オタク「すいません。全くモテないのでリアルな美少女ロボください」(339)

―――秋葉原

「どうぞー♪」

オタク(……メイド喫茶とかマジ行き飽きたっつーの)

「どこいくー?」

「ショップ行こうぜ」

オタク(リア充がアキバにきてんじゃーねよ、カス)

オタク「あーあ……つまんね」

「どうぞ」

オタク「はい……」

オタク(ん……?リアルな美少女ロボ……売ります……?)

―――研究所

オタク「こ、ここかな……?」

オタク「……」ピンポーン

『はい?』

オタク「あ、あの……ビラ見て……」

『どうぞ。開いてます』

オタク「……」

オタク(なんだ……詐欺か……?)

オタク(まあ、詐欺なんかに捕まる俺じゃないけどな……フヒヒヒ)

オタク「……」スタスタ

博士「―――ようこそ。我が研究所へ」

オタク「……」キョロキョロ

博士「はははは」

オタク「な、なんだよ?」

博士「眼鏡に脂ぎった顔。恰幅のいい体型。背中にはリュックサック。すばらしい。絵に描いたようなオタクですね」

オタク「ちょ、ちょっと失礼じゃ……ないですか……?」

博士「いやぁ。すまない。ああ、どうぞ座って」

オタク(ちっ……初対面の客に対してなんて言い草だ。あとでネットに晒してやる)

博士「で、ビラを見てここへやってきたそうですね」

オタク「あ、ああ……はい……」

博士「どういった美少女をお求めかな?」

オタク「ま、まってください……ま、まずは……どれぐらいのクオリティなのか……を……」

博士「あー、確かに。失礼しました。そうですよね。伴侶になるかもしれないのに、造形の確認なしには決められませんよね?」

オタク「は、はい」

博士「どうぞ。別室に今、製作中の美少女ロボがいます。それをお見せしましょう」

オタク「おぉ……?」

博士「どうです?」

ロボ「……」

オタク「こ、これ……本当にロボットなのか?」

博士「勿論です」

オタク「信じられない……人間じゃないのか?」

博士「足、外せますよ?」カポッ

オタク「おぉ……本当に機械だ……」

博士「信じていただけましたか?」

オタク「でもなぁ……こ、これだけじゃあ……」

博士「そうですね。では、この子で起動テストを行いましょう」ピッ

ロボ「……おはようございます」

オタク「おぉぉ……!!」

博士「我々はリアルを追求した美少女ロボを開発しています。貴方が望む最高のロボットを提供するとお約束しましょう」

オタク「で、でも……お高いんでしょう……?」

博士「いいえ。料金は後払いで結構です」

オタク「え?」

博士「実際、3ヶ月交際して気にいらなければ返品してもらっても結構です。代金のご請求は半年後で構いません」

博士「むろん、返品する場合、代金はお支払い頂かなくていいです」

オタク「そ、それって……3ヶ月以内なら……ロボットと何してもいいのか?」

博士「はい」

オタク「でも……」

博士「心配しなくても、夜の営みも可能です。事後洗浄もロボットが勝手に行います」

オタク「そ、そうですか」

博士「メンテナンスフリー、3ヶ月は無料使用可、リアルな彼女がすぐに手に入る。どうですか?今すぐ欲しくなったのでは?」

オタク「料金は……?」

博士「一体につき1千万円からとなっています」

オタク「あ……そ、そんなに払えない……」

博士「勿論、分割でも構いませんし、それに……彼女たちは自分から労働もしますよ?」

オタク「え……労働……?」

博士「何せ……リアルですからね。まず、ロボットだと見抜ける人間はいません」

博士「私だって都会に紛れた彼女たちを見分けることなんて不可能ですから」

オタク「……」

博士「借金やローンなんてロボットに稼がせて、返済したらいいんですよ」

オタク「そ、そんなこと……」

博士「さあ、どうします。あとは貴方次第です。この契約書にサインをするかどうか」

オタク「……」

博士「どうします?」

オタク「い、一回家に帰って……考えても、いいですか?」

博士「それはご自由にどうぞ」

オタク「じゃあ……失礼します……」

博士「またどうぞー」

オタク(よく調べてから決めないとな……)

オタク(ネットで調べてみよう……)

自宅

オタク「……」カタカタ

オタク「あ……出てきた……あの研究所のスレまであるのか……」

<あの研究所のロボット今日届いたwwwwwwwwwwwwマジリアルwwwwwwwwwwwww

<うはっwwwwwwwwwwこれはヤバいwwwwwwwww今日、童貞やめるわwwwwwwwww

<詳細

<まず研究所にいけ。詐欺じゃないから

<俺のロボットちゃんうp

オタク「おぉ……すげぇ……マジかよぉ……」

オタク「これは……安全っぽいな……」

オタク「そうだ……3ヶ月で切ればいいだけの話だしな……」

オタク「よし……」

オタク「……」トゥルルル

『はい?』

オタク「あ、あ、あの……リアルな美少女ロボを買いたいんですけど……」

数日後 研究所

博士「では、この用紙に記入事項を書き込んでください」

オタク「こ、これは……?」

博士「ロボットの容姿、性格、癖、普段の挙動、趣味嗜好などなどを書いて欲しいのです」

オタク「こ、こんなに項目があるんですか……?」

博士「お客様のご要望にお応えしてこそのリアル美少女ロボットですから」

オタク「なるほど……」

博士「まずは髪の色、長さを選んでください」

オタク「黒髪ロング……っと」

博士「眼鏡の有無やそういうことも決められますよ?」

オタク「おぉ……」

博士「まあ、時間がかかると思いますのでゆっくりと、じっくり考えてくださいね?」

オタク「わ、わかりました……」

博士「では……」

オタク「性格は……大人しくて……えっと……でも自分には素直で……」カキカキ

オタク「―――で、できた」

博士「拝見します。ほほう……うんうん……なるほど……いいですね」

オタク「そ、そうですか……?」

博士「まるでアニメの世界から飛び出てきたような女の子がご所望だと?」

オタク「えっと……そ、そういうわけじゃ……」

博士「いいですとも。窓際で静かに読書を好む少女……それがお客様の理想なのでしょう?」

オタク「あ、ま、まぁ……へへ……」

博士「分かりました。この条件で製作を始めましょう」

オタク「あ、あの……」

博士「はい?」

オタク「年齢……とかは?」

博士「年齢……ですか?一応、20歳が基本です。ですが、容姿の欄に身長150センチとか書いていただければ、小学生のような体型も可能ですが?」

オタク「あ、そ、そうなんだ……」

博士「身長は書いていませんね……フリーでいいんですか?」

オタク「えっと……じゃあ……その……160センチぐらいの小柄な女の子で……」

博士「―――では、以下の条件でよろしいですね?よろしければ、ここにサインと実印を」

オタク「……」カキカキ

博士「どうも」

オタク「ど、どれくらいで……届くんですか……?」

博士「納品予定日はおよそ半年後です。そこから無料期間スタートですから」

オタク「あ……そうなんですか……」

博士「はい。納品に遅延が発生した場合はすぐにご連絡いたします」

オタク「は、はい……」

博士「詳しい料金の請求もそのときに」

オタク「3ヶ月は……無料なんですよね?」

博士「ええ」

オタク「絶対……ですね?」

博士「無理な取立てなどいたしません。この契約書にもそう書いています」

オタク「そ、そうですね……じゃ、じゃあ……楽しみにしてます……」

博士「はい……では、リアルな美少女ロボが届くまでしばしお待ちください……」

>>20
オタク「えっと……じゃあ……その……160センチぐらいの小柄な女の子で……」

オタク「えっと……じゃあ……その……150センチぐらいの小柄な女の子で……」

訂正

半年後 自宅

オタク「あつぅ……クーラー入れよう……」

ピンポーン

オタク「ん……?」

オタク「居留守使うか……」

ピンポーン

オタク「うっせーなぁ……」

「すいませーん」

オタク「……はいはい」ガチャ

女「どうも。初めまして」

オタク「え……?」

女「はい?」

オタク(黒髪のロング……小柄……これは……まさか……)

オタク「き、君が……ロ、ロボット?」

女「ろ、ろぼっと……?えっと……私は隣に引っ越してきた者です。今日はご挨拶に伺いました」

オタク「あ……あれ……?」

女「な、なんでしょうか……?」

オタク「あ、いや……ごめん……」

女「これ、つまらない物ですけど、どうぞ」スッ

オタク「あ、ああ……はい……」

女「それでは失礼します」

オタク「あ、あ、あの……」

女「はい?」

オタク「よ、よろしくお願いします……」

女「はい。こちらこそ」

オタク「……」

オタク(なんだ……違ったのか……?)

