ほむンクルス (223)

まどマギのクロスssです。

始めて立てましたが頑張りたいと思います。

書き溜めはしてますが完成していません。
なので少し遅くなるかもしれません。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427728328

一人の魔法少女が絶望に打ちひしがれていた。

ほむら「また…また勝てなかった…」

ほむら「…また…越えられなかった…ワルプルギスの夜を…!」

ほむら「また…まどかを救えなかった…!」

ほむらはそばに落ちていたフラスコを拾う。

ほむら「私はまるで…このフラスコみたいな…息苦しい場所に閉じ込められた小人のようね…」

ほむら「時間という名の檻に閉じ込められ、今だにそこから抜け出せていない…」

ほむら「だけど…でも!私は諦めない!
例え何十何百何千何万と時間を遡ろうと!絶対にまどかを救い出してみせるッ!!」

ほむら「だから…再び…過去へ!!!」


少女は血塗れの体でフラスコを抱き、過去の世界へと消えた。



ほむら「戻った…ようね…」

ほむら「だけどこれからどうしよう…」

ほむら「前のようにやってもまた同じ…そんなことはわかってる…」

ほむら「……私にもっと…力があれば…ワルプルギスの夜だって越えられるほどの…大きな力が…」

『そこの君』

ほむら「!!?」

突然聞こえた何者かの声に驚き、ほむらは慌てて後ろを振り向く。

ほむら「…………?」

しかし誰も見当たらない…

『もうちょっと下だよ下』

だが声はまだ聞こえる。

ほむら「下…?」

『そうだ』

足元にフラスコが転がっている。
どうやら時間を遡る際に、一緒に持ってきてしまったようだ。

『ここだよ、ここ』

よく見るとフラスコの中に何かがいる。
黒くて球体の…生物なのかもわからない何かが…

ほむら(まりも…?)ジャキン

『なんと!?
…君ねぇ、初対面でいきなり銃を突きつけるというのはどうかと思うよ?』

ほむら「これは何…?魔女の使い魔か何か…?」

『ふむ…取りつく島も無いようだね…
少し落ち着いたらどうかね?』

『こんな手も足も出せない…いや、手みたいなものは出せるが…こんなか弱いものをいじめたところで、楽しいことなどなに一つないぞ?』

『だいたい…私がここに存在している原因は君じゃないか』

ほむら「!……どういうこと?」

『君だろ?私に血をくれたのは』

ほむら(血…?
そういえばさっきまで血塗れだったわね…過去に戻ったことで傷は消えたけど…)

ほむら「でもこんな人形みたいな体から出る血でもいいものなの?」

『現に私はこうして肉体…とは呼べる代物ではないが…こうして肉体を持ってここにいるのだからいいんだろう』

『そういえば君、もしかして次元…もしくは時空に干渉する類の術を使えたりするのかい?』

ほむら「そうだけど、それがなに?」

『やはり…その力がたまたま偶然…私を生み出す原因になったのか…』

ほむら「どういうこと?」

『君の能力と君の血…この二つが揃ったことで、私はこの世に生まれることができた!』

『君のおかげだ、ありがとう。
え〜と君…名前は?』

ほむら「暁美ほむらよ」

『そうか、ありがとう。
暁美ほむら』

ほむら「あなたはどう呼べばいいの?」

『私か?
フラスコの中の小人(ホムンクルス)…とでも呼んでもらおう』

フラスコの中の小人がニヤリと笑う。

フラスコの中の小人『しかし…私はフラスコの中から出ると死んでしまう身だ…』

フラスコの中の小人『こんな不自由な体では思うように動けない…
人間の体を入れ物にする…何てことはやってはいけないのだろう?』

ほむら「当たり前よ」

フラスコの中の小人『ふむ…動くことができる体…何かないものか…』

ほむら「・・・・・」

ほむら「!」

ほむら「いいものがあったわ」

ほむら「少しまってて」ヒュン

フラスコの中の小人『?』

数十分後

ほむら「いいものを持ってきたわ」

フラスコの中の小人『ほぉ…これが話に聞いた…』

キュウべぇ「なんだい?急に変な場所に連れてきて…
それに君は今魔法を使ったようだけど…僕は君と契約した覚えはない筈なんだけどな」

ほむら「……これならいい入れ物になるんじゃない?」

フラスコの中の小人『いいのかい?』

ほむら「えぇ…こいつ一体がどうなろうと、どうせ別のキュウべぇが後から無数に現れるんだし」

フラスコの中の小人『そうかい?なら遠慮なしに使わせてもらおう』

キュウべぇ「いったい君達は何の話をしているんだい?
それにこのフラスコにいる…生物とも呼べるかどうかも分からないものはなんだい?」

フラスコの中の小人『自覚はしているが君には言われたくないね。
ほむら、少しそいつを拘束してもらえるかな?』

ほむら「わかった…」

キュウべぇ「キュぷい…ッ!?」

フラスコの中の小人『ご覧の通り私はこんななりだ、今から私が指示することを君が代わりにやってくれるかい?』

ほむら「…まぁそうなるわよね」

ほむら「これでいい?」

フラスコの中の小人『完璧だよ』

キュウべぇ「君達は何がしたいんだい?
わけがわからないよ」

ほむら「…これは…魔法陣?」

フラスコの中の小人『正確には錬成陣だ。
まぁ似たようなものだがね』

フラスコの中の小人『さぁ、私とインキュベーターを錬成陣の上に載せてくれ』

ほむら「これでいい?」

フラスコの中の小人『うん、これで作業は終わりだ。
感謝するよほむら』

ほむら「これくらいどうってことないわ」

フラスコの中の小人『ではこれを発動する
少し下がってくれ』バチバチ

キュウべぇ「ーーッ!キュぴ…ッ!?」

錬成反応と共に、ホムンクルスとキュウべぇの体が分解され、一つになって再構成された。

黒キュウべぇ「ふぅ…成功したようだ。
やれやれ、これでやっと自分の足で歩ける」

ほむら「少しキュウべぇと違う…というか黒いわね」

黒キュウべぇ「後遺症というのかな?
ちょっとした拒絶反応みたいなものだよ」

ほむら「何も問題が無いならいいわ。
区別もつけやすいし」

ほむら「それに…」

黒キュウべぇ「?」

ほむら「さっきのニタニタ笑う一つ目は何と言うか…その…気持ち悪いし…」

黒キュウべぇ「…私にも感情というものはあるんだよ?」

翌日

黒キュウべぇ「ここが君の通う学校かい?」

ほむら「そうよ、あなたは大人しくして待ってて」

黒キュウべぇ「別にいいんじゃないかな?昨夜いろいろ試して見たが、元々はインキュベーターの体だったということもあって、私の姿は人には見えないようだし…」

ほむら「普通の人には見えなくてもまどか達には見えるでしょ。
そんなので私を誤魔化せるとは思わないで」

黒キュウべぇ「そんなつもりはなかったけど…
まぁ、言うとおりにしようじゃないか」

黒キュウべぇ「では私はその辺をフラフラとしておくよ」

ほむら「・・・・・」

ほむら(…ホムンクルス……私に恩返しをしたいと言っていたけど…
本当は何を考えているのやら…)

ほむら(まぁいいわ…もしまどかに危害を加えるようなら、すぐに始末するだけ)

うわっ、初っ端からミスった。

すみませんが今までの分は無しにして、ここから下から読んでください。

一人の魔法少女が絶望に打ちひしがれていた。

ほむら「また…また勝てなかった…」

ほむら「…また…越えられなかった…ワルプルギスの夜を…!」

ほむら「また…まどかを救えなかった…!」

ほむらはそばに落ちていたフラスコを拾う。

ほむら「私はまるで…このフラスコみたいな…息苦しい場所に閉じ込められた小人のようね…」

ほむら「時間という名の檻に閉じ込められ、今だにそこから抜け出せていない…」

ほむら「だけど…でも!私は諦めない!
例え何十何百何千何万と時間を遡ろうと!絶対にまどかを救い出してみせるッ!!」

ほむら「だから…再び…過去へ!!!」


少女は血塗れの体でフラスコを抱き、過去の世界へと消えた。

ほむら「戻った…ようね…」

ほむら「だけどこれからどうしよう…」

ほむら「前のようにやってもまた同じ…そんなことはわかってる…」

ほむら「……私にもっと…力があれば…ワルプルギスの夜だって越えられるほどの…大きな力が…」

『そこの君』

ほむら「!!?」

突然聞こえた何者かの声に、ほむらは慌てて後ろを振り向く。

ほむら「…………?」

しかし誰も見当たらない…

『もうちょっと下だよ下』

だが声はまだ聞こえる。

ほむら「下…?」

『そうだ』

足元にフラスコが転がっている。
どうやら時間を遡る際に、一緒に持ってきてしまったようだ。

『ここだよ、ここ』

よく見るとフラスコの中に何かがいる。
黒くて球体の…生物なのかもわからない何かが…

ほむら(まりも…?)ジャキン

『なんと!?
…君ねぇ、初対面でいきなり銃を突きつけるというのはどうかと思うよ?』

ほむら「これは何…?魔女の使い魔か何か…?」

『ふむ…取りつく島も無いようだね…
少し落ち着いたらどうかね?』

『こんな手も足も出せない…いや、手みたいなものは出せるが…こんなか弱いものをいじめたところで、楽しいことなどなに一つないぞ?』

『だいたい…私がここに存在している原因は君じゃないか』

ほむら「!……どういうこと?」

『君だろ?私に血をくれたのは』

ほむら(血…?
そういえばさっきまで血塗れだったわね…過去に戻ったことで傷は消えたけど…)

ほむら「でもこんな人形みたいな体から出る血でもいいものなの?」

『現に私はこうして肉体…とは呼べる代物ではないが…こうして肉体を持ってここにいるのだからいいんだろう』

『そういえば君、もしかして次元…もしくは時空に干渉する類の術を使えたりするのかい?』

ほむら「そうだけど、それがなに?」

『やはり…その力がたまたま偶然…私を生み出す原因になったのか…』

ほむら「どういうこと?」

『君の能力と君の血…この二つが揃ったことで、私はこの世に生まれることができた!』

『君のおかげだ、ありがとう。
え〜と君…名前は?』

ほむら「暁美ほむらよ」

『そうか、ありがとう。
暁美ほむら』

ほむら「あなたはどう呼べばいいの?」

『私か?
フラスコの中の小人(ホムンクルス)…とでも呼んでもらおう』

フラスコの中の小人がニヤリと笑う。

フラスコの中の小人『ところでほむら、さっき君は何かに悩んでいたようだが…一体何を悩んでいたんだい?』

ほむら「あなたに話すことではないわ」

フラスコの中の小人『固いこと言わないでくれよ。
私と君は血を分けた兄弟じゃないか。
そして君は私をこの世に誕生させてくれた…言い換えれば親でもある』

ほむら(まだ十四歳なのに親…)ズーン

フラスコの中の小人『どうしたんだい?』

ほむら「いえ…なんでもないわ」

ほむら「まぁ…減るものでもないし…そこまで言うのなら教えてあげる」

ほむら「どうせ聞いたところで、あなたにはどうすることもできないだろうけど」

ほむら「そうね…まずは私の正体から…」

ほむらは魔法少女…魔女…インキュベーター…時間…そしてまどか…
自らの、これまでの戦いについてを明かした。


フラスコの中の小人『……そうか…辛い人生を送ってきたんだな…』

ほむら「私はまどかを守るために何度も時間を遡ってきた…
でもあなたには始めて出会ったわ。こんなことは今までなかった」

フラスコの中の小人『だろうね…私は様々な偶然が重なって誕生した存在だ。
おそらく今後一切こんなことは起きないだろうね』

フラスコの中の小人『……つまるところ君の目的は…鹿目まどかを救いだすこと…で、 いいのかね』

ほむら「まぁ…そういうところね…」

フラスコの中の小人『叶えてやろうか?その願い』

ほむら「!!?……どうやって!?」

フラスコの中の小人『私には君程の力は無いが…君以上の知識はある』

ほむら「知識…」

フラスコの中の小人『知識は何よりの宝だ。
枷になることも無く、己の助けにもなる』

フラスコの中の小人『私の持つ知識と君の魔法…この二つがあれば越えられる筈だ…ワルプルギスの夜を。
救うことができる筈だ…鹿目まどかを』

フラスコの中の小人『君には恩がある…だから私は惜しみなく協力しよう。
後は君の意思次第だ…』

ほむら「……本当に…できるの?」

フラスコの中の小人『あぁ、もちろん』

ほむら「・・・・・」

ほむらはゆっくりと目を閉じ、考える。

そして…

ほむら「…私はまどかを救うためなら何でもすると誓ったわ」

ほむら「それが叶う可能性があるのなら…私はそれを試したい…」

ほむら「その為に…あなたと手を組むわ…
フラスコの中の小人(ホムンクルス)」

フラスコの中の小人『』ニタァ

フラスコの中の小人『しかし…私はフラスコの中から出ると死んでしまう身だ…』

フラスコの中の小人『こんな不自由な体では思うように動けない…
人間の体を入れ物にする…何てことはやってはいけないのだろう?』

ほむら「当たり前よ」

フラスコの中の小人『ふむ…動くことができる体…何かないものか…』

ほむら「・・・・・」

ほむら「!」

ほむら「いいものがあったわ」

ほむら「少しまってて」ヒュン

フラスコの中の小人『?』

数十分後

ほむら「いいものを持ってきたわ」

フラスコの中の小人『ほぉ…これが話に聞いた…』

キュウべぇ「なんだい?急に変な場所に連れてきて…
それに君は今魔法を使ったようだけど…僕は君と契約した覚えはない筈なんだけどな」

ほむら「……これならいい入れ物になるんじゃない?」

フラスコの中の小人『いいのかい?』

ほむら「えぇ…こいつ一体がどうなろうと、どうせ別のキュウべぇが後から無数に現れるんだし」

フラスコの中の小人『そうかい?なら遠慮なしに使わせてもらおう』

キュウべぇ「いったい君達は何の話をしているんだい?
それにこのフラスコにいる…生物とも呼べるかどうかも分からないものはなんだい?」

フラスコの中の小人『自覚はしているが君には言われたくないね。
ほむら、少しそいつを拘束してもらえるかな?』

ほむら「わかった…」

キュウべぇ「キュぷい…ッ!?」

フラスコの中の小人『ご覧の通り私はこんななりだ、今から私が指示することを君が代わりにやってくれるかい?』

ほむら「…まぁそうなるわよね」

ほむら「これでいい?」

フラスコの中の小人『完璧だよ』

キュウべぇ「君達は何がしたいんだい?
わけがわからないよ」

ほむら「…これは魔法陣?」

フラスコの中の小人『正確には錬成陣だ。
まぁ似たようなものだがね』

フラスコの中の小人『さぁ、私とインキュベーターを錬成陣の上に載せてくれ』

ほむら「これでいい?」

フラスコの中の小人『うん、これで作業は終わりだ。
感謝するよほむら』

ほむら「これくらいどうってことないわ」

フラスコの中の小人『ではこれを発動する
少し下がってくれ』バチバチ

キュウべぇ「ーーッ!キュぴ…ッ!?」

錬成反応と共に、ホムンクルスとキュウべぇの体が分解され、一つになって再構成された。

黒キュウべぇ「ふぅ…成功したようだ。
やれやれ、これでやっと自分の足で歩ける」

ほむら「少しキュウべぇと違う…というか黒いわね」

黒キュウべぇ「後遺症というのかな?
ちょっとした拒絶反応みたいなものだよ」

ほむら「何も問題が無いならいいわ。
区別もつけやすいし」

ほむら「それに…」

黒キュウべぇ「?」

ほむら「さっきのニタニタ笑う一つ目は何と言うか…その…気持ち悪いし…」

黒キュウべぇ「…私にも感情というものはあるんだよ?」

翌日

黒キュウべぇ「ここが君の通う学校かい?」

ほむら「そうよ、あなたは大人しくして待ってて」

黒キュウべぇ「別にいいんじゃないかな?昨夜いろいろ試して見たが、元々はインキュベーターの体だったということもあって、私の姿は人には見えないようだし…」

ほむら「普通の人には見えなくてもまどか達には見えるでしょ。
そんなので私を誤魔化せるとは思わないで」

黒キュウべぇ「そんなつもりはなかったけど…
まぁ、言うとおりにしようじゃないか」

黒キュウべぇ「では私はその辺をフラフラとしておくよ」

ほむら「・・・・・」

ほむら(…ホムンクルス……私に恩返しをしたいと言っていたけど…
本当は何を考えているのやら…)

ほむら(まぁいいわ…もしまどかに危害を加えるようなら、すぐに始末するだけ)

今日はここまで。
もう夜遅いので寝ます。続きは明日。

期待してくれた人はありがとう。

そして1レス抜かしてしまい、繰り返しになってしって申しわけありません。

少しだけ投稿します。

ちなみにハガレンとのクロスです。
お父様の一番初期の状態ですね。

ハガレンとのクロスです。
お父様の一番初期の状態ですね。

しまった、同じようなの二回も投稿してしまった

黒キュウべぇ(とは言われたが…ほむらには内緒で少し見物していこう…)

早乙女「いいですか皆さん!たかが卵の焼き加減で女の魅力が決まると思ったら大間違いです!!」

早乙女「皆さんは絶対に誤解しないように!!」

さやか「ありゃまたダメだったんだね」

まどか「みたいだね」

黒キュウべぇ(ふむ…あのピンク色の頭の人間が鹿目まどかか…)

まどか「………ん?」

さやか「どうしたのまどか?」

まどか「ううん、なんでもないよさやかちゃん」

黒キュウべぇ(ふぅ…危ない危ない、もう少しで見つかるところだった)

早乙女「さて…今日は一つお知らせとして、皆さんに転校生を紹介します」

さやか「どうしてそっちを最後に持ってくかな…」

早乙女「じゃあ暁美さん、入ってきてください」

ほむら「・・・・・」スタスタ

ザワザワ…

さやか「うわー…すっげー美人…」

黒キュウべぇ(人間というのはああいう容姿に憧れるものなのか…)

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

ほむら「・・・・・」

まどか(あの子…確か夢で…)

