女「幼馴染になってほしい?」(31)
男「うん」
女「え?」
男「ん?」
女「幼馴染になってほしい??」
男「うん」
女「は?」
男「えっ」
女「何それ、どういうこと?」
男「文字通りの意味なんだけど」
女「幼馴染になる?」
男「そう」
女「無理でしょ」
男「そこを何とか!」
女「あれ、なんとかなるとこじゃないよね?」
男「んだよ、ノリわりぃなぁ」
女「え、なんで私が悪いみたいになってんの?」
男「いいだろ、幼馴染になるくらい。減るもんじゃねぇし」
女「いやいや、この場合減る減らないの問題越えてるでしょ」
男「幼馴染になったらない胸がさらになくなるわけじゃないんだし」
女「おいあんた急に何言ってんだ殴るぞ」
男「まったまたそんなこと言っちゃってー(笑)」
女「」イラッ
男「ごめんなさい」
女「別に私はあなたの話聞かなくてもいいんだよ?」
男「もうしません、真面目に話します」
女「主題が既に真面目な話じゃないことに気づいてほしい」
男「……?」
女「その『はて…』みたいな顔やめろ殴る」
男「あっごめんなさいもうしませんやめてごめんやめて手振り上げないで」
女「……それで?」
男「え、だから幼馴染になってほしいなってあごめんほんと痛いからやめてお願い!」
女「なんかもうどうでもいいや」
男「俺はちゃんと言ってるんだけどなぁ」
女「あんたの中のちゃんとはとってもゆるいってことはわかった」
男「なんだと!? これでもちゃんと勉強してテスト毎回5割くらいとってるんだぞ!」
女「……あんたそれ進級できんの?」
男「ぎりぎり駄目かもしれないです」
女「あんたの中のちゃんとはちゃんとしてないことはわかった」
男「……」
女「……なに?」
男「女ちゃんとちゃんとさせたい」
女「うるさい女ちゃんとか言ってんじゃない」
男「あっごめんなさい女さん」
女「そろそろ本題に入らせてよ…」
男「俺的には全部本題なんだけ痛いやめて!」
女「あんた学ばなさすぎでしょ」
男「ごめんつい」
女「そんなんだから進級危ういのよ」
男「返す言葉もないです……」
女「で?」
男「で?」
女「なんで幼馴染になってほしいわけ?」
男「なってくれるの!?」ガタッ
女「ちかい寄りすぎ殴るぞ!」
男「殴ってからいうのやめてよ…」
女「いやどう考えてもあんたが悪いでしょ今の」
男「そんなことない! ……と思う」
女「はいはい、まぁそうでもいいわ。 それで、なんでなの?」
男「なんでか……、ちょっと考えさせて」
女「今から考えるのかよ。 どれくらい?」
男「1時間くらいでどう?」
女「ねぇ私今日かえっていい?」
男「あ、うん、そうだね。 明日話します」
女「そこは素直に引くのね。 というか明日までこの話持ち越されるのか…」
男「え、なんかごめんね……」
女「なんで中途半端にしおらしくなるのよ…」
男「迷惑かけたかなとは思ってます」
女「だったら変なこと言わないでほしいんだけど」
男「それは……」
女「だからしおらしくなるなっての! とりあえず今日は帰るね、それじゃ」
男「うん、じゃあ、明日お願いします」
女宅
女「ただいまー、疲れた」
妹「お姉ちゃんおかえり!」ダキツキ
女「おー、妹ただいまー」
妹「……」
女「どうしたの?」
妹「……男の匂いがする…」
女「!?」
妹「あ、お姉ちゃんもしかして今日ちょっと遅かったのもそのせい!? 彼氏!?」
女「私あんたもちょっと怖いわ……」
妹「ってことはやっぱり彼氏なんだ! うわーん」ポロポロ
女「ちょ、泣かないでよ! 彼氏なんかじゃないから!」
妹「ぼ…ぼんど……?」グスグス
女「ほんとほんと、だからなくなー」ギュー
妹「うぅ……お姉ちゃんは私だけのお姉ちゃんだもん……」
女「あんたの愛もまた格別に重いよねー」
妹「妹がお姉ちゃんを好きなのは普通でしょ?」
