ほむら「そして狼は、赤ずきんを食べた」 (48)
あの決定的な敗戦から十数年。
占領軍統治下の混迷からようやく抜け出し、国際社会への復帰を図るべく高度経済成長の名の下に強行された急速な経済再編成がその実を結びつつある一方で、この国は多くの病根を抱えていた
強引な経済政策が生み出した失業者の群れとその都市流入によるスラム化を温床とした魔女の激増、それに反応するように武装闘争を掲げた反政府勢力の急速な台頭はこれに対処すべき自治体警察の能力を越えて深刻な社会不安を醸成していた。
そして、それは一地方都市の規模を越え爆発的に成長し続ける見滝原の街にとっても憂慮すべき事態であった。
この情勢を鑑み、感情エネルギー回収効率の低下を回避し合わせて魔法少女自体の減少を阻止すべくインキュベーダー本星は第三の道を選択した。
所属している少女達を組織的に統制し複数人で魔女に対処する魔法少女の実動部隊の誕生がそれである
しかし、やがて魔女が人を計画的に操りセクトと呼ばれる都市ゲリラを産み出すに及んで事態は大きく転回する
彼女達が闘う相手は魔女からそれに操られるセクトの人間に移り、内部からの激しい反発が発生した
少女には不釣り合いな重火器で武装しケルベロスの俗称と共に武闘路線をひた走り続けた精鋭達もその歴史的使命を終え、時代は彼女等に新たな、そして最終的な役割を与えようとしていた
(一発ネタです)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1426163808
ワーッワーワーワー
『見滝原四号交差点を占拠中の群衆約二千。騒擾状況を呈しつつあり、警戒を要す。繰り返す…』
『救護班急げ』
「ただのエンビンじゃないぞ
特製のモロトフカクテルだ、いくらでもある。奴等に叩き付けろ」
『阻止線を後退させて車両を前面に出せ
放水車何をしている。集中放水して投擲距離に接近させるな』
「渋谷方面に展開中の管区第二機動隊より自治警本部への、代々木公園へ向かっていた地下反戦系の部隊約一千が進路を変更して南下中との報告を傍受。これはまずいね、転校生」
「ええ、ここに今筋金入りの一千に飛び込まれたら火に油ね。あの燃え方を見てみなさい、美樹さやか。マグネシウムやナパームジェリーを混入した特殊火炎瓶よ」
さやか「あのなかにセクトのやつらが?」
ほむら「いるでしょうね。とはいえこの場は自治警の舞台。下手に突っ込んで彼等と一緒に検挙されても事だわ」
「お土産だよ、頃合いを見て使って」
自治警機動隊「うわぁぁあ!!」ズガァァァ
ほむら「投擲爆弾!」
自治警「全員検挙!!突っ込め!!!」ケンキョー
ほむら「三号三叉路に回るわよ」
さやか「りょーかい」
見滝原地下水道
トットッット…
ほむら「魔女の結界の反応はなし…されどだれかの足音はあり」ジャギッ
ジャガッジャガッジャガッ
ほむら「…!? 止まりなさい!」
「!?」
ほむら「荷…その投擲爆弾を捨てて投降しなさい!」ジャギッ
「……ッ」ギュッ
ほむら「自爆!? やめなさい!!やめて!!」
『はやく!なぜ撃たないんだい!!』
ほむら「なぜ!?」
チュドッ
「で、ケガは大丈夫なのかい」
「珍しいわね、貴女が人の心配をするなんて… 近くで爆発に巻き込まれたから普通じゃ重傷だけど、ソウルジェムのお陰で軽い脳震盪ですんだそうよ」
「因果なもんだね」
「貴女がしたい話は別のことでしょう?」
「ああ、本題は自治警についてだよ。なんでゲリラの自爆を許した。お陰で」
「自治警との協調がさらに遠退く」
「わかってるじゃないか」
「元々無理なのよ、いい大人たちが魔法少女なんて信じると思う?」
「でも実際にあたし達はセクト、もとい魔女と闘ってる」
「それでもよ。私たちは闘うためとはいえ武器を密輸し蓄え使っている。やってることはセクトと同じ、いや、それ以上に凶悪な少女の集団」
「だったらどうしろと言うんだい。発覚は時間の問題だ。直に公安に狩られるよ」
「その時は…その時が来たら……」
マミ「…で、作戦時の構内の状況は?」
ほむら「溝内へ入って二十分程経過した時点で先行した第一分隊がセクトの兵站部隊と接触、第六分隊と共に援護の為現場へ急行」
マミ「その途上で何と遭遇したの?」
ほむら「……」
マミ「何故、撃たなかったの。普段の貴女じゃない」
ほむら「……」
マミ「…そんなに信用されてないかしら。……いいわよ、別命あるまで見滝原で待機しててちょうだい」
ほむら「…処罰は?」
マミ「ケルベロスとかなんとか言ったって所詮はこどもの軍隊ごっこよ。必要ないわ…」
ほむら「……」
ラーメン屋
杏子「災難だったな、あんたも」
ほむら「貴女が人の心配をするなんて珍しいわね」
杏子「あはは、同じことをこの間言われたさ」
ほむら「そう……で、解ったの?」
杏子「あのゲリラの身元ねえ」
杏子「遺体も顔もわからない有り様だったし、すぐに自治警の奴らが来たからな…でもセクトの資料に記述があった。で、どうするつもりなんだい」
ほむら「……」
杏子「目の前で自爆されたんだ
あんたの気持も分からなくはないけど、あの娘の死に責任を感じてるんだとしたらとんだお笑いだ。あたしやあんたには理解出来なくとも、奴らには奴らの理屈があるのさ。その理屈に従って人も殺すし、時に自分の命を絶つ事もある
状況が少し違えば吹き飛んでいたのはあんただったかもしれないんだ」
ほむら「私は撃つつもりだった」
杏子「じゃあなんで撃たなかった。あんたはそんな甘ちゃんじゃないだろ」
ほむら「……」
杏子「…そのラーメン食って忘れちまいな
情に流されちゃこんな仕事は出来やしない。生きる術のない手負いの獣になんざ、なる事はないんだよ」
ほむら「………支払いは?」
杏子「もちろんあんたのおごりさ」
組織名ゲルンハーこと、千歳ゆま。
見滝原高校在学時に学内の民主化闘争に参加。停学処分二回、後、除籍。
半年後に反戦系の地区細胞を経て入党。
直ちに組織の兵站部門、通称ヤコブソン機関で非合法活動に従事。
二月九日夜、反レーベンスラウム闘争の統一デモに戦術介入したセクトの戦闘集団と共に第二十三幹線水路内で特機第二中隊の包囲を受け、所持していた投擲爆弾に点火して爆死。
逮捕歴なし
墓場
「組織の人なら帰っていただけませんか。
この子はもう、貴女達の仲間じゃないんだよ」
ほむら「いや…私は」
「ごめんなさい」
ほむら「……なぜ私を責めないの、千歳まどか」
まどか「お互いにそういう立場だったから、しょうがないよ」
まどか「それに、貴女は撃たなかったみたいだし」
ほむら「………」
まどか「悲しくない訳じゃないんだよ。
何だかまだ実感が湧かなくて。
姉妹だし、仲も良かった。
でも昔から少し違ってたんだよね、私達。
あの子はとっても純粋で真直ぐな所があって、その癖強情で言う事聞かない所もあって。
でもね、お母さんきっとあの子の事、可愛がってた気がするの
お姉ちゃんなんて何だか損だって、いつも思ってたのかも」
ほむら「……………」
まどか「……この花、お墓に上げるつもりで持って来たんだけど、貴方に上げるよ」
ほむら「いえ…でも」
まどか「いいから」
ほむら「………」
訓練場
ほむら「暗視調整、良し。
吸気弁、作動良し」
さやか「妙な気分だね」
ほむら「ええ。
体は軽いのに視界が重いわ。
これがドイツのプロテクトギア…」
さやか「しっかしこんなものどこから持ってきたのだか」
マミ「おしゃべりはそれまでよ。
状況開始」
女の子は鉄の服を着せられて、絶えずこう言い聞かされていました
服が擦り切れたら、きっと母さんへ会いに行けるよ
女の子は必死に服を壁へ擦り付けて、破こうとしました
