提督「龍田がニコニコしながら天龍の写真見せてくるのよ」

青葉「ニコニコしてるのはいつものことですけどね」

提督「変身しても顔はメタモンのままだっていうのに」

青葉「つまり正体は司令官の顔をしたメタモン？　ちょっと気味わるいです」

提督「解体するわよ？」

青葉「それはご勘弁ください！」

提督「なら即刻取り消してきなさい」

青葉「アイマム」

提督「大体なんでメタモンなのよ？」

青葉「司令官色んな艦娘に間違われるじゃないですか」

提督「あ～、何故か部屋に二人きりなのに、別の艦娘だと勘違いされることあるけど」

青葉「だから見てないときにその艦娘にへんしんして、からかってるんじゃないかって」

提督「してないわよ」

青葉「じゃあなんで間違われるんですか？」

提督「こっちが聞きたいわ。電探ぶっ壊れてるんじゃないの？」

青葉「整備は欠かしてないはずなんですけどね」

提督「あの識別能力でよく今まで同士撃ちせずに来られたわ」

青葉「司令官の指揮のたまものですね！」

提督「煽てたって許さないわよ。今日はご飯抜き」

青葉「そんなぁ～」

提督「そう言えば古鷹にあなたと間違われたこともあったわね」

青葉「古鷹さんにですか？」

提督「いい加減にしろって言ってたけど、あんた古鷹に何したのよ？」

青葉「そりゃまあサイズを測るために色々と」

提督「あのねぇ……」

青葉「体格の確認は重要なことなんですよ、艤装の調整とか必要ですし」

提督「目的はそれじゃないでしょう？」

青葉「目的の一つですよ」

提督「他になんの目的があるのやら」

青葉「あっはっはっは」

提督「笑って誤魔化そうとするな」

提督「あんたの趣味をとやかく言うつもりはないけど、風紀を乱すような真似はしないでよね」

青葉「司令官は乱れてた方がいいんじゃないですか～？」

提督「はぁ？」

青葉「またまた～わざわざこんな女と妖精しかいないようなところに来たってことは、そうなんでしょう？」

提督「バカ言わないでよ、私そっちの気はないわよ」

青葉「ふむふむ、司令官はパイパンっと」

提督「……」ﾊﾞｷｯ

青葉「あだっ！」

提督「そうじゃなくて、私はノーマルだって言ってんの」

青葉「メタモンですからね」

提督「……」

青葉「あっ、ごめんなさい、叩かないで」

提督「私は女に興味はないわよ」

青葉「ええ～！」

提督「なんで驚くのよ？　普通のことでしょうに」

青葉「じゃあなんでわざわざ司令官になんてなったんですか！？」

提督「わざわざって、軍人が自分の勤め先勝手に決められるわけないでしょうが」

青葉「絶対レズハー願望持ちのレズビッチだと思ってたのに～！」

提督「明日もご飯抜きよ」

青葉「ひえええ～！」

青葉「青葉の気持ちはどうしてくれるんですか！」

提督「あなたの気持ち？」

青葉「好きですケッコンしてください！」

提督「無理」

青葉「なんでですか！」

提督「この流れでその台詞が出てくる理由を逆に聞きたい」

青葉「青葉一世一代の告白だったのに！」

提督「軽い人生ね」

青葉「9000トンですよ！」

提督「排水量は聞いてない」

青葉「どうしたら受け入れてもらえます？」

提督「無理」

青葉「取りつく島もない」

提督「はぁ、少なくとも私は仕事もしない部下は嫌いよ」

青葉「仕事ですか」

提督「あなた今秘書艦でしょ」

青葉「そう言えばそうでした」

提督「口より手を動かしなさい」

青葉「口でされるよりの手の方がいいと」

提督「……」ｹﾞｼｯ

青葉「おうっ！」

数日後

提督「青葉」

青葉「はい、お呼びですかマイハニー」

提督「誰がいつあんたのハニーになった」

青葉「青葉が勝手にそう呼んでるだけなのでお気になさらず」

提督「気になるわよ」

青葉「気にせずご用件をどうぞ」

提督「……メタモン疑惑は晴れたわ」

青葉「青葉が尽力しましたからね。惚れました？」

提督「自分で蒔いた種でしょ」

青葉「採れ高はさほどでもありませんでしたが」

提督「そっちの方が私は助かるわ」

青葉「惚れ――」

提督「てない」

提督「筑摩がね、最後尾に編成したがるのよ」

青葉「誰をです？」

提督「利根を」

青葉「はぁ」

提督「それでチラチラこっちを窺ってくるの」

青葉「ふんふん」

提督「しばらくして聞いてくるのよ、イリュージョンはまだですかって」

青葉「ほう～」

提督「誰がゾロアークよ！？」ｸﾞﾘｸﾞﾘ

青葉「いだ、いだだだ！」

青葉「これには深いわけがあるんです」

提督「わけってなによ？」

青葉「メタモンはノーマル、ゾロアークはあくです」

提督「そうね」

青葉「ノーマルからあく、つまりはそっち系に染まってほしいという青葉の願望です」

提督「浅ましいわ！」

青葉「染まりませんか？」

提督「染まらないわよ！」

提督「そもそも、なんでみんなポケモンが実在してると思ってんの？」

青葉「艦娘がいるんですしポケモンがいたっていいじゃないですか」

提督「いたら私は今頃ポケモントレーナーよ」

青葉「深海棲艦余裕で殲滅できるでしょうからね」

提督「ほんとにいればよかったのに」

青葉「いないおかげで私はこうして司令官と一緒にいられるので感謝していますけど」

提督「いないおかげってのも変な言いね」

提督「とにかく、私はポケモンじゃないから。取り消して来なさい」

青葉「は～い」

提督「ポケモンじゃないって言ったからね？　どうせミュウだって記事も用意してたんでしょうけど、破棄しなさいよ」

青葉「バレましたか」

提督「なんでそういう仕事だけは早いのかしら」

青葉「楽しいからですよ」

提督「私はちっとも楽しくないわ」

青葉「心配しなくてもちゃんと秘書艦の仕事もしますよ」

提督「ほんとかしらね？」

青葉「ほんとうですよ。手を動かします。激しく前後に、フィーヒヒヒ！」

提督「イヤーッ！」

青葉「ンアーッ！」

しばらく後

提督「ようやく人間だと認識されたわ」

青葉「長かったですね」

提督「あんたがあの後も色々書き立ててくれたおかげで、私のイメージめちゃくちゃよ」

青葉「ミステリアスな人、青葉好きですよ」

提督「ミステリーどころかファンタジーの住人になってたわよ」

青葉「青葉もファンタジーの住人ですから一緒ですね！」

提督「あんた達はオカルトよ」

青葉「せめてメルヘンって言ってください」

提督「人間だって認識されたのはまあいい」

青葉「なにか問題でも？」

提督「胸に手を当てて考えてみなさい」

青葉「では失礼して」

提督「……」ﾊﾞｷｯ

青葉「あうちっ！」

提督「ビアン扱いされたんだけど」

青葉「艦隊名ディバイン・クルセイダーズに変更しましょうか？」

提督「誰がゾルダークよ！」ｸﾞﾘｸﾞﾘ

青葉「あだ、あだだだ！」

提督「今さら直球で来るから驚いたわ」

青葉「搦め手が効かないと判断したので直球勝負です」

提督「おかげで金剛とかから迫られて大変だったのよ」

青葉「あいや、それは予想外でした。青葉以外に司令官に懸想している方がいらっしゃるとは」

提督「私もびっくりよ」

青葉「青葉以外の人に手をつけられても困るので取り消してきますね」

提督「あんたには許してるみたいな言い方ね」

青葉「許されてないんですか？」

提督「ご飯抜きよ」

青葉「そんなぁ！」

提督「にしても、なんだってみんなあんたの記事を信じるのよ？」

青葉「そりゃあ青葉の記事は徹底した取材の元に成り立つ正確なものですからね」

提督「私の正体に関しては外宇宙まで飛ばしてるのに」

青葉「ナイアルラトホテップ説を唱えたのはいつでしたっけ」

提督「それなのになんでよ」

青葉「それは青葉の人徳のたまものですね」

提督「私からの評価はボロボロだけど」

青葉「それでもなんだかんだ言って、青葉のこと側においてくれてるじゃないですか」

提督「側で見てないとなにするかわかったもんじゃないからよ」

青葉「そういうところが好きなんです」

提督「はいはい」

青葉「……愛していますよ司令官」

提督「……っ」

青葉「今まんざらでもないって顔しましたね？」

提督「してない」

青葉「しましたよ～こうやってちょ～っと真面目にすると、ころっといっちゃうようなチョロさも愛おしいんですよ」

提督「明日もご飯抜き」

青葉「そんな理不尽な！」

更にしばらく後

提督「青葉」

青葉「はいはいなんでしょう」

提督「ここに置いてあった書類知らない？」

青葉「ああ、それならちょうど今書き終わったところです」

提督「なに勝手に書いてんのよ！」

青葉「だって青葉のために送られてきた書類じゃないですか」

提督「そりゃそうだけど、誰もあんたに使うなんて言ってないでしょ！」

青葉「青葉以外にいないじゃないですか！」

提督「取っておいて後から使うこともできるでしょ！」

青葉「やです～なんのために青葉がここまでがんばったと思ってるんですか～！」

提督「はぁ、誰よこんなトチ狂った名前付けたやつ」

青葉「必要な行為を客観的に見れば適切な名称だと青葉は思います」

提督「言っとくけどあんたを強くするためにするだけであって、他意はないから」

青葉「わかっていますとも～」

提督「なにが悲しくて女同士で結婚ごっこなんかやんなきゃならないのか」

青葉「ごっこじゃなくてカッコカリですよ」

提督「一緒じゃないの」

青葉「違いますよ。青葉にとっては違うんです」

提督「……」

青葉「さあ、はやく指輪を」

提督「はい」ﾎﾟｲ

青葉「そんな適当な！？」

提督「さっさと付けて、それで終わりでしょ」

青葉「だめです！　司令官に付けてもらわなければ意味がないんです！」

提督「ええっ？」

青葉「司令官が艦娘の薬指に指輪を通して、誓いの言葉を言ったのちに口づけを交わすことによって、はじめてケッコンカッコカリがなされるんですよ！」

提督「そんなことこの説明書に書いてないんだけど」

青葉「なんで説明書なんて入れてるんですか、大本営のバカ！」

青葉「説明書なんて気にしちゃだめです。大本営発表ですよ」

提督「私軍人だからどんな理不尽な命令にも従わなきゃならないの」

青葉「大本営発表と正義のジャーナリストである青葉のどっちを信じるんです！？」

提督「前者」

青葉「即答ですか……」

提督「とにかくそれ付けたら出撃よ。不本意ながらケッコンした艦娘とこなさなきゃいけない任務があるみたい」

青葉「とことん色気のない話です。なにがケッコンカッコカリですか、期待させるような名前付けないでくださいよほんとに」

提督「不貞腐れてないではやく」

青葉「は～い」

提督「……」

青葉「初夜ですもんね！　さすが大本営わかってます！」

提督「狂気の沙汰ね、大本営は司令官と艦娘になにをさせたいのかしら」

青葉「お布団送ってきたんですよ！　なにをさせたいに決まってるじゃないですか！」

提督「あなたにあげるわ」