クラスメイト「暁美さんって前はどんな学校に通ってたの?」

クラスメイト2「部活はやってた?
運動系?文化系?」

クラスメイト3「髪すっごい綺麗だよね、何のシャンプー使ってるの?」

黒キュウべぇ(人間っていうのは何に対しても新しいものが好きな生き物だなぁ
まぁすぐに飽きがくるだろうけど…)

仁美「不思議な雰囲気のかたですわね、暁美さん」

さやか「ねぇまどか、あの子知り合い?
何かさっきめっちゃガン飛ばされてなかった?」

まどか「そ…そうかな…」

ほむら「ごめんなさい…少し気分が悪いから保健室に行かせてもらえるかしら」

クラスメイト「だったら私達が案内しようか?」

ほむら「いえ…係りの人にお願いします」

ほむら「まどかさん、あなたが保険係よね?」

まどか「え…?う…うん…」

移動中

まどか「あ…あの…どうして私が保険係ってこと知ってたのかな…?」

ほむら「早乙女先生に聞いたのよ」

まどか「そ…そうなんだ…」

まどか「・・・・・」

ほむら「・・・・・」

まどか「あの…暁美さん…」

ほむら「っ……ほむらでいいわ…」

まどか「ほ…ほむらちゃん……その…珍しい名前だよね」

ほむら「・・・・・」

まどか「い…いや…その…悪い意味じゃなくて…」

まどか「………っ」

ほむら「…鹿目まどか、あなたは自分の人生を貴いと思う?
家族や友達を大切にしてる?」

まどか「え?えっ…と……
わ…私は……大切にしてるよ…家族も…友達も…みんな大好きで、とっても大事な人達だよ」

ほむら「本当に?」

まどか「う…嘘なわけないよ。
本当だよ!」

ほむら「……そう…それが本当なら…けっして今とは違う自分になりたいなんて思わないで」

ほむら「さもないと…全てを失うことになるわ」

まどか「………え?」

ほむら「あなたは…鹿目まどかのままでいたらいい…
…これからも…ずっと…」

ほむら「自分を大切に生きて」スタスタ

まどか「…ほむら……ちゃん…?」



ほむら「……待っててって言った筈よ、ホムンクルス」

黒キュウべぇ「おや、気づいていたのかい?」

ほむら「あたりまえよ」

黒キュウべぇ「しかし君…人間のコミュニケーションに対して私もとやかく言えないが……少なくともあれはないんじゃないかね?」

黒キュウべぇ「もっと相手の信用を掴まないと…あれじゃあ…中二病……とかいうやつと見られて無視されるんじゃないか?」

ほむら「ちゅ…中二病…!?」ガーン

黒キュウべぇ「まぁ…どんな印象であれ、一度二人で話してみるというのはいいことだと私は思うよ」

ほむら「そ…そうよね…私は中学二年生だし、うん!まだ救いがある…!」ガシッ

黒キュウべぇ「ほむら…君は苦手かい?人付き合いというものは…」

ほむら「え…?」

黒キュウべぇ「なに…別に悪いことではないさ、人それぞれ得意不得意があるというしね」

ほむら「まぁ……あまり得意な方…ではないわね…」

黒キュウべぇ「そうか…」

黒キュウべぇ「人というのは難儀なものだな…コミニュティを持って人と繋がらなければ生きていけないというのに…
人によって人と繋がることが苦手な者もいれば、得意な者もいる…
私にとっては同じ人間に違いないのにな…」

ほむら「あなたには分からないかもしれないけど、人間は色々と複雑なのよ」

ほむら「……そろそろ行きなさい、ここには現役の魔法少女…巴マミだっている。
出くわせばいろいろと面倒になるわ」

黒キュウべぇ「わかったよ、私は別の場所に行っておこう」

ほむら「また…放課後にね」




放課後

黒キュウべぇ「終わったのかね?」

ほむら「えぇ…」

黒キュウべぇ「ならいこうか」

ほむら「そうね」

ほむら「……!」

黒キュウべぇ「ん…」

ほむら「あれはインキュベーター…!」

黒キュウべぇ「元は同じ体だからか…私にも気配がわかる」

ほむら「………!」チャキ

黒キュウべぇ「追うつもりかい?
やつを殺しても意味がない…君が言ったことだよ?」

黒キュウべぇ「魔力も無限じゃないのだろう?
時間も労力も無駄だ、やめておいた方がいい」

ほむら「それでも…まどかとキュウべぇの出会いを遅らせることくらいはできる…」

ほむら「ワルプルギスの夜…その夜を越えるまでまどかの契約を防げば、後はどうにでもなる」

ほむら「だからその時までに、一日でもまどかとキュウべぇの出会いを遅らせたい」

黒キュウべぇ「…そうかい、そこまで言うのなら君の好きに行動するといい。
もともと君の友人を救う為にやっていることだ。最終的に決めるのは私ではなく、君なのだから」

ほむら「ありがとう、ホムンクルス」


追撃中

バシュン バシュン バシュン バシュン

キュウべぇ「」タッタッタッ

ほむら「チッ……」タッタッタッ

黒キュウべぇ「なかなか逃げ足が速いねぇ」

黒キュウべぇ「もっと何かいい魔法でもないのかい?」

ほむら「それこそ魔力の無駄でしょう?」バシュン

キュウべぇ「……ッ」チュイン

黒キュウべぇ「お…今のは惜しかったよ。
しかしどこかに逃げ込まれてしまったね」

ほむら「耳元でごちゃごちゃとうるさい。
…ちょっと黙っててくれる?」

一方

『助けて』

まどか「誰なの…?」

まどか「・・・・・」

ガタガタガタガタ

まどか「……!?」

ボトッ

キュウべぇ「ハァ…ハァ…」

まどか「あなた…なの…!?」

キュウべぇ「助…けて」

まどか「え…?」

ジャラジャラ

まどか「……ほ…ほむらちゃん…!?」

ほむら「そいつから離れて」

黒キュウべぇ「・・・・・」

まどか「だって…この子怪我してる…!」

まどか「駄目だよ!酷いことしないで!」

ほむら「あなたには関係ない」ジリジリ

まどか「だってこの子、私を呼んでた!聞こえたんだもん!助けてって!」

ほむら「そう」スタスタ

プシューッ!

ほむら「ッ!?」

横から消化器を吹き付けられるほむら。

さやか「まどか、こっち!」

まどか「さやかちゃん!」

タッタッタッ

黒キュウべぇ「逃げられたようだね」

ほむら「・・・・・」

黒キュウべぇ「それにしても…最悪のタイミングで見つかったものだ」

ほむら「…あなたの言うとおりにしておけばよかったわね…」

黒キュウべぇ「今それを言ったところでしょうがない」

ほむら「……ッ!
…こんな時に…!」

黒キュウべぇ「ん?」

ほむら「ホムンクルス、急いで二人を追うわよ!」ダッ

黒キュウべぇ「そうだね…何か嫌な感覚がする…これが魔女の結界というやつかね?」

ほむら「ええ…そうよ」

ほむら「だからこのままじゃ二人が危ない」

まどかとさやかは、ポテトに髭がついたような化け物に襲われていた。

使い魔「」ワラワラ

さやか「冗談だよね!?あたし、悪い夢でも見てるんだよね!?ねぇ、まどか!」

まどか「……っ!」

バシューーン!!

突然の激しい爆発で、ポテトの使い魔達は蹴散らされる。

マミ「危なかったわねあなたたち、でももう大丈夫」


少し遅れてきたほむら達。
二人は出るに出られず、物陰から様子を見ている。

黒キュウべぇ「あの少女が巴マミかい?」

ほむら「そうよ…」

ほむら「……まずいことになった…」

黒キュウべぇ「?」



マミ「あら?キュウべぇを助けてくれたのね、ありがとう。
その子は私の大切な友達なの」

まどか「私呼ばれたんです、頭の中に直接この子の声が」

マミ「なるほどね…その制服、あなた達も見滝原の生徒みたいね。
二年生?」

さやか「あなたは…?」

マミ「自己紹介したいけど…その前に!」パァァァ

瞬間、宝石から光が灯り、マミの衣装が変わった。

マミ「ちょっと一仕事、かたずけちゃっていいかしら?」

ドガガガガガガガガガッ!

マミが出現させた無数のマスケット銃から繰り出される無数の銃弾が、迫り来るポテトの使い魔を焼き尽くした。

さやか「わぁ…」

まどか「すごい…」

黒キュウべぇ(大した戦闘力だな…
特別な力を持っているとはいっても所詮は少女……かと思っていたが…戦い慣れている)

グワァ〜ン

さやか「戻った…!」

使い魔が全滅したことにより、結界が消滅する。

ほむら「・・・・・」

マミ「魔女は逃げたわ、仕留めたいならすぐに追いかけなさい。
今回はあなたに譲ってあげる」

ほむら「私が用があるのは…」

マミ「飲み込みが悪いのね、見逃してあげるっていってるのよ」

マミ「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいとは思わない?」

ほむら「………ッ」

まどか「…!」

ほむらは後ろを向き、その場を去った。

まどか・さやか「」ホッ



黒キュウべぇ「いいのかい?」

ほむら「えぇ…」

黒キュウべぇ「ま、あの状況じゃあしょうがないがね」

ほむら「……幸先良くないわね…最初からこれなんて…」

黒キュウべぇ「…だが逆に考えれば、これより下は殆どないとも言えるんじゃないかね?」

ほむら「…あなた意外にポジティブなのね」

黒キュウべぇ「私にだって感情はあると言っただろう?
陽気におしゃべりした方が楽しいのさ」

ほむら「ふふ…」

そんなホムンクルスを見て、真っ暗だったほむらの気持ちが少しだけ明るくなる。

ほむら「……巴マミは仲間を欲しがっている…だから魔法少女の素質があるまどかとさやかを仲間に勧誘するはず…」

黒キュウべぇ「なるほど…それは止めないとな…」

ほむら「えぇ…なんとしても止めてみせるわ」

続きを投稿します。

かたずけるの件は単なる自分のミスです。
教えていただき、ありがとうございます。



カタカタ

カタカタカタカタッ

カタッ

ほむら「何をしてるのホムンクルス?」

黒キュウべぇ「…便利なものだなインターネットとは…
欲しい情報が一瞬で手に入る」カチッ

ほむら「…あなた知識があるとかって自慢してなかった?」

黒キュウべぇ「私だって神ではないからね。知らないことだってあるさ」

ほむら「……そんな体でよくパソコンが操作できるわね…
大体使い方なんてどこで覚えたの?」

黒キュウべぇ「昨日…人間が人間相手に説明してるのをきいてね…
慣れると結構使いこなせるものさ」

黒キュウべぇ「本当は本を読んで更に深い知識を得たいところだが…時間が惜しいからね」

黒キュウべぇ「それにしてもほむら」

ほむら「なに?」

黒キュウべぇ「人間は…まぁ人間に限った話ではないが男性と女性で形が違う」

黒キュウべぇ「人間の外見でいうと特に変わっているのは胸部だが…君はあまり男性との違いがないね」

ほむら「・・・・・」

ズガンッ

黒キュウべぇ「おぉ!?」バチチッ

とっさに壁を作って防御。

黒キュウべぇ「危ないじゃないかほむら、もう少しで当たるところだったよ」

ほむら「残念ね…でも次は当てるわ」

黒キュウべぇ「君は私を殺す気かい?」

ほむら「大丈夫よ、死なない程度で撃ってあげるから……ギリギリね」チャキ

黒キュウべぇ「ちょっとまってくれよほむら…
冗談さ、軽いジョークという奴だよ」

黒キュウべぇ「君くらいの年齢じゃあ、まだ違いがでなくてもおかしくないさ」

ほむら「・・・・・」スッ

黒キュウべぇ「やれやれ…胸の無い者にこう言えば面白い反応を返すと聞いたのだが…まさかいきなり撃たれるとはね…」

ほむら「だったらよく覚えておきなさい。
そういうのをセクハラって言うのよ」

黒キュウべぇ「よく覚えておくよ、私も撃ち殺されたくはないからね」




ほむら「あなたさっき一瞬で壁を作ってたけど、あれはなんなの?」

黒キュウべぇ「錬金術師という技術だよ。
私がこの体を手に入れた時に見せた技と同じさ」

黒キュウべぇ「この体を手に入れた際、後で腹のあたりに円を刻んだんだ」

ほむら「円…?それがどうしたの?」

黒キュウべぇ「錬金術の基本は円さ。
円は力の循環を示し、そこに構築式を描くことで力の発動を可能にする」

黒キュウべぇ「まぁこの場合の構築式は私自身…と言ったところかな」

ほむら「円…?力…?構築式…?」

黒キュウべぇ「理解できてないようだね」

ほむら「…それって私にも使えるの?」

黒キュウべぇ「無理だね」

ほむら「どうして?」

黒キュウべぇ「無理…と言うよりは…時間が無いと言った方が正しいか。
錬金術を使いこなすには専門の知識の他に、物理学等も深く関わってくる…」

黒キュウべぇ「才能があるものでも数年の勉学は必要になるだろうね」

黒キュウべぇ「…賢者の石でもあれば別なんだが……」

ほむら「賢者の石…?」

黒キュウべぇ「いや…なんでもないよ、今のは忘れてくれ」



ほむら「そういえば…巴マミとまどか達の様子はどうだった?」

黒キュウべぇ「君の言った通りだ。
巴マミは二人に魔法少女の体験をさせると言って、二人を魔女との戦いに連れ出している」

ほむら「…そう」

黒キュウべぇ「君がそれを知っているのは、何度も時間を遡っているからか?」

ほむら「その通りよ」

黒キュウべぇ「未来がわかるというのは便利なものだねぇ」

黒キュウべぇ「…しかしわからない……どうして君はそんな重要なことを私なんかに話したんだ?
自分でいうのもなんだが、こんな見るからに怪しい生物によく話せたものだ」

ほむら「…あなたに何を話したところで、どうせ何もできないと思ったからよ」

ほむら「実際、あなたはフラスコの中から出るだけで息絶えるような軟弱な生き物…私の考えは間違っていなかった」

黒キュウべぇ「まぁ…否定はしないな」

ほむら「まぁでも…さっきの錬金術ってやつを見る限り、見方を改めないといけないかもしれないわね」

黒キュウべぇ「・・・・・」

ほむら「…それに……私はこの事をずっと誰にも話さずに、自分の心に閉まって行動してきたわ。
だから…例えあなたのような得体の知れない存在でも誰でもいいから、一度誰かに全て打ち明けてみたかったってのもあるのかもしれない…」

ほむら「きっと…何度も何度も失敗を繰り返していたから感覚が狂っていたのね…」

ほむら「でもまぁせいぜい気をつけなさい、ホムンクルス」

黒キュウべぇ「?」

ほむら「私の目的の為に協力してくれていることには感謝するけど…」

ほむら「少しでも妙な事をしようとすれば、いつでも始末できるようにしているから」ジャキン

黒キュウべぇ「ほう…それは怖い」





自分でもほむらが簡単にホムンクルスを信用しすぎてるんじゃないかと思い、言い訳っぽいものを書かせてもらいました。
納得してもらえるかはわかりませんが…

あとこれまた言い訳っぽいですけど、ホムンクルスのキャラって難しいです。
お父様の時とフラスコの中の小人の時じゃ全くキャラが違いますしね。

期待ありがとうございます。

やっぱこういうの見るとやる気が出てくるね。



ほむら「……!」

ほむら「来たようね」

黒キュウべぇ「これは…魔女の結界か…?」

ほむら「おそらくまどか達も向かってるはず…」

黒キュウべぇ「行くかい?」

ほむら「もちろんよ。
ホムンクルス、あなたもついて来て」

黒キュウべぇ「…わかった」

魔女の結界内

黒キュウべぇ「駆けつけたはいいが、もう片は付きそうだな」

ほむら「巴マミが敗北するのはこの魔女ではないわ。
今回は監視のために見に来ただけよ」

黒キュウべぇ「それにしても……あれが魔女か…」

ほむら「そういえばあなたは始めてだったわね」

黒キュウべぇ「君は私のことを気持ち悪いといっていたが…あれに比べれば可愛らしい方じゃないかい?」

ほむら「・・・・・」





マミ「後輩にかっこ悪いところは見せられないわね」

マミ「これで終わりよ!」ジャキン

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

ゴォオオオ!!!

