電「お姉ちゃん達はズルいのです」 (293)
「失礼します、司令官さん」
ノックをしながらそう告げる声がした。
この声は……電だ。
「どうぞ」
「はい、失礼します」
またもや失礼します、と言いながらやっと入ってきたのは予想通り電だった。
私は読んでいた本に栞を挟んだ。
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「電か。どうしたんだ?」
「司令官さんは今、お忙しいですか?」
「ん?いや、正直言って暇だ」
今日の任務は一通り終えて、今は大して忙しくない。
国民を担う軍としてはどうかと思うが、元よりこの寂れた鎮守府に来る任務などたかが知れている。何より、ここら一帯は深海棲艦も姿を見せることは滅多にない。
はっきり言ってやることが無かった。
「あ、あの!」
急に電の声が大きくなる。オドオドした様子から一変。下を向いていた顔も上がり、俺と目があった。
「ん?」
「そ、それなら……一緒にお話しません……か?」
かと思えば、徐々にトーンは下がり、それに応じて顔も俯いてしまった。
可愛い電ちゃんの壊れていくまでを描いたお話です(予定)
書き溜めが無いに等しいですが、一応大まかな構成はできているので逃げたりはしないかと
「……ふむ」
つい出てしまう頭を働かせているときの口癖。それに反応して彼女はチラリとこちらに目を向けた。
やはり、艦娘たちも随分と手持ち無沙汰らしい。
「あの……」
顔を覗き込んでくる電の目には不安が宿っているのがわかった。
「ん、ああ、構わないよ。やっぱり暇なんだなぁ、って思っただけさ」
「それならよかったのです」
誤解が解けたらしく、電は小さく溜め息をつく。
腕時計に目をやると、1500になろうとしていた。秘書艦が近くで時間を教えてくれていたからか、久しぶりに時計を見た気がする。
もっとも、今日は休暇を言い渡しておいたのでその時報を聞けていないのだが。
「せっかくだから、おやつもどうかな?
いっそのこと街に行くのもいいだろう」
桜が散り、葉桜になりきろうとしているこの時期。外はいい気温じゃなかろうか。
「えっ?いいのですか?」
「暁達には内緒にして欲しいけどな」
それを聞くと電は黙ってしまった。
人を思いやる気持ちが強い彼女のことだ。たとえおやつと言えども姉達を裏切る気がしてならないのだろう。
……仕方がない。
「やっぱり、外に行こう。この前鈴谷から聞いた喫茶店に行ってみようか。そこでお土産も買って帰ろう。これなら文句が出ないだろう」
安心したのか、電は小さくニコリと笑った。
「……はい!ありがとうなのです!」
始めた時間が悪かった……
今日はもう寝ます
壊れるなんて言いましたが少し違うのです。
控えめな性格が少し強くなるだけなのです。
これはとても素晴らしいことなのです。
少しだけ投下。
この時間の街はいい意味で静かで落ち着いていた。
途中近道だからと通り抜けた公園では、幼稚園児ぐらいの子供たちがブランコを勢いよく漕ぎ、その近くで更に小さい子達が砂場で何かを一生懸命作っていた。
「平和だ……」
「これも、司令官さんのおかげなのです」
知らず知らずのうちに口から漏れていた感想に電が相槌を打った。
「いや、そんなことはない。ここには深海棲艦なんて滅多に来ないし、何よりそれを防いでいるのは他でもない君達だ」
これは常々思うことだ。
人間では全く歯が立たない深海棲艦に対等に戦える艦娘。彼女ら無しでは人類はいまだに破滅の一途を辿っていたに違いない。
「……そんなこと言わないで欲しいのです」
「残念ながら私には何も出来ない。精々妖精さんと意思疎通出来るだけだ」
「確かに、司令官さんは鎮守府から出ずに指揮を取るのです。ですが、傷付いた私たちを鎮守府で待っていてくれます。私たちは、また司令官さんに会いたくて、頑張ろうと思うのです」
「……そうか」
それからはお互い何も言わずに目的の喫茶店まで歩いた。
だが、その静かさが私には心地よかった。
「さて、何を頂こうかな」
明るいウエイトレスに案内されて、窓際の席に着く。
窓から道路を眺めてみる。
まだ青々とした銀杏の木が並ぶ道路。
車道を隔てた向こうの街路樹はどうやら桜らしい。
春は桜、秋は銀杏。ここから見るとさぞかし綺麗なんだろう。葉桜になってしまったのが少し悔やまれた。
「司令官さん……?」
「――おっと」
電に呼ばれて意識が戻す。ひとまず二人の間でメニューを開いた。
様々なケーキが目に飛び込んでくる。
「んー……あっ」
メニューの右下に目当てのものを見つけた。たしか、これが以前鈴谷が話してくれたタルトだろう。これとコーヒーにしよう。
「私は決まったが、電は決まったかい?」
「えっと……このミルクとタルトがいいのです」
呼び出しボタンを押すと、すぐに先程のウエイトレスがやって来た。
注文を繰り返した後に軽く頭を下げて奥に向かったウエイトレスを見送ったら電が話しかけてきた。
「綺麗なお姉さんなのです」
「あぁ、そうだな」
「電もあんな大人の人になりたいのです」
恐らく彼女は、見た感じ大学生のアルバイトだろう。どうでもいいことなので流したが。
「電は顔が整っているから、将来絶対に美人になるよ」
顔をみるみる赤くしていく彼女は実に初々しい。今の言葉は本心だが、彼女をいじるのは楽しい。
「あ、ありがとうございますなのです」
「本心だけどな」
「はわわ!か、からかうのはやめて欲しいのです!」
彼女は頑なに否定する。お世辞と思っているようだ。
彼女はどうしてここまで自分に自信が無いのか。数年もすれば周りが羨むような美少女になっているはずなのに。
「いや、本当に本心だ。私が電と同級生だったなら告白していたはずだぞ」
笑いながらそんな夢物語を口にする。
しかし学生か……
今軍で働く艦娘達が解雇され、学生になるなんていうのは、私にとって何よりも平和の象徴に思えた。
「……あの、司令官さん」
「ん?どうしたんだ?」
先程と打ってかわって静かに俺を呼んだ電はまた俯いていた。
「さっきのがお世辞じゃないって言うのが本当でしたら……」
「だったらなんだ?」
「あの……私――」
「司令官!」
突然呼ばれて思わず店の入り口を見た。電の声を遮ってテーブルに近づいて来たのは、電の姉の一人である雷だった。
ひとまずここで中断
物凄くどうでもいいことだが電ちゃんの一人称って電なんじゃ・・・
>>22
そうだわ……
電ちゃん好きの方ごめんなさい
一応投下前に確認していますが、ミスがあればどんどん指摘して下さい
以下投下
「おぉ、雷。偶然だな」
「……お姉ちゃん、こんにちは
なのです」
「電もこんにちは。って言うよりズルいじゃない電だけなんて!」
やはり言われてしまったか……
腕を組んで口をへの字に曲げてプンスカ怒る雷。拗ねてしまったようだ。
「いや、雷。電とは何となく一緒に甘いものでも食べに行こうかと思っただけだ。当然お土産は考えていたよ」
「どうせ司令官のことだから、プリンを一人ひとつのつもりだったんでしょう?」
「う゛……」
雷にはバレバレのようだ。
流石に暁型だけにお土産というのも気が引けるが、予算は大して多くはない。
結果、メニューを見た限り一番安かったプリンを一人ひとつずつにしようと考えたのだが、浅はかだったか。
「街をブラブラしてたら前に鈴谷さんに聞いた喫茶店があったから、何となく外から中を見てたんだけど、その目の前の席に司令官が座っているのが見えて入ったのよ!」
なるほど。先程は窓際の席とは乙なものだとか考えていたが、それが裏目に出てしまったようだ。
「あの、ご一緒でよろしいですか?」
先程とはまた違うウエイトレスが寄ってくる。
連れの姉妹の相席を断るほど鬼ではないのではい、と答えた。
「司令官達は何を頼んだの?」
「2人ともタルトと、私がコーヒーで電はミルクだ」
「なら、私もタルトとミルクで!」
注文を終え、ウエイトレスが離れていったのを見て説得に入る。
「あのな、雷。流石にここのタルトを全員分っていうのは私の財布が大変なことになるんだ。どうか、黙っていてもらえないだろうか……」
「ダメよ!皆がかわいそうじゃない!」
正義感の強い雷は提案に乗ってくれなかった。
恐らく彼女は陰口なんてせずに堂々と皆に言うだろう。そうなると他の皆から何を言われるかわかったものではない。
「…………ふぅ」
深い溜め息を出して、私は腹をくくった。
「確かに不平が出るのは好ましくない。しょうがない、皆にひとつずつ買って帰ろうか」
久しぶりの散財もたまには悪くない……そう思うことにした。
「…………」
「……あら?電、どうしたの?元気が無いわね」
「……なんでもないのです。それよりも、さすがに司令官さんが可愛そうなのです」
メニューとにらめっこしていたが、概算でもなかなかの金額になってしまう。我が鎮守府の艦娘は大して多くはないとはいえ、タルト1つが約800円。
前に散財したときは、マイブームだった作家の長編小説のまとめ買いだったが、今回はそれを優に越えている。
「いや、大丈夫だ。雷に言われて気がついたよ。確かに他の子からすると、贔屓することはあまり良いとは言えないな」
「司令官がそうおっしゃるのなら構いませんが……」
そうこうしているうちにタルト2つとコーヒーとミルクが出てきた。
「先に頂くよ」
「私は気にしなくてもいいわ」
「電もお先に頂くのです」
苺を真ん中に構え、周りにはブルーベリー、キウイ、林檎などのカットされたフルーツが飾られている。
フォークを刺すと、思ったよりも生クリームが占めていることが感触でわかった。
まずは一口。
「……うん、旨い」
土台がサクッと音をたてる。詳しくは知らないが、パイと同じなのだろうか。
その音をたたて飛び出した粉を逃すまいと生クリームがしっとりと口のなかで包み込む。
更にフルーツの酸味もいいアクセントになっている。
「なんと言うか……ヤバイな」
鈴谷の説明が、ヤバいヤバいと抽象的だったのも頷ける。言葉に出来ない美味しさがあった。
「はいなのです」
電を見ると、なぜか先程までまとっていた淀んだオーラは消え、幸せそうな笑みを浮かべていた。
「……ねぇ、司令官」
今度は横から声が掛かる。
「やっぱり待てないから、私に一口頂戴?」
顔を近づけて首をかしげる。いったいどこでそんな技覚えてきたのか……
「まぁ、一口ぐらいなら……」
そう思い新しいフォークを貰おうとウエイトレスを探す。
「あ、フォークはこれでいいわよ」
「えっ」
これは俺の声では無い。正面の電だった。
「いいのか?こんなおっさんと間接キスだぞ?」
こう言ったが、自分はまだ30手前。おっさんだとは認めていない。あくまで便宜上だ。
「司令官となら気にしないわ。それにフォークが勿体無いじゃない」
まぁ、一理ある。
「なら……」
先程口に運んだ分と同じ量をフォークに乗せる。
そのまま雷の口に運ぼうとしたとき
「お、お姉ちゃん。司令官さんのではなくて電の分を分けてあげるのです」
こちらの返事を待たずにせかせかとタルトにフォークを刺す。
そこまで自分を削らなくてもいいんだがな……
些か度が過ぎているように思える。
「いや、俺があげるよ。正直全部食べれるか不安なんだ」
何より、あんな幸せそうな顔で食べていた電の分を減らすのは気が引ける。
「何よりも、電はもっと食べたいだろ?」
「あの…………はい」
小さく頷いたが、どうにか納得してくれたらしい。
すでに半分食べているのを見る限りかなり気に入ったようだし、内心ほっとしていたりするのかも知れない。