青葉「二人のお布団でしょう？」

提督「そんなうっすい煎餅布団なんかで寝られないわよ」

青葉「うっすくてさっむいから、身体を寄せ合って温め合うんじゃないですか！」

提督「こっちのベッド羽毛だから」

青葉「羽毛より青葉の身体の方が柔らかいですよ！」

提督「ならその布団でも十分寝られるわね。おやすみ」

青葉「ちょっと～！」

青葉「うぅ、寒い。司令官、そっちに行っていいですか？」

提督「だめ。というかなにちゃっかり一緒の部屋で寝てんのよ」

青葉「青葉が風邪引いたらどうするんですか！」

提督「ドックに放り込めば治るでしょ」

青葉「風邪ひいたときにお風呂入ったら悪化しますよ！」

提督「このベッド一人用だから」

青葉「ならなおのこと行きたいです！」

提督「なんでよ」

青葉「お願いします～」

提督「寝るときくらいゆっくり身体を伸ばさせてよ。ただでさえ榛名が、あっ」

青葉「榛名さん？」

提督「なんでもないわ忘れなさい」

青葉「榛名さんと一緒に寝てるんですか！？」

提督「……榛名が秘書艦のときはね」

青葉「ずるいです～！　なら青葉だっていいじゃないですか～！」

提督「狭くなるからいやだって」

青葉「ならなんで榛名さんはいいんですか！」

提督「そうしないと休まないんだもの。今のあなたみたいに私が起きてるうちに寝ようとする子じゃないのよ」

青葉「青葉だって司令官が寝ないと火照りを収められなくて眠れません！」

提督「そういう下世話な理由じゃなくてね」

提督「それにほら、あの子生き残り組だから。寂しい想いしてきたんだろうなって」

青葉「青葉もですよ」

提督「えっ？」

青葉「青葉も生き残り組ですよ」

提督「……ああ」

青葉「語るに落ちましたね！　さあ、はやく青葉の傷心を慰めてください！」

提督「ああもう、しょうがないわね。変なことしたら蹴っ飛ばすから」

青葉「ども、恐縮です」

青葉「あぁ、青葉今司令官のにおいに包まれています……これは捗りますねぇ」

提督「さっそく蹴られたいみたいね」

青葉「冗談ですよ」

提督「ったく」

青葉「あったかいです司令官」

提督「冷たいあんたが入ってきたから私は寒い」

青葉「じゃあはやくあっためてください～」ﾋﾟﾄ

提督「冷たいって言ってんでしょ！　もっとあったまってからにしなさい！」

青葉「あったまったらいいんですか？」

提督「……落ちないようにするにはそうしなきゃいけないじゃない」

提督「しかしまあ、あんたもしつこいわね」

青葉「ジャーナリストですから」

提督「めんどくさいところばかりにジャーナリスト精神発揮しないでよね」

青葉「けれど、一念岩をも通す、ですね」

提督「なにが言いたいの？」

青葉「ふふっ、こういうことです」ｶﾞﾊﾞｯ

提督「ちょっ、なにすんの！？　どきなさい！」

青葉「司令官、青葉は司令官のこと愛してるって言いましたよね？　それが一緒のお布団で寝て、なにもしない方が変なことじゃありません？」

提督「それは、そうかもしれないけど！」

青葉「司令官も期待していたんじゃないですか？」

提督「なにをバカなっ……」

青葉「本当に嫌なら青葉のこといつでも解体できたのに、こうして一緒のお布団で寝てくれるのがその証拠です」

提督「私は、ただ」

青葉「いいんです。そういう素直じゃないところも好きですから」

提督「あお、ば……」

青葉「大丈夫です、最初は青葉に任せてください」

提督「……なんでこうなったのかなぁ」

青葉「司令官～……」ﾑﾆｬﾑﾆｬ

提督「私がこいつを重用したせいか」