マミの放った大砲のように巨大な銃弾が、魔女を貫通する。

マミ「」スタッ クルッ

マミは華麗に着地し、紅茶を飲みながらまどかとさやかに目配せする。

まどか「す…すごい!」

さやか「勝った…!」

グワァ〜ン

魔女がいなくなったことで、魔女の結界が消滅した。


マミ「これが魔女を倒した時に得られる報酬…魔女の卵、グリーフシードよ」

さやか「た…たまご!?」

キュウべぇ「大丈夫、その状態だと安全だよ。
むしろ役に立つ貴重なものさ」

マミ「私のソウルジェム、夕べよりちょっと色が濁ってるでしょ?」

まどか「そういえば…」

マミ「でもグリーフシードを使えば、汚れを吸い取ってくれるのよ」シュウウウ

さやか「綺麗になった…」

キュウべぇ「汚れを吸い切ったグリーフシードを放置するとまた魔女が生まれちゃうから、その時は僕が回収するんだ」

マミ「」ポイ

ほむら「」パシッ

マミ「あと一回は使えるはずよ。
あなたにあげるわ、暁美ほむらさん」

さやか「あいつ…!」

マミ「それとも、人に恵んで貰うのは不服かしら?」

ほむら「あなたの獲物よ、あなたが使えばいいわ」ポイッ

マミ「そう…それがあなたの答えね…」パシッ

ほむら「」スタスタ

さやか「くーッ!やっぱり感じ悪いやつッ!!」

まどか「仲よくできないのかな…?」

マミ「お互いにそう思えれば…ね…」



ほむら「帰るわよ、ホムンクルス」

黒キュウべぇ「ふむ…やはり1日やそこらでは関係はよくなりそうにないな」

ほむら「承知の上よ」

黒キュウべぇ「それにしても彼女…随分とかっこうつけていたな…」

ほむら「それは言わないであげて。
彼女も魔法少女の後輩ができて嬉しいのよ」

ほむら「浮かれてるというわけだね。
…しかし、さっきはあんなに険悪だったのに、随分優しいじゃないか」

ほむら「別に憎み合ってるわけじゃないわ、私だってできれば友好的な関係を築きたいし…」

黒キュウべぇ「ふむ…互いに入れ違っているというわけか」

黒キュウべぇ「……しかし…このままじゃ鹿目まどかも美樹も、巴マミに憧れて魔法少女の契約を結んでしまうかもしれないね」

黒キュウべぇ「人間の子どもは正義の味方というものに憧れる傾向があるからな」

ほむら「それは…どうにかなるかもしれない…」

黒キュウべぇ「何故だい?」

ほむら「良くか悪くか…巴マミがとある魔女と戦う日が近づいているからよ」



続きを投稿します。


ほむら(明日は彼女がある魔女と戦う日…)

ほむら(別の時間軸でも、彼女があの魔女と戦って死ぬことが多かったわ…)

ほむら(やっぱり…もう一度話をしよう)




夜中

マミ「!……こんな真夜中になんのようかしら?」

ほむら「わかってるの?あなたは無関係の人間を巻き込んで危険に晒してるのよ」

マミ「……彼女達はキュウべぇに選ばれたのよ。無関係ではないわ」

ほむら「あなたは二人を魔法少女に誘導している」

マミ「それが面白くないわけ?」

ほむら「えぇ、迷惑よ。
…特に彼女…鹿目まどかは」

マミ「そう……あなたも気づいてたのね、あの子の素質に」

ほむら「彼女だけは…契約させるわけにはいかない」

マミ「自分より強い者は邪魔ってわけ?
いじめられっこの発想ね」

ほむら「………あなたとは戦いたくないのだけど…」

マミ「ならもう二度と会わないように努力して、話し合いだけで済むように…
きっと今夜が最後だから」

スタスタ

ほむら「・・・・・」

黒キュウべぇ「ほむらか…どうしたんだ?夜中にこんなところで」

ほむら「…それはこっちの台詞よホムンクルス。何であなたがここにいるの?」

黒キュウべぇ「質問を質問で返すとは、不躾だな君は」

ほむら「いいから答えなさい」

黒キュウべぇ「私は隣の街まで散歩していただけだ。
せっかく自由に歩き回れるようになったのだからな」

黒キュウべぇ「そうだ、これをあげよう」

ほむら「何…?」

黒キュウべぇ「何って…お土産。
君達は旅行から帰った後、知人に渡す風習があるのだろう?」

ほむら(どら焼き…?
とゆーかこいつ、本当にただの散歩だったのね…)

黒キュウべぇ「さっき巴マミがいたところを見ると…鹿目まどか達について話をしていた…といったところかな?」

ほむら「そこまでわかってるのなら、別に聞かなくてもいいじゃない」

黒キュウべぇ「確認の為に一応だ」

黒キュウべぇ「まぁその様子を見る限り、交渉は決裂したみたいだな」

ほむら「…その通りよ」

ほむら「やっぱりチャンスは明日しかないのかもしれないわね。
できれば巴マミを傷つけたくはないのだけど」

ほむら「身体的にも…精神的にも…ね」



ありがとうございます。

ちょっとだけ投稿します。


翌日

ほむら「…来た」

ほむら「行くわよホムンクルス。
…って、あれ?」

ほむら「ホムンクルス?
……どこにいったのかしら」

ほむら「…まぁいいわ、いてもいなくてもあんまり変わりないし」


ほむら(巴マミ、そしてまどか!
…二人ともまだ結界の入り口、ちょうどいいタイミングで到着できた)

マミ「…二度と会いたくないって言ったはずよね?」

まどか「ほむらちゃん!?」

ほむら「今回の魔女は今までより手強い…」

ほむら「今回の獲物は私が狩る。
あなた達は手を引いて」

マミ「そうもいかないわ、美樹さんとキュウべぇを迎えに行かないと」

ほむら「その二人の安全は私が保証するわ」

ほむら(キュウべぇはどうでもいいけど…)

マミ「信用するとおもって?」スルッ

シュルルルルル

まどか「え!?」

ほむら「なっ!?こ…こんなことやってる場合じゃ」

マミ「安心しなさい、怪我をさせるつもりはないわ。
魔女を倒せばすぐに解いてあげる」

マミ「行きましょう、鹿目さん」

まどか「は…はい…」

ほむら「くっ…!まって…!」

ほむら(このままじゃ…!)



まどか「…ほむらちゃん……私達を心配してくれたんじゃ…」

マミ「そうかもしれないわね、でも…まだ彼女を完全には信用できない」

マミ「万が一のことを考えたら、ああするしか方法がなかったの」

まどか「でも…ここにいる魔女は強いって…」

マミ「鹿目さん、あなたには今までの私の戦いがどう見えていた?」

まどか「え?」

マミ「簡単に勝てた魔女なんて極僅か…
私はいつも怯えながら戦っていたことに気が付いた?」

まどか「そ…そんな…」

マミ「強い魔女なんてたくさんいる…でも、私は戦わなきゃいけないの」

マミ「自分のためにも…あなたたち後輩のためにも…この町に住む人ためにもね」

まどか「……怖いのに戦かってるマミさんは、強いんですね」

マミ「そんなことないわよ。私なんて…ちっとも強くないわ」

まどか「……私も…魔法少女になれば、マミさんの怖さも減らすことができるんですか?」

マミ「鹿目さん…?」

まどか「私にも…みんなを守れる力があるんなら…
戦いたい!マミさんといっしょに!」

マミ「簡単なことじゃないのよ?
これは…本当に怖い戦いで…」

まどか「それでも!私にできることがあるんなら…それをやってみたい!」

マミ「!」

マミ(この子…本当に私の力になろうとして…
一人で戦っていた私のために…自分も戦ってくれるとあってるの?)

マミ(優しい子なのね…)

マミ「ありがとう、なんだかすごく元気をもらったわ」

まどか「あ…ありがとうなんて言わないでください、私なんて……」

マミ「自分を過小評価しないの、あなたは本当に強い人間なんだから」

まどか「そ、そんなことないですよ!」

マミ「フフ…鹿目さんがそばにいてくれるだけで力が湧いてくるみたいよ」

マミ「さあ、このまま魔女まで一気に行きましょう!」

まどか「はい!」

マミ(体が軽い…!こんな気持ちで戦ったことなんて、今までに一度もなかった…!)

マミ(私…もう…何も怖くない!)



一方

ほむら(まずい…!
このままじゃ巴マミは…!)

黒キュウべぇ「随分情けない姿だね、ほむら」

ほむら「ホムンクルス!?」

黒キュウべぇ「手も足も出ないとはこのことだな。
時間に干渉する魔法が使えるのに、よくそんな状況に陥ったものだ」

ほむら「不意打ちよ…
それよりさっきまでどこにいたの?」

黒キュウべぇ「昨夜と同じだよ。散歩だ」

ほむら「…そう、まぁそれはいいわ。
このリボンをどうにかできない?」

黒キュウべぇ「何故だ?魔女退治は巴マミに任せればいい話だろう?」

ほむら「巴マミは、この奥に住んでいる魔女には勝てない。
…おそらく殺されるわ」

黒キュウべぇ「…なるほど……これで昨日君が言ってた事の理由がわかった」

黒キュウべぇ「つまり巴マミは魔女に殺され、それを目撃した鹿目まどかと美樹さやかは魔女との戦いに恐怖する」

黒キュウべぇ「魔女との戦いに恐怖を抱けば、魔法少女の契約も躊躇するだろうね」

ほむら「そうよ…だから巴マミが殺される前に…」

黒キュウべぇ「何故?」

ほむら「何故って……そのまま見殺しにするわけにもいかないでしょ!?」

黒キュウべぇ「君の目的は、あくまで鹿目まどかを魔法少女の呪縛から救う事だろう?」

黒キュウべぇ「ならばそのままでもいいはずだ。
巴マミが死んで鹿目まどかの魔法少女の契約を止められるんなら、かえって好都合のはずだ」

黒キュウべぇ「逆に君と巴マミの関係からすれば、彼女は邪魔になるんじゃないか?」

ほむら「ホムンクルス、あなた…本気で言ってるの…?」

黒キュウべぇ「こんな時に冗談なんて言わないよ」

ほむら「・・・・・」

ほむら(…こいつは人間じゃない…だから人間の感性でなんかで動くことはない…)

ほむら(確かに…ホムンクルスの言うことに従った方が、目的を果たすには効率がいい…
…でも…そんなの…!)

ほむら「……私の魔法なら…巴マミをギリギリで助けることができるわ。
一歩間違えれば命を落としていた…そんな状況を作れば、まどかは魔法少女の戦いに恐怖を覚えるはず」

ほむら「巴マミの実力は本物よ。
ワルプルギスの夜と戦うには少しでも多くの戦力が必要になる。
彼女の協力を得れば、倒せるかもしれない」

黒キュウべぇ「共闘…ねぇ…
巴マミが君と共に戦ってくれる根拠でもあるのかい?」

ほむら「この一件で彼女を助ければ、彼女に貸しを作ることができる。
それに彼女は正義感が強い、街一つを簡単に滅ぼすことのできるワルプルギスの夜の襲来を、見過ごすわけはないわ」

黒キュウべぇ「なるほど…」

ほむら「それに…私は他の魔法少女達を見捨てたくない…全員に生きていて欲しいの」

ほむら「何より…巴マミが死ねばまどかが悲しむ」

黒キュウべぇ「この間も言ったはずだほむら。
私はただ提案するだけだ」

黒キュウべぇ「最後に決めるのは、君だと」

黒キュウべぇ「では君を束縛しているこのリボンを解こう」

黒キュウべぇ「その前にほむら、一つ尋ねてもいいかな?」

ほむら「なに?できれば早くして欲しいのだけど」

黒キュウべぇ「なに簡単な質問だ。
君、このリボンは何でできているのかわかるか?」

ほむら「?…魔法少女の魔法で生み出された物は、ほとんどが魔力で作られてると思うけど…」

黒キュウべぇ「ふむ…魔力か…難しいな…」

ホムンクルスがリボンに触れる。

黒キュウべぇ「散歩はしてみるものだ…魔力についていろいろ調べることができたからな」

黒キュウべぇ「…こんな感じかな?」バチバチ

リボンがバラバラに分解された。

ほむら「!」スタッ

ほむら「どうやったの?」

黒キュウべぇ「錬金術の基本は理解…分解…再構築。
今のは錬金術を分解の過程で止めたんだ」

黒キュウべぇ「その物体の構築式さえわかれば、どんな物でも分解できる」

ほむら「便利ね(ますます警戒を強くしなくゃ)」

ほむら「…と、話てる場合じゃないわ」

ほむら「ホムンクルス、私の肩に乗って」

黒キュウべぇ「」ヒョイ

ほむら「時を止めて追いかけるわ」カチッ

ほむらとホムンクルス以外の全てが停止した。







戦闘中

シャルロッテ「・・・・・」

マミ「せっかく出てきたところ悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ!」ドシュッ

マミが魔法の銃弾を放ち、特製のリボンで魔女を拘束する。

さやか「やった!」

マミ「」ニコッ

マミ「ティロ・フィナーレ」

ゴォオオオオオオ!!!

そして最後の射撃によって、人形の魔女は貫かれた。


しかし…



ニュルン



人形の魔女の口から、黒い芋虫のような魔女が飛びたした。

マミ「……!」

先ほどの可愛らしい魔女の姿は化け物のように変貌し…

牙を覗かした口を大きく開き、目の前にいる者の首を噛みちぎった。


ボトッ





まどか「えっ?」

さやか「!?」

マミ「キュウべぇっ!?」

スタッ

ほむら「間に合ったようね」

まどか「ほむらちゃん!?」

さやか「転校生!?」

マミ「あ…あなた…どうやってここに…!?」

ほむら「私も、一人で動いてるわけじゃないの」

黒キュウべぇ「直接対面するのは初めてだったかな?
はじめましてだ」

マミ「黒い…キュウべぇ…!?」

マミ「でも…何故…?私はさっき…あの魔女に食べられて…死…んだはず…」

マミ「なのに…私の代わりにキュウべぇが…!」

マミ「……キュウべぇが…魔女に食べらて…」

ほむら「仕方ないことだったのよ」

黒キュウべぇ「悲しい犠牲だねぇ(棒)」

自分で読み直したらホムンクルスの言葉使いに違和感を感じる…

シャルロッテ「」グワァァァ

ほむら「…どうやら無駄話してる時間はないようね」

マミ「私も…戦うわ」

ほむら「その足で?」

マミ「!」。

マミ(震えが…!)ガクガク

ほむら「悪いけど、今のあなたじゃ足手まといよ」

さやか「転校生!そんな言い方…!」

マミ「悔しいけど、彼女の言葉は的を得てるわ。
…さっきから震えで足が動かない」

まどか「マミ…さん…」

ほむら「…その人達を頼むわ、ホムンクルス」

黒キュウべぇ「いいよ、思い切りやればいい」

マミ「うぅ……キュウべぇ……」

ほむら「安心しなさい、巴マミ。
キュウべぇなら死んでないわ」

マミ「え!?」

ほむら「そうでしょ?」

キュウべぇ「やれやれ…酷い目にあったよ」

マミ「キュウべぇ!」

キュウべぇ「心配かけてごめんよ、マミ」

まどか「でもどうして?」

キュウべぇ「さっき食べられたあれは、別の体だよ」

さやか「別の体…?忍者とかが使う変わり身の術みたいな?」

キュウべぇ「ちょっと違うけど、まぁそんなふうにとってくて構わないよ」

ミスった

マミ「うぅ……キュウべぇ……」

ほむら「安心しなさい、巴マミ。
キュウべぇなら死んでないわ」

マミ「え!?」

ほむら「そうでしょ?」

キュウべぇ「やれやれ…酷い目にあったよ」

マミ「キュウべぇ!」

キュウべぇ「心配かけてごめんよ、マミ」

まどか「でもどうして?」

キュウべぇ「さっき食べられたあれは、別の体だよ」

さやか「別の体…?忍者とかが使う変わり身の術みたいな?」

キュウべぇ「ちょっと違うけど、まぁそんなふうにとってくて構わないよ」

シャルロッテ「」グワァァァ

ほむら「…どうやら無駄話してる時間はないようね」

マミ「私も…戦うわ」

ほむら「その足で?」

マミ「!」。

マミ(震えが…!)ガクガク

ほむら「悪いけど、今のあなたじゃ足手まといよ」

さやか「転校生!そんな言い方…!」

マミ「悔しいけど、彼女の言葉は的を得てるわ。
…さっきから震えで足が動かない」

まどか「マミ…さん…」

ほむら「…その人達を頼むわ、ホムンクルス」

黒キュウべぇ「いいよ、思い切りやればいい」

二度も書き直しすみません。

少しサーバーの調子が悪かったりで、おかしくなってしまいました

さやか「大丈夫ですかマミさん?」

マミ「えぇ…大丈夫よ」

まどか「…あんなに強いマミさんが……」

黒キュウべぇ「これが魔法少女の戦いというやつだよ、鹿目まどか」

まどか「!」

黒キュウべぇ「ベテランであり凄腕の巴マミでさえ、こんなにあっさりと死ぬ可能性だってある。
今回は偶然助かったが、次はどうなるか…」

黒キュウべぇ「そんな戦いを、君は本当に続けられるか?」

まどか「…私……は…」ブルブル

黒キュウべぇ「怖いか?」

まどか「・・・・・」

黒キュウべぇ「恥じることはない、それは生物が生き残るためには大切な感情の一つだ」

黒キュウべぇ「逃げられるものからは逃げてもいい、無理に戦うことなんてないんだ」

まどか「・・・・・」

黒キュウべぇ(ま、こんな感じのことを言っとけばいいだろう)

シャルロッテ「」グワアァァァ

ガブッ

キュウべぇの頭を食いちぎった時のように、恵方巻き魔女はほむらに食らいついた。

ほむら「・・・・・」スッ

まどか「!」

魔女に食われたかのように見えたほむらだったが、突然別の場所から姿を現しーー

ドガンッ!!

魔女を爆撃した。

ほむら(さすがに一発じゃ仕留めきれないわね…ならあと二、三発ぶち込んでみるか)

ドガンッ!!

ドガンッ!!

魔女の攻撃を躱しながら、何度も攻撃を命中させる。

ほむら(止めよ!最後は口の中を爆破させてやる!)

ドガンッ!!!

体の中から炸裂する爆撃で、魔女はバラバラに吹き飛んだ。

マミ「強い…!あの魔女を…圧倒的に…!」

黒キュウべぇ「……ほぉ」

グワァ〜ン

魔女の結界が消滅する。

黒キュウべぇ「終わったようだな」

ほむら「」ポイッ

マミ「!?」パシッ

ほむら「ソウルジェムが濁ってるわ。
それを使いなさい」

マミ「あ…ありがとう…」

ほむら「…今回は命拾いしたわね、巴マミ。
だけど、次はこんなに運が良く事は進まないわ」

ほむら「わかってるの?あなたは自分だけじゃなく、そこの二人の命も危険に晒していたのよ?」

さやか「転校生!そんな言い方…!」

ほむら「…本当のことじゃない」

さやか「…ッ!」

さやか「なんなのよあんた!
急に出て来て!いつもいつも偉そうに…!」

さやか「確かにあんたはマミさんより強いかもしれない…!
だけど!マミさんはあんたよりもずっと器が大きくて偉大なんだ!」

さやか「たった一人…ずっと孤独に…誰にも感謝されることなく街を救ってきたマミを…!
あんたなんかがそんなふうに言うなッ!!」

ほむら「………ッ」

黒キュウべぇ(呆れたものだ、憧れも度が過ぎれば狂信だな…)

黒キュウべぇ「…美樹さやか…君は何か勘違いをしてるんじゃないかな?」

さやか「勘違い?」

黒キュウべぇ「別にほむらは巴マミを馬鹿にしようとか、貶めようとしているわけではない。
本当に君達の命が危なかったから責めているんだ」

黒キュウべぇ「人間の親だって、自分の子どもが危険な事をすれば、その行動に対して叱るだろう?」

黒キュウべぇ「ほむらが巴マミに言っている事は、それと似たようなものだ」

さやか「・・・・・」

ほむら(なんでだろう……まともなこと言ってるけど、何かこいつが言うとムカつく…)

あ…さやかがマミって呼び捨てにしてた…

もう立て直してェ…ミスが多すぎるよ…
でも立て直すと手間がかかるからなぁ…

黒キュウべぇ「それに…私は人間というのは義理堅い生き物かと思っていたのだが、命を救ってもらった者に対してもその態度…
私の認識は間違っていたということかな?」

黒キュウべぇ「私すら親のようであり、血を分けた姉弟のような存在であるほむらに、恩返ししようとしているというのに…」

さやか「………!」

さやか「そう…だよね…」

さやか「助けてもらったのにお礼もなしに怒鳴っちゃって…人の事を言えないよねあたし…」

さやか「ありがとう転校生。
そしてごめん、いちいち突っかかっちゃって…」

ほむら「…いいのよ、別に」

マミ「私からも謝罪とお礼を言わせて」

マミ「助けてくれてありがとう。
そしてごめんなさい、あなたの言葉を信じずに魔法で拘束してしまって…」

ほむら「いいのよ、そんなこと…
私も信用できない相手にはそうやっていただろうし…」

ほむら(…場の雰囲気が明るくなった…
こいつはこいつなりに、この場を収めてくれようとしたのかもね)クスッ

ほむらがホムンクルスを見て思う。

まどか(あれ…?ほむらちゃん今少しだけ笑った?)

