彼女らは最高のスクールアイドルである。
歌唱力、ダンス、パフォーマンスにおいて上を往くものはいない。
故に、全国スクールアイドルの頂点を決める『ラブライブ』において優勝を勝ち取れたことも当然なのだった。
なぜなら。
彼女らはどこか、ずっと長く他の誰もが介入できない。
そんな気持ちにさせる『何か』があるのだから。
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春、か。
新入生も入ってきて生徒会も完全に引き継がれ、特に大忙しなウチとエリチ。
開けられた窓から偶にそよぐ風にブロンドのポニーテールを揺らされ、そんなこと知らん顔でせっせと書類に修正とハンコを入れる作業中の生徒会長さんと。
それを横にエリチ曰く『物憂げ』なウチは、ただ単に窓の縁に収まる程度の新入生を見てる。
希「なあ、エリチ」
絵里「どうかした? 話しても良いけど、できれば手も動かしてもらいたいんだけど」
希「学校、どうなっちゃうんやろ?」
絵里「理事長が言ってたでしょ」
希「それでエリチは本当に」
絵里「ダメに決まってる」
希「うん」
絵里「だからなんとか、そのために生徒会長になったんだから」
希「そう、応援してるね」
絵里「じゃあその誠意を書類の処理で証明してね」
希「はーい」
嫌やな、廃校。
なんとかして廃校は阻止します。
多分、この一言が決め手となってエリチは生徒会長選挙に勝てたんやと思う。
だからこそ、その重みが今度は自分にまでのしかかってて、なんと痛々しい。
希「今日は帰りにクレープでも食べに行かない?」
絵里「クレープね、時間があればね」
なんか元気ないな、やなことでもあった?
とでも聞こうものならもっとどんよりの予感。
絵里「来年の新入生が誇れる学校にするから」
希「えっ?」
絵里「来年まで見据えた生徒会の活動をする」
希「……さすがやね」
絵里「だからもっと私が頑張らなきゃ」
希「エリチは女神様みたいやね」
絵里「女神様?」
希「うん、女神様。この学校の守ってくれる女神様や」
絵里「なれるものならなりたいわ」
希「大丈夫や、エリチならきっとな」
絵里「そう。なら頑張って仕事を終わらせなきゃね」
希「ウチも手伝う」
絵里「当たり前でしょ、でもありがとうね」
穂乃果「はうぅ……」
ことり「そ、そんなに落ち込まないで?」
海未「穂乃果の気持ちも分かりますが……」
穂乃果「だって廃校だよ!?」
ことり「うん……」
穂乃果「やだよー! 海未ちゃんとことりちゃんと離れ離れでしょ! それと穂乃果、勉強できないから学校行けないよ! そして何より……」
海未「なにより?」
穂乃果「家から遠くなっちゃうよー!」
ことり「穂乃果ちゃん、お寝坊さんだもんね」
海未「早起きすれば良いじゃないですか」
穂乃果「海未ちゃんは二度寝の誘惑を知らないの!?」
海未「小さい頃から朝は剣道の稽古がありましたから」
穂乃果「こうなったら…… 海未ちゃん、ことりちゃん!」バッ
ことり「わあ! 椅子の上に立ったら危ないよぉ?」
穂乃果「私たちの手で廃校を阻止するんだ!」
凛「かーよちん!」
花陽「ぴゃぁ!」
凛「かよちんまたアイドル雑誌を教科書に挟んで読んでるの?」
花陽「わわわ! みんなにバレちゃうから言わないで!」
凛「バレちゃダメなの?」
花陽「私なんかがアイドルなんて……」
凛「もう、かよちんは可愛いよ! どれどれー?」ヒョイッ
花陽「凛ちゃんやめてよー!」
凛「花陽「あはははっ! 捕まえてみるにゃー!」タッタッタ
花陽「待ってよー!」タッタッタ
ドンッ!
凛「にゃっ!」
「きゃっ!」
花陽「凛ちゃん!?」
凛「いてて……」
「ちょっと、なにすんのよ!」
花陽「あの、えっと……」
「気を付けなさいよね…… これ、アイドル?」
花陽「うん、アイドル情報の雑誌なの。巻末付録のアイドルオーディションに受けようと思ってなんかないよ!? ホントだよ!?」
「アイドルなんてつまらないわ」
花陽「えっ……?」
「どれも薄っぺらい曲しかないし、興味もわかないわね」
花陽「そんなこと……」グスッ
凛「かよちんにひどいこと言わないで!」
「事実よ、それじゃ室内で走り回らないようにね、小学生じゃないんだから」
花陽「うぅ……」グスグス
凛「あの子高飛車でなんか嫌にゃ!」
「……音楽室行こ」
ガチャッ バタン
「あ、やっほー」
「待ってたよ、今日の練習は何するの?」
にこ「……」
パチッ
シーン……
にこ「一人だっての」
にこ「はぁ……」
にこ「……」
にこ「にっこにっこにー?」
にこ「あなたのハートににこにこにー☆ 笑顔届ける矢澤にこにこー☆ にこにーって覚えてラブにこっ?」
にこ「……」
にこ「あっ、オークション見なきゃ。伝伝伝の入札は、っと」
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