たちの生家を買い取り、その地下に研究施設を作って人間を喰種化する研究をしています」

クロ 「・・・嘉納医師は何か知っているかもしれません」

亜門 「・・・わかった。では私は一般人からある民家の地下で喰種の研究を行っている者が居るというタレコミを受けた。情報の出どころは不鮮明ではあるが、一応確認するためその家に行ってみようと思う」

シロ・クロ「「ありがとうございます、亜門上等!」」

亜門 「・・・しかし・・なぜその医師はそのような研究をしているんだ?そもそもなぜそのような技術を持っている?」

シロ・クロ「「・・・嘉納医師は以前CCGの医療機関に居ました・・・亜門上等も気を付けてください」」

亜門 「?」


**********


アキラ「・・・匿名のタレコミという話だったが以外にも核心に迫っていたのかもしれんな」

亜門 「・・ああ」

アキラ「嘉納か・・結局奴は“変態”にさらわれてしまったが、奴の研究施設で見た水槽の中の少女・・彼女を保護することができれば何か事情を聞き出せたかも知れなかったのだが・・・」

亜門 「・・・あの少女は何だったと思う?」

アキラ「あの様子・・協力者にはとても見えなかったな。おそらくはタレコミ通り、嘉納医師の実験台にされる予定であった人間・・・あるいはすでに喰種にされてしまった人間か」

亜門 「アキラは・・・そうして喰種にされてしまった人間はどう扱うべきだと思う?」

アキラ「難しいな・・・だが明らかに“被害者”だ。何とかして人間に戻る方法を模索するべきではないのか?CCGの医療部はそのためにある」

亜門 「ああ・・俺もそう思う」

アキラ「・・・・父は・・そうは言わないだろうな」


亜門 「アキラ・・・」

アキラ「あんな変態であっても・・・父は父だ・・・それに父がああなったのは母が死んでからだ」

亜門 「そうだったのか」

アキラ「父は・・母を“隻眼の梟”に殺され、喰種に対する憎悪感だけがどんどん増幅していった。喰種から作るクインケに対しても歪んだ思いを持っていたんだろう」

亜門 「・・・」

アキラ「・・・“隻眼”は私にとっても敵だ。そして“大喰い”も。だが、私は憎悪だけに飲まれないように冷静に戦おうと思う」

亜門 「・・・真戸さんは、アキラのことを誇りに思っていた。俺にもよく自慢の娘のことを話してくれた」

アキラ「ふ・・・だったら家での変態行為を辞めろと思うがな」

亜門 「真戸さんが大切だったものを・・これからは俺が守る」

アキラ「・・・私は誰かに守られなければならないほど弱い人間ではないぞ・・・だが・・悪くないな、そういうのも」

亜門 「・・・アキラ・・」



累沢 「すいませーん!」
ガチャ

亜門・アキラ「「!!」」

累沢 「あのー情報提供者の方が見えてるんですが、捜査官に直接お話がしたいって聞かないんですよー・・・ってお邪魔でした?」

アキラ「な・・何を言う!こんな変態筋トレマニア!!」

亜門 「・・・とにかく行きます、累沢さん」


高槻 「遅いですねー」

カネキ「先生、大胆が過ぎますよ。知ってる捜査官出てきたらどうするんですか」

高槻 「いやー大丈夫ですよ。君のことは軽く紹介するから、とりあえずメモをお願いしますねー」

カネキ「って言うか午後からサイン会でしょうが!一日にスケジュール詰めすぎなんじゃないですか?」

高槻 「まぁまぁ・・あ、ほら来ましたよ」

カネキ「はぁ・・・げ(ツンウル筋肉だ)」



亜門 「あなたが情報提供者ですか・・・ん?あなたは確か」

アキラ「ん?知り合いか?亜門上等」

亜門 「いや・・・作家の高槻泉さんですか?」

高槻 「はいはいそうです!いやー捜査官の方にまで知っていただいてて光栄ですなー」

アキラ「ああ、確か若手作家の・・・で、隣の方は?」

高槻 「ああ、私のアシスタントです」

カネキ「金木と申します。すみません、先生がわがまま言って・・・というかこの後たぶん失礼な事言うと思うので先に謝っておきます。ゴメンナサイ」

高槻 「なっ・・なんてこと言うんですか君はー!」

アキラ「・・・ふ」

亜門 「ま・・とにかく情報を頂けるという事ですね」

高槻 「ええ、そうなんですよー!もう大スクープですよ!」


アキラ「・・・せっかくだ亜門上等、奥でゆっくり話を聞かせていただこうじゃないか」

亜門 「?・・まあそうだな。では奥の会議室でお話を伺いますので、こちらに着いてきていただけますか」

高槻 「ハイハイ、じゃあ行きましょうか」

カネキ「ハイ」

高槻 「カネキ君、オフで」ぼそっ
カネキ「!」


会議室にて。

高槻 「さっきの空港のゲートみたいなやつは何ですか?」

亜門 「ああ、あれは喰種のRc細胞に反応してブザーが鳴る仕組みになってるんですよ」

高槻 「へー・・喰種がこんなとこに攻め込んでくるんですか?」

亜門 「可能性はゼロではないので」

カネキ(・・・なるほどね)


・・・


亜門 「では、提供していただける情報を教えていただけますか?」

高槻 「その前にっ!私の質問にも答えていただけます?」

亜門 「?」
アキラ「?」

高槻 「実は次回作に喰種のお話を書きたいんですよー。で、情報提供する代わりにCCG捜査官の日常も教えていただけたらなーと!」

亜門 「・・・申し訳ありませんが、機密に関わることはお答えできかねます」

高槻 「いえいえ!もっと日常的な事でいいんですよ!例えばいかにも体鍛えてそうなアナタは普段どんな食べ物を食べているのかとか」

アキラ「クイニーアマン」

亜門 「なっ?!」


アキラ「この捜査官は、普段から筋トレを怠らずボディービルディングに勤しんでるにも関わらず、その実大の甘党でこっそり甘いお菓子を食べている。そしてカレーはいつも甘口だ・・こんなところでいいか?」

カネキ「・・ぷっ」

高槻 「ええ!いやー大変参考になりますなー」

亜門 「アキラ・・・何故それを・・・・あと、アシスタントさん笑わないで頂けるか?」

カネキ「ぷぷ・・スイマセン」

アキラ「私がそれを知らないとでも思ったか?だから君はいつも二位なのだ・・・さてこんなところでいいですかな?情報提供の方をお願いしたいのですが」

高槻 「ああ、そうでしたねーでは、“スフィンクス”という会社はご存知ですか?」

・・・


アキラ「・・・では、その“スフィンクス”という会社は喰種をどこからか手に入れ、それを原料にして我々に販売していると?」

高槻 「ええ、間違いありません。“スフィンクス”に取材した際に得た情報です」

アキラ「・・・亜門上等、知っていたか?」

亜門 「・・いや、初耳だ」

高槻 「いえね、次回作の取材がてら喰種関連の情報を集めている際に知ったんですがね、単純に気になったんですよ」

亜門 「?」

高槻 「CCGのHPには国内唯一の喰種対策機関だって書いてあるじゃないですか、ココ」

亜門 「・・ええ、そうです」

高槻 「なのに、“スフィンクス”はどうやって喰種の体を手に入れてるんだろうなーって」

亜門・アキラ「・・・」

高槻 「・・・情報提供は以上です。あのーできれば次回作にネタとして使いたいので私が情報提供したこと内緒にしてもらえません?発売前にネタ晴らしになっちゃうので」

亜門 「・・情報提供者のプライバシーは守ります。ご安心ください」

高槻 「よかったぁ」


高槻 「・・・あ、最後にもう一個聞きたいんですが」

亜門 「なんですか?」

高槻 「お二人は付き合ってるんですか?」

亜門・アキラ「「なッツ!!」」

カネキ「ハイハイ、先生。そういうプライバシーに触れるのはダメですよ」

高槻 「えー」

カネキ「すみませんでした、わざわざ時間割いていただいて」

亜門・アキラ「「あ・いえ」」

高槻 「ちょっとカネキ君、いいじゃないですかそれくらいー」

カネキ「もう、午後はサイン会だってあるんですから、もう行きますよ」

高槻 「ちぇーちぇー!」

カネキ「では、ありがとうございました」

亜門・アキラ「「あ・こちらこそー」」


ガチャン


アキラ「・・・できたアシスタントだな」

亜門 「・・ああ、最近仕事でも変態ばかりと関わっていたから、ああいうまともな若者を見るとまだまだこの国は捨てたものではないと実感できるな」

アキラ「ふふ・・大袈裟だな君は」

コンコン
アキラ「ん?」

ガチャ
篠原 「ちょっといいか」

亜門 「どうしました?」

篠原 「“大喰い”が動いた」



**

カネキ「・・・・先生」

高槻 「んー?」

カネキ「ゲートの事なんで知ってたんですか?」

高槻 「いえ、内通者が居ましてねー・・間一髪だったでしょ」

カネキ「ええ、助かりました。最悪CCG内部で大暴れしなければいけないとこでしたからね」

高槻 「ウン・・・まさかその状態に快感を覚えたりしてないよね?」

カネキ「ナンノコトデスカ?」

・・・

高槻 「・・・ところでこの後のサイン会ですが、さすがにサイン会にはついて来ないでいいですよ」

カネキ「ええ、元々ついて行く気ありませんし」

高槻 「・・・前はサイン会来てくれたのにぃー」

カネキ「もう買ってありますから個人的に。後でサインくださいね」すっ
『吊るしビトのマクガフィン』

高槻 「・・・ウン」

カネキ「ところで、午後は僕ヒナミちゃんと外出しようかと思うんですが」

高槻 「あー・・」

カネキ「?」

高槻 「実は私からもお願いしようかと思ってたんですよ、それ」

カネキ「・・・やっぱりヒナミちゃん、ずっと家の中はまずいですよね・・・それにヒナミちゃんの顔を見たのって、さっきの筋肉さんともう一人いましたが、そのもう一人は死んだみたいですし」

高槻 「え・・ええ。そうですよねー」


――――カネキが外出している時のこと――――

ヒナミ「高槻先生」

高槻 「んーどしたー?」

ヒナミ「高槻先生って・・・本当にお兄ちゃんと“恋人同士”じゃないの?」

高槻 「えー・・何言ってんのちゃんヒナは」

ヒナミ「・・・」

高槻 「・・・ちゃうってー」

ヒナミ「・・・じゃあお兄ちゃんと“でーと”してもいい?」

高槻 「・・・いいですよー」

――――回想終了――――



カネキ「じゃあ僕、一旦帰ってヒナミちゃんとどこか行きます。とりあえず20区はうろつかないようにするので」

高槻 「ええー。じゃあ気を付けてね」

カネキ「ハイ、先生も」




――――――――――高槻泉の仕事部屋

ガチャ

カネキ「ヒナミちゃん」

ヒナミ「あ、お兄ちゃんお帰りなさい!」

カネキ「ねえ、たまにはさ、外に遊びに行かない?」

ヒナミ「?!!いいの?!」

カネキ「うん、もちろん。捜査官の目に触れないように気を付けてれば大丈夫だよ。どこに行きたい?」

ヒナミ「えっと・・・じゃあ図書館がいい」

カネキ「いいね。僕も読みたい本があるし、行こうか」


――――――――――11区都立図書館

カネキ「じゃあ僕も本探してくるから」

ヒナミ「うん!」

カネキ「ここでは静かにね」

ヒナミ「はいっ」


***


カネキ「ヒナミちゃん何読んでるの?」

ヒナミ「えっと・・おすすめのコーナーにあった東●圭吾さって人の本・・・えっと、夜明けの・・」

カネキ「へーサスペンスもの読むんだね」

ヒナミ「お兄ちゃんは・・難しそうな本読んでるね」

カネキ「はは・・難しくはないよ。アメリカのナボコフという人が書いた名作だよ・・まあヒナミちゃんは読まなくてもいいかな」

ヒナミ「?」


***


ヒナミ「お兄ちゃん、今日はありがとう」

カネキ「うん、いつもあまり構ってあげられなくてごめんね」

ヒナミ「ううん。大丈夫。ヒナミ、あんまり外に出ない方がいいこと分かってるから・・・でもまたお兄ちゃんとこうやって遊びに来たいな・・」

カネキ「うん。僕と一緒なら大丈夫だよ」

ヒナミ「お兄ちゃん・・手繋いでもいい?」


朝、靴下を片方だけ履くヒナミちゃん。

彼女は今、スラックスを履いて僕と歩いている。

本名、笛口雛実。

だが僕の手を握る彼女はいつもと同じヒナミちゃんだった。

予感はあったかと言えば、確かにあった。

とはいえ彼女はあの日助けなければ居なかった存在だったのかもしれない。

あの秋のあの時。

今いる、この11区の交差点だった。

あの日ヒナミちゃんに出会うまで僕は大学生として普通に暮らしてきた。

元人間の喰種特有の気まぐれな言い回しだと思ってもらって構わない。





ヒナミ「あ、先生おかえりなさい」

カネキ「サイン会どうでした?」

高槻 「ただいまー盛況でしたよー」

カネキ「それは良かったです」

高槻 「それはそうとカネキ君」

カネキ「なんです?」

高槻 「そろそろ本格的に次回作の執筆に入ろうと思います」

ヒナミ「先生すごいね・・発売したばっかりなのにもう次の作品書けるんだ」

高槻 「アンテナにビシビシ来てますからねぇ・・・あ、で、カネキ君」

カネキ「はい」

高槻 「それに合わせて“アオギリ”の方も次の作戦に入ろうと思うので」

カネキ「やっぱり先生がリーダーじゃないですか」

高槻 「違いますよ、幹部ですが」


高槻 「で、明日アオギリに行こうと思うので、もう遅いですし今日は泊まっていってはどうですか?」

ヒナミ「・・」ぴく

カネキ「そうですね・・学校もないですし、いいですよ」

高槻 「良しキマリ!」

ヒナミ「・・・お兄ちゃん!」

カネキ「え?!どうしたの?」

ヒナミ「えっと・・・借りてきた本、一緒に読んで?」

カネキ「うん、いいよ。じゃあ僕、ヒナミちゃんと本読んでそのまま寝るので」

高槻 「・・・ウン。じゃあ私は明日の準備しますのでー」

ヒナミ「先生オヤスミナサイ」

・・・


ヒナミ「・・・ふああ」

カネキ「ヒナミちゃん、眠いなら今日はここまでにしない?」

ヒナミ「うん・・そうする」

カネキ「じゃあそろそろ寝ようか」

ヒナミ「うん・・・お兄ちゃん」

カネキ「ん?」

ヒナミ「・・・一緒に寝よう?」

カネキ「ヒナミちゃん?」

ヒナミ「ヒナミ・・・お母さんが居た時は・・・お母さんと一緒に寝てたの」

カネキ「・・・うん。今日は一緒に寝ようか」

ヒナミ「ありがとう。お兄ちゃん・・・えへへ」

カネキ「電気消すよ」

ヒナミ「うん・・・すーすー・・」
かちっ


僕の腕の中で静かに寝息を立てるヒナミちゃん。

ヒナミちゃんは、お父さんを失い、お母さんを失い、もうこの世に家族は居ない。

そして自ら“あんていく”から離れ、高槻先生と一緒に住んでいる。

ローティーンの少女にとってそれは大きなストレスだろう。

ヒナミちゃんが僕を頼ってくれるなら、僕もそれに応えたい。

いつかヒナミちゃんが本当に心から笑って暮らせる日が来るために僕に出来ることはあるんだろうか。


ヒナミ「ん・・・おにい・・ちゃん・・」


ヒナミちゃんの寝言が、さっきまでの僕の中の思いをかき消すように、あるいは霧がかかるように、別の気持ちを掻き立てる。

クローバー柄のパジャマがとても可愛い。

僕の熱くなった下腹部が、僕の指先を自動的に動かす。

クローバーが二つに開いて、幼い柔肌を露わにしていく。

三つめのボタンをはずした時、僕とヒナミちゃんを温める布団に風が入り込んだ。

すると部屋のドアは、まるでさっきからずっと開いていたかのように、隣の部屋の闇を僕に見せる。


高槻 「お邪魔しまーす」

カネキ「・・・」

僕の隣にヒナミちゃん。

その隣に高槻先生。

僕の体温が下がっていくのを感じる。

エト 「カ・ネ・キ・ク・ン♡」
ギンッ

カネキ「・・・」

エトの紅い赫眼に僕の蒼い顔が写りこむ。

ニッコリと作られた笑顔のエトの唇が、ゆっくりと動いた。

エト 「(殺すぞ♡)」

・・・・


チュン チュン

ヒナミ「・・・ん・・・」

高槻 「すーっ・・すーっ・・」

カネキ「」

ヒナミ「あれ・・?私、・・・そっか昨日はみんなで一緒に寝たんだっけ・・?」

カネキ「」

ヒナミ(なんだか、お父さんとお母さんと一緒に寝た夢見ちゃった・・・えへへ)

ヒナミ「お兄ちゃんおはよう。私、先起きてるね」

カネキ「」コクコク

ヒナミ「~♪」

ここまでにします

こんばんわ続きです
シリアスパートです


#029 [道化]



亜門 「“大喰い”が・・・篠原さん奴は何処に?」

篠原 「時間が無いから移動しながら説明するよ。アキラちゃん」

亜門 「?」
アキラ「ハイ・・?」

篠原 「行先は1区CCG本局・・・“大喰い”は本局に出現した」

亜門・アキラ「「!!」」

篠原 「こっちもついさっき連絡が入ったから詳しいことは分かんないけど、我々の本丸に攻め込むなんてよっぽど自信あるのか、あるいは自暴自棄なのか・・・」

亜門 「・・・」


***


――――――――――1区“CCG本部”

黒磐 「うむ・・来たか」

篠原 「いわっちょ・・状況はどうなの?」

黒磐 「奴が本局内部で確認されたのが20分前。どうやら隣のビルから飛び移り、窓を割って侵入したらしい」

篠原 「アクロバティックだねぇ」

黒磐 「うむ・・そして現在はロスト。だが内部にまだいるのは間違いない」

篠原 「隠れてるのかね」

黒磐 「おそらく」

篠原 「で・・・被害は?」

黒磐 「10人以上殺られた」

亜門 「・・・」
シロ・クロ「「・・・」」

篠原 「中の皆はどうしたの?」

黒磐 「ほぼ建物外に退避済みだ。篠原待ちだった」

篠原 「・・・有馬は?」

黒磐 「24区だ」

篠原 「そっか・・・じゃあ一丁・・やりますか」
カチ
黒磐 「・・・うむ」
カチ

バキキキキ・・・!


篠原 「什造、援護してくれ。だがくれぐれも一人で突っ込むな」

什造 「ハイです」

黒磐 「美郷、安久、援護を頼む」

美郷 「ハイッ!」
シロ・クロ「「・・ハイ」」

亜門 「篠原さん、黒岩さん、我々はッツ!」

篠原 「お前の新クインケは尾赫だ。それにアキラちゃんのアマツも。『鱗赫』のヤツとは相性がいい。手伝ってくれるか?」

亜門・アキラ「「ハイッ!!」」




黒磐 「・・篠原」

篠原 「うん・・・みんな、居たよ」

ヒデ 「・・・」

シロ・クロ(・・・お兄ちゃん)


篠原 「・・“大喰い”くんで間違いないかな?」

ヒデ 「・・アンタが着てるそれ、“クインケ”?」

篠原・黒磐「「・・・」」

ヒデ 「・・・そのクインケを作るために殺した喰種はどんな人だった?」

篠原 「・・・そんな事聞いてどうするんだい?大喰いくん」

ヒデ 「・・・そのクインケの形状・・まるで鎧みたいッすね。攻撃するためじゃなくて、守るための」

篠原 「・・・」

ヒデ 「その赫子を持ってた喰種は・・何を守りたかったんすかね?」
ズグググググ!!

黒磐・篠原「「来るぞっ!!」」


ガキィィィン!!

什造 「うーん・・硬いですねぇ」

篠原 「什造、気を抜くな!奴は半赫者だ!!」

ヒュン

什造 「おっと・・危ないですねぇ」


シロ・クロ「「・・・」」

亜門 「安久・・攻撃できないなら下がっていろ」

シロ・クロ「「・・・いえっ!やります!!」」

亜門 「ならば三方向から同時に攻撃だ」

シロ・クロ「「ハイッ!!」」

亜門 「やああああああッツ!!」

ヒデ 「・・・」すっ

亜門 「今だッ」

シロ (お兄ちゃん)
クロ (ごめんね)

シロ・クロ「「やあッツ!!」」

ザシュ!!

ヒデ 「・・・シロクロちゃん・・・」
・・ドサ

篠原 「良し!よくやったぞ安久!!」



ヒデ 「・・・ぐ・・」

篠原 「トドメだよ・・君は殺しすぎた」

黒磐 「・・・うむ」


「待ちなさい」
ふわっ


篠原・黒磐「「?!」」


芳村 「誰かを殺していい理由など存在しない・・・命を奪う行為は等しく悪だ」
ヒデ 「てん・・・ちょ・・?」


篠原・黒磐「「!!」」

什造 「またあの喰種ですねぇ」

篠原・黒磐「「全員退避っ!!」」

亜門・アキラ「「?!」」

篠原 「・・・奴が・・なぜここに?!」

黒磐 「隻眼の梟だ」

アキラ「・・・奴が・・隻眼ッ!!」


芳村 「・・・だから君らが思う通り、彼は悪だ。だが君たちもそれは同じだ」
ゾ ゾ ゾ・・・

黒磐 「皆避けろッ!!」

ブアアアアア!!!

ガガガガガガがガガガ!!!
篠原 「クッ・・!」
黒磐 「・・ぬうう!!」

芳村 「・・・我々と君たちの世界は遠いようで近い・・お互いがお互いを知るべきだ・・隣人として」
がし

ヒュン!