とうとう服が破け、ミルクとパン、それにチーズとバターを少し貰って、母親の元へ帰る事になった女の子は、森の中で狼に出会い、何を持っているのかと聞かれました
ミルクとパン、それにチーズとバターを少しと答えると、狼は分けてくれないかと言い、母さんへのお土産が要るからと女の子は断りました
狼はピンの道と針の道の内どちらから行くのかと聞き、女の子がピンの道を行くと答えると、自分は針の道を急ぎ、女の子の母親を食べてしまいました
やがて女の子は家に着きました
母さん、開けて
戸を押してご覧。鍵は掛かっていないよ。狼がそう応えました
マミ「状況終了、お疲れさま」
さやか「お疲れさまです。で、どうおもいます」
マミ「なんのこと?」
さやか「転校生の事ですよ。
最近やけにどっか行ってるじゃないですか」
マミ「いつもの事じゃない」
さやか「そうじゃなくて…なんというか、 違う感じがあるんですよ」
さやか「男でもできたかな」
マミ「どちらにせよ人と係りを持った獣の物語には必ず不幸な結末が訪れるわ
獣には獣の物語があるのよ」
さやか「獣って……確かに、人間じゃ無いけど………」
公園
まどか「ねえ、あの角
彼処って前何があったんだっけ。
憶えてる?
そういうもんだよね。
皆すぐに忘れちゃう。
ううん、始めから記憶なんてしてないのかもしれない
一日経って更地になっちゃえば、始めから無いのと同じ」
ほむら「……………」
まどか「人間だって死んじゃえばそうかもしれないね。
それって何だかとっても淋しいなって」
まどか「子供の頃よく
此処に連れて来て貰ったんだ。でも、もっとずっと広いと思ってたのに…」
まどか「あ、そうだ
来て
ね。
結構遠くまで見えるよ」
ほむら「ええ」
「ここにこうして居ると、わたしもいつかきっと、この街を抜け出せるんじゃないかって思うの
そして何処か遠くの知らない街で、別の人間になっちゃうんだ」
ほむら「別の、人間」
まどか「そう。
今迄の事は全部忘れちゃって、違う人になるんだよ
貴方は何故魔法少女になったの」
ほむら「…気づいたら魔法少女で、なるときの記憶がなぜかないから上手く言えないけど、私にとってやっと見付けた居場所だったのかもしれないわ」
まどか「大切な、場所」
ほむら「多分」
まどか「そっか。……貴女は見付けたんだね、大切な場所を」
戸を押してご覧。
鍵は掛かっていないよ。
狼がそう応えました
それでも戸が開かないので、女の子は穴を潜って家の中へ入りました
お母さん、お腹がぺこぺこよ
戸棚に肉があるからお上がり
それは、狼が殺した母親の肉でした
棚の上に大きな猫が来て、こう言いました
お前が食べているのは母さんの肉だよ
母さん。
棚の上に猫が居て、私が母さんの肉を食べている、そう言ってるわ
嘘に決まってるさ。そんな猫には、木靴を投げてやるがいい
肉を食べた女の子は、喉が渇いてきました
母さん、私、喉が渇いたわ
鍋の中の葡萄酒をお飲み
すると、小鳥が飛んで来て、煙突にとまって言いました
お前が飲んでいるのは母さんの血だよ。母さんの血を飲んでるんだよ
母さん。
煙突に小鳥がとまって、私が母さんの血を飲んでいる、そう言ってるわ
そんな鳥には、頭巾を投げてやるがいい
肉を食べ、葡萄酒を飲み終えた女の子は、母親に向かって言いました
母さん、何だかとっても眠くなったわ
こっちへ来て、少しお休み
杏子「よう、さやか」
さやか「……なにしに来たの」
杏子「なに、ちょっと忠告をしにきただけさ、コロッケ食うかい?」モグモゲ
さやか「……で、忠告って?」モグモグ
杏子「逃げた方がいい。見滝原の外、ケルベロスの手が届かないところまで」
さやか「どうして…?」
杏子「……………」
さやか「どちらにせよできないよ。それに、発覚したら奴らが追ってくる」
杏子「奴ら…懲罰部隊とか言う奴らのことか」
さやか「人狼とかいう薄気味悪い名前のね」
杏子「あくまでも噂だろ?」
さやか「………………」
ジリリリ ジリリリガヂャ
ほむら「もしもし」
まどか『もしもし、千歳です』
ほむら「どうしたの」
まどか『昨日から変な男の人に付け回されて、今追われてて。
お願い、迎えに来てくれないかな。
場所は …』
「死んだ娘と同じ兵站部の赤頭巾の一人で、ローサハール、本名、鹿目まどか。前科はないなれど、逮捕歴数回の筋金入りのテロリストですね。一課の網に掛かって落ちた所を引き取りました」
「その女を選んだ理由は」
「素性の良さと、顔立ちが、死んだ娘に良く似ていましたので、ケルベロスの佐倉を通じて接触させました」
「それから、人狼という組織の名を聞いた事があるか」
「確か、ケルベロス副長の呉が直々に組織した対諜報部隊で、ケルベロス内部へは勿論、自治警にまで構成員を潜り込ませているとか
本当に存在するんですか、そんな組織が」
「まさかとは思うが、呉は占領統治時代、父が有力な政治家だったはずだ。なんらかのコネクションを持っていても不思議ではないな。一応頭に入れておけ」
博物館
『01より03、04。獲物が網に入った。殺すな。生捕りにするぞ』
『一階のロビーだ』
『正面玄関を押さえろ』
『逃がすな』
ほむら「それは…爆弾…」
まどか「本物を持たせる程わたしは信用されてないかな
でも爆弾の受け渡し場所に夜の博物館を指定するなんて、公安もおしゃれなことをするよね
爆弾受け渡しの現場で逮捕された犯人の片割がケルベロス構成員と来れば、ケルベロスは少女達が集まったセクトとして認定されるね」
ほむら「演じて見せるのは自治警だけど、演出は、佐倉杏子ね」
まどか「そこまで知ってて、どうして…」
ほむら「抜けるわよ、車がある」
『居たぞ』
『表の連中に連絡しろ』
ほむら「良いから乗って!」
『奴等だ』
『撃て』
自治警『逃げられたそうです
女を拉致され、ご丁寧に車迄奪われて、現在所在不明。警備部を動員して非常線を張ってるそうですが、網に掛かるかどうか
やっぱり連中には荷が重かった様ですね』
『そんなに優秀な女だったのか』
「射撃、格闘技、ストーキング等、あらゆる戦闘技術にあの年齢とは思えないほどの抜群の技量を有す。話さなかったかい」
『作戦課から使える者を選んで連れて行け』
「保険を掛けといて正解だったね」
『佐倉』
『もしあの女が人狼だったら』
杏子「貫き、撃つよ。
喉笛に喰らい付かれる前にね。
あたしは奴とは違う」
『現場より逃走した犯人は少女二人銃器で武装。発見次第射殺せよ。繰り返す、現場より』
『手配中の車輌、未だ発見できません』
検問『免許証拝見します』
これから何処へ行くの
暗い森へ
暗い森を抜けて、何処へ行くの
誰かの待つ家へ
誰が待ってるの
お母さん
お婆さん
それとも
もう一度、あの場所へ行ってみたいな
まどか「何も聞かないんだね」
まどか「全部嘘だった。
あの子も妹なんかじゃないし、貴女に会ったのも偶然じゃない。
赤頭巾のメンバーだったんだ、私も。
逮捕された後、自治警の公安部に連れてかれた。
もう、どうでも良くなってたんだね、私
どうなろうと構わないと思って、言われるままに引き受けた
考える事に疲れちゃってて、何も考えないようにしようって、自分に言聞かせて
なのに、貴女と会っていると、何故だか自分で自分を傷付けちゃう
貴方も淋しいんだって思うと、つい夢を見ちゃって
何でだろう
このまま
いや、何でもないよ
このまま二人で、何処か遠くへ行っちゃおうよ。
誰も知らない所迄、逃げちゃって、そうしようよ
ね」
ほむら「それは無理だわ
未だやらなければいけない事があるもの」
まどか「でも、このままじゃわたしたち」
ほむら「……………」
地下水道
マミ「………あなたが彼女と接触した時点で、あなたの身辺も洗わせて貰ったわよ」
まどか「それじゃあ 」