「それじゃあ司令官、あーん」
ニコニコしながら口を開ける雷は、見た目相応か、それよりも幼く見える。
とりあえずフォークをそっと小さな口にいれる。
「んー!美味しいわ!」
笑顔ではしゃぐ雷を尻目に、他人の口にフォークを入れると言うのは少し怖いことを学んだ。
「…………」
「ん?電、どうしたの?」
見ると、電は先程の姿から一寸たりとも違わない。
フォークをタルトに刺したまま動いていなかった。
「……いえ、なんでもないのです。このタルトは美味しいのです」
一度フォークを引き抜き、同じ位置にふり下ろす。
先程よりも強く刺しているような気がした。
「司令官!もう一口頂戴?」
「はいはい。夕飯食べれなくなっても知らないぞ?」
「大丈夫よ。暁じゃないんだし」
「…………それ、暁には絶対に言うなよ」
拗ねて顔を合わせようとしない暁が目に浮かぶ。
端から見るには可愛らしいのだが、当事者となれば少し面倒くさい。
「そう言えば、あの子またピーマン残してたわよ」
「またか……今度見たら注意しておこう」
雷と色んな話をしたり、タルトのお返しをもらったりしているうちに私と雷の皿とコップは空になっていた。
「……さて、そろそろ帰ろうか」
「そうね、ご馳走さま。美味しかったわ!」
「………………あ、あの」
「ん?」
控えめに電が呼ぶ声がする。電の方を向くと、彼女はまだタルトを半分ほど残していた。
「すみません司令官さん。まだ食べ終わって無いのです……」
「いや、こちらこそ気にも止めなかったのが悪かった。ゆっくり食べていいぞ」
「気にも…………」
「ん?何か言ったか?」
ぼそりと何か呟いたような気がしたがタイミングが悪く、隣の席で注文を繰り返すウエイトレスの声と重なって聞き取れなかった。
「いえ、何も無いのです」
電はそう言ってパクパクと残ったタルトを食べていく。
「そうか?……あまり急がなくても良いぞ」
黙々と食べる電にそう声を掛けたが、スピードは下がらなかった。
とりあえずここまで
言っておきますが、電はまだ正常です。精々ひびが入っていそうなくらいです。
書き溜めが赤字でひいひい言ってますんで、更に投下速度が遅くなるかも知れません。
>>13
ほんとかー?ほんとに素晴らしいことなのかー?
取りあえず電ちゃんが最終的にかわいそうなことにならないことを願う
>>38
(電にとっては)ハッピーエンドなんで安心してください。
なお
>>1のその後を知る者はいなかった
>>41
大丈夫だ。夜には帰ってくる
今更ですが実は、ここで幸せなキスをして終了、なんて可愛らしいEDは考えていません。>>3にも書いているように電ちゃんの成長を記したものとなる予定です。
受け入れられない方は、電ちゃん不信になる前に回れ右するか新たな扉を開いて下さい。
電ちゃん以外が電ちゃんの手により轟沈して司令官独り占めできてハッピーとかないよな?
>>45そんな訳ないだろ(震え声)
今言うことに特に意味はありませんが、EDについて深く考えるのはやめましょう
(予め考えていた別のEDに)切り替えていく
2200ぐらいから少しだけ
こんばんは
扶桑型とのドロドロした日常を妄想してたらいつのまにか時間になっててビックリ
以下投下
「昨日はご馳走さまでした」
あれから翌日。朝食を食堂で取っていると、電が近寄ってきた。
「もう何度も聞いたよ。そこまで言わなくてもいいぞ」
失礼します、と言って隣の席に座る。
ちなみに私が今座っているのは、昨日の喫茶店と同じ4人用のテーブル席だ。
「電の分もですけど、皆の分も含めてありがとうなのです」
「あぁ……気にしなくていい」
久しぶりの散財は駆逐艦以外からも好評で、これからもよろしく、とせがまれた。
「あそこまで喜んでもらえると、奮発したかいがあるってものだ」
昨日の事が自ずと思い出される。
紅茶セットを用意する金剛、すぐに食べ終わり量に不満をこぼす赤城、何故か自慢げな鈴谷、同じ味なのに食べさせあう北上と大井、そしてワイワイ騒ぐ駆逐艦達……
食堂はちょっとしたお祭り騒ぎになっていたのだった。
「……それでですね司令官さん」
「ん?」
「また今度二人で行きたいんですけど……いいですか?」
もじもじしながら上目遣いでそう尋ねる電。
どうやらあのタルトがずいぶんと気に入ったと見える。
電らしい小さな願望に俺は思わず笑った。
「あぁ、また今度行こうな」
「はいなのです!」
電はいい笑顔で返事をした。
「司令官、ちょっといいかい?」
後ろから呼ばれて振り向くと、私の秘書艦である響がいた。
実際はヴェールヌイなんだが、自他共に面倒だ、と意見が一致したため今でも響と呼んでいる。
「響お姉ちゃん」
「やぁ響。一昨日ぶりだな。昨日は休みを満喫できたか?」
「うん。と言っても、ここは年中休みみたいなものだけどね」
「確かにそうだ」
ご一緒してもいいかい?と聞いてきたので空いている正面の席に座らせた。
「昨日はありがとう」
「もう色んな奴から聞いたよ。響としては美味しかったのか?」
「うん。また食べたいな」
表情があまり崩れない響だが、彼女がとても満足しているように感じた。具体的には、間宮アイスを食べた後のような。
彼女が輝いているように見えた。
「お前、間宮アイスを食べたか?」
「いや?強いて言うなら、昨日のタルトだね。また食べたいな」
……どうやらとても気に入ったようだ。
「なんなら、今度一緒に食べに行くか?ちょうど電とそういう話をしていたんだ」
名前が出たからか、電の動きが止まった。
彼女はピクリと震え、響を見た。
「そうなのかい?」
「……はいなのです」
響は電をちらりと見てから、私に顔を向けた。
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
「そうしてくれると有難い」
自分で言うのもなんだが、上司と二人っきりというのはあまり休めない環境だろう。
そこに姉が居るのと居ないのとでは、かなり違ってくるはずだ。
先日は雷がやって来たからよかったものの、大して気が強くない電にとっては私と二人っきりは辛く、下手すれば却って休めない可能性が高い。
それだけは避けたかった。
「……………………」
「……電、どうかした?」
「………………あの、お姉ちゃん」
「どうしたの?」
「あの…………」
昨日も見た電の表情。何かを言おうとして、だがそれを躊躇うような難しい顔。
「…………なんでも無いのです。三人で行くの、楽しみにしているのです」
結論として、電はその「何か」を言うことは無かった。出かかっていたであろう言葉を飲み込んだのだ。
「電。もしかして何か言いたいことがあるのか?」
彼女の決断を揺るがすようで気が引けるのだが、私はそうやって溜め込んで苦しんでいた者を何人も見てきた。
彼らが悪いとは言わないが、電にはそうなって欲しくなかった。
「何も無いのです。三人で行くの楽しみにしているのです」
やや早口で言い終えると、止まっていた電の箸が動き出す。
急いで食べているというより、そのまま何かを飲み込もうとしているようだった。
仕事が少ないとは言えども、午前から怠ける余裕はない。
朝食を取った後、響と共に執務室へ帰り書類に目を通し始める。
「司令官、この書類」
「おう」
長年の経験で響が言おうとしていることもある程度わかる。
仕事はテンポ良く消化されていく。
「1100。皆を連れて、演習してこようか」
「そんな時間か……あぁ、よろしく頼む」
確か、今日は元帥殿の第一艦隊との手合わせの予定だったな……
「響が旗艦。他は――」
「いつも通りだよね。わかってる」
「話が早くて助かるよ」
「今日もここに居るのかい?」
「俺を何だと思っているんだ?」
さすがに演習は私も向かう。ある程度馴染み深いとは言え元帥殿に失礼だ。
クスリと笑うと、響は部屋を出ていった。
机の角に置いてあったマイクを手繰り寄せる。
「第一艦隊のメンバーは、各自艤装を装着した後に執務室に来るように」
それだけ言ってマイクを切る。
暫くして6人が集まった。
「点呼……は取るまでもないな」
響、金剛、北上、長門、赤城、摩耶。我が鎮守府の最高戦力だ。
「これから元帥殿との演習に向かう。陣形は複縦陣。作戦は特になし。何か質問は?」
「おい」
「どうした摩耶」
「ざっくりしすぎじゃねぇか?何かこう、もう少し作戦らしい作戦をさ……」
まぁ、言いたいことはわかる。というより、このままスルーされていたら却って怖かった。
「残念だが、あの人には意味がない。どう来るか全く想像がつかん」
以前は対策を必死に練ったものだが、ことごとく裏を書かれてきた。
空母だけで固めてくる事もあれば、水雷戦隊で出し抜いてくる事もある。
「だからってさぁ……」
「……珠にはいいかも知れないな」
長門が賛同してくれたことで摩耶も渋々ながら引いてくれた。
「だからといって、完全に適当と言うわけでもない」
「あん?どういうことだ?」
「……なんだか喧嘩腰な感じがするんだが」
「摩耶!テイトクをそんな睨んじゃダメデス!」
金剛が間に入ってきてくれたことで摩耶の眼光が弱まった。
「まぁ、わからなくもないがな……いいか、良く聞け」
一歩摩耶に近づく。
「摩耶にはいつも通り対空をメインに戦ってもらう。あの空母が来たときにはお手上げだ。正直言って君が頼りだ。頼むぞ」
「お、おう!任せとけ!」
えへへ、と笑顔になる摩耶。将来、変な男に捕まったりしないかかなり心配だ。
「長門と赤城には敵の主力をお願いしたい」
「あぁ、了解した」
「はい、わかりました。ご褒美は昨日のタルトでお願いします」
「うまい棒で勘弁してくれ。北上は勿論先制魚雷を始めとする水雷戦」
「ほーい」
「…………やる気出してくれよ」
まぁ、本番ではやってくれると信じているが。
「それと響もな」
「了解した」
「ヘイ提督!私は何ですか~?」
「…………オールマイティーだ」
「What!?」
「よし、行こうか」
問いただしてくる金剛を余所に、私たちは練習場へと向かった。
書き溜めが底をつきました
これから書き溜めを蓄える作業に入ります
全然電ちゃんを崩壊させてあげられなくて残念です
見てくださっている電ちゃん好きの方、こんばんは
迷走してる感が否めないですが、温かい目で見守っていただけたら幸いです。
では、続きを投下していこうかと思います
「お久し振りです。元帥殿」
「おお、久しぶり。このあと一杯どうだ?」
「…………まだ昼前ですが」
「なに、ちょっとした冗談じゃないか」
笑いながら軽く肩を叩いてくる。
この人はいったいどこまでが本気なんだろうか。
小さい頃からこの人を知っているが、相変わらずわからない人だ。
「……本日の演習ですが」
「いやぁ……いつも通りでいいだろう。1200に演習開始で」
「はい。では後ほど」
俺はそう言って踵をかえそうとした。
「おいおい、まだ余裕はあるじゃねぇか。もう少し喋ったってあいつらの
場所までそうかからねぇよ。俺とお前の間柄だろ?」
「少将と元帥殿の間柄ですね」
「あー……まぁ、いいか。今夜飲みに行くんならいいだろ?」
まぁ、それくらいならいいだろう。
確かに久しぶりに会ってそのままお別れ、と言うのも味気ない。
「はい、わかりました。場所は元帥殿のお好きなように」
と言っても、あの人も私も同じ場所を選ぶはずだ。
「いつもの場所だろ?じゃあ、さっさと向かってやりな。早めに艦隊を組んでやらないと困るだろう」
「?……はい」
そのまま元帥殿はさっさと向こうへ行ってしまった。
……どういうことだ?