提督「なんでそんなことしちゃったのかなぁ、惚れる要素なんかゼロだったのに」

青葉「くぅ～……」

提督「ほんと、人を茨の道に引きずり込んでおきながら、無邪気な寝顔してくれちゃって」

提督「艦娘はどうか知らないけどね、人間がこの歳でそっちに走るのってあんたが思うよりもずっと異質なことなのよ」

提督「だから、ちゃんと守りなさいよ？」

青葉「お任せください！」

提督「うわっ、起きてたの？」

青葉「心配いりませんよ、青葉の記事の力は身を持って体験したでしょう？」

提督「ああ、まあね」

青葉「正体メタモンってことにしとけば問題ありませんからね」

提督「原点回帰ね。メタモン扱いとビアン扱いどっちが辛いかしら？」

青葉「どっちだろうと青葉が支えますよ」

青葉「そう、青葉が必ず守ります。青葉の手はいつだってなにをするときだって、司令官のことを想って動いているんです」

提督「……そう」

青葉「なにをするときだって――」

提督「わざと無視したのよ察しなさい！」

青葉「そうですね、これからは青葉の手じゃなくて司令官の手が動いてくれますもんね！　ではさっそく」

提督「調子に乗るな」ｹﾞｼｯ

青葉「おうっ！」

青葉「どうですか、秋雲さんに描いていただいた青葉と司令官がくっつくまでの間を描いた漫画は！」

提督「……」

青葉「司令官の許可がいただければ青葉新聞に区切りつつ掲載する予定なのですが」

提督「朝っぱらからこんな漫画読まされたら艦隊の士気に関わるわ」

青葉「青葉に抜かりはありません。夕刊に掲載するつもりですから！」

提督「鎮守府内報なのによく朝夕で書くことあるわね」

青葉「で、どうです？」

提督「却下」ﾋﾞﾘｯ

青葉「ああ～！」

提督「それにしても、私の正体がメタモンって」

青葉「よく間違われていらっしゃるのは本当ですし、変身してるって考えたら真っ先に頭に浮かんだんですよ」

提督「ふ～ん」

青葉「怒ってます？」

提督「いえ、驚いてる」

青葉「驚いてる？」

提督「ジャーナリストを自称するだけあって勘が鋭いなって」

青葉「はい？」

龍田「こんにちは～」

青葉「あっ、ども龍田さん」

提督「こんにちは」

龍田「ん～と、あなたは提督？　それともメタちゃん？」

提督？「メター」

青葉「えっ？」

龍田「そっかぁ、よかった～じゃあはいこれ」＞天龍の写真

提督？「メーター」ﾋﾟｶｰ

青葉「えっえっ？」

天龍？「オレの名は天龍。フフフ、怖いか？」

龍田「そうそう～ちゃんと顔も身長も天龍ちゃんだし、上手くなったわね～」

天龍？「練習すればできるようになるのはアニメで実証済みだからな」

龍田「ちっちゃい天龍ちゃんもそれはそれでよかったけど～」

天龍？「おっかねぇからやめてくれ」

龍田「ふふ～じゃああっち行って天龍ちゃんの服にお着替えしましょう～」

天龍？「着替えたってどうせすぐに――」

龍田「一回着てからじゃないとはじまらないの～」

天龍？「へ～へ～」

青葉「……」

青葉「えええええっ！？」

ヤい督「かわりものですらないメタモンはゴミですが、身代りとしての役割は持てますぞｗｗｗ」

ヤい督「みがわりは覚えないのですがなｗｗｗｗんんｗｗｗｗ」

北方棲姫「……」

ヤい督「深海棲艦を導いているのがバレたら懲戒どころではすまないですからなｗｗｗｗ」

ヤい督「しかしヤっ方棲姫氏は夜の役割も持てますので導く以外ありえないｗｗｗ」

北方棲姫「ゼロ……オイテケ……」

ヤい督「ヤロにヤっ風にヤい嵐となんでも揃っていますからなｗｗｗｗ好きなのを持っていくといいですぞｗｗｗｗ」

北方棲姫「カエレッ！」

ヤい督「ぺゃっｗｗｗｗ」