THE 3名様 ~ラブライブ 失われた風景~ (79)

「焼肉」

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グゥ~

穂乃果「うぅ…お腹空いたね」

凛「凛、何を食べようかなぁ」

穂乃果「ラーメンでしょ?」

凛「ラーメンにゃ」

希「凛ちゃんはいつもラーメンやなぁ」

凛「希ちゃんだっていつも焼肉定食じゃん」

希「ん~まあ、ウチは…」

隣の客A「それでさ、その女の子が焼肉をバクバク食べてて」

隣の客B「ええ?女の子なのに?引くわ~」

穂乃果「うわぁ…タイミング悪っ」

希「…」

凛「希ちゃん、焼肉定食でいい?ボタン押しちゃうよ?」

希「いや…」

凛「ん?焼肉定食じゃないの?」

希「うん。ウチ…やめとくわ」

凛「え?なんで?」

希「いや…まあ…うん。焼肉定食はやめとくわ。ほら?女の子が焼肉定食ばっかり食べてるのもおかしいやん?」

凛「う~ん。でも、希ちゃんならいいんじゃない?ね?」

穂乃果「え?えっと…そうだね。別に気にしなくていいんじゃない?焼肉が好きなのを受け入れてくれる男の子だっていっぱいいるよ。たまたまだって」

希「え?……何が?」

穂乃果「え?あっ、いや」

希「いや、別にあれやって。気になんて…してないから」

穂乃果「あっ、そうだね。うん。そうだよね」

凛「え?じゃあ、希ちゃんは焼肉定食じゃなくていいの?毎回焼肉定食なのに」

希「うん」

穂乃果「ちょっ、凛ちゃん。空気読もうよ。希ちゃん気にしてるんだよ。周りの目を気にしてるんだって」

希「ちょ、穂乃果ちゃん…」

凛「ふ~ん。そんなの気にする事ないよ」

希「いや、いいわ」

凛「周りの目なんて気にする事ないにゃ」

希「本当に…」

凛「好きな物を食べなよ」

希「恥ずかしいんや。ウチやって女の子なんやからな!!」

凛「そんな事どうだっていいにゃ」

希「いや、良くないやろ」

凛「いいの」

希「良くないって」

凛「誰がなんと言おうと関係ないにゃ。女の子だからとかじゃなくて希ちゃんは希ちゃんでしょ?焼肉が好きなんでしょ?だったら食べるにゃ」

希「凛ちゃん?」

凛「好きな物を我慢してすましてる希ちゃんより好きな物を食べて笑顔になってる希ちゃんの方が凛は好きにゃ」

希「凛ちゃん…」

凛「もし、それで何か言う人がいるんならそんなのは放って置けばいいんだよ」

希「そう…やな。ウチとした事がまさか凛ちゃんに教えられるなんて」

凛「うん。そうだよ。凛も好きな物を食べるにゃ。ラーメン大盛りにゃ」

穂乃果「凛ちゃん、昨日もラーメン食べて真姫ちゃんに怒られてたよね?」

凛「穂乃果ちゃんだって食べ過ぎで海未ちゃんに怒られてたにゃ」

穂乃果「それは…」

希「やっぱり焼肉やめようかな…」

「母性」

穂乃果「ん~美味しい」

凛「穂乃果ちゃんって本当にイチゴ好きなんだね」

穂乃果「うん。そうだよ?なんで?」

凛「てっきりアイドルやってるからそれっぽい事言ってるだけかと思ってたにゃ」

穂乃果「なんでそんな事言うの?結構食べてるじゃん」

凛「だってパンとかの方がイメージ強いから」

穂乃果「まあ…パンは大好きだけどイチゴも好きなの。イチゴパフェなんて大好きなんだから。ね?」

希「そうやなぁ。夢中になってクリームが口に付いてても気付かないくらいやもんな?」

穂乃果「え?口に付いてる?」

希「あっ、手で拭こうとしたらあかんよ。もう、こっち向いて?」

穂乃果「うん」

希「もう、穂乃果ちゃんも女の子なんやからな?わんぱく過ぎるのも問題よ」フキフキ

穂乃果「えへへ。ありがと」

希「これでよしっと」

凛「穂乃果ちゃんって子供みたいにゃ~」

穂乃果「そんな事ないよ」

凛「だって…あっ」

バシャ

希「ああ…」

凛「ジュースこぼしちゃったにゃ」

穂乃果「凛ちゃんも子供見たいじゃん」

凛「そんな事ない」

