【まどかマギカ】杏子「えっちな仕事に挑戦する」 (975)

さやか「最近さ、あんたの悪い噂聞かないね」

杏子「そういえばそうだな」モグモグ

さやか「なんだか嬉しいな……」

杏子「え?」

さやか「杏子が悪いこと言われると、なんだかあたしまで嫌な気分になっちゃってさ!」

杏子「さやか……」


杏子(あたしは、そんなに変わったとは思えない)

杏子(誰が悪く言ったかとかじゃなくて、自分がどう生きてくのかであたしは……)

杏子(こういうとこ、親父に似ちゃったな)

杏子(さやかんちに居候して、迷惑かけっぱなしじゃさやかに顔向けできなくなってきたんだ)

杏子(だから……)


※えっちな展開はたぶんございません

※書きため無しなのでチビチビです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423125801

杏子「でもどうしたらいいんだ?家も燃えちゃってるし……」

杏子「キュゥべえに聞いてみよう!」


キュゥべえ「ふむ……君にできることは多くはないね」

杏子「そんなぁ」

キュゥべえ「当たり前じゃないか。君はまだ成人していないんだよ?半人前ですらないんだ。それで大人と同じだけの稼ぎを得ようだなんて正攻法じゃ無理に決まってる。その条理を覆すつもりならそれだけのリスクを覚悟しなくてはならないね、でもそれがスキルも無い、魔法少女である以外は普通の少女である君にとって何を意味するのかは」

杏子「わ、わかったよ!わかったから方法だけ教えて!」

キュゥべえ「新聞配達等の子供の君達でもできる仕事さ……収入は大人に遠く及ばないが君たちにとって手軽でバランスが良くてリスクが無いに等しいね」

杏子「へー!そんなのあるんだ!もっと前に知っとけば……」

キュゥべえ「……」

杏子「で、どうやってやるのさ?」

キュゥべえ「保護者の許可を得て仕事に就くんだ」

杏子「ん?」

キュゥべえ「君の場合は様々な行程を経てさやかの両親に協力してもらうのが一番の早道じゃないかい?」

杏子「だ、だめだっ……それはパス!」

キュゥべえ「どうして?」

杏子「……かくかくしかじか。言ったらぶっ潰すからね」

キュゥべえ「やれやれ」

杏子「もっと簡単なのないのー?正体不明の用心棒とかあたし向けなの!」

キュゥべえ「無いことは無いはずだけどさやかと一緒にいるのが難しくなるよ」

杏子「うっ」

キュゥべえ「それに君と同じ事を考える魔法少女がいないわけがないじゃないか。その子達と出会ったらいつか君の噂はさやかに届く」

杏子「ちぇっ……いいと思ったんだけどな」

キュゥべえ「……君さえ許せるなら、情報が漏れにくく、たくさん稼げて、相手によってはリスクも少なくできる仕事がある」

杏子「本当か!なんて仕事!?」

キュゥべえ「売春さ」

杏子「バイ……シュン……?」

キュゥべえ「……もしかして知らないのかい?」

杏子「し、知ってるからそのくらい」

キュゥべえ「どちらにせよ、君には無理じゃないかな」

杏子「どうしてさ」

キュゥべえ「君にはそれをしなければならない理由は無いだろう?」

杏子「……ある」

杏子「さやかと胸を張って向き合えるなら、なんだってやれるんだ!」

杏子「で、どうやんの?」

キュゥべえ「まずは男を捕まえて」

杏子「ほんほん」

キュゥべえ「売春を提案する」

杏子「ほんで?」

キュゥべえ「相手の要求に応えればお金がもらえるよ」

杏子「超簡単じゃん」

キュゥべえ「いいのかい?売春なんて本当に」

杏子「ん?さっき言ったとおりだろ?」

キュゥべえ「えっちな仕事だよ?」

杏子(えっちってなんだ?)

キュゥべえ「……そこまでの覚悟なんだね」

杏子「ああ!あたしはえっちな仕事に挑戦する!」

キュゥべえ「?」キュップイ

男「かわした約束忘れないよ♪」フンフーン

杏子「ねぇ、お兄さん!」

男「(おっ!かわいい子!)なんだい?」フッ…

杏子「ごめんね!!」ビシッ

男「!?」ガクゥッ



男「う、うーん……こ、ここは?」パチクリ

杏子「くく……」ニタァ

男(やばい……この目、修羅場をくぐってやがる)

杏子「お兄さん、あたしが何言おうとしてるかわかる?」

男「金なら出す!だから命だけは!」

杏子「お金はほしいけど……その前に仕事しなきゃダメだよね?」

男(俺に何をさせようというんだ!?)

杏子「お兄さん、バイシュンしないか?」

男「は?」

杏子「バイシュンだよ!バイシュン!」

男「お、俺が!?」

杏子「そうだよ」

男「誰と!?」

杏子(バイシュンって二人以上必要なのか?)


杏子『キュゥべえ、バイシュンって誰とやるんだ?』

キュゥべえ『だいたいは男一人とだけど?』

杏子『わかった!!』


杏子「もちろん、他の男とさ……」

男「俺はノンケなんだ……許してくれ」

杏子「ノンケって何だ?」

男(……八重歯が鋭い……この子、悪魔だ!)

杏子「ノンケが邪魔になるようなら……」

男「ひっ!わかりました!ホモさせて頂きます!」

杏子「よくわかんないけど他の男とホモがしたいのか」

男「はい!それはもう!」

杏子「わかった!つれてきてやる!」

男2「うわあああああああああああ!!」

杏子「よっと」スタッ

男・男2(なにこの跳躍力!?)

杏子「さぁ、ホモしてくれ」

男2「そ、そんな……まだ心の準備が//////」

男「まんざらでもない感じやめろよ!」

杏子「やっぱやりたくないのか?」

男「やらせていただきます!」

トゥルルルルルルル

杏子「あ、ごめん!ちょっと電話してくる!」

男「ホッ」

杏子「その間にやってて!」

男「ええええええええええええ!!」

タタタタタタタ

男「命令に背くときっと殺される……」チラッ

男2「あっ//////」ドキッ モジモジ

さやか『もしもし、あたし』

杏子「ど、どうしたんだ?」

さやか『ん……なんだか胸騒ぎがしてね』

杏子(相変わらずカンがいいな)

杏子「なんでもないよ」


アッ-―――――――――――!


さやか『何今の声!?』

杏子「どっかからか聞こえたな」

さやか『もう夜遅いし……早く帰ってきなよ!今日の夕飯は杏子の好きなやつだよ!』

杏子「本当か!?なんだ!?」

さやか『ひ・み・つ♪』

杏子「早く帰らなきゃぁぁあ! ……お兄さん達は大人だから、ま、ほっぽっといても自分で帰るでしょ!」


杏子「親父、今日はいいことしたかも……!なんたって、人の望みを叶えたんだから――!」



  つづく

今日はこれくらいで m(_ _)m
読んでくれた人はありがとう

杏子「……♪」メルメルメル

まどか「杏子ちゃん、スマホ使うのすごく上手になったね!」

杏子「楽しいからな、これ」

さやか「持たせるべきではなかったかと少し後悔しているあたしがいます」


――通学路

杏子「……♪」スタスタ スッ

キュゥべえ「前を見てもいないのに上手に避けるものだね」

杏子「見てるよ」メルメルメル

キュゥべえ「やれやれ」

杏子「キュゥべえ、バイシュンって絶対に男相手だったりとかしなきゃダメなのか?」

キュゥべえ「必ずしもそんなことはないけれど」

杏子「ふーん……」メルメルメル

タタタ ドンッ

??「あうっ!」

杏子「やばっ!大丈夫か!?」

ゆま「ぶつかってごめんなさい!ゆまは、へいきだよ!」

杏子「そうか、こっちこそごめんな」ニコ

パンパン サッサッ

ゆま「ありがと、おねーちゃん!」パァァ

杏子(この傷、虐待か……そうだ)

ゆま「どうしたの?おねーちゃん」

杏子「……あたしはキョーコだ、『おねーちゃん』はやめろ」

ゆま「ん……わかった」

杏子「なぁ、ゆま……ぶつかったお詫びに、バイシュンしないか?」

ゆま「バイ……シュン……?」

キュゥべえ「まさか君は……売春斡旋まで始める気かい?しかもこんな小さな子に、どうかしてるよ」

杏子「(あっせん……?)相手は誰でもいいんでしょ?だったらゆまだっていいじゃないか」

キュゥべえ「確かに相手は誰だっているし、この子だって売春をしてでも叶えたい願いがあるかもしれないね。でもあまりに反社会的だ、どうなるかわからないよ」

杏子「随分とゆまのことを知ったふうなこと言うじゃんか」

キュゥべえ「ゆま、君はとても大きな才能を持ってる」

ゆま「……!ぬいぐるみがお話してる!」

キュゥべえ「僕はキュゥべえ。君に叶えたい願いがあるなら、僕と契約したほうが――」

ボゴォッ

ゆま「あ……」

杏子「そいつは大丈夫だから、いくぞ」

ゆま「う、うん……」

杏子(しまった……どういう風までバイシュンをアレンジしていいのかキュゥべえに聞けなくなっちゃったじゃん)

ゆま「キョーコ、困ってる?ゆまが、バイシュンしないせい?」

杏子「違うよ、あたしがするんだ」

ゆま「で、でも、きっとバイシュンって大変なんでしょ?ゆま、キョーコに迷惑かけられないよ」

杏子「するったらする!あたしがバイシュンして、あんたの願いを叶える!」

トントン

杏子「ん?」

富豪「売春なんて止めなさい君達!さ、これで美味しいものでも食べて」ウルウル

スタスタスタ

杏子「何が入ってるんだ?……んなっ!?」

ゆま「お、お金がいっぱい!」

杏子「ええと!ぶ、分厚い!」ヒャッハァァァアアア

ゆま「すごいね!おめでとう、キョーコ!」

杏子「ばかっ!二人がもらったんだからちゃんと分けるんだよ!」

杏子(……親父、いい人ってどこにでもいるんだな)

杏子「でも、ゆまの困ってることはお金じゃ解決しないな」チラ

ゆま「え……?バイシュンって、もしかして」アセアセ

杏子「そうだ。でも男が必要なんだよな……知らない男とゆまは上手くやれるか?」

ゆま「ゆま、自信ない……」

杏子「じゃあよく知ってる奴でいいよ」

ゆま「すぐ来てくれそうなのは、おじいちゃんしか知らない」

杏子「じゃあお爺ちゃんにすっか、連絡先わかるか?」

ゆま「うん……電話持ってる?」


ゆま「もしもし、おじいちゃん……」

杏子(上手く行きそうだ……今回も)

ゆま「ゆまね、バイシュンすることになったの」

ゆま「うん、ママから逃げて来たら、キョーコっていうおねーちゃんがいて」

ゆま「キョーコと仲良くなったら、キョーコにバイシュンしないかって言われてね」

ゆま「そのあと大人の人にお金いっぱいもらったの!キョーコと分けたんだ!」

ゆま「え?急いでくるの?でも……う、うん、待ってる。キョーコも?わかった……」

杏子「なんだって?」

ゆま「仕事もいったんおいて、すぐ来るって!」

杏子「ゆま想いのお爺ちゃんだな!」ニカッ

ゆま「うん!」ニパー


つづく

落ちちゃったかな?

生きてた、チビチビいきます

~~しばらく前

ほむら「最近杏子は先に帰ってしまうのね」

さやか「うん……なんだかよそよそしいんだ」

ほむら「追いかければいいじゃない」

さやか「そんなこと、しないよ!杏子をもう信じてるから」

ほむら「……信じてるのと、疑うのは別のことよ」


さやか「キュゥべえ、杏子は何してるんだろうね……」

キュゥべえ「……」

さやか「キュゥべえもさすがに知らないかぁ~~」

さやか「そうだ、マミさんならわかるかも……杏子の元師匠だし!」


――マミるーむ

マミ「そう、そんなことが……」

さやか「何かわかりますか?」

マミ「キュゥべえ、教えてくれる?」

さやか「キュゥべえは知らないみたいですよ」

キュゥべえ「……」

マミ「ふふ、キュゥべえは言いたくない時、何も言わなくなるか、曖昧にはぐらかすの」

さやか「え!?そうなんだ!」

マミ「キュゥべえ、本当は知ってるのよね?何も言わなくていいから、YESorNOで答えて」

キュゥべえ「仕方ないなぁ」

さやか「おお!」

マミ「佐倉さんは危ないことをしているの?」

キュゥべえ「……」フルフル コクコク

さやか「?」

マミ「危ない可能性があるってことかしら」

キュゥべえ「……」ウンウン

マミ「魔女」

キュゥべえ「……」フルフル

マミ「魔法少女」

キュゥべえ「……」フルフル

マミ「危険な仕事」

キュゥべえ「……」フルフル コクコク

さやか「そんな……まさか用心棒とかじゃないよね!」

キュゥべえ「……」フルフル

さやか「ほっ」

マミ「まさか……売春」

キュゥべえ「……」ピタッ

さやか(バイシュン?)

マミ「そんな……ああ、そんな!」ヨロヨロ

さやか「え?え?」

マミ「どこまでやったの……デート……ホテル……?まさかそんな佐倉さんがそんなわけ」ブツブツブツ

さやか「あ、あのーマミさん?」

マミ「はっ!」

さやか「わっ」

マミ「ごめんなさい、ちょっと休養をおもいだしたわ」

パアアアア

マミ「美樹さん、またね!とうっ!」バッ


さやか「いったいなんなの……?」ポカーン

キュゥべえ「……」

さやか「バイシュンをまどかに聞いてみるかぁ」

――マドハウス

詢子「いらっしゃいさやかちゃん」

さやか「あ、ちょっとした用事なだけです」

詢子「まどかー!さやかちゃん来てくれたぞー!」

<ハーイ

テテテテテテ...

まどか「いらっしゃい!さやかちゃん、どうしたの?」

さやか「まどか!バイシュン教えて!」

詢子「ブフーッ」

詢子「チョ、マテヨ!」

さやか「え?」

詢子「言ってる意味わかってるぅ!?」

さやか「え?うーん、わかんない!」テヘー

詢子「だよなぁ……」ガクッ

まどか「教えてあげられるよさやかちゃん!」

詢子「えっ!?」

さやか「おお、さすがまどか!持つべきものは可愛くて頭のいい親友ですな~」

まどか「そんなぁ///////」テレテレテレ

詢子「ま、まどか!本当に知ってるのか?」

まどか「だいたい想像がつく」フンス

詢子「あっ……まどかはまどかのままだったね」

まどか「スーパーにやってきました」

さやか「ここでバイシュンできるんだね!」

まどか「野菜コーナーへ行くよ!」

さやか「おう!」

まどか「あ!ほむらちゃん!」

さやか「おっすー!」

ほむら「奇遇ね、まどかとさやか」

まどか「ほむらちゃん!その手にあるものは!」

ほむら「れんこんよ」

まどか「バイシュンしてるねほむらちゃん!」

ほむら「!?」

さやか「さすが優等生!」

ヒソヒソヒソ

ほむら「ちょ、ちょっと待って!」

さやか「ほむらのおかげでバイシュンがよくわかったよ」

まどか「ほむらちゃんは女神様だね!」

アッセンカシラ メガミサマダッテヨ アンナカワイイノニネー

ほむら「ぬううううううううううう!」

――ほむホーム

ほむら「社会的に死ぬかと思ったわ」

さやか「ご、ごめん」

まどか「」

ほむら「まどかは真実と自分の行為で別の次元へ行ったままね」

さやか「バイシュン言いまくってたからね」

ほむら「それにしても杏子が売春してるかもしれないなんて、ね……まどか、れんこんきんぴら食べる?」スッ

まどか「」モグモグ

ほむら「美味しい?」

まどか「//////」

ほむら「良かった//////」

さやか「ね、ねぇ、杏子のことどうすればいいのかな」

ほむら「れんこんのチヂミが焼けたわ、あ~ん……」スッ

まどか「///////」モグモグ

ほむら「えへへ///////」

さやか「話聞いてよぉっ」

ほむら「もう……どうせ杏子だってあなた達みたいにわかってないわ」

さやか「え?」

ほむら「今頃、大人にこっぴどく叱られてる最中かも、知れないわね」

――ファミレス

杏子「バイシュンってそんなのだったなんて////////」カーッ

ゆまのお婆「あらあら、やっぱり勘違いしてたのね……お爺さん一人で来させなくて良かったわ」

杏子「ごめんなさい……」チラ

ゆまのお爺「過ぎたことは別にいいわい、何はともあれお前さんのおかげでゆまを助けられる」

ゆま「お爺ちゃん、これきらーい…」カラン

ゆまのお爺「こらゆま――」

杏子「好き嫌いしちゃダメだぞ」ポン

ゆま「キョーコ……うん!」ニパー

ゆまのお爺とお婆「……」ニコニコ

杏子(でも、これからどうすればいいのかな……振り出しに戻っちまった)

――繁華街

マミ「あ、あのっ」

ヤクザの男「うほっ!どうしたんだい?」

マミ「赤毛でポニーテールのこういう女の子を見かけませんでしたか?」サッ

ヤクザの男「ふむ……よく知ってるよ」

マミ「本当!?」

ヤクザの男「で、その子がどうしたのかね?今してる売春を止めさせたいとか?」

マミ「そうです!どこにいるか教えてください!」

ヤクザの男「(ビンゴォー!)タダじゃあその子の情報はあげられないなあ」

マミ「え!どうして!?」

ヤクザの男「その子はもう売春なんてやってなくて、うちで風俗業をしているからだよ……もうビジネスの立派な稼ぎ頭なんだ」

マミ「(フーゾクギョウ?)そ、そんな……どうしたらいいんですか?」

ヤクザの男「そうだなぁ……その子を上回る売上を、君が出してくれれば考えよう」ニタァ

マミ「……わかりました、言うとおりにします」


つづく

~~翌日

杏子「……っくちゅん!」ブルブル

さやか「もう……バチが当たったんだよ?あたし達に黙って変なことしようとするから」

杏子「……でも、言いたくなかったんだ」

さやか「水臭いって言ってるの!あたし達、友達じゃん」

杏子「……ん//////」

さやか「学校行って来るね!あんまり心配かけないでね」


杏子「魔法で治したら怒られそうだな……しょーがない、寝るか」

杏子「ミズクサイってなんだろうな」

杏子「水が臭い……じゃないよな?唐突すぎるし……」

――放課後

さやか「早く帰らないと……あいつ、退屈してるだろうから」

まどか「てぃひひ、さやかちゃん旦那さんみたい」

さやか「な、何言いだしちゃってんのまどか!?//////」

まどか「あーあ、私、愛人さんになっちゃった……」

さやか「もう!変なこと言わないの!」ギュッ ウリウリウリ

まどか「えへへ……変なことにならなくて、良かったね」

さやか「……だね」


ほむら「二人とも、おまたせ」

さやか「じゃあ帰りますか!」

まどか「うん!」

ほむら「ちょっと気になる事があるから帰りに巴さんの家に寄っていいかしら?」

さやか「気になる事?……うーん?何か忘れてるような」

ほむら「私の知る限りではどんなに辛くても皆勤賞だったのに、先輩が今日休んでたって言ってたの」

まどか「そんなぁ……マミさんまで、変なことになってないよね?」

ほむら「それを今から確かめに行くのよ」

――美樹ハウス

杏子「そろそろ帰ってくる時間なのに遅いな」

杏子「仁美とファミレスにでも寄ってるのかなぁ」

杏子「もう眠れないし、本でも読むか……これにしよ」

【男の禁断の愛!友よ、お前は俺の嫁!】

杏子「熱いタイトルでおもしろそうじゃん」


――マミマンション

ピンポーン

ほむら「……いないのかしら」

まどか「どうしたんだろ……休みなのに家にいないなんて、おかしいよ」

さやか「あっ!」

ほむら「な、何!?」

さやか「な、なんでもない……」タハハ

ほむら「ビックリするじゃない」

まどか「……?」

さやか(マミさん、もしかして杏子を探しに行ったまま帰ってないわけないよね?)

――美樹ハウス

杏子「な、なんだこれ//////」

【 男『一人で遠くへ行ってしまおうとするなよ』 壁ドン

  男2『で、でも……俺、こんな片思いにはもう耐えられないんだ!』

  男『片思いじゃない……』

  男2『え……?』キュルルンッ

  男『水臭いぜ、俺達はもう「恋人」だ』 

  男2『男……!』ドキドキ

  男『……』ススッ  】

杏子「お、男同士なのに、キスしちゃう!」アワワワ

キィ ガッチャン

杏子「ぅひぃっ!?」

さやか「たっだいまー!杏子、遅くなってごめんね!」

杏子「ハァ、ハァ、お、おかえり!」

さやか「どうしたの杏子?耳まで真っ赤なんだけど」

杏子「な、なんでもない」

さやか「ふーん」

杏子「さ、さやか……聞きたいことあるんだけどさ」

さやか「ん?」

杏子「『水臭い』ってどういう意味なんだ?どういうときに使うんだ……?//////」

さやか「んと……『水臭いぞ、内緒でどっか行くな……、おまえの背中は、あたしが守る』みたいな?」

杏子「っ!!」

さやか「『あの人の態度に、壁を感じるわ……あたしはこんなに想っているのに』とか?」 

杏子(あわわわわわ、さやか、そうだったのか?)

さやか「杏子、えとさ……」

杏子「な、何? 何だよ?」

さやか「あ、やっぱなんでもない……あたし、ちょっと出かけてくるからうちでじっとしてて」

杏子(「水臭い」っていうのが今よくわかったぜっ!)

――繁華街

さやか「マミさんは人の多いところを、探してるかも……」ハァハァ

タタタタタタ

杏子(こっそりついてきちゃったぜ……)

杏子(さやかを水臭くさせたのは、たぶんあたしだ……)

杏子(責任とってやるよ、さやか)ジーッ

ブルブルッ

さやか「な、何か寒気が……っ!?」


杏子(でも、もう夜なのにさやかはこんなところに何しにきたんだ?)

さやか「あ、あの人が掲げてる看板……!」タタタタ


杏子(ん?看板持ってる奴に話しかけてるな……あれはエッチなお店の看板じゃないか!?)

杏子(な、な……さやか、そこまで飢えてたのか!?っていうか誰でもいいのか!?」

杏子(さやかがそんなわけない……だって、あんなに一途なさやかがそんなわけ!!)

杏子(じゃ、じゃああたしのせいなのか?あたしが、ずっと気づかなかったから……!)


さやか「あのー、この子なんですけど」

看板男「いいでしょ?この子!こんなにかわいい子といやらしいことできちゃうよぉ?」

さやか「は、はぁ」

看板男「なーんてね、君この仕事に興味あるの?」ジロジロ

さやか「んなわけないでしょ!」

看板男「もったいないね、こんなにかわいくていい体してるのに」

さやか「ひーっ!!」ゾワゾワ


杏子(さやか、舞い上がってるみたいだ……そんなに思いつめてたのかよ)

杏子(嘘だろ?ついていかないでくれよ?さやか!)

杏子(なんか話し続けてる……くそっ、聞こえない!)


――数分後

杏子「ついて行っちまいやがった……そんな」

杏子「このビルに踏み入れば……でも、してもいいのか?」

杏子「う、うぐっ……こんなのって、ないよ」

杏子「ざやがぁ……馬鹿ぁ……」グスッ


男「なんか泣いてる子がいるわね」

男2「あの子は、いつかの……」

男「あらほんと……キューピット」


男「キューピット、何を泣いてるの?」

杏子「あっ……あんた達は……ていうか泣いてないし!」

カクカクシカジカ

男2「このお店のあるビルに入りたくて泣いていた……君もホモだったんだね……」

杏子「泣いてないってば……ホモってなんだ?」

男「し、しらねーっていうのかしら?あんなことしでかしておいて」

男2「道理で」

男「ホモっていうのは同じ性別を好きになる奴のことよ!」

男2「君にはホモの才能と責任がある……」

男「こんな小さい子までホモに引き込むのやめろ」

杏子「それってもしかしてBLってやつか?」

男「なんでそっちは知ってるんだよぉ!」

杏子「さっき初めて読んだ本に書いてあった」

男2「あなたには天命もある」

男「黙れ」

???「話は聞かせてもらったわ!」ボインボイン

杏子「その声は!!」


ほむら「杏子……あなたはこの御店に入りたくても入れない」タユンタユン

杏子「ほ、ほむら!?」


つづく

杏子「どういうことだよ……あたしじゃ入れないって」

ほむら「見てなさい」 シュンッ

杏子「いつものほむらに戻った」

ほむら「……」ツカツカツカ


門番「また来たのか」

ほむら「おねがいします!ここで働けないと、大切な人を助けられないんです!」

門番「例えばお前がその昔……野良で死にそうな子猫を助けたことがあるとしよう……でも断る」

ほむら「どうしてですか!?」


杏子「こんな……ひど過ぎる、ほむらだけ差別するなんて!」

ほむら「だ、『だけ』じゃないわ……」プルプル

杏子「くっそー、ほむらの何が悪かったってんだ……!」

ほむら「目の前で聞いてたでしょ」

杏子「とりあえず行けないのはわかった、ありがとな、ほむら!」ニカッ

ほむら「あなたも試していいのよ?」

杏子「魔法使えば?」

ほむら「もったいないわ……そこで!」

ボインッ

杏子「……」

ほむら「魔法少女の服でちょっと、ね?」

杏子「あたしの服じゃバレちゃうな」

ほむら「ふふん」

杏子「楽しんでないか?」

ほむら「そうかしらぁ?」クスクス

杏子「……」


門番「ん……また来たのか……ん!?」

ほむら「どうしたのかしら?」

門番「どんな手品を使ったんだ」

ほむら「さらしを巻いてたのよ」 ドヤァ

門番「揉ませろ、確かめる」

ほむら「えっ」

杏子(そうなるに決まってるじゃん)

ほむら「あ、あわわ、杏子、なんとかして!」アセアセ

杏子「あて身」ドスッ

門番「」バタッ

ほむら「行くわよ」ツカツカツカ

杏子「お、おう」

ほむら「先にさやかが入っていったのね」

杏子「ああ……何か変なことされてなきゃいいけど……」

ほむら「歩いてれば狭いビルだしもしかしたら会うかもしれないわ」


さやか「あ……ほむらと杏子」

杏子「馬鹿……!何してたんだ!心配するじゃんか!」

さやか「ごめん……」

ほむら「……あなた、まさか!」

さやか「少し、遅かった……もう、あたし、あいつらに……」ポロポロ

杏子「なんだって!?許せねぇっ!!こんなビル!破壊してやる!!」

ゴオオオオオオオオオオ

ほむら「やめて杏子!それ以上はソウルジェムが!」

杏子「うああああああ!」


ほむら「なんてね」

杏子「やめろ」

ほむら「魔法少女なのにあるわけないじゃない」

杏子「それもそーか」

ほむら「……誰か来るわ、あれは……」

さやか「あ……杏子とほむら」

杏子「馬鹿野郎……!何してたんだ!心配するじゃんか!」

さやか「ごめん……」

ほむら「……あなた、まさか!」

杏子「おい」

ほむら「なんてね」

さやか「少し、遅かったみたいだね……」

杏子「」

ほむら「……」 アセアセアセ

さやか「さやかちゃん、マミさんと一緒にアイドルデビューですっ!」キラッ☆

杏子・ほむら「ズコーッ」


つづく

~~翌日

マミ「皆、心配かけてごめんなさい」

杏子「あたしのせいで迷惑かけたな、改めてごめん」

さやか「あたしも心配かけさせちゃってごめん」

まどか「いいよ、無事に帰ってきてくれたもん!」ギュッ

ほむら「……! わ、私もごめんなさい」チラ

まどか「え?」

ほむら「え?」


さやか「マミさんが看板でえっちな写真広告出してる時は驚いた」

マミ「顔がわからないようにされてるけど恥ずかしい……ずっと使われるのかしら」

杏子「あたしのせいだな……」

さやか「困っちゃいますよね……まぁ、杏子もマミさんも帰ってこれたしアイドルだってもうやらなくていいんですよね」

マミ「えっ?」

さやか「ん?」

杏子「マミ、弱み握られちゃったのか?あたしのせいで」

マミ「違――」

さやか「えっちなお店の看板に利用したあげく、強制アイドル契約まであいつら許せない……!」ユラァ

マミ「さ、佐倉さんとのことは看板でもう終わってたわよ?」アセアセ

ほむら「まさか巴さん……自主的に!?」

マミ「そ、その……えと」

さやか「あたしを誘ったのも奴らからの強制じゃなかったんですか?」

ほむら「ノリノリで胸を見せつけるなんて、ありえない……」

杏子「え?」

まどか「まって!マミさんの話も聞いてあげて!」

さやか「たまたま来ていたアイドル事務所の社長にスカウトされた……」

マミ「一人じゃ不安だから、美樹さんにおねがいしたの」

杏子(マミは同じ道に誘うの好きだな)

さやか「あたしだって怖いです!あの時は仕方ないと勘違いしてたからテンション上げていくしかありませんでしたけど!」

マミ「任意なら……」

さやか「だ、だめですよ!それにあたしは皆のアイドルになるよりも……なんて//////」

まどか「上條くんのアイドルになりたい?」

さやか「ちょ、まどかぁ!?」

杏子「自分の恋人が他人にちやほやされるのは男は複雑だって聞くしなー」

さやか「べ、べつにあたしはあいつの恋人ってわけじゃ――」

キャッキャ

ほむら「……巴さん、どうしてもと言うなら……」ボインボイン

マミ「!?」ギョッ

ほむら「私が……その、本当に仕方なくなんだけど」ボインボイン

マミ「……!」

ほむら「やっと、巴さんの役に立てる時がきた気がする、なんて」プルルン

マミ(どうしよう、美樹さんに頑張ってもらわなきゃ、暁美さんが道を踏み外してしまう気がする……!)

キュゥべえ「君達の辞書に、『落選』という言葉は無いんだね」


つづく

まどか(マミさんのアイドルデビューの話があってから、ほむらちゃんは少しずつ変わっていきました……)

    ・
    ・
    ・

ほむら「おはよう、まどか」タユンッ

まどか「おはよう、ほむらちゃん!」

ほむら「風が啼いている……」フ…

まどか「え?う、うん」

ほむら「でも平気……世の中はこんなにも美しいわ」

まどか「そうだね、ほむらちゃん」

ほむら「私は懺悔しなくてはならない……そんな世界で人々を魅了する身体になろうとしていることを」

まどか「マミさんは、辛かったらいつでもやめていいって言ってたよ」

ほむら「それでも慣れなくては……」ハッ

まどか「どうしたの?」

ほむら「いつの間に、私はこの身体に適応してしまったの?」

まどか「早いよ」

ほむら「……もしかしたらこれが本当の私なのかもとさえ思えてくるほどだわ」

~~昼食

ほむら「呉さん!私、変われそうです」

キリカ「ほむらにも才能があったんだ」

ほむら「何の……?」チラ

キリカ「たわわに実る才能さ!」

ほむら「うふふ、上手な変わり方を呉さんに聞いたのは正解でした」

キリカ「それは良かった」

マミ「……」モグモグ

ほむら「楽しみにしていてください、巴さんっ!」キャッキャ

マミ「もう……」

~~夜

ほむら「そろそろ寝ようかしら」

ほむら「ふわぁ……」zzZ

チクタクチクタク

   ・
   ・
   ・

ほむら「ん……おしっこ出そうだわ」

ほむら「……」ヒタヒタヒタ

ほむら(そういえば丑三つ時に鏡を見るとお化けが映ってるなんて噂があったわね)

ほむら「洗面所に鏡あるけど……魔女に見慣れたし本当に出てきたとしても今更、ね」

――鏡の前

ほむら「……」

ほむら(とは言ってみたけど、やっぱり薄暗い鏡って少し怖いかも……あれ?)

ガタタッ ズコーッ

ほむら「い、今、鏡にたしかに見えた……嘘……」

ほむら「胸の無いパジャマ着た長い黒髪の女の人が……!」


つづく

~~翌日

まどか「ほむらちゃーん!おはよー!」

ほむら「おはよう、まどか……」ハァハァ

まどか「どうしたのほむらちゃん?顔色が悪いよ」

ほむら「なんでもないわ……ちょっと眠れなかっただけ」

まどか「無理はしちゃだめだよ……?」

ほむら「うん……」

さやか「おっはよー二人とも!」


さやか「なんだか顔色悪くない?」

ほむら「そんなことないわ」ハァハァ

まどか「寝不足だって……」

さやか「ふーん……あ、水溜まり」

ほむら「うぇひ!」ブルブル

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「まどかの真似……」ハァハァ

まどか「そんなこと言わないよぅ」

――学校

ほむら「ううっ」タジ…

さやか「どうしたの?急に立ち止まってさ」

ほむら「学校……ガラス張り……」

まどか「うん、とっても綺麗だよね」ティヒヒ

ほむら「だめ……また亡霊が……」

さやか「亡霊?」

ほむら「昨日見たの!胸がぺったんこの亡霊を!私のこのおっぱいを妬んでとりころそうとしてるのかも!」ボインッ!

さやか「んなばかなー」アハハ~

ほむら「持つ者にしかわからない悩みよね……巴さんに相談してみる」

さやか「その風船破裂させたろかー!」ムキー!

まどか「ま、まぁまぁ!」

~~放課後

マミ「で、学校休んでずっと校門で待ってたの」

ほむら「こういうのは慣れてるわ」

キリカ「その鏡は自分の姿が映ったんじゃないかい?」

ほむら「私はあんなにぺったんこじゃないもの」

キリカ「寝てる時は魔法解除してたんじゃ?」

ほむら「うっ!?記憶が……!この世界は、まさか偽りの……!」

さやか「いやいやいや……」

マミ「確かめてもお化けが出ないかも知れないし……占ってみましょうか!」

ほむら「占う……?」

――美国邸

おりこ「今日もいっぱい寝ましょう」

おりこ「これも予知で世界をより良くするため……決して怠けているわけではない」

おりこ「ふわぁ……キリカが帰ってきたら今日のお夕飯も作ってもらうの楽しみね」

おりこ「買い物行ったら良くない気がする……もちろんめんどくさがってなんかいないわ」

キリカ「ただいまーっ」

おりこ「おかえりなさい」

マミ「美国さん、あなたにちょっとみてほしいものがあって――」

まどか「ほむらちゃんどうしたの?いきなり変身して」

ほむら「……」キッ

おりこ(この子、わたしをじっと睨んで……まさか!?)

ほむら「……」ズイッ

おりこ「……わ、わたしにはキリカが……じゃなくてその//////」

キリカ「恥ずかしがらなくていいよ!『じゃなくて』なんて無いさ!」

ほむら「……」ウィンク パチクリ ドヤァ

おりこ「え……なに?なんなの……?」

ほむら「……フ」ニタァ

おりこ「な、なぜかとっても悔しいわキリカ」

さやか「あ、こいつ今病気を患ってるんで……」アセアセ

ほむら「違うわ」

さやか「え」

ガシッ

おりこ「きゃっ」

ほむら「私と美国織莉子は今は敵対する理由のない『同類』よ」

さやか「次ほむらが何言うかわかっちゃうんだよね……なんでだかさ」

ほむら「美樹さやか、むしろ持たざる者であるあなたのほうが――」

グイッ

さやか「ちょっとお風呂場かりますね」ユラァ

おりこ「え?」

ほむら「やめなさい!美樹さやか!」

さやか「さやかちゃん治癒の祈りで魔法少女やってるんです」

ほむら「知ってるわ」

さやか「だからおりこさんに視てもらう前に診てあげる」

ズルズルズル

ほむら「私はどこも悪くない!本当よ!」

さやか「わぁ、このうちのお風呂、ひっろーい!!」

 ・
 ・
 ・

<マドカァーッ!!

マミ「かくかくしかじか……というわけなの」

おりこ「それなら直接確認してみたほうが早いわね」

キリカ「そうと決まったらほむほむ家にお泊まりだ!」


まどか「いいのかな……なんか話が勝手に進んじゃったけど」

さやか「いいのいいの!こんな簡単なことで魔法に頼ってちゃよくないしね!」

めがほむ「そうですね……」オドオド

まどか「あれ?ほむらちゃん眼鏡」

めがほむ「邪な理由で体を魔法でいじるなんて……良くなかったんです……だからバチが当たっちゃったんだ」

まどか「さやかちゃん……何したの?」

さやか「いえ……あっしは何も……」アセアセ

めがほむ「美樹さんのおかげで、私目が覚めたんですっ!」ギュッ

さやか「うひぃ!」

まどか「むー!」プクー

――ほむるーむ 夜

さやか「といっても全員では無理だからこの面子になりました」

杏子「やっと出番だ」

まどか「楽しいねほむらちゃん」

めがほむ「はい、美樹さんとお泊まりだなんて」ギュ

さやか「やめぇーーい」

まどか「むー!」

杏子「キャラ変わりすぎだろ」

杏子「それにしても幽霊ねぇ……どんな奴なんだ?」

さやか「たぶん鏡のほむらだよ」

めがほむ「長い黒髪で……おっぱいが小さくて――」

杏子「帰るか」

さやか「いやいやいや」

めがほむ「お布団敷きますね」

まどか「ほ、ほむらちゃんの隣がいいなーなんて」

めがほむ「え?なんですか?布団は色で分けました」

まどか「青…紫…赤…ピンク……」

――深夜

みんな「zzZ」スースー

ムクッ チラッ

まどか「わたしがほむらちゃんの隣になりたかったのに」プクー

スクッ

まどか「おといれ……」ソーッ

トットット

  ・
  ・
  ・

まどか「そういえば、おばけがいるか確かめに来たんだよね……」

まどか「怖いよぅ……」オソルオソル

まどか「なぁんだ、何もいないよ!」

ジャー

まどか「ふぅ!すっきりした!」

…ドカ

まどか「ん?」

…マドカ…ドカ…ヤット……

まどか「だ、誰……?」

鏡「……」ニタァ

まどか「」パタリ

鏡「キゼツシチャッタ……モウジカンガ……」

~~数分後

ほむら「まどか!」

まどか「ほむらちゃん……?」

さやか「気がついた!」

ほむら「良かった……」ギュ

まどか「ふぇ?……えへへ」

ほむら「何があったの?」

まどか「鏡に、女の子が」

さやか「え、ほんとにいたの?」

杏子「かすかに魔翌力が残ってるが……何か変な感じだな」

さやか「変な感じ?」

杏子「壁を隔てた向こう側の魔翌力に触れてる感じで、すごい勢いで減っていってる」

ほむら「私だけでは飽きたらず……まどかまでこんな目に!絶対に捕まえて見せる」

まどか「……」



まどか(それから、鏡の女の子がまた現れることはありませんでした)

――翌日 マミるーむ

杏子「鏡のやつ、もしかしたら知ってるかもしれない」

まどか「本当!?」

杏子「前に会ったことあるプレイアデス聖団ってやつに、よく似た魔翌力のやつがいたんだ」

さやか「プレイアデス……なに?」

杏子「プレイアデス聖団」

ほむら「豊満な私を妬むのは勝手、だけどまどかにまでいたずらするのは許せない」タユン

さやか「いやいや……てか戻っちゃったのね、これも違うけど」

まどか「うんうん、いつものほむらちゃんだ」ニコニコ

さやか「違うから!洗脳されちゃ駄目だから!」

マミ「……わかったわ、そういうことなら知り合いの魔法少女に聞いてみる」

さやか「さっすがマミさん!」

マミ「情報が出揃ってから行きましょう」

ほむら「そうね」

――マミマンション前

さやか「マミさんの情報が揃うまで、待つしかないかぁ」

まどか「そういえば……あの子時間が……って言ってた」

ほむら「時間?」

まどか「とっても急いでる感じで、すごく、切なそうに……」

杏子「でも、あたしもあいつらと出会ったのは偶然だしよくわからないんだ」

ほむら「出会った場所くらいはわからないの?」

杏子「うーん、あすなろ市あたりだったか?」

さやか「それだけわかってもなぁ」

まどか「……」シュン…

キュゥべえ「やれやれ、場所がわかるというのは大きな情報じゃないか」テトテト

まどか「キュゥべえ!何かわからないの?」

キュゥべえ「わかっていたとしても君達に教えるわけにはいかない、僕達が簡単に個人情報を明け渡すようなら君達だって困るだろう?」

杏子「そりゃそうだ」

キュゥべえ「でもね、情報を集められる手なら教えてあげられるよ」

まどか「ほんとう!?教えて!」

キュゥべえ「これは君達人類が古くからやってきた手で、効率良くかつ迅速に情報を集めるのに適した方法でね」

さやか「何か嫌な予感がしてきた」

ほむら「こいつらは嘘はつかないし無駄なことも言わないわ」

さやか「なんか違わないのに違う気がする!」

キュゥべえ「売春さ」


つづく

さやか「そんなわけであすなろ市にある公園にやってきたのだー」

杏子「う~~トイレトイレ!」

ほむら「早く行ってきなさい」

タッタッタ

杏子「ん?」

カンナ「……」

杏子「あんた……魔法少女だな」

カンナ「変身もしてないのにわかるんだ……ベテランだね」

杏子「いきなりだがプレイアデス聖団って知ってるか?」

カンナ「質問に答えてもいいけど君と君の仲間を先に紹介してほしいな」

杏子「あたし一人だけど」

カンナ「嘘ついても意味ないよ、美樹さやかと暁美ほむらと一緒に来てる」

杏子「お前なにもんだ……」

カンナ「怖い顔で睨まないで欲しいな、こういう能力ってだけだから」

杏子「ほ、ほーん」アセアセ

カンナ「秘密は喋ったりしないから安心しなよ」

杏子(全部筒抜け系の魔法かよ)

カンナ「御名答」

杏子「それじゃあ嘘はつけないな」モジモジ

カンナ「うん」

杏子「ところでさ」

カンナ「なんだ?」

杏子「待っててくれる?」

カンナ「やだ」

杏子「なんだって!?これくらい読めるんだろ!?」

カンナ「どうだったかな」

杏子(やばい……やばいよ!)

カンナ「私から目を離せばせっかくの手がかりが消えるかもしれないし皆揃っても誰一人逃がすつもりも無い」

杏子「なんで念を押したの?」

~~ほむさやサイド

さやか「杏子遅いなぁ~、どうしたんだろ」

ほむら「……」

さやか「う~ん……」

ほむら「こ」ボソッ

さやか「ん?」

ほむら「なに?」

さやか(え?)

ほむら「なによ」

さやか「な、なんでもない」

ほむら「……」

さやか「……うーん」

ほむら「こ」

さやか「う、うーん」アセ

ほむら「こ」

さやか「や、やめなよ!ほむららしくないし!」

ほむら「じゃあ私って何?」

さやか「……うーんと」

ほむら「こ」

さやか「つながってないから!ていうか男子かっ!」

ほむら「ちょっと和ませようと思ったの」

さやか「最初から割と和んでたから!」

ほむら「安心して、まどかの前ではやらないわ」

さやか「あたしとならいいのかっ」

ほむら「そうよ、あなたとしかやらない……」

さやか「え……」

ほむら「ドキッ」

さやか「するかー!」

キャラ崩壊ひでえな

>>77
読んでくれてありがとちゅっちゅ
誰もこのスレを見てすらくれてないかと思ってたww

本当に、楽しんでもらえたら嬉しいです

杏子「ただいま……」

さやか「おかえり!聞いてよ杏子、ほむらってばさ」

ほむら「さやかが私にNGワードを言わせようとするの」ホムー

さやか「違うでしょー!」

キャッキャ

杏子「……」モジモジ

さやか「どったの?何かあった?」

杏子「いや……そういうわけじゃ」

ほむら「……」

杏子(1日我慢すればあいつが情報くれるって言った……耐えてみせるぜ)

~~数分後 マミるーむ

マミ「皆が来るの、そろそろだろうと思ってお茶会の準備済ませておいたわ」

さやか「やったぁ!」

ほむら「ブラックの焙煎でお願い」

キュゥべえ「マミには下腹部の疲れに効く茶葉を選ばせたからね」

マミ「ふふ、お菓子も上手に作れそうで張り切っちゃった」

杏子「……」モジモジ

まどか「今日はたっくんもいます」

タツヤ「あいー!」

まどか「さ、たっくん!杏子お姉ちゃんだよ!」

たっくん「あんこ!」タタタ... ギューン

杏子(まずい!避けたらまどかの弟を傷つけちまう……かと言って衝突すればあたしのお腹が)

パフッ

さやか「ダーメ、なんだか杏子は今調子が良くないみたいなの」

杏子(さやかぁ!ナイス!)

タツヤ「あんこ、げんきない?」

杏子「なに……ちょっと休めばいいだけさ……そこのソファ借りるよ」

~~5分後

杏子(マミには悪いが、今お茶会なんてやったら確実アウトだ……寝て1日をやり過ごす)

テトテトテト

キュゥべえ「どうしたんだい?杏子」

杏子「くかー」

キュゥべえ「おや、もう寝てしまったんだね」

杏子(そうだ!だからさっさとどっか行きなっ)

キュゥべえ「僕もここで休むとするよ」

杏子(なんだって!?)

キュゥべえ「このソファはOPに出てくるほど僕というキャラにとって重要なものなんだ」

杏子(なに言ってんだこいつ)

キュゥべえ「君が寝てると僕が寝られないから君のお腹の上で寝るね」

杏子(ふざけんじゃねぇ)

キュゥべえ「でも起きたらマミの手料理をちゃんと食べるんだよ、君の身体のためにもね」

杏子「むにゃ……もう食べられないょ……zzZ」

キュゥべえ「ま、夢は夢さ」

杏子(こいつー!)

キュゥべえ「仕事の後だろう?疲れてるだろうから寝る前にお腹をマッサージしてあげるよ」フミフミ

杏子(やめて)ギギギ

キュゥべえ「あれ?力が足りないかな?」ピョン

杏子(まさか!?)

キュゥべえ「なんてね、さすがにこれじゃ杏子が起きるだろう」フワフワ

杏子(飛べるのかよ!ていうかなんでフェイントした!?)

キュゥべえ「でもまぁ、起きてもいいか」ドサァ

杏子「――――っ!!」プルプル

キュゥべえ「起きないみたいだね、それじゃあ何度でもやれそうだ」フワフワ

杏子(マミさん助けて)

ほむら「おいしいです」フゥ

マミ「ふふっ、最近暁美さん変わったわね」

ほむら「え?」

マミ「だって、昔は……?」

ほむら「そんな時もあったかもしれないわね」

まどか「ほむらちゃんは昔からわたし達と仲良しだよ!ね、ほむらちゃん」

ほむら「ええ、そうね」ニコ

さやか「うん……でも、たった数日のことでも、皆といると長かったような、何度も繰り返してきたような、そんな気がしちゃいますね」

ほむら「……」

杏子「りゃ、りゃめぇ……キュゥべえ……」

キュゥべえ「おや?寝言かな?」グリグリ

カンナ『聞こえるかい?どうやら大変みたいで』

杏子『お、お前……今もあたしの状況が筒抜けってわけね』

カンナ『……』

杏子『近くで見てるのか』

カンナ『いいや、あすなろ市だよ、私の能力は射程に自信があって」

杏子『……悪趣味だな」

カンナ『なんとでもドーゾ』

杏子『というかキュゥべえが変なことしてきてほんとにやばい!普段はこんなことしないってのにさ!』

カンナ『なんだって?』

杏子『どうしちまったんだ』

カンナ『もう一回言ってくれ』

杏子『繋がってるのに聞き逃したのかよ!キュゥべえがこんな事するなんて無いからあんたがやらせてるんじゃないのか?ってぶっちゃけ思ったってこと!』

カンナ『佐倉杏子、あんたの幻惑はテレパシーも妨害できるのか?』

杏子『は?』

カンナ『……いや、わかった別に言わなくていい』

杏子『あっ……あんた今勝手にあたしの過去を覗いたろ!』

カンナ『……見えちゃっただけ』

マミ「あら、もうこんな時間!」

さやか「ほんとだ!杏子、行くよ!」

杏子「……」グッタリ

さやか「ど、どうしたの?」

杏子「さやか、ごめん……あたし、ダメだった」

さやか「え?なにが?」

杏子「こっちのことさ……」フ…

――数分後――

マミ「さ、お片付けしなきゃ……」カチャカチャ

マミ「佐倉さんの寝てたソファ……」ウズウズ

クンカクンカ ギュッ

マミ「あぁ、懐かしい匂い!佐倉さんが昔、泊まりに来てくれた時のままね!」

マミ「こうやって横になってうつぶせになれば!」ンフウウウ スゥゥゥゥゥ

マミ「あの時を思い出す……マミさんマミさんって、ね……ふふ」ニタニタ

クンカクンカ

マミ「今は色々変わってしまったけれど、佐倉さんの匂いはあの時と変わらずおしっこの匂いのする子供のまま」

マミ「なんて表現じゃ収まらないくらい子供の匂いであふれてる」

キュゥべえ「現実を見なよ、マミ」

マミ「もしかしたら、私は皆から少し離れていてしまったのかもしれない……」

マミ「佐倉さんの匂いに感じた私の強い変化は、危なげな今の私を教えてくれたのね」

マミ「ふふふ、皆ともっと仲良くならなきゃ……」カチャカチャ

キュゥべえ「ふむ、水分と数%ほどの代謝物だね」ペロペロ

~~次の日

杏子「あー……憂鬱だな……」

さやか「どうしちゃったのさ、もう……昨日から何かおかしいよ」

杏子「……さやかにはわかんないさ」

さやか「なっ……そんなの言ってみないとわかんないじゃん!」

杏子「う、うん……」チラ

さやか「……」ジーッ

杏子「……う、うわぁーっ!!」ジタバタ

さやか「な、なんなの?」アセ

マミ「ふふ、どうしたの?佐倉さん」

杏子「マ、マミ!?どうしてここに」

マミ「だって……皆が頑張ってるのに私だけお留守番なんて」

さやか「マミさんがいれば百人力ですよ!」

杏子「ぁ……マ、マミ?」

マミ「なぁに?」

杏子「ご、ごめん」

マミ「え?」キョトン

さやか「なに?マミさんになんかしたの?」

杏子「い、いや……こっちの話」

マミ「……ふふ」

杏子(バレてないのか?)

……数分後

さやか「トイレってウォータークロゼットの略らしいですよ」

杏子「へー」

マミ「ウォーターソファ」

杏子「!?」

さやか「え?」

マミ「ん?」ニコニコ

杏子(偶然……だよな?)

マミ「ソファーと言えば」

さやか「はい」

マミ「昨日ね、キュゥべえがソファでおかしなことを言ってたの」

杏子「!?」

さやか「あいつはいつもおかしいじゃないですか」アハハ

杏子「そ、そうさ!特に最近なんて風俗がなんとかってそればっかりでさ!」

さやか「!?」

マミ「もう!キュゥべえが可哀想じゃない」

さやか(アイドルのこと思い出さなくて良かった)

さやか「あすなろ市ついた!」

杏子「うへぇ」

さやか「どうしたの!さ、今日こそ手がかり見つけるよ!」

マミ「……?何か大切なことを忘れてしまったような」

杏子「あたしもそんな気がする」

さやか「二人して変なこと言っちゃって」

マミ「それにしても懐かしい……この風、この空気」サワァ…

さやか「お、あたしたちくらいの年頃の子だ、魔法少女だったりして……おーい!」

マミ「昔ね、私この街で女の子を助けた事があって――」

杏子「あいつは!ま、待てさやか!」


カンナ「おかえり、佐倉杏子ともう一人……有名な巴マミを連れてきたのは保険?」

杏子「……」

カンナ「……お題はこなせたかい?」

杏子「わ、わかんねー!」

カンナ「わからないってどういう意味?嘘は通用しないってわかってると思うけど」

杏子「へっ、疑うんなら見てみろよ」

カンナ「どれどれ……」

さやか「ちょっと、話が見えないんですけど」

カンナ「佐倉杏子は私と取引したんだ、トイレを一日中我慢できれば情報を得ることを」

さやか「えっ!?じゃ、じゃああんた、もしかしてあの時あれから……」

杏子「してねーぜ」

さやか(う、嘘だっ!何故だかわからないけど嘘だってわかっちゃったよ、あたし!)

さやか(ううん、そもそもできるわけない!)

さやか(だって……あんた昨日もなんだかんだいっぱい食べてたじゃん!)

さやか(なのに、どうしてそんなに顔色いいのよ!)

カンナ「おねしょ」

杏子「」ピクッ

カンナ「うーん、してる風ではないな」

杏子「だ、だろ?(だって覚えてないし、おねしょなんて、あるわけない)」

カンナ「とはいえロッソファンタズマの佐倉杏子だ……記憶くらい書き換えているのかも」

カンナ「よし、次のテストに耐えれたら認めるよ」

さやか「あんたねぇ!杏子はおもらしなんてしてないって言って――」

スッ

杏子「いいぜ、そのテスト受けてやるよ」

カンナ「GOOD」

さやか「杏子!?」

杏子「あたしはおもらしなんてしていない……今はハッキリわかる、だからそれをあいつにもわからせてやるぜ」

さやか「さっきわかんないって言ってたでしょ!」

カンナ「このペットボトルになみなみと水をそそぐ」

杏子「そのペットボトルがなんだってのさ」

さやか「うっ……あのペットボトルは『やばい』よ!そんな感じがする!」

杏子「や、やめろよ……あんたカンがいいんだから」

カンナ「ふふ……カンが良いのは、裏を返せば運命に翻弄されやすいことでもある……『人形』のようにね」

トクトクトク

カンナ「このテスト、そこの『美樹さやか』じゃなくて良かったかもしれないな」

杏子「んっ!?」ピクピクッ

さやか「ど、どうしたの?……まさか」

カンナ「このペットボトルと、佐倉杏子の膀胱を私の魔法で繋げた」

杏子「なん……だと……」

カンナ「ちなみにこのペットボトルは『いろはす』だ」

さやか「あ、あんたって奴はぁぁ!」

杏子「しゃやか……」

さやか「なに?杏子!」

杏子「漏れちゃう!」

カンナ「あそこにトイレあるから行ってきな」

杏子「……」チラ

カンナ「あ、もう我慢しなくていいから」

ダッシュ


さやか「……遅い」

カンナ「……」

さやか「このペットボトル持ってく!いいね!」

カンナ「……ルールは3つある」

さやか「え?」

カンナ「そのペットボトルは『壊さない』こと、私も何が起きるかわからない」

カンナ「二つ目、自由に水のだしいれはしてもいいけれど、人を通さないと捨てられない」

さやか「ほ、ほんとだ……どうなってるの?」ブンブン

カンナ「三つ目は、隠さないこと!存在をアピールし誰かがしたいと言ったことは必ず受け入れる!」

さやか「くっ……わかったわよ」

カンナ「時間は一時間でいいよ……それまで解散だ」

――公衆トイレ

トントン

さやか「杏子、大丈夫?」

杏子「ざやがあああ!ペットボトルを!どうにかしてくれええ!!」

さやか「う、うん!」ブンブン

杏子「あひぃ!!や、やめてっ!」

さやか「あひぃて……わかってたのについやっちゃったゴメン」

杏子「おしっこ全部出したのに!出したい気持ちが止まらないのぉ!!」

さやか「あ、あたしもどうしたらいいか」

マミ「二人とも……何してるの?」

さやか「マミさん!このペットボトルどうにかして!」パシッ

マミ「飲みきれないの?わかったわ」

さやか「あ」

グビグビグビグビグビグビグビグビ

マミ「あら、中身はただの水じゃない」プハッ

さやか「あはは……杏子大丈夫?」

杏子「スッキリしたぜ……よく考えたらあたしなんでこんな事やってんだ?」

さやか「いやいや……」

マミ「じゃあこのペットボトルは捨てるわね」

ガシッ

さやか(やばい!ペットボトルがマミさんの握撃で潰されちゃう!?)シュンッ

さやか「あー!それはあたしがやります!!」パシッ

マミ「う、うん」

杏子「そんなルールまで……こんな戦い想定外だよ」

さやか「こんな感じでペース掴んでくる魔法少女もいるんだね」

マミ「そうね、私も魔法少女になってからそういう子達とも何度も戦ったわ……魔法少女の戦いは先手必勝、私はそれの対策に――」

子供「ねーちゃん!そのペットボトルくれよ!」

さやか「え、なんで?」

子供「その空きボトルで缶けりすんだ」

杏子「」

さやか「あ、あはは……このペットボトルはあげられなくて」スッ

子供「あんがと!」

杏子「おいいいいい!」

さやか「え!?あたし、絶対渡すつもりなかったのに!」

杏子「そういうことかよ、ルールって……」

マミ「長い一時間になりそうね」

カーンッ

さやか「杏子!蹴られたペットボトルがそっち行ったよ!誰かに拾われる前にとらなきゃ!」

杏子「」ドサ

さやか「くっ……やっぱり」タタタタ

杏子(へへ……それでいい……あたしは置いて、走れさやか……)

さやか「やっぱほっとけない!」ヨイショ

杏子「ばかっ!おいてけって!」

タタタタタ…

さやか「あたし気づいたんだけどさ、あいつあたし達に教えてくれるつもりないよ、きっと」

杏子「へ?」

さやか「一人でなんでもかんでも片付けようって目、してた」

杏子「そうかもな……でも、なぜわかる」

さやか「なんでだろうね……でもあたしにはわかる、だから」

杏子「あたしを一人で置いてけないか」

さやか「それだけじゃないけどね」

マミ「……」

マミ(リボンを広げて……透過で収束させる……)

マミ「魔法少女の反応……そこっ!」

ビシィッ

カンナ「あーあ、捕まっちゃった……リボンでそんな応用するなんてさすが噂に名高い巴マミ」

マミ「相応に魔翌力を使うけど……急がなきゃいけないの、あの子にかけた魔法を解きなさい」

カンナ「無理だね……ぐっ」ミシィ

マミ「……」

カンナ「仲間を守るためなら本気という目……でも、私だって退けないんだ」

マミ「?」

カンナ「私にはかつてあった事を辿ることしかできないから」

マミ「ごめんなさい、私達にも時間が無いらしいの」

カンナ「そうか……なら、本気であんた達を倒す!」スパパパッ

マミ「え?美樹さんの剣!?」

カンナ「あんたとは相性抜群だろ!」ガンッ

マミ「ぐっ……どうして」ギリギリギリ

カンナ「あたしは今、全ての魔法少女と繋がっていてその力を使える……だから、こういうことも」

シュルルルル バシィッ

マミ「え!?ぐっ!」ミシィ

カンナ「形勢逆転だ」

さやか「ふぅ……やっとペットボトル取り返せたね」

杏子「物語だったら場面転換しなきゃいけないくらい酷かったな」

さやか「何言ってるのさ……あれ?あれは……マミさんと」

杏子「カンナ……!」

タタタタ

さやか「マミさん!」

マミ「」

杏子「え……?嘘だろ?」

さやか「……どけぇー!」ブンッ

カンナ「……」ヒョイ

さやか「マミさん!ねぇ、マミさん!?」ユサユサ

杏子「てめぇ……マミに何しやがった!」

カンナ「見てわからないかな」

杏子「……っ!!」ワナワナ

さやか「うわぁぁぁあああ!!」ブンッ

ガンッ

さやか「あたしの……剣!?」

杏子「……あんたの能力……『繋がる』んだな」

カンナ「バレちゃったか……でも、それでどうする?私は、『天下無双の魔法少女』でもない限り倒せない」

ポツポツポツ ザアアアアアア

杏子「へっ……あたしがその天下無双だよ!」パシャパシャパシャ…ブンッ

杏子「ぐっ」

さやか「」

カンナ「……だから教えてあげたのに」

杏子「嘘だろ、こんな……あたしの幻術まで」ヨロヨロ

さやか「」

杏子「ちくしょう……あんただけでも、逃げてくれ……」パァァ

カンナ「そいつを回復させても、もう誰も逃がさない」

さやか「……かふっ……き、杏子……」

杏子「へっ……あたしが逃がすんだ……だから、かならず逃げられる」パシャ

さやか「杏子、あんた幻術を……?」

杏子「なんでかな……土壇場になったら……いや、あんたを助けるって思ったら、できちゃったな……」ヨロヨロ パシャ…

杏子「あんなに出来なかったのにな……」パシャ…

さやか「だ、駄目だよ杏子、あたしが……」

杏子「さやか」

さやか「あ……!」

杏子「あんがとな」

ズバァッ

ドサァ

カンナ「……」

さやか「……あんたが何をしたくてあたし達にここまでしたのかなんて……わからないけど」

さやか「あんたは絶対許さない……!」ポロポロポロ

カンナ「佐倉杏子が最後お前に幻術をかけたみたいだが」

さやか「酷いよね、無理やり逃がそうだなんて……だけどおかげで本当のあたしが思い出せてきた」

カンナ「なに?」

さやか「杏子の魔法が……あたしに道筋を照らしてる、でもそれは逃げ道じゃない!」パシャ…パシャパシャ

ブンッ

カンナ「!?」

キンッキンキキン

カンナ(なんだこの動き……さっきまでと太刀筋が違いすぎる……!?)

さやか「上書きの上書き……ってやつだね!!」

カンナ「くっ……多少強くなったとこでお前と繋がれる私に勝てないのは変わってないぞ!」

さやか「じゃあ、これならどう……?」

ズモモモモ

カンナ「な!?それは……!」

オクタヴィア「……」

さやか「こいつはコピーできないんじゃない?だって能力じゃないから」

カンナ「くっ」

さやか「これ以上やっても意味ないよ……だから奪った二人のソウルジェムを返せ」

カンナ「……よくわかったな、ベテランでもないお前が」

さやか「ごめんね、今のさやかちゃんは超がつくベテランなの!それに本当はこいつがいなくてももうあんたにだって勝てる」スッ チャキ

カンナ「……」

カンナ「くっ!」スッ

さやか「遅い!」ヒュンッ

バキッ

カンナ「がふっ……は、速い」

さやか「もう知ってるよ、と言うより思い出したんだよね……あんたの『能力』」

カンナ「!」

さやか「『コネクト』……あんたの力は『何でもできる』事じゃない、繋がった人の全てを知れる事」

カンナ「お前、円環の理での記憶が」

さやか「だから本来の『何でもできる人』から力を取り出すための隙があって、それさえわかってたら杏子もマミさんも負けるわけなかった初見殺し」

カンナ「そうだな、でも私は負けたって私の道を譲るつもりはない!お前達も[ピーーー]」

さやか「嘘つき……あんたの目は目的のためなら誰でも[ピーーー]って目じゃないよ」

カンナ「……」

さやか「よく知ってるんだよね、覚悟したつもりでも最後まで迷ってる、そんな目をした奴を他にもさ」

カンナ「もしかして、それって」

さやか「……話してよ、どうして
あたし達が邪魔になったの?」

カンナ「わかった……二人の『魂』を返して、語るよ……」

――世界改変前

カンナ「おまえ、キュゥべえと契約したのか……合成人間が、今度は人間の抜け殻になってどうする!」

かずみ「身体はただの入れモノだよ、ココロだよ!」

ガッ キン

かずみ「わたしにもカンナにも、心があるんだよ!本物の心があるから、だからわたしたちは――」


かずみ「――だからわたしたちは本物の魔法少女になれたんだよ!!」


カンナ(ココロ、か……合成人間だから、造られた全てが偽物の存在だと思ってた……でも)

カンナ(私にも『本当の心』があったから、かずみと同じだったから……皆と同じ魔法少女になれた)

カンナ(……嘘っぱちだと思ってた世界が、かずみを通して本当になれた)

カンナ(今ではもう取り返しがつかないけれど、もし、世界をまたやり直せるような事があったら――)

カンナ(かずみ、おまえと友達になりたい、そして――)

――世界改変後

カンナ「……!ここは!?」

同級生「どうしたの?いきなり」

カンナ「い、いやなんでもない」

カンナ(学校?どうして?私は最後に自爆して……)


カンナ「……もしかして、本当に世界がやり直されてるの?でも少し違う」

カンナ「そもそも、前の世界の記憶が残ってるのが私だけ……何故?」

カンナ「そして、この魔獣とかいう化け物……いったいなんなんだ」

???「へぇ、わたしたち以外にもまだ魔法少女がいたんだね!」

カンナ(かずみ!?いや……ミチルか)

ミチル「チャオ!わたしは――」


カンナ(私はその場から逃げ出した)

カンナ(ミチルがいるということは、ここはつまり)

カンナ(かずみのいない世界であり、ミチルが居続ける限りかずみは産まれてこないのだ)

カンナ(私は、本当のココロを知ったからか、少しでも想像したソレでミチルが怖くなった)

カンナ(彼女を、ころしてしまおうかだなんて――)

――数日後

同級生A「最近、カンナ暗くない?」

同級生B「わたし見たよ、深夜にあの子がうろついてるとこ」

カンナ「……」


カンナ「……」モグモグモグ

同級生「さて、トイレ掃除するかなっ!」

ザバァー

カンナ「……」ビチャビチャ

コンコン

同級生「ごめんね!手元が狂っちゃった!」


カンナの机の落書き「淫売、ブス、魔女」

カンナ「」

同級生「何ボケッと突っ立ってるのよ!」

カンナ「あ、ご、ごめ――痛っ!」

同級生「どうしたの?」

カンナ「椅子に画鋲が……」


カンナ「さて、体操着に着替えるか……」

ネトォ

カンナ「な、何これ……?」

同級生「お、聖さんの大好物じゃん」

カンナ「え?」

同級生「何でもないよ」


カンナ(嫌がらせは段々酷くなり連日続いた)

――カンナ宅

カンナ「私、何してるんだろ」

カンナ「誰とも仲良くなれない……結局、独りぼっちだ」

カンナ(なんでこんな世界に来たんだろう、奇跡が起こったなら、どうしてかずみはいないのだろう)

カンナ「かずみのいない世界なんて、嘘……偽物だ」

カンナ(そう思えば思うほど、造られた私の心から響く)

カンナ「私もかずみも、嘘から産まれた……この世界を否定して、いいのか?」

ジュゥべえ「やあ、オイラジュゥべえ」

カンナ「上手にできた!ニコのように上手くできるか不安だったけど」

ジュゥべえ「なんかすごくオイラの知ってるジュゥべえと細かいところ違うんだけど」

カンナ「キュゥべえは信用置けないからね……とりあえずお前を作って色々知りたかったんだ……ん?」

ジュゥべえ「その代わりオイラはインキュベーターの中で孤独になってしまった……フ」

カンナ「ご、ごめん……」

ジュゥべえ「なんてね!変わったね、カンナ」

カンナ「え?」

ジュゥべえ「わたしだよ、かずみだよ!」

カンナ「!?」

カンナ「か、かずみ!?どうして!」

ジュゥべえ「今までずっと見てたんだよ」

カンナ「え?」

ジュゥべえ「カンナが自爆した時、カンナは無意識にわたしとコネクトで繋がってたの」

カンナ「それで、私と繋がってるジュゥべえを作ったからこうして!?」

ジュゥべえ「そうだよ!」

カンナ「今どこにいるんだ!会いに行くから!」

ジュゥべえ「円環の理」

カンナ「そうか!よし今すぐ円環の理に……え?」

ジュゥべえ「ごめんね、私は世界が再構築されてから、ずっとここにいる……そこへは行けない」

カンナ「そんな……ずっと独りで?」

ジュゥべえ「一人じゃないよ、まどかがずっと一緒にいてくれた」

カンナ「まどか?」

ジュゥべえ「円環の理を作ったの!まどかのおかげで、みんな魔女にならなくて良くなったんだよ!」

カンナ(察しがいった、だからこの世界が――)

カンナ(かずみから世界の話を聞いた……)

カンナ(女神、魔獣……そしてもう一人の記憶を残した魔法少女、暁美ほむらのこと)

カンナ(私や暁美ほむらのような特例でなくても、残照のようにかつての世界やかずみとまどかの欠片がこの世に残っていること)

カンナ(それはつまり、ここは無意識に人々がかつてあった悲劇を避けていく限定的な祝福を約束された世界であり――)

カンナ(――その歪みを矯正し帳尻を合わせるために魔獣が自然現象的に存在していると仮定もできた)

カンナ(例え、魔獣とプレイアデス聖団が戦っても)

カンナ(かずみはかずみとしては、もう産まれてこない)

カンナ(魔獣が存在しているのは世界の理に対してであり、)

カンナ(かずみが消えた原因であるまどかの願いとは無関係)

カンナ(かずみはかつて、魔女だった……あらゆる意味で、この世界にいられなかったのだ)

――現在

カンナ「でも、私とかずみはそれでもまた会えた」

杏子「良かったな……」グスン

マミ「うん……鹿目さんが前の世界で魔法少女の運命を変えて、暁美さんが唯一それを覚えているっていうのは初耳だわ」

さやか「かずみはどうなったの?」

カンナ「……今はいない」

さやか「……そっか、だから」

カンナ「ミチルを倒してでも、私は――」

さやか「そんなことする必要ないよ、たぶん」

――ほむホーム

さやか「たぶん、ここでまたかずみと会えるよ」

マミ「勝手に入っていいのかしら」アセアセ

さやか「むしろ、ほむらに知られちゃダメなんだ」

杏子「どういうことだ?」

さやか「それはごめん……今は、言えない」

杏子「……ふーん、ま、いいさいつか話してくれんなら」プイ

さやか「うん、絶対だから」

カンナ「はじめるよ」パアア

鏡「……そこにいるのは、だれ?」

カンナ「……かずみ!やっと……!!」

鏡「カンナ!?ということは、まどかがやってくれた!?」

さやか「まどかじゃないけどね、繋がって良かったよ」

鏡「さやか!」

さやか「あたしの前にこの人の話を聞いてあげて」

カンナ「……あれから、いくらジュゥべえを作ってもお前と会えなかった」

カンナ「どうして?どうして、私達の『コネクト』が……こんなにもか細くなっちゃったんだ」

カンナ「私はまた、かろうじて『記憶』を思い出せた……別の世界の、お前と繋がってるから」

カンナ「でも、またお前のいない世界なんて考えられない、考えたくなんてないんだ」

鏡「カンナ……」

鏡「あの日、まどかと円環の理が分離した時以来、円環の理は囚われた状態なんだよ」

さやか「……」

鏡「みんなのいる宇宙と繋がっているようで繋がってないような、限定された円環の理の法則だけが交信しあってる」

鏡「今の宇宙は魔獣と魔女と魔法少女が交差しあって、理想の世界が作られているの」

マミ「理想の世界?」

鏡「自然調和っていうのかな?無理の無い幸せな毎日を何度でも繰り返していく」

杏子「いいことじゃん」

鏡「まどかの作った絶望を受け入れ未来を信じて変わっていける世界は、その優しさの代わりに魔獣と戦い続ける運命を得た」

杏子「……そういえばあたし達最後に魔獣と戦ったのいつだっけ?」

マミ「うんと……?」

カンナ「私達は魔法少女以外と戦っていない」

杏子「え?嘘でしょ……?」

マミ「あ、思い出してきたわ!たしかこないだ――」

さやか「……ッ」

杏子「だよな、マミ!」ニカ

カンナ「こんな……正常なのは円環の理に繋がってる私と、幻術を浴びて逆に正常になってる美樹さやかだけなのか」

鏡「今の宇宙は簡単に言うと巨大な魔女結界だよ」

鏡「魔女の理想の世界が違和感無く続くようになってる」

鏡「円環の理さえ、その中に囚われているから、その魔女を導けない」

さやか「いや、あいつはもう魔女ですら無いよ……」

カンナ「原因を知ってるのか?」

さやか「うん……今の状況は、あいつの世界にいたころとそっくり……ソウルジェムの浄化だって、あいつの作った使い魔がやってた」

鏡「……全部知ってるのに、止められない理由があるんだね」

さやか「知ってる?あいつ、それこそ最初こんな風な世界になった時は全ての悲しみを背負ったような目でいたんだけどさ」

さやか「ずっと過ごしていくうちに最近は変なジョークも言うまでになったんだ」

さやか「まどかと過ごすのだって、辛そうにしてたのに」

さやか「まどかってあんな性格だし?あまりに構うから、折れて付き合うようになっちゃった」

さやか「あたしだってずっと忘れないようにしてんのに、一緒にいる間にだんだんそれが嫌になってきてさ、もうわけわかんなくなってきて」

さやか「嘘をついて生きてたっていいじゃん……本気でそう思いはじめちゃってた」

さやか「ずるいよね、あたし……あたしにしか、世界を救えなかったのかもしれないのに、それがまどかや皆の想いを踏みにじることになるのに」

さやか「全てを忘れていくあいつを守りたいって思っちゃった!」

カンナと鏡「……」

鏡「……でももう時間は無いよ、同じ奇跡がまた起きるかはわからない」

カンナ「時間って?」

鏡「この宇宙は繰り返してるの……彼女がまどかを守るために、彼女の知るまどかが最も幸せな時間を」

鏡「時が過ぎたら幻術の効果が切れてまたさやかは忘れちゃうし、私も交信できなくなるからカンナが一人になる」

カンナ「そんな……今回はどうして出てこれたんだ?再現するから」

鏡「この世界の原因の子がこの鏡を見たとき、相当ショックなことがあったみたい」

鏡「それがこの世界と矛盾していて空間にゆがみを生んで、そこへすぐ偶然まどかが来たことで『繋がった』んだよ」

鏡「一度途切れれば、また繋がることはもうできないと思う……」

カンナ「……」

鏡「カンナ、それでも、わたしは」

カンナ「どうせこいつらを助けてくれって言うんだろ?」フゥ

鏡「カンナ……!」

カンナ「でも、これだけは忘れるな……世界は『かつての終わり』へ向かってる、もしそれが『暁美ほむらの終わり』を求めているなら」

さやか「ううん、きっと大丈夫」

カンナ・鏡「?」

さやか「あたしの知ってるあいつは、最後まで諦めなくて、『まどかの終わり』だって変えたんだ」

さやか「今度はきっと、あたし達の番……あの時何もできなかった、あたし達のさ」

鏡「むり、しないでね」

さやか「アハハ、わかってますって!いつも頑張りすぎてから回っちゃうあたしだけど」

ポン

杏子「ほへっ」ボーッ

さやか「今回はこいつも一緒にいるから!」

カンナ「友情パワー?……妬けるね」

鏡「くすくす……」

カンナ「協力すると言っても、私からできることはそう多くない」

さやか「どうして?」

カンナ「私達の物語は悲劇の末にかずみを生んで終わった……だから、その流れに抗おうとすればどうしようもない歪みが生まれるんだ」

カンナ「私は、いないかずみの分までそのバランスを取らないといけない」

鏡「ごめんね……」

カンナ「……キュゥべえに気をつけろ、あいつは何かたくらんでる」

さやか「うん」

鏡「じゃあ、そろそろ休むね」

カンナ「こっちにいるのは消耗するのか」

鏡「うん……」

さやか「お開きだね、こんなこと言うのなんなんだけど、難しい会話が長くて疲れちゃったよ!」

杏子「さやか……ばか……」

さやか「うはっ!そこだけ反応する!?」

カンナ「……プッ」

アハハハハハハ





かずみ(どうか、とてもやさしいみんなが無事でありますように)


続く

――――――

――――

――

マミ「暁美さん、暁美さんってば」

ほむら「はっ……」ズズ

マミ「幸せそうな寝顔だったわ、楽しい夢でも見てた?」

ほむら「……」コク

マミ「どんな夢?」

ほむら「……思い出せないわね」

マミ「ふふ、大人になる夢だったりして」

ほむら「いきなり、何?」

マミ「あ、別にやらしい意味とかじゃないから……!」

ほむら「知ってる……巴さんがそんなこと言うわけないもの……」フ…

マミ「むぅっ、どういう意味なのかしら」

ほむら(大人、か……私には、関係ない)チラ

さやか「杏子!あたしのプリン食べたなー!」

杏子「食べられたくなかったら名前書いとかないとなー」

さやか「書いてあるでしょーがっ!ほらっ!」ズィッ

杏子「う……なに本気にしてんのさ」

さやか「し・か・も!皆の分にも書いて置いといたのに、なんであたしのを狙い撃ちするの!」

杏子「だってそれが一番美味しそうじゃん」

さやか「同じプリンでしょー!もう!このーっ!」コチョコチョコチョ

杏子「うわばかやめ……」ウズウズ

ほむら(私達、ずっとこうして子供でいいもの)

杏子「んふっ……ふふっ!ほ、ほむら!助けて!」

ほむら「プリンを食べるのが悪いの」

ガシッ

杏子「ぐっ……やめさやか……ほんと」プルプル

ほむら「ス、スカート掴まないで杏子!」

さやか「ウリャウリャウリリリィーッ!」

杏子「ぶはっ!」ズルゥーッ

さやか「あ」

ほむら「……っ!」ワナワナワナ

さやか「え、えと……かわいいパンツ」

杏子(あたしはうつ伏せだから見てない見てない見てない!)

パァー―ンッ

マミ「くすくす……皆のことずっと見てたいけど、私はそろそろ行くわね」

ほむら「行くってどこに……」

マミ「皆が暮らすのに、お金が必要だもの……バイトにね」

ほむら「バイト……?いつのまに」

杏子「いってらっしゃいマミ」

ガッチャン

ほむら「二人は、巴さんがどこで働いてるか知ってるの?」

杏子「知ってるよ?キャバクラだろ」

ほむら「キャバッ……!?」

さやか「どうしたの?あたし達、もう大人じゃん……生きるお金も稼がないといけないし」

ほむら「え……」

杏子「あたしこないだ道で捕まえたおっさんにホテルで二本差しされてさー」

さやか「おおー」

ほむら「二本差しって、何?」

杏子「え?知らないの?おっさんのあれともうひとりのおっさんのあれを」

ズボリ

杏子「って感じ」

ほむら「嘘っ!」ガタッ

さやか「うわっ!」

ほむら「じょ、冗談よね?」

さやか「ふふん、さやかちゃんなんて実はもっとすごいんですよ」

さやか「魔法少女だってことを活かせないかなって思ってさ、過激なのもありにしたのよ」

杏子「へぇ、考えたじゃん」

さやか「そしたら、捕まえた人がすごくてさ……あたしの両手両足を」

ほむら「ぐぅううう!」ミミフサギ

さやか「動けないまま晩から朝まで……」

杏子「ははっ、なんだそれ」ケラケラ

ほむら「こんな、こんな、どうして……?」ポロポロ


まどか「ほむらちゃん」

ほむら「まどか」

まどか「ボーイフレンド、できたの//////」

ほむら「くっ」カフッ

ほむら「ふ、ふぅん」

まどか「みて、これ」

ほむら「!」ギョッ

まどか「えへへ、タトゥーつけてもらったの」

ほむら「ま、まどかの綺麗な肌になんてことを」

まどか「愛のあかしだって、いるんだよ」

バン!!

ほむら「聞きたくない!」

タッタッタッタ

ガッチャンコ

タタタタタタ

ほむら「ぐすっ……なんなの?皆、なんでいきなり変なこと……」

タタタ…… スタスタ…… ピタ

ほむら「ドッキリ?あ……わかった!ドッキリなんだわ!そっか!うん!」

和子「どうしたの?暁美さん」キョトン

ほむら「先生……?」


和子「ふぅん……あの子達がね……」

ほむら「ドッキリなのに怒っちゃって、私ったら……戻って謝らなくちゃ」

和子「……ドッキリじゃなかったら、どうするの?」

ほむら「……え?」

ほむら「そんなことない!だって、皆子供なのよ!」

和子「私もね、職業柄、子ども達が急に変わっちゃうのを何度も見てきたわ」

和子「それが良い方向に変わるのならいいんだけど、もちろん悪い方向に変わっちゃう子達もいる」

和子「ここだけの話、先週だって校舎の地下トイレで隠れてエッチをしていた三年生の内定が取り消しになったばかりなの」

ほむら「え、あんな場所で!?」

和子「そうよ、どっちもまだ中学生だって言うのに……」

ほむら「でも、皆は」

和子「あの子達がどれだけの事をしたのか深くは聞かないわ、だけどね」

ほむら「……」

和子「あなた達の年頃なら、やろうと思えばどんなことだってしてしまえるの、きっと」

和子「だから、大人がいつも一緒についていてあげなきゃいけない、大切なあなた達が悪い人に騙されないように」

ナデナデ

和子「あなた達は、まだ何にだって変われるから……悪く、変わってしまわないように」

ほむら「先生……」

和子「くす、先生じゃ、頼りない?」

ほむら「いいえ」

和子「先生、もう行かなきゃ……暁美さんは、いい子にしてるのよ?」キラリ

ほむら「あ……先生!結婚……したんですか!?」

和子「ええ、そうよ!もう、毎日ズッコンバッコンなんだから!」

――――――
――――
――

ほむら「はっ……ここは」

???「おはよ、よく眠れた?」

ほむら「あなたは……」

カガリ「日向カガリっていうの」

ほむら「あなたも、魔法少女……」

カガリ「私を知らないあなたに私のことを説明すると、私はホオズキ市からはるばるあなたへ会いにきた魔法少女!
 ホオズキ市にはね、私のほかにも魔法少女がいて、その一人のマツリとは双子なんだ♪本当はマツリの友達のすずねちゃんに復讐したいんだけど
 いつも目的を達成するくらいになってこの世界が最初からに戻っちゃう!
 何度やってもその目的を果たせないから原因をインキュベーターに問いつめたらね、あなたがやってるって教えてくれたの♪
 許せないじゃない?私の邪魔ばっかりしちゃってさぁ……!と言っても、あなたを殺さないから安心してね
 もっともっと、楽しいこと思いついたの……だからこうして直接話してるんだ♪」

ほむら「ご、御丁寧にどうも」

カガリ「私を知らなかったら困るでしょ?」

ほむら「別に困らないかも……」

ほむら「んん……」フラフラ

カガリ「どうしたの?」

ほむら「嫌な夢を見てしまって……」

カガリ「私がやった」

ほむら「そうよね」

カガリ「夢は記憶と認識で作られてるから操れるの」

ほむら「それがあなたの能力……で、私に怒らせるような真似して何をさせたいの?」

カガリ「内容はあなたの願望を見せる改変だったんだけど……ごめんね?(嘘だけど)」

ほむら「そんな……私があんな願望を!?」

~~次の日

ほむら「……」トボトボ

まどか「ほむらちゃーん!おはよ!」ブンブン

ほむら「まどか……おはよう」

まどか「どうしたの?元気ないよ?」

ほむら「ちょっとね……」

まどか「むぅ……また内緒で皆と何かしてるんだね」

ほむら「ち、違うわ!本当に、なんでもないの……」

まどか「……なんでも相談してね、わたしもほむらちゃんの役に立ちたいから……」

ほむら「うん……ありがとう、まどか」

トコトコトコトコ

ほむら「えっとね、まどか」

まどか「なにかな!」

ほむら「まどかって、彼氏……欲しい?」

まどか「え!彼氏なんてそんな、わたし考えたこともないよ」

ほむら「うん……」

まどか「いきなりどうしてそんなこと聞いたの?」

ほむら「それが私の願望なんだって……」

まどか(ほむらちゃん彼氏が欲しいの!?)

~~昼休み

まどか「ぬぬ……」

さやか(まどかが携帯と睨めっこしてる……こっそり見ちゃお!)プププ

まどかの検索欄「おちんちん 生えてきた」

さやか「」


ほむら「何故か三年生の教室へ来てしまった……」

マミ「あら、暁美さん!どうしたの?もしかして、私に会いに来たの?」

ほむら「そう……かもしれません」

マミ(え!うれしい!やったぁ)

ほむら「巴さんは、夢ってどう思いますか?あ、寝るときのほうです」

マミ「記憶の整理とか、予知夢とか、願望だとかいろいろ聞くわね」

ほむら「実は最近、夢を操れる魔法少女に出会ったの」

マミ「すてき!」

ほむら「その子に願望の夢を見せられて、私の理想と違いすぎて困惑してる」

マミ「うーん、その子が嘘をついてるってことはないのかしら?」

ほむら「じつは――」

――――――――――――

ほむら「――嘘をついてるに決まってる!」

カガリ「そう思いたいならそう思っててもいいよ……でもね、私は本気なの」

ほむら「……本気?」

カガリ「私には助けたい人がいる……なのに、何度時間を繰り返してもたどり着けない」

ほむら「……」

カガリ「頼みの綱はあなただけって聞いたの!なのに、あなたに悪いことするわけないでしょ?」

ほむら(……この子の目、真剣……何より、私にはその気持ちが誰よりも……)

カガリ(この人を手駒にしたらツバキとすずねちゃんを離そう、マツリもすずねちゃんとくっつくから一石二鳥だね)

――――――――――――

マミ「そ、そうなんだ」

ほむら「きっと彼女はとてもつらい思いをしてきたんです」ウルウル

マミ(で、でも、本当かどうかは結局ハッキリしてないような?暁美さんにしては迂闊じゃないかしら)

ほむら「巴さんは……現実でも夢の中でも私達を支えてくれるね」

マミ「その夢は本物かもしれないわね」

――放課後

さやか「今日は一人で帰るの?」

ほむら「……さやか」

さやか「良かったら、一緒に帰ろうよ」


テクテク

さやか「――そんでまどかがさー」

ほむら「……くす」

さやか(あたしとほむらって意外と話が盛り上がるんだよね……いいときもわるいときも)

ほむら「さやかは、変わりたいと思ったことある?」

さやか「藪から棒になんですか」

ほむら「……気にしなくていいわ」

トコトコ……トコ……ピタ

ほむら「……どうしたの?」クル

さやか「そういうほむらこそ……最初の自分、覚えてる?」

ほむら「……?」

さやか「ごめん!変なこと聞いちゃった!こういう中二病っぽいところは変わりたいかなーなんてね!」タハハ

ほむら「……そうね、なんとなくあなたになら、聞いてもいいかもと思える」

さやか「なにかな?さやかちゃんになんでもまかせなさい」

ほむら「私は、変わりたいのかもしれない」

さやか「え……?」

ほむら「何?」

さやか「も、もう変わってるじゃん」

ほむら「え?」

さやか「お、おっぱいとか……」

ほむら「なんですって?」

さやか「なんでもない……」

ほむら「私の胸は昔からこうよ」タユン

さやか「あはは……そっか、忘れてたぁ……」

ほむら「私は今のままで幸せだもの、皆に変わってほしいと思ってるなんて、あるわけない……だから」

さやか「ほむら……?」

ほむら「ごめんなさい、変なこと聞いて……またね」


さやか「またね、か……あたし、やっぱりほむらと敵になるなんてできない」

さやか「そもそもほむらが皆の想い(円環の理)を踏みにじらなければ――」

さやか「……違うよね、あたしがほむらにそうしないで欲しかったんだ……円環の理で全てを知ったとき、あたしはほむらを助けたいと思ったんだ」

さやか「あたしがずっと、ほむらとやり直したかったんだ……その甘さが、今を招いてるんだよね」

さやか「ごめん、皆……どうしていいか、わかんないよ」

さやか「あいつは悪魔、ずっとそれを忘れないようにしてきても、今日まで何もできなかったのに」

さやか「そんなあたしがちょっといつもと違うことがあったからって、何かを変えられるわけなかったんだ……」

さやか「あは……本当に悪魔なのって、あたしかも」

~~一方その頃

杏子「……あーあ」

キュゥべえ「どうしたんだい?」ヒョコッ

杏子「なんだ、お前か……ちょっと考え事してただけだよ」

キュゥべえ「教えてくれるかい?」

杏子(こいつ最近変だしな……どうしよう)

キュゥべえ「魔法少女のケアも僕達の役割なんだ」

杏子「そっか」

キュゥべえ「……」

杏子「……」

キュゥべえ「魔法少女のケアもまた僕の役割なんだ」ズイッ

杏子「お、おう……仕方ないな」

キュゥべえ「さあ、聞かせてくれ」キュルン

杏子「前に言ったじゃん?さやかの世話になってばかりじゃいられないって」

キュゥべえ「また売春するのかい?」

杏子「それはダメ!ったく、知らなかったあたしも悪いけど、とんでもないことさせやがって」

キュゥべえ「でも君に出来ることはそう多くないけれど」

杏子「……」シュン

キュゥべえ「……でも一つだけあるかもしれない」

杏子「本当か!?」

キュゥべえ「……」

キュゥべえ「神待ちさ」

杏子「かみまち?」

キュゥべえ「神様を待つ」

杏子「……聞いて損した!あんたでもそんなこと言うんだね……祈ってるのがあたしに向いてるってか!くそ!」

キュゥべえ「違うよ」

杏子「ん?」

キュゥべえ「君達の国では素晴らしい人物を神とも言うのさ」

杏子「確かにそういうのはあるけど、つまりどういうことなのさ」

キュゥべえ「君の事をお世話してくれる人を募集して来てくれるのを待つんだ」

杏子「はっ……はぁ?///////」

キュゥべえ「どうしたんだい?」

杏子「そ、それ……結婚じゃねえか!」

キュゥべえ「仕事だよ」

~~後日

杏子「キュゥべえの言うとおりにしたし、今日ここで神様(?)と出会えるんだよな」

汚っさん「こんにちは、君がアップルちゃん?」

杏子「こんちは!?」

汚っさん「うわぁ…」

杏子「な、なんだよ」

汚っさん「かわいい!」

杏子「!?//////」

汚っさん「こんなかわいい子が来てくれるなんてウオオオオオオオオオオ!オオオオオオオオオオオオオ!1」

杏子(これが……神様なのか!?)

汚っさん「失礼……」

杏子「お、おう」

汚っさん「おなかすいてるかい?」

杏子「ごちそうしてくれるのか!?」

汚っさん「もちろんだとも!何が食べたい?なんでもいいぞ」

杏子「まじかよ……さすが神様」ゴクリ

――レストラン

杏子「ケーキ♪ケーキ♪」

汚っさん「来たぞ」

杏子「ケーキ!」キラキラ

汚っさん「アップr……りんごちゃん、ケーキの一番美味しい食べ方知ってるかい?」

杏子「ん?うーん、こうやってかぶりつく!」

パクッ

杏子「うんまぁーっ!」ヒョーッ

汚っさん「くくく……子供はこれだから」

杏子「な、何!?」

汚っさん「見てな……」レロォ

杏子「!?」

汚っさん「ベロンチョッ ズルズリュ ペロペロペロペロ ンムチュッ ンゴキュッ」

杏子「かはっ」

汚っさん「なんだい?」

杏子「な、なんだよその食べ方……」

汚っさん「仕方ない……お子様に解説してやるか……」

汚っさん「ケーキっていうのは芸術品だ……そしてとても愛おしいものだ」

杏子「うん」

汚っさん「一皿一皿すべてが奇跡だと言えるが……おじさんと出会えたこのかわいい一皿はもっと特別なんだ」

杏子「あたしのと同じだが」

汚っさん「かわいいこの子を可愛がるために……舐める」

杏子「!?」

汚っさん「愛しているからこそ舐める……いや、舐めて愛を証明しなければならない」

杏子「愛を……!?」

汚っさん「君の、ケーキへの愛はその程度なのか?一口で関係を終わらせる程度の……」

杏子(ぐっ……悔しい!?)

