【艦これ】暁「壊れかけのメモリア」 (30)
※語りが入ったら基本暁です
司令官が好きだ、と自覚したのは、彼と同じ場所で働いていて、戦っていた年月と比べるとつい最近のことになる。
別に思いを打ち明けたわけではないが、自然とくっつくことができたのは彼が私の心中を察したからなのか、はたまた彼が自分のことを好いていてくれていたのか。
後者だけはありえないだろうが、前者も怪しいところだ。
軽薄ではなく、かと言って情動的とも言い難い彼は、少なくとも私の目には魅力的に映ったのだ。
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暁「…で、なんなのよ」
提督「んー、耳かきでもしてもらおうかな、って」
暁「で、この道具類……」
提督「耳かきに…ちょっと気になって買ってみた石鹸と専用の綿棒ね」
暁「…仕事はしてよね?」
提督「アタシを誰だと思ってんの?」
暁「私の司令官……」
提督「わかってるじゃない」
提督「ほら。今日は仕事少ないこと分かってたの」
暁「……本当にやるの?」
提督「してくれないの?」
暁「寝込みを襲うかも」
提督「アタシが勃たないの知ってるくせに」
暁「耳かきは別なのよ。気持ちよすぎて狂っちゃうかも」
暁「その時は責任をとるわよ」
提督「段々擦り寄ってきて耳元で思いっきり甘い息を吹きかけるなんてテクニックどこで覚えたの?」
提督「あ、そのピアスつけてくれたんだ~」
暁「買ってもらったものはつけるわよ」
提督「最初にひぃひぃしてた時が嘘みたいね」
提督「……それつけても大人になったと思う?」
暁「…多分、ガキっぽいこと証明しただけよね」
提督「そのロリーな見た目に反して耳にはピアスにイヤリングジャラジャラ……悪くないわ」
暁「良いって言いなさいよ」
本当は素直じゃないだけで、彼の悪くないは『良い』と同じだと知っている。
暁「ま、いいわ。さ、はやく膝に寝て」
提督「よいしょ……あったかい」
暁「冷たい……」
提督「冬だからね。ピアスも金属だから…」
暁「これあとで私も耳かきしてもらわなきゃ割に合わないんじゃないかしら?」
提督「…アタシにそうさせるかは、貴方次第ね」
暁「……始めるわよ」
暁「んっ……ちゅう」
提督「……誰が舐めろって言ったのよ」
暁「れろっ……ん、だって思ったより綺麗だったし、そういう夫婦の真似事みたいなことさせようとか思ったんでしょ?」
暁「司令官の思い通りは癪だから。どうせ綺麗なんだし、ちゃんとやる前に目一杯汚してあげるわ」
提督「ガキっぽいわね……」
暁「んーちゅっ……はぁ、ん……ちゅう……」
暁「ちゅる……ぢゅ…んー、ぷはっ…」
暁「……ちゅ…ろう?ひもちいい?」
提督「ベタベタして気持ち悪いんだけど」
暁「……もう、んっ……んはっ…んんん……」
川内「わわわ……なんなのアレ……!?」
長門「ん?おい川内、執務室の前で何やってる……ああ、なんだ。提督と暁のことか」
川内「いやいや!なんでそんな平zむぎゅ……!!!!」
長門「まあまあ、少し冷静になれ。二人の邪魔はしてやるな」
川内「ぶはぁ!邪魔もなにもこっちはそれ以上の衝撃なんですけど!」
川内「正直提督がオネエってのも衝撃だったのに!」
長門「いいじゃないか。親しみ易くて」
電「なのです」
長門「あ、電さん」
川内「あ…その、どうもです!」
電「二人共やめてください。私は駆逐艦……軽巡と戦艦である二人のメンツが」
長門「あはは……自分より強い人を呼び捨てにはできませんよ」
電「……まあ、私は長門さんがそれで良いのなら構わないのですが……」
川内(艦隊最古参組最強の二人ッ……!オーラ半端ないッ……!!!)
