男「さて」
男「世界、特に日本で発表される創作物には様々なヒロインが登場する」
男「平安の乙女を魅了した源氏物語、江戸時代の名作里見八剣伝、好色一代男などにも読者を惹き付けるヒロインの存在があった」
男「しかしながら近年、ジャパニメーション、ライトノベルの隆盛、PCゲームという新しいメディアの開拓などにより」
男「ヒロインは爆発的に個性化した」
男「この傾向を生物がカンブリア紀に爆発的にその系統を増やし個性化したカンブリア爆発になぞらえて」
男「ヒロイン爆発と俺は呼んでいる」
男「話を本筋に戻そう。ここ三十年で発生したヒロイン爆発によって増殖したヒロイン達を前にして我々は」
男「ヒロインを性格や髪型、服装や装備品、そして主人公と遭遇する状況などの要素を組み合わせ」
男「属性として分類整理する必要に迫られた」
男「そして、その過程で我々はあるヒロインの属性を発見することとなる」
男「主人公と遭遇する時に空中から落下してくるヒロイン」
男「いわゆる落下系ヒロインである」
男「有名な落下系ヒロインとしてあげられるのは」
男「スタジオジブリ作品、天空の城ラピュタに登場したヒロイン、少女S(仮名)」
男「彼女がゆっくりと鉱山に降下してくる登場シーンはあまりにも有名だ」
男「落下系ヒロインとはどういうものなのか簡単に想像できたであろうか」
男「前置きが長くなったが本題に入ろう」
男「ここでは、落下系ヒロインについての考察と観測を行う」
男「落下系ヒロイン」
男「平和にして平凡な生活を送る主人公の前に突如として落下し主人公を物語に強制的に巻き込む存在だ」
男「その登場の仕方からして何らかの事情を抱えた存在であることが常である」
男「ラピュタの末裔、天使、魔導書など」
男「少なくとも食パンくわえて登校中の少女が突然落下してくる筈はない」
男「であるからしてこんな場合には超自然的な力が働いた結果空から落下してくる事が多いわけだ」
男「しかしながらここは現実」
男「魔法の杖も箒も存在しない。あるのは中身が冷えにくい魔法の瓶くらいだ」
男「ここではあくまでも科学的に少女が空から落下してくる可能性について論じたい」
男「結論から言うとあり得ないことではないのだ」
男「実際に人が降ってきた事例というのは案外存在する」
男「その多くは飛行機事故により、乗客が空中で機外に放り出されることで発生する」
男「日本でも全日空機が自衛隊機と空中で衝突し同様の事が起こったことがある」
男「このような場合、破片と共に空中に飛び出した乗客は進行方向への慣性と重力に影響を受けて落下するが」
男「与えられる重力加速度は空気抵抗を差し引いても十分強烈なものとなり」
男「まず乗客の命はない。世界ではこのような悲惨な事故の例が数多く存在する」
男「主人公が上空から猛烈なスピードで突入してくるヒロインを受け止めることはどうしても不可能である」
男「例えば主人公が水上にいて、水上に落下してくるヒロインを横から飛び込んで抱き止めそのまま水中で衝撃を減衰させたらどうだろう」
男「結論として、ある程度の高空から落下したヒロインは助からない」
男「水の抵抗で脊椎を損傷してしまうか、そうでなくても内臓に重大な傷害を負う」
男「主人公までもが巻き添えになる可能性も高いのだ」
男「世の中にはどうしようもない事も存在する」
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