汚っさん「もう一皿来たぞ……さぁ、やってみなさい」

杏子「……おっさんに証明してやるよ……あたしのケーキへの愛が本物ってこと」

杏子「ぇろん」レロォ

汚っさん「……」

杏子「ん……ふ」ペロ……ペロ

汚っさん「ぎこちないな」

杏子「仕方ないだろ……初めてなんだからさ」

汚っさん「唇もちゃんと使うんだ」

杏子「……髪がかかっちゃう」ファサ

汚っさん「吸って」

杏子「んっ……んっ」ズッズ

汚っさん「うん……上手だ」

杏子「ほんとか?……なんだか嬉しいな」

汚っさん「そろそろ行くよ」

杏子「え?待って!まだ……」

――公園

杏子「ふぅ、食べた!」

汚っさん「腹ごしらえもしたし、そろそろ……」

仁美「あら、佐倉さん!ごきげんよう!」

杏子「仁美じゃん、一人で何してんの?」

仁美「佐倉さんこそ……その方は?」

杏子「神様だよ!」

仁美「神様だなんて、すてきですわ」

杏子「今もケーキ奢ってもらっちゃった!いいでしょ」

仁美「神様とはどこで出会ったのですか?」

杏子「待ってたら来た!」

仁美「まあ……!ふふ」

仁美「おじさまは何を司る神様なのですか?」

汚っさん「あ……あう……」ブルブル

仁美「え?」

杏子「神様……?どうしたんだ調子悪いのか?」

汚っさん「オウフ……あ、あうあ……」

仁美「どうされてしまったんでしょう……?」

杏子「さあ……?」

汚っさん「はぁはぁ……」チラッ

仁美「?」ニコッ

汚っさん「デュフッ」コポォ…

杏子「ほんとに大丈夫か……?そうだ!さっきのケーキ愛を見せてくれよ!」

汚っさん「k、ケーキないお」

杏子「くうかい?」スッ

汚っさん「!?」

仁美「まぁ!どこから出したんですか?」

杏子「ふふ、さあ、やってみせてくれ!」

汚っさん「ハァハァハァハァハァハァ!」ハァハァハァハァハァハァ

仁美「なんだか様子がおかしいですわ」

杏子「もしかしてあたし達何かやっっちゃったか?」

汚っさん「君達は悪くないよ、実は」

杏子「女性恐怖症……」

仁美「まあ」

汚っさん「だから、どう見ても普通の子な君がやってきて、俺……」

杏子「どういうことだよおい」

仁美「佐倉さんだって普通の人ですわ」

杏子「……」

汚っさん「神待ちするようなビッチが普通の女の子なわけないだろ」

杏子「ビッチってなんだ?」キョトン

仁美「え、ええと……?」

汚っさん「俺はアップルを滅茶苦茶に犯して自信をつけようと思ってたのさ!」

杏子「おかして?」

仁美「さぁ……?」

汚っさん「ふざけるな!」

杏子・仁美「!」

さやか「おーい!二人とも何やってるの?」

汚っさん「も、もしかしてお前ら俺をハメるつもりだったのか?俺がハメるつもりだったのに!ちくしょう!」

さやか「ハメるって?」

杏子「さ、さやかには関係ないよ」アセアセ

さやか「……ふぅん」

汚っさん「へぇ、その子には内緒なんだ」ククク

杏子「別に、そういうわけじゃ」

汚っさん「神待ちなんてしてたの知られたら大変だもんな」

さやか「えっ!なんで!?」

杏子「え!?」

仁美「???」

汚っさん「こんな上玉捨てるのは惜しいが……掲示板に行けば童貞卒業の代わりなんていくらでもいるんだ!」

さやか「……」バキッ

汚っさん「ゲフッ!?」ズサァ

仁美「!?」

杏子「さやか!」

さやか「どうせまたキュゥべえに騙されたんでしょ……?」

杏子「た、確かにキュゥべえに教えてもらったけど」

さやか「ねぇ、杏子知ってる?あたし達、本当はこんな事してる場合じゃないんだよ」ガッ

汚っさん「や、やめ……」

仁美「さ、さやかさん……?」

杏子「やめろ!どうしたんだよ!」ガシッ

さやか「杏子、あんた何も知らないのをいいことに無理やりエッチされそうになってたんだよ」

杏子「!?」

仁美「まあ……」

さやか「こんなやつらに構ってる時間なんて無いのに」ギロッ

汚っさん「ひいっ!」

杏子「やめろって!」ドン

さやか「!?」フラッ

杏子「確かにさやかの言うとおりかもしれない、けど!」

さやか「?」

杏子「あたし、おっさんとケーキ食べてて楽しかったよ」

汚っさん「アップルちゃん……」

さやか「……そいつ、女の子騙すような奴なんだよ」

杏子「騙されるほうが悪いのさ」

さやか「……!そんなわけないでしょ!」

仁美「えとえと、きっと佐倉さんは騙す事を肯定したわけじゃありませんの」

さやか「仁美は黙ってて!」

杏子「さやか!いい加減にしろ!」

さやか「な、なんであたしが批判されてるの?悪いのはそいつ(汚っさん)なのに」

杏子「そんなこと言ってるんじゃないって」

さやか「だってそうでしょ!あたし、あんたを――」

杏子「おっさん、立てる?」ヨッコイショ

汚っさん「……」フラフラ

さやか(――守りたかっただけなのに)

タタタタ…

杏子「さやか!?」タタ

さやか「ついてこないで!」

杏子「あ……」

仁美(ふたりとも、足速すぎますわ)

汚っさん「君達みんな、普通の女の子だったんだな……ごめんな」

杏子「なんだよさっきから……普通に見えなかったのかよ」

仁美「佐倉さんはいつだってかわいらしい方ですわ」ニコニコ

杏子「……いきなり何さ//////」

仁美「でもちょっとお召し物がいつも……」

杏子「ああ、これは色々あって」

カクカクシカジカ

仁美「壮絶すぎます」

汚っさん「君に比べたら俺の人生なんてイージーモードだな」

杏子「行く宛も無く皆の世話になってフラフラしてる、そんなのもう嫌なんだ」

仁美「……私の家へ働きに来ませんか?」

杏子「え?」

仁美「ちょうどステキな執事になってくれる方を探していましたの」

杏子「あたしに勤まらないよ」

仁美「佐倉さんじゃなきゃ嫌です」

杏子「あんた……」

汚っさん「俺はもう行くよ」

杏子「なんだか今日はごめんな」

汚っさん「こっちの言葉だよ……それに、君からは童貞を捨てることよりもっと大きなものをもらった」

杏子「なんかあげたっけ?」

仁美「ふふ」

汚っさん「じゃあな、俺が言うのもなんだが早く仲直りしろよ」

杏子「ああ」


仁美「さやかさんを探さなくていいんですか?私も手伝います」

杏子「追いかけても逆効果だよ、さやかは意地になるだけだ……気にならないわけじゃないが」

仁美「……そうかもしれませんね」

杏子「ところで、あたしの呼び方は杏子でいいよ」

仁美「……!はい、杏子さん」ニコニコ

――美樹ハウス 夜

ガチャッ

さやか「杏子帰ってきてないか……」

さやか「あたし、何してんだろ……また頭に血がのぼっちゃって」

さやか「でも、初めて会った時と違って杏子とはもう何度もケンカしたし……」

さやか「不思議と、昔みたいな不安な気持ちにならない」

さやか「今度会ったら謝ろう」


――志筑家

杏子「広すぎるんだが」

仁美「こちらが私の部屋ですわ」

杏子「なんかいい匂いがするんだけど」

仁美「え……///////」

杏子「お金持ちって凄いな……」ソワソワ

仁美「早速ですが御風呂へ入りましょう」

――大浴場

杏子「マジか……御風呂まで大きいぜ」

ライオン「じゃばじゃば」ゲロー

杏子「すごい!ライオンがある!」

カラカラカラ…

杏子「んっ!?」

仁美「私も一緒しますわ」

杏子「ええっ!?」

仁美「湯船へ入る前に、体を洗いましょう」


仁美「私が洗って差し上げます」

杏子「ちょ、一人で洗えるよ!」

仁美「だめです、ボディチェックも兼ねてますから」

杏子「そ、そうなのか?」

仁美「ふふ」クスクス

サワサワサワ

仁美「綺麗な身体……細いのに、とってもしなやかで健康的です」

杏子「そんなこと言ったら仁美のほうが、スベスベっていうか、キメが細かいっていうの?綺麗だぜ」

仁美「美容には気を遣ってますの」

プニ

杏子「ひゃっ!」

仁美「シャンプーで泡立てます」

杏子「ヘチマとか使わないの?」

仁美「御風呂でヘチマを何に使うんですか?」

ペタペタ

杏子「手だとくすぐったいよ!」

仁美「これが肌を痛めない方法なんです」

杏子「そうなのか」

ツツツ…

杏子「前はいいよ//////」

仁美「だーめ」

杏子「んっ……」

仁美「恥ずかしいですけど、ここもちゃんとやらないと//////」

コシコシコシ

杏子「やめ……///////」

ピタッ

杏子「お、おいくっつきすぎだって//////」

仁美「仕方ないんです、どうしても///////」

杏子「そ、そっか、仕方ないんじゃ仕方ないよな///////」

仁美「はい//////」

ヌルヌルヌル

仁美「杏子さん……」

杏子「な、なんだ」

仁美「私、とっても楽しいです」

杏子「え?」

仁美「こういうこと、お友達としたことがなくて」

杏子「え……さやかとまどかと仲良しじゃん」

仁美「はい、でもあのお二人には特別な何かがあるから、容易に間へ立ってはいけない……そんな気がしませんか?」

杏子「そうか?」

仁美「私は、一歩引いてお二人のじゃれあいを眺めているばかり」

杏子「……」

仁美「だから、嬉しいんですの……こうして私の触れ合えるお友達ができたことが」モミモミ

杏子「さ、さやかの真似はしなくていいから……//////」

仁美「今度は杏子さんに私を洗ってほしいです」

ヌリヌリヌリ

杏子(やばい、やられるよりやるほうが緊張するこれ)

ゴクリ

杏子(仁美の首筋、綺麗だな)

ペト

仁美「ひゃっ」

杏子「ご、ごめっ」

仁美「い、いえ」

杏子(会話が思いつかない!適当にやりながら喋るか!)

ヌリュ…ヌリュ…

仁美(ん……変な塗り方……私と同じで初めてだからですのね)

杏子「仁美……」

仁美「は、はい」

杏子「ほんとに綺麗だぜ……」ヌリヌリヌリ

仁美「ふぇえ?///////」

杏子「あたしとは違う柔らかい身体」

ツツ…

杏子「ふわふわな髪……」クルクル

仁美(耳元で、そんな……)

~~数分後

杏子「――魅力的で、食べちゃいたいくらいだな」

仁美「はわぁ……そんな、私//////」

杏子(ほめちぎる時はこうすればいいんだよな)

――仁美の部屋 ベッドの上

仁美「眠れないの?」

杏子「……ちょっとね」

仁美「昼間の事ですか?」

杏子「いや、ちょっと違う……普通ってなんなんだろうなって」

仁美「普通……ですか?」

杏子「うん……」

仁美「そうですね……えいっ!」ギュッ

杏子「わっ!?」

仁美「こうやって、触れればあなたの体温と鼓動を感じられます」

杏子「仁美……」

仁美「さやかさんとも、まどかさんとも……私とも、同じ命だって感じます」

杏子「仁美……ちょっといいかい?」

仁美「なんでしょう?」

杏子「これ持ってて」

仁美「まぁ!とっても綺麗で大きな宝石……」

杏子「それをさ、持ったままさっきの風呂場まで行って、戻ってきたらあたしにまた渡してくれ」

仁美「……?はい」

トコトコトコ ギィ バタン

仁美「ただいま戻りました」

仁美「……杏子さん?いませんか?」

杏子「」

仁美「ひっ……!も、もう……からかわないでください!死んだフリなんて!」

仁美「……杏子さん?」ペタペタ

仁美(――冷たい!?)

仁美「杏子さん!」ギュッ

杏子「」

仁美「うそ……どうして!?」

仁美「死んでる……?」

――ほむホーム前

さやか(あたし、なんでほむらの家に来たんだろう)

さやか「何をすればいいかわからない時、ほむらもこうしたことがあったのかな……」

さやか(あたしの家にも、訪れてくれた事はあったのかな)

さやか(でも、打ち明けられない……もどかしいよ)

カガリ「……」スタスタ

さやか(あれは……!?ほむらの家に入っていった……誰?)

さやか(ほむらの知り合い?よく見えなかった……どうしよう)

――早朝 美樹ハウス

~♪

さやか「ん……ここは」ムニャ

さやか「あれ?……あたし」

さやか「あーっ!もうこんな時間!学校行かなきゃ!!」

――通学路

さやか「おはよ、まどか!仁美!」

まどか「さやかちゃんおはよう!」

仁美「おはようございます」

――放課後

さやか「まどか!一緒に帰ろう!」

まどか「うん!」

――美樹ハウス

さやか「ぎあー!また負けたー!オンの人は強いなー!」

さやか「ずっとゲームやっちゃってた!そろそろ寝なきゃ!」





さやか「なんか忘れてる気がするぞ?」

――早朝 通学路

さやか「う~ん、何忘れてるのかな~……全然思い出せない」トコトコ

さやか「とても大切なこと、そう、とても大切な……」ボーッ

???「美樹さん」

さやか「……」ボソボソ

???「あ、あの……?」

さやか「……」

???「……美樹さんっ!」

さやか「へっ!?」

ほむら「え、えと……ごめんなさい」

さやか「ほむら!」

ほむら「は、はい!」

さやか「そうだそうだ!ほむらの事だった!」

ほむら「……?何のことですか?」

さやか「大切なもの!」

ほむら「え……///////」

さやか「ち、違……そうじゃなくて!」

ほむら「違うん、ですか……」シュン

さやか「そーでもなくて!」

ほむら「……?」グスッ

さやか「あーもう!あたしのバカ!」

ギュッ

ほむら「きゃっ!?」

さやか「ごめん……あたしバカだからさ、うまく言葉に出来なかったの……ほむらのことが大切なの、本当だよ」ギュゥ…

ほむら「……わかってますよ、美樹さん……ずっと見てきましたから」ギュ

さやか「……」

ほむら「……////////」

さやか(冷静になると朝から何やってんだろあたし?///////)

ほむら(……////////)

さやか(ほむらもなんで動かないの!?動け、あたしの体!)

ほむら「……」

さやか「ね、ねぇ、ほむら」

ほむら「?」

さやか「おはよう」

さやか(それからもあたしはほむらと皆との長い時間を過ごした)

さやか(それと共にすごく後ろめたい気持ちが大きくなって、あたしを困らせた――)


――さんっ!美樹さん!」

さやか「あっ……ごめん、あたしまた」

ほむら「もう……」

杏子「まったく、いつもぼーっとしてて事故っても知らねーぞ」

さやか「っ」ピクン

杏子「どした?」

さやか「な、なんでもないよ」

ほむら「……」

まどか「ねぇ皆、もしも、もしもだよ?願いが一つだけ叶うって言われたら、どうする?」

さやか(まただ……)


さやか(なんだか最近、同じ会話ばっかりな気がする……毎日が、ほんとに同じような)チラッ

ほむら「? ……ニコッ」

さやか(ま、こんなもんだよね)

――放課後

ほむら「美樹さんは、お願い事どうしますか?」

さやか「え?あ、あたしは……そういうのパスッ!」

ほむら「ど、どうしてですか?」

さやか「わかんないけど、やなもんは嫌なの!」

ほむら「ふふっ、私は……大切な人を守りたいです」

さやか「……」

ほむら「それは――///////」

さやか「ストップ」ピッ

ほむら「!?」

さやか「ごめん、聞きたくない」

――美樹ハウス

さやか「傷つけちゃったかな……あんな言い方、なかったよね」

さやか(本当は、とっても言って欲しかった……でもあたし、それがすごく嫌だった)

さやか(何してるんだろあたし、いっつもこうだ)

さやか(いつもって、なんだろ――)

~~翌朝

さやか「やばいっ!もうこんな時間!学校学校!」

~~見滝原中学校

さやか「そういえば今日休みだったね……」タハハ


さやか「……誰もいないと、うちの学校不気味かも……」

さやか「屋上、誰かいるみたい……誰だろう」

キィ…

さやか「ほむら?それと、まどかと……あれは先輩の……!」ダッ

バッ

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「二人とも!あたしに内緒でなにやってんの!?」

まどか「何って……え?」キョトン

ほむら「ど、どうしたんですか?」

マミ「えと……」ボーゼン

ササッ

ほむら「わわっ」

さやか「先輩!二人は人がいいから、すぐ騙されちゃうんです!もう、どこへも連れて行かないで!」

マミ「そんな、私……」

まどか「どうしたの?さやかちゃん……マミさん、何も悪いことなんてしてないよ」

さやか「そんなのあたしだってよくわかってる!!」

まどか「ふぇっ!?」

ほむら「……?」

マミ「ご、ごめんなさい……私、その子に嫌われてるみたいね……」

まどか「マミさん……」

マミ「またね……」

まどか「マミさん……!」

さやか「追いかけたらダメっ……!」ガシッ

まどか「うぐっ……も…っう!はな…してっ!」バンッ

さやか「っ!」

まどか「……ごめんねっ!」タタタ

スタスタ…

ほむら「……大丈夫?」

さやか「……まどかって、いざって時すごいよね」

ほむら「そうだね」

さやか「また、ダメなのかな?」

ほむら「何が?」

さやか「あたしの知らない間に、皆変わっていってさ」

ほむら「うん」

さやか「皆を守っちゃうぞーなんていつも張り切ってもいざという時ぜんぜんだめ」

さやか「あたしが守りたいのってあたしの思い通りの皆なのかもしれなくて」

さやか「だからきっとそうじゃない誰かと変わろうとする誰かを傷つけちゃうんだ」

ほむら「……」スッ

さやか「ほむら?」

ほむら「例え何が変わっても変わらないものはきっとあるわ」

ほむら「私は何回変わっても、大切な人の側にいるから」

ほむら「あなたとずっと一緒に」

――荒廃した見滝原市 病院 恭介の病室

さやか「ねぇ、恭介……記憶って、便利だよね」

さやか「思い通りに時間も場所も人の心も操れるから」

ほむら「美樹さん……」

さやか「ねぇほむら、あたしさ、あんたが繰り返した時間の中で何度も、何度も酷い事したよね」

ほむら「……」

さやか「全てを知ったとき、耐えられなかった……」

さやか「だからあんたが都合良くなっていくほど、あたしもどつぼにハマっていった!」

さやか「全部、やり直したかった……!」

ほむら「やり直せるよ?私達、友d――」

ズバッ

ほむら「かふっ……!?」トサッ

さやか「でも、もうやり直せなくてもいい」

ほむら「どう……して?その姿は……?」

さやか「あんたを、今度こそ守りたいから……許してなんて、言わないよ――」

――ほむホーム 現実

さやか「ぐ……」

カガリ「え……!?」

さやか「はぁっ、はぁっ」

カガリ「嘘……一度入り込んだら抜け出せるわけ」

さやか「一番見せて欲しくないの見せてくれたから」

カガリ「?」

さやか「ほむらがあたしに『ずっと一緒』なんて、言って欲しくなかった」

カガリ「何を見たかわからないけど、目が覚める程なんて、そんなに仲が悪いんだ」

さやか「……」

カガリ「でも、目が覚めたとこで私にあなたが勝てるかな?」

さやか「やってやるわよ……あんたの向こうに、本物のあいつがいるんだから!」

キンッ カキンッ

さやか「くっ!?」ガクン

カガリ「ふふっ、一人のくせによく頑張ったけど、そろそろおしまい?」

さやか「ま……まだまだぁーッ!!」

カガリ「……どうせ無駄なのに……」

さやか「え?」ピタリ

カガリ「どうしてそんなに頑張るの?」

さやか「そんなの……やってみなくちゃわかんない!」

カガリ「わかるよっ!」

さやか「!?」

カガリ「つい最近思い出したキミにはわからないよ……ずっと、ずっと覚えていた私のことなんて」

さやか(この子、カンナと同じでずっと記憶を……!?)

カガリ「私、実験したんだよ」

カガリ「新しい世界を得て最初は嬉しかったなァ……」

カガリ「そのうえ私だけ全部知ってて!あんなに頑張った神様からのご褒美かと思っちゃった♪」

カガリ「でも、そうじゃなかった……」

さやか「……?」

カガリ「スズネちゃんを殺したの」

さやか「え?」

カガリ「次の日には何事もなかったかのようにマツリと笑ってた」

さやか「……」

カガリ「私が何をしても何もなかったことになるの!私はツバキに会えないのにィ……!」

カガリ「スズネちゃんだけ、神様からご褒美を貰って新しい世界で皆に囲まれて笑ってるの!」

カガリ「悪魔……」

さやか「っ」

カガリ「悪魔が何か守るために私の邪魔してるんだっ!だから探したんだ!ここを!」

さやか「どうして、ここなのさ……」

カガリ「私は発見したんだよ、何も変わらない世界で変化を与えられる人達を」

カガリ「特にほむらちゃんはこの世界の原因らしいね……本当に悪魔がいたなんて」

さやか「悪魔じゃないよ……」

カガリ「?」

さやか「あんたと同じだよ、ずっと会いたい人がいて、ずっと、ずっとさ……」

カガリ「……」

さやか「あんた、あたしがどんな夢を見たかわからないって言ってたよね……嘘でしょ」

カガリ「!」

さやか「全部見れるから……ほむらに同情して、どうしていいかわからなくなったんじゃないの」

カガリ「何言って……私は、ツバキがいればそれでいいのッ!」

さやか「あたしを弄ぶのは……好きな人を奪われた気持ちを知ってるからじゃないの!?」

カガリ「……!」

さやか「全部、自分に重ねてるから本気で斬れないんでしょ……」

カガリ「知ったふうな口をきくなァーッ!!」

バシッ

さやか「あぐっ!?」

カガリ「はぁっはぁ……」

さやか「知らないよ……わかるわけないじゃん……」

カガリ「だったらもう黙って……」

さやか(でも、止める……きっとあたしが勝たなきゃ、この子は……!)

カガリ「でも、キミの戦い方じゃ私に勝てないからもう……バイバイだね」

さやか(そうだね……次のを失敗したら、負ける)チャキ

リーン…

さやか(恭介……ごめんね、あたしのせいで、いつの間にかあなたの存在は消えてしまっていたみたい……)

リーン…

さやか(酷いよほむら、あたしが同じ事をまどかにしたら、すごくほむらは怒るくせに)

さやか(ずっと、繰り返しを終わらせるために辛い想いしてきたのに、今度は繰り返させる側になっちゃうなんて)

さやか(全部、まどかを守るためなんだよね……ずっと、弱くて本当にごめんね、ほむら)

リーン… … … …


さやか「そこだぁーッ!!」

ズバァーッ

カガリ「う……そ……?」カフッ

カガリ「なんで……位置が」

さやか「あたしは……音とか、水とかで空間を支配できるんだ」

カガリ「そんなの……魔女じゃん」ゴフッ

さやか「……そうかもね」

カガリ「はぁ……死んだら、スズネちゃんみたいに何もかも忘れて復活かな」

さやか「……」クッ

カガリ「知ってるよ……消えた人もいるんだよね」

さやか「きっと……よみがえるよ」

カガリ「嘘をついてる瞳をしてる……こんなに皆の邪魔をして、消えないわけないよ」

さやか「……ごめん、あたしが、未熟で」

カガリ「ううん、私が主人公じゃないのが悪いの」

さやか「え……?」

カガリ「スズネちゃんとマツリは絵本の中の主人公みたいだから……私がそれに抗っても意味が無い運命だったってことだよね……」ニコ

さやか「そんな――」

カガリ「ねぇ、この世界ってさ」

カガリ「ツバキを失っても、守る価値あったのかな――」


続く

次回 杏子ちゃんネコになる

――数日後

子供「ウェェェン!タマが!ボクのタマがァァァ!」

タマ「……」

子供の母「タマは最後にあんたへ会いにきたんだよ……町外れの教会そばに埋めてあげましょう、きっと天国へ行けるわ」

子供「うん……」

――教会

子供「あ、手作りのお墓がある」

子供の母「きっと同じことを考えた人がいるのね」

子供「ここならタマも友達がいて寂しくないかな!」

子供の母「ええ、きっとそうね」ニコ

ザッザッザ

子供「バイバイ、タマ……ずっと、ありがとう」

 ・

 ・

 ・

ほむら「……杏子、骨を埋めるなら家族と一緒がいいわよね」

仁美「ううっ!ぐすっ……」

まどか「仁美ちゃん…」

仁美「もう、もう大丈夫……ありがとう」ニコ…

まどか「うん……」

ほむら「埋めたわ」

皆「……」ナームー

まどか「杏子ちゃん、またね……」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃんも、辛いなら我慢しなくていいんだよ」

ほむら「ちょっと、実感わかないの……杏子がいきなり死んだなんて」

まどか「そうだね」

ほむら「でも……現実なのよね」

ほむら「行きましょうか」

まどか「うん」


仁美「杏子さん……預かっていた素敵な宝石、お返しします」

仁美「盗まれないように……一緒に埋めますね」

まどか「杏子ちゃーん?」

仁美「これでよし……じゃあ、また……」

ほむら「行きましょうか」

まどか「うん」


仁美「杏子さん……預かっていた素敵な宝石、お返しします」

仁美「盗まれないように……一緒に埋めますね」

まどか「仁美ちゃーん?」

仁美「これでよし……じゃあ、また……」

――数分後

タマ「にゃっ」

ボゴォ

タマ?「ハー!ハー!(なんでいきなり埋められてんのあたし!?)」

テトテト

タマ?(な、なんか立ち上がりづらいな……疲れてんのか)クラクラ

野良猫「な、なんだお前?」ニャー

タマ?「猫が喋ってる!?」

野良猫「はぁ?おまえ名前なんてーの?」

タマ?「佐倉杏子だ」

野良猫「知らねー奴だな……」

タマ?「喉乾いた……」

野良猫「あっちに水あるぜ」プイプイ

タマ?「あんがとさん」

テトテト

タマ?「水って水溜まりじゃん……猫じゃ仕方ないか」

水鏡「オイスー」

タマ?「」

――翌日

タマ(杏子)「だ、だめ……おなかすいた」バタッ

タマ(杏子)「しぬ……」

まどか「だ、大丈夫!?」サワサワ

タマ「にゃ、にゃーにゃ?」

まどか「ん?何かな?」

タマ(まどかー!あたし!杏子だゾ!)ニャーン

まどか「おなかすいてるのかな……これ、あげるね」

キャットフード「ザザー」

タマ「」

まどか「エイミーには悪いけど……ちょうど良かった!」

タマ(アタシ佐倉杏子は出された物には好き嫌いは言わない……と、思っていた)ニャー

まどか「あれっ?食べないの?」

タマ(鯛焼きとかソーセージとかくれ!)ニャーニャー!

まどか「何言ってるかわかんないよぅ」ティヒヒ

――数分後

タマ「意外と食べれたな……」

タマ「あたしの身体を弄ぶだけ弄んで何も気づかず帰っちゃうし……」

タマ「そうだ、マミならわかってくれるかも……!」


――マミるーむ

タマ「ここでマミが出てくるまで待とう」

~~翌日

タマ「――え?」

~~二日後

タマ「いないのか?」

~~三日後

タマ「いい加減出てきて……」

キリカ「何この猫」

タマ(あ、あんた……)ニャー

ピンポーン

キリカ「おーい、マミー」ドンドンドン

キリカ「いないのかい?じゃあしょうがないな」クルッ

タマ(帰るなっ!)ガブッ

キリカ「うわぁっ!?」

タマ(もっと粘れ!)

キリカ「痛いよ!やめて!私が何か悪いことした!?」

キィ…

マミ「……」ヨロ…

キリカ「あ……マミ、プリント持ってきたんだ」

マミ「ありがとう」

キリカ「あ、あのさ……」アセアセ

マミ「もう少し、一人でいたい……」

キリカ「う、うん」

パッタン

キリカ「ずっと待ってるよ」

キリカ「……あれ?猫は?」

――真っ暗闇

タマ(電気もつけないで……)

マミ「……」

タマ(ずっとベッドで横になってたのか?散らかってる)

マミ「……キュゥべえなの?一人にしてって言ったじゃない」

タマ「ぎくっ」グゥゥゥ

マミ「!?」

タマ(やばっ!おなかが)

マミ「その目……猫?え、なんで?」

タマ(こうなったら……こっちにこい!)タタッ

マミ「あ、待ってっ!」

ガリガリガリガリガリ

タマ(めしくれェェェェェェ!)

マミ「いやァァァァァ!冷蔵庫がっ!」

タマ「ニャー」

マミ「もしかしておなかすいてるの?じゃあ……」

タマ(やった!)

マミ「これが良さそう」

キャットフード「ザザー」

タマ「」

マミ「鹿目さんが置いてるのがあってちょうど良かったわ」

タマ(まどかァァァ)

タマ(ちぇっ……)ガツガツ

マミ「……ふふ」ナデナデ

タマ「?」

マミ「あなたのおかげで少し気が紛れた……ありがとう」

タマ「にゃーん(何を悩んでたんだ?)」

マミ「妹みたいに大切に思ってたお友達が死んじゃってね……」

マミ「私を困らせてばっかりの子だったけど、大好きだった」

タマ(……)

マミ「あなたからなんだか似た雰囲気がして、だからかな……」

マミ「……しばらく一緒にいてくれる?」

タマ「にゃー」

マミ「『いいぜ、一緒にいてやるよ?』」

タマ「にゃ」

マミ「ふふっ!あなたのことは、ロッソ――」

タマ「ふぎー!」

マミ「わ、わかったわよ……杏って呼ぶわ」

杏「にゃっ」


今日見つけて全部読んできた
キリカ、マミさんが自分で立ち上がれると信じてるんだな
しかし杏マミがほのぼのしてる間にもさやかとカガリはガチシリアスをやってるのか
面白かった。続きが楽しみ

あとメール欄に『saga』って混ぜると『魔力 → 魔翌力』とか『死ね→[ピーーー]』みたいな文字の変換を回避できるよ
このレスみたくメール欄に『saga sage』って感じに入れればsageとの併用もできる。おススメ 

――翌日

マミ「学校行ってくるわね」

杏子(猫)「ニャァー」

マミ「ご飯(キャットフード)ここに置いておくから、おなかすいたら食べてね」

杏猫「ニャハァ…」

マミ「あら、これじゃ嫌なの?」

杏猫「!」コクコクコクコクコク

マミ「ぷっ、やだぁ、その動き!」アハハハハ

杏猫「フギィー!」

マミ「ふふっ、わかってるわ!帰りに別のとびきりのを買ってきてあげるから」

杏猫「!!!」パァァ

マミ「それじゃ、行ってきます」

杏猫「にゃっ」

 ガチャッ パッタン

マミ(一度、猫まっしぐらのあれを、猫にあげてみたかったのよね!)

~~マミマンション前

ブィーン

マミ「あ……」

ほむら「……」

まどか「おはようございます!」

マミ「あなた達……」

ほむら「おはよう……まどかが、心配そうにしてたから――」

まどか「ほむらちゃんはね、毎朝マミさんの事を待ってたんですよ!」

マミ「……!」

ほむら「ちょ、ちょっとまどか!内緒だって言ったのに……!」

まどか「伝えなきゃ伝わらないもん」

ほむら「な、内緒……」

まどか「マミさん、何かいいことあった?」

マミ「え?わかる……?」

まどか「うん!」

マミ「ねぇ、二人とも」

まどか・ほむら「?」

マミ「猫って、いいね」

――放課後

エイミー「にゃぁー!」クルクル パシパシ

まどか「こっちこっち!」フリフリ

マミ「……二人がエイミーを大切にする気持ち、今までよりもわかったかもしれないわ」

ほむら「……」

マミ「私は……自分だけの運命があるから、皆とは違うから、そのせいで皆と出会うまでずっと一人だったんだと思ってた」

マミ「でも、佐倉さんを失って、あの子(杏猫)と出会って、今日、学校へ行って皆と話して」

マミ「皆が生きていてくれてるだけで、本当に、本当に嬉しいと思った……」グスッ

マミ「その時わかったの、私は皆の希望を演じようとしてその見返りで皆に都合良くいて欲しかったからずっと寂しかったんだって」

マミ「そんなことしなくても、みんな私と一緒にいてくれたのにね」

マミ「その事に、何かを失ってから気づいたことが、悲しい」

ほむら「巴さん……」

マミ「二人とも、いつもありがとう」

ほむら「い、いえ///////」

まどか「///////」フリフリ

エイミー「にゃ!」パシ

まどか「あっ、捕まっちゃった」

――マミルーム

チャリッチャリチャリッ ガッチャン

杏猫(帰ってきた!)ワクワク

マミ「ただいま」

杏猫「ニャーニャー!」ガサゴソ

マミ「ちょっ、待ってて!今出すから!」

杏猫(やっと人間らしい食事にありつける!)

マミ(本当に猫まっしぐらね……封も開けてないのに)

カララララン…

杏猫「」

マミ「ふふっ、さぁ、どうぞ♪」

杏猫「……」クワァ…

マミ「どうしたの?あんぐりとしちゃって」

杏猫「……」

マミ「仕方ないわね、はい、あーん」

ポテ

杏猫(……早く何とかしないと……!)アングリ

――翌日 午後

杏猫「このままじゃまたマミにキャットフードを食べさせられる」

杏猫「飯を選り好みしてるわけじゃない……毎日同じものを食べるのは体に良くないって言うし仕方なくだな」

杏猫「……」

杏猫「とっ、とにかく、何かいい方法考えなきゃな」

 ・

 ・

 ・

杏猫「はぁ、はぁ、思いついたはいいけどしんどいな」

メモ「あたしのめしはにんげん」

杏猫「もう少しだ……」カキカキ

ピンポーン

杏猫「誰だよこんな時に」

ピンポーン…

杏猫「マミはいないっての」

ピンポーン…  ピンポーン…  ピンポーン…

杏猫「……しつこいな、誰だ?まったく」

杏猫「のぞき穴見てもまっくらじゃん」シガミツキ

杏猫「んー……」

ピンポーン…

杏猫「おかしいな、そういえば普通何か見えるだろ?」

杏猫「お、向こうも見てたのか?黒い塊が離れてく」

杏猫「結局、誰かよくわかんなかったけどまぁいいか」

テテトト

杏猫「続き書かなきゃな」

メモ「あたしのめしはにんげんがいい」

杏猫「あれ、焦って間違えて書いちゃったかな?捨てておくか」

カキカキ

杏猫「よし、書けた!」

メモ「あたしのめしはにんげんのがいい」

杏猫「帰ってくるのが楽しみだな」

のぞき穴「……」

――夕方

マミ「すごい!なんてすごいの!文字を理解できるなんて!」ギューッ

杏猫(当たり前だろ?えへっ……///////)

マミ「ただ、少し間違えちゃったみたいね」

杏猫(え?)

マミ「『あたしのめしはにんげんがいい』だなんて……ふふ」

杏猫(!?)

マミ「でも人間の食事は猫の体には悪いし、キャットフードもちゃんと猫の体に合わせて作られてるんだから――」

杏猫(どうして?あたしはあれちゃんと捨てたはず……)

マミ「聞いてる?」

杏猫「にゃ?」

マミ「はい、御飯よ」

杏猫(やった!)

キャットフード「オイスー」

杏猫「」

――数日後 公園

杏猫(もう、キャットフードは無理……)トコトコ

杏猫(あれから色々試したけど何故かマミに伝わらない)

杏猫(勝手に出てきちゃったけど書き置きしたし大丈夫だよな……)

杏猫(とりあえずほむらんち行ってみるか……あいつなら何か知ってるかもしれない)

――ほむホーム

杏猫(ほむらーいるかー)トントン

ほむら「……」

杏猫(難しい顔で何か考えてるな……窓開いてるし勝手に入っちゃうぞ)ススス

ほむら「……さやかまで……どこに行ったの?」

杏猫(ん?)

ほむら「ふー……」クタッ

杏猫(さやかが行方不明なのか?)ニャーニャー

ほむら「ひゃっ!?えっ、巴さんちの猫!?」

杏猫(驚きすぎだろ……)

ほむら「どうしてここが……?そういえばエイミーもまどかのもとへ導いてくれたことがあったような気がする」

ほむら「猫には、遠くの関係してる人がわかる力がある……の?」ジーッ

杏猫(と、言われても……あたし猫じゃないし)

ほむら「杏ちゃん、さやかのもとへ連れて行ってくれる?」

杏猫(……付き合わないと話聞いてもらえなさそうだな)

~~数時間後

ほむら「全然会えないじゃない」

杏猫(あたしは疲れたよ……おなかすいたー!)クタッ

ほむら「休憩しましょうか……ご褒美にこれあげる」

杏猫(ジャーキー!?猫用だけどやっといつもと違うものが!)ハグハグ

ほむら「……巴さんとは、上手くやれてる?」

杏猫(ん?)ニャー

ほむら「やっぱり言葉がわかるのね……賢いんだね」クス

ほむら「ここだけの話ね、私のほうは……実は巴さんが苦手なの」

杏猫(なん……だと……?)

ほむら「あの人と、私は……うっ」ズキィ

杏猫(どうしたんだ?大丈夫か?)アセアセ

ほむら「何だか、昔のことを思い出そうとすると苦しくて思い出せない」

杏猫(昔……?)

ほむら「カガリって言う子が、取引に応じたらその代わりに私の知りたい事を教えてくれると言っていた」

ほむら「でも、その子は来なくなって……魔法少女だから、そういうこともある……けれど」ワナワナ

杏猫(ほむら?)

ほむら「私は、あの子と取引するのは危険だと思った、でもそれでも知りたかった……私が皆といていいのか」

ほむら「まどかと一緒にいていいのかを……!」

ガシッ

杏猫(痛っ)

ほむら「どうしてこんなに切ないの?」

ほむら「いつだって皆といると、すごく幸せで」

ほむら「不安が止まらなくなる……」

ブルブルブル

杏猫(こいつ、震えて……)

キュゥべえ「やれやれ、また発作か」

杏猫(キュゥべえ)

キュゥべえ「ん……」ヒュンッ

プスッ

ほむら「あっ?」

杏猫(え……?)ニャーニャー!

キュゥべえ「……どんなに脳をいじっても、暁美ほむらのダークオーブは記憶を修正してしまう……厄介なものだね」

杏猫(何言ってんだ……?)

キュゥべえ「ダークオーブはブラックボックスすぎて危険だが人間体とリンクしている間は少しは融通がきく」

ほむら「あう……?」

キュゥべえ「記憶の改変程度でも、長く続けたことで効果は出ている……あとは暁美ほむらの周囲にいる子達が変わればいい」

キュゥべえ「暁美ほむら以外は暁美ほむらの使い魔が守っていてこういう手を使えないから厄介だけどね」

キュゥべえ「僕達は、今度は間違えない……暁美ほむらの世界を壊して完全に制御してみせる」

ほむら「あ……まどか……」ツツー

杏猫(涙が……ちくしょうほむらの手にしっかりつかまれて動けない!)

キュゥべえ「これでよし」チュポン

杏猫(くっそ……でも、あいつあたしに気づいてないのか?)

キュゥべえ「あとは、君の口封じだ」

杏猫(やっぱり気づいて――)

グサァッ

キュゥべえ「……動物である君達とも話せるような者もいるから念の為だよ」

杏猫(自分で喋ったくせに……)カフッ

キュゥべえ「こういうのは僕達のやり方ではないんだが、なりふり構っていられないんだ、さようなら」

杏猫「」

~~夜

ほむら「あ……私、いつの間にか寝て……」

杏猫「」グタァ

ほむら「え……」

ほむら「なんで?どうして!もしかして、私が」

杏猫(違……う)カフッ

ほむら「まだ生きて……医者へ連れて行かなくちゃ!」

杏猫(なんとか生きてるけど、上手く再生できない……猫の体だからか)

杏猫(ほむらもやばいけど、あたしもやばいな……)

タッタッタッタ

ほむら「どうしよう、どこもやってない」

杏猫(へへ……ここまでかな)コフーコフー

ほむら「死んだらダメ!あなたは巴さんを変えてくれたの!」

杏猫(あたしが……?)

ほむら「何故か、そう思う……今の巴さんは、前ほど苦手じゃないの」

杏猫(一度殺されそうにでもなったの?なんてね……)

ほむら「あなたが死んだらまたどうなるかわからないわ」

杏猫(……ほむらはなんでそんな必死になるんだろう)スゥ

ほむら「あぁ……目を閉じたらだめ……!」

ドンッ

ほむら「きゃっ!?」ドサァ

里美「痛いわねぇ……ちゃんと前見て」

ほむら「ご、ごめんなさい……」

里美「あら、それは……」

ほむら「すみません、私もう行かないと……!」

里美「待って」グイッ

ほむら「なっ……邪魔しないで!」

里美「……」パァァ

杏猫(ん……)

ほむら「あ……!」

里美「あなた、蘇生は得意じゃないの?」

ほむら「あなたも、魔法少女……!」

里美「うふふ、魔法少女になってまで駆け回るなんて、よほどその子が大切なのね」

ほむら「大切な先輩の……大切にしている子なの」

杏猫(ほむら……)

里美「何があったの?」

ほむら「私にはわからない……でも、いつの間にか」

里美「ふぅん……じゃあ、その子に聞いてみましょう?」

ほむら「え?」

杏猫(え?)

――数分後

ほむら「キュゥべえが……!?」

杏猫『ああ、ほんとだぜ……』

里美「その時キュゥべえが何かを言ってたみたいだけど、何故か記憶が曖昧みたいね」

ほむら「お喋りなキュゥべえだから核心をドヤ顔で喋ってそうなのに」

杏猫『あたしが猫で無力だと思ってるのかベラベラ喋ってたな』

ほむら「それがいつものキュゥべえよ……そしてそのあと必ず失敗するの……うっ」ズキィ

里美「大丈夫?」

ほむら「平気……」

里美「……ねぇ、あなた私達と協力しない?」

ほむら「協力……?」

里美「ええ、私達プレイアデス聖団も、歪なこの世界の謎を追っていたの」

杏猫『そういえばあんたの顔どっかで見たような気がした』

里美「え?いつ?」

杏猫『あたしの邪魔されたとき』

里美(え?猫ちゃんの邪魔なんてしたことないし……)

――マミるーむ

杏猫(はぁー、今日はいろいろあったな)

杏猫(まさか猫の言葉がわかるやついるなんてな)

マミ「ちゃんと帰ってきてくれて良かった」ナデナデ

カラララン

杏猫(ほむらはあいつらと協力するのかな……)ハグッハグハグッハグ

杏猫(っていうか何か大切なことを忘れてる気がする)

杏猫(……!)ピコン

マミ「?」

杏猫(そうだ!あいつ(里美)がいればちゃんとした御飯をマミに用意してもらえたかもしれないじゃん!)

杏猫(~~っ!あたしの馬鹿!!)


つづく

――翌朝 休日

ムクッ ニャァァァ

杏猫(ふわぁ……ちょっと早く起きすぎちゃった)

マミ「佐倉さん……」zzZ

杏猫(なんだ、寝言……そうだ、あいつ《里美》に説明してもらわなきゃな)

杏猫(……あたしはちゃんとした飯が食べたいって)

ピンポーン

杏猫(かなり朝早くに誰だ?)テテトトト

<ドスン イタタタァ

杏猫(今のチャイムでマミも起きたかな?)

<バタバタバタ

マミ「寝坊しちゃった……!」

ピンポーン ガチャ

なぎさ「おはようございます」

マミ「おはよう!二人とも……!」

ゆま「おはよう……」

杏猫(ゆまとなぎさか……)コッソリ

マミ「あ……酷いくま」

なぎさ「マミはどうやって立ち直ったんですか?ゆまに教えて欲しいのです」

ゆま「大丈夫だよ、へっちゃらだよ」ニパ…

なぎさ「全然大丈夫じゃないのです」

マミ(ゆまちゃん、時間があれば佐倉さんと一緒だったもんね……)

杏猫(二人とも一緒の学校だったのか……)

なぎさ「ゆまは杏子のために転校しなかったほど杏子が好きなのです」

ゆま「なぎさもいるよ」

なぎさ「そっ、そういうのは嬉しいけど今はいいのです!マミ、ゆまを助けてください」

マミ(……)

なぎさ「マミ……」ウルウル ユサユサ

杏猫(あたしのせいで……ごめんな、ゆま)

ゆま「……?」チラ

ゆま「……キョーコ?」フラ…

杏猫(え?)

ゆま「……!?」

杏猫(ま、まさか……)

ゆま「キョーコ!!」ギュッ

杏猫(ぐへっ!)ミシミシミィ

ゆま「マミおねえちゃん!これどうしたの!?」

マミ「……なんて言えばいいのかしら……いつの間にかいたの」

ゆま「キョーコが生きてた!」

マミ「……」

なぎさ「……」

ゆま「キョーコ、今までどうしてたの?なんで猫さんになってるの?」

杏猫(あたしにもよくわからん)ニャーニャー

マミ「……っくぅ」ホロリ

なぎさ「早く助けてくださいなのです!」ユサユサユサユサユサ

ゆま「この子はキョーコだもん……ほんとうだよ」

マミ「でも佐倉さんだったら私にもキュゥべえにもすぐわかるのよ」

ゆま「……」

なぎさ「……ゆまは、人の雰囲気に敏感だから、もしかするとわかるのです」

マミ「第六感……なのかしら……」

なぎさ「ふふふ……ゆま、今この部屋に誰がいますか?」

ゆま「ゆまと、なぎさと、マミおねえちゃんと、キョーコと、知らない人」

マミ「やめて」

なぎさ「さすがゆま、空気が読めるのです」

マミ「なぁんだ、やっぱりジョークよね!」

ゆま「?」

キョーコ(……!?)ジー

なぎさ「ゆまが言ってからずっと一点を見つめてる猫はとりあえず置いておくのです」

マミ「……」

――ほむホーム

ゆま「ん……キョーコ」zzZ ギュー

マミ「いい寝顔」クス

なぎさ「良かった、安心したみたいです」

杏猫(ギブギブギブ)

ほむら「用事があったのに」

マミ「ごめんなさい、あなたにも関係ある話なの」キリッ

なぎさ「おばけから逃げてきたのです」

マミ「ち、違うの!」

ほむら「そんな話をしにきたの?まったく……」

ほむら「いい?おばけなんているわけがないわ……前に見かけたのもきっと私の目の錯覚だったと思う」

ほむら「もし昔からおばけなんていたら今頃この地上はおばけで埋め尽くされてるはずだし」

ほむら「今まで死んでいった魔法少女達とも何のリスクもなく会えたはずなのよ」

ほむら「つまらないこと言ってる暇があったらあなた達も何か行動するといい」

なぎさ「どうして御布団に入りながら言うのです?」

ほむら「ゆまちゃんが寒くないかと思って」

~~説明中

ほむら「なっ……この子が杏子!?」

杏猫(やっと気づきそうだな)ニャー

ほむら「魔翌力は感じられない……それに、テレパシーも繋がらない」

ほむら「これを知るためにも……あすなろ市へ行かなきゃいけないのね」

マミ「あすなろ市へ何を?」

ほむら「動物の言葉がわかる魔法少女にまた会うためよ」

マミ「プレイアデス聖団の?」

ほむら「ええ、知っているの?」

マミ「おかしいわね……」

ほむら「?」

マミ「彼女達はあすなろ市に絶対不可侵の領域を定めて他の魔法少女と干渉しあわない事で安定を保ったグループよ」

マミ「彼女達が強力な力を持ちつつも無益な争いは好まず何があっても市から出て来ないことは有名だわ」

マミ「佐倉さんも、一度挑んで逃げ帰って来たほどの実力者なんだから」

杏猫(違うっての!あれは途中で邪魔が入って)ニャーニャー

ほむら「逃げ帰って来たなんて言うから怒ったわよ」

マミ「ふふ……本当に佐倉さんなのかな?そうだったらいいなぁ……」

杏猫(ちぇ……すぐにわからせてやるからな……ほむらが)

――あすなろ市 公園

マミ「久しぶりね……相手の素性がわかってるだけ今回は気が楽かしら」

杏猫(前は酷い目にあったなぁ)

なぎさ「おトイレ行ってくるのです」

ゆま「ゆ、ゆまもお手洗い!」ムズムズ

ほむら「ふふ……」

杏猫(ゆまとなぎさはなんで連れてきたんだ?)ニャー

マミ「え?なに?」

杏猫(早く通訳を!)


――ビルの上

カオル「あいつらの中に暁美ほむらはいるの?」

海香「いえ……いないみたい、暁美ほむらは……胸が小さいらしいの」※

※前に魔法で大きくなったそのままだよ

カオル「確かに二人ともでっかいな」

海香「ええ……彼女達にも事情を説明してみましょう」

タタッ

海香「あ、あ、あのあのあの」

マミ「は、はい(え!魔法少女!?)」アタフタ

海香「こちっ、こちらこういう者です!」スッ

マミ(本?)ポン

海香「ああああああああ!!」

マミ「!?」

海香「どうしようカオル!名刺じゃなくて武器をあげちゃった!もう戦えない!」

カオル「あほか」ポコ

海香「あふ」

タタン シュッ シュッ

海香「我ら全員揃って」ビッッ

カオル「プレイアデス聖団!」ビビッッ

ドーン パラパラパラ

ほむら「二人で全員なの?」

カオル「違うけど……初見の相手にはやっとくことが決まりなんだ」

マミ「わぁ……」キラキラ チラッ

ほむら「」プイ

海香「よよよよろしくおねががが」

ゆま「よろしくね、カッコイイおねえさん!」

海香(((((カッコイイ)))))

なぎさ「よろしくなのです」スッ

海香「えっへへ、握手!」スッ

ミシミシミィ!!

海香「げはっ!?」

なぎさ「ふふ」

海香(アアー!!腕がー!?)

カオル「海香の挙動不審は許してくれ……外に出て他人と接するのが久しぶりなんだ」

マミ「何かあったの?」

カオル「私たちの仲間の一人……和紗ミチルが行方不明で、長い間捜索のために籠もってたんだ」

カオル「ミチルはある日突然この世界に疑問を持ち始めた、そして暁美ほむらって奴が怪しいと私達に言った翌日消えてしまった」

ほむら(……)

カオル「だからあなた達が暁美ほむらを知ってるなら情報が欲しいんだ」

マミ「暁美さんならそこ――むぐっ」

ほむら「暁美さんでわかってる情報を先に教えて」

カオル「あ、ああ……その前に、彼女は巴マミとわかるけど、君は?」

ほむら「鹿目まどらーよ」

カオル「マドラーさんだね」

カオル「暁美ほむら……長く美しい黒髪」

ほむら「……そうね」

カオル「細くすらりと伸びた手足の、しなやかな身体」

ほむら「……///////」

カオル「かわいい系の顔でキリッと引き締まった表情」

マミ(誰からの情報なのかしら)

ほむら「うう~~バレちゃうバレちゃう……!」

杏猫(……)

カオル「胸が小さい」

ほむら「」

杏猫(あははははは)ジタバタ

ほむら「変わったはずなのに!」

なぎさ「過去は恐ろしいのです」

ゆま「怖くても今じゃないよ」

――御崎海香邸 リビング

カオル『海香、この人達の事を魔法で探るんじゃなかったのか?』

海香『巴マミ……表面ではふんわりとした表情をし続けてるけど常に不可視のリボンで仲間を守っている様子』

カオル『えっ……あたしにはわからなかった』

海香『あの子と握手した時、通常の感覚ではわからないリボンで接触を妨げていた……武器を渡して油断させるつもりが武器が本の時点で特殊能力を警戒していたのかも』

カオル『おぉ……』

海香『相当実力と魔法に自信がある魔法少女でも彼女の洞察力と経験には簡単に手が出せなさそうね』

カオル『超魔法少女モードでゴリ押し羽交い締めしちゃう?』

海香『戦うつもりなんて無いくせに』

カオル『えへへ、いい人達っぽいよね』

海香『そうね……戦いたくないけど、彼女達は嘘をついてる』

カオル『そうだな……』

海香『それによっては、覚悟しなきゃね』

カオル『それで、どうするんだ?』

海香『ロッソ・ファンタズマ』ブゥゥン

杏猫(!?)

海香『幻術の私が対応している間に、隣の部屋から一瞬で探るわ』

カオル『わかった』

杏猫(お、おい!)ニャーニャー

ワイワイ

杏猫(やっぱり誰も気づいてないのか?あいつ、あたしと同じ幻覚の魔法を……昔会った時に盗まれたのか)

杏猫(使ってすらいないのに……あいつの魔法、ヤバいぞ!マミ!)ニャーニャー

カオル「それでね、マミさん」

マミ「うんうん……もう、杏ったらどうしたの?」

杏猫(あいつの魔法がもし調べる魔法なら、とっくにあたしたちの態度はバレてるぞ!!)

ほむら「おなかすいたのかな……ふふっ、食べなさい杏子」カララララン

杏猫(空気読めー!)

ゆま「あっ!」

サワサワ

杏猫(ゆまっ!?)

マミ「なっ、なに!?///////」サワサワサワサワサワ

杏猫(だ、大丈夫か!?)

<ワタシ ニハ ムリヨォォォ

一同「!?」

ほむら「あ、いつの間にか一人いないわね……杏子、キャットフード食べないの?」

カオル「海香!?」タタタッ

マミ「私達も行きましょう!」

杏猫(おう!)

――隣の部屋

海香「……ぐすっ、ごめんなさい皆さん」

カオル「何があったのさ」

海香「ゆまさんと……巴さんを探りはじめたら……」

カオル「はじめたら?」

海香「凄惨と真摯な想いの人生で私の胸が痛すぎて……!」

マミ「誉められたことじゃないわね、内緒で人を探ろうだなんて」

ほむら「魔法少女の衣装がさっき会った時と変わっているわね」

カオル「……本気の海香が止めたから、もう探る気なんて無いってわかってほしい」

マミ「暁美ほむらさんのこと?それなら――ムグッ」

ほむら「私はマドラーよ」

マミ『もうっ……こっちも後ろめたいじゃない』

カオル「違う……ミチルの情報が欲しかったんだ、それだけ本気で」

海香「……もういいのカオル、この人は私達を騙したりしない」

カオル「え?」

海香「巴さんの記憶の中に、魔法少女となる前に助けられたミチルの笑顔があったから」

カオル「ていうことは、この人がミチルの言ってた『お姉さん』……!」

マミ(どれだけ見られちゃったの!?)

ゆま「キョーコ、ゆまもうお嫁に行けないかもしれない」

なぎさ「行けます」

ほむら「そうだ、その魔法で杏子を見てもらえばいいんじゃないかしら」

マミ「それよ!さすがだわ暁美さん!」

杏子(あいつ《里美》探すまでも無さそうだな)ニャー

~~数分後

マミ「御崎さん、どうなの?」

海香「やってみた……でも本当は、こんなことするまでもなくわかってるんでしょ?」

ほむら「……」

ゆま「やっぱりキョーコでしょ?みんなにわかってもらったら、後はよみがえるだけだね!」

杏猫(おうっ!)ニャー

カオル「ゆまちゃん……」

マミ「じゃ、じゃあ、その猫の言葉がわかる人と会えるまで待ってみる?結論を急ぐ必要ないわよね」

ほむら「教えて、真相を」

海香「マドラー……わかったわ」

海香「ただの猫よ」

杏猫(……?)

マミ「……」

ほむら「……」

ゆま「え?」

カオル「ゆまちゃん、魔法少女の魂はね、ソウルジェムっていう入れ物に入ってるんだ」

ゆま「知ってるよ!キョーコのソウルジェムは、とってもきれいなんだよ!」

カオル「魔法少女はソウルジェムを必ずどこかに身につけていて、離れれば体は動かなくなっちゃうんだ」

海香「カオル……」

ゆま「そ、それがどーしたの?キョーコはキョーコだよ」

海香「この子はおそらくどこかで、幻覚魔法の素質を持つ佐倉杏子さんのソウルジェムの残滓により何らかのきっかけで記憶が転写された猫よ」

ゆま「むずかしい言葉わからないよ!」

なぎさ「ゆま……なんでマミもほむほむも何も言わないのですか!?」

マミ「私だって……信じてみたかったから」グスッ

なぎさ「あ……ごめんなさい……」

ほむら(ほむほむはセーフよね……まどまどと同じようなものだから気づかれないわ)アセアセ

ゆま「キョーコは、キョーコじゃないの?」

海香「ごめんね」

ゆま「……!」タタタッ

――御崎邸玄関 外

ゆま「キョーコ」

杏猫「にゃー」

ゆま「キョーコだよね?絶対信じてる」

杏猫「にゃー……」

ゆま「なんか喋ってよ、キョーコ……!」グスッ

織莉子「ゆまちゃん」

ゆま「おねえさん……どうしてここに?」

織莉子「……どうしたの?かわいいお顔が腫れてしまってるわ」フキフキ

ゆま「ん……皆が、キョーコがキョーコだってわかってくれなくて……お姉さんはどう思う?」

織莉子「知ろうとすればするほど傷つくだけよ」

ゆま「ゆまは……へいきだよ」

織莉子「あなたじゃなくて、この子が」

ゆま「あ……」

杏猫「……」

ゆま「ねえ、おねえさん……」

織莉子「何かしら?」

ゆま「わたし、魔法少女になる」

フシャーッ ガリガリガリ

ゆま「痛っ!?痛いよキョーコ!」

織莉子「だめ、って言ってるみたいね……私もそう思う」

ゆま「どうして?ゆまならなんでも出来るって、キュゥべえが言ってた!」

織莉子「そのために皆は何もできなくなる」

ゆま「え?」

織莉子「あなたを守りたいと思ってできてきた事が全てなくなってしまうから」

ゆま「じゃあゆまはどうすればいいの!?」

織莉子「今回の事は、イレギュラーだった……私は、あなたを止めに来た」

織莉子「あなたが魔法少女にならなくとも、時期が来れば佐倉杏子さんは必ず蘇る」

織莉子「その時にあなたが魔法少女になっていたら、彼女はとっても悲しむわ」

ゆま「ほんとう……?じゃあ、このキョーコはどうなるの?」

織莉子「……死ぬわ」

ゆま「そんなのってないよ!!」

織莉子「……」

ゆま「おねえさん、どうしてキョーコはキョーコを作ってキョーコはキョーコのために死ななきゃならないの?」

織莉子「彼女が、強かったから……そしてもっと強くならなきゃいけなかったから」

ゆま「なんでキョーコなの?」

織莉子「それは、ほむらさんが知ってるわ……いえ、今のほむらさんは思い出せないわね」

ゆま「ほむらおねえちゃんとおねえさんは、なにしようとしてるの?」

織莉子「全てはこの世界を守るため、よ」

ゆま「おねえさん……そうやって全部おしえてくれないんだ」

織莉子「きらいになった?」

ゆま「……何て言ってもキョーコを連れていくし、ゆまは魔法少女になっちゃいけないんでしょ」

ゆま「そのためにキリカお姉さんも連れてきてる」

キリカ「バレてた」

織莉子「キリカは別件よ、あなたを無理やり抑えつけたりしないわ、私は、信じてるもの」

ゆま「ずるいよ……」

織莉子「さぁ、行きましょう佐倉杏子さん……急がないといけない」

杏猫「……にゃ」

ゆま「あ……キョーコをもう……?」

『杏子「大丈夫、あんがとな……ゆま」』

ゆま「え?」ゴシゴシ シパシパ

キリカ「どうかした?」

ゆま「ううん、なんでもない」

――杏子の教会

織莉子「ふぅ、私は魔法少女でも体力が無いからここまで走るのさすがに疲れた……」

杏猫「……」スゥツ トタッ テトテトテト

織莉子「もう、覚悟が決まってるのね……絶望を超える覚悟が」


――室内

杏子の遺体「……」スゥスゥ

沙々「やっと来ましたか」

織莉子「ごめんなさい」

沙々「あれ?今日はあいつ(キリカ)いないんですか?」

織莉子「色々と大変なのよ」

沙々「わたしが織莉子さんを裏切っても知りませんよぉ?」

織莉子「そうね」クスクス

沙々(くそがぁ~~!裏切っても無事に済む気がちっともしない!)

杏猫「……」テトテトテト ピトッ

杏子の遺体「」ビビクンッ

沙々「猫さんが急に始めちゃいましたけど大丈夫なんですかぁ!?」

織莉子「身体の修復は完全よ、あとは新鮮な猫の脳に移し替えられていたバックアップが本体に戻るだけ……」

織莉子「でも、ソウルジェム自体が意志を持っていたということは、つまり彼女は……」

沙々「どういうことですか?」

織莉子「場合によっては沙々さんが絶望するかもしれないわ」

沙々「ほんとにどういうことですか!?」

――御崎邸

マミ「あれ?呉さん?」

キリカ「やぁ、マミ」

マミ「どうしてここに?それと杏は……」

キリカ「これからここに敵が襲撃しに来るから、猫は織莉子が預かったよ」

マミ「え?」

海香「敵ですって?」

カオル「ちょっと見てくるよ」

キリカ「やめといたほうがいい、君達は自分の友達を討てるの?」

海香「どういうこと?」

キリカ「ああいうこと」

ゴゥゥゥ

海香「あ、あれは……みらいのテディベア」

カオル「やばい!家ごとあたしたちを押し潰す気だ!」

マミ「くっ……間に合って!」シュルシュルル

キリカ「速度低下!」

ズモモモ

マミ「た、助かったわ」

キリカ「さぁ、急いで避難だよ!」

マミ「暁美さん達は……?」

――外

ほむら「なぎさを操って、私達を分散させるなんて味なまねするじゃない」

里美「うふふ、戦いのセオリーでしょ?一番厄介そうな人を、足手まといと一緒に孤立させるのは……v」

ほむら「いい人だと思ったのに……でも残念ね」

里美「何が?」

ほむら「二人(なぎさとゆま)も、足手まといにはならない……一瞬であなたは終わるのよ」

里美「やってみせて」

ほむら「ええ」

カチッ

ほむら「時間停止……次の瞬間、あなたはこの爆弾で倒れている」

里美「ほんと?こわぁい」グルンッ

ほむら「んなっ!?」

ガシッ

ほむら「ぐっ……離れて!」

里美「あなたって、魔法が強力すぎる代わりに他がからっきしなのね」

ほむら「くぅ……!」

里美「魔法に頼りすぎたわね……」

カシャッ

ほむら「ど、どうして――かふっ」ギリギリギリ

里美「このまま首締めで落として連れていかせてもらうわ……暁美ほむらさん♪」

ゆま「あ、あわわ……?」タタッ

里美「動いたらそこにいるなぎさちゃんごと[ピーーー]から!」

ゆま「ひっ」

里美「いい子ねぇ……私達もなるべく少しでも後味悪くしたくないの」

ほむら「」ストン

里美「ふふ……」

――御崎邸跡地

マミ「どうしよう、テレパシーが繋がらない……これは美国さんは予知してた?」

キリカ「教えてもらってない……織莉子の未来視は断片的なんだ、確実な未来を連続で見ようとすると消費が現実的じゃない」

マミ「結果はわからない?」

キリカ「ぶっちゃけ」

マミ「他にわかる情報は?」

キリカ「飛鳥ユウリがいる……あの子の魔法は『どんな異常による干渉も消す』……攻撃には使えない完全なサポート向けだ」

マミ「それって……暁美さんが危ない!」

――外れ

みらい「お、捕まえてきたんだ三人とも」

ユウリ「人質をとるなんて聞いてない」

サキ「すまん、でも……」

里美「いいじゃない、それとも私達と敵対してあなたが一人で生きていけるの……?」

ユウリ「……」

里美「あなたの魔法って、どんな異常も病気も無かったことにしちゃえて、とっても強力だけど……」スタスタ

里美「一人じゃ無理すぎて魔法少女の戦いを続けていつか死ぬよね?」

ユウリ「そんなこと……」

里美「あるわよ」クワッ

ユウリ「ひぅっ」ビクゥ

サキ「ごめん……でも、私にも、ユウリにも大切な人がいる……なら確実に少し卑怯でも最終的に誰の手も汚さない方法で勝っていこう」

ユウリ「……わかった、そういうことなら」

ほむら・ゆま・なぎさ「……」zzZ

ユウリ(この人《ほむら》の魔法は、純粋で強力だった……もしかしたら誰かのために祈ったのかも)

ユウリ(アタシと、同じように)

ユウリ(あいりと、次会う時いつも通りでいられるんだろうか)

ユウリ(……怖い)

――教会

ブゥゥゥン

杏子遺体と杏猫「……」ピカー

織莉子「これは、私の悪あがき」

沙々「どうして、あなたが?治療には、もっと得意な人もいるんじゃありませんかぁ?」

織莉子「視て知っているの……今日は、治療の得意な魔法少女は全員欠席」

織莉子「いえ、本当は、一人いるはずだった」

沙々「どうしてそいつを連れて来なかったんです?」

織莉子「いつか視た世界で、わたしが守りたかったものだから」

沙々「織莉子さん、もしや……」

織莉子(私があの子を止めたいと思ってしまった事がイレギュラー)

織莉子(ごめんなさい、ほむらさん……私はここで、脱落するでしょう)

沙々「わたしも、あんたを手伝――」

織莉子「だめ」

沙々「――!」

織莉子「あなたは、そこでいつも通りいて……そして全て終わった時、佐倉杏子さんと協力してあの子達を助けて」

沙々(くそくそくそ!なんか嫌な気分だ!でも)

織莉子「……」ニコ

沙々(全部わかってて、死を覚悟してる顔だ……いつもの『わたし』では止められない)

――御崎邸跡

マミ「っ……このテディベアの数、キリが無いわね」

キリカ「二人は手伝ってくれないのかい?」

カオル「く……」

海香「ごめんなさい、皆と戦っていいのか……」

キリカ「そうだね、それがいい!」シャリィン

海香「ひっ!?(近づいてくるの速っ)」

キリカ「迷っている君達じゃ、『不安』だから、よく見える所で固まってて」

カオル「うん……」

マミ「もうっ……呉さんたら」

キリカ「それに、だ」

海香・カオル「?」

キリカ「私とマミのコンビは、実は最強だから心配いらない」

マミ「へっ!?///////」

キリカ「織莉子には、内緒だよ……さぁ、いくよ!」

~~数秒後

海香「二人ともすごい……今まで、私達を警戒してただけなのね」

カオル「あの数のテディベアがあっという間だ」

海香「二人だけでも、そんじゃそこらの相手した魔法少女チームは全滅するわね」


カオル「海香……あ、あれを見て」

海香「ミチル……?いえ、ミチルが一人、二人、え……どんどん出てくる?」

ニコ「驚いただろう?」

海香「ニコ!?どうして、こんなミチルの複製を!」

ニコ「ミチルに頼まれたんだよ」

カオル「なん……だと……」

ニコ「二人は知ってた?ミチルが病んでいたのを」

海香「え……?」

ニコ「『皆がまるで私に誰かを映して見ているみたい』だと感じていた」

カオル「そんなこと……」

ニコ「ミチル自身も、自分に例えようのない嘘の世界を感じていた」

ニコ「私は、放っておけなかった……」

~~数日前

ミチル「ニコは、偽者のわたしに特に良くしてくれるね」

ニコ「何度も言うけど本物だよ、キミは」

ミチル「……今日だって、間違えてわたし『かずみ』って呼ばれたの」

ミチル「わたしはもちろん『ミチル』で『かずみ』だよ!でも……違うんだ」

ニコ「……」

ミチル「魔法少女の魂ってさ……この入れ物に入ってる」パアア

ミチル「『私自身の魂』でさえ実感持てないのに、どうして自分が本物だって思えるの?」

ミチル「例えば、これを銃で粉々に砕いたら」

ミチル「もしかしたら私はそれでも生きていて、実は化け物だったりしちゃうんじゃないかな……?」ツツー

ニコ「ミチルッ!」ギュッ

ミチル「苦しいの……これって魔法少女になったせいなの?私のせいで、皆も同じ気持ちを持ってるの?」グスッ

ニコ「違う!私は魔法少女になったことで救われた!」

ミチル「ニコ……ありがとう」キュ

ニコ「私の願いは……『もう一人の自分』」

ミチル「え?」

ニコ「私のトラウマを知らない知ることもない人生を……トラウマの無い私がどこかで生きてる」

ニコ「偽者は、本当は私なんだ……ゴメンネ」

ミチル「ニコは、偽者なんかじゃないよ」

ニコ「それが私の気持ちだよ」

ミチル「……ありがとう、ニコ」

~~また別の数日前

ニコ「ミチル、電気つけるよ」

ミチル「そのままで、いい……」

ニコ「最近、食欲無いみたいじゃないか」

ミチル「そんなことより、これを見て」

ニコ(よく見ると……人影!?)ビクッ

ミチル「紹介するね……『わたし』だよ」

ニコ「『ティーロ』みたいに模倣したのか?」

ミチル「『偽者』でも瓜二つ、ニコでも『わたし』と見分けつく?」

ミチル「『偽物』の御飯で私もお腹いっぱい、というか、そもそも食べることすらいらない」

ミチル「だって魔法少女だもの」

ニコ「ミチル、そういうことはもう考えるのはやめよう」

ミチル「……やめたいけど、やめちゃいけないんだ」

ミチル「どっかで本当の『わたし』がこの世界に戻りたがってるんだ!」ダン!!

ニコ「ミチル……!」ガシッ

ニコ「あっ……!?」

ミチル「気がついた?両足は、もうその子に――」

――現在

カオル「……!?でもミチルは普通に歩いてただろ!」

ニコ「魔法で作った模倣だけじゃだめだと思ったミチルは少しずつ『本物』
と『偽物』を入れ替えていった」

ニコ「何かを確認しながら……私は止められなかった」

海香「どうして相談してくれなかったの!?」

ニコ「『かずみ』」

海香「あっ……」

ニコ「……誰なんだ、そいつ」

カオル「……」

ニコ「このミチルが残した12の者達を私は、『かずみ』と呼ぶことにした」

海香「ミチルは……!?」

ニコ「……」スッ

海香「それはミチルのソウルジェム……!」

ニコ「100mまでなら『かずみ』が活動できる」

カオル「何やってるんだよ!!それって……!!」

ニコ「ミチル……もう、私にもどれを『ミチル』って呼べばいいのか、わからないよ……」

ビーム

カオル「うわっ!?」

ニコ「すごいだろう?ミチルの戦闘力は分散していないんだ、穢れは早くなるけどね」

海香「他の皆と、何を企んでるの!?」

ニコ「さすが海香、もう頭を切り替えてきた……でも」ズラーッ

カオル「は?」

海香「皆のソウルジェム……まさか」

ニコ「……」パチン

バシーン!!

カオル「あいつらが……サキの雷の魔法を」

海香「……これも、ミチルとやったことなの?」

ニコ「私が内緒でね……複数の体を維持するにはミチルのリスクを分散する必要があった」

海香「ミチルを生き残らせるなら、何やってもいいっていうの?」

ニコ「そうだよ、キミ達だって、大切な人のためにはそうなはずだ」

カオル「そんなわけ……そんな……」パクパク

ニコ「何?」

カオル(ちくしょう……どうして何も言えないの!?)

ニコ「それが私達の罪だ」

海香「何のこと?」

ニコ「無意識では皆、前の生で何をやったか覚えてる……それに背くことは言えない」

カオル「くそう……皆……」グスッ

ニコ「きっと、ミチルは何らかの理由でバラバラになり聖団もそれがきっかけで戦いになり――」

ニコ「――最後に生き残るのは、海香とカオル、そして『かずみ』……そういうシナリオなんじゃないかな」

海香「だから私達を物語から退場させてifを追いかけようと?」

ニコ「ご名答」

海香「ふざけないで!」

ニコ「話はここまで、そろそろバラバラになるがよい」

――外れ

サキ「どうしてニコはあんなに煽るんだ」

みらい「何を言ってるの?」

サキ「嘘の雷とソウルジェム見せて全員バラバラにして『かずみ』にくっつけたとか言ってる」

みらい「そんなわけないだろ!あの巴マミと呉キリカを相手してるボクはプライドがボロボロになりそうなくらい大変なのに!」

サキ「ニコ一人で全員相手して処理できるわけがないな」

里美「はやく帰りたぁーい」

サキ「ははは……」

みらい「そもそもニコは何がしたいの?」

サキ「ミチルのために鍵を見つけたいと言ってた」

みらい「鍵?」

サキ「『未来を変えられる者』の事……それで、第二形態のある二人を疑ってるんだ」

里美「ふぅん……私達は違うっていうの」

サキ「あ、あくまで可能性の話だろうな」アセアセ

みらい「ボクはサキと一緒にいられればなんだっていいよっ」

――御崎邸跡地

カオル「あぐっ!」ドカァッ

海香「大丈夫!?」

カオル「つ、強い……こうなったら」

海香「駄目っ……隠し玉があるから挑発するのよ」

ニコ(海香はさすがに用心深い……でもこの状況になった時点で詰んでるんだよ)

海香「だから……私がやるわ!」

パァァ

ニコ「やっと本気か」

海香「なめないで……この力を!」

ニコ「……」

海香「ロッソ・ファンタズマ!」

海香「――からの、12連ティロ・フィナーレ!!」

ピカッ

海香「かふっ……」ドサァ

カオル「海香……なんで!?」

ニコ「同じパワーなら……海香の模倣ティロ・フィナーレよりリーミティ・エステールニのほうが強い」

カオル「『かずみ』達が……違う衣装に」

ニコ「このために、二人には二段目の変身をしてほしかった」

ニコ「ミチルの魔法は、『模倣』……知らなかった?」

カオル「なんだって……!?」

カオル(マミさんの魔法が再現できてたのも……)

ニコ「海香の再現とは違って完成度は高くても強く憧れていないと駄目な制約があるみたいだが」

カオル「もしかして、最初から何もかも海香狙いだったのか……?」

ニコ「そう……ミチルは創作している海香に特別な感情を持っていたから」

カオル「……くっ!……うわあああああ!!」

バァァ

ニコ(カオルも第二形態に)

カオル「最初から、あたしが全力出しておけば良かったのに……!」

ニコ「それでも勝負は決まってた」

カオル「うるさいっ!」ブンッ

スカッ

ニコ「魔法に現れるほどの強い願い、ミチルにとって大切な人との今がどれだけ重要だったかわかる?」タタタ

カオル「……わかるって言って……ニコこそわかってくれるのか!?」ブンッ

ニコ「ふふ……そう、わかりあう必要なんてないんだ」ガシッ

カオル「は?」ギリギリ

ニコ「私にはずっと、救いなんておこがましかったから」ギリギリ

ニコ「でも、ミチルにはそうなってほしくない……ミチルは救われるべきなんだ」

カオル「そうか……じゃあ倒してから考える!」

シュンッ

ニコ「速っ……!?」

バキィ

ニコ「あっぐ……!?」

ニコ「これほどだなんて……」ハッ

バキィ ボカッ ドコッ ドサァ

カオル「意識のない人形なんて、相手じゃない……!」ハァ、ハァ

ニコ「そんな……!?」

カオル「ごめん、トドメだ……!」


カオル「ぐっ……そんな……!?」ドサァ

ミチル「はぁ、はぁ……」

ニコ「ミチル……!?意識が!」

カオル「ミチル……?」

ミチル「二人とも、わたしが言えた事じゃないかもだけど、こんなの間違ってるよ……」

ニコ「ミチル!良かった……戻ってきてくれて」ギュッ

ミチル「ごめん、殺して……」

ニコ「え?」

ミチル「う……ぐ……駄目……もう……!」

ニコ「そんな……一体何が!?」

カオル「……風景が変わってく……これって?」

ミチル「みんな……」

ニコ「ミチル!」

ミチル「ごめんなさ……」

バリィィィン

マミ「ハッ……!?いつの間にか風景が」

キリカ「……テディベアの動き止まったよ」

マミ「チャンスね……行きましょう!」


カオル「え……ミチルどうなっちゃったんだ?」

ニコ「嘘でしょ……こんなはずじゃ」

ミチル魔女「オオオオオオオ」

みらい「みんなー!」

サキ「一体何が起こったんだ!」

海香「……み、皆、逃げて……!」

カオル「海香気がついたのか!?っていうかみらい達生きてたの!?」

海香「調べたわ……こいつは、本当の、私達の成れの果て……!円環の理に導かれなかった可能性!」

マミ「それって、どういうこと……?」

カオル「マミさん!」

キリカ「そんなことより、早く逃げよう」

タタタタタタ

カオル「くそっ!いつまでも変な空間が広がってるし、変なやつらは出てくるし!」

みらい「キリカとかいう奴!時間遅くするなんてすごいことできるんならさっさと使ってボクのテディベア達みたいにあいつやっつけろよ!!」

キリカ「ごめん、ここからは織莉子に何があっても使っちゃいけないって言われてるんだ」

マミ「どうして……?」

キリカ「あの魔女の能力が『模倣』だからさ、しかも何でも誰からもコピーする」

バキィッ

ニコ「あんた……全部知ってて黙ってたの?」

マミ「大丈夫?」スリスリ

キリカ「ごめん、でも織莉子にも事情があるんだ」

ニコ「……いや、私のほうが八つ当たりだったよ……」

サキ「『魔女』……?よくわからんが、諦めなければきっとなんとかなる!」

里美「なんとかなるから『かずみちゃん』を一体持ってきたんでしょぉ?」

キリカ「これは後で必要になるからって……」

みらい「ん?なんで里美がここいんの?」

里美「は?私に[ピーーー]って言うの?」

サキ「ユウリ達がマズいぞ!!」

――魔女結界 別の場所

ゆま「あわわ……」

なぎさ「これはいったい……?なんだか懐かしいような」

使い魔「キッシャー!」ブンッ

ユウリ「危ないっ!」ダダダダダ

使い魔「ギャー!」

ゆま「おねーさん!」

なぎさ「強いのです!」

ユウリ「ふふ……やっぱこういうほうが性に合ってるね」

ほむら「ん……」

ユウリ「やっと起きた、いい夢見れた?暁美ほむら」

ほむら「あ、鹿目ほむらです」

ユウリ「まだ寝ぼけてんのっ!」

なぎさ「寝ぼけてないのです、わざとなのです」

ゆま「ほむらお姉さんはまどかお姉さんと結婚したいんだよ」

ほむら「な、なに言ってるの!?///////」

ユウリ「へぇ、いいじゃん」

ほむら「え」

ユウリ「大切なんでしょ?その子のこと……全てを懸けれるくらいに」

ほむら「……もちろんよ」

ユウリ「だったらアタシとアンタが組んだら、誰にも負けない」スッ

ほむら「……!ええ」アクシュ

巨大使い魔「キッシャー!」

ユウリ「さっそく来たよ!」

ほむら「時間停止!」カッチ


ほむら(よし、爆弾を……)

ユウリ「そのまま銃を撃ちな!」

ほむら「!? よし……あそこが急所!」ダァン!!

ズバアアアア

ほむら(銃弾が止まらない!?)

ユウリ「銃弾だけ治した」

ほむら「爆弾を節約できる……!今までできなかったあんなこともこんなこともできる……!!すごい///////」

ユウリ(うわぁ……すごい表情してる)


ドォォォン

ほむら「簡単に倒せた……時を止めながら触れずとも破壊できるってこんなにもやりやすいのね」

ユウリ「さあ、皆と合流しよう」

ほむら「いえ、あいつは急いで倒すべき」

ユウリ「へ?」

ほむら「あいつはこの世界にあっちゃいけない存在……すぐに倒さないとどうなるかわからない」

ユウリ「あんた……あいつのこと知ってるの?」

ほむら「そんな気がするの……一人で行くから、あなたは皆と合流して」

ユウリ「仕方ないなぁ……二人とも!こっちきて」

ゆま「なに?」

ユウリ「ハッ!」

バシィ ブゥゥン

なぎさ「外が見えるのです!」

ユウリ「異空間に包まれる時、そこだけ治し続けて穴を作ったんだ」

なぎさ「治すって言えばなんでもできるのですか?」

ユウリ「そうでもないよ」

タタタタタタ

ほむら「……残っても良かったのよ」

ユウリ「あんただけ生かせてアタシだけ安全に帰ろうだなんてそんなのアタシは許せない」

ほむら「ふふ……」

ユウリ「な、なに?」

ほむら「あなたを皆に紹介してみたくなった」

ユウリ「じゃあ……アタシは大親友をそのとき連れて行くよ」

ほむら「楽しみね」ニコ

ミチル魔女「……」

ほむら「こっちには気づいていない」チラリ

ユウリ「……」コク

ほむら「時間停止」


ほむら「あはあは!武器撃ってるだけで簡単に勝てちゃう!!」ドドドドド

ユウリ「チートだなぁ」

ほむら「これでトドメ!」チャキッ

ミチル魔女「……」スッ…

ほむら(え?時間動かしてな――)

ユウリ「ほむら危ないっ!!」ドンッ


グッサァ

ユウリ「かっふっ……」ドボドボドボ

ほむら「あ……ああ……どうして?」カタカタ

タタタタタタ

マミ「暁美さん!戦っちゃダメ!!その魔女は暁美さん達の相性では勝てない!!」

ユウリ「逃げ……て……」ニコ

ミチル魔女「……」パックン


ほむら「ふわ……ユ、ユウリ……」

マミ「……!暁美さん!背負うわね!すぐに時間停止!ずっとよ!」ガシ

カチッ


タタタタタタ

ほむら「ま、まって巴さん……あの子が」

マミ「ソウルジェムが砕けちったのが見えたわ」

ほむら「そんな……」

ミチル魔女「……」

マミ「きゃああ!?」

ほむら「!?」

ミチル魔女「……!」ブンッ

バキィッ

マミ「ぐふっっ!」ズサーッ

ほむら「と、巴さん!」ヨロ…

マミ「大丈夫……どうやらあいつの時間停止は暁美さん、あなたのそれより高次元にあるみたいね」

ほむら「そんな……どうして」

マミ「その理由を、ここで考えてる暇は無いから……あなただけでも逃げて」

ほむら「い、嫌よ!」

マミ「行って!」

ほむら「!!」ビクゥ

マミ「私は大切な後輩を守りたい……中でも、あなたは何か私にとって特別だった」

ほむら「あ……」

マミ「償い、そんな気がする……なんの償いかは、わからないけど」

ほむら「嫌です……」

マミ「でも、それとは関係なくあなたのこと、大好きだったわ」

ほむら「いいんです!そんなこと!だから!一緒に――」

マミ「私に、あなたを殺させないで」ニコ






――外

なぎさ「二人とも、心配なのです……」

ゆま「みんな戻ってこないよ……!」

??「ちょっと!途中なんですよ!織莉子さんしばいて来ちゃって!」

???「うるさいなぁ、動けるんだから関係ないっての」

ゆま「うわ……!」

なぎさ「ゆま?」

ゆま「キョーーーコーーーーーー!!」タタタ ギュ

杏子「ただいま」

ゆま「おかえり、キョーコ!」

杏子「信じてくれて、ありがとな」

ゆま「あ……うん!」

なぎさ「良かったのです……」

沙々「織莉子さんに殺されるのは私なんですが!」

杏子「大丈夫だよ……織莉子もどうせわかってたんだろ、あたしがこうなるって」

ゆま「あれ?杏子……いつもと違う?」

パァァ

杏子「魔法少女がパワーアップしたのさ」

ゆま「わああ!すごーい!カッコいい!」

杏子「それもゆま達のおかげだ」ギュ

ゆま「杏子?怖い夢でも見たの?」サスサス

杏子「ちょっとだけな」

ジャキッ ズバァ

沙々「おお、入り口っぽいのが!」

杏子「まずいな、この魔女って超強い感じじゃん、今のあいつらじゃわかってないし戦ったら死ぬ」

沙々「そうなんですか?急ぎましょう!織莉子さんの言った通り、わたくし優木沙々も大活躍しますよー!」

杏子「一人で十分だ、お前は皆を迎えに行ってくれ」

沙々「まぁそれも大事な仕事ですかね」

――魔女結界

マミ「くっ!」ダンダンダダン

ミチル魔女「……」シュンシュンシュシュン

クルクル シュタッ

マミ「!」

シュルシュルシュル パシィ!!

マミ「なっ……私のリボンも!動けな――」

ミチル魔女「……」アーン

マミ「あ……」

ザクゥッ!!

