男「今日は2月14日か……忘れてた」(24)


男「土曜日だからな……」

男「これが平日だった日にゃ、周りがそわそわしてるので わかる所だけど」

男「不幸中の幸い」

男「今日は休日だ」

男「…………」

男「安心して部屋に引き篭もれるな、うん」

男「…………」

男「…………」

男「……友の奴、どうしてるかな」


     ルルル…… ルルル…… ガチャ

男「おっ、友か?」

友『んー? 男か?』

友『んだよ、何か用事か?』

男「いや……そういう訳じゃないんだが、暇だったんでな」

男「お前はどうなんだ? 忙しいのか?」

友『んー。 忙しいって言うより、疲れてるって感じ』

男「なんだよそれ……徹夜でゲームでもしt」

     デンワー? ダレカラー?

男「!」

友『シーッ! ……っとすまん、男』


男「……今の女ちゃんか?」

友『…………』

友『……まあ、その……昨日、な』

友『13日だけど、チョコあげるって言われて』

男「で……? なんで女ちゃんが朝からお前と一緒にいるんだよ?」

友『…………』

友『二人共めでたく、大人の階段登りました』

男「……マジっすか」

男「友……お前とだけは、童貞同盟をずっと組んでいけると思ってたのに」

友『ヤな同盟だな……まあともかく』

友『これから二人でデートする予定』

男「……そっか。 お幸せに」

友『ああ。 じゃあな』


     ブッ…… ツー ツー

男「…………」

男「……はあ」

男(よもや友の奴が脱童貞を済ませてしまうとか)

男(ありえねぇだろ……)

男「…………」

男(……とは言いつつ)

男(すっげえ羨ましい……)

男(…………)

男(今日、どうするかな……)


     ピンポーン

男「……卓球、じゃなくて宅急便か」

男「はいはーい」

     ガチャ…

男「お待たせしまし……ん?」

男「なんだ、幼馴染か」

幼馴染「……なんだとは失礼ね」

幼馴染「どうせ暇してるんでしょ?」

男「うっせ」


幼馴染「じゃあモンハン手伝ってよ」

男「お前まだやってるのか」

幼馴染「誘ったの男のくせに」

男「この前さんざん付き合ってやったろ?」

幼馴染「天鎧玉、また足りなくなったの」

男「……お前、すべての防具鍛え上げるつもりか?」

幼馴染「まさか。 かわいいやつだけだよ」

男「下位の防具とかもやるつもりか?」

幼馴染「…………」

男「黙るなよ」


男「……まあいいや」

男「でも……今、俺しかいないけどいいか?」

幼馴染「え? そうなの?」

幼馴染「おじさんとおばさん、どこに行ったの?」

男「知らねーよ」

男「オヤジの汚い字で『ちょっとプラプラしてくる』という書置きがあっただけだから」

幼馴染「ふーん」

男「ふーんて……」

幼馴染「私は特に気にしないよ?」

幼馴染「男がヘタレだって知ってるし」

男「……そうかよ」


男「まあそれでいいのなら、こっちは文句ねーよ」

男「暇なのは事実だし……付き合ってやるさ」

幼馴染「よろしい」 フフン♪

男「…………」

男「ところで幼馴染」

幼馴染「何?」

男「今日は何の日k」

幼馴染「気になる日ー」

男「…………」

幼馴染「…………」

幼馴染「……外した?」

男「盛大にな」


幼馴染「お邪魔しまーす」

男「らっしゃい」

幼馴染「相変わらず殺風景な部屋ね」

男「機能的だと言え」

男「お前の部屋は逆に散らかりすぎだ」

幼馴染「ファンシーな部屋って言うのよ!」

男「ふん」

幼馴染「ふん」

幼馴染「ほら、モンハン始めるよ」 ゴソゴソ…

男「…………」

男(……カバンの中)

男(それらしきものは無いみたいだな……)

幼馴染「男?」

男「……ん、何でもない」


―――――――――――

男「……おい、もうすぐ夜だぞ」

幼馴染「んー」

男「ったく、ギルクエ何周させる気だよ……」

幼馴染「…………」

幼馴染「……ね、男」

男「ん?」

幼馴染「今日はつまらなかった?」

男「返答に困る質問をするなよ……」

幼馴染「……そう」

男「すっげー楽しかったよ」

幼馴染「お世辞はいらなーい」


幼馴染「じゃ、迷惑みたいだから帰るね」

男「そんなこと言ってないだろ」

幼馴染「ふーんだ」

男「…………」

―――――――――――

男「……じゃあな、幼馴染」

幼馴染「…………」

幼馴染「……うん」

幼馴染「じゃあね、男」

     スタ スタ スタ…

男「…………」


男「……はあ」

     ドサッ…

男(試練の一日が終わりましたか……)

男(…………)

男(それにしても……)

男(ずいぶん久しぶりにモンハンしたなー)

男(つか幼馴染、全然上手くなってなかったな)

男(…………)

男(…………)

男(……そういや)

男(あいつ、ギルカのポーズよく変えていたっけ)

男(今、どうなってるのかな?)

     ゴソゴソ…


男(…………)

男(……お、セイラー装備だ)

男(ポーズはゼ○ダのやつだな)

男(相変わらず一式揃えるの好きみたいだ) クスッ

男(……ん?)

     これに気がついたら玄関の脇を調べてお願い

男(メッセージ欄にこんな文言が……)

男(……玄関の脇?)

―――――――――――

     ゴソゴソ…

男「…………」

男「……これかな?」


男(いったい何だ?)

―――――――――――

男「…………」

男「……これって」

男「バレンタインの……チョコ……だよな」

男「…………」

男(いやいや、ちょっと待て)

男(本命っぽいけど、それならここに居る時に渡せばいいし)

男(こんな回りくどいやり方)

男(幼馴染らしく……ない、よな……)

男(…………)

男(ともかく、包を開けてみよう)

     ガサガサ…

男「! ……手紙だ」





     私……男の事が好き。

     でも、どうしても勇気が持てなくて、こんな方法をとります。

     言葉では伝えきれないけど……あなたの事が大好きです。

     もし、こんな料理も苦手で、ガサツな私でいいのなら……ううん

     どんな形でもいいから、返事をください。

     私、待ってます。




男「…………」

男「……あのバカ」

―――――――――――

     ピンポーン

幼馴染「ん? 今頃誰だろう?」

幼馴染「はーい」

     ガチャ…

幼馴染「!!」

男「…………」

幼馴染「男……」


男「…………」

幼馴染「…………」

男「……あー」

幼馴染「! う、うん」

男「言いたい事、たくさんあるんだが……とりあえず言っておく」

幼馴染「……うん」



男「……俺も幼馴染の事、好きだ」///



幼馴染「っ!」///

男「何度も言わねーからな!?」///


幼馴染「…………」

幼馴染「……う」

幼馴染「~~~~っ!」 ポロポロッ

男「だ――!! 泣くんじゃない! 幼馴染!」///

幼馴染「だ、だっで……うれじいんだもんっ」///

男「ったく!」///

男「こんな回りくどい事しないで、昼間に堂々と渡してくれよ……」///

幼馴染「だっで……だっで……ごわがっだんだもんっ」///

男「まったく……」

     ギュッ…

幼馴染「!!」///

男「いい加減、これで泣き止んでくれよ……」///


幼馴染「……うんっ」///

男「ったく……」///

男「だいたいモンハンのメッセージに気がつかなかったら、どうするつもりだったんだよ……」

男「完璧にスルーしちまうだろうが」

幼馴染「…………」

幼馴染「でも……男は気が付いてくれたよね?」

男「……ふん」///

幼馴染「ふふふ……まあ3年かかったけど」

男「……は?」


幼馴染「毎年、バレンタインの度にやってたんだ」

幼馴染「それなりのヒント付きで」

男「」

男「……マジ?」

幼馴染「うん!」 ニコッ

男「…………」

男「俺はどんな顔すりゃいいんだよ……」

幼馴染「別に気にしないでよ」

幼馴染「何て言うか、私も勇気が持てなかったし……」

幼馴染「でも」


幼馴染「男と両思いになれて、すごく嬉しい」///

男「…………」///

男「……まあ、な」///

男「俺も嬉しいよ」///




     今日は2月14日、バレンタインデー

     多くのカップルに幸あらん事を……




     おしまい

以上。リア充爆発しろ!的なSSでしたー

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