女「道に迷ってしまいました…」(16)

深夜

男「ふぁぁ…疲れたぁ」ノビー

男「今日は風呂入ってもう寝よう」スタスタ

女「あらあら…どうしましょう」キョロキョロ

男「ん…?」ピタ

男(こんな夜中に一人か…)

女「困ったわぁ…」

男「あの、どうしました?」

女「あら、こんばんは」ニコ

男「えっ?こ、こんばんは…」ペコ

女「可愛いですねぇ」

男「は?」

女「ふふっ」

男「えっと、こんな時間にどうされたんですか?」

女「あぁ…そうでした」

女「実は道に迷ってしまいまして…」

男「こんな時間にですか?」

女「はい、『気づいたら』ここにいたんです」

男「気づいたら…?」

女「あの、駅に行くのはどちらに歩いて行けばいいんでしょう?」

男「教えてもいいんですけど…」

男「もう電車ありませんよ?」

女「…………」

男「…………」

女「困ったわぁ…」

男(大丈夫かこの人…)

男「もし良かったら…俺の家に来ます?」

女「えっ…?」

男「って、いきなり知らない男の家には──」

女「行かせて頂きます」ニコ

男「そ、そうですか…」

女「はい」プルン

男「…………」ゴク

女「私、女と申します」ペコ

男「俺は、男と言います」ペコ

女「男さん…素敵なお名前ですね」

男「女さんも素敵なお名前ですね」

女「あら、お上手」

男「あはは」

女「ふふ」クス

男「どこか行く場所でもあったんですか」スタスタ

女「それが覚えていないんです」トコトコ

男「覚えてない?」

女「さっきも言ったように気づいたらこの場所にいたので…」

男「ふむ…」

女「私、よくボーっとしているので…いつの間にかこの場所まで歩いて来てたのかもしれませんね」

男「それ、危なくないですか…?」

男「最近この近く物騒ですし」

女「何かあったんですか?」

男「知らないですか、『首切り』」

女「首切り?」

男「はい、最近テレビでやってる殺人鬼の名前です」

女「私、テレビはあまり見ないので…」

女「それにしても殺人鬼ですかぁ」

男「この近くでも首の無い死体が見つかったんですよ」

女「あら、怖い…」

男「しかも、どの死体も首は見つかってないんです」

女「どこに行ってしまったんでしょう」

男「噂では『首切り』は首を切断して集めてるらしいですよ」

女「首を集める…?」

男「何でかは分からないですけど」

男「ここが俺の住んでるアパートです」

女「古風な良いところですね」

男「普通にボロいって言って下さい」アハハ

女「いえ、本当に良いところです」

男「えっと、ありがとうございます?」

女「ふふっ」クス

ガチャ

女「おじゃまします」

男「狭いところですけど、どうぞ」

女「私、男性の部屋に入るの初めて何ですけど…」

女「何だかワクワクします」ニコ

男「いや、何もないですよ」

女「あら、ベッドの下に…」ガサ

男「何もないですよ!」バッ

女「あらあら」クス

男「コンビニ弁当しかないんですけど…食べますか?」

女「いいんですか?」

男「もちろんです、直ぐに温めますね」ピッ

女「ありがとうございます」

男「あっ、コーヒー飲みますか?」

女「お願いします」ニコ

───
──


女「ご馳走さまでした」

男「お粗末さまでした」

女「私、こういった物は初めて食べましたけど美味しいですね」

男「えっ、コンビニ弁当初めてなんですか?」

女「はい」

男「女さん、お金持ち…」

女「ふふっ、そんなことありませんよ」ニコ

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom