「第六駆逐隊の夏祭り」 (65)



電「司令官さんが、今日はお祭りがあるって言ってたのです!」

雷「お祭り!? どこで?」

電「鎮守府の中庭なのです」

暁「ふ、ふ~ん。まぁ、一人前のレディーはそんなの楽しみにしないけど、皆が行きたいなら暁は……」ソワソワ

響「行きたいんだね」

雷「お祭りか~。何があるんだろう? 綿飴とか、りんご飴とか、たこ焼きに焼きそば、それから……」

暁「食べてばっかりじゃない!」

響「金魚すくいというものにはすごく興味がある」

電「ふふっ、皆で回ったらきっと楽しいのです」


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暁「って、皆制服でお祭り回るの!?」

雷「確かにお祭りには向かない格好よね」

響「しかし他に服なんて……」

電「大丈夫なのです! 司令官さんが浴衣を用意してくれたのです!」

雷「本当に!?」

響「ほぅ……ありがたい」

暁「ま、まぁ、司令官が用意してくれたんだったら着てあげてもいいけど……」

響「着たいんだね」


雷「早速着替えましょう!」

響「ところで、誰か浴衣の着付けは出来るのかい? 私は一人では着ることができない」

電「電もできないのです」

雷「私も」

暁「い、一人前のレディーだけど、それはできないわね……」

電「困ったのです……」


雷「誰か出来る人にお願いしましょう」

暁「鳳翔さんだったらやってくれるんじゃないかしら?」

響「確かに、普段から着物を着ているし」

雷「それじゃあ鳳翔さんの部屋に行きましょ!」

電「はい!」

ぞろぞろ

電「って、鳳翔さんのお部屋って確か……」



――鳳翔の部屋――


暁「こんにちは~」

鳳翔「ごめんなさい、まだ仕込みが終わってなくて……って貴女達!?」

雷「こんにちは鳳翔さん!あのね……」

鳳翔「こら! ここに入ったらダメって言ったでしょう! お酒とか扱ってるんだから」

電「はわわわ! ち、違うのです~!」><

響「実は……」




~~~説明中なのです~~~




鳳翔「そういう事だったのね、ごめんなさい皆」

電「い、いえ! 電達も悪かったのです」

鳳翔「え~っと、着付けよね。うん、任せて!」

暁「やったぁ!」