私は謎を残したまま艦隊の元へと向かった。
「遅かったね。また捕まっていたのかい?」
「いつものようにな。あと、今夜は飲みに行ってくるよ」
「わかっているよ。それもいつも通りだ」
自分の陣地に戻ったとき、響が歩いてきた。艤装の最終チェックは終わったようだ。
顔を上げて皆に呼び掛ける。
「1200から演習開始だ。艤装の最終チェックは済んだか?」
「提督のお喋り長すぎ。とっくに終わってるよ」
北上が面倒くさそうに答えた。
「よし、じゃあ…………点呼をとろう」
「はぁ?どうしたんだ提督。仕事のしすぎで数も数えられなくなったのかよ」
「そこまで仕事は回ってこないんだが……まぁ、やることないし、士気も上がるかも知れないだろ?」
どうもあの言葉が気にかかる。
あの、何か意味を含んだような言葉。
『早めに艦隊を組んでやらないと』
「ふーん……ちゃっちゃとやっちまうか」
摩耶は納得したようで素直に一列になる。
私の合図で順に番号を叫んでいくが、やはり6人いる。
「だよなぁ……」
やはり、人数に間違いはない。
あの人は何が言いたかったのか……
ただの気まぐれか。そう結論付けた。
「……ふむ」
「どうしたの?司令官」
「いや、これで惨敗は避けたいなぁ……と」
「司令官次第だね」
「……というと?」
「簡単なことさ。あのタルトを――」
「まだ言うか」
そこまで美味しかったのか……
「タルトの話をしてましたか!?」
「落ち着け赤城、響。また今度な」
緊張していないのは良いことなのだが……
些か不安を煽られただけに思える。
「 ……полдень 」
「あぁ、ありがとう響」
秘書艦が正午を知らせたことにより赤城達の顔つきが変わった。
「これより、元帥殿との模擬海戦を開始する」
6人とも背を伸ばす。
「各艦、出撃せよ」
これを合図として全員が海へと乗り出した。
「お疲れ~。まぁ、まずは一杯」
そう言って元帥殿は徳利を私の前に差し出した。にやけた顔にイラつきを覚えてしまうのも無理はないはずだ。
「どうも」
我ながら心情がただ漏れのトーンで返事をして受け取った。
「いやぁ~惜しかったな」
結果として、私の艦隊は負けた。
この結果は予想できなくは無かった。だが、あの編成は度肝を抜かれた。
「まさか全艦潜水艦とは……」
ご丁寧に大鯨までいた。
「単なる自慢ですか……?」
「その単なる自慢に負けてちゃ、世話ねぇな」
響が居なければ……と思うとゾッとする。
対空を任せた摩耶は拗ねてしまい、終始機嫌が良くなかった。
「あそこでお前の秘書艦を入れられていたら、どうなっていたかわからないがな」
…………ん?
「秘書艦とは……?」
「秘書艦だよ。暁型の。挨拶に来てたぞ」
「あぁ、ちゃんと入ってましたよ」
何かと思えば皮肉か……どうやらあの半ばお遊びのような艦隊で返り討ちにしたのがご満悦のようだ。
「そんなことよりさぁ……なんかお前、固くないか?」
「上司との酒ほど気が休めないものは無いと思っています」
「今は役職なんざ取っ払って、昔みたく仲良く騒ごうぜ?」
「…………いいんですね?」
「おう!なんなら喧嘩しても上にチクったりしねぇよ」
ゲラゲラと笑う元帥殿……いや、こいつはかなり酒がまわっているようだ。
見ると、徳利はすでに2本空になっていた。
「お前は酒に弱いくせに一気に飲むなよ……」
「お、やっと敬語が抜けたな」
こいつはそれだけで笑った。
何が面白いのかわからない。
「俺も大して強いわけじゃねぇから、そこまで付き合えねぇぞ」
わかっているだろうが念を押して、俺は目の前の徳利に手を伸ばした。
「どうだ?俺の部下は。とっても可愛いだろぉ?」
「すみません。提督がお世話をお掛けしました」
「いえいえ。こうなることはある程度覚悟していましたし、大して気にしていません」
このやり取りは、いったい何度目だろうか。
少なくともこいつ……元帥殿と飲むと必ず彼の秘書艦を呼ばなければならなくなる。
「いい女だろう?嫁に欲しいくらいだ」
秘書艦に背負われた元帥殿は自慢げに話しかけてくる。
「はいはい、話は家に帰ってから聞きますんで」
何度もしたからか、扱いが上手くなっている。
「いい秘書艦をお持ちで」
元帥殿も背負われながらも、こちらを見た。
「お前にもいい秘書艦がいるじゃねぇか。迎えに来てもらえよ」
「確かに彼女はしっかりものですが、元帥殿ほど酔っていないので大丈夫です。……そんな口実で私の秘書艦に近づかないでいただきたい」
「ふん……まぁ、あの子もお前をずいぶんと信頼しているようだし、流石に抜いたりしねぇよ」
前から思っていたが、元帥殿はやはりロリコンか……
次は俺も空母で統一しよう。そう思った。
「じゃあ、お元気で」
彼の秘書艦は俺に背を向けて歩き出した。
俺も帰ろうと体の向きを変えた。
「じゃあなぁー。電ちゃんによろしくなー」
そんな俺の背に元帥殿の声が響いてきた。
キンクリの便利さは異常
全く電は出てきませんでしたね。すみません。
提督が鎮守府を離れている間、いったいどこで何をしていたんでしょうか。皆目見当もつきません。(すっとぼけ)
明日も出来るならこの時間帯にやって来ます。
それではお休みなさい。
「扶桑姉様!」
そう言って飛び付いてきたのは私の可愛い妹。
「久しぶりに街に買い物に出掛けましょう!!」
まだ返事をしていないのにはしゃぐ山城を見ているだけで心が温まる。
「ええ良いわよ?提督に許可をいただいて来るから待ってなさい?」
提督――私の上司でもあり恋人でもある大切な人。
忙しい彼を邪魔する訳にはいかないので、例え小さい理由でも正当化されるものならそれを口実にして会いに行くのが楽しみなのだ。
「あ、心配はいりません。すでに許可は貰ってきています!」
それを聞いて少し残念に思ったが、妹がよかれと思ってやってくれたのだ。
文句はない。
「じゃあ、いきましょうか」
はい、と返事をする妹はとても可愛らしいものだった。
「あっ」
「?どうしました?」
私はウインドウショッピングであるものを見つけて立ち止まった。
それは、万年筆だった。
提督が好きだと言っていたデザインだ。
「いえ、なにも――」
「あっ、これって提督が好きそうなデザインですね」
「えっ……」
「えっ?違いましたか?」
「……いえ、そうよ」
プライベートでも無口な彼。
私も告白されるまでは全く私情を交えた話などしたことが無かった。
おまけに山城はあの人をなぜか毛嫌いしているはず……。
「まぁ、あの人にこの値段はもったいないですね~」
「そ、そうかしらね」
生返事でその場をしのいだが私の頭は混乱していた。
「あっ!お姉様!見てください!」
彼女はすでに万年筆に興味をなくしたようで、別の店に駆けていく。
「!待って山城!」
そんな背中を私は追いかけた。
翌日、私はまた街へ出掛けた。今度は一人でだ。
あの万年筆をどうしてもあの人にプレゼントしたくて、山城をおいてこっそり買いに来ていたのだ。
「はい、料金は――」
私は値の張る万年筆を包装して貰って、鎮守府へと帰った。
「提督、失礼します」
控えめなノックをしたが、音が小さすぎたらしい。もしくは疲れて寝ているのか。
この時間なら恐らく後者だろう。
「全く、提督ったら……」
そう呟きながらそっとドアノブに手をかけた。
「山城……!」
「あん……っ、提督……」
提督と、何故か山城の声も聞こえる。
少し出来た扉の隙間から中を覗くと2つのものが目に飛び込んできた。
1つは、私が手に持つものと同じ包装紙で包まれた何か。
もう1つは、提督と山城だった。
厳密には2人なのだが、2人は抱き合い、口付けを交わし、もはや2人の影は1つとなっていた。
「……………………」
私はそっと扉を閉め、自室へと帰る。
道中何があったのかわからなかったが、これだけは言えた。
「不幸だわ……」
【仲良し姉妹】
唐突な扶桑姉妹に歓喜だが困惑
>>75すまんな
スレたてるか迷ってんけど、続きそうにないんでここに書いたんや
今夜にちゃんと本編投下するんで許してくれや
>>76
つ「投稿スレ」
皆さんこんばんは
書き溜めをしていた時にですね……「電」って携帯で打とうとしたらですね……間違えて「穴妻」って打ってしまって……なんていうか……その…下品なんですが…フフ…… 勃ry
2200ぐらいから投下していこうかと
>>77投稿スレ!そういうのもあるのか
これはひどいでち
お時間となりました。今回も適当に投下していこうかと思います。
>>83おうでち公。俺は今気分がいいからオリョクルは許してやろう。
そのかわりキスクルしてこい。
以下投下
「…………えっ」
振り向くが、彼等はすでに人混みに埋もれて見えなくなっていた。
「なんて言ったんだ……?」
本当は確かに聞こえていた。だが、信じられなかった。
「どうして電の名前が出たんだ……」
俺の秘書艦はいつも響で、今日も電は家で鎮守府警備と言う名目上の休暇を謳歌しているはずだ。
何より、あの人の前で電の話すらしたことがない。
「ふむ……」
「司令官」
「うおっ!」
突然後ろから声を掛けられた。
ただでさえ不気味な話を考えていたんだ。急に声を掛けられたら驚いてしまう。
「…………司令官らしくないね。そんなに驚いてどうしたんだい?」
後ろにいたのは響だった。
「お前……どうしてだ?」
「どうしてって……司令官があまりにも遅いから心配して来たんだよ。酔いつぶれていたら困るだろ?」
怪訝な顔で答える響。至極当然な理由だった。
「あぁ……すまない、心配掛けたな。大丈夫だ」
