魔王娘「あのー・・・失礼ですなんですけど」

男「うわっ！？あんた誰？！」

魔王娘「こっちのセリフですよもう。お前は誰ですか？というかサラマンダーさんですか？」

男「さらまんだー？」

魔王娘「聞き返すってことはサラマンダーさんじゃないみたいですね」

男「状況が全然分からないんだけど・・・・」

魔王娘「おかしいですね・・・材料は量も品数も間違っていないはずなんですけど・・・・」

男「えっと・・・・・・・何の話？」

魔王娘「うーん・・・まぁいいです。とりあえず・・・いきましょう」ｶﾞｯｼ

男「い、いくってどこへ？」ｽﾞﾙｽﾞﾙｽﾞﾙｽﾞﾙ

魔王娘「どこって親父のところですよ」

男「・・・親父って？」ｽﾞﾙｽﾞﾙｽﾞﾙｽﾞﾙ

魔王娘「私の親父の所です」

魔王娘「一応聞きますけど、お前人間ですよね？」

男「そうですけど・・・・・え？そういう言い方するってことはあなたは・・・」

魔王娘「もちろん人間じゃないです」

男「・・・・えっと・・・ちなみにここはどこなんでしょう？」

魔王娘「ここは魔界です」

男「・・・・・・・」

魔王娘「……？」

男「……馬飼の牧場？」

魔王娘「牧場を付けるな馬鹿人間です。ま、か、い！魔の世界の事ですよ」

男「………」

魔王娘「理解しましたかアホ」

男「………」

魔王娘「はあ……失礼しますです」バシッ

男「あ、頭を持って何を

魔王娘「せいぁッ！」バキッ！

男「グギャッ！くくく首がぁあ！」

魔王娘「ほら、窓の外を御覧になってです」

男「………」

魔王娘「これでわかりましたか唐変木」

男「………」

魔王娘「わかったなら返事をしなさいボケ」

男「……あそこにあるのは？」

魔王娘「あれは魔界名物地獄の門ですよ。魔界全土からの観光客で賑わう魔界屈指の観光スポットなんですよ！」

男「へぇ……」

魔王娘「あそこのケルベロスカステラが美味しいんです」

男「へぇ……」

魔王娘「こう三層になっていて別々に食べても美味しいんですけど一緒に食べると何とも言えず……」

男「へぇ……」

魔王娘「………」

男「へぇ……」

魔王娘「馬鹿人間です！」

男「へぇ……」

魔王娘「……どらぁッ！」ズドンッ！

男「ベブシッ！……ゲホッ……」

魔王娘「お前人の話はちゃんと聞けです」

男「な、殴る事無いだろ！」

魔王娘「ここが魔王である事はわかりましたかです？」

男「何となく……何で俺はここにいるの？」

魔王娘「そこはこっちが聞きたいです。サラマンダーさんを呼び寄せたのにこんなのがです……」

男「こんなので悪かったな……」

魔王娘「何か間違っているものがあったかです……法陣も間違って無いし材料も呪文も……」ブツブツ……

男「あの……」

魔王娘「何ですか鈍間」

男「……帰してくれる？」

魔王娘「それは出来ないです」

男「何で？」

魔王娘「間違って喚んだ物をどうやって還すんです？それぐらいわかれです屑」

男「………」

魔王娘「……？」

男「それは……俺、元の世界に帰れないって事？」

魔王娘「そうですよ」

男「……同じようにやっても駄目？」

魔王娘「駄目に決まってるです。人間用の召喚陣じゃ無いですからです」

男「なら……その人間用の召喚陣で……」

魔王娘「そんな物私は知らないです」

男「………」ヘタ……

魔王娘「ほら、立てボンクラです。親父の所へ行くですよ！」

男「……寝る」

魔王娘「は？」

男「これはきっと夢だ……うんそうだそうに違いない」

魔王娘「……おい？です」

男「なんだぁそれならそうと言ってくれよ。目が覚めたらまた元の場所に……夢？」

魔王娘「………」

男「……君可愛いね」

魔王娘「……ななななッ！」

男「夢ならばだッ！この子に何しようが俺の自由！」

魔王娘「………」

男「グヘヘェ……」

魔王娘「………」

男「お嬢ちゃん悪く思わんでくれよ……悪いのは全部夢なんだから！」

魔王娘「……剣いるですか？」

男「……？」

……「へぇい！何ですかい？」

魔王娘「ちょっと部屋に入って来てくれるですか」

カチャ

剣「お嬢、またくだらない事であっしを呼ばれても困るんですがね……あ？」

男「………」

剣「お嬢……こちらの御方は？」

魔王娘「私に手を出そうとする不届き者です。動ける程度に成敗しなさいです」

剣「……畏まりまやした」ズイッ……

男「………」

剣「御前さん……お嬢に手を出そうとするなんざ大したものだな……」

男「……ゆ」

剣「ゆ？」

男「ゆゆゆ夢なんだからなこれはッ！」

剣「……は？」

男「お、お前なんか怖く無いぞ！例えそれが筋肉粒々顔傷系の強面大男でもな！」

剣「………」

男「来いよ！」

剣「お嬢……こいつは何を言ってるんでさ……」

魔王娘「戯れ言だからです！」

男「であぁぁぁッ！」

ペチンッ！

剣「………」

男「くっ！やるな！」

剣「………」グッ

バキッ！

男「」バタ……

魔王娘「よくやったです」

剣「お嬢……あっしには何がなんだか……」

魔王娘「後で説明するから！そいつを親父の所へ持って行くですよ！」

ー

魔王「………」

魔王娘「………」

魔王「これは人間か？」

魔王娘「はい……です」

魔王「なんで人間なんざここにいる？」

魔王娘「それは……その……」

魔王「………」

魔王娘「サラマンダーさんを召喚で呼び寄せようとしたら……」

魔王「サラマンダー？」

魔王娘「………」

魔王「そんなもん何に使う？……そうか、お前」

魔王娘「………」

魔王「大方、人間界と魔界を隔ててた獄炎の壁が消えたのを治そうと思ったんだろ？」

魔王娘「……はいです」

魔王「ど阿呆！サラマンダーごときで獄炎の壁が治せる訳ねえだろうがッ！」

魔王娘「……うぅ」

魔王「……しかしなんだ、それは魔界の為を思ってやった事だろうからこれ以上は言わねえが……これはなんだ？」

男「」

魔王娘「わかんないです……」

魔王「………」

魔王娘「サラマンダーさんを召喚した筈なんですけど……これが出てきちゃってです……」

魔王「なんだそりゃ……」

魔王娘「………」

魔王「まぁいい……魔王娘」

魔王娘「はいです……」

魔王「お前、獄炎の壁を治そうとしたって事はクソ勇者が魔界に攻めて来られないようにしたいんだよな？」

魔王娘「その通りです！」

魔王「それは魔界を救いたい……って事にもなるよな？」

魔王娘「……はい……一応です」

魔王「そうかい……」にやり

魔王娘「………」

魔王「おい！剣に盾ッ！」

剣「へぇい！」

盾「はぁい？」

魔王「命令だ」

ー

魔王娘「ああああああ……」

剣、盾「………」

魔王娘「なんて事ですかです……」

剣「お嬢……」

魔王娘「獄炎の壁を完璧に治して勇者を倒して来いだなんてです……」

剣「………」

魔王娘「獄炎の壁は何とかなるかもですが……勇者を倒すなんて無理です！」

剣「………」

魔王娘「獄炎の壁を消し去ってしまうような人間に歯が立つ訳無いじゃないですか！」

剣「………」

魔王娘「ああああああ……出来なければ魔界追放だなんて……」

剣「ま、頑張りましょうや」

盾「そうですよお嬢！勇者なんてパパーってやっつけて！」

魔王娘「………」

剣「あっし達が付いてるんでさ。何とかなりますよ」

魔王娘「そうかなです……」

盾「そうそう！大丈夫ですって！なんてたって魔王の剣と盾がいるんですから」

魔王娘「うん……」

剣「それはそうと……これどうするんです？」

男「」

盾「なにこれ？」

剣「お嬢が間違って魔界へ喚んだらしい人間だな」

盾「へぇ！人間かぁ……あたし初めて見るかも！」ツンツン

剣「俺らと外見はあんま変わらんから珍しくもあるめえ」

盾「……可愛いなぁ」

魔王娘「……可愛いです？」

盾「はいな！」

剣「お前美的センスってもんが壊滅的に無いな……」

盾「剣失礼だよ！……ねぇお嬢、これください！」

魔王娘「考えとくです……」

盾「やりぃ！」

剣「……お嬢、これからどう行動すますか？」

魔王娘「んん……それなんだけどです……」

剣「………」

魔王娘「獄炎の壁を治さないと人間とか勇者とか攻めて来るんですよねです……」

剣「なら先にそれで？」

魔王娘「……うん」

ー

男「………」

盾「んふふ……」

男「……ん」

盾「お？」

男「あ……？」

盾「起きた？」

男「……誰ですか？」

盾「あたし盾って言うの！あなたは？」

男「男……です……」

盾「そうなんだ！」

男「……ここは何処ですか？」

盾「え？あたしの部屋だけど？」

男「……魔界にある？」

盾「そうだね！」

男「俺はまだ夢を見ているのか……」

盾「………」ニコニコ

男「……何ですか？」

盾「えいや！」ズドッ！

男「ゲェグッ！」

盾「痛い？」

男「ゲハッ……な、何を……」

盾「夢なら痛くないよね？」

男「………」

盾「もう一発いっとく？」

男「……結構です」

盾「そっか」

男「………」

盾「ねぇ！」

男「はい……？」

盾「お手」

男「はい？」

盾「おー手！」

男「………」

盾「………」

男「しませんよ……犬じゃあるまいし……」

盾「………」ニコニコ

男「……？」

盾「アチョウッ！」バキッ！

男「グッベボラッ！」

盾「………」

男「い、いきなり何ですか！」

盾「……お手」

男「………」

盾「お！手！」

男「………」ポンッ……

盾「おお！偉いねぇ良くできましたぁッ！」ムギュゥゥ

男「モガッ！ングゥゥ！！」

盾「偉い！偉い！」ナデナデッ！

男 (胸ぇぇぇッ！胸ぇぇぇえッ！頭擦りすぎて熱い！)

盾「じゃあ次は……」

男「」グッタリ……

盾「……あれ？」

男「うぅ……」

盾「人間って撫でられても嬉しくないの？」

男「………」

盾「……眼球突いた方が嬉しい？」

男「撫でる方でお願いします……」

盾「なんだ嬉しいんじゃん！」

男「あの……」

盾「なに？」

男「俺はこれからどうなるんてしょうか……」

盾「あたしのペットになるんだけど」

男「………」

盾「お嬢にくださいって言ったらくれたんだよ。むふふ」

男「……帰らせては？」

盾「貰えない。だってあたしの物だもん」

男「………」

盾「ふふふぅ……」

男「な、何ですか？」

盾「人間って可愛いなぁって」

男「………」

盾「お手！」

男「………」……ポン

盾「今度はちゃんと出来たね！」ムギュ

男「………」

盾「偉いなぁ！」

男 (悪くないかもしれない……いや……でも……)

盾「そうだ、これからちょっと出掛けるから留守番ちゃんとしてるんだよ？」

男「留守番ですか？」

盾「うん。他にも飼ってる子がいるから仲良くしてね」

男「……何と仲良くするんですか？」

盾「ちょっと食い意地のはってるココロッタとか飼い主以外の目を突くのが好きなピポグリフとか」

男「………」

盾「あとね！」

男「待ってください！」

盾「なに？」

男「俺もその用事に連れてって貰えませんか……」

盾「ええ？邪魔くさいし」

男「迷惑かけませんから！雑用とか何でもやりますからッ！」

盾「………」

男 (ココロッタってあれだよな……歯が一繋ぎになってる獰猛なデッカイ犬だっけ……)

盾「困ったなぁ……」

男 (そんなんと留守番なんか出来るか……それこそ死んでしまうわッ！)

盾「あたしはいいんだけどね……お嬢が何て言うか」

男「……あのちょっと可愛い女の子ですか？」

盾「そう。お嬢がいいよって言ったら連れてってあげる」

ー

魔王娘「ええと……です」

盾「この子がどうしても付いて行きたいって」

男「お願いシャスッ！」

魔王娘「盾……私達はこれからどこ行くかこのアンポンタンに言ったですか？」

盾「………」

男「何か言ってくださいよ……どこ行くんですか……？」

盾「……冥界へ行くの」

男「………」

魔王娘「わかったです？馬鹿人間」

男「………」

魔王娘「はぁ……わからないですか。天界、冥界、魔界、聖界、人間界のうちの一つで通称地獄と

男「いや……それは知ってます……」

魔王娘「なら言わせるなですヘナチョコ」

男「あのですね……人間が足を踏み入れても大丈夫なんでしょうか？」

魔王娘「さぁ？」

男「………」

魔王娘「盾、連れて行ってもいいですけどちゃんと面倒見るですよ？」

盾「……はぁい」

魔王娘「そろそろ剣の準備も終わったですかね」

盾「あいつは何で女の私達より支度長いんでしょうね！」

魔王娘「本当ですよ！剣はいつもそうですね！」

男「………」

盾「どうしたの？」

男「……何故冥界何かに行くんですか？」

盾「極炎の壁治すのに行くんだけど」

男「極炎の壁って何ですか……？」

盾「え？人間界と魔界を隔ててた壁だけど」

男「……そんなの聞いた事無いんですけど」

盾「人間は知らないんだ。へぇ！」

男「………」

盾「じゃあ剣が来るまで教えてあげるよ。どうせお嬢といても暇だし」

魔王娘「……そうですか」

盾「………」

魔王娘「盾……私といてもつまらないようだから親父に盾は連れていかないって言っとくです」

盾「や、やめてください！……冗談ですよぉ。ああ！お嬢といると楽しい！」

魔王娘「………」

盾 (そんな事言われたら魔王様に何をされるか……)

男「………」

ー

男「説明お願いします……」

盾「あれよ。人間が簡単に魔界へ来られ無いように極炎の壁ってのがあるの」

男「………」

盾「極炎って言っても見た目だけ燃えてるように見えてるただの壁だけどね」

男「そんな物が……」

盾「それが！ある日突然無くなっちゃったのよ」

男「何でですか？」

盾「どうやら人間の世界にいる勇者の仕業らしいのよねぇ……」

男「………」

盾「はぁ迷惑な話だよ」

男「本当に勇者がそんな事したんですか……？」

盾「さあ？でも一番可能性があるのが勇者だからね」

男「………」