希「ああ…もう。そんな事言ってないで早く拭いて。ほら、凛ちゃん服の上に垂れちゃうよ」

凛「え?ああっ」

希「ほら?ウチのハンカチ使っていいから」

凛「うん。ありがとうお母さん」

希「誰がお母さんや」

凛「え?ああ…間違えちゃったにゃ」

希「あのな…小さい子が先生とお母さんを間違えちゃうのはあるけど…凛ちゃんは高校やろ?」

凛「だって…希ちゃんってお母さんっぽいから」

穂乃果「確かに。希ちゃんってお母さんっぽい」

希「なんでや」

凛「人妻って言われても納得行くかも」

希「なんでや。嫌や。まだ恋もしてないのに」

穂乃果「でも、しょうがないよ。お母さん…じゃなかった。希ちゃんって凄いお母さんっぽいもん」

希「そんな事言ったらえりちとかだってそうやろ?」

穂乃果「絵里ちゃんは違うよ。お姉ちゃんって感じ」

凛「うん。近所のお姉ちゃんって感じだよね」

穂乃果「そうそう。お母さんはさ…希ちゃんはこう…なんて言うのかね?とにかく母性を感じる」

希「いや…もうワザとやろ?穂乃果ちゃんワザとやってるやろ?」

穂乃果「違うよ。ね?」

凛「うん」

希「そっか。ウチってそんな感じなんや。だったらこれからもう少し厳しくしなきゃあかんかなぁ。優しいだけが母性とちゃうからなぁ」

穂乃果「え?」

「母性2」

希「はあ…昨日は散々やったわ」

絵里「何かあったの?」

希「穂乃果ちゃんと凛ちゃんにお母さんっぽいっていじられて」

絵里「ふふっ。成る程ね。確かに希って母性溢れる感じがあるもんね。私もお母さんって呼んじゃおうかしら」

希「もう。えりちまで」

真姫「なんの話をしてるの?」

希「ん?ああ…真姫ちゃん」

真姫「珍しく疲れた顔して」

希「珍しくって」

真姫「それで?何があったのよ?」

希「穂乃果ちゃんと凛ちゃんがウチの事お母さんみたいっていじってくるんよ」

真姫「ああ…ちょっと分かるかも」

希「ええ?分かるの?」

真姫「少しね」

希「そうなんや。まあ、取り敢えず真姫ちゃん座ったら?」

真姫「え?そうね。はい、これママのマンゴージュースよ」

希「あありがとうな。って真姫ちゃん?」

絵里「今希の事ママって」

真姫「え?あっ、違うの。さっきの話を聞いて間違えないようにって変に意識しちゃってそしたら」カァァァァ

絵里「あるある。気をつけてると逆に意識しちゃうのよね」

真姫「そ、そうなの。だから…」カァァァァ

希「かわいい…」

絵里「え?希?」

希「あかん。真姫ちゃん可愛いわ。真姫ちゃんにだったらママって呼ばれても良いかもしれない」

真姫「は?」

希「なあ、真姫ちゃん?もう一回ウチの事ママって呼んでみて?」

真姫「い、嫌よ。絶対に言わないから」

希「え~なんで?」

真姫「恥ずかしいでしょ」

絵里「じゃあ、私の事は?」

真姫「ありえない」

「スピリチュアル」

穂乃果「ふんふんふ~ん」

凛「穂乃果ちゃん嬉しそうだね。なんかいい事でもあったのかにゃ?」

穂乃果「え?分かる?」

凛「うん。むしろ分からない人なんているのかな?何があったの?」

穂乃果「えっとね~。クラスメイトに占いに詳しい子がいるんだけどね。占って貰ったら穂乃果結構運勢良くって」

凛「え~そうなんだ。いいな~凛も占って欲しいな」

穂乃果「え?そう?お願いしてあげようか?」

凛「いいの?」

穂乃果「うん。多分占ってくれるよ」

凛「それは楽しみにゃ~」

希「……」ブス~

穂乃果「ん?希ちゃん…どうしたの?」

希「別に…」

穂乃果「変な希ちゃん」

凛「ね!」

希「……占いに興味があるならウチに言ってくれればええのに」ボソッ

穂乃果「え?何?」

希「何でもないよ」

穂乃果「ふ~ん」

凛「穂乃果ちゃん」チョイチョイ

穂乃果「ん?何?」

凛「希ちゃんの趣味」コソコソ

穂乃果「え?あっ!?」

凛「凛、希ちゃんが言ってる事聞こえてたけど…多分拗ねてるにゃ」コソコソ

