女「貴方、人を殺したわね?」(38)

男「えっ…?」

女「ふふ、こんにちは」ニコ

男「ひゃっ?!」ビクッ

女「…凄い驚き方ね」

男「い、いつからそこに…?」

女「5分前くらいかしら」クス

女「それよりも質問に答えなさい」

男「殺したことなんてないよ…」スッ

女「どうして視線を逸らすのかしら?」

男「例え殺していたとしても君には教えない」

女「それもそうね…お隣いいかしら」ストン

男「…もう座ってるし」

女「屋上には何か用事?」

男「君こそどうして屋上に?」

女「質問を質問で返さないで」

男「…空を眺めたくて」

女「あら、素敵ね」クス

女「私は誰か飛び降り自殺をしないか待っていたのよ」

男「…………」

女「ここは笑うところよ?」ニコ

男「全然、笑えないよ」

女「あら、私もまだまだね」

男「…君、誰なの?」

女「私は貴方の隣のクラスの女よ」

男「女、さん…」

女「さん、はいらないわ」

男「えっと…」

女「変わりに様を付けなさい」

男「………」

女「もちろん冗談よ?」ニコ

男(笑えない)

女「貴方は男くんよね?」

男「うん、知ってるんだ…?」

女「もちろん、有名人だもの」

男「………」

女「男のくせに女にしか見えない奴、周りはみんなそう言ってたわ」

男「ははっ…実際、初対面の人には必ず女と間違えられるからね」

女「えぇ、貴方ほんとに可愛いわ」ニコ

男「嬉しくないよ…」

女「ちゃんと付いてるか、とても気になるわ」

男「付いてるって、何が?」

女「何って、ナニよ」

男「??」

女「これよ」サワ

男「ひゃぅ?!」ビクッ

女「…ほんとに女の子みたいね」クス

男「い、いいいいきなりどこ触って…?!」

女「ちょっと確認しただけじゃない」

男「普通は確認しないよね?」

女「それは、貴方が『普通』じゃないからよ」

男「…ぼ、僕は普通の男だよ!」

女「確かに、貴方のナニは驚くほど立派だったわ」ニコ

男「う、うるさいよ!」バッ

ガチャン

女「ちょっと、苛め過ぎちゃったかしら」クス

女「それにしても…あの瞳」

女「隠していても僅かに感じとれる、殺気」

女「…面白い子を見つけたわ」

翌日 屋上

女「男くぅーん!昨日ぶりだね♪」

女「会えなくて寂しかったよ!」

男「………」

女「唖然としてるわね」

男「…頭、大丈夫?」

女「酷い心配の仕方ね」クス

男「変な人」

女「それは貴方に言われたくないわ」

女「また、空を眺めにきたの?」ストン

男「………うん」

女「…貴方、嘘が下手ね」ハァ

男「え?」

女「私に苛められに来たんでしょ?」

男「………」

女「あら、冷たい視線をありがとう」ニコ

男「僕をからかって楽しい?」

女「からかっているのではなく苛めているのよ?」

男「もっと酷いよ、それ」

女「陰口よりは、ずっとマシでしょ?」

男「………まぁね」

女「貴方にお願いがあるの」

男「何?」

女「貴方の女装がみたいの」ニコ

男「…嫌」

女「あら、残念」ヌギ

男「な、何で脱いでるの?」

女「強行突破しかないわね」バサ

男「っっ…!//」

女「ほら、貴方も脱ぎなさい」プチ

男「や、やめっ……」バサ

女「やっぱり、似合うわね」クス

男「………死にたい」

女「あら、貴方のナニは生きたいみたいよ」ギュム

男「あっ…ん…!」ビク

女「男性の勃起は初めて見るけれど、随分大きくなるのね」ニギ

男「さ、触んないでよ!」バッ

女「あら、痛かったかしら」クス

女「それにしても女装して勃起してしまうなんて、貴方変態ね」ニコ

男「ち、ちがっ…!」

女「勃起したまま否定されても…」

男「っ…!は、早く服返してよ!」

女「嫌よ、これは私のオカズだもの」

男「オカズ?」

女「…意味が分からないんじゃ、冗談にすらならないわね」ハァ

放課後

男(何とか服は返して貰えた…)ハァ

男(女さんって不思議な人だなぁ)

男(全然、掴み所がなくて…どう接して良いか分からないよ)