気を持ち直して平然を装ってみる。
「…………司令官。どうかしたのかい?さっきの反応はただ事じゃなかったよ」
「……流石は私の秘書艦だ。お見通しか」
「たぶん、あんなに慌てた司令官を見れば誰でも心配するよ」
言われて納得すると同時に、そこまで頭が回らなかった自分の動揺具合を痛感した。
「何があったんだい?」
俺は、元帥殿の話を、全て響にぶちまけた。
「……それは、少し奇妙だね」
響も得体の知れない何かを感じたらしい。彼女は自然と私の手をとった。
「司令官、大丈夫だ。何があっても私が守るよ」
何から守ると言っているのか。そんなことはどうでも良かった。
私は改めて彼女の大切さを知った。
握られた左手は、彼女の右手よりも何倍も大きいはずなのに、私の心はすぐに落ち着きを取り戻した。
「お前が秘書艦で良かった……」
「……よしてくれ司令官……恥ずかしいじゃないか」
照れているのか白い肌が微かに朱を帯びていた。
「さて……皆も心配している。帰ろう、司令官」
「あぁ……悪いが、私が怖じ気づいていたことは黙っていてくれるか?」
見栄っ張りと言うのもあるが、鎮守府の頂点に君臨するものとして弱音を吐く姿を見せたくなかった。
「勿論。変に勘繰られないように早く帰ろう」
何はともあれ、私はいい秘書艦を持ったものだ……
強く握ってきた手を握り返しながらそう思った。
「提督ー、お帰りなさいデス」
もうすでに日付は変わったというのに出迎えてくれたのは金剛だった。
彼女の笑顔を見ていると、嫌なことも吹き飛んでしまう。
「ただいま金剛。出迎えありがとう」
「ノープログレムね!提督に挨拶しないとスリーピングできまセーン!」
嬉しいことを言ってくれる。
俺の頭の中にはすっかり恐怖は消えていた。
「ところで、響ちゃん達はどこデスか?」
「司令官の後ろだよ」
ひょこっと私の後ろから顔を出す響。
あまりの身長差に金剛からは隠れて見えていたようだ。
「ちゃんと会えたんデスね」
「……というより、何故響を使いに出したんだ?」
こんな時間に外に出すのは、正直私がどうよりも危ないだろう。
会えたから良かったものを、入れ違いでもしたら響が危なかった。
「この子、私たちのアドバイスを聞かずに飛び出して行ったのデス」
「それは反省しているよ。でも、北上さんがあんなこと言うから……」
北上が何か吹聴したらしい。
それを聞いていた響が心配してやって来た……と。
「それはありがとう。だが、これで響が居なくなったら私が心配してしまうよ」
「……そうだね。以後気を付けるよ」
響が足に抱きついてくる。
私は身を屈めて彼女を抱き返した。
「Oh……提督はベリーテンダーネ。怒ろうかと思ったけど、提督に免じて許してあげマス」
「そうしてくれると助かる。……さて、私は風呂に入って来るから――」
そう言いながら響を離し、風呂に向かおうと立ち上がった時だった。
「あれ?それなら提督、電はどこデスか?」
ふたたび俺の頭はフリーズした。
「……電がどうしたんだ?」
「それが、ディナーにも見当たらなかったのデス」
私こそどこか聞きたい。彼女は鎮守府警備に当たっていたはずなのだ。
だが、先程の元帥殿といい金剛といい。
電は何をしていた……もしくは何をしているんだ?
「今日電を見た者は?」
「それが、どうやらランチタイムも居なかったそうデス」
「……なに?」
「てっきり皆は演習に行ったのかと思っていたらしいネ……」
……訳がわからない。
電は本当にどこで何をしていたんだ。
「私は偶然かと思ったんデス。それで響と一緒に提督を迎えに行ったのかと……」
「司令官……」
先程話をした響も感じたようだ。
何はともあれ電を探してからだ。
「よし。他の起きている者に電を探すのを手伝って――」
「……司令官さん、ただいまなのです」
「Oh!電!」
振り替えると、そこには電がいた。
「…………どこに行っていたんだ?」
ビクッと電が震える。
いつもより低いトーンを聞いて、少し怖がっているのかも知れない。
「電は……街へ安全を守りに行っていました」
「街に?」
確かに最近、物騒な事件があったらしい。
だが、彼女が勝手に街へ出掛けたことの免罪符にはならない。
「司令官さんが心配で……その……」
私は勝手に街へ出かけることは大して禁じていない。
正直言って、鎮守府警備なんていうのも名目上の休暇だと認識しているので怒るつもりもない。
だが、彼女達はまだ幼い。
私を云々よりも、自分の身を守って欲しいのだ。
「…………いいか?電。さっき響にも言ったんだが、これでもし君に何かがあったら、私が心配してしまうんだ」
「はい……」
しょぼんとしながらも、その目はどこか何かを期待しているようにも見えた。
「今後は心配をかけさせないで欲しいな」
そう言ってポンポン、と優しく頭を叩いた。
「……………………」
電は何も言わずにそれにしたがっていた。
「……お姉ちゃんと違う」
「ん?なんか言ったか?」
「…………いえ、了解なのです」
顔をあげて電は笑いかけてきた。
ぎこちない笑いだった。
今夜はここまで
相変わらず書き溜めがありません。最悪明日はないかと。
おかしい……そこそこ書き溜めたはずなんだが……
では、お休みなさい
ハイライトさんが逃げ出しそう
もうハイライトさん仕事したくないってさ
ハイライトなら休暇とってベガス行ったよ。
おじさんも糞餓鬼の皆さんもこんばんは
このスレの対象年齢は揺りかごから墓場までを想定していますのでどうぞ見ていって下さい
それでは2200から投下していきます
では、少しながらやっていきたいと思います
以下投下
あのあと、妙に素っ気なかった響やジト目で見てくる金剛に別れを告げ、風呂に向かった。
当然ながら男子は私一人だけで男湯なんて存在せず、時間をずらしての入浴だ。
以前には、大井や鈴谷とばったり出くわして、追い出されたり一緒に入らざるを得なかったりしたこともあったが、流石にこの時間となると皆風呂に入り終えていたのでスムーズに入ることが出来た。
鍵を掛けて服を脱ぐ。こうしないと大変な目にあうことを学んだのだ。
以前には、寝ぼけた愛宕が入って来て…………あの事は忘れよう。
首を振って思考をリセットする。
当然ながら風呂は大きい。この鎮守府における彼女達艦娘の割合からすれば当然だ。
逆に言えば、今は私1人がこの大浴場を使えるのだ。
これが私の毎日の密かな楽しみなのだ。
「ふぅ……」
湯船に浸かるとともにやや熱めのお湯が押し出されていく。
お湯に全身を沈めるだけでこうも心身ともに安らぐのは不思議だと思う。
「さて……」
落ち着いたところで今日あったことを整理してみる。
まず1つ目は、元帥殿が何故か面識のないはずの電を秘書艦だと思っていた。
あの人は「暁型の」と言っていたが、私はてっきり響のことを指していたのかと思っていた。
今思えば、あのときすでに面識があったということだ。
何故電は私よりも先に元帥殿と会い、なおかつ自分が秘書艦だと言ったのか。
「……なぜだ」
電の行動がわからない。
そもそも、それが本当に電なのかさえ怪しい。
「……とにかく、明日に聞いてみるしかないな」
一時的な答えを出した私は、頭から水のシャワーを浴びた。
体はすっきりしたが、頭の中のわだかまりが強調されただけだった。
艦これ関係ないけどこの電ちゃんヘンリエッタを思い出す
「司令官。寝る前にトイレ行かないとダメでしょう?私が着いていってあげるわ!」
寝る支度を整え、ベッドに潜ろうかと思い自室の扉を開くと、もぞもぞと落ち着きのない暁が待っていた。
「いや、私はもう行っておいたから大丈夫だ」
「えっ……い、いざというときに困るでしょ!?」
「いざというときには向かうだけだ」
「こ、効率が悪いわ!今すぐ行きましょ!今なら私が着いていってあげるから!」
暁の貧乏揺すりが徐々に激しくなっていく。むしろ、こんな時間に他人とトイレなど、そっちの方が非効率な気がする。
……仕方がない。これ以上いじるのはやめておこう。
「そこまで言うなら、トイレに連れて行ってもらえるか?」
「しょうがないわね!そのかわり、私に先にトイレに行かせてね!」
嬉しそうな、苦しそうな顔で答える暁。
限界が近づいてきているようだ
「よし、行くか」
暁を抱えて私は走り出した。
「はぅあっ!?」
「もう少しの辛抱だぞ」
「揺らさないで……っ」
涙目になっているのを見て、足のペースをあげることによって、なんとか事なきを得たのだった。
「ふぅ……」
間一髪、と言ったところか。なんとか間に合った。
「司令官……その……ありがとう」
「どういたしまして。でも、なんで俺の部屋に居たんだ?」
暁型の部屋はこの私の自室とトイレのちょうど間に位置している。
「2人ともぐっすりだったし、わざわざ起こすのは悪いわよ」
「いや……誰かを起こす前提なのか?」
暁はしまった、というような顔をした。
「ひ、1人で行くのが怖いとかじゃなくて、そろそろトイレ行きたい人がいると思って、付き添ってあげようとしたのよ!」
「そうか」
「そ、そうよ!」
「まぁ、レディは嘘をつかないしな。その通りなんだろうな」
暁の顔色が変わる。
「えっ……その……あのね?……」
「すまない。私が悪かったよ」
そう言ったことで暁はようやく気付いたようだ。
「……!司令官!からかったのね!失礼しちゃうわ!」
不機嫌になる暁の頭に手を乗せて、先程電にしたように優しく叩く。
「ま!まぁ、許してあげるわ」
満足そうな顔で暁はそう言ったのだった。
2人とも?