穂乃果「あちゃ~。そう言う事かぁ」コソコソ

凛「うん。希ちゃんも拗ねたりする事あるんだね」コソコソ

希「……」ツーン

穂乃果「凛ちゃん」コソコソ

凛「うん」コソコソ

穂乃果「あ~でも、あれだよね?やっぱり占いって言ったら希ちゃんだよね?」

凛「そうだよね~。ねえねえ、希ちゃん。凛の事占ってよ」

穂乃果「穂乃果も希ちゃんに占って欲しいなぁ」

希「え?」

穂乃果「え?占ってくれるの?」

凛「テンション上がるにゃ~」

希「なんや、仕方ないなぁ~…なんてな。穂乃果ちゃんも凛ちゃんも結構優しいなぁ」

穂乃果「え?」

希「気ぃ使ってくれたんやろ?ありがとうな」

穂乃果「え?あはは…」

「素顔」

穂乃果「ってな事があってね」

海未「希がですか?なんだか意外ですね」

穂乃果「だよね?希ちゃんってほらそんなイメージなかったからさ」

絵里「ふふっ。別にそんな事はないのよ?」

穂乃果「え?そうなの」

絵里「飄々としてる様にみせて割とすぐに拗ねたり嫉妬したりするんだから」

穂乃果「へ~」

絵里「ただ、希がそう言う事する相手って本当に心を許している相手だけなのよ。今回穂乃果達にそんな姿を見せたって事は…」

穂乃果「って事は…」

海未「と言う事ですよね?」

絵里「うん。私と希がμ’sに加入して二ヶ月ちょっとだけど…希にとってあなた達はもうそう言う存在って事なのよ」

穂乃果「そうだったのかぁ。なんかちょっと照れちゃうね」

海未「そうですね」

穂乃果「絵里ちゃんは希ちゃんの事良く知ってるんだね?」

絵里「そりゃあね。気づけば横にいるのが当たり前になってたし」

海未「二人はいつからの付き合いなのですか?」

絵里「高一からよ」

穂乃果「え?そうなの?」

海未「てっきり、もっと前からだと」

絵里「二人に比べたら私と希の過ごして来た時間は短いかも知れないけどね。でも…希が私の特別になるまでそう時間は掛からなかったわ」

穂乃果「そっかぁ。そうだね」

絵里「だから、希の色々な一面を見て来たし私も色々と見られちゃったりもしたのね」

穂乃果「そうなんだ」

絵里「ええ。この先もっと希の意外な一面を見る事があると思うわよ?」

穂乃果「ひゃ~、それは楽しみだね?」

海未「そうですね」

絵里「私も二人の意外な一面…楽しみにしてるわね?」

「胸」

凛「ねえねえ?そう言えばことりちゃんはさ」

ことり「ん?なあに?」

凛「昔からスポーツとかしてたの?」

ことり「してないよ~。どうして?」

凛「ことりちゃんのそのスタイル!出るところは出てキュッとする所はキュッとしてるから昔から運動してたのかなぁって思ったんだけど」

ことり「ん~…特に何もしてないけどなぁ」

凛「そうなんだ。じゃあ、何でこんな不公平な感じになるんだろうね?」

ことり「不公平って…どういう事かな?」

凛「そのままの意味だよ。希ちゃんは何かやってたの?」

希「ん?何かって?」

凛「その主張の強いお胸は努力なくして出来る物なのかなぁって」

希「あ~そういう事。そうやなぁ…何もしてへんけどなぁ」

凛「えー希ちゃんも?ことりちゃんも希ちゃんも何もしてないのかぁ。そうなってくると凛の将来は絶望的だなぁ」

ことり「だ、大丈夫じゃないかな?」

凛「本当に?がっかりしない?」

ことり「えっと…」

希「ん~…しいて言えばだけど」

凛「え?やっぱり秘訣があるの?」

希「秘訣って程やないよ?ウチは昼寝が趣味って言うほど寝るのが好きやから。ほら?寝る子は育つって言うやろ?」

凛「なるほど!目から鱗だったにゃ」

希「そやろ?皆んな中々気づかないんよ。な?ことりちゃん?」

ことり「え?ん~そうだね」

凛「よ~し。じゃあ、これから凛もお昼寝いっぱいしよう!あれ?でも、穂乃果ちゃんも寝るの大好きだし海未ちゃんも規則正しく生活してるから睡眠時間はちゃんとしてるはずだよね?」