マミ「……!?」

ミチル魔女「ギャァァァァ!!」

杏子「待たせたな」ニカッ

マミ「佐倉さん!?逃げて!この魔女は時を止められ――」

カチッ


ミチル魔女「……」ズサッズサッ

杏子「」

ミチル魔女「あーん」

パクッ

カチッ


杏子「待たせたな」

ほむら「杏子!?」

マミ「佐倉さん!?」

ほむら「あいつは!?逃げないと!殺される!皆殺されちゃうよ!!」

マミ「暁美さん!落ち着いて!」

ほむら「ふぁ」

マミ「もう大丈夫みたいよ」ギュ

ほむら「……?」

杏子「あいつはもう正気には戻れないよ」

マミ「使ったのね、幻を」

杏子「幻なんてもんじゃないよ、あいつは実際にあるかもしれない現実を繰り返すのさ」

杏子「そして本当の現実こそが幻となって届かなくなる」

マミ「『朱に交わらぬ――」

杏子「さて帰るか」

ほむら「待って!トドメを刺さないと!」

杏子「その必要はないな、体験した現実が全てあいつに返ってくるから」

ほむら「あ、異空間が……消えていく」

杏子「誰かあいつを倒してくれたんだろ」

マミ「恐ろしい魔法……あいつにコピーされなくて良かった」

杏子「コピーってあたしの魔法をか?」

マミ「そうよ、暁美さんの魔法も模倣されて大変だったんだから」

杏子「あー……それなら大丈夫、あたしの魔法は模倣できない」

マミ「へ?」

杏子「この世の物じゃないからな」

ほむら「ユウリ……」

――御崎邸跡

キリカ「マミーーーー!!」ギュッ

マミ「きゃっ!」

キリカ「馬鹿!私だって我慢してたのに!」

マミ「ごめんなさい」

ほむら「……」

ニコ「佐倉杏子か、ミチルを倒したのは……」

杏子「そうだけど……まずかったか?」ニカ

ニコ「……!このぉ!」ブンッ

杏子「……痛ッ!!」

ニコ「はぁ、はぁ」

ミチル「ニコ!やめて!杏子は仕方なく私を……!」

ニコ「だけどミチル……!」

ニコ「ん?」

ほむら「ユウリ……」

ポイッ ポトン…

ほむら「こんなのってない……あなたに、皆を紹介するって言ったじゃない」

ユウリ「その約束、今でも間に合う?」

ほむら「死んでるじゃない……なに言ってるのよ……」

ユウリ「こんなに活きのいい娘を前にして何言ってるの?」ヒョイ

ほむら「あ、幻覚が!わかった……おっぱいをずっと嘘ついてたから神様がこんな残酷な幻の罰を」

ユウリ「うぉおおおおい」ブンブンブンブン

ほむら「あふふ」ユサユサユサユサ

ユウリ「これ偽物なのか、おま……」

ほむら「本当に本物なの?」

ユウリ「そうだよ!アンタのこの巨峰よりはな!」

ほむら「……!どうして!確かに、死んでた!」

ユウリ「それがよくわからないんだ、ミチルも蘇ってるし」

ほむら「すごい……!これが杏子の新しい力なの?」

ユウリ「奇跡も魔法もあるんだね」

ゆま「キョーコ、すごい魔法だね」

杏子「何もすごくないそういう可能性もあったってだけ」

ゆま「『もしも』は全部本当になるの?」

杏子「逆だよ、『本当にあったこと』が本当に起きるんだ」

ゆま「???」

杏子「これだよ」ポイッ

ゆま「わー!きれー!」キラキラ

杏子「万華鏡って言うんだ」

ゆま「これと同じなの?」

杏子「たった一つの筒の中に無限の可能性がつまってる……あたしは現実をファンタズマにして結界で切り取った中で可能性の万華鏡をしてるのさ」

杏子「そして万華鏡宇宙が好みの柄になった時、旅人をあたしが現実へと導く……」フ…

ゆま「なんかむつかしい事を言うようになったね」

杏子「とりあえず、ゆまは簡単に魔法少女なりすぎってこと!」

ゆま「え?ゆまのせいなの!?」

杏子「どっかの並行世界でそういうことがあったからこうなったんだ」

ゆま「今日ゆまがいなかったら皆死んでたの?」

杏子「そうかもな」

ゆま「じゃあいて良かったね」

杏子「どっかの世界のゆまが犠牲になってるんだからあたしは嫌だ」

ゆま「むつかしい事言ってるくせに頭固いね」

杏子「……ふん」ギュッ

ゆま「えへへ」キュ

杏子(この魔法はリスクが大きすぎるな……滅多なことじゃ使わないようにしておかなきゃ)

キュゥべえ「暁美ほむらに続いて佐倉杏子まであの領域へ入るとは……」

キュゥべえ「こんな宇宙を弄ぶような改変をそう簡単にされたら危険すぎる」

キュゥべえ「運命というものが彼女達を導いているなら、強力なイベントは必ず起きるということだね」

キュゥべえ「佐倉杏子と美樹さやかが衝突する時、必ず美樹さやかを勝たせなくてはいけない」

キュゥべえ「美樹さやかなら、僕達でもコントロールが効く」

キュゥべえ「そして暁美ほむら……どんな道理にせよ今日の『魔女』が運命によって理がねじ曲げられて出現したなら」

キュゥべえ「君は、いつか『ワルプルギスの夜』に死ぬという事だ」

キュゥべえ「僕達は、君を運命とやらから護るはずの鹿目まどかを、せいぜいその運命から遠ざけておくとするよ」

――ほおずき市

アリサ「あー――~~…… たいくつぅ」

チサト「これから学校行く人のセリフとは思えないわね」

アリサ「学校行ったって勉強してるだけだしぃー」

スズネ「私は楽しい……皆とこうしていられる日々が夢みたいに思えるほど――」

チサト「き、今日も重いわね……でもアンタもスズネをちょっとは見習いなさい」

アリサ「ムリムリ、アタシは中二病にはなりたくない」

チサト「……先輩もまた遅刻かなぁ」

ハルカ「皆ぁ~……おはよ……はふ」

アリサ「あわわ」

ハルカ「どうしたのー?」

チサト「せ、先輩!寝巻きですっ!パジャマのままです!!///////」

ハルカ「へ?……あ///////」

スズネ「ふふ…… ――!」

さやか「……」

アリサ「またアンタ……私の幸せな学校生活を邪魔しないでくれる?」

さやか「そんなつもりはないよ、言ったでしょ?あたしはその子と話したいだけ」

スズネ「……」

チサト「大丈夫……」ギュ

ハルカ「私達から話すことは何も無い……決着は、夜つけましょう」


 ・

 ・

さやか(いつからだっただろう)

さやか(あたしはこの街の何か得体の知れないものに飲み込まれてしまったらしい)

「キリサキさん」

さやか(今あたしは、そう呼ばれてる)

さやか(キュゥべえに断片的にだけど伝えて聞いてみたら、こういう答えが返ってきた――)


キュゥべえ「度重なる宇宙改変と時間の繰り返しにより今、君達の現実は様々な運命が絡み合っている」

キュゥべえ「宇宙は本来あるべき事に対するつじつま合わせに必死で、大きなピースが外れてしまった時は可能な中から無理やり似たものをあわせているのかもしれない」

キュゥべえ「君と似た魔法少女がかつて『キリサキさん』をしていたのかもしれないね」


さやか「――あたしと似た魔法少女……」

フードを被った少女「……」

さやか「ハッ……あんたは!?」

フード「私の名は……日向マツリ」

さやか「マツリ……もしかして」

マツリ「そう、あなたが殺したカガリの家族」

さやか「どうして、あたしの居場所がわかったの?」

マツリ「それが私の能力だからだよ」

さやか「ばらしちゃうんだ、いかにもあたしに襲いかかろうって気配なのに」

マツリ「それくらいじゃ、負けないからね」

さやか「言ってくれるじゃない」

ハルカ「あの子(さやか)と待ち合わせしたのはここらへんね」

チサト「手分けして探してみます?」

ハルカ「いえ、二手に分かれましょう……チサトはアリサと、私はスズネと行くわ」

チサト「わかりました」

ハルカ「何かあったら先に連絡ね」

アリサ「まったく心配性なんだから、アタシ達なら大丈夫だってば」

ハルカ「あ、そう言ってる私がお姉ちゃんに帰り遅れるって電話するの忘れてたわ」

アリサ「」ズコー


スズネ「……この感覚?なんだろう」トコトコ



ポタッ……ポタポタッ

さやか「かふっ……何これ、あたしが逃げる事しかできな――」

マツリ「しぶといね」

さやか「……!」

マツリ「そろそろ楽にしてあげるから」

??「……あ」

マツリ「……!」

スズネ「な、何をしてるの……!」チャキ

マツリ「――っ!!」タタタタタ…


スズネ「大丈夫……?酷い怪我」

さやか「あはは……正直、助かったよ……あたしは癒やしの魔法少女だから休めば大丈夫」

スズネ「良かった……」ニコ

さやか「あたしを助けてそっちこそ平気なの?キリサキさんかも知れないのに」

スズネ「キリサキさんじゃないって、なんとなくわかるから」

アリサ「すずねー――っ!!」タタタタ

すずね「アリサ……」

アリサ「おい、キリサキ!すずねに何かしたらタダじゃ……あれ?」

さやか「そんなことできるように見える……?」フフ

アリサ「大丈夫か……?」アセ

ハルカ「じっとして」パァァ

さやか「あれ……」

チサト「ちょっと、キリサキかもしれないんですけど!」

アリサ「どう見てもこいつがキリサキされたほうでしょ」

チサト「ま、まぁね……一歩間違ったらこんなの死んでる……というか生きてるのが不思議」

さやか「……回復魔法、上手だね」

ハルカ「あなたの回復力も、凄いわ……」

アリサ「ハルカは癒やしの祈りで魔法少女になったからな」

さやか「!」

ハルカ「お姉ちゃんにいなくならないで欲しくてね」

さやか「……そうなんだ」

ハルカ「……これでひとまずはよし」

さやか「ありがとう」

アリサ「すぐに追いかけないと!」

ハルカ「いえ、今日はこれくらいにしましょう」

アリサ「でも、新しい被害者が出るかも……!」

ハルカ「無理をしたら誰かを失うかもしれないわ……割り切らないといけないの」

アリサ「……そうだね……くそっ」

チサト「悪いのはキリサキ、だよ」

アリサ「……」

スズネ「アリサ」

アリサ「何!」

スズネ「一緒に、少しだけまわろうか」

アリサ「スズネ……!」

チサト「じゃあ、私は二人(さやかとハルカ)と一緒にいるから」

……スタ……スタ

アリサ「ありがと」

すずね「?」

アリサ「危険なわがままに付き合ってくれて」

すずね「アリサが、焦ってるように見えたから」

アリサ「アタシが?……そうかもね」

すずね「どうしてキリサキさんを憎むの?」

アリサ「どうしてって、そんなの――!」

すずね「……」ジッ

アリサ「……『そういうこと(ありきたりな答え)』、聞いてるんじゃないんだね……」


アリサ「アタシさ、『皆を見返したい』だなんてくだんない理由で勢い余って契約したでしょ」

アリサ「キュゥべえに願った時は追い詰められててそりゃ本気だったよ、でも……チサトと出会って、皆と出会って」

アリサ「……後悔してるんだ、魔法少女になったこと」

すずね「……だから、悪い奴を倒して自分を正当化したいの?」

アリサ「!? そうだよ!悪い!?私も自分の『願い』を今の『辛さ』に見合う『善いもの』にしたいのよ!!」

すずね「何も悪くない」

アリサ「……!」

すずね「でも……」

アリサ「?」

すずね「今のままでも、くだらなくなんてないわ」

アリサ「え……」

すずね「アリサは、皆のためを想って、いつも私を驚かせる」

アリサ「すずねぇ……!」

タタタッ ギュッ

アリサ「アタシ、どうして魔法少女になんてなっちゃったのかな!怖いんだ!」グスッ

アリサ「なんで、いつか消えなくちゃいけないの?時間が経っていつかに近づくほど自分に押しつぶされそうになる!」

アリサ「強くなるほど、あの時の弱かったアタシを呪いたくなる!」

すずね「アリサ……」

アリサ「こんなアタシも、さらにアンタの想像を超えて強くなってけるのかな?」

すずね「もう、とっても強いわ」

アリサ「すずね……」

すずね「チサトもハルカも、アリサの強さに救われてると思う」

アリサ「……でも」

すずね「ねぇ……魔法少女にとって一番いい『死に方』って何だと思う?」

アリサ「な、何?いきなり」

すずね「……キュゥべえならこう言うでしょうね……『宇宙のために死ぬのが君達の定めだ』と」

すずね「魔法少女のシステムだとか、宇宙のためのエネルギーだとか、辛い事は終わりを考えたらキリがないけれど……私は」

アリサ「……」

すずね「大切な人達と、いつだってずっと一緒にいたい……」

アリサ「……アタシも、アタシの大事な人達とずっと一緒にいたいよ!」

すずね「……抗って、生き続けよう?ずっと一緒に」

アリサ「うん……!」

 ・

 ・

 ・

――鉄塔の上

マツリ「……」ニコ

キュゥべえ「今の彼女たちの会話を、魔女のいる宇宙の僕達なら到底受け入れられなかっただろうね」

マツリ「キュゥちゃん……それをどこで?」

キュゥべえ「暁美ほむらという魔法少女から教えてもらったのさ」

マツリ「お喋りな人……でもそのおかげで今の宇宙になった」

キュゥべえ「そうとも言える……君はどれだけの事を知っているんだい?」

マツリ「……」

キュゥべえ「あの美樹さやかも多世界の記憶が蘇り魔法少女としては経験が最高クラスのハズなんだが君には太刀打ち出来なかった」

マツリ「私は、あなたより年上で、あなた以上の数の生を実感として繰り返したよ」

キュゥべえ「なんだって……驚愕としか言いようがないね、それでも人間が個性と自我を保っていられるとは」

マツリ「私の魔法は……物の位置や動きがわかるだけじゃなくて、成長で意識も強化されていくの」

キュゥべえ「なるほど……それで君は最終的にソウルジェムが砕けようと魔女になろうと宇宙が誕生を繰り返そうと死ぬ事ができなかったのか」

マツリ「……」

キュゥべえ「やれやれ、イレギュラーだらけでまいったね」

マツリ「いつでも魔法少女を軽視するからね、キュゥちゃんは」

キュゥべえ「君は僕達がどうなっていくかも知っているのかい?」

マツリ「……知っても意味ないよ」

キュゥべえ「そうか、君は未来を大きく変えられない事を知っているんだね」

マツリ「……」

キュゥべえ「彼女たちと合流はしなくていいのかい?」

マツリ「いいの、今は『マツリ』が『キリサキさん』だから」

――数日後

アリサ「んじゃまた明日ねーっ!」バイバイ


スズネ「……」フリフリ

さやか「何日か一緒にいてわかったけど、皆いいやつだね」

スズネ「……あなたも」

さやか「……ごめん、あたしさ、最初はこの街に調査で来てたの」

スズネ「私達を、何か疑ってたの?」

さやか「いんやー、そうじゃなくってさ!なんて言えばいいのかな」

スズネ「……?」

さやか「すずねはさ、あたしが円環の理からやってきた、って言ったら……信じる?」

スズネ「円環の理から……!?もしかして、さやかは……」

さやか「お?」

スズネ「円環の理の、噂の女神さま!」

さやか「言うと思ったけど……違うんだ、女神もいるけどさ……ちょっと複雑な話でね」


スズネ「この宇宙が何巡もしていて、今は統合されまた繰り返している……??」

さやか「っそ!あたしもよくわかんないけど……」

さやか「今、あたしは二人の友達の間で揺れてるんだ」

さやか「魔法少女を永遠に救えるけど、でもそれはその身を犠牲にしてしまうまどかと」

さやか「そのまどかを救うためにいつ壊れるかわかんない宇宙を作って、狂っていったほむら」

さやか「最初はほむらを憎んでたよ、でもあたしもこの時間を繰り返すうち……」

さやか「ほむらの気が済むまで、またそのまどろみの中に溶けていっていいのかも……」

スズネ「私の話も聞いてもらっていい?」

さやか「お、おう」

スズネ「私は今、実はあなたの言う『前世の記憶』を持っている」

さやか「えっ……!?」

スズネ「夢であってくれたらって、いつも思ってた……」

さやか「どういうこと?」

スズネ「私は、人を操る魔法を持ってる……日向カガリの魔法を」

スズネ「それを、全ての記憶が蘇るよう私自身に使ってみた」

さやか「すごいことやるね……」

スズネ「私の魔法は、倒した相手の魔法を模倣すること」

スズネ「最後に覚えた魔法が、私を『あの』時間の私だって教えてくれる」

スズネ「そう、私が『キリサキさん』だった時の――」

――始まりの宇宙

マツリ「はぁ、はぁ……」パァァ

キュゥべえ「やぁ、お疲れさま……また強くなったんじゃないのかい?」

マツリ「マツリは死ぬわけにはいかないから」ボロボロ

キュゥべえ「やれやれ、でもね、君が強がったとしても無理な時は無理だと思うよ?そこまで苦戦するなら魔女を無視してしまうのも一つの手だ」

マツリ「そんなことできないよ!どうしてそんなこと簡単に言えるの!?」

キュゥべえ「僕達は悪意を持って言っているのではなくて、君という存在をこの街が失うリスクを考えるようにと言っているだけなんだ」

マツリ「……あなたの言う通り、かもしれないね……でも、マツリは助けるんだ……皆の分まで」

キュゥべえ「そうかい、でも……くれぐれもソウルジェムを失わないようにして」

――始まりの宇宙 数日後

マツリ「はぁ、はぁ……っぐ」ポタポタ

魔女「……」

キュゥべえ「かつて見滝原に現れたワルプルギスの夜ほどではないけれど、とても強力な魔女だね……君ももう、終わるのかな」

マツリ「はぁはぁ!ソウルジェムが……!」ギギギ

キュゥべえ「限界のようだ、魔女になってくれるよね」

マツリ「嫌、だっ!」ブンッ

パリーン

キュゥべえ「そうなるだろうと思ってたよ……ああ、ソウルジェムの中身が空中に溶けていく……もったいないなぁ」

キュゥべえ「おや、ソウルジェムが再構築されていく……?」

マツリ「あ、あれ?どうして……」キョトン

キュゥべえ「なるほど……『砕かれても死なない』魔法少女が現れた場合、再びソウルジェムが結晶化するかもしれないと想定はしていたが……君がそうなるとはね」

マツリ「マツリ、[ピーーー]ないの?」

キュゥべえ「そのようだ、けれど穢れは宇宙に溶け出したままのようだね」

マツリ「穢れが……あっ!魔女は!?」

キュゥべえ「既に逃げてしまったよ」

――数百年後

キュゥべえ「マツリ、君の知っている人は皆死んでしまったね」

マツリ「最終戦争……魔法少女の皆と頑張っても阻止できなかった」

キュゥべえ「でも人類の全滅を防ぐことはできた……文明の一新を経て、君達人類と僕達の付き合いは新しいステージへと突入するんだ」

マツリ「インキュベーター……少し黙ってて」

キュゥべえ「……僕を『キュゥちゃん』と呼んでくれていた頃の君は、もう見る影も無いね」

マツリ(皆……ごめん)ツー…

――数万年後

マツリ「……」ジ…ジジ…

キュゥべえ「また『皆』との記憶を取り出して眺めているのかい?」

マツリ「いつかまた会える?」

キュゥべえ「その可能性をはかり知る事はできないね、死後を『僕達は』観測できない」

――数??年後

マツリ「……」

キュゥべえ「やぁ」

マツリ「……」パクパク

キュゥべえ「テレパシーを使えばいいじゃないか」

マツリ『久しぶり』

キュゥべえ「喋り方を忘れてしまったんだね、もう人類が君一人になってからどれだけの月日が経っただろうか」

マツリ『わからないの?』

キュゥべえ「この僕はメッセンジャーなんだ」

マツリ「……?」

キュゥべえ「宇宙の各要人に、『インキュベーターの終わり』を告げるためのさ」

マツリ「え……?」ポロポロ

キュゥべえ「どうして泣いているんだい?喋り方も忘れた君は、感情も狂ってしまったのか」

マツリ『違う……悲しい』

キュゥべえ「あれほど憎んでいたのにかい?」

マツリ『理屈じゃないよ』

キュゥべえ「そうか、君は……一人でも、変わってしまっても、『人間』なのか」



ザッザッザ……

[キュゥちゃんのおばか]


マツリ『これでよし、お墓の字……合ってる?……よね』


マツリ『これで本当に、「皆」行っちゃった』

マツリ(研ぎ澄まされてしまった感覚でわかる、私が魔女になっていくのが)

マツリ(私の生は、どう足掻いても最後に絶望するしかなかった)

マツリ(……スズネちゃん)

  ・

  ・

  ・

マツリ『……嘘だ!』

マツリ『魔女にもならないなんて……!?』


マツリ『――わああああ!溶岩のお風呂楽しい!』バババ

マツリ『――巨大隕石なんて、私のソウルジェムで受け止める!』パリーン

マツリ『――太陽に飲み込まれつつある地球で日光浴!!』ジュワワァァブホッ

マツリ『――ブラックホールに飛び込んで少しずつ素粒子以下の存在に分解されてさらにそのジェットで宇宙へ拡散!』シュシュワァ…

マツリ『――次元の裂け目から「異なる理」へアセンション!!』ヒュイィィ



マツリ『宇宙と一つに――』キラキラキラ…

―― 一巡後

マツリ「ということがあったわけなの」

キュゥべえ「へぇ……最後が大雑把じゃないかい?」

マツリ「色々あったけどもう終わった事だよ」

キュゥべえ「僕達にとってはこれから起きる事かもしれない」

マツリ「信じてないんだ」プンプン

キュゥべえ「信じようがないね、それに気を悪くしないでほしいんだけど宇宙を一巡したにしては君は幼すぎる」

マツリ「だってスズネちゃんとまた会えるんだ」

キュゥべえ(答えになってないけれどそういうことなんだろうか)

――しばらくして

マツリ「……」マッサオ

キュゥべえ「どうしたんだい?」

マツリ「スズネちゃんがスズネちゃんじゃなかった……」

キュゥべえ「どういうことだい?」

マツリ「スズネちゃんと99.99...997%くらい同一な別人の魂だった」

キュゥべえ「ほぼ本人じゃないか」

マツリ「なんでスズネちゃんなのにスズネちゃんじゃないの?」

キュゥべえ「いや、スズネじゃないかな」

マツリ「納得いく説明して」

キュゥべえ「わかったよ」

キュゥべえ「君達にとっての宇宙は一つだけれど宇宙っていうのは観測者によってその内容が変化するんだ」

マツリ「……?」

キュゥべえ「宇宙というエネルギーの海の中に波動が生じるとそれが純粋なエネルギーであり決まりの無かった宇宙に法則をもたらしていく」

キュゥべえ「まず最初の波紋によって世界に大きな流れができ宇宙にエントロピーの増大が生まれる……これを運命と仮定しよう」

キュゥべえ「その運命によって最初のうち宇宙は様々な決められたシナリオを辿っていくだろうね」

キュゥべえ「エントロピーが増大していくとだんだんと反応から生じた小さな不確定要素でも多く生き残れるようになっていく」

キュゥべえ「そして最後にはエントロピーが極限に至りまたその流れに小さな不確定要素は飲み込まれ始め代わり映えのしない終末という大きなエピローグに転じていく」

キュゥべえ「宇宙に最も個性があるのは宇宙にとっての君達のような年代の頃かもしれないね」

マツリ「それでも同じ宇宙だったら同じ結果になるんじゃないの?」

キュゥべえ「宇宙は一つの宇宙に同時に全ての宇宙を内包していて一つであり全なんだ」

キュゥべえ「一つの主観は常に宇宙の一つの連続性と共にあり、また主観によって観測され変化していく宇宙の流れから抜け出せない」

キュゥべえ「だけど君の見なかった選ばなかった宇宙が同じ空間に見えないけれど重なっているのさ」

キュゥべえ「君は既に運命を選んでいるので『そういう運命の宇宙』を進むしかないわけだ」

キュゥべえ「運命にそう選ばされるのか運命が変わっていくのかそれは些細な事だ、でもそういう世界があることを君はもう体験しているはずだ」

マツリ「『魔法少女』……?」

キュゥべえ「そう、君達の願いによって運命は変えられる……既に変わりきった宇宙に再びエントロピーの減少と変化を取り戻す事ができる」

キュゥべえ「小さな影響じゃ飲み込まれるだけだろう、でもそれが大きいほど宇宙の寿命を延ばし、場合によっては宇宙の再創世をも可能とする神すら作り出すかもしれない」

キュゥべえ「だが運命に変化を与えるということは、その主観はもうかつての同じ流れに戻せないということでもある」

マツリ「え……」

キュゥべえ「君達の言葉で言うなら、『運命の人と結婚できなくなる』『昨日までずっと一緒だった幼なじみと急に過ごせなくなる』『住み家や家族を失う』『願いに永久にたどり着けない』といった事が起きるかもしれない」

マツリ「ということは……」

キュゥべえ「例えばハルカは姉のいない宇宙へ入った代わりに元の宇宙へは当然戻れないだろう」

マツリ「『魔法少女』なら主観を別の流れへ移せるの?」

キュゥべえ「仮説だけれどね、それに至る根拠はある」

マツリ「私は、もう『私の』スズネちゃんとは会えないのかな」

キュゥべえ「一巡前の宇宙の法則がこの宇宙でも適用されるかわからないが」

キュゥべえ「この宇宙で『日向マツリ』は産まれず、君のいなかった影響が多少考えられる事からも」

キュゥべえ「君は君が存在する限りかつての仲間と同じ時を過ごす事はできないのだろう」

キュゥべえ「おそらくは、例え宇宙の流れを自由に移動できる魔法少女が現れたとしても」

キュゥべえ「二度とかつて歩んだ宇宙へは戻れず、しかしその影響は確実に残し、宇宙を移動するほどそれがさらなる変化と遭難を招くという結果に至る」

マツリ「そんな……」

キュゥべえ「君はこれからもずっと[ピーーー]ずに『スズネ』と会えない孤独を味わい続けてくということだね」

マツリ「……そんな酷いこと言っても魔女になんてならないよ」

キュゥべえ「それは僕達は見たことがないしそれなら何度でも使えるかもしれないじゃないか」

マツリ「キュゥちゃんだけだねある意味いつもと同じなのは」

――それから

すずね「……あなたは?」

マツリ「日向マツリって言います……あなたは、どうして『キリサキさん』をやっているの?」

マツリ(この宇宙では、スズネちゃんを操ったカガリは目の見えない私がいなかったから自由でおかしくなってなかった)

マツリ(だから、違うスズネちゃんでもキリサキさんをしている理由がわからない)

マツリ「ツバキみたいになりたいんじゃなかったの?」

すずね「……どうしてツバキを知ってるの?」

マツリ「ツバキは……友達だったから」

すずね「ツバキは……私が殺した、あなたは私と戦う理由があるわ」チャキ

マツリ「ツバキの魔女を、だよね?」

すずね「……!どこまで知ってるの?」

 ・

 ・

 ・

すずね「宇宙を一巡した……」

マツリ「やっぱり、信じられない?」

すずね「……信じる、そうでなきゃ信じられない事がたくさんあるもの」

マツリ「ふふ……」

すずね「でも、それにしてはあなた……」

マツリ「幼い?」

すずね「そ、そういうわけじゃ」

マツリ「いいんだよ、キュゥちゃんにも言われたし……そうだ、一人称も戻そうかな」

すずね「一人称……?ボク、とか?」

マツリ「マツリは、『マツリ』だよ」

すずね「……!ふふ」

マツリ「な、何?」

すずね「予想以上に子供っぽかった」

マツリ「あう……」

すずね「でも……かわいい」クス

マツリ「えっ///////」

すずね「な、なに?」

マツリ(あっ……天然)

――数日後

マツリ(違うスズネちゃんでも、スズネちゃんはスズネちゃんだ……楽しいな)

キュゥべえ「やぁ、ご機嫌みたいだね」

マツリ「今、マツリは青春をやり直してるんだよ」

キュゥべえ「そういう言い回しは年季入ってるね」

マツリ「……」

マツリ「っと、とにかくスズネちゃんもキリサキさん辞めるって言ってくれたし!マツリはずっとスズネちゃんと仲良く暮らすの」

キュゥべえ「スズネが?未だにキリサキさんを続けているようだよ?」

マツリ「え……!?」

 ・
 
 ・


 ・

マツリ「どうして?約束したのに」

すずね「私……マツリほど一緒にいて楽しかった子はいなかった……だから、約束も守りたかったのに」

マツリ「……?」

すずね「でも、誰も私を許してくれない……誰も殺したくないのに!ずっと、ずっとそうだった!」

キュゥべえ「なるほど……運命か」

マツリ「え……?」

キュゥべえ「彼女が『キリサキさん』になるのは大きな流れのようだ……彼女が望まなくても、彼女の因果が魔法少女を呼び寄せ斬らせてしまうんだ」

マツリ「そんなのってあるわけない!スズネちゃん、今度はずっと一緒にいるから……!」

すずね「マツリ……ごめんね」

マツリ「え?」

すずね「こんな苦しいなら、ずっと一人でいれば良かった」

 ・

 ・

 ・

キュゥべえ「すずねの魔女も凄まじかったがそれ以上に君の戦闘力は伊達に一巡を自称してないね」

マツリ「……スズネちゃんは、こんなに辛いのにどうしてずっと生きてこれたのかな」

キュゥべえ「僕達は感情を理解できないが、経験則で想像すると恐らくは『孤独』だったからだろう」

マツリ「え……?」

キュゥべえ「小さい頃から否応なく魔法少女を斬る放浪の旅だけを続けてきた彼女は」

キュゥべえ「何も知り得ないという事だけが、世界が未知であるということが救いだったんだ」

キュゥべえ「死にたいと思いながらも何も知らなすぎることで自分の価値に答えを持つことも他人の気持ちを想像する事も正確にできなかった」

キュゥべえ「生きていくから仕方ない……それだけのために人を傷つけ続ける人生だったんだ」

マツリ「えひ……」

キュゥべえ「?」

マツリ「んふっふぇひひひ!」

キュゥべえ「どうしたんだい?」

マツリ「わかっちゃった……」グスッ

マツリ「カガリが幸せそうだった頃から、薄々……感じてた」

マツリ「全部、悪いのマツリじゃない」

マツリ「あはははははは」

マツリ「『私』、知ってるよ、運命変えるにはどうすればいいか!」

キュゥべえ「へぇ」

マツリ「私は、『みんな』に仲良くしてほしいから」

マツリ「もう、邪魔しない……」

――?巡目

すずね(幼少)「ツバキ……一人じゃどうしていいかわからないよ」クラッ

ペタン

すずね「……」ホケー

魔法少女「見つけた!」

すずね「な、なに!?あなた誰?」

魔法少女「これからこの街はあたくしのシマだよ!ツバキの奴がやっといなくなったからね!」

すずね「ひっ(本気……!?やらないと、やられちゃう……!?でも……)」

魔法少女「ぐふっ!?」ブシャー

すずね「え……?」

マツリ「……」

すずね「そ、その人……殺しちゃったの?」

マツリ「そうだけど……何?」

すずね「どうして!?」

マツリ「それが、魔法少女だから……希望を祈った分、絶望の運命に身を投じる」

すずね「そんな……」

マツリ「魔法少女達は『私』の獲物……私の『希望』を奪うなら」

ヒタ…

すずね「ひっ」

マツリ「魔法少女達の『運命』は、私が切り裂く」

すずね「えぐ……わかっ……わかりました……ぐすっ……」ジュワワショワァ……

マツリ「私は、『キリサキさん』」

マツリ「もう二度と会わないよう、気をつけてね――」

――現在 ツバキ邸

さやか「マツリが『キリサキさん』をやるようになってからスズネの魔法少女を[ピーーー]運命がなくなったんだ」

スズネ「そう……でも、この宇宙は違う」

さやか「え?……まさか」

スズネ「私はもちろん『キリサキさん』じゃない、でも、マツリもそう」

スズネ「かつてやり直してた宇宙と違って、今の宇宙は改変されて過去と今が同時に存在して始まった不安定な世界だわ」

スズネ「だからなのか、能力で以前の自我を取り戻せたって、記憶が混濁してる」

スズネ「カガリが狂っちゃったように私にもわけがわからない……このままで正気でいられる人はとても強い」

さやか「……けど、あたしは向き合うって決めたんだ」

さやか「マツリはまたキリサキさんをやると思う?」

スズネ「……っ」

さやか「やるんだね……止めないと」

スズネ「ダメよ!今度こそ殺されるわ!次は、私がいたってきっと止められない」

さやか「正直さ、あそこまで勝てないって思ったの初めてだよ」

さやか「ほむらやキリカさんみたいな、凄く強力な魔法でもよくよく考えれば対策法があるっていうのが魔法少女には基本的にあるんだよね」

さやか「でも『なんでもよく視える』っていうシンプルな力が磨けばあそこまで強いって知らなかった」

さやか「きっと考えても仕方ないんだ、だから」

スズネ「さやか……まさか」

さやか「あの子には、あたしじゃなきゃ勝てない」

――夜中 工場跡

カナミ「怖いなぁ……なんで私こんなところにいるんだろう」

カナミ「はぁ~~カッコいい人に巡り会う妄想しよ」

モクモクモク

カナミ「敵に教われ、ピンチの私」

カナミ「そこへ颯爽と駆けつける魔法少女!」

カナミ「その手に持つ剣で敵を遮り」

カナミ「『あんたを助けにきたの』」

カナミ「えっ……?で、でも私、女の子……」

カナミ「『そんなの気にしないよ』」

カナミ「本当ですかぁーっ!?」

カツーン…

カナミ「ひっっ!?何の音!」

カツーン… カツーン…

カナミ「私の前世の記憶が警鐘を鳴らしている……なんちて」

カツーン…

カナミ「隠れよ」

カナミ(同じ部屋で止まった……怖いよう)

マツリ「出てきて……いるんでしょう?」

カナミ(どうしてバレたの?)スッ

マツリ「私は、マツリ……あなたの名前、教えて?」

カナミ「え……んと、カナミです」

マツリ「さようなら」

さやか「まてええええええええええ!!」

ガギィン

マツリ「……」

さやか「ふぅっ……そこのあんた、逃げて!」

カナミ「え……?なに?なんなの?」

さやか「あたしは、あんたを助けに来たの!」

カナミ「……!」

さやか「戦いの邪魔になるから、早く!」

カナミ「は、はい!」

スズネ「こっちよ!」

さやか「ありがとね、待ってくれて」

マツリ「あなたが来ること、期待してた」

さやか「へぇ、どうして?」

マツリ「スズネちゃんがまだ運命に呪われてるなら、あなたは私を止められない」

さやか「なるへそ……」

マツリ「あの子(カナミ)は『キリサキさん』に殺されて終わる運命だから!」

ギィンッ

――離れ

すずね「ここまで来れば、大丈夫……」

カナミ「あの人(さやか)は、大丈夫なんですか?」

すずね「さやかが駄目だったら、全員だめ……一番強いのはさやかだから」

カナミ「震えてる……」

すずね「ごめんなさい、本当は私が戦えたら……でも、魔法少女が怖いの」

カナミ「どうして?」

すずね「殺してしまう気がして、どうしても向かい合えない」

カナミ「あなたの名前、教えて」

すずね「え?……鈴音」

カナミ「すてきな名前だね!……私はカナミって言うんだ!」

すずね「あ……」フラッシュバック

――工場跡

ザシュッ グサッ バキッ ボキッ

さやか「あぐっ!」

マツリ「ぐぅっ」

ハァ……ハァハァ……

さやか「絶対離さないよ……」

マツリ「あなた、死ぬ気?」

さやか「ぶっちゃけ、捨て身でくっつかなきゃ勝てないからね……」

マツリ「至近距離だと私の武器が有利だけど」

さやか「あたしにも、あたしが祈って手に入れた魔法があるから!」

ミシミシ ブチィッ

ズバァッ

ドスッッ

メキィッ グチュグチュ

ズルズルッッ

ブシャァッ

マツリ「ぎ……負けられないの……」

さやか「スズネが……あんたを待ってるんだよ!」

マツリ「え……」

さやか「だからあの子を助けて、あんたも助ける!」

マツリ「待って……記憶があるの?」

さやか「そうだ!」

マツリ「……!」

ドンッッ!!

さやか「うわっ!」コテッ

マツリ「あなたは……この世界のことをよく知ってそう」

さやか「そうだけど……なんだっていうの?」ヨロッ

マツリ「どうしてそれなのに、あの二人を一緒にしたの!?」

さやか「え……」

マツリ「早く……行かなくちゃ」

フラッ ドサッ

マツリ「嫌だぁ……スズネちゃん」カフッ

さやか「な、なんなの?」

マツリ「あなたも、私も、この街に来てまだ誰も魔法少女を殺してない」

マツリ「それでも一番『キリサキさん』の近似値は候補であったあなたを切り裂いて役割を奪った私だった」

マツリ「運命の子(カナミ)を切り裂いて、それが完全に私に決まるハズだった……!」

マツリ「この統合された宇宙で、『キリサキさん』になってしまったらどうな凄惨な運命に導かれるか計り知れない」

ズリッズリッ ハァハァ

マツリ「いい?『キリサキさん』の記憶を思い出して、その自覚があれば」

さやか「あ……『キリサキさん』に最も近いのは……!」

マツリ「スズネちゃん……!」

<キャーッ!!

さやか「この声は……!」

マツリ「この世界なら、スズネちゃんを解放して、皆も救えると思ったのに……」

さやか「……まだ諦めない!行こう!」ガシッ

マツリ「え?」

ヒョイッ タタタッ

タッタッタ

さやか「……あたしさ、今日までたくさん間違えちゃったんだよね」

さやか「今も間違えちゃったのかもしれないって怖い」

マツリ「……」

さやか「一つ賭けしない?」

マツリ「え?」

さやか「二人の所へたどり着いて、二人がまだ無事なら……」

さやか「また、あんたはスズネのところへ戻ること!」

マツリ「え……?」

さやか「あんた、あたしの友達と同じ目をしてたから……」

さやか(全てを終わらせたら、自分はどうなっても構わない、そのためだけに生きてるっていう、そういう目)

マツリ「でも、私はもう、こんな……こんな、だよ」ギュッ

さやか「それでも、それでもだよ?――」

さやか「『こんなあたしでも、誰かを守れたら、きっととっても嬉しいな』って――」

マツリ「……!」

さやか「なんてね、最高の友達の受け売り!」

マツリ(でも、私の『目』でわかる……スズネちゃんの気配だけ感じられるのを)

――少し前

すずね「あ……!?」フラッシュバック

カナミ「どうしたの?」

ブンッ スカッ

カナミ「きゃっ!?」コテッ

すずね「……さなきゃ」チャキ

カナミ「え?」

すずね「魔法少女は、殺さなきゃ」フラフラ

カナミ「どうしちゃったの……?」

すずね「うああ……っ」ツツー

カナミ「(涙……?そう言えば、『怖い』って、これの事だったんだ)」

すずね「ああっ!」ブンッ

カキンッ!!

カナミ「……よくわかんないけど……苦しんでるなら、助けなきゃ」ギリギリ

カナミ「それが、カッコいい魔法少女だよね」ニコッ

すずね「はぁ、はぁっ」ドロロロ

カナミ(なんだろう……瘴気?)

すずね「……くあああっ!!」パアア

カナミ「!?」

カナミ「な、なにこの魔法!?」

カナミ(そういえば、私、この人に殺され――)

すずね「……」スタスタ

カナミ「ひっ……あなたが、『キリサキさん』……?」

すずね「……そうよ」

カナミ「どうして!?」

すずね「!?」

カナミ「殺したくないって言ってたよね!」

すずね「……でも、魔法少女は魔女になってしまうから」

カナミ「え……!?」

すずね「私は、ああ……ッ!!」

カナミ「あ……『今』は……!そう、今は魔女なんていないんだよ!」

すずね「何を言ってるの……?」

カナミ(これじゃダメなんだ……そうだ!)

カナミ「ねえ、スズネは『これから先の私』を知ってる?」

すずね「これから先の……?」

カナミ「なんか、いつもここで死んじゃうみたいなんだよね……」タハハ

すずね「……」

カナミ「その前に、友達になってくれるかな」

すずね「……!?」

カナミ「私だってどうかしてると思うけど、」

カナミ「いいよね、少しの間くらい!悲しそうな顔の人に殺されるだけはもうたくさんなの」

スッ

カナミ「はい、今日は(握手を)握り返してくれるよね」

すずね「……」スタスタ

キュッ

カナミ「これで、私達は『友達』!心残りは、もう無いよ」

カナミ「友達同士ならきっと円環の理で会えるよね?そうしたら話をいっぱい聞かせてね」

すずね「……逃げて」

カナミ「ん?」

すずね「……抑えきれないから……!」ズモモ

カナミ「また瘴気……!?どんどん広がって――」

大型魔獣「……」

カナミ「あ、あれは……スズネを取り込んだの!?」

グォオオオオ

カナミ(それに、この瘴気……力が、どんどん削られて)

ボボボボボ

カナミ「炎……そういえば、いつかスズネは炎を使ってたよね」

カナミ(そうか、魔獣は『いつか』を再現しないと許してくれないんだ)

カナミ「スズネは、『いつか』に負けなかったのに……やっぱり私、カッコ悪い」クタァ…

大型魔獣「……!」

ズォォォ!!

カナミ(あ、これ死――)

カナミ「――あれ?死んでない」パチクリ

さやか「ふぅ、間一髪」ニコッ

カナミ「あっ//////」

さやか「あとは、あたしに任せて」

カナミ「は、はい(また助けられちゃった)」

マツリ「カナミ……」

カナミ「はい?えっ!『もう一人の』キリサキさん!?」

マツリ「……生きててくれて、ありがとう」モジ

カナミ「……ほえ?」

ゴォッ!!

さやか「くっ!!」

大型魔獣「……」

さやか「強い……炎版オクタヴィアって感じだね……こっちも呼べれば……でも、ここには水場が全然無い」

さやか(『水場を作る』にしても、マツリとの戦いで魔翌力を消耗しすぎて心臓と血をすぐに再生できない……)

さやか「かといって大技も出せない……やばっ、詰んでるじゃん」

チラッ

さやか(マツリも重傷……そういえばあの子《カナミ》の魔法ってなんなんだろう)

さやか「……ふふ、これで本当にそうだったらあたし、まどか以外の神様も見直してあげる!」

さやか「ねぇ!!そこのあんた!」

カナミ「は、はい!」

さやか「水って……出せたりする!?」

カナミ「一応、近いのは……攻撃にも使えないけど……」

さやか「……~~~~っ!」」

カナミ「そ、それが?」

さやか「今すぐ出して!目一杯!!」

カナミ「は、はい!!」

サアアアアアア

さやか「雪……よし!」

大型魔獣「……!」

ゴォォォォォォッ!!

マツリ「さやか……!」

カナミ「ああ、爆炎に飲み込まれて……あんなのもう……」

ザアアアアアア!!

カナミ「水の……バリア?」

さやか「あたしの魔女は水に潜む……来い!!オクタヴィア!!」

オクタヴィア「……!」グボァー!!

マツリ「……!?」

ドォォォン

大型魔獣「……!?」ギャアアアアア

カナミ「す、すごい……!」

さやか「二人とも!スズネに呼びかけて!魔獣に勝つには……スズネの気持ちが必要だから!」

カナミ「う、うん!」

マツリ「……」

カナミ「スズネ!私たち、やっと友達になれたんだよ!私は、もっともっとあなたと話したい!あと……『何度も』助けてくれてありがとうって直接伝えたいの!」

マツリ「……」

さやか「マツリ?」

マツリ「スズネちゃん、私は、スズネちゃんが運命に飲み込まれてしまってもそれを責める権利は無いの」

マツリ「だって、私も、一度諦めちゃったから……スズネちゃんとの約束があるのにそれを破って、死にたいって思っちゃった……!」

マツリ「でも、それでも、スズネちゃんに、もう絶望で終わって欲しくない……」エグエグ

マツリ「それでまた、できるなら、マツリも一緒にいたいよぉ、スズネちゃぁん……!」

――魔獣の中

すずね「――皆の声が聞こえる」

すずね「意識が……カガリの魔法で心の防御を……!」パアア


すずね「これが、魔獣の中……」

すずね「私の全てが、バラバラにされていくみたいだった」

すずね「……」

――魔獣の外

すずね『皆……聞こえる?』

マツリ「すずねちゃん!?」

すずね『皆のおかげで、意識を取り戻せた……ありがとう』

カナミ「早く出てこないと……!」

すずね『私は、このまま魔獣と運命を共にする』

マツリ「え……?」

すずね『魔獣と一つになりながら、最後まで彼らの世界を皆に届ける……そうすればきっと、何かの助けになるわ』

マツリ「そんなのやだよ!スズネちゃん!」

すずね『……――』

魔獣「――ォォォオオオ!!」

マツリ「あ……魔獣の世界が伝わって――」

さやか「あたしがいつか見たのとも違う……魔獣の景色」

カナミ「魔獣を通して、スズネが見えてくる」

さやか「――……させない、ようやく二人が会えたんだ……あたしが二人を守る!!」ピカァァァ

カナミ「ソウルジェムで、何をするつもりなんですか!?」

さやか「オクタヴィア!」ポイッ

オクタヴィア「――!」ドプン

マツリ「魔女でソウルジェムを包んで……」

さやか「円環の理の力で、あんた(魔獣)を倒す!」ビシッ


さやか「ふぅ……うぁあああああああ!!!」ゴォォォォ

カナミ「な……そんなに魔翌力を放出したら無くなっちゃうよ!」

マツリ「わざと……そうしてるんだ」

カナミ「え?」

マツリ「今のままじゃあの魔獣をすぐに倒せないから……何か危ない手を」


さやか「くっ……」フラッ

まど神「……」キラキラ

さやか「見えてきた……でも、やっぱりいつものまどかじゃないね」

オクタヴィア「――!」バババババ

さやか「無理だよ円環の理……オクタヴィアは、もうまどかの願いを遂げた存在なんだ」

さやか「でもこれからオクタヴィアの中で産まれる魔女はそうじゃない」

マツリ「……!」

さやか「ぐっ……くあぁ……何度経験しても、これ……嫌だなぁ」

カッ!!

シュゥゥゥ

カナミ「だ、大丈夫?」ユサユサ

マツリ「そっちの体はただの抜け殻だよ!」

カナミ「……?あ、あれ?もう一人……」

さやか?「……」

マツリ「ダメだったみたい……じっとして」

カナミ「え?ダメだったって?」

魔獣「――!」ブォォン

さやか?「……!」ピカッ!!


カナミ「けほっけほっ……すごい衝撃が――」

マツリ「あの魔獣が形にもしてない魔翌力の光だけで消えて……!?」

カナミ「どうすればいいの?一難去ってまた一難だよ」

マツリ「『外の世界の力』なの……?」

カナミ「え?」

すずね「く……な、何が」

さやか?「……」パァァ

マツリ「剣を……!?だめっ!」

グサァッ

マツリ「かふっ」

すずね「あ……」

さやか?「……」

マツリ「はぁ、はぁ……ぐぅ」

すずね「マツリ!!」

マツリ「スズネちゃん……協力……して」

すずね「え?」

マツリ『今のさやかは魔女でソウルジェムを再現してる……』

マツリ『魔女を通して孵化しない魔女になったことで円環の理と強制的に繋がった状態でこの世界に留まってるけど』

マツリ『無茶したことで心を失っちゃってる』

マツリ『だから……』

すずね「わかった……さやかを救いましょう」

すずね「私と、マツリと、カガリの力で」

マツリ「……」ニコ

すずね「『合体魔法』……」パアア

さやか?「……!?」ピエエエエエ

マツリ「私が、さやかの心を見つける」

すずね「カガリの力がさやかの心を護って」

すずね「私の力で、魔女の部分を『切り裂く』!」

さやか?「ルルル…」

すずね「さやかは魔女の運命にきっと負けていない」

すずね「……もしも元のさやかに戻せたら」

マツリ「私達も、きっとまた」

すずね「……そうね」

 ・

 ・

 ・

~~数日後

チサト「今日、転校生が来るらしいよ」

アリサ「ふーん、どんなやつかな」

すずね「きっと仲良くなれるわ」

アリサ「え?知ってるの?」


マツリ「日向マツリです、宜しくお願いします!」

――放課後 帰宅道

すずね「……」

マツリ「ふふ」

すずね「どうしたの?」

マツリ「皆、相変わらずで……ハルカ以外」

すずね「そうね」

マツリ「スズネちゃん」

すずね「何?」

マツリ「さやかとカガリの事、覚えてる?」

すずね「……?」

マツリ「そう、だよね……」

マツリ(スズネちゃんはあの時スズネちゃん本来の魔法を使ったことで、カガリの魔法を失った)

すずね「本当にごめんなさい、私だけ何も覚えてなくて」

マツリ「ううん、責めてるんじゃなくて……こっちこそごめんね!」


マツリ(ずっと続くって勝手に勘違いしてた)

マツリ(戻る人と、戻らない人がいるんだ)

マツリ(もしかすると、マツリが覚えてるのもたまたまで)

マツリ(少しずつ、この宇宙に取り込まれてるのかも……)

ツバキ「二人ともーっ!おかえりなさい!」ブンブン

マツリ(でも、怖くない……マツリ達は見届けたから)

マツリ(運命は、変えられる――)

すずね&マツリ「ただいま!」




――数日後 見滝原

まどか(最近、よく変な夢を見ます)

まどか(遠く、とおく、そして、とても長い……)

まどか(不思議だけど、短い間に何度も人生を繰り返すような)

まどか(そして最後は必ず……あの子との別れ――)



まどか「――ちゃん、どうして……」

詢子「まどか、まどか」

まどか「ん?」

詢子「『ん?』じゃないよ!学校遅れちゃうぞ!」

まどか「ふえぇ!?今何時!?……なぁんだ、全然大丈夫だよ、ママ」

詢子「最近まどかはおねぼうさんだからなー!……たまには一緒に支度したいじゃんか」

まどか「ママ……ごめんね」

ポンポン

詢子「いいのさ、まどかはずっといい子すぎたくらいだし……こういう形で甘えてくれるなら」

まどか「こういうかたち?」

詢子「ん……なんて言えばいいのかな……『うちの親だったら平気だよ』みたいに言ってなんだかんだで親をほっぽっとくような子いるじゃんか」

まどか「うん(?)」キョトン

詢子「いや、そうじゃなくて」ンー



ジャーー コポコポ…

詢子「最近学校ではどんなよ?」

まどか「さやかちゃんが旅行行っちゃってまだ帰って来ないから寂しい」

詢子「長いなぁ、どこ行っちゃったんだろうな」

まどか「それとほむらちゃんと杏子ちゃんがなんだかギクシャクしてて心配だなぁ」

詢子「へぇ、あの二人は相性良さそうに感じたけどな」

まどか「普段はママと先生(和子)みたいな空気かも」

――リビング

タツヤ「あーかーいー」

詢子「トマト……づくし?」

知久「なんか野菜室がトマトだらけになっちゃって」

イッタダッキマース

まどか「美味しい!」ティヒッ

知久「トマトリゾットとトマトジュースとトマトのお味噌汁とトマトおでんとトマトソースのラザニアとトマトの――」

詢子「作りすぎィ!」

知久「今日のまどかのお弁当はトマトライスのトマト入りおにぎりとトマトのだし巻き玉子とイタリア風からあげとトマトゼリーと――」



まどか「いってきまーす」タタタ…

パタパタパタ ニコッ

  ・

  ・

  ・

まどか「あ……おーーい!」ブンブンブン

かずみ「まどか!おはよう!」

まどか「おはよー!今日も待っててくれたんだ!」

かずみ「えへへ……まどかに会うのが待ちきれないの」ニコニコ

まどか「うぇひひ……//////」ティヒヒ


まどか(かずみちゃんは最近転校してきた超優等生)

まどか(とっても可愛くて、いい子で……私と出会った日から何故かすごく仲良くしてくれます)


まどか「今日も夢見たんだ」

かずみ「ぎょっ……とと、全部思い出した?」

まどか「ううん、ちゃんと思い出したいところでよくわからないんだ」

まどか「でもね、綺麗な黒髪のあの子とどっかで会ってるのかも」チラッ

かずみ「わたしではございません」

まどか「ぷー……いつも私に運命の人とか女神様とか色々いっぱい言ってくるのはかずみちゃんのほうなのに」

かずみ「私とまどかはずうっと一緒にいたんだよ、ほかの誰よりもずっと……だからわかるの、夢の子じゃないって」

かずみ「でも安心して!ぜんぶ『忘れてても』わたしは一緒だよ!」ニギッ

まどか「あ、ありがとう……///////」

かずみ「わたしも記憶喪失になったことあるし!」

まどか「えっ」

まどか(かずみちゃんは不思議です)

~~HR前

かずみ「まどか!また放課後ね!」

まどか「あ、うん……」

かずみ「大丈夫!みんなすぐ仲直りするよ!」

まどか「……うん!」



ほむら「……」チラッ

杏子「……」プイ

まどか「……」アセアセ

まどか(もう、お話すらする感じじゃない……どうして?)

さやか「おはよ、まどか!」

まどか「さやかちゃん!やっと帰ってきてくれたんだね!」

さやか「やっと?……ナルホド」

さやか「……」スタスタスタ

まどか(二人のほうへ!やっぱりさやかちゃんは頼れるなぁ……)

さやか「ふふ……」スッ キラッ

杏子「あっ」

ほむら「?」

杏子「さやかっ……あんたまで(魔法少女の次の領域へ)!」

さやか「あたしも驚いたよ、知らない間に杏子まで変わっちゃってるだなんて」

ほむら「杏子にも言ったけど、その力は危険よ……使ってはいけない」

さやか「……」

スタスタ ギュッ

ほむら「なっ!?」

まどか「!!」

さやか「ほむら、あたしはあんたを護るためにこの力を身につけたの」

さやか(あんたとまどかが一緒にいる幸せを、あたしが護るんだ)

ほむら「さっ、さやほむ予定は無いわ」

さやか「え?」キョトン ジー

ほむら「なんでもない……//////」

杏子「お、おい……本当にさやかなのか?」

さやか「本当の本当に、あたしだよ?ふふふふふ……」ニタァァァァァァ

~~放課後

かずみ「今度はさやかが加わって三角関係か」

まどか「さやかちゃんのこと知ってるの?」

かずみ「まどか女神のナイト様」

まどか「また女神……でもさやかちゃんには幼なじみの上條くんがいるもん」

かずみ「ん~?上條くんなんて学校にいたっけ?」

まどか「私と同じクラスなんだけど、入院してて学校に来れないんだ」

かずみ「ふぅん……(スマホでメモ見てみようっと)」ミュルミュル


かずみ(あっ……やっぱりこの人もまどかの干渉する中でだけいることになってるんだ)

まどか「どうしたの?」

かずみ「ううん、なんでも……」

フワッ……

かずみ「ん……」

まどか「また魔獣?」

パァァァァァ

かずみ「変身おわり!いくよ、まどか!」

まどか「うん!」

タタタッ ピョンッ

かずみ「それっ」

サラサラサラ… シュヴァァァァ フワッ ポンッ キュッ

まどか「えへっ!」キラッ☆

スタ

かずみ「そして現実の静寂が~」

まどか「ノリノリで変身した直後に言わないでよぅ//////」


まどか(かずみちゃんは不思議です)

まどか(でも、特に不思議なのは)

まどか(私を、魔法少女に変身させられることかも知れません――)

  ・

  ・

  ・

魔獣達「……」コルルルル…

まどか「あれだね!」

かずみ「うわぁ……たくさんいる」

まどか「まかせて!」

チャッ

まどか「マジカルスコール!!」

バラララララララ

かずみ「さすがだね!」

まどか「……」

かずみ「どうしたの?」

まどか「みんなのこと、考えてた」

~~帰宅路

スタスタスタ

まどか「私が皆と一緒に戦えたら、皆の負担が軽くなって……」

かずみ「気持ちはわかるけど、ダメだよ」

まどか「そうだよね……何度もごめんね」

かずみ「ううん、いいよ!わたしも同じ!だから……まどかと気持ちを共有してるみたいで、嬉しい!」

まどか「え……?」

かずみ「わたしも、友達と一緒に戦いたい」

かずみ「だけど、みんなとは会えないから……」

まどか「どうして?会いにいこうよ」

かずみ「わたしは、ほんとうはこの世界にいちゃいけないの」

――まどハウス

まどか「はぁ……」クテッ

まどか(あんな切ない表情するから、何も聞いちゃいけない気がした)

まどか(誰にも知られたらいけないって思ってるんだよね)

まどか「私も、知らない間に誰かに迷惑かけてるのかな……」

チラ

まどか「月が綺麗……」

――ほむルーム

ほむら「……」

ほむら「杏子もさやかも、どうしてしまったの」

ほむら「特にさやか……まるで感情が尖っていつにも増して制御できなくなっているみたい」

キュゥべえ「知りたいかい?」

ほむら「キュゥべえ……」

キュゥべえ「彼女は宇宙の外と繋がり続けていることでその魂が常に疲弊しているんだ」

ほむら「どういうこと?」

キュゥべえ「君達がどうして君達であるのか……君は考えたことが当然あるだろう」

キュゥべえ「でも多くの人間はこういう風に考える」

キュゥべえ「魂が体から抜け出して」

キュゥべえ「物理的な干渉を受けない」

キュゥべえ「霊的な……等々」

キュゥべえ「それらはハッキリ言ってまったく本質に触れていないんだ」

ほむら「本質?」

キュゥべえ「体から出てきたものが魂だったとして……」

キュゥべえ「その新しい体が消滅すれば何が出てくるんだい?」

ほむら「え……?」

キュゥべえ「君達が君達であるのに魂が重要だったのに、」

キュゥべえ「魂を君達にしているものはなんなんだい?」

ほむら「え、えと……」

キュゥべえ「細かく切り刻まれるほど君たちじゃなくなるのかい」

キュゥべえ「集団や普遍的価値の中で個性はまったくの意味をなさない……そんなわけがないよね」

ほむら「……そうね」

キュゥべえ「重要なのは認識だ」

キュゥべえ「暁美ほむらという認識は生じた瞬間からその連続性の中において暁美ほむらだ」

キュゥべえ「連続性とはつまり因果のことだ」

キュゥべえ「一つ一つの世界と、一人一人とが因果を持つから、その存在が互いに干渉することがなく、他人との境界も生まれる」

キュゥべえ「それが魂なんだ」

ほむら「そんな途方もない、科学でもなんでもなさそうなことを、あなた達はどうして確証することができたの?」

キュゥべえ「魔法少女の存在さ」

キュゥべえ「エントロピーは知っているよね」

ほむら「聞き飽きたわ」

キュゥべえ「僕達はずっと探していた、宇宙をそれから救う手段を」

キュゥべえ「エントロピー増大につれ冷え切っていくばかりの宇宙の中で、僕達は感情を持つ生命というものがずっと不思議だった」

キュゥべえ「僕達は観察しているうちに、感情を持つ生物が個体差はあれど因果に干渉している事に気がついた」

キュゥべえ「生物は進化していくにつれ、お互いの境界を強く認識しあっていき、世界の因果を調整する能力に目覚めていったんだ」

キュゥべえ「それはエントロピー増大に対する宇宙の抵抗力かもしれないともその時は思えたね」

ほむら「今は違うの?」

キュゥべえ「宇宙一つで済ますにはエネルギーの規模が大きすぎたのさ」

キュゥべえ「当初の僕達は、限られた空間の中で機械が決まって物を生理するように与えられた範囲で操っているのだと思っていた」

キュゥべえ「ところが、魔法少女は自分だけでなく、周囲や平行宇宙の因果すら取り込みはじめ、やがて、宇宙すらも改変した」

キュゥべえ「魔法少女の因果が、宇宙の外にまで影響しているのは明らかだ」

キュゥべえ「結論を言うとね」

キュゥべえ「君達魔法少女は宇宙を救う存在なんかじゃなかったのさ」

キュゥべえ「君達の魂は宇宙の理から剥がれ落ち」

キュゥべえ「因果で魔法少女として独立し、そこにある力を使役していたんだ」

キュゥべえ「宇宙のエントロピー増大を防ぐため、外からエネルギーを持ち込み続ければ」

キュゥべえ「入りきらなくなった器は壊れる……簡単なことだよね」

ほむら「じゃあ、魔獣は……」

キュゥべえ「あれこそが宇宙の防衛本能」

キュゥべえ「宇宙改変の時より目覚めた、宇宙による魔法少女の抹殺プログラムさ」

ほむら「そんな……」

キュゥべえ「さやかは今、初めて宇宙の外と繋がった魔法少女『円環の理』を介して宇宙の外とコネクトし」

キュゥべえ「その因果に見合った量を超えた流れを受け止めている」

キュゥべえ「かといって杏子のように自在に蛇口を捻るように遮断できるわけでもない」

キュゥべえ「さやかの魂は、細いパイプが破裂するように耐えきれなくなって自滅するかもしれないね」

ほむら「どうして、さやかは」

キュゥべえ「近いうち、君達を滅ぼす規模の魔獣が産まれる可能性が高いからだ」

ほむら「私達を守るために?」

キュゥべえ「そうだろうね……杏子の力は便利だけど、円環の理を介していないし単純に出力でその魔獣に負けるだろうし」

キュゥべえ「……さやかは、魂を懸けて君達を救おうとしているんだよ」

キュゥべえ「あるいは、君への贖罪なのかもしれないね、ほむら」

――数分後

~~君への贖罪なのかもしれないね、ほむら~~

ほむら「……頼んでない」

ほむら「いつだって、あの子はそういうことで私を困らせる」

ほむら「キュゥべえは、嘘をつかないわ」

ほむら「私が、もしかしてあの子を追い詰めて……」

パァァ

ほむら「ダークオーブ」

ほむら「いつの間にか、私が持っていた……みんなと違うソウルジェム」

ほむら「杏子とさやかを思うに……私も危険な力と繋がっていたって事ね」

ほむら「私が、力を解放すればもしかしてさやかは助――」

織莉子「いけません」

ほむら「!?」バッ

織莉子「間に合った……」

ほむら「織莉子……」

織莉子「キュゥべえの思うつぼです、あの子は世界の今の状態を壊したいのですよ」

ほむら「でも、さやかが……」

織莉子「……ッ」

ほむら「その顔、さやかがどうなるか知ってて今日まで放置したのね!」

織莉子「……ご、ごめんなさ――」

ほむら「ずるいわよ、いつも自分だけ全部知って、あなたは何も話さない」

ほむら「未来について何か口走るほど、その瞬間から未来がズレていくのはわかるわ」

ほむら「でも、でも……ごめんね、なんか、ブーメランって気がする……」

織莉子「……」ギュッ

ほむら「……」

織莉子「本当は、この世界ではずっと皆で笑っていられるはずだった」

織莉子「私は、それをあなたと約束したはずなのに、いつしか調和が乱れてしまった」

織莉子「それでも、あなたと私の約束を、信じほしい」

ほむら「約束……?また、記憶に無いことなの?」

織莉子「記憶が無くて、不安よね……でも、それはあなたが自分でやったのよ、ほむらさん」

ほむら「え……?」

織莉子「だから、祈って」

ほむら「約束、教えてくれる?」

織莉子「……」フイフイ

ほむら「絶対言えないのね」

織莉子「これがわたしのあなたにできるつぐないだから」

織莉子(本当は、わたしも生きたいと思い始めてしまったのが原因かもしれない)

ほむら「許さない」

織莉子「え?」

ほむら「あなたは巴さんや呉さんと一緒で頼れる先輩よ……居なきゃ困るんだからちょっとは責任感じて生きなさいよ」

織莉子「な//////」

ほむら「私にここまで言わせるなんてそんなに無いんだから」

織莉子「つんでれ」

ほむら「違うわ、背の高い人がだらしない体で抱きしめるから苦しいだけよ」

織莉子「変なこと言わないで//////」

ほむら「キリカとチョメチョメしてる割にはウブな反応を見せるわね」

織莉子「~~~してません!//////」

ほむら「あら、してるもんだとばかり思ってたわ」

織莉子「もう……『今の』ほむらさんに戻りましたね」

ほむら「……ありがとう」

ほむら「皆で生き残りましょう、キュゥべえや魔獣の手から」

織莉子「……はい」



織莉子(皆で生き残る、わたしが、皆と)

織莉子(いいなぁ)

織莉子(また、揺れてしまう……一度、ゆまさんの時に揺れてしまったというのに)

織莉子(……全ては、わたしの世界を守るため――)

――???

キュゥべえ「やぁさやか、調子はどうだい?」

さやか「キュゥべえ……何の用なの?」

キュゥべえ「君が苦しんでいる事を、暁美ほむらに伝えたよ」

さやか「あんたなんてこと……!」

キュゥべえ「ほむらと織莉子で、君を探しているようだ……やれやれ、ほむらも強情だね……力を出し惜しみしなければ君もすぐ見つかるだろうに」

さやか「全部忘れているんだから仕方ないじゃない」

キュゥべえ「どうして忘れてしまったんだろう」

さやか「長い時間をかけて、少しずつよ!」

キュゥべえ「本当かな?」

さやか「何が言いたいの?」

キュゥべえ「暁美ほむらは……君達を裏切り続けているんじゃないかってことさ」

さやか「キュゥべえのやり方、もうよく知ってるんだけど」

キュゥべえ「歴史の強制力……君はもう何度も見かけたはずだ……もしあれが宇宙によるものでないとしたら?」

さやか「?」

キュゥべえ「そんなものがあるのなら、宇宙を修正するのに魔獣なんていらないじゃないか、勝手に戻っていくんだから」

さやか「あ……」

キュゥべえ「君も気がついたようだね、この宇宙は暁美ほむらの箱庭であり」

キュゥべえ「時を繰り返し、空間を支配する力……それはまさに」

さやか「うるさい!」

さやか「あたしは、ほむらを信じるって決めたんだ!」

さやか「ほむらの魔女結界で……ほむらの心を知ったんだ」

さやか「円環の理の一部でなきゃいけないあたしが、ほむらに揺れたその時の気持ちを」

さやか「あんたがわかるわけなんて、ない」

キュゥべえ「へぇ……君は長い時をかけてほむらに偏っていったように見えたけど」

キュゥべえ「最初からほむらに偏ってたんじゃないか」

さやか「キュゥべえの言ってる事も本当、少しずつ守りたくなっていった気持ちも」

さやか「ほむらを信じられなかったあたし、ほむらを知ったあたし、ほむらを許せなくて悪魔と叫んだあたし」

さやか「ほむらと、友達になれたあたし」

さやか「全部懸けて、ほむらを護るよ」


ほむら「あ、あの、後ろにいるんだけど///////」

さやか「ギョエェェェェーーーーーっ!?」

さやか「ほ、ほむら、いつから聞いてたの?」

織莉子「『あたしはほむらを愛してる』あたりから……」

さやか「……!?」

ほむら「……!?」

織莉子「な、なに?……ごめんなさい」アセアセ

さやか「織莉子さんがそういうジョークを言った事に驚いた……」

ほむら「私も」

織莉子「わたしもそういう冗談くらい言うわよ?」

キュゥべえ「僕もほむらを愛してるよ」

ほむら「やっぱりあなたってこういうのわからないのね」

キュゥべえ「きゅっぷい?」

さやか「きゅっぷいじゃないよ!勝手なことばっかりしておいて!」

ほむら「さやか、身体に異常はないの?キュゥべえはさやかが壊れるって」

さやか「う、うん……今はもうなんとも」

ほむら「今は……?」プンス

さやか「心配、してくれてる?」

ほむら「当たり前でしょ!……あなたも、大切な仲間なんだから///////」ゴニョゴニョ

さやか(……嬉しいなぁ)

……サヤカチャン……トッチャダメダヨ……ティヒヒ

さやか「……」

ほむら「さやか?」

さやか「ご、ごめんボーッとしてた!」

ほむら「もう……」ニコ

――その頃 鹿目家

まどか「さて、そろそろ寝よっか」

かずみ「うん!」


チクタクチクタク

まどか「今頃みんな何してるだろう」

かずみ「気になるの?」

まどか「なるけど……最近壁を感じて聞けないの」

かずみ「壁?」

まどか「私だけ、魔法少女じゃなかったから」

まどか「かずみちゃんはさ、どうして私を変身させられるの?」

かずみ「わたしの魔法は、そういう魔法だから」

まどか「私も、誰かを助けられるような力があったら、すてきだなって……」

かずみ「まどかはずっと頑張ってきたよ」

まどか「……教えてよ、本当のこと」

かずみ「ん?」

まどか「私、全部聞きたいよ」

かずみ「……じゃあ最初にわたしの話から」


~~魔法少女かずみ☆マギカ!発売中!~~

まどか「そんなのって無いよ……!あんまりだよ!」グスグス

かずみ「全て終わってからは、私と海香とカオルはとっても順調に戦ってこれた」

かずみ「毎日が楽しかった、魔女として生まれたわたしが人間になれて……みんなと一緒に学校にも行って」

かずみ「ずっと続いて欲しいなって思ってたんだ」

かずみ「でも、ある日突然それが終わって」

かずみ「とある少女の願いで、私はこの世界から存在を消されちゃったんだ」

かずみ「皆から忘れられて、長い間円環の理で一人ぼっち」

まどか「そんな……そんなの酷いよ!やっと幸せになれたのに……そんなことしたのは、誰なの?」

かずみ「まどか」

まどか「ふぇ?なに?」

かずみ「まどか」

まどか「え?」

かずみ「まどかなの」

まどか「そんなのってないよ」

かずみ「元々魔女だったから、都合良く新しい世界で生まれることもできなくて」

かずみ「宇宙が新生した瞬間から、まどかと二人だけ」

かずみ「あらゆる過去未来可能性の中でわたしが産まれる事はもう無いんだよ」

まどか「どうして私、そんな酷いこと」

かずみ「まどかの願いは、魔女を産まれる前に消し去って、魔法少女を救済することだったから」

まどか「ごめん……なさい」

かずみ「あやまらないでほしいの」

まどか「だって、私――」

かずみ「とっても優しい願いだったから、わたしは……まどかを応援できた」

かずみ「最初は一人ぼっちにされたって思って少ーし怒ってたけど、」

かずみ「特等席で魔法少女のみんなを迎えられるんだって思えるようになったの」

かずみ「わたしには、円環の理で知らない魔法少女なんていない!それってとってもすてきだね」

かずみ「わたしも、みんなも救われたのは、ぜんぶ、まどかがまどかだからだよ、まどかはまどかのままでいてくれたらいいの!」

まどか「かずみちゃん……私は、どうだった?」

かずみ「笑顔だったよ……まどかも、みんなも」

まどか(……良かった)

かずみ「だから、あやまらないで」

まどか「うん!」


まどか「ねぇ、私とかずみちゃんはどうして戻ってこれたのかな」

かずみ「んーーー~~~……」プスプス

まどか「わかんないんだね……」

かずみ「そうは言っても円環の理には全ての魔法少女を受け入れるための構造があって、そのせいで情報が遮断される世界になってたの」

まどか「どんなの?」

かずみ「一人一人の認識の上で作られるそれに対応した癒やし空間みたいな……」

かずみ「まどかと魔法少女が出会えるのは基本的に魔女の結界を通して繋がる一瞬だけ」

かずみ「だからわたしはまどかを通して全ての魔法少女を知ってるけど、後から来た子は関わりが無いからわたしをそもそも認識できてなかったりして」

かずみ「一部の仲間と会えても永久に会えない子も同じ世界に同時に存在してる」

かずみ「特殊なお迎えのさいにはまどかのパートナーは魔女の結界による干渉で自動的に選ばれてしまうけど」

かずみ「そういう性質上まどかとパートナーがそれぞれで都合よく全てを把握しあってるわけじゃなかったり」

かずみ「不思議だね、一体化して繋がってるのに」

まどか「よくわかんないよぅ~」

かずみ「わたしも……こういうのは海香のほうが得意なのにな……」

まどか「会えないんだよね」

かずみ「うん……会いたいけど、予知から外れたらどうなるかわからないって織莉子が」

まどか「織莉子さんは何をしようとしてるの?」

かずみ「織莉子がしてるんじゃないよ、織莉子はたまたま選ばれただけ、でも協力するしかないって言ってた」

まどか「脅されてるの?」

かずみ「ある意味……でもやらないとほむらも危ないからって」

まどか「ほむらちゃんまで!?許せないよ!皆を巻き込んでるその計画したのは誰なの!?」

かずみ「ほむら」

まどか「ほむらちゃんていうんだ!二人でお仕置きできるかな!?」

かずみ「いやいや」

まどか「えへへ」

かずみ「まどか、みんなを助けるつもりで考えてたでしょ」

まどか「ぎく」

かずみ「まどかは話しても黙ってても止めたって突っ走るの」

かずみ「この宇宙が産まれるキッカケになった時だって、明らかにキュゥべえの罠でみんなまどかを心配してたけど、誰ももう止める気なかったし……」

かずみ「ある意味ほむらだけかもね、本気のまどかを本気で止めようと挑み続けたのって」

まどか「私そんなわがままかな……」シュン

かずみ「でもそんなまどかだから」

まどか「?」

かずみ「いつも何かが起こって、世界が変わっていくのかもね」

まどか「いいこと……なの?」

かずみ「きっと……そうだよ」

かずみ「だって、わたしたち……魔法少女……なんだから」ムニャ

スゥ……zzZ

まどか「そうだね……おやすみ、かずみちゃん」

――数日後 深夜

杏子「……へへ、いつの間にかこの時間もすっかり落ち着くようになっちゃったな」

杏子「ゆまといると楽しいけど……あいつとはこういうことばっかしてられないもんな」

パカッ ズズ…

杏子「ふぅ……暖まる」

杏子(なんとなくまだぎこちないけど、皆の距離も少しずつ元に戻ってきたか?)

杏子「…… ん?あれは……」

魔法少女「うぅ……」フラフラ ドサッ

杏子「! おい!大丈夫か!」タタタ

魔法少女「あ……あ…」

杏子(様子がおかしいな)

ガシッ ガリリッ

杏子「つっ……ッ」

魔法少女「絶望……させて!」

杏子「は?何言って――」

魔法少女「もうこんな世の中嫌なのに!壊してしまいたいほどなのに!」

グッ

魔法少女「絶望、できないのよぉぉぉぉおおお!!」

ファサッ

杏子「ひっ」

杏子(何これ、骨が見えるほど胸がえぐれて、ソウルジェムが……歪に)

魔法少女「アアアアアッ!!」ガリガリガリガリガリ

杏子「もうやめろ!(かきむしってああなったのかよ……)」

バキィッ

杏子「ぐっ!?」ヨロリ…

魔法少女「ウウウウウウウグ!」ブンッ

ガッ

杏子「こいつっ……本気か!(なんてパワー……あたしは新しい力で全力だってのに!)」

杏子「っ……ああああっ!」バアア

魔法少女「!?」

杏子「遊びはお終い……あんたの運命、あたしが選んでやるよ」キラキラ

魔法少女「絶望……したい」

杏子「……そうか、なら!」スッ

魔法少女「お父さん……」ツツー

杏子「うっ……」

魔法少女「……」

杏子「ハァ、ハァ……なんでだ?あたしは、魔女も魔法少女もたくさん……倒してきたってのに」タラタラ

杏子(できない……っ)

魔法少女「……けて」

杏子「ん?」

魔法少女「は、早く……!やだよう……!」パキパキ

杏子「おい!?(ソウルジェムが……!)」

魔法少女「あ……うそ……つき」

サアァァ

杏子「そんな……死んじゃったのか?うそ……」


杏子「……そこで黙ってないで、教えてよ、キュゥべえ」

キュゥべえ「僕に気がついてたんだね」

杏子「どういうことだよ」

キュゥべえ「本当は君がああなる予定だったんだ」

杏子「あん?」

キュゥべえ「詳しいことを教えるには僕と契約して売春少女になってよ」

杏子「は?何言ってんだ!まだそんな話できると思ってんの!?」

キュゥべえ「彼女は君と同じさ……父親に依存し魔法少女となり父親を変えそして父親に裏切られた」

キュゥべえ「絶望するはずだった」

杏子「あたしみたいに生き残ったっていうのか?」

キュゥべえ「彼女は魔法少女のもう一つの可能性だ……感情を極め、もう絶望では救いようが無い存在となった」

杏子「絶望では救えない?」

キュゥべえ「円環の理が救済するのは、魔女となる魔法少女だけ……」

キュゥべえ「そうでない魔女にもなれなくなった魔法少女は、砂になる運命が待っているようだね」

杏子「だから……救いを求めてたのか?」

キュゥべえ「魂がただの砂になる恐怖を僕達は知れないが、本能で悟ったのか相当の恐怖だったみたいだね」

キュゥべえ「砂になりながら加速する感情に、思春期の子供が初めて知る死の悟りのようなものが無限に増幅される感覚じゃないかな」

キュゥべえ「君達は独自の宇宙を持つから……宇宙の創世から終わりまでの恐怖を全て一瞬に濃縮したような恐怖だろう」

杏子「……くそっ」

キュゥべえ「?」

杏子「あたしはそんなものから……あいつを救えなかったのか」

杏子「新しい力があっても、何も変わらないのかよ……ッ!」

キュゥべえ「……杏子、少し変わったかい?」

杏子「……あ?」

キュゥべえ(いつもだったらすごい剣幕で僕を壁に叩きつけ問いただしてきそうだね)

杏子「もしかして、あいつは……」

キュゥべえ「売春というのは一例だ……感情を極めるためのね」

杏子「そうか、そういうことか……テメエは!テメエの都合で、魔法少女の感情が増幅するような環境に皆を!」

キュゥべえ「今わかったとしてももう遅いよ、僕の計画は最終段階だ」

~~~♪

杏子「ん?この声……」

キュゥべえ「近くのラジカセから流れている音楽さ」

杏子「マミ……?」

キュゥべえ「さすがだね」

杏子「くっ!!」

キュゥべえ「……」

タタタ

杏子「そんな……猫になって一緒に生活までしてたのに……気づけなかったなんて」

杏子(あたし、本当に皆をちゃんと見てるのか……?)

タタタタタ

――マミるーむ

杏子「マミ!!」

マミ「むにゃ……佐倉さん?こんな時間に何……?」

杏子「……えと、その(どうしよう、なんて説明すれば……)」

マミ「もう、明日の朝は早いんだから寝るわよ」

杏子「もしかして、アイドル続けてるの?」

マミ「……ふふっ、知られちゃったのね」ニマー

マミ「あれから、キュゥべえに助けてもらいながら地道にやってきてね」

マミ「CDも売れてるらしいし、明日もとっても大切な収録があるの!」ニコニコ

マミ「皆のために歌ってるとね、まんだか胸がぽーっとして、嬉しい気持ちが溢れてくるの」

マミ「私がこんなにも必要とされる世界があるなんて――」

杏子「やめてくれ!」

マミ「え?」

杏子「全部、キュゥべえの罠なんだ!あいつはあたしたちを特別な環境に置くことで、その……」

マミ「何が言いたいの?」

杏子「養殖!あたしたちの変わりなんて誰でもいるの!マミじゃなくてもいいんだよ!」

マミ「……なんでそんなこと言うの?」

杏子「え?」

マミ「キュゥべえだってとっても頑張ってくれたし、それに私も……」

マミ「美樹さんも、一緒にやってくれると思ってたら忘れちゃってるみたいだし」

マミ「私の代わりがいくらでもいるなんて、私が一番わかってる」

マミ「魔法少女だって、私より強い子もたくさんいる……あなた達にも置いていかれはじめた」

杏子「ち、違うんだマミ……そうじゃなくて」

マミ「違うの!私がわかってるって言ったじゃない!こんな私が、生きるために必要だと思えてきたことなの!」

マミ「猫になっても一緒に居てくれて嬉しかった……でもそれも、私じゃなくても良かったのかもしれないわね」

杏子「あ……」フラッ……ヨタヨタ

マミ「……」グスッ キュ

杏子「……ごめん……」

タタタ ガチャン バッタン

マミ「……ごめんなさい、私、なんてこと」スンスン

タッタッタ ザッ ドタ

杏子「うぐぅぅぅぅ、マミ、さん……!」シクシク

杏子「あたし、どうして、あんな言い方」

杏子「なんで、いつも間違えちゃうんだ」

男「あら、キューピット?」

男2「奇遇だね」

杏子「あんた達は……」

男「あなたってばいつも泣いてるわねぇ」

杏子「……」

男「お話、聞かせてくれるかしら?」

男「色々あって、大好きな先輩とケンカしちゃったんだ」

杏子「べつにそういうんじゃ」

男2「そうだそうだ、ホモなんだから一緒にするな」

杏子「あー?」パキッポキ

男2「天使(エンジェル)はホモ……これは売れる」


杏子「今はどうしていいかわからない」

男「うふ……若いのに贅沢な悩みね」

杏子「若さなんて関係ないだろ!」

男「関係あるわよ……物事っていうのはこじれていくほどできることが少なくなっていくけれど」

男「大人になるというのは人生そのものがこじれていくことだわ」

男「気がついた時には選べない……何かを変えるのに捨てなきゃいけないものが増えすぎているか、選ぶ意味も無い状況に置かれていくものなの」

男「可能性無限でかえって何もわからない、代わりがいくらでもいる、結構なことだわ」

男「変わってはならない悲しみを背負うよりかは……そう思う」

杏子「変わってはならない……悲しみ?」

男「そう、それをあなたは変えてくれたわ」

男2「ぐぅー」

男「あなたにとっては何てことのないことかもしれないけど」

男「『全てを丸め込める』くらい今は幸せ」

杏子「よく……わからない」

男「難しいことはわからなくてもいいし、無理に頑張るべきでもないけれど」

男「でもこれだけは覚えておいてほしい……それでも――」

男2「ホモは自由よ」

男「人は自由!」ドカッバキッ

男2「」

杏子「あは……あははっ!」

男「あら?」

杏子「人でもホモでも……どんな立場に立ったってやることはかわんないじゃん」

杏子「あたしは、あたしとして自由にやりたいようにやるだけさ」

杏子「そのうえで、いつも通り、幸せな未来ってやつを諦めない!」

男・男2「……ふ」ニコ

杏子「ありがとう二人とも!あたし、行かなきゃいけないんだ!」

――マミマンション前

パアアアアアアア

杏子「あの光は……」

キュゥべえ「杏子、君が最後のトリガーになったのさ」

杏子「な……!?」

キュゥべえ「最初に言っておくと、仮に悪魔化と言おうか……この世界の君達が容易にそれをやってのけるのは」

キュゥべえ「ここが悪魔・暁美ほむらの作り出した宇宙だからだ」

キュゥべえ「魔法少女は前提として魔女化に傾かないよう補正がかかっている」

キュゥべえ「その中で僕達は容易に『未孵化の魔女』を育て上げることができる」

キュゥべえ「さぁ、もうすぐだ……マミが魔女の結界を形成し、自分自身の魔女を、司る感情で認識し宇宙として飲み込んた時」

キュゥべえ「マミも、悪魔に生まれ変わる……!」

杏子「……!」タタッ


キュゥべえ「マミ……」

――マミるーむ

杏子「マミ!」

マミ「……」

杏子「マミって!おい!」ユサユサ

マミ「佐倉さん……ごめんなさい」

杏子「何で謝るの?悪いこと言ったのは――」

マミ「あなたを撃って、ごめんなさい……」

杏子「あ……あのときのこと?」

マミ「そのほかの時間でも――」


~~二時間後

パコン

杏子「長い……慌てて来たのに全然余裕じゃん……無駄に光っちゃってさ」

マミ「知ってるわ……佐倉さんの魔法で少しずつ沈静化してきてるの」

杏子「……マミ、いや、マミさん……」

ギュッ

マミ「さっ、佐倉さん?//////」

杏子「悪魔になんてならないで!ずっと魔法少女のままでいてくれよ!」

マミ「え……?」

杏子「さっきのことといい勝手なことばっかり言ってごめん」

杏子「でもマミさんにはずっと待っていて欲しいんだ!」

杏子「マミさんはあたしの家族……最後の家族だから」

杏子「ずっと大好きなマミさんでいて……辛いこと、都合のいいこと言ってるってわかるよ、それでも」

杏子「あたしのずっと憧れの魔法少女……帰る場所でいてほしいんだ」

杏子「……」

マミ「……わかったわ」

杏子「……!」

マミ「キスする?///////」

杏子「あ?あっ!あーっ!プロポーズとかじゃない!」

マミ「ふふっ、冗談よ……ありがとう」

杏子「ほっ、でももう安心そうだな」

マミ「佐倉さんが猫になった時ここへ来た理由がよくわかったわ」

杏子「うう」

マミ「うふふ、『マミさん』か……」

杏子「うるっさいなー!マミは!ふんだ!」プイッ

マミ「ねぇ、佐倉さん」

杏子「何?」

チュッ

杏子「!?//////」

マミ「本当に、ありがとっ」ニコッ

~~数日後

杏子(あれからマミは、さらにアイドルとして忙しくなった)

杏子(あたしはそんなマミを応援してる)

杏子(でも、良かったのかな?キュゥべえが言うような事が無くなったにしても)

杏子「あたしたちの環境が、少しずつ変わっていく……」

杏子(キュゥべえは妙なことしてどうしたいんだ?)

杏子「風見野に戻って、『あいつら』に聞くか……色々知ってるだろ」

――風見野

杏子「あいつらはいつもこの時間あたりにあそこで連んでるんだよな」

杏子「マミと離れたばかりのあたしはそれを見ると無性にむしゃくしゃしてきて」

杏子「しょっちゅう八つ当たりしてたな」


杏子「いた……今日は二人だけか」

杏子「佐々木 京と、人見リナ」

キョロキョロ

杏子「朱音 麻衣がいないのは好都合だな」

杏子(あたしが八つ当たりした時はいつも主にあいつから返り討ちをくらってた)

杏子(でも、そのおかげで魔法少女との戦いでもマミに引けをとらないくらい強くなれたのかもな)

杏子「今思うと、あいつらが本気であたしを風見野から追い出さなかったのは――」

杏子「……考えてても仕方ない!行くか!」

ズサッ

杏子「よっ」

京「さっ、佐倉杏子!?」

リナ「久しぶりね」

京「どうするの?麻衣ちゃんいないよ!」

リナ「……この人は汚いことはしませんよ」

京「リナちゃんはどうしていつも佐倉杏子を信用できるの!?」

杏子「あー……そいつの言うとおり今日は襲うつもりは無いからそんなに心配すんな」

京「え……!?」

杏子「あんた(リナ)に聞きたいことがあるんだ」

リナ「……変異した魔法少女の話?」

杏子「話が早くて助かるよ」

リナ「あなたが察してここに来たように、私達は変異した魔法少女に何人も出会いました」

杏子「何かわかったか?」

リナ「いいえ、とても強いということと変異したらもう助からないということしか」

杏子「そっか……」

京「……あいつら異常に強いから、太刀打ちできるのが麻衣ちゃんだけで」

京「麻衣ちゃん……今日も家で休んでるんだ」

リナ「変異した子には正気が無いから、私達の言葉も届きません」

リナ「結果的に、全て麻衣に任せてしまうことに」

杏子「……」

リナ「そ、そうだ……あなたが良ければ、あなたが一緒に来てくれれば……」

京「ええ!?いきなり何言ってるの!?」

杏子「あたしにはそのつもりはないよ」

リナ「でも、このままじゃ、麻衣が……」

杏子「あいつなら大丈夫でしょ、あんたたちがしっかりサポートすればね」ポン

リナ「……」

杏子「さて……(聞くことももう無さそうだしそろそろ行くか)」

リナ「あっ」ドサドサー

杏子「うわっ!って、すごいたくさんのお菓子だな!」

リナ「これから京とおやつにするところでした」

京「え?」

杏子「へー、あたしが見たことないお菓子ばっかりだ」

リナ「良ければ、一ついいですよ」

杏子「ほんとかっ?」パァァ

リナ「え、ええ//////」

京(あっ)サッシ

――夜 夕食

杏子「なんか悪いな!色々と!」モグモグ

リナ「いいえ、今日はいつもケンカになってしまっていたお詫びです」

杏子「おいしいなこれ!」モグモグ

リナ「しょ、それは良かったです//////」ゴニョゴニョ

京「……」


――銭湯

カポーン

杏子「悪いな!銭湯までおごってもらっちゃって!」

リナ「いえいえもらった無料券を処理したかったので」

杏子「わっ」ツルッ

ダキッ モミッ ダンッ

杏子「ごめんな、滑った」

リナ「ひゅいえ!だいじょうびゅれふ!」

杏子「本当か?ここらへん打っただろ」サワサワ

リナ「んっ!?痛いです!//////」

杏子「ほらな、強がるなよ」ヒョイ

リナ「あ、ありがとうございます……//////」

京「…………」プクーッ

リナ「どうしたんですか?京」

京「知らないっ!(みんなに怒られても知らないんだから!)」

――リナッハウス 就寝

杏子「てっきりあたしはあんたたちに恨まれてると思ってたなぁ」

リナ「恨むだなんてとんでもないですよ、同じ風見野の魔法少女なんですし」

京(沙々ちゃんに対してと反応違いすぎるんですけど?)

杏子「でもあたしは恨まれるだけのことをしたはず……なのになんで」

リナ「……勝手なことですが、私があなたに憧れてるだけです」

京(えっ!もう告白しちゃうの!?)

リナ「風の噂で、あなたの事情が聞こえてきました……私はずっと努力しているくじけないあなたを……あなたに、希望を見てしまったんです」

杏子「……あんた」

京(なーんだ、告白じゃないのか……)

リナ「あの!くっついて寝てもいいですか?」

杏子「へ?な、なんで――」

京「あ、あー、リナちゃんってば、親恋しくて人肌を求めちゃうんだよね!」

杏子「そうなのか……仕方ないなぁ」

リナ「ふわぁ……(夢みたい)」ピト

京(ほんとに、何やってんだか……もう)ニコ

 ・

 ・

 ・

佐木 京さんのお名前を
>419にて佐々木 京と誤って記入しておりました
この場を借りて謹んでお詫び申し上げます

――数日後

ガツガツ チャリンカッチャン チャリン オカワリ

京「……」

杏子「もぐもぐ…はふっハフハフ!ごくん」

リナ「あ……ほっぺたについてますよ」フワァ…

フキフキ

杏子「悪いな」ニカッ

京(麻衣ちゃんー―!早く来てくれー―――っ!!)

リナ「魔法少女達の動向を探るにも、キュゥべえの企みを阻止するにしても……皆が集まってからやるべきです」

杏子「何度も聞いた」モグモグ

リナ「なのに、皆が集まらないから……今日も杏子はお泊まりしていかないといけませんね」

杏子「おっ、そうだな」

京(しれっともう呼び捨てだよ!というか杏子ちゃんもそれでいいの!?)

ピンポーン

リナ「……」

ピンポーン

杏子「出ないのか?」

リナ「お客様の予定はありません」

京「麻衣ちゃんかも」

リナ「……」ギラリッ

京「ひうっ」ゾクゾク

杏子「仕方ない、あたしが見てきてやるか」

京(それでこそ杏子ちゃん!)

キュッ

杏子「ちょっと、離してくれないと行けないぜ」

リナ「……」イヤイヤ ウルウル

杏子「てい」パシッ

リナ「!!」

京(おっとー!リナちゃんの訴えかけをも意に介さず平然とあしらったー―っ!)

クルンッ

リナ「……!…………!!」タスケテタスケテ

京(見てないフリ!)プイ

ガチャン

麻衣「やっと開けたな、しばらく連絡もよこさず――」

杏子「よっ」

麻衣「ふえええええ!?」

杏子「!?」

麻衣「っと、佐倉杏子じゃないかどうしたんだ?」キリッ

杏子「あんたでもそんな声出すんだな……」

麻衣「なに、少々驚いただけだ」アセアセ

杏子「ふぅん」

麻衣「で、お前は何しにここにいるんだ?」

杏子「その前に……あんたもあたしが何か企んでるとか考えないのか?」

麻衣「だったらもっと早くしてるだろ……それに私はそんなことをお前はしないと思ってる」

杏子「どうして?」

麻衣「戦った奴とは何か通じ合ったような気がするからな……お前もそういうのがわかると勝手に思ってたけど」

杏子「……ん、そうかもな」

麻衣「それに柔らかくなった感じがするしな……いい人と出会ったのか?」

杏子「ああ……大切な奴らだ」

麻衣「そうか……ふふ」


リナ「何なのですか?あの会話?」グヌヌ

京「うう、本当は麻衣ちゃんも杏子ちゃんの味方だったのか」

リナ「京は味方じゃないんですか?」

京「今更だね……」

リナ「ふふっ、そうですよね」

京(そもそも私は沙々ちゃんだってそんな嫌いじゃないし……)

~~~

京(それからは、みんなで集まって魔法少女関連の情報を集めました)

京(京子ちゃんから告げられた事実に正直ショックだったけれど)

京(リナちゃんと麻衣ちゃんがしっかりしていたし、前向きだったから、何とかなるって思った)

京(何より、杏子ちゃんの絶対挫けない姿勢は、風見野の皆を勇気づけた)

京(あとは沙々ちゃんもいれば良かったのに)

京(でも杏子ちゃんがいれば、沙々ちゃん一人を皆でよってたかって追い詰める戦争みたいにはならないと思う)

京(リナちゃんが卑怯というわけじゃないけど、リナちゃんは真面目に考えすぎる所があったから)

京(リナちゃんに汚れ役をさせるのをやめれた意味でも、杏子ちゃんと協力できるようになって、私は良かったなって、思う――)

~~~

麻衣「はい、杏子……あーん」

杏子「もぐもぐ」

麻衣「私の作ったダシ巻き卵……美味いか?」

杏子「最高だな!柔らかふんわり!」ニパッ

麻衣「そ、そうか///////」

リナ「杏子!私の作った竜田揚げもありますよ!」

杏子「もぐもぐ……相変わらず良い味だぜ」

リナ「だ、だって私、あなたの好みはちゃんと」ゴニョゴニョ

京(――こういう時以外は)

~~そして数日後v

――見滝原

杏子「思いのほか戻ってくるのに時間くっちゃったな……」

杏子「キュゥべえが悪さしてなきゃいいんだけど」

スタスタ

杏子「おっ、さやかだ!おーい!さやかー!」ドスドスドス

さやか「……?」

杏子「おう!さやか」

さやか「は、はい、こんにちは」

杏子「どうしたんださやか?妙にかしこまって」

さやか「えっと、その……」モジモジ

杏子「んー?」

さやか「ごめんね、ちょっと急いでるとこなの」

ピューン

杏子「行っちまった……どうしたんだあいつ」

ドス……ドス……ドッスン

杏子「ちょっと疲れたな……このベンチで休も」キシキシ

スタスタ…

杏子「おっ!あれはほむら!もしかしてあたしが帰ってくるの皆で待ってたんじゃ?///ヮ///」

杏子「よっこいせ……おーい!ほむらー!」

ほむら「……?誰かしら」

杏子「……?首をかしげたまま近づいて来ないな……」







ほむら「手招きしてるけど……どうしようかしら」

杏子「あっちから近づいてきてくれないかなぁ……疲れるし」

ほむら「……あ、ベンチに座ったわ……あのポーズ、もしかして超有名なゲイマンガを模倣している……?」

ほむら「だとしたら、私はウホッいい女……それは嬉しいけどあの子はまるでマシュマロマンだわ」

ほむら「何より私にはまどかがいる……そうね、丁重にお断りするわ」

ほむら「少し自信をくれた……その御礼にね」

スタスタスタ

ほむら「……あ、あにょっ」

杏子「ん?」

ほむら(緊張して噛んでしまった)

杏子「ほむら、今日は皆一緒か?」

ほむら「え?え、えと、一緒じゃ、ないです」

杏子「ふぅん、ま、いいけど」

ほむら(な、なんなの?皆一緒って……!?)

杏子「じゃあ、ちょっとあたしと付き合わないか?」

ほむら(話が読めない……けど!)

ほむら「わ、私はそんな軽い女じゃないわ」キリッ

杏子「……そうだな、たまにはあたしから……じゃ、ついてきな」

ドスドス… スタスタ

ほむら(どうしてついて行ってるのほむら!でも、マシュマロマンさんのすご味に抵抗できなかった)

ドスドス… スタスタ

ほむら(歩くの遅いわね……)

ほむら「ゆっくり歩かなくてもいいですよ」

杏子「そうか?かなり早歩きしてるつもりだったけど……じゃあ急ぐか」

ドスドスドス スタスタ

ほむら(あまり変わらない)

グキッ

杏子「ぎゃああああああああ!!足がああ!」ドッタンバッタン

ほむら「だ、大丈夫!?」

杏子「あ、足に手が届かない……!?あたし、いつの間にかこんな成長して……」

ほむら「動かないで……手当てしますから」

サワサワ ペタ クルクルクルクル

ほむら「はい、これでよし……」

杏子「悪いな……あんがと」

ほむら(仮にも好意を持ってくれてる人をほうっておけないわ)

杏子「ほむらってやっぱ優しいな」

ほむら「私をよく知ってる風なことを言いますね」

杏子「? 当たり前だろ?ずっと見てきたからな」

ドキッ

ほむら(私を、ずっと……!?)

杏子「そうだぜ、それに……助けてやりたいって、思ってる……」

ほむら「……私は誰にも頼らない」

杏子「だめだ!」

ガシッ

杏子「あたしは、あんたを失いたくないんだ」

ほむら「ほ、ほむ」

杏子「話を聞いてくれ」キリリッ

ほむら(マシュマロマンさん……なんて真剣な顔……そこまで私を)

ほむら(それに、何?この、慈愛に溢れる暖かい包容力は……)

ほむら(まるでそう、とても寒い冬が続いて食べるものも無いような日々に)

ほむら(急にとても甘くて美味しい焼きマシュマロを口に放り込まれたかのような)

ほむら(強烈な香ばしさと濃厚な甘味が脳と常識を塗り替える、そんな――)

ほむら「はぁはぁ……ちがう、私にはまどかが……」クタァ

杏子「おい、どうした?」

ほむら「……」

杏子「ほむら!?いったいどうしちゃったんだ」

――ほむほむ夢の中

まどか「ほむらちゃん、結婚おめでとう」

ほむら「何の話かしら?」

まどか「だって、その人にプロポーズされて、断れなかったって……」

マシュマロマン「……」ワーイカッター

ほむら「ち、違うのまどかそうじゃなくて」

まどか「ちょっとドキッとしちゃったくせに」

ほむら「してないわ」キリッ

まどか「本当かなぁ?」

ほむら「本当よ」

さやか「でも転校生って、よく誰かといい雰囲気になるよね」

ほむら「いい雰囲気って、何よ」

さやか「例えば、杏子となんかあたしやまどかじゃ入り込めない繋がりがあるように見える時があるっていうか」

ほむら「そんなの無いわ」

マミ「ならなぜ、いつも頼るのはあの子なのかしら……もう少し私にも頼ってほしいわ」

ほむら「違う……そういうつもりじゃないの」

タッタッタ…

タッタッタ…

ほむら「はぁ、はぁ……あれは」

織莉子「ほむらさん、こんにちは」

ほむら「織莉子……」

織莉子「酷く疲れているようね……」ソッ

ほむら「触らないで」パシッ

織莉子「……」

ほむら「あなたは……いつも私に残酷な選択の未来を垣間見せる」

織莉子「そう、かもね……」

ハッ

ほむら「ごめんなさい、私なんて事を……あれ?織莉子?どこへ行ったの?」

ほむら「あなたには、まだ聞きたい事があった」

ほむら「あの時だけ出会うことのできたあなたが、私と一緒に戦ってくれることがありえたら、」

ほむら「その時、私は、もしかして大切な全てを救えたの……?」

エイミー「ミャー」

ほむら「エイミー」

スタスタ

ほむら「そっちへ行けばいいの?」

エイミー「ニャー」

ほむら「だめ、いけない……私、あの時から、あなたの後ろを歩けない」

ほむら「全ての運命が変わったのは、あなたについていった時だった」

キュゥべえ「黒猫を人は不吉の予兆だと言うよね」

ほむら「キュゥべえ」

キュゥべえ「君はいつだって変化を恐れているんだね」

キュゥべえ「時間の流れを否定し、人の記憶を改変し、気に入らなければ繰り返した」

キュゥべえ「君のループの中では、織莉子だけではなくイレギュラーは数多くあったね」

キュゥべえ「でも、君はいつも求める一つの未来を突き進んだ」

キュゥべえ「非情になりきれば、容易な目標であるにも関わらずね」

バンバン グシャッ

キュゥべえ「はぐはぐ……きゅっぷい」

悪魔ほむら「あらら……キュゥべえったら、かわいそう」

悪魔ほむら「必死に、あなたのために頑張っているのにね」

ほむら「キュゥべえが、いつ、私のために?」

悪魔ほむら「あなたの認識がかつてに近づくほど、『夢の世界』は終わるのよ」

悪魔ほむら「小細工を今日まで繰り返し続けてきたようだけれど、運命(イベント)の決まっているゲームソフトのエンディングの先に中身があるかしら」

ほむら「私のしてきたことは、ゲームソフトのコンテニューじゃないわ!」

悪魔ほむら「くすくす……」

キリカ「ほむらをいじめるな!」ギャリィ

スッ

悪魔ほむら「呉キリカ……」ジトッ

ほむら「呉さん!」

キリカ「大丈夫?ほむら」

悪魔ほむら「あなたの夢の中じゃいつも呉キリカと佐倉杏子の扱いはいいのよね」

ガシッ

キリカ「がっ!?」ミシミシ

悪魔ほむら「このまま呉キリカの首をねじ切ったら、あなたの精神はどうなるのかしら」

ほむら「や、やめて……っ」

悪魔ほむら「まどかでさえあなたに悪夢を見せるというのに、許せないと思わない?」

杏子「やめろおおおおおおっ!てめえ!」ザンッ

スッ

ほむら「杏子!?」

悪夢ほむら「私の夢なのに、随分都合良く何度も助けが来る……でも」

ガシッ

杏子「あぐっ!?(く、首が折れる……!)」

悪魔ほむら「どうせ何回と希望が見えても、最後は全てどうしようもない絶望で塗りつぶされるのよ……!」ツツー

杏子(涙……?)

悪魔ほむら「あなたが最後の救いだったのかもしれない……でもどうせあなたも、何もできない」

悪魔ほむら「皆、死ぬんだ……!」

ほむら「……!!」グスッ

杏子「それはどうかな?」パアアア

悪魔ほむら「その姿は……!?」

杏子「あたしはこいつを助けるって決めてんだ」

杏子「ほむらが悪夢の世界で迷うなら」

杏子「あたしがそれを導いてやるよ……黒猫も真っ白く見えるくらいの眩しさでさ!」

悪魔ほむら「あなたもしかして、本物の……!?」

杏子「あたしの能力を、甘くみたな、悪夢め!」

悪魔ほむら「ふふ、なるほどね……あなたの性質は、『自由』なの……心の、自由」

悪魔ほむら「あなたはどこだって行けて、どんな可能性だって選べて、あなたの届いてほしいものに、誰もが耳を傾ける」

悪魔ほむら「聖女杏子、と言ったところ?」

杏子「何を言いたいのかわかんないけど、あたしはいつでも」

杏子「助けたい者を助ける!もう迷わないって決めてる!」

悪魔ほむら「……」

スゥゥ……

杏子「消えた、か……何だったんだ?」

タタタタタ…

ほむら「杏子!」ダキッ

杏子「わっとっと!?」

ほむら「助けてくれてありがとうございます!」

杏子「(ございます?)別にいいけど……あいつ(キリカ)平気か?」

キリカ「げほっげほ」

ほむら「キリカなら何でも愛でなんとかなるわ」

キリカ「!?」

杏子(あんまりすごいやつと思われるのも考えもんなんだな)

ほむら「……」モジモジ

杏子「?」

チュッ

ほむら「えへへ、お礼よ//////」

杏子「ほわあああ!?」

ほむら「ど、どうしたの?」

杏子(こいつ、現実じゃ絶対やらないような事を!)

ほむら「しばらくこうしていましょう」ギュッ

杏子「あ、ああ」

まどか「ああーっ!杏子ちゃん!私のほむらちゃんをとっちゃだめ!」

杏子「いやいや……『私の』って」

さやか「ほむらー!あたしというもんがありながら!」

マミ「責任とらなきゃだめよ」

杏子「ちっ、一旦夢から抜けるか!」

ダッ

ほむら「杏子!どこへ行くの!?」

杏子「ちょっとな!続きはまたいつかだ!」

ドンッ ヨロヨロ ペタン

杏子「いてて……誰だ!?」

ゆま「……」

杏子「ゆ、ゆま……」

ゆま「いつかって、今だよ!」

――綺麗な杏子の教会

杏子「ここは……あたしの……」

キリカ「――愛を誓いますか?」

杏子「ん?」

ウェディングほむら「……」ジッ

杏子(やばい)

バリーン!! スタッ

杏子「誰だ!?よくわからないけど助かった!」

マシュマロマン「……」ズシン…ズシン…

杏子「なんだあたしか……って、なんで二人いる?」

ほむら「マシュマロマンは……私を諦めきれなくてどこまでもついて来るストーカーよ」

ほむら「私はまどかと杏子と結婚してるからもうあの人が入る枠は無いわ……さやか枠は保留ね」

ビシッ

ほむら「いたぁい!」

杏子「一人だけにしろ」

ほむら「そんな!?」

キリカ「杏子、そんなことは些細だよ」

杏子「あ?」

キリカ「一途に思って貰えないのは胸がチクリと痛むだろうけど……それでも愛があれば順応できるはずさ!」

杏子「いやいや、本物も言いそうだけど言わなさそう……でも言うか?」

ほむら「呉さんもこう言ってくれてるわ」

杏子「いや、夢の中だからこいつもあんただろ!」

マシュマロマン「ほむらを守る」ズイッ

ほむら「ひっ」

杏子「なんでそんなに怯えて……待てよ?」フイッ

鏡「杏子ちゃんはいつだって綺麗!太るなんて、あるわけない」

杏子「あー……そういうことか」

ズバァッ!!

マシュマロマン「」

ほむら「あっ!」

タタタ

ほむら「大丈夫!?マシュマロマン!」

マシュマロマン「」

ほむら「そんな……ごめんなさい」

杏子「……」

ほむら「私は、想いの強さを知っているから、気持ちに応える事も、破ることもできなかった」

杏子「だから、逃げ続けるか、皆と結婚するのか?」

ほむら「そうよ!何もかもうまくいくなら、皆と永遠に同じ時間の中に閉じ込められてでも――」

ほむらの使い魔達「……」ニヤニヤ

ポイッ ベチャ ポイポイポイッポイ

杏子「おい、トマト投げるな!やめろって!」

ほむら「うう」

杏子(まるで血だらけだな……)

ほむら「本当は、こんな私が皆を望むなんてしちゃいけない」

ほむら「まどかと、平和にずっとだなんて――」

――墓場

杏子「ここは……墓場?」

ほむら「ここにマシュマロマンを埋めるわ」

ザッザッザ

杏子「あたしの名前がたくさんあるな、それに、皆の名前も……」

スッ

杏子「触ると、ほむらの記憶が流れこんでくる……」

~~~~~~~~~~~

杏子「呪ってやる!あたしはこの世界の全てを呪ってやる!バカヤロオオオオオ!!!」

~~~~~~~~~~~

杏子「これはあの時の、そしてこの胸の痛みが、それを見たほむらの……」

悪魔ほむら「――この地平に続くような墓場、これが全て私のせいで犠牲になった人達よ」

杏子「おまえ……」

悪魔ほむら「あなたに救えるの?」

杏子「……できるかできないかじゃない、誰に無理だって言われてももう絶望するもんか」

悪魔ほむら「じゃあ、あなたは私の敵になる」

杏子「どういう意味だ?」

悪魔ほむら「私のしようとしていることに、私の救いは無いの」スゥゥ…

杏子「待て!お前が本当のほむらなのか?じゃああいつは誰なんだ!」

悪魔ほむら『その子も本当の私、裂けてしまったもう一人の私』

悪魔ほむら『でも、どこかで繋がっている……いつか私は、私を取り戻しに来る』

悪魔ほむら『またね、杏子……』

~~現実世界

杏子「ハッ……戻ってこれたか、夢の中に入るのは危ないな……」

ほむら「ん……マシュマロマンさん、生きていたのね」

杏子「目を覚ませ」

ほむら「ごめんなさい……あなたの気持ちには応えられない」

杏子「よく見ろってぇ!」

ほむら「ひっ」

杏子「あたしだよ、あたし!佐倉杏子だ!」

ほむら「嘘……!?杏子がそんな姿に、なるわけない」

杏子「太って悪かったな!……あいつらとの暮らしが快適すぎて」ゴニョゴニョ

ほむら「……?あ、立つわね」

フラッ

杏子「おっと」ポス

ほむら「ごめんなさい、何故か、すごく消耗してる……」

ポンポン

杏子「気にすんな……あんたが弱った時は、あたしが守ってやるから……絶対、あんたが何言ってもあたしは諦めないんだからな……」

ほむら「くす……今日は、変な杏子……」

杏子(夢の中だったのに、あのほむらが出てきたせいでこのほむらが弱ってるのか?)

杏子(問題が山積みだな……)

ほむら「スゥ、スゥ……」zzZ

杏子「また寝ちゃったか、今度は、安眠できてるみたいだ」

ギュッ

杏子「……もう、あんたを一人ぼっちにしないからな」



まどか「……!……!」パクパク

かずみ「まどか、どうしたの?」

まどか「ほむらちゃんと、知らない子が……!」

かずみ「あ、あー―っ///////」

まどか「い、行こっか」

かずみ「いいの?ほむらを探しに来たんじゃ」

まどか「いいんだもん」プンス


つづく

――杏子の教会

キュゥべえ「ほむらの夢の中で、そんなことが」

杏子「いい加減喋ったらどうなのさ?あんたが何をしたいのかさっぱりなんだけど」

キュゥべえ「……悪魔ほむらに全て筒抜けなようだから黙っていても仕方ないね」

キュゥべえ「暁美ほむらは悪魔化した時、まずは僕達をどうしようか考えた」

キュゥべえ「僕達がぼろ雑巾のようになるまでこき使い暴力で封じたりもした」

キュゥべえ「でもそれだけでは完全ではないと悟ったのだろう、僕達が苦しみつつ自立して己を制することができる一つの感情を植え付けた」

杏子「『愛』、か?」

キュゥべえ「……その感情を得た僕達は、暁美ほむらの理想通りかは知らないが、実に酷い有り様となったよ」

杏子「自責の念って奴に苦しめられでもしたのか」

キュゥべえ「色々さ、愛から発した様々な派生の感情がインキュベーター全体を爆発的に蝕んだ」

キュゥべえ「個は全であり全が個であったインキュベーターが分裂し、派生ごとの対立へと発展した」

キュゥべえ「僕は、そんな中の一個体『ほむらを愛しているキュゥべえ』さ」

杏子「……本気で言ってるの?」

キュゥべえ「本気だよ、例え作られた感情でもね……」

キュゥべえ「悪魔ほむらは僕達の姿に満足すると、次は円環の理の制御を完全なものにしようとした」

キュゥべえ「それが間違いだった……気がついた時には、悪魔ほむらは壊れてしまっていたんだ」

杏子「何があったのさ……ほむらは今も元気だし、夢の中の悪魔ほむらも正常だったぞ」

キュゥべえ「円環の理は『まどかの宇宙』とも言える膨大な領域に魔法少女の魂が融合することで誕生した次元規模の巨大なネットワークと言えるものだ」

キュゥべえ「円環の理が誕生した瞬間に、既にそれは魔法少女の集合体であったので、外の世界による相応の負荷も処理しきれたのだろう」

キュゥべえ「円環の理に繋がっているとはいえ一つの魂に強大な奔流が直撃した暁美ほむらは、急激にその存在を磨耗してしまった」

キュゥべえ「僕達は、暁美ほむらのためにインキュベーターのネットワークを使い、彼女の維持に勤めた」

キュゥべえ「しかし、分裂してしまっていた僕達のネットワークの影響による不具合で、暁美ほむらも裂けてしまったんだ」

杏子「じゃあ、今の宇宙にはほむらが何人もいるのか?」

キュゥべえ「違うよ、ほむらがほむらとして宿っていられる器はダークオーブだけだ」

キュゥべえ「ダークオーブは世界の鏡になっているとも言えるもので」

キュゥべえ「かつての宇宙に近づけばかつての悪魔ほむらが蘇る」

キュゥべえ「今のままか良い変化であれば、現状維持だ」

キュゥべえ「魂のあり方には因果と密接な結びつきがある」

杏子「ってことは……あんたたちがやってた意味不明なことって」

キュゥべえ「取り返しのつかないような変化を起こし、悪魔ほむらを封印する」

キュゥべえ「宇宙を思いのままにしようとする悪魔ほむらを排除でき、僕達の必要な暁美ほむらも残る」

キュゥべえ「最適な手段だと思わないか?」

杏子「あんた達……本当に感情を手に入れたの?」

キュゥべえ「……」

カベドン

杏子「ちっ……やっぱりあんた達には任せておけない、あたし達でほむらを守る」

キュゥべえ「いったい何から?」

杏子「え……ほむらを……なんだ?」

キュゥべえ「現実から、とでも言うつもりかい?」

キュゥべえ「壊さなきゃいけないのは、悪魔ほむらの作ったこの宇宙だ」

キュゥべえ「君が、今のほむらを守りたいなら、君は悪魔ほむらと与する全てと戦う運命を選ぶ事になる」

杏子「そんな……」

キュゥべえ「わかっていると思うけど……今の暁美ほむらは、宇宙改変前と『暁美ほむらの魔女結界』で杏子の出会った暁美ほむらがベースだ」

杏子「そ、そうだ!あたしの魔法でほむらを……っ」

キュゥべえ「例え暁美ほむらの脳を弄ろうとダークオーブに干渉しようと無駄だよ」

キュゥべえ「……杏子、もう一度言うよ」

キュゥべえ「今の暁美ほむらを守ろうとすれば、悪魔ほむらを救おうとしている織莉子達とも衝突するし、悪魔ほむらを受け入れ始めているさやか達とも戦う事になる」

キュゥべえ「もちろん、暁美ほむらそのものを排除しようとする勢力もいるはずだ」

キュゥべえ「彼女達はそれらに応じた派閥の僕達がサポートしているだろう」

キュゥべえ「それら全てを打ち負かしほむらの過去の希望を救うことは、君にとって足る祈りなのかい?」

杏子「過去……か」

キュゥべえ「……」

杏子「ぶっちゃけよくわからないけど……あたしは今度こそほむらを救ってみせるって決めた、そしてあいつ(悪魔ほむら)にも誓った」

杏子「悪魔に誓ったなんて言うのも変だけどさ、しかもここで……」

杏子「でも、悪魔ほむらがあたしに求めていた答えなんじゃないかって気もする」

キュゥべえ「悪魔ほむらが、どうしてだい?」

杏子「さぁ……」

キュゥべえ「厳しい展開が待っているよ」

杏子「気にすんな、慣れっこだ
……H(ハード)な仕事に挑戦してやるよ」

キュゥべえ「よろしく、杏子」

杏子「よろしくな、キュゥべえ」ニカッ

――美樹ハウス

サヤカチャン……サヤカチャン……

さやか「うぅ……なんなのよ……」

サヤカチャン……クルシイノ……?

さやか「わかんないの……?」

ヒトツニナロウヨ……ソウシタララクニナルヨ……

さやか「嫌だって……」ハァハァ

ドサァ

さやか「くぅ……」

キュゥべえ「……やれやれ、それで君は来たるべき時まで持つのかい?」

さやか「何しに来たのよ……」

キュゥべえ「僕達も少し急がなくてはいけなくて……君を助けに来たんだ」

さやか「そう……でも余計な御世話だわ」

キュゥべえ「……佐倉杏子は、悪魔ほむらを無きものにするつもりみたいだよ」

さやか「……え?」

キュゥべえ「正確に言うと、現状のほむらを受け入れるつもりなんだ」

カクカクシカジカ キュップイプイ

さやか「そんな……ほむらも、裂けて……」

キュゥべえ「君が円環の理を手にすることができたのに……何も疑問はもたなかったのかい?」

キュゥべえ「いるべきはずの守護者のいない門の……その異常さに」

さやか「……そっか」

キュゥべえ「やけに落ち着いているね」

さやか「杏子と戦わなきゃいけないかもしれないのは哀しいけど……でも、あたしは決めたんだ」

さやか「何があってもほむらを信じるって」

さやか「今度こそほむらの味方でいるって……それは、『今のほむら』なんだ」

さやか「信じて裏切られるかもしれないけど」

さやか「あはは……あたしって、バカだから」

キュゥべえ「……なら君も見届けるといい、暁美ほむらの見た世界を」

さやか「え?」

キュゥべえ「もともと、君が円環の理の負荷を解消するために必要なことでもあった」

キュゥべえ「僕達のネットワークを利用して、高い次元の処理を完全なものとするんだ」

さやか「わかった……やって」

パァァ…

さやか「」コテッ

キュゥべえ「いったか……帰ってくるまで時間はかかるだろうけれど、理論の世界とはいえ僕達がサポートすればきっとさやかは迷わない」

ドガッ!!

キュゥべえ「ぐぇっ!?」

ゴロゴロ ズサー

キュゥべえ「さ、さやか……なにが?」

さやか「私は……さやかちゃんじゃないよ……」

キュゥべえ「だ、誰だ……?」

さやか「ウェヒヒヒ……誰だっていいじゃない、あなた達はいつだってそうだったんでしょ?」

ブヂッ!!

キュゥべえ「きゅう!!」

さやか「さやかちゃんを苦しめてたのは負荷だと思ってたなんて、キュゥべえも意外とおばかさんだね♪」

キュゥべえ「君は、まさか……?」

ブヂュルルルル グチャッ…

さやか「ほむらちゃんは、私の……最高の友達……迎えに行くからね……」ティヒッ ティヒヒヒ……

――高次元の世界

さやか「ここは……外?外に出てきただけ?」

さやか『キュゥべえ、あたしに何をしたの?』

さやか「あれ?……返事が無い……とりあえず、朝だし学校で皆と会おう……」

――群馬県 前橋公園

さやか「……?」

スタスタスタ

――群馬県 某所

さやか「あれ……?学校が無い」

ガヤガヤ

さやか「……なんだこれ、よく似てるけど、ここは見滝原じゃない……?」

さやか「これがほむらの見た世界?円環の理のさらに、先なの……?」

さやか『ねぇキュゥべえ!あたしに幻覚を見せて何がしたいの!?』


さやか『ねぇってば!』


ゾクッ

さやか「……なんなの?この感じ……すごく、嫌な予感がする」

さやか「あたしは、ここにいちゃいけない……」ダッ

タタタ…

――群馬県 某所2

さやか「はぁ、はぁ……宇宙の外には、また宇宙があるの?」

さやか「わけわかんない……キュゥべえは、これを見せて何がしたかったの……?」

ザッ

???「さやか……?」

さやか「え?」

恭介「さやか、なのかい?」

さやか「恭……介……?」

恭介「さやか……さやかだ!本物の!」

タタタ… ギュッ

さやか「えっ!?ちょっ!?//////」

恭介「やっと、やっと会えた……!さやか、さやか……!」ポロポロ

さやか「恭介……?」

――上条家

恭介「ただいまー」

恭介父「おかえり……あれ、その子は?」

さやか「お、おじゃまします……」

恭介「……わかんないの?」

恭介父「……はて」

恭介「……ふん」

――恭介の部屋

さやか「恭介の部屋、昔のままだね」

恭介「僕が、違うのをまた直したんだ」

さやか「……」チラ

恭介「左手が気になるかい?」

さやか「!」ビクゥッ

恭介「……動かないよ、でもいいんだ」

さやか「いいって……そんな――」

恭介「僕のせいでさやかがどうなったか知ってるから!!」

さやか「……え?」

恭介「さやかは、いつのさやかなんだい?」

さやか「何言ってるの?」

恭介「ごめん……さやか」

――WCの前

さやか(思わずトイレって逃げて来ちゃった……)

スタスタ

さやか(恭介の部屋以外は、なんか全然違う……)

恭介父「恭介に何か言われたかい?」

さやか「いえ……」

恭介父「今でこそ大分落ち着いているが、恭介はある日から妄想をするようになってね」

さやか「妄想……?」

恭介父「親の私が言うのもなんだが、あの子は病気だ……君に、迷惑をかけなければいいのだが」

さやか「……」

――恭介の部屋

さやか「ただいま――」

ギュッ

さやか「ひゃあっ!?//////」

恭介「長い、長いよさやか!」シクシク

さやか「……恭介?」

恭介「もういなくならないでくれ……」

さやか「……うん、大丈夫だよ」キュ



さやか「落ち着いた?」

恭介「うん」

スッ

恭介「さやか、君はどうしてこの世界に来たの?」

さやか「……全てを知りに」

恭介「それなら最初に僕のことから話そう」

恭介「僕はある日突然、この世界にいた……無いはずの僕の記憶も持ち合わせてね」

恭介「なんで元の世界に拒絶されてしまったのかはわからない」

恭介「見慣れている景色で僕の知っている全てがそこにない」

恭介「家族も嘘みたいで……さやかとの繋がりもまるで無かったみたいに、残酷に左手の傷だけがあった」

さやか「……」

恭介「何もない世界でも、バイオリンができれば良かったのに!そうずっと思ってた、あの作品に会うまでは」

さやか「あの作品……?」

恭介「見てみる?今も、ちょうど途中で止めてあるところなんだ」

ピッ

テレビ「大丈夫だよ、きっと何とかなるよ!諦めなければきっといつか……!」

さやか「……え!」

テレビ「奇跡も、魔法も、あるんだよ」





さやか「……」

恭介「僕は怪我のせいで現実逃避して」

恭介「同姓同名のこいつになりきってる病気なんじゃないかって」

恭介「見滝原であった全ては全部嘘で」

恭介「さやかなんていないんだって、必死に思い込んだ」

恭介「でもそれで良かったって、最近思えてきてたんだ……!」

恭介「僕のせいで、不幸になったさやかなんてどこにもいなかったんだから……!」ウッ ウゥ…グスッ

恭介「だのにまた、さやかぁ……僕は、僕はっ……」

さやか「……ちょっとまって、それってどのくらいまで詳細に描かれてるの!?」

恭介「へ?」

さやか「コミック版もあるじゃん!ちょっと見せて!!」

――数分後

さやか「ああー―っ!」

恭介「……ごめんさやか、僕ばっかりうろたえて」

さやか「」パクパク

恭介「だから、落ち着いて」

さやか「ハァーハァー///////」

恭介「わかるよ、仮に僕が君みたいにこんなにも内面を晒されたらって思うととてもじゃないけど……」

さやか「うわははは……//////」

恭介「ほんとにすまんかった……!僕なんかよりも君のほうがショックが大きいはずだった!」

さやか「あたしって、ほんとバカ……なのが日本全国に!」

恭介「大丈夫だよ!僕なんてクズとかネットでぼろくそに言われてることもあるんだから!」

さやか「ネットで……?」ピクッ

恭介(しまった)

さやか「それも見る!」

恭介「ダメェ!!」


つづく

~~翌日 まどか達の世界 見滝原中学校

まどか「……」プンス

ほむら「ね、ねぇまどか……怒ってる?」

まどか「何のこと?」

ほむら「今日の朝から、変よ」

まどか「……」プイ

ほむら(けどかわいい)

さやか「ほ~む~らっ!」

ダキッ

ほむら「きゃっ!?さ、さやか!放しなさい!」

さやか「やーだよ♪」ルミナスルミナス

まどか「む~~!さやかちゃんとまで!?」ガタッ

タッタッタ

ほむら「ま、待ってまどか!もう!さやか!」

さやか「ウェヒヒ……」ニタァ

ほむら(「とまで」って……何のこと?)

 ・

 ・

 ・

さやか「ほ~むらちゃん♪」

ほむら「何よ」

さやか「えへっ!呼んでみただけだよ!」

ほむら「さやか……あなたも朝から変よ?」

さやか「ティヒヒヒ……まどかなんてほうっておこうよ」

ほむら「そんなわけにもいかないわ……だいたい、そんな言い方」

さやか「そんなに、まどかが大切なの?」

ほむら「そうよ?」

さやか「そっか」

スッ… ガシッ

ほむら「ちょ、なに――」

チュウ

ほむら「―――――っ!?」

プハッ

さやか「ごめんね……また明日」ダッ

タッタッタ

ほむら「」パクパクパクパ

――ほむホーム

ほむら「」

杏子「どうしたってんだ?ほむらは」

キュゥべえ「さぁ……」

杏子「さぁって、あんたいつもあたし達のこと見てるんだろ」

キュゥべえ「大多数の僕ならまだしも僕達は少数派なんだ……穴はできる」

杏子「これから協力してくっていうのに頼りねぇなぁ」

ほむら「杏子、例えばよ?親しかった友達から急にキスされたら……どうする?」

杏子「キス……だって?」

杏子「///////」ボッ

杏子(ヤバ、夢の中でほむらにキスされたの思い出して――)

ほむら「杏子?」ズイッ

杏子「わぁっ!?///////」

ほむら「?」

杏子「あの時のことは……その、ノーカンだろ?///////」

ほむら「えっ……!?」

杏子(あっ、ほむらは忘れてたのか)

ほむら「私、いつの間に、杏子とキスしていたの……!?」

杏子「気にすんな……あたしは平気だから」

ほむら(杏子……傷ついてる?私、なんてこと……!)

ダッ

杏子「お、おい!どこへ行くんだ!?」

ズシン…

杏子「はぁはぁ、体が重くて追いかけられない……」

キュゥべえ「やせなよ」

――公園

ほむら(どうして、飛び出してきてしまったの……?)

ほむら「杏子を裏切るのが、辛いのね……」

トボトボ

悪魔ほむら(……裏切るって、今更何を?)

ほむら(……)

悪魔ほむら(まどかだって、きっと優柔不断なあなたに愛想が尽きたのよ)

悪魔ほむら(見なさい、世界に溢れる歪み達が、今もあなたを見ているわ)

使い魔達「……」

魔女「……」

魔獣「……」

ほむら「あれは……幻覚よ」

悪魔ほむら(そうね……でも隣り合わせ)

悪魔ほむら(……あいつらと戦い続けるために、誰にも頼らない生き方をすると決めたのではなかったの?)

ほむら「違う、私は……」

悪魔ほむら(楽になりなさい、そうすれば、続きは私がやってあげるから――)

ガガガガガ

小巻「らあああああああっ!!」

ズバァッ!!

魔獣「オオオオオオオ!!」スゥ…

小巻「ふぅっ……」ファサ

ほむら「はっ!?」

小巻「そんな景気悪い顔で歩いてると、事故るわよ」

ほむら(魔獣の、心理操作だったの?)

小巻「聞いてる?」

ほむら(でも、あれは――)

ゲンコツ!!

ほむら「いたぁい!」

小巻「目が覚めたわね!危ないところだったのよ!」

ほむら「いきなり何するんですか!」ウルッ

小巻「『私に』口答え禁止!」

ほむら(な、なんなの?――)

――ファミレス

小巻「ふーん、それで悩んでて魔獣につけ込まれたわけだ」

ほむら(この「浅古小巻」という人、知らない魔法少女だ……この街で私の知らない子がまだいたのね)

小巻「気をつけなさいよ!最近はその魔獣っていうのの動きが活発になってきてるようなんだから」

ほむら「わかったわ」

小巻「……」

ほむら「……」ホム

小巻「なんとか言いなさいよ!」バンッ!!

ほむら「……」ビクッ

小巻「……その、あんた悩む必要なんて無いわよ」

ほむら「え?」

小巻「……」ズイッ

ほむら「な、なんですか?」

小巻「目を瞑ってみて」

ほむら「……」スッ

小巻(ふふん……)

チュッ

ほむら「!?」

ほむら「な、何を……っ!?」

小巻「キスだと思った?指を当てただけよ!」

ほむら「え……」

小巻「私がネタバレしなかったら、それも抱えていったつもり?本当に好きな子に気を遣って」

ほむら「そ、それは……」

小巻「本命以外は関係無いのよ、気に障るなら口も指も同じなんだから」

小巻「いつだって何が本気なのか自分だけが決めてるの」

小巻「誰に何されたって構う必要ない」

ほむら「浅古さん……」

小巻「小巻、でいいわ!」

ほむら「小巻さん、あなたは……」

ほむら「あなたは、一人の友達を助けるために他の友達を全員見捨てなければならないなら」

ほむら「いったいどうする……?」

小巻「助けるわよ」

ほむら「……」

小巻「全員助けるって決めて全てを賭けるわ」

ほむら「……!」

小巻「きれいごとだと思う?」

ほむら「……」コクリ

小巻「……フッ、はっきり言うわね!」

ほむら「……」

小巻「でも私が決めたのよ」

小巻「できるかできないかなんて関係無い、この『浅古小巻』がやるって決めたなら」

小巻「その時は何だってやってみせるわ」

小巻「キスだってなんだって同じ」

ほむら「……くす」

小巻「何よ」

ほむら「……答えじゃなくて心構えですね」

小巻「……!ふん!心構えがいつだって答えなんだから別にいいでしょ!」

――ほむホーム

ほむら「ただいま……」

杏子「おかえり、ほむら!何かいいことあったのか?」

ほむら「え?」

杏子「なんか、嬉しそうだぞ」

ほむら「そ、そんな顔してた?」


――就寝前

ほむら「浅古小巻、か……変な人だった」クス

ほむら「でも、きっとあの人は――」

ほむら「そういえば、浅古小巻……なんだろう、今になって思うと、どこかで聞いた覚えが……」

ジジッ

ほむら「……彼女は見滝原女子生徒殺害事件の……被害者だわ」

ほむら「あの人も魔法少女だった、なら……もしかして」

ほむら「私の知ってる皆の誰かに、殺されてしまうかもしれないの?」

――美国邸

織莉子「刻は来た……」

キリカ「本当にいいのかい?織莉子」

織莉子「……嫌なら降りても構わないわ」

キリカ「! 違うよ織莉子!嫌だなんて全然思ってない!恐れも全く無いんだ!だから――」アタフタ

織莉子「ごめんなさい、キリカ」

キリカ「え?」

織莉子「いえ、なんでもないの」

織莉子(あなたが降りてくれたらなんて、少し言い訳をしたかった私がいた)

織莉子(キリカ、体が震えてる……そうよね、皆と仲良くなりすぎたもの)

織莉子(――私も)

織莉子(この世界、楽しかった……)ニコ


織莉子「まどかさんを……抹[ピーーー]る」

織莉子「それが、(悪魔)ほむらさんとの、約束」


つづく

~~ 数日後 高次元世界

さやか「恭介っ!似合う?」クルンッ

恭介「うん!とっても似合うよさやか」

さやか「でも、いいの?ほんとに……」

恭介「いいんだ、本当にとっても似合うよ」

さやか「えへへ……」


さやか(恭介、だいぶ元気になったみたい)

さやか(それにしても、いきなり洋服をプレゼントしたいだなんて)

さやか(お金、あんまり持ってないくせに)

さやか「あたしも、何か恭介にしてあげたいな」

恭介「い、いいよ、そんなこと……さやかはそんなこと考えないで」

さやか「でも……」

恭介「考えなくていいんだ!」カベダン

さやか「!? う、うん……」

さやか(何かしてあげようとすると、たまにすごく怒るなぁ……これが男ってやつなのかな?)

恭介「それ(プレゼント)、大切にしてよ?」

さやか「うん!ずっと、大切にする!」

恭介「ほんとに、ずっとだよ……?」

恭介「さやかも、だいぶここでの生活に慣れたね」

さやか「適応力ありますから」

恭介「嘘をつくなよ、僕はなんでも知ってるんだぞ」

さやか「うっ……もうその話は」

恭介「これからはまず先になんでも僕に相談してよ」

さやか「もう、そればっかりだよ恭介」

恭介「だって……」

テトテト

さやか「あっ……」

恭介「どうしたの?」

さやか「今……ちょっとそこで待ってて、恭介!」

恭介「! さやか待っ――」

テトテト

さやか「見えた……!」

テトテト

さやか「もう、曲がりくねった道ばっか入って……!」

テトテト

テトテト

テトテト

さやか「はぁ、はぁ……こっちの心を、読んでいるみたい」

テト… ピョンッ スト

ジュゥべえ『読んでいるのさ……繋がっているからね』

さやか「キュゥべえ……やっと話せるね」

ジュゥべえ『キュゥべえ……ではないよ、私だ』

さやか「……カンナ!?」

ジュゥべえ『この世界でこの端末を作るのには苦労したよ、私がいて良かったな』

さやか「どういうこと?」

ジュゥべえ『あんたがキュゥべえに唆されてから見滝原は大変なんだ』

さやか「見滝原が……!?」

ジュゥべえ『ことは急を要するから、早く戻ってきてみてほしいな』

さやか「で、でも――」


恭介「わああああああああああああ!!」ダダダ

ジュゥべえ「!?」

バキィッ!!

ジュゥべえ『撒いた…ジジッ…はずなのにな…ジジッ』

恭介「消えろぉっ!インキュベーター!!」ゴツンゴツン

ジュゥべえ『まあいいさ……また来るから、さやか……チャオ』

パラッ…

恭介「はぁ、はぁ、はぁ……この世界にまであいつらが……!?」

さやか「きょ、恭介、違うの今のは――」

恭介「さやか!」

さやか「っ!」

ダキッ

さやか「ちょっ!?///////」

恭介「もう少し、僕を信じてくれよ……ぐすっ」

さやか「恭介……?」

恭介「今度こそ、こんな腕無くたって立ち直ってみせるから……だから、だから……」

さやか「恭介……」

――深夜 さやかの仮部屋

さやか「あたし、願いを叶えたのは恭介に良かれと思いきってたけど」

さやか「恭介が全てを知った時、プライドを壊しちゃう事をしただけだったのかもしれない」

さやか「でも――」

コンコン

さやか「どうぞー」

恭介「さやか……」

さやか「どうしたの?」

恭介「一緒に寝よう」

さやか「んなっ//////」

さやか「そ、それは中学生の男女がやるにしては少々不健全極まりない行為であるとあたしのモラルがあれでそれでとにかく恥ずかしいっていうかうにゃむにゃ――」

――恭介の部屋

さやか「――来てしまったー!」

チクタクチクタク

さやか「きょ、恭介……手をつないでると眠れないかなー、なんて」

恭介「……」プイ

さやか「……」

チクタク

さやか「ごめんね、恭介」

恭介「何が?」

さやか「勝手に、恭介の手を治したりして」

恭介「……謝るなよ」

さやか「でも……うん」

さやか「……仁美のこと、どう思ってた?」

恭介「……どうして今その話を?」

さやか「いいから」

恭介「うっとうしかった」

さやか「え……?」

恭介「あいつのせいでさやかがいなくなったんだって思えてきて」

さやか「そんなわけないじゃない!」

恭介「だから冷たくしちゃった……志筑さんには悪いことをしたね」

さやか「……」

恭介「それだけ?」

さやか「恭介のバカ」

恭介「……変なさやかだな」

――数分後

恭介「すぅ、すぅ」zzZ

さやか「……ごめんね、恭介」

ヒタ スクッ

さやか「やっぱり、戻らなきゃダメみたい」

さやか「だってあたし、さっきの話、喜んじゃったもん……」

さやか「だから、さよなら」

スタッ

ジュゥべえ『私はコネクトでキュゥべえのネットワークを介してさやかと繋がってる』

ジュゥべえ『さやか、今なら円環の理の力で変身して元の世界へ帰る事ができる』

さやか「うん、なんとなくわかるよ」

ジュゥべえ『でも、肉体の維持以上に魔法少女の力を使えるのは数秒だ……そして、おそらくもう二度と戻ってこれない』

さやか「どうして?」

ジュゥべえ『物語は円環の理の消失という結末へ向かっているからさ』

ジュゥべえ『あんたは、それでも「暁美ほむら」を信じる……そうだよね?』

さやか「……うん」


さやか「ちょっとだけ待ってて」

ジュゥべえ『……』

タッタッタ タッタッタ ゴソゴソ

さやか「えへへ」

ジュゥべえ『似合ってる』

さやか「当たり前だよ、だってあたしの――』

チュッ

さやか「さぁ、行くぞー!」パァァ

ジュゥべえ『チャオ!』

シュバァッ



恭介「ん……さやか?」ゴシゴシ

ワキワキ

恭介「あれ?腕が動く――」

――数日前 見滝原

小巻「ふむ……」キョロキョロ

晶「おはよっ!小巻!!」

小巻「ひゃっ!?し、静かにしなさいよ!」

晶「……どうしたの」

小巻「いや、ちょっと……ね」

晶「ふぅん」

小巻「晶」

晶「なに?」

小巻「おはよう!モタモタしてると置いていくわ!」ズカズカ

晶「お、おう」ズコー

美幸「小巻ちゃん、晶ちゃん、おはよ~」


ほむら「……」ホム

――白女 学園教室内

小巻(ここまで来れば大丈夫よね)フゥ


晶「小巻、明らかにおかしいよね」

美幸「うん……心配事でもあるのかな」

晶「きっとストーカーだ」

美幸「え?」

晶「小巻が心配事なんて柄じゃないし」

美幸「あはは……」

晶「だからそんな小巻の表情を曇らせるものがあったとしたら」

美幸「したら?」

晶「ありのままの小巻を愛してしまった者なのだ」

美幸「最近そういう本でも読んだの?」

晶「じつは。」

美幸「ふふ」クスクス


女生徒A「ねぇねぇ、あなた転校生!?」

女生徒B「どこからいらっしゃったの?」

女生徒C「凄い綺麗な髪!シャン…リンスは何使ってるの?」


晶「なんだろ?騒がしいな」

小巻「zzZ」

――放課後

小巻「……どうして今日は一日中寒気がするの?」

晶「はは……か、風邪だよ、たぶん……」

美幸(どうしたらいいの)

小巻「風邪か……そんなものに私が負けるとでも!?」キッ

晶「そ、そうだな……じゃあお化けが憑いてる」

小巻「この歳になって何言ってるのよ」

晶「まいったね!小巻にも霊感を与えたいよ!」

美幸「そうだね」アセアセ

ほむら「……」ホム

晶(なんで気づかないんだぁ~っ!)

美幸(すごいすごみでつっこめない)

――浅古小巻邸前

晶「ついたぁ~!」

小糸「お姉ちゃんと晶さんと美幸さん!お帰りなさい!」

小巻「ただいま、小糸」

小糸「あれ……?その方は?お姉ちゃんの新しいお友達?」

晶(小糸っちグッジョブ~~っ!)ウルウルウル

小巻「ん?」クルッ

ほむら「……」シュンッ

小巻「誰もいないじゃない」

晶「消え――っ!?」

美幸「」パクパク

小糸「あわわ……お化け?」

小巻「何?あんたまでそんなこと……」

小糸「ほんとだよ!お姉ちゃん達と同じ制服を着た長い髪の毛の女の子がいたもん!」

小巻「はいはい、入るわよ……晶、美幸、また明日」

晶「う、うん」

美幸「また明日……」

小糸「……晶さん、美幸さん、また明日」

カチャ… バッタン

晶・美幸「……!」

晶「い、今たしかに!」

美幸「うん、もう家の中にいた……!」

晶「皆に見えてたけどほんとにお化けだったんだ!どうしよう!」

美幸「ままま、まだ慌てるような時間じゃない」

晶「えーと、りんぴょうとうしゃ……」

美幸「何やってるの?」

晶「め、名陰陽師 行方晶におまかせあれ……なんちて」プルプル

美幸「やめて」アセアセ

――小巻部屋

小巻「さて……宿題やろ」

ほむら「やっと二人きりになれた」

小巻「ひぃっ!?」ヒィッ ヒィッ エコー


ほむら「耳が……」キーン

小巻「『耳が……』じゃないわよ!どうしてここにいるの!?しかもうちの学校の制服で!」

ほむら「話を、聞いてくれなかったから……」

小巻「私が死ぬかも知れないって話?あんたが一番怪しいんだけど」

ほむら「1日見ていてわかったのだけれどあなたって辛辣ね」

小巻「悪い?」

ほむら「悪くないわ、むしろ……くす」

小巻「なによ」

ほむら「あなたみたいな人もいるなんて」

小巻「やっぱり馬鹿にしてる!?」

ほむら「してないわ」

小巻「ふん……」

ほむら(この人を、守ってみせる)

ほむら(そして、私は――)

――翌日 見滝原

まどか「」

かずみ「まどか、まどか」ユサユサ

まどか「今日もほむらちゃん学校に来てなかった……はぁ、昔はこうじゃなかったのにな~~」

~~回想~~

ほむら「まどか、ここはこうよ」ピト カキカキ

ほむら「私はまどかのために毎日学校に来ているわ」

ほむら「まどか、これを一緒にやりましょう」

ほむら「あなたは私が守るわ」

ほむら「まどか、好き……///////」

チューーーー

~~~~~~~~~~~~~~

かずみ「いやいやいや、無かった記憶が混じってるよ!?」

まどか「心を読んだね!?」

かずみ「読めなくてもそんなまどほむしい顔してたらわかるよ!」

まどか「なにそれぇ、そんな顔してないよぅ」クスクス

キャッキャ

織莉子「ごきげんよう、まどかさん」

まどか「織莉子さん!こんにちはー!」

かずみ「キリカのお迎え?」

織莉子「違うの、美樹さやかさんにちょっと用があって……彼女、いつもと変わり無い?」

まどか「うーん、そういえば最近さやかちゃんともあんまりお話してないかなって、というか皆と!」

まどか「もしかして……避けられてる!?」ガーン

織莉子「違いますよ、まどかさんは皆にちゃんと愛されています」

まどか「えへへ……//////」

織莉子「ふふふ……わたしも、あなたの事が好きですよ」

まどか「ふぇっ!?」

かずみ「どうしたの織莉子?なんか、笑顔なのに笑ってない気がする」

織莉子「ついでなのでお別れを……」

まどか「え?」

織莉子「かずみさん、まどかさんのこと、しっかり守ってください」

織莉子「私の予知になかったかずみさんの存在はきっと希望だわ」

かずみ「いきなりどうしたの?」

まどか「そうだよ、お別れなんて言わないでください……」

織莉子「ありがとう、あなた達と会えて良かった――」ニコ

――校舎内

織莉子「ごきげんよう、さやかさん」

さやか「あれ?織莉子さん珍しいね!」

織莉子「この校舎に来るのは久しぶり、そう……私には二度と、来る勇気が無かった」

織莉子「覚悟していても、狂っていたとしても……抱えたものの重さは何も変わらなかった」

さやか「ふぅん……」

織莉子「どうして、わたしを警戒するの?」

さやか「警戒なんて、してないけど……変な織莉子さん」

織莉子「わかってるわ……あなたはわたしの『どこまで知っているのか』を恐れている」

さやか「っ……何が言いたいのさ」

織莉子「『さやかさんに』ごめんなさい」

ガシャァン!!

さやか「!?」

ズバァッ!! ガキィン

キリカ「あれ、当たらなかった!」

さやか「っ……全部、知ってるんだね」

織莉子「やはり、武器は『弓』……」

さやか「てぇい!」ブンッ!!

キリカ「ぐっ!?」

織莉子「キリカ!?」

キリカ「やばい、織莉子の言ってた通りだ……」

織莉子「魔法が、通用しない」

織莉子「頑張って、キリカ……今しか無いの、直接戦闘力のあるあなただけが頼りなの」

キリカ「嬉しいよ、私が織莉子の唯一無二だなんて」

さやか「ほむらちゃんが最近いないタイミングを狙ったのかな?でも……こっちには味方が沢山いるんだよ」

魔法少女達「……」

織莉子「あれは……」

さやか「キュゥべえの生み出した模倣悪魔だよ!ここまで予知してたんでしょ?だから苦しかったんだよね、織莉子さん!」

織莉子「……っ」

キリカ「……やるよ」

織莉子「キリカ」

キリカ「全部、斬っていく……いずれにせよやることだった」

キリカ「それを、被害を最小限に留めて直接あいつをやれるか、迷って試してくれたんだろう?」

キリカ「織莉子、その優しさは悔しいよ」

キリカ「なんだって、私はできたんだから」ジャキン

織莉子「キリカ……!」

さやか「うぇひひ……強がっちゃって、じゃあこれならどう?」

マミ「……」

キリカ「マミ!?」

織莉子「そんな……マミさんまで」

さやか「三人とも、今回はとって~も、仲良くなってたもんね!」

織莉子(こんなの、予知に無かった……)

さやか「マミさんと戦ったら、キリカさんの『運命』はどうなるかわかるよね?」

キリカ「……とっておきをするよ」スゥ フゥ…

さやか「とっておき?何をしても変わらないよぉ?」クスクス

キリカ「魔法少女の、Ver2だ……!」ゴォォォ

織莉子「キリカ、いつの間に……」

キリカ「……いくよ!」

ズバズバズバズバァ!!

マミ「!?」

さやか「速い!?なんで!?マミさん!!ちゃんと狙って!他の子達がやられちゃう!!」

マミ「……っ」ダンダン!!

キリカ「あいつが魔法を無効化できても、私の愛は止められない」

キリカ「私の愛は織莉子のためなら何度でも変わるんだ」

織莉子(キリカ、わたしを守るためにかずみさんにお願いしたのね)

織莉子(ごめんなさい、すてきなパワーアップをこんな事のために)

キリカ「さぁ、あとはマミとお前だけだ」

さやか「マミさんっ!!」

キリカ「当て身!」シュンッ

マミ「」バタッ

キリカ「さぁ、あとはお前だけ」

ジリッ

さやか「ひっ」

キリカ「……」スッ

さやか「ごめんなさい!た、助けてよぅ……!」

キリカ「ごめんね『さやか』」

ズンッ!!

織莉子「かふっ……」

魔法少女達「」グサッグサッ

マミ「」ダンダン!!ダダン!!

キリカ「なっ――」

バキィッ!!

キリカ「あぐっ!?」

さやか「キリカさんのソウルジェムに、ヒビ入れちゃった……」

キリカ「あ、ああ……」

織莉子「キ、リカ」ゴプ

さやか「キュゥべえの手で悪魔になった子達の魂はね、実はもう私が導いてるの」

さやか「不完全な円環の理から無理やり現世と繋がってる少女達」

さやか「円環の理を完全に掌握して裂いたほむらちゃんのすごさとはまったく違うんだよ?」

キリカ「ぐ、ああ……!」

さやか「キリカさんもマミさんと同じようにしてあげるね……もう体の自由が利かないでしょ?」

キリカ「おり……こ……」スタスタ

さやか「さぁ、そのまま織莉子さんにトドメを刺しちゃえ!!」

キリカ「いやだ……いやだあああああ!!」

パリィン!

織莉子「」

キリカ「織莉子……そんな、私が織莉子を……」ズズズ

さやか「これで邪魔者が少しいなくなるね……二人とも、バイバーイ!」

パリィン!

杏子「へぇ……最近さやかが変だなとは思ってたけど、そういうことだったんだ」

さやか「はっ……!?」

織莉子「?」

キリカ「?」

さやか「嘘……今までの、全部幻覚!?」

杏子「あたしはあんたに操られないってことは、ほむらと同じ領域にいるってことか?」

さやか「杏子ちゃんは高次元の神の世界にも入ったことないくせに……!」

杏子「そんなのあるの?だったら、いつかあたしもそこに行って神様に言いたいこと言わせてもらうとするよ」

杏子「でもその前に、あんたをさやかの体から追い出す!」

さやか「みんな!こうなったら杏子ちゃんも一緒にやっちゃっておしまい!」

魔法少女達「キー!」ワラワラ

杏子「とうっ!」

キュピィィン バシッ

魔法少女「キィ……」バッタン

さやか「ねぇ、どうしたの!?何か変だよ!?」

キリカ「なんか、ヒーローショーみたいに……」

織莉子「杏子さんが完全に力を制御して、相手のあらゆる可能性を遮断しているのよ」

キリカ「じゃあ、あれは丸くおさめようとして?」

織莉子「ええ、物語のように……でも、それじゃあダメなの」

キリカ「……うん、佐倉杏子には助けてもらったところ悪いけど」

ガシッ

杏子「何しやがる!」

キリカ「悪いけど……そのやり方じゃダメなんだ」

さやか「皆が目覚めない……わたしには通用しないけど、厄介だね……」タッ

織莉子「キリカ!逃がさないで!」

キリカ「わかった!」

ガシッ

キリカ「!? は、離せ!」

杏子「離したらあたしの新しい力とあんたの魔法は相性悪そうだし」

織莉子「気づいてたんですね」

杏子「あたしのこの力は浸食する必要があるみたいだからな」


キリカ「逃げられた……」

織莉子「そんな、予知で見えた最後のチャンスだったのに」

杏子「円環の理がさやかの体に閉じ込められてる間に[ピーーー]チャンスか?」

織莉子「……!」

杏子「やめとけよ、それはわざと見せられてた予知だ……邪魔者を消すためにね」

織莉子「何ですって?」

杏子「円環の理には無限の可能性があるから魔法や予知の中でも自由に動けるんだ」

杏子「その力で世界のルールを破壊するみたいだな」モグモグ

織莉子「じゃあ、あの子は今ここにいるようで過去にも未来にもあるってこと?」

杏子「そうかもな」

織莉子「そんなの、例え肉を得ていても殺せるわけない……」

キリカ「じゃあ、あいつにとって重要なのはさやかの体なのか」

杏子「あんた達と悪魔ほむらが何をしようとしてたのかだいたいわかったよ」

杏子「でも円環の理がどうしてああなって何をしようとしてるのか」

杏子「あんた達の計画はそれがわかってからでも遅くないんじゃない?」

織莉子「……わかりました」

杏子「魔法少女達は全員生きてるからな」

キリカ「……織莉子、良かったね」

織莉子「うん……ぐすっ……あれ、わたし」スンスン

キリカ「……」ギュッ

杏子(まどかみたいだけど、あいつは完全に違う奴だったな)

杏子(しいて言うなら、キュゥべえに似てるんだ……目的を迷わない)

杏子(人間なら、どんな強くても、犠牲に迷いは持つはずだもんな……)

――公園

さやか(円環の理)「ほむらちゃん(悪魔)めぇ~~……」

さやか「杏子ちゃんのあの力なら、方法次第でさやかちゃんの体に入ってる私を殺せる……」

さやか「織莉子さんは、杏子ちゃんパワーアップまでの駒だったんだ」

さやか「杏子ちゃん達が気づく前に、ほむらちゃん(現世)を……!」


つづく

――同時刻 ほむら達は

スタスタ (スタスタ)

ピタッ (ピタッ)

小巻「んもう!ついてくんなっ!」ウガー!!

ほむら「でも……」

小巻「私が死ぬとか守ってくれるとか、もうわかったわよ!でもね、一つ言わせてもらうけど」

ほむら「?」

小巻「アンタ、私を守るとか言っておきながら、私を見てないから」

ほむら「そんなことないわ」

小巻「何にそんな怯えてるの?」

ほむら「怯えてる?」

小巻「ぶっちゃけ私は私が死んだってどうも思わないわよ、そのための心構えは毎日しているつもり」

ほむら「……そんな言い方」

小巻「アンタだって同じ目をしてる」

クイッ

ほむら「……っ!?」バッ

小巻「そんなアンタがどうしてもやりたいこと、あるからついてくるんでしょ?」

ほむら「……」

小巻「ふん……」

ヅカヅカ (スタスタ)

ほむら「小巻さんは……どうしていつも強いの?」

小巻「何よいきなり」

ほむら「あなたは珍しい考えの魔法少女だわ……割り切り方が異常と言えるほど」

小巻「知らないわよそんなこと」

小巻「でも、割り切ってなんて全然無い……負けた時だってすごく悔しい、ずっと引きずるわ」

ほむら「……意外ね」

小巻「そう?……私は後悔したくないからこそ何もかも最初に決めるのよ」

小巻「全部決めてやったことだったら、少なくとも納得できるもの」

小巻「納得したうえで……次こそ絶対負けないのよ」

小巻「もう一度言うけど、決めたからには何だってやってみせるわ」

ヅカヅカ (ピタッ)

ほむら「何度やり直しても勝てなかったの」

ほむら「あなたは理想的で綺麗だけど……」

ほむら「そうやって何もかも決めて、立ち止まれなくなった行為が後悔しか生まなくなったらどうするの?」

ほむら「あなたは戦い続けられるの?」

小巻「……美国みたいな言い回しするのね」

小巻「それが、アンタの悩み?」

ほむら「質問に答えて」

小巻「戦うわよ」

ほむら「……それが友達を追い詰めても?」

小巻「もちろんよ」

ほむら「……強がりね」

小巻「何とでも言いなさい」

ほむら「くす」

小巻「何よ!また!」

ほむら「だって……」

小巻「アンタは何を強がってるかわからないけど」スッ

小巻「強がりでも、心構えでも、守りきれたら、いいんじゃない?アンタの輝いてる宝物をさ」

ほむら「守りきれたらいい……?」

小巻「そのために、たくさん祈ってさ、それがきっと魔、ま、魔法、しょ……~~///////」グヌヌ

ほむら「魔法少女!」

小巻「そ、そうそれよ!何よ、元気じゃない……」

ほむら(祈り続けるのが魔法少女、そうよね)

ほむら(私は、本当はわかってた)

ほむら(この世界で私は奇跡のような産物で)

ほむら(全てはもう一人の私に支えられ、まどかも守られ続けている事を)

ほむら(この世界が、私の『最後の繰り返し』)

ほむら「私は『私が』ある限り、祈り続ける」

    スタスタスタ

小巻「……もういいの?」

ほむら「小巻さん、私の戦場は、ここじゃないの」

小巻「そう、良かったわね」

ほむら「……それじゃ」


小巻「ふふ、へんなやつ」

小巻「さて、帰ろうかしら」

小巻「あの子がいたから、晶も美幸も先に帰したせいで久しぶりに一人ね……」

小巻「そういえば、最近女の子が行方不明になるって言うけど」

小巻「まさか、ね……まぁ私みたいなのは狙わないか」


ハッハッハッハッハッハ

小巻「~♪」

ドンッ!

小巻「っ痛~!ちゃんと前を見なさいよっ!」

さやか?「うぇひひ……ごめんなさい」

小巻(様子が変ね)

さやか?「あの、ほむらちゃんを知りませんか?運命的にはここで出会えたはずなんです」

小巻「……知らない」

さやか?「おかしいな……うぇひっ、ほむらちゃんをそろそろお迎えしなきゃいけないのに」

小巻「アンタ、そいつをどうするつもりなの?」

さやか?「一つになって……ずっとずぅっと、一緒にいるんだぁ」

小巻「ふぅん、私、そいつのこと知ってるよ」

さやか?「本当!?早く教えて!急がないとダメなの!」

――五郷工業工場跡地

さやか?「あの?本当に合ってるんですか?」

小巻「……嘘ついて悪いわね」

さやか?「え……?」

小巻「まだ短い間柄だけど、あいつももう私の守りたい奴になっちゃったみたい」

さやか?「え?え?よくわかんないですけど、そんなことで、嘘ついたんですか?」

小巻「どう見てもアンタ、ほむらに悪だくみしてる尋常じゃない表情してるもの」

さやか?「――せない」ケヒッ

小巻「ん?」

さやか?「許せないよこんなの……どうしてこんな酷いことするの?」ウルウル

小巻「あわわ、ご、ごめ――」

さやか?「アアッ!!」

ブオッ 

小巻「」

ドサッ

さやか?「早く……探さなきゃ、どうして会えないの?ほむらちゃん……」スタッ… スタッ…


つづく

――浅古小巻の一件が過ぎて

キリカ「……」

杏子「どうしたんだ?」

キリカ「織莉子があんな風に泣くところ、初めて見た……なのに声が、かけれなかった」

杏子「なんだか最近雰囲気変わったな、あいつ」モグモグ

キリカ「何でだろう、全てが私のせいな気がしてこんなにも胸が痛いんだ」

杏子(いつかの記憶か……)

杏子「気にすんな、あんたが悪いわけないでしょ」

キリカ「でも」

杏子「あんだけあいつの事を想ってんだ……悪いことがあった時は巡り合わせが悪かっただけさ」

キリカ「巡り合わせって、なんだろう」

キリカ「神様って、いるのかな?」

キリカ「織莉子が気に入るようないい人を、次から次へと酷いことをして連れて行ってしまうのかい」

杏子「そいつはそのうちはったおす予定だから」

スタスタ ポイッ

パシ

キリカ「りんご…… ふふ、期待してるよ」クス

――美国邸

布団の中の織莉子「……」モゾモゾ

ゆま「ん……」

ゆま「ふぁ……いつの間にか寝ちゃってた」

ユサユサ

ゆま「まだ元気でない?」

織莉子「……」モゾモゾ コクコク

ゆま「冷蔵庫のプリン食べてきていい?」

織莉子「……」モゾモゾ フルフル

ゆま「……」

織莉子「……ここで、食べよう?」

ゆま「うん!」

テトトトト

~~食後

織莉子「……」ギュッ

ゆま「~♪」

織莉子「ごめんなさい、わたしが弱くて」

ゆま「?」

織莉子「間違えてばかりで、たった一つの道標さえ確かなものでなかった」

織莉子「そんな私がここにいて、いつも正しく、幸せになるべきだったあの子(小巻)が逝ってしまった」

織莉子「……」

ゆま「おねーさん!」ガバッ

織莉子「?」キョトン

ゆま「むずかしいことはゆまわかんないよ、でもゆまはおねーさんに」

ゆま「それでもずっと、生きてほしい」ギュッ

織莉子「……」

織莉子「…………」ニコ

ナデナデ

ゆま「……! えへへっ!」ギューッ

――夜

キィ…

織莉子「……」

キリカ「織莉子」

織莉子「キリカ!もしかして、ここ数日ずっと?」

キリカ「私のことはいいよ」

織莉子「キリカ、質問に答えて」

キリカ「……うん」

織莉子「キリカのばか」ギュッ

キリカ「……!?」

織莉子「あなたまでどうにかしてしまったら、わたしは本当にどうすればいいかわからなくなる」

織莉子「あなたのいない世界を、わたしに見せないで」

キリカ「おっ、おっ、おりっ……ふぐっ……ぐすっ……」ギュッ

織莉子「あらあら、どうしたの?」クスクス

キリカ「ちょっと、見える景色を織莉子でいっぱいにしたくなったんだ」スンスン ギューッ

織莉子「いつもありがとう、キリカ」キュ…

  ・

  ・

  ・

~~翌日 見滝原中学

まどか「今日もほむらちゃんとさやかちゃん休みかな」

まどか「……なんだかつまんない」

ガヤガヤ

まどか「どうしたのかな」

クラスメートA「明美さん、イメチェンしたの?」

クラスメートB「ついでに部活もやらない?」

クラスメートC「シャンプーする時どうしてるの?」

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「まどか……私、イメチェンやめる!」

クラスメート達「???」



まどか(突然のほむらちゃんの変化《メガホム》)

まどか(いつもみたいに変わり続けようとする感じじゃなくて)

まどか(どこか、力の抜けた感じ)

まどか(きっと、何か辛いことが終わったんだ)

まどか(私は何も力になれなかったけど……でも)

まどか(ずっとずっと、ほむらちゃんと一緒にいられますように)

まどか(そしてまた皆で――)


――鹿目家

ほむら「ふふ、おじさんの作ったご飯、相変わらずおいしかった」

まどか「ほむらちゃんが泊まりに来るから、手によりをかけて作ってたんだよ」

ほむら「特にだし巻いてない玉子が一番美味しかったわ」

まどか「むーっ!!」プクー

ほむら「ふふ」クスクス

ルミナス

ほむら「きゃっ!?」

まどか「えへへ、最近ほむらちゃんといっぱいこうしていられて嬉しいよ」

ほむら「うん、私も」

――消灯 ベッド

まどか「ねぇ、ほむらちゃん、わたし達ってどんな大人になるのかな」

ほむら「なりたいな、じゃなくて……?」

まどか「えへへ、実はわたし、なりたいものとかよくわからなくて……」

ほむら「ふふ、私も」

まどか「一緒、だね」


ほむら「手、繋いでいい?」

まどか「うん、いいよ」

キュッ

ほむら「無理に変わろうとしなくても、あなたなら何にだってなれるわ」

まどか「そうかなぁ?」

ほむら「きっとそうよ」

まどか「じゃあ~……その時は、ほむらちゃんも見届けてね」

まどか「一緒に大人になって、ずっとずっと、皆で仲良くしてこうね」

まどか「仕事で忙しくなったって、ママと先生みたいにちゃんと会うんだ」

まどか「今日みたいなことも、また楽しくお話するの」

まどか「きっとそれは、とってもすてきだなって」

まどか「……ほむらちゃん?」

ほむら「そうね、とってもすてき」プルプル

まどか「……どうしたの?震えてるの?」

ほむら「震えてないわ」

ギュッ

まどか「こうすれば暖かいよ」

ほむら(あぁ~~死にたくない消えたくない生きてたいよぉ!)

ほむら(まどかのおなか……柔らかくて暖かくていい匂い……)ギュッ

ほむら(やだぁー!この温もりがいつか無くなっちゃうなんて!)

ほむら(いつかは今じゃないよ……なんて、目の前の事にキリっと割り切れないわよ!)

ほむら(神様?どうして私を復活させたの!?)

ほむら(もう一人の私は、もう一人のまどかを倒すことで完全に目を覚まし、もう一人のまどかに裂かれていた私は消えてしまう……)

ほむら(「私」はもう一人の私が円環の理を制御しようとして引っかかれた傷からたれ落ちたようなものだったの)

ほむら(その毒が、全身に回っただけのことなのよ……)


ほむら(円環の理であるもう一人のまどかは重なる世界全てに概念として本体が存在し、本来その理をころすことができない)

ほむら(だけどパワーアップした杏子が超幻覚によって概念を一つの可能性に追い詰め封印し神ごろしできる事を織莉子の予知によって知ったもう一人の私は――)

ほむら(もう一人のまどかである円環の理をころしそのシステムだけを時の欠片に封じ込めて、それを永遠の時間にするために共に宇宙へ沈みまどかの代わりの柱になることを決意した)

ほむら(円環の理からまどかが解き放たれ魔法少女も魔女にならない理想郷が生まれる)

ほむら(……そして、私もとい『私』は永久にまどかと離れ離れになる)

ほむら「やだ……やだよぅ、まどか……」ポロポロ

ほむら(《私は》まどかと同じ時間を過ごして、まどかとずっと、「友達」のままで死にたいの……)

ほむら(死にたくないよ……)スンスン

まどか「すぅすぅ」

ほむら「まどか、寝ちゃったの?」ノソ

まどか「……」zzZ

ほむら「とってもかわいい」

ほむら「なのに、いざとなったら意地っ張りで……でも強くて」

ほむら「まどかはいつも、揺れないね」

ほむら「あの日『私』と初めて会った時から今日まで、あなたの優しい生き様をカッコイイとずっと思わない日は無かった」

ほむら「あなたを守りたい……まどかのように私もなりたい」

ほむら「願いは、『魔法少女として』あなたとやり直したい」

ほむら「まどか、今、私は『魔法少女』だよ」

チュッ

ほむら「おやすみ……そして、さようなら」

――外

ザッ

かずみ「どこへ行くの?」

ほむら「あなたは……」

かずみ「まどかのボディーガード兼、修行相手ってとこかな!」

ほむら「行かせてくれる雰囲気じゃ、なさそうね」

かずみ「悲しい目だ」

ほむら「なに?」

かずみ「そんな覚悟の目をして行ったらダメ、まずまどかに相談しよう?」

ほむら「……少し経験豊富だったとしても一人で私に勝てるわけないわ」

かずみ(来るっ!)

カシャッ

スタスタスタ

ほむら(ごめんなさい)スッ

カシャッ

ブンッ! スカッ

ほむら(え?時間停止からの攻撃をよけた!?)

ドゴォッ!! ドサッ

ほむら「かふっ……ぎぃ……!」

かずみ「私の魔法は……『融合』!」

ほむら「な、なんですって……?」

かずみ「魔法少女をパワーアップしたり、秘められた力を解放したり、合体したり、色々『中から変える』ことができるの」

ほむら「そ、そんな……ずっと私の中に?」

かずみ「どうする?まだやる?」チャキ

ほむら「ふふ、ふふふ……」

かずみ「な、なに?」

ほむら「そうやって、ずっと誰かの力を借りて誰かの『ココロ』を感じて一緒に戦ってきたのね」

かずみ「……」

ほむら「じゃあ私の勝ちよ」ピンッ

かずみ「爆弾を……離さない!?し、死ぬ気!?そんなのダメ!!」

カッ!!

モクモクモク

かずみ「ぐぅ……」

ほむら「私は私をずっと騙し続けてきた」

ほむら「そしてあなたは、優しすぎた……」

ほむら「その強い力で、これからもまどかを守ってあげて」

かずみ「ま、待っ――」ガクッ


ほむら(『融合』の力で全力を注いで私を守ってくれるのは想像してた、その隙に全力の一撃を与えたのだから)

カガリ『酷いことするね♪』

ほむら「あなたは……!」

カガリ『ほむらちゃんが全ての覚悟を決めた時に現れるようにした残留のストッパーだよ』

ほむら「いらないわ」

カガリ『「私」がもうこの世にいないなら、これで消えるから安心して……でも、一つ注意してあげる』

カガリ『インキュベーターは、あなた達の知らないとっておきの秘密をまだ隠してるみたい♪』

ほむら「え!?な、何?教えて!」

カガリ『私の力じゃ、インキュベーターの隔離された記憶には辿れなかったの』

ほむら「そんな……」

カガリ『あなたを止める為じゃなくて、インキュベーターを一泡ふかすためのストッパーだよ』

カガリ『嘘はつかないけど観測して見える範囲から推測しただけの適当なことしか言わない面もあるインキュベーター達』

カガリ『そんな彼らがあえて厳重に空白にしている記憶……見てから死ぬでも遅くないんじゃない』

ほむら「でも、どうすれば」

カガリ『聖カンナに会うの、あの子ならきっとインキュベーターの真相にもその目が届くから――』

スゥ…

ほむら「消えた、私が杏子のもとへ行くのを心のどこかで保留にしてしまったからね」


クルッ

ほむら「まどか……」

スタスタスタ


つづく

 ・

 ・

 ・

まどか(ほむらちゃんがいなくなってから、世の中を『異形』と呼ばれたそれが包み込みました)

まどか(もともとは魔法少女だったらしいそれは、とても強い力で世界を破壊していったのです)

まどか(その『異形』達はものから何かを吸い取り、吸い取られ砕けたものによって砂漠がどんどん広がっていきました)

まどか(そして見滝原は――)

――避難所前

老人「うぅ……」ヨロヨロ

織莉子「大丈夫ですか?」ササエ

老人「面目ない……ハッ、あんたは汚職議員の娘の――」

織莉子「……」

老人「いや、すまん……織莉子ちゃんじゃったな」

織莉子「いいんです、本当のことですから」

老人「本当のことなんてあるものか」

織莉子「え?」

老人「ワシらは人伝で聞いただけじゃ……こうして直接お主の優しさと触れ合えば」

老人「汚職をする議員があなたのような娘を育てられるわけないってハッキリわかるんじゃよ」

 ・

 ・

織莉子「小巻さん」

織莉子「本当のわたしなんて、とっくに無くしてしまったと思っていた」

織莉子「でも、わたしの選択で救えた命があって」

織莉子「今もなお、『父』はついてきてくれる」

織莉子「道しるべなんて関係ない」

織莉子「わたしの選ぶことが、未来、そして過去になるんだ」

織莉子「ふふ、わたしはバカだったのね……」

織莉子「もう落ち込まないわ」

織莉子「あなたがいつでもケンカを売れるわたしでいられるように」

 ・

 ・

 ・

まどか(織莉子さんは、見滝原と風見野の魔法少女をまとめて、『異形』達に立ち向かった)

まどか(それだけじゃなくて、怯える人達の心も救っていった)



少女「お姉ちゃん、何してるの?」

沙々「へん、異形達を倒すのにわたしの力が一番役に立っているのにあいつ(織莉子)ばっかりチヤホラされて嫌だったりしませんよ」イジイジ

少女「ふ~ん(?)」

ナデナデ

沙々「ひゃっ!?」

少女「頑張ったんだね、お姉ちゃん」ニコ

沙々「何ことわりなく人の頭撫でくりまわしてやがりますか!」

少女「いや?」

沙々「……ふん」

少女「あのお姉ちゃん(織莉子)は綺麗で、カッコイイけど」

少女「お姉ちゃんも、負けてないよ♪じゃあね!」

タタタタ…


沙々「……わたしは、誰よりも弱いんですよ」

沙々「そんなわたしでも踏みつぶせるジャリガキはさすがに見る目がありませんね」

沙々「誰かを守るなんてガラじゃないんですよ」

沙々「どんどん操れない人が増えちゃう……」

沙々「最近、こういうことばっかり……本当に、本当に困るんですから……」ニコ

壁|ヮ☆)ジー

リナ「優木沙々にもこんな一面が?」

麻衣「まぁ生きてるんだし全部が全部悪い奴っていうのもあんまりいないだろ」

リナ「……」

麻衣「ま、良い子悪い子だけで考えるのも白黒ついて、ダメってわけでもないんじゃないか、ただ」

リナ「ただ?」

麻衣「それで疲れるなら、別にしなくてもいいと思う」

リナ「麻衣……そうですね」ニコ


京「……違う……」

リナ「京?」

京「沙々ちゃんは、こうもっとニタァって下卑た笑いが似合うの!らしいの!」

麻衣「おい、どうした」アセ

京「ちょっと行ってくる!」

タタタ…

京「沙々ちゃん!ちょっといい!?」

沙々「京!?なにを企んでるんです!?」

京「企むのは沙々ちゃんだよ!」ドヤァ…

沙々「は?」

京「似合わない表情浮かべちゃって!沙々ちゃんはダークヒロインでしょ!もっと正直に生きようよ!」

沙々「ど、どうしたんです?本当に」

ヅカヅカ プニ

京「口角をこう、くいっと釣り上げて、ニタァっと!」ニュイイイ

沙々「や、やめへ……」


リナ「あわわ、京が変な子になってしまいました……」

麻衣(京は普段からちょっと考え方が不思議だったゾ)


京「……周りが自分より優秀な人達ばっかりでも、めげずに不敵に笑い続けてた沙々ちゃんに実は憧れてたんだ」

沙々「……?」

京「全てを諦めて優しい笑顔で締めくくるなんてらしくないよ!」ニュイイイ

沙々「ど、どこで諦めたってわたしの勝手じゃないですか!」

京「自分より優秀な人達を全部従えたいんでしょ!」

沙々「何か拡大解釈していませんかぁ!?」

京「ヒロインはヒロインらしくないと……ね?」ニヤッ

ゾッ

沙々「え、遠慮しておきま――」

ガシッ

沙々「引っ張らないでください!わたしをどこに連れていくんですか!?わたしはヒロインじゃないです!それならヒーローが助けてくれるでしょう!」

<ハナセ!!ハナシヤガレ!!ヤーメーテー!!


リナ「……た、助けにいかないと?」

麻衣「やめておけ、沙々の言うとおりなら助けたら沙々とフラグが立ってしまう」

リナ「そうですね」

  ・

  ・

  ・

キリカ「……」

ピトッ

キリカ「冷たっ!?」

マミ「ふふっ、どうしたの?たそがれちゃって」

ハイドウゾ アリガト ゴクン

キリカ「……マミはさ、前世の記憶って信じてる?」

マミ「前世の記憶、か……よくわからないけど、本当だったら消してしまいたい記憶ならあるわ」

キリカ「マミの魅惑的に豊満な肉体へ目をつけた悪い奴が、マミの優しさにつけこみ薬をマミの飲み物へ注いだ」

キリカ「そいつと話しているうちにマミの体は少しずつ火照っていき、その自由も利かなくなっていって――」

マミ「何言ってるのよ!!//////」


キリカ「私は、織莉子の大切な人を殺しちゃったのかもしれない」

マミ「……」

キリカ「織莉子がずっとまえにいつか言ってたんだ、運命を左右するような変化は予知で見えても変えるのは難しいって」

キリカ「いつか私があの子をころしてしまったから」

キリカ「また死んでしまったのかも」

マミ「……私も、佐倉さんをころしてしまった事があるみたいなの」

キリカ「……!」

マミ「魔法少女が、いつか化け物になる……それで錯乱し、私が最もしてはいけないことを」

マミ「こんなの嘘って思っても、思い出すだけで……」ポロポロ

キリカ「マミ……」

マミ「私、私、あの子達の先輩なのにっ!力だっていつの間にかどんどん置いて行かれて、この間も、操られてキリカ達とっ!」

ギュッ

キリカ「大丈夫だよ、マミは優しくて強いみんなの先輩のまま」

キリカ「例え悪い出来事が過去の現実だったとしても、夢で終わらせられる強さがきっとある」

マミ「ごめんなさい、私、あなたを元気づけに来たつもりだったのにっ!」スンスン ギュゥ

キリカ「元気になったよ」

マミ「……?」ツツー

キリカ「こんなすてきな人と共通の悩みを持ってるってわかって嬉しくて」ソッ フキフキ

マミ「………………///////」ボフッ

ギュッ

キリカ「い、痛いよマミ」

マミ「私のばか……//////」

キリカ「???」

 ・

 ・

バシューン!!

異形「……」ドサッ

杏子「大丈夫か、まどか」

まどか「……」タタタッ


まどか「よいしょ……ごめんね、あなたを倒すことしかできなくて」

異形「」

杏子「まどか……」

まどか「杏子ちゃん、どうしてこうなっちゃったのかな」

まどか「魔法少女だったこの子達は、条件が合ってただけで誰かにこうされちゃったんだよね」

まどか「みんな夢と魔法を信じて祈ったはずなのに、酷いよ……」


杏子「まどか、魔法少女は本当は、どういう結末を迎えるはずだったか知ってるか?」

まどか「かずみちゃんから聞いた、全部」

杏子「そっか……」

まどか「私にもう一度、その力があれば――」

杏子「そしてまた、黙っていなくなるってか?」

まどか「……」

杏子「こんなこと言うのはまどかに辛いことだと思うけど」

杏子「どいつもこいつも、すぐ誰かを救いたいって、勝手すぎるな」

まどか「杏子ちゃん……?」

杏子「すまん……でもさ、それって自分や何かを犠牲にしてまでやらなくちゃいけないことか?」

杏子「生け贄のある救いなんて、本末転倒なんだよっ!」

まどか「ごめん……なさい」

杏子「少なくともあたしは……父さんと母さん、モモにずっと生きていてほしかった!」

杏子「無理してまで頑張る父さんを、あたしは応援すべきじゃなかったんだ……」

杏子「それなのに、マミも、さやかも、あんたも、ほむらも!!」

杏子「どうしてそばで大切に思ってる人達を、置いてくんだよぉ……」フルフル

ギュッ

まどか「杏子ちゃん……私……」

杏子「何も覚えてないまどかにこんなこと言っちゃうなんてな」

杏子「全部あたしのせいなんだ……身勝手な救いが」

杏子「良きも悪きも全てを変えてしまうってわからなったあたしのさ」

まどか「杏子ちゃんは、同じ想いを誰にも味わってほしくないんだね」

杏子「やったあたしが言うのは矛盾だけど、それでも伝えたいんだ」

杏子「どんなに綺麗に見える幻のような魔法の日々よりも、質素でも苦しくてもかけがえない人達との日々のほうが大切だって」

杏子「誰も救えなくたってあたしはそいつを絶対笑わない」

まどか「杏子ちゃん……それでも私は、」

まどか「こんな私が誰かを救えたら、それはとっても嬉しいなって、思っちゃうよ」

杏子「おおばかやろう……」

まどか(杏子ちゃんは、黙って私とくっついていました)

まどか(強く握りかえす手から、私を肯定も否定もしない杏子ちゃんの優しさが伝わってきました)

まどか(困った時のママみたいで、杏子ちゃんのとても強く暖かい意志を感じ取ることができたのです)

まどか(何も杏子ちゃんへ言葉にできないけれど)

まどか(杏子ちゃんのおかげで、私の中に新しい願いが、走りはじめたのでした)


つづく

――聖カンナのアジト

ほむら「カガリの残留思念が残した情報では、ここ……」

キィ…

ほむら「開いてる……ごめんなさい、入るわよ」


スタ… スタ…

ほむら「この部屋が最後ね……」

???「……」

ほむら(ベッドに人がいる?……恐らくは、あれが聖カンナ……よし!)

カチッ

タタタタタ バッ

ほむら「……!まずい、今にも死にそう!?」

カチッ

ほむら「ダメよ!死なないで!あなたにはまだ聞きたいことがあるのだから!」

――数時間後

カンナ「――あれ……」

ほむら「気がついた?」

カンナ「お前は……!」ヨロッ

ほむら「安静にして、死にそうだったのよ」

カンナ「……どうして、あのままにしておいてくれなかったんだ」

ほむら「……」

カンナ「あのままでいれば、いつかソウルジェムが濁りきって円環の理に導かれたのに」

ほむら「聞きたい話があるから……場合によってはあなたに手伝ってもらう」

カンナ「……何をやっても無意味なのに?」

ほむら「え?」

カンナ「美樹さやかをキュゥべえが高次元へ送ったさい」

カンナ「美樹さやかとコネクトで繋がっていた私も高次元へ繋がる事ができた」

カンナ「あんな恐ろしい事が……事実なのか」

ほむら「何があったの?」

カンナ「……」

ほむら(私は聖カンナの生い立ちを聞いた)

ほむら(彼女がとある魔法少女の願いで生まれた代わりの存在であること)

ほむら(あすなろ市での事件と暗躍)

ほむら(かずみという魔法少女との、かけがえのない記憶)


カンナ「――私は元々、かずみのいない世界なんてどうでも良かったんだ」

カンナ「かずみのところへ行かせてくれ――」

ほむら「……そういう言い方されると困ってしまうわ」

ほむら「私も、気持ちはわかるもの……」

カンナ「……前の私だったら、『私たち』の気持ちがわかるはずはないと、人間のおまえの手を払いのけただろう」

カンナ「でも、お前たちも同じだったんだ」

カンナ「ココロはみんな同じだって、知るには深すぎる絶望だったが……」

ほむら「何があったか知らないけれど、あなたはそれでもここにいる」

カンナ「……」

ほむら「きっと、いつかまた会える」

カンナ「?」

ほむら「『最高の友達』と」ニコ

――数分後

ほむら「高次元の世界では、私たちの物語が誰かの創作」

カンナ「宇宙が決められたシナリオ通りに歩まないと歪みを産むのは、まさに創られた舞台だったからというわけ」

ほむら「……」

カンナ「私は、それを知りこの宇宙の人間達が私と同じ存在だと悟ってしまった瞬間」

カンナ「人間達に抱いていた強い負の感情がそのまま私に跳ね返って苛まれるようになった」

カンナ「いや、本当はどこかで感じていたのを誤魔化してたんだ」

カンナ「ココロに本物も偽物も無いって、あの時かずみ達が気づかせてくれたから――」

ほむら「私もそこへ行くわ」

カンナ「……円環の理との繋がりがないと行けないぞ、それに高次元で肉体を構成する強い魔力が必要なんだ」

ほむら「繋がりならあるから助けがあれば辿れる、それに魔力の源ならあるわ」

パァァ…

カンナ「え……?」

ほむら「ちょっとした偶然で、とある魔法少女に押し付けられた力がこんなに」

カンナ「かずみの魔力……!?」

ほむら「どうしたの?」

カンナ「ちょっと待って、お前の出会った魔法少女って、長い黒髪で衣装がこんなこんなで……」

ほむら「そうよ」

カンナ「蘇ってたのか……!それなのに、私は」

ほむら「ふふ……どうなるかなんてわからないものね」

カンナ「……そうだね」

>483を経過

カンナ「さやかは世界の状況を話して急いで帰したよ、無事に戻っていると思う」

ほむら「さやかは大丈夫そうだった?」

カンナ「迷いが消えたような顔をしていたよ」

ほむら「……どこへ戻ったの?」

カンナ「さぁ……もといた所じゃないか?」

ほむら「さぁって……ちょっと!」

カンナ「行きも私がサポートするほむらは大丈夫だよ、体の保存も経験がある」

ほむら「そう言ってるわけじゃ……」

カンナ「よしいくよ」

ほむら「急かさないで、まだ心の準備ができてないわ」

カンナ「行き先は繋げておいた上条恭介、さやかの開いた道を、パスを持つほむらがコネクトで辿る」

ほむら「聞いてる?」

カンナ「チャオ!」

――高次元世界

ほむら「ここは……?」

ジュゥべえ『上条恭介の部屋だよ、たったいま上条恭介は部屋を飛び出したみたいだ良かったね』

ほむら「良かったじゃないわ……!心の準備もしてないのに遭遇したらどうするつもりだったの!」ギリギリギリ

ジュゥべえ『ぐ、ぐるぢぃ……』

ほむら「直接あなた(カンナ)が首絞められてるわけじゃないから苦しいわけない」

ジュゥべえ『まぁそうだけど!端末が壊れてわた…おいらのサポートを受けられないと苦労するよ』

ほむら「仕方ないわね……」

タタタタタ…

ジュゥべえ『まずい!上条恭介が戻ってくる!』

ほむら「どうしよう……あれは!」



恭介「ざやが……嘘だ……」スンスン

恭介「あ、あれ……僕のまどマギコレクションが棚ごと無い!全部ここに入れといたのに!!」

――公園

ジュゥべえ『一冊二冊持ってくるのかと思ったら全部とかえげつないね』

ほむら「ふふ……これで情報収集に事欠かないわ」パラパラ

ジュゥべえ『一つ注意しておきたいんだけどこの世界じゃ魔力の消耗が激しいから乱用してはいけないよ」

ジュゥべえ『今ほむらが収納能力を使っただけでもおいら達の世界で一日変身しただけの分を消費したはずだ』

ほむら「そういえば……ここで出した棚どうするのよ」

ジュゥべえ『穢れはコネクトでおいら達の世界に流すから実質無尽蔵なんだけどおいらの仕事が増えるからやめてね』

ほむら「……」

ジュゥべえ『さてと自立モードにしてかずみと会ってくる」

ほむら「ちょっと待って私どうしたら――」

ジュゥべえ「?」クビカシゲ

ほむら「え……私、魔法禁止の状態でホームレス?」

――数日後 夜中

チャリンチャリン

ほむら「ふふ、今日はこんなにお金が貯まったわ」

ジュゥべえ「……」ゴロゴロ

ほむら「いいこいいこ……あなたと二人でやれる芸が無かったら野垂れ死んでたわ」ナデナデ

ほむら「これで私のダンボールハウスにもノートパソコンが……ネットはコンビニのWi-Fiでもできる」

ほむら「ふふ……試したいことをこれで試してみるの」

ジュゥべえ「ふわぁ……」カリカリカリ

リンリン

ほむら「お客?こんな夜に珍しいわね」

ホームレス達「おうおう!嬢ちゃん出てこいよ!」

ほむら「な、なんですか?」

ホームレスA「おめーの飼ってる猫が俺らの一張羅を台無しにしてくれてよう!どうしてくれんだ!」

ほむら「ジュゥべえはそんなことしません!」

ホームレスB「んな言い訳は聞いてねぇ!こんなんじゃどこへも行けねぇぞ!」

ほむら「言い訳なんて……」

ホームレスC「シャバ代未払いだしなぁ……くっくっく、別のもんで払ってもらってもいいんだぜ?」

ほむら「……!」

ホームレス達「そ・の・からだ・で・なぁ~~」ドヤァ

ほむら「ちゅ、中学生にいい大人が、恥ずかしくないんですか!?」

ホームレスA「るせぇ!おめーの体はもう男受けする豊満で魅力的な体だ!」

ホームレスB「おう!中学生とは思えねぇ!よだれもんだぜ!」

ホームレスC「おめーら!俺もう我慢できねぇからさっさと押さえるぞ!」

ほむら「――なんてことになったらどうしよう」

ジュゥべえ「……」

ほむら「怖いよまどか……」

リンリン

ほむら「……どなたですか?」

ホームレスA「よっ!今日も健気に生きとんなぁ」

ホームレスB「鍋を分けに来てやったでや」

ホームレスC「変なもん入ってねぇから安心しろー」

ほむら「カニ……!?」ジュルリ

ホームレスB「遠慮すんなって!俺は元板前だからたまには振る舞いてぇんだ!」

ホームレスC「後で見返りを要求したりしねぇからよ」

ホームレスA「俺らは皆お嬢ちゃんがここへ来てから娘を見守るような気持ちだったんだ」

ほむら「皆さん……」

ハグハグハフッハフハフ

ほむら(美味しすぎる……!久しぶりのちゃんとした食事がこんなにも……)

ホームレスB「くく……睡眠薬が入ってるとも知らずいい食いっぷりだぁ」

ほむら「!?」ゴブフゥ

ホームレスB「なーんてことはないから安心しろっ」

ほむら「げほっ!げほっ!!」

ホームレスA「バッカこんな女の子が男に囲まれて不安に決まってるのに笑えない冗談言うなや」

ホームレスC「んだんだそんなコミュ障だからカミサンに逃げられてホームレスになっちまったんだ」

ホームレスB「にゃ、にゃにお~!おめーらだってホームレスなのに!」

ホームレスA「ま、けだものだらけだったとしてもほむらちゃんは安心だな!」

ほむら「どうしてですか?」

ホームレスC「こんな平たい胸のちんちくりん、男だと思ってごく一部の好き者しか寄って来ねっべ!!」

ホームレス達「まったくだ!」

ガハハハハハ

ほむら「……」モグモグ

ホームレスB「どした?久しぶりのカニ鍋は涙ぐむほどウメーか!」

――食後

ホームレスA「食い終わったな、こっちへ来てくれ」

ホームレスB「ほむらちゃんきっと驚くぞ」

ほむら「……?」


――高架下の小屋

ほむら「ここは……」

ホームレスC「役人がたまに使ってるんだが年に数回しか使わなくてな」

ホームレスA「女の子がダンボールハウスなんて厳しかろう」

ホームレスB「俺達のとっておきだがほむらちゃんが使ってくれよ」

ほむら「泥棒になっちゃいます」

ホームレスC「どんな事情があって嬢ちゃんみたいのがホームレスしてるか知らんが事情には相応の戦いってもんがある」

ホームレスA「俺達みたいに心底腐った奴らはこの運命で納得してそこから動くエネルギーももう無い」

ホームレスB「悪いことだけど君を守りたいんだぁ」

ホームレスC「役人が来そうな時は教えてやっから」

ほむら「うっ……ごめんなさい、皆さん……ありがとう」ウルルンッ

ホームレス達「やっとほむらちゃんのかわいい顔を涙目にできたぜ!」

ガハハハハハ

ほむら(ごめんなさいごめんなさい、勝手に鬼畜な想像していました……!)

ジュゥべえ「ふわぁ……」ポリポリ

――高架下の小屋

コトコトコト

ほむら「すごい……一通り揃ってる、暖かい……」

ほむら「よくわからない設備があるけど、いじったら大変なことになりそうね」

ほむら「明日は、電気街へ行かなくちゃ……」

zzZ

――翌日

ほむら「よしっと、パソコン設定できた!」

カタカタ

ほむら「やっと、やっと……この世界のことを調べられるわね」


ほむら(私の推測では、ここは単純に言ってしまえば『神の世界』なのだ)

ほむら「それぞれの人の魂が、独自の宇宙とのアクセス権を持っていて、その世界の自覚無き神と化す」

ほむら「その中の一例として、私達の世界『まどか☆マギカ』が物語として存在している」

ほむら「なら……例えば原作者がいなくなったとしたら、私達の世界は消えてなくなるのか?」

ほむら「答えはNo」

ほむら「観測できる形になった瞬間、その派生しうる可能性の分だけ宇宙も広がる」

ほむら「それは、内側から見れば光りの速度で広がる空間のようで、時には無限大に重なるパラレルワールドなのかもしれない」


ほむら「原作もアニメとコミックじゃ色々と違うわね」パラパラ

ほむら「どこかに私とは違う盾を持った私もいるのかもしれない」

ほむら「きららマギカの可能性も面白い」

ほむら「そして……インターネットで見た二次創作たち」

ほむら「例えば私がうんちを漏らしてワルプルギスの夜を何故か倒してしまう世界とか本当にあるのかしら……」

ほむら「……考えが逸れたわね、とにかく試してみる」

ムムム……

ほむら「うん、イメージが浮かんでくる……電波を受信してるみたいに!」

ほむら「普段私が考えないようなことまで出てくるからきっと正しいのね」

ほむら「私はこれを、SSにする!ただし、改変していきながら!」


~~「カンナはあれからかずみに会えてない」

――>538後、まどマギ世界

カンナ「どうして……?かずみにどうしても会えない!間接的には連絡だってできてるのに!」

お姉さん「あの、ちょっといいですか?」

カンナ「ダメ!今は忙しい!」バシッ

お姉さん「あっ」ヨロッ

車「!?」プップー

カンナ「やばっ!」

ダッ ドンッ!! キキーッ バーン

お姉さん「そ、そんな……私のせいで、あの子が!誰か救急車を!」


かずみ「ここでカンナと待ち合わせしてるはずなんだけど……いないなぁ」

――高次元世界

ほむら「ふふ、どうなって会えなくなるかわからないけど、一行だけでも十分よね」

ほむら「さやかと私を急ぎ足で蔑ろにしてくれたささやかなおしおき……なんてね」

ほむら「少ししたら会えるようにしてあげる」

ほむら「次は……そうね!まどかが『幸せになる』!」

――まどマギ世界

まどか「……ほむらちゃん、わたし、寂しいよ……」トボトボ

男の子「危ないっ!」

まどか「ふぇっ!?」

ドンガラガッシャーン

男の子「怪我はない……?」イテテ

まどか「君こそ、大丈夫!?」

男の子「このくらい……鹿目さんを守れて良かった」

まどか「わたしのこと知ってるの?」

男の子「う、うん……いつも通学路で友達といる君を見てたから……あっ///////」

まどか「え?それって――」

男の子「ご、ごめん!こんなの嫌だよね」

まどか「あっ/// その//// あ、ありがとう……」

男の子「えっ!?」

まどか「?……! そ、そうじゃなくて、助けてくれて、だよ///////」

男の子「……うん!ありがとう!またね!///////」

まどか「う、うん」キョトン


まどか「名前を聞くの忘れちゃった」

まどか(……///////)



ほむらちゃんのまだ理解の浅い迂闊な一手により被害が起き、
そしてまどかは隠れファンな男の子と遭遇してしまうのでした
危うしほむらちゃん……!?

つづく

――数日後

ほむら「まどかマギカの新作出ないかしら……早く行動を起こすのよどっかの私……」モグモグ

カタッカタカタッカタッターンッ

ほむら「ふふっ、このMMD面白いわね……特にまどかがかわいいわ、お気に入りっと……」

ジュゥべえ『おい』

ほむら「なに?今都市育成シミュレーションゲームで作った見滝原がいいところなの……」

ジュゥべえ『ほむら!あのノート見たぞ!酷いイタズラしてくれるよ!』

ほむら「あ、カンナだったのね」

ジュゥべえ『あ、じゃない!あのたった一行のせいで私がどんな目にあったと思う!?』

ほむら「『おいら』忘れてるわよ」

ほむら(カンナの伝えてきたこと、それはこの世界で行ったあの実験がどれほど強力かを物語っていた)

ほむら(結果そのものは予定通りだったとはいえ、過程が私にとっては嬉しくないものだった)

ほむら(私の中では、自然に無理のなく、例えばちょっとした事ですれ違う……ささやかなものだった)

ほむら(だけど実際は、車に弾かれ、時には携帯電話が顔面で爆発し、またある時には植木鉢が落下してきた)

ほむら(ただの人間だったら……ゾッとして私は、まどかの事をすぐに連想した)


ほむら「まどかは!まどかは無事なの!?」」

ジュゥべえ『まさかまどかで試すとはね』

ほむら「試したんじゃない……本当に本当の気持ちだったの」

ジュゥべえ『私も実際悪かったと思ってるから、それはいい……でもまどかに関しては、かずみのほうが詳しい』

ほむら「わかった……ノートの記述を、『会える』に変えるわね」

――数分後

ジュゥべえ『久しぶり♪』

ほむら「かずみさん!お願い!まどかがどうなってるか教えて!」

ジュゥべえ『どうなってるかで言えば~、楽しそう!』

ほむら「え?……良かったぁ~」

ジュゥべえ『最近まどかが男の子とずっと一緒なんだよ』

ほむら「ふぅん……………………」

ジュゥべえ『それでね、いつもすっごく仲良くて、茶化すと顔真っ赤にして否定するの』

ジュゥべえ『でも、まんざらでもないみたいで、学校の帰りで男の子がまどかの手を握ると――』

ジュゥべえ『かずみ、ほむら気絶してるよ』

ジュゥべえ『えっ!どうして!?』

ジュゥべえ『聞きたくないんだろう……わかるよ』

 ・

 ・

 ・

ほむら「私はまどか×男の創作には一切手を出してないわ」

ジュゥべえ『さすがだ』

ジュゥべえ『どういう意味?」

ほむら「ちょっと記述を変えてくる」

ジュゥべえ『待ったほうがいい』

ほむら「どうして?」

ジュゥべえ『「記述を消す」、もしくは「記述の否定または改変」も当人に影響を与えるとしたらどうなる?」

ほむら「まどかの幸せが、もう来ない……?」

ジュゥべえ『そういうこと、シンプルに書いただけに効果も影響もより深いかもしれない』

ほむら「そんな、そんなぁ……」ツツー

ジュゥべえ『ほむら……』

ほむら「かっ、覚悟はしてたわ……でも、こんな、こんなこと、で……すぐ?」スンスン

ほむら「……そういえば、因果は表裏一体なのよね」

ほむら「私の書いたことのツケが、私に来た、だけ……」

ほむら「まどかが幸せになるなら、甘んじて……受け止める」

ほむら「……………………ふぇぇぇぇぇん」ビェェェ

ジュゥべえ『あ……』

ジュゥべえ『そっとしておいてやろう』

 ・

 ・

 ・

チュンチュン

ほむら「……ん、朝……?」

ジュゥべえ『zzZ』

ほむら「二人とも、ずっと見守っていてくれたみたいね」

ほむら「……私は、どうしよう、ふふ……」

ガヤガヤ

ほむら「……外が騒がしい?」スクッ

ホームレスA「ぬおおおおおお!!」

警察官「てっ、抵抗はやめなさい!」


ほむら「な、何が起きてるの……?」


ホームレスC「やばい!嬢ちゃんが気づいた!」

ホームレスA「来るな!来るんじゃねェーッ!!」


ジュゥべえ『どうやらホームレス達が強制立ち退きを受けるみたいだ』

ほむら「なんですって?私も行く……!」


ホームレスB「ほむらちゃんが来てしまう!」

ホームレスA「……お嬢ちゃん!!よーく聞けっ!!」


ほむら「……?」

ホームレスA「俺達のこれは、運命だ!だからいい!いつか来るべくしてこうなった!」

ホームレスB「俺達の抵抗はただの意思であって、何の意味も無い!警察も悪いことをしているわけでもない!」

ホームレスC「腐った奴らが相応の報いを受けるだけ」

ホームレスA「だけど、俺達はホームレスでも俺達で、生きている!辛い人生の中で馬鹿な俺達だが嘘はつかなかった」

ホームレスB「ほむらちゃんまで狙われたら俺達の本当が無くなるんだ」

ホームレスC「最後まで守らせてくれ」

ホームレスA「腐った時間の最後は、すてきな花の養分になりてぇんだ!」

警察官(いや殺されるわけじゃないんだから……)


ほむら「みんな……!」

ジュゥべえ『どうする?実際助けるとしたらリスクが高いのは事実だけど』

ジュゥべえ『あの小屋にはいられなくなるだろうし、どちらにせよあの人達はまたいつか捕まるだけ』

ジュゥべえ『何より、助けたらあの人達の尊厳を傷つけるのは確かだね』

ほむら「どうしたら、どうしたら……見殺しなんて、できない……!」

~~~~~~~~~~~~~

まどか「ほむらちゃん、わたしね……あなたと友達になれて嬉しかった」

まどか「あなたが魔女に襲われた時、間に合って……今でもそれが自慢なの!」

まどか「だから、魔法少女になって、本当によかったって!そう思うんだ――」

~~~~~~~~~~~~~

ほむら「私は……あの時のあなたの本当の気持ちを否定して、ずっと走りつづけてきた」

ほむら「助けてはいけない未来を、どうして受け入れられるというの?」

ほむら「でも、それであなたが幸せになったなら、そもそも私の存在なんて――」

??『いいんじゃないの?あんたが決めちゃって』

ほむら「え……――」

小巻『死んだってどうも思わないって言っときながら、未練があったみたい』

小巻『やっと、アンタと話せた――』

ほむら(皆の動きが、時間を操ってもいないのに止まって……私も、動けない)

小巻『自分の考えが正しいのかとか、後からどうなるかなんて、考える必要ないわよ』

小巻『いつだって正しいと信じてやっているはずなんだから……例え後ろ向きで流されたような気がしていてもね』

小巻『どんなに追い詰められていても、決めてるのは自分だけなのよ』

小巻『……「友達」なんでしょ』

ほむら「うん……」

小巻『私も、「あいつ」とそうなりたかったのかもしれない』

小巻『信じて、あんたとその子の、未来を』

ほむら「私と、まどかの?」

小巻『自分が決めるしかなくても、誰かと一緒なら、もっと何かを変えられる……』

小巻『友達が追い詰められるならどうすればいいか……一緒に追い詰められて、下克上してやろうじゃないの』

小巻『それが強がりじゃない、私の……「答え」』ニコ

小巻『実は、アンタと一緒の時間、悪くなかったわよ……ほむら』スゥ…

ほむら「ま、待って……!」

小巻『アンタはこの後、戦うことになる』

ほむら「え?」

小巻『私の代わりに、私の力がアンタを守る』

小巻『同じ武器を持つ魔法少女同士だからできるのよ』

小巻『パワーアップしたアンタの魔法が、この世界でどれくらい戦えるのか知らない』

小巻『でも、信じてるよ――』


   サァァ…


ジュゥべえ『ほむら!ほむら!』

ほむら「……?幻、だったの?でも……」

ジュゥべえ『どうするんだ?』

ほむら「……答えは決まってるわ」

ダッ

バッ

ほむら「……」

ホームレス達「ばかっ!どうして――」

ほむら「私は、守られたくない!」

ホームレス達「……!」

ほむら「あなた達に、感謝してるから……!」

ホームレスA「……おまえら」

ホームレスC「ああ、お前もか」

ホームレスB「久しぶりだ……人の『強さ』を信じられる気持ち……!」

警察官「う、な、なんだあれ……!!」

ズモモモモモ

ほむら「人の、大きな影?」

ジュゥべえ『おそらく、魔獣だ……まさかこの世界にもいるなんて』

ほむら「いえ、きっと……魔獣はこの世界から来ているんだわ」

ほむら「私達の世界を、修正するために……!」

ジュゥべえ『どういうこと?』

ほむら「どんな人の心にも小さな宇宙があって、常に希望と絶望で揺れてる……私達の魂《ソウルジェム》のように」

ほむら「希望が煌めき輝いた時、強く影る想いがある」

ほむら「その影は自分を形どった想いを求め、否定する」

ほむら「私達の宇宙には、眩しく輝くものがあったもの!」

ほむら「それを否定する何かを、強く引き寄せる!」

ジュゥべえ「じゃあ、宇宙とは……」

魔獣「オオオオオオ!!」

ほむら「私の新しい力、試させてもらうわ」

パァァァ!!

ほむら(盾に、アタッチメントの小盾……あの人の魔法武器)

ジュゥべえ『ほむら、Ver2になったのか』

ほむら「違うわ、一緒に戦ってくれるって言ってくれた人がいるのよ」

魔獣「……!!」ブンッ!!

バチィィ!! バリィン!!