オタク(でも……俺が頼んだ条件にピッタリなんだけどな……)

数日後 自宅

オタク「あつぅ……」

オタク「……つーか……全然こねえし……」

オタク「どうなってんだよ……」

オタク「買い物でも行くか……」スタスタ

ガチャ

女「あ、こんにちは」

オタク「あ、ああ……ど、どうも……」

女「なにか?」

オタク「い、いえ……」

女「そうですか」

オタク「……あの」

女「はい?」

オタク「ど、読書……好き……ですか?」

女「え……ええ。大好き、ですけど……?」

オタク「やっぱり……そうなのか……」

女「そうなのかって……?」

オタク「あ、貴方のことなら……なんでも、し、知ってるんです……」

女「は?」

オタク「えっと……癖は左手で髪をいじること……好きな食べ物はイチゴのケーキ……」

女「え……?あの……どうして……?」

オタク「い、いや……だって……君を作ってくれるように頼んだのは……ぼ、ぼく……ですから……」

女「な、何を言ってるんですか……?」

オタク「君は……僕と付き合う……ことになってるんだ……」

女「こ、こないで!!人を呼びますよ!?」

オタク「え……あの……」

女「……」

オタク「あれ……おかしいな……君は僕のことが好き……なはずだけど……?」

女「あ、貴方のことなんてしりません!!気持ち悪い!!」

オタク「な……?」

女「し、失礼します!!」タタタッ

オタク「なんだよ……」

オタク「や、やっぱり……違うのか……?」

オタク「なら……仕方ないか……」

オタク(ちっ、勘違い糞女が。これだから三次元は醜い)

オタク(昨日風呂に入ったばっかりだっつーの……!!!)

オタク「くそ!」

オタク(早く理想の女の子こねーかなぁ……)

オタク(あー。来たら毎日ヤリまくるぞー)

オタク「フヒヒ……」

オタク「買い物いくか」スタスタ

数週間後

オタク(バイトだり……)

女「あ……」

オタク「あ、どうも」

女「……」タタタタッ

オタク「ちっ」

オタク(まるで不審者を見るような目で……)

オタク「ほんと現実には碌な女がいねーな……」

オタク「バイトいくかぁ」

オタク(つーか、美少女ロボット、いつになったらくるんだよ……)

オタク(もう夏も終わるぞ……)

オタク(ふざけんなよなぁ)

数ヵ月後 自宅

オタク「ダメだ……全然こない……どうなってんだよ」

オタク「……」トゥルルル

『はい?』

オタク「あ、も、もしもし?あの……以前にロボットの注文を頼んだものですけど……」

『ええと……黒髪ロングの?』

オタク「そうです……」

『ご購入ありがとうございます。料金は分割で結構ですので』

オタク「は……?」

『なんでしょうか?』

オタク「ふざけんな……!!ロボットなんてきてませんが……?」

『それはないはずです』

オタク「でも、実際いない。家に来てくださいよ」

『いやいや。来たはずですよ?粗品を持って、挨拶しに』

オタク「え……?」

『あなたの隣に住んでいるでしょう?』

オタク「あ、いや……確かにいるけど……」

『既に無料期間は過ぎました。返品もないようですので、料金は―――』

オタク「まってください!!」

『はい』

オタク「いや……だって……お隣さんは僕のことを気持ち悪いっていったんですよ?!」

『それは貴方が気持ち悪かったのでしょう?』

オタク「は……?」

『我々が製作するのはリアルな美少女ロボットですよ』

オタク「待ってくれ……僕のことが好きなんじゃないのか?!」

『彼女がお客様を好きになるかどうかは、お客様次第です』

オタク「すぐに彼女が手に入るっていったじゃないか!!」

『ええ。だから身近に貴方の理想となる女の子が来たじゃないですか。それを手に入ったといわず、どう言えばいいのですか?』

オタク「なに……言って……!!」

『料金は全て込みで5400万円になります。ローンを組んで10年払いもよし、一括払いもよし。まあ、金額が金額ですから、彼女と一緒に返済するのがいいでしょう』

オタク「交際できるって言ったじゃないか!!!ふざけるなぁ!!!」

『交際できたはずですよ?第一印象さえ良ければ』

オタク「おい!!こんなの詐欺だ!!!」

『詐欺?言ったはずです。リアルな美少女ロボットだと』

オタク「どういうことだよ!!」

『リアルの女性に限りなく近い……ということですよ。お客様』

オタク「はぁ……!?」

『我々は従順なメイドロボを作っているわけではありませんので』

オタク「料金も1000万って……」

『1000万円から、とも言ったはずですが?』

オタク「詐欺だ……!!」

『契約書に書いてある通りです。裁判しますか?構いませんよ?』

オタク「くっ……!!」

『では、失礼します。よい、ロボットライフを』

オタク「ま、まってくれ!!こんなの聞いてないぞ!!!」

ツー……ツー……

オタク「なんだよ……これ……なんだよ……」

オタク「こんなの……ねえよ……」

オタク「どうしたら……いいんだ……どうしたら……!!」

オタク「そうだ……!!!」ダダダッ

ガチャ

オタク(あいつにも……!!いや……あいつに金を用意させるんだ……!!!)

オタク「はぁ……はぁ……!!」ピンポーン

女「―――はい?」

オタク「あ、あの……あの……」

女「な、なんですか……」

オタク「は、話が……あるんですけど……」

女「け、警察呼びますよ……?」

オタク「た、助けて……ください……おねがい……します……」ウルウル

女「し、知りません!!今、忙しいので!!」バタンッ!!

オタク「おねがい……します……おねがい……」ガクッ

オタク「畜生……誰に対しても優しいって……ちゃんと書いたぞ……ふざけんなよ……!!」

オタク「うぅぅ……くそぉ……」

ガチャ……

オタク「え……?」

女「あの……家の前で泣かれるのは……迷惑なんですけど……」

オタク「あ……え……?」

女「何か……あったんですか……?」

オタク「そ、その……あの……」

女「は、話だけなら……」

オタク「ほ、本当……ですか……?」

女「聞くだけですよ?」

オタク「うん……うん……」

女「はぁ……」

オタク(よかった……優しい性格は生きてる……!!)

喫茶店

オタク「えっと……何から……話したらいいか……」

女「ゆっくりで構いませんから。きっと理解するのに難しいのでしょうし」

オタク「あ、こ、このビラなんだけど」

女「リアルな美少女ロボットを提供します……?」

オタク「そ、そうです。ぼ、僕は、そこに行ってロボットの製作をお願いしたんです」

女「はぁ……ロボットですか?」

オタク「で、えっと……あ、貴方そっくりのロボットを作ってほしいとい、依頼したんです」

女「私そっくりですか?どうして?」

オタク「タ、タイプだから……」

女「……」

オタク「ひ、引かないでください……」

女「それでそのロボットは?」

オタク「目の前にいる……」

女「え……?私がロボットだって言うんですか?馬鹿馬鹿しいことを言わないでください」

オタク「で、でも……」

女「私には親も兄弟もいます。小学校からの友人も、大学で知り合った友達もいます」

オタク「いや……」

女「私はこの年齢まできちんと人として生きてきました。ロボットなんかじゃありません」

オタク「でも、作ったやつが、君がロボットで、もう渡したから5400万円支払ってくれって……」

女「はぁ!?」

オタク「そ、そういわれたんだ!!」

女「頭が痛い……貴方、精神病院に通院したほうがいいのではないでしょうか?」

オタク「本当だ!!信じてください!!」

女「誰がそんなバカげたことを……」

オタク「……窓際で読書をするのが大好きなはずです」

女「……!?」

オタク「癖は左手で髪を弄る、独り言ではよく語尾に「にゃん」をつける……」

女「ちょっと!!どうしてそのことを知っているんですか!?」

オタク「ぼ、僕が君を設定したから……です……」

女「はぁ……?」

オタク「趣味は読書。好きなジャンルはミステリー。でも、ラノベもよく読む。最近、嵌ったのは―――」

女「もういい!!いいですから!!!」

オタク「スリーサイズも嫌いな食べ物も……全部……僕は知っています……」

女「……」

オタク「だ、だって……僕が君を作ったような……ものだから……」

女「盗聴……盗撮ですか……?」

オタク「ち、ちがう!!」

女「まさか……ここまで……なんて……」

オタク「待ってくれ!!ローンの返済には君の協力が必要なんだ!!」

女「知りません!!助けてって言うから何事かと思えば……妄想が過ぎますよ……?」

オタク「違う!!本当のことなんだ!!信じてくれよ!!」

女「ロボットだの設定だの……アニメの見すぎじゃないですか?そんなことあるわけないじゃないですか!?」

オタク「そ、そうだ。足、足がとれるはずなんだ!!足をとってみてくれ!!それでわかるはずだ!!」

女「何を言っているんですか?!本当に気持ち悪いです!!」

オタク「本当だ……嘘じゃ……ない……」

女「……」

オタク「うぅぅ……」

女「分かりました。見ていてください」

オタク「え?」

女「行きますよ?―――ふっ!」グググッ

オタク「……」

女「ほら。足は取れません。残念でしたね」

オタク「僕がひっぱ―――」

女「近づかないで」

オタク「……」

女「私は人間です。ロボットじゃありません」

オタク「そんなわけ……」

女「貴方は妄想癖があるのだと思います。病院に行ってください。それでは」

オタク「あ……違う……妄想じゃない……彼女は……ロボットのはずだ……」

自宅

オタク「……」カタカタ

<かわいすぎワロタwwwwwwwwwwwwwww

<今日もセックル三昧wwwwwwwwww腰いてぇwwwwwwwwwwwwww

<お前ら、マジレスしてほしいんだけど。ロボットってちゃんと彼女になってるのか?

<証拠うpしてやろうか?

<いい女だぜ

オタク(俺が設定を間違えたのか……?いや……でも、俺に惚れているって文言はちゃんと書いたのに)

オタク(これはおかしいだろ……)

<俺このまえフラれたぞ

オタク「え……?」

<4000万近く払ってフラれた。人生オワタ

<マジかwwwwwwwwwwwwwメシウマwwwwwwwwwwwwwww

<ぷークスクス

オタク「振られた奴もいるのかよ……じゃあ……このままじゃ、あの子もどっかに行っちまうのか……?」

オタク「あの子がいなくなったら、俺は借金塗れになっちまうよ」

オタク「なんとか……なんとか……しないと……」

オタク「俺に惚れているって書いたはずなのに……どうして……どうして……」

<でも、変なんだよな。設定では俺に惚れているって書いたぜ?

<まあ、俺も従順とか書いたけど、別に従順じゃないですし

<でもそのほうがリアルやん?

オタク「……」

オタク「まさか……意図的に不都合な設定は削除したのか……?」

オタク「じゃあ……普通に契約不履行じゃねえか……?」

オタク「くそ……でも……確認のしようが……」

オタク「……まてよ」

オタク「そうだ。俺がどうかしてたんじゃないか?」

オタク「彼女はロボットじゃなくて、本当の人間。俺は単に騙されただけとか……?」

オタク「そうだ……それでいいじゃないか……」

オタク「詐欺師に金なんて払わなくていいんだから……フヒヒ……」

数ヵ月後 自宅

ピリリリリ

オタク「は、はい?」

『どうも』

オタク「あ……な、なんですか?」

『いえ。お支払いが滞っているようなので、どうしたのかなと』

オタク「あ、あんたは詐欺師だ」

『……』

オタク「一円も払うか」

『なるほど……そういうことですか?』

オタク「隣に来た女の子は普通の人間だ!!ロボットでもなんでもない!!」

『リアルな美少女ですから。人間と見間違うことも仕方ないでしょう』

オタク「うるさい!!」

『分かりました。では、彼女がロボットであることを証明してあげますよ。待っていてください』

オタク「なに?!お、おい!!」

数十分後

ピンポーン

オタク「え……?」

オタク「は、はい?」ガチャ

女「……」

オタク「な、なんですか?」

女「うで……ひっぱって……」

オタク「は……?」

女「うで……ひっぱって……」

オタク「あの……どうしたんですか?」

女「うで……ひっぱって……」

オタク「わ、分かりました……」グッ

女「……」

オタク「あ」スポンッ

オタク「腕が……と、とれた……?」

オタク「……」

ピリリリリ

オタク「も、もしもし……?」

『証明、できたでしょうか?』

オタク「……」

女「……」

『どうしました?』

オタク「よ、よくわからないけど……これは偽者だろ!?」

『偽者?』

オタク「隣に来た子じゃない!!」

『いやいや。正真正銘、貴方が生み出した理想の女の子ですよ』

オタク「だって、目は虚ろだし、なんかこれはロボットっぽいっていうか……」

『当然です。今は私の命令を聞き、動いているだけですからね』

オタク「なに?」

『何か?私は製作者です。私が命令を下せるのが不思議ですか?』

オタク「はぁ……?」

『腕は返してあげてくださいね。片腕では日常で支障がでますから』

オタク「ど、どうして……貴方の命令は聞くんですか……?」

『どうしてもこうしても、ロボットですから予期せぬ事態が起こる可能性がある』

『そのとき絶対的な指示をだせる人物がいてもいいでしょう?』

オタク「それは購入者の特権じゃないのか?!」

『お客様の命令通りに動くように設定してしまうと、犯罪に使われる可能性もありますからね』

オタク「だから、従順な設定とかは……」

『はい。絶対に採用しません』

オタク「そんなの……!!!」

『なんですか?』

オタク「こんなの茶番じゃないか!!」

『茶番?』

オタク「あんたの匙加減一つでコントロールできるってことだろ!?」

『何を誤解されているか分かりませんが、あくまでも安全性を考慮した結果です。こればかりはご了承いただくしかありませんね』

オタク「……!!」

『それに最初から従順な女性などリアルではありません。貴方の実力で従順にしてあげればいいだけの話です』

オタク「そんなの……契約書には書いてなかった!!!」

『契約書には書きませんよ。ロボットの機能説明書のほうにはきちんと記載されています』

オタク「なんだよそれ!!」

『おや?見なかったのですか?ちゃんと契約書と一緒にお渡ししたはずですが』

オタク「はぁ……はぁ……」

『では、証明できたところで料金のほうを―――』

オタク「腕……このまま壊してもいいんだぞ……?」

『ほう?』

オタク「俺のことを好きになれって命令しろ……」

『あの。そんなにリアルがお嫌いですか?』

オタク「あ、当たり前だろ!!だからロボットがほしかったんだ!!!」

『それなら命令権を譲りましょう。無料で』

オタク「は……?」

『目の前にいる彼女を自由にできる命令権です』

オタク「この子の……?」

女「……」

『リアルがお嫌いというなら仕方ありません。どうぞご自由になさってください』

オタク「な、なんだよ……初めからそんなことできるんじゃねーかよ……」

『まあ、ロボットですからね』

オタク「じゃあ……命令権くれよ……今すぐ!!」

『料金は?』

オタク「払う!!」

『分かりました。では、少々お待ちください。命令権の書き換えを行います』

オタク「……」

『あ、腕はちゃんと返しておいてくださいね』

オタク「あ、ああ……」

『―――できました。今から彼女は貴方にとって従順なロボットとなりました。口頭で命令を与えてください』

オタク「ほ、本当に……?」

『試しに何か命令してみればいいじゃないですか』

オタク「……右腕を上げろ」

女「……」スッ

オタク「ひ、左足をあげろ」

女「……」スッ

オタク「両方、おろせ……」

女「……」スッ

オタク「おお……!!すげえ!!」

『ご満足いただけましたか?』

オタク「ああ!!」

『では、料金のほうお願いしますね』

オタク「わ、わかった!!」

『ふふ……では、良いロボットライフを』

オタク「すげえ……やった……やっと手に入れた……!!」

女「……」

オタク「ふ、服を……脱げ……」

女「……」スルッ

オタク「フヒヒヒ……よし……よし……」

オタク「横になれ」

女「……」スッ

