おっさん「……みたいな感じの洋物AVって慎みが足りないとは思わんかね?」
青年「……」
おっさん「おっさんは悲しいぞー?君みたいな大和男児がこんなアメリカナイズなポルノで下半身おったててるだなんて。もうちょっと控えめな大和撫子に興奮しようぜ?」
青年「えっと……1・1・0……」
おっさん「通報しても無意味だぞ青年。見えない振りしているだろうがおっさんこのとおり半分透けてるからな」
青年「気のせいじゃなくてホントに透けてんのか」
おっさん「すごいだろう?この透けてるのに服とかはしっかり着てるっていうか服ごと透けてるこのかんじ」
青年「写真に撮ったおっさんを画像ソフトで半透明にして重ねてる感じだな」
おっさん「君は説明がうまいなあ。おっさんはもうおっさんだからついうっかり"あれ"とか"それ"とかでお話してしまうよ。ボケの第一歩だね」
青年「見知らぬ男性の家でオカズチェックするのももう十分にボケの範囲内だと思うぞ。この世の物じゃないならこの世の物じゃないでとっととでてってくださいませんかねぇ塩まくぞ」
おっさん「塩やめて」
青年「塩効くんだな?」
おっさん「キカナイヨー?」
青年「でーってっけ!でーってっけ!鬼は外ー」
おっさん「や、やめっ!!落花生もやめて!痛くはないけど!!」
青年「じゃあとっとと出てけよ」
おっさん「いやいや、実はだね君に話しておきたいことがあって」
青年「前ふりのAVの話題要らねえよな?」
おっさん「和ませるためのジョークじゃないかぁ……」
青年「和んでないわ。戦慄したわ」
おっさん「実はおっさん、未来の君なのです」
青年「うわー、幽霊ものと並んでベタな設定がきちまったなぁー ないわー」
おっさん「ないわー じゃなくってね?いや、まあおっさんは気味だったからこの時期の君がだいぶひねくれてる事は重々承知なんだけどとりあえず黙って聞こうぜ?」
青年「……」
おっさん「……えっと なんでいきなり無言?」
青年「だまって聞けって言われたし」
おっさん「あれー?俺の若い頃ってここまでフリーダム系だったっけー?」
青年「おっさん充分フリーダムだから安心しろよ」
おっさん「ならいいか。とりあえず君にはもう少し日本的な女性に対する欲情を身につけてほしいんですよマジで」
青年「AVの話してんじゃねえよ」
おっさん「本題がこれなんだよ」
青年「まじかよ」
おっさん「実はおっさん、結婚をミスってなぁ。いや、妻はいい人だった。ほんとに。けど若い頃身につけた性趣向のせいで、女としては不満を抱かせてしまったみたいでねえ」
青年「セクロスレスなんかおっさん」
おっさん「まあ、そんなかんじだなあ」
青年「不倫でもされたか」
おっさん「不倫はされてないけど……まあなんだ。今後悔してもその時奥さんが魅力ないんじゃないかって苦しませたのは事実でなあ」
おっさん「詳細はいろいろ辛いから黙るけど、まあ君のっていうか俺の運命の人は奥さんだけだから、たぶん君も出会うだろうし、結婚すると思うんで夜の生活に積極的になれるようにこの時期みてたAVは没収いたしますよという」
青年「没収?!」
おっさん「おう。没収。ていうか処分な ちなみに探せばわかるけどDVDほぼ全部ぶち割ってるからね」
青年「透けてんのに?! うわっ!!マジか、マジかこいつ!!ほんとに割れてる?!」
おっさん「透けててもちゃんとこうどうはできるんですぜ」∞
青年「メタボのくせにデンプシーロールすんじゃねえ!!!くっそ、金出して買ったんだぞこういうのだって!」
おっさん「知ってるけどね!とりあえずは必要なんですよ!!こういうことが!!さあ、もうゴミだからゴミ袋に詰めて捨てちゃおうぜ!」
青年「くっそ……むなしいっていうか悲しい……なんでゴミ袋に詰めて捨てるのは俺の作業なんだ……」
おっさん「泥棒だと思って警察に連絡しちゃったり、まあいいやって思っての買い足しを防ぐためだね。ほら、かわりに黒髪ロングの着物美人のエロ画像フォルダ作っておいてあげたから」
青年「あるぇー?もしかしてPCのお宝にまで消去の手及んでたりしますー?」
おっさん「勿論じゃないですかー」
青年「よっしゃぶん殴る」
おっさん「ぼ、暴力は良くないよ?!ほら、おっさん透けてるし!!」
青年「物理干渉できるって思いっきり自分で証明してただろ?そいや!!」ボゴスッ!!
おっさん「ギャー」 シュンッ
青年「?! ……きえ、た? ……消えたけど……DVD割れっぱなしだな……ハァ」
~数日後
青年(オッサンに割られたエロDVDの片づけがようやく終わった……)
青年(つーか、あのおっさん本当に未来の俺かなんかだったんだろうか……巧妙に隠してたやつも全部割られてたし、写真集も……くっ)
青年(ネタを探す気力もないから惰性でおっさんの作ったエロフォルダでヌいてたし……悔しい事に思う壺だったな)
ドンッ
女性「きゃっ」コテン
青年「あっ すみません?!怪我ないですか?」
女性「い、いえ、こちらこそ……ぁ」じっ
青年「…………えっ その……すみません、手、使いますか?」
女性「は、はい」
青年「ほんとうにすみません……着物、汚れてしまってませんか?」
女性「地面も乾いてますし、たぶん大丈夫だと思います」
青年「怪我は?」
女性「それも大丈夫です あ、えっと……でも、少しお聞きしたいことが」
青年「何ですか?」
女性「その……実は、道に迷ってて……この場所を探してるんですけれど」
青年「……ああ、市民会館なら…………説明難しいんで送りますよ」
女性「良いんですか?」
青年「ゴミ出しに出てきただけだから、気にしないでください」
市民会館前
青年「ここです」
女性「ありがとうございます」ぺこり
青年「いや、俺の不注意でぶつかっちゃったわけだし……もし着物とか、お体になんかあったときはここに連絡ください。できるだけ対応するように頑張るんで」
女性「連絡先ですか。えっと……では、預かるだけ預かっておきますね。気をつかってくれてありがとうございます」ぺこり
青年「……いえ、その……何の用事かはわかりませんけど、頑張ってきてくださいね」
女性「頑張る用事ではなかったんですけど、はい。頑張ってきますね」ぐっ
青年(かわいい)
青年(……あっちも俺の事みてたよな……実際問題なんかあったら弁償とか治療費とか用意できる気はしないけど、なんかあって連絡こねーかな)
青年(……ていうかまさかとは思うけど、今の子がおっさんのいってた後々の奥さんとかだったりするか?しちゃうのか?)
青年(だったら確かに洋物とは全く違うし、性的に興奮っていうよりもなんかキュンときたって方が正しいけど)
青年(……いやいや、先走り過ぎだろう俺。うん。先走り過ぎ先走りすぎ。落ち着こう)
青年(……でもきちんと興奮の方向がああいう子に向くようにオカズの方向はおっさんがいった方向に修正しておこう)ぐっ
~未来
博士「……きみが分岐させた世界の若かりし頃の君の考えが少し変わったみたいだよ」
おっさん「そうか、じゃあ、次は彼が結婚してしばらくたってからの世界に移動しないとね」
博士「……残念だがそれはできない」
おっさん「え?そうなの?行きたいとこに行けるって言ってたのに」
博士「若いころの君のところに君が行けたのは、この世界とつながってる過去だったからであってね。単なるIFの一つとなった世界は観測できるけど移動はできないんだよ」
おっさん「そうだったのか……時期をずらすごとに伝えたい事があったんだけどな」
博士「君はとりあえず、今の君の奥さんの様子を見に行くといい」
おっさん「そうだね。奥さんのお見舞いに行かないと……あ、これからも彼の世界が幸せに進むかどうかは見に来てもいいかい?」
博士「それはかまわんよ」
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