【モバマスSS】です
注意点
・ドリームLIVEの題材が節分だったことで思いついたネタ
・時子様の女王様度が薄めかもしれない
以上が許容出来る方は楽しんでいただければ、駄目でしたら閉じて頂いて
よろしくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422819824
時子(まったく、今日も退屈ね、レッスンも終わって仕事もないし……本当に暇よ)
時子(なにか退屈しのぎになることでも起きないかしら、それか新しい下僕でも増やして……)
バタンッ!
法子「あ、時子さんがいたーっ!」
時子「……法子、ドアはちゃんと閉めなさい。で、なに? 私は暇じゃないのよ」
法子「えー、いかにも暇! って顔してたのにー」
晴「そうそう、すげえ分かりやすい顔してたぜ」ヒョコ
時子「チッ、晴まで……なにしにきたのよ」
晴「ほら、今日って節分じゃん。そーいうわけで豆まきしようってことになったんだけど」
法子「他の子達からもお願いされて大人の人探してたの!」
時子(ふぅん、豆まきね……ん?)
時子「待ちなさい、豆を撒くくらいならあなた達で十分でしょう。どうして大人を探してるの」
晴「そりゃ勿論鬼役やってもらうためじゃん、時子こそ何言ってんの」クビカシゲ
時子「……ああそう。それで、鬼になってくれそうなのはいたの?」
法子「うん! 時子さん、鬼役になって!」
時子「……なんですって?」キッ
晴「おー、その顔その顔。お面着けなくても鬼っぽいな時子。やっぱ適任じゃね?」
法子「同感同感」
時子「……」ヒュパッ!
晴「うおっ!」
法子「わわっ!?」
時子「面白い冗談ね、ちょっとした退屈しのぎにはなったわ。でも次この鞭の餌食になりたくないのなら」
時子「さっさと回れ右して他の人のところに行きなさい。真奈美辺りなら喜んで引き受けるはずよ」
法子「そんなー。あたしは時子さんの鬼が見たい!」
晴「オレも! っていうか、時子以上に鬼似合いそうな人、皆外に出ちゃってるし」
時子「アァン? いい、二人共、よく考えなさい。節分の豆まきの鬼役よ?」
時子「それはつまり一方的に豆をぶつけられ、仕返しも許されず豆がなくなるまで蹂躙され続ける」
時子「どうしようもないくらい屈辱的な役をこの私にさせるというの?」
法子「うんっ!」ニコッ
晴「そうだ!」ニコッ
時子「…………」ヒュパッ!
法子「あうっ!?」ピシッ
晴「いたっ!?」パシッ
時子「本当に面白い冗談ね、慈悲深く軽く叩くだけで許してあげるから、早く立ち去りなさい!」
法子「えぇー、時子さんそんなこと言わないでよ、あたしのドーナツあげるから!」
時子「いらないわ。そもそも、節分というのはその家で最も偉い者が一年無事に過ごせるように願って」
時子「豆をまく行事。つまりこの私こそが豆をまく立場なのよ」
晴「なんだ時子、つまり一緒に豆まきしたいのか。だったら仕方ないなー」
時子「しないししたくないわよ、私が言いたいのはなぜこの私に鬼役なんてさせるのかということよ」
時子「どう考えても似合わないでしょうが」
晴「いや、さっきも言ったけど時子すげえ鬼が似合うって。金棒じゃないけどすごい武器持ってるし」
時子「これは武器ではなくて躾け用の道具よ」
法子「相手を怯えさせるのも上手だしっ」
時子「ならあなたも怯えなさい」
法子「あたしは時子さんのこと好きだから怖くないもん。ねぇーいいでしょ時子さん」
法子「終わったらすごいおいしいドーナツいっぱい食べていいから!」
晴「じゃあオレも……あー、今持ってるガムでいい?」
時子「いらない。まったく冗談じゃない、そもそもあのセーラー服の悪夢以上のことを私がするとでも」
法子「でも嫌がってたのに最後には時子さんちゃんと着てたから、やっぱり頼めばしてくれるんだよね?」
時子「フンッ、地面に額擦りつけて土下座して頼まれた以上、これも経験と思って仕方なくよ」
晴「じゃあオレ達が土下座して頼んだら鬼役やってくれるの?」
時子「やめなさい、仮にもアイドルが。それに今回のは仕事でもなんでもない以上、私にやる価値がない」
時子「だからなにを言っても無駄。諦めなさい」
法子「そんな時子さん……」クスン
晴「駄目かー、しょうがないよなー……」ションボリ
時子(グッ……)
晴「法子さん、こうなったら急いで他の人探しに行こうぜ」
法子「そうしよっか。ごめんね時子さん騒いじゃって、このクリスピー、迷惑かけたお詫びにあげる」
法子「……じゃあね」トボトボ