「じゃあ、そろそろ寝るか」
ようやく落ち着いたので布団に向かおうとする。
「し、司令官!」
だが、暁に先回りされてしまった。
暁は通すまいと大の字に手を広げるが、残念ながら彼女の背丈では迫力に乏しい。ひょいと持ち上げて廊下に出した。
「暁、もうこんな時間だ。悪いが俺は眠らせてもらうぞ」
「れ、レディの帰り道は男がエスコートするものよ!」
「隣だろ……」
今日――正確には昨日だが――はいろいろあって疲れてしまった。暁には悪いがそろそろ意識が限界に近づいていた私は。扉を閉めようとする。
「な、なんでよ……っ」
閉めようとしたが、その前に泣き出してしまいそうな暁を見ると、どうしても放っておけない。
「……ふぅ」
今日何度目かわからない溜め息をついて扉を開ける。
暁の目は赤くなって、今にも涙が決壊しそうな状態だった。
「……わかった。扉の前までだぞ」
「い、嫌よ!」
「なんだ?部屋の中も怖いのか?」
「べ、別に怖くは無いわよ!」
「そうか、なら部屋の前まででいいな」
手を掴み部屋を出る。少しぶっきらぼうだったかも知れないが、そこは勘弁してほしい。
「本当に怖くないのよ!?部屋の暗さも我慢できるし、外の風も単なる音だし、電もいつも通りだし」
震える彼女はそう弁解した。
今日はここまで
電ちゃんを愛でるスレだというのに、全然出せなくて申し訳ない。日々精進します
では、お休みなさい
>>108はい。「2人とも」です
>>105
ガンスリ……初めて知りました
今度TSUT〇YAで借りようと思います
今の時間はお子様は寝てるよな……?
0030から>>106の分岐を投下していこうかと思います
気分を害する場合がございますので、そのときはお手数お掛けしますが、流して下さいぬ
健全だけどね!!(主観)
大きなお友達、こんばんは
少ない上に拙い文章ですが、そこは皆様の妄想力に頼ろうかと思います
以下投下
「し、司令官!止まって!」
ゴールを目前にして暁が叫ぶ。尻で円を描くように腰を振り、小刻みに足をくねらせている。
「それは出来ない」
彼女の懇願を流す。
むしろ、ここで止まればそれこそ危ないことは明白だ。
「違うの!違うのよぉ!」
暁は涙声になっている。
心なしか声も震え、息が乱れている。
「はぅ…ていっ……とっ…く……っ」
プルプルと震える彼女。だが、目の前には明るいゴールが。
なんとか間に合った。
「安心しろ暁!もう大丈夫だ!」
「はぁ……はぁ……」
粗い息の暁をおろす。
私も達成感からか、妙に声が上がる。
ドアノブに手を掛け、引っ張ると。
「入ってマ~ス」
「金剛!?」
予想外の刺客の登場に私はどうすることも出来ない。
「あっ」
ぴくり。暁が大きく震え、やがて止まった。足の震えも止まった。
「あ……ああっ……!」
声を漏らす彼女は泣きながら崩れ落ちた。
又の間からじんわりと液体が溢れていくのを、私はただ見ていることしかできなかった。
「ひっ……じれぃがあん゙……」
助けを求めるように私を呼ぶ間も液体は溢れ続ける。
レモン色のそれは、1度決壊したらとどまることを知らなかった。
「わだし…………間に合わながった…………」
崩れたまま見上げる彼女は静かに泣いていた。
やべえ
間違えた
「はぅ…ていっ……とっ…く……っ」
↓
「しれっ……かん…………っ」
このあとのことは皆様のご想像にお任せします
では、今度こそお休みなさい
矛盾というか、おかしなところが探せば出てくるわ出てくるわ……
やはり適当にifなんて書くもんじゃないな
この世界線は無かったことにしよう
俺がレモンジュースを掃除している間に>>1は世界線をなかったことにするんだ。ここはまかせて早く!
>>127
※このあとレモンジュースはスタッフ(私)が美味しくry
ここは変態が集まるスレですね。たまげたなぁ……
ロックは坊や達には強すぎる。君たちは水割りにしておきなさい(ハードボイルド)
こんなん電じゃない!プラズマや!(言いたかっただけ
>>133電とプラズマの違いとはなんなのか(哲学)
今日も今日とて2200からちょびちょび投下予定
皆さんこんばんは
2200になりましたので、ちょびちょび投下していきます
以下投下
「――――今なんて?」
今日何度目の寒気だろうか。
「だから、私は全然怖くなんか……」
そこで暁は言葉を濁す。
「何が怖いんだ?」
恐らく聞き間違いだろう。聞き間違いであって欲しかった。
「だから、部屋の暗さも、外の風も、電――」
「それだ!」
思わず大声をだしてしまう。
その声に暁はびくりと震えた。
「暁、電がどうしたんだ?」
しゃがんで両肩を掴み問いただす。少し怯えながらも暁はゆっくりと話し始めた。
「電?べ、別に怖くなんて」
そう言う彼女の目は泳ぎっぱなしだ。
埒が明かないので質問を変える。
「暁は、電の何処が怖くないんだ?」
「そ、それは……」
暁はそこで言葉を区切り、ちらりと横を見る。
そこには何も無かった。強いて言うなら土壁があるだけだ。
「……どうした?暁」
私は尋ねるが、暁は震えるだけで何も喋らなくなった。
ただ、じっと壁を見つめる。
その目は何かを怯えながら見ているような……そんな目だった。
「おい、どうし――」
再度尋ねようとしたときに、くいっ、とズボンを軽く引っ張られた。
続いて手招きをする。
どうやらしゃがめという合図らしい。
暁はしゃがんだ私の耳元に顔を寄せた。
「電が、聞いているの」
耳元で暁の震える声が聞こえた。
「――――」
「電が、壁に耳を押し当てているのよ」
言われて気づく。
隣の部屋。暁の見つめる壁の向こう側は暁型の部屋だ。
記憶が正しければ、電のベッドはこちら側の壁に沿って置いてある。
「そのときの顔がこわ……まぁ、全然怖くないんだけど」
「……いつからだ?」
私は小声で尋ねた。
「私が気付いたのは2日前よ」
「2日前……」
何があった?
たしか、その日はいつも通り響と仕事をして……
「私とティータイムをしたわ」
そうだ。思い出した。
あの日は、仕事を午前中に全てを終わらせて、食堂で会った暁と金剛のティーセットを借りて紅茶を飲んだのだ。
「そのあと司令官が眠いって言うから、仕方なく一緒に寝てあげたわ」
そうだった。
あの日は、午後の陽気な気分に当てられて、そのまま暁と寝てしまったんだ。
『……今日は許してあげるよ』
起こしに来た響に呆れながらそう言われたのだ。
「……特に何も無かったよな?」
「たぶん……」
暁もはっきりと思い出せないらしいが、逆に言えば大したことのない一日だったのだろう。
「その前は……確か」
やはり記憶が曖昧だ。暫く思い出そうと唸るが決定的な出来事は何も思い出せなかった。
「……電と一緒に恋愛の映画を見に行って無かったかしら?」
「……そうだな」
確かに見た覚えがある。
私は途中で寝てしまったのだが、確かに行った。
「そのとき何かしたのだろうか……」
考えるも、想像しうるどんな予想も今の結果に結び付くようなものはなかった。
「ふぁぁ……」
目を擦る暁のあくびで我にかえると、時刻は0100になろうとしていた。
「……もう今日は遅い。そろそろ寝るか」
「えっ……」
暁の体がびくりと震える。
「その……司令官。ここで寝てもいいかしら……」
「なんで……あぁ」
暁は電を怖がっていて――本人は否定しているが――電に頼らずに、まだ起きていた私のとこにやって来たのだ。
そんな電を見ていないのでなんとも言えないが、正直私も怖くないとは言いきれないだろう。
「……今日だけだぞ」
そう言って布団へつれていく。
勿論やましい気持ちなんてない。
なんとも言えない粘着性の恐怖が私にまとわりついていた。
「お休み、司令官」
「あぁ。お休み、暁」
自然と抱き合う。
恐怖からきた行動だった。
明日はすぐに電と話さなければならないと考え、眠りについた。
「……ん?」
懐が温かい。いつもと違う感覚で目が覚めた。
「そうか……」
昨日は暁とやむを得ず寝たのだ。
時計に目を向けると0700。そろそろ起きなければならないが、暁はそのままにしておこう。
そう考えゆっくりと起き上がる。
「んん……」
暁の声がした。起こしてしまったらしい。
「司令官……!?えっ!?」
昨日のことを思い出せないのか、後ろから慌てる暁の声がした。
……後ろから?
「お、おはよう、司令官」
振り向くと眠そうな暁。髪が少し乱れている。
「じゃあ……」
ふたたび正面の布団の盛り上がった場所を見る。
おそるおそる布団をのけると
「おはようございます!司令官さん!」
布団に潜っていた電と目があった。
もうちょいいけるけど、きりがいいんでここまでにしようかと思います。
電ちゃんの明日はどっちだ!?
比叡ー!こえー!
>>142おいおい何言ってるんだ
確かに比叡は、あの妄信的な尊敬が向かう提督に素っ気なくされたらすぐに精神がぐらついて、気付かないうちに常識の判別がつかないまま提督に相手してもらおうといろいろ躍起になったりするかもしれないが
別に比叡は怖くない
「司令、失礼します」
提督に呼ばれた比叡がノックをして執務室にの扉を開く。
そこで待っていたのはにこやかに笑う提督と……
「英国で産まれた帰国子女の金剛デース!」
「お姉様!」
夢にまで見た、と言うのは些か大袈裟かもしれないが、そこには待ち望んでいた姉の姿があった。
「今まで会わせられなくてすまなかったな、比叡」
満足そうに笑う提督。
「ようやくうちに金剛が来てくれた」
「あ、ありがとうございます!!」
満面の笑みで頭を下げる比叡。
「提督ゥー比叡に会わせてくれてサンキューネ!」
比叡は幸せを感じていた。
提督が金剛を呼ぼうと必死だったことは知っていたが、比叡にはそれで十分 だった。
だが彼の努力は実を結び、愛しの姉が同じ職場にやって来てくれたのだ。
最上級の幸せだった。
「……と言うわけで、秘書艦を金剛に任せようかと思う」
「……えっ」
提督の判断は実に正しい。
まだレベルの低い姉は、残念ながら立派な戦力になってくれるかと言えば頷けない。
だが、秘書艦及び旗艦の謎の轟沈補正。
最悪の場合にはこれが実に便利なことは、この鎮守府でやってきた比叡にはわかっていた。
「つまり……クビ、ですか?」
「いや、そうではない。ひとまず金剛には事務的な仕事の把握とレベルアップに努めてもらおうと思ってな」
「Oh!そうデスカ。了解デス!」
これもこの鎮守府では誰もが通る道。
比叡にもわかっていた。
「……了解しました。司令、失礼しました」
どこか冷めた表情の比叡は、再び頭を下げて執務室から出ていった。
「司令、失礼し――」
「ヘイ提督ゥ!ティータイムにするヨー!」
「おっ、それはありがたい。ひとまず休憩にするか」
金剛が鎮守府に馴染むのに時間はかからなかった。
あの性格と、比叡の姉と言うのもあってか、たちまち皆の中に溶け込んでいったのだ。
その皆には、提督も含まれる。
「じゃあ、飲みやすいアイスティーにしまショウ!」
執務室の奥えと向かう金剛を見送った提督は、ようやく正面を向いた。
「あの……」
「ん?……あ、比叡。すまない。用事はなんだ?」
用事はありません。ただ、あなたの近くにいたい。
比叡にはそれが言えない。
「提督~出来たヨー」
やがてグラス2つと午〇の紅茶を持ってくる金剛。
「比叡ー!比叡も一緒にティータイムしますカ?」
「……私は結構です」
比叡は笑顔を作って執務室から出た。
「……あっ、比叡お姉様」
比叡を見かけた榛名が近寄っていく。
比叡は悩んでいるように見えた。
「……榛名」
「はい?」
「解体って私にもできるかな……?」
比叡は真剣な顔つきで考えていた。
>>142のお陰で比叡の可愛さに目覚めました!
ありがとうございます
皆さま仕事等頑張ってきて下さい
皆さん仲のよろしいようで
支援ついでに参考資料(?)投下
http://imgcc.naver.jp/kaze/mission/USER/20140703/45/4018345/3/424x600x5be30c3643aec374b8eda28f.jpg
http://imgcc.naver.jp/kaze/mission/USER/20140703/45/4018345/0/457x600x23a26570736edf9e7c8208c9.jpg
>>163ありがとうございます!
いやぁ、はかどりますね!!(書き溜めとはいってない)
一応書き溜めは完結まで出来たんですが、今日でドバァっとしちまってもよろしいでしょうか(せっかち)
焦らされたい方は文句をお願いします
ケチらずにドバアっと全部出そうぜえ…
これが終わっても扶桑姉妹や金剛姉妹編が始まるからヘーキヘーキ
新たに作られる選択肢が鬼ってお前ら鬼畜でち
168(≠>>168)には提督に頼んで58の代わりにオリョクルしてもらうでち
とりあえず2300ぐらいからドバァってしちゃいます
あとのことはあとで考えよう
お前ら難聴発揮しすぎだろ……
では、2300に会いましょう
>>178
難聴というより、精神ヤンデて自分の都合のいい内容しか思考が回っていないのでは………
時間になりました。予定通り淡々と投下していこうと思います。
>>179伝染したか……隔離しなければ(使命感)
以下投下
「……おはよう」
昨日何を言おうかと考えて眠りについたが、いざ顔をあわせると挨拶しかできなかった。
「いつからいたんだ?」
「司令官さんとお姉ちゃんが寝てからです。ずっと司令官さんが心配で守っていました!」
微笑む電。まるで、誉めてほしいとでも言うように主張する。
「そ、そうか……」
気圧されてはいけないと思いながらも頭が回らない。
当然寝起きだからというのではない。
むしろ、目は十分に冴えきっていた。
「司令官……」
後ろから暁が袖を掴んでくる。私はその手を握った。
「…………」
その光景は電にどのように写ったのだろうか。
彼女は私の手をじっと見ていた。
「……い、電」
「なんですか?司令官さん」
声はいつもと何ら変わらない。そして視線は動かずにじっと手を見ていた。
「…………守る……というのは、いったいどういうことだ?」
「はい!」
目を動かさずに元気よく返事をする電。
「司令官さんは気づいていないのかも知れませんが、司令官さんの周りには危険がいっぱい潜んでいるのです」
まだなお視線はずれない。
「そうか……ありがとう」
「はい!」
彼女の逆鱗がわからない。
とりあえず宥める様に説得を心がけなければならない。私はそう思った。
「あつかましいかも知れませんが、電はご褒美がほしいのです」
ご褒美……
私はいまだに電の意図が掴めない。
「……例えばどんな物が欲し――」
「時間」
速答する彼女はようやく私を見た。
「……休暇なら十二分に与えていると思うのだが。足りないだろうか」
いつもなら軽く叱るように言っていただろう。
だが、彼女が落ち着くまでは低姿勢でいることを私は決めていた。
「司令官さんとの、二人きりの時間です」
「それなら……一昨日一緒にタルトを食べただろ?それに、今度一緒に行く約束だって――」
「違う!」
一喝するような、怒鳴り声とも悲鳴ともとれるその大声は、本当に電から出たのだろうか。
いつもの電を知っている私はにわかには信じられなかった。
「あのときは、司令官さんは私がいいと言う前に雷お姉ちゃんを呼びました。私が頑張って誘った司令官さんをお姉ちゃんは横取りしたのです。お姉ちゃんが居なければ、電はもっと司令官さんと喋れていた。それだけで幸せだった。なのにお姉ちゃんは司令官さんと喋れない私を見て笑った……そう、笑ったのです。電なんかに渡すものか。そう言っているのも私には聞こえました」
久しぶり……もしかしたら初めてかもしれない。
これほど電が喋ったのを私は聞いたことがなかった。
「……電、そんなことないぞ」
「響お姉ちゃんも同じなのです。雷お姉ちゃんがいない時をみて取り付けた約束。食堂での司令官さんとのお話。それを響お姉ちゃんは邪魔しにきたのです。あのときのお姉ちゃんも雷お姉ちゃんと同じく、電を見て笑いました。司令官さんは電よりも私と話していたいんだ。だから退いてくれ。そう言ってました。会話が途切れた電を笑っていました」
唖然とする。
勿論雷や響はそんなこと言っていなかった。
嘲るように笑っていなかったはずだ。
頭イってるなこの電
さっさと解体しなきゃ
>>183その言葉に二言は無いな?
「そんな人たちに司令官さんは任せられないのです。だから電は頑張りました。司令官さんの部屋のチェックは勿論、司令官さんの知り合いの方も調べました。万が一を考えて、司令官さんが安心して眠るまで艤装を着けていつでも司令官さんを守れるように待機していました。なのに」
電の独白が止まる。さっきまで怖いまでにあっていた焦点が、今は少し乱れている。
「電……まずは落ち着いて」
「誉めてくれないんですか?」
私の目をじっと見る電。彼女の目には光が無かった。
ただ、どこまでも引きずり困れそうな黒い瞳。
思わず私は目をそらした。
暁が今にも泣きそうなのが手の震えでわかる。
「どうして雷お姉ちゃんと楽しく喋るんですか?どうして響お姉ちゃんを秘書官にしてあそこまで信頼するのですか?どうして私とお喋りしてくれないんですか?どうして私は抱き抱えてくれないんですか?どうして私と一緒に寝てくれないんですか?どうして」
徐々に開かれる電の目に吸い込まれるような感覚に陥る。自然と視線は彼女の目に動いた。
「どうして私は誉めてくれないんですか?」
電の息は全く乱れていなかった。
どれ程の時間が流れたのだろうか。
5分だろうか。又は30分だろうか。
極論からすれば枕元の時計を見ればすぐわかる。
だが、私にはできなかった。電の顔から目を離すことができなくなっていた。
「司令官さん」
「……電」
「電の何が悪いのですか?」
やめてくれ。
「電のどこが嫌いなのですか?」
そんな目で見ないでくれ。
「どうして電だけ信じてくれない――」
「電っ!!」
振り払うように俺は叫んだ。
頭の中の電がフラッシュバックする。
「………………」
「司令官……」
電の無機質な声が止まる。暁が心配そうに手を握る。
「電。最初に言っておくが、私は君をないがしろにしていることはない。少なくとも、していると思ったことは全くない」
「――――――」
「だが、もし電がそう思うようなことをしてしまったと言うのなら、それは私が悪い。私の責任だ」
「……司令官さん?」
「申し訳なさそうに身を縮めているようなかわいらしい君を見ているだけで私は十分に支えられている。それこそ、そういった面では響よりも電といる方が私は落ち着くんだ。だから頼む、元通りの君に戻ってくれ」
私は必死に頭を下げた。立ち上がっていないので自然と土下座の形になる。
「……私は、司令官さんの役に立っていますか?」
「ああ」
「司令官さんは電のことは嫌いではありませんか?」
「勿論だ」
「司令官さんは、私と二人っきりの時間を作ってくれますか?」
「……今度のタルトは響には悪いがお土産にしよう」
「秘書艦でなくても電は構いません。電を司令官さんのために働かせてくれますか?」
「こちらから願いたい」
「電が寂しいときは一緒に寝てくれますか?」
「添い寝なら」
「…………司令官さんは、電が今お願いしたことをきいてくれますか?」
「わかった。それで電の心が晴れるなら何でもしよう」
電の目には光が灯る。
彼女はいつものようにおどおどして、
「司令官さん、実は――」
「失礼する!」
「こちら大本営最終防衛隊! 暁型4番艦電!今すぐ抵抗せずにこちらに来い !」
私の自室はたちまち軍人と艦娘によって埋め尽くされた。
私は呆気に取られていた。
次々に入ってきた艦娘は、手に持った装備の標準を電に合わせた。
「……!ま、待ってくだ――」
「司令官!今助けるよ!」
人混みの奥で声がする。
間違えようのない。あれは響だ。
「少将殿、無理に庇わなくとも大丈夫です」
「いや!そんなつもりは――」
「こちらはすでに情報をつかんでおります。脅迫されていたこともわかっています」
落ち着いて話す男性。
その声は私の頭に届かなかった。
「……今なんと」
「電!変なことはよしなさい!!」
私の声を遮ったのは、雷だ。
「雷!誤解だ!」
「何言ってるの!脅されていたのが聞こえていたわよ!」
「その声を私が受話器で拾っていたんだ」