やっぱ立て直そうかなぁ…

どう思います?

こんなミスってばっかのやつにありがとうございます。

続けさせていただきます。

ほむら「ところでまどか」

まどか「わ…私!?」

ほむら「こんな目にあってまで、あなたはまだ魔法少女になりたいと思うの?」

まどか「わ…私は…」

まどか「…やっぱり……怖い…」

さやか「・・・・・」

まどか「卑怯だよね私…
マミさんの前で助けになりたいとか、みんなを守るために戦いたいとか言ってたくせに…結局逃げるなんて…」

ほむら「・・・・・」

マミ「そんなことないわ、鹿目さん」

マミ「怖いと思うのは当たり前、鹿目さんは戦わなくていいのよ」

マミ「戦わなくていい戦いに参加しないことは悪い事じゃない、鹿目さんはぜんぜん卑怯なんかじゃないわ」

まどか「でも…」

ほむら「わざわざ叶えたくもない願いを無理して叶えて、命を賭けた危険な戦いを続ける毎日を送る…
私にはこの方がよっぽど間抜けな人間に見えるわ」

ほむら「あなたの選択は、間違っていないと思う」

まどか「・・・・・」

キュウべぇ「もったいないね、せっかく君には巨大な可能性が眠ってるというのに…」

キュウべぇ「まぁでも、強制はできないし、君が嫌だと言うのなら諦めるしかないのかもしれないね…」

ほむら(よく言うわ、諦めるつもりなんて欠片もないくせに…)

黒キュウべぇ「キュウべぇの言った通りだ。
決めるのは鹿目まどか自身、私達ではない」

黒キュウべぇ「私はそろそろ帰ることにするよ」

マミ「まって!あなたには聞きたいことがあるの!」

黒キュウべぇ「・・・・・」

マミ「あなたは一体何者なの!?
何でキュウべぇと似た姿をしてるいるの?」

黒キュウべぇ「その質問の答えは、今じゃなくてもいいことだ」

さやか「どういうこと?」

黒キュウべぇ「いずれわかる。
また会うだろうからな」

ほむら「私も帰るわ…」

ほむら「鹿目まどか」

まどか「!」

ほむら「くれぐれも…あなたは後悔しない選択を選びなさい」

二人はその場を去った




黒キュウべぇ「今回はなかなか上手くいったようだな」

ほむら「そうね…巴マミも死なず、みんなの信用も掴めた」

ほむら「あなた結構フォローが上手いのね」

黒キュウべぇ「口は上手いほうだよ、私は」

ほむら「だけどまだまだ課題は残ってる…油断せずに挑まなくちゃ…」

黒キュウべぇ「・・・・・」




黒キュウべぇ(暁美ほむら…)

黒キュウべぇ(巴マミ…)

黒キュウべぇ(隣町で出会った例の少女…)

黒キュウべぇ(美樹さやかも、可能性あり…)

黒キュウべぇ(そして…鹿目まどか)

黒キュウべぇ「三人か…鹿目まどかの方はどうにかなるが…」

黒キュウべぇ「さて…美樹さやかはどうするか…」




すいません、ちょっと忙しくてできませんでした。
三日ぶりに投稿します

学校

キーンコーンカーンコーン

さやか「ふぅ〜…終わった〜!」

まどか「さやかちゃんはテストどうだった?」

さやか「いや…私は…まぁまぁ…かな…」

黒キュウべぇ「」ガサゴソ

まどか「黒いキュウべぇ!?」

さやか「なんでここに!?
…ていうかなに勝手に人のカバンの中漁ってんのよ!!」ペシッ

黒いキュウべぇ「ほむらと君達の関係が少し友好になったからな。
もうこそこそ見る必要なくなったと言うわけだ」

まどか「そ…そうなんだ」

黒キュウべぇ「それにしても……美樹さやか、君頭悪いんだな」テストペラッ

さやか「私の答案…!っていうかほっとけッ!!」

まどか「さっきコソコソ見てたって言ってたけど…」

黒キュウべぇ「そこまで気にしなくていい、学校にいる間くらいだ」

黒キュウべぇ「そういえば、君達はまだ巴マミと一緒に行動しているのか?」

さやか「いや…さすがに懲りたよ。
やっぱり半端な気持ちでついて行っちゃいけないと思って」

黒キュウべぇ「まぁ…死にたくないならそれがいい」

黒キュウべぇ「ならもう巴マミとの関わりは途切れているのかな?」

まどか「そんなことないよ!マミさんとはこれからもお友達でいたいもん」

さやか「今日だってマミさんから家に招待してもらったし。
…まぁ、私は今日は行けないけど」

黒キュウべぇ「へぇ…なんで?」

さやか「ちょっと病院にね」

黒キュウべぇ「そうは見えないが…どこか悪いのかい?」

まどか「さやかちゃんには気になる人がいてね、いつもお見舞いに行ってるんだよ」

黒キュウべぇ「ほう…」

さやか「き…気になってるとか、そんなんじゃないって…!」

今気づいたら三日なんてLevelじゃなかった

さやか「あんたはどうなの?
いったい転校生とどういう関係?」

黒キュウべぇ「私とほむらか?」

黒キュウべぇ「そうだな…
人間の基準から言ってみれば、家族…のような関係なのかな?」

さやか「家族…?ペットと飼い主みたいな感じ?」

まどか「さやかちゃん、その言い方はちょっと…」

黒キュウべぇ「こう見えて一応血は繋がっているんだがね」

まどか・さやか「え!?」

黒キュウべぇ「いや…繋がってると言うより、彼女の血そのもの…と言った方が正しいか」

まどか「どういうこと?」

さやか「黒キュウべぇ…あんたはいったい何者なの?
見た目はキュウべぇにそっくりだし、魔法少女とも何か関係があるの?」

黒キュウべぇ「その質問の答えは巴マミに言ったのと同じだ。
今は知る必要はない」

さやか「・・・・・」

まどか「だったら質問を変えていい?」

黒キュウべぇ「ん?」

まどか「大したことじゃないよ。
もし名前があるんなら、教えてほしいかな…なんて」

まどか「いつまでも黒いキュウべぇじゃ呼び辛いし」

黒キュウべぇ「そんなことか。
私のことはホムンクルスとでも呼んでくれ」

まどか「ホムンクルス…
ちょっと長いからホムちゃんって呼ぶね!」

黒キュウべぇ「ホムちゃん!?」

まどか「よろしくね、ホムちゃん」

黒キュウべぇ「……まぁ…自由に呼ぶといいが…」




ほむら「・・・・・」ジー

黒キュウべぇ「なんだその顔は」

ほむら「私だって…まどかにあだ名で呼ばれたことないのに…」

黒キュウべぇ「そんなこと私に言わないでくれ」



お待たせしました。

続きを投稿します。

放課後

黒キュウべぇ「ではほむら、私は少し用事がある。
失礼するよ」

ほむら「用事?」

黒キュウべぇ「なに、少し隣町に行くだけだ」

ほむら「そう…」

ほむら「それはそうとホムンクルス」

黒キュウべぇ「?」

ほむら「その弁当は何?
あなたお金なんて持ってないわよね?」

黒キュウべぇ「あそこの店から失敬したものだが?」

ほむら「普通に泥棒じゃないそれ…
返してきなさい」

黒キュウべぇ「しかしほむら…君もどこかしらから武器を盗んできてるんじゃないのかな?」

ほむら「な…何でそれを…!?」

黒キュウべぇ「毎日夜遅くにどこかに出かけているし、家に魔法で作られたものではなく本物の武器が転がっていたりと…気づかない方がおかしいと思うがね」

ほむら「・・・・・」

黒キュウべぇ「…というわけだ、ほむら。
ここは目をつぶってくれはしないだろうか」

ほむら「…こ…こいつ…」

黒キュウべぇ「答えは?」

ほむら「…わかったわよ」

黒キュウべぇ「そう言ってくれると助かるよ」

黒キュウべぇ「では行ってくる」

ほむら(キュウべぇの姿をしてるから無表情だけど…
断言できる!こいつ今絶対内心ニヤついてる!!)



となり町

黒キュウべぇ「待たせたかな?」

?「言う程待ってない、私もさっき来たばかりだ」

?「で?いつものやつは」

黒キュウべぇ「これでいいだろう?」スッ

弁当を差し出す。

?「オーケー、約束の物受け取りな」

黒キュウべぇ「毎度毎度すまないね」

?「別に、こっちは不良品回収まで行ってくれて、食べ物まで手に入るんだ。
こんないい交換条件も滅多にあるもんじゃない」

黒キュウべぇ「私も運がいい、散歩中に偶然魔法少女に遭遇するとはな」

黒キュウべぇ「次も頼むよ、佐倉杏子」

杏子「構わないけど、あんたもこっちの要求する品をわすれるなよ」

杏子「しかしあんたも変わってるな、汚れを吸い切ったグリーフシードなんかを欲しがるなんて…
ま、私は大助かりなんだけどな」

黒キュウべぇ「どんな物にも、それなりの使用方法というものはあるのだよ」

杏子「何に使うんだ?」

黒キュウべぇ「まぁ主に…私のエネルギーに変換するためだな」

黒キュウべぇ「私から見れば君の方が変わってると思うがね、こんな見るからに怪しい見た目の者と、物々交換なんて普通はしないだろう」

杏子「…それはまぁ…キュウべぇに似てるってのもあるかもな、あんたあいつに見た目がそっくりだし…
でもあんたはキュウべぇじゃあないんだろ?」

黒キュウべぇ「あぁその通り、姿が似ているだけだ」

杏子「まぁ、信用云々より、私には何の損にもならないおいしい取り引きだからな、断る理由もないってわけだ」

黒キュウべぇ「例え騙されたとしても、失うのは自分には必要のない品物、君には何の痛手にもならない…
と言うわけかな?」

杏子「そういうこと。
…で、そんなことを聞くってことは、あんたは私を疑っているという意味か?」

黒キュウべぇ「いや、そんなつもりはない」

黒キュウべぇ「私も欲しい物が手に入る、互いに都合のいいギブアンドテイクの関係だ。
私自身、なるべくこの関係を壊したくはないと思っている」

黒キュウべぇ「しかしそうだな…誤解を招くのならお互い、これ以上は無粋な質問を控えようか」

杏子「・・・・・」

杏子「………!」

黒キュウべぇ「魔女の…結界だな」

杏子「ということで私は狩りに出る。
まだ交換を続けるならそっちからちょくちょく来こいよ、普通のグリーフシードと違ってこっちは保管できないから」

黒キュウべぇ「あぁ、そうするよ」

黒キュウべぇ「だが行く前に…一ついいかな?」

杏子「手短にな」

黒キュウべぇ「君ともかれこれ三度目の交換だが……それはともかく、私と共に行動する魔法少女に暁美ほむらと言う者がいる」

黒キュウべぇ「特徴は黒い長髪だ。
もし出会っても、私との取り引きのことは黙っておいてくれ」

杏子「なんでだ?」

黒キュウべぇ「さっき無粋な質問はやめようと言ったばかりじゃないか」

杏子「……まぁそんくらいならいいけど…」

黒キュウべぇ「感謝するよ」


続きを投稿します。

黒キュウべぇ「魔女の卵グリーフシード…汚れを吸い切った物でもインキュベーターの体なら、魔女に孵化させることなく保存できる」

黒キュウべぇ「魔女は大きなエネルギーを持っている。
これを利用しない手はないな」

黒キュウべぇ「…それにその他の用途もある」

黒キュウべぇ「さて、早急に見滝原に戻るとしよう」


病院

上条「さやかは僕をいじめてるのかい?」

さやか「え?」

上条「何で今になってもまだ、僕に音楽を聞かせるんだ?
嫌がらせのつもりなのかい?」

さやか「…!
だ…だって恭介音楽好きだから…」

上条「もう聴きたくないんだ!!」

上条「自分で弾けもしない曲…!ただ聴いてるだけなんてッ!!」

パリンッ!

上条が怪我をしている手でCDディスクを叩き割った。

さやか「!!」バッ

さやかが直様上条の手を押さえる。

ポタポタ

ディスクを叩き割った上条の手から血が垂れる。

上条「……動かないんだ…グスッ…もう…グスッ…痛みさえ感じない…!」

上条「こんな手なんて…!!」

さやか「大丈夫だよ!諦めないでリハビリを続ければ、きっと…!」

上条「……諦めろって言われたのさ…」

上条「もう演奏は諦めろってさ…
……先生から直々に言われたよ」

上条「僕の手はもう二度と動かない…!
奇跡か、魔法でもない限り」

さやか「あるよ!」

さやか「奇跡も魔法も…あるんだよ!」

さやかはそう言い残し、病室を去った。



バタン


同時刻

まどか(マミさんやほむらちゃんは、きっと今日も魔女との戦いを…命懸けの戦いを続けてるんだ…)

まどか(あの時、マミさんは本当に危なかった…足が震えて立てなったくらい…
一番怖かったのはマミさんのはず、なのに…この街の人達を守るため…私達を守るため、マミさんは戦いをやめることはない…)

まどか(それに比べて私は…
怖いからって戦うことから逃げてる…)

まどか「ほんとに卑怯だなぁ…私…」ハァ

まどか「ん?」

まどか「あれは…仁美ちゃん?」

まどか「仁美ちゃーーん!!
今日もお稽古事!?」

まどか「!?…仁美ちゃんの首筋についてるあれって…!」

まどか(魔女の…口づけ!?)

まどか「仁美ちゃん!ねぇ、仁美ちゃんってば!!」

仁美「あら…鹿目さん?」

まどか「どうしちゃったの!?ねぇ、どこ行こうとしてたの!?」

仁美「どこってそれは…フフフ…ここよりももっと素晴らしい所ですわ」

仁美「そうですわ!
鹿目さんも一緒に行きましょう!それがいいですわ」

まどか「仁美ちゃん…」

まどか「……どうしよう…」

ちょっとだけ続きを投稿します。

一方

ほむら「こんな時間に悪いわね」

マミ「お互い忙しい身だもの、仕方ないわよ暁美さん」

ほむら「そう言ってもらえると助かるわ」

ほむら「…あなたに話がある。
大事な話だからゆっくり話たい」

マミ「そう…
あなたには命を救ってもらった借りもあるし…とりあえず入って、話は中でしましょう」

マミ「………いえ、やっぱり話は後にしてもらえないかしら」

ほむら「魔女か…
私も行く、早く終わらせましょう」

場面は再び戻る

さやか(マミさんは他人の為に願いを叶えることを賛成していなかったけど…
恭介の指が治って、またピアノを弾けるようになれば、私は…)

さやか「ん…?病院の裏にあるあの店…いつもは人が少ないのに珍しいな…
しかもこんな夜中に…」

さやか「!……まどかに仁美まで?」

さやか「…契約は後回し、とにかく今はまどかと仁美だ」

この決断により、さやかは強く後悔することとなる…
そのことはもちろん、現在のさやかには知る由もなかった。


仁美「さぁ鹿目さん。
ここにいる皆で、夢のような世界に旅立ちましょう!」

まどか「……ッ」

まるで生きた屍のように、ヨロヨロと人が集まってくる。
その目は虚ろで、何かに取り憑かれているかの様だ。

いや、実際にこの人達は取り憑かれている。
もちろんまどかはこの人達を操っている犯人を知っている。

まどか(この人達…皆魔女の口づけに…!?)

一人の女性が人々の中心にバケツを置き、その中に二つの洗剤を流した。

瞬間、まどかは母親が自分に言い聞かせていたことを思い出す。

世の中には使い方を間違えれば、大変なことが起きる物もある。
そして今現在、目の前の女性がその間違いを犯そうとしていた。

まどか(止めなくちゃ…!)ダッ

ガシッ

慌てて止めに入るまどかを、薄ら笑いを浮かべる仁美が阻む。

仁美「ダメですわよ鹿目さん。
これは神聖な儀式、素晴らしい所へ旅立つために肉体から離れる儀式ですわ」

まどかは焦った、一刻も早くあれをどうにかしないと、ここにいる人達が全員死んでしまう。

まどか「早くしないと…!」

「仁美にまどか、こんな所で何やってるの?」

まどか「さやかちゃん!?」

仁美「あら?美樹さんも素晴らしい世界へ行くために来ましたの?」

さやか「素晴らしい世界?」

まどか「さやかちゃん!!
あのバケツを外に放り投げて!でないとここにいる人達皆死んじゃう!!」

さやか「どういう……
…!」

さやか(仁美の首筋についてるあれって…魔女の口づけ!?)

さやかはまだイマイチ状況は飲み込めていないものの、魔女の口づけと周りの人々の雰囲気を見て、なんとなくまずい状況だということは理解した。

さやか「よくわからないけど…!
とりあえずまどかの言うとおりに…!」

バシャッ

さやかがバケツごと外へ投げ捨てた。

まどか「これで…大丈夫…!」

しかしその瞬間、周りの雰囲気が一変する。
周りにいた者達が皆、明らかに敵意のある目でまどかとさやかに襲いかかったのだ。

まどか「ひっ…!」

さやか「まどか!こっち!」

まどかはさやかの元に逃げ込むが状況は変わらない、魔女の口づけを受けた者達に周りを囲まれてしまった。

まどか「な…なんでこんな事に…!?」

さやか(キュウべぇがいれば私が契約して、魔法少女になってなんとかできるのに…!)