黒磐 「む」
篠原 「・・逃げたか」


亜門 「くっ・・・逃がしたか」

アキラ「奴が・・・隻眼」

篠原 「はぁ・・・皆怪我無いか?」

クロ 「奈白がっ!」

シロ 「・・・くっ・・すみませんくらいました」

黒磐 「隻眼の羽赫を食らったか・・すぐに治療だ」



――――――――――20区“あんていく”


カランカラン

ロマ 「すみませーん、もう閉店・・店長?・・・ってヒデさん?!」

芳村 「ロマくん、すぐに治療の準備を」

ロマ 「ハイッ!」

トーカ「・・・ヒデ?」

***

芳村 「・・・もう大丈夫だ」

ヒデ 「・・・う・・店長・・俺」

芳村 「・・・ずいぶんと無茶をしたね」

ヒデ 「・・・」

芳村 「・・・リョーコさんのことで自分を責めているんだね」

ヒデ 「・・俺・・何もできませんでした・・リョーコさんは・・」

芳村 「だからと言って君が死んでいい理由なんてない」

ヒデ 「・・・」

芳村 「君を大切に思っている人が居ることを忘れてはいけないよ」

ヒデ 「・・・」

芳村 「・・・先日君の友達の金木君がここを訪れた」

ヒデ 「・・カネキが」


芳村 「彼は君を心配していた」

ヒデ 「・・・カネキ」

芳村 「君は一人じゃない」

ヒデ 「・・店長」

芳村 「君が戦うなら・・私も戦おう。だから一人で飛び込んで誰かを悲しませることはよしてくれないか」

ヒデ 「俺・・・」

芳村 「私も覚悟ができた・・・戦う覚悟が」

ヒデ 「・・え?」

芳村 「君と、金木君のおかげだ。人でもあり喰種でもある君たちが・・私の目を覚ましてくれた」

ヒデ 「・・店長・・でも俺・・・トーカちゃんや他の皆が戦ってほしくないです・・・戦って傷つくとこ・・・見たくないっす」

芳村 「そうだね・・・私もそれは同じだ。だが戦い方も色々ある」

ヒデ 「?」


***


トーカ「・・こら、ロマ!何盗み聞きしてるんだ!!」

ロマ 「ひィ!!ビックリしたー・・・だって気になるじゃないですかぁー!!」

トーカ「アンタは下で机でも拭いてなっ!」

ロマ 「えー?!後でヒデさんと何話したか教えてくださいよー!」
どたどた

トーカ「・・ったく」


コンコン


ガチャ

芳村 「・・・トーカちゃん、永近君はもう大丈夫だ。あとはお願いするよ」

トーカ「あ・ハイ」

ガチャン


トーカ「・・・ヒデ」

ヒデ 「・・トーカちゃん」

トーカ「白鳩の・・・本部に一人で乗り込むなんてどうかしてんじゃなーのか?」

ヒデ 「・・・そーだな・・ハハ」

トーカ「お前まで・・・・死んだらどーすんだよ」

ヒデ 「・・・うん。ゴメン、トーカちゃん」

トーカ「・・・バカ野郎」

***

ヒデ 「・・さてと」

トーカ「おい!起きて平気なのか?!」

ヒデ 「おう!もう平気だぜ」

トーカ「・・無茶すんなよ」

ヒデ 「うん・・・じゃあまたな!」

トーカ「え?・・・お前“あんていく”に戻ってくるんじゃないのか?」

ヒデ 「うん・・大学生も色々と忙しいんだぜ・・・じゃっ」
ガチャン

トーカ「・・・バカ」


*****

高槻 「・・・さてカネキ君、そろそろ起きてください」

カネキ「・・・ZZZ」

ヒナミ「お兄ちゃーん!」

カネキ「・・うーん・・・ZZZ」

高槻 「・・・もう昼過ぎなのにまったく目覚めませんね」

ヒナミ「・・・お兄ちゃん朝一回起きた時もすごい眠そうだったよ」

高槻 「・・・(赫眼で睨み続けたから眠れなかったんでしょうか・・・?)」

高槻 「・・・じゃあカネキ君が起きたら私は先に行ってると言っておいてくれる?」

ヒナミ「はーい!」

高槻 「ああ・・それと、起きたらケータイをチェックしろと私が言ってたと言っておいて」

ヒナミ「??うん、わかったよ先生」


***


――――――――――23区“アオギリの樹”アジト

エト 「おひさー」

タタラ「ああ、エト」

エト 「新しく入った人たちは?」

タタラ「鯱は山籠もり、ナキはヤモリとSMプレイ中だ」

エト 「・・・・」

タタラ「ところでケンは来ないのか?」

エト 「ウン、彼、まだ寝てたから置いてきたよ」

タタラ「・・・エト、お前たち付き合ってるのか?」

エト 「ぶっ!!」


エト 「誰がそんな事言ってるの?!」

タタラ「いや・・誰かが言ってるとかじゃなくてエトとケン一緒に住んでるのかと思って」

エト 「・・・いや、そういう関係じゃないから。ていうか他の人に言ってないよね?」

タタラ「ああ」

エト 「ならいいけど・・余計な誤解生むようなこと言わないでね」

タタラ「・・ああ・・・だがもしそうなら祝福せねばと思ってな」

エト 「だから、違うっての!!お祝い料理とか作らないでよ!!」

タタラ「・・・・ああ、わかった」


***


カネキ「・・・ふぁー・・・なんかよく寝たけど体から疲れが取れないなぁ」

ヒナミ「あ、お兄ちゃん起きたの?」

カネキ「・・・ヒナミちゃん、おはよう」

ヒナミ「おはよう、お兄ちゃん」

カネキ「もうお昼すぎか・・ずいぶん寝ちゃったね」

ヒナミ「ごめんね・・昨日お兄ちゃんに本読ませて夜更かししちゃったから・・」

カネキ「いやいや、ヒナミちゃんのせいじゃないよ。だから今日も一緒に寝・・じゃなくて本読んであげるからね」

ヒナミ「うん!」

カネキ「そういえば先生は?」

ヒナミ「あ、なんだか『先に行ってます』って言ってたよ」

カネキ「ふーん・・・(つまりヒナミちゃんと二人っきりかぁ)」
ごくり

ヒナミ「あ、それと先生が携帯電話をチェックしてって言ってたよ」

カネキ「ん?・・・あ、先生からメール来てる」

『おはよう金木君。私が居ないからってちゃんヒナに手を出したらぶっ殺しますからね♡』


カネキ「・・・さて、出かけてくるね」

ヒナミ「・・・先生のとこ行くの?」

カネキ「うん、でもその前にちょっと寄り道しようかなって・・・それにここに居たら僕先生に殺されそうだから」

ヒナミ「?」

カネキ「じゃあ行ってきます」

ヒナミ「行ってらっしゃい・・・今日はここに帰ってくるの?」

カネキ「うーん・・まあそのつもりだけど」

ヒナミ「うんっ!」


・・・


カネキ「・・・さて駄菓子もだいぶ買ったしそろそろ行くか」


――――――――――4区“HySy ArtMask Studio”

カネキ「――こんにちは」

ウタ 「ん?・・・あ、カネキ君だっけ?」

カネキ「ご無沙汰してます」

ウタ 「うん、どうしたの今日は?マスクの調子悪い?」

カネキ「いえ、そっちは絶好調です。今日は聞きたいことがあってきました」

ウタ 「?」


ウタ 「・・まあこっちに座ってよ」

カネキ「はい、失礼します」

ウタ 「で、どうしたの?」

カネキ「単刀直入に聞きますが、ウタさんてイトリさんと同じグループに入ってるんですよね?」

ウタ 「・・・うん。イトリさんから聞いたの?」

カネキ「ハイ。イトリさんに勧誘されました。グループに入らないかって」

ウタ 「ふーん・・・イトリさん、君のこと好きなのかなぁ」

カネキ「・・・」

ウタ 「・・・質問を質問で返して悪いんだけど、最近彼女のお店行ってもいつも居ないんだよね。なにか知ってる?」

カネキ「・・・イトリさんは死にました」

ウタ 「・・・うそ?」

カネキ「本当です」

ウタ 「・・・白鳩?いや・・そんな情報入って来てないんだけどな・・」

カネキ「ウタさんと三人で飲んだ日の約1週間後、誰かに殺されました。殺した人は見ていません」

ウタ 「・・・彼女・・結構強いんだけどな」

カネキ「・・・死んだのは事実です。僕、死ぬときに一緒に居たので」

ウタ 「・・・・・そっか」


カネキ「誰がイトリさんを殺したのか僕は分かりません。ただ、彼女にグループに入るように誘われたので何かそこに手がかりがあるかと思って」

ウタ 「・・・ちょっと待ってね“CLOSE”にしてくる」


ウタ 「・・・さて、これから話すことは誰にも言っちゃダメだよ」

カネキ「?ハイ」

ウタ 「・・・・僕たちは“ピエロ”って言うグループに入ってる。て言っても僕とかイトリさんは比較的新参者だけど」

カネキ「・・・ピエロ・・確かかつて13区で勢力を持っていた喰種集団」

ウタ 「うん・・半分正解」

カネキ「?」

ウタ 「イトリさんはもしかして・・・君たちに“ピエロ”の事喋った?」

カネキ「え?ああ、構成メンバーの所在とかざっくり聞きました」

ウタ 「・・・組織の目的は聞いた?」

カネキ「え?うーん・・・多分聞いてないですね。なんとなく予想はついてますが」

ウタ 「・・・何だと思う?」


カネキ「喰種社会の情報管理ですかね?」

ウタ 「・・・すごいね・・半分正解。なんでそう思う?」

カネキ「構成メンバーがバーのマスターで情報屋のイトリさん、マスク屋で様々な喰種に触れるウタさん。それにアオギリのメンバーや、あんていくの店長の仲間もいるってイトリさんから聞きましたよ」

ウタ 「・・・うん」

カネキ「色々な組織に構成員が身を置き、あなたやイトリさんのような情報の集積地点が存在するとなると、情報管理が目的のように感じるんですよね」

ウタ 「ホントすごいね、君は」

カネキ「でも、よく分からないのは、なんでそんなに情報を集めたがっているかなんですよ」

ウタ 「・・・多分イトリさんは仲間に殺されたんだね・・・君のその質問に答えると僕も殺されそうだよ」

カネキ「・・・仲間というのは“ピエロ”ですか?」

ウタ 「うん・・・キミ今“アオギリの樹”の一員なんだってね」

カネキ「さすがよく知ってますね」

ウタ 「まあ・・君目立つからね」

カネキ「“アオギリの樹”の中にもピエロが居るのは間違いないみたいですね」

ウタ 「さて、どうだろうね」


カネキ「ウタさんの立場はわかるので追及はしませんが、一応僕の予想聞いてください」

ウタ 「うん」

カネキ「ピエロは、様々な喰種集団に構成員を派遣し、喰種社会の情報を集め自身たちが有利になるようバランスをとっている。さらにCCGとも何らかのパイプを持っていてCCGから情報を得て、喰種社会のバランスづくりに利用している」

ウタ 「・・・・80点かな」

カネキ「・・ありがとうございます」

ウタ 「・・・あのさ、イトリさんに聞いたかもしれないけど、僕とイトリさんと蓮示君は4区時代からの友達でね」

カネキ「・・」

ウタ 「繋がりはピエロよりも強かったと思うよ・・蓮示君はピエロじゃないけど」

カネキ「・・」

ウタ 「だから僕も知りたいよ。僕の友達を殺した奴を」

カネキ「・・・僕も今その証拠を集めています」

ウタ 「うん・・・ありがとう。イトリさんも喜ぶと思うよ」

カネキ「・・ええ」

ウタ 「一つ忠告」

カネキ「なんです?」

ウタ 「ピエロが・・・喰種だけの集団だと思わない方がいいよ・・・これは忘れてね」

カネキ「・・・・ありがとうございます」

ウタ 「・・・少し飲もうか?イトリさんは居ないけどイトリさんのお店で」

カネキ「・・ハイ」


そのころ
――――――――――23区“アオギリの樹”アジト


エト 「・・ねえタタラさん、そろそろミーティングはじめない?」

タタラ「ダメだ。ケンのいない状態でやるミーティングに意味は無い」

エト 「じゃあせめて、なんでヤモリさんが白髪を染めたのか教えて」

タタラ「・・いや・・それは俺も知りたい・・・ていうかアレは染めたんではなく地毛のようだ」

エト 「ええ??」


アヤト「・・・あ、エトか・・・その・・ケンさん見なかったか?」

エト 「ケンは今日は寝坊したのでおいて来ました。遅れてくると思いますよ」

アヤト「そ・・そうか・・・」

アヤト「・・・ダメだ・・会ったら確認しよう・・耐えられない・・・アレ見られてたら俺は・・・」

エト 「・・・?」

・・・・


エト 「遅すぎる・・・あの野郎まさかちゃんヒナに・・」
ピ ピ ピ

エト 「もしもしちゃんヒナですか?」

ヒナミ『あ、先生どうしたの?』

エト 「えっと・・カネキ君は?」

ヒナミ『・・お昼過ぎにおうち出たけど?』

エト 「・・・・(どこほっつき歩いてやがるんだ)」


・・・

ウタ 「カネキ君・・・僕もう無理・・・限界」

カネキ「何言ってるんですか。弔い酒だって言ったじゃないですか。ちゃんとこのお店の血酒飲み干しますよ!」

ウタ 「うう・・・助けて」


ここまでにしまーす

なんかヒナミちゃんと二股かけろ的な意見が・・・

とりあえず続きです


#030 [恋話]


常吉 「貴将、24区探索での成果はどうだった?」

有馬 「はい・・今回の探索ではSレートと思われる喰種3体を駆逐しましたがやはり移動中に“壁”が行く手を阻み最深部への到達はなりませんでした」

常吉 「・・・そうか。お前が24区に居る間にここ本局に喰種が侵入した。“大喰い”と呼ばれる喰種、そして“隻眼の梟”だ」

有馬 「・・・隻眼は24区ではなく地上に居たのですか」

常吉 「うむ・・今後しばらくはお前は24区でなく地上での捜査に当たってもらう」

有馬 「はい」

常吉 「吉時」

吉時 「はい」

常吉 「聞いての通りだ。“隻眼の梟”が現れた。奴の居所を早急に突き止めろ」

吉時 「はい。すでに特別捜査班が動いております」

常吉 「うむ・・・必ずや“隻眼の梟”は討たねばならん」


・・・


“特等捜査官会議”

常吉 「では、篠原くん。隻眼と大喰いの襲撃報告をお願いします」

篠原 「はい。我々は“大喰い”とS3会議室にて遭遇。黒磐、篠原、亜門、美郷、真戸、鈴屋、および安久姉妹が対処しました。亜門と安久の攻撃で大喰いの赫子のスキを突き腹部にダメージを与え戦闘不能としましたが、突如“隻眼の梟”が現れ、羽赫の攻撃をし我々が怯んだすきに大喰いを連れて逃走しました」

常吉 「・・・」

田中丸「ほぅ・・・まるで劇場の救出劇だね」

安浦 「しかし・・隻眼か・・・ここ10年出現報告が無かったからてっきり有馬特等が与えた傷が致命傷となったかと思って居たが」

篠原 「イヤ、それがウチの鈴屋に詳しく聞いたら、どうやら大喰いが真戸を殺した時に突然現れた喰種も“隻眼”っぽかったみたいなんだよね」

宇井 「うわっ・・赫者の隻眼に半赫者の大喰いが繋がってるとなると厄介ですね・・」

篠原 「うん、シャレになんないよ。こっちは赫者の鎧着て、8人がかりでやっと半赫者を討てそうだったって言うのに」


宇井 「そう言えば被害はどれくらいだったんですか?」

篠原 「・・大喰いが侵入してきたときに殺された職員が12人、負傷者が3人。それと戦闘時に安久奈白が隻眼の羽赫攻撃を被弾し負傷。傷は深くなかったが大事をとって静養中だ」

田中丸「ンン・・これだけの悲劇、大喰いは討たねばならないな」

篠原 「今分かってるだけで赫者が2人、半赫者が2人。半赫者が赫者になる前に何としても駆逐しないと厄介なことになるのは間違いないね」

灰崎 「・・・“変態”・・許さん・・奴は」

一同 「・・・」

丸手 「なんにせよ隻眼が現れたんだ。とりあえずは隻眼の行方を追うべきなんじゃねーの?そうすれば自然に大喰いの居場所も分かるだろ。奴らが繋がってるんならな」

黒磐 「うむ、そうだな・・・局長」

吉時 「はい、黒磐君」

黒磐 「隻眼の居場所を追う手筈は?」

吉時 「ああ、特別捜査班が編成されてね。今進んでるよ。それに気になるタレコミもあった」

黒磐 「・・・うむ」

吉時 「近いうち“隻眼の梟”と戦うことになるかもしれない。皆さんも準備を万端に」


***


――――――――――20区“あんていく”


芳村 「うん、じゃあ今日は終わりにしようか」

古間 「お疲れ様です。“CLOSE”にしてきますね」

・・・

芳村 「ああ、みんな、ちょっと時間あるかい?」

トーカ「?」
ロマ 「?」
カヤ 「どうしました?」


芳村 「今日はちょうどみんないるからね。みんなに話しておかなければならないことがある・・・永近君のことだ」

トーカ「・・・!」


ロマ 「永近先輩ってこの間怪我してたのって一人で白鳩の本拠地に攻め込んだんですよねっ?!すごいカッコいいなぁって思ってたんですよ!!」

トーカ「黙ってなロマ・・・で、アイツがどうかしたんですか?」

芳村 「彼があんなことをしたのは・・やはりリョーコさんの件が原因のようだ」

カヤ 「・・・ヒデヨシ・・馬鹿ね」

芳村 「だから私は彼と約束した。私も白鳩と戦う、だから一人で死にに行くような真似はやめなさいと」

トーカ「店長・・・それって」

芳村 「いや、戦うといっても直接的に白鳩を攻撃することはしない。そんなことをすれば20区の喰種達の暮らしが脅かされるからね」

ロマ 「じゃあどうするんですか?ロマ、怖いのは嫌ですよ」

芳村 「以前リョーコさんを救出するために我々が接触した喰種集団を覚えているかい?」

カヤ 「まさか“アオギリの樹”ですか・・・しかしあの中には」

芳村 「ああ・・分かっている。彼らはどうやら白鳩と戦うつもりらしい。私は彼らを応援することで白鳩と戦おうと思う」

古間 「応援というと?」

芳村 「情報を集め、提供する」

トーカ「店長・・でも・・・“アオギリ”は好戦的な喰種集団です」

芳村 「ああ。もし戦力としての協力を求められたらその時は私が行く。それが最も被害が少なくて済むだろう」

トーカ「・・・・でも!」

芳村 「・・・トーカちゃん、アヤト君は現在“アオギリ”に居るらしい」

トーカ「!!」



トーカ「・・・やっぱり・・・あのバカ」

芳村 「知っていたのかい?」

トーカ「リョーコさんを救出に行ったとき会いました」

芳村 「うん、そうか・・・・実は先日“アオギリ”のメンバーがうちに来た。みんなが居ないときにね」


ロマ 「・・・リョーコさんって誰?!ちんぷんかんぷんなんですがぁ・・」
カヤ 「あとで説明してやるから今は黙って聞いてなさい」
ロマ 「はいぃ・・」


芳村 「で、その彼は私のことも・・・エトのことも知ったうえで私に協力を依頼してきた」

トーカ「・・・エト?」

古間 「・・・芳村さん」

芳村 「ああ、いいんだ」

古間 「そうですか・・・・芳村さんのお子さんだよ、トーカちゃん」

トーカ「えっ?!」

芳村 「子供・・・と言っても向こうは私を親とは思っていないだろう・・・トーカちゃんもロマくんも、このことはここだけの話にしてほしい」

トーカ「・・・はい」
ロマ 「は・・はい」


芳村 「彼は・・・彼自身も白鳩に狙われている喰種で、通称“眼鏡”と呼ばれているそうだ」

トーカ「・・・眼鏡・・・かけてるんですか?」

芳村 「いや、かけていなかった」

トーカ「じゃあなぜ」

芳村 「それは詳しくは知らないが・・」

トーカ「?」

芳村 「とにかく私は彼を通して“アオギリ”に情報提供を行うことにした」

カヤ 「・・・それで私たちも何かをした方がいいですか?」

芳村 「いや・・危険なことはせず、今までどおり生活してくれて構わない」

古間 「おや、そうですか?ついに“魔猿”の出番かと思ったんですが」

芳村 「ただ、もしCCGのことなどで知っていることがあったら私に教えてくれ。そして永近君を見かけることがあったら無茶をしないように言ってやってほしい」

トーカ「・・・わかりました」

芳村 「それと・・・“眼鏡”と呼ばれている喰種についてもし情報を得ることがあったら教えてほしい」

トーカ・ロマ「?」

芳村 「“眼鏡”は・・最近“アオギリ”に入った喰種らしい・・だから素性もはっきりしていない」

カヤ 「・・・もしかして店長・・・そいつってエトさんと・・」

芳村 「」ギンッ

カヤ 「・・何でもありません」


・・・

ロマ 「ええーーっ?!そんなことがあったんですかぁー?!永近先輩、男ですねぇ・・・」

古間 「ああ、彼は男の中の男さ・・・僕のことを兄のように慕っていたしね」

ロマ 「そうなんですかー?古間先輩も古間先輩もすごい人なんですねー!」

カヤ 「エロ猿余計な事言うな。ロマもこいつのいう事真に受けないでいいのよ」

ロマ 「・・・でも永近先輩がそのリョーコさんて人のために必死になったって言うのはホントなんですよねぇ?」

カヤ 「そうね・・・ヒデヨシは・・本当に仲間思いの奴よ。ただ少し純粋すぎるだけ」

ロマ 「必死になってる永近先輩もっと見たいなぁ・・ところで“眼鏡”さんって知ってる人ですか?」

カヤ 「え?」

ロマ 「入見先輩、なんか最後店長と話してましたよね?」

カヤ 「・・・それは知らなくていい事よ」

ロマ 「?」



ヨモ 「・・・」

芳村 「ヨモ君・・聞いていたね?」

ヨモ 「・・はい・・・リゼはどうします?」

芳村 「彼らがどう動くか見てから決めよう。しばらくは君にお願いしていいかな?」

ヨモ 「分かりました」



ウタ 「・・・」

カネキ「ウタさーん」

ウタ 「・・・」

カネキ「ダメだ、完全に潰れてしまった・・・しょうがない僕も帰るかな。とりあえずウタさんは奥の部屋のベッドに寝かせてあげよう」

ウタ 「・・・」


ヴー ヴー
カネキ「ん?メールがいっぱい入ってる・・・」


▶メール『カネキ君、もう家出ましたか?』

▶メール『ちゃんヒナに家を出たことは確認しました。メールに気付いたら連絡してください』

▶メール『カネキ君、君が来ないとミーティングが始められません。早く来てください』

▶メール『カネキ君、もしかして事故とかに遭いました?』

▶不在着信1件

▶不在着信1件

▶不在着信1件

▶LINE『ヤモリさんにアド聞きました。気づいたら連絡して』

▶LINE『今日はミーティング無しになりました。ウチに帰ってきてください』

▶メール『もしかして白鳩にやられたのかと思ってちゃんヒナに探知してもらいました。14区に居るようですが何してるんですか?』

▶不在着信1件

▶メール『ちゃんヒナ寝ました』

▶メール『もう怒ってないですから帰ってきてください』

▶不在着信1件

▶不在着信1件



カネキ「・・・・やっべぇ・・完全に忘れてた」


――――――――――20区、カネキのアパート

ガチャ
カネキ「た・・ただいま」

嘉納 「かっ・・・カネキ君!」

バンジョー「ケンさん!」

カネキ「や・・やあ皆さん。仲良くしてました?」

バンジョー「あ・・ああ。なんていうかあの人間、可哀想だぜ・・・喰種の中に人間一人って・・・まあ俺たちは食ったりしないけどよ」

カネキ「ああ・・そういえばそうですね」

嘉納 「カネキ君・・・私はおそらくCCGから目を付けられて自分の病院に出勤することもできん。そういう意味で君が匿ってくれることには感謝している・・・しかし・・・彼らが安全であると分かっていても・・・血圧が・・」

カネキ「うーん・・ワンルームですからねぇ・・」

コウト「あ、お兄ちゃん。お帰りなさい!」

カネキ「あ、コウト君。どう?調子は」

コウト「うん。最近は一日平均で1~2万で安定してきたよ!」

カネキ「よし、やっぱり君はデイトレの才能あるね。くれぐれも日経と東証以外に手を出さないようにね」

コウト「うん!ちゃんと言われた通りストップロスを9000円にして利益2万出た時点で止めてるよ」

カネキ「よしいいね。決めた以上に欲を出さないことがデイトレの秘訣だからね」

バンジョー「ケンさん・・本当にありがとうな。コウトにこれを教えてくれたおかげで俺達とりあえず大丈夫そうだ」

カネキ「ええ、ケイさんとコウト君は大丈夫でしょうね。それ以外の方は順次考えていきますから」

バンジョー「本当、すまねぇ」


バンジョー「ところで今日はどうしたんだ?」

カネキ「・・・・ちょっと・・ね」

バンジョー「?」

カネキ「・・・女性に謝罪の意味を込めたプレゼントするとしたら・・・何がいいと思う?」

バンジョー「・・・へ?」

カネキ「実は・・・まあなんというか約束をすっぽかしてね」

バンジョー「いや・・よく分かんねぇがやっぱり新鮮な肉じゃないすか?」

嘉納 「」びくっ

ジロ 「もう、だからダメなんですよバンジョーさんは」

バンジョー「そうか?」

イチミ「だからリゼさんに何度も殺されかけたんですよ」

バンジョー「そー・・それを言うなよ」

サンテ「ここは女性の意見を取り入れるべきですよ」

バンジョー「あ・・ああ。それもそうだな・・・ジロ、どう思う?」

ジロ 「えっと・・・ケンさんはその人にとりあえず謝りました?」

カネキ「い・・いやまだ謝ってないよ」

ジロ 「あちゃー」



ジロ 「ダメですよ、まずは謝らなきゃ」

カネキ「うーん・・(約束すっぽかしてバーでワイン飲んでたなんて言ったら)たぶん火に油を注ぐことになると思うんだけどなぁ・・」

ジロ 「まぁ・・そういう場合もあるかもしれないけど・・・で、その人はケンさんの彼女さん?」

カネキ「え・・違うけど?」

ジロ 「えーなんだ違うのかー・・・で、どんな人なの?」

カネキ「えっとね・・眼鏡かけてておっぱいは小ぶりかな」

ジロ 「ちょっ!//」
イチミ「なっ!!」
サンテ「ケンさん・・・なんでおっぱいの話になるんですか!!」

カネキ「あ・・いやその印象が強すぎて。体型はロリ体型だよ・・・・あれ?」

バンジョー「ケンさんは・・・相変わらず俺には理解できない世界にいるぜ・・」



~♪

カネキ「ん?」

嘉納 「私のケータイだ」

カネキ「あ・そうですか(着信音ももクロかよ)」

嘉納 「・・・カネキ君」

カネキ「?」

嘉納 「クロから連絡だ」

カネキ「ん?ああ先生が手術しようとした」

嘉納 「・・メールの文面だけではよく分からないが私に会いたいらしい」

カネキ「あ、そういえば僕も言づけ頼まれてるんでした、よかったら僕も同席していいですか?」

嘉納 「ああ・・しかし私の研究所は君が破壊しつくしたし、CCGに見つかると厄介だ・・」

カネキ「いっそここに呼んだらどうです?」

嘉納 「いいのかね?」

カネキ「確かシロクロさんてCCGでしたよね?一応罠の可能性も考えて一旦僕が外で会って連れてきます」

嘉納 「そうか・・助かるよ」



――――――――――20区、駅前のPR●NTO

クロ 「大丈夫?」

シロ 「大丈夫だよ。もうほとんど完治してるし」


カネキ「・・・あれだな・・・周りにスーツケースを持ってる奴はいなそうだな・・よし」

カネキ「・・・こんにちは。安久さんですか?」

クロ 「・・・ハイ」
シロ 「あなたが先生の言っていた“K”さんですか?」

カネキ「うん。僕はケン。先生の友達です」

シロ・クロ「「・・・」」

カネキ「先生はCCGに追われているため僕が匿っています。何人かの喰種と一緒に」

シロ・クロ「「・・・え?」」

カネキ「争いを好まずに平和に生きたいと思ってる人たちです。先生が“作った”人ではないですよ」

シロ・クロ「「・・・あなたは・・・知ってるんですね」」

カネキ「はい。知ってますよ。ヒデ・・永近英良のことも」

シロ・クロ「「!!」」

カネキ「彼に言づけを預かってます」

シロ・クロ「「・・・・彼はなんて」」

カネキ「・・・ヒデは・・アナタ達に謝っておいてくれって」

シロ・クロ「「・・・お兄ちゃん」」

カネキ(あれ・・この子たち妹属性?)