晴「はぁ……探すっつてももう時間ねーしどうしよ……」トボトボ
時子(このいかにも悪いことをした空気はなに。確かに退屈しのぎはしたかったけれど、鬼役なんてお断り)
時子(だから私は正しいのよ。正しいに決まって)モグモグ
法子「……」トボトボ
晴「……」トボトボ
時子(チッ……ああもう!)ゴクンッ
時子「待ちなさい!」
法子「……え?」
晴「なに……」
時子「気が変わったわ。確かに豆をぶつけられる役割でも、鬼役にはそれ以上の利点もあったわ」
時子「それは恐ろしさをもって精神的に相手を躾けられることよ。相手は子ども? 上等じゃない」
時子「そもそもこのプロダクションは私に不遜な輩が多すぎる。故に子どものころから私の恐ろしさを植え付けておけば」
時子「将来私が大物になった時とても役に立つわ! クックック、いい光景になりそうね」
法子「えーと、つまり……引き受けてくれるの時子さん!?」
晴「まじで!? やったー!」
時子「勘違いしないの。これはあくまであなた達への躾けの一環よ。私もおとなしく豆をぶつけられる気はない」
時子「そこはちゃんと理解しなさい、いいわね?」
法子「分かった♪ でもなんでもいいから決まった以上は早く行こー!」
晴「そうそう、なんとかは急げっていうしな! 行くぜ時子!」グイグイッ
時子「本当に分かってるの!? というか引っ張るんじゃない! まったく調子が狂うわね……」フッ
――――豆まき会場
法子「――と、いうわけで鬼役の人を連れてきたよ! 皆、豆をまく準備はいい?」
みちる「ばっちり! はぁ……撒いた後の豆が楽しみ」
ライラ「フゴフゴさんはやはり食べることが一番なのですねー」
梨沙「晴、ちゃんと鬼役が似合いそうなの連れてきたんでしょうね?」
裕子「フッフッフ、このエスパーユッコのサイキック豆まきにかかれば、鬼なんて一撃です!」
晶葉「いやいや、ここは私の作ったこの全自動豆まきロボがだな……」
仁奈「とにかく楽しみでごぜーます!」
ワイワイガヤガヤガヤ
晴「なんかオレ達がいない間に人が結構集まったなー」
法子「まぁ賑やかなほうがいいから大歓迎だよ♪ さてそれじゃ、鬼さん入ってくださーい!」
ズシンッ
全員「「「!?」」」
鬼(時子)「…………」
法子(わー、やっぱり時子さん迫力あるなぁ。鬼のお面つけてるからさらに強そう)
仁奈「な、なんだかすげー恐ろしいですよ!?」
裕子「すごい威圧感です! が、サイキックの前には……!」
鬼(時子)「……」ギロリッ
裕子「ひぇ……」
晶葉「いやまて、そもそもなぜ鬼が鞭なんて持っている」
ライラ「んー、わたくしあの鬼の方をどこかで見た気がしますです」
梨沙「と、とにかくさっさと豆を投げて追い払うわよ!」
みちる「わかりました! では、鬼は外ー!」ポイッ
鬼(時子)「……」ヒュパ!
梨沙「鞭で豆を叩き落とした!? ちょっと晴! 何よあの鬼!」
晴「い、いやあアハハ……と、とにかく頑張って豆投げるしかねーよ!」
仁奈「だったら仁奈に任せやがってください! 桃太郎の気持ちになるですよ! とりゃ!」ポイッ
鬼(時子)「……」ヒョイ
みちる「今度は避けた!」
晶葉「埒があかないな、ではここは私の発明で」
鬼(時子)「……」ヒュン
晶葉「え?」
ボカーンッ!
晶葉「私の豆まきロボがー!?」
裕子「ならばサイキックの出番です! いきますよ!」
鬼(時子)「……」
裕子「むむむーん! 豆よ、動けー!」
鬼(時子)「……?」
裕子「あ、あれ……」
梨沙「はいはい、サイキックは分かったから普通に投げなさい」
裕子「で、でも今たしかに力が発動した感覚が!」
仁奈「わぁ!? 突然お豆が増えたでやがります!?」
みちる「すごい! これでたくさん食べられますね」
ライラ「ともかく豆まきを続けますですよー。えーと次は、福はー内ー」ポイッ
鬼(時子)「……」ヒュン
晶葉「また防いだだと……なんて鬼だ」
法子(あ、あはは、時子さん本当に豆をぶつけられる気ないんだ……)
梨沙「なんだか悔しいわね、鬼なんだから素直に当たりなさいっての! 一体誰よ!」
法子「え、ええと、秘密だよ!」
晶葉「誰だって構わん、私の豆まきロボを壊した以上絶対に豆をぶつけてやる……!」
仁奈「もうしばらくしたら美優おねーさん達も戻ってくるって言ってやがりましたけど、その前に倒すですよ!」
鬼(時子)「……!?」
晴(あれ、大人の人達帰ってくるのか)
法子(時子さんすっごい動揺してる)
裕子「こうなったらサイキック素手投げで!」
鬼(時子)「……!」ヒュパッ!
裕子「きゃいん!」バシッ
みちる「普通に攻撃してきました!」
梨沙「ちょ、晴!? 豆まきってこんなだっけ!?」
晴「い、いや、えーと……」
晴(時子もしかして鬼役してるの大人の人達に見られたくないのか? 今更すぎるって!)
仁奈「むー、これはもう本格的に闘いでやがりますね! 仁奈は負けない! そりゃー!」ポイッ
鬼(時子)「……」ヒョイ
ライラ「なんだかよくわからないですが、鬼はそとーですよー」ポイッ
鬼(時子)「……」ヒュン
晶葉「なんという鞭捌きだ! だが負けん! 豆まきロボの仇を獲るまでは」
鬼(時子)「……」ヒュパ!
晶葉「うおおっ!?」ヒョイ
みちる「ナイス回避です! 今のうちに福は内ー!」ポイッ
梨沙「アタシも続くわ! 喰らいなさい!」ブンッ
鬼(時子)「……」ヒュンヒュン
晶葉「馬鹿な、前後から同時に投げられた豆もすべて弾くだと……」
法子「て、手強いねあはは……」
法子(と、時子さーん! ちょっとくらいは当たってー!)
仁奈「も、もしかして仁奈達ではこの鬼さんを退治できないでやがりますか……?」
裕子「そ、そんなことはありません! これだけの人数がいれば必ず!」
鬼(時子)「……」キッ
仁奈・裕子「「ヒィ!?」」
梨沙「鞭持ってることといい……ちょっと、鬼ヤバすぎでしょ晴」
晴「そ、そうだな! でも追い払えない相手じゃ」
ライラ「けれどライラさん段々とこの方が恐ろしくなってきました。日本の豆まきとは過酷なものなのですねー……」
みちる「どうしましょう、このままでは豆が食べられません!」
法子(本当にどうしよう……なにか、時子さんの隙が出来ることが起きないとこのままじゃ――)
ガチャ
美優「ごめんなさい遅くなって! 恵方巻きを買っていたらいつの間にかお酒を買う流れになってしまって……って、え?」
友紀「だってせっかく豆が食べられるんだからビールあったほうがいいと思って……ん?」
早苗「ま、遅くなったの事実だから仕方ないわ。ともかくユッコちゃん達おまたせー……あれ?」
留美「なんだか面白いことになってるわね」
鬼(時子)「……!?」
晴(あ、これやべえ)
仁奈「美優おねーさん達が帰ってきてくれたですよ!」
裕子「さ、早苗さーん、助けてー……」
美優「え、ええと、これ、豆まきにしては妙に白熱していた感じが……」
早苗「壊れた機械とか見えるし、これは事案かしら」
留美「そこまでではないと思うけれど……」
友紀「というか、あの鬼の仮面してる人なんだか見覚えあるような……うーん」
鬼(時子)「…………」ヒヤアセ
法子(時子さんの動きが止まった! 今だ!)
法子「み、みんな! 今のうちに豆投げて鬼を追い払っちゃおう!」
晴「お、おうそうだな! よし、オレに続け! 鬼はそとー!」ポイッ
仁奈「鬼はーそとー! 福はーうちー!」ポイッ
鬼(時子)「!!」バシバシッ
ライラ「おおー、豆が当たります」
みちる「あははー、どうやら鬼も観念してくれたかなー?」
晶葉「ふん、だったら逃げ出すまで徹底的にやるだけだ! 鬼は外!」ブンッ
鬼(時子)「……チィ!」ヒュパッ
梨沙「あ、また防ぎだした」
裕子「ですがさっきほどの勢いはありません! これはいけますよ!」ポイッ
鬼(時子)「…………くうう!」バシッ
法子(ごめん時子さん! あとでいくらでもドーナツあげるから今は耐えて!)
