我那覇響「貴音の妹に会いたいぞ」 (20)

響「時々、貴音が自分のお姉さんみたいだなって思うことがあるぞ」

貴音「ふふっ。故郷では、妹と暮らしていたのですよ」

響「本当に!?」

貴音「妹は皆さまから真、愛していただいて、私の自慢です」

響「ねえねえ、貴音の妹は、やっぱり貴音に似ているの?」

貴音「そうですね……瞳の色はヤーネフェルトの証。妹の髪は、私ほど白くありませんので、錫色といったところでしょうか」

響「自分、貴音の妹に会ってみたいよ」

貴音「ふふっ、もう既に、どこかで会っているかもしれませんよ?」

響「貴音の妹で、しかもそんなに目立つ姿なんでしょ? 一目でわかるさー! なにせ、自分は完璧だからな!」

蘭子「傷ついた悪姫の血脈よ!(あっ、お姉ちゃんだー!)」

響「!?」

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貴音「これ蘭子、姉である私よりも、響にちゃんと挨拶しなさい」

蘭子「闇に飲まれよ!(お疲れ様です!)」

響「えっ、えっ!? やみのまが貴音の妹なの? ヤミノマ!? ヤミノマナンデ!?」

貴音「改めて紹介します。私の妹の蘭子です」

蘭子「猛獣使い、”瞳”を持つ者ね(響さん、いつもお姉ちゃんがお世話になっています)」

響「いろんな意味で、何を言っているのかわからないぞ……」

蘭子「狂乱の宴の鐘を聞いたであろう? クククク(私がシンデレラガールズでデビューした最初の頃に、写真撮影でご一緒しましたよね)」

響「初めて見たときから、雰囲気あるなーって思ってはいたけど、貴音の妹だなんてびっくりしたぞ。自分にも秘密にして、貴音ぇ、ひどいよ」

貴音「別に、隠していたわけではありません。蘭子の様子を、度々見学に出向いたりもしていたのですが……」

蘭子「呪われし血の呪縛……(お姉ちゃん、ほんと心配性なんだから……)」

響「あっ、もしかして、貴音がコンプガチャに選ばれてたのって」

貴音「かわいい妹のためなら、一肌脱ごうというもの。これが姉心なのです」

蘭子「堕天使の祝福を!(お姉ちゃん、かっこよかったよ!)」

響「蘭子も、人気者になってよかったな。総選挙で一番になったりして、さすが貴音の妹だぞ」

蘭子「あ、あうぅ……」

貴音「蘭子、そのように照れてどうするのですか」

蘭子「《力》の消費が……(恥ずかしくって……)」

貴音「あなたは私の自慢の妹。恥ずかしがる理由など、一つもないのですよ」

蘭子「我が血脈(お姉ちゃん)」

響「貴音の言うとおりだぞ。なんくるないさー!」

蘭子「魂の共鳴を!(ありがとうございます、響さん!)」

響「あーもう、蘭子はかわいいなあ!」

貴音「響、蘭子はそれだけではないのですよ。私の妹は、多芸なのです。これを見てください」

響「どれどれ……すごいね、蘭子は絵も上手なんだな」

蘭子「そっ、それは、古の魔術書? 封印を解いたのか!?(昔のスケッチブック、なんで実家じゃなくてここにあるの!?)」

貴音「ほら響、この私たちの絵など、真、愛らしいでしょう」

響「へー、蘭子は、自分で衣装も考えたりしているんだね」

蘭子「闇に飲まれる! 闇に飲まれる!(やめて! 見ないで!)」

響「何を言っているかわからないな~。自分、じっくり見ちゃうもんねー」

貴音「ふふっ、響はいけずですね」

蘭子「私の心結界を破るとは、アナタの力、見せてもらったわ……(恥ずかしくてお嫁にいけないよぉ……)」

響「ねえ貴音、どうして蘭子の言葉がわかるの?」

貴音「どうして、と言われましても……響は、沖縄の言葉を忘れましたか?」

響「そんなことはないけど」

貴音「それと同じことです」

響「えええええっ? 貴音は月のお姫様じゃなかったのか!?」

貴音「響、らいとのべるの読みすぎですよ?」

蘭子「我らは火の国に生を享けし一族よ。フハハハ!(私たちは、熊本出身ですよ)」

響「いや、でも、みんな貴音は古い都から来て、王家の血を引いているって」

蘭子「?」

貴音「確かに、京都で四条の家に厄介になっておりました」