希「だから穂乃果ちゃんもそれなりに成長してるやろ?」

凛「海未ちゃんは?」

希「……まあ、個人差があるんやない?」

凛「なるほど」

ことり「それを、言い出しちゃったら…あはは」

「あれから…」

穂乃果「それでね、海未ちゃんたらああ見えて可愛いからさ。ほのかぁ…これ炭酸ですぅ。シュワシュワが嫌いなんです。代わりに飲んでくださいって言うんだよ?」

希「え~本当にそんな言い方したの?盛ってない?」

穂乃果「少し…」

凛「あ~穂乃果ちゃん嘘つきにゃ~」

穂乃果「嘘はついてないよ。少し盛っただけだもん」

凛「そう言うのを嘘って言うんだよ」

穂乃果「そんな事ないよね?それくらいセーフだよね?」

希「あはは。まあ、面白ければええんやない?」

あれから10年…。

キーンコーンカーンコーン

絵里「はい。今日はここまで。日直、号令」

生徒「礼」

絵里「ふう。それじゃあ、日直はノートを集めて職員室まで持ってきてね」

生徒「先生!」

絵里「どうしたの?」

生徒「先生がこの学校の生徒だったって本当なんですか?」

絵里「ええ。そうだけど?」

生徒「じゃあ、アイドルをやってたって事も?」

絵里「げっ。それをどこで?」

生徒「私にアイドルを教えて下さい」

絵里「教えてって言われても…」


絵里ちゃんは高校で教師をやってるらしい。しかも、アイドル研究部の顧問まで担当してるみたい。

希「で?生徒にバレて顧問をやる事になったんや?」

絵里「そうなのよ。この時期は新入生を迎える準備やらなにやらで忙しいのに…」

希「え~なのに飲んでてええの?」

絵里「飲まなきゃやってらんないわよ」

希「本当は嬉しい癖に」

絵里「良いわね希は。私に黙って素敵な彼まで見つけちゃて」

希「だからちゃうって。仕事の相談をするついでに食事に行ってただけで…」

絵里「どうだか。あ~あ~、どうしてこんな美人を皆んな放って置くのかしら」

どうやら、希ちゃんは公私共に順風満帆らしい。


司会者A『星空選手は新記録を出した時はどんな気分だったんですか?』

凛『ん~…そうですね。全然緊張してて覚えてないんですけど』

司会者A『星空さんは学生時代アイドルをやってたんでしょ?』

凛『あ~はい。スクールアイドルをやってて。ラブライブって大会にも出ました。』

司会者A『そん時とこないだの大会とどっちが緊張しました?』

凛『え~どっちも緊張したけど…ラブライブの時は皆んながいてくれたので大丈夫でした』

司会者A『……』

司会者B『ごめんな?こいつそう言う良い話だいっきらいやねん』

凛『え~酷いにゃ~』

司会者A『なんやねん、そのにゃ~ってのは』

希「凛ちゃんまたテレビ出てるな」

絵里「そうね。私達の中で一番出世したのは凛ね」

凛ちゃんは体育大学で始めた陸上で素晴らしいコーチと出会いなんとオリンピックにまで出場した。

海未「遅くなりました」

希「あっ!海未ちゃん。もう大丈夫なん?」

海未「はい。家事も子供の面倒もあの人に任せて来ちゃいました」

希「え?大丈夫なん?」

海未「はい。たまには息抜きして来いと言ってくれましたから」

絵里「あ~あ~、なによ~。幸せそうね~」

希「もう、えりち。からみ酒は禁止やって」

絵里「だって~」

海未ちゃんは大学で出会ったサークルの先輩と結婚。今では二人で道場の看板を守ってる。

海未「真姫と花陽はまだですか?」

希「それがな…」

絵里「真姫は仕事が忙しいから遅くなるんですって」

海未「まあ、将来の医院長ですからね」

希「そう言うことやね」

看護師「はい、コーヒーです」

真姫「ありがとう」

看護師「勉強中ですか?精が出ますね」

真姫「ええ。いつまでも研修医気分じゃいけないから」

真姫ちゃんも日々奮闘中。

希「花陽ちゃんもほら?二人目が生まれたばっかりやし」

絵里「なによ。もう。皆んなして幸せそうでなによりだわ」

花陽「はい、皆んなご飯ですよ~。ふふっ」

子供「わ~白米だ~」

子供「美味しそう~」

花陽「それじゃあ、おててを合わせて?頂きます」

花陽ちゃんはなんと二児の母。すっかりお母さんが板についたみたい。

ことり「ごめん~。遅くなりました~」

海未「あっ、ことり」

希「おおっ!今回の主役がやっと登場やな」

ことり「ごめんね。さっき日本に到着したの。元気だった?」

海未「はい。ことりも元気そうで」

絵里「どう?あっちの生活にはもう慣れた?」

ことり「うん。あっ!絵里ちゃん!それ私がデザインした奴だよね?付けてくれてるんだ?嬉しい」

ことりちゃんはなんと世界で活躍するデザイナーに。それはもう大人気らしい。

ことり「今日は家に帰らないで直接来ちゃったんだけど…お母さんは元気だった?」

絵里「ええ…元気よ。連絡取ってないの?」

ことり「忙しくて中々…。でも、明日には会うんだけどね」

絵里「そうなのね」

絵里「真姫と花陽は遅れて来るから。凛ももしかしたら来れるこもって」

ことり「にこちゃんは?」

希「にこっちは…」

にこちゃんは…アイドルの夢を諦めずに挑戦してるとか…芸能事務所の敏腕マネージャーになったとか…。最近、にこちゃんに似てるアーティストがデビューしたって話を風の噂で聞いたけど…。

ことり「そうなんだ」

絵里「ええ…」

ことり「所で…穂乃果ちゃんは?」

絵里「ことり…何も聞いてないの?」

ことり「え?」

そして、私はと言うと…。

絵里「はい。それじゃあ、皆んな席について。皆んな私の事はもう知ってると思うので自己紹介は省略しますが…後はお願いします。」

ガラガラ

穂乃果「皆さん。初めまして。高坂穂乃果です。このクラスの副担任を担当する高坂穂乃果です!!!!」

穂乃果「ってな感じかな?10年後」

絵里「なんで私が男日照りしてる設定なのよ」

穂乃果「いや~…イメージ?」

にこ「私はどうなったのよ。私は!」

穂乃果「さあ?謎?」

にこ「なんでよ!って言うかあんたが教師とかあり得ないから」

穂乃果「え~分からないじゃんか」

「うなぎ」

希「ウチは焼肉定食にしようかな」

穂乃果「やめたんじゃなかったの?」

希「うん。寝たら気にならなくなったんよ」

穂乃果「なるほど。あるある」

花陽「え?納得しちゃうの?」

穂乃果「かよ神様は何をお食べになられるんですか?」

花陽「その呼び方やめてよぉ」

希「穂乃果ちゃん敬語の使い方変やない?」

穂乃果「そう?」

希「うん」

花陽「私は…今日は土用の丑の日だから鰻丼を食べようかな」

穂乃果「あ~そっか。今日は土用の丑の日かぁ。今日は土曜日じゃないのにね」

希「その土曜ちゃうからね。立夏・立秋・立冬・立春の直前約18日間の事を土用って言うんよ。で、その土用の中の干支の丑の日の事を指してるんよ」

穂乃果「へ~なるほど」

希「穂乃果ちゃん分かってないやろ?」

穂乃果「分かってるよ。こう見えても老舗の娘だよ?」

花陽「それは関係ないような…」

希「便利な言葉やな。老舗の娘って…」

穂乃果「で?なんで土用の丑の日に鰻を食べるの?」

希「それは色々と説はあるんやけど。一番有名なのは平賀源内やな」

穂乃果「ひらがげんない?誰?」

希「え?そこから説明せなあかんの?」

穂乃果「そんな人知らないよね?」

花陽「竹とんぼの発明者の人だよね?」

穂乃果「え?そうなんだ?花陽ちゃん物知り~」

希「いや…そうかも知れんけど…普通エレキテルが先に出てくるやろ!なんで急にボケようと思ったん?花陽ちゃんはボケちゃあかんやろ」

花陽「ご、ごめんなさい。そう言うつもりじゃ…」

穂乃果「ふ~ん。で?そのひらがげんなーって人が何したんだっけ?」

希「源内な!夏に鰻が売れなくて困ってる鰻屋に相談されてな。店先に本日丑の日って看板を出すようにアドバイスしたんよ。そしたら、たちまち鰻が売れて気づいたら土用の丑の日は鰻を食べる様になって行ったんよ。あくまで諸説やけどな」