オタク「フヒヒ……よし……今から……ヤルぞ……フヒヒ……」

女「……」

オタク「あ、足を広げろ……」

女「……」

オタク「フヒヒ……ヒヒ……!!」

オタク「よし……やるぞ……」ズッ

女「……」

オタク「はぁ……はぁ……これで……俺も……童貞卒業だ……」

オタク「フヒヒヒ……!!!」

女「……」

翌朝

オタク「はぁ……はぁ……」

オタク「バイトいくか……」

女「……」

オタク「また夜可愛がってやるからな」

女「……」

オタク「大人しくしてろよ?」

女「……」

オタク「フヒヒ……」

オタク「……」

オタク「行ってきます」

女「……」

オタク「行ってらっしゃいぐらい言えよ……ロボットだろ?」

女「いってらっしゃい」

オタク「……」

夜 自宅

オタク「ただいま」

女「……」

オタク「なんで朝と一緒の格好なんだよ!!」

女「……」

オタク「おかえりぐらい言えよ」

女「おかえり」

オタク「なんだよ……くそ……お前、前の性格になれよ!!自由に行動してただろ?!」

女「現在、命令権が発動中。自立モードをオンにできません」

オタク「……」

女「現在、命令権が発動中。自立モードをオンにできません」

オタク「もういい。ケツをこっちにむけろ!!」

女「……」

オタク「今日も朝まで犯してやるかならな!!」

女「……」

数日後

オタク「はぁ……はぁ……うっ……」

女「……」

オタク「はぁ……はぁ……」

女「……」

オタク「気持ちよかったか……?」

女「……」

オタク「気持ちよかったって言えよ……」

女「きもちよかった」

オタク「髪も痛んできたし……こいつ体が臭うようになってきやがった……」

オタク「メンテナンスフリーじゃねえのかよ……」

オタク「そうか……今は命令しないとだめなのか……」

オタク「お前、風呂にはいれ」

女「……」スタスタ

オタク「これで……多少はマシになるな……」

オタク「……あれ……?シャワーの音が聞こえてこないぞ……?」

オタク「おい……」ガチャ

女「……」

オタク「なに突っ立ってるんだ……?」

女「……」

オタク「体を洗えよ」

女「……」ゴシゴシ

オタク「まずはシャワーを使って体を濡らせよ!!」

女「……」ジャー

オタク「……」

女「……」ジャー

オタク「体を洗えよ」

女「……」ゴシゴシ

オタク「体ばっかりじゃなくて腕も洗えよ!!体全体を洗えよ!!」

女「……」ゴシゴシ

オタク「……なんで体しか洗わないんだよ……?」

女「体を洗うように命令されました」

オタク「腕も洗え!!足も洗え!!」

女「命令は一度に一つまでしか処理できません」

オタク「……!!」

女「命令は一度に一つまでしか処理できません」

オタク「ふざけんな……何から何まで一から百まで丁寧に命令しろっていうのかよ……!!」

女「……」ゴシゴシ

オタク「くそ……!!」

女「……」ゴシゴシ

オタク「髪も洗え……」

女「……」ゴシゴシ

オタク「こんなのただの人形じゃないか……」

女「……」ゴシゴシ

オタク「……」

女「……」

オタク「……」トゥルルル

『はい?』

オタク「ぼ、僕です」

『どうも』

オタク「つまんねえ」

『はい?』

オタク「もう飽きた……こんなのダッチワイフじゃないですか……』

『ダッチワイフとは心外ですね。彼女はロボットですよ?貴方の命令にも従順だったはずですが?』

オタク「こんなのに月何十万も払いたくないですよ……」

『我侭は人ですね……。貴方の言うとおりのことをこちらは提供してあげているのに』

オタク「こうじゃない……僕が欲しかったロボットはこうじゃないんです!!」

『と、いいますと?』

オタク「基本的には自立してて……それで―――」

『おやおや。ロボットを奴隷か何かと勘違いしていませんか?それなら、人身売買で人を買ったほうが遥かに安上がりで確実ですよ?今更ですけど』

オタク「な……?!」

『ああ、いや。安上がりは語弊がありますね。一生涯雇うなら、人のほうが高くつきますね』

オタク「ロボットは奴隷みたいなもんだろう……」

『いいえ。我々の作るロボットはヒトです。何せリアルですから』

オタク「そんなこといいながら、お前は好き勝手命令してるじゃないか!!」

『言ったでしょう。それはあくまでも安全装置。ロボットにはロボットの思考で生活をしてほしい。そう思っています。はい』

オタク「は……」

『それでどうされるのですか?返品でも構いませんよ?料金は払ってもらいますけど』

オタク「くっ……」

『従順なロボットってつまらないでしょう?やめたほうがいい』

オタク「……」

『奴隷として扱うなら今のままでいいじゃないですか。面倒ですが、確実に従ってくれます。まあ、仕事にはいけませんが』

『それとも以前の状態に戻し、なんとか恋人関係になることを努力するか……どうします?』

オタク「それは……」

『まあ、貴方はもうどちらがいいか……分かっていることでしょうけどね……』

数日後 自宅

オタク「……あ」

女「あ……お、おはようございます」

オタク「おは、よう……ございます」

女「……」タタタタッ

オタク「……」

オタク「まってください!!」ダダダッ

女「な、なんですか?」

オタク「えっと……その……」

女「……」

オタク「い、いってらっしゃい……」

女「……」タタタッ

オタク「……」

オタク(焦るな……彼女の好みは全部、把握しているんだ……いくらでもやりようはある……)

数週間後

オタク(ああ……全然あれから話してないな……)