さやか「くっ…!このままじゃ…!」

バチチッ

ほんとだ、すみません

辺りに閃光が走る。

その瞬間、地面からまどか達と魔女の口づけを受けた者達を隔てるように壁が出現した。

さやか「キュウ…べぇ…?」

黒キュウべぇ「残念ながらキュウべぇではないな」

まどか「ホムちゃん!?」

黒キュウべぇ「危ない所だ」

黒キュウべぇ「しかし…いい判断だったよ鹿目まどか。
あのままバケツを放置すれば、ここにいる者達は全滅していただろう」

黒キュウべぇ「洗剤に含まれる塩素と酸性を混ぜ合わせる…
ご家庭でもできる簡単殺人ガスの完成というわけだな」

さやか「この壁は…?」

黒キュウべぇ「錬金術という技だ。
まぁ、魔法と同じようなものと思ってくれればいい」

黒キュウべぇ「そんなことより、早く逃げた方が良さそうだ」

まどか「そうだね」

黒キュウべぇ「こっちに行ってみよう」


タッタッタッ

黒キュウべぇ「裏口があった。
ここから外に出るとしようか」

まどか「でもあの人達は…」

黒キュウべぇ「その内ほむらか巴マミのどちらかがこの異変に気づく筈だ。
彼らを操っている魔女さえ退治すればおそらく元に戻る」

黒キュウべぇ「だいたい、戻って何ができるというのかね?」

まどか「・・・・・」

黒キュウべぇ「思うこともあるだろうが、今は逃げるしかない」

まどか「そう…だね…」

もうすぐゴールデンウィーク。

ゴールデンウィークの終わり頃には完結したいと思います。

黒キュウべぇ「!」

まどか「どうしたのホムちゃん?」

黒キュウべぇ「やれやれ、最悪のタイミングで現れたものだ」

突然聞こえてきた笑い声と共に、周りの空間が歪んでいく。

さやか「うそ…!これって……まさか…!?
こんな時に…!」

まどか「いや…!」

魔女の結界だ。

空間は更に歪んでいき、三人を飲み込んだ。

黒キュウべぇ「完全に飲み込まれてしまったか…」

ゾワゾワ

さやか「うッ…来た…!」

まどか「…ッ」

黒キュウべぇ「使い魔だけでなく魔女本体まで来たか…」

さやか「さっきの錬金術ってやつで何とかなんないの?」

黒キュウべぇ「無理だな。
逆に聞くが君、こんな体でそんなことができるとでも?」

さやか「……それも…そうだよね…」

さやか「でもだったら…どうすれば…!」

ビュンッ

さやか「…ッ!?」

使い魔がさやかに襲いかかった。

黒キュウべぇ「!」

まどか「大丈夫さやかちゃん!?」

さやか「だい…じょうぶ…掠っただけだよ」

さやか「それよりまどか!自分の心配も…!」

ビュンッ

使い魔の追撃。

まどか「きゃッ!」

ガンッ!

今度はホムンクルスが咄嗟に壁を作ることによって、攻撃を凌いだ。

まどか「あ…ありがとうホムちゃん」

黒キュウべぇ「礼には及ばないよ、鹿目まどか」

黒キュウべぇ「しかし…こいつらをどうするか…」

さやか(…願いは決まってるんだ…!キュウべぇがこの場にいれば…私が魔法少女になって戦えるのに…!)

まどか「・・・・・」

まどか(…何でこんなことに…
……罰が当たったのかな…?)

まどか(私が弱虫で…マミさんとの約束も守れない…嘘つきだから…)

まどか(…今からでも…まだ間に合うかな…?
もし…今ここで魔法少女になれるんなら…)

黒キュウべぇ「・・・・・」

『君達の思いは聞き入れた』

まどか・さやか「「キュウべぇ!?」」

『戦うための力が…魔法少女の力が欲しいんだろう?
さあ言ってくれ、君達の願いを』

『その願いが…君達に力を与えてくれるはずだ!』

まどか・さやか「!」

さやか(私の願いはもう決まってる…!)

さやか「あ…」

まどか「私の…」

さやか「願いは…!」

おかしい。

いくら投稿してもレスに書き込めない

やっと書き込めたみたいです。

というわけで、続きを投稿します。

『キュッぷいッ!?』

まどか・さやか「!!?」

黒キュウべぇ「姿を隠していようが、これは元々君の体だ…近くにいればなんとなく気配はわかる」

黒キュウべぇ「悪いが串刺しになってもらうよ」

さやか「ちょっと!今何をしたの!?」

黒キュウべぇ「言葉通りだが?キュウべぇを串刺しにして、君達が魔法少女になるのを止めさせてもらった」

まどか「串刺しって…いくらなんでも酷いよ!」

黒キュウべぇ「心配するな、君達だって見ただろう?あれはこのくらいじゃ死なない」

まどか「そうだけど…でも…」

さやか「だいたい、私は願いも決まってる!魔法少女になりたかったんだ!
勝手なことしないでよ!」

黒キュウべぇ「私はただ…ほむらの望みを聞き入れただけだ。
君達を魔法少女にはしない…それが彼女の望みだ。
特に君、鹿目まどかはね」

まどか「私?」

さやか「そんなの…あんた達の勝手な都合じゃない!」

黒キュウべぇ「あぁその通りだな。
私は目の前で君達が契約を交わそうとしていたから止めただけだ、君達のことなど考えてはいない」

さやか「!…あんたは…この状況をどうするつもりなのよ…
魔法少女になるなって言うんなら、ここで全員魔女に殺されろって言うの!?」

黒キュウべぇ「私がなんとかしよう」

さやか「!」

黒キュウべぇ「私でも、時間を稼ぐくらいのことはできるはずだ。
ほむらか巴マミ…どちらかがこの場に到着するまで、やつを足止めする」

まどか「そんなの…ホムちゃんが危険じゃない!」

グワァ!

魔女が攻撃を放った。

黒キュウべぇ「!」

ガンッ!

黒キュウべぇ「私を心配するのか…?こんな得たいのしれない生物を…?
君も変わっている」

まどか「・・・・・」

黒キュウべぇ「私なら大丈夫だ。
今のように壁を作って攻撃を防ぐこともできる」

黒キュウべぇ「敵は待ってはくれない、君達は下がった方がいい」

まどか「………わかったよ…ホムンちゃん」

さやか「・・・・・」

スタスタ



黒キュウべぇ「……さて…どうするか…」


あと
"さやか「あ…」"はミスです。

正しくは"さやか「あたしの…」"が正解です。

失礼しました

魔女「・・・・・」

黒キュウべぇ「なるべく後ろへ攻撃を飛ばさないようにしなくてはな…」


ドォォォォォン!!!

突然魔女が爆撃された。


黒キュウべぇ「!」

まどか「え!?」

さやか「今何が!?」


ほむら「危ないところだったわね、あなた達」

ほむら(胸騒ぎがしたから時を止めながら駆けつけたけど、正解だったわ)

まどか「ほむらちゃん!?」

さやか「転校生!?」

黒キュウべぇ「ナイスタイミングだよ、ほむら」

ほむら「あなたも…少しは見直したわ。
後は私に任せて」

魔女「」グオオオオ

ほむら「」ヒョイ

ヒョイ

ヒョイ

魔女が連続で攻撃するも、ほむらには擦りもしない。

まどか「凄い!」

さやか「やっぱ…強い…!」

魔女「!?」

ほむら「魔女の中でも弱い方ね」ジャキン

ドォン!

ほむらの放った銃弾が、魔女を貫いた。

魔女「…ッ!!」

ほむら「ダメ押しよ」

ドガァァァン!!

更に手榴弾で魔女を爆撃した。


グワァ〜ン


今の攻撃で魔女は倒され、結界は消滅した。

まどか「一瞬で…しかも無傷で…」

さやか「・・・・・」

シュタッ

マミ「あら?もう終わったの?」

ほむら「えぇ、私が倒したわ」

マミ「速いわね、あなたついさっきまで私といたはずなのに」

ほむら「これが私の魔法…それだけ言っておくわ」

マミ「あら、まだ教えてくれないのね」

マミ「鹿目さん、美樹さん、大丈夫だった?」

さやか「えぇ…」

まどか「ホムちゃんと…ほむらちゃんのおかげで…」

さやか(なんか紛らわしいな)

マミ「あれは…何かしら?」スタスタ

マミは奇妙な物を見つけた。

マミ「って…え!?」

マミ「キュ…キュウべぇ!?
岩が貫通してる…!何でこんなことに!?」

黒キュウべぇ「鹿目まどかと美樹さやかを守るので精一杯だった。
キュウべぇの方は…残念ながら魔女の攻撃に…」

マミ「そ…そんな…」

まどか「…えぇ……」

さやか(ちゃっかり罪を魔女に押し付けた!)


ほむら「グッジョブ、ホムンクルス」

黒キュウべぇ「容易いことさ」

黒キュウべぇ「まぁ、ほうっておけばその内ヒョッコリ現れるだろう。
このしたいは私が処分しておくよ」

まどか「あ…持って行っちゃった…」

マミ「そ…そうか…確かキュウべぇってあのくらいじゃ死なないんだったわね」

ほむら「キュウべぇはどうでもいいとして、これで魔女の口づけを受けた人達も、解放されたはず…」

まどか「そうだよね!
よかった!これで仁美ちゃんも元に戻る!」

マミ「今考えると本当に恐ろしい事ね、たくさんの人達が魔女に操られて、全員で集団自殺なんて…」

さやか「でもこれでみんな元通りになった…はず……」

さやか「…なんか…焦げ臭くない?」

まどか「そう言えば…」

マミ「まさか!」


今日のキュウべぇ、岩に串刺しにされる。

ゴオオオオオォォォォォォ

まどか「も…燃えてる…!?」

さやか「そんな…!なんで…!?」

ほむら「…!」

黒キュウべぇ「どうやらあれが原因のようだ」

ホムンクルスの指した先に見えたものは…
魔女の口づけを受けた者達が火を放ってる姿だ。

まどか「!」

マミ「なんで…!?魔女を倒したはずなのに…魔女の口づけを受けた人達が解放されてない!
普通は魔女を倒せば済むはず…!なのになぜ…!」

まどか「完全には倒せていなかったとか…?」

ほむら「それは無いわ、わかるもの。
完全に倒したわ」

まどか「なのに…なんで…」

ほむら「…わからない」

パチパチ

火は更に勢いを増す。

さやか「あぁ…!恭介の通ってる病院にまで火の手が…!」

マミ「ぐずぐずはしてられないわ。
早く原因を見つけて、火を消さないと!」

ほむら「………まさか…!」

マミ「何か気づいたの?暁美さん」

ほむら「私達は…とんでもない勘違いをしてたのかもしれない…」

マミ「え…?」

ほむら「もし…もし最初から…魔女が二体いたのなら…この状況にも頷けるんじゃないかしら…?」

マミ「ッ!?」

二人は魔女の結界の出現を察知した。

マミ「疑問は今…確信に変わったわね!」

ほむら「・・・・・」

マミ「操られた人達は私に任せて!暁美さんは魔女をお願い!」

ほむら「わかったわ」

マミ「事が事…鹿目さんに美樹さん、悪いけどあなた達にも手伝ってもらっていいかしら?」

まどか・さやか「わかりましたマミさん!」

黒キュウべぇ「・・・・・」


数十分後



魔女は倒され、火は消し止められた。



しかし…



「うぅ…」

「痛い…」

「熱い…」

「苦しい…」


まどか「酷い…」

マミ「何人か…火事に巻き込まれてしまったのね…」

ほむら「死者が出なかったのは幸いだけど…これは…」

さやか「・・・・・」

さやか(………私の願いなら…この人達を助けられるかもしれない…
でも……それだと恭介が…)

さやか(それに…全く知らない赤の他人の為に…命を賭けて魔女と戦う人生を歩むなんて…)

さやか(私には…)ググ…


「助けて…」

「誰か…」

「お母さん…」


さやか「!!!」

さやか「………ッ!」

さやか(ごめん…!恭介!)


さやか「私の願いで…この人達を助ける!」

ほむら「!!」

マミ「な…何を言ってるの美樹さん!?」

まどか「さやかちゃん!?」

マミ「やめなさい美樹さん!
確かにそれなら、この人達を助けることができる!
だけどあなたが辛い使命を担うことになるのよ!?」

さやか「覚悟の…上です…!」

マミ「!」

さやか「今ならまだ間に合います。
あまり騒ぎが広がっていない今なら…」

さやか「それに…目の前で苦しんでる人がこんなにいたら…見捨てることなんてできるわけ無いじゃ無いですか」

マミ「美樹…さん…」

さやか「いるなら出て来てキュウべぇ!!」

ヒュンッ

キュウべぇ「君の願いは聞き入れた」

キュウべぇ「本当にいいんだね?さやか。
後戻りはできないよ?」

さやか「お願い…」

まどか「まってさやかちゃん!
だったら私が…!」

バチバチ

壁がまどかの行く手を阻む。

まどか「!……ホムちゃん!?」

黒キュウべぇ「・・・・・」



さやか「…まどか……
………ありがとう、ホムンクルス」



さやか「さぁ!願いを叶えて!キュウべぇ!!」

キュウべぇ「さやか、君の願いはエントロピーを凌駕した!
君達以外の全ての人間は、この騒ぎのことを忘れるだろう」

キュウべぇ「後は君達次第だ、この事件も一夜の夢のように、人々の心から消え去ることになるだろう」

キュウべぇ「そしてさやか。
君も今日から、魔法少女だ」

さやか「・・・・・」


翌日

学校



ヒソヒソ

「知ってる?昨日の夜、病院の方で火事があったって話」

「知ってる知ってる。でも怪我人もいないし、何処にも燃え後が無かったんだって」

「見間違いじゃないのか?」

「ほんとだって、俺偶然見たんだ。
俺以外にも他に見た人もいるし」

「でも消防車も来てないし、火事があった店とか病院の人は、火事なんかなかったって言ってんだろ?」

ヒソヒソ



まどか「だいぶ昨日のことが噂になってるね…」

黒キュウべぇ「そんなに心配しなくてもいい、実際に起こったという現実は消えているんだ。
時期に皆、この事を忘れるはずだ」

まどか「…そうだよね」

まどか「あ…さやかちゃん」

まどか「おはよう、さやかちゃん」

さやか「おはよう、まどか」

仁美「ごきげんよう、鹿目さんに美樹さん」

まどか「おはよう、仁美ちゃん」

さやか「おはよう」

仁美「ふぁ〜…」

仁美「あら、私ったらはしたない、ごめんあそばせ」

さやか「どうしたのよ仁美、寝不足?」

仁美「えぇ、夕べは病院やら警察やらで夜遅くまで…」

さやか「えぇー!?なんかあったの?」

仁美「夢遊病って言うのか…知らない間にフラフラと…それも、同じ症状の人がたくさんいて、気がついたらみんなで同じ場所に倒れていたんですの」

さやか「ははは!何それー!?」

仁美「お医者さんの話では、集団幻覚だと言っておりましたけど…
他にもありもしない火事を見た人達がいるとか…少しだけ不安ですわ」

さやか「大丈夫だってー!」

まどか「・・・・・」


放課後

さやか「じゃあね、私は今からマミのところに行くから」

まどか「……まってさやかちゃん…!」

さやか「ん?」

まどか「あの……その……」

さやか「何よその顔は、心配してるの?」

さやか「大丈夫だって、一人じゃない。マミさんだっているし…正義の味方って、なんかかっこいいじゃん」

さやか「そんなに心配しなくても、これはこれで結構楽しんでるから」

まどか「・・・・・」

さやか「じゃあね、まどか!
また明日!」

まどか「あっ………また…明日…」

さやか「♪」タッタッタ

まどか「……さやかちゃん…」












さやか「・・・・・」

ゴシゴシ

さやか「見せられないよ…あの二人の前で…辛そうな顔なんて…」ポロポロ

さやか「…グスッ…心配…させたくない…」

さやか「これはあたしの…グスッ…選んだ道なんだから…最後までやり遂げないと…」

さやか「決めたんだ…!例えどんなに辛くても、あの二人の前では…笑っていようって…!」





杏子「 へぇ〜…そっちの街はいろいろ起きてるんだな」

キュウべぇ「同じ場所に魔女が二体も出るなんて、滅多にあることじゃない」

杏子「あたしにとっては天国みたいなもんだな。
魔女が多い、その分グリーフシードも多い」

キュウべぇ「そう言えば、最近君から使い終わったグリーフシードの回収をしてないけど、どうしてるんだい?」

杏子「…こっちにもいろいろあるんだよ」

キュウべぇ「いろいろねぇ…」

杏子「とにかく…私も行ってみるか、見滝原に…」

キュウべぇ「それは構わないけど、他の魔法少女ともめることになるんじゃないのかい?」

杏子「マミのやつに見つからなきゃ平気だよ」

キュウべぇ「しかしあの街にいる魔法少女はマミだけではないよ」

杏子「聞いてないぞ、誰だそいつ?」

キュウべぇ「言ってないからね、というか、昨日魔法少女になったばかりだから言う暇もなかったのさ」

キュウべぇ「名前は美樹さやか。さっき言った事件の怪我人を治すために魔法少女の契約を結んだ」

杏子「なんだよそいつ…ムカつくな…」

キュウべぇ「それに僕にもよくわからない存在…イレギュラーが二人もいる」

杏子「イレギュラー…?」

キュウべぇ「一人は暁美ほむらという魔法少女」

杏子(暁美ほむら…?何処かで聞いたような気が…)

杏子「で、そいつが普通の魔法少女とどう違うんだ?」

キュウべぇ「うん…なんというか…魔法少女であることは間違いないんだけど…」

杏子「?」

キュウべぇ「彼女と契約を交わした覚えがないんだ」

杏子「どういうことだ?
全ての魔法少女は、あんたと契約を交わしてるんだろ?」

キュウべぇ「その通りなんだけど…それがわからないからイレギュラーなんだ」

杏子「・・・・・」

キュウべぇ「まぁ当てがないわけではないよ」

キュウべぇ「それにもう一人…いや一人という数え方があってるのかもわからないな。
こちらの正体にいたっては、僕にも全くわからない」

キュウべぇ「姿は僕にそっくりで、確かホムンクルスと呼ばれていた」

杏子(キュウべぇにそっくり…?)