ニャー…

男「…猫?」

路地裏

男「…………」

黒猫「…………」プルプル

男「酷い怪我だね」ナデ

黒猫「ニャー……」

男「…君、助からないよ」

男「こんなに血が出て…近くに治療できるとこもない」

男「絶望的だね」

黒猫「…………」ピクピク

男「僕に知識があれば良かったんだけどね…」

黒猫「…………」ピクピク

男「痛くて苦しくて辛いよね…」

男「大丈夫、僕が楽にしてあげるから」スッ

黒猫「……ニャァ」

男「ごめんね…」ヒュン

グチャ

男「………」スタスタ

女「優しいのね、貴方」

男「…居たんだ?」

女「えぇ、血がついてるわよ」フキ

男「…………」

女「その猫、どうするつもり」

男「埋めるよ…ちゃんとね」

女「あら、勿体ない」クス

男「……勿体ない?」

女「そのまま持って歩くには人目につくわ」

女「このビニール袋に入れなさい」ガサッ

男「…………」ドサッ

男「勿体ないって、どういうこと?」スタスタ

女「その黒猫は飼い主に酷い虐待を受けて捨てられたの」

女「捨てられたからと言って飼い主は飼い主よ」

女「ちゃんと返してあげないとね」ニコ

男「返す…?」

女「えぇ、私に付いてきて」

男「…………」

────
───
──

女「ここが飼い主の家よ」

男「何で知ってるの?」

女「風の噂よ」ニコ

男「…………」

女「そのビニール袋を玄関の前において」

男「うん…」ドサッ

女「さぁ、感動のご対面よ」クス

ピンポーン

女「隠れて…」ガサ

男「…………」ガサ

ガチャ

飼い主「……だれぇ?」

男(えっ…?)

飼い主「なんだろ、これ」ガサ

グチャ

飼い主「えっ……」

黒猫「」

飼い主「…ぁ…っ……」ガタガタ

飼い主「きゃぁぁぁ?!!」ドサッ

女「………行きましょ」ボソ

公園

女「漏らしてしまうほど再会したのが嬉しかったみたいね」クス

男「ねぇ…あの猫の飼い主って…」

女「えぇ、あの8歳の少女よ」

男「あの子が猫を…」

女「彼女は親から虐待を受けていたの」

女「何もかも限界で…何かに感情をぶつけたかったんでしょうね」

男「そう…」

女「全く怖いわね、人間───」

男「なら、仕方ないね」

女「…………」

男「もう帰るね、また明日」スタスタ

女「…えぇ、また明日」

女「………」

女「ほんとに怖いわね、人間って」

翌日 屋上

女「今日も来てたのね」ニコ

男「飛び降りる人なんていないと思うけど」

女「あら、それは分からないわ」

女「もしかしたら貴方が飛び降りるかもしれないし」クス

男「僕は飛び降りないよ…」ハァ

女「そう、ならいいけど」ピト

男「………近いよ」

女「だって寒いんだもの」スリ

男「中に入りなよ」

女「嫌よ、あんな酸素の薄いところ」

男「学校の中は暖かいよ?」

女「こうしていれば暖かいわ」ギュ

男「っ…」ピク

女「貴方、女性に対する耐性が無いのね」クス

男「無くて悪かったね…」

女「あら、そういうところも可愛いわよ」ナデ

男「ぅ…//」

女「ねぇ、男くん」

男「何?」

女「キスしてみない?」

男「………え?」

女「キスしたいの」ギュ

男「また…冗談でしょ?」

女「残念だけど、本気よ」ピト

男「………?!」ビク

女「ふふ、敏感ね」

男「そ、そんなこと………」

女「………」チュッ

男「……んっ」

女「…どう?」

男「……柔らかいね」

女「素直ね」クス

男「何で急に…?」

女「説明してもいいけど、今はキスに集中させて?」

男「まだ、するの?」

女「勿論」クス

女「んっ…はぁ…」チュッ

女「口を開けて…舌を出して」

男「はぁ…はぁ…う…ん」

女「いい子ね…」ニュル

男(体が暑い…ボーっとして頭が真っ白になる)

女「んん…ふぅ…可愛い」チュプ

男「んっ…女さんもね」

女「…ふふ、ありがとう」チュッ

男(首に痣がある…あの痣は…)

───
──


女「ちょっと激し過ぎたかしら」

男「はぁ…はぁ…はぁ…」

女「大丈夫?」ナデ

男「…ねぇ、その首の痣」

女「…………」ピタ

男「……何でもない」

女「そう……」

女(ほんとに優しいのね)

放課後 女の家

ガチャン

メイド「お帰りなさいませ、お嬢様」ペコ

女「えぇ、ただいま」

女「あの人は帰ってるの?」

メイド「はい、奥の部屋に…」

女「…そう」

女「ねぇ、メイドさん」

メイド「はい」

女「貴方、もっと笑顔の練習をするべきだわ」ニコ

メイド「………」

トントン

女母「入りなさい」

ガチャ

女「お久しぶりです、お母様」

女母「そうね、どうせこの後すぐに戻るけど」

女「それは寂しいです」クス

女母「…相変わらずね」

女「お母様も」ニコ

女母「こっちに来て、ベッドに横になりなさい」

女「はい」

ドサッ

女「…………」

女母「…………抵抗しないのね」ギシ

女「しても仕方ないので」

女母「そう…良い子ね」スッ

女(…仕方ない、か)

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