~~~着付け中なのです~~~






鳳翔「これでよし……っと。はい、できたわよ」

雷「わぁ~!」

響「スパスィーバ」

暁「どうかしら?」

電「似合っているでしょうか……?」


鳳翔「えぇ、皆とっても似合ってるわ」

電「えへへ///」

鳳翔「お祭り、楽しんできてね」

雷「はーい! 行きましょう!」

暁「鳳翔さん、ありがとう!」


電「それじゃあ早速お祭りに行くのです!」

ぞろぞろ

雷「楽しみだわ~♪」

響「皆お祭りに行くのかな」

暁「周りに艦娘が増えてきたわね」

雷「皆浴衣着てる!」

響「ん? あれは……」


青葉「ども~、皆もお祭り?」

電「なのです!」

暁「青葉さんも?」

青葉「いやいや、青葉は取材だよ。皆の楽しんでる姿を提督に報告しなきゃ」

電「そうなのですか」

青葉「それじゃあ青葉はこれで!」

暁「取材頑張ってくださ~い」

青葉「恐縮です!」


響「行っちゃったね」

雷「大変そうだけど、青葉さん楽しそう」

響「本当に取材が好きなんだね」

暁「さ、中庭に着いたわ。一体どうなってるのかしら……よっと」

がちゃ


電「わ~!屋台がいっぱいなのです!」

雷「昨日はこんなの無かったわよね?」

暁「一日で準備したのかしら?」

響「恐らくは妖精さんが頑張ったんだろうね」

電「どうして分かるんです?」

響「あそこの屋台の影で妖精さん達が休んでるよ」

雷「え?」

妖精さん「(=ω=)」

暁「ホントだ」


電「こんなに素敵なお祭りを作ってくれたんだし、お礼を言いましょう」

雷「そうね。お~い妖精さんありがと~!」

妖精さん「Σd(`・ω・´)」

暁「あはは、嬉しそう」

響「さて、お礼も済んだし見て回ろうか」

雷「さんせー!」


電「あれ? よく見たら屋台を出してるのって……」

龍驤「らっしゃ~い! お好み焼きやで~!」

日向「焼きそばもあるぞ」

58「オリョールで穫れた新鮮な海鮮焼きでち!」

ビスマルク「ドイツから取り寄せた本場のソーセージよ!」

暁「全部艦娘が出店してるの!?」

大淀「驚いた?」


響「大淀」

雷「どうして皆が?」

大淀「このお祭りはね、いつも輸送任務や遠征で南方海域とかに駆り出されている貴女達駆逐艦娘の為に

   提督が考えたの。貴方達にこの鎮守府は支えられているんだって、提督は仰っていたわ」

雷「しれーかん……」

電「司令官さんがそんな事を……」

大淀「それに、私達も、貴女達駆逐艦娘にはお世話になっているから、何かしたいって思っていたの」


暁「そ、そんな……。他の皆だって海域に出撃して深海棲艦と戦ってるじゃない!」

響「私達とは比べ物にならない負担だと思う」

大淀「そうね、けど、貴女達が一所懸命運んでくれた資材がなければ皆は出撃することも

   傷を癒やすこともできないの。だからやっぱり皆のお陰よ」

電「そう、なのでしょうか……?」

大淀「そうよ、だから今日は目一杯楽しんで、これからも任務に励んでくれたら嬉しいわ」


雷「当然じゃない!」

暁「そうよ」

響「あぁ」

大淀「ふふ、ありがとう。それじゃあ今日は楽しんでね」

響「スパスィーバ」

電「司令官さん……」

暁「ほら、そんな暗い顔しない!」

電「暁ちゃん……」


響「司令官が私達を思って開いてくれたんだ、暗い顔していたら司令官は喜ばないよ」

電「響ちゃん……」

雷「それにお祭は楽しむものでしょ?」

電「雷ちゃん……。えへへ、そうだよね!」

雷「それじゃあ早く回りましょう! もうお腹すいちゃった!」


暁「あんまり食べ過ぎちゃダメよ!」

雷「何か暁お姉ちゃんみたい」

暁「む~! お姉ちゃんだもん!」

響「行こう、電」

電「はい、なのです!」


雷「どこから回ればいいかな~?」

響「そうだね……」

暁「何だか喉乾いちゃった」

電「え~っと、あ、あそこにラムネ屋さんがあるのです!」

大和「ラムネはいかがですか~」

武蔵「冷たくて美味しいぞ」

暁「美味しそう!」

雷「飲みましょう!」

電「はい!」


暁「大和さん、武蔵さん、ラムネください!」

大和「あら、皆いらっしゃい」

武蔵「4本だな」

電「お二人ともこんばんわ、なのです」

大和「ふふふ、こんばんわ」

武蔵「あぁ、楽しんでるか?」

響「はい、とても」

武蔵「それは良かった」


大和「はい、ラムネよ」

雷「ありがとう、大和さん!」

暁「つめた~い!」

大和「ちゃんと氷水で冷やしてあるからね」

4人「「「「いただきま~す!」」」」

くぴくぴ

雷「ぷぁ~」

暁「は~」

電「冷たくてしゅわしゅわで美味しいのです」

響「うん、この喉越しがたまらないね」


武蔵「瓶は回収するぞ」

暁「は~い」

電「ごちそうさまなのです!」

大和「皆ありがとう~」

暁「さて、喉も潤ったし何か食べましょうか」

響「私は金魚すくいがやりたい」

雷「私お腹が空いたわ」

電「電はどちらでも……」


暁「じゃあ先に何か食べて、それから遊びましょう」

響「ふむ、承知した」

雷「よ~し、食べるわよ~!」

響「お祭りといえば」

暁「やきそば!」

雷「たこ焼き!」

電「わたあめ?」

響「バラバラだね」


暁「良いのよ! 全部回りましょう!」

雷「さんせー!」

響「近いのはたこ焼きだね」

暁「誰の屋台かしら?」

雷「ごめんくださ~い!」

明石「いらっしゃいませ~」

電「明石さん!?」


響「ここは明石の屋台なのかい?」

明石「えぇ、なんなら建込みからやってるわよ」

暁「流石は工作艦……」

雷「いや、修理が専門よね……?」

明石「たこ焼き食べに来たのよね」

暁「あ、はい。 2つください」

明石「ありがとう~。今焼くからちょっと待っててね」

じゅ~じゅ~


電「くるっと回して、カッコいいのです」

響「うん、職人みたいだ」

明石「よっ、ほいっと」

暁「みるみるうちにできていくわ」

雷「美味しそう~!」

明石「オリョール海で穫れた新鮮なタコが入ってるから美味しいわよ!」

雷「そうなんだ!」


響「58達が獲ってきたんだろうね」

暁「聞いてるだけで美味しそうだわ!」

明石「ソースとマヨネーズとかつお節、青のりかけたら、はい完成よ!」

電「明石さんありがとうなのです!」

明石「こちらこそありがとう」

響「それじゃあ私達はこれで失礼するよ」

すたすた

明石「毎度あり~」


雷「次はどうする?」

暁「焼きそばにしましょう!」

電「え~っと、焼きそばはあっちなのです」

響「確か日向さんの屋台だったはずだね」

ぞろぞろ

暁「こんばんわ~」

日向「いらっしゃい、よく来たな」


雷「日向さん、焼きそば2つください!」

日向「あぁ、少し待っててくれすぐに作る」

じゅ~じゅ~

電「はわ~、美味しそうな匂いなのです~」

雷「余計にお腹空いてきたわ……」

暁「早く食べた~い」

日向「ふっ、そう急かすな。時期に出来る」


響「日向さんは一人でやってるのかい?」

日向「あぁ、そうだ」

雷「伊勢さんは?」

日向「今日は祭りとはいえ、鎮守府の警備を手薄にするわけにはいかないからな

   周辺の哨戒任務にあたっている」

電「皆が皆お祭りに参加できるわけじゃないのですね……」

日向「心配するな、夜半には帰ってくる。そら、できたぞ」


雷「わぁ~、美味しそう!」

暁「日向さん、ありがとう!」

日向「こちらこそ」

響「次はわたあめだね」

暁「あっちね!」

ぞろぞろ


電「こんばんわなのです」

雲龍「あら、いらっしゃい」

暁「あ、最近来た艦娘の……」

雲龍「雲龍型航空母艦の雲龍よ」

雷「時雨とよく一緒にいるのを見るわね」

電「仲が良いのですか?」

雲龍「そうね、時雨とは浅からぬ縁があるわ」

電「そうなのですか……」


雲龍「さて、わたあめはいくつ欲しいのかしら?」

響「2つください」

雲龍「2つ? 4人で?」

電「あんまり沢山は食べられないので、1つを半分こずつするのがちょうどいいのです」

雲龍「そう、仲が良いのはいいことね」

雷「えへへ」

雲龍「それじゃあすぐ作るから待っていて」

ぶい~ん


暁「何だか不思議な雰囲気よね、雲龍さんって」

響「大人の女性という感じがするね」

雷「暁とは大違いね」

暁「ちょっと雷! どういう事よ!」

雷「ほら、そうやってすぐ怒鳴るところが大違いだわ~」

暁「むき~! レディーに向かって!」

電「け、喧嘩はダメなのです~!」><


雲龍「ふふふ」

響「?」

雷「どうしたの?」

雲龍「あ、ごめんなさい。賑やかでとても楽しそうだったから」

響「騒がしくて申し訳ない。後で注意しておきます」

雲龍「いえ、お祭りは楽しむものだから。貴女達が楽しんでくれてるなら、私も嬉しい」

暁「お、大人だわ……」


雲龍「はい、わたあめできたわよ」

電「ありがとうなのです」

雲龍「こちらこそ」

響「失礼します」

すたすた

暁「ふぅ~、いっぱい買ったわね」

雷「あっちに休憩所があるからそこで食べましょう」

響「そうしよう」



雷「たこ焼き~焼きそば~わたあめ~」

暁「どれも美味しそう!」

電「蓋に半分取り分けて……っと、雷ちゃん。どうぞなのです」

雷「ありがとう電!」

響「はい、暁」

暁「ありがと響。それじゃあ!」

4人「「「「いただきま~す!!!!」」」」


暁「ん~! 美味しいわ~!」

雷「あむっ……んっく……タコがプリっとしてる!」

電「ふわふわで甘くって美味しいのです」

響「はふ……はふ……美味しいけど、熱いな……」

暁「響、猫舌だっけ?」

響「そういう訳でもないが、やはり熱い……」


暁「仕方ないわね~。ほらっ」

響「え?」

暁「ふ~っふ~っ」

響「あ、暁……!」

暁「はい、これでちょっとは食べやすくなったんじゃない?」

響「これは……恥ずかしいな……」


電「雷ちゃんもふ~ふ~するのです?」

雷「え!? い、いや私は別に……」

電「そうなのですか……」

雷「ありがとね、電」

電「えへへ、どういたしましてなのです」

響「ん? 何だか周りに人が集まってきたね」

暁「あ、ホントだ」


雷「どうしたのかしら?」

電「向こうにあるステージに、皆さん集まってるのです」

暁「あ、誰か出てきたわよ!」

那珂「皆楽しんでる~!?」

ウォォォォォォ!!!