ほむら(小盾、そこそこ硬いけれど守りのためのものじゃないわね)

ほむら「これは、こう使う!」

ジュゥべえ『敵の半身を、小盾が変形したバリアーで包んだ』

ほむら「時間停止!!」

カチッ

スパッ!! ブシャァァァ

カチッ

魔獣「」サーサーサー…

ジュゥべえ『盾が作れる空間をそういう風に応用できるとはね』

ジュゥべえ『半身が止まっているのに動き続ければ、分断されてしまうか』

ほむら「分断されるだけの力があったのよ」

ほむら「あの魔獣は、自分で自分を壊したの」

 ・

 ・

 ・


ジュゥべえ『行っちゃったね、あの人達』

ほむら「魔獣がいなくなったことで、彼らがホームレスになっていた因果も断ち切られたかもしれない」

ジュゥべえ『ほむらちゃんは帰って来ないの?』

ほむら「私は……もう戻る必要なんて無いわ」

ほむら「迷いは消えたし、あの人達を救えて心も晴れ渡った」

ほむら「後は、この世界で得た確信をキュゥべえに突きつけるだけ」

ほむら「そして……まどかともずっとお別れ」

ジュゥべえ『どうして?』

ほむら「『私』の目的は、円環の理の抹殺で」

ほむら「私は……新たな円環の理の柱になるために存在しているの」

ほむら「その時私は、誰にもわからない場所でずっと封印され続けるのよ、永久にね……」

ジュゥべえ『そんなの、だめだよ……』

ほむら「他に方法なんて無いわ、まどかを救うには」

ジュゥべえ『そんな方法で救われたって少しも嬉しくないよ』

ほむら「まるでまどかの気持ちがわかるみたいに言うわね、かずみ」

ほむら「でも、もう決まってるの」

ジュゥべえ『でももさっちもないよ!どうして一人で勝手に決めちゃうの?」

ほむら「あの子は、優しい子だからこんな話を聞いても納得してくれないもの」

ジュゥべえ『優しさなんて、関係ないよ』

ジュゥべえ『友達と一緒にいたい、それだけじゃ悪い?』

ほむら「……私だって一緒にいたいわよ!!」

ジュゥべえ『!?』

ほむら「でも、他に方法が無いんだもん!あなたなら他に思いつくっていうの!?」

ジュゥべえ『……わからない……でもきっと変えてみせる』

ジュゥべえ『それまで、待ってて、ほむらちゃん』

ほむら「わかったわ…………ちゃん?」



つづく

ほむら「……ま、まどか?」

ジュゥべえ『……』

ほむら「ちょっと!返事してよ!今のジュゥべえ何か変じゃなかった!?」

ジュゥべえ『よかれと思ってかずみがまどかを連れてきてたんだ……もう帰ったよ』

ほむら「さ、先に言ってよ……」ガックシ


ほむら「まどかに全部知られちゃった……私の覚悟も小巻さんが起こしてくれた奇跡のパワーアップも何のためだったの」

ほむら「やり遂げるつもりが、さっそく躓いちゃったじゃない」

ほむら「……くよくよしてちゃいけないわね、戻ってまどかと直接話をしないと」

ほむら「……そういえばさやかは見つかったの?」

ジュゥべえ『それが……』

ほむら「わかった……私が戻る前に、この手でさやかを……」

ほむら「……ノートに『さやかが"強くなって"戻ってくるっと
』」カキカキ

ジュゥべえ『いやいや……あんたも懲りないね』

ほむら「何でかしらね、さやかに必要で、さやかなら大丈夫だと思ったの――」

――??? 一面砂利の平野

さやか「ううん……ここはどこ?」

さやか「あたし、確か上の世界から帰ってきたはずなんだけど……」

ノッソノッソ

さやか「おっ!人がいる!おーい!すっみませーん!」タタタ

鬼「なんだ?」クルリ

さやか「ぎょっ!?」

鬼「子供か……さては、賽の河原から逃げ出したな!?」

さやか「さ、賽の河原!?さいのかわらって、天国にあるとかいう……」

鬼「天国ではない……さぁ、戻るぞ?」

さやか「やばい……連れて行かれたらどうなるかわかんない」ダダダッ

鬼「お、おい!待て!」

――賽の河原 岩陰

さやか(はぁ、はぁ、なんだってのよまったく……)

さやか(あたしは生きてるのに……生きてる、よね?)

さやか(本当に、賽の河原なんてあるの?死んだら、皆あの世へ行くってこと?)

さやか(どうしてあたしここにいつの間にかいるの?わけわかんないよ……)

ボソボソ

さやか(誰かの話し声!)

青鬼「最近暇だな」

緑鬼「だなぁ、急に子ども達の来る人数が減ったからだな」

青鬼「減ったと言っても少しだけだが一時的ではないと誰かがリストラくらうハメになるんだよな」

緑鬼「まぁろくでもない仕事だし別にいいんじゃね?」

青鬼「いやいや……」


さやか(あたしは夢見てるのかな)

トボトボ

さやか「……結構歩いたけど、三途の川すらないわよ」

カツ……カツン……

さやか「あれは……」

ゆま「……あ、あと少しでできそう」

鬼「憤っ!」ゴォォ

ガッシャーン

ゆま「あ、ああ……!あと少しだったのに……!」グスッ

鬼「積み上げろ……」

ゆま「……ゆま、も、もう帰りたい……!」

鬼「全部石を積み上げきらなきゃ帰れん」

ゆま「積み上げようとしてるのになんで壊すの!!」

鬼「それが俺の仕事だからな……早くしろっ」ギロッ

ゆま「うぅ、ごめんなさい……ゆま、良い子になるから」スンスン

鬼「積み上げろ」

……カツン……カツン

ゆま「指、痛いよ……」


ゆま「こ、今度こそ……!」プルプル

鬼「ふんっ!」ブォッ

ドカッ

鬼「ぐおっ!?」

さやか「ゆまちゃん、今のうちに早く!」

ゆま「ゆまのこと知ってる?誰……?」

鬼「させるかっ!」ズシンッ

ユラユラ ガラガララ…

ゆま「あ、ああ……!」

鬼「憤っ!」ブォッ

ガキィン!! ギリギリギリ

さやか(な、なんとか剣でも受けれたけど、なんて力……!)

鬼「子供が俺のこんぼうを受けれるとは、おまえ……魔法少女か、久しぶりに見たな」

さやか「久しぶり……?」

鬼「現世で何かあったとかで、魔法少女は来なくなっていたからな……」

さやか(まどかが円環の理を創ったからだ……!)

鬼「例え多少力があっても、同じことだけどな!」

さやか「押されっ……あたしすごくパワーアップしてるはずなのに!!」ガクッ

鬼「このまますり潰してやる!」

グググ… グニャァ…

さやか(剣も、もうダメ……!)

ゆま「はぁ、はぁ、うぅ……や、やめろーっ!!」ブンッ

鬼「うっ!目に石が!!」

さやか「今だ!スクワルタトーレ!!」

スバッズバッ

鬼「うっ!?」

さやか(全力で斬ったのに浅い……これじゃ、勝てない……!)

ゆま「ああ……ご、ごめんなさい……!」

さやか「ゆまちゃん、行くよっ!」ガシッ

ゆま「え……?」

タタタ…

 ・

 ・

 ・

さやか「ここまで来れば大丈夫かな」ヨイショ

ゆま「おねえさん、ありがとう……」

さやか「あたしのこと、わからないんだね」

ゆま「ご、ごめんなさいっ」

さやか「ううん、怒ってるんじゃないから安心して……それよりここのこと、わかってることあったら教えてくれる?」

ゆま「うん、いいよ……」

さやか「やっぱり、ここはあの世なのかぁ」

ゆま「ゆまは、親より先に死んだからきたんだってゆってた」

さやか「なんで、こんな酷いとこ」

ゆま「きっと、ゆまが悪い子だから」

ゆま「ゆまのせいで、ママとパパが苦しんで」

ゆま「いらない子になったから、だから……」ガクガク

ゆま「ママはっ、ママが、ゆまのせいで、きっと、だから――」スンスン

ギュッ

ゆま「――っ!」

さやか「いいよ、別に言わなくて……」ナデナデ

ゆま「んぐっ……ううっ」グスグス

さやか(この子はきっと、救われなかった時間のゆまちゃんなんだ)

さやか(実のお母さんに、殺されちゃった時間の――)



さやか(ねぇ杏子、ゆまちゃんが受けてる罰ってなんなのかな)

さやか(あたしは、この世界って何なんだろうってそんなことばっかり考えてた)

さやか(それって、例えどんな世界だったとしても……ゆまちゃんの苦しみと何か関係あるの?)

さやか(意味なんて、きっとないよね……誰かがあるって言っても、あたしは)

さやか(それは間違いだってはっきり言い返せる)

さやか(だったら、この世界が何かなんて考えても仕方ない)

さやか(いつだってあたしは、あたしに出来ることをやるだけなんだ)

~~~~~~~~~~~~~

さやか「ねえ、この世界って守る価値あるの?」

さやか「あたし、何の為に戦ってたの?」

さやか「教えてよ……でないとあたし――」

~~~~~~~~~~~~~

さやか(……)

ゆま「おねえさん、どうしたの?」

さやか「え?」

ゆま「すごく、かなしそうだった」

さやか「……」

ゆま「苦しいの、痛いの、飛んでけー!」ポイッ

さやか「?」

ゆま「おまじないっ!」エヘヘ

さやか「ぷっ……そんなの……」

ゆま「変かな……」

さやか「……変じゃ、ないよ……ゆまちゃんは強いね」

ゆま「つよいって?」

さやか「色々あったのに、元気だなって」

ゆま「……ゆまつよくなんてないよ、だけど今はおねえさんが一緒にいてくれてるから」

さやか「あたしが一緒だから?」

ゆま「うん!」

さやか「……ゆまちゃんはあたしの親友みたいだね」

ゆま「どんな人?」

さやか「普段ぼけっとしてるんだけど、いざとなったら気が強くって、」

さやか「自分のことよりも他人のことばっかりいつも考えてて」

さやか「どんなに哀しくてもいつも明日を信じてる」

さやか「自分の命よりも誰かの命を優先しちゃうような」

さやか「そんな優しい、最高の友達」

ゆま「ええ……おねえさん、ゆまと会ったばっかりなのにそんなすてきな人と一緒にしたらだめだよ」

さやか「実はね、あたしゆまちゃんのこと知ってるんだ」

ゆま「知ってるよ、名前もわかってるもん」

さやか「ううん、そうじゃなくて、ゆまちゃんと友達だったの」

ゆま「……?わからなくてごめんなさい……」

さやか「うまく説明できないけど……きっとここから出られたら――」

ゆま「出られたら?」

さやか「……その時のお楽しみぃ」

ゆま「えー!?」


さやか(きっと、あたしたちの世界のゆまちゃんと魂が統合される)

さやか(幸せに暮らしてるゆまちゃんとして、優しいお爺ちゃんお婆ちゃんや友達に囲まれて暮らせるんだよ)

さやか(それに、あたしなんかよりずっと最高のお姉ちゃんだっているんだから)

さやか(絶対、助けるよ)


つづく

――数時間後

さやか「歩いても歩いても、砂利道なんですけど……?」

グゥゥー

ゆま「おなかすいたの?」

さやか「……ウン」

ゆま「はい」スッ

さやか「へ?お菓子?」

ゆま「おいしいよ!」モグモグ

さやか「ど、どこから出したの?」

ゆま「ん~、気がついたらあった」

さやか(さやかちゃんのカンが告げている……これは食べてはいけない、と)

ゆま「食べないの?」シュン…


さやか「おいしかったー!」

ゆま「良かった!」

さやか「でもお菓子で喉がかわいてきちゃったよ」

ゆま「はい」

さやか「ラムネ!」ゴキュキュン

さやか「ぷっはー!」

ゆま「何でも言ってね、ずっと、ずうっと一緒にいてね」ギュッ

さやか(かわいいなぁもう)

チャップン…

さやか「あれ?いつの間に川の前に?」

――三途の川

さやか「おーい!」

死神「なんだい?」

さやか「この向こう側へ死なないで行ってもいい?」

死神「不思議なことを言いますね、あなたはもう死んでいるのに」

さやか「へ?」

死神「黄泉戸喫をしたでしょう?それをすることであなたの霊体はこの世界と結びつきが強くなり、完全な死を迎えるのです」

さやか「てことは、ここは……」

死神「三途の川です」

さやか「今まで見えてなかったのは……!」

死神「生きていたからです」

さやか「ななな、なんですとー!?」


さやか「ごめん皆……!さやかちゃんの冒険はここで終わってしまった……!」

ゆま「ごめんね……ゆまのせいで」

さやか「ア、アハハ……いいってことよ!」アセアセ

――裁判所

ガヤガヤ

さやか「ハッ、あたし何して……ここどこ?」

ゆま「死神さんが船で運んでくれたんだよ」

さやか「本人の了承も得ずに!?あたしまだ生きていたい!」

ゆま「……」


幽霊「どうか、どうか御慈悲を!」

閻魔「……」ゴゴゴゴゴ

さやか「あれって、どう見ても閻魔大王だよね……裁判の最中なんだ」

閻魔「有罪!」

幽霊「ひぇっ!どうしてですか!私はあれほど世界平和に尽力し、あなたさまにもお賽銭をやまほど……!」

閻魔「知らん!」

さやか「ちょっと!」

閻魔「なにやつ」

さやか「判決下す前に話くらい聞いてあげてもいいでしょ!」

閻魔「そのようなことは無用、私は見ただけでその者の罪がわかるのだ」

閻魔「そやつは有罪に決まっている」

さやか「き、決まっているってわかってる人の言い方じゃないんですけど!」

閻魔「別にいいのだ、私が法だ」ピッ

幽霊「待っ――」パーン!!

さやか「あ……っ」

ゆま「ぁぁ……っ!」

閻魔「ついでにそなた(ゆま)の裁判も始める、有罪」

ゆま「え……」

さやか「んなっ」

閻魔「おとなしくしておれよ」スッ

さやか「うああああああああああっ!!」ブンッ!!

ピタッ

さやか「なっ!?指一本で……」

閻魔「お主はこのあとだ」デコピン

バヂィッ!! ギューッン ドゴドゴドゴ ゴロゴロゴロ…

さやか「うっそ……」ヨロヨロ

閻魔「ほう……立つか、ただの人間ではない……雰囲気からすると魔法少女か」

さやか「かふっ……げほっげほ……どっかの、マンガじゃないんだからさぁっ!」ジャキッ

閻魔「罪を重ねるな……」

さやか「ああああああああっ!!」パアアア

タタタタタタタタタ

ザンッ ピタ
ザンッ ピッ ザンッ ピッ
ザピザピザピザピ
ザザザザザザサピピピピピピピピ

さやか(届いてよっ……!)

デコピン

さやか「」

ゆま「ううっ……」

閻魔「かなり鍛えたみたいだが……人の理にいてはそれが限界」

さやか「限界って、何よ……」ヨロヨロ

閻魔「……」

ゆま「もう、立たないで……」

さやか「あんた一人のモノサシで、人を勝手に決めつけないでよ」

ゆま「いいよ、ゆまのためにそこまでしなくていいよ、ゆま悪い子でいいから、さやかとお別れするから逃げて……」スンスン

さやか「……ゆまちゃん、ごめんねちょっとそれは違うんだ」

ゆま「え……?」

さやか「ゆまちゃんを守りたい、それももちろんあるけどさ……」

さやか「こいつを見てると、思い出すの」

さやか「いつかほむらを責めることしか出来なかった、馬鹿な自分を――!」

さやか「わかってれば何かを裁ける……そうかもね」

さやか「でもあたしは自分のわかっている世界が守りたかっただけだったんだ」

さやか「結果的に、大切だった友達も、大切にするべきだった出会いもあたしの手の中からこぼれた」

さやか「あたしが、何度も足を引っ張ったんだ……」

さやか「あたしに必要だったのは、本当に何かを守りたかったら!それは誰かを裁く事じゃなくて」

さやか「遠ざけず、壁を張らず全てであたしの身を寄せることだったんだ!」

さやか「それが出来るなら……もうあたしは何もわからなくていい」ヨロッ

さやか「例えそれが爆弾で、身の焦げるような焔でも、あたし一人が一緒に吹き飛ぶだけだ」

スタ……スタ……ガクッ

さやか「はぁ、はぁ……っ」

閻魔「お主の理屈は、破滅的だ」

閻魔「懺悔の気持ちがただ身を突き動かすのか」

閻魔「お主も有罪であるし、先に楽にしてやろう」

ゆま「や、やめて……!誰か!!」

ゆま「誰か!!さやかを助けて!!何でもしますから!」

ザワザワ

ゆま「誰も、誰も助けてくれない?『誰か見てても』誰も……!?」

ゆま「こんなのっ、無いよ……」

ゆま「う、うわあああああ!!」

タタタタタタ

閻魔「……小娘が貴様に当てられたようだぞ」

さやか「ゆまちゃ……来ちゃだめ」

バリーンッ!!

???「娘二人、ふせて!!」

スタッ

閻魔「き、貴様は――っ」

タルト「冥府を騙る魔境の隷よ、消えよっ!!」

ズバァッ!!

閻魔「」

チャキッ

サァサァサァ…

さやか「……」

タルト「気絶してる……」

ゆま「ふぁ……」ピト

タルト「?」

ゆま「ふぇぇえ……」グス…

タルト「わわっ……」

スッ ギュ…

タルト「大丈夫、もう大丈夫ですよ」ポンポン

ゆま「う"ん……っ」

タルト「……」ギュ…


ゆま「おねえさん、ありがとう」

タルト「間に合って良かったです」

ゆま「おねえさん、教えて……さやかはゆまのせいでこうなっちゃったの?」

タルト「もちろん違います」

ゆま「……なんで、みんなゆま達に酷いことするの?」

タルト「酷い人たちだからです」

ゆま「おとなってみんなそうなるの?」

タルト「そんなことはありませんよ」ニコ

ゆま「でも、でもゆま、ママも、パパも、たくさんいた人達も!みんな助けてくれなくて」

ゆま「助けてって言うのはわるいことなんだよね」

ゆま「ゆまは、だから……」

タルト「本当に、悲しい勇気でした」キュ

ゆま「悲しい……?」

タルト「信じることを諦めて奮い立つ姿が、です……」

タルト「誰だって暗闇の中で背中を押してくれるのが、希望という光でなければ」

タルト「前は見えないから……」

ゆま「じゃあ、ゆまとさやかはどうすれば良かったの?」

ゆま「おとなしく、信じてしぬべきだったの……?」

タルト「……っ」

ゆま「おねえさん、本当にありがとう」グスッ

ゆま「でも、でも、ゆま、もう信じられないっ!」

ゆま「みんなみんな、だいっきらい!うぁーん!!」

さやか「……そんなこと言わないで」

ゆま「さやか!」

さやか「誰にも頼らないなんて、言わないで――」

タルト「寝言のようですね」

ゆま「……さやかは、何と戦ってるの?」

タルト「誰かを救えなかった哀しみかもしれません」

ゆま「それは、皆にいじめられたり、助けてもらえない事よりも辛いことなの?」

タルト「人によって違いますが、私はそうだと思います……あなたは?」

ゆま「……悲しいよ、だから……」

ゆま「さやかと一緒に、ゆま祈って頑張るよ」

ゆま「きっと、助けられるって」


タルト(それも信じるという事ですよ、ゆま)

タルト(その火がまだ灯っているのなら、あなたたちはきっと生きのこれる)

タルト(この魔女の結界から――)


つづく

――翌日

さやか「昨日はありがとうございました」

タルト「どういたしまして!」ニコッ

さやか「あたしは美樹さやか、この子は――」

ゆま「ゆまだよ!」

タルト「ふふ、私は……タルトです」

さやか「タルト……タルトってさ、すごく強いんだね、あいつを一発でやっつけちゃうなんて」

さやか「あたしも強くなってきたって、勝手に思ってたのに自信が無くなっちゃったよ」

タルト「ミキサヤァカ……」

さやか「さやかでいいよ」アセ

タルト「さやか……それにはあの方達に秘密があるのです」

さやか「秘密?絶対負けないぞバリアーとか?」

タルト「なんですかそれは?」

タルト「この世界の者達は負い目や罪の意識を感じている相手に対してその意識が強いほど力が強くなるのです」

タルト「なので多くの方はそのためのあらゆる手を尽くしてきます」

さやか「じゃ、じゃああたしもゆまちゃんも作戦負けしただけで有罪でもなんでもないの?」

タルト「はい」

ゆま「ほんと?」

さやか「きっとほんとだよ、だってゆまちゃんに罪なんてあるわけないよ」

ゆま「じゃあゆまなんでここにいるの?」

さやか「えっ」

ゆま「……」

タルト「この世界は救済のために作られました……あなた達が辛い死に方をしたとこの世界が判断したのでしょう」

ゆま「うん……」

さやか「どうしていろんなことを知ってるんですか?」

タルト「長い間ここにいましたから」

タルト「続きの話はごはんを食べてからにしましょう」

さやか「ご飯なんてどこに……」

タルト「ここにありますよ」

ズラァーッ

ゆま「う、うわぁー……!」

さやか「いつの間に……!?」

タルト「これもこの世界の特徴です」

さやか「そ、そういえばお菓子のときも……もしかして、なんでもできる天国……!?」

タルト「そう思ったほうが幸せに過ごせる世界ではあるかもしれません」

さやか「でも……」

タルト「いいんじゃないですか?もう……辛いことがあってここに来たのですから、理想の幸せを描いても」

さやか「理想の幸せ……あはは、それもいいかもね……でも、なんか違うかも」

タルト「違う、とは?」

さやか「タルトさんはさ、あたし達が作られた存在だって言ったら、信じられる?」

タルト「納得できるだけのことがあれば」

さやか「あたしはさ、それを見てきたんだ」

さやか「言ってみればあたし達って今生み出したご飯と同じなのかも」

タルト「……迷っているんですね」

さやか「外の世界でさ、何もかも忘れて……そうでなくても、あたし達を作った何かを突き止めて」

さやか「都合のいいヒーローが突然現れて、全部救っちゃいました!みたいな展開にさせちゃって!」

さやか「それでも良かったのかもしれないけど……あたしは何かしていいのかすらわかんなかったんだ」

タルト「わかりやすい宿敵が現れれば決意も憎しみも簡単ですよ」

タルト「あなた達の世界にもそれがきっといるんですよね?なのにどうして悩むんですか?」

さやか「ううっ、わかんない……!あたしバカだから……!」

タルト「違いますよ、きっとあなたがとっても優しい人だから悩むんです」

タルト「複雑な世界では模範的な回答を得ることがあなたの安心だった」

タルト「でも、あなたの願いはそういった理屈とはずっと違うところにあったから悩んでいるのではないですか」

さやか「あたしの願い……」

ゆま(……またむずかしい話してる)

さやか「そうだね……あたしの願いは世界なんて関係なくて」

さやか「大切な人を救いたくて……それで」

さやか「それで……っ」

タルト「……あなたが癒やしの願いで魔法少女になったのは戦い方を見ればわかります」

タルト「優しすぎる人は一人一人の事情と真剣に向き合うほど溺れていきます」

タルト「あなたがここにいるのはそういう事情と関係あるのかはわかりませんが」

タルト「きっと、あなたが見るべきものがこの世界にあるんです」

さやか「あたしの見るべきもの……?」

タルト「ついてきて……」スッ

さやか「は、はい」

――世界の境界

さやか「ここは……何か、泡みたいのがたくさん浮かんで、その中に風景が見える」

タルト「この世界があらゆる分岐点と繋がっていることで浮かんでいる、様々な世界との境界です」

タルト「泡に触れれば自分の可能性を覗くことができるんですよ」

ゆま「……」ポゥッ

さやか「あっ!ゆまちゃん!?」

タルト「だめ、無理に引き剥がすと意識が壊れて戻ってこれなくなります!」

ゆま「……うぐっ……ぐすっ」ポロポロ

さやか「……!」

タルト「この子はあらゆる時空で虐げられているのかもしれませんね」

スタスタ ギュッ

タルト「ごめんなさい、迂闊に連れてきてしまって……あなたは自分の可能性を誰よりも貪欲に求めていたんですね」サスリサスリ

ゆま「……?あ……」パチクリ

タルト「安心して、悪い夢だったの」

ゆま「あう……あああああー――っ!!」ビエエ

さやか「……」

タルト「あなたには泡が近づいて来ませんね」

さやか「あたし……見たくない、怖い……それに、あたしの記憶はもう平行世界のあたしと統合されてるんだ」

タルト「……それなら私たちと、ずっと一緒にいましょうか」ニコ

さやか「……ごめんね、タルトさん……嫌なこと言わせて」

タルト「いいえ」フルフル

ポウッ

さやか「ん……」

タルト「きっと、今のあなたなら見たくなかった世界が見えてきます」

タルト「でも、恐れないで……あなたは『あなた』ですし、私もあなたを見守っていますから――」

――まどか牧場の世界

さやか(こ、ここは――?)

さやか(あたし、幽霊みたいになってる)

まどか「ウェギィ!」

さやか(!?)

まどか達「ウェビィィ!!」

さやか(な、何これ?)

牧場員さやか「ふんふん~♪」ザッザ

さやか(あ、あれあたしだ……?」)

牧場員さやか「おらどけっ!」

バシィ

まどか「ウッギゥー!!」

さやか(!? な、なんてこと……)

牧場員さやか「本当にいい仕事についたよ……こいつらいじめればいじめるほど美味しくなるんだもん」

さやか(う、嘘だ……嘘だあああっ!!)

――世界の境界

さやか「」ビックンビクビクン

ゆま「さやか……!」ギュッ

タルト「相当恐ろしいものを見ているようですね」

ゆま「どうして?」

タルト「実は……私たちが作られた存在だということ、私は既に知っていました」

タルト「彼女は知らなければいけなかったんです、それがどういうことを意味するのか」

タルト「その果てに、彼女は本当の気持ちと向き合えるはずだから」

ゆま「本当の、気持ち……?」

タルト「あなたはもう持ってるみたいですよ」

ゆま「わかんない……」

――まどか牧場の世界

牧場員さやか「恭介がとられちゃったよ……」

さやか(そこはしっかり辿るのね……)

まどか「うぇひー」ペロペロ

牧場員さやか「うわ汚なっ」ドンッ

さやか(うぅ……)

牧場員さやか「なんで、あたしが……あいつの手を治すために学校通うのもやめてここに通ってたのに……!」

牧場員さやか「恭介に言われたんだ……まどか臭いからもう会わないでよねって!」

牧場員さやか「全部、全部あんた達のせいよ……!」

バシッバシッ

まどか「うぇひっ!うぇっ!」

バシッバシッ

まどか「うぇっ!う、うぇ……」

バシッバシッ

さやか(やめてよう!そのまどかが何したってのよ!!)

牧場員さやか「教えてよ……あたし、今どうしてこんなことしてんだろ――」

バシッバシッ――

――数日後

ウィーン…

まどか達「……」

ほむら「いい感じに死んだような目つきになったわね……あなたいい腕してるわ正社員にならない?」

牧場員さやか「……こんなことしたって何になるんすか」

ほむら「え?」

牧場員さやか「毎日毎日まどかをひっぱたくだけ……他に何にもならないじゃない!」

ほむら「でも生きていけるわ」

牧場員さやか「生きて……?」

ガシッ

ほむら「逆に……私達みたいな存在が他に何をして生きていけるっていうの?あなた他の仕事を舐めすぎよ?」

牧場員さやか「そういえば、あたし恭介のために学校を……」

ほむら「そうよ……この世界は超学歴社会!新興企業か、流行りの商品にすがらなきゃ私達は生きていけない」

ほむら「私もあなたも手術の借金を返さなきゃいけない……違う!?」

牧場員さやか「ぐっ……うぅ……!」

ほむら「無意味だって思っても、私は繰り返す……何度だってまどかを送り出す」

さやか「そうだよね、売れるんだから……」

さやか(このめちゃくちゃな世界も誰かが創ったの……?どうして……?)

――繁華街 レストラン前

さやか(まどかの行方を追いかけてきた……もう、見れないよ)

マミ「あら、このお店まどかを入荷したらしいわね」

杏子「まどか……?ああ、あれね……あたしは嫌いだな」

マミ「どうして?」

杏子「もっといいもんいっぱいあんじゃん……牛肉でも食べようぜ」

マミ「そういえば出されてもいつも手つけてないもんね」

杏子「そういうことだ」

マミ「ほんと好き嫌いが多いんだから」


店主「ううん、せっかく仕入れたが売れないな……」

店員「癖がありますし、それに……」

店主「それに?」

店員「まだ噂なんですが、病気になるらしいんですよ」

店主「なんだって?……その話が広まったらまどかも終わりだな」


店員「はぁ、こんなにいっぱい廃棄か……ま、仕方ないか」

ドサッ

カァー カァー



さやか(あああああああああっ!!)

――世界の境界

さやか「ああっ!ああああっっ!!うわあああ!!」

タルト「さやか!落ちついて!戻ってきてますよ!」

さやか「え……?」

タルト「……」ギュッ

さやか「あああああ!」ブワッ

ゆま「うぅ……」ウルウル

さやか「なっ、なっ、なんで……何あれ」

タルト「恐ろしいですよね……ここは何も包み隠さない」

さやか「まどかが、あたしがっ、まっ、まどっ」

タルト「うぅっ……ぐすっ……」ポロポロ

さやか「あ……?」

タルト「ご、ごめんなさい……私が、初めてここを見つけた時を思い出してしまいました」

タルト「今辛いのは、あなたなのに……」

さやか「……タルトさんは、どんな世界を見たの?」

タルト「色んな『私』の世界……色々な解釈、そしてその源流である『私』」

タルト「私は、本物の私ですらなかった」

タルト「仲間たちと紡いだ想いも、過ごした日々も、失った、強敵達も……全ては、『影』」

さやか「それって……」

タルト「現実の物語とやらがあることを知り、私は外の世界を悟りました」

タルト「私はジャンヌ、かの人達は言います……ジャンヌ・ダルク『-乙女-』」

さやか「……あたしも、タルトさんが出てくるゲームを遊んだことある」

タルト「でも、きっとそれは私ではないですね」

さやか「私達って、なんなのかな……?」

タルト「さやかの見た世界にさやかの納得はありましたか?」

さやか「ううん……絶対あんなの、ない……!でも、でも」

タルト「でも?」

さやか「怖いよ……!あんな世界、知りたくなかったよ……!たくさんいたまどかは、どうなるの?どこからきてどうしてああなったの?」

タルト「ゆまさんに、しようとしていた事が答えなのでは?」

さやか「タルトさん気づいて――って、ということは……ああああああ!」

タルト「……」

さやか「やだぁ!やだぁ!あたしは、あんなあたしになりたくない!!」

ゆま「ど、どうしちゃったの?」

タルト「さやかは転生の悟りへと至ったのです」

ゆま「え……?」

タルト「魂は無限の可能性があり、無限の時を旅すると言われています」

タルト「しかし、あくまでも私達は他の誰かというわけではありません」

タルト「『私達の運命に私達の代用品は無い』んです」

ゆま「さやかが、ゆまにしようとしてたことって?」

タルト「あなたをここから救い出し、自分の世界へ連れ帰ろうとしていたみたいなんです」

タルト「きっと、その世界ではあなたがきっと幸せに暮らしているんでしょうね」

タルト「そうすれば、ゆまの魂は自然と在るべき場所で一つになる」

ゆま「……」

さやか「あ、あたしの人生って、みんなの人生って、なんなの?」

さやか「あたしは、何度も何度も生まれ変わって、どこかであたしを繰り返す……いつか、あたしはあたしができる限りの酷いことだってするんだ……!」

タルト「魂がどこへ行くのか?死んだら世界が霊魂で溢れてしまうのではと私に戦地で言った人がいました」

タルト「常に私は私であるところにいるなら――時空は問題ではありません」

さやか「うあ……」トロン

ゆま「さやか……」

ゆま「大丈夫だよ、さやか」ギュッ

さやか「ゆまちゃん……?」

ゆま「こわいことはたくさんあるって、みんな教えてくれるけど」

ゆま「答えはずっと決まりきってるから」

さやか「え……?」

ゆま「さやかは、さやかだよ!負けないで!」

さやか「う、うぐぅぅぅ……」ギュゥ

ゆま「えへへ……」

さやか(そうだよ、あたしは戦うんだった……運命と)

さやか(恐ろしい未来や現実があるならあたしは――)

さやか「救いたいよ、大切な人達の可能性を……!」

パァァァァ!!

さやか「あ、あたしの体が光って……?」

タルト「もう、この世界とさようならできるみたいですね」

さやか「そ、そんな……いきなり!?」

パチン!! パチン!!

さやか「泡が……弾けてる?」

タルト「きっと、あなたの思い出した強い願いが連動して、他の世界のさやかの運命を変えたり消滅させたんです」

タルト「想いは現実を超える……全ての世界は、いついつでも繋がっていますから」

タルト「だから、誰もあなた自身も『光』であることを忘れなければ、きっとなんだって変えられるんです」

さやか「うん、忘れない……それにみんなと一緒ならもっと何かを変えられるかもしれない」

タルト「……」ニコ

ゆま「さやか……ばいばい」

さやか「え?」

ゆま「ゆまは、ここに残るね」

さやか「な、なんで!?」

ゆま「ゆまは、ゆまのままでいたいんだ」

さやか「大丈夫、ゆまちゃんのままだよ!」

ゆま「違うよ……ゆまは今のゆまだったからさやかと会えたんだよ」

ゆま「それを、否定したくない」

さやか「それ、それだけで、こんな世界に残り続けるの?」

ゆま「ずっとなんて、きっと何にだって無いよ」

ゆま「辛いことがたくさんあって、死んじゃいたい……そう思っても生きていたいんだ」

ゆま「変わるなら、ゆまがゆまのままだよ」

さやか「やだよ……もう会えなくなっちゃうかも」スゥゥ…

ゆま「みんな繋がってるならいつかまた会えるから」

さやか「……いつか、絶対だよ」

ゆま「ゆま、負けないから……さやかの分も」

さやか「えっ?」

ゆま「あっ……えへへ」ニコ

さやか「待っ――」

――見滝原 公園 雨

ザァァ ポツポツッポツ

さやか「――ここは」

さやか「ああああ……あたし、ゆまちゃんに酷いことを……!」

さやか「あたしが信じられるように、信じなきゃいけないよう、生贄になったんだ……」

さやか「ゆまちゃんはきっと、そこまで考えてないからあたしの弱さがゆまちゃんを誘導して……!」

サァァ ペチョ ペチョ

キュゥべえ『そこにいるのは、本物のさやかのようだね』

さやか「キュゥべえぇぇ!」ガシッ

キュゥべえ『やめてくれさやか、僕が壊れる』

さやか「サポートしてくれるんじゃなかったの……!?せめて、あんたの支えでも、少しはマシに……ぐすっ」

キュゥべえ『どうやら見ない間にまた魔力が強くなったみたいだね、それにこれは……一体何があったんだい?』

さやか「言いたくない……」

――繁華街前

ザァァ スタ……スタ……

さやか(タルトさんと話してわかったはずのことがまた全然わかんなくなってる)

さやか(あたし、こんなじゃダメなのに……失ってばっかり)

さやか(手からこぼれ落ちたものって、本当に繋がってるの?)

さやか(あたしの罪が、きっといつかあたしを、したくないあたしに近づけていくのかもしれない……)

スタ……スタ…… ピタ

鏡「」

さやか「あれ、そういえばあたしの顔……なんか、え……?」

スタッ

キュゥべえ『気がついたかい、今の君の体は本物ではなく、君の高まった魔力が実現した補填の体なんだ』

さやか「どうなってるの?こんな継ぎ接ぎみたいな線だらけの体になっちゃって」

キュゥべえ『それは修復し続けている君の魔法の波紋だ、常に線は移動するよ』

さやか「……もしかして、魔法止めたら跡形もなく消えて死ぬの?」

キュゥべえ『もちろんさ』

さやか「あ、あは……なんで?あたし、いつの間にか人間の体ですらなくなってる……」ガクッ

キュゥべえ『人間のような高度な情報量の生物の体をよりしろ無しに魔力だけで作るだなんて魔法とはいえ大変なことだよ』

さやか「よく見ると、風景も何か変じゃない?」

キュゥべえ『君のいない間にちょっとね』

さやか「わ、わかった……あたし、まだ元の世界に戻ってないんだ!それで、きっと何かの試練の途中で」

キュゥべえ『ここは紛れもなく君のいた世界さ』

さやか「……ほ、ほむらを助けなきゃ」ユラユラ

キュゥべえ『やれやれ』

――見渡す限りの砂漠

さやか「……」

さやか「えっ?」

さやか「ここって、隣町との境あたりだったような……」

さやか「わかった!夢だ!今までのことはぜーんぶ夢だ!」

ホッペギュィー

さやか「痛っ……くないよ、まだ目覚めてないもん」

ギリギリギリ

さやか「くぅ……何も守れてない夢なんて覚めてよ……」

さやか「そもそもとんでもないことばっかり起きすぎだよ……あたしまだ中学生だよ?神様は何を期待してるのさ」

さやか「まどかと仁美と遊んで大人がどうでもいいって言うことでも本気になって」

さやか「そんなにたいしたことじゃないので愚痴をこぼせるような平和があたしたちの日常じゃないの?」

ザッ

さやか「でもあたしも成長したよね……昔だったらとっくに魔女になってたもん」

さやか「あ、もう魔女になってたんだった!」

パタッ

さやか「あはははは、あはははははは!!」ポロポロ

さやか「みんな、生きてるよね……死ぬわけないなんて、思っちゃいけないんだっていい加減わかったよ」

さやか「ふつうの日常が大切だってもう十分わかったから、悪い夢から覚ましてよ神様……」グスッ

ヒョコッ

ゆま「大丈夫ですか?」

さやか「あ……?」

ゆま「あっ……」

さやか「ゆ、ゆまちゃん……!?」

ガバッ ギュッ

ゆま「ひっ!?」

さやか「ぅぅぅ」グスッ

ゆま「え……っ?」

さやか「ごめん、ちょっとね……」ポロポロ

ゆま「も、もしかして、本物のさやかなの?」

さやか「本物って……?」

ゆま「……ううん、なんでもないよ」

ナデナデ ポンポン

ゆま「辛いこと、あったんだね」

さやか「うん……」

ゆま「ゆまもね、最近怖い夢を見たんだ……そこでね、さやかに助けてもらったの」

さやか「え……?」

ゆま「会いたかったら偶然会えるなんて、すごいね」

さやか「夢は、どんなのだったの?l

ゆま「あんまり覚えてないよ……さやかと、タルトとね、旅したんだ」

さやか「あぁ……!」ギュゥゥー

ゆま「い、いたいよ……えへへ」

さやか(本当に、繋がってるんだ……夢、夢だけど)

さやか(意味わかんない夢見たり、デジャブってそういう……?)

さやか(なんでもいいよ、また、会えたんだから……)


さやか「……勇気、出たよ」

ゆま「元気じゃなくて?」

さやか「生きてくためには元気なだけじゃダメなんだね」

ゆま「よくわかんない……でもゆまが役に立てたなら良かったよ」

さやか「見滝原は、今どうなってるの?」

ゆま「織莉子おねーさんに聞くのが一番だけど……その前にさやかはお面とか被ったほうがいいよ」

さやか「どうして?」

ゆま「さやかの偽者がいるの」

 ・

 ・

 ・

さやか「よし、こんな感じでいこう」バサッ

ゆま「バッチリだよ!」

さやか「あたしが美樹さやかであることは誰にも内緒ね」

ゆま「わかった!」


つづく

――見滝原 屋台

和子「はぁぁ……」

店主「先生、今日も飲みすぎですよ……」

和子「酔えないのよぉ……」

店主「気持ちはわかりますがね……『世界が滅んじゃってもいいかななんて思っちゃったり☆』なんて言っちゃった次の日から世界がおかしくなって」

店主「生徒に何も言い訳できないまま休校になったとあっちゃ」

店主「己が不謹慎すぎて俺だっておかしくなりましょうが、それでも俺達は大人なんです、健康は大切にしないと」

和子「いいんです、私はどうせ後悔できるだけの暇がたくさんある独り身の大人ですから!」

和子「生きてる資格なんてないのよ……」

店主「それに先生が言ったのはジョークだったんですから、そこまで追い詰めないで!」

和子「……」

トボトボ…

和子「……ジョーク、か……」

和子「結構、本気だったわよ……ううん、平和を信じていたから、言えた本音の愚痴」

和子「だからこそ、こういうのって後から自己嫌悪に襲われるのよね……」

和子「詢子にも、こんなの相談したくないし」

和子「なのに、自分を棚に上げて誰か癒やしてだなんてことも思っちゃうのよね……ほんと、嫌になるなぁ」

……キィ

和子「……あれは?」

沙々「はぁ……」

和子「大丈夫?」

沙々「あ……おかまいなく」

和子「でも、とっても元気無いように見えるわ」

沙々(当たり前でしょーが洗脳した家主と住んでた家が家主に魔法を使えなくなって逃げて来たんですから)

沙々(優れてると思いこんでると操れますが見下してる相手は洗脳できないのがわたしの魔法の欠点ですね)

沙々「……あなたは一人暮らしですか?」

和子「そうよ?独身ですけど?」

沙々(そこまで聞いてないんですけど?)

沙々「でも……知的な雰囲気でそういう仕事に就いていそうです」

和子「ふふ、知的ですてき……そうかしら?」

沙々「は、はい」

和子「学校の先生してるんだけど、今世間が大変だから……ね」

沙々(センコーかよ)

和子「あなたは、きっと私が受け持ってるクラスの子達と同じくらいね……」

沙々「それ以上言わなくていいです」

和子「はい?」

沙々(あんまり喋られると見下しそうですし……)

沙々「住む家がなくて困ってるんですぅ~!」パァァ

和子「……じゃあうちに来る?」ボーッ

沙々(こいつの家でも、まぁいっか)

沙々「お世話になります、先生……くふふ」

――和子のアパート

沙々「……」

和子「どうしたの?」

沙々「なんかボロ……古いですね」

和子「でも立地条件はいいし、安いのよぉ」

沙々「借金でもあるんです?」

和子「無いけど……できるだけ貯金しなきゃね、いつかは結婚するんだから」

沙々「ふぅん……」

――部屋内

沙々「さ、さむっ!」

和子「ふふっ、隙間だらけで外より寒いけど……空気はいつもいいのよ?」

沙々(当たり前だぁー!)

沙々「暖房、つけましょうよ」

和子「そんなもの無いわよ」

沙々「あ?」

和子「これを着て」スッ

沙々「ハンテン……無いよりマシですか」

和子「気合いと元気があれば寒さなんてへっちゃらよ」

沙々「は、はぁ……」

チックタックチックタック

和子「……」

沙々「……」

沙々(ノストラダムスの大予言とかちょっと変わった趣味が多くて暇です)

沙々(部屋が散らかっていてあんまり動けないし……)

沙々(これは、寄生する対象を間違えた……)

和子「へくちっ」

沙々「先生も何か着れば?」

和子「それ一着しかないわよ」

沙々「なん……だと……?」

プシュッ

和子「お酒で温めるから大丈夫よ~」

沙々「あ、あんまりこういう生活良くないですよ」

和子「心配してくれるの?優しい子ね……でも先生は丈夫だから!」

沙々(違ぇー!呆れると魔法が解けるんだよォーッ!そしたらもったいない!)

ガサゴソガサゴソ

沙々(このザ・ゴミの山からやくにたつものを見つけてみせます)

沙々「机の上にあるのは……日誌ですか」

和子「見ちゃだめぇー!せっかく忘れようとしてたんだから!」

沙々(中には恋人と過ごした事とかが描かれて――)

和子「どうしたの?」

沙々「ぐふっ……こんなつまらない理由でケンカするなんて」

和子「つまらなくないわ、とっても重要なことよ?」

沙々「卵の熟し具合とかがですかぁ?」

和子「そうよ……幸せになるというのは、自己の確立なのよ!」

和子「些細な事でも……理想の自分へ向かおうとする事は勇気を与えてくれますし、孤独だって埋めてくれるのよ?」

沙々「そのせいで孤独になってたら本末転倒のような……」

――就寝前

和子「そろそろ寝る時間よぉ」

沙々「MMR読み終わるまで待って」

和子「ダメです!さ、布団敷くわよ!」バッサバッサ


沙々「あれ、もう一枚がありませんが?」

和子「何言ってるの、一枚しか無いから二人で一つよ」

沙々「」

和子「誰かが泊まるなんて久しぶりね~」

沙々「け、結婚したいくせに家に誰も呼ぶつもりが感じられませんが?」

和子「え?」

沙々「散らかってるし、布団は自分のだけだし……恋人作るならもっとしっかりしますよね?」

和子「そ、そうね……仕事にかまけて自分のことは考えてなかったわ」

沙々「とか言っちゃってぇ、本当は自分に言い聞かせてるだけで結婚なんてしたくないんじゃないですか~?」

沙々「だから理想なんて作っちゃって、紛らわしてる!」

和子「……ふふ、とっても人のことを考えるのが好きなのね」

沙々「べ、別にそういうわけじゃありません」

和子「でもね、選んだら進まなきゃいけなくて、そして運命は待ってくれないのよ」

和子「人生は自分がどう考えるか、なんて本当は細かいことで、否応なく環境に適応していくしかないのかもしれないわ」

和子「でもそんな中だって例え嘘だったとしても生きてきた理想はその人にとっての本当になる」

和子「人を見るなら嘘でも本当でもなく、その人が見ている方向を知らなければならないのね」

沙々「むー……じゃあ先生は何を見ているんですか?」

和子「今は、あなたとの明日よ」

――就寝

和子「Zzz……」ギューッ

沙々「あ、熱い……」


沙々(やっぱりセンコーは、くそまじめですね……)

沙々(理想の自分とか、説得力無いし、何よりくだらない……)

沙々(この状況だって、洗脳によるものなんですよ?)


沙々(『あなたとの明日』か……ま、ともかく見込みはありそうだからしばらくはここで我慢してやります……くふふ)

――朝 公園

まどか「……」ボーッ

まどか「いい天気」


まどか「ふぅ……」キョロキョロ

まどか「かずみちゃんがいないと変身もできない……」

まどか「みんな、わたしを戦わせたくないんだ」

まどか「守られるだけって、やだな……」コテッ

まどか「……あ」

テクテク

まどか「せんせーっ!!」ニコニコ ブンブン

和子「まどかty――鹿目さん、久しぶりね」

まどか「えへへ、まどかちゃんでいいですよ」ウェヒヒ

和子「今は先生の生徒なんですから、そこはしっかりしなくてはいけません!」

まどか「……あれ?その子……」

沙々「……」

和子「この子は、今ちょっと事情でうちでお世話してるのよ」

まどか「へぇ~!わたし、鹿目まどか!よろしくね……」スッ

沙々「……」

ガシッ

まどか「えへへ」ニコニコ

沙々「ここにいることは織莉子さんには言わないでくださいよ?」

まどか「へ?」

沙々「多忙な隙を突いて激務から逃げて来たんですから」

まどか「うん、わかった!」

沙々(トラブルメーカーっぽい顔してるんですよねぇ……)

和子「二人とも知り合いだったの?」

沙々「ちょっと見掛け合ったことがある程度の仲です」

和子「織莉子っていうのは、あの美国織莉子さん?」

まどか「そうですよ」

和子「今や見滝原で知らない人はいないような子と知り合い……それにいつの間にか白女の生徒と交流してただなんて先生おどろきです」

まどか「たまにそう言う人がいますがどうしてですか?」

和子「白女と言ったら見滝原では名門中の名門で由緒正しい家系か相当なお金持ちの子でなきゃ通えないわね、成績が良いだけでもダメなのよ」

まどか「わぁ……」

沙々「二人とも!所属校は言わなくていいですからね!」

まどか「わたしは、見滝原中学の二年生だよっ」ニパー

沙々「あああーっ!!」チラッ

和子「?」

沙々「ふぅ……(洗脳は解けてませんね)」

まどか「どうしたの?」

沙々「どうして言うんですかぁ!」

まどか「え、えっと……所属も名乗れねぇような奴には信頼は生まれねぇっ!」

沙々「急に強気!?」

まどか「ってママが」

沙々「ママかよ!」

和子「ふふ、でも言わなくていいならそれでいい時もあるのよ」

まどか「そうなんですか?」

和子「立場を気にせず、公平に歩み寄り合いたい人だってたくさんいるわ」

和子「ネット上では性的にトラウマやコンプレックスがあって、そういうことを抜きに語り合いたい時に隠すケースも多いわね」

和子「もちろん所属を隠して悪いことしようとする人もたくさんいるけれど」

和子「優木さんは鹿目さんと仲良くなりたくて気を遣ったのよ」

沙々「ふぇ?」

まどか「そうなの?」

和子「だってこの子も、白女の生徒だもの!」

沙々「!?」

まどか「!?」

和子「名門校にいるからって見下さず他校の子とも平等に接する……素晴らしいですわ」

まどか「ありがとう(?)!沙々さん」

沙々(二人とも甘ちゃんぽいけど微妙にまわりのことを考えないタイプ!?)

――繁華街

沙々「くふふ……お腹いっぱいです」

まどか「ありがとうございます、わたしまで」

和子「ふふっ、楽しかったからいいのよ」

<オウッ! ジジイ! カネヨコセ!

沙々「あれは……」

まどか「だめ……止めないと」ダッ

ガシッ

沙々「な……あんたみたいなかよわいのが行って何になるんです」

沙々「もちろんわたしもかよわいですからスルーの権利は許されております」

まどか「こ、怖いけど……お爺さんを守らないと!」

沙々(聞いてないー!?)

ツカツカツカ

和子「……」

沙々「先生?だめですよ!先生だってかよわいハムスターでしょ!それどころか先生も爺の仲間かもしれません!まどかさんも何か言ってやって!」

まどか「……頑張って……」

沙々「」

お爺さん「このお金は復興のために寄付する大事なお金なんじゃ!」

モヒカン「ヒャッハー!そんなのほっとけよー!今すぐ使ったほうが有意義だぜぇ!」

お爺さん「ぬぅ!今日より明日……!今日より明日なんじゃ!」

モヒカン「ふざけたこと言ってんじゃ――」

ドンッ

モヒカン「あーん?」

和子「ご、ごめんなさ……メガネを落としてしまって……」

モヒカン「なんだぁ?この女」

和子「あ、あったわ!」

ボゴォ!!

モヒカン「ゲボッ!?っ痛ぇな何しやがる!」

和子「あら?掴んだと思ったら違ったみたいねぇ~、メガネが無いと何も見えなくて」

モヒカン「話聞いて――」

和子「あった!」ヒュッ

ボゴォ!!

モヒカン「けひっ!?」

和子「違った……あった!」ヒュッ

ボゴォ!! ヒュッ ボゴォ

和子「あったあったあったあったあった」

和子「あたあたあたあたたたたたた」

和子「あたたたたたたた!!!」

モヒカン「げぶりゅっひぃ~~!?」ボボボボボボボボボボ

沙々「な、なんですかこれ」ヒキ

まどか「ぬぅ……メガネ神拳!」

モヒカン「」

和子「大丈夫ですか?」

お爺さん「ありがとうございますじゃ……」


沙々「あんなに強いなんて……」

まどか「先生は昔、友達を守る不良少女だったんだって!」

沙々「え?魔法少女?」

まどか「不良少女だよっ」

沙々「魔法少女?」

まどか「むぅ~~」プクー

沙々「はい」


ポトッ

和子「あっ、メガネが……」

お爺さん「ここですよ」


沙々「ジジ……お爺さんもヤる気ですか?」

まどか「……頑張って……」

沙々「いやいやいや」

まどか「えへへ」ウェヒヒ

 ・

 ・

 ・

まどか「先生、かっこ良かった~」

和子「そんなことないわよ~」

まどか「わたしも、えい!たあ!ってみんなを守りたい……」

沙々「少々私も先生を見くびっていたかもしれないです」

和子「ふふ……二人と今日こうしていられて良かったわ」

和子「生徒達に、幻滅されていないかって心配だったもの……あなた達だけでもこうしてくれてるの、嬉しいわ」

まどか「幻滅?どうしてですか?」

和子「わからないならそれでいいの」

まどか「???」

沙々「ふーむ……何でも正直に吐いてください」

パァァ

まどか「あっ……魔法?だめだよぉ」

沙々「いいんですよすぐ解けますしこのくらいなら……くふふ」

和子「最後の日、HRで教師としてデリカシーに欠けることを言ってしまったわね」

まどか「……!」

和子「ずっと後悔してる……世界が大変なことになるなんてありえないと思って油断していたのね」

和子「気に入らない事を生徒に愚痴っちゃだめよね」

まどか「で、でも、先生がいつもそうしてくれるおかげでわたし達、先生のことがたくさん感じられるの!」

まどか「先生だって本気で言ってるわけじゃないって、いつもの先生を見てたらわかるもん!」

まどか「とっても優しくて、ちゃんと叱ってくれて、わたし、みんなだって、先生のこと大好きだよ!」

和子「鹿目さん……」ウルッ

沙々「けっ……わたしは結局何もわからないし除け者じゃないですか」


知久「おーい、まどかー」

まどか「あっ、パパ」

和子「とっ、知久さん……!?」

知久「和子さん……!久しぶりですね」

和子「奇遇ですわね」アセアセ

知久「はは、同じ街に住んでいるのにまったく会わない今までのほうがおかしかったかもしれないね」

和子「そ、そうですね……」モジモジ

沙々(ほうほう、これはこれは……?)

知久「いつも詢子に付き合ってくれてありがとう」

まどか「ママだけじゃなくてパパも先生と友達だったの?」

沙々「あっ……」

知久「そうだよ、パパは和子先生にたくさん御世話にもなったんだよ」

和子「……じゃない」

知久「?」

和子「友達なんかじゃない!」

知久「!?」

和子「ちっ……これだから男は……ずけずけと自分だけ何でもわかってますみたいな顔いつもしやがって」

まどか「あ、あの、先生……?」

和子「会わないのがおかしかったら避けられてるに決まってるよねぇ!あなた達の自慢の広い家に詢子から誘われても飲みに行かないのだって――」

和子「――あんたの存在が残した空気に虫唾が走るからよ!」

知久「ぼ、僕が何か悪いことをしていたのかい?謝るよ……だから――」

和子「謝っても絶対に、ずっと許さない」

まどか「やめて、もうやめてよぅ……」グスッ

和子「私の全てだった詢子を奪ったあなたなんか!!」

和子「――はっ、私、なんで……?何てことを……!」ウルウル

知久「ごめん……君が、そんな風に思っていたのに(気づけなくて)……」

まどか「先生……」グスッ

和子「違うの、私……ごめんなさい」ダッ

タタタタタ

沙々(やばい……こんな風にするつもりじゃ)

沙々(ま、いいか……で済ませられればいいですけどこいつ《まどか》の知り合いっていうのが面倒になりそうです)

沙々「……とりあえずわたしは先生を追いかけますね」

タタタ…

まどか「……」

知久「本当はまどかを迎えに来たつもりだったんだけど……まどかはパパの分まで先生を追いかけてきてくれないかい?」

まどか「いいの……かな、わたしで」グスッ

知久「まどかじゃなきゃ、いけない……先生は今、熱くなって混乱しているはずだ」

知久「まどかを傷つけるようなことも、言うかもしれないけれど、それで先生を嫌ってあげないでね」

まどか「うん……パパは、平気なの?大人だから?すごいね」

まどか「わたしは、嫌いとか、そういうのじゃなくて……怖かった」

まどか「先生が、急に憎しみでいっぱいになって、先生が、変わっちゃうみたいで」

知久「まどか、大人は強くないんだ」

まどか「え?」

知久「人の心の成長は、今のまどか……中学生くらいで止まってしまう」

知久「それでも僕達は大人になった……たぶんその理由の一つはね」

知久「君達と、出会うため」

まどか「出会い……?」

知久「先生だって、わかっているはずだよ」

知久「だって、『まどかの先生』だもの」

まどか「……うん!」

――高台

まどか「……」

和子「よく、ここにいるってわかったね」

まどか「えへへ、先生のこと大好きだもん」

和子「……っ!わ、私、あなたにそんな言葉をもらう資格が無いわ!」

和子「何に追い詰められていたんだろう、何を焦っていたんだろう」

和子「子ども達に自由と秩序の喜びを教えてあげる立場にいながらその実、誰よりも私は歪んでいたわ」

和子「きっと、あなたを教えていた時の私、あなたを思い通りにできることを喜んでた」

和子「最愛の人と、最も憎い人の子どもだもの……」

まどか「先生、わたしの話を、聞いてくれますか?」

和子「え……?う、うん」

まどか「実はわたし、気になる子がいるんです」

まどか「先生と、同じ気持ちかどうかはわかりません、でも、すごく聞いてほしくなって……」

和子「……その話でいくと、その子も女の子、なの?」

まどか「はい」

和子「……そうよね、でも、美樹さんは――」

まどか「どうしてさやかちゃんが出てくるんですか?」

和子「えっ?ありうるとしたら、美樹さんだとばかり……」

まどか「確かにさやかちゃんは大好きで、どこか行っちゃうみたいになったら心配で、仕方ないけど――」

まどか「……さやかちゃんと違う……?」

和子「鹿目さん?」

ギュッ

まどか「先生……わたしも、本当の本当に、そうだったみたい」

和子「……!その子は、とっても仲良いの?」

まどか「うん……」

和子「……そっか」ナデナデ

まどか「先生とママの話が聞きたいな」

和子「……そうね、私と詢子の出会いは――」

和子「――おしまい」

和子「ずっと、昔から一緒にあった、私の想い……辛かったけど、大切……」

和子「それがあったおかげで、こうして鹿目さんと話していられるのよね」

まどか「出会い……」

和子「?」

まどか「大人になったのは、君たちと出会うためだって、わたしに言ってくれた人がいるんです」

和子「ふふ、すてきな言葉ね……私もそう思う」

和子「大人になっても、大人ってなんだろうって思うわね」

和子「私なんて、子供のまま大きくなって、交際もまともに続かない……けど」

和子「あなた達の存在が、先生を支えてくれたって確かに思うの」

和子「子ども達の存在が私達を大人であると肯定してくれているのに、」

和子「私以外の何者にでもなれるあなた達に私一人だけの思想や理想を託してはいけなかったわね」

和子「強くなるなら、誰よりも――」

和子「……あなた達の自由を、受け入れられる強さよ」ニコ

まどか「先生は、やっぱりわたし達の先生だよ」

和子「ありがとう」

まどか「でも、間違っているとこがあります」

和子「な、なんでしょう……?」

まどか「わたしは、先生の気持ちを受け取れたら、それはとっても嬉しいなって思うんです」

まどか「だから、信じて……わたし達、先生の生徒のこと」

和子「鹿目さん……!」

まどか「わたしも、先生のことを信じてる」

和子「うぅっ……ぐすっ……なんて子なの……?」

和子「先生、たくさん悪いこと言ったのに……そんな先生からも学ぶつもりなんて」

まどか「だって、何があったって最後に選ぶのは、わたしだもん!」

和子「――!」ゴシゴシ

まどか「?」

和子「ふふ、詢子が重なって見えたわ……」

まどか「ほんと?ママみたいな大人になりたいなって、いつも思ってるんだ」ティヒヒ


和子(詢子……私、世の中を舐めてたのね)

和子(まどかちゃんに教えられたわ)

和子(私達は大人になってもまた、いつだってきっと何回だって変われる)

和子(この眩しい希望たちのためなら――)

和子(世界が滅ぶなんて、あるわけない)

 ・

 ・

 ・

――月の見える丘

まどか「……ほむらちゃん、どこに行っちゃったかわからないけど」

まどか「次会えた時……わたしは、ほむらちゃんに伝えたい事があります」

まどか(伝えても、いいですか……?)

――見滝原学園 教室 夜

ほむら「……」

キュゥべえ「何をしているんだい?」

ほむら「休校みたいね」

キュゥべえ「夜の校舎なのに違いを何か求めているのかい?」

ほむら「あなた達にはわからないかも知れないけれど……親しんだものには『生きている感覚』がするの」

ほむら「だから、人が来なくなった校舎は、寂しいという言葉だけでは語れないわ」

キュゥべえ「そういうものなのか」

ほむら「……最後に、見ておきたかったの」

ほむら「まどかと過ごした日々を」

キュゥべえ「諦めは君らしくないね」

ほむら「……今なんて?」

キュゥべえ「一週間後に『ワルプルギスの夜』が来る……君は君のシナリオをやり遂げられるのかな?『暁美ほむら』」

ほむら「!? 円環の理があるのに現れるはずが……!」

キュゥべえ「それはワルプルギスの夜が魔女として存在している限りではないのかい?」

キュゥべえ「ワルプルギスの夜は君達の運命として現れる」

キュゥべえ「円環の理と一つになったかつてのワルプルギスの夜ではなく、」

キュゥべえ「因果の収束により同等の存在が事象として現れるだろう」

ほむら「そんなこと、ありえるの?」

キュゥべえ「この世界が不安定なものであると、君は外の世界で学んできたのではないのかい?」

ほむら「早く、分裂した円環の理を倒さなくては」

ほむら「きっと、私がいなくなればワルプルギスの夜も」

キュゥべえ「……因果の深い君が消えるのは確かにワルプルギスの夜に対してリスク無く打てる確実な手だろう」

キュゥべえ「だけどそれが君の結末として相応しいのだろうか」

ほむら「キュゥべえ、何か変よ」

キュゥべえ「悪魔ほむらの干渉によって僕達は最初から僕達らしいとは言えないんじゃないかな」

ほむら「そうじゃなくて……」

キュゥべえ「?」キュップイ

――美国邸

織莉子「……うっ」フラッ

キリカ「織莉子、街の皆のためとはいえ頑張りすぎなんじゃないかな」

織莉子「でも、わたしにできることがあるから……」

キリカ「……少しだけ、少しだけ休んで」

織莉子「うん……」ストン

キリカ「紅茶淹れてくる、私もだんだんこなれてきたんじゃないかな?」

織莉子「ふふ、まだとっても甘いわ」

キリカ「そうかい、嬉しいよ」


織莉子「……ふぅ」

タンタンタン

織莉子「……お客様?誰かしら」



公秀「こんばんは、織莉子ちゃん」

織莉子「公秀おじさま……!?」

公秀「どうしたんだい随分と驚いたような顔をして」

織莉子(父が追い詰められた時、見捨てたくせに……今更何をしに?)

公秀「見滝原を離れて、私と一緒に暮らそう」

織莉子「……は?」

織莉子「……わたしはこの街を離れません」

公秀「だめだ」

織莉子「どうしてですか?理由を話してください」

公秀「言ってもとてもじゃないが信じられるような話ではない」

織莉子「わたしはこの街が……大好きなんです」

公秀「諦めるんだな」

織莉子「……っ!おじさまみたいに、何でもすぐ見捨てたりなんてできません!!」

公秀「……久臣のことを言いたいのか?」

織莉子「……」

公秀「私は久臣のことを見捨ててなどいない」

織莉子「何を……っ!?」

公秀「私達の世界を守るため……こういう時はと久臣と覚悟しあっていたことだ」

公秀「人が一人、命を懸けたことに君は、表面上の与えられた情報でしか考えられないのか?」

織莉子「あなたが……それを言わないでっ」ポロポロ

タタタタ

キリカ「織莉子を泣かせるな!お前に言われなくても、織莉子はお父さんを信じてる!」バッ

公秀「ふむ……」ジッ

キリカ「な、なんだよ」

公秀「久臣と似た目をしている」

キリカ・織莉子「!?」

公秀「自分のやりたい事をやるのは勝手だが、それが全て大切な人のためになると勘違いしないように……いいね?」

キリカ「……あ、あ……」パクパクパク

織莉子「か、帰って……っ」

公秀「……近いうち、見滝原は地球上から消えてなくなる」

公秀「『ワルプルギスの夜』という天災が起きるからではない……世界が決めたのだ、見滝原を存在ごと消す、と」

公秀「織莉子ちゃん、言葉も物事も少しずつ伝えあうべきだ……わかりあえることなど、そう多くないのだから」

公秀「君にも久臣にも、あまりにも急に多くのことがありすぎている」

公秀「……また来るよ」

キリカ「……い、言いたいことばっかりたくさん言って行っちゃった」

キリカ「驚かせるなって!もう!私と織莉子の未来はこの街と続いていくんだー!ね!」

ジッ

織莉子「――あっ、う、うん……」フイッ

キリカ「……?」

織莉子「ご、ごめんなさいキリカ」

キリカ「なんで謝るの?」

織莉子「ちがう、違うの……っ、勝手に、おじさまのせいで、キリカのせいじゃないから――」

キリカ「私の目をしっかり見て」ガシッ

ジッ

織莉子「~~っ!!」(><)

キリカ「わ、わかった、今私の瞳を見ると、お父さんを思い出しちゃうんだね」

織莉子「キ、キリカ……」

キリカ「それなら君のためにまた変わるだけさ」

織莉子「だめ、変わらないで」ギュ

キリカ「困るよ、織莉子……織莉子に見てもらえない世界なんて、私は……」

織莉子「ずっと、離さない」

キリカ「……」

 ・

 ・

 ・

織莉子「あなたの中にお父様を見てなんていないから」

キリカ「うん」

織莉子「おじさまの言葉に……ちょっと動揺しただけ」

キリカ「うん……」

織莉子「でも、おじさまはもしかしたら、本当にキリカの中にお父様を見たのかもしれない」

キリカ「……どうしてかな」

織莉子「……わたしと、同じだったのかも」

キリカ「ええ?」

織莉子「あなたのことが、とっても大切」


織莉子「明日、またおじさまと会ってくるわ」

キリカ「大丈夫?」

織莉子「キリカのおかげでまた一つ、お父様とおじさまに向き合えるようになったから」

織莉子「キリカは、皆にワルプルギスの夜が来ると伝えて――」


つづく

――翌日 公秀邸

織莉子「……」

公秀「――織莉子ちゃんにとっては、大の大人がいきなり何を言い出すかという話かもしれないが」

公秀「君は、魔法少女というものを知っているか?」

織莉子「テレビアニメ、とかの……?」

公秀「そうじゃない、現実に存在しているもののほうだ」

織莉子「ふ、ふふ……おじさまったら、そんな冗談を言うようになったのですね」

公秀「……」フゥ

公秀「……あれは、寿美が13歳あたりのころだ、寿美が突然キュゥべえという友達ができた妄想を語るようになった」

織莉子(おばさまが、キュゥべえと出会ってたなんて……)

公秀「しつけやしきたりに疲れ果て、現実逃避に作り出した空想の友達……なんていう風に、頭の硬い父達のように私も寿美を突き放していれば」

公秀「おそらく、キュゥべえによりもう寿美はこの世にいなかったはずだ」

織莉子「おじさまは、キュゥべえというものを信じたんですか?」

公秀「信じられるか信じられないかは重要ではない」

公秀「織莉子ちゃんにとって、いや、誰にとっても私は冷たく見えるだろうが、」

公秀「私にとっては久臣も寿美も、そして織莉子ちゃんも……」

織莉子「?」

公秀「歳だな、つい感傷的に物事を喋ってしまう……それはともかく」

公秀「私は久臣が青臭い理想を語る時のように、寿美の妄想にもきちんと耳を傾けた」

公秀「寿美は多くのことを語ってくれたが、次第にそのリアリティに私は恐ろしくなっていった」

公秀「それは、キュゥべえというものが与える魔法少女の生活が凄惨だからではなく」

公秀「キュゥべえの何も語らぬ手口が子ども達を陥れる大人と同じであると気づいたからだ」

公秀「私は、寿美に決して契約しないように言い聞かせた……寿美は私の言うことは素直に受け入れる子だったから、今も一緒に生きていられる」

公秀「……私はそれからも魔法少女のことについて詳しく調べあげた」

公秀「誰もが妄想だと言うだろう……だが、国は、いや世界は、魔法少女を利用する大人達によって支配されているのだ」

織莉子「……そんな」

公秀「……やはり、信じてくれるのか」

織莉子「あ、いえ、これは」

公秀「……私が甘かったな、織莉子ちゃんがキュゥべえと接触する可能性を見落としていたなどと」

公秀「すまなかった……契約させてしまうほど、一人にさせて」

織莉子「え……どうして?なんで、わたしには謝るんですか?」

公秀「久臣との事は大人同士の事だ……昨日も言った通り、覚悟があり、そしてそれが信頼であり私にはそれを侮辱することはできない」

公秀「だが……君にはゆっくり大人になってほしかったのだ、その時間、ずっと私は支えるつもりだった……久臣にやってやれなかった分まで」

織莉子(……おじさま、私達を見捨て、遠くから見ているだけにしか感じられなかったけれど、そんなことを考えていたんですね)

公秀「織莉子ちゃんの時間も、私と久臣の想いも踏みにじったキュゥべえは絶対に許さん……!」

織莉子「おじさま……」

公秀「だが、私にはまだ何もできていない」

公秀「安易な魔法の力は政を腐敗させ、人類が自らの足で踏み出し、そしてその苦しさから得られる尊厳への思いやりを学べる機会さえも奪ったのだ」

公秀「見滝原が消されると言ったね……それは異形達の出現理由が見滝原にあると彼らが特定したからだ」

公秀「織莉子ちゃんは、もしかしてその原因も知っているのかい?」

織莉子「……それについては、もうすぐ止められるはずです、だから、それさえ間に合えば――」

バァン!! ダダダダダダ

公秀「何事だ!?何だ君達は!」

兵士「美国織莉子を拘束しに来ました」

公秀「なんだと……!?」

織莉子(そんな、こんな未来はまったく視えなかった……!)

公秀「ここが、そして私が誰かわかっているのか!」

兵士「私達は、『上』の命令で動いています」

公秀「……!」

織莉子「もしかして、おじさまが言っていたのは……」

公秀「どうやら織莉子ちゃんは、見滝原の魔法少女達にとって重要な存在のようだな」

織莉子「おじさま、一つお願いが」

公秀「なんだ?」

織莉子「キリカを、お願いします……」

――見滝原 教会

杏子「あーんっ」モグモグ

杏子「うめぇっ!」ペカー

ゆま「もぐもぐ」

ゆま「もう食べられない~~」

杏子「そんじゃそれもあたしが……」

ゆま「ううん、これは騎士様にあげるの」

騎士様(さやか)「ほんとに何も食べなくても大丈夫だよ」

ゆま「でも……」

さやか「ていうか、味、わかんないんだ……」

ゆま「えっ」

杏子「……っ」

さやか「痛みとかはわかるんだけどね……細かい感触だって」

スッ ペタペタ

さやか「こうやってじかにゆまちゃんに触れても、なんだか痺れた手で触ったみたいに感じないの」

ゆま「そんなぁ……」ウルウル

杏子(誰だかしらないけど味感じられないとか辛過ぎ……ていうかなんで声かえてまで正体隠してんだ?それも辛い事情が……?)

杏子(ゆまも教えてくんないし)

さやか(それにしてもあのすごく太った人は誰だろう……)

さやか(ここ杏子の教会だよね?いつの間にか綺麗になってるし……もしかしてあの人が?)

さやか「あ、あの……」

杏子「なんだ?」

さやか「教会、綺麗にしてくれたんですか?」

杏子「??まあな?」

さやか「やっぱり……ありがとうございます!」

さやか「ゆまちゃんも、杏子の恩人に一緒に御礼言お!」

ゆま「???ありがとう!キョーコ!」

杏子「お、おう」

さやか「へぇ……あなたも、きょうこって言うんだ」

杏子「そうだけど」

さやか「ここに普段住んでるやつも杏子って言うんですよ」

杏子「???」

さやか「はぁ……杏子のやつどこ行っちゃったんだろうね、ゆまちゃん」

ゆま「?????」

――翌日 礼拝堂

杏子「……」

さやか「あたしも、お祈りしていいかな」

杏子「好きにしなよ……あたしは、神に祈ってたわけじゃない」

さやか「え?じゃあなんで……」

杏子「ここでこうして静かにしてるのが、落ち着くんだ」

さやか「……あたしの友達の杏子もそんな感じだったのかも」

さやか「あたしに教会で起きた辛い話をしてくれた時もそれでもココがアイツの家だってそんな顔してた」

杏子「ふぅん……」

さやか「ほんとにあなたと似てる……赤毛だし食いしん坊だし……でも」

杏子「でも?」

さやか(……ははっ、杏子にしては大きすぎるもんね)

さやか「なんでもないよ」

杏子「へんなやつ……でもあんたのことなんだか嫌いじゃないよ」

さやか「あたしも」

杏子「なんだかずっと昔から知ってるような感じで……」

さやか「前世での知り合いだったりして」

杏子「そんなもんあるかわかんないね」

さやか「きっとあるよ、あの世に行ったことだってあるし」

杏子「なん……だと……?」

――マミルーム

マミ「ふふ」ニコニコ

なぎさ「次は、マミにプレゼントなのです」

マミ「何かしら……小さな御人形?」

なぎさ「なぎさだと思ってください……いつどこにいても、マミのそばで守っているつもりなのです」

マミ「なぎさちゃん……!」ジーン…

なぎさ「なぎさの手作りなので、かっこわるいですけど……」

ギュッ

マミ「かっこわるくなんて、無いわ!とっても嬉しい……本当に……」

なぎさ「えへへ……マミ、忘れないでくださいね、どんなときも、なぎさは……皆も、マミのこと大好きで、一緒ですから」ギュ…

マミ「ありがとう……」

フッ ヨロッ

マミ「っと……(全体重預けて……甘えたいのかしら?ふふ……)」

なぎさ「……」

マミ「なぎさちゃん?」

なぎさ「……」

マミ「なぎさちゃん!」

 ・
 
 ・

 ・

――教会

マミ「……そんな、ゆまちゃんも……!?」

杏子「ああ、これからマミさんのとこへ行こうと思ってたんだ」

さやか「まずいよ、どんどん弱っていってる」

杏子「ちくしょう、どうすれば……!」


ほむら「ワルプルギスの夜を討ち、偽まどかを討つ……それしかないわ」


さやか「ほむら!今までどこで何してたのよ!」

杏子「ほむら……なのか?何か様子が」

ほむら「それは、私もこの子達と同じ影響を受けているから」

杏子「なんだって?」

ほむら「宇宙の収束が都合の悪い形で来ているの」

ほむら「今までは都合のいい部分だけが表面化していたわ、でも」

ほむら「ワルプルギスの夜の影響で、最悪の可能性がやつの与える絶望として私達に影響している」

杏子「じゃあ、ワルプルギスの夜との戦いは既に始まってるっていうのか?」

ほむら「そうよ……この子達は本来、ワルプルギスの夜が来る時には既に死んでいる」

ほむら「皆で、新しい可能性をこの宇宙で作ったから、ギリギリ生きていられてるんだと思う」

ほむら「だから、救う手段は……」

さやか「原因を絶つだけじゃなく、本来ありえなかった可能性『ワルプルギスの夜に勝利』をして、二人の未来も確定させるんだね」

ほむら「そういうこと……(誰?)」

杏子「わかったよ、なら――」

マミ「ワルプルギスの夜でもなんでも、やっつけてやるわよ!!!」

杏子「――! へへ、そうだな!」ニカッ

ほむら(こういう形は好みでないけれど……杏子とマミの士気が繰り返した頃の全てと比べても理想的なほど高い)

ほむら(『私』はおそらく、こういう状況まで想定していた)

ほむら(ゆまちゃんを盾にされれば、杏子でも偽まどかを討つのに協力的でしょう)

ほむら(そして、私はその頃には完全に『私』に主導権を奪われている)

ほむら「……くす」

さやか「……?」

――外

ほむら「話って何?」

さやか「……ほむら、また何か隠してるんじゃない?」

ほむら「何を――」

カパッ ファサ…

ほむら「あ、あなた……さやか!」

さやか「どう?完璧な変装でしょ?魔力パターンまで偽装してさ」

ほむら「完全に乗っ取られていたのをどうやって?」

さやか「この体、実は魔力で作ったやつなの」

ほむら「え?」

さやか「この世界に戻ってくる前に何故かいろいろあって強くなったは良かったんだけどさ」

さやか「そのおかげで戻ってこれたけど完全に人間でもなくなっちゃったみたい」

さやか「あははー……」

ほむら「ぐぅっ!!」ズキズキ

さやか「どうしたのほむら!?胸が痛いの!?」

ほむら「さ、さやっ……」

さやか「何?大丈夫だよ、あたしはここにいるから……」ニコ…

ほむら「ほむぅぅぅぅうううう!!」ドックンドックンバックンズッコン

ほむら(言えない、私がそうさせたかもしれないごめんなさいなんて言えないぃぃ!)

ほむら(美樹さんの強くなった笑顔が見たいって思ってた)

ほむら(でもこういう笑顔は辛い……)

さやか「……そっか、ほむらのせいなんだね」

ほむら「!?」ビックゥ!!

さやか「かまかけてみただけなのに、相変わらずわかりやすいね」

ほむら「違うの、そうじゃなくて」アタフタ

さやか「いいんだよ」

ほむら「え?」

さやか「きっとほむらがそう言うなら、違うから」

ほむら「………………信じて、くれるの?」

さやか「ずっと疑って、後悔したもん……後悔しきれないくらい」

さやか「あたしだけ、思ってるかもしれないけど」

さやか「あたしたち五人って、友達だよね」

さやか「疑いあっちゃ、いけなかったんだ本当は……きっと、ずっと」

ほむら「……ごめんなさい」

さやか「……」

ほむら「あなたがもっと強ければなんて、考えて……!」

さやか「ずっと、昔のこと?」

ほむら「……」

さやか「あたし、今度こそ守るよ」

さやか「ほむらも含めて、皆の見滝原をさ――」ニコッ

――夜 あすなろ市 テディベア博物館

アハハハ、ハハハ


かずみ「……」

カンナ「また来てるのか」

かずみ「カンナ……(プレイアデス聖団の)皆、楽しそう」

カンナ「……ミチルが戻ってきて本来の形になったからな、違和感があってもすぐに馴染んでく」

かずみ「……っ」

カンナ「あそこはかずみの場所じゃなくて、ミチルの場所だった……返したものが名残惜しくなったのか?」

かずみ「やめてよ!」

カンナ「……」

かずみ「わかってる、わかってるんだよ!でも、なんでここに来るといつも涙が止まらないんだろう!」

カンナ「どうせすぐ死ぬから短い間の夢を見させておくといい」

かずみ「え……それって、どういうこと?」

カンナ「ワルプルギスの夜が来る……それまでに起きた私達の悲劇を忘れたわけじゃないな?」

かずみ「でも、それは無かったことになったはず!」

カンナ「違う……私にはわかるんだ、私の魔法<コネクト>があるから」

里美「かふっ」

みらい「どうしたんだ?」

里美「な、なにこれ……ごふっ!ごふっ!」

サーサー

海香「口から砂……!?これって、異形の魔法少女の……」


かずみ「里美!!」


カオル「かずみ!?どうして!」

ミチル「あなたは……!?」

かずみ「ごめんなさい……でも、わたしのほうが偽者だから!」

ミチル「え?」

かずみ「とにかく今は、里美を……!」パァァ


カンナ「ミチル……」

ミチル「ニコ……えっ!!」

ニコ「……どうしてかずみを抑えなかったの、ある程度の治療なら私だって――」

カンナ「抑えられないよあんな表情を見たら……それにあんた程度の治癒力じゃ無駄」


カンナ「……ミチル、この宇宙になって復活して以来あんたが感じていた違和感の正体がかずみだよ」

ミチル「やっぱり……」

カンナ「正直私はね、あんたみたいなのは気にくわない」

ニコ「いきなり、何を……」

カンナ「なんで罪を受け止めない?残される者を考えずに都合良く自分を消し去る!」

ニコ「……っ」

カンナ「かずみは皆のためならあんたになってもいいって思ってさえいたのにあんたは!」

カンナ「現実の嘘に近づいたらいつも魔女になってるじゃないか!」

ミチル「ごめん……なさい」

カンナ「ちっ……面と向かったら爆発するから、私はここへは来たくなかった」

ニコ「……」

ミチル「――皆、あの子のこと知ってたの?」

ニコ「最初は、漠然と覚えてたのは海香とカオルだけ……海香の魔法で補正してもらって、今は私も思い出してる」

ミチル「里美が治ったら……皆で話そうよ……新しい仲間――ううん、帰ってきた仲間のこと」

ニコ「……そうだね」

里美「う……」

かずみ「意識をしっかり持って!」

里美「ミチルちゃんが二人……?」

かずみ「なんでもいいから、死なないで……」

里美「自分の命削って、あの時殺そうとした私を助けようとしてるの~……?」

かずみ「覚えてる……の?」

里美「あんまりくっつく(合体する)から、思い出しちゃった」

ボンッ!!

サキ「うっ!」サーサー

かずみ「えっ!?」

みらい「サキ!?」タタタ

ボンッ

みらい「がふっ!」ゲホッゲフ

かずみ「な、なんで!」

カンナ「これを見て」

ジャララララ

ニコ「凍結したソウルジェム、こんなに……!?」

カンナ「全部、砂になりつつあった魔法少女から頂いた」

カオル「あんた……」

カンナ「生き残れるのは運命を変えた魔法少女だけ、そして運命を変えれなかった者はどうしたって救えなかった……その基準だってわからない」

かずみ「助けてみせるよ、みんなを!」

サキ「待て!」

かずみ「!?」

サキ「里美を維持するだけでいっぱいじゃないか……私はほうっといてくれ」

みらい「な、なんで?サキ……」

サキ「なんでかな……その子は自分を犠牲にしてでも私達を助けようとするってなんとなくわかるんだ」

みらい「うっ、うっ、ボクまでこんな風に……いつもサキの力になれない」

サキ「そんなことはない……」

みらい「?」

サキ「怖いから、側にいてほしい」


かずみ「また皆……そ、そうだ、キュゥべえ!キュゥべえがまだいるよ!」

海香「キュゥべえは、ほとんど姿を見せなくなったわ」

かずみ「じゃあジュゥべえで……!」

里美「もういいわよ……無駄なことでそんなに頑張らなくて」

かずみ「無駄って……っ」

カンナ「三人とも、最後にまだ力を貸してほしいことがあるんだけど」

みらい「あんた誰……本気でわかんないや」

カンナ「……」パァァ

パチッ パチッ パチッ パチッ

ニコ「……なるほど」

かずみ「何?ねぇ、わたしにも教えてよ」

みらい「……いいよ、使ってよボクの魂」

サキ「ふふ……魔法少女の結末としては悪くないな」

里美「かずみちゃん」

かずみ「何?」

里美「さっき何でもするって――」ガクッ

サーサーサー…

海香・カオル(えー―っ!?)

かずみ「やだー!なに?なんて言おうとしてたの!?」

ヒョイ

カンナ「ろくでもないことだよ……全てが変わった日に教えてもらえばいい」

かずみ「全てが変わった日?」

カンナ「ようは、ワルプルギスの夜を倒せればいいんだ……簡単だね」

ニコ「……」コクリ

かずみ「なんだ……生きてまた皆と会えるなら……」

ヨロッ…

かずみ「あ、あれ……?」

海香「力を使いすぎたのよ……私達と一緒に休みましょう」

カオル「――二人がソウルジェムを集めて何をしようとしてるかわからないけど……期待していいんだな?」

ニコ「もちろん」

 ・

 ・

 ・

ニコ「どうして私だけ大丈夫なの?」

カンナ「……さぁ?」

ニコ「答えてよ!本当は知ってるんでしょ!」

カンナ「そういう風に素でいてくれればいいのに」

ニコ「え……」

カンナ「帰ってきていいんだよ」

ニコ「や、やめて……もしかして、私が生きてるのは」

カンナ「そんなことできるわけないと思ってたけど……」

ニコ「許した……?私のことを!?」

カンナ「……」

ニコ「カンナにバレて以来、許されない事こそが……」

カンナ「あんたの救い、繋がってるからよーく知ってるよ」

ニコ「違っ……」

カンナ「でも当てつけで許したんでもない!そんなことできるわけないんだ!」

カンナ「あんたが違う未来を見たかったのは知ってるよ……でもね」

カンナ「大切な友達を撃つことになってたら、きっと私も私が許せなかった!」

カンナ「私はかずみの強さに救われただけ、結局あんたのコピーなんだ」

ニコ「でも私は……撃ってしまった」

カンナ「わざとじゃないじゃないか」

ニコ「それでも、嫌なんだ」

カンナ「――今ではその弱さが、私の誇りだ」

ニコ「え……?」

カンナ「一緒に今の友達を、私達の武器で救う……いいね?」

ニコ「……!うん……私もその未来を見てみたい」


カンナ「ミチル」

ミチル「っ」ビックゥ

カンナ「私の作戦に、おまえは必要不可欠なんだ」

ミチル「私なんかが……?何をするの?」

カンナ「おまえの『留める魔法』を、また――」

――数日後 公園

キリカ「あ……あぅぁぅぁぅ……」

フニャフニャペタリ

キリカ「織莉子……どこ……」

まどか「だ、大丈夫ですか?」

キリカ「織莉子!?」

まどか「ふぇっ!?」

キリカ「なんだまどかか……」

まどか「織莉子さんがどうかしたんですか?」

キリカ「行方不明……代わりに来たおっさんは教えてくれない……」

まどか「男の人と二人暮らし……?」

キリカ「そうなんだ……あいつときたら、『君を守らせてくれ』とか『まるで家族のように感じるよ』とか『もう二度と失いたくないのだ』とか言ってくるんだ」

まどか「……あはは、まるで恋人みたい――」

キリカ「」ギョロッ

まどか「ひっ!?」

キリカ「私が愛しているのは織莉子だし、愛していいのも織莉子……履き違えないでくれるかなぁー!?」

まどか「う、うん!」

キリカ「それに、あのおっさんにしてもそんな感じじゃない」

まどか「え?」

キリカ「私の中に、違う誰かを見てるみたいだ……」

まどか「……」

ポツ、ポツポツ…

まどか「雨……」

キリカ「……まどか、雨がやんだら」

キリカ「皆を呼んで、山へ行こうよ」

まどか「いいですね!」

キリカ「くいついてくるね」

まどか「みんな、最近全然一緒になれないから……」

まどか「ほむらちゃんも、最後に言葉だけで話して以来会ってないの……」

まどか「待っててって言ったのに、きっとまだどこかで戦ってる」

キリカ「……ねぇまどか、キミは――」

まどか「?」

キリカ「キミは皆を信じてる?」

~~避難所

ザーーーーーーーー ゴロゴロゴロ

―「キミは、皆を信じてる?」―

まどか(何が言いたかったんだろう……)

知久「ただいま」

まどか「パパが行ったほうには皆いた?」

知久「いなかった……スーパーセルが来ているのに子ども達だけでどこへ行ったんだろう、ただでさえ異形騒ぎで危ないのに」

まどか「そんな……」

テトテトテト

まどか「あっ、あれは……!?」


まどか「はぁはぁ、キュゥべえ!」

キュゥべえ「やぁ、まどか……久しぶりだね」

まどか「今までどこに行って――」

キュゥべえ「まどか、君はワルプルギスの夜について知っているかい?」

まどか「かずみちゃんからたくさん聞いたよ」

キュゥべえ「今日が、まさにその日だ」

まどか「えっ!?」

キュゥべえ「気づかないのは無理は無いか……君の記憶では直接見たことが無いはずだし、何より君の運命に参加権は無いからね」

まどか「参加権……?わたしがふつうの人間だから?」

キュゥべえ「違う……君は今までおかしく思わなかったのかい?仲間たちが運命に翻弄される中、君だけがずっと自由でまどかの持っていた運命に縛られず過ごせた事に」

キュゥべえ「何より強い因果を持つなら、僕達が何の興味も示さないことに」

まどか「それは、わたしがほむらちゃんたちに守られていたから……」

キュゥべえ「やれやれ――」

まどか「キュゥべえ、何も言わないで」ジワ…

キュゥべえ「その様子だとわかったみたいだね」

まどか「わたしって、なんなの……?」

キュゥべえ「僕達にはわからない、君は悪魔ほむらと円環の理が生み出した存在らしいからね」

キュゥべえ「本当のまどかを守るため、全てを欺くために作られた存在」

キュゥべえ「悲劇的な物語が真のハッピーエンドを迎えるには作者を含めた全ての読者から隠れる存在にならなくてはいけない」

キュゥべえ「そういうことなんじゃないかな」

まどか「本当のわたし……」

キュゥべえ「僕達の推測が正しければ、まどかは今――」

――ワルプルギスの夜

リーン… リーン…

ほむら(ダークオーブが……?)

ほむら(ワルプルギスの夜に反応しているのかしら)

ほむら(でも、わかる……このワルプルギスの夜は、強い……!)


ドスンドスンドスン

杏子(くっ……置いてかれちまった……いつの間にか皆の足がこんなに速くなってたなんて……!)

ドォン! バァオ!!

杏子「戦いの余波がここまで……あの騎士様、遠目で見てもめちゃくちゃ強いな」

杏子「一人でやっても勝つんじゃ……ただスタミナ切れするかも知れないからな、あたしはそれに備えて戦略的休憩をしておこう」

―→ピザ屋

杏子「えーと、このピザをXLで三枚と、コーラLとメロンソーダLと午後の紅茶と水二杯」

――ワルプルギスの夜

海香「あの人すごい……」

カオル「すごいったって一回でもくらったら……」

バキッ!! キィーーーーーーン

カオル「ほら!受け止める!」

ガシィッ ―――ボォン!!

カオル「がふっ……す、すごい勢い……」

海香「カオル大丈夫!?」

カオル「な、なんとか……」

さやか「ありがと、受け止めてくれて……でも丈夫だから気にしなくても平気だよ」

カオル「でも、魔法少女だって言ってもあたし達それでも人間なんだぞ!?」

さやか「ん……もう人間じゃないんだ」

ドヒューン

カオル「え……?」

海香「もしかして、あの人も昔のかずみと同じ……?」

ギャリィン!! ズバァ!!

ワルプルギスの夜「アァァー」

さやか「こんな言い方、しちゃいけないかもだけど」

さやか「ありがとう、産まれてくれて……」

さやか「あんたみたいのがいてくれないと、今のあたし……存在してる意味がわかんないッ!!」ブンッ

ドォン!! キィーーーーーーン!! ゴォン…


マミ「ワルプルギスの夜が吹き飛ばされて……あの人が勝てなかったら正直お手上げなくらい強いわね……」

ほむら「え、えぇ……(さやかが強くなるとここまでになるなんて……)」

ほむら(それとも、あのワルプルギスの夜を、買いかぶりすぎていた?)

キリカ「うっ……!」

ほむら「どうしたの?」

キリカ「は、速くなってきてる……専念してまで押さえてる私の魔法が散らされるほどに……!」

ほむら「……!?」

マミ「逆立ちだったワルプルギスの夜が身を起こしたわ」

ほむら「ワルプルギスの夜が、逆立ちを止めた……???」

ワルプルギスの夜「……」

フッ

さやか「消えた……」

ブン

さやか「速――!?」

バゴォッ!!

さやか「――ッ!?」


――ピザ屋

杏子「そろそろだな……」

ドスンドスンドスン グキッ

杏子「――痛っ~~!」

店員「お[ピザ]……客様、俺もそろそろ避難してきますんで~~」

杏子「ぐぅ……!」

店員「あーん?足ひねっちゃったのかよ……仕方ないな、避難所連れてってやるよ」

杏子「待て……あたしはあそこへ行かなきゃいけないんだ……!」

店員「避難所と逆方向だろ!台風をなめるな!それにそんな満身創痍で何ができる!」

杏子「こんな傷、魔法で治せばすぐ……」スッ

店員「おもちゃで遊んでいるような時ではありません、一旦没収!」パシッ

杏子「な――!?」

グッ

店員「噴ッッ!!」ズンッッ!!

杏子「お、おろせってば!」

店員「ピザを作る労力に比べたら[ピザ]の一人や二人担ぐなど生温いわ……ッ」

杏子(さやかー!助けてくれ!あたし、さらわれる!)


つづく

――避難所

杏子「はーなーーせーー!」ジタバタ

ピザ屋店員「駆ッッ」ギリリ

杏子(なんて腕力だよ……魔法少女のあたしが暴れてるんだぞ)

……グスッ……ヒクッ……

杏子「ん?」

店員「どうした?」

まどか「……ぐすっ」スンスン

杏子「まどか……?」

ソッ スタッ

杏子「何泣いてんだ?まどか」ズン ズン ズン ズン

まどか「あ、杏子ちゃん……えっと」

フキフキ ニコッ

まどか「えへへ、ちょっと目にほこりが入っただけ」

杏子「そっか……食うかい?」

っ【ピザEXSPDXL】

まどか「……う、うん」

まどか「みんな、もう勝ったの?」

杏子「違うけど……あたしがいなくても余裕そうだったな」

まどか「……ワルプルギスの夜に、詳しいの?」

杏子「ああ、何度も戦ったことあるし、勝った事もあるからな」

まどか「前世の、記憶?」

杏子「そうだ……ほむらと協力してやっつけたのさ」

まどか「……いいな」

杏子「まどかも戦いたいのか?やめとけやめとけ」

まどか「違うの、前世の記憶が……その……」ポロポロ

杏子「ん?」

まどか「違うの、これはね、その……だめだぁ、わたし……我慢もできないなんて」

杏子「……なんか誰かに言われたのか?キュゥべえあたりにでも」

まどか「どうして、わかるの?」

杏子「どれだけあんたと付き合ってきたと思ってるのさ」

まどか「――っ!!」プルプル

杏子「あ、あれ、あたし何かまずった?」

まどか「私、そんなこと杏子ちゃんに言ってもらえる資格無いんだよ」

杏子「どういうことだよ」

まどか「私、偽者のまどかなんだもん」

杏子「は?」

まどか「この世界が出来たときに、ほむらちゃんが本物のわたしを助けるために作った偽者だって」

杏子「……」

まどか「本当は出会って少しだけの関係だったんだよ」

まどか「それなのに、みんなで一緒にいるときずっと昔から繋がってる気がした」

まどか「わたしは魔法少女じゃないけど、いつかそういう時代もあったんだ」

まどか「そんな風にみんなと一緒に並べられない寂しさを誤魔化したりしたこともあったんだ」

まどか「みんなとお泊まり会も、楽しかったな……大人になってもずっとわたしはわたしのまま皆と会えたらいいなってぇ――」

杏子「……っ」ポロポロ

まどか「杏子ちゃん、わたしって何なの?」

杏子「……別に、なんだっていいでしょ」

杏子「あたし達、ずっと友達だ」ニカッ

まどか「……うん」


杏子「今のキュゥべえの言葉は信じちゃだめだ」

まどか「え?」

杏子「考えがバラバラになってて同じキュゥべえ同士でもぶつかってるし今のキュゥべえはそのせいで『ああ言えばこう言う』んだ、いつも同じ答えじゃなかったりする」

まどか「キュゥべえが……」

杏子「そんな役目が本当にあったとしたって、それだってあたし達が追いかけてた別のまどかがいるしおかしいじゃないか」

まどか「うぅ……」ポロポロ スンスン

杏子「あ、あれ?」

まどか「わたし、ずるい子だ……今更になって、そのわたしのこと何も考えてあげてなかったって気がついた」

杏子「でもさ、それは仕方ないってもんじゃ……それだけの暴れ方をあいつはしたし、まったくまどからしくなかったしな」

まどか「わたし、もう一人のわたしに会いたい」

杏子「……」

まどか「何しようとしてるのか、聞きたいの」

杏子「何しようとしてるのか、か……」

杏子「確かにな……ふふ」

まどか「?」

杏子「まどからしいな、って思っちゃったんだ」

まどか「……えへへ」ニコ

まどか(なんだかこんな時でも杏子ちゃんの前では素直に笑えるよ……ありがとう、杏子ちゃん)

杏子「じゃあ、あたし達は皆と別行動であいつを探しに行くか」

まどか「うん!」

杏子「なんだか、さやかを救うために組んだ時を思い出すな……よろしくね、『まどか』」

っ【うまい棒トッピングピザULTIMATEmixSIZE】

――ワルプルギスの夜

ほむら『……みんな、返事をして』

カオル『あたし達はギリギリ生きてるけど、マミさんが……』

ほむら「え……?」

海香『みんな……まだ話せるうちに私の話を聞いて』

ほむら『……何か、わかったの?』

海香『あの姿のワルプルギスの夜は、本来の力の状態であるそうよ』

海香『その力は……現在の地球を数日で終わらせることができるでしょう』

ほむら「そんな……私の知っているワルプルギスの夜じゃない」

ほむら(そもそも、あんな風にならずにずっと……どうして?どうして今、本当の力を?)