カネキ「とりあえず行きましょうか」


カネキ「・・・ここです」

シロ・クロ「「普通のアパートですね」」

カネキ「ええ」

ガチャ
バンジョー「あ、お帰り」

嘉納 「クロ、シロ!」

シロ・クロ「「・・・・先生(・・・とたくさんの喰種?)」」


・・・

シロ・クロ「「・・・それじゃあ先生もヒデお兄ちゃんの事知らないんだ」」

嘉納 「ああ、すまないね」

シロ・クロ「「・・・」」

カネキ「あの、安久さん」

シロ・クロ「「はい」」

カネキ「さっきの話本当?ヒデがCCGを襲撃したって」

シロ・クロ「「ハイ・・私たちも戦いました。間違いありません」」

カネキ「そっか・・うーん・・最近メールも返信してこないと思ったらそんなことになってたのか」

シロ・クロ「「・・・ケンさん・・アナタは“喰種”なんですか?」」

カネキ「うん、そうだよ」

シロ・クロ「「・・・あなたも、人間を殺したりしない喰種なんですか?」」

カネキ「え?いやだって、殺したらダメでしょ。犯罪だよ、犯罪」

シロ・クロ「「・・・・」」


シロ・クロ「「あの、お願いがあります」」

カネキ「?」

シロ 「もし今後ヒデお兄ちゃんに会うことがあったら、私たちが会いたがっていたと伝えてください」
クロ 「私たちは・・出来ることならあなたを殺したくない・・だからこれ以上CCGを襲わないでほしいって伝えたいんです」

カネキ「ハイ、わかりました」

シロ・クロ「「ありがとう」」

カネキ「・・・でも、条件があります」

シロ・クロ「「え?」」

カネキ「僕、嘉納先生がCCGから持ち出した資料とやらを見させてもらいました。それとあなた達が喰種化手術を受けようとして、ヒデに止められその後CCGに入ったことも聞いてます」

シロ・クロ「「・・・」」

カネキ「CCGは人間を喰種化し、それを殺して製剤等を作っている。これはどうやら間違いなさそうですね・・コクリアの中やスフィンクスから証拠も見つけましたし」

シロ・クロ「「?!なぜあなたがそんな事を?!」」

カネキ「安久さん達がそれを知っているのにCCGに入った理由は復讐ですか?」

シロ・クロ「「・・・そうです」」

カネキ「CCGの正体を白日の下にさらすことがあなた達の目的なら、それは僕の目的と重なると思うんです・・・協力してもらえませんか?」

シロ・クロ「「・・・あなたは・・一体何者ですか?」」

カネキ「アルバイターです」

シロ・クロ「「???」」


カネキ「・・・じゃあまた連絡します。僕は行くとこがあるので用事がすんだら勝手に帰って下さい」

シロ・クロ「「はい、ありがとう。ケンさん」」

カネキ「嘉納先生」

嘉納 「ん?なんだい?」

カネキ「あの二人にも僕の正体はナイショで」

嘉納 「・・・わかった」

カネキ「じゃあみんなケンカしないでね」

ガチャ


カネキ「さて・・・行くか」


――――――――――23区“アオギリの樹”アジト

カネキ「タタラさん」

タタラ「ケン・・その・・エトは帰ったぞ」

カネキ「知ってます・・・エト怒ってました?」

タタラ「いや・・・怒っているというよりソワソワしてた」

カネキ「・・・そうですか」

タタラ「その・・・帰ってやった方がいいんじゃないか?」

カネキ「やっぱりそう思います?」

タタラ「ああ・・・その・・・なんだ・・・・・付き合っているのか?」

カネキ「え?エトと?・・・いや違いますけど」

タタラ「む・・・やっぱりそうか」

カネキ「やっぱりって何ですか」

タタラ「エトにも同じこと聞いたら、同じこと言われたんでな」


カネキ「カマかけたな」

タタラ「ハハハ・・だってイイ感じじゃないか」

カネキ「そんな事無いですよ」

タタラ「怪しい奴は皆そういうんだ」

カネキ「なんじゃそれは」

タタラ「・・・でも、好きなんだろう?」

カネキ「だーかーらー!」

タタラ「そもそも初めから怪しいと思って居たんだ。だって同じ家に帰ってるだろう、お前たち」

カネキ「いや、もう一人居ますよ。今は一時的に三人暮らしです。ていうか時々泊まりに行くだけです」

タタラ「エトの親か?」

カネキ「なんで同居から離れないんだっつ!!」

タタラ「くっくっく」

カネキ「子供ですよ」

タタラ「ええ?!もう子供いるの?!!」

カネキ「あーもう!そういう事じゃなくて!!」


カネキ「とにかく、エトにも迷惑ですし。やめてくださいよそういう話」

タタラ「む・・そうか?あまり迷惑そうには見えないがな」

カネキ「もう・・他の人に言ってないでしょうね」

タタラ「ああ。もちろんだ。俺の口は堅い」

カネキ「ホント、お願いしますよ」

タタラ「だがもし、そういう事になったら教えてくれよ」

カネキ「・・分かりましたよ」

タタラ「男同士の約束だぞ」

カネキ「分かりましたよ・・全く・・なんでタタラさんと恋バナしなきゃいけないんだ」

タタラ「いいじゃないか、恋バナ。俺は好きだぞ」


***


カネキ「・・・えっと、あ、居た」

アヤト「・・・」

カネキ「アーヤート君!」

アヤト「うひゃああ!ケ・・ケンさん!!」

カネキ「ゴメンゴメン驚いた?」

アヤト「い・・いえ・・・あのッ!俺ケンさんに聞きたいことがっ!」



カネキ「あ、丁度僕もアヤト君に用事があったんだ」

アヤト「え・・・あ・・先にどうぞ」

カネキ「実はこの前偶々コーヒー飲みたくなって“あんていく”行ったんだ」

アヤト「」びくっ

カネキ「そしたらさ、そこの店長と仲良くなってさー」

アヤト「て・・店長っすか(芳村のジジイか・・)」

カネキ「二階で話してたんだけど、話が弾んじゃってさー・・帰るときよく確認しなかった僕が悪いんだけど、間違えて置いてあったハンカチを持って帰ってきちゃったんだよねー」
ぴらっ

アヤト「え・・・?」

カネキ「これさ、“董香”って刺繍してあるしたぶんトーカちゃんのだよね」

アヤト「じゃ・・・ないっすかね」

カネキ「悪いんだけどコレ、アヤト君から返してくれないかなぁ?」

アヤト「・・・へ?」

カネキ「いや、なんか面識の薄い僕が持って帰ってきちゃったってなるとなんかね・・だから間違えて持ってきちゃったって事秘密にして返してくれない?頼むよ」

アヤト「・・・そ・・・そうっすね・・いいですよ・・返しときます」
どっくんどっくんどっくん・・

カネキ「ありがとう!助かるよ」
ぽんぽん
アヤト「い、いえ。大丈夫っす」

カネキ「あ、それでアヤト君の用事って?」

アヤト「あ・・・えっと忘れちゃったんでまた今度にします」

カネキ「そう?じゃあまたね」

アヤト「・・ハイ」



・・・

カネキ「盗聴器設置完了・・・!」ニヤァ

ここまでにします

店長眼鏡の変態度を知っちゃったら協力関係崩壊するな

>>681ドキッ・・!

続きです


#031 [終了]


――――――――――20区“あんていく”

ロマ 「てんちょー」

芳村 「ん?どうしたんだい、ロマちゃん」

ロマ 「・・・私、すごいこと聞いちゃったんです」

芳村 「?」

ロマ 「この前店長が言ってた“眼鏡”さんて人のことなんですけどぉ・・」

芳村 「彼がどうかしたのかい?」

ロマ 「“眼鏡”さんて・・白鳩からは“変態眼鏡”って呼ばれてるみたいですよ」

芳村 「・・・どういうことだい?」

ロマ 「店長が居ないときお客さんから聞いたんですけど・・・なんでも戦うとき・・・その・・・下半身を・・・その・・・・出したまま戦うことで有名とか・・・」

芳村 「・・・・本当かい?」

ロマ 「・・20区のCCGの前の掲示板にも書いてありましたよ」

芳村 「・・・」

ロマ 「でもって・・・すごく言いにくいんですが・・・“アオギリ”のエトさんと・・・その・・・付き合ってるらしいです」

芳村 「・・・・・」ピキィ!!


ロマ 「ひぃぃぃ!!」
 
古間 「芳村さん!気持ちは分かるけどおちつえぶしッツ!!」

芳村 「・・・ロマちゃん・・・貴重な情報をありがとう・・・」

ロマ 「は・・・はひ・・」


芳村 「・・・カヤくん」

カヤ 「は・・・はい」

芳村 「ヨモ君を呼んでくれ」

カヤ 「えっと・・」

芳村 「早急にだ」

カヤ 「・・はい」



店員 「ありがとうございましたぁ!」

カネキ「・・・うーん・・これでいいかなぁ・・まあもう買っちゃったし。とりあえず行こう」

ガチャ
カネキ「・・・おはようございます」

高槻 「!!!」

カネキ「あ・・・スイマセン昨日は」

高槻 「カネキ君」

カネキ「せ・・先生」

高槻 「昨日はごめんね」

カネキ「・・・え」

高槻 「ちゃんヒナのことで私も頭に血が上ってました。カネキ君のことだからまたどこかで悪いものでも食べて新しい性癖に目覚めてしまったんでしょう。でも昨日のアレは犯罪ですし、人としてどうかと思うのでやめた方がいいです」

カネキ「・・えっと」

高槻 「メールもすみませんでした。いっぱいしてしまって。きっと君のことだから独自に取材をしたり友達と会っていたんですよね。でも今度はできれば前もってメールしてほしいです。君ももうCCGでは有名なんですから心配ですし」

カネキ「・・・」

高槻 「いままで色々とプライベートを縛ってしまってごめんね。君は大学生ですし友達とかと遊んだり、たまには家族に顔を出さなければいけませんよね。でももしよかったらこれからも少しはウチに来てください。やはり君が居ると私の仕事も捗りますし、ちゃんヒナも・・・」

カネキ「先生」

高槻 「・・え?」

カネキ「心配かけてすみませんでした。昨日は色々と取材をしているうちに遅くなってしまい、深夜にやっとアジトに行ったんですが遅すぎたのでそのままアジトで寝ました」

高槻 「そ・・そうだったんだ」

カネキ「コレ、先生に心配をかけたお詫びです」

高槻 「え?」


高槻 「開けて・・いい?」

カネキ「ええ、もちろん」

ごそごそ
高槻 「・・・スカーフ?」

カネキ「先生って“エト”の時スカーフしてるでしょ?いっつも同じ柄だからたまには違うのもと思って」

高槻 「・・・カネキ君・・ありがとう。大事に使います」
ぎゅっ

カネキ「あはは・・大袈裟ですよ」

カネキ(あぶねえええ・・何とか危機は脱した・・・!!とりあえず飲んでたことは内緒の方向で行こう・・取材は本当だしな)

ヒナミ「・・・ん・・・・・あれお兄ちゃん帰って・・!」

ヒナミ(・・・先生がお兄ちゃんに抱き付いてる・・・!)


高槻 「私は朝ご飯作ります。まだでしょ?」

カネキ「うん、ありがとうございます。ちょっとパソコン借りていいですか?」

高槻 「ウン、いいよ。それと、ちゃんヒナを起こしてください」

カネキ「了解です」



・・・

カネキ「・・・よし。iP●dに音源落とせたぞ・・クックック・・」

カネキ「あ・ヒナミちゃん起こさなきゃ」


カネキ「・・・」

寝室には無垢に眠る少女の姿があった。

その枕元に近づくと、少女が静かに立てる寝息が僕の鼓膜を震わせる。

僕はそっと彼女の頬に指先を伸ばす。

頬の柔肉が僕の気持ちを逆立てる。

ごくり・・・

僕の手が掛け布団にかかる・・その瞬間。


パチリ
ヒナミ「・・・」

カネキ「!!ヒナミ・・・ちゃん」

ヒナミ「お兄ちゃんの・・・ウソつき」

カネキ「・・・え?」

ヒナミ「昨日は・・ヒナミに本読んでくれるって言ったのに」

カネキ「・・そうだったね。ゴメン。忙しくて帰ってこられなかったんだ」

ヒナミ「むー・・・」

カネキ「本当にごめんね・・・それでねお詫びにと思ってこれ買ってきたんだ」

ヒナミ「え?・・これは?」

カネキ「携帯電話だよ。プリペイド式だからいくらでも使えるわけじゃないけど。今回みたいなときにちゃんとヒナミちゃんに連絡できるように」

ヒナミ「・・・これ貰っていいの?」

カネキ「うん、もちろん・・・でも先生には内緒だよ、一応」


カネキ「これで許してくれないかな?」

ヒナミ「・・・ダメ」

カネキ「え?」

ヒナミ「さっき・・先生にしてたみたいに・・・ヒナミのことも抱きしめてくれないと許してあげない//」

カネキ「み・・見てたの?・・・しょ・・しょうがないなぁ」

ぎゅっ

ヒナミ「・・・えへへ・・・お兄ちゃん・・///」


ダメだ。

マズイ。

ヒナミちゃんのにおいがッ

キミにこんなことされたら・・

僕はッ!!

もうッツ!!!


ガラガラ
高槻 「二人とも朝ご飯・・・・」

高槻 「・・・」

カネキ「・・・」

ヒナミ「・・・♡」



カネキ「・・・ごちそうさま」

ヒナミ「ごちそうさま」

高槻 「ごちそうさまです」


ヒナミ「お兄ちゃん、一緒に図書館行かない?」

高槻 「ダメです。今日はカネキ君は私とミーティングに行くので」

カネキ「えっと・・」

高槻 「・・・」

カネキ「ミーティング行きます」

ヒナミ「そっか・・残念」

カネキ「ごめんね、また今度、必ず行くから」

高槻 「・・・」

高槻 「ミーティングは午後からなので、午前中はバイトをお願いします」

カネキ「ハイ」

・・・

高槻 「・・・次回作のプロットです。カネキ君の意見をお願いします」

カネキ「先生・・・その、さっきのは先生の誤解です」

高槻 「誤解?何のことですか?別に私は何も言ってませんが」

カネキ「じゃあなんでさっきから赫眼出しっぱなしなんですか」

高槻 「・・・寝不足です」

カネキ「嘘だッ」

高槻 「寝不足は本当です・・・君のことが心配で昨日は碌に寝ていません」

カネキ(・・・確かに目の下のクマがいつもより濃いなぁ)


カネキ「昨日のことは本当にスイマセンでした。今後は必ず事前にメールしますので」

高槻 「ウン・・・ゼッタイだよ?」

カネキ「・・はい。で、プロットでしたね」

高槻 「ウン。お願いします」

カネキ「えっと・・・・先生なんでくっつくんですか」

高槻 「え?そうですか?別にくっついてるつもりはありませんが。ただ隣に居るだけですよ」

カネキ「・・・まあいいですけど怖いから一応赫眼仕舞ってもらえますか?」

・・・


カネキ「・・・・読み終わりました」

高槻 「どう?!」

カネキ「・・・そうですね・・いくつか質問したいこととか、意見がありますが、とりあえずミーティングの後にしません?」

高槻 「ん?・・うわもうこんな時間!さすがに二日連続ですっぽかしはマズイ!急いで行こう!!」

カネキ「ハイ」

高槻 「ちゃんヒナ、私たち出かけてきます」

ヒナミ「うん、いってらっしゃい・・・えっと・・今日は二人とも帰ってくる?」

高槻 「ちょっとどうなるか分からないので連絡します。遅くなったらちゃんと自分でご飯食べるんだよ」

ヒナミ「はーい。行ってらっしゃい」


高槻 「・・・カネキ君何聞いてるんですか?ニヤニヤしてちょっと不審な人ですよ」

カネキ「先生も聞きたいですか?」

高槻 「ウン」

カネキ「そうですね・・・じゃあアジトでアヤト君のことよく見ておいてください。その方が10倍楽しめますから」

高槻 「?」

カネキ「あ、もうアジトですね。マスクしないと」

高槻 「え・・ええ。私も顔隠します」

・・・

カネキ「あ、さっそくスカーフを」

エト 「ウン・・・だってせっかくケンが買ってくれたものだから」

カネキ「そうですか。気に入ってもらえて嬉しいです」

エト 「ウン」


タタラ「お、来たか」

エト 「お疲れサマ」
カネキ「昨日ぶりです」

タタラ「・・・同伴か」ニヤニヤ

カネキ「だからそのニヤニヤ止めい!」バシッ

タタラ「ハハハ・・痛い痛い」

エト (よく分かんないけどタタラさんにここまで全力でツッコむのって後にも先にもケンだけだろうなぁ・・・)


ヤモリ「ケン君」

カネキ「あ、ヤモリさん。お疲れ様です」

ヤモリ「ああ、お疲れ様。ケン君の顔を見ると心が落ち着くよ」

カネキ「はは・・僕もヤモリさんの穏やかな顔見ると安心します」

ヤモリ「ケン君・・・・ハグしようよ?」

カネキ「ええ、いいですよ」
ぎゅっ

エト 「???!!??」

ヤモリ「ふふ・・・やはりハグはいいね・・愛や平和を感じるね」

カネキ「ええ・・ヤモリさんこの前4区でフリーハグしてたでしょ?知り合いのマスク屋さんが見たって言ってましたよ」

ヤモリ「うん・・・はじめは皆、僕の外見を怖がって逃げていったけど、だんだんと人が集まってね。最後は性別も国籍も人種(人間と喰種的な意味)も越えた繋がりを感じることができたよ」

カネキ「そうですね。僕はヤモリさんのそういう幸せそうな顔を見られることが幸せです」

ヤモリ「はは・・・さすがケン君だ」

ナキ 「あっ!ケン母さん!!」

カネキ「もう・・ナキさんは。僕はお母さんじゃないですよ」

ナキ 「いや、ケンさんはお母さんだぜぇぇ・・俺、ケン母さんと居ると楽しくてよぉ・・・うっ・・ダメだ涙が止まらねぇ・・!」

ヤモリ「ナキに聞いたよ。昨日の夜、なかなか眠れないナキの枕元で子守唄歌ってくれたんだってね・・・ケン君の博愛は僕も見習わなきゃ」

カネキ「何言ってるんですか。ヤモリさんだって素晴らしい博愛精神を持ってるじゃないですか・・・僕の貸したマザー=テレサの伝記すごく感動してたじゃないですか」

ヤモリ「うん・・・彼女の言葉にはジーンときたよ。“愛の反対は憎しみではなく無関心です”・・僕は今まで白鳩に対して憎しみだけを抱いてた。でもそれは僕の間違いだった。彼らとの関係も愛をもって考えなければいけないね」

ナキ 「さすがだぜェ・・神兄貴ィ!!」


エト 「・・・・ケン、私ちょっと頭痛がするからミーティング始まるまであっちに居るね」

カネキ「うん。分かったよ」


カネキ「アーヤート君♡」

アヤト「」・・・ぶるぶるぶるぶる

カネキ「そんなに震えなくても大丈夫だよ」

アヤト「ケケケケケンさん・・・・おおお俺・・」

カネキ「・・・・アヤト君の気持ち分かるよ」

アヤト「・・・え?」

カネキ「僕もそうさ。美しい女性のメガネを見るとアヤト君と同じことをしたくなる」

アヤト「ケ・・ケンさん」

カネキ「アヤト君がトーカお姉ちゃんにちょっと意地悪な事言われながら手コキで抜いてもうことを想像しながら発射したのと同じように、僕も美しい女性(できればロリっ子)のメガネにぶっかける妄想でいつも抜いてるよ」

アヤト「ケンさん・・・俺・・」

カネキ「アヤト君、君は僕と同じ。ただその対象がお姉ちゃんだっただけさ・・・僕は嬉しいんだよ仲間ができて」

アヤト「ケンさん・・いや・・ケン先輩!!」

カネキ「アヤト君っ!!」
ガシッ!!


強く交わされた握手。

それはまるで桃園の誓いで義兄弟の杯を交わした英雄のそれであった。

男同士の誓いに言葉はいらない。

カネキがこの日のために買い集めた姉萌え系のエロゲをアヤトに渡したことで二人の友情は永遠のものとなったのだった。


エト 「・・・・ノロさん聞いてくれる?」

ノロ 「・・・・」

エト 「最初はさぁ・・面白そうな奴だからキープしておいて、ゆくゆくは上手くダマして仲間に引き込もうと思ってたんだぁ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「でもさぁ・・蓋を開けてみたら面白いを通り越してぶっ飛んだ奴でさぁ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「ナカマたちがどんどんケン色に染まっていくんだよねぇ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「あ、ほら見て。末端の構成員たちが最敬礼してる・・・そりゃそうだよねぇ・・リーダー代理のタタラさんに笑いながら蹴り入れてる奴に逆らう気起きないよねぇ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「実際ムチャクチャ強いし・・・まあ確かに私がずっと赫包だけを食べさせ続けてたのが原因なんだけどさぁ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「しかもアイツ、ド変態なんだよ。ノロさん11区に居たから知らないと思うけど、下半身丸出しで白鳩と戦ってさぁ・・・でっかいものブラブラさせながら高速で動きまわってんの」

ノロ 「・・・・」

エト 「いや・・・確かに比較対象が無いから本当にでっかいのかよく分かんないけどさぁ・・」

ノロ 「・・・・」

エト 「もー色々台無しだよ!私が頑張って作ったアオギリを根本から変えやがって・・・しかもこのままじゃ・・・私の心まで奪われそう・・・」

ノロ 「・・・  ・・・・」

エト 「あーあー!!今のなし!!忘れて!!・・・まあいいやミーティング始まるよ」



タタラ「・・・みんな聞いてくれ。俺たち“アオギリの樹”は次の段階に入る」

カネキ「次の段階?」

エト 「ウン、聞いてて」

タタラ「知っての通り、俺たちは力をつけ、CCGをはじめとする人間どもが作った線引きを壊すことがとりあえず現在の目標だ・・・そこでここからはさらに喰種の数を増やし、同時にCCGを内部から破壊する」

カネキ「・・・ん?」

タタラ「まず、喰種の数を増やすためにある人間が必要だ。名前は“嘉納”という医師だ。こいつは人間を喰種に変える技術を持っている。こいつが居れば効率よく喰種の数を増やすことができる。現に奴は死んだ“リゼ”の赫包を人間に移植し喰種を作った。その喰種は20区の“あんていく”に居るらしい。可能ならばそいつも手に入れる」

カネキ「・・・」

エト 「ケン、分かってると思うけど移植されたのは君の友達の方ってことになってるから」

カネキ「・・・えっと」

タタラ「次にCCGの内部破壊だが、情報によれば、奴らの中に“ピエロ”という喰種集団の内通者が居るらしい。“ピエロ”は一度CCGに壊滅させられたが“ピエロ”のリーダーがコクリアに収監されていて、先日の俺たちの襲撃の際、そいつを逃がした」

カネキ「・・・あー」

タタラ「だが、そいつはその後行方をくらましてな・・おそらく仲間たちのところに帰ったと思うが未だ感知できていない。おそらく表に出ることを嫌う奴等は俺たちの作戦を良く思わないだろう・・・だからこの作戦は奴らにばれないよう静かに遂行する」

タタラ「そしてCCGが喰種とつながっていることを人間社会に広め、弱体化したところで一気に叩く」


タタラ「以上だ。まずは皆、嘉納の奪還に動け」

喰種達「はっ!」


・・・・


エト 「・・・と言う訳でますは嘉納の奪還から始めるよ。ケンは嘉納の顔知ってるから私と一緒に来てね」

タタラ「任せたぞ、エト、ケン」

カネキ「・・・」

エト 「どうしたの?何か言いたげだけど・・・ああ君の友達のこと?大丈夫だよ無理に連れてきたりしないから。ていうかケンの知り合いってこと分かったらたぶんVIP待遇になると思うし」

カネキ「・・・エト」

エト 「ん?」

カネキ「・・とりあえずコーヒーでも飲みながら落ち着いて話そうか?」

エト 「??」


――――――――――“あんていく”ではない某コーヒーショップ

高槻 「どう?ここいいでしょ?私のお気に入りなんだ」

カネキ「ええ、そうですね。ゆっくり本読めそうですし」

高槻 「でしょー?ココ、ネタだしに使うんです」

カネキ「なるほど」

高槻 「・・・で、さっきのことだけど」

カネキ「ああ、えっと・・どこから説明してらいいか」

ピリリリ・・

高槻 「ん?カネキ君電話だよ」

カネキ「あ、うん」・・・ピッ

カネキ「もしもし?」

カネキ「え?・・・・ああ・・・ふーん・・そうですかどうもありがとうございます・・・・ハイハイ。分かりました。そっちは何とかします・・・可能な限りですけど・・・はい、それじゃ」ピッ

カネキ「ふー・・・」

高槻 「??」

ヴー・・ヴー・・・

高槻 「今度はメールが」

カネキ「・・・・」ピッ

カネキ「・・・・」

カネキ「・・・・えー・・・・先ほどのタタラさんの作戦ですが、全て終了しました」

高槻 「・・はい?!」

今日はここまでです

申し訳ありませんが明日は所用のため更新できません

こんばんは
みんな大好き月山さんはまだ出てきますのでご安心ください
それでは続きです


#032 [作戦]


篠原 「・・・と言う訳だから」

亜門 「・・分かりました。アキラにも伝えます」

篠原 「うん。じゃあアキラちゃんにも一応書いてもらってね」

亜門 「・・はい」


亜門 「・・・」

ピ ピ ピ・・

亜門 「・・・もしもし、安久か?」

***

亜門 「・・・安久。もう怪我はいいのか?」

シロ 「はい、完治しました」
クロ 「それで、どういったご用件でしょうか?」

亜門 「その様子だとまだ連絡が行っていなかったか」

シロ・クロ「「?」」

亜門 「・・・“隻眼の梟”の居場所が分かった。場所は20区の喫茶店だ」

シロ・クロ「「!!」」

亜門 「相手はSSS級喰種だ。規則に倣い『遺書』を書いた。アキラもだ」

シロ・クロ「「・・・私たちは・・」」

亜門 「篠原さんの話ではお前たちの参加は怪我もあるため自己判断でよいとのことだ」

シロ・クロ「「・・・行きます!!」」

亜門 「・・そう言うと思った」



亜門 「“大喰い”は・・未だ感知出来ていない・・隻眼をたたけば現れる可能性が高いという事と、隻眼駆除が最優先であるという事から今回の作戦が決まった」

シロ・クロ「「・・・いつなんですか?」」

亜門 「一週間後だ・・・後の詳しい作戦や配置は黒磐特等から聞け」

シロ・クロ「「・・・はい」」


シロ 「・・・お姉ちゃん」

クロ 「・・・うん」

シロ 「・・・ついに来たね」

クロ 「・・・うん」

シロ 「お兄ちゃんは・・きっと来るね」

クロ 「うん・・・“あんていく”だからね」

シロ 「止めなきゃ」

クロ 「うん。止めなきゃ」


***

黒磐 「皆、話がある」

美郷 「ハイッ!」
シロ・クロ「「・・ハイ」」


シロ 「“隻眼の梟”SSSレートか・・」

クロ 「CCGの指揮官は和修局長だってね」

シロ 「・・・うん・・・遺書、書いた?」

クロ 「うん」

シロ 「・・・」
クロ 「・・・」

シロ・クロ「「ふふ」」

シロ 「やっぱり一緒だね」
クロ 「うん。だって家族はお互い同士しか居ないもんね」

シロ・クロ「・・・」

シロ・クロ(・・・どっちかが死んだら・・その次に遺書に書くことは無いね・・・)


***


アキラ「亜門上等・・・ちょっといいか?」

亜門 「・・ああ」

アキラ「“ドウジマ”が完成したらしいな」

亜門 「ああ。お前が構成案を作ったそうだな」

アキラ「ああ・・“ドウジマ”は重過ぎる。もっと軽く、ギミックを凝らした」

亜門 「・・・軽くしたのか?」

アキラ「当り前だ。クインケの性能とは関係のないところで重くしすぎだ・・・どうせ筋トレの一環だろう?」

亜門 「・・・・いや・・これは昔、俺の同期が使っていた遺品でな・・死んでしまった同期のためにも俺は強くなろうと・・」

アキラ「・・・フン。だったらその同期とやらに申し訳ないと思わないのか?これほど重りをつけて」


亜門 「・・・要件はそれだけか?」

アキラ「いや・・もう一つ。あの高槻とかいう作家が言っていた“スフィンクス”の前社長が分かった・・・黒磐特等のところの安久姉妹の父、安久七生だ。私が独自に調べた」

亜門 「・・・そうか」

アキラ「・・・驚かないのだな・・・知っていたのか?」

亜門 「いや・・・そういう訳ではない」

アキラ「・・・君は分かりやすいな」

亜門 「・・・」

アキラ「・・君が考えていることは分かっている・・・私もおそらく同じことを考えている」

亜門 「だが・・・」

アキラ「ああ。証拠はない。それに、それが事実であれば・・それは有ってはならないことだ」

亜門 「・・・アキラ。その件に関しては俺が調べる。今は隻眼の事を考えるべきだ」

アキラ「分かっている・・隻眼は母の敵、そして隻眼とつながっている大喰いは父の敵だ」

亜門 「・・ああ・・そうだな」

アキラ「だがな、君だけですべて片付けようとするな。私は君の部下で、パートナーだ」

亜門 「・・・アキラ」

アキラ「私は・・“ドウジマの持ち主”のように君を残して死んだりはしない」

亜門 「・・・・」

アキラ「・・・今回の作戦が終わったら・・君に言いたいことがある」

亜門 「?それは今じゃあだめなのか?」

アキラ「・・・ダメだ。この筋肉馬鹿が」

亜門 「?・・・筋肉をバカにするなよ」


***


高槻 「ちょっと説明してもらっていいですか?」

カネキ「えーっと・・まずは嘉納先生のことですが」

高槻 「ウン」

カネキ「家に居ます」

高槻 「ゴメン、のっけから意味わかんない」

カネキ「だから、嘉納先生は僕のアパートに居ます。他に元“アオギリ”の喰種が9人いますけど」

高槻 「・・・・・・まあ・・今更なんで?とか聞きません。たぶん理解にかかる時間が無駄なような気がするので・・嘉納先生を難なくゲットできたと楽観的に考えましょう」

カネキ「あ、そうですか」

高槻 「もうなんだか慣れました」

カネキ「で・・“ピエロ”ですが、取材の結果、大体彼らが何をしてるか分かりました。ついでに逃げたって言うリーダーの居場所もほぼ判明しました」

高槻 「マジですか・・・」

カネキ「あとは先生と“アオギリ”の皆さんの協力があればCCGはたぶん壊滅しますよ」

高槻 「皆はともかく・・・私の協力ってなんですか?」

カネキ「先生の目的を正直に教えてもらえますか?」

高槻 「・・・え?」


カネキ「先生のお母さんである憂奈さんはVという喰種達を追っていたんですよね?」

高槻 「ちょっと待てなぜそんなこと知ってる」

カネキ「先生が、人間・喰種・CCGの事分かる範囲で調べろって言ったじゃないですか」

高槻 「ええ・・まあ言いましたけど」

カネキ「CCGは人間を喰種に変える技術を持っています。嘉納先生はCCG在籍時にそれをやる部署に居たようですね。でもってCCGはVという喰種集団とつながっていて、どうやらVは、お互いの均衡をとるためにその事に気付いた喰種や人間を殺す役割を持っていますね。芳村店長が殺し屋さんやってた時は彼はその事を知らなかったんじゃないですかね」

高槻 「うん・・“分かる範囲”っていうかもうほぼ全部調べつくした感じだね」

カネキ「Vは仲間の喰種がCCGに狩られず食料である人間が滅びないように、CCGは適度に喰種を狩り自分たちの仕事がなくならないように、裏で協力していると考えれば、人間と喰種、どちらかの力が大きくなりすぎればその均衡は崩れます。“アオギリ”は・・と言うより先生は、喰種の数を増やしてパワーバランスを崩すことでこの状態を打開しようとしてるんじゃないですか?」

高槻 「・・・・君は有能すぎるね・・・変態すぎるのもそうだけど」

カネキ「で、この際ハッキリさせたいんですよ」

高槻 「・・・何を?」

カネキ「先生は、最終的にどうしたいんですか?」

高槻 「・・・最終的に、というのは?」

カネキ「先生は僕と同じで普通に食事できますし、作家として成功していて別にこのままでも何不自由なく暮らしていけますよね?なのに敢えてこんな面倒な事してる理由は?」

高槻 「・・・」

カネキ「・・・その理由が、憂奈さんの無念を晴らすためなら僕は協力します」

高槻 「・・・ケン」

カネキ「はい?」


高槻 「知ってる?私は“隻眼の梟”。今までたくさんの人間や喰種を殺してきた。君はそんな殺人鬼に協力するの?」

カネキ「・・・そうですね。でも今までのは生きるためにしょうがなくでしょ?」

高槻 「・・・CCGを潰すとなれば、それこそ何千人、何万人という人間を殺すことになります。それでもいいんですか?」

カネキ「僕の作戦がうまくいけば、あと5~6人殺せばCCG潰せますよ」

高槻 「・・・それ、ホント?」

カネキ「まあ、もちろん先生と、アオギリの皆、それと“あんていく”が協力してくれれば」

高槻 「・・・」

カネキ「芳村店長が憂奈さんを殺したことを恨んでるのはよく分かりますが、その気持ちが解決の機会を失わせていると思いますよ」

高槻 「・・・っ!」

カネキ「憂奈さんのノートに書いてありませんでしたか?その“復讐したい”という気持ちが今の喰種と人間の関係を作ってしまっている、と」

高槻 「!!・・・君は何でもお見通しですね・・・君はこの短期間に“喰種”という存在が何なのかを突き止めてしまったんですか」

カネキ「・・・コクリアから逃がした喰種にドイツの方が居ましたよね。彼がヒントをくれましたので」

高槻 「・・・分かったよ。乗った。私はケンの作戦に乗ることにします」


カネキ「じゃあ具体的な作戦を言いますね。まず“ピエロ”を叩きます」

高槻 「え?」

カネキ「“ピエロ”は人間や喰所のあらゆる組織に居て、情報を集め共有しています。なので先に潰しておかないと情報を流すなどの方法でCCGを潰す邪魔をしてきます。あるいは潰した後Vを使って僕らを潰しに来ます」

高槻 「でも・・あらゆる組織に居る奴をそれぞれ見つけて倒していくのは難しいと思うよ」

カネキ「ええ。だから、アオギリとCCGとあんていくに居る奴らだけで十分です」

高槻 「アオギリに居るの?」

カネキ「ハイ。おそらくノロさんはピエロですね」

高槻 「ええ?」

カネキ「僕が“ピエロ”だとしたら、これだけ大きな喰種集団である“アオギリ”には必ず派遣します。アタリを付けるためにとりあえず幹部の人たちとは全員と仲良くなってみたんですが、ノロさん以外はおそらくシロですね」

高槻 「え・・そのために仲良くなってたの?」

カネキ「先生が、他の喰種に“無理に”個人的な事聞くなって言ったので、まず友達になってそれからゆっくり聞き出しました」

高槻 「ウン・・なんていうか・・そのために人格が変わっちゃた人も居る気がするんだけど・・まあいいや」

カネキ「で、確証を得るためにノロさんにワナをはりました。そしたら見事に引っかかってくれたのでクロですね」

高槻 「ウーン・・実を言うとさぁ、ノロさんて喰種じゃないんだよね」

カネキ「ん?」


高槻 「ノロさんて昔、4区の喰種集団から譲り受けた赫子で作ったロボットみたいなものなんだよ。だから喋らないし、簡単な指示しかできないの。目覚まし時計のアラームで行動のオンオフ切り替えしたりとかね。私とタタラさんで交代で燃料となる人間を与えてたんだけど、結構燃費悪いんだよね」

カネキ「うーん・・・だとしたらピエロのリーダーはノロさんを通してアオギリを監視してますね」

高槻 「え?」

カネキ「いくつか証拠があります。あと、今の話聞いてトリさんを殺したのってノロさんじゃないかって疑いが生じました」

高槻 「え?イトリさんて情報屋の人でしょ?死んだの??」

カネキ「ええ。レストランで食事した日の夜誰かに殺されました。あの時はまだピエロリーダーはコクリアに居たので、そいつが遠隔操作でノロさんを動かして殺したのかなと。イトリさんあの夜、僕にピエロの正体を喋りかけましたからね。それで、口封じに」

高槻 「・・・」

カネキ「ただ、気になるのはどうやってイトリさんと僕の会話を聞いたのかって事なんですよ」

高槻 「・・・ゴメンそれ私のせいかも」

カネキ「え?」

高槻 「・・・実はあの夜、君たちの後を付けて様子をうかがっていました・・・・で、その後ノロさんにその事を愚痴りました」

カネキ「いや待ってください・・何を愚痴るんですか」


――――回想――――

エト 「ノロさん聞いてよ」

ノロ 「・・・」

エト 「この前言ったケンって奴さーなんかしっかりデートしてやがんの」

ノロ 「・・・」

エト 「しかもなんか“仲間に入らない?”とか言われてるしさー!」

ノロ 「・・・」

エト 「アイツ、あれであの女の仲間に入ったらクビにして食べてやる!・・そんなに大きい胸がいいのかよ・・!」

――――回想終了――――


高槻 「・・・・////」

カネキ「なんで顔が赤くなるんですか」

高槻 「と・・とにかく人形に話しかける感覚で、あの夜のことはノロさんに言いました///」


カネキ「・・まぁとにかく、それを聞いて一層ノロさんが怪しいことが分かりましたね」

高槻 「・・ウン」

カネキ「そういう訳で、ノロさんはピエロです」

高槻 「“あんていく”とCCGは?」

カネキ「協力者が居ます。情報をもらったのでおよその予想はついています」

高槻 「“あんていく”の方はともかく、CCGの内部に入り込むのは至難の業だよ」

カネキ「それも考えてあります・・・実は僕、芳村店長に“アオギリ”と“あんていく”が協力してCCGと戦うという偽情報を従業員さんに言ってもらいました」

高槻 「ん?」

カネキ「従業員の中に居るピエロはそれを良く思わないので、きっとCCGに情報を流して“あんていく”を襲撃するよう仕向けます」

高槻 「そううまくいきますか?」

カネキ「ええ。一週間後にCCGは“あんていく”に襲撃します。内通者から情報が来ましたので」

高槻 「!!」

カネキ「その混乱に乗じてピエロの主要メンバーを倒します」

高槻 「CCGは倒さないでいいの?」

カネキ「それはその次ですね」

高槻 「??」

カネキ「まずは・・・」

・・・


高槻 「なるほど」

カネキ「それともう一つ」

高槻 「ん?」

カネキ「先生の次回作に関する意見ですが」

高槻 「それ、いまする話?!」

カネキ「重要です」

高槻 「はぁ・・そうですか」

カネキ「まず主人公ですが、却下です。完全に僕なので。モデルってレベルじゃなく、完全に僕なので」

高槻 「ええええ?!それってもう内容全とっかえのレベルだよ?!」

カネキ「いえ、大丈夫です。主人公は・・・」

・・・


高槻 「なるほど・・・カネキ君」

カネキ「はい?」

高槻 「なんていうか・・・君を雇って正解だったよ。実はこの作戦に近いことはいつかやろうと思ってたの。でも君のおかげでそれをやるタイミングが一気にやってきた」

カネキ「そう言ってもらえると嬉しいですね。でも喜ぶのは作戦が成功してからにしましょう」

高槻 「ウン、そうだね・・・じゃあ私はこのままここでプロットを書くよ」

カネキ「そうですか。じゃあ僕は本でも読んでます・・・・あ」

高槻 「なんです?」

カネキ「いい作業用BGMがあるんですよ・・・・!」ニヤァ


『はぁはぁはぁ・・・』

『トーカお姉ちゃんのにおい・・・トーカお姉ちゃんのにおい!!』

『お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!!』

『あっ・・お姉ちゃんゴメンナサイ・・許して・・ああッそんなッツ』

『ダメだよそんな事・・あッツ』

『お姉ちゃんの指が僕のをッ・・・ああッ!』

『ああっ・・お姉ちゃん・・・そんなことまでッ!!』

『あああああああああ』

『お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!!』

『ダメだよ出ちゃうよッ・・』

『お姉ちゃんの指にかかっちゃうよッ』

『ああっ・・ダメ・・ダメダメダメッ』

『出るっ・・出ます出ます出ますっ!!』

『あああああああああああん!!!』

『お姉ちゃん大好きだよぉ・・・』


『はァウッ!!!!』


高槻 「・・・・最後の悲鳴は何ですか?」

カネキ「アヤト君がいつもお姉ちゃんのこと妄想する部屋(笑)の天井にでっかい文字で『スッキリした?』って書いておいたんですよ。それに気づいた声ですね」

高槻 「鬼畜っすなぁ」

今日はここまでにします

こんばんは
更新します


#033 [事案]


高槻 「ただいまー」

ヒナミ「お帰りなさい・・・お兄ちゃんは?」

高槻 「旅に出ました」

ヒナミ「え?・・・えっと・・取材?」

高槻 「・・私もよくわかりません・・取材も行くけど旅に出るって言ってました」

ヒナミ「お兄ちゃん・・・大丈夫かな?」

高槻 「CCGに捕まらないかという意味では大丈夫です」

ヒナミ「え?」

高槻 「警察に捕まらないかという意味では不安です」

ヒナミ「??」

高槻 「・・・とりあえず私は後1週間で原稿をあげて出版までしなきゃいけないという超ハードスケジュールなので・・・多分ゴハンはかなり疎かになります」

ヒナミ「大丈夫!ヒナミが作るよ!お洗濯もできるから!!」

高槻 「ちゃんヒナはいいお嫁さんになりますね」

ヒナミ「えへへ」


***

カネキ「ふう・・・片道5時間もかかっちゃったな。まあいいや・・・店を探そう」


店員 「ありがとうございました。それでは3日後に発送いたしますので」

カネキ「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」


カネキ「さて、ここでの用事も終わったし今日は観光していくか」







※福井県みまもり掲示板※ 

▶16時30分ごろ、市内の複数の公園で眼鏡をかけた10代後半から20代後半とみられる男が小学生の女児に話しかける事案が発生しました。
▶男は女児に“お菓子あげるから僕と遊ばない?”などと声をかけてきます。
▶子供たちが事件に巻き込まれないように大人たちは近所の子供を見守りましょう。
▶また、不審な人を見たら警察にご連絡をお願いします。



『不審者情報』

▶今日20時ごろ、市内の○○通りで不審な男が目撃されました。
▶男はビルの高所などから飛び降り、女性の前に突然現れ、“すみませんちょっと暑かったもので”などと喋ったのち立ち去ったとのことです。
▶男は20代くらいで黒髪、メガネをかけており、裾の長いコートを着ています。
▶なお、落下時の風圧でコートが捲れた際、下半身が全裸であったとの証言もあります。
▶同様の事件は30分の間に5件ほど起きており、警察が男の行方を追っています。




カネキ「ふー・・・だいぶふれあったなぁ。今日はもう宿行くかぁ」




――――――――――23区“アオギリの樹”アジト

カネキ「タタラさん」

タタラ「おお、ケンか。どうした?」

カネキ「話があります」

タタラ「ん?」

カネキ「嘉納医師をゲットしました」

タタラ「何?!本当か?!」

カネキ「ええ、それと、ピエロの居場所も分かりました。CCGを崩壊させる準備も整いました」

タタラ「・・・ケン・・わが友よ。お前はもうこの“アオギリ”になくてはならない存在だ」

カネキ「タタラさん」

タタラ「ん?」

カネキ「お願いがあります」

タタラ「?」

カネキ「僕とエトでCCGとピエロを一掃します。タタラさんとそのほかのアオギリの人には援護をお願いしたいんです」

タタラ「お安い御用だ・・・CCGには俺の敵も居る」

カネキ「・・・援護に当たって条件が二つあります」

タタラ「なんだ?」

カネキ「3日後、CCGが20区にある喫茶店“あんていく”を襲撃します」

タタラ「初耳だな」

カネキ「ええ、内通者から得た情報ですが確かな情報です」



タタラ「ではその混乱に乗じてやるのか?」

カネキ「そうですが、それに関しての条件が二つ」

タタラ「うん」

カネキ「まずアオギリが出ていくタイミングは、CCGの襲撃よりも少し遅くなる予定です」

タタラ「予定・・・?」

カネキ「具体的にはノロさんが活動を停止したら」

タタラ「??」

カネキ「襲撃のしばらく後、ノロさんが壊れます。そしたらGOです」

タタラ「・・意味がよく分からないがノロは連れて行かないという事か?」

カネキ「まあ、そうです。あとこの会話はすべてノロさんには内緒です」

タタラ「??」

カネキ「それともう一つ、ノロさんが壊れたら、“アオギリ”はCCGの司令官が居る本部部隊から最も遠いところから現れてください。ただし陽動だけでCCGを殺さない事」

タタラ「・・・それは無理だ」

カネキ「お願いします。詳しくは後で説明しますが、そうすることでCCGの完全破壊の可能性が高まります」

タタラ「・・前に言ったな。CCGには俺のかつての仲間を殺した法寺という男が居る。奴と奴の持つクインケを見た時、俺は冷静ではいられなくなるだろう」


カネキ「・・・気持ちは分かります。僕も例えばエトが殺られてクインケにされたらタタラさんと同じ気持ちになると思います。でも無理を承知でお願いしてるんです」

タタラ「ケン・・・・・・・お前、やっぱエト好きだろ?」

カネキ「今はそういう話をしていません」

タタラ「・・・・ケン、お前は修学旅行というものを知っているか?」

カネキ「え?何突然・・・まあ知ってますよ。ていうか昔行きました。京都・奈良でしたね」

タタラ「枕は・・投げたか?」

カネキ「え?まくら投げですか?高校生にもなってそういう事はしませんよ」

タタラ「・・・夜、好きな子の話を言い合ったりしたか?」

カネキ「え・・・まあそういう人たちも居ましたね」

タタラ「・・・」

カネキ「・・・?」

タタラ「俺は日本に来て結構経つが、最近お前が貸してくれて読んだ“ガクエンモノ”というジャンルの小説に興味があってな」

カネキ「はぁ」

タタラ「最近思うんだ、俺は日本に来ていったい何をしていたんだと」

カネキ「いや・・まぁ」

タタラ「修学旅行に行きたい」

カネキ「はい?」



タタラ「メンバーはケンとアヤトと・・ヤモリとナキも誘うか・・・・あ、シャチはダメだ。アイツは色々台無しにしそうだしな」

カネキ「・・・」

タタラ「京都・奈良・・いいじゃないか。思えば日本観光もしていなかったな。秋葉原は行ったが」

カネキ「・・・わかりました。もろもろ終わったら行きましょう。それでいいですか?」

タタラ「ちゃんと夜はまくら投げをして、電気を消したら恋バナだ」

カネキ「わかったわかった」

タタラ「チケットはもうとっておいた方がいいか?」

カネキ「気が早いですよ。その辺の手配は僕がしますから」

タタラ「なあ、木刀は本当に売っているのか?」

カネキ「・・・そういうものは浅草にもありますよ」

タタラ「何ッ?!」

カネキ「はぁ・・じゃあお願いしますよ、陽動の件」

タタラ「うむ・・行きたい寺のリストアップをしておく」

カネキ「話聞いてます?ノロさんには内緒の件よろしくお願いしますよ」

タタラ「~♪」

カネキ「おい」

タタラ「うむ、わかった」

カネキ「ちなみにアヤト君は何してます?」

タタラ「よく分からんがパソコンで何かを見ている・・呼んでくるか?」

カネキ「いえ、結構です」


カネキ(一番面倒だと思ってたタタラさん説得の件が意外にすんなり終わってよかった・・さて)


ガチャ

カネキ「こんにちは」

高槻 「・・・おかえりぃ~」
ヒナミ「お兄ちゃん!」

高槻 「・・・できましたよ。清書まで終了しました」

カネキ「お疲れ様です」

高槻 「お願いです・・ちょっとだけカネキ君分を補充させてください」

カネキ「ちょっと、意味わかんないです」

高槻 「・・・こういう事です」
ぎゅー

ヒナミ「あ・・ヒナミも!!」
ぎゅー

カネキ「こらこら、興奮するだろ?」

高槻 「変な事したら食べますから」

ヒナミ「変な事?」

カネキ「」ごくり

・・・


カネキ「さて、僕の方も終わりました」

高槻 「ウン。お疲れ」

カネキ「あとは先生にやってほしいことがあります」

高槻 「もう勘弁してぇぇ・・」

カネキ「いや、文章書けってハナシではないですから」

高槻 「よかったぁ・・」

カネキ「僕はヒナミちゃんをバンジョーさん達に預けてくるので先生はその間行ってきてほしいところがあります」

高槻 「?」



カネキ「ただいま」

バンジョー「ケンさん・・・て、その子は?」

カネキ「この子はヒナミちゃんと言います」

ヒナミ「こ・・こんにちは」

バンジョー(あ・・前にケンさんが言ってた両親を白鳩に殺された・・)

カネキ「皆さん聞いて下さい」

下宿人一同「?」

カネキ「僕はこれからCCGと戦ってきます。平気だとは思いますが万が一のことを考えてこの子をここで面倒見てもらいたいんです」

ヒナミ「えっ?!・・・イヤ・・お兄ちゃん、ダメッ!!」

カネキ「ヒナミちゃん、作戦がうまくいけばここに居る皆さんも、ヒナミちゃんも普通に暮らせるようになるかもしれないんだ。だから行かなくちゃいけないんだ」

ヒナミ「イヤッ・・イヤァ!!」

カネキ「バンジョーさん・・もし僕が2週間たっても帰ってこなかったら、この子を連れて逃げてください」

バンジョー「・・分かった」

ヒナミ「イタダアアア!!お兄ちゃんや先生まで死んじゃったら私ッ!!」

バンジョー「ヒナミちゃん、大丈夫さ・・ケンの強さは半端じゃねぇ・・俺達皆ケンに助けられたんだぜ」

イチミ「そうそう」

サンテ「バンジョーさんは激弱だけど、ケンさんの強さは折り紙付きだから」

バンジョー「俺が弱いこと関係ねーだろーがよぉ・・」

ジロ 「おいで、ヒナミちゃん」

ヒナミ「・・・」


カネキ「じゃあ先生、作戦通りにお願いしますね」

嘉納 「ああ、わかったよ」

カネキ「それじゃ」
ガチャン


嘉納(また喰種が増えたか・・・はぁ・・)


――――――――――20区某所

芳村 「・・・芥子か」

芥子 「功善、知っているか?・・・お前の正体はもう白鳩にばれているぞ」

芳村 「・・・そうか」

芥子 「長くVに居たお前ならその意味が解るな?」

芳村 「Vか・・・懐かしいな」

芥子 「功善・・貴様も老いたな」

芳村 「・・・要件は何だ?」

芥子 「“アオギリ”に力を貸すな」

芳村 「・・・何のことかな?」

芥子 「奴らが均衡を壊すために動いていることは明白だ」

芳村 「・・・」

芥子 「そして“隻眼の梟”と呼ばれている喰種を差し出せ」

芳村 「・・知らんな。そんな喰種」

芥子 「しらばくれるな。貴様との血の繋がりは明白だ。奴の存在そのものが我々が築いた線引きを曖昧にしている」

芳村 「悪いが、何を言っているのか分からないな」

芥子 「そうか・・ならば貴様は死ぬ。貴様が守ってきたあの小さな喫茶店とともにな」

芳村 「・・・」



ヨモ 「芳村さん」

芳村 「・・・ああ、分かっている。“あんていく”しばらく休業だ」

ヨモ 「・・はい」

芳村 「本当に例の件はお願いしてもいいのかね」

ヨモ 「はい・・・俺だけではないので」

芳村 「分かった・・お願いするよ」

***


芳村 「トーカちゃん」

トーカ「どうしました、店長?」

芳村 「試験、近いんだってね」

トーカ「え・・あ、ハイ」

芳村 「うん・・では今日からトーカちゃんは試験が終わるまでバイトはお休みだ」

トーカ「ええ?!」

芳村 「・・・永近君と同じ大学に行きたいんだろう?がんばりなさい」

トーカ「は・・はい//」

芳村 「大丈夫だよ。彼はきっと帰ってくる」

***


カヤ 「・・店長」
古間 「芳村さん」

芳村 「・・・うん」

カヤ 「本当に白鳩が来るんですか」

芳村 「ああ」

カヤ 「・・・そうですか」

古間 「証拠物品の処分は僕とカヤでやっておきました」

芳村 「ありがとう・・・コーヒーでも飲むかね?」

古間・カヤ「いただきます」


カヤ 「・・・でも、本当にあの子が?」

芳村 「ああ」

カヤ 「・・・どうするんですか?」

芳村 「ヨモ君に頼んだ」

カヤ 「そうですか」

古間 「・・・こっちは任せて下さい。“魔猿”がついています」

芳村 「ああ、頼りにしているよ」

カヤ 「なんだか・・・明日の夜、白鳩が攻めて来るなんて信じられないですね」

芳村 「すまないね・・巻き込んでしまって」

古間 「何言ってるんですか・・俺たちは、芳村さんのおかげで今があるんです・・どこまでも着いて行きますよ」

芳村 「・・・」


芳村 (憂那・・・私は・・・)




カラン カラン


高槻 「コーヒーはありますか?」



カヤ 「すみません、もう閉店なんです」

芳村 「・・いや、私が煎れよう・・・座ってください」

カヤ 「?」

高槻 「ありがとうございます」

・・・


高槻 「・・私はエト。“アオギリの樹”のメンバーです。我々と協力関係にあるあなたに今回の作戦について説明をしに来ました」

カヤ・古間「!!」

芳村 「うん・・・聞こう」

・・・


高槻 「・・・と言う訳です」

芳村 「・・・そうか。分かったよ・・・確かにそれは私にしかできないね」

カヤ 「・・・私たちは本当にそれでいいんですか?」

高槻 「ええ・・・これは現在の“アオギリ”の・・・まあなんというか実質リーダーの作戦ですので」

カヤ 「?」

芳村 「・・・エト、見たところ目の下にクマができているが・・大丈夫かね?」

高槻 「・・・あなたが心配することではありません」

芳村 「・・ああ、そうだったね」

カヤ・古間「・・・」

高槻 「それでは、説明したとおりによろしくお願いします」

芳村 「ああ」

高槻 「ごちそうさま・・・・・・コーヒー、おいしかったです」


カラン カラン

芳村 「・・・」

カヤ 「・・店長、私二階の掃除してきます・・ホラ、アンタも」
古間 「あ・・・ああ。それじゃ」
ガチャン

芳村 「・・・」

芳村 「・・・ありがとう・・・エト・・カネキ君・・・・私の夢を叶えてくれて」

今日はここまでにします
とりあえず死亡フラグ乱立させてみました

なお申し訳ありませんが明日は更新できません

そういやreでも変な方向にはっちゃける時もあるし、変態の素養が元からあるのかもな

>>766
個人的にあれはヒデ分なんじゃないかと思ってます

さて、帰ってこれたので更新しちゃいます


#034 [開戦]


――――――――――24区


カネキ「なかなか気持ち悪い壁ですね」

高槻 「でしょ?」

カネキ「にしても24区は危険な喰種がいっぱいいるってハナシでしたけどさっきから誰にも会いませんね」

高槻 「そりゃそうですよ。私がそういう風に皆にお願いしたので」

カネキ「隻眼の梟は伊達じゃないですね」

高槻 「やめてくださいよ・・そう自称したわけじゃないので」

カネキ「アオギリのリーダー“隻眼の王”も先生なんでしょ?」

高槻 「違うよ・・そうだね君にも教えとかなきゃね。もうこの作戦をするってことは君と運命を共にするって事だからね」

カネキ「?」

高槻 「・・私がこの24区で中心的な存在となってしばらく経った頃、あるCCG捜査官のチームが喰種討伐に現れました」

カネキ「僕の知ってる人ですか?」

高槻 「ええ。君が戦った“有馬”です」

カネキ「?・・・ああ!あのダサい眼鏡の!!」

高槻 「・・・その認識のが先なんですね」


#034 [開戦]


――――――――――24区


カネキ「なかなか気持ち悪い壁ですね」

高槻 「でしょ?」

カネキ「にしても24区は危険な喰種がいっぱいいるってハナシでしたけどさっきから誰にも会いませんね」

高槻 「そりゃそうですよ。私がそういう風に皆にお願いしたので」

カネキ「隻眼の梟は伊達じゃないですね」

高槻 「やめてくださいよ・・そう自称したわけじゃないので」

カネキ「アオギリのリーダー“隻眼の王”も先生なんでしょ?」

高槻 「違うよ・・そうだね君にも教えとかなきゃね。もうこの作戦をするってことは君と運命を共にするって事だからね」

カネキ「?」

高槻 「・・私がこの24区で中心的な存在となってしばらく経った頃、あるCCG捜査官のチームが喰種討伐に現れました」

カネキ「僕の知ってる人ですか?」

高槻 「ええ。君が戦った“有馬”です」

カネキ「?・・・ああ!あのダサい眼鏡の!!」

高槻 「・・・その認識のが先なんですね」

連投スイマセン


高槻 「“有馬”は強くてね。他の捜査官は倒したけど奴は倒せなかった」

カネキ「そうですか?」

高槻 「君と戦った時は本気じゃなかったよ。奴が本気を出せるのは、仲間が居ないときだから」

カネキ「?」

高槻 「・・・とにかく、限界を超えた力を出した奴と、私は互角で決着がつかなかった」

カネキ「はあ」

高槻 「そしてお互い勝負がつかない事を悟り、私たちは秘密裏の同盟を結びました」

カネキ「ええ?じゃあ先生もCCGに内通者が居たんですか」

高槻 「まあね。ていうか関わって3か月余りで内通者を作っちゃう君の方が異常ですからね」

カネキ「まあ・・アレはタイミングと運もありましたから」

高槻 「・・・契約内容は遠い未来、CCGの闇が暴ける段階になったら協力すること。そしてそのために奴は24区担当官に志願し、他の捜査官が最深部まで到達できないように仕向ける。私は“アオギリの樹”を作りXデーに備える・・・名前の由来はアオギリの花言葉である“秘めた意志”からとってね」

カネキ「ん?じゃあやっぱり先生が“アオギリの樹”のリーダーじゃないですか」

高槻 「違うよ。作ったのは私だけど、リーダーは“隻眼の王”という“存在しない”喰種」

カネキ「うーん・・」

高槻 「・・さて、そろそろ中継地点の“ルートV14”だよ」

カネキ「中継地点?」

高槻 「有馬が居ます」

カネキ「え?!じゃあマスクしなきゃ」

高槻 「必要ないですよ。むしろマスクしてたら攻撃されますよ」

カネキ「?」




高槻 「こんにちは」

有馬 「・・・ここはV14。ここから先、“喰種”は通すことはできない。お前たちは誰だ?」

高槻 「私は高槻泉。こっちは私のパートナーの金木研。人間ですよ」

有馬 「・・・そうか」

カネキ「?」

有馬 「高槻・・・やるのか?」

高槻 「ええ・・・あなたもお忘れなく」

有馬 「・・・」


・・・

高槻 「・・・では、君はここで地上に出るんですね」

カネキ「はい。先生の方はお願いします」

高槻 「ウン。任せて」

カネキ「先生・・・すみません。先生に汚れ仕事を任せてしまって」

高槻 「君が謝るなんて珍しいね。大丈夫だよ。むしろ危険なのは君の方だから」

カネキ「・・・じゃあ終わったら例の待ち合わせ場所で」

高槻 「ウン・・・死なないでよ、ケン」


――――――――――20区“あんていく”前


吉時 「・・・・作戦を開始する」


「突入しますッツ」

キィィ・・

「とまれッ!!」

古間・カヤ「・・いらっしゃいませ」

「!!」



「和修局長!!喫茶店から複数の喰種がっ!!」

吉時 「梟か?」

「猿のマスクを付けた喰種と犬のマスクを付けた喰種がっ・・どちらも100以上います!!」

吉時 「・・・第2隊と第3隊で迎撃せよ」

「はっ!!」


吉時 「・・・おかしい・・梟が出ないな」


「局長!!」

吉時 「どうした?」

「猿面と犬面達が二手に分かれ分散していきます!」

吉時 「第2隊と第3隊で追撃。後方に居る第4隊に連絡し挟み撃ちにせよ」

「ハイッ!」


――――――――――20区“あんていく”前


吉時 「・・・・作戦を開始する」


「突入しますッツ」

キィィ・・

「とまれッ!!」

古間・カヤ「・・いらっしゃいませ」

「!!」



「和修局長!!喫茶店から複数の喰種がっ!!」

吉時 「梟か?」

「猿のマスクを付けた喰種と犬のマスクを付けた喰種がっ・・どちらも100以上います!!」

吉時 「・・・第2隊と第3隊で迎撃せよ」

「はっ!!」


吉時 「・・・おかしい・・梟が出ないな」


「局長!!」

吉時 「どうした?」

「猿面と犬面達が二手に分かれ分散していきます!」

吉時 「第2隊と第3隊で追撃。後方に居る第4隊に連絡し挟み撃ちにせよ」

「ハイッ!」


「くそッ・・奴らすばしっこく動きやがって!!」

猿面 「ウキッ」

「食らえッ!!」

猿面 「ウキキッ!!」

「クソォ!!・・・ん?」

女性捜査官「・・・きゃあああ!!」

「なんだ?!」

女性捜査官「今・・・おしりを・・・触られました」

「??」

「きゃああ!!」
「いやっ!」
「やああああっ!!」
猿面 「ウッキッキ」

「なんだこの状況は・・・?!」

女性捜査官「奴ら・・“エロ猿”よ!!」

「“エロ猿”?!」

女性捜査官「ええ・・かつて20区を中心に各区の優秀な女性捜査官にセクハラしまくっていた『猿面』の喰種集団・・そのリーダー格が“エロ猿”」

女性捜査官「奴のせいで多くの捜査官が心に深い傷を負ったわ・・まさか奴が“隻眼”とつながっていたなん・・きゃああああああ!!エッチ!!!」

古間 「ぐへへへへ・・・・ん?」


鉢川 「よーう・・エロ猿」

古間 「・・・男に興味なし・・去れ」

鉢川 「そういう訳にもいかねぇんだよ・・俺の同期(女性)も師匠(女性)も大勢お前にセクハラされてんだよ」

・・
鉢川 「・・って居ねぇ・・」


ひゅん
古間 「ウキッツ!」
さわっ
穂木 「・・っきゃ!!」

倉元 「穂木ちゃんっ!」

穂木 「触られたの」

鉢川 「くそがあああ!!・・・ってもう居ねえ!!」


「望元さんっ・・奴らすごい数ですッ!!しかも奴らのあの姿・・・」

田中丸「うろたえるなボーイたち・・・見ていなさい私の一撃を」

田中丸「・・・ハイアー」

田中丸「マーーーーーーーインドォォォ!!!!!」
ドッゴーーーーーン!!!


カヤ 「クゥゥゥゥン!!」

「馬鹿な・・効いてない?!」

田中丸「ンン・・奴らあの姿・・痛みを快楽に変えているのかねっ!!」

カヤ 「・・・へっへっへ」
シュン!!

「なっ・・一瞬で背後に?!」
カヤ 「キャイイイイイイイン♡!!」

「はっ・・はううううう!!」どぴゅっ

カヤ 「キャンキャン♡」


田中丸「悪いイヌだね・・野犬は保健所に行きなさい」

カヤ 「・・・ふふ」
バキキキキ・・・

カヤ 「そんな事言ってるアンタだって・・・・アソコが天を仰いでるじゃない」


「奴がボンテージ荒縄の犬面集団のボス・・・SSレート喰種“雌犬”か・・・奴に(社会的な意味で)殺された男性捜査官は数知れずだ・・」

カヤ 「すぐにッツ」

カヤ 「そのデカブツをイカせてあげるわッツ!!!」

田中丸「フンッ!!」


――――――――――地下某所


「・・・・」
てくてく


ヨモ 「・・・どこへ行く?」

ロマ 「キャッ!!ヨモ先輩っ!!」

ヨモ 「・・・」

ロマ 「だってぇ・・CCGが攻めてきたんですよぉ・・怖いから出来るだけ遠くに逃げるんですよぉ」

ヨモ 「・・・奴ら・・CCGはなぜ“あんていく”の存在を知った?」

ロマ 「えっ?!そんなの私が分かるわけないじゃないですかーっ!!」

ヨモ 「・・芳村さんが“アオギリ”と協力関係にあるというのは・・・ウソだ」

ロマ 「・・え?」

ヨモ 「“コクリア”からSS級の“ピエロ”が逃げたタイミングで“あんていく”に現れたお前を・・ある喰種が疑っていた」

ロマ 「な・・なんですか“ピエロ”って?!」

ヨモ 「お前は芳村さんに言ったそうだな・・・“眼鏡”とエトという喰種が付き合っていると」

ロマ 「・・え?」

ヨモ 「そのような事実はない・・・“眼鏡”はその嘘を“アオギリ”のノロという喰種にだけについた・・・それをなぜお前が知る?」

ロマ 「ちょ・・ちょっと待ってくださいよー!!何言ってるか分かりませんよー!!」


ウタ 「・・・ねえ、リーダー」

ロマ 「・・・ウタ」

ウタ 「僕さ、別にどっちでもいいんだよ。“ピエロ”でも、そうじゃなくても」

ウタ 「でも」

ウタ 「僕たちのナカマのイトリさんを殺したのは、いただけないかな」

ヨモ 「・・・そういう事だ」
ズモモモモ・・

ウタ 「安心してよ。上の戦い終わったら皆イトリさんのお店に集まるんでしょ?・・・僕らもコレ終わったらそこ行くから・・・寂しくないよ?」

ロマ 「・・・」


ロマ 「くっそ・・・あの変態・・・・」


――――――――――23区“アオギリ”アジト


ノロ 「・・・」
ずずず・・

タタラ「・・・ノロ?」

ノロ 「・・・・・」
ドロドロドロ・・・・グシャァアアア・・

タタラ「・・・ノロが・・崩れていく・・」


タタラ「ヤモリ、ナキ。行くぞ」

ヤモリ「うん。ケン君と一緒に戦うんだね」

タタラ「ああ。ケンは先に行っている・・・ケンの作戦を守るんだぞ」

ヤモリ「うん・・・さすがケン君だよ。慈愛に満ちた作戦だね・・ナキ、行くよ」

ナキ 「ハイッ神兄貴!!」


ガチャ
タタラ「・・・アヤト、合図があった」

アヤト「はァウッ!!い・・・今行きます!!」

タタラ「アヤト・・・なぜ半裸でパソコンを見ている?」

アヤト「えっと・・・その・・・暑くて!!」

タタラ「・・・そうか・・風邪をひくなよ」
ガチャン

アヤト(・・・タタラさんがピュアで助かった)

ここまでにします

おやすみなさい

こんにちは佳境に入りました

更新します


#035 [分断]


“あんていく”第4隊

亜門 「・・声が近づいている」


・・キャー!

・・・うっ!


亜門 「見えた!気を引き締めろ安久ッ!!」

シロ・クロ「「ハイッ!!」」


古間 「・・おや?新手が背後に」

カヤ 「ずいぶん奥まで配備されてたのね・・」


古間 「俺は女を!」
カヤ 「私は男をッ」


亜門 「食らえッ喰種――!」

犬面 「キャンッ」

亜門 「くそ・・なんて数だ」


アキラ「ハァッ!!・・・キャッ!!」

亜門 「アキラ?!大丈夫か?!」

アキラ「よそ見をするな・・しりを触られただけだッ//」

亜門 「くそッエロ猿がッ(ハァハァ・・//)」


シロ 「・・なんでこんなに変態が多いの?」
クロ 「・・お兄ちゃんはこんな奴らと一緒に働いてたの?」



「大変だ!田中丸特等が昇天してる!!」

田中丸「ンン・・おふぅ・・///」

カヤ 「・・」ニヤッ


シロ 「くそっ・・このエロ猿ども数が多すぎる!!」

クロ 「シロ!離れないで!!背中をつけていないとお尻を触られるよ!!」



古間 「・・ん?未チェックの子発見!!」ニヤァ

古間 「そォら!!」
もみっ

什造 「・・・なにしてるですか?」

古間 「・・何?!コイツ・・」

什造 「男の尻触って楽しいですかァ?」
ヒュンヒュンヒュン


ザクザクザク!!
古間 「馬鹿な・・俺様が性別を間違えるとは・・油断した!!」
ドサッ

什造 「フフ・・・さて、どうやって解体してあげましょうかねぇ?」

シロ・クロ(・・・助かった・・サンキュー玲)



カヤ 「アンタがここの親玉ね」

亜門 「・・・だったらなんだ?」

カヤ 「・・昇天させてあげるッ!!」
ヒュン!!

ガシッ!! キュルルルルルンン!!
亜門 「・・・・何をしている?」

カヤ 「ば・・バカな・・私のテクが効かない?!」

亜門 「残念だったな・・俺の発達したPC筋の前で貴様のテクニックは無意味だ!!」
ザシュウウウ!!

カヤ 「まさか・・そんなところまで鍛えているとは・・油断したわ」
ドサ


カネキ「・・・あ、どうも」

芳村 「・・来たね」

カネキ「すみませんね、待たせてしまって」

芳村 「いや、君の作戦だろ?私たちはそれに従うよ」

カネキ「どうもありがとうございます・・それじゃ行きましょうか」

芳村 「ああ・・・本当に私はすぐに離脱していいんだね?」

カネキ「ええ、“第1隊”とやらを引き付けることができれば十分です。芳村さんはその後の仕事をメインでお願いしたいので」

芳村 「うん、そちらは任せてくれ」

カネキ「じゃあ、まずは芳村さんが出て行ってください。お願いします」

芳村 「ああ。・・・そうだカネキ君」

カネキ「ん?」

芳村 「・・・ありがとう」

カネキ「・・・いえ」


ガラガラガラ・・・



馬淵 「・・!新手の喰種がポイントFに出現っス!」

吉時 「・・・ん?」

芳村 「・・・」

吉時 「やっとお出ましか・・・しかしずいぶんと店から離れたところに出現したな」

吉時 「・・まあいい。第1隊、“隻眼”が出た。ポイントFへ!」


芳村 「・・・奪う行為は等しく悪だ・・・」


篠原 「・・おいでなすったか」
黒磐 「・・・うむ」


芳村 「・・・まさか娘が奪われる日が来るとは思って居なかった」


宇井 「・・・先輩、何か言ってません、梟」
平子 「・・・」


芳村 「しかも噂では変態だという・・だが間違いなく彼は娘にとって必要な存在のようだ」


法寺 (・・・ずいぶんと長い独り言を言っていますね・・)


芳村 「この行き場のない気持ち・・・申し訳ないが君たちにぶつけさせてもらう・・!!」


篠原 「なんか理不尽な感じだが来るぞッッ!!」


ドドドドドドドドド・・!!

黒磐 「羽赫だ!避けろッ!!!」

ヒュン!

ズウウゥゥゥゥン・・
篠原 「負傷者はいないな・・宇井ナイスだ」

宇井 「いえ」


芳村 「・・・(あの状態から反撃をするとは)」
ザッ・・シュン!

宇井 「逃げる気か?!」

法寺 「追いましょう」


馬淵 「“梟”負傷して後方へ退避っす!」

丸手 「おお・・すげえな宇井の奴。奴がどんどん遠ざかっていく・・・ん?ヨシトキさん」

吉時 「マル・・喰種達はいずれも肉眼で追えないところまで遠ざかったようだ」

丸手 「それはすごいっすねヨシトキさん。ここはもう安全ですね」

吉時 「ああ、だがこれからここに残っている者たちで“喫茶店”の中を探索させる」


芳村 「・・・」

篠原 「・・隻眼さん追いつきましたよ」

芳村 「・・・・」
ヒュン

篠原 「おっと・・・逃げてばっかりいないで戦わないとね」

芳村 「・・・いいのかね?」

篠原 「?」

芳村 「後ろを見給え」

篠原 「??・・・宇井ッ!」

宇井 「?・・・う・・うわああッ!!」

平子 「な・・宇井・・なぜ裸で・・それにその目の周りは・・?」

法寺 「・・平子君・・君もです」

平子 「・・・なっ?!法寺さんも!」

黒磐 「む・・・儂等以外・・皆・・」
篠原 「どういう事だ・・・?!」




カネキ「・・・全裸っていいものですよ」
ぶらん


篠原 「・・・変態眼鏡!!(貴様はアソコだけだから全裸ってわけじゃないだろうが!!)」




「イヤッ・・服が!!」
「な・・なんで俺いつの間に裸に・・」
キャー!!
ワー!!


カネキ「僕が脱がせました。ついでにクインケとやらも壊しましたので」

篠原 「貴様・・・今度は皆に油性ペンで眼鏡の落書きを・・・ッ!」

カネキ「・・・だってその方がずっといい顔ですよ、みなさん」

黒磐 「む・・・油断した」
篠原 「ああ・・梟にすっかり気を取られていて後方の確認を怠った」

カネキ「それじゃあ行きますよ?」
ぶらんっ

篠原 「マズイッ・・・羽赫の攻撃が来る!!俺たちはアラタがあるが他の奴は全裸だ!!」
黒磐 「・・いや待て篠原」
篠原 「?」



バラバラバラバラ・・・

篠原 「・・・奴・・何かをばら撒いたぞ・・?」
ガシッ(キャッチ)
黒磐 「うむ・・これは・・飴だな」
篠原 「・・・飴?」


カネキ「僕からお菓子のプレゼントです・・もっと欲しい人は後で僕と一緒に遊びましょうね」


**

鉢川 「・・・穂木・・お前何持ってる?」

穂木 「・・・変な喰種がお菓子いっぱいくれたの・・・僕と遊ばない?って」

鉢川 「・・・誘拐犯か」

**


カネキ「あなた達・・どうですか気分は?アナタ達以外皆全裸ですよ・・・CFNMな気分ですか?あ・逆か」
ぶらんっ・・・・ぐぐぐぐぐぐ・・⤴


篠原 「変態眼鏡・・・貴様は今まで出会った喰種の中で・・一番イカれてやがるねッ!!」


亜門 「・・雌犬・・貴様の戦いを見ていた・・貴様は・・・一人も物理的には殺さなかったな」

カヤ 「・・・フン」

亜門 「・・だが貴様は過去に多くの人間を殺した・・」

カヤ 「分かってるわ・・・私の負けよ・・さっさと殺しなさい」

亜門 「・・・ああ」

ヒュル ヒュル・・・ドドドドドド!!
亜門 「・・・・グッ!!新手か!!」

トーカ「・・・離れろ」

亜門 「ウサギのマスク・・貴様も喰種だな」

トーカ「・・・離れろって言ってんだろーがァァア!!!」
ドドドドドドドドドド!!!

カヤ (・・・トーカ・・なんで・・来たの)

亜門 「ああ・・・お前のような喰種ならためらわずに殺れそうだ・・アキラ援護を」

アキラ「ああ!!」


・・ブス
什造 「おかしいですねー・・さっさと赫子出してくださいよォ・・もっと刺してほしいですか?失血死しますよー?」

古間 「・・・ぐ・・」

シロ・クロ「「・・・」」

什造 「・・しょうがないですね・・それじゃさような・・」

シロ・クロ「「・・・什造上!!」」

什造 「・・・ら?」
ザシュ

什造 「あれ・・・僕の右手が無いです」


ヒデ 「・・・お前にも同じ痛みを味あわせてやるよ」
ヒュン!!

什造 「・・新手ですか?・・あれ?」ドスッ・・

シロ・クロ「「什造!!下がってて!!アンタが失血死する」」

什造 「・・・う・・油断しました」
・・ドサ

ヒデ 「・・・ハハ・・びっくりだよ。ニュースで見たんだ。“あんていく”襲撃・・・もしかしてシロクロちゃんがばらしたって事・・ねーよな?」

シロ・クロ「「・・違う!!もうやめて!!」」

ヒデ 「・・・とりあえずさ、そこ退いてくんねー?」

シロ・クロ「「ダメッ!お兄ちゃん什造のこと殺すつもりでしょ?!」」

ヒデ 「当たり前じゃん・・CCGは“当たり前”に喰種を殺すんだろ?だから俺も、そういうCCGの奴を“当たり前”に殺すだけ」

シロ・クロ「「お兄ちゃん・・お願い辞めて!!カネキさんに会ってないの?コレが終われば・・全部上手くいくかもしれないのに!!」」

ヒデ 「・・・カネキが絡んでんのか・・そういや着信いっぱい入ってたっけな・・・・でもさ、そのために・・“あんていく”の皆が殺されるのはダメなんだよ」


シロ・クロ「「お兄ちゃん・・・どうしても退いてくれない?」」

ヒデ 「・・ああ」

シロ・クロ「「・・・じゃあ私たちが相手になるよ・・せめて・・・私たちがカタを付ける!!」」

ヒデ 「・・・ああ」

シロクロのクインケとヒデの赫子が幾度となく交わった。
しかし躊躇いが、お互いの攻撃の手を甘くしていた。

ヒデ 「・・・なんで・・泣きながら戦ってるんだよ」

シロ・クロ「「だって・・こんな戦い・・したくなかった!!」」

ヒデ 「・・・でもしなきゃなんねーんだろ?」

シロ・クロ「「・・・お願い・・もう・・」」

ヒデ 「・・・」


・・・その瞬間。

黒い風が3人の間を通りすぎた。
紅い目をさらに血走らせながら羽赫で飛び去る喰種の風が3人を通りすぎ第4隊別班をめがけ飛んでいった。

クロの右半身を巻き込んで。


シロ 「え・・・黒奈?」

ヒデ 「ク・・クロちゃん!!」

クロ 「・・・あれ・・・?私・・どうなってるの?・・・がはっ・・!」
・・ドサ

シロ 「ク・・ロ・・・?」

ヒデ 「あ・・・ああああああああああ!!!」


アキラ「・・・上等殿、トドメを頼む」

亜門 「ああ・・“ドウジマ”」
ビィィィイン

トーカ(・・・・・みんな・・お父さん・・・ゴメンなさい・・)

亜門 「ハァァッ!!」

・・・瞬間、トーカの前に黒い風が吹いた。
ザシュウウ!!

亜門・アキラ「?!」


アヤト「ガッ・・ハ・・・弱いくせに出てきてんじゃねーよ・・・クソトーカ・・」

トーカ「・・・ア・・ヤト・・」


アキラ「亜門上等!新手だ!!」

亜門 「クッ・・・食らえ!!」
ザンッ!!

ヒュン!!

アヤト「グアアアアッ!!」
ドサ

トーカ「ア・・ヤト・・・ッ!!」


トーカ(な・・んで・・・)

ヒデ 「・・・・」


アキラ「亜門上等ッ!!腕がッ!!!」

亜門 「・・・な・・」


ヒデ 「・・・トーカちゃん」

トーカ「・・・ヒ・・・デ」



亜門 「・・・くっ!!」
アキラ「は・・早く止血を!!」
亜門 「すまない・・油断した・・だが・・“大喰い”は・・クッ」
アキラ「そんなこと言ってる場合ではない!私が医療班に連れていく!!」


ヒデ 「は・・ははは・・・・俺・・何してんだろ・・」

トーカ「ヒデ・・すぐに・・また奴らが来る・・・逃げて・・」

ヒデ 「コマさんもカヤさんもトーカちゃんもシロクロちゃんも・・・こんなに傷ついて・・・俺・・誰も救えてない・・・リョーコさんに言った事・・・何も守れてない・・」

トーカ「・・・ヒデ・・・」

ヒデ 「はは・・・・はははははははは・・・」


トーカ「・・・・ヒデ・・ゴメン・・私も・・何も出来なかった」
ドサッ



丸手 「馬淵ィ・・どうだ勝利の様子は?」

馬淵 「第1隊・・黒磐、篠原両名を残しその他の職員全員全裸で戦闘不能・・・宇井準特等の周りにその他の隊員が集まってまッス」

丸手 「・・は?」

馬淵 「おそらく宇井サンが本当に男か確認してるんじゃないっすか?」

丸手 「そういう事言ってんじゃねぇ!!“梟”はどうなった?」

馬淵 「モニタに映ってません・・・やべぇ、篠原サンと黒磐サンが戦ってるの変態眼鏡だ・・あそこのデカさパねェ・・」

丸手 「おいおいどういう事だァァァ!!他の隊は?」

馬淵 「第2隊・・田中丸サン昇天してます・・やべぇ・・田中丸サンもパネェデケェ・・」

丸手 「おいおいおい・・やばいじゃねーか!!」

馬淵 「第3隊・・鉢川サンは大声でサルと連呼しながら対象を探してまッス・・たぶんロストしてますね・・・あッ!!2隊と3隊の間に“アオギリ”と思われる集団が出現してます。2隊と3隊の他の職員が応戦中」

馬淵 「第4隊・・亜門サン右腕損傷、手当てを受けてます・・その他の隊員は・・・やべぇ・・マジやべぇ・・!!」

丸手 「どうしたッ?!」

馬淵 「大喰いっス!!片っ端から隊員を殺してます・・・・ん?今一瞬モニタに“隻眼”っぽい奴が映ったっす」

丸手 「どっちに向かった?!」

馬淵 「北に向かってます。ここから離れていきますね」

丸手 「くそッ・・回せる隊員居ないのかッ!!」

馬淵 「どの隊も離れていて、しかもここから遠いので時間かかりそうっす・・・とりあえず第1隊のヒトたち向かわせるッす。全裸ですが怪我はないので」

丸手 「やべぇ・・・このままじゃ有馬が来るまで持たねぇ・・!!」


吉時 「・・・喫茶店の中の様子はどうだ?」

無線 『・・綺麗に片付いています・・1階には誰も居ません。続けて2階に行きます』

吉時 「ああ。慎重に行け」

無線 『はい』

吉時 「・・一旦中に入ってモニタをチェックするか」

側近 「そうですね、局長」

高槻 「・・・あのー」

側近 「?!」

高槻 「な・・何ですかこの騒ぎは・・・?」

吉時 「あなたは・・住人の方ですか?」

高槻 「は・・はい。ずっと寝てて・・起きたらなんか外が騒がしいので・・」

側近 「警報が聞こえませんでした?」

高槻 「え?・・警報??」

吉時 「危なかったですね・・・我々はCCGです。この先に喰種の巣窟となっている建物があったので捜査をしていました。警報を鳴らしたのですが・・タイミングが悪かったようですね」

高槻 「ひゃっ!!それは怖いですね・・」

吉時 「民間人の安全確保は最優先だ。おい、この方を安全なとこまでお連れしろ」

側近 「はいッ」


高槻 「・・・それにしてもCCGの方全然いないですね・・なんか遠くの方が騒がしいですけど、あっちに居るんですか?」

側近 「ええ。ここは作戦本部なので」

高槻 「そうですか。それは安心しました。作戦がうまくいったようで」

側近 「ん?どういうこ」
ズシャッ
側近の首「とですぅぅぅ・・」

吉時 「?!」

高槻 「油断したアンタが悪いよ」
ザシュッ!!

吉時 「バ・・バカな・・・包囲は完全だったはず・・貴様・・どこから・・」

高槻 「アンタ・・“和修”?」

吉時 「・・・!!・・・そうか・・・端から・・俺だけを・・狙っていたのか・・ぐ・」

高槻 「オヤスミ」
ザンッ


高槻 「あとはモニタルームか」


馬淵 「丸手さんッ!!0番隊到着しましたッス!!」

丸手 「おッ・・あぶねぇ・・間に合わないかと思ったぜ・・とりあえずヨシトキさんに伝えて・・ん?」

ドシュ
馬淵 「・・」
・・ボトリ

高槻 「モニタの方向を見たまま目をつぶり手をあげろ」

丸手 「マジかよ・・ここまで入ってきたってのか?」

高槻 「早くしろ」

丸手 「・・・くっ・・・貴様・・ここまで来たってことはヨシトキさんは・・」

高槻 「・・・お前は知っているのか?CCGの実態を」

丸手 「・・・そうか・・・だからヨシトキさんを狙ったか・・」

高槻 「・・・クインケを全て出せ」

丸手 「持ってねーよ・・あんな胸糞悪い玩具」

高槻 「・・・・・」

丸手 「はぁ・・俺もここまでか・・なあ喰種」

高槻 「・・・」

丸手 「お前・・全部知ってる奴なんだろ?・・だったら・・ちゃんと最後までこの世界の歪みを直せよ」

高槻 「・・・ウン。さよなら」

ヒュンッ
丸手 「・・・ぐ」
ドサ

ここまでにします

あんていくの状況が一気に起こりすぎてよく分からん
黒い風はアヤト?そして死亡?

>>814分かりづらくてすみません。内容に反映させていきます

続きです


#036 [鯖江]


カネキ「二人とも、あのダサい眼鏡よりも遅いですよ」
ぶらん

篠原 「ぐっ・・」
黒磐 「・・・むう」

法寺(全裸)「・・・あの二人でもだめですか・・」

宇井(全裸)「さっきの接触で完全にアラタを剥がされましたね・・」

平子(全裸)「・・・まずい・・また来る」


ビリビリビリ!!
カネキ「・・これでお二人ともパンツ一枚ですね」
ぶらん

篠原(パンツ)「オニヤマダが・・欠けるとはね・・」
黒磐(パンツ)「篠原・・諦めるな!」

カネキ「いきますよ」
シュンッ!!


宇井(全裸)「ダメだッツ・・!」

篠原(パンツ)・黒磐(パンツ)「「クッ・・・ん?」」

カネキ「お二人がブリーフ派で助かりました。入れやすくて」

篠原(パンツ)「パンツに・・駄菓子が・・」
黒磐(パンツ)「・・・うむ・・コケにされとるな」

カネキ「そろそろ潮時ですかね」


法寺(全裸)「逃げる気・・ですかね?」

平子(全裸)「いや・・・間に合った」


「・・・ナルカミ」
バチバチバチィ!!


ひょい
カネキ「来ましたね・・・待ってましたよ!!」
ぶらん

篠原(パンツ)「有馬ッ!!」

有馬 「・・皆さんは服を着て下がっていてください」



カネキ「眼鏡、買い替えたんですか?」

有馬 「ああ・・・お前のせいだ」

カネキ「で・・またそんなダサい眼鏡にしたんですか」

有馬 「ナルカミ」バチィ!

カネキ「おっと」ひょい
ぶらん

有馬 「・・・だったらお前のメガネはどうなんだ。マスクにはめ込んでいる伊達メガネじゃないのか?」

カネキ「ええ、これはね。ていうか僕は“掛ける”方じゃなくて“愛でる”方なので」

有馬 「・・自分で掛けない奴に、とやかく言われる筋合いはなIXA」ドオオオオオ!!

カネキ「あぶねっ!!・・フェイント掛けたな。アンフェアですよ」

有馬 「・・人の眼鏡に落書きする奴にアンフェアもくそもなIXA遠隔操作」ドオオオオオオオン!!

ひょい
カネキ「よっと・・今のは読めました」
ぶらん

有馬 「・・・変態眼鏡・・お前と無駄話をする気はない」


カネキ「いや、僕はあなたに言いたいことがあります。有馬さん・・でしたっけ?そのメガネどこで買いました?」

有馬 「・・・答える義務はない」

カネキ「当ててあげましょうか?ずばりJ●NS!」

有馬 「・・だったらどうなんだ?」

カネキ「ふっふ・・流行乗っちゃいましたか・・“クールなメタルフレーム”ってヤツですかァ?それとも流行りの“エアフレーム”ですかぁwww」

有馬 「ナルカミ」バチバチィ!

ひょい
カネキ「もう・・いちいち攻撃しないでくださいよ!」
ぶらん

有馬 「自分で掛けないお前には分からないかもしれないが・・仕事で使うには軽い方がいい」

カネキ「あーダメだ・・分かってない・・全ッ然分かってない・・・よっと」
シュン!!

有馬 「あ・・お前!メガネ取ったな!!」

カネキ「ふーん・・確かに軽いですね」

有馬 「返せ!!ナルカミナルカミナルカミ!!」バチバチバチバチ!!

カネキ「全部明後日の方向に行ってますよ・・結構目悪いんですね」

有馬 「だから眼鏡かけてるんだろうが」

カネキ「・・・だったらコンタクトにすればいいんじゃないですか?」

有馬 「・・・」

カネキ「分かってますよ・・・有馬さん。あなたがそうまでして眼鏡をかける理由」


有馬 「・・・」

カネキ「眼鏡が好きなんですよね?・・・僕もそうです。僕は愛でる側ですが、あなたは掛ける側として・・」

有馬 「・・・だったら返してくれ」

カネキ「返しません」

有馬 「貴様」

カネキ「返しませんが、プレゼントがあります」

有馬 「・・・?」

カネキ「フルオーダーメイドのメガネです・・よっと」
ぶらん

すちゃっ
有馬 「・・・これはっ・・!」

カネキ「折り畳み式眼鏡“トラビット”です。聖地、鯖江市まで行ってオーダーしてきました」

有馬 「・・なんという軽さと機能性・・そしてフレームの発色・・・私にくれるのか?」

カネキ「仕事忙しくてなかなか福井県までいけないでしょう?この間落書きしたお詫びも込めてです」

有馬 「・・・変態眼鏡・・・お前は・・」

カネキ「勘違いしないでほしいのは、僕は別にJ●NSが悪いとは言っていない。むしろメガネ界に革命を起こしたメーカーとして尊敬しています。ただ、それが万人に似合うという訳ではない・・・そしてあなたにはその眼鏡が似合うと思った・・それだけです」

有馬 「・・・」

カネキ「それじゃ、そろそろなので。さようなら」
シュン!!

有馬 「変態眼鏡・・・・あ!ナルカミッ!!」バチバチバチィ!!

有馬 「遠すぎる・・届かないか」



宇井 「やった・・・有馬さんが変態を追い払った!」

篠原 「・・だが・・今の俺達では奴にとっては赤ん坊と一緒だね・・何か策を考えないと」


有馬 「・・・他の戦局は?」

黒磐 「うむ・・・先ほどから本部からの指示がない」

篠原 「そういえば周りも静かだね。他の班はどうなったのかな?」


アキラ「黒磐特等ッ!!!」

黒磐 「む・・真戸・・それに亜門」

篠原 「む・・ムキムキ・・・お前・・腕が!!」

亜門 「・・・スイマセン・・油断しました」


奈白 「黒磐特等!!」

黒磐 「安久・・と鈴屋か」

奈白 「玲・・什造の手当てを早くお願いします!」

黒磐 「うむ・・・・黒奈は?」

奈白 「・・・殉職しました」

黒磐 「・・・うむ・・・そうか・・・医療班はどうした」

アキラ「医療班も含め第4隊はほぼ全滅いたしました・・・突然現れた“大喰い”によって」

篠原 「・・・なんだって?!」

黒磐 「・・・とにかく本部の局長の元へ行くぞ。無線が壊れているのか全く応答がない」


***


篠原 「これは・・・・・・やられた・・本部が襲われたのか・・!!」


――――20区『隻眼の梟 討伐戦』
(後日裁判所に証拠として提出された内部作戦報告書より)

[全体死亡者]
第0隊・・・死亡者なし
第1隊・・・死亡者なし
第2隊・・・死亡者なし
第3隊・・・死亡者なし
第4隊・・・死亡者87名
指揮部・・・死亡者3名

[負傷死亡者名簿]
軽傷・・真戸暁二等、丸手斎特等、安久奈白三等
重症・・亜門鋼太郎上等、鈴屋什造二等・・他多数(全て第4隊)
死亡・・馬淵活也一等、安久黒奈三等、和修吉時特等・・他多数(全て指揮部と第4隊)

[その他]
多くの女性職員がPTSDを発症。
多くの男性職員が社会的に死亡。
第1隊に属する全ての職員が衣服を破かれ、顔に油性ペンで落書きされる。

[討伐喰種]
SSS級・・なし
SS級・・エロ猿(死体確認できず)、雌犬(死体確認できず)
S級・・白ウサギ(死体確認できず)、黒ウサギ(死体確認できず)
A級・・エロ猿配下の喰種多数、雌犬配下の喰種多数
B級以下・・A級に同じ

※なお特別功労者の項目は組織改廃に伴い無効となったため省略



――――――――――23区“アオギリの樹”アジト

カネキ「・・・ただいま」

エト 「ケンっ!!」
ぎゅううう

カネキ「よかった・・・エトは無事だったんだね」

エト 「ウン・・ケンも無事でよかった」

タタラ「ケン・・お前の作戦通りだ・・・・ただ・・アヤトが死んだ」

カネキ「・・・え?!」

タタラ「ケン・・お前のせいではない・・アヤトの姉が居たらしい。アヤトは姉を守るため隊列から外れ一人突進していった・・・・・くそッ!!」

カネキ「アヤト君・・・そうか、トーカちゃんが居たのか・・・ゴメン・・君を守れなかった」

タタラ「・・・アヤトの死体は持ち帰った・・ほとぼりが冷めたら墓を作ろうと思う」

カネキ「・・ええ」

ナキ 「うっ・・うっ・・アヤドォォォーー!!」

ヤモリ「・・・アヤト君・・今は静かに君の冥福を祈るよ・・僕にはそれしかできないから」


エト 「・・・アヤト君の死体はとりあえず私が処置します・・・このままじゃ腐っちゃうので」

タタラ「ああ・・・頼む」

タタラ「・・・アヤト・・・お前と一緒に修学旅行に行きたかった・・」

カネキ「・・・タタラさん」


カネキ「・・・アヤト君・・君が好きだった姉萌え系のPCゲーム・・一緒に埋めてあげるからね・・トーカちゃんの私物も」

エト 「ケン・・ちょっといい?」

カネキ「あ・・エト」

エト 「・・・隣座るね」

カネキ「うん」


・・・


エト 「・・・君の立てた作戦完璧でした。指揮部に居たのは4名で君の読みよりやや少なかったですが」

カネキ「・・・ごめんなさい。エトに殺しをさせてしまって」

エト 「ううん、いいの。いつかは殺さなきゃいけない奴だった」

カネキ「・・・じゃあやっぱり“和修”が居たんですね」

エト 「ウン・・・君と“アオギリ”、それに“あんていく”が指揮部からCCGを遠ざけ、さらに派手な戦いをしてくれたおかげで、本当に一瞬で終わりました・・・まあ君がどんな戦いをしたかは聞きませんが」

カネキ「・・・後は、芳村さんが動いたのを確認して最終段階です」

エト 「・・・だね。ちゃんヒナに連絡するのはすべてが終わってからかな」


エト 「あ、そうそう。お腹すいてない?」

カネキ「え?まあそういえば少し・・・あ、僕駄菓子持ってるけど食べる?」

エト 「コラ。私たちがそれを食べられるのは秘密ですよ?」

カネキ「あ、そうでした」

エト 「ここにお肉があります」

カネキ「・・ええ、どこから持ってきたんですか?」

エト 「そんなことはいいから食べなさい」

カネキ「エトは食べないの?」

エト 「私は女子なので夜9時以降の食事は控えています」

カネキ「えっと・・一応聞くけどその肉は誰の肉?」

エト 「いいから食べろ」
グイ
カネキ「もがががが!」


・・・ごっくん

カネキ「なんて強引に食べさすんですか!」

エト 「だって君が嫌がるから・・・で、どうです?」

カネキ「いつも・・・先生が家でご馳走してくれる味でした」

エト 「じゃなくて性的嗜好に変化は?」

カネキ「・・・はい?」


エト 「こ・・・ここに、男性が読む雑誌があります///」

カネキ「コミックエルオー・・エトが買ってきたの?」

エト 「死ぬほど恥ずかしかったです///」

カネキ「・・でこれが何ですか?」

エト 「この本を見てどう思いますか?」
ぴらっ

カネキ(正直大好物だけど・・・あれ?)

カネキ「ぐううう・・!!」
ズググググ!!

エト (・・・やはり)


コンコン
タタラ「エト、ケン、お取込み中悪いがちょっといいか」

ガチャ
エト 「どうしました?」

タタラ「宿の件でケンに相談が・・・って赫子とか色々出てるけど大丈夫なのか?」

カネキ「ぐああああッ!!」

エト 「大丈夫です。アヤト君を失った失った悲しみを全身で表してる的なアレです。少しそっとしておいてあげてもらえませんか?」

タタラ「あ・・ああ分かった」
ガチャン


エト (聞き取り調査の結果、現在ケンはドナートを喰わされたことでロリコンになっている・・・ここでシスコン(姉)のアヤト君を喰わせれば中和されてノーマルな状態になる可能性があるッ!!)

カネキ「赫子が・・おさまらない・・・ッ!!」

エト (がんばれ、ケン!)



カネキ「駄目だ・・!!一旦幼女を誘拐して性的な意味で喰おう・・!!」

カネキ「・・・!!!」

カネキ「・・違うッ!!何を言ってるんだぼくはぁぁぁぁああ!!幼女じゃあお姉ちゃんになり得ないじゃあないかぁあああ!!!」

エト (がんばれ・・頑張れ、私のケン!!)

カネキ「誰か・・」
カネキ「いやだ・・」
カネキ「たすケて・・」
カネキ「こノままジゃ・・」


エト (がんばれえええええ!!)


カネキ「・・・」

エト 「・・・ケン?」

カネキ「・・・エト」

エト 「・・うん」

カネキ「駄目だよ・・この本じゃ」

エト 「・・・!!それじゃあ!!」

カネキ「年上の幼女って存在を3次元に存在させるために、僕は何ができるんだろう?」

エト 「配合失敗だああああ!!!」

ここまでにします

こんばんは

後2回の更新で終了です。
今日中に終わると思います。
まずは半分まで更新します。

久々のギャグなしです


#036 [審判]


エト 「ケン、ケータイ鳴ってますよ」

カネキ「あ、ハイ。メールです」

カネキ「・・・エト。芳村さん、動いたみたい」

エト 「もう?」

カネキ「うん。僕は急いで嘉納先生に連絡をします。エトは24区と有馬さんに連絡を」

エト 「そうだね。慌ただしいなぁ」


********


芳村 「芥子」

芥子 「・・功善よく生き残ったな」

芳村 「ああ・・仲間が守ってくれた」

ヨモ 「・・・」
猿面喰種達「・・・」
犬面喰種達「・・・」

芥子 「そいつらか・・くっくっく」

芳村 「・・・」

芥子 「だがもうあの喫茶店には帰らんだろう?」

芳村 「ああ・・戻ればまた襲撃される。仲間たちを危険な目に遭わせることはできない」

芥子 「なぁくぜえええん。もう一度チャンスをやろう。“隻眼の梟”の居場所を吐け。そうすればお前とお前の仲間たちをVに招いてやろう」

芳村 「・・・わかった。隻眼の梟は24区に居る。詳しい場所は残念ながら分からない」

芥子 「ほぅ!仲間たちには替えられないか・・クックック・・いいだろう24区には後々仲間を送る・・まあ本音を言えばお前自身に行ってもらいたいがな。お前を越える戦闘力を持った者は中々いない」

芳村 「・・・」

芥子 「では行こうか・・新たなVの仲間たち。歓迎するよ」


芳村 「・・懐かしいなここは」

芥子 「ずいぶんと仲間は減った」

芳村 「・・CCGがうまくやっているからだろう・・・と言うよりCCGサイドの人数が増えたという事だろう」

芥子 「相変わらず鋭い奴だ・・・まあVに身を置いていればCCGに狙われることは無い」

ヨモ 「・・・どういう事だ?」

芥子 「ふ・・貴様もこれからはVだからよく知っておけ・・V≒CCGだからな。均衡を守るという一点では我々は協力関係だ」

ヨモ 「・・・」

芳村 「なあ芥子よ」

芥子 「なんだ?」

芳村 「まさか仲間はここに居るだけか?」

芥子 「いや、24区に行った。お前の情報を聞いてな」

芳村 「相変わらず手の早い奴だ」

芥子 「クックック・・お前の気が変わっては困るからな」

芳村 「・・・と言うことは残りの構成員はここに居るもので全てか」

芥子 「ああ・・・何故だ?」

芳村 「なに・・仕事は簡単そうだなと思ってな・・・お前を除いては」

芥子 「・・・・まさか功善貴様ッ!!」

犬面 「・・・終わりました」

ヨモ 「・・・アジト内の全ての喰種は片付けた」

芥子 「貴様らッ・・・はじめからそれが目的かッ!!」
ズズズズズズ!!

芳村 「みんな下がっていなさい。こいつは私しか相手に出来ない」


芥子 「舐めてもらっちゃあ困るよォォ功善よォォ!!」

芳村 「舐めてなどいないさ」
ズズズズ・・・!

芥子 「喫茶店の主などという甘えた世界に身を置いたものが私を討てるかァァ?」

芳村 「・・ああ分かっているさ」
ガシッ

芥子 「なっ?!貴様?!」

芳村 「この距離で私の持ちうる全力での羽赫の攻撃を行う。同時に周りに居る私の仲間たちが私ごとお前を討つ」

芥子 「正気か?!貴様も跡形もなくなるぞ?!!」

芳村 「正気さ芥子。一緒に逝こう。旧き友よ」

芥子 「やめろォォ!貴様・・俺たちが滅んだら均衡はどうなる?!人間どもの力が強まりいずれはお前のナカマもお前の子もッ!!」

芳村 「芥子・・・それは今の世代の者たちが考えることだ。我々老人は去ろう」
キイイイイイイイイイイィィィィィィンンン!!!

芥子 「よせェェェェェェ!!!」

芳村 「ヨモ君、皆、あとは頼んだよ」


――――――――――1区、CCG本局

常吉 「・・・吉時・・なぜ指揮部がやられたのだ・・」

コンコン

常吉 「・・・入れ」

ガチャ

有馬 「失礼します」


常吉 「・・・今回の“隻眼の梟”討伐・・・失ったものの方が多かった」

有馬 「申し訳ございません」

常吉 「駆逐数はかなりのものだが、S級以上の喰種の死体は確認できず、肝心の“隻眼の梟”は討てなかった」

有馬 「・・・」

常吉 「有馬・・・死んでしまった吉時に代わり、新たな作戦の最高責任者にお前を任命する」

有馬 「・・・それは赫包を人間に埋め込む実験でしょうか?」

常吉 「・・・そうだ。吉時から聞いていたか?」

有馬 「いえ・・・テレビをご覧になっていませんか?」

常吉 「・・・?」

有馬 「元CCGの医療部であると名乗るものが、CCGが人間を喰種化させる人体実験を行っているということを複数の証拠とともにメディアやインターネットに発表しています」

常吉 「な・・・なんだと?」

有馬 「さらにはドイツ支局とここ日本の本局の前身組織が、最初の喰種を人間から造ったという証拠も提出されています。総議長のお父上である吉雨氏もその実験に関わったとか」

常吉 「バ・・バカな・・・!!」

有馬 「我々は国家公務員です。我々が喰種を作り出し、そしてそれを倒し続けるというマッチポンプに税金が使われていたという事実に国民の追求は逃れられません」

常吉 「なぜ・・・何故そんなことがッ!!」


有馬 「“V”という喰種集団が壊滅しました。どうやら喰種同士の争いのようですが」

常吉 「・・・Vまで・・ッ」

有馬 「やはりご存知でしたか・・・壊滅したVのアジトから、VとCCGの繋がりを示す証拠や通信記録が多数押収されています」

常吉 「・・終わりだ・・・儂の父がアダム・ゲッヘナーとともに作り出したシステムが・・・!」

有馬 「我々は裁かれます。多くの人間を殺し、世界を欺き続けた罪で。私はあなたをしかるべき場所へお連れするためにここに来ました。お孫さんの政氏もすでに拘束されています」

常吉 「なぜだ・・・お前もタダでは済まんぞ!!それに機密文書には実名は載っていないはずだ!」

有馬 「残念ながら、ある作家がノンフィクションと銘打って小説を出版し、その中にあなたのお名前も出ています。発売時期から考えて元CCGの告発に意図的にあわせています。人気作家であったこともあり、多くの一般人の目に触れてしまっています」

常吉 「クッ・・・・全て・・仕組まれていたのか・・・」

有馬 「・・行きましょう。和修総議長」

常吉 「・・・待て。儂にはもう一つ選択肢がある」

有馬 「・・何ですか?」

常吉 「儂とて元はSSSランク喰種討伐者だ。一人でも逃げ延びる自信はある。お前が儂を見逃してくれるならお前にもそれ相応の報酬を渡そう。望むなら儂とともに来ないか、貴将」

有馬 「それは不可能です」

常吉 「なんだと?」

有馬 「すでにこの部屋の外には他のCCG職員が待機しています」

常吉 「クッ・・!」

有馬 「それに私は・・・あなた達を許しはしないからです」

常吉 「なんだと?!・・お前を見出しCCGに籍を与えたのはこの儂だ!」

有馬 「ええ・・今日のこの日を待っていました。そのために素性を隠し危険な橋を渡り、多くの喰種を殺し、CCG特等捜査官となった。喰種を生んだ存在を滅ぼすために」

常吉 「素性・・?貴様は・・孤児だったはず」

有馬 「ええ・・両親とも亡くなりました。父親は人間に殺され、母親は喰種に殺されました」

有馬 「・・・」・・ギンッ

常吉 「・・隻眼ッ!!まさか・・貴様が均衡を崩そうとする喰収集団“アオギリの樹”の・・・」

有馬 「“隻眼の王”は存在しない。“喰種”としては・・・行きましょう。あなたは人として裁かれます」


それからおよそ半年が過ぎた。





――――――――――1区“Rc症候群患者管理局CMR(Commision of Management Rc-syndrome patient)”


アキラ「亜門・・課長補佐。ここに居たか」

亜門 「アキラか」

アキラ「しかし呼びなれないな。この肩書は」

亜門 「そうだな、真戸主任」

アキラ「ハハハ・・なんだ?珍しいな君が空き時間に筋トレでなく本を読んでいるなんて」

亜門 「いや、ブックカバーは10kgの特製だ」

アキラ「相変わらずだな、この筋肉馬鹿が。で、何を読んでるんだ?」

亜門 「筋肉をバカにするな・・・高槻泉の例の本を読んでるんだ」

アキラ「ああ・・私も読んだ。我々をモデルにした捜査官が出ているな。この甘党で部下の家で筋トレをする“不動捜査官”は明らかに君だな」

亜門 「やはりそう思うか」

アキラ「ああ。物語の筋書きはフィクションだが、実在する人物はbold(太字)で、モデルが居る人物はこの不動捜査官のようにイタリック体で名前が記されている・・・和修をはじめとするCCGを告発する目的で書かれたのは明らかだからな」

亜門 「・・・喰種が造られた経緯や、Vという喰種集団のことなど、細かい内容も嘉納医師の提出した証拠と一致しているな・・嘉納医師は高槻泉と面識がなかったというから、高槻は自分で取材してこれだけの内容を書いたという事だ・・全く恐れ入る」

アキラ「フフ・・そうだな。我々に取材に来た時のおちゃらけた雰囲気からは想像もできんな」

亜門 「あの一緒に来たアシスタントの青年がよっぽど有能なのかもしれんな」


アキラ「・・・そういえば見たか、公表されたCCGによる喰種化被害者名簿」

亜門 「・・ああ。俺の同期の名もあった」

アキラ「私の母の名もだ・・・24区で死んだとされた捜査官の多くは喰種による捕食だけでなく、その実CCGの喰種化被害者であったわけだ・・・父が生きていたらなんて言っただろうな」

亜門 「アキラは・・・良かったのか?CMRの職員となって」

アキラ「・・・確かに世間のバッシングは大きいな。CCGの裏の顔を知らなかった我々のような末端職員であっても、一般人からすれば非人道的な殺人鬼だ」

亜門 「・・・」

アキラ「だがな、CMRの喰種化被害者保護活動と、喰種による犯罪を取り締まれるのは、喰種を良く知る私たち元捜査官だけだ・・・きっと父も母もそれを望むだろう」

亜門 「そうだな。俺も同じ思いだ・・・・ただしアキラ、“喰種”は差別用語だ。ちゃんと“Rc症候群患者”と言え」

アキラ「うむ、そうだったな。長くて言いづらいが。・・・しかしそう考えるとその本は貴重だな。差別だなんだと世論が騒ぎ出す前に書かれたものだから我々になじみのある用語で書かれている」

亜門 「確かに。この本に限っては、逆に過去の事実を正確に伝えるためという理由で改定はされていないしな」

アキラ「・・・そうだ、君に重要な事を伝えるのを忘れていた」

亜門 「ん?どうした?」

アキラ「丸手局長が君を呼んでいた。午後イチで来いとのことだ」

亜門 「そうか。分かった」


亜門 「失礼します」

丸手 「よう、亜門。相変わらず鍛えてるか?」

亜門 「ええ、もちろんですよ。で、どうしました?」

丸手 「おぅ・・実はな、ちょっと厄介な件だ」

亜門 「?」

丸手 「・・・CCG解体以降、玩具は作られてねぇ」

亜門 「ええ、非人道的なものとして禁止されましたね」

丸手 「だから、今現在その玩具を保管してるのは、お前をはじめCMRに移籍することを望んだ捜査官だけっつー訳だ」

亜門 「・・・まさかRc症候群患者の犯罪ですか」

丸手 「・・ああ。それも飛び切り厄介な奴だ」

亜門 「患者には、国の補助でRc抑制剤の投与と幹細胞から造った肉の配布が無償で行われています・・・彼らにしてもリスクを冒して人を殺すよりも補助を受けた方が良いはず。法整備後、初期に多数みられた補助制度を知らない者の犯行であれば、説得すればよいのでは?」

丸手 「いや・・・コイツは恨みで人を殺してやがる。今まで被害者が明らかにならなかったのは、コイツがCMRに移籍しなかった元CCG職員を狙ってたからだ。それにコイツは喰・・いやRc症候群患者も多数殺して喰っている」

亜門 「それは・・・厄介ですね。赫者にでもなったりしたら・・」

丸手 「残念ながらすでに“赫者”になっている・・・だから戦闘力の高いお前に頼もうと思ってるんだよ」

亜門 「・・・そうですか。写真や名前はあるんですか?」

丸手 「本名は分からねぇ・・・だが俺たちがCCGだった頃、通称“大喰い”と呼ばれてた男だ」

亜門 「!!」


丸手 「大喰いは24区を根城にしてるみてぇだ。あそこはまだ隠れてるRc患者が多いからな」

亜門 「・・・24区ですか」

丸手 「今回は、大喰いの居場所特定のために『特務課』に応援を願うことになってる。第一係の入見係長に話を聞け」

亜門 「承知しました」


***


亜門 「入見係長は居ますか?」

「はい、居ますよ・・・えっと・・」


カヤ 「コラ万丈!アンタは何度言ったらちゃんとした書類を作れるの!!」

バンジョー「す・・スンマセン入見さんっ!!」

「入見さーん、管理課の亜門さん来てますよー」

カヤ 「え?・・ああゴメンね今行くわ・・・とにかく今日中にちゃんと起案立てなさいよ!!」

バンジョー「が・・頑張ります!」


カヤ 「ああ、スイマセン。亜門課長補佐、お待たせしました」

亜門 「あ・・ああ」

カヤ 「例の“大喰い”の件ですね。会議室で話しましょうか」

亜門 「ええ。お願いします」


『特務課』はRc症候群患者で構成された課だ。

Rc症候群患者の中には優れた五感やかつて喰種と呼ばれた者たちの内情に詳しい者も居り、今後のRc患者の保護や、犯罪捜査に役立つ可能性が高いことから組織された。

㈶Rc症候群総合研究所の技術により、現在配布されているRc細胞抑制薬はかなり効果が高く、80%の患者は服用を続けることで一般の食事をとることができるまでに回復する。

しかしこの『特務課』に在籍するということは、Rc症候群による身体能力の向上を仕事に生かす必要があるため、基本的にRc細胞抑制薬の服用はできない。

つまり在籍者は国から配布される幹細胞由来肉で空腹を満たさなければならない。

俺は、かつて喰種と呼ばれた者たちの気持ちを考えると、この『特務課』に所属する者たちを尊敬してやまない。



亜門 「・・・早速“大喰い”の件ですが、入見係長の力で居場所の特定は可能ですか?」

カヤ 「実はかなり難しいんですよ。彼・・“大喰い”は24区に出たり入ったりしているだけでなく、おそらく普段はRc患者でない一般人として振る舞っている。かつて私たちが喰種と呼ばれていたころも、稀に私でも人間なのか喰種なのか匂いを判別できない人も居ましたので、おそらく彼もそういう人物なのでしょう」

亜門 「そうですか・・・とりあえず入見係長には捜査の継続をお願いします。何かつかめたら連絡をください・・・彼とは個人的に話もしたいので」

カヤ 「分かりました・・・亜門課長補佐は“大喰い”と呼ばれるRc患者と面識があるんですか?」

亜門 「いえ・・まあCCG時代に何度か・・・彼は・・ずっと私たちにメッセージを送っていたんです。すべての喰種が人を殺してる訳じゃない。平和を望んで静かに生きている者もいると・・・だが当時の私たちはそのメッセージに耳を傾けなかった・・・だから彼が殺人者になってしまったのは私たちが原因なんです」

カヤ 「・・・・そうですか・・・」

亜門 「・・・では、よろしくお願いします」


――――――――――20区喫茶店“あんていく”


カラン カラン

カヤ 「こんにちは」

古間 「いらっしゃいませ・・・何だカヤか」

カヤ 「猿男、もういいの?」

古間 「ああ。傷も完治したよ。あの日せっかく芳村さんが助けてくれたんだ。早く店に立たなきゃね。それにずっとヨモ君が店に立ってたら来るお客も来ないでしょ?」

カヤ 「確かにそうね」

古間 「で、どうしたの、今日は」

カヤ 「うん・・ちょっとね」

古間 「?」

・・・


古間 「・・・そっか。ヒデ君が・・」

カヤ 「ええ・・ついにウチも動き出したわ」

古間 「顔はばれてないんだろ?何とか説得して投薬すれば・・」

カヤ 「・・たぶん無理ね。ヒデヨシは恨みで元CCGを殺してる。それにあの子もう“赫者”だそうよ。抑制薬効かないと思うわ」

古間 「・・・そっか」



カヤ 「トーカは?」

古間 「相変わらずだよ・・・ぼーっと寂しそうに空を見てる」

カヤ 「・・・無理もないわね・・・あの子は、お父さんも、お母さんも、弟もCCGに殺された。おまけに生きてる唯一の肉親はホモだし」

古間 「僕はさ・・・ヒデ君がCMRに逮捕・・あるいは殺されて・・居なくなったら・・・トーカちゃんが変な気起こさないか心配だよ」

カヤ 「・・・そうね」

古間 「で、ヒデ君の居場所は分かってるの?」

カヤ 「とりあえず知らないって答えたわ・・まあ実際よく分からないし」

古間 「最近はウチにも来てないよ」

カヤ 「そう・・・とりあえず万が一ここに来たら私に教えて」

古間 「オーケー。僕も説得してみるよ」

カヤ 「頼んだわ」

カランカラン


カヤ 「・・・そうだ、あの子にも聞いてみようかしら」

ピ ピ ピ

カヤ 「・・もしもし、ヒナミ?」

とりあえずここまでにします

出かけるので後半は夜になると思います

それでは更新します


#037 [世界]



私は覚えている。
半年前のあの日、震えながらお兄ちゃんの布団に包まっていた夜。
夜の8時過ぎに、部屋のドアが開いた。


ガチャ
カネキ「ただいま。すべて終わりました」
高槻 「へー・・ここがケンの部屋か。そういえば初めて来たなぁ」

ヒナミ「お・・・・おにいちゃーん!!!」
がしっ

カネキ「ヒナミちゃん、ただいま」

バンジョー「ケン・・・無事だったか・・良かった!!」

カネキ「テレビ点けてください。嘉納先生が記者会見してますよ」

高槻 「しかし・・私の中ではここまで来るのにあと10年はかかる予定だったんですがね・・・さすがケンですよ」

ヒナミ「お兄ちゃん・・先生・・もうどこへも行かない?」

高槻 「ええ。たぶんまだ時間はかかりますが、ちゃんヒナやここに居るみんなが普通に外を歩ける日も近いですよ」

カネキ「ヒナミちゃん、そしたら今度こそ一緒に遊びに行こうね」

ヒナミ「うんっ!!」ぎゅーっ

高槻 「・・」じとー

ヒナミ「・・あれ?お兄ちゃん何かポケットに入れてる?なんだか硬いものがヒナミのお腹に当たってるよ?」

カネキ「うん、それは形を成したモラルだよ・・・ヒナミちゃんが姉属性だったら僕は君をさらっていくんだけどね」

高槻 「・・」
ゲシッ!!
カネキ「痛い」


あれから時間が経って、私は高校に入るための勉強をお兄ちゃんと先生に習っている。
私は家がないから、お兄ちゃんのアパートと先生のお家を往復している。
先生が忙しい時はお兄ちゃんのアパート。
お兄ちゃんが勉強するときは先生のおうち。
ただ、先生が忙しい時はお兄ちゃんもお仕事を一緒にするから私はお兄ちゃんと一緒に寝ることができないのがちょっと寂しい。

お兄ちゃんのアパートにはイチミさん、ジロさん、サンテさんが居る。
その他の人はみんな仕事を見つけて出て行った。
でも時々お兄ちゃんのアパートに集まってみんなでご飯を食べる。
特に私がお兄ちゃんのアパートに行く日はみんなが来てくれる。

私は生まれつき赫包が2つあった。
だから嘉納先生がRc症候群研究所で開発したお薬を飲んでも普通のゴハンを食べることができない。
私がお兄ちゃんのお家に行く日は、みんな私に合わせて、政府がくれるお肉を食べてくれる。
でもこの間、研究所の安久さんと鈴屋さんという研究員の方が、私にも効く可能性の高いお薬ができそうだって教えてくれた。

お母さんも、お父さんも死んじゃった。
でも私は大丈夫。
みんなが居るから。
勉強頑張って私もいつか入見さんみたいにCMRで私と同じ境遇の人を救いたい。


ヒナミ「お父さん、お母さん、会いに来たよ・・・あれ?」

森の中にあるお父さんとお母さんのお墓に、綺麗なお花が添えてあった。

ヒナミ「・・・誰か来たのかな?」
プルルルルルル!

お兄ちゃんがくれた携帯電話が鳴った。


**

ヒナミ「先生、お兄ちゃん。お話があるの」

高槻 「ん?」
カネキ「どうしたの?」


***

カネキ「・・じゃあ行ってきます」

高槻 「やっぱり行くんだね」

カネキ「ええ。ヒナミちゃんにもお願いされましたし、それに僕が何とかしないといけない問題だと思うので」

高槻 「・・・彼は共食いによって君と同じ“赫者”になっているそうです・・・もともと持っている赫包も君と同じ・・・多分かなり強いと思います」

カネキ「そうですね」

高槻 「私も助太刀するのはダメですか?」

カネキ「そうですね、今回はダメです。これは僕の仕事です」

高槻 「・・・そうですか・・お願いです。無茶しないでください・・・私にとって君は・・居なくなっては困る人です」

カネキ「・・・先生・・・一応確認ですけど、先生は僕より年上ですよね?」

高槻 「・・・え?突然何言ってんの??・・・ま、まあそうですよ。悪かったですねババアで」

カネキ「・・・その割には子供みたいな体型ですよね」

高槻 「ケンカ売ってんのか?」

カネキ「そして眼鏡をかけていて、BLにも理解がある・・・と」

高槻 「・・・あれ?」

カネキ「僕にとっても、先生は居なくなっては困る人です。よく考えたらこんなドンピシャな人いませんし・・・・これからもずっと、僕は先生と一緒に居たいですね」

高槻 「・・・君らしい、実に君らしい最低な告白ですね・・・・・そうですね、無事に帰ってきたらこの話の続きをしましょう」

カネキ「約束ですよ」


カネキ「・・・あ、来た」

ヒデ 「うおっ!なんだカネキか・・・どうしたんだよ、こんなとこで」

カネキ「ここに居ればヒデに会えると思って」

ヒデ 「なんだよ・・大学で会えばいいじゃん」

カネキ「だって今年度、もう同じ授業無いでしょ、僕たち」

ヒデ 「そーだっけか」

カネキ「・・・ヒナミちゃんと入見さんに聞いたよ」

ヒデ 「・・・んー・・・そっか・・・二人とも元気?」

カネキ「ヒナミちゃんはすごく勉強頑張ってるよ。入見さんは“あんていく”辞めちゃったからよく知らないけど」

ヒデ 「そうだったな・・・CMRだっけ?入局したんだよな」

カネキ「らしいね」

ヒデ 「・・・・カネキはさぁ・・大学卒業したら何すんの?」

カネキ「僕?・・・うーん・・実はまだ考えてないかな」

ヒデ 「そっか・・まあお前なら何でもできるよ・・なんせ世界を変えちまったんだから」

カネキ「ヒデだって。社交的でどこ行っても上手くいくよ」

ヒデ 「・・・」

カネキ「僕思うんだけどさ、もう十分だと思うよ。このお墓の人・・・ヒナミちゃんの両親だって、もうこれ以上ヒデに何かしてもらいたいって考えてないと思うよ」


ヒデ 「・・・悪ィ・・・もう後戻りできねーんだわ」

カネキ「元CCGの人を全員殺すまでって事?・・・彼らは法で裁かれてるよ」

ヒデ 「それは“和修”とか、トップの奴だけだろ?」

カネキ「末端の人たちは、それこそ事情を知らずに仕事してた言わば被害者じゃない?」

ヒデ 「・・・俺もお前みたいにそう合理的に考えられてればなぁ」

カネキ「・・・ヒデ。知ってる?CMRが“大喰い”というRc患者の犯罪者を追ってる」

ヒデ 「・・ああ、ついに来たんだ」

カネキ「ヒデはさ・・・CMRに殺されたいんでしょ?」

ヒデ 「・・・」

カネキ「そんな事じゃ贖罪にはならないよ」

ヒデ 「俺はさぁ・・・多分いつかはやられるよ。出来ることなら・・俺は」

カネキ「ヒデ、僕がなんで来たか分かる?」

ヒデ 「・・・説得?」

カネキ「説得してダメだったら・・僕が責任取ろうと思って」

ヒデ 「・・悪ィよ」

カネキ「元をたどれば、ヒデがそうなったのって僕のせいだし。実行犯は嘉納先生だけど」

ヒデ 「・・・そっか・・・実は嬉しいぜ」

カネキ「そうなの?」

ヒデ 「俺はさ・・・CMRじゃなくて、お前に裁いてほしい」
ズグググググ・・・

カネキ「・・うん、わかったよ」
ズグググググ・・・


入見 「亜門課長補佐、20区の森でRc患者の反応があります・・・おそらく“大喰い”です」

亜門 「・・・わかった。アキラ、行くぞ」

アキラ「・・ああ」



その森に着いて最初に見た光景は、“大喰い”と“変態眼鏡”のコント・・・もとい、戦闘だった。



カネキ「ヒデも赫者になったんだね・・じゃあ行くよ?」
ぶらん

ヒデ 「ちょっと待て」

カネキ「どうしたの?」

ヒデ 「お前、チ●コ丸出しだぞ」

カネキ「え?!今更それ?!」

ヒデ 「今更って言われても知らんし。お前・・捕まるぞ」

カネキ「大丈夫まだ逮捕されたことないよ」



アキラ「・・・亜門課長補佐・・赫者同士が話をしてるが・・」

亜門 「・・・ああ、“大喰い”と“変態”だ・・・戦ってる・・という訳じゃないのか?」

アキラ「なんというか・・・森の中に巨大な赫者が二人・・・異常な光景だな」

亜門 「ああ・・・この距離なら我々のことはばれないだろう」


カネキ「ん?・・あ!おーい筋肉捜査官さーん!!!」

アキラ「おい、早速バレたぞ」

亜門 「・・・そのようだな」


カネキ「筋肉さん」
ぶらんっ

アキラ「キャッ!!///」

亜門 「コラ変態!アキラに汚いものを見せるな!!」

カネキ「ああ、スイマセン」

ヒデ 「ホラ、俺の言ったとおりだろ!ホントいい加減にしろよ!!」

カネキ「あれー?おかしいな・・この前は誰も突っ込まなかったんだけどなー」

ヒデ 「イヤそれは誰も触れたくなかったんだろ」

カネキ「え、触れるって・・・公開プレイ?」
ググググ・・・⤴

ヒデ 「その“触れる”じゃねーから!!デカくすんじゃねーよ!!!」

亜門 「・・・」
アキラ「・・・///」←指の隙間から見ている


ヒデ 「なんでお前の赫子は局部だけ透明なんだよ!!」

カネキ「だって、見られてると思うと興奮して・・//」
⤴⤴⤴

アキラ「きゃあああああ///」

亜門 「コラ変態!!」

ヒデ 「いい加減にしろ!!なんか布かなんかで隠せ!!女性が居るんだぞ!!!」

カネキ「・・・しょうがないなぁ・・」
ズググググ・・・←新たな赫子が局部を覆う

ヒデ・亜門「「隠そうと思えば隠せたんかーーーい!!!」」


亜門 「・・・待て・・来た理由を忘れていた・・・変態、お前は何をしてるんだ?」

カネキ「いや、このヒ・・“大喰い”さんを懲らしめようと思って」

亜門 「懲らしめられるべきはお前の方だと思う」
アキラ「同感だ」

ヒデ (・・忘れてた)


ヒデ 「・・・捜査官さん。あなた達に聞きたいんだけど」

亜門 「?」

ヒデ 「・・・フエグチリョーコっていう喰種・・・知ってる?」

亜門 「!」
アキラ「ん?」

亜門 「・・・大喰い・・聞いてくれ」

ヒデ 「・・・」

亜門 「・・・フエグチリョーコという・・Rc症候群患者を捕獲したのは俺と、当時のパートナーだ」

ヒデ 「・・・そっか・・・やっと見つけた」

亜門 「・・・俺は・・・お前やあの人に対して・・・当時は知らなかったとはいえ決して許されないことをした」

ヒデ 「・・・で?」

亜門 「俺のことは・・好きにしていい。だがお前はもう二度と人を殺さないでくれ・・・そしてこれからは普通の人間として生きてくれ・・お前の素性は現時点でCMRでもつかめていない・・頼む」

ヒデ 「・・・」
ズググググ・・


アキラ「ダメだ!!」

ヒデ 「・・退いてくんねー?」

アキラ「やめてくれ!この人は右腕を失って・・もう十分罰を受けている!!」

ヒデ 「・・たくさんの喰種は命を失ったんだぜ?」

アキラ「私は・・・・ッ・・フエグチリョーコを殺した真戸呉緒の娘だッ!!」

ヒデ 「・・・」

アキラ「お前を恨んでいた・・・いつか殺してやると思って居た・・だが・・事実を知って私は決めたッ・・もうお前を恨まない!どこかで憎しみの連鎖を断ち切らねば・・この世界は変わらない!そう気付いたからだ!!」

ヒデ 「・・・」

アキラ「だから・・頼む・・・頼むから・・・私の大切な人を殺さないでくれ・・・お前を憎まないために・・・」


ガオンッッツ!!


ヒデ 「・・・え?・・・ガハッツ!!」

カネキ「・・・ごめんね」

ヒデ 「・カ・・ネ・・」

カネキ「君をこの世界に誘い込んだのは僕だ・・だから僕が責任を取る」

ヒデ 「・・・う・・・・あ」

ガブリ
カネキ「赫包を喰べられた喰種は死ぬ・・・憎しみの連鎖はここで終わりにしよう。罪は僕が引き継ぐから」


亜門 「お・・大喰いッ!」

ヒデ 「・・・・そ・・だな・・・ハハ・・」
ガブリ
ガブリ
ガブリ


ヒデ 「・・・あり・・がとな」

・・・

カネキ「・・・“大喰い”は二度と現れません」

亜門 「・・・変態・・俺は・・」

カネキ「あなたは、正しかった。あの時、あなたはそうするしかなかったんだから」

亜門 「・・しかし俺は・・!」

カネキ「・・さようなら」


***


亜門 「・・・Rc症候群患者“大喰い”は・・突然現れた別のRc症候群患者によって捕食されました・・死体はその者が持ち去り、現在そのRc患者もロストです」

丸手 「・・・そうか・・・しかし“赫者”を倒す奴が居るとなると・・後々厄介になりそうだな」

亜門 「おそらくそれは有りません・・・そのRc患者は粛清の意味合いで“大喰い”を殺したようです・・・多分犯罪を犯すことは無いと思います」

丸手 「・・・粛清か・・・」



     この世界は

     間違っていた



トーカ「・・・」

『弱いくせに出てきてんじゃねーよ』

トーカ「・・・アヤト・・」

ヨモ 「・・・トーカ」

トーカ「・・・ヨモさん」

ヨモ 「・・・お前の母親が・・かつて俺に言った・・・『私が居なくなってもお前はお前の人生を生きろ』・・・と」

トーカ「・・・」



     この世界は



ウタ 「・・・」

ウタ 「・・・イトリさん・・僕、君ほどお酒強くないけどこのお店これからは僕がやっていくよ・・・ヨモ君と喋る場所もないしさ」

・・・ギィー

ニコ 「ウタちゃん、やってるぅ?」

ウタ 「・・・うん。いいよ。今日はマスク屋の方はもうお仕舞だから」

ニコ 「そっありがと♡」

ウタ 「ニコさんはさ、なんでピエロを裏切ったの?」

ニコ 「だって・・なんだか男っ気無かったじゃない。ねぇそれよりも、たまには私のお店も来てよ。4区の2丁目にオープンしたのよー♡」


     間違っていた



篠原 「おーい、いわっちょ」

黒磐 「ん?どうした?」

篠原 「デスクワーク慣れてないからなんか疲れちゃってさ」

黒磐 「・・・うむ。儂もだ」

篠原 「しかし有馬はなんでCMRに移籍しなかったのかね?」

黒磐 「うむ・・・有馬は、対喰種の戦闘のみに秀でていたからな」

篠原 「それにしても一言ぐらい挨拶してくれてもいいのに・・・いったいどこに居ることやら」



     僕たちは



玲  「ホント、おいしいですねぇ。ここのサンドイッチ」

奈白 「・・・うん。コーヒーもいけるよ」

玲  「そうですか?じゃあ僕も食後に頼みます」

奈白 「・・・玲・・なんでアンタは研究員になったの?」

玲  「奈白がなったからですよ」

奈白 「・・え?」

玲  「・・・黒奈の分も僕が頑張りますよ」

奈白 「・・・・玲・・・ありがとう」


     喰べる(眼鏡にぶっかける)しかない

     喰べる(露出する)しかない

     喰べる(イタズラする)しかない

     喰べる(姉に萌える)しかない

     ・・・・僕の救いは
         それを全て受け入れてくれるパートナーが居ること

     僕の救いは―――――



「アホッ!!」

ゲシッ!!

カネキ「痛い」

ヒデ 「なんてポエム読んでんだお前は!!」

カネキ「大丈夫だよ、これはポエム。実際に事案にはなってないから」

ヒデ 「喫茶店では静かにコーヒーを飲めよ!」

カネキ「前はヒデが騒いでたくせに」

ヒデ 「いーんだよ!あ、トーカちゃん、今日のラテアートのクマ、可愛いね!!」

トーカ「これはウサギだって何回言ったらわかるんだ、このボケヒデーーーーー!!!」
ゲシッ!!
ヒデ 「ぶばっ!!」

カネキ「おーおー痴話げんか?」

ヒデ 「うっせ黙れ!!あ・・高槻先生来たぞ」


カラン カラン


高槻 「ごめんね待たせちゃって」

カネキ「ヒデで遊んでたから大丈夫だよ」

高槻 「相変わらずだね二人は」


***

カネキ「ヒナミちゃん、合格したみたいだよ」

高槻 「そっか。良かった。じゃあ今日はウチでパーティーだね。あ、私ブレンドでー」

古間 「かしこまりましたー」

カネキ「ふー・・・やっぱりあんていくのコーヒーはおいしいね」

高槻 「ウン・・・」

カネキ「?どうしたの?」

高槻 「ケンはさ・・なんでここまでしてくれたの?」

カネキ「え?何が?」

高槻 「ケンのおかげで・・世界は変わりました。私も・・母の無念を晴らすことができました。ケンだって何度も危ない橋を渡ったはず・・・見ず知らずだった私に・・なんでそこまでしてくれたの?」

カネキ「え・・?だってバイトだし」

高槻 「・・・・・・は?」

カネキ「いや、バイトでやれって言われたから取材したりCCGの事調べてりしたんだけど」

高槻 「ウン・・・なんかごめんね自給1000円で外資系金融会社のCEO並の仕事させてしまって」

カネキ「あ、また取材とかあったらやるよ、お姉ちゃん」

高槻 「当分は遠慮しとくよ。君に任せると極限まで調べ上げてしまうので。後、姉萌えプレイはここではダメ///」


丸手 「なあ亜門」

亜門 「なんです、局長」

丸手 「・・・これはオフレコなんだがよォ」

亜門 「・・・ええ」

丸手 「俺・・実はCCGの裏の顔知ってたんだわ」

亜門 「・・・局長がクインケを嫌っていたのはそれが理由だったんですね」

丸手 「・・・梟討伐戦の日、ある喰種が指揮部に攻めてきて、ヨシトキさんを含む俺以外の全員が殺られた・・・だがそいつは俺の事だけは殺さなかった」

亜門 「・・・」

丸手 「・・・なんでか分かんなかったんだけどよ・・・最近やっと分かった気がすんだよ・・・コレ、知ってるか?」

亜門 「・・ああ、高槻泉の」

丸手 「主人公の女が言うじゃねえか・・・多分、あの喰種はCCGの裏の顔も全て知ったうえで・・俺にそれを言いたかったんじゃねーのかなってな」

亜門 「ええ・・・俺も同じ考えです・・・最近俺もやっと分かりました。アキラがそれを言ってくれたので」





芳村憂那『・・・私は、喰種のあなたを受け入れます。私は確かに喰種に親を殺されました。でも、あなたそのものを恨んでる訳じゃない。憎しみの連鎖を切らなければいつまでも分かり合えないから。同じ人間なんだから、いつかきっと分かり合えるよ。』
――――――高槻泉(長編小説としては)8作品目、「東京喰種‐トーーキョーーグーール‐」より抜粋


――――――――――7区


月山 「Fuuu・・・今日も来ないね、僕のbest friend“VE”君は」

店員 「MM様・・申し訳ありませんが本日は閉店時間でございます」

月山 「ああ、分かっているよ・・・明日こそはきっとッツ!!キミに会える気がするッ!!」





高槻 「ねぇケン、たまには7区でデートしようよ」

カネキ「7区は嫌。お姉ちゃんのお願いでもそれだけは嫌」

高槻 「ウーン・・まあ別にいいけどなんでそんなに7区嫌いなの?」

カネキ「なんか生理的に受け付けないものってあるでしょ?」

高槻 「ふーん・・・ところでさ、素朴な疑問なんだけど、半喰種と半喰種が子供作ったら生まれてくる子供はどうなるんだろ?」

カネキ「え?うーん・・・赫包に全Rc細胞を取り込んでおけば体は人間と同じわけだから生まれてくる子供も人間になるんじゃないの?」

高槻 「そうかもね。じゃあそうしてみるね」

カネキ「・・・・・・・・・え?」










この物語はフィクションのフィクションです。登場する人物の性格、登場する人物・団体等の関係性、および一切のネタバレ等は作者の妄想であり、実在するものと異なります。

これにて終わりです。
長々とお付き合いありがとうございました。

なお有馬さんは鯖江市の眼鏡職人として再スタートをきっています。

そう言えば、ご指摘いただいた通り和修吉時さんの階級は特等でなく局長でした。申し訳ありませんが脳内変換をお願いします

過去には生徒会役員共を数個書きました
スズが病気になったり、畑さんがCV花澤香菜になったり、会長が幼馴染になったり、コトミが義兄妹になったり、トッキーが戦ったり、五十嵐さんがちょっとエッチな事したりしました
申し訳ありませんがリンクを保存してなかったので貼れません

東京喰種は書ききった感があるので、次はまた別のものを書こうと思います

アオギリ組その他の喰種のその後は考えていたんですが、1000超えそうなのでカットしました
ざっくりと行きます

ヨモさん
よくニコの店に行き、男を物色。
最近無精ひげを伸ばし、ヒゲクマ系になった。

トーカ
ヒデに対して安定のツンデレ。

タタラさん
みんなで修学旅行に行った後、京都で食べた繊細な和食が忘れられず、和のエッセンスを取り入れた中華料理の修業を開始。
横浜中華街で『青桐菜館』をはじめる。
エトとカネキがデートで一回行ったがサービスで死ぬほど量を出してきたので二人にはちょっと敬遠されてる。

イモリさん
修学旅行で奈良の寺の住職の話を熱心に聞く。
その後青年海外協力隊としてアフリカにわたり、現地の発展と内戦の終息に尽力する。
内戦を治めるため丸腰で説得。凶弾に倒れるがそれが原因で当該国は内戦が終結し、死後建国の父として銅像を建てられる。

ナキさん
当然神兄貴についてアフリカへ。
現地の子供たちと精神年齢が同じであるためあっという間に打ち解ける。
ヤモリの死後、泣き暮らすが、かつて一緒に遊んだ子供たちが大人になりナキさんを励ましにみんなで来てさらに号泣。
神兄貴の医師を継ぎ、生涯発展途上国の成長に尽力する。

イチミ・ジロ・サンテ
三人でJ-popグループ「1・2・3」を結成。ガスマスクをつけた出で立ちで目立ち、一部から熱狂的に支持される。
メジャーデビュー後初めてのTV出演で、ジロのガスマスクがうっかりとれる。
が、実は超絶美人でさらにヒット。紅白にも連続出場している。

ヒナミちゃん
勉強を頑張ってCMRに入局。
カヤさんの下に着いていろいろ教わるが、ついでにいけないことも色々教わる。
処女なのにすごい耳年増になってカネキを困らす(エトのジト目的な意味で)。

シャチさんとリゼさん
何でも食べられるようになったリゼさんは当然のように大食い女王に。
ある日の収録の時、どうしても娘のことが心配になったシャチさんがうっかりスタジオ乱入。
リゼさんが激怒するが、うっかり「お父様」と呼んでしまい、元々の容姿も相まって多くの男性からカルト的な人気が出る。
シャチさんはこの件でタレントとなり、藤岡弘、的なポジションとなる。

有馬さん
カネキとエトの結婚式の際、エトにメガネをプレゼントする。
「僕じゃなくてエトにプレゼントするあたり、分かってるなぁ」とカネキも唸る。
55歳で人間国宝になる。


こんなところです。

結局ヒデは生きてるんだなそれとも喰種としてのヒデがしんだって解釈でいいんだよね

>>918,920
ご指摘の通りヒデさんはカネキに赫包を全てではないが喰われた、というつもりです
原作のヤモリさんもそれで生きてたので、食ったのを亜門さん達に見せた後カネキが連れ去って急いで手当しました・・・というつもりです


ちょっと皆さんに相談なんですが、私あまりマンガを読まないので何か面白いものあれば教えてほしいです
東京喰種もたまたま引っ越す友人に全巻もらったので・・・

みなさんありがとうございます
案の定読んだことあるのはデスノだけです
おすすめしていただいたものなどを読んで何か思いつくものがあればまた書かせていただくかもしれません

本当に長々とありがとうございました
それではさようなら

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月28日 (土) 11:28:42   ID: uz_1f50v

面白いです

2 :  SS好きの774さん   2015年03月02日 (月) 12:58:30   ID: G4vN3qfz

クインケニーの業が深すぎる…

3 :  SS好きの774さん   2015年03月13日 (金) 23:28:46   ID: McjA-MVF

アオギリの奴らがおもろすぎる

4 :  SS好きの774さん   2015年03月19日 (木) 02:14:09   ID: PfVhR4Lf

アヤトくんぇ

5 :  SS好きの774さん   2015年04月03日 (金) 23:29:08   ID: OexSC5Rn

もうこれで原作の伏線全部回収してるな
内容も良かった

6 :  SS好きの774さん   2015年06月19日 (金) 05:04:15   ID: mkPx04rZ

ギャグも笑えたし話の完成度高いし
見れて幸せだったわ

7 :  SS好きの774さん   2015年07月04日 (土) 03:32:54   ID: xlfSDqSe

基本ふざけキャラばかりなのにシリアスでかっこいいっていう、ペニスマンとグールを掛け合わせたような作品だったな。凄い楽しませてもらったわ。
エトとカネキ結ばれてよかった。

8 :  SS好きの774さん   2015年10月09日 (金) 16:03:46   ID: M8t8Dg0-

作者様…どうかこれを見ていたらReも書いてくださいお願いします

9 :  SS好きの774さん   2015年11月20日 (金) 18:41:48   ID: ZZg_U9mE

面白かった

10 :  SS好きの774さん   2015年11月23日 (月) 17:12:42   ID: lC7dQMn3

カネキが変態だったら本編もこうなってたのかな

11 :  SS好きの774さん   2015年12月14日 (月) 18:21:12   ID: wEPc9X3E

今までみたssで1番好き

12 :  SS好きの774さん   2015年12月15日 (火) 01:14:27   ID: QESkw048

すげーな
実際はそんな読んでないのかもしれんが東京グールよく読みこんでるなぁと思わされた
ヘタしたら原作者よりストーリー動かすのだけはうまいかもしれん
あとReでエト→カネキは現実になりました

13 :  SS好きの774さん   2015年12月16日 (水) 16:23:45   ID: 2L2y9EwP

すごいドラマを見CD化して欲しいですよコレ

14 :  SS好きの774さん   2015年12月21日 (月) 23:17:56   ID: jXjK28s2

これだけやらかしてるのに、原作への愛を感じるな。
エト→カネキの件然り、原作愛強すぎて色々と真実に到達してしまっているんじゃないのか?

15 :  SS好きの774さん   2016年02月11日 (木) 14:10:09   ID: zmQ4LGaN

素晴らしい

16 :  SS好きの774さん   2016年02月24日 (水) 20:09:21   ID: 94zajtAw

二回周りめ読んじったw

17 :  SS好きの774さん   2016年03月08日 (火) 03:43:23   ID: bcs8Bqux

色々予言すぎる...スイ先生の乱心じゃないだろうなコレ

18 :  SS好きの774さん   2016年05月30日 (月) 17:57:34   ID: hG4n4eEZ

散々議論されてたけど結局原作のエト→金木は恋愛の好きではないで落ち着いてたぞ

19 :  SS好きの774さん   2016年07月03日 (日) 02:35:47   ID: od-eceVk

この作品読んだせいでエトカネ狂になってしまった笑

20 :  SS好きの774さん   2016年08月31日 (水) 15:24:02   ID: uflAuWP3

ありがとうございました(いろんな意味で)

21 :  SS好きの774さん   2016年08月31日 (水) 15:27:54   ID: uflAuWP3

アヤトきゅん()
とても面白かったです!爆笑させていただきました!ペニスマンみたいですいやそれよりおもろい

22 :  SS好きの774さん   2016年12月07日 (水) 15:45:05   ID: tF9una2q

すごく面白かった
やっぱエトカネは最高

23 :  SS好きの774さん   2016年12月14日 (水) 18:07:17   ID: p4ew-3J_

局部丸出しww

24 :  SS好きの774さん   2017年01月11日 (水) 14:22:28   ID: wx7A0XOf

ヤモリが最後までイモリに

25 :  SS好きの774さん   2017年02月04日 (土) 21:48:51   ID: T88bgtsg

タタラがあの会話してると思うといつも笑ってしまうwww

26 :  SS好きの774さん   2017年02月27日 (月) 11:30:40   ID: 6SRvi_BW

タタラ最高ww

27 :  SS好きの774さん   2017年05月26日 (金) 18:01:49   ID: JBj0i-LE

最高だ

28 :  SS好きの774さん   2017年08月22日 (火) 00:17:44   ID: 3D_TS2-E

東京喰種SSで一番面白かった\(^ω^)/

29 :  SS好きの774さん   2018年04月04日 (水) 01:52:32   ID: FblntnsK

最高すぎた( ^q^ )

30 :  SS好きの774さん   2018年06月21日 (木) 18:29:43   ID: P6bzsuJR

ロマがボスまで当たってて草

31 :  SS好きの774さん   2018年10月19日 (金) 06:39:17   ID: eHjgf8Q3

二回も読んじゃいました

32 :  SS好きの774さん   2018年11月18日 (日) 13:41:50   ID: oDLY1OvG

最高でしたm(_ _)m

33 :  SS好きの774さん   2018年12月30日 (日) 20:56:24   ID: U9fCg7Nf

登場したキャラが、素晴らしく面白かったので最高でした!
特に変態露出狂ロリコン及びシスコン眼鏡フェチ腐男子とかw

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