マミ「始めから承知の上で泳がせていたの。
諜報戦とはこういった物。
常に先を読み、先手を打った方が優位に立つのよ
自治警はケルベロスの失墜を計るべく彼女を犠牲の羊に選んだつもりだったのだろうけど、罠に掛かったのは彼等自身だったのよ
テロリストとの繋がりというスキャンダルを怖れなければならなくなったのは自治警であって、魔法少女ではない。まどかというカードがケルベロスの手にある限り、自治警も暫くの間はケルベロスに迂闊な手出しは出来ないという訳ね
私が彼等の立場でも保険は掛けるわ。この手を佐倉さんに教えたのは、私なんだけどね。
もう判ったでしょう。
ここに居る彼女はケルベロスの隊員であると共に常に私たちの組織のメンバーだった。そう、分隊で私の指導を受けていた生徒だった頃から」
まどか「じゃあ、貴女も始めから」
ほむら「………………………」
まどか「そうなんだ…」
ほむら「……」ガシャガチッガチッシャッ
マミ「あれが本当の彼女の姿よ。
プロテクトギアを纏い巨大な機関銃を手に持った姿」
マミ「私たちは人間の皮を被った魔法少女じゃない。
魔法少女の皮を被った、狼なのさ」
まどか「人、狼」
マミ「良し、行きなさい」
ほむら「………」ジャバッジャバッジャバッジャハ
マミ「猟師が狼を退治して終わるのは、人間が書いた物語の中だけなのよ」
まどか「仕方ないよ。
どうしようもなかったんだよ
一緒に行きたかったけど、貴方は行く事の出来ない人だったんだもの
だったらせめて
せめて一緒に死んでしまえば、そうすれば
そうすれば、お互いの心に、貴方の心に
私が留まって居られる
そう思ったんだよ
誰かに…
…誰かに…憶えていて貰いたかった…」
杏子「やっぱり、そうだったんだな、暁美ほむら
あたしが諭す迄もなく、お前は正しく…ぐっ」
ほむら「……………」バシャバシャバシャバシャバシャバシャ
杏子「喰らえ……くそ、槍が」
杏子「なんでだ!!」
ほむら「………………」ガシャッヴィー
杏子「なんであの時、あんたは撃たなかった
何が違うって言うんだ!あたしと、何が…
あんただってぇぇ!!魔法少女じゃねえかぁぁぁぁ!!!!」
ほむら「………………」バババババババキンキンキンキンキンキンバババババババ
ほむら「彼女は自治警を抑える為の持ちカードじゃなかったの」
マミ「重要なのは、彼女が私たちの手中にあると連中が信じている事であって、現実の彼女の生死は問題じゃないわ」
ほむら「それなら何故」
マミ「奪還されるリスクを冒さず、しかもその死亡を敵に確認させない為にも、取るべき方法は一つしかない。
いい、彼女はその生存の可能性を留保し続ける為に、今此処で死ぬしかないのよ。そんな事は修羅場を踏んできた彼女自身先刻承知の事だわ
群を離れて人の元へ行きたくなったか
だけどね。人の皮を被って人と隣り合わせに生きていても、狼が人になれる訳じゃない
自分の手で運んだ爆弾で多くの命を奪った彼女の罪が決して消えない様にね」
ほむら「私は一体」
マミ「どうしたら良いか教えて欲しい?
人と係りを持った獣の物語に結末を着けるのよ。
あなたが獣でいられる間に」
女の子が着物を脱いで寝台へ近付くと、お母さんは頭巾を顔の方まで被って、奇妙な格好をして寝ていました
母さん、なんて大きな耳をしているの
母さん、なんて大きな目をしているの
母さん、なんて大きな爪なの
母さん、なんて大きな歯をしているの
ほむら「………」ビーガシャッジャギッ
そして狼は、赤ずきんを食べた
おわりです
人狼のストーリーをまどマギ世界に落としこむのに非常に難儀した結果虚淵の玄さんもビックリな鬱展開になりました。マミさん黒幕というまどマギ史上希まれにみる現象が起きてます
ありがとうございました
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