穂乃果「へ~じゃあ、源内って人のお陰でなんでもない日に鰻を食べれる様になったんだ!感謝だね」

花陽「そうだね。源内さんが言ってくれなかったら鰻なんて滅多に食べれなかったよね」

希「あ~そうやなぁ。二人はそうやろなぁ」

「必殺技」

穂乃果「必殺技が欲しい」

海未「はあ?」

穂乃果「だから、穂乃果も必殺技が欲しいよ」

海未「頭大丈夫ですか?」

穂乃果「酷っ。大丈夫だよ」

海未「はあ…そうですか」

希「必殺技って…かめはめ波ーーーーとかアバンストラッシューーーーーとかペガサス流星拳ーーーーーみたいなやつ?」

穂乃果「そう!そう言うの」

海未「よくファミリーレストランでそんな大きな声を出せますね。私帰っても良いですか?」

希「で?穂乃果ちゃんはなんでそんな考えに至ったん?」

穂乃果「え?ほら…海未ちゃんとかもさそう言うのあるじゃん。ラブアローシュートとかさ」

海未「はい?なんの事ですか?」

穂乃果「いや…とぼけなくていいよ。バレてるからさ」

海未「……」カァァァァ

穂乃果「穂乃果もそう言うのがあればさライブで使えると思うんだよね」

希「穂乃果ちゃんだってあるやん。ほら?なんやったっけ?ファイトやん?ってやつ」

穂乃果「ファイトだよっ!!でしょ?アレンジしないでよ」

希「それじゃ不満なの?」

穂乃果「だってさ、必殺技感がないじゃん。ファイトだよって…どう考えても補助技じゃん。MP使って能力上げるだけじゃん」

希「知らんよ。なくてもええやん。そもそもアイドルに必殺技なんか要らんからな」

穂乃果「希ちゃんだってあるじゃん。希パワー注入とか言って」

希「あれだってそれこそ補助技やんか。パワー注入して攻撃翌力アップするだけの奴や」

穂乃果「じゃあ、希ちゃんも必殺技考えた方がいいんじゃない?」

希「なんでそうなるんや…。まあ、でも一つくらいあってもええけど」

穂乃果「でしょ?海未ちゃんはラブアローシュートをどうやって考えたの?」

海未「え?」

穂乃果「いつ考えたの?何歳の時?名前の由来は?他に必殺技あるの?皆んなのハート撃ち抜くって一撃必殺?」

海未「やめて下さい。やめて下さい。やめて下さい」

穂乃果「え~いいじゃん。教えてよ~」

海未「これ以上言うのであれば、私の息の根を止めるか…あなたの口を封じるかしかありません」

穂乃果「え?……ごめん」

希「穂乃果ちゃん。もうやめよう」

「巨乳」

希「あ~…あかん」

絵里「どうしたの?」

希「どうも肩が凝ってしまってな」

絵里「希も?」

希「うん。やっぱりえりちも肩凝り酷い?」

絵里「そうなのよ。嫌になっちゃうわ」

にこ「……そんな物つけてるからいけないのよ」

希「え?そんなもの?そんなものってなんの事やろうなぁ?えりちとウチにあってにこっちにないもの…あっ!胸囲?」

にこ「くっ…なによ。自慢しちゃって」

絵里「いいじゃない。大きいと結構大変なのよ?むしろにこが羨ましいわ」

にこ「なんですってぇ」カチン

希「ん?」

にこ「黙って聞いてればバカにしてぇ」

希「黙ってなかったやろ」

にこ「くぅ…月夜の晩は背後に気をつけるのね」

絵里「はあ?何をするつもりよ」

にこ「丑三つ時にあんたらの胸が小さくなる様呪っやるぅ」

希「あかんてにこっち。人を呪わば穴二つやって」

にこ「全員貧乳になるなら本望よ」

希「にこっち…これ以上平らになったら大変やん」

絵里「ちょっと…希」

にこ「帰る…」バン

希「…」

絵里「…」

にこ「…止めないの?」

希「え?ああ…帰るの?」

にこ「帰るわよ。じゃあ」

絵里「…希。からかいすぎよ」

希「えりちだって一緒になってからかってたやん」

「巨乳2」

穂乃果「で?にこちゃんが怒ってる原因は二人なわけね?」

絵里「二人っていうか希よ」

希「ちゃうやん。えりちだってにこっちの事いじったやん」

穂乃果「もう。どっちが言ったとかいいからさ」

絵里「はい…」

希「おっしゃる通りです」

穂乃果「おっぱいの事で仲違いなんて最悪だよ?」

絵里「まあ…」

穂乃果「二人はおっぱいがでかいからさ」

絵里「あの…穂乃果…。お店の中なんだから大きな声でおっぱいおっぱいって言わないで?恥ずかしいわよ。女子高生なのよ?私達」

希「そうやなぁ。えりちも大きな声でおっぱいおっぱい言ってるけどな」

穂乃果「取り敢えず謝った方がいいよ」

希「なんて?」

穂乃果「え?この度はにこちゃんのおっぱいをバカにしてごめんねって」

希「余計怒りを買うやろ」

絵里「そうよ」

穂乃果「でも、なんで謝っているのかをちゃんと言わなきゃいけないし。そうすると避けては通らないよ?」

絵里「そうだけど…」

穂乃果「そうだけど…じゃないよ」

絵里「じゃあ、どうすればいいの?」

穂乃果「だから…もっとにこちゃんのおっぱいを尊重しなきゃダメだよ」

絵里「別ににこのおっぱいを蔑ろにした覚えはないけど」

希「なあ?軽くいじっただけやん」

穂乃果「してるよ。それがダメなんだよ」

希「でも、穂乃果ちゃんや凛ちゃんだって言うやろ」

穂乃果「穂乃果達は別にいいんだよ。だって、おっぱい大きくないから」

希「なっ…」

穂乃果「分かった?二人がそれを揺らす度ににこちゃんや凛ちゃん、海未ちゃんを刺激してるって事が」

絵里「で、でも…私達だって好きでこんな…」

穂乃果「絵里ちゃん…これ以上は酷だよ?穂乃果でも傷つくもん」

絵里「そんな…」

穂乃果「いい?にこちゃん達にとって二人のおっぱいは存在するだけで傷つくんだよ。だから、せめて…せめて…ね?」

絵里「そうだったのね。私ったら何も考えず無神経な事ばかりして…」

穂乃果「大丈夫。誠意を見せればにこちゃん達も許してくれるよ」

絵里「そうね。誠意か…」

穂乃果「かぼちゃを持ってってもダメだからね」

希「………」

希(この流れ…ウチ等はにこっち以外にも謝らなきゃあかんのか?)