杏子「…まさか」


さやか「!」

マミ「向こうにいるのは使い魔かしらね…
グリーフシードは得られないけど、ほって置いたら誰か襲われるかもしれないわ」

さやか「私が行って来ます!」

マミ「一人で大丈夫?」

さやか「使い魔くらい一人で戦えるようにならなきゃ、魔法少女としてやっていけないですよ!」

マミ「それもそうね。
じゃあお願いね、美樹さん」

さやか「行って来ます!」ダッ

マミ「・・・・・」

マミ(辛いのを我慢して、無理に明るく見せているのね…
私はずっと、一緒に戦える仲間を探していたけど、素直に喜べそうにもないわ)

続きを投稿します。



それはさておき、自分で書いといて今更なんだけど、魔法少女って遠くにある魔女の結界を感知するとかできたっけ?

覚えてる限りじゃアニメでそんな描写なかったけど…

続きを投稿します。



それはさておき、自分で書いといて今更なんだけど、魔法少女って遠くにある魔女の結界を感知するとかできたっけ?

覚えてる限りじゃアニメでそんな描写なかったけど…

その頃

黒キュウべぇ「…何処かへ行くのかい?ほむら」

ほむら「私の知っている中で巴マミや美樹さやかの他にも、隣町に一人魔法少女がいる。
その子に会いに行くのよ」

黒キュウべえ「隣町…彼女のことか…」

ほむら「知ってるの?」

黒キュウべえ「散歩していた時にちょっとね…まぁ、少し話をした程度だ」

ほむら「そう…」

ほむら「!…結界が出現したようね。
この感じはおそらく使い魔でしょうけど、一応行った方がよさそうね」

ほむら「・・・・・」

黒キュウべえ「何か思う所あり…と言った顔だな」

ほむら(他の時間軸でも、あの二人がもめていることは幾度かあった…
時期的にもそろそろ…)

ほむら「行くわよ、ホムンクルス」

黒キュウべぇ「わかった」

気配は残るみたいだから活発に活動したら分かりやすいんじゃね?

さやか「まどか、こんな所にいたの?」

まどか「さやかちゃん。
奇遇だね、さっき別れたばかりだけど」

さやか「すぐにここから離れた方がいいよ、まどか」

まどか「え?」

さやか「この辺りで結界が出現した。
多分使い魔だけだろうけど、危険なことには変わりない。
だからここから離れて」

まどか「さやかちゃんは…今からそこに…?」

さやか「もちろん、魔法少女さやかちゃんは、街の平和のために戦わなくちゃならないからね」

まどか「・・・・・」

さやか「そんなに心配しなくていいよ、相手は使い魔。魔女に比べれば楽な方なんだから」

まどか「それでも…」

まどか「・・・・・」

まどか「…あのね…私ね…何もできないし、足手まといにしかならないってことはわかってるんだけど…」

まどか「…いける所まででいいの!
邪魔にならない所まで…一緒に連れてってくれたらな…って…」

さよか「・・・・・」

さやか「…頑張りすぎじゃない?」

まどか「…そうだよね…ごめん…迷惑だったよね…」

さよか「ううん、すっごく嬉しい!」ガシッ

まどか「え!?」

さよか「わかる?震えてるの…
情けないよね、さっきもマミさんには一人で大丈夫なんて言ったのに、いざ一人になると心細くてさ…」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「邪魔なんかじゃない、すごく嬉しいよ!
誰かがそばにいてくれるだけで、ずっと心強い!」

まどか「私…」

さやか「あんたは私の親友なんだから…それこそ百人力だよ!」

さやか「必ず守るよ、だから安心して私の後ろをついて来て!」

まどか「うん!」

キュウべぇ「危険だ。って止めるべきなのかもしれないけど、覚悟の上なんだよね?」

キュウべぇ「なら、止めても意味はないね、行こうか」

使い魔の結界

さやか「ここか」

まどか「…さやかちゃん、本当に大丈夫?」

さやか「大丈夫だって、ここにいるのは使い魔だって言ったでしょ?」

キュウべぇ「でも油断は禁物だよ」

さやか「わかってるって」

さやか「!!」


使い魔「ブゥウウウウウウウンブゥウウウウウウウン」


まどか「出た!」

さやか「任せて!」パァアアア

変☆身

バサッ

さやかはマントの中から幾つもの剣を取り出し、それを使い魔へ向けて投げた。

さやか「はっ!えい!」ヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッ


キンッ キンッ キンッ キンッ


さやか「!?」

しかしさやかの攻撃は、突如現れたムチのようにしなる、伸縮自在の槍によって撃ち落とされた。

「ちょっと何やってんのよあんた」

さやかの剣を撃ち落とした少女が、さやかの目の前に降り立つ。

使い魔「キッキャッキャッキャッ!?」ビューン

使い魔はその隙に、何処かへ飛び去った。

さやか「逃げちゃ…!?」

チャキ

さやかの喉元に、槍の切先が向けられる。

さやか「………ッ」

杏子「見てわかんないの?あれ…魔女じゃなくて使い魔だから。
グリーフシード持ってるわけないじゃん」

さやか「だって…!あれほっといたら、誰かが殺されるのよ!?」

杏子「だからさ…四、五人食ってもらって、魔女になるまで待てって言ってんの」

杏子「そうすりゃちゃんとグリーフシードだって落ちるんだからさ。
卵産む前の鶏しめてどうすんのさ」モグモグ

たい焼きを食べながら話す杏子。

さやか「…魔女に襲われる人を…見殺しにしろっての!?」

モグモグ

杏子「あんたさぁ…なんか根本から勘違いしてんじゃない?」

杏子「食物連鎖って知ってる?学校で習ったよね?
弱い人間を魔女が食って、その魔女を私達が食う。それが当然のルールでしょ?」モグモグ

さやか「…あんたは…!」チャキ

杏子「実はあんたのこと…そいつからきいてるのんだよね…」モグモグ

杏子「赤の他人を助けるために魔法少女になったとか…」

さやか「ッ!!……だったら…なんだってのよ!!」

ガキンッ!

さやか「!!?」グググ

さやかの攻撃は杏子に軽く防がれてしまう。
しかも片手で、たい焼きを食べながら余裕の表情で。

杏子「ほんとさぁ…やめてくれない…?」

杏子「遊び半分で首突っ込まれるの…ほんとむかつく」ヒュオッ

さやか「うわっ!?」

さやかは弾き飛ばされ…

ギギギギギィ

ドガッ!

さやか「ぐあぁっ!」

まどか「さやかちゃん!!」

ヌンチャクのような形状に変形した槍で、壁に叩きつけられた

さやか「ぐぅ……!」

ゴクン

杏子「ちょっとはそこで頭でも冷やしてろよ…」

杏子はたい焼きを飲み込み、後ろを向いて立ち去ろうとするが…

さやか「く…うっ…!」フラフラ

杏子「おかしいな…全治三ヶ月くらいのをかましてやった筈なんだけど…」


まどか「さやかちゃん…大丈夫なの…?」

キュウべぇ「彼女は癒しの力で魔法少女になったからね、回復力と耐久力は人一倍さ」


さやか「あんたなんか…絶対に認めない…!」チャキ

さやか「あんたみたいな魔法少女!私は絶対に認めない!」ダッ

杏子「うぜー…超うぜぇ」チャキ

ガキンッ!

杏子「だいたいあんた、先輩に向かって生意気なんだよ」

さやか「うるさい!」

ガキンッ!

>>153

ご意見ありがとうございます。

違和感がある人はもう、この話ではできると思ってください。

ついでに連投すみません。

さやかは必死に剣を降るが、全て杏子に軽く防がれてしまう。

杏子「そんなもんかよ。なら今度はこっちの番だ!」

ガキンッ!ガキンッ!ガキンッ!ガキンッ!

さやか「…ッ!」

杏子「ほらほらどうした!?踊ってばっかいないでちゃんと防げよウスノロ!!」

さやかは魔法少女になったばかり…
ついこの間まで普通の少女と同じように、戦いからかけ離れた生活を送っていた。

対する杏子は何度も魔女と戦いぬいてきたベテラン、魔法や武器の使い方…戦闘経験までもがさやかとは桁違いだ。

勝敗は明らか、敗者はさやかだろう。

そして既に、二人の小競り合いは殺し合いにまで発展していた。

つまり敗者には…死が待っている。

まどか「さやかちゃん!!!」

まどかの目前には杏子の仕掛けた結界が貼られている。
さやかの元に駆けつけることができない。
もっとも…駆けつけたところで、今のまどかにはどうすることもできない。

まどか「どうして…どうして同じ魔法少女どうしで…味方どうしで戦わなくちゃならないの…!?」

キュウべぇ「どうしようもない。お互い譲る気はないよ。
そして止める術もない。どっちも自分が正しいと思ってるから…自分の価値観を犯そうとしている相手を絶対に許さない」

まどか「そんな…」

キュウべぇ「でももし力づくにでも止めたいのなら、方法は一つだけあるよ」

まどか「それは何!?」

キュウべぇ「あの戦いに入り込めるのは、同じ魔法少女だけだ。
君にはその資格がある。そして素晴らしい才能もある」

キュウべぇ「君なら、あの二人を力づくで止めることができるほどの魔法少女にもなれる」

まどか(そうだ…!私が契約すれば…)


「余計なことはするな、インキュベーター」


キュウべぇ「キュぷっ!!?」プチッ

キュウべぇは地面から現れた、拳の形をした岩によって潰された。

まどか「キュウべぇ!!?」





カキンッ!

さやか「!!」

さやかの手から剣が弾かれた。

杏子「もう武器もない。
これで終わりだ!」

杏子「!!?」

瞬間、杏子は目を丸くして、岩のように体を硬直させる。

杏子(どういうことだ…!?
さっきまで目の前にいたはずなのに…!
いきなり消えた!?)

そう…今まさに目の前にいたはずのさやかが消えたのだ。
影も形も残さずに。

杏子「一体どこに…」

ほむら「こっちよ」

杏子「あんた…は…!?」

>>151
魔女が好みそうな場所をソウルジェムを使って
探して回る感じかなぁ本編だと。↓は本編2話のマミの台詞

>「基本的に、魔女探しは足頼みよ」
>「こうしてソウルジェムが捉える魔女の気配を辿ってゆくわけ」

すみません、やっぱゴールデンウィーク中には無理でした。

ほんとすみません。

許した

>>165

あざっす

>>163

やっぱそんな感じだったんですか…まぁこのことはこのssの独自設定ってことにしてください。


というわけで、続きを投稿します。

突然消えたと思われたさやか。
しかしほむらの魔法により、救出されていた。

杏子「何しやがった!?」ジャキン

杏子「!?」

杏子(また…後ろに…!?)

杏子「……そうか…お前がキュウべぇの言ってたイレギュラーか…
そして向こうの黒いやつも」

黒キュウべぇ「久しぶりだね」

杏子「ホムンクルス、まさかあんたがこの街にいたとわな…」

黒キュウべぇ「それはこちらの台詞だな」

さやか「…邪魔しないでよ!」

ほむら「・・・・・」

シュタッ

マミ「やめなさい、美樹さん」

さやか「マミさん…!?」

マミ「帰りが遅いと思って心配して来てみれば…魔法少女同士の縄張りを無視して私の後輩を攻撃するなんて…一体どういうつもりかしら?佐倉さん」

杏子「チッ…」

マミ「あなたもよ美樹さん。
私達が戦うべき相手は魔女でしょう?」

さやか「わかってます…!
でも…!あいつは…グリーフシードのためなら他人を見殺しにしてもいいって奴なんですよ!?」

マミ「……それでもよ。
私達は戦うべきじゃないわ」

さやか「!…実在にあいつは…!私が退治しようとした使い魔を、人が襲われるのを承知でグリーフシードのためにわざと逃がして…!」

マミ「彼女自身が人を殺すわけではないわ。
彼女がわざと見逃した使い魔の分、私達が退治すればいいのよ」

マミ「それに…あなたが戦って傷ついたら、元も子もないじゃない…」

さやか「マミさん…」

さやかはマミの目を見た。
心のそこからさやかのことを心配している…そんな目だ。

さやか「……わかりました…」

さやかは渋々ながら承諾した。

ほむら「それで…あなたはどうなの?佐倉杏子」

杏子「なっ…!?テメー…何で私の名前を…どこかで会ったか?」

ほむら「ホムンクルスに聞いたのよ」

杏子「…なるほどな」

ほむら「それで、答えは?」

杏子「…やめた。
手札がまるでみえないんじゃね…それにマミまでいるし…」

杏子「少し部が悪すぎる。
今日の所は降りさせてもらう」

ほむら「そう…賢明ね…」

まどか「ほむらちゃん、ありがとう。
その…さやかちゃんを助けてくれて…」

ほむら「あなたは関わり合いを持つべきではないと…!いったい何度忠告すれば気が済むの!?
あなたはどれだけ愚かなの!?」

まどか「!…その…」

さやか「ちょっと…!そんな言い方…」

マミ「あなたもよ美樹さん!無茶はしないで!」

さやか「…す…すみません…」

さやか「でも…私は…許せなかったんです。あいつの考え方が…」

さやか「誰かを犠牲にして、自分だけが特をする…そんな弱肉強食の考え方なんて…」

さやか「そんなの絶対間違ってる!」

黒キュウべぇ「そうとも言えないんじゃないかね?」

黒キュウべぇ「弱肉強食…これも世界が認めた一種の理…一つの真理だ」

さやか「じゃあ何?あんたはあいつの言ってることが正しいって言うの?」

黒キュウべぇ「そうは言っていない。私はただ、君の意見が絶対に正しいということではないと言いたいだけだ。
…もちろん、間違っているというわけでもないがね」

さやか「何が言いたいのよ」

黒キュウべぇ「今はどちらも中立だ。
なら君が正しいと証明するには、いったいどうすればいい?」

黒キュウべぇ「それは簡単だ。
君の意見と佐倉杏子の意見…その両方を…「ホムンクルス!」

ほむら(美樹さやかを煽るような発言は控えなさい)ボソッ

黒キュウべぇ「・・・・・」

黒キュウべぇ「ん…?」

黒キュウべぇ(あそこに落ちているのは…)

ーーーーーーーー

夜中

杏子(暁美ほむら…キュウべぇの言っていたイレギュラーの一人…想像以上に手強い相手だなこりゃ。
何より、得体が知れない)

杏子(おまけにマミにまで見つかっちまうし…
やっぱあのさやかとかいう新入りにムキになり過ぎちまったのかな…)

杏子「でも今思い出すだけでも腹が立つ、他人のために願いを叶えて魔法少女になるなんて、まるで昔の私を見てるようでな…」

黒キュウべぇ「私に何か用でも?」

杏子「おわっ!あんたいつの間に!?」

黒キュウべぇ「失礼な言い方だな。
君が呼び出したのだろう?」

黒キュウべぇ「君が去った後、あの場所にりんごが落ちていた。
そのりんごには『いつもの場所でまつ』と刻まれていたが…君の残したものだろう?」

杏子「あぁ…気づかないんじゃないかとちょっと不安だったけど、ちゃんと気がついたようだな」

黒キュウべぇ「しかし…何故わざわざあんな回りくどい方法を?」

杏子「余計なのまでついて来られると面倒だからな。
あんたにしかわからないようにメッセージを残したかったんだ」

杏子「それにあんたはこの前、私との関係はほむらってのにはあまり知られたくないって言っていたからな、他の奴らに知らせたりしないと踏んだわけだ」

杏子「感謝しろよ、そっちの都合にも合わせたんだからな。
もし他のやつがそのメッセージ付きのりんごを拾ったところで、何のことかは理解できない。
後で適当に言い訳すりゃ、簡単に誤魔化せるってわけだ」

杏子「わかったらさっさとあのりんごを返せ」

黒キュウべぇ「返す…?」

杏子「そうだよ、後で食べようと取っておいたんだ…って、まさかお前…」

黒キュウべぇ「察しの通り食べてしまったよ?」

杏子「何やってんだよ!」

黒キュウべぇ「くれた物じゃなかったのか?」

杏子「違うに決まってんだろ!返せ私のりんご!」

黒キュウべぇ「そう言われてもねぇ…もう食べてしまったわけだし…
まぁいいじゃないか、りんごの一つや二つ」

杏子「よくねーよ…」

黒キュウべぇ「そんなに嫌だったんなら、メッセージといっしょにりんごに刻んでおけばよかったじゃないか」

杏子「・・・・・」

黒キュウべぇ「話を戻すが、君は何の用があって私を呼んだのかね?」

杏子「……ちょっと聞きたいことがあったからだ」

黒キュウべぇ「聞きたいこと?」

黒キュウべぇ「質問に答えるのは構わないが、それにより私は何を得るのかね?
等価交換…私と君の関係はそれによって構築されている筈だ」

杏子「等価交換って…テメーさっき私のりんご食っただろうが!」

杏子「それ以前に、あんたは私にこういう条件を出していた筈だ。
『暁美ほむらには私との取り引きのことを黙っていてほしい』…と、つまりそちらの条件は二つ。
あんたは私の質問に答える義務がある」

黒キュウべぇ「……やれやれ…そうきたか」

黒キュウべぇ「…では君の質問というのは、いったいなんだ?」

杏子「そりゃもちろん、イレギュラーの暁美ほむらの魔法についてだ」

黒キュウべぇ「ほむらの…」

杏子「一度目の前で見たんだ。
催眠術や瞬間移動なんてチャチなもんじゃ断じてないはずだ。
いったいありゃなんなんだ?」

黒キュウべぇ「…それは言えないな」

杏子「はぁ!?
おま…!それは話が違うじゃねぇか!」

黒キュウべぇ「もし仮に、君がほむらの魔法の詳細を知っていることにほむらが感づいたとする…
そしたら当然、ほむらは君が何故知っているのか知りたくなるはずだ」

黒キュウべぇ「そしてもしかすればほむらは、君を尋問…もしくは拷問して、君がどこからその情報を得たのかを聞き出すかもしれない…」

黒キュウべぇ「いや、彼女の魔法を知っているのは彼女以外に私だけだ。真っ先に私が疑われるだろう。それは避けられない」

黒キュウべぇ「どちらにせよ、私に対する彼女の信頼は地に落ちる。
グリーフシードの件だけならば、まだ言い訳もきくが…勝手に魔法まで教えてしまったとなればそれもきかない」