艦娘の間から響と雷が出てきた。
「違う!これは違うんだ!」
必死の弁明もあの指揮官には届いていない。
壊れた艦娘は連行され、大本営で解体される。それを知ってかはわからないが、電は立ち上がった。
周りが電の行動を監視する。
この異様な場の空気を正さねばならない。
そうわかっているのだが、解決策が見つからなかった。
そうしている間も電はただ呆然と立ち尽くし、やがて
「…………あは」
やがて彼女は笑いだした。
声は小さく、事切れそうな弱い笑い声。
だが、彼女はしばらく笑っていた。
「…………やっぱり」
笑いがおさまった彼女はそう呟いた。
静まる場。誰もがその空気にあてられていた。
「…………!そうだ暁!!」
「……どうしたの?」
何てことはない。
私……いや、電には証人がいたではないか。
「頼む暁!!電が大丈夫だと言ってくれ!」
上司の私が庇っていると思われるのはわかる。
だが暁からすれば、姉妹とは言えどもいわば同僚。
脅されていたとしても嘘をつく必要はない。信憑性は私よりもあるだろう。
だが
「…………それはできないわ」
「…………えっ?」
電がちらりと暁を見た。
先程とは違う落ち着いた目だった。
「私、嘘はつけないもん」
申し訳なさそうに暁は言った。
「……抵抗はしないのです」
ぽい、と電が艤装を放り投げる。
「……何でだ?暁」
「ですから、私は嘘はつきません」
一瞬で怒りを通り越して絶句する。
「……何でだ」
ようやく言葉が出た頃には、電は指揮官に手を拘束されていた。
「電ァ!!」
迷わず私は電のもとへ走り出そうとした。だが
「落ち着いて司令官!電はもうダメなの!壊れちゃったのよ!」
いつのまにか艤装を着けた暁が私を行かせないと言わんばかりに押さえる。
びくともしない体。私は初めて彼女達が人間離れしたものであると痛感した。
「確かにそうだった!だが!」
必死の抵抗も空しく暁は離れない。
「お前も見たろ!電の目を!」
「少将殿」
「あれは正常だ!!」
「司令官さん!……電は壊れているのです」
「そんなバカな話があるか!」
自ら壊れていると言い出す。
それは壊れていない証拠だ。
「司令官さん……電は、あの言葉が聞けて満足しました」
「電!」
「……また、会いましょう」
「……よろしいでしょうか。少将殿」
指揮官の無情な合図と共に駆り出される電。
私の叫びは届かなかった。
「なんなんだお前ら……」
電の姿が見えなくなり、叫び疲れ静かになった私はようやく暁から解放された。
立ち上がれないほどの酷い疲れが押し寄せていた。
「司令官。悲しいことだけど、電は壊れたの」
「私たちにもお手上げだったんだ」
「お前ら……わかっているのか……?」
「わかっているわ。壊れた艦娘は解体される、でしょ?」
「違う……」
「現実を受け止めて、司令官。電は残念だったけど大丈夫よ。私たちがいるじゃない!」
電の言っていることが今になってわかった。
「安心させてあげようか……?」
抱きついてくる三人。
その目には涙など微塵もない。
「……お前ら。自分達がどんな顔してるかわかっているのか?」
彼女たちは笑っていた。
先程の出来事が無かったかのように。
連れていかれた妹など端からいなかったように。
考えればおかしいことなどいくらでもあった。
確かに艦娘の目はいいのかもしれない。
だが、町中のちらりと見た喫茶店の席のうち、果たして私を見つけられるのだろうか。
飲食店には基本的にブラックミラーが使われている。
あの眩しい日差しが降り注ぐ次期。
凝視せずに特定の人物を「偶然に」見つけられるのだろうか。
そのあとの正面の妹を気遣わずに喋り、目の前でタルトを食べさせあう行為。
あれはあからさまな挑発ではないのか。
「どうしたの?司令官、目が怖いわよ?」
右側の雷が私の足を強く抱き締める。
逃すまいと言いたげに。
「これは要らないな」
私の左足の靴を脱がせる響。彼女もそうだ。
聞き逃した声の主を探してすぐに振り返ったにもかかわらず見えなくなるほどの人混み。それは主に私ほどの大きさの人々で構成されている。
響の身長からすれば何も見えないのが当たり前。
なのに、彼女は私をいとも容易く見つけてみせた。
電のように後ろにいたわけでもなく、まるでどこにいるのかわかっているかのように。
「ここに……あっ、あった」
靴の中を弄っていた響が小さな回路の塊を取り出した。
「……電は間違えていなかったのか」
「とんでもない。間違いだらけさ」
「あの子はね?私たちがいるのに司令官が危ないって言って聞かなくって」
「それなら私たちも手伝うって言うのに断ったのよ。全く失礼よね?」
「…………あぁ」
電には言えなかったんだ。
自分達の姉がおかしいなんて言えるはずが無かった。
「でも、私たちは私たちで勝手に警護していたわ。3日前は私が監視する日。何処にも行かないように司令官と一緒に寝たわ」
……あぁ。
「一昨日は私。最近おかしい電と出ていくんだもん。少し迷ったけど、何とか追い付いたわ」
電は言えなかった。
言えば下手すれば姉たちは解体されるからだ。
「まさか電が司令官に迷惑をかけていたなんて……すまない」
「……はは」
力なく漏れる笑い。
何もかもが手遅れだった。
「大丈夫だ司令官」
響が耳元でささやく。
「司令官は疲れているんだ。昨日も6時間しか寝てないからだ」
後ろから抱きつく暁の力が強くなる。
「……誰か!来てくれ!」
「無駄だよ司令官。今ほとんどの人は事情聴取を受けているだろう。まぁ……」
「提督!?何事デスカ!?」
躊躇いもなく響が金剛を撃った。
恐らく事情聴取の時に艤装を外したのだろう。
ただの少女となっていた金剛は声も出さずに崩れ落ちた。
「こうなるけどね」
頭がすでに疲れきっていた私は崩れ落ちる金剛を見てもなんとも思えなくなっていた。
「さぁ、司令官。お茶を飲んでゆっくり休んでね?」
雷の出したペットボトル。
口へ運ばれるが拒む気力なんて無かった。
「……んぐっ」
いつぞやの暁とのティータイムの時のお茶と同じ味がした。
「ありがとうございました」
そう言ってペコリと頭を下げる。電は大本営からようやく解放されました。
精神鑑定は少し危険ということで、練度も兼ねて導き出された判決は、外の世界の情報を遮断されての休養でした。
1ヶ月の休養を経て、今日外に出して貰えました。
「司令官さんまだかな……」
役人さんに、司令官さんが迎えに来てくれると連絡が入ったとのことで、電は門の前で待っています。
「……電ちゃん」
「……はい?」
どちら様でしょうか……見たことはあるんですが……電の頭も1ヶ月の間に随分となまっているようです。
「すみません……思い出せなくて」
電はペコリと頭を下げました。
「いやぁ、気にしなくていいよ。初めて会ったのは1ヶ月前で、それ以降あってないんだ。当然だよ」
1ヶ月前……
「あっ!司令官さんのお友達なのです!」
「覚えていてくれたか。ちなみに私は元帥だぞ」
「!はわわ!失礼しましたのです!」
にこりと笑う元帥さん。
「ところで……司令官さんはどちらにいますか?」
「実は、君に言わなければならないことがある」
元帥さんが何を言おうとしているのか、電には何となくわかりました。
「君の言う司令官さんは、今行方をくらましている」
お姉ちゃんたちだ。電はすぐに確信しました。
「一応君の身元保証人は私になっている」
「……他の皆さんは」
元帥さんは首を横に振りました。
「そこなんだ……実は」
元帥さんは私の思った通りのことを話し出しました。
皆即死状態だったこと。
司令官さんとお姉ちゃんたち4人はいまだ行方不明だと言うこと。
電にはわかっていました。
あそこでお姉ちゃんたちから目を離せばこうなることくらい予想て来ていたはずです。
なのに、電は自白しました。
司令官さんには電と同じように悩んでほしくなかったからです。
結果、電は仲間外れのおいてけぼり。
全く……
「お姉ちゃん達はズルいのです」
いやぁ、ようやく終わりました
終わりは納得してもらえるか心配でしたが……こういうのもアリだよね!!
さて、お話があった扶桑姉妹やら金剛姉妹やらのハートフル(ボッコ)な話は残念ながら道筋が終わりまで見えていません
あれほど小さいのを何個か投下しておいてなんですが、『ヤンデレは過程を楽しむもの』だと考えています
その過程が思い付かないわけで……
すみません
というわけで>>下3の子をやませることを考えていきたいと思います
人いるかな……
俺(まぁ、言うて扶桑姉妹か金剛姉妹やろ)
俺(ファッ!?)←今ここ
まぁ、安価なんでがんばって書きますが
ここはもう完結したんで、話の目処が立てばスレたてますんで、そのときは気が向けば鳥を検索してもらえれば……
ってことでいいですか?
他に良い案があるならそれで
乙~
いやーこちらも見事に転結でファッ!?とさせられましたわ
千歳…病む…アル中かな?
>>217それだ!(錯乱)
明日中にはHTML化依頼出してきます
それまでにナイスアイデアある方は提案お願いします
それでは皆さんお休みなさい
「 工廠で不要な艦を2隻解体してください」
やめろ
「 工廠で不要な艦を2隻解体してください 」
もう聞きあきた。うんざりだ。
「 工廠で不要な艦を2隻―― 」
「止めてくれ!」
毎日毎日送られてくる同じ任務。
この鎮守府にはそれに偏りができていた。
すなわち、『工廠で不要な艦を2隻解体してください 』との任務が毎日4件。
大淀が言うには、精鋭化を図ろうというテストケースだとのこと。
にわかには信じがたい。
「……提督が苦しんでいるのはわかっています」
ですが。
そう言う彼女の言葉には力がこもっている。
「これは任務です。仕方のない犠牲なんです」
「……わかっているんだが」
「なら早急に済ませましょう。なんなら私が――」
「いや!それはダメだ!」
以前躍起になって大淀に任せたところ、躊躇なく任務を遂行した。
そのときの犠牲は、大和、加賀、島風、金剛、北上、赤城、榛名、叢雲……
皆練度が高く、特に仲の良かった者達ばかりだ。
「……大淀。本当に任務なんだよな……?」
「はい。ですから提督が気を病む必要はありません」
気が付けば、鎮守府のトップは大淀になっていた。
「これをしなければ提督は解雇。ここにいる皆は即解体です」
「さぁ、提督。今日もお願いします」
笑う彼女の眼鏡が光った。
【練度と愛情は比例する】
とりあえず名前が出た子の小さいのを書いていこうかと思ったが……
誰だよ陽炎型とか言った奴
ワイにもリアルってもんがあるんや
すまんな
次の話ができるまでちょくちょく書きます
とりあえず168、58、……陽炎型
誰だよ陽炎型とか言った奴(涙声)
む、睦月型…(ボソッ
>>230止めろ(迫真)
とりあえず168とか書いてからな
もしかしたらその頃には千歳書けてるかもしれんし
「ねぇ司令官」
携帯を弄りながら話しかけてくる168。
「……どうした?休憩しなくてもいいのか?」
書類に目を通す私。
お手洗いに行った秘書艦はまだ戻ってこない。正直168にも手伝って欲しかった。
「面白い動画見つけたんだけどさ、見てみてよ」
言い終わるタイミングでメールが届いた。
だがURLは無く、添付されているものだった。
「ダウンロードでもしたのか?」
「いいから見てよ」
彼女は顔を上げない。
しぶしぶ再生する。
そこに映ったのは……私だ。
「なっ……」
昨日の私だ。
カメラの位置は恐らく私の後ろの天井だろう。
「168、これは……」
「最後まで見てよ」
まだ彼女は顔は上げない。
再生された動画は、陽の傾きからして夕方か。
昨日の夕方……!