電「……川内さんは初めてですか。確かに、着任は最近でしたからね」
川内「あのお二人はどういう関係なんです?」
電「言葉にはできない関係性……なのです。なにせ提督が着任したのとほぼ同時期に暁はここにきたのですから」
川内「ってことは暁も最古参……」
長門「……まあ私たちのことをそう呼ぶ者もいるがここはそういうしきりは無いはずなんだが……まいったな」
長門「だが、そういうのとは別に、暁と提督が二人の時は邪魔をしないほうがいい」
川内「ま、まあそりゃそうですよね……」
長門「あーいや、別に二人の仲を邪魔するというよりはあの二人の空間に入るとこっちが後悔することになるから、が正しいな」
川内「……?」
電「あ、普通に耳かきを始めたのです」
暁「どう、きもちい?」
提督「どうせなら指で耳をふもふもして頂戴」
暁「はいはい」
暁「……で、どうなのよ」
提督「何がー?」
暁「私を解体する件よ」
提督「……なーんかその『解体』って言い方嫌いだわー」
暁「じゃあ何ならいいわけ」
提督「『解体す(バラす)』」
暁「変わってないじゃない!バカ!」
提督「ああん、くすぐったい」
暁「感じてないくせに……」
提督「そんなこと…ないわ」
暁「……眠いの?疲れた?」
提督「眠い…かも」
暁「じゃあ、このまま眠らせてあげる」
暁「……きもちいい?」
提督「ええ……できることならずっと……楽しんでいたいわね……」
暁「………バカ」
提督「なに……なんか言った…?」
暁「おやすみ」
提督「……ええ、お休み」
提督「すぅ……すぅ……」
暁「…私もこのまま寝よう……」
書き溜め分は終わりで、明日の夜からだらだら更新します
私たちの仕事……任務は深海棲艦を倒し、日本に住む人々を守るという意味合い以外にもう一つの目的がある。
暁「……!武蔵さん!」
武蔵「むう……ふんっ!」
大和「くっ……さすがはショートランドの武蔵。やりますね」
それは資源の取得。
外交の途絶によって発生した食料問題解決に四半世紀もの歳月を費やし、国民の半分を失いながらも得た新しい食料供給法も、艦娘たちが戦闘によって得る資源がなければ稼働できない。
よって各地に設けられた鎮守府では取得した資源を民間企業へ譲渡し、代わりに企業の持つ支援物資、或いは兵器等の提供を受けることで稼働している。
だが、戦後経財期を過ぎた今の時代は無駄に肥大化した鎮守府同士で資源の奪い合いすら起きる混迷期に入っていた。
暁「……これで終わりね」
響「頼む……司令官だけは……」
暁「無理な相談ね」
響「……ッ!!この……!!」
暁「がっ…!?まだこんな力を…」
響「よくも……よくもそんな……私はまだ死ぬわけにはいかない……不死鳥の底力、侮るなよ……!!!」
暁(まずい……黙って殺しておけば……)
響「がっ……!?」
暁「……!電!?」
電「呉の響……最後は楽にお逝きなさい」
響「……ぁ」
悲鳴も、慟哭も聞こえなかった。
響(自分と同じ姿のものを背後から撃つ……最悪だね)
響「電、暁、呉の響撃破ご苦労さま。さ、帰投命令も出たし、残党狩りは武蔵さんと金剛さん、あと霧島さんをよこしてくれるそうだから帰ろう」
電「了解なのです」
暁「ええ……」
武蔵「ああ、三人とも、ご苦労だな」
暁「武蔵さん……呉の大和は?」
武蔵「腕をもらった。ほれ」
響「……!武蔵さん、右目が……」
武蔵「あはは。今の呉に大和を完全修復できるほどの資源も設備もない。仮に相手が撤退に成功しても殲滅は時間の問題だ。それに比べ、私は時間さえかければ治る。気にするな」
武蔵「それに……」
電「……まだ戦う気ですか」
大和「くっ……うああああああああ!!!!!」
暁「再起動した!?」
武蔵「奴が殿のようだな。……私が闘う。残党狩りで居残る連中には『援護不要』と伝えてくれ」
響「武運を…!」
武蔵「ああ…」
血みどろの戦いは、ずっと続く。
コテよりトリの方がいいよ
乗っ取られなくなるから
>>21 指摘ありです。こういうの初めてなもので……。
更新は深夜を予定しています
提督「昨日は声かけれなくてごめんなさい。深夜に掃討戦は堪えたと思うけど皆尽力してくれたようで何よりだわ。……資源も呉の分を合わせれば半年分手に入ったし、しばらく派手なドンパチはやらずにすみそうなのが幸いね。……ホントお疲れ様」