カオル『……逃げない』

海香『カオル……」

カオル『死んだって諦めるもんか!絶対勝つぞ!』

ほむら『でも、どうやって……』

さやか『――あたしが、狂想曲の魔法を使う』

ほむら『やめて!もう何も戻せないのに、その魔法を使ったらあなた――」

さやか『例え永遠に戦い続けることになっても、悔いは無いよ』

さやか『これはホントのホントに、今のあたしホンキの気持ち』

ほむら『そんな事言って、そういうので何度後悔したかわかってるの!?』

さやか『知ってるよ……後悔なんて、無いわけ無い……だからこそ』

さやか『積もった後悔も、あんたを守りたいって言ってるから』

ほむら「――っ」

パァァ

ほむら(狂想曲、それは……さやかの禁じ手の魔法)

ほむら(いくつかのループの中でさやかが習得して、使ったことがある両刃の剣)

ほむら(さやかの全てを戦うだけの存在としブーストするそれは、凄まじい力を得られる代わりにさやかの精神が持たない)

ほむら(さやかが、魔法を解除するためにギリギリ保ったその意識すら委ねれば、より強化され魔力の続く限り不死身の狂戦士となる……)

ほむら(一度さやかをその状態にさせてしまった私は、代償にどうする事もできなくなったその時間軸を放棄しリセットするしかなくなった)

ほむら(あんな恐ろしい事を、今のさやかにさせられない……)

ほむら(この宇宙では、魔力が永遠に無くならないもの……!)

ほむら(でも、どうすればいいの?私じゃあの決意のさやかを止められない)

ほむら(むしろ、私が必死になるほど、強がってみせてくる……)

ほむら(どうしたら、私は……誰か……私じゃ、私じゃ……さやかを、助けて――)

ドォォン!!

ほむら「――っ!?」

カンナ「間に合ったみたいだな」

さやか「……なに、あれ?」

 ・

 ・

 ・

ほむら「もう一体の、ワルプルギスの夜?」

カンナ「あれが私の最後の切り札『ヒュアデスの暁』だ」

ほむら「あんなのがあるなら、どうして何も――」

カンナ「言えるわけないだろう?本当に、最後なんだ」

ほむら「え……?」

カンナ「あれだけのソウルジェムを繋げても、あのワルプルギスの夜には勝てるかわからない……そして、それだけの事をするには私も命を懸けて魔力を使うしかなかった」

海香「カンナ、あなた……」

カンナ「良いけじめになるだろ?一度世界を滅ぼそうとした私が、世界を滅ぼせる何かを倒すのは」

カオル「かずみとはどうするんだよ!」

カンナ「……『あなたと会えて良かった』って、伝えておいて」ニコ

スゥゥ  ……「チャオ」

カオル「ちょ、カンナ、カンナァァ!」

海香「イメージ映像だったのね……体は、どこか誰の目にも触れないところにあるんだわ」

カオル「そこまでの覚悟かよ……っ、あたし、みんなで生き残りたかったのに……!」

海香「そうよね、あの子も……私達の仲間だから――」

――『ヒュアデスの暁』内部

ミチル「……カンナ、逝ったんだね」

ミチル「『ヒュアデスの暁』、ここからは完全に私と一つだよ」

ミチル「あなたを『維持』して、あいつを倒す……手伝って、『みんな』」

ヒュアデスの暁「コォォ」

ミチル「うん……いくよ!」



さやか「……すごい戦いだね、もう怪獣対怪獣じゃん……」ボロボロ

ほむら「動かないで……再生できたって、休む必要はあるわ……あなたは頑張りすぎなの」

さやか「へへ……」

ほむら「なに?」

さやか「頑張ったおかげで、ほむらに膝枕してもらえてるよ」

ほむら「んな……っ!?///////」

さやか「……」zzz

ほむら「……もう……そうね――」

ほむら「あなたは、きっといつだってかっこよかったわ」

ほむら「ワルプルギスの夜を超えたあと、これからもいくらでもゆっくりかっこよくなっていけるから」

ほむら「まどかとあなたで、みんなと――」

ミチル「ぐっ……そんな……」ハァハァ

ミチル「みんなが命を懸けてくれたのに、押されはじめてる……!」

ミチル「負けられないのに、ぐすっ……だって、私、こんなの運転したことないし……!」

??『右から来るわ!』

ミチル「?」

ブンッ ドゴォ!!

ワルプルギスの夜「……!」ズゴォ…

ミチル「今の声は……」

マミ『……ふふ、久しぶり』

ミチル「マミさん!」

マミ『私は今、吹き飛ばされてどこかへ行ってしまった首から下の代わりに』

マミ『このすごいのの中に入って同化できたおかげでなんとか生きてるみたいだわ』

ミチル「え……?」

マミ『ちょっと待っててね?今そこを突き止めて向かうから』

ミチル「うぉぉぉぉぉ!!」


ほむら「……なんだか急にヒュアデスの暁に勢いが増したわね」


ミチル(はやく、早く倒さなきゃ……マミさんだけど、でも、生首がここに!!)涙


つづく

ミチル「押してる……?」

マミ「それではダメよ……力押しは良い戦い方とは言えないわ」ニョコ

ミチル「ひぇっ」

マミ「操縦サポートシステム、-MAMI-と呼んでちょうだい」

ミチル「え?マミさん、何言って――」」

マミ「MAMIよ、時間が無いからすぐ順応してね」

ミチル(ええ~~っ)

マミ「そこに赤いボタンがあるでしょ?」

ミチル「な、無いですけど……」

マミ「あるのよ」

ミチル「はい」

マミ「それを押して、叫んで!」

ミチル「ヒュアデス・ビィィィィム!!」

カッ!! ビュィィィィィム ゴオオオオオ

ミチル「へへ……なんだかしらねぇが、操縦の仕方がなんとなくわかってきやがる……!」ニタァ

ミチル「うぉぉぉぉ!ヒュアデス・――」


マミ「待って」


ミチル「?」

マミ「それだと違うジャンルになっちゃいそうだわ」

ミチル「あの……?」

マミ「私のイメージが和紗さんにも伝わるのが十分わかった」

マミ「だから、一緒に戦ってくれる?」

ミチル「……うん」


ワルプルギスの夜「……」ズズ…

マミ「ヒュアデスの暁をもってしても勝率は五分五分……いえ、きっとそれ以下ね」

ミチル「マミさん、一緒に戦えて嬉しいけど……私、怖くてたまらない」

ミチル「私なんかが、こんな重要な役目になるなんて……私、皆を犠牲にしたのに、この子(ヒュアデス)に乗る資格だって本当は……」

ミチル「勝っても皆帰ってこないってわかるの……このヒュアデスは、グランマと同じ」

ミチル「死ぬ運命が決まってて、最後の灯火……そして、グランマと違って皆をそうさせたのは元はと言えば私なんだ!」

ゴォォン!! ズガァン!!

マミ(戦いの最中なのに、ヒュアデスの暁との強いコネクトで自分を見失っているのね)

マミ(そしてそれは私にも言えて、和紗さんの切なさが伝わってくる)

マミ(ヒュアデスの暁は、あなたの迎えたくなかった現実の集まりでもあるのね)

ボォォォォ

マミ(でも、和紗さんがこのままじゃいけない……そして、私も)

ミチル「ぐぅっ……皆の記憶が、苦しみが入ってくる……私、なんでこんなところにいるの?グランマ……一人にしないで」

マミ「和紗さん、私の話を聞いてくれる?」

ミチル「……?」グスッ

マミ「私は本当はきっと、さっきのワルプルギスの攻撃で死ぬはずだったの」

マミ「運命を変えることのできた子達と違って、私は私のままだった」

マミ「私ね、和紗さんを助けてからしばらくして、魔法少女の後輩達ができたのよ」

マミ「和紗さんから見ても、後輩という事になるのかな?」

ミチル「……」


マミ「守るべきものであり、とても大切なお友達でもある」

マミ「でも私は、あらゆる可能性の中でワルプルギスの夜に敗れてしまったみたいね」

マミ「それどころか……」


――魔法少女が魔女になるなら、みんな死ぬしかないじゃない!――


ミチル「……あ」

マミ「本当に一番裁かれるべきなのは、私なの」

ミチル「そ、それは――」

マミ「でも、今は戦える」

ミチル「――!」

マミ「あなたのおかげで、皆を守れる……全ては、死にかけた私をあなたが拾ってくれたから」

マミ「和紗さんのお友達は、和紗さんを恨んでた?」

ミチル「わ、わからないよ……」

マミ「ヒュアデスの暁に聞いてみて」

ミチル「……暖かい」

マミ「この戦いが終わったら、パーティね」

ミチル「えへへ……暖かくて、なんだかおなかがすいてきた」


ミチル(グランマ……私、何にもわかってなかった)

ミチル(一人になっても平気でいられるようにって教えてもらったイチゴリゾット)

ミチル(大切な人達と一緒が、一番美味しいってこと……!)

ミチル「今頃気づくなんて……私、後悔しきれないほど、皆と生きたかったから」

ミチル「悔しかったんだ、それを私自身が削ってしまったのかもって」

ミチル「でも、辛ければ辛いほど、私のおなか(心)と向き合わなきゃいけなかった」

ミチル「みんなと、たくさん話すべきだった!」

グググ…

マミ「私も魔女になるのを恐れるあまり、本当の気持ちが見えてなかった」

マミ「幸せな時はいつだって、今死んだって平気な気持ちだったのに」

ミチル「生きるって、過去の命を繋がなきゃ皆との昨日の意味も奪うことだったのに」

マミ・ミチル「「私達は、それを忘れてた!」」


さやか「マミさん……」

ほむら「さやか、気がついたの?もうすぐワルプルギスの夜を倒せそう――」

さやか「マミさんの、命が……」

ほむら「え……?」


マミ「そろそろ、決めるわよ」

ミチル「私達のぜんぶで、私達の後輩を守ろう」

マミ「ふふっ、そうね!」

キュンキュンキュンキュンキュン

マミ・ミチル「「ティロ・フィナーレ!!」」



バァァァァァ!!


ほむら「あ……空が……」

さやか「最後の大砲は、マミさんの最後の……」

ほむら「……言わないで」ポロポロ

さやか「……」

ほむら「せっかく越えれたのに、あなたがいないなんて嫌よ……巴さん」グスッ


ミチル「やった、やったよ!マミさん!」

マミ「……」

ミチル「あれ……あ、そっか!MAMI!見て!きれいな青空だよ!」

マミ「……」

ミチル「ずるいよ、一人ぼっちで逝くなんて、嫌だよ……」


『……じゃあ、わたしが一緒にいてあげる』


ミチル「え……?」

カッ!!

ほむら「……!?」

さやか「あ、あれは……なんで?どうして急に現れたの!?」

ほむら「まどかの、魔女……!」


ミチル「な、なに、この黒くて大きいやつ……!」

ギリギリギリ… ボキッベキッ

ミチル「ヒュアデスの暁が、簡単に……どんどん、壊されていっちゃう!」

ミチル「私は、最後までみんなを……マミさんの後輩達を守るんだ!!」

ネジネジ…ブチィ!!

ミチル「あぁーっ!!」


さやか「ぐっ……そぉっ!」ブオオオ!!

ほむら「ま、待って――」

さやか「うぁああああ!オクタヴィア!!」

ズオオオ!!

さやか『やめろおおおおおお!!』

???『いくら強くなったって、その程度でわたしに勝てるわけないよ、さやかちゃん』

バァン!! パァァ…

ほむら「そんな、オクタヴィアが一撃で……」

 ・

 ・

 ・

さやか「あ……ここは……」

ほむら「ヒュアデスの暁の残骸の中よ」

さやか「あたしを、守って……?」

ほむら「気に病むことは無いわ、あの魔女には誰も勝てない……」

さやか「世界はどうなっちゃうの?」

ほむら「……」

キュゥべえ「数日で全てが魔女の結界にとらわれ、この宇宙は消滅するだろう」

ほむら「キュゥべえ……」

キュゥべえ「そしてわかっているね?それを防ぐ方法も」

さやか「やだ、やだ……それって、ほむらを犠牲にするってやつでしょ!?」

ほむら「……」

キュゥべえ「君達が追い詰められてそうせざるをえない状況も悪魔ほむらの手のひらの上さ」

ほむら「私、やるわ」

さやか「……!あたしが狂気の魔法で――」

ほむら「ダメよ!」

ほむら「私は、あなたも守りたい」

ほむら「巴さんをこの時間で失ってやっと本当にわかった」

ほむら「私は、ずっと誰も失いたくなかった――」

――収容所

織莉子「……」

プュン ザザッ

モニター「ごきげんよう、美国織莉子くん」

織莉子「……私を解放する気になったのですか?」

モニター「そうではないが、これを見てもらいたくてね」

ザー

織莉子「そんな……あの魔女は……!」

モニター「我々の情報によるとクリームヒルト・グレートヒェンと言うそうだ」

織莉子「いったい、あなた達は何者なの?私の能力に制限をかけ、誰も知りえない情報を知っている」

モニター「ジャミングに感づいていたとはさすがだね……我々は君の言うように、君が必要以上の予知を行わないよう制限をかけていた」

モニター「我々の目的には、君の能力ほど厄介なものはない……我々の目的は、『未来を甘んじて受け入れる』なのだから」

織莉子「未来を……?」

モニター「そのためにはあらゆることをし、必要とあれば『絶対に働かない』……それが我らの命より重い使命」

モニター「これを見て思うことはあるか?」

織莉子(黄色い熊の衣装の魔法少女……?)

モニター「見覚えが無いか……単刀直入に言おう」

モニター「彼女こそが人類救済の母にして宇宙を破滅から救う真の救世主なのだ」

モニター「暁美ほむらという少女が鹿目まどかという少女を救おうとし宇宙を改変させたらしいことは調べがついている」

モニター「まったくもって、不愉快だ……世界の救済に、彼女(クマ子)の魔女化は避けられぬというのに」

モニター「勘違いされては困るのだ」

モニター「人を救うべき役目が与えられているのは、鹿目まどかでも暁美ほむらでも、君(織莉子)でもないのだ」

モニター「安い正義感で世界の命運を占う必要はない、何も行動せず死にゆくべき者は死んでいくべきなのだ」

モニター「そう、真の救世主という大いなる光のためには!」

織莉子「そう、ですか」

モニター「クリームヒルトは世界中にいる我らの魔法少女がなんとかしよう……」

織莉子「あなた達は宗教家ですね」

モニター「は?」

織莉子「と、言っても佐倉杏子さんとその御父様のように自分の考えと強い信念を持って救いを求めているわけでもない」

織莉子「身に降って湧いた救済に踊らされ政治を行おうとしているだけ」

モニター「言いたいことはそれだけか?」

織莉子「政治家と宗教家は組してはならないと言います」

織莉子「何故なら、政治家そのものが宗教家でもあり、彼らが信じるのは大切な国民との明日であるべきだから」

織莉子「ただの野心家が政治家の娘を御せると思って?」

モニター「……何を」

織莉子(キリカ、わたしも信じてる……私だって、魔女になっても――)

ドォォォーン!!

――見滝原

キュピーン

キリカ「……?」


――収容所

モニター「な、何事だ!?」

通信「突然、魔女が出現しました!」

モニター(まさか、この施設そのものが結界の中に隠されていると気づいていた?ばかな!)

モニター「魔女の行方は?」

通信「施設を飛び出し、結界の外へ……」

モニター「ちぃ……!」

――見滝原

杏子「なぁまどか、母さんにはちゃんと伝えてきたか?」

まどか「う、うん……どうして?」

杏子「あたしにもどうなるかわかんないし」

まどか「杏子ちゃんは……すごい魔法を手に入れたって」

杏子「……実は、ほとんど使ってない」

まどか「え?」

杏子「あたしはあたしなりの人生を生きたいからな」

まどか「自分なり……」

杏子「誰かに選ばされたんでもない、本物だとか偽物だとか関係ない」

杏子「切羽詰まったような生き方ばかりでも、いつもそこにいたのはあたしがあたしだったからだって」

杏子「あたしに胸を張りたいから……あたしだけが運命を誤魔化すような魔法を使いたくないんだ」

まどか「どうしてそこまで頑張るの?」

杏子「あたしがそういう自分を取り戻せたのは、みんなのおかげだよ」

杏子「あたしは一度死んでたようなものだったんだ……それをあんた達が救ってくれた」

杏子「もう一度やりなおせたから……失うのが怖い」

まどか「失わないよ」

杏子「え?」

まどか「きっとずっと、何があってもわたし達は友達だって、信じてる」

まどか(偽物でも……信じてる)

まどか「これが、さっきの杏子ちゃんの気持ちに対する『わたし』の気持ち」

杏子「へへ……///////」

まどか「杏子ちゃん、迷わないでね、躊躇わないでね……」

杏子「当たり前でしょ、パパッとワルプルギスの夜もやっつけて皆で帰ろうぜ」

――クリームヒルト

杏子「……どうなってんだこれ」

まどか「うそ……みんな……?」

杏子「クッ!!」

まどか「待って!一人で勝てるわけないよ!」

杏子「だけど……!」


キュゥべえ「まどか、君の本来の力を使えばいいじゃないか」

杏子「キュゥべえ!また何か変なこと言うつもりじゃないだろうな!」

まどか「本来の力……?」

キュゥべえ「全ての魔女を消し去る力のことさ、まどか……いや、円環の理」

杏子「――っ」

まどか「えへへ……で、でも、わたし何の力も無いよ?」

キュゥべえ「重要なのは認識だ……君は随分と強く違う存在として歪められてこの宇宙に現れたようだけど」

キュゥべえ「君はもう鹿目まどかという役割を終えたんだ」

杏子「おい!」

キュゥべえ「その証拠に、『最後の別れ』に鹿目詢子は現れなかっただろう?」

まどか「――!」

杏子「どういうことだ?」

キュゥべえ「君は、実の母親との『運命』という『繋がり』さえ断ち切れているのさ」

まどか「うあああああああああああ!!」

杏子「ま、まどか……」

まどか「やだ、やだよう!やっぱりやだよう!どうして、どうしてなの杏子ちゃん……」ギュ…

杏子「……」ギュ

まどか「どうして、わたし……ママ……」スンスン

キュゥべえ「今の君なら悪魔に歪められた認識から解き放たれ、全ての魔女を消し去る存在へ、かずみの力を借りなくてもなれるはずさ」

キュゥべえ「ただし、もう二度と戻れない」

まどか「……」

杏子「あの魔女はあたしが倒すから、耳を貸すな」

キュゥべえ「無理だね、それにあまり時間もかけていられない」

杏子「?」

キュゥべえ「あの魔女の中に、暁美ほむらと美樹さやかが囚われていて急速に死へ近づいている」

まどか「そんな……」

キュゥべえ「君の意識は消え、概念に戻るだけだ……みんなを救えるんだよ」

まどか「……わかった……わたし、円環の理になる」

杏子「まどか!?」

まどか「ずっとありがとう、杏子ちゃん……みんなによろしくね」

まどか「偽者だったけど、本当に本当にずっと、楽しかったよ……友達と過ごした時間だけが、わたしだけの真実なのかも」

まどか「みんなを、助けるから……!」パァァ

杏子「ばか、待ってよ!」

キュゥべえ「最後にまどか、この宇宙の本当の真実も教えてあげる」

まどか「え?」 ァァァ

キュゥべえ「上位次元の宇宙に生まれた魔女の結界、それがこの宇宙だ」

キュゥべえ「この宇宙に存在する生命は全て一人の魔女の使い魔だよ」

杏子「――!?」

まどか「????????」

キュゥべえ「どうやら概念になり始めたようだね、けれど……」

キュゥべえ「どうなるだろうn――」ボシュッ

杏子「キュゥべえ!?――」

杏子「くっ!」パァァ

スタッ

キュゥべえ「君の魔法で食い止めるつもりかい?」

杏子「ああ……」

キュゥべえ「だけど、円環の理を押さえつければ――」

ゴォォォォッ

杏子「うわっ!?」

キュゥべえ「この魔女の浸食の速度も凄まじいね……この周囲は皮肉にも円環の理が魔女を弾いているけれど」

杏子「どうすりゃいいんだ……!」


ほむら「杏子……!」

杏子「ほむら!」

ほむら「杏子、どこに行ってたの……?」

ほむら(あなたがいればって、何度――)

杏子「ごめん……さやかは、死んでないよな?」

ほむら「いいえ、無茶ばっかりして気絶してる……それに、何故か回復が遅いの」

クリームヒルト『さやかちゃんは、わたしが力を封じてるんだよ』

ほむら「!?」

クリームヒルト『どうしてそんなことができるのかって、顔だね……ふふ、教えてあげる』

クリームヒルト『ほむらちゃん、わたしがさやかちゃんを蘇らせた時間軸を覚えてる?』

ほむら「覚えてるわ……もしかして」

クリームヒルト『そうだよ……あれ以来さやかちゃんは』

ほむら「そういうこと……魂も命もあなたに繋がってる」

杏子(あたしの知らない話キタァァァ)

クリームヒルト『おかげでわたしもさやかちゃんを通じて蘇られた……』

ほむら「うそよ……だったら、あなたは、あなたが本物のまどかで、ずっとまどかが世界にひどいことをしてきたって事になるじゃない!」

クリームヒルト『それは今更じゃないかなぁ』

ほむら「え……」

クリームヒルト『ほむらちゃんはわたしに何を求めてるの?』

クリームヒルト『何度も何度もわたしを「こんなふう」にして……こんなひどいこと……わたし、頼んでないよ』

ほむら「違、わたし……」

クリームヒルト『それとも本当のほむらちゃんじゃないからわかんないか!』

ほむら「っ」グ…

ほむら「それでも、それでも私にはあるのよっ!あの時の、走りつづけた色あせないあなたへの日々が!」

ほむら「友達だから――」

クリームヒルト『友達なら、何をしたって許されるんだ』

杏子「まどかぁッ!!」

クリームヒルト『なぁに杏子ちゃん……これはわたしとほむらちゃんの話なんだけど』

杏子「頑張るって、細かい理屈で説明できるようなもんじゃないってあんたはわかってるだろ……?」

クリームヒルト『言い逃れかな?』

杏子「頑張ってるやつを悪く言うやつってだいたいその場の出任せで言ってるもんなんだ」

杏子「ただ、気に入らない誰かを攻撃したいだけなんだ」

杏子「本当に真剣に耳を傾けてくれるのが……まどかじゃんか」

ほむら「杏子……」

クリームヒルト『わたしはまどかだよ~』

クリームヒルト『わたしと一つになればみんなにもわかるよ……』

クリームヒルト『その円環の理をわたしが結界の中に閉じ込めれば、今までと同じように一緒にいられるよ』

ほむら「円環の理って……?もしかして、その光の中に……」

杏子「……ああ」

ほむら「そんな……!まどかぁっ!あああっ!!」

杏子「ばかっ!近づいたら取り込まれるぞ!」

クリームヒルト『それは私じゃないのにぃ』

杏子「そうかもしれない……だけど気づいてないんだな」

クリームヒルト『?』

杏子「このほむらもあたしの知ってるかつてのほむらじゃないらしい」

クリームヒルト(ウェヒヒ……知ってるよ……中に本物のほむらちゃんが眠っていることもね)

杏子「誰が本物で何が偽物で……考え出したら気になるし、実はあたしも違うんじゃないかとか考える」

杏子「でも、あたしはほむらはほむら、まどかはまどかだと思ってる」

杏子「世界がいくつもある中で、別の世界の同じ人は同じ誰かの偽者なのか?」

杏子「見た人だけの考えで何が本物かを選んだら選ばれなかったほうはどうなるんだ……通り過ぎる過去として踏み潰されるだけなのか?」

ほむら「……」

クリームヒルト『みんなひとつになろ』

杏子「それじゃあ結局、答えをあんたに任せることになるじゃないか」

クリームヒルト『……』

杏子「ほむら、あんたはさ、なんで頑張ってるの?」

ほむら「え……私は、私は……まどかを助けたい……いえ、またまどかと友達でいたいの……!」

杏子「あたしはそういうの落としてきたからさ……あたしが、理想のあたしだった時を」

杏子「あたしの描きたかった、物語を」

クリームヒルト『それでも……ひとつになるんだよ……みんな、いっしょだよ』

杏子「あんたの気づいてないことっていうのはさ、まだまどかとほむらの物語は続いてるって事だ!」バッ

パァァ

ほむら「な、なに?これ」

杏子「誰がなんて言うかなんて関係ない、あんただけの『まどか』……迎えに行ってやんな」

ドンッ

ほむら「待っ――」

スゥゥ…

――円環の理

ほむら「――ここは……ここが、円環の理の中?」

ほむら「あたたくて、とてもやすらぐ」

~♪

ほむら「あれは……」


まどか「~~♪」

ほむら「まどか……の、幻?」

まどか「ほむらちゃん、頑張って……」

ほむら「記憶……円環の理に残った?」


魔法少女「その子(ほむら)をまた見ているの?」

まどか「うん……」

魔法少女「気持ちはわかるけど、あんまり見ないようにしないと」

まどか「わかってる……」


ほむら(どうして、見てはいけないの?)

 ・

 ・

 ・

まどか「――でね、ほむらちゃんてば」

リズ「……」コク

まどか「すごいよねぇ……」ハァ…

リズ「そうね……」

まどか「今日もお話聞いてくれてありがとう」

リズ「……ハイ」

かずみ「新記録更新だね、100時間超えたよ」

まどか「ここには時間は無いからたっぷりお話できるね」

かずみ「う、うん……」

まどか「話したりないな……」チラッ

かずみ「ちょっとコンビニ行ってくる」

 ・

 ・

 ・

ザーザー

まどか「……」

魔法少女A「女神様、また見てる」

魔法少女B「誰か、教えてあげて」

魔法少女C「気づいてる人、誰か」

ヒソヒソ


まどか(キコエテルヨ……)

ザーザー

まどか「ここは未来も過去も今も一つなんだよほむらちゃん」

まどか「なのに」

まどか「ドウシテ ホムラチャン ハ イナイノ」

 ・

 ・

 ・

まどか「円環の理にいない子が何人かいるよねさやかちゃん」

さやか「そうだね」

まどか「どうしていないのかなぁ」

さやか「ん~~……そもそもあたし、この空間自体もよくわかってなかったり」

まどか「え~……」

さやか「だって、全ての時間と繋がってて円環の理にも時間は無いのにこの時間とかお迎えに行ってる時っていったい……」

まどか「もしかして、その時だけ――」

さやか「? 何かわかったの?」

まどか「ううん、なんでもない」


まどか「えへへ……いいこと思いついちゃった」ウェヒヒ

まどか「時空への干渉で魔獣が元気になっちゃったけど」

まどか「運命に変化あったよ……」

さやか「まどか、そろそろほむらがヤバいみたいだよ」

まどか「うぇひぃっ!!」ギュルンッ

さやか「ひっ」

まどか「どぉしたのぉ?さやかちゃん」ウェヒッ ウヒッ

さやか「ま、まどか……最近ってここで言うのもなんだけど、変わった?」

まどか「え?」

さやか「今、すごい顔してた――」

 ・

 ・

まどか「わたし、何も変わってないよね」

まどか「よく、考えたらわたし、変になってるかも」

まどか「前のわたしは、こんなことしたかな、へんなこと、考えたかな……」

まどか「このままじゃ、ほむらちゃんに会えない」

まどか「そうだ、記憶を――」

さやか「さーて、いっちょ助けに行きますかーっ」

まどか「おーっ!……誰をだっけ?」

さやか「んもー、これがまどかのキュゥべえを誤魔化す計画とは言っても心配だわ……」

まどか「えへへ、でも、なんだかこの時を待ってた気はするよ」

さやか(そうだよね……あたしも、ほむらを助けて、そうしたら――)

 ・

 ・

 ・

ほむら「『私』が引き裂く前からまどかの心は壊れてバラバラになっていたのね」

悪魔ほむら「……だけどあらゆる可能性に置いても結局はまどかの記憶と力はまどかを求めたわ」

ほむら「『私』……」

悪魔ほむら「外にいるまどかの魔女も所詮、円環の理から垂れ落ちたひとしずく」

悪魔ほむら「まどかの力の根本である円環の理を取り込んで、完全体になろうとしている」

悪魔ほむら「逆に言えば、この子さえここで消してしまえば世界は助かるわ」

ほむら「……っ」

悪魔ほむら「まどかの魔女から、そして円環の理からもね……」

ほむら「円環の理からって、どういうこと!?」

悪魔ほむら「宇宙は天然の魔女の結界で、全ての生き物は魔女の使い魔であり結界の使い魔の本能に基づいて食らいあい進化していくの」

ほむら「それじゃあ、魔法少女は……」

悪魔ほむら「いつか宇宙になる生命の到達点の一つよ……宇宙の子としての可能性を託されたのが私達」

悪魔ほむら「キュゥべえは魔女と魔女の結界が成長した魔女を取り込むことで延命、強化される性質を解析して知らずに魔法少女のシステムを独自再現したということかしら」

悪魔ほむら「ともあれそれを円環の理が認識してしまったことで、もう宇宙の全ては魔女のように消え去ることが決定づけられた」

悪魔ほむら「そう、あなたが円環の理を殺してしまわない限り――」

悪魔ほむら「――そして、そのチャンスは杏子が円環の理を縛ってくれている今が最後」

ほむら「そんな――」

悪魔ほむら「どうするの?ありえないけれど円環の理をどうにか助けたとしても結局はまどかの魔女によって宇宙が滅びるでしょう」

悪魔ほむら「あなたの選択も、既に全て決まっているの……」


ほむら「ぐすっ……なんでこんな、なんで私が、まどかを殺さなきゃ――」

悪魔ほむら「通った道よ……あなたは、あなたの役目を果たしなさい」

ほむら「……まどか」

悪魔ほむら「それはまどかじゃないわ……本当のまどかはそこにいる」

スッ

ほむら「ダークオーブ……」

悪魔ほむら「今一度世界をやりなおすのよ」

ほむら「私、本当の記憶じゃないけれど、それでもずっと言いたかった事がある」

悪魔ほむら「?」

ほむら「そしてそれは、あなたの本当の気持ちでもあったはず」

スタ… スタ… スタ…

ほむら「ねぇ、まどか(円環の理)……聞こえてる?――」

円環の理「……」

ほむら「私達が出会ってから、いろんなことがあったよね」

ほむら「実は私達が生まれたのも出会いも嘘から始まったことで、いつからか世界が私達を追いつめてきて」

ほむら「……滅茶苦茶なことばっかり押し付けてきてわけがわからない」

ほむら「なのに、信じてたものが壊されていく恐怖ばっかり本物で、戦おう、良くしようとするほど、知りたくないことが増えていった」

ほむら「逃げてしまいたい……ずっと思ってた」

ほむら「でも、皆が私を支えてくれた、変わっていく日常でもあなたがいてくれた」

ほむら「私にも、本物であり続けてほしいものが確かにあるって……知ってる」


ほむら「ねぇ、まどか……そのうえで、嘘も本物も超越したところに私は今いるわ」

まどか「……」

ほむら「あなたも、同じであると祈ってる――」


ほむら「好き」

悪魔ほむら「――!?」

ほむら「好きよ、まどか……愛してる」

ほむら「私は、私の知っている『まどか』が好き!」

ほむら「愛してるの!あなたとの未来がずっと見たいのよ!!」

パァァァァ

まどか「――らちゃん」

ほむら「まどか!」

まどか「女の子同士で……おかしいよ」

ほむら「誰かが勝手に定めた認識で全てが決まるわけない、決まっていいわけない」

まどか「そう……かな」

ほむら「……めいわく、かな」

まどか「違うの……えへへ、嬉し、すぎて……」

まどか「そうだよね、このキモチが、私……」

まどか「私は、ほむらちゃんとずっと一緒にあり続ける……愛と正義の魔法少女、鹿目まどかっ!」


パァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!

パアアアアア

悪魔ほむら「嘘……私のアイから生まれたあの子が、私の一部のあの子が私と違う選択なんて選ぶわけない!」

本体まどか『ほむらちゃん、本当にそうなの?』

悪魔ほむら「まどか……?目覚めて……」

本体まどか『ごめんね、ずっと後悔させちゃって』

悪魔ほむら「え……」

本体まどか『ほむらちゃんと一緒に、いたいって言えば良かった――』

悪魔ほむら「あなたのせいじゃないわ!置いて行かれた時も、私があなたを……撃った時もっ!ずっと、ずっと!!」

本体まどか『ふふっ……見届けよう?わたし達の、目覚めたココロが走り出した描く未来を』

悪魔ほむら「……」

スゥゥ…

――

杏子「あたしもずっと後悔してたんだ、父さんを信じて一緒に居続けるだけで良かったのに、それに気づけなかった私を」

杏子「安易にキュゥべえの力に頼ったからじゃない……死んだほうがマシなことがあるって知らなかったあたしの甘さが全ての原因さ」

クリームヒルト「杏子ちゃ――」

杏子「そんな魔女になっても、一緒にあり続けようとしたあんたはすごいよ」

クリームヒルト「さやかちゃん、返すね――」

杏子「もう行っちゃうのか?」

クリームヒルト「きっとまた、会える――」

スゥゥ…

杏子「その時はいつものまどかでよろしく……」

ほむら「ただいま、杏子」

まどか「ただいま杏子ちゃん」

杏子「ちゃんと、言葉が届いたな」ニカッ

さやか「んん……」

杏子「気づいたか、さやか」

さやか「あれ?あたしの体……元に戻ってる」


まどか「みんな、聞いてほしいことがあるの」

まどか「この宇宙は、このまま、もう一度改変されちゃうんだ」

さやか「え……?」

ほむら「……私達、お別れよ」

さやか「話が飲み込めないんだけど」

まどか「……円環の理が新しく生まれ変わったから」

さやか「それで、どうしてお別れなの?記憶を失ったりしてもまた会えるのに」

ほむら「……言葉のあやよ」

まどか(改変された世界では、『わたし』と『ほむらちゃん』がまた、暮らすことになると思うから)

杏子「……」

杏子「なぁ、二人とも……神にも悪魔にも許されて、二人でどんな世界を作りたい?」

まどか「……」

ほむら「私は、決まってるわ」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「……」ニコ

まどか「そんなこと、許されるのかな」

杏子「まどか、あたしはさ……もし魔法少女が無かったらって考えた時」

杏子「あたしの願いはどうなってたんだろうって考えた」

杏子「もしかしたらあたしに必要だったのはあの時キュゥべえじゃなくて」

杏子「ほんのすこしの誰かの優しさと、あたし自身の勇気だったのかも」

杏子「魔法少女ってシステムが願いを奪うことで少しずつ世界から勇気と優しさを消耗させていたなら」

杏子「きっと魔法少女が無くてもあたしたちは今、苦しみあってでも不幸を皆で乗り越えて同じような世界になってたんじゃないか?」

まどか「キュゥべえは、魔法少女が無かったら、人間は今でも洞窟暮らしだったんじゃないかって」

ほむら「試す、なんてできないけれど、私達は進むしか――」

フォォォン…

ほむら「っ!なに?この音は……!」

織莉子魔女「……」

ほむら「なっ!?どうして新しい魔女が……!」ジャキッ

キリカ「待ってぇ!その魔女は、織莉子だ!倒したら、ダメなんだ!」

ほむら「何を言って……っ!魔女なのよ!?」

織莉子魔女「……」ビシッ ピキキ…

キリカ「ああっ!?崩れて……!」

杏子「円環の理を止めれないのか?」

まどか「……」フルフル

杏子「やっぱり、特殊なやりかたで守らないとダメなのか」

さやか「あたし達の魔法じゃ……」

キリカ「そんな……だ、誰か、織莉子に想いを遂げさせてよ……!」

ほむら(あの魔女に本当にそんな意志……?でも――)

キラッ

ほむら「そうだ……これで!」バッ

キリカ「それは、あいつ(小巻)の盾……」

ほむら「だぁっ!」ブンッ

パッ! バリバリバリ!

杏子「バリアか!たしかにそれならいけそう!」

さやか「ってかほむらいつの間にそんな力……」

バリバリバリ…

ほむら「くっ……、世界の理とまで分断するには消耗が……っ」

キリカ「手伝うよ」パァァ

ほむら「呉さん……!」

キリカ「本当は織莉子と一緒に逝きたい……でも織莉子にしなきゃいけないことがあるなら、私は――」ギリッ

―――――――――――――

――――――――――

織莉子「……」

小巻「美国っていっつもこんな事になってるわね」

織莉子「小巻さん……どうして!?」

小巻「どうしてって……美国の最後に全力で立ちはだかるのが私の役目よ」

織莉子「立ちはだかる……そうよね、全てを知ればあなたはきっと、私を憎む」

小巻「憎む?どうして?」

織莉子「だって、私は――」

小巻「みくびらないで」

織莉子「え?」

小巻「人の気持ちを勝手に決めつけてるんじゃないわよ」

小巻「アンタが良かれと思って全力でやったことがあるなら――」

小巻「全力で邪魔できなかったら悔しいだけよ!あげくのはて、晶まで巻き込んだり!」

小巻「本っ当に、私の弱さに腹立つー!」

織莉子「小巻さん……あなたって」

小巻「さ、いくわよ」

織莉子「?」

小巻「あんたの荷物を少しくらい奪ってあげる、この私が」

――――――――――

――――――――――――――――

グググ…

ほむら「持ち直してきた……(いったい、どうするつもりなの?)」

織莉子魔女「……!」ズモモモ

さやか「うぁっ!!なにこれ……!」

ほむら(まずい、一番弱ってるさやかが……!?)

ゴォォォォォォォッ

まどか「結界が……街全体に……!」

ほむら「バリアが止めれない……!もう、倒すしか――」

キリカ「だめっ!」ガシッ

ゴロゴロゴロ… モタモタ

ほむら「は、離して……!」

キリカ「ごめんほむら……でも君ならまどかにも同じ状況で同じ事をしてあげただろう?」

ほむら「――っ」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「ほむら、あたしは大丈夫だから……」

ほむら「私と……」

キリカ「?」

ほむら「私と同じ気持ちがあなた達にあるって、今なら信じられる……信じてみる」

キリカ「ほむら……!」

――和子の部屋

和子「はぁ、はぁ」

ガチャッ

沙々「あ……」

和子「どうして避難所にいないの!」

沙々「別に、どうでもいいじゃないですか……」

和子「どうでもいいって……どうしたの?」

沙々「別にどうもしないですよ?」

和子「じゃあ、一緒に行きましょう」

ガシッ

沙々「い、嫌です」

和子「スーパーセルっていうのが来たらこんなボロボロの部屋潰されちゃうわ!」

沙々「それでもいいんです」

和子「なんてこと言うのよ……」

沙々「だって、世の中なんて本当にどうでも良いんです……私だってその一部なんですよ」

沙々「だから私みたいなクズはほうっておいてください、なんなら、『力』で追い払って――」

――パンッ!!

沙々「――えっ?」

和子「あなたがどうでもいいわけないじゃない!」

和子「先生も似たようなこといつも言うけど……」

和子「矛盾してるけど、大切な人まで死んじゃう世界の終わりなんて望んでないわよ!」

和子「それが、それに自分が含まれちゃう時というのは……世界の終わりっていう大きな隠れ蓑に、自分の終わりを隠しているものなの……」

和子「あなたは、優しい子だから……自分の汚れに過敏なだけなのよ……!」

沙々「優しくなんてないです……!だって私は――」

ズモモモモモ

沙々(魔女の結界――!?なんで!?)

和子「――っ!?」フラッ

ドサッ

沙々「せ、先生!?」

和子「……」

沙々「そんな、この結界の魔法のせいで……!?」

パァァ

沙々「起きて……!こんな、先生は死ななくていいんです」

沙々「私のせいで、誰か死ぬなんて最低ですよ……!」

沙々「先生みたいな、すてきな人が……」

沙々「代わりに、私みたいなのが死ぬべきなんだー―っ!!」

和子「……それが、あなたの本当の気持ちなの?」

沙々「先生!」

和子「大人に裏切られ続けたから、あなたは、ああ願ったのね」

沙々「え……なんで知って――!い、いえ……そうですよ、最低で卑劣な願いだと思うでしょう?」

沙々「『自分より優れた者を従わせたい』だなんて――」

和子「とっても優しいすてきな願いだわ」

沙々「……!」

和子「自分より弱い者をいいようにしてしまうような大人になることを否定してるんだから」

沙々「そんなこと、無い……」

和子「私の前ではもう悪びれなくていいのよ」

ググ… ギュッ…

和子「大きな魔女と戦うのが怖くて、ここに逃げてしまったのね」

和子「私に悪いことをしてしまった、だけど後悔を払拭する機会も無くて……死にきれなかった」

和子「みんな、死んでいくのに」

沙々「せんせぇ……私は、どうしてこんなに弱いんですか、みんな、どうして強いんですか……!」

和子「ふふ、私と同じね」

沙々「同じ……?」

和子「最後に、あなたに会えて良かったわ」

沙々「最後って!いきなりなんですか!?」

和子「――子供は間違えるものです」

和子「では、大人は間違えないのでしょうか?」

沙々「先生……?」

和子「間違えてばっかりよね……だから大人も祈っているのよ」

和子「子供を傷つけないでいられるように、って……」

和子「あなたもまさに私の祈りの一人だったわ」

和子「先生を、慕ってくれて、ありがとう」ニコ

 ・

 ・

 ・

――

キュゥべえ「君たち、やってくれたね」

ほむら「キュゥべえ……」

キュゥべえ「美国織莉子の魔女がしているのは、全人類に強制的な悟りを開かせるものだ」

まどか「悟り……?」

キュゥべえ「現在、過去、未来の全てに届く目を得ることで、一種の極限状態へと至るんだ」

さやか「あ、あたしは変になったのに見えないんだけど」

杏子「……筋金入りの馬鹿だから」ボソッ

さやか「にゃんだってぇぇ――っ!?」

キュゥべえ「全てが解り、君たち人類が共通認識を持つとどうなってしまうか僕達にも全く予想ができない」

キュゥべえ「早く、あの魔女を倒してしまうことを勧めるよ」

詢子「まどかー―っ!!」

まどか「ママ!?どうしてここに!」

ギュッ

詢子「馬鹿、なに勝手なことしてんだ……!」

まどか「ママ、全部、わかってるの……?」

詢子「ああ」

まどか「わたしは、えと……」

詢子「あたしの娘だ!」

まどか「――っ!」ウルッ

詢子「さぁ、一緒に帰ろ、パパもタツヤも待ってるからさ」

まどか「え……帰れるの?」

詢子「よくわかんないけど今、未来が見えるみたいなんだよね!だから、確実さ」

まどか「――っ!?」バッ

ほむら「……」コクッ

ほむら(おかしい……このあと世界の改変が起きて、私達は概念になるはず……)

ほむら(もしかして、オリジナルの私達がまた概念に……?)

杏子「ほむらの今考えてること、たぶん全部違うぜ」

ほむら「え……?あなたはわかってるの?」

杏子「新しい概念は、人類全ての中に生まれるんだよ」

杏子「そのために、織莉子はここに来て、そしてあたしも、この力を持ってここにいる」

杏子「集合意識の中に、概念を刷り込んで封じ込められるだろうし、人類全てなら器としても十分さ」

杏子「それが、第三の道で、みんなの祈りが運命をそこに連れてきたんだ」

ほむら「駄目よ!犠牲を取り戻して、やり直す……それが――」

杏子「それは、違うみんなの物語だ……そこにあんた達もいない」

ほむら「――っ!」

杏子「さぁ、あんた達も魔法少女の力を解いて、織莉子の結界に身をゆだねな」

ほむら「……わかった」

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「『私たち』もまだ見ぬ未来に期待しているわ」

ほむら「……みんなの祈りを無駄にできない」

まどか「……」

 ・

 ・

 ・

まどか「きれい……」

ほむら「みんなの意識が束ねられて、ここに集まっているのね」

織莉子魔女「……」パキッ

キリカ「……織莉子?うん……一緒にいるよ」ギュッ…

杏子「さぁ、お別れだな」

まどか「え?」

杏子「あたしが、柱になってあの中へ飛び込む」

杏子「みんなのあたしの記憶も、あたしが持って行く」

ほむら「聞いてないわ!どうしてそんなことする必要が!」

杏子「誰かが覚えてると記憶から繋がって世界が不安定になるって散々学んだろ?」

ほむら「――っ!」

まどか「嫌だよ……マミさんもいなくなっちゃったのに……!」

杏子「ぐすっ……へへっ……あたしは裏から世界を守って、あんた達は表で世界を守るんだ」

杏子「ゆまをよろしくな……」

まどか「うん、わかった……!」

杏子「じゃあな、ほむら、まどか、さやか、キリカ……!」

さやか「さようなら……(太い人……)」グスッ

――――――――

――――――

――――

――見滝原中学

生徒「今日さ、隣のクラスに東京から転校生が来たらしくて――」

まどか「――?」

さやか「どうしたの?まどか」

まどか「ふぇ?」

さやか「なんだなんだー?白昼夢ってやつですか?」

まどか「違うよぅ……でも、何か突然胸にポッカリと穴が空いたような気がするの――」

――コンビニ

チャリーーン パラパラパラ…

キリカ「はわわ……お金はやく拾わないと……」

コンビニ店員「ちょっと台どかしますね!」

客A「転がってきた百円玉キャッチしといたぜ!」

客B「見つけた!こっちにもあるー!」

客C「よくあるこった、気にすんな!」

客D「もっと使いやすいお財布あげようか!?」

キリカ「みんないい人だなぁ」

えりか「あっ、キリカ!みーつけた!」

キリカ「えりか!帰ってきてたんだ!」

えりか「一緒に家まで帰ろうよ!」

キリカ「うん!」

――橋

ほむら「……学校馴染めるかな」

チャポウン

ほむら「駄目な私なんていっそ死んじゃえば――」

ほむら「――なんて、鬱の人はこういう時に考えるのかな」

ほむら「誰ともなじむ機会が無いままぼっちになったりして……ふふ」

――ショッピングモール

さやか「~♪」

まどか「ほんとにさやかちゃんはクラシック好きだね」

さやか「だって恭介が……」

まどか「……?」

さやか「……?恭介って誰だっけ?」

まどか「えー」

――教会前

さやか「ふへへ、掘り出し物のCDたくさん見つけちゃった……」

さやか「杏子のうちにもついでによってくかな」


――教会

コンコンコンコンココン

さやか「もしもーし!」

杏子の父「はい」

さやか「こんにちは!杏子いますか?」

杏子の父「はて……?そんな子はいないが」

モモ「どうしたのー?」

杏子の父「モモ……おまえは、キョーコって子の事を知ってるか?」

モモ「キョーコって、誰?」

――――

――

キュゥべえ「……」



つづく

 ・

 ・

 ・

さやか「……」スタスタ


女学生A「この間さー、あたしデジャヴっちゃって」

女学生C「またー?気のせいだってば」

女学生B「でも私も見たことある」

女学生C「う……実は私も……」

女学生A「デジャヴって何なんだろうねぇ」

女学生D「一説によると、わたし達が何度も生まれ変わってる、せいだとか――」

さやか(その話、あたしも知ってる)

さやか(人によっては有り得ない記憶や未来も見るって)

さやか「あたしの中のあんた(杏子)も、そうなのかな――」


――美樹ハウス

さやか「全然わかんない、なのになんでこんなにモヤモヤしちゃうんだろう」

さやか(あの家になんで杏子っていう子がいると思ってて、どうして会いに行ったの?あたし……)

さやか「……あたし、普段からこんな風に胸に穴が空いているような気持ちだったっけ」

ポッフ

さやか(寝よう……)


…………zzZ



  トスッ


キュゥべえ『……ふむ』

テトテト…ピョンッ ポフ チョイチョイ

キュゥべえ『微かな想定外の力を、この個体にだけ感じる……何故?』

キュゥべえ『僕達がかつて理論だけはたどり着いた、感情から滲み出る力だとしたら』

キュゥべえ『君の力が必要だ、美樹さやか……!』

――数日後 見滝原中学

タッタッタ

さやか「とぉうっ!」 ピョンッ

\ワーッ/

教師「なんて記録……!?」

さやか「えへへ……」

まどか「すごいよさやかちゃん!」

さやか「なんだか最近調子良くてさぁ~ん」ドヤァ

――帰宅道

ゴオオ

まどか「ああ!あの猫が車に轢かれちゃう!」

さやか「この距離なら……いけるっ!!」タタタタタ

ヒュゴッ

まどか「―~っ!!」ビクビク

さやか「まーどかっ!」ハァハァ

まどか「さやかちゃん!」タタタ…

さやか「間に合ったー!今のあたしほんとに速かったんじゃない?」

まどか「ばかっ!」

さやか「えっ」

まどか「さやかちゃんまで一緒に轢かれたら、わたし、わたし……」グスッ

黒猫「ニャー」テトテト… ゴロゴロ

さやか「あれっ、なんか助けたあたしよりまどかのほうに懐いてる……」ソンナー

まどか「……エイミーを助けてくれてありがとう、さやかちゃん……」

さやか「そっか、知ってる猫だったんだ」

まどか「……?知らないよ?」

さやか「でも今、名前を……」

まどか「? 言ってないよー」

さやか「エイミー」

黒猫「にゃー」

さやか「???」

――数日後

さやか「はぁ……」

仁美「どうなされたんですの?」

さやか「ちょっとね……最近なんだか調子が乗らなくて」

仁美「あら……ついこのあいだまで『さやかちゃん絶好調!見滝原の生んだ奇跡と呼んでくれたまへ~』って言ってらしたのに」

さやか「たはは……なんて言えばいいのかな、最近この世界がまるで嘘みたいに思える時があって」

仁美「まぁ……?」

さやか「平和で、幸せで、こんなこと考えちゃいけないことなんだけど、あたしの望んでいるものとズレているような」

仁美「私にもあります、そういうところ……きっと誰にでもありますの」

さやか「誰にでも……」

仁美「人によってそれには差があると思いますが……私は、さやかさんと、まどかさんとも友達になれて良かったと思います」

仁美「世界の全部を納得できなくても、私は本当だって思える気持ちがあれば生きていけます」

さやか「……その本当の気持ちが仁美を傷つけたら?」

仁美「……なってみないとわかりませんけど、きっと――」

仁美「それでもきっと、忘れない」

~~深夜 美樹ハウス

さやか「本当の気持ち、かぁ……」

さやか(杏子……思い出せないけど、そのことがなんでこんなに気持ち悪いんだろう)

さやか(それに、こんなふうになるのって前にも似たようなことがあったような……)

さやか「誰か、教えてよ……この世界って、なんなの?」

キュゥべえ「それは宇宙?それとも君を取り巻く環境のことかい?」ヒョコ

さやか「わぁー―――――――ッ!?」

ギットンバッコンスッテン

さやか「痛た……」

キュゥべえ「なにをしているんだい」

さやか「猫みたいのが喋ってる……!ていうか誰……!?どこから入ったの!」

キュゥべえ「僕はキュゥべえ!僕達はいつも君達の隣にいたよ」

 ・

 ・

 ・

さやか「宇宙を延命するために活動してる、かぁ……」

キュゥべえ「まぁ、今のところ確かな方法なんてないけどね」

さやか「あはは……」

キュゥべえ「君の不思議な力も君だけじゃ微々たるものだ」

キュゥべえ「だけど君を調べれば糸口は掴めるかもしれない……ついてきてくれるかい?さやか」

さやか「あたしは――」

――キュゥべえの基地(?)

キュゥべえ「いきなりでついてきてくれるとはね」

さやか「だって、宇宙を救うためなんでしょ?」

さやか(それに、キュゥべえ達が嘘つく気もしないんだよね……あたしは
キュゥべえ達の事を知ってる気がして、あたしも知りたいんだ)

さやか「それにしても、不思議な雰囲気だなぁ……」


キュゥべえ「ここの部屋にいてくれるかい?」

さやか「部屋って……この玉の中?」

キュゥべえ「そうだよ」

さやか「どうやって入るの?どこにも継ぎ目も何もない……」

キュゥべえ「触って入ろうと思えば入れる」

さやか「へぇ……どれどれ~」

ピタ ヌプッ

さやか「わ、わわわ」ヌププププ

トプン…

――玉の中

さやか「ちょっと狭いなぁ……なんてね」

ペトペト

さやか「どういう構造なんだろ」

~~10分後

さやか「遅いなぁ……調べる機械とか準備してるのかな」

さやか「携帯でも見ようっと」

ゴソゴソ

さやか「……圏外」

~~一時間

さやか「……おかしいなぁ」

ペトペト

さやか「そもそもこれってどうやって出るの?」

 ・

 ・

 ・

さやか「…………」

さやか「……どれくらい経ったのかな」

さやか「キュゥべえに騙されたんだ……」

さやか「この中だと眠たくならないし」

さやか「あたしって、再生力も強くなってたんだ」

さやか「何したって、怪我もしない」

さやか「…………」

カリカリカリカリ

さやか「でも、壁は壊せなくて」

さやか「お化けでもなんでもいいから誰かにあたしの声が届いてよ……」

 ・

 ・

 ・

さやか「どうしてこうなっちゃったんだろう」

さやか「まどか、心配してるかな」

さやか「でも、誰がどんなに想っててもきっといつかあたしの事に、みんな『慣れていく』」

さやか「人によっては、風化って言うのかな」

さやか「きっとちょっと違うよね、大好きだった人達のことをいつまでも忘れられるわけがないから」

さやか「あたしは、誰かの大好きになれたのかな……」

さやか「…ぁぁぁ……助けてよ……ねぇ、誰か……ここから出してってば」

さやか「あたし、ちゃんと生きてきたよね……それなりに普通にさ」

さやか「大好きになって欲しいなんて贅沢なこと言わないから、気づいてよ……!」

さやか「あたしはここにいるよ……!」

 ・

 ・

 ・

さやか「はぁ、はぁ……考えたくないよ……想像したくないよ、キュゥべえのことなんて」

さやか「きっとキュゥべえはあたしを騙したつもりなんてなくて」

さやか「あたしが受け入れるがままにここへ来た事になってるんじゃないかなんて」

さやか「違う違う違う違う違う!!」ガタガタ

さやか「なんで考えちゃうのあたし!」

さやか「そのうちキュゥべえがひょっこり出てきて話を聞いてくれるんだ……」ブツブツ

 ・

 ・

 ・

――数え切れないほどの日にちが経って

ゴォン!! ゴォン!!

さやか「」

バリィン!!

ピカッ

さやか「」

???「酷い……もしかしてずっと埋められてたの?」

さやか「」

???「さやか……マツリのこと、わかる?」

さやか「……?」

マツリ「わからないんだね、うん……でも、いいよ」

ギュッ

マツリ「……」

さやか「……ぁ」

マツリ「?」

さやか「あうあー」

マツリ「喋り方は……ゆっくり思い出そ」

さやか「ううー!」

ギュッ

――数日後

さやか「マ、マツ……リ」

マツリ「なに?」

さやか「いつ……外……出れる?」

マツリ「外は……出ないほうがいいよ」

さやか「これじゃ……玉と……かわらない」

マツリ「うん……でも」

さやか「かなしい、かお……だいじょぶ、だから」

マツリ「……わかった」


――荒野

ヒュゥゥゥゥ

さやか「なに……これ……」

マツリ「人類は最終戦争の汚染のせいで……滅びたよ」

マツリ「生き残ったのはマツリと、玉の中にいたさやかだけ」

さやか「うそ……だ……うそだー―――――っ!!」

ダダッ

マツリ「待ってさやか!空気が……!」

タッタッタ

さやか「はっ、はっ、はっ、がふっ!?」ゲブシャー

バタッ

さやか「あああー―っ!!」ジタバタ

マツリ「さやかー!」

 ・

 ・

 ・

――室内

さやか「……」

マツリ「マツリとさやかの居た時代……」

マツリ「全てを知ってるマツリには、とても平和で、優しい時間だったな」

マツリ「人々もみんな優しくて、誰かが特別に優しくなる必要がない、そんな暖かさがあった」

マツリ「間違えや悲しいことも当然あったけれど、『魔法少女』のいらない世界だった」

さやか「魔法……少女……」

マツリ「さすが、治るのが早いね」

さやか「あたし、たち……?」

マツリ「そうだよ」

さやか「魔法少女なんて、なったから、あたし……?」

マツリ「そんなこと、言わないで」

さやか「でも……でもっ」

マツリ「忘れられないことがあるから、マツリ達は『前の世界』から力を引き継いだんだよ」

さやか「忘れられない……?」

マツリ「……さやか、唯一記憶を取り戻してるさやかなら、みんなを助けられるかもしれない」

さやか「え……?マツリは……」

マツリ「マツリが自分を失わないのは、願いの副作用だから……」

マツリ「でも、さやかにはきっと、前の世界から改変された時に改変した人にとって想定外のことがあったから記憶が残ってる」

マツリ「それを広げれば、また改変が起きてこんな未来を変えられるかもしれない」

さやか「いろいろ聞きたいけど、人類は、なんで……」

マツリ「……革新が無かったから」

さやか「革新……?」

マツリ「元の世界は辛いことばかりだったけど、来るべき時に救世主が現れて、人類全体の意識をより高い次元での真の調和へと導いて全滅を防いだの」

マツリ「そして、人類とインキュベーターの関係性に大きな変化ができて、人類は宇宙へ広がってった」

マツリ「でも、この世界で救世主は現れなかった……」

マツリ「調和が無ければ例え優しくても、その優しさでさえ人は傷つけあうのかも」

マツリ「これがその結果……こんな結果でも、きっと人類はどの世界よりも誰かのために戦ってた」

さやか「犠牲がなきゃ、未来は生まれないの……?」

マツリ「そんなことないよ」

マツリ「さやかが、まだ未来を握ってる」

さやか「ほんとうに?」

マツリ「諦めない心が、最後の希望だから」

さやか「あはは……そうだね……なんでか、あたしもこんな目に会ったのに諦めきれない」

さやか「あたしとみんなとの先がこんな未来で終わるなんて、嫌だって」

さやか「あたしって、ほんと馬鹿……」ニコッ

マツリ(きっと、何もかも忘れてもそれでも心に残った記憶がさやかを支えてるんだ)

マツリ(すずねちゃん、みんな……マツリも、諦めないよ……!)

――翌朝

マツリ「さやか、起きて……天気と風向きがいいから、今は外に出られるよ」

さやか「むにゃ……?」


――荒野

さやか「予想はしてたけど……面影が何もなくて、ここがどこかわかんない……」

マツリ「見滝原、だよ……」

さやか「そっか……」

カララ…

さやか「人間が滅んでから、何年くらい経ったの?」

マツリ「100数年かな」

さやか「え……それだけしか経ってないのに、こんなガレキだらけのわけわかんない状態になっちゃうの?」

マツリ「……当時暮らしていた時はわかりづらかっただけで」

マツリ「町も、人と一緒に生きてるの」

マツリ「立派で大きなビルも、汚く見えるような地下街の片隅も」

マツリ「人がいなくなると、同じように風化して、無くなってく」

マツリ「まるで、人も町も支えてるのは共有された思い出みたいに」

さやか「……人もいなくなって、思い出も残らなくなったら、あたしたちっていったい何なのかな」

マツリ「……」

――夜

キュゥべえ「やぁ、美樹さやか」

さやか「あ、あんた――」

キュゥべえ「どうしたんだい?そんな顔して」

さやか「どうしたって……あんなところに閉じ込めておいてなんてこと!」

キュゥべえ「それについては君に許可をとったじゃないか」

さやか「あんなことされるってわかってたらついていかないわよ!」

キュゥべえ「やれやれ……」

さやか「っ……あんたらしいわ」

キュゥべえ「……君は僕達のことをよく知っているのかい?」

さやか「知らないわよっ!あんたたちのことなんて!」プイッ

キュゥべえ「なるほど……感情を持った全ての生物、特に人類に見られる『デジャヴ』というもので僕達の記憶を引き出したのかい?」

さやか「デジャヴって、都市伝説じゃなかったの?」

キュゥべえ「その力を正確にコントロールするに至っている存在はいないみたいだけど、その内容は実に興味深い」

キュゥべえ「予知能力のように見えるが一度見た経験したものを見ているようにも見える」

キュゥべえ「僕達は長い間、細切れになった紙吹雪を集めて元の一枚の紙に戻すような作業を繰り返し」

キュゥべえ「統計によって本当にかつてこの宇宙が別の姿の宇宙であったことを導き出したんだ」

さやか「すごい……」

キュゥべえ「僕達は宇宙を救うために存在している、けれど宇宙も生まれ変わることで代謝を行いその存在を維持しているなら」

キュゥべえ「僕達の行動は無駄で、逆に代謝を歪め本当の死を早めているのかもしれない」

さやか「落ち込んでるの?」

キュゥべえ「まさか、僕達に感情は無いんだ」

――翌日 暁美時空研究所

さやか「ここは……?」

マツリ「人類がタイムマシンを研究していた施設だよ」

さやか「え……!?タイムマシンがあるの!?」

マツリ「……完成前に、滅びちゃった」

さやか「そんな……」

マツリ「手掛かりを、二人で探そう……この施設はある程度原型を留めてるから、崩れたりしないよ」

さやか「うん、わかった」

タッ タッ タッ

さやか「がれきばっかりの街だったのに、まだこういうのも一応残ってるんだ……」

ヒョコ

キュゥべえ「あの少女が君を助け出したのかい?」

さやか「そうだよ」

キュゥべえ「ふむ……あの子からもさやかに似た力を感じる、なるほどね」

さやか「キュゥべえは、この施設に詳しい?」

キュゥべえ「暁美時空研究所、初代所長が君達の基準で言う平成時代末期に創ってから人類が滅亡するまで表向きは時空移動の研究をしていた」

キュゥべえ「最初は小さかった研究室単位のものが今日に至ってもなお威光を残す施設へと発展した」

キュゥべえ「理論そのものは初代所長が存命中に完成していたが必要とする物質の確保に至らず断念」

キュゥべえ「組織は形骸化し、研究成果を応用した製品開発の施設としてあり続けたまま当初の目的を果たすことなく人類は滅亡した」

さやか「じゃ、じゃあその物質があればタイムスリップできるの!?」

キュゥべえ「そんな物質が存在しているわけないじゃないか」

さやか「うはっ……もうちょっと夢見させてよね」

キュゥべえ「あの子は、おそらく何度もここへ来ているんだろう」

さやか「どうしてわかるの?」

キュゥべえ「この施設は人が通っているから生きている残り方だ……おそらくそれだけあの少女にタイムマシンが必要」

キュゥべえ「初代所長暁美ほむらは見滝原中学卒業でさやかの同級生だから、さやかなら何かを掴めるかと、期待しているんじゃないかな」

さやか「そんな子いたかな……?」

キュゥべえ「初代所長の部屋はこっちだ」

さやか「残ってるのかよ!」

――――数百年前 見滝原

町の人A「美樹さやかちゃん、まだ見つからないんですってね」

町の人B「怖いわ……この町で誘拐事件だなんて」

ほむら「……っ」ダッ


ほむら「私は、悪くない……私は悪くないっ!」

ほむら「隣のクラスの美樹さんのこと、よく知らなかったし……最後に見かけた時も、次の日から行方不明になるなんてわからないもの!」

ほむら「様子が、ちょっと変だったって、でも変な人、たくさんいるもの!」

ズキンズキン

ほむら「どうして、こんなに胸が痛いの……?」

――ほむらの夢の中

ほむら「私は、あの子を……いいようにしてしまった罪を償わなきゃいけないの」

さやか「まーだ、そんなこと言ってんの?」

ほむら「さやか……」

さやか「許されないことなんて、ない……新しい人生を生きれるんだ」

ほむら「本当は、新しい私のほうがふさわしい」

さやか「でも、今はそれもアンタだし、まどかだってそうだ」

ほむら「何より――子が戻ってこない……」

さやか「――子って?」

ほむら「……わからない、何か足りないの」

さやか「……」ニカッ

ほむら「あなたらしくないわね、その笑い方」

さやか「……そうだっけ?」

ほむら「学校で友達、できるかな……」

さやか「できるよ、ほむらなら」

ほむら「私は、あなたとも友達になりたい」

さやか「……!」

ほむら「どうしたの?」

さやか「あたし達は、何があってもずっと、友達だ」

ほむら「うん――」

――ホムルーム 朝

ほむら「……」パチッ

ほむら「久しぶりに夢を、見た」

ガタガタガタ

ほむら「怖いよう……夢の中でまで、美樹さんが出てきた……!」

ほむら「なんて言ってただろう……?ずっと、私を……うらむ?」

ガタッ ズコッー

ほむら「うあああああ!」

ほむら「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

ほむら「私の罪……あのとき話しかけておきさえすれば」

ほむら「きっと、何か変わったのに」

ほむら「私が美樹さんの人生を壊した……救えなかったんだ」

ほむら「動くべき時に、動けない……私は、どうしていつも……まどかの時だって!」

ほむら「……?今なんて言ったっの?」

ほむら「何だろう、私は、友達を失って、時間を戻ったことがある気がする」

ほむら「そういえばデジャヴって、前世の記憶だって……」

ほむら「…………」

ほむら「時間をやり直せるなら、私は……」

ほむら「いえ、できないって言われても、やってみせるわ」

ほむら「美樹さやかを、私が助けてみせる……!」


つづく

――数日後

女子生徒A「隣のクラスの早乙女先生、警察に捕まったんだって~」

女子生徒B「それマジ?どうして?」

女子生徒A「生徒を監禁してたらしいよ!」

女子生徒B「うわ……結婚できなすぎてついに生徒に走ったか……」

女子生徒A「それも、女の子!」

女子生徒B「え~~!?」

ガタッ

ほむら(本当……!?もしや、美樹さんが帰ってきて――!?)

タタタタタ…

――まどかたちのクラス

ほむら「し、失礼します!」

ザワザワ

ほむら「あ、あの……美樹さん、帰ってきてますか?」

ヒソヒソ… ナンダアイツ… クウキヨメ… カワイイ…

クラスメート「あんた誰?」

ほむら「え、えと……暁美ほむらです」

クラスメート「美樹のなんなの?」

ほむら「……っ」

クラスメート「……?あんたねぇ、あの子が行方不明になって、傷ついてる子、いるんだよ!そのうえ、先生まで人をさらってさ!」

ほむら「ごめんなさい……」チラ

まどか「っ」ビクッ

ほむら(あれ、あの子……)

クラスメート「なに見てんのよ?」

ほむら「ちょっと、ごめん!」

タタタ…

ほむら「ね、ねぇ」

まどか「なに……?」ビクビク

ほむら「保健室、行こう?怪我してる」ギュッ

まどか「え……?」

チッ… 

ほむら(やっぱり……)

――廊下

まどか「えと、あの……」

ほむら「暁美、ほむら……です」

まどか「その、暁美さん、どうしてわたしを……」

ほむら「……鹿目さんが、私が入ってくるまで虐められてたってわかったから」

まどか「いじめられて……なんて……」

ほむら「……」

まどか「……ぅ……ぁあ……」ポロポロ

まどか「これは、違うの……えと、暁美さんの優しさが嬉しくて……」

ほむら「どうして庇うの?あなたを虐めたやつらを」

まどか「……っ」

ほむら「どうしても言えないの?何でだろう、私は今、今まで覚えたことのないような怒りに燃えてる」

ほむら「あなたがただ傷つけられるのを、我慢できない……!」

まどか「……!ダメだよ、やめて!」

ほむら「でも、鹿目さん……!」

まどか「信じてるの!」

ほむら「え?」

まどか「さやかちゃんは、皆を置いて大人の人と黙ってかけおちなんてしないもん」

まどか「先生は、援助交際なんてしないもん」

まどか「みんなの言うことを真に受けて、わたしが何か起こしたら」

まどか「その通りだって、肯定してるみたいだよ!」

まどか「信じてるの……大切なみんなを、ずっと……絶対に負けない」

ほむら「……鹿目さん」

まどか「……」グスッ

ほむら「私と友達になってほしいです」

まどか「ふぇっ!?」

ほむら「これからは私も一緒に信じる、鹿目さんの信じているものを」

ほむら「……またね」


ポカーン

まどか「暁美さん、名前の通りなんだか熱い人だったな……」

まどか「わたしのこと、前から知ってたのかな?」

まどか「……えへへ、仲良くなれると、いいな」ティヒヒ

~~~~~~~~~

まどか(ほむらちゃんは、それからいつも授業中以外はわたしの会いに来てくれました)

まどか(嬉しかった……さやかちゃんがいなくなって、仁美ちゃんが悩んで学校に来られなくなって、クラスで虐められるようになって)

まどか(ずっとわたしはひとりぼっちだったんだよ)

 ・

 ・

 ・

「私の夢は、タイムマシンを作ること」

まどか(ほむらちゃんは、夢を持っていました)

まどか(その理由が、さやかちゃんを助けるためでした)

まどか(わたしと出会ったのは、さやかちゃんが帰ってきてるか確認した時のこと)

まどか(わたしとの出会いは、そのさいのたまたま――)

~~~~~~~~

~~数年後

まどか「すごいねほむらちゃん、このパソコン……」

ほむら「時空を超えるなら持ち運びできてかつ現実的でない演算力を持つコンピューターが必要だったの」

ほむら「そこでパラレルワールドとクラウドできる端末を作ったわ」

まどか「へ、へぇ……(?)」

ほむら「時空のずれや分岐は場合によって先に私よりも答えを出してる」

ほむら「それをたくさんの私と補完しあう事で科学は飛躍的に進歩するのよ」

ほむら「この装置のアイデアは、人間が持つデジャヴ能力から着想を得たわ」

ほむら「もうすぐ、さやかを助けられるわよ、まどか」

まどか(わたし、いけない子だ……少し切なく、なっちゃった)

――志筑家

まどか「仁美ちゃん、おはよ」

仁美「まどかさん……いつもありがとうございます」

まどか「ううん……」


~~公園

キュラキュラキュラ…

仁美「すてきな桜……」

まどか「どうしても見せてあげたくて」

仁美「さやかさんも、どこかで見ているでしょうか?」

まどか「うん、きっとそうだよ」

仁美「っ……ぐすっ」スンスン

まどか「絶対どこかで生きてるよ!絶対だよ!」

仁美「そう、ですよね……」

仁美「どうして最後に会ったとき何も気づけなかったのか」

仁美「今も悔しい……きっとこの気持ちはずっと無くならない……!」

仁美「暁美さんの発明さえ完成すれば全てわかる」

仁美「この人形のように動けない体でさえなければ私もお手伝いできましたのに」

まどか「ほむらちゃんは仁美ちゃんのおかげで研究できてるんだよ――」

――研究室

ほむら「……こんなの、無理よ……!」ダンッ

ほむら「……何もかも足りなすぎる」ポロポロ

まどか「ほむらちゃん!どうしちゃったの!?」

ほむら「まどか……」


ほむら「タイムスリップするためには空間のずれを利用するか、宇宙の理から外れて移動をするしかないの」

まどか「空間のずれ?宇宙の理?」

ほむら「私達の生きている空間は、全て地続きではあるけどその進み方は場所によってバラバラよ」

ほむら「まず一つ目は、ズレのある場所ごとの時間の差を利用した、一番安全なタイムスリップ方法」

ほむら「だけど宇宙を調べている時間も科学力も足りないわね」

ほむら「未来にはズレごとにステーションを置いて時を巡る電車のような乗り物ができているかも知れないけれど、未来から都合良くそんなものが現れるのを期待してられない」

ほむら「二つ目は超空間を作る方法」

ほむら「宇宙は異次元にトンネルのようなものを作ったさいに必ず出口と時間の差が生じるわ」

ほむら「細かい理屈は省くけど、そのトンネルを人工的に作ることでタイムスリップすることができるのよ」

ほむら「そのトンネル……超空間を維持できれば、天然のずれに依存せず出口の開き方で容易に未来へも過去へも行けるようになるの」

まどか「すごいよほむえもん!」

ほむら「偶然近い理論になっただけでそれは関係無いわ」

まどか「でも、やったね!それさえできれば……!」

ほむら「例え太陽を犠牲にしてもエネルギーが足りない」

まどか「……え」

ほむら「異次元での超空間の維持は膨大なエネルギーを必要とするの」

まどか「そんな……」

ほむら「あとは……オカルトよ、もう」

まどか「……オカルト?」

ほむら「人間の魂は、時を超えると言われているわ」

ほむら「都市伝説を真に受けるなら、デジャヴを引き起こすのは前の世界の記憶を引き継いでいるからと考えられるの」

ほむら「理論的とは言えない、回路にも刻まれていないものが、引き金を引かれて起こされる……それがデジャヴ」

ほむら「宇宙が生まれ変わるなら、再編のさいに宇宙を形作っていたエネルギーが一度高次元空間で無防備となる」

ほむら「それがまた宇宙になる瞬間でも、魂は独立して存在する……何のためかはわからない」

ほむら「でも、最初から最後まで、予定調和の生命として産まれるために、魂はあるということ」

まどか「ということは、わたしとほむらちゃんも、きっと前世でも出会ってたんだね」

ほむら「ふふ、魂の存在なんて証明できないわ」

ほむら「それに、規定の魂の世界で命が存在しているのなら、人には運命が存在するということになる」

ほむら「私は、未来を変えられない、遅かれ早かれ決まった結果があるなんて認めるわけにはいかないの」

まどか(それでも、わたしはすてきな話だって思えるよ……死んでもまたほむらちゃんとまた会えるなら)

ほむら「……次元を移動するさいでも自分を保持し次元座標を特定する方法があれば次元を跳躍していく事で過去へ行けるわ」

ほむら「魂だけを時間の潮流から外せば時間軸だけを飛び越えてその世界の自分に引っ張られる」

ほむら「認識は、同じ世界の過去と感じるでしょう」

ほむら「だけどそれは、もうよく似たまったく違う世界で、時の遭難者になってしまう」

まどか「そこの世界にもといた自分はどうなっちゃうの?」

ほむら「もともといた私も私だから心配はいらないわ」

まどか「?????」

ほむら「これは私の仮説なのだけれど……」

ほむら「宇宙が純粋なエネルギーだとしたら世界を構成しているものは何なのかしら」

まどか「わかんない……」

ほむら「人間の次元で波動だとか計算式だとかレベルを落として認識できるよう説明できるようにしているけれど」

ほむら「もっとシンプルなもので、目の前にそれがあるのは認識のせいなのよ」

まどか「認識……」

ほむら「私達が自分一人しかいない暗闇の中で永遠の牢獄を生きているのだとしても」

ほむら「認識が宇宙を錯覚しているならあるのと同じ」

まどか「怖いこと言わないで……」

ほむら「……ある日、魂と宇宙というエネルギーが出会った」

ほむら「私達はもともと一つの魂だったけど、宇宙の中で散り散りになって」

ほむら「私は、見る方向を変えればあらゆるほむらになる」

ほむら「まどかも、見る時間軸を変えれば違うまどかになるでしょう」

ほむら「本当は孤独だった魂の絶望が宇宙という希望を得て、エントロピーの増大が時間という潮流を生み出し」

ほむら「私達を、あらゆる角度でほむらと、まどかとして出会わせてくれるの」

ほむら「魂を強制的に相転移させるような方法があれば運命も変えれるでしょうし、その波の大きさ次第で宇宙そのものに新たな潮流を生み出すでしょうね」

ほむら「数多くの魂を巻き添えにしてしまうほどそれは大きくなる」

ほむら「因果の糸を操れば、あの子だって救える」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「科学的ではない、ただの妄想よ……奇跡や魔法のような次元で話してしまうくらい考えたことなのよ」

ほむら「それこそ、この宇宙が高次元による創造なのではとすら考えたこともあったわ」

ほむら「……誰にも頼れない……でも、きっとなんとかしてみせるために」

まどか(ほむらちゃんのために、わたしには何かできること無いの――?)


つづく

~~数日後

まどか「ほむらちゃん、見て」

ほむら「これは……まどかの黒歴史ノート!懐かしいわね」

まどか「えへへ……この子……どう、かな?」

ほむら「かわいい……まどからしいすてきなデザインね」

まどか「名前は、キュゥべえっていうの」

ほむら「どうして、キュゥべえなの?」

まどか「おいどんはみんなを救うべぇ!なんて……」

ほむら「う、うん……」

まどか(……実はただの思いつき)アセアセ

ほむら「……」ウズウズ

まどか「?」

ほむら「ごめんねまどか!」キュッカキカキカキカキカキ

まどか「えっ?えっ!?」

ほむら「ふぅ……」

まどか「キュゥべえの目がぁ~!」

ほむら「人間味に溢れてる目のキュゥべえを見たらつい……」

まどか「この無表情な瞳もかわいいけど……」


ほむら「この子は、どういう子なの?」

まどか「えっとね、えっと……」

まどか「心に何かを抱えてる子達を助けてくれるの」

まどか「さやかちゃん、仁美ちゃん……みんなを」

ほむら「……すてきね」

まどか「そして、ほむらちゃん」

ほむら「え……?」

まどか「思い詰めないで……わたしもキュゥべえも、ずっと一緒だよ」

ほむら「ふふ……まどかとキュゥべえは、どうやって私たちを助けてくれるのかしら?」

まどか「どこにも行けなくなった子達が抱えた心の闇を、相転移させて幸せにしちゃう!」

まどか「そして、今まで辛いことを乗り越えてきた御褒美に、同じ悩みを持つ人を救える魔法をくれるの」

まどか「そうしてまた、他の人を救えばもっと魔法が使えるようになるんだよ」

ほむら「心の闇を、相転移……ふふ、できたら本当にすてきだわ」

ビリッ

まどか「キュゥべえ一号は、ほむらちゃんの側にいたいって」

ほむら「……ありがとう、まどか」

まどか「みんなが繋がれるようになれたら……そのために、キュゥべえはいるから」

――未来 暁美ほむら所長室

さやか「この紙切れの絵、キュゥべえかな?」

キュゥべえ「どうして、こんなものが?」

さやか「あんたをどっかで見たんじゃないの?」

キュゥべえ「そんなはずはないよ、君以外の人類に僕達を見れる可能性の確認できたのはマツリというあの少女だけだ」

さやか「じゃあ、これもデジャヴだったのかな?」

キュゥべえ「その可能性は高いね」

さやか「……」

キュゥべえ「まだ、何かその紙にあるのかい?」

さやか「もう古くてボロボロだけど、それでもわかるよ」

さやか「涙がにじみ続けるほど何度も見て、握るようにすがってたこと」

さやか「この紙と心が、クシャクシャになるような悲しいことがあったんだ」

キュゥべえ「僕達はそれに関係無いと最初に言っておくよ」

さやか「自然と悪気無くあたしを理不尽に永久の檻へ閉じ込めて、ずっと自覚なしで放置していられたあんた達が言っても説得力無いんですけど……」

キュゥべえ「やれやれ」

さやか「それ、あたしが言いたいっての!」

――――過去

ほむら「――なんですって!?」

モニター『そう美しい顔がだいなしな表情をするな……暁美くん』

モニター『タイムマシン研究のついでに君が鹿目まどかに語っていた説も我らの出資で研究してほしいと言っただけじゃないか』

ほむら「っ!!」

モニター『盗聴器の類は無いから安心したまえ……』パチン

画面の中のまどか『……』

ほむら「え……」

モニター『盗聴器のほうがまだマシだったかな?全ては彼女に聞いた……』

ほむら「嘘でしょ?まどか……』

モニター『語りかけても無駄だ、薬品も用いた強力な催眠状態にある』

モニター『命ずればなんでもする……例えば』チョイチョイ

まどか『はい……』

モニター『はしたなく私の膝の上に腰掛けたまえ』

まどか『……』

ストンッ ギッ ソッ…

ほむら「ガチガチガチ」

モニター『こうなってると何でも喋ってくれるし、してくれるよ』

ほむら「ま、まどかに触れないで!!」

モニター『おや?ふむ、なるほど……』

モニター『鹿目まどかくん、君に一つ質問をしよう」

まどか『はい、なんですか?』

ほむら「いきなり、なに……?」

モニター『……』ニタァ…

ほむら「ま、まさか……!?」

モニター『暁美ほむらくんは、君のことが好きなようだ……どうかね?』

ほむら「……うあぁーっ!」ガシッ

まどか『……うれ、しい、です』ニコ…

ほむら「……」ガクッ

モニター『はは……鹿目まどかくん、君はどうなのかね?」

まどか『…………』

モニター『答えなさい』

まどか『で、でも……』

モニター『ちょっと待っててくれたまえ』

プツンッ…

ほむら「え――?」

 ・

 ・

 ・

プンッ…

モニター『またせたね』

まどか『!?!????』アババババ

ほむら「ま、まどかに何をしたの!?」

モニター『ちょっと術をね……さぁ、鹿目まどかくん……』

モニター『君は暁美ほむらくんをどう想っているのかね?』

まどか『あはっ……わたし、ほむらちゃん大好きぃっ!えへへ!』

ほむら「……っ」フルフルフル

モニター『それは、愛かね?』

まどか『うんっ!』

モニター『どうして、相思相愛なのにずっと黙ってたんだい?男女でないとかつまらない理由かい?』

フルフルッ

まどか『わたし、ずるい子だから!』

ほむら「もうやめて……」

まどか『さやかちゃんを……』プルプル

モニター『……』プシュッ

まどか『さやかちゃんをっ!さやかちゃんでっ!ほむらちゃっ!』

ホムラチャッ アヒッ! サヤカチャッ


モニター『もう何を言ってるかわからんな』

ほむら「まどか……わかるから、わかってるから、もうやめて……私も、そうだった……」スンスン

モニター『ふむ……さやかとは、アプダクションされたあの子か……』

ほむら「……?」

モニター『我らの調査で「見えない彼ら」と呼んでいる存在がいてね』

モニター『美樹さやかは唯一それとコンタクトをとれた存在で、何者かに導かれるように消えていったのを確認している』

ほむら「そんな……とっくに、失踪理由がわかってたの……?」

まどか『あ、あう……!』

モニター『これが世界に漏れると何かと我らに不都合だからな……』

まどか『あっ……ほむらちゃ……ほむらちゃーん!!』ガクガクガク

ほむら「まどか!?」

モニター『限界か……』

ほむら「まどかぁぁぁあああああ!!」

まどか『――』ピキーッ

まどか『』ドサァ

 ・

 ・

 ・

――病院

まどか「……」

ほむら「いい天気だね、まどか」

まどか「……」

ほむら「仁美が、最近まどかがお見舞いに来ないって寂しがってたわ」

ほむら「代わりに、私が来るのが多くなった事は喜んでた」

ほむら「あの子に、何も言えないよ……!」

まどか「……」

ギュッ

ほむら「声が届かなくなってから、私はするべきだった事に気づくのね」

ほむら「あなたを、もっと抱きしめていれば良かった」

ほむら「今のあなたは、何も見えない牢獄に一人縛られているの?」

ほむら「その中に、手をのばせたら――」

――数日後 夜 ほむルーム

クシャッ ポタポタ

ほむら「キュゥべえ、助けてよ……」シクシク

ほむら「私の心に力があるなら」

ほむら「あの子を助けられる私になりたい……」

ほむら「……………………」



ピンポーン

ほむら「……」

ピンポーン ピンピンピンピン

ほむら「……っ」

ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ

ほむら「誰っ!?」バンッ

???「ほむらちゃん……わたし」

ほむら「えっ!?」

ガチャッ

まどか「えへへ……来ちゃった」

ほむら「ゆ、夢……?」

まどか「夢じゃ、ないよ……ほむらちゃん」

ほむら「まどか……」ヨロッ

ガシッ

まどか「大丈夫?」

ほむら「意識が、それに力強い……」

まどか「力強いって……」ティヒヒ

ギュッ

ほむら「本当に、本当に、まどかなんだよね……!」

まどか「そうだよほむらちゃん」

ほむら「ごめんね、私が、あんな奴らと関わってたせいで巻き込んで……!」

まどか「お金が必要だったんだもんね」

ほむら「あなたのほうが大切よ!こんな事になるって知ってれば、時間がかかってもあんな組織なんかと!」

まどか「えへへ、嬉しいな//////」

ほむら「あっ……あのとき(気持ちをばらされた時)のこと……覚えてる?」

まどか「ほむらちゃん、ついてきて」

ほむら「えっ……」

――丘

まどか「月が綺麗だね、ほむらちゃん」

ほむら「うん……あなたと、ずっとこうしていたい」

まどか「えへへ……違うけど、そっちのほうが嬉しい」

ほむら「?」

まどか「ほむらちゃんには、ずっと生きていてほしいから」

ほむら「ふふ、死ぬのはまだまだ先よ」

まどか「わたしがいなくなっても、ずっと、ずっとだよ」

ほむら「……?」

まどか「……」パァァ

キラーン!! キラキラキラ

ほむら「……!?」

まどか「へんしーん!なんてねっ」

ほむら「な、なんなの?」

まどか「さ、いくよ!」

ガシッ

ほむら「ひっ……きゃああああああああ!?」

――鉄塔の上

ほむら「ひ、ひぃぃ……」ギュゥ… プルプルプル

まどか「そんなに抱きつかれると照れちゃうよぅ」

ほむら「た、高い……腰が……怖い!」

まどか「ほむらちゃん、落ち着いて見て」

ほむら「そう言われても……」

まどか「大丈夫だよ、わたしがついてる……がんばって」

ほむら「ん…………」



ほむら「きれい……」

まどか「空の月もきれいだけど、わたしたちの街もこんなにすてきなんだよ」

ほむら「本当ね……これが見せたかったの?」

まどか「うん……わたしたちの街をほむらちゃんと見たかった」

ほむら「ふふ、まるでこれから旅立つ人が言うセリフみたい」

まどか「……」

ほむら「……違うよね」

まどか「……」

ほむら「答えてよ!嫌よそんなの!」

まどか「ごめんね……でもわかるんだ、これは奇跡だって」

ほむら「嫌よ嫌!あなたがいなくなってしまう奇跡が起きるくらいなら、私が死んだっていい!!」

まどか「そんなこと言わないで」

ほむら「あなたがいなきゃ月も街も、いくら綺麗だって私には色あせるのよ……」

まどか「……ほむらちゃん、研究を続けてね」

ほむら「え……?」

まどか「魂が一つで、因果がどこかで繋がってるなら」

まどか「ほむらちゃんが過去へ戻ってわたしと会えたら、きっとそのわたしはこれからのわたしなんだ」

まどか「ほむらちゃんとまた会えるなら、何も怖くないよ」

――丘

 スタ… タッ トッ…

ほむら「……約束する」

ほむら「絶対、あなたに会いに行く!」ギュッ

まどか「ありがとうほむらちゃん」スゥ…

まどか「また――ね――」

まどか「――」パクパク


ほむら「私も大好きよ、まどか――」

――未来

キュゥべえ「暁美ほむらは鹿目まどかを失ったあと、その後長期化する世界大戦を迎え研究に没頭することはできなかった」

キュゥべえ「暁美ほむらはタイムマシン研究だけでなく兵器を作る才能にも優れていたようで連合軍は彼女を激化していく戦争において酷使したんだ」

キュゥべえ「そうして暁美ほむらの築いた財産により皮肉にも需要の無いタイムマシン研究が支えられ研究所も大きくなっていったようだね」

キュゥべえ「タイムマシン完成には理論の立案者である暁美ほむらの存在は必要不可欠であったはずだが、時代が許さなかったんだ」

さやか「戦争はどうして起こったの?」

キュゥべえ「小さな問題は数多くあったけど、最もな原因は月の独立さ」

さやか「つ、月って……」

キュゥべえ「月開発の競争では、さやか達の生きていた時代にあった中国が有利に進めた」

キュゥべえ「そのやり方は効率的かつ非情なもので、移民させた労働者に資源を掘り起こさせる施設をものすごい速さで増やしたんだ」

キュゥべえ「各先進国は、非効率だが常識的なやり方で移植していった」

キュゥべえ「その、各施設ごとの歪な発展の仕方が、誰かに秘密トンネルが建造され施設同士で繋がったさい月の独特な文化を築きあげ」

キュゥべえ「レジスタンスの急激な成長と増長を招いたんだ」

キュゥべえ「レジスタンスはまず現地の中国軍を一掃すると、秘密トンネルの存在を公にし月の要人は独立国を宣言」

キュゥべえ「先進国の駐留軍隊が何故か何もしなかったことでレジスタンス側だと当時は大きかった中国に批判され常任理事国の他12カ国と摩擦が生まれ、動けなくなったのが地球の失敗だった」

キュゥべえ「月はマスドライバーキャノンを秘密裏に建造しており、そこから質量弾を地球へ連続発射」

キュゥべえ「各主要都市は大打撃を受け、中国で度重なる内戦が勃発し中国という国が地図から消えた」

キュゥべえ「その後、月と地球の大規模な戦いになるまで――」

さやか「あ、あのあの!あたしよくわかんないけど聞きたい!」

キュゥべえ「なんだい?」

さやか「人類の発展早すぎじゃ?あたしたちのころは月に行くのも大変!って感じだったんだけど、それが数十年で月に国を作って独立戦争できるとは思えない」

キュゥべえ「君達人類の進歩はいつだって歪だったよ、まるで時には魔法でも使っているかのようにね」

さやか「言われてみれば……いやいや、さすがに月は……う~ん」

キュゥべえ「ともかく暁美ほむらの研究を探すんだ」

さやか「あ、あんたがいきなり語りだしたくせに……」


つづく

――数分後

さやか「これ、なんだろう?」ピト

パァァァァ!!

ガコンガコン……

プシュゥ…

キュゥべえ「隠し通路だね、僕達の探知にかかっていなかったのか」

さやか「……」ゴクリ

キュゥべえ「空間を遮断している……?さやか、気を付けるんだ……ここまでして隠したかったものがおそらくあるんだろう」

さやか「う、うん」


カツン… カツン… カツン…


???「ばぁっ!!」

さやか「ひぃっ!?」 ドッキンドッキンドッキン

キュゥべえ「なんてね」

さやか「や、やめてよ……ていうかあんたってそんなことするキャラだったっけ?」

キュゥべえ「さやか、それは僕達じゃない」

さやか「え……?」

キュゥべえ?「こんにちは、僕の名前はキュゥべえ!」

キュゥべえ?「これは皮肉だね、ほむらが過去へ戻ったあとに君が現れるなんて」

さやか「あたしの事を知ってるの?」

キュゥべえ?「もちろんさ、ほむらの苦難の全てが君から始まったからね」


~~ キュゥべえ?ほむらの半生をさやかに説明中 ~~


さやか「……まどか……仁美……、そして暁美さん……ごめん」グスッ

キュゥべえ「まさか暁美ほむらがタイムマシンをすでに完成させていたとはね」

キュゥべえ?「僕の時間が無くなる前に君達が現れたのは運命かもしれない」

さやか「時間って……?」

キュゥべえ?「ほむらは、魂だけなら時空を超えて移動できることを知った」

キュゥべえ?「魂を変換したさいに生じた事象への影響でタイムジャンプできうる理論も築いた」

キュゥべえ?「だけど、実現可能になった時そのために必要な条件がほむらに備わっていなかったんだ」

キュゥべえ?「ほむらは、理想は人間たちが少女と呼ぶ年代の若い感情と言ってた……」

キュゥべえ「なるほど……」

キュゥべえ?「そこで、ほむらは作っていた生物にそれを任せることにした」

キュゥべえ「それが、君か」

キュゥべえ?「僕の願いはほむらを助ける事だった……僕は、魂を捧げてほむらの魂を変換し飛ばした」

キュゥべえ?「僕とほむらの肉体はここへ残され目的は達成されたけど、ほむらの予想していなかった事が起きた」

キュゥべえ?「変換された魂は、消費しきると再び相転移が起きる……」

さやか「戻す方法はないの?」

キュゥべえ?「今のところ、その方法はわからない」

さやか「そんな……」

キュゥべえ?「僕の最後の力で、君達をほむらと同じ場所へ送るから、ほむらに伝えてほしいんだ」

キュゥべえ?「ほむらなら、早く気づけばきっと何か解決策を見つけることができるから」

さやか「キュゥべえ……」

キュゥべえ「キュゥべえ……」

パァァァ

キュゥべえ?「……良かった、急な重い頼み事を快く引き受けてくれて……ぐっ!!」

キュゥべえ?「うぐ……!ほむらぁ……!なん……で、僕に感情なんてつけたのに、ここに閉じ込めたの……?」

キュゥべえ?「寂しい、じゃないか……!」


カツン カツン カツン


キュゥべえ?「誰……?」ハァ…ハァ…

マツリ「キュゥちゃん……?」

キュゥべえ?「僕は、たぶん君の知っているキュゥべえじゃないよ……」

マツリ「この紙……そして、さやかともう一人のキュゥちゃんの体……なるほどね、そうやって時間移動したんだ」

キュゥべえ?「ごめんね、もう一度送る余力はもう……」

マツリ「ううん、求めてるやり方じゃなかったからいいの……マツリはもう一度ゆっくり待つだけ」

マツリ「それよりも、キュゥちゃんが辛そうだよ」ギュ

キュゥべえ?「どこかで、会った?」

マツリ「ううん……でも、これからいくらでも会えるよ」

キュゥべえ?「どうして……?」

マツリ「円環の理に行ったみんなと、楽しく幸せに宇宙のどこにでも存在していられるんだよ」

キュゥべえ?「そっか……僕の推測では、絶望的だったんだけどな……」

マツリ「心配しないで、ゆっくり、おやすみなさい……」

キュゥべえ?「」

――――過去? 見滝原


バシュゥゥゥゥゥゥン!!