「おい!これは――」
「最後まで見てよ」
見なくてもわかる。
私の記憶通り、瑞鶴が入ってくる。
そこで私は彼女を抱き締める。
そこから――
「168は、いつも司令官を見ていたのよ」
「そんな私に見せつけてくるなんて……司令官は悪い人ね」
「……瑞鶴とはケッコンしているのは知っているだろ?」
「……翔鶴とも?」
別のメールが送られてくる。
「あいつは無理やり――」
「これ」
ようやく顔を上げた彼女が携帯の画面を突きつける。
そこに出されていた数字の羅列。
「憲兵さんに捕まるのは嫌でしょ?」
『私が変なことを言ったら、提督さんはどうなっちゃいますか?』
翔鶴の言葉が頭をよぎる。
これはまるで、翔鶴とのやり取りの再現だ。
「……お願い聞いてくれたら、助けてあげるわ」
「……お前にはできるのか?」
「できるわ。その代わり司令官。私の言いたいこと、わかる?」
そう言って彼女は部屋の鍵をかけた。
【ヒント:MVP】
待ってくれ。
58って難しくないか?
58と陽炎型投下したら店じまいの方向で行こうと思います。
なお、何にも思い付かない模様
オリョクルに毎回行かされる58
次第にこれは愛ゆえかと考えていく・・・
しかし提督はそんなことは考えていなかった
次第に回りの艦娘達が邪魔になり・・・
錬度がマックスになった58のとる行動は!?
次回、消えていく鎮守府の仲間達 犯人は58 お楽しみに!
という電波を受信した
>>237もう自分で書いたらいいじゃねぇか……
「今日もお仕事行ってきます!!」
張り切って執務室を飛び出す58。
彼女の仕事は決して楽とは言えない。
敵の潜む海域に足を踏み入れて、利用可能な資源を採取する。手伝ってくれる仲間はいない。
だが、彼女にはなんら不満はない。
「提督さんのために58、たくさん資源を集めてくるね!」
軽い足取りはハイキングのように。
今日も明るく仕事場に向かう。
「168、行ってくるねー!」
仲間にも別れを告げて海へ向かう。
「ふんふふ~ん♪」
口ずさむ曲は陽気なものばかり。
彼女は幸せだった。
『58は仕事しなくてもいいの……?』
『ああ、58はうちのピンチランナーだ。鎮守府が安全な今、無理に仕事をする必要はない。だけど、もしも皆が怪我をしたら。その時は、58の運んでくれる資源で治してあげような』
『ん……わかったでち!』
思い出すのは昔の会話。
『提督さん、ただいま……?』
『……58……か。ここは……終わりだっ……』
『提督さん!大丈夫ですか?』
『逃げろ……きっとまだどこかに深海棲艦が………』
そのまま崩れ落ちる提督。
『提督さん!……そうでちね。怪我しちゃったんでちね。』
物音のしない鎮守府。
まるで、生物がいないような静寂に包まれたような。そんな静けさ。
『提督さんは生きているんでち。怪我が治れば元通りでち』
彼女は目に入る全ての光景を否定した。
ここは、とても静かな鎮守府。
その昔は動いていたらしいが、それももはや数十年前。
「提督さんのために頑張るでち!」
今日も彼女は海へ出る。
供物の山は一向に減らない。
【供え物】
恨みなんてないよ!
平和って素晴らしいですね(達観)
さて、あとは陽炎型……
比叡のヤンデレが見たい
もう陽炎型は安価で選抜してもいいですか?(震え声)
>>246昨日にやったじゃない
もう安価でいいよね!?
今は誰もいないっぽいんで、2330に安価とろうと思います。
>>下3
>>下7
7は遠いな
ksk
いけていた……だと?
雪風と浦風了解
これ終わったらここは店じまいで
「良いなぁ……」
雪風の漏らした言葉で食堂が静まり返った。
「しれぇの横でずっとお仕事なんて……不知火ちゃんはズルいなぁ……」
雪風以外のその場にいた者は不知火を見た。
「……司令官に頼んでからですが、雪風に任せてみても構いませんか?」
「えっ?良いんですか?」
「はい。妹の頼みです」
ありがとう、と笑う彼女を見て周りは溜め息をつく。不知火もだ。
「じゃあ早速頼んで来ましょう」
不知火は席を立つ。
皿にはまだスープが残っていた。
「お願いしますね!」
微笑む雪風。ひとまず難は免れた。
彼女は幸運艦。
望んだことはなんでも叶う。
多少度が過ぎた願いも、叶ってしまう。
その事に不満を持つ者は少なくはない。
その中の一人に加賀がいた。
「どうして皆さんは彼女のワガママに従うんですか?」
誰に聞いても「いずれわかる」の一点張り。
加賀は徐々に不満を募らせていった。
「提督、秘書艦は私に任せてもらえないでしょうか」
雪風の仕事の出来に痺れを切らした加賀は、とうとう直談判にでた。
雪風は出撃していた。
「そうだな……頼んでもいいか?」
雪風が帰ってきた。
「悪いけど、貴方のいない間に私が秘書艦になったわ」
「……そうですか」
加賀は拍子抜けだった。
あの大和型までもが何故この駆逐艦に怯えるのか。
念のため艤装を着けたが杞憂に終わった。
「まぁ、いいです。それよりしれぇ!雪風と遊びましょ!」
「ダメよ。提督はお仕事の真っ最中だわ。出ていってちょうだい」
「そうですか……」
雪風は一人食堂へ向かった。
「加賀さんって邪魔だなぁ………」
「雪風、秘書艦を頼んでもいいか?」
「はい!」
元気に返事する雪風は幼く見える。
加賀の秘書艦の仕事は2日で解かれた。
「私、やっぱりしれぇのお手伝いやりたいなぁって思ってたんですよ!」
その言葉に提督は絶句した。
「私、やっぱり幸運艦なんですね!」
「……そうだな」
昨日の出撃は、予想外の深海棲艦の数だった。
そして、はたまた偶然か。敵はある艦を集中的に攻撃した。
昨日の出撃。こちらの被害は、小破中破大破は0。轟沈1。
「幸運の女神のキスを感じちゃいます!」
全ては幸運の女神のさじ加減で決まる。
【えこひいき】
ピクシブで陽炎型を調べましたが……目が悪いのかな………
私の好きな子だけ見当たらないんですが
浦風はできれば今日中に
何いってんだ
他にもいない奴いるじゃねえか
頭を冷やしてきます
広島弁難し過ぎるだろ……
まだ把握できてないのでしばしお待ちを
「……提督、どうしたんじゃ?」
「――んぅ……浦風か?」
浦風に揺さぶられて提督は居眠りから目が覚めた。
「大丈夫かいの?」
「……ああ、大丈夫だ。最近寝不足でな。……よし、頑張るか」
自ら頬を叩き頭を起こす。
もうすぐこの作戦が一段落する。それまで提督が倒れるわけにはいかなかった。
「提督さん。ちょっとこっちきんさい
」
見ると、ソファーに座って横を叩いている。
呼ばれるままに近づくと、たちまち抱きつかれてしまった。
「もう少し寝りょうの」
「……いや、書類がな」
「えーがのえーがの」
「しかし……」
「あののー提督。いちーき気負い過ぎるのはいけんよ?くたぶれるじゃろ?」
彼女の甘い声とその手にみるみる心が惹き付けられていく。
「……なら、少しだけ仮眠をとらせてもらおう」
「そうしんさい」
笑う浦風を見ながら提督は眠りについた。
「……なぜだ」
その日の夜。提督は全然眠れなかった。
あの仮眠の後は、何事もなく……むしろいつもより集中して仕事ができた。
その時に寝過ぎたせいか、全く眠気が襲ってこない。
……と、そのとき。
「提督さん。まだ起きとるか?」
「……浦風?」
入ることを許可すると、そっと扉を開けて入ってきた。
「一緒に寝てくれんかの?」
「……えっ?」
当然のことながら彼女は普通の意味で言ったのだろう。
「なんか寝つきが悪うての」
「……それなら、陽炎型の皆が居るだろう?」
「提督さんが良いんじゃ」
微笑む浦風に心を奪われる。
「……仕方ないな」
もう少し自身を客観的に見れていたなら、普段の提督なら許すはずもないことは明らかだ。
「では、失礼する」
一人入ってくるだけでも随分と温度が変わる。
「温かいのぉ……」
「そうだな………」
温かくなったからか、急に眠気がやってくる。
私はそのまますぐに眠りについた。
「もっと、うちに頼ってもええんよ………?」
深い眠りの中、提督はそんな言葉を聞いた気がした。
深夜の鎮守府。ここに夜戦バカが一人で廊下を歩いていた。
「……イ………ナイ………」
「ん?誰だ?」
提督の自室から、提督ではない声がする。
興味津々で扉をこっそりあける。
そこには浦風が提督の耳元に口を近づけ
「提督さんはうち無しでは眠れない。提督さんはうち無しでは眠れない。提督さんはうち無しでは眠れない。提督さんはうち無しでは眠れない。提督さんはうち無しでは眠れない。提督さんはうち無しでは眠れない。提督さんはうち無しでは眠れない。提督さんはうち無しでは眠れない。提督さんはうち無しでは――――」
にっこりと笑いながら、ねっとりと絡み付くような声で言い続けている。
まるで洗脳するかのように、ひたすらささやく浦風。
提督が浦風を頼らざるを得ないのも時間の問題だろう。
【ダメ提督製造機】
なぜこうもホラーテイストなのか……
いいぞもっとやれっ!
浦風の後日譚が欲しいです!
広島弁に気を取られ過ぎてクオリティが投げやり感半端無いですが、これでどうかご勘弁を。
とりあえずこれで店じまいということで、明日にはHTML化出してきます。
別に君たちが書いてもええんやで……?
気が向いたら酉検索でもしてみてください
それではまた会いましょう
書き溜め無いくせに立てる俺は間違いなくバカ
千歳「二人の空間」
千歳「二人の空間」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422794727/)
とりあえず立てはしました。
おおよその構成は頭にありますが、いつ終わるやろか……
このSSまとめへのコメント
ひっでぇ民度