「巨乳3」

にこ「何の用なのよ?にこは忙しいんだけど」

絵里「あ、あのね…にこに悪い事しちゃったなって」

にこ「は~ん。そう。やっと分かったのね」

絵里「ええ。反省したわ。ね?」

希「え?ああ…そうやな」

にこ「ふ~ん。で?」

絵里「本当にデリカシーがなかった。にこがその小さな胸で悩んでいるのに」

にこ「はあ?あんたケンカ売ってるの?」

絵里「え?だって…それで怒ってるんでしょ?」

にこ「そうだけど。違うのよ。あんたは何か違うのよ」

希「だから言ったやん。穂乃果ちゃんの言う事を間に受けたらあかんって。あれ途中から穂乃果ちゃんも感情的になってたんやから」

絵里「じ、じゃあどうすればいいのよ?」

希「ウチ等が謝ったって嫌味に聞こえるだけなんやから。な?にこっち?辛かったな」

にこ「だからって同情するんじゃないわよ」

希「あれやからな?胸が大きくてもあんまりいい事ないよ?肩は凝るし可愛い下着は少ないし。下を向いても胸が邪魔して見えないんやから。な?」

にこ「馬鹿にしてんの?何よ。もうにこ帰る」

希「…」

絵里「…」

にこ「だからなんで止めないのよ」

希「え?ああ…ごめん」

絵里「にこ、まだご飯残ってるわよ?」

にこ「止め方が違うでしょう。何よ?ご飯が残ってるって」

絵里「えっと…じゃあ、どうすれば許してくれるの?」

にこ「そうね。あんた達の胸が縮む事があったら笑って許してあげるわよ」

絵里「ごめんなさい。にこ、それは出来ないわ。私のおっぱい…胸を小さくする事は…」

にこ「分かってるわよ。冗談で言ったんでしょうが。何?天然なの?マジなの?マジならあんたヤバイわよ?」

絵里「はあ?あのねぇ、さっきから人が下手に出て頭を下げてれば調子に乗っていい加減にしなさいよ」

にこ「いつ頭を下げたのよ。いよいよ本性を表したわね。全然悪いなんて思ってなかったんじゃない」

絵里「思ってたわよね。思ってたけどにこがガタガタ言うからいけないんじゃない。私だって好きで巨乳やってる訳じゃないのよ」

にこ「はあ?よくそんな事にこの前で軽々しく言えるわね。デリカシーどこに置いてきたのよ」

絵里「置いて来てないわよ。少なくともあなたよりはあるつもりだけど」

にこ「はあ?じゃあ、何?にこにデリカシーがないって言いたい訳?」

絵里「そんな事は一言も言ってないでしょ」

にこ「言ったじゃない」

希「な~おっぱいの事でケンカするのホンマにやめようよ。流石のウチも周りの目が気になって恥ずかしいわ」

「寂しくなった時には…」

寂しくなったら私は星を見上げる。

お父さんとお母さんが同じ星を見てる様な気がして

そんな事を思っていたら余計寂しくなって

誰かに会いたくて会いたくて仕方がなくなって

私は携帯電話を手に取る。

気取られまいと声を作って

適当な嘘を並べて電話を切り

踊る様な足取りで玄関へ向かう。

もう、外はすっかり暗くなっていると言うのに

お気に入りの靴を履いて外へ出る。

すっかり馴染みになったファミリーレストラン。

どうやら私が一番乗りらしい。

仕方ない。中でコーヒーでも飲んで親友を待つ事にしよう。

いらっしゃいませ。何名様ですか?

3名で。

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