オタク(避けられてる気がするし……)

オタク(どうして……)

オタク「ん?」

女「今日はゆっくりできるの?」

男「ああ」

女「嬉しい」

男「ふふ」

オタク「……」

女「あ……」

男「誰?」

女「し、知らない人」

男「なんだ、あいつ。気持ち悪いな。部屋に入ろう」

オタク「……」

『―――はい?』

オタク「彼女が……他の男といた……」

『当然でしょう。彼女は人間です。人並みに恋愛もします』

オタク「最終的に僕に惚れるんじゃないんですか……?」

『それは貴方の努力次第だといったでしょうに』

オタク「……」

『彼氏が居たからと貴方の所有物であることは変わりありません』

オタク「意味がわからない」

『嫌なら命令権を発動させて、オブジェにしてしまえばいいじゃないですか』

オタク「それじゃあ意味がない……」

『本当に我侭ですね。何か一つぐらい妥協できないのですか?』

オタク「俺は高い金を払ってんだぞ!!!」

『出会ったときに正しい応対ができていれば、何も問題はなかったはずです。お客様がご購入後に破損させたようなものです。我々に非はありません』

『あるとするなら……貴方に大事な娘を渡したことぐらいでしょうか』

オタク「ふざ……けん……な……」

『まあ、契約は契約です。お客様にとって望まぬ結果になろうとも、料金は払ってもらいます』

オタク「詐欺だ……詐欺だろうが!!」

『しかし、そういうロボットであることは了承したという前提で書類にサインを貰ったわけですから』

オタク「……」

『まあ、やりようはいくらでもあります。命令権が欲しければまた言ってください。いつでもお譲りしますので』

オタク「……もういい……」

『はい?』

オタク「……」

『もしもし?』

オタク「……」ピッ

オタク「……」スタスタ

ガチャ……

オタク「ふー……ふー……」スタスタ

オタク「……」

―――ピンポーン

女「はい―――」ガチャ

オタク「お前はロボットだ……」

女「ひっ……!?」

オタク「俺の命令だけ聞いてればいいんだよ!!!」グイッ

女「やめてぇ!!!」

オタク「てめえは俺が養ってるんだ!!いい加減にしろ!!!」

女「いたい!!いたい!!!」

オタク「なのに……他の男と……一緒に……」

女「やめ……」

オタク「殺す……殺してやる……」

女「いやぁ……」

オタク「お前なんて壊してやる……!!!」

女「やめてぇ!!!」

オタク「うあぁぁぁぁ!!!」

警官「現場に到着しました。被害者は20歳前後の女性。加害者と思われる男性は―――」

オタク「……」

女「」

オタク「おい……お前……ロボットだろ……起きろよ……」

救急隊員「酷い出血だ……急ごう」

オタク「あ……まって」

警官「話を聞かせて欲しいのですが」

オタク「え……?」

警官「ここで何があったのかを。近隣住民の証言によると、貴方がここであの女性を何度も殴打したとのことですが……」

オタク「アイツはロボットなんです。あれぐらいじゃ死なないんですよ?」

警官「……」

オタク「調べればすぐに分かります!!あいつは腕が取れるんです!!」

警官「署まで来てください」

オタク「あいつ……ロボットだから……死なないですよ……なに言ってるんですか……」

翌日

テレビ『ここが昨日、事件のあった現場です。フリーターの男性が隣人の女性を撲殺した事件がありました』

テレビ『犯人は隣人の女性に対しストーカー行為を行っていたようで、今回はそれがエスカレートして起こった悲劇だと―――』

博士「ふむ……」ピッ

博士「ダメだったか」

博士「まさか女の子のほうに手を上げるとは思わなかった。彼氏のほうを殺そうとしないところが実に彼らしい」

博士「彼女は彼の思い描いた理想の女性だったのだから、何度もシミュレートした妄想の中の出会い方と会話をしていれば、簡単に落ちたというのに」

博士「何も分かってないな。君が呼んだのはデリヘルではないんだよ……」

博士「まあ、塀の向こうで反省したまえ……。今回の収穫は、検視をクリアできたであろう点かな」

博士「君は我々の技術発展ために犠牲になったのだ。そこだけは誇りに思っていい」

ピンポーン

博士「はい?」

『あの……ビラを見て来たんですけど』

博士「どうぞ、開いています」

博士「さあ、次のお客様はどうかな……?」
                              END

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