女「それはまぁ、それなりにふつうかもしれないけど」
妹「だったら私のも普通だよ!!」
女「それはどう考えても違うんだけどなー」
母「おかえり、女ちゃん。あなたたち今日も仲良いわねぇ」
妹「そーだよおかーさん! 私はお姉ちゃんと結婚するのです!」
女「やっぱりちょっと重いかな」
母「妹ちゃんもう中学生なのにねぇ」
女「妹? どうしたの?」
妹「あの、私って駄目な子なの?」
女「そんなわけないでしょー! 成績もいいし、運動だってできるのに」
母「そうよー、うちの中にいる唯一駄目な人はお父さんだから」
妹「でも、さっきおかーさんたち……」
女「あー、まぁもうちょっと常識を身に着けてほしいとはおもうけど、さ」
母「でも、これから大人になればわかることもたくさんあるわ。のびのび過ごしていいのよ」
妹「……うん! おかーさんもお姉ちゃんも大好き!」ダキツキ
女「私も大好きだよー!」ギュー
母「ふふっ、私もよ」ギュー
妹「きゃー♪」
母「さ、ご飯食べちゃいましょう」
女「いいねー、おなか減ったよー」
妹「晩御飯なに?」
母「今日はお魚よー」
妹「うげぇ、お魚か…」
女「妹は魚嫌いだよねー」
妹「お肉もあんまりだけどね… 私は野菜だけでいきていけるのです……」
女「僧侶か何かかよ」
母「好き嫌いすると男の子にモテないわよ?」
妹「お姉ちゃんがいるからもーまんたいだよ!」
母「あらあらうふふ」
女「なんだかなぁこの家族」
翌日
女「おはよー」
女友「おはよ! 男くんなんだって?」ワクワク
女「え? あー、なんか幼馴染になってほしいって」
女友「幼馴染……?」
女「普通そういう反応になるよねぇ…」
女友「というか私的には普通に告白するものだと思ってたなー」
女「いや、それはないでしょ」
女友「そう? 前から割と仲良くなかったっけ」
女「人並みくらいだよ、それにあの人割とモテてるじゃない」
女友「あれ、そうだったっけ?」
女「だから多分告白されてたりしてたくさん彼女いるんだよ」
女友「いやそれは偏見だと思うけれど……」
男「おはよー」
女友「あ、男君きたねー」
女「そういえばなんで幼馴染になってほしいのか理由教えてくれる約束したような」
女友「おぉ、期待大ですな」
女「期待できる要素どこにもないでしょ…」
女友「またまたそんなこと言っちゃってー。 言ってくるとしたら放課後かな?」
女「簡単に済むなら昼休みとかもありそうだねー」
女友「教えてもらったら私にも教えてね!」
女「りょーかい。 さー授業の準備しちゃおー」
女友「うん!」
男「友…」
男友「お、おう、大丈夫か朝っぱらから」
男「女になんて説明すればいいんだろう」
友「え、お前まじで幼馴染になってほしいっていったの?」
男「えっだめなの」
友「なぁお前って馬鹿なの?」
男「昨日女にもそんな感じのこと言われたからそうなのかも」
友「学力的な話じゃねぇよ?」
男「うるせぇ万年1位は黙っとけよ!」
友「もう手貸さなくていいんだな?」
男「いやほんっと友さんマジ最高ですよ神まじで神!」
友「お前ほどの手のひら返しもそうねぇよな」
男「でもほんとどうしよう」
友「いやもう素直に理由はなせよ」
男「それじゃあ……夢がない……」
友「夢ねぇ…」
男「放課後までにそれらしい理由でっち上げなきゃだな……」
友「まずそれらしい理由を作れると思ってるあたりおかしいんだけどな」
男「友も一緒に考えるの手伝ってよ」
友「やだ」
男「ひどくない!?」
友「まさかほんとに言うとはおもわんかったからな。切り抜けたらまた相談乗ってやるよ」
男「許さん……許さんぞ……!」
放課後
女「……で、」
男「はい」
女「理由は?」
男「いや、その」
女「うん」
男「納得してもらえそうな理由がないっつーか、いやほんとごめんなさい」