法子「そろそろ鬼が逃げ出しそうだよ! 頑張って♪」
仁奈「だったら仁奈が決めてやるー! 鬼はーそとーっ!」ポイッ
鬼(時子)「……!!」ダッ
美優「こ、こっちに来ます!」
早苗「避けて!」
鬼(時子)「…………チッ」ダッ
バタンッ!
ライラ「あ、鬼の方が逃げましたです」
裕子「おおやりました! 仁奈ちゃんの豆が決めてで豆まき大成功です!」
仁奈「本当でごぜーますか!」
梨沙「ま、そういうことにしといてあげる、よくやったわ」
仁奈「えへへ……」
留美「しかし荒っぽい豆まきだったようね……そもそも豆はこんなにあったからしら」ジャラジャラ
晶葉「それが気付いたらこんなに増えててな……まぁ、お陰で投げるのには困らなかったわけだ」
友紀「うーん、やっぱり鞭持ってたし今の鬼って時子さま……? でもあの方がこんなことするかなー?」
法子(な、なんとかなった……って、時子さん追いかけないと!)
法子「ええと、じゃあこれにて豆まきは終わりっ! 厄祓いもできたってことで、美優さん達あとはお願いします!」ダッ
美優「え、法子ちゃん!?」
晴「っと、ならオレもちょっと外行ってくる!」
友紀「あれ、晴ちゃん恵方巻き食べないの? いっぱい買ってきたんだけど」
晴「え? ……あー、じゃあ恵方巻き3つくれ」
友紀「はいどうぞ」
晴「サンキュー友紀! じゃあな!」ダッ
早苗「慌ただしいことで」
留美「なんだったのかしら……まぁとりあえず、残ったほうは掃除をしてから恵方巻き食べるとしましょうか」
――――休憩所
時子「ハァ……ハァ……まったく、慈悲なんて見せるべきではなかったわ」オメンポイッ
時子「恥ずかしいわ豆はぶつけられるわ散々じゃない。ああもう屈辱よ!」
時子(そもそもバレてないでしょうね、私が鬼役をしていたことが。バレていたら躾けに躾けなければ気がすまないわ)
法子「――時子さーん!」
時子「!」ヒュパッ!
法子「うわぁ!?」ヒョイ
時子「……なに、法子だったの。驚かせないで」
法子「ご、ごめんなさい。でもいきなり鞭はどうかと」
時子「あん?」
法子「うぅ……そうだよね、時子さんがそんなに怒ってもしかなたいことしちゃったよね……」ションボリ
時子「……チッ、まぁ反省しているのなら躾けは勘弁してあげるわ。で、何のよう?」
法子「え!? ……あ、ええと……ドーナツ食べます?」
時子「いらない……まさか、特に理由もなく追いかけてきたの?」
法子「そ、そういう訳じゃ……ただ、酷い迷惑かけちゃったから謝ろうと思って追いかけてきただけで」
法子「そしたら許してくれるみたいだから驚いちゃって……どうして?」
時子「今回の件は私の甘さが招いたのも理由だからよ。けど、次はもうこんな慈悲ないと思いなさい」
法子「うん……でも、元々はあたしが頼んだのが悪いのに……時子さんってやっぱり優しいね♪」ニコニコ
時子「フン……言っておくけれど、これに味をしめて調子に乗るようだったら容赦なく躾けるわよ」
法子「はーい♪」
時子「はぁ……」
晴「……おかしいな、なんか思ってた雰囲気と違う」
法子「あれ、晴ちゃん?」
晴「オレてっきり法子さんが時子にすげー怒られてると思ってさ。今回のことをオレにも原因あるから」
晴「どうやって時子に機嫌直してもらうかすっげー考えたのに……」
時子「その殊勝な心がけは素晴らしいものよ。今後も継続しなさい。それで、どうしてくれるのかしら」
晴「え? ……えっとさ、恵方巻き一緒に食べない……? コーヒーも持ってきた!」
法子「いいね! じゃあ一緒にドーナツも食べよう、ここの冷蔵庫においしいの入れてあるんだ!」
時子「……あのねぇ……まぁ、今日は疲れたわ……二人の好きにしなさい」
法子・晴「「やったー!」」ハイタッチ
時子(この私が躾ける気も起きないなんて、本当に調子を狂わせるのがうまい二人だこと……)
時子(でも、いつか従順になるまで躾けてやるわ。必ず、絶対に!)クククッ
〈終〉
時子様は確かに女王様である。ではその女王様をたじろかせるドナキチと晴ちんは一体なんだと
考え始めたら夜も眠れない。あと本当は2月3日が節分ですが早めに書いたから仕方ない。
短いですが読んでくださった方ありがとうございました
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