黒キュウべぇ「最悪、私は彼女によって消されるかもしれないからね…君に教えることはできない」

杏子「拷問とか消されるだとか…そんなのはあんたの勝手な妄想だろ」

黒キュウべぇ「だから仮だと言っただろう。例えばの話だ」

黒キュウべぇ「だけど確立はゼロではない、僅かに可能性がある限り、私は話すことはできない」

杏子「じゃあさっきの等価交換ってのはどうするんだよ!?
自分から言っといて撤回すんのか!?そんな虫のいい話、認めるわけねーだろ!」

黒キュウべぇ「ふむ…そこまで言うのなら構わない…
さっきも言った通り、グリーフシードの件ならばまだ言い訳もきく、私から自分でほむらに話すとしよう…そうすれば君との二つ目の等価交換はなかったことになる」

杏子「チッ……わかったよ。質問を変える」

黒キュウべぇ「質問に答えるのは構わないが、それにより私は何を得るのかね?
等価交換…私と君の関係はそれによって構築されている筈だ」

杏子「等価交換って…テメーさっき私のりんご食っただろうが!」

杏子「それ以前に、あんたは私にこういう条件を出していた筈だ。
『暁美ほむらには私との取り引きのことを黙っていてほしい』…と、つまりそちらの条件は二つ。
あんたは私の質問に答える義務がある」

黒キュウべぇ「……やれやれ…そうきたか」

黒キュウべぇ「…では君の質問というのは、いったいなんだ?」

杏子「そりゃもちろん、イレギュラーの暁美ほむらの魔法についてだ」

黒キュウべぇ「ほむらの…」

杏子「一度目の前で見たんだ。
催眠術や瞬間移動なんてチャチなもんじゃ断じてないはずだ。
いったいありゃなんなんだ?」

黒キュウべぇ「…それは言えないな」

杏子「はぁ!?
おま…!それは話が違うじゃねぇか!」

黒キュウべぇ「もし仮に、君がほむらの魔法の詳細を知っていることにほむらが感づいたとする…
そしたら当然、ほむらは君が何故知っているのか知りたくなるはずだ」

黒キュウべぇ「そしてもしかすればほむらは、君を尋問…もしくは拷問して、君がどこからその情報を得たのかを聞き出すかもしれない…」

黒キュウべぇ「いや、彼女の魔法を知っているのは彼女以外に私だけだ。真っ先に私が疑われるだろう。それは避けられない」

黒キュウべぇ「どちらにせよ、私に対する彼女の信頼は地に落ちる。
グリーフシードの件だけならば、まだ言い訳もきくが…勝手に魔法まで教えてしまったとなればそれもきかない」

黒キュウべぇ「最悪、私は彼女によって消されるかもしれないからね…君に教えることはできない」

杏子「拷問とか消されるだとか…そんなのはあんたの勝手な妄想だろ」

黒キュウべぇ「だから仮だと言っただろう。例えばの話だ」

黒キュウべぇ「だけど確立はゼロではない、僅かに可能性がある限り、私は話すことはできない」

杏子「じゃあさっきの等価交換ってのはどうするんだよ!?
自分から言っといて撤回すんのか!?そんな虫のいい話、認めるわけねーだろ!」

黒キュウべぇ「ふむ…そこまで言うのなら構わない…
さっきも言った通り、グリーフシードの件ならばまだ言い訳もきく、私から自分でほむらに話すとしよう…そうすれば君との二つ目の等価交換はなかったことになる」

杏子「チッ……わかったよ。質問を変える」

連投失礼

黒キュウべぇ「では、他の質問というのは?」

杏子「……美樹さやか…だったか?
あいつが魔法少女になった経緯についてだ」

黒キュウべぇ「美樹さやか…?」

杏子「これも答えられないとは言わせねぇぞ」

黒キュウべぇ「構わないが、そんなことを知ってどうすると言うのかね?」

杏子「質問を質問で返すな、さっさと答えろ」

黒キュウべぇ「ふむ…」

黒キュウべぇ「美樹さやか…彼女は魔女によって負傷した者達を治癒させるために魔法少女になった」

杏子「それはキュウべぇのやつから聞いた。私が聞いてるのはそれ以前の話だ」

黒キュウべぇ「それ以前?」

杏子「あいつにその話をした時、あいつの感情が一瞬にして高まった。
他人のために願いを使っちまった奴は大抵後悔するんだ。
だが願いを叶えた直後は別だ、自己満足に満たされているからな」

杏子「だがあいつは…魔法少女になってたった一日しか経ってないって言うのに、もうすでに後悔してる様子だった。
いや…私には他の感情も混ざっていたように見えた…おそらくその願いは本心からのものではないんだろ?」

黒キュウべぇ「ずいぶんと詳しいね、まるで自分も体験したかのような自論だ」

チャキ

杏子「余計なこと言ってんじゃねーよ…!」

杏子が明らかに怒りの篭った目で、ホムンクルスの眼前に槍を突きつけた。

黒キュウべぇ「やれやれ…」

黒キュウべぇ「…彼女には将来有望とされたヴァイオリン奏者の友人がいた。
しかしその友人は、事故により一生ヴァイオリンが弾けない体になってしまったらしい…
確か名前は…上条恭介…という少年だったかな?」

杏子「…で、あいつの本当の願いは…その上条ってやつを治すことだったんだな?」

黒キュウべぇ「その通り」

黒キュウべぇ「しかし…あの魔女の事件が起きてしまった。
彼女は目の前に倒れている痛々しい姿の人々を、見捨てることができなかったんだろうね」

黒キュウべぇ「私が言うのもなんだが、彼女は心の優しい人間…というやつなのかも知れない…」

杏子「………くっだらねぇ…
それであいつが何を得たってんだ?
その治した奴らから何かを貰えるわけでもない!
その上条って奴の件だってそうだ!結局、最後に残るのは虚しさだけだろうが!」

黒キュウべぇ「何処へ行くつもりだ?」

杏子「教えてやるんだよ。あいつがやったことが、どんだけくだらねぇことなのか…」

杏子「あいつは馬鹿だ!たった一つだけしか与えられないチャンスを、他人のためなんかに使おうだなんてな!
しかもそれすらも放棄して、全く関係のない人間のために使うときた」

杏子「本当に馬鹿だよあいつは!馬鹿を通り越して…哀れだ」

ダッ








黒キュウべぇ「まったく…人間というのは度し難いな。
ついさっきまで殺し合いをしていたような相手を気にかけるとは…」

黒キュウべぇ「・・・・・」




終わりなら

>>175

いちいち間を開けてすみません。
続きを投稿します。




ーーーーーーーー

病院前

さやか「・・・・・」

さやか「…私の力は癒しの力…キュウべぇがそう言ってた…」

さやか「…まってて…恭介。
私の魔法の力が上がれば、あなたの手を治せるかもしれない」

杏子「まだそんなこと言ってんのか?」

さやか「ッ!!」

杏子「知ってるよ、ここに入院してる坊やなんだろ?あんたが魔法少女になろうとしたきっかけは」

杏子「まったく…くっだらない理由で首を突っ込みやがって…
しかもそれすら辞めて、もっとくだらない事で願いを潰しちまうなんてな」

さやか「ッ!…あんたなんかに何がわかる!」

杏子「わかってねーのはそっちだ馬鹿!
魔法ってのはな、自分のために使ってなんぼなんだよ。他人の為に使ってもろくなことなんかにならないのさ」

杏子「本当はあんたもわかってんだろ?
なぜなら…あんたは今、自分自身の選択に後悔しているから…」

ヒュンッ

杏子「!!」

杏子に向かって、猛スピードで剣が飛んできた。
剣は杏子の頬を掠め、壁に突き刺さる。

杏子「…へぇ……やる気まんまんだな…
いいよ、場所を移そう」

ーーーーーーーー

鉄橋の上

杏子「ここなら暴れても問題ないね。
いっちょ派手にやろうじゃない」パァァァ

さやか「・・・・・」

変身した杏子に答えるように、自らのソウルジェムを手に持って変身しようとするさやか。

しかし…

まどか「待って!さやかちゃん!」

さやか「邪魔しないでまどか」

まどか「…ッ」

静かに…しかし激しい怒りを宿す目でまどかに言い放つさやか。
これまで見たことのない親友の目に、まどかは思わず身がすくんだ。

まどか「…でも…!こんなの絶対おかしいよ!」

杏子「うざい奴にはうざい仲間がいるもんだねぇー」


ほむら「やめなさい…と言った筈よ?」

杏子「なっ!?テメーはまた急に!」

杏子「それより、何であんたがここに…!?」

黒キュウべぇ「・・・・・」

杏子「テメーか…!」

ほむら「あなたもよ、美樹さやか」

さやか「…うるさい…!」

ほむら「…!」

さやか「うるさいのよあんたは!
いちいち上から目線で!あたしに命令しないで!」

ほむら「あなた…巴マミにも止められていた筈よ」

さやか「・・・・・」

ほむら「…(ダメだ、怒りで前が見えなくなっている)聞く耳持たずのようね。
…だったら力づくで止めさせて貰うわ」

さやか「やってみなさいよ!」

まどか「さやかちゃん!!」


『正しすぎるその子の分まで、誰かが間違えてあげればいい』


瞬間、まどかは自分の母親が言っていた言葉を思い出した。
そしてその言葉が、まどかを行動に移した。


まどか「さやかちゃん、ごめん!」

パシッ

さやか「なっ!!?」

ほむら「!」

まどか「えいっ!」ポイッ

まどかがさやかのソウルジェムを奪って、鉄橋の下へと投げ捨てた。
投げ捨てられたソウルジェムはトラックの上に落ち、そのまま遠くへと走り去った。

さやか「まどか、何てこと……」フラッ

まどか「だって…こうしないと…」

まどか「え?」

糸が切れた人形のように、さやかはまどかの方に倒れこんだ。

黒キュウべぇ「・・・・・」

キュウべぇ「今のはまずかったよまどか。
友達を投げ捨てるなんて、どうかしてるよ」

まどか「何…?どういうこと…?」

杏子「!」

杏子「脈が…!
どういうことだよおい!こいつ…死んでるじゃねぇか!」

まどか「そんなッ!!?」

まどか「うそだよねぇ!?ねぇっ!さやかちゃん!起きてよ…!嫌だよ…こんな…」

黒キュウべぇ「ほぅ…なかなか面白いものだね。
瞳孔が開きっぱなしで呼吸もしていない、おまけに心臓も脈も停止している。
外から見れば完全に死んでいる」

杏子「外から見れば…だと?
どういうことだ!?」

黒キュウべぇ「安心するといい。
彼女は死んでいない」

杏子「…なっ!?」

黒キュウべぇ「詳しくは、あちらが教えてくれる筈だ」

キュウべぇ「…君達魔法少女の体をコントロールできるのは、せいぜい百メートルが限度だ」

杏子「百メートルだと!?
どういう意味だ!」

キュウべぇ「普段は肌身離さず持ってるから、こういう事例は少ないんだけどね」

まどか「何を言ってるのよキュウべぇ!助けてよ!」

キュウべぇ「そこにいるホムンクルスという存在が言うように、彼女は死んだわけじゃない」

キュウべぇ「そこにあるのはただの抜け殻だよ、さやかは君がさっき捨てちゃったじゃないか」

まどか「えっ!?」

杏子「なん…だと…!?」

キュウべぇ「ただの人間と同じ、壊れやすい体のまま魔女と戦ってくれだなんて、とてもお願いできないよ」

キュウべぇ「君達魔法少女の体なんて、外付けのハードウェアでしかないんだ。
だから君たちの本体としての魂には、魔力を効率的に運用できる、コンパクトで安全な姿が与えられている」

キュウべぇ「魔法少女との契約を取り結ぶ僕の役目はね、君達の魂を抜き取って、ソウルジェムに変えることなんだ」

杏子・まどか「!!!」

杏子「テメー…!ふざけんじゃねぇ!それじゃあ私達は、ゾンビにされたようなもんじゃねぇか!」

キュウべぇ「むしろ便利だろう?
心臓が破れても…ありったけの血を抜かれても…その体は魔力を補充すれば、直ぐに動けるようになる」

キュウべぇ「ソウルジェムが砕かれない限り、君達は無敵だよ?
弱点だらけの体より、よっぽど戦いやすいじゃないか」

まどか「酷いよ…!そんなの…あんまりだよ…!」

キュウべぇ「やれやれ…君達はいつもそうだね、ありのまま話したらいつも同じ反応をする。
訳がわからないよ」

キュウべぇ「どうして人間はそんなに、魂のありかにこだわるのかな?」

黒キュウべぇ「まったく、その通りだな」

杏子「ホムちゃん?」

黒キュウべぇ「別にどこかが悪くなる訳でもないし、いつも通りの日常を送ることもできる。
むしろ戦闘で死なないように配慮してる分、良心的だと私は思うがねぇ」

杏子「テメー…本気で言ってんのか…?」

黒キュウべぇ「現に君達は、今まで何の違和感も持たずに過ごせていたのだろう?」

杏子「ッ!」

スッ

ほむら「彼女のソウルジェムを回収してきたわ」

黒キュウべぇ「お疲れ、ほむら」

ほむら「これで目を覚ますはず…」


ドクンッ


さやか「っ!」

さやか「………なに…?どうしたの?」キョロキョロ


このまま何も投稿しなかったら落ちそうなので、少しだけ投稿します

さやか「騙してたのね」

キュウべぇ「人聞きの悪いな、僕はきちんと君たちにお願いしたはずだよ?
いらない情報を少し省きはしたけどね」

さやか「何で教えてくれなかったの!?」

キュウべぇ「聞かれなかったからさ」

キュウべぇ「知らなくても何の不都合もないしね、事実、巴マミだってなんにも気づいていなかったし…君だってそうだろう?」

さやか「ッ…!」

キュウべぇ「そもそも、君達人間は魂の存在なんて自覚できていないだろう?」

キュウべぇ「それが少し形を変えただけさ。
君達の体で戦いなんて行っていたら、大変なことになる」

さやか「余計なお世話よ」

キュウべぇ「さやか…君は戦いというものがわかっていない」

キュウべぇ「例えば、槍がお腹に突き刺さったとする。
その場合、痛覚神経にどれほどの刺激が与えられるか、君に想像できるかい?」

キュアァァァ

さやか「うッ!!?くッ…!!?」

キュウべぇ「それが本来の痛みだよ。
まともに動けやしないだろ?」

キュウべぇ「君が杏子との戦闘で生き残ることができたのも、僕がその体にしたおかけだよ。
もしそれをしなければ、君は今みたいにまともに動くことすらできなかった」

スッ

さやか「!……ハァ…ハァ…」

キュウべぇ「慣れてくれば完全に痛みを消しされるよ。
まぁ、それはそれで動きが鈍るから、余りお勧めはしないけどね」

さやか「・・・・・」



>>181

杏子「ホムちゃん?」×

まどか「ホムちゃん?」・・

すみません。

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さやか(こんな体になっちゃって…
私…どんな顔して恭介に会えばいいのかな…)

『いつまでもしょぼくれてんじゃねーぞ、ボンクラ』

さやか「!」バッ

さやか「・・・・・」キョロキョロ

ガラッ

さやか(あいつ…)

杏子『話がある』

やっと忙しい時期を抜けました。
続きを投稿します。

続き投稿するって書いといて一週間も開けてすみません。

あの後眠気に負けてしまいまして…

今度こそ続きを少しだけ投稿します。

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杏子「あんたさ…やっぱり後悔してるの?こんな体にされちゃったこと…」