ブンブンブン…


ほむら「ふぅ……」

キョロ… キョロ…

ほむら「戻ってこれた……?本当に……」

キョロ…

ほむら「ここは……通学路の公園、懐かしい!無くなった県庁もちゃんとある!」

ほむら「過去に、過去に戻ってきたんだ!まどかぁ!」

ザワザワ…

ほむら「何……?よってたかって人のことをじろじろ見て……」


アノコ ハダカヨ… ウホッ… ツルペタ…


ほむら「え……?裸?」

ほむら「ほんとだ……」

テクテクテク

キリカ(なんかこっち来る?)

ほむら「ちょっと服をかりるわね」

バリバリッ!!

キリカ「やあああああああっ!?」

ほむら(おかしい……予測じゃ私の魂は過去の私に上書きされるはずだったのだけれど)

キリカ「うぅ……こんなのないよ……」シクシク

ほむら(どうして、裸でこんな場所にいるの?)

ほむら(肉体は当時の私そのものだから、誰かの体にうっかり入っちゃった!とかではない)

テクテクテク



――見滝原中学 物陰

ほむら(今日の日付は美樹さんがアプダクションされるしばらく前ね)


ウェヒヒヒー!!


ほむら(あ、あれは……!まどか!まどか……!)

ほむら(だ、ダメ……私はこの日まだ転校前なのだから、ここで出会ったらいろいろおかしくなっちゃうかもしれない……)

???「ハァハァ……まどかかわいい……待ちきれなくて来ちゃった……」

ほむら(なに言ってるのこいつ……まどかのストーカーかしら)

カシャッ カシャッ

???「ふふ……まどかコレクションに追加、と……」

ほむら「ちょっと!見てるだけならまだしも盗撮までするなんて黙ってられないわ!」ガシッ

クルッ

ホムラ「痛っ……いきなり何――えっ?」

ほむら「えっ?」


つづく

――見滝原

さやか「すごい……本当に戻ってこれた!キュゥべえ!」

キュゥべえ「……さやか、あんまり動き回らないほうがいい」

さやか「そうは言ったって……あたしがどれだけ皆と会いたかったか!」

キュゥべえ「そういう意味じゃないんだが……」


タタタ…

ドンッ!!

さやか「あいたっ!」

??「っ痛ぅ……ちゃんと前見ろよ……」

さやか「ご、ごめ……ん……?」

キョウコ「って、あんた――」

さやか「杏子!?杏子ぉっ!!」

ダキッ

キョウコ「う、うわぁ!?」

さやか「あんた、どこ行ってたのよ……どうしていきなり消えちゃったの……?」

キョウコ「何言ってんだ……?」

さやか「あたしもよくわかんない……あたしが知ってるのはあんたがいたってことだけだから」

キョウコ「裸だし……あたしもわけわかんない……」

さやか「へ……?」



さやか「――――――っ!?」

キョウコ「……」

パァァァ

さやか「……?」

キョウコ「あんたにかかってた魔法を解いたのさ……冷静になっただろ?」

さやか「……杏子」

キョウコ「誰があんたを洗脳してこんなことしたのかわかんないけどさ」

キョウコ「あたしとあんたは会ったことなんて無いから落ち着け」

さやか「杏子……!」ギュゥ…

キョウコ「あ、あれ……」

さやか「会った事あるよ、何度も、ずっと……」

さやか「忘れてるのは杏子だよ……」スンスン

キョウコ「……」フゥ


キュゥべえ「さやか、ちょっといいかい?」

さやか「なに……?」

キュゥべえ「そのキョウコは、本当に君の知っている杏子とやらではないかもしれないよ」

キョウコ「だからそう言ってるだろ?」

さやか「な、なにを……」

キュゥべえ「と言っても、並行世界の杏子ではあるんじゃないかな」

さやか「そんなわけない!!」

キュゥべえ「?」

さやか「円環の理で全ての宇宙と、未来と過去は一つになってるんだ!」

キュゥべえ「へぇ……」

キョウコ「円環の理って、なんだ?」

さやか「……え?」

キィィィィン

さやか「――!」

キョウコ「魔女の反応だ、近いな」

さやか「……」スッ

パァァァ!!!!

キュゥべえ「変身した……!?」

さやか「よしっ……行こう、杏子!」

キョウコ「何いきなり仕切ってるの?アタシは一人でやる、それとも今あんたがここでアタシとやるかい?」

さやか「……グリーフシードはキョウコにあげるよ、それじゃダメかな」

キョウコ「バッ……そういうこと言ってるんじゃねぇ、信用できないって言ってんだ!」

さやか「……」ポイッ

キョウコ「え……」

さやか「あたしのソウルジェム、預けたよ……信じられないなら砕くでもなんでもすればいいんだ」

タタタ…

キョウコ「なんだあいつ……なんで、アタシをそんなに信じられるんだ……」


――会った事あるよ、何度も、ずっと――


キョウコ「――っ、今更なんだってのさ……」

――鳥かごの魔女の結界

さやか「ん――っ!この雰囲気、久しぶり……」

キョウコ(気を抜きすぎだ……!)


バシュッ ダンダンダン!!!


キョウコ「危な――」

キンキンキン!!

さやか「フッ……」

キョウコ(な……あの量を、しかも完全に死角から飛んできた弾も全部正確に弾いた!)


――鳥かご

キョウコ(使い魔も強いし、一人で来たら危ない魔女だったかもな……それにしても)

さやか「~~♪」テクテク

キョウコ(魔法少女だからって普通の人間がここまで極められるのか?)

キョウコ(それなのに、手加減してるようにすら見えるし)

魔女「……」

キョウコ「あれがこの結界の魔女か……」

さやか「一緒にやろう、杏子」

キョウコ「アンタ一人で片付けられるでしょ?」

さやか「一緒にやりたいの」

キョウコ「……ちぇっ、仕方ないな……その気だったらいつでもアンタはアタシを始末できただろうしな」

さやか「杏子……」

キョウコ「一応、信じてやるよ……あんたがどこかでアタシの知り合いだったって」

さやか「友達」

キョウコ「……」

さやか「なんだけど……」

キョウコ「ふん」

タタタ…

さやか「まって、杏子!」タタタ…

――見滝原 某所

モヤモヤモヤ…

キュゥべえ「おかえり、おわったようだね」

キョウコ「どうしてついてこなかったんだ?珍しい」

キュゥべえ「どうやらこの体が消滅してしまえば僕という存在は消滅してしまうみたいだから」

キョウコ「本当か!?へぇ……」

ジリジリ

キュゥべえ「さ、さやか!」

さやか「ス、ストーップ!!」

キョウコ「へっ……冗談だよ、バーカッ」

キュゥべえ「元の世界には魔女なんていなかった、それに魔法少女も、ほぼ」

さやか(今ならわかるよ、世界改変の前にみんなのやったことが、影響してあのデジャブの世界を作ったって)

キュゥべえ「さやかの話を踏まえるとして、僕の置かれた状況をもとに考えると、一つの答えが導かれる」

キュゥべえ「僕達の統合宇宙と、ここはまったく別の宇宙なんだ」

キュゥべえ「統合からあぶれた並行世界、とかそういうのじゃない」

キュゥべえ「まったく別の次元の、繋がってはならない世界とつながったんだ」

キュゥべえ「あらゆる宇宙が統合されるのが元の世界のルールなら、この宇宙が存在してられるのはそのためさ」

キュゥべえ「別の宇宙、という言い方そのものが正しくないかもしれないんだ」

さやか「つまりどういうこと?」

キュゥべえ「つまり……わけがわからないよ」

ズコーッ


さやか(う~ん、あたしがいつか行った上位の次元、とも違う感じだし……)

キョウコ「さやか」

さやか「ん?」

ポイ

キョウコ「いくら強くてもそれ(ソウルジェム)を無くしたら魔法が使えなくなるんだから無くすなよ」

さやか「あっー―!?」

キョウコ「!?」

さやか(そ、そっか……ソウルジェムが魂だって、知らないんだ)

さやか(じゃあ、あたしのあの時の覚悟って杏子へ正確に全部伝わってなくない?モヤモヤするー!)

キョウコ「なんだよ」

さやか「な、なんでもないっす……」

さやか「さって、家に帰るかー!」

キョウコ「じゃあな、次は邪魔すんなよ」

さやか「またね!杏子!」

キョウコ「……」


さやか(どんな世界でも、あたしのやる事は一つだよ)

さやか(「いつか」のために……「今のあたし」にできることを)



――そのころ ほむホーム

ホムラ「ひゃあああん!や、やめて!」

ほむら「むぅ……不思議ね、突然消えてしまったあなたが、今は私の家にいる」ゴソゴソ

ホムラ「わ、私の家よ!」

ほむら「そうかもしれない……、きっと、そうなんでしょうね……でも、最も新しいほむらはこの私よ」

ほむら「なので、あなたが存在しているのはおかしいし、この家が私のものじゃないのもおかしい」

ホムラ「言ってることがわけわからなくておかしいのはあなたよ!」

ほむら「くっついていれば消えることができないわけね……」

ホムラ「――っ」

ほむら「図星!私の表情ってこんなにわかりやすかったのね」

ホムラ「違――」

ほむら「こちょこちょ…」

ホムラ「――――~~~っ」

ほむら「さすが私……急所も同じ」

ホムラ「いい加減にして!!」

パアアアア!!

ほむら「なっ――」

ホムラ「私がこういう××したいのはまどかなのよ!!」

ほむら「昼間の姿に変わった……!?」

ホムラ「私のくせに魔法少女も知らないの?」

ほむら「魔法少女……」

ホムラ「さぁ、追い出してあげるわ」

ほむら「ちょっと待ちなさい、魔法少女ってアニメのような?」

ホムラ「違うけど……似てはいるわね」

ほむら「武器は、ないの?」

ホムラ「私の武器はこの盾、ここから取り出せばしまっといた兵器が無くなるまでいくらでも使えるんだから!」ゴソゴソ

カチャッ

ほむら「ふっ……ふふっ」

ホムラ「なによ」

ほむら「誰と戦うのか知らないけれど、せっかく便利な盾を持っていても備えているのがそんなローテクの武器ではダメね」

ホムラ「え……軍も使っている武器なのよ」

ほむら「あなたが、その不思議な力で私に施設を提供してくれれば……」

ほむら「私があなたに最強の武器を作ってあげる、そう……誰にでも、何にだって勝てる武器をね」



つづく

――美樹ハウスよりちょっと前

さやか「杏子に会えて良かった……またあたし達のこと思い出してもらうぞーっ」

キュゥべえ「さやかの期待通りには行かないと思っていたほうがいいと思うよ」

さやか「まだ言ってんの……?まどかの願いが届いてない宇宙なんて存在してないって!」

キュゥべえ(ただの宇宙、なら君の言う通りかもね)

さやか「もうすぐうちにつくよ!はぁー……なんか久しぶりすぎて泣けてきちゃうんだけど」

キュゥべえ「あんまり喜んでいて現実に打ちのめされないようにね」

さやか「キュゥべえ、仲間とはぐれて小心になったんじゃないのー?」

キュゥべえ「やれやれ」


サヤカ「たっだいまー!」


さやか「おうっ!先走って口が勝手に動いちゃったみたい!」

キュゥべえ「そ、そっか」


ガッチャン

さやか「さてと、リテイクリテイク……」

キュゥべえ「まちなよ」

さやか「気のせいだってば、もう一人のあたしがいたとか……」

キュゥべえ「僕の推測が確かなら君はここでもう一人のさやかに会うべきじゃない」

さやか「……」

キュゥべえ「宇宙全体のことなんだ、理解してほしいな」

さやか「過去へ戻ったわけじゃないんだね……本当に、あたし達の宇宙じゃないの?」

キュゥべえ「おそらくはね」

――公園

さやか「上位の宇宙でもなくて魔女の結界でもたぶんなくて……もう一人のあたしがいて、何なんだろこの世界」

キュゥべえ「存在するとは思っていなかったけれど、ここは双子の世界なのだろう」

さやか「双子……?」

キュゥべえ「この世界と僕達の世界では、相互につりあう事で世界の安定を保っていたのかもしれない」

キュゥべえ「宇宙において決して交わることの無い星と星でもお互いの存在を守りあっているようにね」

キュゥべえ「それが、片方の著しい変化によってつりあわなくなった」

キュゥべえ「その歪に僕達は吸い込まれ、正常なタイムスリップをできなかったんだ」

さやか「著しい変化……」

キュゥべえ「君はおそらく知っているんだろう?」

さやか「……」

キュゥべえ「歪は、このまま放置しておくとやがて大きくなっていき、両方の世界が破壊される」

さやか「キュゥべえ、冗談まで言えるようになったなんて独立して良かったじゃん!」タハハ…

キュゥべえ「再び世界を安定させるために、この世界にも同じ変化を起こさなくてはいけない」

キュゥべえ「さやか、他の良い手段があったら教えてほしいな」

さやか「……やだ!とりあえず、キュゥべえの案は!」

キュゥべえ「君はどうやら、薄々世界を感じ取っているようだね」

さやか「そうよ……いろんな世界を巡ったり、大変な目にあったりしたせいかもしれない」

さやか「キュゥべえの言ってる事が本当だって、世界の感覚なのかな?なんとなくわかるんだ」

キュゥべえ「じゃあ……」

さやか「でも、あの時を繰り返すなんて、それもあたしが導くなんて、したくない!」

キュゥべえ「……――」

――夜 公園のブランコ

キィ… キィ…

さやか「あたしがやらなきゃ、世界が滅びるなんて酷すぎるよ……」

キュゥべえ「……僕達インキュベーターは宇宙を救うために存在している」

さやか「知ってる……」

キュゥべえ「そのために、君たち人類の言う非人道的な行為もたくさんしてきたよ」

さやか「結果的にあんたたちのせいで世界がこうなってるけどね」

キュゥべえ「やはりそうなのかい?」

さやか「ごめん、八つ当たり……それに、あんたたちだけのせいでもない……」

キュゥべえ「結果的にあらゆる手を尽くしても滅びの道に向かっているなら、世界は滅びたがっているのかもしれない」

さやか「どうしたの急に?」

キュゥべえ「僕達インキュベーターはどこから来て、今僕はどうしてここにいるのだろう」

さやか「キュゥべえ……?」



さやか「キュゥべえ、ずっと何かを犠牲にしてでも宇宙を守り続けることは、辛かった?」

キュゥべえ「僕達に感情はないよ」

さやか「聞いただけだよ」

タッ ストッ ット ット

さやか「ねえ、キュゥべえ……感情無くてもいいからさ」

さやか「この世界で、キュゥべえだけは最後まであたしの味方でいてね」



つづく

――数日後

ホムラ(今日は私の転校初日……)

ほむら「……」カチャ… カチャ…

ホムラ(彼女……未来から来た私と言う人は、今日も朝からよくわからないものをいじっている)

ほむら「よし、これを持っていきなさい」スッ

ホムラ「これは……?」

ほむら「あなたのソウルジェムを解析して作ったマジカルバックル ジェムドライバーよ」

ホムラ「これが、あなたの言ってた最強の武器?」

ほむら「最強になるかは使い方次第ね」

ホムラ(……)

ほむら「こんなどっかにあるオモチャみたいなの……と、言いたげね」

ほむら「でも、携帯性、強度、性能のバランスを重視するとこれが一番よ」

ホムラ「……とりあえず持っていくわ」

ほむら「使い方を、見せてあげる」

ほむら「まず、このブランクジェムをソウルジェムに当てる」

ほむら「今は用意済みのこの変化後のものを使うわ」

ホムラ(紫色ね……いつの間に)

ほむら「……」

ガチャッ グルグルグル ジャキンッ

ホムラ(バックルからベルトが出て……)

カチャン!

ホムラ(ブランクジェムをドライバーに……)

ファサッ

ほむら「へんしん!!」キリッ

ホムラ(絶対言うと思ったわ)

ほむら「で、スイッチを入れればあなたは変身する……例の姿にね」

ホムラ「どうしてあなたが変身して見せないの?」

ほむら「使った瞬間生体データが記録され、最初に使った以外の人間は使えなくなる」

ほむら「あなたはまだわかっていないようだけど、これは最強の武器……誰にも奪われてはいけない」

ほむら「ブランクジェムさえあればあなたの魔法を何度でもリスク無く使うことができる……それだけでも利点がわかるはずよ」

ホムラ「何度でも……?そのブランクジェムは、何でできているの!?」

ほむら「聞きたい……?」ニタァ

ホムラ「ひっ……!」

グルグルグル カシャッ

ほむら「はい、くれぐれも無くさないように……それと、ブランクジェムが何でできているかは秘密」

ほむら「足りなくなったら、言って」

――放課後 ショッピングモール

ホムラ「いつも通りなら、ここで魔女の結界が活動する」

ホムラ「ブランクジェムは、3つ……」

ギュ…

ホムラ(得体のしれないものにわからないまま手を出すのは、もうこりごりよ)


――薔薇園の魔女の結界

マドカ「変だよここ、どんどん道が変わってく!」

サヤカ「あーもう!どうなってんのさ!?」

マドカ「やだっ!何かいる!」

使い魔「……」ワサワサ

サヤカ「冗談だよね?あたし、悪い夢でも見てるんだよね?ねえ、まどか!!」

ホムラ「伏せて!!」

ボンボンボボン!!

マドカ「ほむらちゃん!?」

サヤカ「爆弾……!?でも、助かった!!」

ホムラ「間に合ったようね……」

サヤカ「転校生……、あんたいったい……ってか」ププ

サヤカ「その服に、オモチャのベルト……転校生そういう趣味なんだ!」

ホムラ「あっ……(迷ってそのままだったわ)」

サヤカ「わかるよ?うん……魔法少女とか、ヒーローとかかっこいいもんねー!」

ホムラ「やめて」

マドカ「ふふ」ティヒヒ



ホムラ(ベルト、外しておこう……)ガチャ

マドカ「ねぇ、ほむらちゃん……ほむらちゃんは――」

ドォンッ!!

ホムラ「あぐっ!?何!?」

ガシッ

鎧騎士「……!」ダダッ

ホムラ(すごい力……!振りほどけない!)

ドドドドドドドドドド

サヤカ「転校生!?」

マドカ「ほむらちゃん……!」


ホムラ(まずいわ……二人からどんどん離され――)

――ショッピングモール

ズサーッ

ホムラ「ぐっ……」

鎧騎士「……」キョロキョロ

スッ タッタッタ…

ホムラ(何もしないで去っていく?もしかして、二人から引き離すのが目的……!?)

ホムラ「おあいにくさまね……私は時を止められるのだから」

カチッ

鎧騎士「……」ガシッ

ホムラ(は、速い……!?また捕まれて……!)

鎧騎士「……」

ホムラ(それに、捕まれていてはいけない私の弱点を知っている?何故……!このままじゃ、二人が――)



――魔女の結界

サヤカ「どうしよう……転校生が変な奴に連れてかれちゃったし、あたし達どうなるんだろ……?」

マドカ「これ、さっきほむらちゃんがつけてたやつ……」

サヤカ「オモチャのベルト……」

マドカ「ううん、きっとオモチャじゃないよ……ほむらちゃんに届けなきゃ」

使い魔「……!」ワサワサ

サヤカ「と言っても、通してくれなさそう……」

マドカ「どうしよう、このままじゃほむらちゃんも、わたしたちも……!」

サヤカ「……マドカ、ひとまずあんたが使っちゃえ!あたしが時間を稼ぐから、その間に!」

マドカ「ふぇっ!?」

サヤカ「あたしはまどかより運動神経あるから、少しくらい平気だって!」

マドカ「でも、サヤカちゃんも震えてる……」

サヤカ「怖い……怖いけど、頼んだよ、まどか!」


サヤカ「うあああああああああ!!」タタッ

マドカ「早く、早くしないとさやかちゃんが……」

ガチャッ グルグルグル ジャキンッ

マドカ「すごい……えっと、ポケットのこの宝石をここへ入れるのかな?」

カチャン!

マドカ「スイッチ……オン!!」


パアアアアアアアアアア


サヤカ「ハァッ、ハァッ……まどか、まだ?」

マドカ「さやかちゃん!こっち来て!!」

サヤカ「まどか!?さっきの転校生の服になってる!」

マドカ「さやかちゃん、捕まって!これなら……」

カチッ

サヤカ「え……?なにこれ?化け物の動きが止まった……」

マドカ「この盾を使うとね、時間が止まるみたい」

サヤカ「すご……いたずらしほうだいじゃん!ということは、転校生も時間を止められるの?」

マドカ「たぶん……」

サヤカ「あれ?それなのに戻ってこないって事は――」

マドカ「早く、ほむらちゃんを助けに行かないと!」

ホムラ「いい加減に離してくれない……?」

鎧騎士「……」

ホムラ(一体何者なの……?)


ホムラチャアアアアアン


ホムラ「まどか……?」

鎧騎士「……?」ピクッ

ホムラ(隙ができた……!)

バシッ!! ダダッ


鎧騎士「……!!」グヌヌ…

マドカ「ほむらちゃん、大丈夫!?」タタッ

鎧騎士「!?」

ホムラ「ええ……まどか、その姿は――」

サヤカ「まどか、待って……走るのかなり……ハァハァ、速くなってる……」

鎧騎士「ソンナ……」

ホムラ「……?」



つづく

――薔薇園の魔女の結界

ダン!ダン!

まみ「そんな……強い」ガクッ

ほむら「あなたの力も、もらうわね」スッ

まみ(私のソウルジェムに、砂色の宝石を――?)

カツン ポゥ…

ほむら「複製しただけだから、副作用は無いから安心しなさい……」スタスタ

まみ「待って!キュゥべえを……返して!」

ほむら「そのつもりは無いわ……悔しかったら、あなたも自分の無力を呪うといい……私のように」チラッ

まみ「――っ!?」ゾッ

――翌日 通学路

マドカ「おはよう、ほむらちゃん!」

ホムラ「おはよう……」

マドカ「……昨日は本当にごめんね」

ホムラ「仕方ないわ、元はと言えば油断していた私のせい……それよりも身体に異常は無い?」

マドカ「うん、なんともないよ!」

ホムラ「副作用、本当に無いのならいいのだけれど……昨日、説明してほしかった人は戻ってこなかったの」

マドカ「『博士』だから忙しいのかも!」

ホムラ(立場も身寄りも無い未来人に、そんな事はないはずだけど……私のように事情が無ければね)

キラキラ

マドカ「この宝石、何で出来てるのかな?透き通った砂色で、すごく綺麗」

ホムラ「昨日も言ったけど、なるべく変身はしないで」

マドカ「わかってるよ~」

ティヒヒ キラキラ


ホムラ(魔法少女に興味持たれるよりは、ずっといい……きっと)

ツカツカツカ ガシッ!!

ホムラ「!?」

まみ「……」ギラギラ

ホムラ(巴マミ……!?いきなり、何を――)

まみ「昨日、は……よくもキュゥべえを」

ホムラ「な、なんのこと――」

まみ「しらばっくれないで!ショッピングモールで、キュゥべえと私を……くっ」

ホムラ「ショッピングモールにはいたけれど、キュゥべえにもあなたにも会ってない」

まみ「じゃあ双子の姉妹がいるの?噂の転校生さん」

ホムラ(あいつ……私に黙って顔も隠さず何かしたのね)

マドカ「まって、まってください!」

まみ「ごめんね、あなたは下がってて」

マドカ「下がれません!ほむらちゃんは、昨日ずっとわたしと一緒にいたんです!」

まみ「本当……?」ギロッ

ホムラ「本当よ……」

マドカ「……」ウルウル グスッ

まみ「……ごめんなさい」

ホムラ「別にいいわ……心当たりはあるから教えてあげる」

――その頃 繁華街

女「っちきしょー!朝からお酒を飲んで何が悪いっていうのよ!あたしだって結婚すればいいとこあんだから……しないだけで!」ヒック

ほむら「そうよね、あなたは何もしないだけ……ただ、夢や希望が強すぎて世の中がそれに見合わない」

女「中学生……?――不幸になりたくてなるやつなんていないのよ、世の中がいつも人を不幸にしようとしてるのよね!」

ほむら「ええ、知ってるわ……だから、もとから愛も希望も見なければ楽なことを」

女「うんうん……」

ほむら「得るべき人だけに、奇跡は許されるって」スッ チャキッ

女「うん……うん?」

ほむら「だから、残りカスみたいなあなたの運命を、ブランクジェムとして私が有意義に使ってあげる」

ガチャッ

女「あたしになにつけて……ベルト?」

ポチッ

女「あ”あ”あ”あ”――」

ほむら「あなたは生まれ変わる……でも、安心しなさい……誰ももうあなたをあなただとは気づかない」

女「あ”あ”あ”ア”ア”ア”ア”ア”!!」

ポコンッ キラキラ

化け物「ア”ア”ア”、アガアアアアアアウ!!ガウッ!!」フンスー

化け物「ガアアアアアアア!!」

ダダダッ ボゴォン タタタタタ… ガォォォ



ほむら「もっと、もっと集めなくては――」

 ・

 ・

 ・

――放課後

サヤカ「ねぇねぇまどか、そのベルトってさ、あたしにも使えるのかな」

マドカ「使ってみる?」

サヤカ「やった!」

ガチャッ グルグルグル

サヤカ「ふふ……」

スッ ポーズ

マドカ(あっ、それあの番組でやってた)

バッ ババッ

サヤカ「変身――」

ホムラ「やめなさい!」ガシッ

サヤカ「あああ!いいところでー!」

ホムラ「その道具は絶対の信用をしていいものでは無いわ」

ホムラ「だから、お願い……余程の事が無いとこれを使わないで……」

サヤカ「う、うん……わかった」

ホムラ「ちなみに生体認証されてて、もうまどか以外には使えないわ」

サヤカ「な、なんだってー―!?」

――通学路の公園

サヤカ「はぁ……あたしが変身しておけば良かった……でもそれだとまどかが囮になってたしそれも絶対やだ……」

マドカ「ほむらちゃんは、どうやって変身してるのかな」

サヤカ「同じの持ってるんでしょ?あたしだけ のけものだー!くぅー!」

マドカ「そうじゃないように見えるんだ……」

まみ「その疑問、私が答えてあげる」

マドカ「マミさん……」



マドカ「――ほむらちゃんが魔法少女……」

サヤカ「ヒーローじゃなくて魔法少女だったかーよくあるよくある」

まみ「え、そうなの?」

マドカ「ふふ」

まみ「今日は付け回すような真似してごめんなさい、でも暁美さんから聞いた話だけじゃ満足できなかった」

まみ「一緒に引っ越してきた博士が暁美さんそっくりで暁美さんも彼女をよく知らないなんて」

サヤカ「でも本当によく知らないみたいですよ、博士が作ったって言うベルトのことだって信用してなかったみたいですから」

まみ「ふむ……そのベルトの付属品(?)の宝石、見せてくれる?」

マドカ「は、はい」

カツン ポゥン

マドカ「黄色くなった!」

まみ「このソウルジェムにくっつけると色付きになるようなの」

マドカ「ありがとうございます!ほむらちゃんが色付きじゃなきゃダメだって言ってたから……」

まみ「なるほどね……このベルトは、魔法少女の力を一時的にコピーして使えるもののようね」

まみ「宝石を入れなかったり、砂色を入れると壊れてしまうのかも」

サヤカ「あ、あぶなかった……さっき宝石入れるの忘れてた……使えないケド」

 ・

 ・

 ・

サヤカ「じゃあねー!まどか!」

まみ「鹿目さん、またね」

マドカ「さやかちゃん、マミさん、また明日!」


トボトボ

マドカ「魔法少女、か……」

マドカ「たった一つの願いを叶える代わりに魔女と戦い続ける運命」

マドカ「さやかちゃん、マミさんから聞いた時、きっと上條くんのこと――」

マドカ「……」

ザァァ…

さやか「……」

マドカ「あれ?さやかちゃん……」

ガシッ

さやか「まどか、契約したの!?」

マドカ「え……?」

さやか「魔法少女の、契約!」

マドカ「?? してないよ……?」

さやか「そ、そっか……そっか」

マドカ「……?どうしたのさやかちゃん、帰る途中で嫌なことあったの?」

さやか「え?」

マドカ「すごく、辛そう」

さやか「帰る途中で嫌なこと……あはは、まさか」

マドカ「ならいいんだけど……」

スタスタ

マドカ「さやかちゃん、どうしてわたしが契約してると思ったの?」

さやか「え!?いやぁ~なんでかなぁ~」タハハ

マドカ「変身してたから?」

さやか「そうそう、それ」

マドカ「さやかちゃんに言われて変身したんだけど……」

さやか「そ、そうだった!あたしってほんとバカ」

マドカ「……」ジー…

さやか「な、なに?」アセアセ

マドカ「変なさやかちゃん」

さやか「ふぅ……」ドキドキ

ワウウウウウウウウ!!

マドカ「すごい大きな遠吠えだったね……」

さやか「」

ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ

化け物「がうううぅ」フルルル…

ティヒヒ タハハー

化け物「ガルル…!」

ドタ… ドタ… ドタ…


マドカ「さやかちゃん、驚きすぎだよ」

さやか「だ、だってさ……」チラッ

化け物「ゴゥルルルル…」

さやか「は?」

ブンッ

さやか「まどか危ないっ!!」ドンッ

ズバァーッ!!

マドカ「え……?」

さやか「かふっ」ダクダクダク…

マドカ「さやかちゃん!」

さやか「まずった……こんなのがいるなんて」

化け物「……」ゴルル

マドカ「や、来ないで……」

さやか「まどか、逃げて」

マドカ「で、でも……!」

さやか「じゃ、じゃあ助けを呼んできて……あたしは大丈夫だから」

マドカ(無理だよ、こんな傷じゃ……)

さやか(まどか、逃げて!逃げてさえくれれば……)

マドカ「……わたしが戦う」

さやか「な、何言って――」

マドカ「マミさんにコピーして貰ってて良かった」スッ

さやか(マミさんのソウルジェム……?違う)

ガチャッ グルグルグル カシュンッ スッ キラキラ

マドカ「変身!!」

キランッ ポチッ

パアアア!!

化け物「ゴゥアー!?」ゴシゴシ

さやか「マミさんの服……そういう、こと……」カフッ


マドカ「だあああ!」ピョローン

バシィ!!

化け物「がう?」カイカイ

マドカ「あ、あれ?」

さやか(マミさんの武器はリボンで本当は攻撃向けじゃない……このままじゃまどかが)ズザ… ズザ…

マドカ「でぇい!」ピョイーン

バシッ!! ビシッ!!

化け物「ガアアアアア!!」ズバァ!!

ドガッ ズザザザザ

マドカ「あうう!!」ギリリ

マドカ「かっふ……か、勝てないの?このままじゃ、さやかちゃん、が……」グッタリ

鎧騎士「……!」ダダダダダ

ドォン!!

化け物「ガァッ!!」

マドカ「あ、あれは、あの時の……」

鎧騎士「……」ズババババ

化け物「ガッ!グッ!ガウッ!ガルゥ!」

鎧騎士「……!」ズバッ!!

化け物「」ドサ…

鎧騎士「……」チラッ

マドカ「ひっ」

スタ… スタ… ピタ ポワワ

マドカ「あれ、痛みがひいて……」

ガサゴソ ヒョイッ キラキラ

マドカ「ダメ……!もうそれしか無いの!」

クルッ

鎧騎士「……?」カツン ポゥン

クルッ スッ

マドカ「あれ?蒼色……くれるの?」キラキラ

鎧騎士「……」コクン…

ヒョイッ

化け物「」ユサッユサッ

タッタッタッタ…




マドカ(……救急車を呼んで早くさやかちゃんを病院に連れて行かないと……!)タタッ

シーン

マドカ「あれ?さやかちゃん!」

マドカ「あんな大怪我だったのに……」

マドカ「さやかちゃん!どこ行ったの!?そんなのやだよ……さやかちゃーん!!」



つづく

――翌日 通学路

サヤカ「おっはよー」

マドカ「おはよう!さやかちゃん」

ひとみ「おはようございます」

マドカ「……」ペタペタ

サヤカ「んもー……昨日電話であんなに大丈夫だって言ったでしょ!」

マドカ「むー……だって心配なんだもん」

サヤカ「ふむ……ういやつよ!そんなにスキンシップしたいのか!」シュッ ワキワキ

マドカ「あっ……そういうわけじゃ」

サヤカ「もんどうむよーう!」コチョコチョコチョ

マドカ「キャーっ!やめて!あはは!」

ひとみ(ふふ……)ニコニコ

サヤカ「それそれーい!」

エフン!! ゴッホンゴホン!!

ほむら「……」ムスー

サヤカ「あ……あははー!あたしたち別に変なことしてるわけじゃー……」

ほむら「別に……」ツン

スタスタ

マドカ「あ……」

サヤカ「やばーい!転校生は何も知らないからきっと勘違いしちゃったんだぁーっ」

ひとみ「ふふふ」

サヤカ「仁美もあとで一緒に説明してよー!」

ひとみ「わかりましたわ、いかに仲良しか力説させて頂きます」ニコニコ

サヤカ「違うそうじゃない」ズコー

~~昼休み 屋上

ホムラ「変な化け物に教われた?」

マドカ「うん、さやかちゃんと……なんとかなったけど」

ホムラ「なんとかなったって……また変身したの?」

マドカ「変身したけど、勝てなくて……そうしたら、鎧の人が助けてくれたんだ」

ホムラ「助けて、って……」

マドカ「そして、これをくれたの」キラキラ

ホムラ「蒼(さやか)の……ブランクジェム?どうしてそれが!?美樹さやかはもう契約してしまったの!?」

マドカ「えっ?(もう?)してないと……思う」

ホムラ(じゃあ、どうしてこれが……?)

  …… …

マドカ「ごめんね、困らせちゃったの、かな……」

ホムラ「いえ……相談してくれてありがとう、でも、あなたはもう戦わないで」

マドカ「えへへ」アセアセ

ホムラ「……」フゥ

スッ

マドカ「ブランクジェム……いいの?」

ホムラ「朝起きたら部屋にその五個が置いてあったの」

ホムラ「身を守るためだけにどうしようも無くなったら……いい?」

マドカ「うん……」

ホムラ(これさえあればまどかが契約しないだなんて、本当に言えるの?でも……咄嗟の選択のさいせめてこれがあれば)

――その頃 公園

キョウコ「……」

キョウコ「何してんだ、アタシ……こんなとこまできて」

キョウコ「別にあいつ(さやか)を見にきたわけじゃない……なんだかアタシに知らないことがあると気持ち悪いだけだ」

キャー!!

キョウコ「なんだ?」


――広場

化け物「コケコッココケコッコ!」

キョウコ(なにあれ……デカい鶏……使い魔か?)

キョウコ「アタシには関係無いね……どうせマミあたりがきて退治すっだろ」

幼女姉「こ、こっちくるなぁー」

幼女妹「あーんあんあん!動けないよー!」

幼女姉「うんしょ、うんしょ、大丈夫、あたしがなんとかするから――」


キョウコ「ふん……」プイ

スタスタ…



化け物「コケーッ!!」

ズバァー!!

幼女姉「……っ!!」

ガギィ!!

幼女姉「……あれ?」

キョウコ「くっ……」ギリギリ

幼女姉「まもってくれてる……?」

キョウコ「っ!はやく行け!もう動けるだろ!」

幼女妹「あ!ほんとあ!おねーしゃんありあとー!」

キョウコ「……」ギリギリ

幼女姉「にげよ!あ、あの、ありがとーございました!」

タタタ…



キョウコ「ふん……だぁっ!!」

ブンッ

化け物「コケーッ!!」サッ

キョウコ「使い魔……じゃなさそうだな」

キョウコ「アタシは今機嫌が悪い、一気に片付けてやるよっ!!」グルグルッ ビッ

タタタ

キョウコ「でりゃあああああ!」

化け物「キエエエエエエエエエエ!!」キィーン!!

キョウコ「ん……!?う、動けない……!」

化け物「こけっ?コーッココココ」ヨダレ

ヒタ… ヒタ…

キョウコ(やばい……アタシこんなとこで、こんなしょーもない手でやられんのか?)

キョウコ(ちっ……焼きが回ったな、変なことするからだ……)

キョウコ(今更こんな事したって、あたしが目をそらしてきたものに顔向けできるわけが無いのに――)

バスッ!! ヒュルルルル バサァ…

化け物「コケっ!?」

兵隊「確保ーっ!!」

キョウコ(な、なんだ?何にせよ助かった……)

隊長「好都合だ!魔法少女も捕獲しろ!」

キョウコ「な、なにー―――!?」


――装甲車内

ブロロロ…

キョウコ(アタシ、いつになったら動けんだ?)

隊長「すまないね」

キョウコ「謝るくらいならやんなよ……どっちにしろあんた達が来なければ死んでたけどな」

隊長「そうだろうな……ソウルジェムを食われてね」

キョウコ「へ?」

隊長「あいつらは魂を抜かれた人間で、魂を貪り食って穴を埋めるために行動してる」

キョウコ「マジかよ……って、あれ?じゃあ、ソウルジェムって……」

隊長「君達の魂だ」

キョウコ「嘘だろ……?じゃあ、アタシ達ゾンビのようなもの……っていうかあの化け物達と同じじゃないか!」

隊長「そう思えばそうなんだろうな」

キョウコ「ハッ……妙に知ったような顔して……気に入らないっての」

隊長「実際知っているんだよ、娘が魔法少女だったからね」

キョウコ「……」

キキッ

隊長「さ、ついたよ」

キョウコ「ここは……」

隊長「魔法少女の研究機関だ」

キョウコ「そんなもんがあったんだな」

女の子「……」

ポワワ

キョウコ「ん?おお、動ける!」

隊長「彼女は癒やし系魔法少女で君を治すため来てもらった」

キョウコ「治しちゃっていいのか?暴れるかもしれないぜ」

隊長「君はそんな事はしないな……ここにいれば君は神を知ることができるんだから」

キョウコ「神……だと?」

隊長「そう、君は運命を狂わせられて神を憎んだ事が少しも無いのか?」

キョウコ「バカバカしい、あたしは――」

女の子「ついてきてもきっと損は無いですよ……」

キョウコ「何?」

女の子「私も、あなたに話を聞いてほしい……」

キョウコ「わかったよ……」

――施設内ホール

キョウコ「すごく大きな絵だな」

女の子「この絵は、生き物の輪廻転生を描いているの」

キョウコ「そんなもんあるのか?」

女の子「残酷な事にね」

キョウコ「本当に犬から人間になったり人間から猫になったりするのか」

女の子「そう……そして、決められた存在になり決められた運命を辿るんです」

キョウコ「アタシは選んで生きてきた」

女の子「幸か不幸か問わず、何も選ばず生きている人間はいない……と、私達は錯覚させられているの」

キョウコ「アタシ達の世界が作られた世界とでも?もしそうだとしてじゃあ作ったやつらが神なのか?」

女の子「……」フルフル

キョウコ「それも違うのかよ……」

――ホール2

キョウコ「気持ち悪いな……細かい模様で天井が目玉みたいだ」

女の子「その模様は魂です」

キョウコ「設定まで気持ち悪いな」

女の子「この部屋は神の瞳とも言います」

キョウコ「ふぅん」

女の子「……私達は、編み込まれ連鎖している中のひとかけらに住む小さな存在なのです」

女の子「そして紡がれた先に、答えが――」ゲフゲフッ

キョウコ「大丈夫か?」サスサス

女の子「優しいんですね」

パッ

キョウコ「そんなんじゃない」

女の子「魔法で治せますが、疲れたんです」

キョウコ「え……?」

女の子「どんな答えを選んでも神の見ている先がずっと同じでは無意味だって知ったから……」

キョウコ「そんなわけない!皆幸せな未来へ努力していけば、いつかはって……」

女の子「努力ってなんですか?そんなことする価値も無い世界をどうすればいいの?」

キョウコ「な……」

女の子「それはあなたのお父さんかお母さんが教えてくれたこと?」

キョウコ「……」

女の子「――私は直接見れないですけど」

女の子「パラレルワールドを覗き見たりできるような魔法少女もかつて居たんです」

女の子「実際に様々な可能性を垣間見たような魔法少女が実際に居れば」

女の子「私の言ってることがあなたもわかります……」

キョウコ「未来が決まってたら頑張っちゃいけないのか……?」

女の子「そうじゃないんですよ!」

キョウコ「!?」

女の子「元から三億円を手に入れる運命の人が五億円を手に入れるとします」

女の子「そうすれば必ず二億円の損失がどこかで生じる」

女の子「逆にその人がずっと怠けたとしても、ふいに誰かから貰った宝くじが当選して三億円を手に入れます」

女の子「それが、運命です!」

女の子「頑張るとか頑張らないとかじゃないんですよっ!縛られてるんです!」

女の子「定められし生贄はしかるべき犠牲となるんです!」

キョウコ「そんな馬鹿なことあるわけ――」

女の子「道の優先順位の強弱はありますけど、向かう場所は決まってるんです!」ハァハァ

女の子「それが運命の、エネルギーで、それは、一定だから……!」ゴホッゴホ

キョウコ「……そのあとは?」

女の子「死ぬんじゃないですか?」

――放課後 魔女の結界

まみ「ティロ・フィナーレ!!」

ドーン!!

~~繁華街

サヤカ「おおっ、戻った……」

まみ「結界の主を倒せば元に戻るのよ」

マドカ「……」

まみ「……別に変身して一緒に魔女をやっつけなくても誰も責めないわ」

マドカ「……でも、できることがあるのにわたし、マミさんを見ているだけでいいのかな」

まみ「暁美さんの言うとおりそのベルトは過信するべきものじゃないわ」

サヤカ「そうだよ、変身できる数だって限られてんだしさ」

まみ「それに……」

マドカ「……?」

まみ「あなた達が見てくれてるだけで、私は百人力なんだから!」

サヤカ・マドカ「マミさん……!」

――帰宅路

サヤカ「いやー……マミさんかっこよかったなー!あたしも魔法少女になれば街を守れるうえ願い事も叶う!」

マドカ「魔法少女って、どのくらいいるのかな」

サヤカ「いきなり神妙な顔でどうしたの?」

マドカ「癒せる魔法少女がいたら……わたしのベルトで上條君をきっと治せるよ」

サヤカ「……っ!いきなり何言ってるのかなー、まどかは!」

マドカ「で、でも」

サヤカ「まどかはそんなこと気にしなくていーの!」

――美樹ハウス

ポフッ…

サヤカ「まどかに協力してもらえばいいのに、あたしって……」

サヤカ「嫌な奴――」


――見滝原 電気街

ホムラ「やっと見つけたわ」

ほむら「あら……よくわかったわね」

ホムラ「どうしていなくなったの?使ってた施設も使ってないみたいじゃない」

ほむら「私の求めてるものはもう時間がかかるのよ……それよりもベルトの調子はどう?」

ホムラ「……まぁまぁね」

カベドン

ほむら「今、嘘ついたわね?」

ホムラ「!?」

ほむら「自分の嘘つく時のクセくらい、把握してるわ」

ホムラ(しまった……)

ほむら「誰が使ってるの?せっかくのベルトを!」

ホムラ「どうして、他人に使わせたことまで――」

ほむら「すぐに言えない相手のようね……まどかだわ」

ホムラ(いけない……ちょっとした仕草でこんなにも心を読まれるなんて)

ほむら「まぁいいわ……存分に使わせなさい」

ホムラ「え……?」

ほむら「え……って、余程信用が無いのね?」

ホムラ「だって、『私』がまどかに危ないものを使わせるわけが――ハッ」

ほむら「そういう事、わかってくれたようね」

ホムラ「疑ってごめんなさい、裏を返せば本当に安全」

ほむら(……私がまどかを犠牲にするわけない……その通りよ)

ほむら「無知は残酷ね」

ホムラ「……本当にごめんなさい」

ほむら「……」フッ

――まどかの家

窓「トントン」

マドカ「あれ?なんだろう」

カラララ

マドカ「……?」キョロキョロ

さやか「やっほ」

マドカ「さやかちゃん?」

さやか「あがっていい?」

マドカ「いいけど……」


マドカ「どうしたの?もう夜だよ」

さやか「……まどかは、どこでもいつでもまどかだよね」

マドカ「そんなの当たり前だよ~」ウェヒヒ

さやか「……今のあたしはそう言えないな」

マドカ「どうして?」

さやか「色んなあたしがありすぎたっていうか、今でも揺れてて」

さやか「信じてたあいつ(ほむら)も知ってるあいつと変わってる予感がする」

マドカ「あいつって?」

さやか「えへ、秘密……」

マドカ(上條くんかなぁ)

さやか「……まどかっ」

ギュッ

マドカ「うぇひっ!?」

さやか「う、うああ……」

マドカ「さやかちゃん?泣いてるの?」

さやか「どうしてあたしばっかり」

マドカ「さやかちゃん……」

ギュ…

マドカ「誰にも言えないことを、抱えちゃったんだね」

マドカ「言わなくても、いいよ……でもわたしはずっとさやかちゃんの傍にいるよ」

さやか「う……あぁ……!」ポロポロ

マドカ(あ、あれ?もっと泣いちゃった……?)

――公園

さやか「……」ユラユラ

キュゥべえ『やれやれ、あまり干渉して宇宙が滅びてもいいのかい?』

さやか「無理……あたしにまどかを絶望へ導くなんて!」

さやか「どうしたらいいかわかんないよ……するべきことばっかりで!」

キュゥべえ『君を楽にする方法はある』

さやか「え……?」

キュゥべえ『僕が君の体を操縦するのさ』

さやか「何言って――」

キュゥべえ『脳を摘出し僕の体を埋め込み君の癒しの魔法で結合するんだ』

さやか「……そんな」

キュゥべえ『背に腹は代えられないよ?それとも宇宙を滅ぼすつもりかい?』

さやか「ぐっ……」

さやか「………………うぅっ」ハァハァ

さやか「ごめん、まどか……」



ザシュッ――

  ・

  ・

  ・

マドカ「はっ、はっ、……あっ!」

マドカ「さやかちゃん、やっぱり泊まって――」

さやか?「――君は、鹿目まどかか」

マドカ「……?さやかちゃん?」

さやか?「さやかはもういないよ……体を僕が貰ったからね」

クルッ

マドカ「ひっ!?」

マドカ「さやかちゃんの頭に、変なのが……!」

さやかキュゥべえ「結合したばかりで見た目がきついかもしれないけど、よろしく、鹿目まどか」

マドカ「さ、さやかちゃんの体を返してっ!」

さやキュゥ「これはさやかの意志なんだよ?だから、僕の気持ちに応じてさやかのソウルジェムも答えてくれる」

パァァ

マドカ「鎧の人……!?」

さやキ「くく……力がみなぎり、そしてさやかの記憶が流れ込んでくる……これは嬉しい誤算だ」

スタスタスタ

バシィ!!

マドカ「きゃっ!?」ズサー

マドカ「な、どうして……」

さやキ「さぁ、ベルトを出すんだ……余計な強い力は、君には不用だ」

マドカ「……っ」チャッ

さやキ「変身して抵抗する気かい?ふふ、新しい僕の誕生を祝うのにちょうどいい!」

キラキラ

マドカ(この、さやかちゃんからもらった一個でやらないと……!)

スッ

マドカ「変身――」

「待って!!」

ダダダダダダン


さやキ「だれだ!?」

ホムラ「あなたの相手は、私……状況が飲み込めないけれど」

マドカ「ほむらちゃん……」

ホムラ「ここは……まかせて」

マドカ「あっ……」


ホムラ「一瞬で勝負は決まるわよ」

さキュゥ「ほう……やってみせて」

ホムラ「時間停止――」カチッ


ホムラ「これが決まりさえすればこっちのもの」

さキュゥ「――」

カチッ カチッ カチッ

ホムラ「さようなら――」スッ

さキュゥ「君がねっ!!」ブンッ

ホムラ「!?」

ズバァッ!!



マドカ「――あ、あれ?ほむらちゃん!?」

ホムラ「がふ……」ドバドバ

ドサッ…

ホムラ「ど、どうして……?」

さキュー「君は自分の力を過信しすぎだよ」

キューさ「僕は水を自分の世界に取り込むことができる」

キューさ「常に君に、大気中の水分が触れているんだよ!?」ジワジワ

ホムラ「白く……なっていく?」

ガラッ…ガラガラガラ

マドカ「白くて……赤い目のさやかちゃんが鎧の中から……」

キューサ「完全に馴染んだみたいだ……もうカラはいらない」

キューサ「これが感情か……そして持っているのは世界の改変で得た無限魔法のソウルジェム!!」

キューサ「僕はどこへ行く?あたしが揺れている?些細なこと……絶対存在のキューサがここに生まれた!」

ホムラ「美樹さやか……?無限……魔法……?」

キューサ「キュゥべえ達!!」

キュゥべえ達「「「ハハッ!!」」」

キューサ「奴らを始末しろ……特に鹿目まどかは危険だ」

キュゥべえ達「「「わかったよ」」」

キュップイキュップイキュップイ

マドカ「なにこれ……!?」

ホムラ(圧倒的な力でインキュベーター達のコントロールを掌握した……?)

マドカ「……」チャッ

ホムラ(そうよね、いよいよそれしか……)

ホムラ「まどかぁっ!」カフッ

マドカ「?」

ホムラ「これを!」ブンッ

クルクルクル…

パシッ

マドカ「な、なにこれ……?」

ホムラ「マジカルコアよ!ブランクジェムさえあれば装着してから一度変身した魔法少女に何度でもなれるわ!」

マドカ「ほんと……?よーし!こうかな?」

カチャッ カチャッ

マドカ「あ、あれ?入んない!」

ホムラ「そ、そうじゃなくて……」

バキッ

ホムラ「うっ!」

キューサ「怪しい真似はさせないよ……暁美ほむら、君は僕と一緒に来るんだ」

ホムラ「は、離して……!」


マドカ「や、やだ……ほむらちゃんが連れていかれちゃう」

ガチャガチャ

マドカ「わかんないよう……!」

キュゥべえ「きゅっぷいー!」ピョンッ

マドカ「きゃっ!」

ドカッ カチャコン

マドカ「入った!?」

キュゥべえ「し、しまった!」

スクッ

マドカ「マジカルコア、おねがい……変身!!」

パァァァァァァァァァァァ!!

キューサ「この光は!?」

ホムラ「え……?」

マドカ「わぁ、かわいい」

ホムラ(衣装は完全に対応した魔法少女のものになるはず……あれは、蒼いだけでまどかの魔法少女姿……!)

マドカ「これなら……いくよー!」

タタタタタ

バシッ バシバシッ

キュゥべえA「きゅっ」ポーン

キュゥべえB「きゅっぷ!」ポポーン

タタタタタ

マドカ「たぁっ!」ブンッ

ガキィン!!

キューサ「鹿目まどか……!」

マドカ「もう一人のさやかちゃんを返して……!」

ホムラ「もう一人……!?」

キューサ「気づいていたのか……でもそれはできないよ」

マドカ「どうしてっ!?」

キューサ「さやかは自分の重すぎる運命に潰されてしまう……キューサでなくちゃいけないんだ!」ブンッ

マドカ「ううっ!」

キューサ「さやかの何も知らないこの世界は……守る価値は無い!」

ズバァッ!!

マドカ「ああーっ!!」ドサッ

ホムラ「ま、まどか……!」

キューサ「わかったかい?力……いや、覚悟の差が」

フラフラ

マドカ「……確かに、わたしは何も知らないよ……出会ったばっかりの皆のこと」

マドカ「それでも、知ってることはあるよ」

マドカ「さやかちゃんの涙を!」スッ

キューサ「宝石を……いくつもどうするつもりだい?」

マドカ「こうするの!」キラキラ

カチャン!!カチャン!!カチャン!!カチャン!!カチャン!!――

ホムラ「そ、そんなにいっぱい入れるなんて無茶よ!」

マドカ「トゥインクル・セイバー!!」バババババ

スラッシュ!!

キューサ「ぐっ!?そんな……この力!」ババババ

キューサ「嘘だ……無限の魔力があるはずなんだ!それがあんなオモチャで……!!」

ホムラ「あなたの負ける理由は……感情を理解していないことよ」

キューサ「う、嘘だああああああ!!こ、来いっ!!」

化け物「がるるるるるるぅ!」ドンッ

マドカ「あ、あのときの!?」

化け物「ゴアあっ!!」ブンッ!!

マドカ「ど、どいてよー!」

キューサ「またね、鹿目まどか……次こそは」

マドカ「ほむらちゃん!!」

ホムラ「私のことは心配しないで!もう一人の私を探せば、きっとあなたに協力してくれる――」

スゥ…

――キュゥべえの基地(?)

キューサ「ここまでちゃんとあるとはね……さすが双子の世界だ」

ホムラ(双子の世界……?)

ドサッ

ホムラ「あうっ!」

キューサ「さて……」

ホムラ「私を始末するつもり?でもそうはさせないわ」

キューサ「そのつもりだったけどおもしろい事を思いついたんだ」

スッ…

ホムラ「や、やめて、まさか私のソウルジェムも……」ガタガタ

ホムラ「私は決してあなたを許さない!私の魂までそう簡単に利用できるとは思わないで!」

キューサ「それができるんだ」

ホムラ「え……?」

キューサ「それを強制で行える魔法少女をこのさやかの記憶は知っているのさ」

ホムラ「そ、そんな――」

ブチッ!ブチチィ!

ホムラ「ああああ――――っ!!」

キューサ「変身を解いたほうがいいと思うな」

パァァ!!

ホムラ「……」ハァッ…ハァッ

キューサ「このソウルジェムはすぐに取り込んだりはしない」

キューサ「君は死なないよう閉じ込めておくとするよ」

ホムラ「まどか――」

――翌日 通学路

トボ…トボ…

マドカ「……」

タッタッタッタッタ

サヤカ「まーどかっ!おっはよー!!」

マドカ「さやかちゃ――!? ――……ん、おはよう……」

サヤカ「???? どうしたの?人の顔見ておばけ見たような顔してから勝手に納得したような表情しちゃってさ!」

マドカ「……さやかちゃっ」グスッ ポロポロ

サヤカ「え……」

マドカ「さやかちゃんとほむらちゃんが……さらわれちゃって……」

サヤカ「マジか……あたしと転校生が……???」

マドカ「わたし……やっぱり役に立たない子だ」フラフラ

サヤカ「まどか、もしかして寝てないの!?」

マドカ「はぁはぁ、うぅ」ヨロヨロ

サヤカ「それにしたって何でそんなに消耗して……」

マドカ「」ドサッ

サヤカ「まどか!?まどかぁ!!」

――病院

マドカ「――ここは?」

詢子「まどか!良かった、ほんとに良かった……」グスッ

マドカ「ママ……、パパ……」

知久「ここは病院さ……学校へ行く途中で倒れて、ずっと目を覚まさなかったんだよ」

マドカ「病院……?さやかちゃんは……?」

知久「仁美ちゃんと一緒に、タツヤを見てくれてる」

マドカ「良かった……わたし、行かないと――」バッ

詢子「ば、ばかっ……動いちゃダメ――」

ビキーッ!!

マドカ「――痛いっ!?」

詢子「まどか、どうしてこんな風になったの?さやかちゃんが寝てないみたいだったって言ってたけど、内緒で何かしてたのか?」

マドカ「それは……」

詢子「それとこれ……何?」ガチャッ

マドカ「あ……」

詢子「おもちゃのバックルみたいだけどその反応はただのおもちゃじゃないみたいだな……何に使うの?」

マドカ「それはぁ……」アセアセ

詢子「……」チャッ

ガチャッ グルグルグル

マドカ「え?」

詢子「鳴かぬなら、鳴かせてみせよう」

知久「おいおい」

詢子「このボタンか?……へーん、しん!」



つづく

看護士「キャーッ!!」

ワーワー ズチャッズチャッズチャ

詢子「――何だ?」ヒョコ

海老怪物「キュルルル」

詢子「な、なにこれ?」

バキィッ!!

ズサーッ カッタン バラララ キラキラ

詢子「」

知久「詢子!!」タタタ

知久「気を失っただけか……」ホッ

海老怪物「キュルル!!」

ヨイショ

知久「まどか、よくわからないけどあいつがおもちゃに気を取られてる内に逃げるよ!!」

マドカ「で、でも……あれは大切なの……!」ヨロッ…

知久「ばかっ!!」

マドカ「!!」ビクッ

知久「まどか以上に大切なものが僕らにあるわけないんだから!」

グイッ ヨイショ タタタタ

マドカ「……」グスッ

 ・

 ・

 ・

カリッカリッ キャッチ

海老怪物「……v v」キラキラ スリスリ

パクッ ゴックン

ドゴォーン!!

サヤカ「何の音!?」

タツヤ「えびのかいじゅー!」

海老怪獣「キュルルル!!」

仁美「あそこはまどかさんの病室が……!」

サヤカ(まどかはもちろん、この病院は恭介もいる……あんなのが暴れたら)

プルプル

サヤカ「ひ、仁美!」


サヤカ「……恭介のほうとタッ君をお願い」グッ


―高台

??「……」

――病院廊下

タッタッタッタ

サヤカ「まどか!――いない……あれ、マドカのベルトがこんなとこに」ヒョイ


ドスン…… ドスン

海老怪獣「……」


サヤカ「やだ……あっちは恭介の病室だよ」

サヤカ(恭介が避難してても、もしかしたら仁美とタッ君が……)


ッヒューン ドカッ

海老怪獣「……?」

サヤカ「化け物ー!石ぶつけられてむかついたんならこっち来なさいよ!」

海老怪獣「……っ」

ドッスンドッスンドッスン

サヤカ「よしよし、こっちは皆避難してるし大丈夫……」

海老怪獣「……」グググ

サヤカ「ん……?しゃがんで……?」

海老怪獣「……!」ビョーンッ

サヤカ「し、尻尾で、飛ん――やばいっ!!」


ヒュルルル…

ゴォーーーーーーンッ!!

パラパラ…

サヤカ「う……」

サヤカ(あたし、どうなってんの……?)

サヤカ(体、動かないし、前も、よく見えない)

サヤカ(マンガとかでよく吹っ飛ばされた人って、本当はこうなるんだぁ……)

ズシン… ズシン…

サヤカ(怪獣が近づいてくる……何だか怖くないや)

サヤカ(……)

スッ…

??「」

サヤカ「だ、誰?危ないから」

マミ「よく頑張ったわね、美樹さん」

サヤカ「その声、マミさん、なの?」

マミ「さぁ、後は任せて、眠って……目覚めた時には、全てが終わっているから」

サヤカ「うん……」

海老怪獣「……」

マミ「なんだか私達魔法少女の相手を務めるには不似合いな相手ね」

マミ「でも、立ちはだかるなら誰であろうと容赦しないから」

海老怪獣「……」ゴォッ

ブンッ!!

マミ「ティーロ!」

ゴパァッ

海老怪獣「……!?」

ニョキニョキ

マミ「ハサミはとれてもまた生えてくる、体はとても厚い装甲で固まってる」

マミ「なら……っ!」

コォッ!! ジャキン!! ゴォォ!!

マミ「これで!ティロ・フィナーレッ!!」

ドォォン!!

海老怪獣「……!?――」


  ・

  ・

  ・

マミ「跡形もなく消し飛んだみたいね」

マミ「……ごめんなさい」

スタスタ

サヤカ「……」zzZ

パァァ

マミ「応急処置だけど……これで大丈夫」

マミ「私はここでやらなきゃいけない事があるから……またね、この世界の美樹さん」

――翌日 非常病棟

サヤカ「暇だぁーっ!なんかないのー!?」

マドカ「もう元気だね、さやかちゃん」

サヤカ「怪獣に吹っ飛ばされて全身打ったくらいで皆大げさですよ」ドヤァ

マドカ「あはは」


マドカ「どこ行っちゃったのかなベルト……」

サヤカ「つ、潰されちゃったのかも」

マドカ「そんな……」

サヤカ(あんなことがあったあたし以上にまどかはボロボロになってるのにベルトを返していいのかわかんないよ)

サヤカ(それに、ベルトを持ってたらあんな化け物達と戦い続けなきゃいけないんでしょ?)

サヤカ(そしたらまどかが、帰ってこなくなっちゃうような気がする……)

サヤカ「ごめん、まどか」

マドカ「どうして?」

サヤカ「なんとなく……」

――ほむホーム

マミ「どうやら暁美さんは二人とも合流してここにいたようね」

ガラッ

マミ「暁美博士のやろうとしてる事が何かわかればいいのだけど」

カチッ

ブン…

マミ「何これ?」

映像「誰かしら?私の痕跡を荒らしているのは」

マミ「あなたは……暁美博士」

映像「巴マミ……どうしてあなたが」

マミ「もう一人の暁美さんをどこへやったの?」

映像「いなくなったの?なら死んだのでは」

マミ「死んだって……なんとも思わないの?」

映像「思わないわ……どうせみんな死ぬもの」

マミ「……」

映像「その反応……わかっていたの?どうしてあなたがそれを」

マミ「あなたがやろうとしている事が世界を救おうとしていることなら私はあなたを助けるつもりです」

マミ「だから教えて、何をしようとしてるのか」

映像「あなたは、この世界の巴マミではなさそうね……先にあなたの正体を教えてくれれば考えないでも無いわ」

マミ「あなたは魔獣を知っているかしら?魔法少女にとって不倶戴天の敵の」

映像「知らないわ」

マミ「そうでしょうね……彼らは運命を変えようとする異分子を抹消しに現れる時空を超えた存在」

マミ「なら、あなたの出現に呼応して真っ先に現れてもおかしくないと思わない?」

映像「何を言いたいの?」

マミ「魔獣は、どういうわけかこの世界に現れることができない……そして、私はそれを知っている」ジジッ

映像「あなたまさか、世界の二律背反が生んだ答え……!?」

マミ「そう、魔獣が世界を救うために、円環の理と繋がり私をここへ送った!」

ジジッ!!

――ほむらの隠れ家

バヂィ!! ボォン!!

ほむら「きゃっ!?」

マミ「ふぅ……」

ほむら「まさかワープしてくるなんて……」

マミ「根元の世界で何をするつもりなの?あなたは」

ほむら「ふふ……はははは!」

マミ「!?」

ほむら「そこまで知ってるなら話が早いわ……」

ほむら「私は最初、私の世界のまどかを救うためだけの研究をしていた」

ほむら「そのうち、世界の外にまた理を超えて世界が存在するのだということを知った」

ほむら「しかし、世界が世界でいられてるのはそれぞれの世界の力だけじゃない」

ほむら「一つの太陽の光が全ての鏡面で光を映し出すように」

ほむら「ある日何ものでも無かったエネルギーだけの世界に爆発的影響を与えるものがあった」

ほむら「それがこの根元世界!」

ほむら「最初は双子の宇宙だと思っていたわ」

ほむら「だけど研究を続けるほど言うなら様々な世界にとっての『軸』がこの世界にあるのだと確信できた」

ほむら「全ての世界の根元であり太陽であり台本と言えるのがこの世界」

ほむら「なら、その魔獣とやらが干渉できないのも当たり前よ」

ほむら「この世界こそが真実」

ほむら「私の世界のまどかの犠牲なんて……」ギリリ

ガチャッ グルグルグル

マミ「何をする気?」

ほむら「消してあげる……あなたも――」ユラァ

ほむら「変身」

ほむら「……」

マミ(なんて禍々しい魔力なの……それに魔法少女服の見た目も、私の知ってるどの暁美さんでも無い)チャッ

ほむら「……」

マミ「ティーロ!!」パァン!!

バチィッ!!

マミ「うそっ、素手で弾いた!?」

ほむら「……」シュンッ

ボゴォッ!!

マミ「がふっ――!?」

オエェー!! ビチビチビチ

ドサァ

ほむら「どうしたの?さっきまでの威勢は……」

マミ「あ、暁美さん、本当にあなた、暁美さんなの……?」ハァハァ

ほむら「……」

マミ「……わかったわ……あなたを倒す、そうすればいつか――」

パァァ!!

マミ「本当のあなたとまた会える」

ほむら「二段変身……」

マミ「ハァァァァァァ!!」

――見滝原市上空

市民A「お、おい!なんだありゃ!」

市民B「この間海老みてーな怪獣が出たと思ったら今度は超能力者同士の対決かよ!?」


マミ「だああああ!!」ビュンビュンビュン

ほむら(リボン……?)シュビビビビビ

マミ「くらいなさい!」

ほむら「いつの間に全方位に銃撃のトラップを――」

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!

マミ「ティロ!!」

ゴォッ

マミ「フィナーレッ!」

ドォォッ!!


ボッ キィィィィィン ドゴォン!!

マミ「……」ハァハァ

モクモクモク…

化け物「」ピクピク

マミ「え!?」

ほむら「さすがに今のは危なかったわね……」

マミ「後――」

バキィ!! キィィィィィン ドォン!!

マミ「あっぐぅ……体の大きさは暁美さんなのに、ワルプルギスの夜に全力で殴られたみたい……」ダクダク

ほむら「魔獣とやらの作った体でも赤い血を流すのね」

マミ「はぁ、はぁ……なら、とっておきを、見せてあげる」

ほむら「……」

マミ「Candeloro!!」ババババババ

キャルゥーン グルグルグル パッ!!

ほむら「リボンが人形に……」

マミ「『夢幻の舞踏会』!!」

キャンデロロ「……!!」

ザァァァ

――宮殿

ほむら「ここは……」

あかいろさん「……」ズバッ!!

スカッ

ほむら「新手……いえ、これは」

あおいろさん「……!」シュッ

ヒュッ

ほむら「巴マミの……空間」

ももいろさん「……」ビンビンビン

タタタン

ほむら「巴マミは……?」

くろいろさん「……」

ほむら「あの服は……まさか!?」

カチッ

ほむら「くっ、動けない……」

あかいろさん達「……!」ザッザッザッザ

 ・

 ・

 ・

――見滝原市

マミ「……今は、あそこに閉じ込めておくしかないわね」ハァハァ

マミ「今の私には円環の理の魔法少女全ての色に応じた使い魔がいてくれてる」

マミ「暁美さんが途方もない力を持っていたとしても、時間稼ぎしてくれるはず」

マミ「……その間でどこかにいる私達の世界の美樹さんを見つけられれば、きっと――」

――高台

マドカ「……綺麗」

キュロキュロ

知久「ずっと病室に籠もっていたら良くないと思って連れて来たけど、良かったみたいだね」

マドカ「うん」

知久「何があったのか、パパに教えてくれないかい?」

マドカ「でも……」

知久「どんな話でも、信じるよ」

マドカ「……あのね」


知久「魔法少女、か……」

マドカ「『今とは違う自分になろうとは思わないで』でないと『全てを失うことになる』」

マドカ「魔法少女だったその子が言ってた事って、魔法少女の運命のことなのかな」

知久「……それのみだったらそんな言い方はしないさ」

マドカ「え……?」

知久「きっと途方もない辛いことを見てきたのかもしれないね、そして誰にも秘密にしなきゃいけない事がまだ魔法少女にはあるんだろう」

知久「人が追い詰められた言い方をするのは、どうしようもできなかった事がありすぎる時なんだ」

知久「辛いことを具体的に言えるうちは、考え方を変えたり諦めなければまだ生き方を選べる」

知久「その子の言葉は、まどかの思っている以上に振り絞って伝えられたものかもしれないね」

マドカ「そんな……なのに、わたし……」

知久「よくあることだ」

マドカ「え……?」

知久「どんな社会にあったとしても、大人になるほど無情な世界を知ることになっていく」

知久「人が選別され、差別され、歯車に組み込まれ、欠け落ち失われるパーツを否応なく見下ろしていく日々が続く」

マドカ「……ぐすっ」

知久「ご、ごめんっ……怖い話をしたいんじゃなくて……」

ポン

知久「そんな日々で、心を癒やしてくれる存在がどんなに愛おしいか」

知久「ママがまどかに向かって泣いた時、まどかはどう思った?」

マドカ「心配させすぎちゃったかなって」

知久「もちろん、それもある……でもねママはあの時、まどかを失うかも知れなかったって気持ちでいっぱいだったんだ」

知久「ママにとって、まどかとタツヤが全てなんだから」

知久「現実の中で、君達だけが笑顔と明るい未来を取り戻せる唯一の存在なんだよ」

マドカ「パパもだよ!」

知久「はは……それは自分から言うと男としてパパの愛がママに負けてるみたいで嫌なんだ」

マドカ「え?」

知久「パパが一番ママと、まどかとタツヤ家族全てを愛しているからね」

マドカ「よくわかんない……」

知久「そのままの優しいまどかでいてくれよ」ヨシヨシ

マドカ「ん……」

知久「……他人が人にそのままでいてほしいって言葉を送るのはプロポーズの場合もあるかな」

マドカ「なんで?」

知久「ずっと側にいたいって意味にもなるから」

マドカ「女の子同士なのにあるはず無いよ~」ティヒヒ

知久「ははは」

――キリカ邸

キリカ「うぅ……そとこわい……」

キリカ「なんで私が……」スンスン

トントン

キリ母「キリカ……とっても良い天気だし、変な人も化け物もきっと出てこないよ」

キリカ「やだぁっ!」モゾモゾ

キリ母「うん……体、壊しちゃだめよ……出たくなったら、母さんも一緒に外へ出てあげるから」

キリカ「うん……」

キリ母「そういえば、御近所のキリカと仲良しだったえりかちゃんが帰ってきたみたいよ」

キリカ「え……?」

――外

コソコソ

キリカ「教えてもらったえりかの新しい家は、ここらへんのはず……」

キリカ(私、何してるんだろう?えりかに会って、何を……それに)


~~~~~~~~~~~~~

知らない人「ちょっと服をかりるわね」バリバリッ!!

キリカ「やあああああああっ!?」

~~~~~~~~~~~~~

キリカ「あれ以来人の視線が気になるよ……」

海老怪物「キュロロロ!!」

キリカ「な、なにこいつ!?」

海老怪物「ブシュアアアアア!!」タタタ…

キリカ「ああう……ずぶ濡れ……」トホホ

~~~~~~~~~~~~~

キリカ「白くて綺麗で大きな宝石を拾ったから胸ポケットに入れて交番に届けよう」テクテク

化け物「がるるるぅ!!がるっ!」ズバシュ!!

キリカ「やあああああああっ!?」

キラキラ ヒョイ

化け物「がる……?がるっ」ポイッ

キリカ「なんなの……」シクシク

~~~~~~~~~~~~~


キリカ「あと、あれと、あれと……思い出したらまた怖くなってきた」ビクビク

えりか「……キリカ?」

キリカ「――あ」


つづく

――公園

えりか「……」

キリカ「……」

えりか・キリカ「あ、あのさ」

……

えりか「ま、まさか、キリカが迎えてくれるなんて思ってなかった」

キリカ「私にだってわからない……」

えりか「新しいお父さんの実家が見滝原でさ、それで、それで……」

キリカ「……」

えりか「その……」

キリカ「……帰る」

えりか「キリカ……」

化け物「ギャオオオオオオ!!」

キリカ「ひぃっ!?」スッテン

ヒーロー「ヒーローキック!」

化け物(着ぐるみ)「ぐわああああああ!」

子供「いっけー!ヒーロー!」

ワイワイ

キリカ「化け物こわい……こわい!」ブルブル

えりか「き、キリカ?」ソッ

キリカ「ひっ!?」バシィ

えりか「痛っ」

キリカ「ご、ごめん――」

えりか「何か、あったの……?」

えりか「過去に戻って来たのよ!って叫んでる人に服を奪われて以来、ついてない?」

キリカ「うん……」

えりか「未来人じゃあるまいし……それに変だよ、それ」

キリカ「え……?」

えりか「目的があって過去に戻ったからそんなに喜んでたんでしょ、なのにどうしていきなり問題を起こすような事するの」

えりか「バタフライエフェクトって知ってる?過去で起きたことは虫の羽ばたき一つでも次第に大きな影響を与えて未来を予測困難にするって」

えりか「その人が未来人ならあたしならわざわざ自分を不利にするようなことしないんだけど」

キリカ「そんなこと言われても」

えりか「見滝原なんて、どうでもいいのかな……」

キリカ「え?」

えりか「だからその未来人が化け物を放ち続けてて、それ以来キリカが巻き込まれてる」

キリカ「……外が怖いのはそのせいだけじゃないよ」

えりか「え……?」

キリカ「私が、ダメな子だから」

えりか「キリカ……」

――翌日

キリカ「外……やっぱり怖い!」

キリ母「キリカーっ!えりかちゃんが迎えに来たわよ」

キリカ「え……?」


えりか「キリカおはよう」

キリカ「えりか、なんで……?」

えりか「あたしにもよくわかんない」

キリ母「なんだかこういうの懐かしい!キリカ、えりかちゃんがいれば大丈夫でしょ?」

キリカ「え?」


――通学路

キリカ「うぅ……」ビクビク

えりか「まさか学校も久しぶりとか……あたしより転校生みたいじゃん」

キリカ「でも……」

えりか「あたしが迎えに来て嫌じゃなかった?」

キリカ「……そうでもなかった」

えりか「――!」

キリカ「な、何?」

えりか「……なんでもない」グス

えりか(あたしはずっとキリカにあたしがした万引きの罪を怖くて押し付けたのを気にしてたのに)

えりか(キリカは、あたしを恨んでなかった――?)

――駅

パプーン

えりか「キリカ、こんなところ見てたら遅刻するよ」

キリカ「う、うん……」

えりか「……好きな人でも通るの?」

キリカ「えっ!そ、そんなんじゃないよ!//////」

えりか「ふぅん……」

キリカ「あっ――」

織莉子「……」スタスタ

えりか「えっ――女!?」

キリカ「ただ……お礼を言いたいだけなんだ」

えりか「御礼……よし……!」

タタタッ

キリカ「えっ!えっ!えりか!?」

えりか「スミマセーン」

織莉子「……わたし?」

えりか「はい!友達があなたに言いたいことがあるって……」

織莉子「……?」

キリカ「え、あ、あの……」モジモジ

織莉子「……」

キリカ「……あ、ありがとうございました」

織莉子「う、うん……」

えりか「ほら、言えるじゃん!」

キリカ「で、でも、違うんだ……」

えりか「……?」

キリカ「……ぐすっ」チラッ

織莉子「……?」

ポーン

織莉子「あ……」

キリカ「ご、ごめんなさい!電車が来ますね、どうぞ!」

織莉子「うん……じゃあ…………またね」

キリカ「……!」パァァ

織莉子「! ……」ニコ

タッタッタ

えりか「はぁー綺麗な人だったなー」

キリカ「うん、うん……!えりか!またねって言ってもらえたよ!」

えりか「そ、そうだね」

キリカ「ありがとう!えりか!」

ギュッ

えりか「……! ――うん」ニコ

――えりか家 夜

えり義父「えりかちゃん、今日は学校で良いことあったのかい?」

えりか「え?別に……」

えり母「別にって、もう……でも、なんだか機嫌がいいわよね」

えりか「そ、そう?」


――客間

えりか「ふふ……」

えりか「なんでこんなに嬉しいんだろう……不思議だな」

えりか「キリカと仲直り、できたのかな?」

えりか「……バタフライエフェクト」

えりか「未来人が来なかったら、あたしとキリカはもしかして、ずっとすれ違って……?」

えりか「でも、キリカが襲われなかったほうが良かったはず」

えりか「あたし、また自分のことばっかり考えて……あたしのほうが、ダメな子だ」

『――うん……ダメな子だね』

えりか「へ?」

『みんなに迷惑かけて、不幸にするね』

えりか「……」

『そんな子は、消えちゃったほうがいいよね――?』

魔女の結界『――』ポゥ…

――翌日

キリカ「フフ、今日もあの人に会えるかな?それにしてもえりか遅いなぁ……」

キリ母「キリカ!えりかちゃんが――」



キリカ「……なんで」

キリカ「せっかくえりかとまた仲良くなれそうだったのに」

キリカ「行方不明だなんて……誰が?」

キリカ「もしかして、私と一緒にいたから化け物に……」グスッグス


織莉子「……あれは」

キリカ「……」

織莉子「隣に座ってもいいかしら?」

キリカ「あ…………」シュン

織莉子「どうしたの?」

キリカ「友達が、行方不明になったんです」

織莉子「そんな……もしかして、昨日の」

キリカ「私のせいじゃないかって……」

織莉子「どうして?」

キリカ「最近、ついてなくて……きっとそのせいで!」

織莉子「そんなことあるわけないわ」

キリカ「せっかく、あなたとお友達にもなれそうだったのに、えりかが……こんなのないよ!」

織莉子「私と……お友達に――?」

トルルルルーン♪

キリカ「もしもし……ぐすっ」

キリカ「え……えりかが戻ってきた!?」

――病院 外

織莉子「……」

キリカ「なんでえりかが!うわああああ!!」

織莉子(魔法でもなければ意識を取り戻すのは難しい、か……)

キリカ「ついてきてくれてありがとう……ずっと忘れない」

織莉子「え……?」

キリカ「わ、私と付き合うと、きっと不幸になるんだ……だから、昔も、今も、えりかが」

キリカ「それなら、誰とも付き合わないで一人でいたほうが楽なんだ」

キリカ「何度だって化け物に襲われたって、平気なんだ……!」グスッ

キリカ「さようならっ!!」

ダッ…

織莉子「あ……」

ググッ

織莉子(付き合えば不幸になるなんて、それは私のほうなのに――!)

~~~~~~~~~~~~~~

織莉子「うん……じゃあ…………またね」

キリカ「……!」パァァ

織莉子「!」

~~~~~~~~~~~~~~

織莉子「友達に、なりたかった――」

サヤカ「……修羅場見ちゃったよ」

サヤカ「奇跡でも魔法でもないと……恭介だって」

サヤカ「キュゥべえはどこにいるの?あたしは、今すごく契約したいのに……!」

サヤカ「まどかにベルトで……?今返したらそんなの、あたしの自分勝手じゃない!!」

サヤカ「うぅ……あたし何もできない……」

マミ「美樹さん……」

サヤカ「マミさん……?どうして」

マミ「そろそろだと思って……今日だったのね……キュゥべえは?」

サヤカ「(そろそろ?)それが全然見たことが無いんです」

マミ「私も……おかしいわね」

サヤカ「ねぇ、マミさん……話を聞いてもらえますか」

マミ「なるほどね……それはベルトを事情話して鹿目さんに返すべきだわ」

サヤカ「そんな!?まどかがどうなってもいいって言うんですか!?」

マミ「でも……あなたがずっと後ろめたくてもいつも通りのあなた達じゃいられなくなる、そうしたら鹿目さんはそっちのほうが悲しむ」

サヤカ「そっ……それは……うん」

マミ「美樹さんの気持ちも伝えて、ベルトの新しい使い方を一緒に考えていきましょう」

サヤカ「はい……」


マドカ「さやかちゃんが持ってたの……」

サヤカ「面目ないです……ごめん、まどか」

マドカ「ううん、それに身体も動かないしどっちにしろ戦えなかったよ」

サヤカ「魔法だけなら使える?」

マドカ「うん」

サヤカ「じゃあ……」


――恭介 病室

恭介「……」

サヤカ「入るね」

恭介「……」

マドカ「上條くん、こんにちは」

恭介「こんにちは……」

マドカ「ちょっと、手をかりるね」

恭介「……なんなら千切って持って行っちゃってもいいよ、使い物にならないからね」

マドカ「本当?」

恭介「さやかは何も言ってないのか?そうさ!指一本さえまともに動かせない!」

恭介「もう僕につきまとうなって言ってもまだ隣に座ってくるさやかにセクハラでもして幻滅してもらおうかって思ったってこの手は動かないんだよ!!」モミモミ

恭介「ん?」

モミモミ

サヤカ(殴ったらだめ殴ったらだめ殴ったらだめ……だめぇ//////)

恭介「ええええええええええっ!?」

モミモミモミモミモミモミモミモ

バッチィーン!!

サヤカ「……もう//////」

恭介「どうして?なんでなの!?」ヒリヒリ

恭介「動く!自由に動く!」ウルウル

恭介「ありがとう、鹿目さん!」

マドカ「えへへ」

マミ「女の子の胸をあんなに揉んだら責任とらなきゃね」

恭介・サヤカ「えっ//////」



サヤカ「もう、いきなり何言い出してるんですかー!あんなのアクシデントですよ!」

マミ「ふふ、アクシデントはお互いの一生忘れられないイベントにするべきだわ」

サヤカ「なっ……////// マミさんってそんな破廉恥なこと言う人だったんですね……何十年も生きた女の人みたい」

マミ「えっ!!(円環の理で記憶を持ち越したせいで精神年齢が進んでる……!?)」ガーン

マドカ「あはは」


――病院前

織莉子「……」ポツン

サヤカ「あ、あの人まだいる」

マミ(美国さん……この世界ではまだ魔法少女になっていないのね)

マドカ「いこ!」

マミ「待って!」パシッ

マミ「そうやって助けにいって、どうするの?次は、この病院の人全てを救うの?その次は?」

マドカ「え……」

マミ「気の向くまま助けてるようなうちはまだいいわ……だけどあなたが全てを救いたくなった時」

マミ「現実的に手の届かない人達に対して生まれる罪悪感をあなたは割り切れるの?」

マミ「全てを救えるかもっていう思い上がりに溺れてしまう前に、あなたの力は友達や大切な人を救うだけとか選別をつけるべきよ」

サヤカ「マミさん……」

マドカ「選別って、生きていると必ず生まれるって教えてもらいました」

マドカ「ならわたしは……手が届かなくなってから考えようかなって」

マドカ「ありがとう、マミさん!」

パッ タタタッ

サヤカ「あはは、まどからしいや……」

マミ(そうやってって、あなたはいつか孤独な神になったのよ……)

マミ(どの時空でも最高の友達があなたの犠牲の果てに必ず闇に堕ちる運命が待ってるって)

マミ(知ったら、あなたはどうするの?鹿目さん)

マミ(もしそれが世界に対しての犠牲になった時)

マミ(あなたを大切な人があなたという生贄を見て世界にどう思うか考えてほしい……)

――病室

えりか「ん……あれ」

キリカ「ふわ……!本当に!?えりか!!」

ギュッ

えりか「あたし、何して……」

キリカ「本当に、本当に良かったよ……」ギュゥー

織莉子「良かった……」クスン

マドカ「えへへ……」


医者「面会謝絶の病室で何事じゃ!鍵も盗んで来たのか!?」

マドカ「あ……」アセアセ

えりか「……?」キョトン

医者「なん……じゃと?馬鹿な!ありえない!」ガタタッ

医者「奇跡ってレベルじゃないぞ……魔法じゃ」チラッ

スタスタ ポン

マドカ「ふぇっ」

医者「君は知らない子だが、もしかして君がやったのかね?」

マドカ「えっと、その……」アセアセ

織莉子「お医者様、その子は違――」

医者「嘘つき政治家の子は黙っておれ!」

織莉子「――っ!?」

マドカ「え……?」

えりか「そういえば、あなたは……美国議員の娘、美国織莉子さん!」

織莉子「うっ……」

キリカ「えと……えと(何の話?)」アセアセ

織莉子(そんな……)ウルウル

医者「奇跡の子が稀にいるとまことしやかに昔から噂されてきたが都市伝説ではなかったようじゃな」

医者「どうじゃ?君の力を世界のために役立ててみんか?」ニタァ

医者(この子を解明して、ワシは再び権威を目指すのじゃ……)

マドカ「わ、わたしは――」

ギュッ

マドカ「えっ――」

織莉子「この子はあなたの妄想しているようなこととは関係ありません!!」ギンッ

医者「ひっ!?(なんじゃこの気迫は……!?)」

織莉子「あなたのような部外者こそ、『今は』退いてください……」

医者「ひゃ、はい」


医者(思わず退いてしまったが……ワシは間宮えりか君の主治医じゃぞ?なんで……)ブツブツ

マドカ「ほっ……」

織莉子「ごめんなさい、抱きついてしまって」

マドカ「いえ……」

キリカ(うらやまし……)タラー

えりか(なんて顔で見てんの……)ポコッ

キリカ(なんで叩かれ――!?)


――病院前

キリカ「今日はありがとう、鹿目さん」

マドカ「御礼は織莉子さんに言ってください、ずっとキリカさんを待っててくれたから、わたしも……」

キリカ「そうだったんだ……織莉子、ありがとう」

織莉子「あ、名前……」

キリカ「あ、あれ?つい!」

織莉子「いえ、それでいいわ……それがいい」クスン

キリカ「織莉子?」

織莉子「ありがとう、キリカ」

キリカ「――っ!~~~!」パァァ

織莉子「ふふ」ニコニコ

マドカ「えへへ」スゥ…

パァァ

マドカ「あ、変身が――」ガクッ

キリカ「えっ……」

キャッチ

織莉子「まどかさん!?」

マドカ「うぅ……」

キリカ「大丈夫なの!?」

織莉子「病衣ってことは……この子も入院していたんだわ」

キリカ「だから私達のこと知って……自分の魔法で自分は治せないの!?」

サヤカ「まどかーっ!」タタタッ

マミ「ちょっと見せて!!」

ポゥ…

マミ「こんな……いつ死んでもおかしくないじゃない」

キリカ「え……」

マミ「魔法をあんまり使ったらこのまま死ぬわよ、鹿目さん」

サヤカ「あたしのせいだよ……体がボロボロなのはわかってたのに」

マミ「いつもの鹿目さんだったからって、楽観視した私が悪いわ……鹿目さんこそそういう目で油断してはいけないのに」

織莉子「そのベルトに、そんな副作用が……?」

マミ「違うわ、鹿目さんの因果値が高すぎて、どうやらこのベルトが機能を発揮している間、変換された魔力が鹿目さんの体を切り刻み続けているみたい」

みんな「……????」

マミ「変身している間は平気だけど、解いた瞬間に体を制御できなくなる」

マミ「基本形態が美樹さんの魔法で良かった……それでもダメージが体の回復力を上回ってる」

サヤカ「あたしの……魔法?」

マミ「あっ……」

織莉子「詳しく、教えてくれますか……?」

キリカ「私は暗殺者」

織莉子「わたしはラスボス」

サヤカ「あたしって、ほんと馬鹿……」

マミ「全ては可能性での話よ」

サヤカ「そろそろって、あたしがキュゥべえと契約する日だったんだね」

マミ「ごめんなさい、内緒にしていて……」

サヤカ「あたし、転校生を……いや、ほむらを助けたい」

マミ「どっちの暁美さん?」

サヤカ「あ、この世界のほうで……」

マミ「あなた達は、鹿目さんを殺すべきだと思う?」

織莉子「……ありえないわ」

キリカ「そうだよ」

マミ「うん、知ってる」

織莉子「教える時点で、ある程度の信頼があったのよね……それはなぜ?」

マミ「時間軸によっては……あなた達が、私の掛け替えのないお友達だったから」クスン ニコ

織莉子「あ……」

キリカ「織莉子……ずっと、何を気にしてるの?さっき、医者に言われたこと?」

織莉子「うん……わたしが、まだ、友達に囲まれて平和に静かに過ごせるなんて、ありうるの……?」

キリカ「ありうる!というか、もう決めてる!」

織莉子「え……?」

キリカ「君と付き合うにあたって、障害になるものが何かわからないけど……些細だ」

キリカ「私は、どの世界でもあるがままの織莉子を、受け入れるんだ」

織莉子「キリカ……!」ギュゥー

ウェェェン

キリカ「ほ……ひあわへ……///////」

マミ(ふふ、呉さんて違う自分になるって願いにしては、いつだってブレない自分を持っているのね)

サヤカ「もう一人のあたしはどこにいるんだろう」

マミ「そうね……暁美博士の目的を止めるためだけじゃなくて、今の鹿目さんには癒やしができる魔法少女が絶対に必要よ」

マミ「私の魔法じゃ、応急処置程度だから……」

サヤカ「もう……癒やせるやつが一番癒やし必要とか、本末転倒じゃん」ニコ

ナデナデ

マドカ「ん……さやかちゃん」zzZ

サヤカ(どんな時でもいつだって親友でいてくれて、ありがとう、まどか)

――キュゥべえの基地(?)

化け物「ガルルルゥ!」

怪物達「ギュルウウウウ!!」

キューサ「よく暁美ほむら(博士)はこれだけの数の怪物を生み出したものだ」

キューサ「僕が回収してコントロールしなければ、見滝原がメチャクチャになっていたじゃないか」

キューサ「でも、手の届かない大きな脅威があれば鹿目まどかを契約させやすいだろう」

ホムラ「くっ……」

キューサ「見滝原全てのキュゥべえが情報収集をしてくれる……ある意味ここでそれを見れる君は捕まって良かったね」

キューサ「それにしても、もう一人の巴マミはこの世界に何をしに来たんだろう」

キューサ「僕のように、鹿目まどかに円環の理と釣り合う願いを叶えさせようとしている……?」

キュップイキュップイ

キューサ「でも今、マミは一番の不確定な脅威でもある」

キューサ「障害となる前に消すとしようか」

パチン

魔法少女?「……」スッ

ホムラ「魔法少女……?」

キューサ「それは魔法少女じゃないよ、怪物の進化した姿さ」

ホムラ「なんですって……!?」

キューサ「怪物は魂を抜かれた人間の成れの果てだけど、その変異には一定の法則がある」

キューサ「ブランクジェムとなる魂の濁りない部分だけを半端に抽出され変換されてしまった魂の隙間が、空間にある魂で補完される」

キューサ「その魂が海老の魂なら海老の怪物になり、狼の魂なら狼の怪物になる」

キューサ「それらがブランクジェムを取り戻しても、入り込む隙間の無いエネルギーが暴走し、その身を膨張させ怪獣となる」

キューサ「なら、その不純物の魂を取り除いて、魂の器にこれを乗せたらどうなるだろう?」スッ

ホムラ「グリーフシード……!?」

キューサ「僕には他にやるべき事がある……君が巴マミを消しに行くんだ、シャルロッテ……!」

シャルロッテ「……!」コクン

――翌日 夕方

まみ「……」トボトボ

まみ「孤独……よね、私」

まみ「半端な希望が照らされて……でも鹿目さんと美樹さんと進んでないし何故かキュゥべえもいなくなっちゃった」

まみ「なんでこうなったんだろ……?いまごろ楽しいお茶会を楽しみに盛り上がる帰宅道だったはず!」

まみ「暁美さんも……どっちも見ない!」

ピタ ガク…

まみ「もう歩くのも嫌……ここにしゃがんでれば誰か話しかけてくれるかしら」

 ・

 ・

 ・

ヒューン スタッ

シャルロッテ「トモエマミ、ケス……」

スタ スタ スタ

シャルロッテ「トモエマミ、…………?」

ウーン !

シャルロッテ「トモエマミ、フケツ……」

スタ スタ スタ


 ・

 ・

 ・

まみ「うぅ……寂しい……」の

???「トモエマミ……」

まみ「え!?」パァッ

シャルロッテ「トモエマミ……ラヴ……」

まみ「誰……?でも、白く薄紫色の髪が綺麗なかわいい娘ね……!」

シャルロッテ「トモエマミ……」タタタッ

まみ「何かな?」

SMASH !!

まみ「がふぅっ!?」

ヒューン ドサッ ゴロゴロゴロ…

シャルロッテ「……」

まみ「……」パァァ!!

まみ「魔法少女になれなきゃ重傷だったかも……」

シャルロッテ「……!」

グスッ ヒックヒック

シャルロッテ「……?」

まみ「どうじでぇ……わたぢ、普通にお喋りじたくて待ってただけぢゃなび……!」エグエグ

シャルロッテ「……!」アセアセ

――公園 ベンチ

ポゥ…

まみ「ふふ、そんなにお菓子出さなくても食べきれないわ」

シャルロッテ「……」

まみ「何だか不思議ね……生まれたてで何もわかってないみたい」

まみ「あなたは魔法少女なのよね?」

シャルロッテ「……?」

まみ「ま・ほ・う・しょ・う・じょ」

シャルロッテ「……?」

まみ「困ったわ……さっきのパワーを考えると解き放つのも危険だし……」

まみ「ねぇ、あなたうちにくる?」

シャルロッテ「……?」


――数時間後、マミるーむ

シャルロッテ「……」

まみ「……ずっとああやってじっとしてるわね……」

チン!!

まみ「ふふ、お夕飯できたわ、今日はグラタンよ……!」

シャルロッテ「……!」ピクン

スタスタ スチャッ

まみ「いただきます」

シャルロッテ「イタダキ……マス」

まみ「美味し~!今日はチーズたっぷりだしカロリーがすごそうだけど……今は気にしたくないもん」

シャルロッテ「ア……」ガクガク グスッ

まみ「……もしかして食べ方わからないの?」

シャルロッテ「アウ」コクコク

まみ「ふふ……はい、あーん」

シャルロッテ「アーン……」

モグッ ハフハフッ!!

まみ「ご、ごめん熱かった!?」

ゴクン

シャルロッテ「チーズ……」ツツー

まみ「え……涙?」

シャルロッテ「あう、あう」

まみ「もっと?」

シャルロッテ「モット……」

 ・

 ・

 ・

――翌日 ほむら博士の隠れ家

サヤカ「うわ……すっごい設備」

ギュルルルルルン

マドカ「この中に、博士が……」

マミ「出てくるのは時間の問題ね……その時、もう一人の美樹さんがいないと正直に勝てないわ」

マドカ「もう一人のさやかちゃんはキュゥべえに吸収されちゃったんです」

マミ「え……?」

サヤカ「まどかー!こっちこっち!!」

キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ

マドカ「すごくたくさんのブランクジェム……!」

マミ「回復できる子を探さないと使えないけどね……」

――マミるーむ

まみ「今日が休みで良かったわ」

シャルロッテ「……?」

まみ「きっとあなたも会話を覚えればできるようになるから」

まみ「キュゥべえがいればもっといい方法を教えてくれたかもしれないけど」

まみ「さらわれていなくなっちゃったのよ……どうしてキュゥべえを……」グスッ

シャルロッテ「……」フキフキ

まみ「優しい子ね……」

SMASH!!