雷「わっ! すごい熱気」

響「流石は艦隊のアイドルだな……。艦娘だけじゃなくて、鎮守府の職員まで盛り上がっている」

那珂「ここからは、このお祭りのメイン! 那珂ちゃんオンステージだよ!」

電「はわわわっ。そんな事までするのですか」

暁「ステージ近くは人がいっぱいいるからここから見てましょう」

雷「さんせー」


那珂「それじゃあ行っくよ~! 恋の2-4-11!」

暁「始まった」

電「あむ……っ……んくっ……やっぱり歌がお上手なのです」

響「ふむ……はむっ……んぐっ……そうだな」

暁「アンタ達実はそんなに興味ないでしょ……」


那珂「他の人とはち~がう~」

パンパパン!ヒュー! パンパパン!ヒュー!

雷「何かすごいわね、あんなに沢山合いの手が入ってる」

那珂「恋の2-4-11」

パンパン!

那珂「もうごまかさ~な~い 静かにでも大胆に アナタの心に出撃しちゃうか~ら~」

暁「あの職員たちの練度の高さは何なのかしら……?」


電「きっと沢山訓練したのです、電達も負けてられないのです!」

雷「いや、私達とはまた違う方向性なんだけど……」

那珂「皆ありがと~! お祭りはまだまだ続くから、もっともっと楽しんでってね!」

ウォォォォォォ!!

電「終わってしまったのです」

響「こっちのたこやきと焼きそばも終わったね」

電「わたあめもなのです」

暁「やっぱりアンタ達あんまり興味ないわね?」


雷「それじゃあ後は金魚すくいね」

響「上手くすくえるといいな」

電「きっと大丈夫なのです!」

暁「あ、あったわ」

響「失礼するよ」

長門「よく来たな」

雷「な、長門さんまで屋台を!?」


長門「あぁ、日頃の感謝を伝えるいい機会だと思ってな」

暁「いや、でも……。周辺の哨戒とかは……」

長門「案ずるな、金剛達が頑張ってくれている」

電「金剛さん達……」

響「金魚すくい、お願いします」

長門「承知した。ほら」

暁「ふ~ん、こんな薄い紙ですくえるのかしらね?」

つんつん


電「あ、暁ちゃん。ツンツンしたら破けちゃうのです!」

暁「へ?」

ずぼっ

暁「あ……」

電「やっぱり……」

長門「ふふ、仕方ないな。ほら、もう破るんじゃないぞ?」

暁「長門さん……。ありがと!」

長門「いいさ、礼には及ばん」


雷「それじゃあ、行っきまっすよ~!」

響「了解、響、出撃する」

電「電の本気を見るのです!」

暁「暁の出番ね、見てなさい!」

雷「う~んと、ってー!」

ぱしゃん

雷「わ、穫れた!」


暁「やるじゃない! それじゃあ私も……やぁ!」

ぱしゃん

暁「ふふん、一人前のレディーだからこのくらいと、当然よ!」

響「流石だね。さて、やりますか」

ぱしゃん

響「遅いよ」

電「3人とも凄いのです……。なのです!」

ぱしゃん

電「あ……」


雷「破けちゃったの?」

電「はい……」

響「それは残念だね……」

暁「げ、元気出しなさいよ電……」

電「だ、大丈夫なのです……。とっても難しいのです」

長門「残念だったな、電。だが、ほら」

電「……え?」

長門「持って行くといい」


電「い、いいのですか?」

長門「あぁ、構わない」

雷「やったじゃない電!」

響「これでみんな1匹ずつだね」

暁「部屋の水槽で飼いましょう!」

雷「さんせー!」

響「それでは私達はこれで」

長門「あぁ」


電「…」

暁「電?」

電「あの……。あ、あのっ! ……ありがとう」

長門「ふふっ、あぁ。可愛がってやってくれ」

電「はい、なのです!」

響「おや、そろそろお祭りはお開きみたいだ」

雷「え~!?」


暁「まぁ、仕方ないわよね」

電「みんなお仕事もありますから」

雷「そうね、仕方ないわね……」

暁「楽しかった~!」

電「そうなのです!」

響「とてもいいリフレッシュに……ん? あれは……」

雷「しれーかん!」


電「え? 楽しかったか、ですか?」

暁「それは勿論!」

雷「見て! しれーかん! 長門さんの所で金魚を取ったのよ!」

響「たこ焼きもやきそばもわたあめも美味しかった」

暁「那珂ちゃんのステージもあったのよ!」


電「み、みんなそんなにいっぺんに喋ったら司令官さんが……え?」

雷「なぁにしれーかん?」

暁「いつもありがとう……って、こっちこそ、こんな風にお祭り開いて貰っちゃって……その

  ……あ、ありがと……お礼はちゃんと言えるし!」

電「司令官さん、これからも電達の事をよろしくお願いします。なのです!」





おしまい

終わりです。

浴衣の第六駆逐隊見たい。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
それではお目汚し失礼しました。

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