龍驤「言うてこの決算報告も深夜開催なんやけどね……。ほんまお疲れ」
足柄「まあ、確かにここは夜型鎮守府よねー。……お疲れ様」
霧島「司令も早くお休みになってください。昨日も現地で指揮を執られてお疲れでしょう」
提督「あー私はみんなと飲んだらすぐにでも寝るわ」
金剛「朝まで飲み明かそうネー!」
霧島「……ま、それならいいんですけど」
榛名「じゃあ、会場の方に行きましょうか」
比叡「企業の相手してる子たちはあと10分もすれば帰ってくるみたい!」
提督「……じゃあ、私たちも宴会の準備、手伝いましょうか」
暁「……『兵器、資源の受け取りが完了しました。ええ、そっちにはもう帰投してる。……飲むの?みんなで?分かったわ。ええ。じゃ』……響、電、聞いてたわね?」
電「はいなのです」
響「今夜は眠れないね」
暁「最近はそういうパーっとしたのもご無沙汰だったわね……」
響「そういうのがあって嬉しいね。私たちがしてることは褒められたものじゃないけど、それでも、さ」
電「大丈夫。電たちは生きるために必要なことをこなしているだけなのです」
暁「そうね。……さ、ちゃっちゃっと運んで、どんちゃんしましょ」
川内「~♪~~~~♪~~~♪」
夕立「~~~~♪~~~♪」
時雨「……~♪」
島風「おぅ!おぅおぅ!おぅおぅ!」
那智「なぜ夜間哨戒にあてられる子はみんなネジが飛んでるのか……」
天龍「まったく同意だぜ。はぁ……まあこうやってると戦う機会が増えるからいいんだけどさ。……いや、別に宴会に参加したかったなあ、とか思ってねえよ?」
那智「お互い苦労するな」
暁「昨日のどんちゃんが夢に消えたわ……すぅ……ふぅ」
電「吸ったら灰は持ち帰るのです」
響「夜間哨戒でコソコソこんなことしてる辺り、世も末だね……すぅ」
暁「……念の為に言うなら、別にこんなことしても艦娘なら大丈夫ってことかしら……すぅ……ふぅ」
電「酒と博打に並ぶ世紀末の数少ない娯楽ですから……」
響「あ、川内さん達だね」
川内「よっすよっすー。あ、電さんどうもです」
川内「って……あーなんだよー私たちが呉から資材運び出してる間にこんなとこで一服なんてー」
暁「……提督には許可とってあるわよ」
長門「そうさらっと嘘を混ぜるのを直せば立派なレディだと思うぞ、私は」
暁「大人っていうのは結構狡いもんよ」
響「それに関しては同意だね……すぅ」
電「哨戒自体は私がちゃんとやっていますからご安心なのです」
長門「あはは。これは頼もしい…。じゃ、我々は資材を運びます。川内、もう少しだ。行くぞ」
川内「はーい。……くぅ、私も後で吸お……」
海に立ち込める硝煙と潮の混ざり香は闘いの記憶を刺激する。
静かに波打つ海原にも、神々しく照らす月光にもそれはかき消されることなく、鮮明に私たちを蝕む。
全ては闘いのため。
戦場の残り香を嗅ぎながら、私たちはその時をじっと待つのだ。
川内「なあ、長門さん」
長門「何だ?」
川内「一応、資材も運んだし……企業からも報酬は貰えたし……もうしばらくはこのままゆっくり夜を過ごせるんですかね?」
長門「……お前はどちらかというと武蔵と同じ場所にいるやつだと思ってたが」
川内「いや……まあ、そうなんですけど……なんか星空見てるとそんなことどうでもよく思えてきて」
長門「案外牙を抜かれるのが早いな……このままじゃお前、ただ深夜テンションで興奮するだけの女になるぞ」
川内「超嫌ですね」
長門「なら、どうせ鎮守府近海の哨戒だ。敵もこんだろう。……一戦付き合え。艤装はなしでな」
川内「……それもいーっすね……!!」
長門「行くぞッ!」
川内「参るッ!」
暁「これだから戦闘狂は……」
夕立「楽しそうっぽいね」
時雨「最近はずっと静かだったからね」
夕立「溜まってたっぽいね?」
時雨「川内さんは少し見てて哀れなくらいだったよ」
暁「一応哨戒任務中なんだけど……」
夕立「まあ、見る分には面白いから、このまま見てたほうがいいっぽい」
暁「……確かに、見世物としちゃあ悪くないわね」
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