蘭子「アカシックレコードに、偽りの魔術を使ったのか(お姉ちゃんが、プロフィールにわかりにくい書き方をするからいけないんだよ)」

貴音「蘭子、偉くなったものですね。姉である私に逆らうのですか? そもそも、熊本弁の訛りがとれないあなたが言っても、説得力がありません」

蘭子「我は火の国を司る姫である!(ご当地タレントとしてやっていくには、方言の方がいいんだもん!)」

貴音「視野が狭いと何度言ったらわかるのですか! 全国で通用するのは、標準語か関西弁のみ。私が何のために四条の家に留学したか、まだ理解できないとは。呆れました」

響「貴音の経歴の真相が、思ったよりずっと浅かったぞ……」

響「でも、貴音は関西弁じゃないよね?」

貴音「私は、美しい標準語を身に付けたのですよ」

蘭子「麗しき妙なる調べだと聞いているが?(お姉ちゃんの口調、特徴的だって言われてるよ?)」

貴音「そ、そんなことは……私は、四条の家で、熊本弁を使ったらおやつ抜きという、厳しい特訓を耐え抜いたのです」

響「なーんだ、貴音の時代がかった話し方は、熊本訛りだったのか」

蘭子「クククク、フフフフ、ハーッハッハッハ! 聖なる火の傷跡は隠せなかったようね!(お姉ちゃんだって、熊本弁とれてないじゃない!)」

貴音「そのようなことはありません! ね、響、そうですよね?」

響「やめてよ貴音! 捨て犬みたいな目で見られると、自分弱いんだ」

蘭子「迷い子よ、真実を見極めなさい(響さんは、私の味方ですよね?)」

響「ああああ、蘭子もかわいいなあ! ねえ貴音、蘭子連れて帰ってもいい? 自分ちゃんと世話するから!!」

貴音「蘭子、離れなさい! 響も響です、なにゆえ鼻の下を伸ばしているのですか!?」

蘭子「偽りの時は終わる。汝の玉座は我がものぞ(ほらほらー、正直に認めないと響さんとっちゃうよ?)」

貴音「この痴れ者が! 傲慢の堕天使よ!!」

響「貴音?」

蘭子「ククッ、氷の仮面を外すのは今よ!(お姉ちゃん、焦ってる焦ってる)」

貴音「闇に帰れ漆黒の堕天使よ、罪を得たと心得よ!」

響「貴音、落ち着いて! ほら、サーターアンダーギーあげるから!」

貴音「……見苦しいところを、お見せしてしまいました」

響「元気出してよ」ナデナデ

蘭子「辛子蓮根食べる?(ごめんね、お姉ちゃん)」

貴音「私としたところが、取り乱してしまいました」

響「自分、貴音の知らなかった一面が見られて、うれしかったぞ」

蘭子「今宵の宴は興が乗ったぞ(私も、お姉ちゃんとお話し出来て、楽しかったよ)」

貴音「二人とも、真、優しいのですね」


響「これからは、765プロにも気軽に遊びにおいでよ。自分、いつでも大歓迎さー! そうだ、今から自分の家に来ない?」

蘭子「サバトの刻が近付かん(ごめんなさい、これからアニメの収録があるんです)」

貴音「響、蘭子はこれからアニメの収録に向かわねばならないのです」

響「そうなのか……じゃあ、また今度な!」

蘭子「煩わしい太陽ね!(行けたら行きます!)」

後日、765プロ事務所

響「蘭子が出ていたから、貴音は、律子に録画させてたんだね」

貴音「ふふっ。私の秘密を、響に知られてしまいました」

響「ねえ、これ熊本でも見られるの?」

貴音「ねっと配信がありますし、TVQも入るはずです」

響「九州の放送局の名前は普通に言えるんだ……」

貴音「とっぷしーくれっとです」

響「貴音は、実家に帰ったりしないのか?」

貴音「私は、まだまだ高みに辿り着いていませんから――」

響「でも、こうやって自分たちが蘭子を見ているみたいに、貴音の家族も、貴音のことを見ているよ。自分、そう思うさ」

貴音「響は、真、優しいですね」

響「こうしてテレビでみていると、蘭子は貴音の妹だけあって大人っぽいよなー。熊本だとみんなこんな感じなの?」

貴音「それは、月で育つとこうなるのです」

響「今更その設定拾うんだ!?」

終わりだよ~(●・▽・●)

ちょっと遅刻気味でしたが、四条さん誕生日おめでとうの気持ちで書きました。
見てくれた方がいたら、ありがとうございました。

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