女「まぁどんな理由でも私は多分納得しないけど」
男「おいそれはいくらなんでも非情すぎるだろ!」
女「まず質問の内容が非常すぎるでしょ」
男「ぐぬ、一理ある」
女「万理くらいあるよ」
男「じゃあ、えっとね」
女「なんか思いついた?」
男「えーっとね、幼馴染にになってくれたほうが、その」
女「うん?」
男「……」
女「なによ、いってみなさいって」
男「……都合がいい」
女「……は?」
男「いや、いろいろ都合がいいっていうか、その……ありがたいというか」
女「都合って何よ」
男「それはその、後々わかるっていうか……」
女「後々、ねぇ」
男「とりあえずなってよ!」
女「見返りは?」
男「くっ、俺が頼んでるのをいいことに見返りを求めるなんて……。魔性の女め!」
女「割と当然のことだと思うんだけどね、これ」
男「……ご飯何回か負担するとかじゃだめですか」
女「んー、まぁいいか、それで」
男「マジすか!? やったぁ!」
女「じゃーいまからあんたと私は幼馴染ね」
男「ふぉおおおおお!!! ありがとぉおおおお!」
女「それじゃ、私帰るね」
男「えっ」
女「なによ」
男「一緒に帰ろう!!」
女「え、いやだけど」
男「なんで!?」
女「逆になんでよ」
男「えー、……幼馴染だし」
女「却下」
男「ぐぬぬ……」
女「じゃー帰るね、ばいびー」
男「ちょい待ち!」
女「今度はなに?」
男「……俺が一緒に帰りたいから! だから一緒に帰ろう!」
女「……」
男「……どうでしょうか」
女「……仕方ないから、一緒に帰ってあげる」
男「まじかよありがとう! うれしい!」
女「うるさい、静かにしないと一緒に帰んないよ」
男「あっごめんなさい」
女「というかさ」
男「何?」
女「いや、一緒に帰るのはいいんだけど、私とあんたあんまり家近くないよね?」
男「あー、そうかもね」
女「一緒に帰る意味あるの?」
男「ん、送ってくつもりだったんだけど」
女「は?」
男「えっ」
女「そうなの?」
男「いや、駄目っていうなら送りません」
女「駄目っていうか……、なんか申し訳ないというか」
男「俺が一緒に帰ろうって言ったわけだし、それくらいは平気だよ」
女「うーん、じゃあお願いしようかな」
男「是非もなく、行かせていただきます」
女「なにそれ」
男「……かっこいいっしょ?」キリッ
女「は?」
男「ごめん」
女「許す」
男「なんか優しい」
女「幼馴染だからね、一応」
男「……」
女「……なに、どうしたの?」
男「一つわかっておいてほしいのだけれど」
女「いやだ」
男「俺が言ってる都合良いはこういうところじゃなって嫌なんだ!?」
女「さすがにそれくらいわかってるよ、言われなくても」
男「……ぉお」
女「さ、帰りましょ」
男「それにしても」
女「ん?」
男「こっちの方は久しぶりに来た」
女「来たことあるんだ」
男「さすがにまぁ、お母さんに連れられてだけどね。ほとんど覚えてないけど」
女「あぁ、そういうことね」
男「もしかしたら女の家の前通ったりしたのかもなぁ」
女「私はそういうのに運命感じないタイプだからよろしくね」
男「……だめかぁ」
女「そしたらそれ以前にあんたと私なんて運命だらけでしょ」
男「たとえば?」
女「べつに、クラス同じだとか、高校同じだとか」
男「あー、そういうね」
女「その程度ってことよ」
男「ちりも積もれば、っていうじゃん」
女「捨てられるわよ、いずれ」
男「手厳しい」
女「掃除は主婦の基本だよ」
男「……主婦?」
女「あー、結婚願望というか」
男「将来の夢はお嫁さんってやつですか」
女「そんな子供っぽいものじゃ…… まぁそんなもんかな」
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