さやか「・・・・・」

杏子「あたしはさ、まぁいっかって思ってるんだよね。
この力があるから好き勝手できてるわけだし」

杏子「後悔する程のことでもないってね」

さやか「あんたは自業自得なだけじゃない」

杏子「そうだよ自業自得にしちゃえばいいのさ!
何もかも自分のせいだ、誰を恨むこともないし、後悔なんてあるわけもない」

杏子「そう思えば大抵のことは背負えるもんさ」

さやか「・・・・・」

古びた教会

さやか「こんなところに連れてきて、いったい何のよう?」

杏子「少し長い話になるからね、まぁ座ってよ」ゴソゴソ

杏子「食うかい?」スッ



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長期間を開けてしまってほんとすみません。

これからは最低でも3日に一回は更新します。

杏子は父親のこと、叶えた願いのこと、そしてその願いによって何が起きたのか…
自分の過去についてをさやかに打ち明けた。



杏子「他人の都合を考えもせず、勝手な願い事をしたせいで、誰もが不幸になった」

杏子「その時心に誓ったのさ、もう二度と、他人のために魔法を使わないって…
この力は、全て自分のためだけに使い切るって…」

さやか「何でそんなことをあたしに…?」

杏子「似てる…からかな…
あんたもあたしと同じ間違いから始まったから」

杏子「とにかく、あんたはこれ以上不幸になる生き方を続けるべきじゃない。
好き勝手して生きていけばいい、自業自得の人生をさ」

さやか「自業自得の人生って…あんたみたいに?」

杏子「そうさ、あたしはそれをわきまえてるが、あんたはまだ間違い続けている。
それが見てられないんだよ」

さやか「……あんたのこと、いろいろと誤解してた、その事は謝るよ、ごめん」

杏子「・・・・・」

さやか「………あたしだって本当はわかってる…自分がとんでもなくバカなことしたって…
だからあんたの言葉に、過剰に反応しちゃったり…」

さやか「だけどさ…でも…」

さやか「……あたしは……正しいことをしたんだと思う…
正しい=自分が幸福になる…なんてことにはならないのは、痛いほど身にしみた」

さやか「けど…例え結果がどうなるかわかっていても、私はこっちを選んだと思う…」

さやか「あたしって、ほんと…バカだからさ」

さやかは目から一筋の涙を流しながら、杏子に笑顔でそう言った。

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ほむら「・・・・・」

黒キュウべぇ「そんなに心配か?
美樹さやかのことが」

ほむら「……よりにもよって…このタイミングで知られてしまうとは…」

黒キュウべぇ「どのタイミングで知られても、この状況じゃあ結果は同じだと思うがね」

黒キュウべぇ「しかしまぁ…ワルプルギスの夜との戦いに、影響してしまったりすればめんどうだな」

ほむら「………そうね…」

黒キュウべぇ「心ここに在らず…と言った顔だな。やれやれ」

黒キュウべぇ「……錬金術師の原則に、等価交換というものがあるのだが…」

ほむら「…?」

黒キュウべぇ「何かを得るためには、それに相当する何かを犠牲にしなければならない…といったものだ」

黒キュウべぇ「魔法少女も同じだな。
奇跡という対価の代わりに、その分だけの絶望も与えられる」

黒キュウべぇ「願いを叶え…人を超えた魔法の力を手に入れようとする者達…
思い上がったものに正しき絶望を…これも一種の真理なのかもしれないな」

ほむら「……だから…割り切れ…と?」

黒キュウべぇ「・・・・・」

ほむら「…そうね…それができれば楽かもしれない…」

ほむら「でも…それがなかなかできないものなのよ。
人間って…」

ほむら「こうなった以上、美樹さやかのことは私ではどうすることもできない。
今の彼女の精神状態じゃあ私の言葉は届かないだろうし…」

ほむら「……最悪のケースも…想定しておかなくてはいけないかもしれないわ…」

黒キュウべぇ「最悪のケース…魔法少女の魔女化か…」

ほむら「これまでの時間軸でも特に、美樹さやかは魔女化することが多かったわ。
だいたいの原因は失恋ね」

黒キュウべぇ「失恋か…人間の好き嫌いが理解できない私には厳しいか…」

黒キュウべぇ「できればそのまま魔法少女として、ワルプルギスの夜との戦いに参加してもらいたいところだがな…」

黒キュウべぇ「そういえばほむら、ワルプルギスの夜への準備は、ちゃんと進めているのかな?」

ほむら「ええもちろん、ちょうどここに、今までの経験で統計した、ワルプルギスの夜出現ポイントを記した地図が……って、あれ?」

ほむら「…これは?日本列島をぐるりと円で囲んで、ところどころに点が書き込まれてるけど…」

黒キュウべぇ「!」

ほむら「どうしたの?」

黒キュウべぇ「いや、何も…
その地図は私のものだ。
君のはそこにある…それじゃないか?」

ほむら「あら本当…いつの間にか知らない地図と入れ替わってたようね」

ほむら「それはそうと、その地図はいったい何?
そんな、円や点を書き込んでいる奇妙な地図を、あなたはどんな用途で使ってるの?」

黒キュウべぇ「なに…君が統計によってワルプルギスの夜出現場所を特定したように、私も独自の方法で試してみただけだ。確率は高い方がいいからな。
まぁ結果…うまくはいかなかったがね」

ほむら「へぇ…私にもその方法ってのを教えてもらえないかしら?」

黒キュウべぇ「言っただろう?上手くいかなかったと。
当てにならない知識を身につけたって意味がない」

ほむら「それもそうね」

ちょっと更新します。

黒キュウべぇ「…で、それはいいとして、巴マミや佐倉杏子との関係の方はどうなっている?」

ほむら「順調よ、二人共ワルプルギスの夜との戦いについては協力的だわ」

黒キュウべぇ「そうか、それは何よりだな。
彼女達の協力がなければ、ワルプルギスの夜を倒すことなどできない」

黒キュウべぇ「しかし巴マミの方はともかく、佐倉杏子ともいつの間にか話をつけていたとは…」

ほむら「あの騒動の後、直接本人に話したのよ。
心ここに在らずって感じだったから話が楽に進んだわ」

黒キュウべぇ「・・・・・」

ほむら「何か言いたそうね?」

黒キュウべぇ「いや、別に」

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朝の登校。

仁美「さやかさん、昨日はどうかしたんですの?」

さやか「ん~ちょっと風邪っぽくてね」

まどか「さやかちゃん……」

さやか『大丈夫だよ、もう平気。心配要らないから』
さやかはテレパシーで伝えながらまどかに笑いかけた。

仁美「………さやかさん。放課後、ちょっとだけよろしいですか?」

さやか「放課後?」

仁美「さやかさんと二人だけで話したいことがありますの」

さやか「まぁ…いいけど…」

さやか(用事かぁ…魔女退治もあるから、できるだけ早めに済ませて欲しいけど…)

放課後

仁美「私、上条恭介くんをずっとお慕いしていました」

さやか「!」

仁美「わかってます。
上条くんは今、それどころではないことも…
しかし私も、この気持ちを抑えることはできません」

仁美「それに…幼馴染あり、そんな上条君を支え続けてきた美樹さんの気持ちを、無視するわけにはいきません」

仁美「考える時間も必要かと思い、二日間という時間を、美樹さんにお譲りします。
彼を男性としてみているのなら…どうかその時に告白なさってください」

仁美「もし、明後日までに何かのアクションを起こさなければ…私が彼に告白します」

さやか「…………」



さやか「まどか…」

まどか「私もついて行っていいかな?
友達として、さやかちゃんについていたいの」

さやか「…何で…何でそんなに優しいかな…
あたしには…そんな価値なんてないのに…」

まどか「そんな…」

さやか「あたしね…今日…後悔しそうになっちゃった。
…あの時仁美を助けなければって…一瞬だけ思っちゃったんだ」

さやか「…そりゃあ…願いのことで…後悔してないって言ったら嘘になる…でも…」

さやか「ほんの一瞬でも…!友達を見捨てればよかったなんて!
そんな考えが浮かぶなんて…最低だよ……あたし…」

まどか「・・・・・」

さやか「…どうしよう…このままじゃ仁美に恭介を取られちゃうよぉ……!」

さやか「でもあたし…何もできない…!
だってあたし…死んでるんだもん…!ゾンビなんだもん……!」

まどか「……」

まどかは大粒の涙を流して泣く親友を、ただ抱きしめることしかできなかった。

三日とか言ったのに三週間もすみません。

今日はいつもより少し多めに投稿します

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一頻り泣いた後、さやかは魔女退治を開始した。

そして見つけた魔女の結界、早速まどかと二人で結界の中に入り、魔女と戦うさやか。

そしてそれを、結界の外から眺める三人の魔法少女。


ほむら「美樹さやかと魔女の戦闘が始まったわ」

マミ「・・・・・」

ほむら「まだ気にしているの…?」

マミ「・・・・・」

ほむら「……まぁ…ショックなのは当然だとは思うけど…」

マミ「私は…まだ納得できるわ。
自分が助かるために魔法少女になったんだもの」

マミ「でも…美樹さんは違うわ。
彼女は他人のために…それも全く知らない人を助けるために魔法少女になった」

マミ「なのに…魔法少女にこんな事実があるなんて…
今の美樹さんの心情を思うと…言葉も出ない…」

ほむら「…とにかく…今は彼女の戦いに集中しましょう。
悔しいけど…その問題に対して私達にできることは何もないのだから」

マミ「…一人で大丈夫かしら」

杏子「何言ってんだか…
一人で魔女を倒せないようじゃ、魔法少女なんて務まらないじゃん。
あんた達だって、もともとあいつに経験を積ませるため一人で戦わせてるんだろ?」

マミ「そう…だけど」

ほむら「大丈夫よ。本当に危なくなったら助けに行けばいい」

杏子「そーそー、過保護過ぎんだよマミは」

ほむら「それにしても珍しいわね」

杏子「何がだよ?」

ほむら「あなたがこんなあっさり獲物を明け渡すなんて」

杏子「…あんた達がどうしてもって頼んだんだろ」

ほむら「そうだけど…ただあなたならもう少しねばりそうだなって、そう思っただけよ」

杏子「あってちょっとしか経ってないのに、あたしのこと知ってるつもりになってんじゃねーよ。
ただ今日は、気分がのらなかっただけだ」

マミ「本当は美樹さんが心配なんでしょ?」

杏子「なっ!?
そ…そんなわけねーだろ!!」

マミ「フフ…素直じゃないわね」

杏子「…なんの冗談だよ…たく……」

杏子「!」

魔女の結界が激しく揺れ始めた。

杏子「チッ…あのバカ、手こずりやがって」

さやか「ハァ……ハァ……」

さやか「はぁ!」

ガガガガッ

さやか「ッ!」

剣を握り、何度も攻撃を仕掛けるさやかだが、魔女の防御は硬く、なかなか攻め切れずにいた。

さやか「もう一度ッ…!」

まどか「さやかちゃん危ない!!」

さやか「!?」

ドオォォッ!!!

さやか「くっ!」

ガキンッ

杏子「まったく…見てられないんだよ」

さやかを襲う魔女の攻撃、しかしそれは杏子の槍によって防がれた。

マミ「大丈夫!?美樹さん」

ほむら(さっき過保護がどうとか言ってたくせに、自分がまっさきに助けに入ったわね…)

さやか「……大丈夫です……あんたも…手出ししないで、一人でやれる」

杏子「お…おい」

ダッ

まどか「さやかちゃん!?」

ズパッ ズパッ ズパッ ズパッ

加勢に入った杏子を振り切り、単身で魔女に突っ込み、次々と切り裂いていくさやか。
しかし攻撃ばかりで一切防御をせず、自分も魔女の攻撃で傷だらけになっている。

杏子「あいつ…なんて無茶な戦い方を…!」

グサッ

魔女の攻撃がさやかを貫いた。
それでもさやかはびくともしない、それどころか、笑っていた。

さやか「アハハ…アハハハハ…アハハハハハハハハ!!!」

さやか「本当だ…!その気になれば…痛みなんて簡単に消しされるんだ!」

まどか「さやか…ちゃん…?」

マミ「こ…これは…」

杏子「!」

ザック

ザック

ザック

さやか「アハハハハハハハハハハハハハハ!」

ザック

ザック

ザック

返り血を浴び、狂ったように笑ながら、さやかは魔女の体を何度も何度も…何度も何度も切り続けた。

ザック

ザック

ザック…


返り血を浴びてなお笑い続けるその表情は…とてつもない狂気に満ちていた。

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学校

『美樹さやか 欠席 』

まどか(さやかちゃん…やっぱり学校に来てない…)

まどか(・・・・・)

まどかはさやかとの、昨日の後の会話を思い出した。


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まどか「さやかちゃん…あんな戦い方じゃ…さやかちゃんのためにならないよ」

さやか「あたしのため…?」

さやか「あたしのためって何?
…こんな体にされて…いったい何があたしのためになるの?」

まどか「ッ…」

さやか「今のあたしはね…魔女を殺す以外には何の価値もない、ただの石ころなの」

さやか「そんなあたしに…いったい誰が何をしてくれるっていうの?」

まどか「…わ…私は…どうやったらさやかちゃんが幸せになれるかって…」

さやか「だったらあんたが戦ってよ」

まどか「!!」

さやか「…あんた誰よりも才能あるんでしょ?
あたしなんかよりもずっと強く、簡単に魔女を倒せるんでしょ?」

まどか「私は……」

さやか「あたしのこと思ってるって言うんなら、まずあたしと同じ立場になってよ」

さやか「まぁ…無理よね…
同情なんかで、人間やめられるわけないもんね」

さやか「何でもできるあんたの代わりに、あたしがこんな目にあってんのよ…知ったような口聞かないで」

まどか「・・・・・」


とてもとても冷たい目…

まどかは見たことのない親友の目に、何も言葉を出せなかった。


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まどか(さやかちゃん…)

まどか(私は…どうすればいいんだろう…?)

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ほむら宅

ほむら「ワルプルギスの夜の出現予測ポイントはここよ」スッ

杏子「根拠はなんだ?」

ほむら「統計よ…」

杏子「統計…?
以前この街にワルプルギスの夜が来たなんて話、聞いてないよ。いったい何をどう統計したのさ」

ほむら「・・・・・」

杏子「ハァ……お互い信用しろなんてガラじゃないけどさ…もう少し手の内を明かしてくれてもいいんじゃない?」

ほむら「・・・・・」

杏子「……以前として黙秘か…
あんたからは何か明かせないの?」

黒キュウべぇ「む?」

ほむら「・・・・・」ギロッ

黒キュウべぇ「あぁわかっているよ、そう睨むな」

黒キュウべぇ「残念だが、ほむらが話さないことは、私も話すことはできない」

杏子「そうかよ、まぁ期待はしてなかったけど」

マミ「・・・・・」

杏子「何であんたまでだんまりしてんだよ、マミ」

マミ「え!?」

ほむら「ちゃんと話は聞いてた?」

マミ「あぁ…ごめんなさい。
少しボーッとしていたわ」

ほむら(やはりあっちが心配なのか…)

「やぁ君達、魔法少女三人も集まって、いったい何の相談だい?」

マミ「キュウべぇ!?」

シャキン

杏子「どの面下げて来やがった、テメー…」

マミ「キュウべぇ…あなたあんなに大事なことを黙ってたなんて」

キュウべぇ「やれやれ…招かれざる客ってわけかい…
今夜は君達にとって、重要なはずの情報を知らせに来たんだけどね」

杏子「はぁ?」

キュウべぇ「美樹さやかの消耗が予想以上に早い。
魔力を使うだけでなく、彼女自身が呪いを生み始めた」

マミ「呪い?」

杏子「誰のせいだと思ってんのさ」

キュウべぇ「このままじゃワルプルギスの夜が来るより先に、厄介な事が起こるかもしれない、注意した方がいいよ」

杏子「なんだそりゃ?」

マミ「どういう意味?」

キュウべぇ「僕じゃなくて、彼女に聞いてみたらどうだい?」

マミ「暁美さんに…?」

ほむら「・・・・・」

キュウべぇ「やっぱり…知ってるようだね。
そしてホムンクルス…ほむらの犬のようである君も同様だろう?」

黒キュウべぇ「犬だと…?私がか…!?」

キュウべぇ「…気に障ったのなら謝っておくよ」

キュウべぇ「それにしても…君はいったいどこでその知識を手に入れたんだい?
僕はそこが興味深い」

キュウべぇ「君はーー」

ほむら「言うだけのことは言ったはずよ、去りなさい」

キュウべぇ「やれやれ…わかったよ」

スッ

杏子「ほっとくのか?」

ほむら「あれを殺しても、何の解決にもならないわ」

マミ「それよりも気がかりなのは美樹さんよ。
キュウべぇの言ってた厄介な事っていったい…」

ほむら「彼女のソウルジェムは、穢れを溜め込み過ぎたのよ。
早く浄化しないと、取り返しのつかないことになる」

マミ「取り返しのつかないことって…?」

黒キュウべぇ「そのことは私に任せてくれ」

ほむら「ホムンクルス…?」

杏子「任せるたって…どうするつもりだよ?」

黒キュウべぇ「私が美樹さやかを説得して見せよう」

ほむら「あなた自分でも言ってたじゃない。人の感情はあまり理解できないって…そんなあなたに説得なんてできるの?」

黒キュウべぇ「あぁそうだ、確かに私には人間の感情などよくわからない。
しかしこの状況において、それは君達も同じじゃないかね?」

黒キュウべぇ「この中で、誰か今の美樹さやかの心情を理解できる者はいるか?」

三人「・・・・・」

黒キュウべぇ「そういうことだ。
君達はワルプルギスの夜との対策を、考えておいてくれ」

ーーーーーーーーーーーー
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ーーーーーーーー


さやかはボロボロだった。
また昨夜のような無茶な戦い方をしたのだろう。

彼女は痛みを感じていた。

戦いによる痛みではない。
魔法少女の体なら、痛みを感じず戦うこともできるし、彼女の持つ癒しの魔法ならば、傷ついた体も治癒することができる。

彼女の痛みというのは、心の痛みだ。

自分を心配してくれた親友を冷たく突き放し、傷つける発言をしてしまったことへの、罪悪感だ。


さやか(あたしってば…何でまどかにあんなことを…)

さやか(ほんと…最低だよ…あたし…)


黒キュウべぇ「珍しく考えごとをしているな、どうした?美樹さやか」

さやか「………何の用よ」

黒キュウべぇ「随分自暴自棄になっているようだな。
体中ボロボロだ」

さやか「平気よ、どうせ痛みなんて感じやしない」

黒キュウべぇ「痛みはなくともダメージはあるんだ。
回復する余裕がなければそのままやられる可能性だって…」

さやか「ほっといてよ、どう戦おうがあたしの勝手でしょ?」

黒キュウべぇ「ソウルジェムも濁ってきているな…」

さやか「…しつこい。
今日は一人になりたいの。あたしに構わないで」

黒キュウべぇ「・・・・・」

黒キュウべぇ「今日までだろう?いいのか?上条とやらに何も言わなくても…」

さやか「ッ!……あたしに構わないでって言ってるでしょ!!!」

黒キュウべぇ「…そんなに取り乱すのなら、何故行動しない?」

黒キュウべぇ「自分の欲しいものが取られてもいいのか?
それとも君は、いまだ欲しい物は誰かが与えてくれるなどと、幼稚な考えを持っているのか?」

黒キュウべぇ「ならばここで断言しよう。
何かを得ようとするならば、自分で求めなければ絶対に得ることはできない」

黒キュウべぇ「いま動かなければ、君の欲したものは永遠に手に入らないんだぞ?」

さやか「わかってるわよそんなこと!
だけど…!」

黒キュウべぇ「だけど…?」

さやか「……こんな…こんな体で何を言いにいくのよ!?
こんな魂の無いゾンビみたいな体で……そんな資格があるわけないじゃない!!」

さやか「こんな体で恭介に抱きしめてって言うの!?キスをしてって言うの!?
…そんなこと……できるわけないじゃない」

黒キュウべぇ「こんな体ねぇ…
それを理由に現実逃避か?つくづく愚かな考えだな」

さやか「!………何よ…」

さやか「あんたなんかに…!
あんたなんかに!あたしの気持ちがわかってたまるか!!」

黒キュウべぇ「あぁそうだな、わからないね。
君のつまらない悩みなど、これっぽっちも」

さやか「ッ…!」

さやか「あんた…あたしをバカにしにきたの!?」

さやかは怒りに顔を歪ませて、ホムンクルスに刃を突きつける。

しかしホムンクルスは一切臆することなく、まっすぐさやかを見たまま、こう言った。

黒キュウべぇ「バカにする…?私が?
いいや…」

黒キュウべぇ「バカにしてるのはむしろ、君の方だろう」

さやか「!?」

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