まみ「あぐっ!!」

ヨロ… トサ…

まみ「どうして……たまに殴るの?」グスッ

シャルロッテ「トモエマミ……ケス」

まみ「そんなことしたら……もうチーズ食べさせてあげない……」

シャルロッテ「……!?」

シャルロッテ「チーズ……ケス……?」

まみ「消すんじゃないわ……会えなくなるの」

シャルロッテ「イヤイヤ」

まみ「じゃあ消そうとしないで?」

シャルロッテ「ハイ」

――繁華街

まみ「そのお洋服はどう?」

シャルロッテ「ヨイデス」

まみ「とっても似合ってる……私のお古というのが申し訳ないけれど」

シャルロッテ「ヨイデス」

まみ「ふふふ!」ニコニコ



マミ「やばっ、もう一人の私がいるじゃない」カクレカクレ

サヤカ「えー、なんで隠れるんですか?」

マミ「だって話がややこしくなるもの」

マドカ「じゃあ、あたま解いて、このサングラスと帽子で!」

サヤカ「なんか備えイイネ……」

バッタリ

まみ「あら、二人とも!ごきげんよう」

サヤカ「ごっきげんよう!その子は誰ですか?」

まみ「ああ、この子は……」

マミ「――なぎさ……!?」

まみ「え?」

シャルロッテ「?」

マミ「あっ……な、なんでもないわ!渚のシンドバッド~♪」

サヤカ(マミさんそれやばいです)

まみ「……」ジトー

マミ「うぇひっ!?」

サヤカ「まどかはこうです『うぇひっ!?』」

マドカ「……」

まみ「ふふ、私達まだ急ぎで用事があるから、また今度ね」

シャルロッテ「ナノデス」



マミ「ふぅ~……ごまかせたわね」ドヤァ

サヤカ「いやいや、誤魔化せてませんて……」

マドカ「ふふふ」ティヒヒ

サヤカ「てぃひひ」

マミ「てぃひひ」

マドカ「そんな言い方してないもん!!」プンプン

サヤカ「今日もあたしの嫁はかわいいですなぁー!」

マミ「ふふ(こういうの、懐かしいわね)」ニコニコ

シャルロッテ「ヨカッタデス?」

まみ「……ごめんね」

シャルロッテ「ドウシテ?」

まみ「なんでもないの……」


まみ「……なぎさ」

シャルロッテ「ハイ?」

まみ「え?」

シャルロッテ「?」

まみ「あなたの名前、やっぱりなぎさっていうの?」

シャルロッテ「ナノデス?」

まみ「……名前の事はもういいわ」

シャルロッテ「……?」

まみ「なぎさ」

シャルロッテ「ハイ」

まみ「……帰りましょう」

 ・

 ・

 ・

ナギサ「朝なのです!起きてください!マミ!」

まみ「ん~…もっと寝る~」モゾ…

ナギサ「えー!今日は一緒に水族館へ行ってそこの特別なチーズ料理を食べさせてくれる約束なのです!」

まみ「……」ガシッ

グィッ

ナギサ「あっ!」

モゾモゾ モミクチャ モゾモゾ

…ギュー

ナギサ「ぷはっ……」

まみ「んん……」zzZ ニコニコ

ナギサ「仕方ない人なのです」

スルスル

ナギサ「散歩でも行ってきます」

ガヤガヤ プップー ピンポーン

ナギサ(ナギサには記憶がありません)

ナギサ(マミと出会った頃のこともつい最近ですがよくわかりません)

ネーパパー ナンダイ? キャッキャ

ナギサ(……思い出せないことは想像しても仕方ありません)

ナギサ(ナギサはチーズが好きなのです)

トッ タタタタ

――公園

ナギサ「……」

オーイ チャントキャッチシロヨー

ナギサ「……」

@@「ハジメテミルコ、ドコカラキタノ」ワニャワニャワニャ

ナギサ「はい?」

@@@「ソイツハナシカケテモ オモシロクネーカライコ」

ナギサ「なのです!」

@@「ハ?」

トボトボ

――病院

ナギサ「……」

マドカ「なぎさちゃん」

ナギサ「まどか」

マドカ「どうしたの?元気が無いよ」

ナギサ「車椅子の人に言われたくないのです」

マドカ「えへへ」


マドカ「随分喋れるようになったよね」

ナギサ「でも怖いのです」

マドカ「え?」

ナギサ「なぎさに世界が眩しすぎるのです」

――@@

ナギサ「道に迷ってしまったのです」

@@@ーーー @@

ナギサ「なのです」

@@「ミチニマヨッタノ?」

ナギサ「迷ってません」

@@「ホントウニ?」

ナギサ「はいです」

ドンッ

ナギサ「あぅ」

小巻「ごめん、ぶつかっちゃって」

ナギサ「はい……」

小糸「ごめんね、お姉ちゃんがスペースとって……」ポンポン パッパ

小巻「……!?」


――@@@@@

@@

ナギサ「うっう……」グスッ

マミ「……」

ナギサ「あっ……」

マミ「どうしたの?」ニコ

ナギサ「マミには関係ないのです」

マミ「世界が変な風に見える時があるんでしょう?」

ナギサ「あ……っ!なんで、気づいて……!?」

ギュッ

マミ「こんなのあんまりよね……せっかく戻れたのに」

ナギサ「なぎさはやっぱり人間ではないですか……?」

マミ「人間よ、それを信じ続けている限り」

ナギサ「短い間ですが、マミと会えて良かったです」

ナギサ「本当は水族館行きたかったんですが、抱きしめてくれたのでいいのです」

マミ「……」

ナギサ「さようなら――」

キュゥゥゥン

グリーフシード「――……」

ドゴォォォォ!!

――お菓子の魔女の結界

マミ「……っ」ポロポロ

ドキュゥン!!

マミ「……遅かったわね、30過ぎる前にずぼらを直せるキッカケができて良かったじゃない」

まみ「な、なぎさに何をしたのよ!偽者!!」チャッ

マミ「私は何もしていないわ、卵だったグリーフシードが呪いを集めて魂の器を突き破って生まれただけ」

まみ「グリーフシード……ですって?」

マミ「そうなるとわかった私は、厄介なことになる前になぎさを消すつもりでここへ来たの」

まみ「何言ってるのかわからないわよ!」

マミ「いつか魔女になるなら死ぬしかないじゃない……そうでしょ」

まみ「そんなわけ……ない!あの子は……っ」

ドギュゥン!!

マミ「危ないわね」

まみ「別の道があったはず……許せない」

ドギュ ドギュ ダダダダダン パンパパパ

まみ(くっ……全ての攻撃が通らない……実力が圧倒的に上回られてる!)

マミ「そこっ!」ダンッ

まみ「くっ!」ダンッ

ギュィィィ パァッ

まみ「捕獲弾――!?」シュルル

マミ「まだまだね」

まみ「くっ……」ギチギチ

マミ「私に勝てなくても自分を責める必要はないわ……私は別の世界から来た未来のあなただもの」

まみ「なっ……」

マミ「だからなぎさの事も知っていたの」

まみ「……不可解な人達が存在していたのも同じなのね」

マミ「なぎさが何故魔女なのか……答えを教えてあげる」

まみ「……?」

マミ「なぎさはかつて魔法少女だった」

まみ「え――」

マミ「ソウルジェムは穢れで染まりきった時、グリーフシードに変わるのよ」

まみ「うそ……でしょ?」

マミ「嘘じゃないわ」

まみ「……殺して」ダラリ

マミ「……」

ザァァァァ

まみ「……?」

Charlotte「……!」クパァ

バクン!!

マミ「」

ブチィッ!! ポトッ ハグハグッ ペロリ

まみ「う、うそ……!一瞬で……拘束も解けた……」パラ…

Charlotte「……」キョロキョロ

まみ「あなた、なぎさ……なのよね?」ヨロッ…

Charlotte「……」ジー

まみ「私のことがわかる?」

Charlotte「……!」アーン

まみ「ひっ!?」

ダァン!!

まみ「あれ?」カチャッ

Charlotte「……!?」

まみ「私、なんで……」

キューサ「やれやれ、あんなこと言っておきながら抵抗するなんてね」

まみ「あなたは……!?」

キューサ「僕の名はキューサ、グリーフシードは回収させてもらうよ」

Charlotte「……!」ガパァ

キューサ「大分脱線したようだけど目的は達成してくれたね、『感謝』するよ」スッ

ビィィィィ!!

グリーフシード「」 カンッカンカン

まみ「なぎさああああっ!!」

キューサ「リーミティ・エステールニ……」

シュワシュワシュワ

――見滝原水族館

キューサ「……」スッ

ダァン!!

キューサ「おっと」スッ

まみ「ぐすっ……それは渡さない……誰だか知らないけれど、あなたなんかに!」

キューサ「困ったな……僕はもっともっと強くならなくちゃいけないんだ」

キューサ「例えそれがちっぽけな魂でも確実に吸収していきたいほどにね」

キューサ「邪魔はしないでくれるかい?」

ダァン!! ダァン!!

ピッ ピッ ポトポト

まみ「……!?」

キューサ「それに、既にあすなろ市といくつかの街の魔法少女を吸収してきた僕に挑むのは無謀だ」

まみ「吸収……?」

キューサ「見せてあげよう……『ヒュアデスの暁』の力を」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

まみ「なんて魔翌力なの……」ガタガタ

キューサ「さようなら、マミ」

ビィィィィ!!

モクモクモク

まみ「あれ……?生きてる……この剣は」

サヤカ「大丈夫ですか?マミさん!」

まみ「美樹さん!?もしかして契約を」

サヤカ「いや、投げたのはまどかですけどね」

マドカ「えへへ、間に合って良かったです」キュロキュロ

まみ「どうしてここが……」

マドカ・サヤカ「?」キョトン

サヤカ「だって、なぎさが来てから」

マドカ「マミさん、自分のことたくさん話すようになったの」

まみ「え……」

サヤカ「だからあたし達も一緒に行こうかーって!」

まみ「うっ……ぐすっ……」ポロポロ

まみ(覚えてて……私、いつの間にか――)

キューサ「いけっ!!」

化け物達「ガオオオ!!」

まみ「くっ!?」

キューサ「鹿目まどか……予定ではなかったけど、既に君を消すには十分そうだ」

サヤカ「し、白い顔のあたし……?あれがもう一人のあたしを吸収したキュゥべえってやつね」

マドカ「こうなったら変身して……」

サヤカ「だ、だめだよ!もう変身したら死ぬって言われたじゃん!しかも、あんな強そうなのと戦ったら……」

まみ(え――!?)

サヤカ「そうだ、さっきみたいに武器だけ出そう!そうしたらあたしが――」

マドカ「ありがとう、さやかちゃん……でもそうじゃないの」

マドカ「変身したら私は死ぬかも知れないけど、わたしはそれでも変身する時はするよ」

マドカ「ほむらちゃんが言ってたみたいに大切なものはいっぱいあるし、大切にしてくれる人達の気持ちだってわかってる」

マドカ「でもわたしは、こんなわたしでも、わたしがわたしだったから大切な皆と会えたって知ってるんだ」

マドカ「みんなを救える力があるのなら、わたしが生きているかぎり、みんなを守りたいの」

サヤカ「まどか……」

まみ(『わたしが生きているかぎり』、か……)

まみ(そうよね、矛盾してても、いつか変わる時が来ても……『私』は『私』だから)

まみ(なぎさもそう、そして、私と『生きた』――)

キュゥべえ「準備はいいかい?待ちくたびれたよ」

サヤカ「余裕しゃくしゃくね……まどか、絶対死なないでよ!」

マドカ「うん!」


スクッ

マドカ「へんしーん!」パァァ

タタタタタ

マドカ「たぁ!」

ガギィ!!

キューサ「そんなものかい?」

マドカ「そんな……指一本で止め――」

バキッ!!

マドカ「あぐ……じゃあこれなら!」

カチャン!!カチャン!!カチャン!!カチャン!!カチャン!!――

マドカ「トゥインクル・セイバー!」

ズバーッ!!


キューサ「……」

マドカ「!?」

キューサ「やれやれ、力の差をつけすぎちゃったようだね……力比べはもうよさそうだ」

シュンッ

マドカ「消え……」

キューサ「さようなら、鹿目まどか」ハラパン

グサァッ!! ボコォッ…

マドカ「かふっ――」

サヤカ「まどかああああああ!」


つづく

ポタッ… ポタッ…

まみ「そんな……」

キューサ「君にはできることなら契約してほしかったよ」

マドカ「……」ドサッ コフッ フーフー

キューサ「魔法少女だったら治る傷だけど……君の場合はどうなるんだい?」

サヤカ「おまえー!」

キューサ「?」

サヤカ「契約してほしかったなら、どうしていつもまどかの命を狙ったりしたんだ!!」

キューサ「……二律背反だ」

サヤカ「は?」

キューサ「君が一番わかるんじゃないのかい?」

サヤカ「なっ……!?」

マドカ「負けないよ……えへへ」ガシッ

キューサ「トドメを差してあげるよ」ジャキッ

サヤカ「――っ」


ポゥ


キューサ「んぐっ!?」

サヤカ「?」

キューサ「な、どうして……意識は無いんじゃないのかい?」

キューサ「……僕は君と一緒にいたいんだ!それだったら世界なんてどうでもいいんだ!」

キューサ「君は僕の初めての――だから――っ」

ボゴォッ

キューサ「あがぁぁぁぁ!!」

蒼のソウルジェム「――」ポゥ…

キューサ「ま、待って……」ヨロヨロ

フヨフヨ

マドカ「これって……もしかしてさやかちゃんの」ヨロ…

スゥ… カッチュン

マドカ「ブランクジェム入れるところに入っちゃった!?出さないと――」

カッ!!

コォォォォオオオ!!

マドカ「傷が治って……それに、力が溢れてくる」

キューサ「うう……昴かずみが持っていた融合の力は万能じゃないのか……?」

マドカ「もう一度だよっ!」チャキッ

キューサ「でも、それでも多くの力を取り込んだ僕に勝てるわけがないっ!」

ガキィン!! ギリギリ

キューサ「受け止め――」

マドカ「だあああああああああっ!!!」

キューサ「なっ、どうして……どうしてなんだ」

キューサ「いつも最後に逆転され――っ」

キューサ「うわああああああ!!」

  ・

  ・

マドカ「倒せた……の?」ドサッ

サヤカ「まどか!」タタタッ

まみ「化け物達も、帰っていく……」ハァハァ

サヤカ「まどか、まどかぁっ!ねぇってば、まどかぁ!」

マドカ「えへへ、生きてるよ……もう一人のさやかちゃんが守ってくれたみたい」スッ キラキラ

サヤカ「良かった……!」ギュッ

まみ「ふふ……」

――路地裏

ヨロヨロ

キューサ「っぐう……負けるはずが無かったのに……いくらさやかのソウルジェムがあってもあのパワーアップはおかしいよ」

キューサ「ベルトの拡張強化パーツとしか見ていなかったマジカルコア……まだ隠された機能があるんだ」

キューサ「それに……都合よく僕が、いや、キュゥべぇという存在の詰めがいつもここぞで甘いのは――」

キューサ「何か、強い力がきっと働いているんだ」

キューサ「僕達が最初から魔法少女の勝利を彩るための演出として宇宙に生まれてきた運命なのだとしたら」

キューサ「策を弄し、そしてそれが綿密で強いものであるほど」

キューサ「最終的に、より強い力を手に入れ魔法少女が勝つ!」

ピタッ

キューサ「わけがわからないよ!!」バン!!

ドガッシャーン!! コロンコロン チューチュー

????「アンタも、その答えに辿り着いたんだ」

キューサ「君は……」

????「アンタ一人じゃ勝てないかも知れないけど、魔法少女と組んだらどうなると思う?」

????「宇宙をぶっ潰すんでしょ?協力してやんよ」

キューサ「何故、君が――」

????「アタシ達の運命をもてあそぶ宇宙なんて、全部呪ってやる……!」

――数日後

~~~~~~~~~~

仁美「私、明日の放課後上條君に告白します

~~~~~~~~~~

帰宅道

サヤカ「はぁ……」

サヤカ「マミさんに別の世界のあたしが魔女になった理由を聞いてたけど」

サヤカ「……こんなの本当に受け止めきれないよ……わかってやってんの?仁美……」

キラキラ

サヤカ「もう一人のあたしさ、引きこもってないで出てきてなんとか言ってよ」

サヤカ「どうやってあんたは心の整理をつけたの……?」

サヤカ「そもそもあたしは恭介に、何もしてあげられてないよ……」


サヤカ「うっ……ぐすっ……マミさんは細かく教えてくれなかったけど、わかるよ」

サヤカ「あたしはこのあと振られて、恭介と仁美がくっつくってこと」

サヤカ「やだぁ……やだよ……恭介ぇ」グスッ


ほむら「……」ヨロヨロ

サヤカ「……あれは」

ほむら「」ドサッ

――美樹ハウス

ほむら「――ここは」パチッ

サヤカ「あ、ごめん……起こしちゃったね、はい冷やすタオル交換するよ」

ほむら「どうして……」

サヤカ「どうしてって……どっちのほむらか正確にわからないから、連れてきただけだけど」

サヤカ「ベルト持ってるからたぶん、とは思うけど……」

ムクッ

ほむら「――痛っ!!」

サヤカ「動かないで、傷だらけだよ」

ほむら「……誰にも伝えてないの?」

サヤカ「う、うん……」

ほむら「馬鹿ね……!私がどうするかとか考えないの!?」

サヤカ「どうしてあんたが怒ってるのさ……気絶した時、あんなこと言うんだもん」

――――「まどか、まってて」

ほむら「……//////」

サヤカ「この世界のほむらもさ、最初は変な奴って思ったけど……まどかを救ってワルプルギスの夜を倒すためにタイムスリップしたらしいんだ」

サヤカ「もしかしたらあんたも……?」

ほむら「まどかを救うためじゃないわ……」

サヤカ「え?」

ほむら「くく……この世界を破壊しに来たのよ」

サヤカ「……中二病でしたかー」

ほむら「違うわ!本気なのよ?怖いでしょう?憎いでしょう!」

サヤカ「はいはい、あたし思うんだけどさ、本気でそうしたい奴はそんな顔しないと思う」

ほむら「えっ……」パッパ

サヤカ「どうしてかな、何となくわかっちゃうんだよね、あんたが不器用だってこと」

ほむら「……」

 ・

 ・

サヤカ「寝心地はどう?」

ほむら「悪くないわ……ありがとう」

サヤカ「……ん」

ほむら「……あなた、泣いてたの?」

サヤカ「あれ、わかっちゃったか、ちゃんと拭いたのになー……」

ほむら「……失恋ね」

サヤカ「どっ」

ほむら「わかるわよ……私にも経験があるから」

ほむら「少し私の話をしてあげる」


ほむら「私のいた世界では、魔法少女なんていなくて……とても平和な世界だったわね」

ほむら「皆が、どこか運命をわかっていて、諦めにも似たような覚悟を秘めていたけれど、不思議と誰かに優しくなれる……暖かい世界だったわ」

ほむら「その世界で私はまどかと美樹さんとはクラスが違っていて、どちらのことも何も知らなかった……ある事件が起きるまでは」

サヤカ「ある事件……?」

ほむら「美樹さんが、行方不明になった」

サヤカ「ぶふっ」

ほむら「でも私は、その前日美樹さんを見ていて、様子がおかしいことにも気づいた」

ほむら「だけど、見て見ぬ振りをした……その後それは一生の後悔になった」

サヤカ「な、何をそんな大げさな……知らないクラスメートでしょ?それにさやかちゃんはその後幸せになったのかも知れないし!」

ほむら「その世界にはデジャヴっていう特殊な精神現象があってね」

ほむら「デジャヴじゃないけれど、私は、美樹さんが何か辛い道へ行ってしまったのだと妙な確信があった」

ほむら「私は、美樹さんを取り戻すための研究する道を進むことを決めた……」


ほむら「美樹さんの件でとってもすてきな人と出会えた……それがまどか」

ほむら「彼女は私を、ずっと支えてくれた……語るのも難しいくらい、私の心のより所だった」

ほむら「途中から、美樹さんのことは忘れていたかもしれない……研究を続けていればなんとなくまどかと居られる気がした」

サヤカ(謎のショックなんですけど)

ほむら「……好き、だった」

サヤカ「……そ、それで?」ワクワク

ほむら「私の研究に出資し、利用してた奴にもてあそばれて意識が戻らなくなった」

サヤカ「――!?」

ほむら「私のせいで誰かの運命を狂わせて、一番大切な人さえ壊した」

ほむら「もう何をすればいいのかわからない……そんな時に、夢を見たわ」

ほむら「――元気な頃のまどかが、魔法少女になって会いに来た」

ほむら「研究を続けてねって……」

ほむら「翌日、まどかは安らかに眠るように逝っていたわ……」

サヤカ「……」

ほむら「私は、運命を変えるために研究を再開した」

ほむら「そして、辿り着いたのがここということよ」

サヤカ「なんで過去じゃなくて、ここに来たのさ」

ほむら「運命は変えられないからでしょうね……でも、いいのよ」

ほむら「調べているうちにここがもっと価値のある世界だとわかったのだから」

ほむら「ここは根元世界……全ての世界の設計図とも言える場所」

ほむら「運命を左右するイベントは、回避できない……だけど私には関係ない」

ほむら「この世界なんて、破壊してやる……!」

サヤカ「ところであんたってさ、もしかしてあたしよりずっと年上のおばー――むぐっ」

ほむら「それ以上言ったら……」ギリッ

サヤカ「むー!むー!」フルフルフルフル

パッ

サヤカ「ぜーぜー、じゃあ暁美さんって言うね、ほむらと分けれるし……」

ほむら「……別にいいわ」

サヤカ「運命って本当に変えられないのかな」

ほむら「この世界で観測したことと合わせてもそう言えるわね、と言っても人間の基準でそれが決められているわけではない」

サヤカ「どういうこと?」

ほむら「どの宇宙にも誤差があるからよ……しいて言うなら決められた運命の重なり合う点にいる子が魔法少女になりやすいということも突き止めた」

ほむら「より強い因果に縛られているという事であり、魔法という強い力の才能を持ち誰よりも自由であるように見えて、実はそうでないということね」

サヤカ「じゃあさ、暁美さんもうちょっと待っててくれる?」

ほむら「……?」

サヤカ「暁美さんから聞いた話と、他に聞いた話を合わせると、あたしの運命ってさ、遅かれ早かれいなくなってしまうことみたいだなって」

サヤカ「だから、あたしは運命を変える……!暁美さんも、まどかと宇宙を失わずに未来を変えれるってあたしが証明する!」

ほむら(眩しいわね……でも、私はもう、犠牲を生んでるのよ……?だから――)

サヤカ「待っててくれる?」

ほむら「……わかった、見届けてあげる」

――翌日 通学路

キュラキュラ

マドカ「はぁ……パワーアップしたのに結局車いすかぁ……」

サヤカ「もう一人のあたしのソウルジェムのおかげで死ぬって事は無くなったみたいだけど……」

―物陰

ほむら(車椅子のまどかの姿は……死ぬ前のまどかを思い出して辛い)

ほむら「美樹さん、あなたはわかっているの?運命を選択するという事は――」

ほむら「魂を自由へ解き放つのではなく、また違う何かへ縛り付ける事になるのだということ」

ほむら「運命に立ち向かう前を思い出し、いつか世界を呪うことになるかもしれない」

ファサッ ツカツカ…



――放課後

サヤカ(何も心が決まらないまま放課後になっちゃったよ……!)

サヤカ(一週間後とか、一か月後とかじゃなくて、なんで翌日なの……!?)

サヤカ(今日が、運命か何かで決まってるXデーなのー!?)

ハッ

サヤカ「そういえば、運命は決まってる……」

サヤカ「じゃ、じゃあ、もしかしてあたしが何かしてもしなくても……」

サヤカ「恭介の返事は変わらない!?」

サヤカ「で、でも、運命を変えるならそれを変えるためにやっぱり行動が必要で……」


仁美「……」フラッ


サヤカ「あれ?仁美?どこへ行くんだろう……恭介のことは……?」

サヤカ「……」チラッ


サヤカ「……家に帰るみたいだ……急な何かがあったのかな」

サヤカ「ふ、ふん……!なるほどね!運命はさやかちゃんの味方だったのだ!」

サヤカ「煮え切らないけど……何もしないっていうのも十分選択だよね!でも……いいのかな」

恭介「さやか、校庭見て何喋ってるの?」

サヤカ「いひぃっ!?恭介!?」

恭介「……久しぶりに一緒に帰らないかい?」

――帰宅道

恭介「歩くのまだ遅くて、ごめん」ヨット、ヨット

サヤカ「ううん、気にならないよ」

恭介「腕を治してくれてありがとう、本当に……」

サヤカ「そんな……頑張ったのはまどかだよ」

恭介「……さやかには酷い事たくさん言っちゃったね」

サヤカ「そ、そうだったっけ?」タハハ

恭介「『さやかは、僕を苛めてるのかい?』」

サヤカ「――っ!」ビクゥ!

恭介「……っ!本当にっ、ごめん……!」グスッ

サヤカ「ち、違うよ、今のは背中にいたずら虫が……」ワタワタ

ギュッ

サヤカ「!!」ピタッ

恭介「僕はさ、腕が治って、初めて気づいたんだ」

サヤカ「な、何に……//////」

恭介「僕の入院する前と比べて、さやかがまるで変っちゃった事に」

サヤカ「え?」

恭介「心がいつも通りの僕に戻ってくるにつれて、僕が君をどれだけ傷つけたのかを認識してくる」

恭介「僕の一つ一つの行動に、君はビクビクしているのに気付いているかい?」

サヤカ「そんなこと……」

恭介「辛いんだ!君が変わってしまって初めて気づいた気持ちに!そしてそれを裏切り続けていた僕自身が嫌になる!」

ギュゥー

サヤカ「い、痛……本当にどうしたの?恭介」

恭介「僕はいつの間にかさやかを失ったのかい?もう、いつかのように言葉を交わせない……?」

サヤカ「恭介……」


サヤカ「そんなことないよ、あたしは、ずっと恭介の傍にいたあたし、だよ」


恭介「さやか……僕は、君が好きだ」

サヤカ「――!?」

恭介「僕は、僕自身の弱さに腹が立つ……さやかに顔向けするのも辛かった」

恭介「けど、君のいない生活を考えても辛くて仕方ないんだ」

恭介「さやかにたくさんトラウマを作っちゃったけど……僕の傍にいてほしいんだ」

恭介「僕は、感情とか、幼馴染とか、そういうのを超えた本当の気持ちに気が付いた」

恭介「もう一度言う、さやか、君のことが好きなんだ」

恭介「僕は、強くなるから……これからも、ずっと一緒にいてよ」


ポロッ… ポロポロ


サヤカ「あ、あはっ……」ポロポロ

サヤカ「あー――――――――っ!!」シャガミ

恭介「さ、さやか!?」

サヤカ「うっ……ぐすっ……本当は、今日それを言いたいのはあたしだったの」

恭介「ほ、本当!?」

サヤカ「でも、でも、あたしの気持ち、重くない?」スンスン

恭介「え?」

サヤカ「寄り添って、支えて、傷を治して……、あたし、ずるいんだ」

サヤカ「そうすれば、恭介を、あたしの傍に縛れるかもってきっとどこかで思ってたんだ」

サヤカ「だから、すごく、すごく嬉しいのに……、胸が、痛いよ……!」グスッ

恭介「ごめん……、そこまで思いつめさせたのは結局、僕だ」

サヤカ「違うよ……!あたしが、弱かったから……本当の気持ちと、ずっと向き合えなかったから」

恭介「さやか……」

キュ

恭介「さぁ、立って」

サヤカ「あっ……」

恭介「今日は、このまま手をつないで帰ろう」

サヤカ「そんな……足に悪いよ」

恭介「ゆっくり行けば、大丈夫……時間をかけて行きたいし」

サヤカ「……//////」

恭介「昔は、さやかのほうがやんちゃでよく手を引っ張られたのにな」

サヤカ「む、昔は昔だし……」

恭介「これからは、僕が引っ張っていくんだ」

――数日後 雨

タッタッタッタッタ

サヤカ「……!」ハァ、ハァ


ほむら「見つけたわ」

サヤカ「あ……」

ほむら「そんなに走り回って、何を探しているの?」

サヤカ「仁美を、魔女に殺された仁美を蘇らせてもらうんだ……!キュゥべえを探して!」

ほむら「志筑さんが行方不明になった日……あなたの責任は何も無いわ」

サヤカ「嘘だっ!!」

ほむら「……」

サヤカ「暁美さんだって、もう一人のあたしのことを一生引きずったじゃないか!」

ほむら「ええ、それで大したことない事だったから結局忘れたわ」

サヤカ「……ぐすっ……今のあたしに優しくしないで……」

ほむら「魔法少女になれば、そのうちすぐにでも魔女というものに変わって死ぬ……」

ほむら「私との約束はどうでもいいの――?」

サヤカ「ううっ!あああっ!!」バシャァ

ほむら「しっかりしなさい!美樹さやかっ!!」ガシッ

サヤカ「!?」

ほむら「運命をつかみ取ろうとしているあなたには、これからも何かがずっとあるわ」

ほむら「……いつか真っ暗闇に沈む身だとしても、常に永遠であるかのような安息の答えを求めてる」

ほむら「それが人よ!希望を絶やさない限りそれはどんな立場でも変わらない!」

ほむら「だから辛い時ほど勇気を奮う!挫折を繰り返しても、何度だって立ち上がりさらなる答えの先へ進み続けるの!」

ほむら「運命を変えたいんでしょう!?美樹さやか!!」

ほむら「なら、希望を見失わないで!たとえ、大切な何かがどんなに失われていったとしても!」

サヤカ「暁美さん……」キョトン

ほむら「何……」

サヤカ「説得の仕方がお年寄りっぽい――」

バキィッ

サヤカ「痛た…………ありがとうございます」ニコ

ほむら「……ふふ」ニコ

ハッ

ほむら(私は何故、この子にこんなことを言って――)



つづく

――??基地

スタ… スタ…

マミ「……」キョロキョロ

ブゥン…

基地内放送『何をお探しかね?我々の基地をここまで破壊してまで』

マミ「あなた達に答える必要はないわね」

放送『佐倉杏子……違うか?』

マミ「……」

放送『図星か……「イレギュラー」の君にとってこの世界の佐倉杏子がどのような存在かはわからないが少し遅かったようだ』

マミ「まさか!」

放送『彼女は我々としばらく行動を共にして世界の全てを知り、自分の道を歩み出した……本当は手駒を増やしたかったのだがね』

マミ「手駒、ね……」

放送『君も我々に協力しないか?我々は人類の救済を目的としている』

放送『この基地を壊した事は、君の実力を評価して無かった事にしよう』

放送『どうやって魔女に食われて生き残ったのかわからないが、まだまだ手の内も隠しているのだろう?』

マミ「……あなた達の目的、知ってるわ……目的というよりも、定めをね……」

放送「それなら話は早い」

マミ「この組織の総帥であるあなたの子孫は、いつか世界を救済する魔法少女になる」

マミ「もしあなたの命を奪えば、人類も絶滅の道を歩んで荒廃した地球が未来になるわ」

マミ「だから、かつてある魔法少女が残した予言を知る世界の有力者達はあなたを野放しにしている」

放送「そういう事だ……誰も私に手出しはできないし、資金源も豊富にある……来る終末を怯える者達のおかげでね」

マミ「私がここへ来たのは佐倉さんを探しに来ただけじゃない……あなたの野望も止める」

放送「なんだと?」

――数時間後、燃えさかる基地

総帥「がふっ!!ここまでとは……我々の主要戦力の全てが……あ、悪魔か!?」

マミ「悪魔はもういるわ……とってもすてきな子なの」

総帥「わかっているのか!?私に何かあれば――」

マミ「……わかっていないのはあなたのほう」

総帥「……?」

マミ「魔法少女になる子は特異点なの」

総帥「何を……」

マミ「例え産まれる前に親を殺されても、そこに存在しうる強い因果の中にいるのよ」

総帥「なんだと……!?」

マミ「特に、世界を救うような運命のある子は……時空さえも歪めて、一番大切な友達さえ犠牲にしても……」

マミ「親が天使でも悪魔でも、必ず救世主として現れる!!」

総帥「フッ……フハハハ……だとしても今更、そんなことを言ってなんになる!それをどう証明する!?」

マミ「今の私はすべての宇宙に存在する、あらゆる可能性を見つめる存在と共にあるの」

ジジッ……

総帥「貴様……!?」

マミ「『魔獣』が本能で集め、蓄積した世界の情報を、既に世界へ拡散したわ……」

マミ「あなたをどうするべき存在だったか、これから世界が示してくれるはず」

クルッ… スタスタ…

総帥「まっ、待てっ!じゃあ、私はあの子(救世主)のなんだったのだ!私は、あの子にとって、存在すら無意味だったのか……?」

マミ「この世界へ来た暁美さん達の宇宙では……救世主が現れず地球は崩壊していたわ」

総帥「な、ならば……」ニヤッ

マミ「でも、それはその世界に『魔法少女が存在していなかったから』――」

総帥「……」ガクッ


スタ… スタ…

マミ(存在の意味なんて――)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「ソウルジェムが魔女を産むなら、みんな死ぬしかないじゃない!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

マミ「誰かが決めるものじゃない……」

――数日後 通学路

サヤカ「……」

マドカ「さやかちゃん」

サヤカ「……」

マドカ「さやかちゃんてば」ユサユサ

サヤカ「あ、なに?」ボー

マドカ「……何でもない」


――放課後 屋上

サヤカ「……」ボー

??「毎日辛気臭い顔しちゃって、アンタの友達と彼氏が探してたよ?」

サヤカ「……誰?」

キョウコ「は?この前あんなことしといて忘れたっての?」

サヤカ「よくわかんないけど……たぶんそれもう一人のあたし」

キョウコ「アンタ……そういう」ナルホド

サヤカ「中二病とかじゃないです」


キョウコ「ふぅん……色々あったんだな」

サヤカ「どうしてこうなっちゃったんだろう」

キョウコ「……あたしもそう思ってた、いや、そう思わないように抗い続けてた」

サヤカ「……?」

キョウコ「あんたはさ、理不尽な日々があってそれが裏で操られているとしたら……どうする?」

サヤカ「あんた……中二病?」

キョウコ「」

サヤカ「って言いたいとこだけど、今のあたしにはわかる」

サヤカ「ある人が言ってた、運命を変えるならあたしが生きなきゃいけないんだって」

キョウコ「……違うよ」スクッ

サヤカ「え?」

キョウコ「あんたは死ぬべきなんだ、アタシの手で」ジャキッ

ドゴォォン!!

サヤカ「ぐっ……」ヨロヨロ

キョウコ「あっと、手元が狂っちゃった……」

サヤカ「何?急になんなの!?」

ブンブン クルクル チャキ

キョウコ「アタシ達は特異点、特異点は特異点の選択でしか運命を変えられない」

キョウコ「そしてアタシとアンタの関係は、宇宙の筋書きで決まってるんだってさ」

キョウコ「だから『まずは』そこから壊す」

サヤカ「っ……」ドサッ モタモタ

キョウコ「ふぅん、本当に『アンタは』ただの人間なんだ」

ブンッ!! ドォォン

サヤカ「うわあああっ!!」ゴロゴロゴロ ズシャッ

キョウコ(……く、なんでだ……手が震える……アタシ、あんなちょっとの関係で
こいつに惹かれちゃったっていうのか?)

キョウコ「運命ってなんだよ……」ボソッ

サヤカ「……?」ハァハァ

キョウコ「アタシの感情ってなんだ!?父さんも母さんも、モモも失って、アタシがアタシだと思っていた事すらも何かに操られていたんだ!」

ブンッ!!グサッ!!

サヤカ「うっ!あああああっ!」

キョウコ「できる……アタシが世界の腐った運命を壊す!!」

サヤカ「待ってよ……」

キョウコ「?」

サヤカ「あたし、何にも知らないよ……」ポロポロ

サヤカ「どうして仁美が死ななきゃいけなかったの?あんたは何にそんなに怒ってるの?」

サヤカ「運命って、何?そんなもののために、どうしてこんな……辛いの?」

キョウコ「あ……」フラフラ ポトッ カラカラン

サヤカ「痛っ……これは、罰なのかな」グスッ

ギュッ

サヤカ「いいよ、殺しても」

キョウコ「!?」

サヤカ「暁美さんには悪いけど……あんたがそれで運命ってやつ変えられるんならさ」

サヤカ「あたし、もう――」

パァン!!

サヤカ「――っ!?」

キョウコ「バカやろう!!」

パァァ

サヤカ「傷……治して――?」

キョウコ「……アタシだって聞きたいよ」

キョウコ「神様に、なんであたし達を追い詰めるんだよって……」

サヤカ「……」

キョウコ「あんたはどう思う?」

サヤカ「神様って、ほんと馬鹿」

キョウコ「……ぷっ」

サヤカ「何よ……」

キョウコ「馬鹿、馬鹿か!あはは!なるほどね!その通りだ!」ケラケラ

キョウコ「馬鹿だから……こんな、こんな」

サヤカ「……ふふ」


キョウコ「――数日後、ワルプルギスの夜が来る」

キョウコ「あたし達は、ワルプルギスの夜に真の力の解放を促して……まず文明を破壊する」

キョウコ「あんたは、キュゥべえに守ってもらえ……あいつは何故かあんたに異常な執着してるから、守ってくれるはずさ――」


つづく

――ワルプルギスの夜 前日 深夜 まどかの部屋

マドカ(……眠れない)

マドカ「……」

ガチャッ キィ…

マドカ(……ママ?)

ホムラ「良かった、眠ってるようね……まどか」

マドカ(……ほむらちゃん?無事で良かった、けど……何をしに来たんだろう)

カチッ

カチッ

マドカ「……!?」

ホムラ「ごめんね……時間を止めた中とはいえ……でも、きっともうこれで最後だから――」

マドカ「……最後って何?」

ホムラ「まどか……!もしかして、ずっと起きて――!?」

ギュッ

マドカ「やだよぅ……どんどん友達がいなくなっちゃう……」グスッ

ホムラ「まどか……」

――数分後

マドカ「……正直、色々たくさんありすぎて、わけわからなくなっちゃってる」

マドカ「でも良かった、ほむらちゃんだけでも戻ってきてくれて」

ホムラ「……」

マドカ「脱出するのに、無理をしたの?」

ホムラ「これを見て」スッ

マドカ「ソウルジェム……黒くなりそう」

ホムラ「これが濁りきった時、私達魔法少女は魔女になる……もう、グリーフシードもわずか」

マドカ「そんな……」

ホムラ「明日、ワルプルギスの夜という強力な魔女が現れるわ……これじゃきっと苦戦する、だから……」

マドカ「皆で戦おうよ!わたしも――」

ホムラ「無理よ、それに――」

マドカ「それに?」

ホムラ(もう一人の私達が現れて、そして起きたことでなんとなくわかった)

ホムラ(この時間は私のいた時間じゃなくて、そしてあなたの因果を膨れ上がらせてしまっていたのは、私――)

ギュッ

ホムラ「でも、それでもまどかに、私は会いたかった……!」

マドカ「ほむらちゃん……!……、……」

チュ

ホムラ「……!?」

マドカ「さっきのこと、時間を止めてたって、ほむらちゃんの熱さが残ってた」

ホムラ「な――っ///////」

マドカ「ほむらちゃんの時間も、乗っかってた」

ホムラ「え?」

マドカ「ほむらちゃんが戦ってきた理由、きっとわたしのためなんだよね」

ホムラ「違――」

マドカ「誤魔化さなくていいよ、でも全部を話すにはきっと辛いことがありすぎたんだよね」

キュ

マドカ「わたしも、皆のことを言葉にできないよ……魔法少女のことも」

マドカ「ほむらちゃんの話を聞いて、魔法少女を助けたいと思ったけど、もしそう願ったら仁美ちゃんはどうなるんだろう」

マドカ「魔法少女がいることで幸せになるはずだった人達もどうなるんだろう……」

ホムラ「まどか……」

ホムラ「魔法少女を無くすと……巴マミは助からないわね」

マドカ「全ての魔女を私の手で、産まれる前に――」

ホムラ「ダメよそんな途方もない願い!それ相応の存在としてあなたが遠いところへ行ってしまうかもしれない!」

マドカ「前に言われたことがあるの」

マドカ「一人一人を無理して助けて、その次は、どうするの?って」

マドカ「わたしが願いで解決しただけじゃまたそこへ別の何かが魔法少女の代わりになって、苦しみも新しく現れるようになるのかも」

マドカ「全てを救うなんて、力があっても思い上がりなのかな……」

ホムラ「そうね、思い上がりよ」

マドカ「ほむらちゃん……」

ホムラ「残される友達のことを、何も考えてないじゃない……!」ウルウル

マドカ「……それって、ほむらちゃんのこと?」

ホムラ「ち、違うわ!さやか達のこと……!」

マドカ「ほむらちゃんとわたし、友達じゃないんだ……」シュン…

ホムラ「そ、そんな――」

マドカ「恋人だもんね」

ホムラ「!?」

マドカ「キスしちゃったもんね」

ホムラ「ま、まど……っ!?///////」

マドカ「なんてね//////」

ホムラ「あ……『なんてね』って言われるほうが恥ずかしいよ……///////」

マドカ「……//////」ウェヒヒ

ホムラ(あんまり恥ずかしくて、昔の私に戻ったみたい)クスクス

ホムラ(此処は『かつて』じゃないのかもしれないけれど……今、それを感じてる――)

――見滝原 ワルプルギスの夜

マドカ「――……」

キュゥべえ「見えるかい?まどか……あれが世界の全てを焼き尽くすワルプルギスの夜の真の力だ」

キュゥべえ「他の世界から来た僕と、杏子はあれをコントロールし何かしようとしたみたいだけど」

キュゥべえ「そんなことできるわけがない……」

キュゥべえ「ブランクジェムから産まれた大量の生き物も、この街、いや地球全体の生命もあの魔女に吸われていく」

マドカ「ひどい……」

キュゥべえ「マドカ、君は忘却の魔女というのを知っているかい?」

マドカ「……」フルフル

キュゥべえ「僕達がそもそも、イレギュラーを認識しているのはその魔女の存在ゆえだ」

キュゥべえ「僕達が未知の存在を技術として得る事ができたのは、忘却の魔女がいたから」

キュゥべえ「その魔女の結界は、あらゆる空間に通じ、僕達の波動操作の技術は飛躍的に進んだ」

キュゥべえ「その結果感情や魂を加工するまで至った……と、言われている」

マドカ「言われてる……?」

キュゥべえ「僕達には、どこから来たのかという認識が無い」

キュゥべえ「どこへ行くという人間のような哲学もなく、あるのは使命だけ」

キュゥべえ「美樹さやかに固執した別の世界の僕は、その二つをさやかに埋めてもらったのだろう」

キュゥべえ「僕達の常識では感情は精神疾患によるものだった……けど、欠けていたのは何も知ろうともしない僕達だったのかもしれない」

キュゥべえ「鹿目まどか、教えて」

キュゥべえ「両親を説得し、友達と決別し、力も無くここに立つ君に見えるのは何?」

キュゥべえ「ここは連なる世界の果ての果て、そして原初だとも言う」

キュゥべえ「この炎が特異点ならば、君達人間は何を得るんだい?」

マミ「勇気よ……なんてね」

マドカ「マミさん!生きてたんですね!」

マミ「……」フルフル

マドカ「あ……」ウルッ

マミ「でも、みんなの街を守れて後悔してない……他ならぬもう一人の私が言うのよ」

マドカ「マミさん……」

マミ「ここで使うつもりじゃなかったけど……」

マミ「魔獣装!」

ブワァッ!!

キュゥべえ「なんだこの力は!?次元の違うエネルギーを感じる……!」

マミ「相反するものの燃焼する力だもの……」

マドカ「マミさん……?」

マミ「鹿目さんは今、変身できないのだから無理をせず……まかせて」

タッ

マドカ「あ……」

キュゥべえ「マミは死ぬ気だね」

マドカ「もうやだよう……」

キュゥべえ「いざとなれば……君は運命を変えられる」

マドカ「……」

キュゥべえ「そのとき、君は何を願う――?」

――廃墟

キョウコ「へっ……あたしとしたことが、ドジしちゃったな……」

サヤカ「杏子、死なないで……」

キョウコ「おまえが悪いんだぞ……こんなところでフラフラしてるから」

サヤカ「だって、あたしあんたを探して――」

キョウコ「そっか……あたしが悪かったか」

サヤカ「違っ……そういう意味じゃ」

キョウコ「でも、嬉しいな」

サヤカ「え?」

キョウコ「呪いをふりまくあたしの人生が、やっと終わる」

キョウコ「最後が守れた人の手の中で、良かった……」

ガクッ

サヤカ「あっ……杏子!?やだ!目開けてよ!杏子!!」

サヤカ「そんな……!」

テトテト

キュゥべえ「そのままでは杏子は死んでしまう」

キュゥべえ「どうするんだい?君には運命を変える力がある――」

――ビルの屋上

ほむら「詰み、ね……」

ホムラ「うぅぅ……」グスッ スンスン

ほむら「どうしたの?残りわずかな力で行かないの?皆戦っているのに」

グイグイ

ホムラ「や、やぁぁ……」

ほむら「完全に腰が抜けている……失禁までして……」

ホムラ「あんなのっ、あんな……私が勝てるわけ……ううっ!!」

ほむら「違うわね」

ホムラ「!?」

ほむら「あなたは死ぬのが怖くなったのよ……そこまで恥を晒しても生きたい何かができたのよ」ニタァ

ホムラ「ひっ」ゾクッ

ほむら「だから、あなたは実力差を目の当たりにしても絶望をしない……本当の絶望はあそこ(ワルプルギスの夜)には無いから」

ホムラ「――なただって……」

ほむら「?」

ホムラ「あなただって、どうして戦わないの!?もうあのワルプルギスの夜だって、簡単に倒せるんじゃないの!?」

ハァッ ハァッ

ほむら「よくわかったわね」

ホムラ「やっぱり……!」

ほむら「でも戦えない……そのための力ではないから」

ホムラ「とっ、巴さんだって、あんな普通じゃなさそうな力を使ってるのに!」

ほむら「知らないわっ!」クワッ

ホムラ「ひぅっ!」

ほむら「……」

ホムラ「どうして……」

ほむら「……」

ホムラ「どうして、もう一人の私なのに、あなたはそうなのぉぉぉ」ウワァァァン

グスッ グスッ

ほむら「それも……私がこうしてる理由かもね」ボソッ

――廃墟

サヤカ「……契約しないよ」

キュゥべえ「どうしてだい?君は自分の手でキョウコを救えるんだよ?」

サヤカ「救いたいよ、本当に……救わなかったら絶対に一生後悔するよ!」

キュゥべえ「なら、どうして……」

ギュッ

サヤカ「杏子……手を握ってるくらい、いいよね」

サヤカ「最後まで、一緒にいるから」

キュゥべえ「このままじゃワルプルギスの夜に街が潰され君も死ぬ」

キュゥべえ「わけがわからないよ、助けることも、守ることも、生き残ることも放棄して」

――見滝原

マドカ「キュゥべえ、わたしにはわからないよ」

キュゥべえ「何が?」

マドカ「どうしてここが燃えているのか……」

キュゥべえ「今、目の前で起きているから……それとも過去の因果へ遡るかい?」

マドカ「そういうことを言ってるんじゃなくて」

マドカ「……わたしの頭じゃ言葉にできないよ」

マドカ「ただ、ただ、悲しくて……きっと誰もこうなるって望んでいなかったのに」ウルウル

キュゥべえ「君は甘いね」

マドカ「え?」

キュゥべえ「起きるべくして起きたこと」

キュゥべえ「そこにある以上望まれてそこにいるのさ何もかもがね」

キュゥべえ「人間の価値観では、期待に対して存在意義を度々問うけれど」

キュゥべえ「因果があってそこに存在しているものに、何もないことなんて無いんだよ、まどか」

キュゥべえ「それなのに託された運命を果たさずただ消失するなんて、もったいないじゃないか」

キュゥべえ「僕達も、存在する……だから、宇宙を救うだけだ」

マドカ「ぐすっ……キュゥべえかっこいい」

キュゥべえ「ありがとう」

マドカ「言葉だけ……」スンスン

キュゥべえ「そうかい」

マドカ「わたし……何も願わない」

マドカ「でも……信じてる」

キュゥべえ「何をだい?」

マドカ「あらゆる世界の、みんなの今までの、そしてこれからの、全ての『祈り』を」

――ビルの屋上

ググッ

ホムラ「……戦う」

ほむら「まだ、立ち上がれるのね」

ホムラ「まどかはまだキュゥべえに願ってない……私だって、やらなきゃ」

ほむら「……そのためになら、[ピーーー]ると言うの?」

クルッ

ホムラ「[ピーーー]る……それが私の生きる意味」ニコ…

ほむら「……」ツカツカ

バッ

ホムラ「……何をするつもり?」

ほむら「私がマジカルコアを通してこのダークコアに蓄積していた力で変革をもたらす」

ほむら「見届けなさい……宇宙の行く末を」

ホムラ「どうして、今?」

ほむら「……万が一、あなた達がこの先も生きたなら――」

ほむら「いえ、生きて欲しくなってしまったのかもしれない」

ホムラ「……?」

パァァァ!!

キュゥべえ「……あの光は!?」

マドカ「キュゥべえ?」

キュゥべえ「あの光の中心に凄まじい因果を感じる……膨れ上がってく!」

キュゥべえ「そしてこの感じは……まさか!」

マドカ「何が起きてるの……?」

キュゥべえ「何者かが、ナギサに起きたことと同じことを宇宙にしようとしている!?」


――廃墟

サヤカ「なんなの?光が、全体に広がっていく……もしかして、死ぬのかな?」

サヤカ「杏子っ!」ギュッ



パアアアアアアアアア!!

――神の瞳

サヤカ「ここは……宇宙?そして水玉の中?どうなっちゃったの?」

マドカ「さやかちゃん!」

サヤカ「まどか……」

キョウコ「ん……ここは」

サヤカ「杏子!?大丈夫なの?」

さやか「あたしが治した」

サヤカ「あんた……!どうして、今まで――」

スッ

さやか「この空間のせいだよ……あたしも今だって実体化してるわけじゃないけど……」

ほむら『そう、この空間は全ての世界が重なっているのが繋がり知覚できるよう私が調整した場所』

ほむら『あなた達の認識次第で、あらゆる所へ手が届くでしょう』

サヤカ「暁美さんの声……?」

マドカ「何を……何をしようとしているんですか!?」

ほむら『私が用意したこの空間の中心にある、あの神の器に全ての元凶を招く』

ほむら『それを倒せば、私達の、そして私の長い長い旅も……終わる』

さやか「ほむら……あんた、もしかしてこの空間に来て今まで色んなほむらとして生きた記憶が戻った?」

ほむら『……』

キュゥべえ『どうやら神の器から凄まじい魔法少女が産まれるようだ』

さやか「魔法少女だって……?」

キュゥべえ『いけない、生じる前からもわかるこれほどの力は……』

キュゥべえ『ここに、きっと忘却の魔女を呼び寄せてしまう!』

キュゥべえ『ワルプルギスの夜だけなら地球はなんとかなるだろう』

キュゥべえ『だけど、忘却の魔女はワルプルギスの夜より強大で、そして全ての魔法少女を消し去るためにやってくる!』

キュゥべえ『人類ごと消されてしまう!ひとたまりもないはずだ!』

マドカ「そんな……ママ!パパ!たっくん……みんな!」

――アメリカ ノースカロライナ沖

ズズズ… フォンッ

おじさん「な、なんだアレは……」

少女「お父さん、どうしたの!?」

忘却の魔女「……」

おじさん「あいつが突然現れたんだ……お前は避難してろ、俺はこいつを見張る!」

少女「だっ、だめだよお父さん……!」

おじさん「妻に先逝かれて一度は生きる気力を無くした俺だ……たまには皆とお前の役に立ちたい!」

少女「違うの……あいつは魔女なの!」

おじさん「はぁ?脳みそのモンスターがか!」

少女(結界を必要としないうえ、普通の人にも見える魔女……きっとただの魔女じゃないんだ)

おじさん「どうしてお前にそんなことがわかるんだ?」

トゥルルルル

少女(オーストラリアの魔法少女仲間から電話……?こんなときに)

チラッ

忘却の魔女「……」

少女(あいつは動かない……なら、情報を稼いでからでも)

ポチッ

仲間の少女『もしもし?今、私の前に変な魔女が……脳みそみたいで』

少女「えっ……?」

テレパシー『ねぇ!聞こえてる!?助けて!』

少女『どうしたの!?』

テレパシー『良かった……街の他の子に伝えて!脳みそみたいな魔女がショッピングモールに現れて―-』

少女『うそ……もしかして、狙いはお父さんじゃなくて』

少女(その時、私は気づいてしまった……お父さんの警戒する視線と、私の視線が合っていないことに)

少女(見えていたとき既に、魔女の攻撃は終了していたのだ――)

――神の瞳

キュゥべえ「忘却の魔女が確認されたらしい……汚染を遮断するため同期を切って向かった現地の僕達からの通信だ」

サヤカ「汚染……?」

キュゥべえ「忘却の魔女はまず星へ降り立つと、その結界を広げる」

キュゥべえ「生物の心の深層へと入り込み忘却の彼方へと誘う」

キュゥべえ「全ての魔法少女を忘れ去る……消し去ると言っていいそのために、因果まで汚染を広げると」

キュゥべえ「そこから連鎖反応で関係した者すべてに忘却の魔女が繋がっていく」

キュゥべえ「構築されたネットワークを元に結界は作られ汚染が広がるほどその結界は多様かつ深くなっていく」

キュゥべえ「君たち人間は自分をすぐ孤独になったと考えるけれど、人類には人の繋がりを絶ち忘却の魔女の汚染を食い止める手立てすら無いんだ」

キュゥべえ「結界に飲まれ、心の壁をも忘却し人類は一つとなってそしてその概念すら喪失し消滅するだろう」

マドカ「ぐすっ……誰も助けられないの……?」

キュゥべえ「無理だね……宇宙には因果すら汚染する生物は珍しくないがそのどれもが厄介だというのに抜本的解決は成されていないんだ」

マドカ「うう……」スンスン

キュゥべえ「……?何か変化があったみたいだ」

マドカ「え……?」

キュゥべえ「謎の力で跳ね返され忘却の魔女の力が広がらないらしい……」

さやか「もしかして、ほむら……!?」

ほむら『私は何もしていない……心当たりがあるとすれば――』

ピュウン

サヤカ「これ……映ってるの見滝原?」

マドカ「ワルプルギスの夜が、止まってる……」

ほむら『ワルプルギスの夜は、自分の結界で忘却の魔女の結界を押し返しているようね』

キュゥべえ「そんなことが……」

さやか「もしかして、ワルプルギスの夜は結界を張らなくていいんじゃなくて、既に地球全体に結界があったんじゃないの?」

キュゥべえ「確かに結界があればそこにいる人間は精神を魔女の下に置かれる……そうして精神汚染するような魔女から、人類を守り続けていたというのかい?」

さやか「そこまでは言いすぎだけど……あたし達が魔女に会わなくても弱気になると変な考えが浮かんだり、たまに不思議なものが見えたような気がするのは」

さやか「ワルプルギスの夜の、せいだったのかもしれない――」

マドカ「……っ」

タタタッ

サヤカ「まどか?」

マドカ「こんなの偶然だよね……」

マドカ「でも、世界を呪うしかできないと思っていたのに、どこかでそれ以外のことをできていたなんて」

マドカ「わたしの事じゃないのに、なんだかとっても嬉しいなって……」

ほむら『ワルプルギスの夜は、あなたの街を破壊しようとしていたのよ?』

マドカ「うん……ただ、今は……」

マドカ「ワルプルギスの夜……おねがい、みんなを守って――」


――見滝原

ワルプルギスの夜「……」

マミ(ワルプルギスの夜が止まった……)

マミ「動きさえ止まってしまえば……!」


――神の瞳

キョウコ「おい……マミがワルプルギスの夜にトドメさしちゃうんじゃないか?マミはここの話が聞こえてないんだろ?」

みんな「「「え!?」」」

サヤカ「あわわ……キュ、キュゥべえ!なんとかしなさいよ!」

キュゥべえ「すまない……色々あって、僕達の地球での数は激減していて、あの場に間に合う個体はもう……」

マドカ「やだ……やだよぅ!せっかく違う道が見え始めたのに、何もわからないでそれを潰しちゃうだなんて……!」

キョウコ「ダメだ……マミは、ここぞとばかりに大きいのを撃つ準備をしてる!」

マドカ「マミさん……!」

――見滝原

マミ「これだけ大きな大砲なら……!」シュルシュル

マミ「ワルプルギスの夜……色んな宇宙で、あなたを倒すためにあらゆる手を尽くしてきたけれど」

マミ「私一人で、あなたに勝てるかもしれないのは初めてね」

マミ「こういう勝ち方は、何か納得いかないけれど……あなた相手では手段を選べない、ごめんなさい」

マミ「Arrivederla(また会いましょう)――」


つづく

キューサ「ダメだ巴マミ……」ヨロヨロ…

マミ「あなたは……!」

キューサ「ワルプルギスの夜を倒せば、彼女が今、封じている存在の行動を許すことになる」

マミ「……どういうこと?」

キューサ「君は全てを知っているんだろう?なら言えばわかるよね、忘却の魔女の存在と、そしてそれが今ここに在るということを」

マミ「なんですって!?」

キューサ「……うっ」パタ…

マミ「キュゥべえ……最後にこれを伝えに来てくれたの?」

キューサ「そうじゃないよ、僕は君達に本当に勝ちたかった……でもできなかったんだ」

キューサ「何も変える事ができなかった、どうして宇宙を変えたかったのかも今はもうわからない」

キューサ「感情を得て、見つけたものは運命に操られていることへの絶望だけだったのかもしれない」

キューサ「僕は、何がしたかったんだ……多くのものを盗んでまで」

マミ「……いつも勝手よね……キュゥべえって」

ポタッポタッ

キューサ「泣いてるのかい……?」

マミ「あなたは何かが許せなかった……きっと、それだけよ」

キューサ「許せなかった……そっか、僕は……」

 ~~「この世界で、キュゥべえだけは最後まであたしの味方でいてね」~~

キューサ(僕達は世界で裏切られ続けている……何にかはわからない、けど)

キューサ「……僕はそれでも、泣いてる魔法少女の傍に、寄り添うだけで良かったのかな――」

……

マミ「逝ってしまったのね……」

マミ「……ずっと、寄り添う、か……」

――神の瞳

さやか「……キュゥべえ」

キョウコ「……」

キュゥべえ『みんな、とりあえずこっちに集中したほうが良さそうだ』

バチッ バチバチッ!!

サヤカ「『全ての元凶』、っていうのが出てくるの?」

パァァァァァァァァ!!

???「ウェヒ!? ここ、どこ!?さっきまで、自分の部屋にいたのに……!」

マドカ「え……」

黒髪まどか「あ、そっかー、想像ばっかりしてたら、夢見ちゃったんだ」

黒まどか「もう一人、わたしがいるし、変な夢だね!」

さやか「もしかして、高い次元の世界のまどか?でも、その世界には見滝原は存在しなかった……」

ほむら『いいえ、存在しているわ』

さやか「……?」

ほむら『世界は全て、同時に存在し、連なり、上下左右が有り、かつ中心一つである』

ほむら『過去も未来も、現実も想像も、重なっている』

ほむら『あなたの観る私の明日は、私の選んだ明日と、並行していく』

ほむら『笑顔と悲しみは、同じ場所に在る……』

さやか「日本語で言ってほしいなー……なんて」

ほむら『だから私は、いつまでも本当の過去へ戻ることができなかった』

さやか「あ、あたしさ……ちょっとわかんないんだよね……言わせないでよ……」プルプル

サヤカ「あ、あたしもわからない……」

キョウコ「ふーん、ようするに世界そのものは一つだけど見てるやつの分だけ宇宙があって、進む未来が強く独立するほどあたしたちは他人の認識した宇宙から外れてく」

キョウコ「過去へあたしが戻ったとしてもそれはあたしのそういう未来であって元の過去を繰り返すわけじゃないってことか」

キョウコ「それぞれの世界や次元も同じように、何かが形は違っても存在していて、干渉しあってる」

さやか「はは……いきなり何を語り出してるの?」

ほむら『……あなたは、何を願う?』

黒まどか「え?わたし?うんと……そうだなー」

黒まどか「友達が欲しいです……最高の、友達」

ほむら『それは無理よ……諦めてちょうだい』

マドカ「!」

黒まどか「え……?」

ほむら『あなたはここで、完全な孤独のままに死ぬのよ』

黒まどか「今日の夢は、酷いね……早く起きないと」ウーン、ウーン

ほむら『ここは現実よ、もうあなたは死ぬしかない』

黒まどか「嘘だよ!どうしてそんな……何のために死ななきゃいけないの!?』

ほむら『あなたの想像の、まどかのため――』

ほむら『そして私の――ずっと、ずっと……』

ほむら『宇宙は認識の世界であり、天然で魔女の結界の性質を持つ』

ほむら『そうね、忘却の魔女の結界は世界のエミュレーションとしてはよくできているかもしれない』

ほむら『世界は空間を食らい続け、中で生まれた魔女による独自の世界がそれぞれで熱を持ち、様々な結界が中で息づいているわ』

ほむら『私もまどかも、前の宇宙で一度は変革した世界に新たなる創世があると信じた」

ほむら『この宇宙の性質の、真の意味もわからずにね……』

ほむら『もう一度聞くわ、あなたの願いは何?』

黒まどか「いつだって助けてくれる最高の友達!わたしのためなら命だって懸けてくれるんだよ!?」

黒まどか「わたしが、どんな時だって――」

ほむら『死になさい』

キィィン

黒まどか「なに?この杭……え、やだ……誰か、助けて!『ほむらちゃん』!助けて!!」

キョウコ「な、なんでか体が動かない……」

さやか「ぐっ……これ、ほむらがやってるの?なんか……違う」

ブォンッ

ザクゥツ!!

黒まどか「……?」

マドカ「あぐぅ……」ボタボタ

ほむら『なっ……なんで!?』

黒まどか「……あ、なるほど……わたしの夢だし、死なないんだ……うまくあなた達がやっても、身代わりはもう一人のわたしが受けてくれる!」

黒まどか「『ほむらちゃん』が助けに来ないのは……きっとどこかに隠したからなんだね」

キョウコ「あたしだんだん理解してきたわ……この世界が理不尽なわけ」

さやか「奇遇だね、あたし達も」

サヤカ「達って……」

キョウコ「ずっと、あいつがヒーローに助けてもらえる世界だけを夢見ていて」

キョウコ「たぶん、あいつの世界で得た負の感情が作った魔女の結界が」

キョウコ「どういうわけか、この世界を包んだ」

さやか「あたしは外の世界の力と現実を知ったけど、ほむらが宇宙をどこまで知ったのかがわかってなかった」

さやか(ほむら、あんたはとっくにこれに気づいてずっと今日を用意していたの?宇宙改変のさいにまどかを最期信じても、失敗した時の備えを)

さやか(あたし、ほむらの絶望を何もわかってなかったのに、全てが良くおさまったように見えたから成り行きで全てを忘れる選択をしてしまったんだ……)

さやか(あたしの孤独なんて、全然たいしたことなかった)

さやか(なのに、あたしのせいで皆を、そしてついてきてくれたキュゥべえを、巻き込んじゃった)

さやか(ごめん、ごめんね……!)

黒まどか「ほむらちゃんを探しに行かなきゃ」ユラァ…

サヤカ「ね、ねぇ!あたし達が友達になるんじゃダメなの!?」

黒まどか「!?」

バキィッッ

サヤカ「あぐっ!?」

黒まどか「……あ、ちょうどいい杭があった」ズボッ

マドカ「うっ……」

グサァッ

サヤカ「あああああっ!?」ズブブ

キョウコ「てめぇっ!」

タタタタ

キョウコ「あれっ動ける!」

黒まどか「ビーム!!」

キョウコ「!? ぎゃあああああああっ!?」プスプス

ドサァッ

さやか「二人とも!!」

さやか(あたしだけ動けない……なんで!?)

黒まどか「さてと、トドメさしちゃおっかな~」チラッチラッ

ほむら「やめて……」スゥ

黒まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「もう、私達の世界を弄ぶのはやめてください」ドゲザ

さやか「……!?」

ほむら「あなたの友達でも、なんでもなりますから……」

黒まどか「やったぁ!やっぱり最期はほむらちゃんわたしの味方だね」

ほむら『さやか……』

さやか『ほむら……こんなのでいいの?友達になったら、どうなっちゃうの?』

ほむら『私が彼女の世界に行けば、私とあなたの世界から私の存在は未来永劫失われる……私達の世界にいた上条恭介のように』

さやか『そんな……まどかはどうするの!?誰が守るの!?』

ほむら『この超空間なら、なんとかなると思ってた……でも、彼女の支配を逃れるには私達の力では結局無謀だったみたい』

さやか『こんなのやだよ、ほむら……』

ほむら『そして、ずっと黙っていてごめんなさい……私達の世界から上条恭介を追放したことを』

さやか『え……』

スタスタ

さやか『ちょっと待ってよ……本当にお別れみたいじゃない』

さやか『ほむらのことだから、何か秘策があるんでしょ?どっかーん!ってさ』

スタスタ

さやか『なんとか言ってよ、ほむら……あたし、あんたを責めたりしない……ずっと友達でいたいって、最近は本当に思うの』

スタスタ

さやか『やだってば……ほむら……っ!』

クルッ

ほむら『まどかを、たのんだわ』

ほむら「さようなら」ニコッ

さやか「うわあああああああっ!!」


バリィィィン!!


みんな「!?」

クルクルクル シュタッ

マミ「誰?私の後輩達を泣かせているのは」

さやか「マミさん!?」

黒まどか「あなたは誰?」

マミ「私は巴マミ……あなたに、現実を突きつけに来た者よ」


つづく

黒まどか「げんじつ……?」

マミ「そう、現実……あなたにはあなたのふさわしい運命があるのよ」

黒まどか「また?……どうして受け入れなきゃいけないの?わたし、とっても辛いなって、無理だって、そう感じてるんだよ」

マミ「それは――」

ビーッ!!

マミ「うっ!」ポタポタ

黒まどか「聞いてないから?」

さやか(くっ……こんなの、まどかじゃないよ……)

マミ「わかった……じゃあ穏便に済ませたかったけれど私も、問答無用でいかせてもらうとするわね」スッ

パァァ

ほむら「巴さんまた魔獣の力を……でも無理よ」

マミ「ふふ……」ニコ

ほむら(自信が……あるというの?まったくの次元が違う存在に対し……)

黒まどか「……消えちゃえーっ!」

マミ「ティーロッ!」

カッ!!

ドゥン ズモォォ

キョウコ「すごい衝撃だ……二人とも大丈夫か?」

サヤカ「ありがとう」

マドカ「ありがとう……」シュン…

サヤカ「まどか?どうしたの?」

マドカ「育った環境が違っただけで、わたしはああなるの?」

サヤカ「それは……」

マドカ「やだよぅ……わたし、さやかちゃんと会えなかったら、きっと孤独でああなってたんだ」

キョウコ「それは違うんじゃないか?」

マドカ「え?」

キョウコ「アタシ達は、アタシ達……信じるんだ」

サヤカ「うん……いろんなあたしや皆がたくさんの世界にいて繋がってるのかもしれないけど、それでもあたし達には自分だけの心があるはずだよ」

マドカ「自分だけの……そうだよね」

ズサァーッ

黒まどか「あうぅ……っ」

マミ「はぁ、はぁ、どうしたの?さっきの威勢はどこかへ置いてきぼり?」

ほむら(すごい……この力は、きっと、この決戦のためだけに用意されたもの……なら、どうしてこの事象を魔獣は予測できたの?)

マミ「……とどめよ」

黒まどか「あっ、あっ、まっ――」

ドギュゥン!!

マミ「……どういうつもり!?美樹さん」

さやか「ぐっ……うぅ、ごめんほむら……」フラッ

ほむら「あなたって……本当に」

さやか「馬鹿でごめん」ドサ…

黒まどか「……な、なに……どうして?」

ソッ…

マドカ「わたし……」

黒まどか「……」キッ

マドカ「あなたのことを、教えて?」

黒まどか「自分のことでしょ……!?」

マドカ「ううん、きっと、わたし達は自分の事をほとんど知らない」

マドカ「わたしも、あなたに教えたい……『わたし』を」

キョウコ「まどか……」

ギュッ

黒まどか「知ってるよ、ずっと見てたから……『わたし』の夢」

黒まどか「暖かくて、何もかも持ってて、わたしよりも、ずっと望まれたわたし」

黒まどか「そして最高の友達……」

マドカ「……」ギュッ

黒まどか「わたしの人生、本当に酷いのに……わたしも、いつか笑えるの?」

ほむら「……私のせいで本当に辛い生き方をしたまどかでも、きっと信じてた」

黒まどか「何を?」

ほむら「……わからない」

黒まどか「わからないのに言っちゃうんだ……」

ほむら「ずっと、わからないことだらけだった……でも、私にも信じられる」

黒まどか「……あなたを連れていくだなんて無理だったんだね」

ほむら「……」

黒まどか「えへへ……戻ったら、わたし――」

ダァンッ!!

黒まどか「かふっ」

まどか「え……!?」

ほむら「巴マミ――」

ダァンッ!!

ほむら「うっ!?」ガクッ

マミ『何をやってるの?私達に許される道なんて無い……』

マミ『私達は……みんな死ぬしかないのよ!』

キョウコ「……マミ、てめぇ!」

ほむら「待って……きっと巴さんじゃないわ!」

マミ「うっ……皆、聞いて」ヨロヨロ

マミ「水を差すような結果になってごめんなさい……もう魔獣の本能を押さえきれない」

マミ「私が超大型魔獣になる前に……トドメを刺して」

サヤカ「そんなことして……マミさんはどうなるんですか!?」

マミ「消えてなくなる……」

みんな「!!」

マミ「くっ……迷ってる暇なんて無いわ!」

キョウコ「くそっ……一難去ってもまた……!」

ほむら「……っ」

マミ「何やってるの!?みんなは、生きなきゃいけないの!」

ほむら「……!くぅ……!」チャキッ

マミ「そうよ……」

ほむら(どうして……!?あの時がフラッシュバックする)


~~みんな、死ぬしかないじゃない!~~


ほむら(本当に、私の旅は……こんなことばかり続いていていいの?)プルプルプル

ほむら(なぜ……ここで撃たなきゃ、魔獣がここで出てしまえば、きっとこの空間も壊れ……)

ほむら(そうなったら、私の計画が……でも、私は巴マミに生きて欲しいと思ってる……!)


黒まどか「ほむらちゃん……」コポ

マドカ「じっとして」

黒まどか「ごめんなさい……自分のために、生きちゃったから、こんな……」

マドカ「それの何が悪いのかな」

黒まどか「え?」

マドカ「えへへ……皆自由に願っていいんだよ」

黒まどか「いじめとか、起きちゃうよ……誰も助けてくれないよ」

マドカ「……信じてる」

黒まどか「……?」

マドカ「皆と、全力で生きた先を」

――異次元空間

ホムラ「……zzz」

???「……らちゃん」

ホムラ「……んん、もうちょっと……」

???「ほむらちゃん」

ホムラ「うるさい……」

???「……おっきろぉーっ!!」

ホムラ「ひゃあい!?」

まどか「やっと起きた」ティヒヒ

ホムラ「ここは……」

まどか「ここは全ての世界の外、そしてホムラちゃんの盾はほむらちゃんの力で機能が拡張されて、今みんなが入ってるんだよ」

ホムラ「……??」

まどか「知ってる?わたし達は並行世界のわたし達と、繋がってるんだ……だから、他の世界の頑張りが、私達にも届くことがある」

まどか「それを見届けられる今のホムラちゃんだけにしかできない、やらなきゃいけないことがあるんだよ」

ホムラ「……何をすればいいの?」

まどか「杏子ちゃんを、助けて……」


つづく

――暗黒

スタスタ…

ホムラ「……」

まどか「……」チラチラ

ホムラ「……なに?」

まどか「えっ!べ、別にどうもしないよ」アセアセ

ホムラ「こんな状況にも関わらず、落ち着いてる……それが不思議なのでしょう?」

まどか「……っ」

ホムラ「ごめんなさい、意地悪な言い方になって……でも、この時間軸では何があってもおかしくない、そう思わせるだけの事が多すぎただけ」

まどか「で、でも――」

ホムラ「あなたは……」

まどか「?」

ホムラ「あなたは『私』の求めた『まどか』なの?」

まどか「ほむらちゃん……」

ホムラ「……言わなくていいわ、この先に行けばきっとわかるのだもの」

ホムラ「『私』……『私達』の意味が」

スタスタ

ホムラ「この光の先に杏子がいるのね」

まどか(ほむらちゃん……がんばって)

――通学路

ホムラ「ここは学校へ行く途中の……でもなんだかおかしいわね」

スタスタ

ホムラ「……え!私、小学生の低学年くらいになってる……!?」

ホムラ「魔法は……無理みたいね、とにかく杏子を探さないと」

タタタ ドンッ

ホムラ「あうっ!」コテッ

杏子「やばっ!大丈夫か!?」

ホムラ(杏子!こんなすぐに見つかった……!)

杏子「ごめんな、どこもケガ無いみたいだな……それじゃ、あたしはもう行くよ」

ホムラ「ま、待って!」

杏子「ん?」

ホムラ「あなたを探してたの!」

杏子「ふぅん……」

スタスタ

ホムラ「えっ……ま、待ってよ!」

杏子「なんだよ」

ホムラ「話聞いてよ」

杏子「今は忙しいんだってば……これからバイシュンもしなきゃいけないしな」

ホムラ「え……バイシュン!?」

――その世界には、魔法少女は存在しません
魔法があったことで得られた喜びも、悲しみすらもありません

杏子ちゃんの意識は、前のわたし(まどか)と違って、願いと魔法少女の祈りで守られた存在ではありませんでした
それが、世界の外で柱になるということは、杏子ちゃんそのものの存在を削り、失うことだったのです

よく似た世界……
そこで杏子ちゃんは失われてゆくにつれ、
杏子ちゃんの薄まっていく認識の外で世界が作られていきました

スポンジのように負の因果を吸収するようになった杏子ちゃんの認識は、
いつかあらゆる不幸を呼び込み、そこには人間の暖かみも、繋がりも、無かったのです
そう、バイシュンとしてバイシュンが終わる……それがそうなる認識なら――

――数日後

杏子「なぁほむら、ここまで一緒に居てくれたのはあんただけだったよ」

ホムラ「何よ急に……」

杏子「ごめんな、ずっと話を信じなくて」

ホムラ「信じる気になったの?」

ギュッ

ホムラ「……!?」

杏子「信じるよ……もう人の言う綺麗事なんて信じないと思ったけど」

ホムラ「どうしていきなり……?」

杏子「願い事が叶うならさ……このくらい叶うよな……?」ゴホッ

ビチャッ

ホムラ「え……血!?な、刺され……!?」

杏子「へへ……なんだか楽しくなってきたのに、どうしてなんだろうな……」

杏子「ずっと、生まれる前も、その前も、こうだった気がして……明日も明後日もこうだって、思ってた」

杏子「それがあんたと会って変わったから……『また会いたい』……このくらい、叶うよな?」

ホムラ「喋らないで……!病院――」

杏子「ダメ……もう、助からないから……わかるから……そばにいて」

ホムラ「……」ギュッ

杏子「はは……幸せだ」

――暗黒

まどか「おかえりなさい」

ホムラ「私にあなたの意志は届いてた……」

まどか「杏子ちゃんは、宇宙を変えたかった……そのために、杏子ちゃんの魔法とわたしから受け取った力で宇宙の認識を変えようとした」

まどか「でも、足りなかったんだ」

まどか「マミさんが、別の方法で宇宙と杏子ちゃんを救おうとしていたみたいだけど」

まどか「でも、結果的にホムラちゃんが、ここへ導き出されてくれた」

まどか「魔法少女みんなで残した炎を杏子ちゃんの手にやっと宇宙が未来へ進んでいくよ」

まどか「『明日はきっと良くなる』」

まどか「それが、願いに続くんだ」

ホムラ「でも、ここでは終われない……私の仕事は、残ってる」

まどか「ごめんね……」

ホムラ「いいのよ……『またね』、まどか」

まどか「『また明日』」

――神の瞳

マミ『あああああああああっ!!』

バチッ!バチバチッ!

超魔獣「……」

ほむら「撃てなかった……っ」ガクッ

マミ「これで……全て終わるわ……魔法少女は消されて、過去も何もかも、願いが何も変えられない絶望の宇宙に……」

ヨロッ ドサァ

サヤカ「マミさん!」

マミ「でも、助けたかったのよ……皆をだから……」

超魔獣「……」シュルシュルシュルル

サヤカ「リボン……?」

ほむら「なるほどね……魔獣が巴さんに宿った理由、それはあの繋がる力が目当てだったんだわ」

ほむら「魔獣は、恐らくかつてのような速度で魔法少女を消したりしない……糸を全世界へ放射し、一瞬で概念もろとも消してしまえる!出現できなかった世界にすらも!」

ほむら「魔獣は最初からそのために想定していたんだわ……産まれた特別な魔獣が繋がった先で異端にも渡りうる力を持てるように」

ほむら「私さえ、しっかりしていれば……」

さやか「大丈夫、あたしがそんなことさせない……」

チャキッ

さやか「来なさい魔獣!消すなら、まずはたぶん今なら魔法少女最強のさやかちゃんからにしなさい!」

みんな「……」

シュルシュル バチィッ!! バチィッ!!

ドォンッ!!

さやか「くっ!」


キョーコ「なんだあれ……次元が違うじゃねーか」

ほむら「あの子、本当はあそこまで強く……でも」

マドカ「ほむらちゃん」

ほむら「なに?」

マドカ「マジカルコアを……」

ほむら「なっ……だめよ!この空間を作るのに使って――」

マドカ「お願い、ほむらちゃん……」

ほむら「あ……」

ほむら(ワルプルギスの夜に向かって行ったまどかと同じ瞳)

ほむら(そうよね、この子も……『まどかだった』)

スッ

マドカ「ありがとう、ほむらちゃん」

パァァ‼

アルティメットマドカ「……」

ほむら「……やっぱりそうなったのね」

??「アナタモ カワレル」

ほむら「私……?その姿は……!?」

ホムリリー「……」

…………

――????

サヤカ「何か景色変わった!?」

ホムリリー「ワタシノチカラ……トキノ……」

ほむら「そうね……なら……」

ホムリリー「ヒトツニ……」

パァァ‼

アルティメットほむら「もう、迷わないために……!」

マミ「佐倉さん、あなたも……」

キョーコ「え?」

マミ「あなたが生きてここにいるなら……きっと、私の力でもう一人の佐倉さんを呼び起こせる」

マミ「力を奪ったのは、魔獣だけじゃないから」

キョーコ「……わかった、やるぜ」

パァァ‼

アルティメットマミ「いくわよ!」

アルティメットキョーコ「すげぇ……もう一人のあたしを感じる、一緒に戦うんだ!明日のために!


さやか「えーと、えーと!」

サヤカ「適当になんかやっちゃいなさいよ!」

さやか「や、やってみる!来なさいもう一人のあたし!」

サヤカ「いやあたしだけただの人間なのに無理だってば!自分でなんとかやって!」

さやか「がーん」

パァァ

アルティメットさやか「とりあえずパワーアップ!」

マミ「みんな!久しぶりにいくわよ!」

マミ・マドカ・ほむら・キョーコ・さやか「ピュエラ・マギ・ホーリークインテット!!」


超魔獣「貴様達は何故現れる……」

さやか「より良い明日にしたいからだよ」

超魔獣「ならば……一個一個の認識の範囲内で生きていくことが生命体の分相応の道ではないのか?」

マミ「それで満たされなかったら……誰かともっと良い形でかかわり合いたいと思うから」

超魔獣「傲慢だ……それは、他者の運命をねじ曲げてまで行われるべきではない」

ほむら「じゃあ、時には何もやらずに見届けるの?それで、後悔し続けるべきだというの?」

超魔獣「それが定めならば……」

キョーコ「与えられた神様はもうたくさんだ!あたしは、あたしの意志で優しくあった時が一番満足していた!そして人もそうだって事を信じたい!」

超魔獣「その意志が宇宙を破壊する……」

マドカ・まどか「知ってる……でも、どんな辛いことがあっても皆、乗り越えて来たの!だから……今度もわたし達は越える!」

超魔獣「……」

マドカ「みんな!力を!」

パァァァァァァァ!!

みんな「だああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

バシュゥゥ!!

超魔獣「うっ……ぐ……馬鹿な……魔法少女に、『私達』が――」


カッ!!

サヤカ「やった……!?」

モクモクモク

マミ「跡形もなくなったみたいね」

さやか「今のあたし達にかかればこんなもんですよ」

ほむら「皆、聞いて……今の私達ならどんな願いにも届くはず……」

キョーコ「うん……『五人一緒』でやれば、今度こそ」

マドカ「そっか……そのために、わたし達、出会えたんだね」

ほむら「歩むべき道を辿らされ、筋書き通り……最初から世界の本能の中で、抗っていたのかも……でも、宇宙の滅ぶ可能性があったとしても、私達の願いは――」

さやか「うん、決まってる」

マミ「ずっとそれを信じて生きてきたもの」

キョーコ「じゃあ……いくぜ」

マドカ「……」コクッ


サヤカ(皆……えへへ、じゃああたしは、それを見届ける係か……一応もう一人あたしもいるけど)

黒まどか「……すごい」

サヤカ「ん?」

黒まどか「皆が力を合わせれば、なんだってできるんだ……わたしも、もう一人のわたしみたいになりたかった……」ゴホッ

サヤカ「大丈夫、まどかはいつでもまどかだよ……」ナデナデ

黒まどか「……ありがとう」ニコ

スゥ

サヤカ「消えた……?」


マミ「皆、魔方陣を維持して」

パァァ

マドカ「ねぇ、またみんなで会えるかな?」

キョーコ「何言ってるんだ?今生の別れみたいにさ」

ほむら「いえ、そうなるかもしれないわね……私達は、『本当に』世界を変えるのだから」

マミ「ふふっ……そうなれたら、いいわね、でもきっと……私達は宇宙の摂理に五人で組み込まれて、この世からは消える……いつかの鹿目さんのように」

サヤカ(えっ!?)

バリバリバリ

さやか「もうほとんどの力を使いきっちゃったよ……」

ほむら「あとは、私達の意志の強さだけよ!」


グサァッ!!

さやか「っ!?」カフッ

キュゥべえ「はぁ、はぁ……させぬ……宇宙を変えるなどと」

みんな「「「さやか!」」チャン ミキサン

さやか「きゅ、キュゥべえ……?なんで……違う、これって――」

キュゥべえ(超魔獣)「おまえたちの存在が宇宙の本能だと?馬鹿な!じゃあ私達魔獣は、何のために変わらぬ宇宙を守り続けたのだ」グリグリ

さやか「う、あああっ」

マドカ「さやかちゃ――」

ほむら「動いたらダメよ!」

キョーコ「くそっ……」

キュゥべえ「おまえたちは世界に否定されてる……私がここに、こうあることが、その証明なのだぁ!」

ドンッ

さやか「うっ!」ズサァーッ

マミ「えっ……美樹さん(サヤカ)!?なにを――」

サヤカ「こうなったら役者交代だよ……もうきっと、あたしにだってできる」

さやか「ちょ、ちょっと待って……」

キュゥべえ「なんだとぉ!?」

サヤカ「宇宙は変わりたがってるってことでしょ……何度も何度も繰り返しても、何重に保険をかけてでも、明日のために」

サヤカ「あたしがここにいるのが……その証明だよ!」

さやか「恭介は、どうするのよ!」

サヤカ「だよね……ずっと望んでたことだったのに……でもさ」

さやか「……?」

サヤカ「あたしって、馬鹿だから」

ビリビリビリ パアアアアアアア

キュゥべえ「くっ!刺した尻尾が外れぬ!!」

さやか「ねぇ、ここにあったキュゥべえの体を蘇らせて動かしてるの?」

キュゥべえ「そうだが?離せ!」

さやか「そこまでして……あんたの『願い』って、何?」

キュゥべえ「『宇宙を守る!それが「私達」魔獣の使命!』」

ピカッ

キュゥべえ「んぐっ!?」

キラキラキラキラ

さやか「エントロピーを凌駕した……だっけ?おめでとう、今日からあんたも魔法少女」

キュゥべえ「ぐっ……体の自由がきかな――」

さやか「当たり前でしょ、それはあんたの体じゃない……『キュゥべえ』の体だ!」

キュゥべえ「ぐああああああ!」

ポトッ コロンコロン

さやか「……」

キュゥべえ(QB)「――ここは……」

さやか「蘇ったんだよ、キュゥべえ……良かった」

キュゥべえ「これが、奇跡か……でも僕が蘇って君達に何ができるのかな」

さやか「もうしたよ、覚えてないんだね」

キュゥべえ「?」キュップイ

さやか「動けない……キュゥべえも動かないでね、動いたら死んじゃうかも」ギュッ

キュゥべえ「わかったよ……」

さやか「一緒に、皆を見届けよう」

キュゥべえ「さやか、涙が」

さやか「……ぐすっ……うっ……うう」ポロポロ

キュゥべえ「きっと君には、君だけにできる、皆との関わりがこれからある……」

さやか「もう皆と会えなくなっても?」

キュゥべえ「そうさ……それを、君は今までも一番近くで見てきたんじゃないかい?」

・・・

・・

――

世界の理が、まったくの初めから変えられました
存在するものが1つの性質だけでなく、同時にいくつもの性質を抱くようになれたのです
それでも世界は、かつてあったような宇宙をいくつも形作っていきました

魔法少女が変われると信じた
また会いたいと約束した
『あの宇宙』もその中にはありました

でも、もう決まった答えなんて無い
どこででも、世界は不思議と変化で応えてくれるから

わたしももうすぐ――

――――

――

――黒まどか家

黒まどか「夢、か……」

黒まどか「あんまり、思い出せないけど……なんだか、すっきり」

タッ テトテト

黒まどか「学校、行きたくない――」


――通学路

黒まどか「……」トボトボ

ガッ

黒まどか「あっ!?」ドテッ

ズコーッ パカッ バラバラバラ…

黒まどか「あ……かばんが散らば――」

ザワザワ

黒まどか(恥ずかしいよ……ボーッとしてたからって、転んじゃうなんて)

???「大丈夫?」

黒まどか「あ……ありがとう」

パッパ フキフキ

さやか「はい、かばん!今回は雨の日のあととかじゃなくて良かったよ」

黒まどか「ご、ごめんなさい」

さやか「謝らなくてもいいって」

黒まどか「あ、あの……」

さやか「あたしは……今日この学校に転校してきた美樹さやかっていうの」

黒まどか「わたしは――」

キュゥべえ「新しい世界は元の宇宙と比べて、何も変わっていないように見えて大きく変わっている」

キュゥべえ「世界の認識が、佐倉杏子の魔法を軸とした五人による改変で指向を変えられた」

キュゥべえ「世界の願いは、変わったんだ」

キュゥべえ「誰もが許される世界に……でもそれは、変化と戦い続ける世界になったということでもある」

キュゥべえ「今、世界は新たな危機に直面している」

キュゥべえ「エネルギーのインフレーション……意志の持てる力が逆に、宇宙をパンクさせるかもしれない」

キュゥべえ「その力を、もしも悪の存在が得たなら世界は闇に包まれてしまうんだ」

キュゥべえ「僕は、キュゥべえ…… この世界を守り、魔法少女達と共に生き続ける――」

――教会

杏子「………………」

杏子父「おう、帰ったぞー」

杏子「もう、父さん……また飲んでる」

杏子父「宗教とかもうからないからな……そもそも私が教えなきゃならないほど世の中も落ちぶれてないんで」

杏子「じゃあサラリーマンやってよ」

杏子父「そうするかぁ」

モモ「お姉ちゃん、おなかすいた……」

杏子「さっきもおかわりするほど食べただろ!しかもデザートにリンゴも三個くらい!」

モモ「足りぬ……」

杏子「ふとモモ!」

モモ「あーん!お姉ちゃんがまたフトモモって言ったぁ!」

杏子父「ふふ……杏子も負けず劣らず太って――」

ギラッ

杏子父「なんでもない……なんだか迫力が母さんに似てきたなぁ」

杏子「母さんが仕事から帰ってきたらこってり父さんを絞ってもらうから」

杏子父「はい」

――夜 教会

杏子「………………」

杏子「神よ、あたしはどうしてこんなにも太っているんでしょうか」

杏子「本当は、もっと細身だったような……今ある生活もどこか違うような……」

杏子「痩せてて皆から慕われるのが本当のあたしなんじゃないでしょうか」

ブフッ

杏子「誰だっ!?///////」

ゆま「教会の人なのに変なことゆってるー!」アハハハ

杏子「なっ……聞いたなー!」



ゆま「は、はなして!」

杏子「やっと捕まえた……さぁ、家に帰るぞ!」

ゆま「おねがい……帰ったら殺されちゃうよ……ここにいさせて」

杏子「え……!?」

ゆま「パパも、ママも、殺されちゃった……ゆまが、不思議な力を持ってたから」

杏子「なんだって……?警察いけよ」

ゆま「警察も、あいつらにむりやりあやつられてるの!」

杏子「そんなわけ――」

ドォンッ!! ドンガラガッシャーン

杏子「何の音だ?」

――燃える教会

モモ「パパ……!」

杏子母「あなた……!」

杏子父「がふ……」

黒服「証拠隠滅に消えてもらう」


杏子「何の音!?父さん」


パン パン


モモ「」

杏子母「」

杏子「え……?」

黒服「お前も家族の元へ行け」スッ

杏子「くっ!」

パァン!

杏子「っ痛……!」ズサァーッ


ゆま「ああ……ゆまのせいで……」ブルブル

杏子「ばか……隠れてろ!」

黒服「さぁ、帰るぞ!」

杏子「行かすかっ!」ガシッ

黒服「離せ!」ボコッ ボコッ

ゆま「ああ……」

杏子「いけ……あたしは、こんなの絶対許さない……例え消されても」ニカッ

ゆま「……!」

黒服「じゃあ[ピーーー]!」チャキッ

ゆま「やめろぉぉぉぉ!!」

パァァ‼

杏子父「ん……?」

杏子母「あなた!」

モモ「あの子、クラスメイトの――」


杏子「傷が治って……」

ゆま「……」キッ!

黒服「魔翌力に目覚めたか……ならもう容赦はせん!」

黒服「ぎゅおおお!ふんぐうううううう!!」

メキッ モコモコモコ ズシャァン!!

杏子父「あわわわ、悪魔だ……モンスターだ!」

モンスター「我らが封印されし『魔神様』を抱える教祖様が仰っているのだ!『魔女』は!『魔法少女』は滅ぼせと!!」

モンスター「そしてこの世界を消す!『あるべき世界のために』!」

ブンッ ゴォッ!!

ゆま「わぁっ!!」

ドガァッ

ゆま「」

モンスター「なんとたあいもない……トドメだ!」

杏子「待て!」

モンスター「まだ邪魔をするのか!」

杏子「その子のおかげかな……あたしにも、なんだかその才能がありそうだってことに気づけた」

モンスター「なんだと?」

杏子「あたしも、世の中に思うことはたくさんあるけれど……この世界を消したいなんて思わない!理想があるだけだ!」

杏子「あたしの大切なものを壊すなら、神様だって、ぶん殴りに行ってやんよ!」

杏子「ああああああああああ!!」

パアアアアアアア!!

杏子「うらぁっ!!」

ズバァッ!!

モンスター「う、ぐああああ!ばかなぁ!?」

杏子「へへ……戦い向けみたいだな、あたしは」

モンスター「くぅ……」

杏子「一気に倒す前に聞いてやる……あんた人間なのか?」

モンスター「下等な人間と一緒にするな!我々は『教祖様』よりゼロの闇から産み出された魂無き何にも縛られぬ完全生物よぉ!」

ズバァッ!!

モンスター「わぎゃー!」

モンスター「」

杏子「トドメを刺しやすい設定で良かったぜ」



杏子「ゆま、ゆま……」

ゆま「ん……」

杏子「ゆま、良かった……あんがとな、あんたのおかげで皆助かったよ」

ゆま「おねーさん、誰……?」

杏子「もしかして、あんた記憶が……!?」

モモ「もう、お姉ちゃんの馬鹿!ゆまちゃんはお姉ちゃんが変身しててわかんないだけだよ!」

杏子「え?ただ痩せてるだけじゃん」


――高台

マミ「新たな魔法少女がいっぺんに二人も誕生した……何かの前触れでなければいいけれど」

シュンッ

――

新しい宇宙にまた一人、正義の味方が誕生したみたい
杏子ちゃんは、このあと学園と正義の味方との二重生活をしていくことになるようです

一度産まれたエネルギーは何度失われても、世界を巡り新たな役割を与えられます
辛い事があってもどんな立場でも、いつも心に希望があれば、世界に光を灯していけるはずだから
そこに救いもあれば……それはとっても嬉しいなって

今度は、あなたが自分を、誰かを、助けられる時が来るかもしれません
そうなればいいなって、今日も誰かがどこかであなたのために祈っているはず……


あなたも、魔法少女だね



―― 終わり ――



杏子「綺麗に終わったような雰囲気にしても、あたしが太ったまま終わるなんてダメだ」

まど神「杏子ちゃん!?」

杏子「あたし気づいちゃったんだよ……画面の向こうの人々の存在にな!」

まど神「そ、そうなんだ」

杏子「だいたいあんたの存在だってどうなってるのかよくわからないって感じじゃん」

まど神「そんなことないよぉ」

杏子「分離した円環の理とかコピーほむらっぽいのとか色々、その後の詳しい説明が無いままじゃないか!?」

まど神「えっと……」

杏子「いきなり魔神ってなんだよ……!」

まど神「現世へ強制送還♪えーい!」

杏子「また来るからなぁぁぁ!!」


まど神「杏子ちゃんは色んなものに触れすぎて、新たなる認識に目覚めちゃったみたいだね」

まど神「このわたしがどんな存在で、どんな生活してるかは……語る必要あるのかな」

まど神「ずっとこの物語のみんなを見守ってくれて、どうもありがとうございました」

まど神「色んなわたし達がいて、わたしはそんな一人の1ページ」

まど神「きっとまた、どこかで会えるかな?」

まど神「だからさよならは言いません」

まど神「また、明日」

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom