爺「~」(104)


少年「じいちゃぁん!昔話して~」

爺「いいじゃろ」

爺「~」

爺「~」

少年「」ウトウト

爺「~~…と、伝わっておるんじゃよ」

爺「そして、人も魔物も寄せ付けぬ島にて、滅びし者の邪なる意志を継ぐものが、再び蘇るとな…」


少年「zzz」

爺「おや、寝てしもうたか。」

爺「……」

爺「いずれ、寂しくなるのぅ」

~旅立ちの日~

チュンチュン

勇者「ふぁぁ~」

勇者「」ムク

勇者「あぁ」

勇者「(懐かしい夢だな…)」

勇者「さってと。そろそろ行くか」

勇者「…」

勇者「もう誰かが傷付くのはみたくない」

勇者「一人でいいか…」

王に会い、わずかな資金を受け取り
勇者は独り、旅に出た

彼は始まりの都市を旅立ち

ある時は盗賊を狩り
ある時は街を救い
またある時は攫われし姫を救い

様々な地、国を旅していた

~旅立ちから6年程~魔王城近く

勇者「フッ!ハッ!」ドッズバッ

~魔物は倒れた

勇者「ふぅ。始まりの都から大分離れたな」
彼の手には祖父の代、異世界『和の国』の者より授けられた

僅かに反った細身の刃が握られていた

居なくなってしまった父は、この『刀』と呼ばれる妖刀を鞘から抜く事が出来なかったそうだ

勇者「そろそろ町が見えても良い頃だな…」
その少し後、次の町が見えてきた
勇者「農村か。宿があればいいけど」スタスタ
農夫「おや、旅の方かな?ここは農村。何もないがゆっくりしていくといい」ニコ

勇者「はい、ありがとうございます」

勇者「ところで、宿屋ですが…」

農夫「宿屋はないですが、この先に進んだ左側の家に話をしてみなさい」
勇者「そうですか。ありがとうございます」
スタスタ
農夫「…」
何か違和感を感じながらも、勇者は言われた民家を訪ねた

~民家~
コンコン
勇者「ごめんください。宿を探して居るのですが」

…ガチャ
しばらく間を置き、開かれた扉から覗いたのは~

少女「はい?こんにちは、お兄さん」
勇者「やぁこんにちは。宿を探しているんだけど、ここで良いのかな?」
少女「…」
勇者「あ、間違えたかな。良ければ泊まれる所を教えt 少女「家に泊まればいいよ」
少女「でも誰にここを聞いたの?」ジーッ
勇者「村の入り口近くの畑に居た人だけど」
少女「…そっか」フゥ
勇者「(なんだ?この感じ。さっきの人からも微かに感じたが)」
勇者「(この村に…何かあるのか?)」
勇者はこれまでの旅路、その中で培われたのは力だけでなく
様々な物事を観察し
所謂危険察知と言われるものも身につけていた
勇者「俺は勇者。ところでお家の人は?」
少女「いない」
勇者「そっか(いない?)」
少女「寝床はここを使って」
勇者「あぁありがとう(今日はいいか。明日色々調べてみよう…)」
ゴロン
勇者「」ウトウト
zzz…
少女「…」ソー カチャ パタン
タッタッタッ
勇者「…」

ごめん携帯から書く最低野郎なんだ…
書き込み時に改行引っかかるんです(笑)

チュンチュン

勇者「ん」ムク
チラ

少女「」zzz

勇者「(帰って来ているな)」

彼は顔を洗い、身支度を済ませ
「ありがとう」と書き置きを残し民家をあとにした

勇者「さて、先ずは年寄りだな」

この村の違和感。
直接調べても何も出ないと考えた彼は、多くの経験を積んだ人間に
昔話を聞こうと考えていた




ガチャバタン
勇者「ふぅ。ここもダメか」

うまくやってみる(´・ω・`)






ガチャバタン
勇者「ふぅ。ここもダメか」

どの家を訪ねても、人が居る様子は無かった

ソロソロ
ジーッ

勇者「(何人か付いてきてるな)」

勇者「(静かな所にいってみるか)」

~池のほとり~
スタスタ

勇者「次の街への道も見ておこうかな」ペラペラ

地図を捲る勇者の背後に数人の男が迫る

村人a「(よし。やるぞ!)」クイクイ

村人b「(あぁ)」コクッ

村人c「(了解)」ピッ

カサカサ

村人a「ふっ!」ブン

村人b「はっ!」ブォン
勇者「…」ヒラッ

キン ドッ メキッ
村人ab「ガッ、あふっ」バタ
村人c「(ぇ?今何が起きて…)」



チャキン
勇者「村人、だな?俺を付け狙う理由と、あの村に何があったのか」

勇者「ゆっくり話して貰おう」ギラ

村人c「あ、あぁ!話す!話すから剣を!」
スチャ

勇者は刀をしまい、話を聞き始めた

~池のほとり~

村人c「~で」
「~になって」
「そうしたら~が~ってなって、今に至ります」


勇者「なるほどな」

村人の口からは
一年ほど前に、人型の魔物に襲われ

その時に少女の両親が身を挺して村を守り
村に手を出さない替わりに最も利口な少女を生贄に捧げる事
他言すれば村の男を殺す


などの事が伝えられた


勇者「そうか。ありがとう」スクッ

村人c「どっ!どちらへ!?」

勇者「どこでもいいだろう」スタスタ

村人c「?」

スタスタ
勇者「(村人の話はある程度信じられるだろう)」スタスタ


勇者「(だが、少女の様子と昨夜の行動。先程の話だけでは噛み合わない点がある)」


勇者「(なにより、村に人がほとんど居なかったのも気に掛かるな)」
スタスタ
ゴロゴロ

勇者「(まるで、あの家に泊まるように仕向けられたようにしか…)」

ピカッ
ザーー

勇者「雨?不味いな。かなりの大降りだ」タッタッタッ

ガチャ ギギィー


少女「?あら。」

少女「お帰りなさい」ニコッ

勇者「!」ピクッ

勇者「ただいま」

勇者「またお世話になるよ」

少女「はい」ニコッ

~民家~

勇者「(すごく自然な笑みだった)」カチャカチャ

勇者「(彼女はいったい…)」グツグツ

勇者「おっと」ハッ


勇者「そろそろいいかな?」トポトポ

勇者「少女?ご飯が出来たよ」

少女「は~い!ありがとっ」トテトテ

勇者「あまり食材もないから、ポトフと兎肉のソテー、それと少女のくれたパンだよ」

少女「いっただきまぁす!」パンっニコニコ
もう一泊する代わりに、食事を作るという提案

それは勇者からであった

少女を観察するため

あわよくば、真実を突き止めるため

騙すような罪悪感を感じながらも
勇者は冷静に動いていた

勇者「ごちそうさま」

少女「ごちそうさまでした!」

勇者「また厄介になるけど、君は大丈夫?」

少女「ん?だいじょーぶ!」ニコニコ

勇者「ありがとう」


勇者「(やはり昨日の少女とは印象が違いすぎる)」

勇者「(昨夜なにがあったんだ)」

少女「ふぁ~」ウトウト

勇者「少女?お風呂に入ってから寝な?」

少女「ん…」パチ

少女「うん…」ウトウト
トテトテ
ガチャパタン



勇者「ふぅ」グイッ

勇者は携帯している酒を軽く煽り、外へ向かう

未だに降り続ける
屋根下の雨の当たらぬ場所で火を点けた

勇者「(火炎呪文極小)」ボゥ

勇者「」スゥ フゥ

視界の晴れない夜闇の中

勇者は煙草をくゆらせ思考を始めた

勇者「(あの村人の話)」

勇者「(あれだけでは、俺を襲う理由に欠ける)」

勇者「(よそ者に知られてはいけないなにかがあるのか)」

勇者「(それに…、この村でみた人間は5人のみ)」

勇者「(村人abc、彼らが襲ってきた事を考えると…)」

勇者「(…)」

勇者「(そして少女の態度だ。)」

勇者「別人…?」

勇者の中に、突飛のない考えが浮かんだ

だがそれを否定を、かつ肯定をする事実もなく
彼は再びため息をついた

勇者「もう少し様子を見よう」フゥ

~翌日民家~

チュンチュン

勇者「ん…」
勇者「ん?」モゾモゾ

少女「zzz」ギュッ

勇者「いつの間に」

勇者「まぁいいか。」ムク ギシィ

勇者「(とりあえず朝飯でも作ろう)」

勇者「勝手に食材使ったら文句言われるかな」ボソ

勇者「」トントン ジャァー

勇者「よし出来た」

少女「はれ?」ムク


勇者「起きたな。ご飯は用意させてもらったから、気が向いたら食べな」

少女「ん」ゴシゴシ
トテトテ

勇者「(なにか話が聞ければいいが)」


少女「」ガタッ

少女「」モシャモシャ

少女ゴクッ「ん。美味しいです」
勇者「(あれ?)」

少女「どうかしましたか?」

勇者「あ、あぁいや(元に戻ったのか?)」
勇者「口にあったのなら良かった」

勇者「じゃあ俺はそろそろ…」

少女「この村の秘密。きになりませんか?」

勇者「!?」

少女「やはり気になっているようですね」

勇者「…」

少女「話さずともわかります。順を追って話していきましょう」

勇者「あぁ」


少女「」ガタッ

少女「」モシャモシャ

少女ゴクッ「ん。美味しいです」
勇者「(あれ?)」

少女「どうかしましたか?」

勇者「あ、あぁいや(元に戻ったのか?)」
勇者「口にあったのなら良かった」

勇者「じゃあ俺はそろそろ…」

少女「この村の秘密。きになりませんか?」

勇者「!?」

少女「やはり気になっているようですね」

勇者「…」

少女「話さずともわかります。順を追って話していきましょう」

勇者「あぁ」

なにこれ?投稿時間おかしくなっとる
かぶったのは置いといて、今書き込んだのが23時…だと…?

話の内容は村人cから聞いた事とあらかた変わりなかった

しかし勇者は、その事を知らぬふりをして話を聞いた

勇者「そんな事があったのか」

勇者「(だが生贄の件は話さなかったな)」

少女「えぇ。今はもう魔物も現れませんが」


勇者「どうしてこの村には人が少ないんだい?」

少女「……再び魔物に襲われる事も考えられます」
少女「殆どの方は、警備もしっかりしたこの先の街へと移りました」

勇者「そうか。」

勇者「(なら残る人間にも相応の理由があるのだろうな)」

勇者「(だが少女に聞いた所で…)」

勇者「君はなぜここに?」

少女「…父と母と、一緒に暮らした場所ですから…」フイ

勇者「…(思った通りの答えだな)」

彼女は目を逸らし、降りしきる雨を窓越しに見つめていた


勇者「雨はいいな」

少女「どうしてです?」
勇者「…」

勇者「悲しみも、喜びも」

勇者「全て洗い流してくれる」

勇者「憎しみも、あの時の想いも…」

少女「?」

ガタッ

勇者「少し散歩してくる」スタスタ

少女「雨ですよ?」
勇者「雨だからだ」


ガチャッ
勇者「」チラ
少女「zzz」

勇者「寝ているな。(さて動くか)」

ザーー

勇者「この雨なら都合がいい」

彼は近くの民家や、少女の両親が倒れた広場
村の周辺など夜通し調べていた

勇者「ここが少女の両親が死んだ場所か」
ザーー

勇者「?」ピク

勇者「これは…魔力?」キョロキョロ

勇者「他にはなにも無さそうだな」

ザーー

スタスタ
勇者「(あの魔力の痕跡。少女の両親は魔法が使えたのか?)」


勇者「それに…」

勇者「(村人と少女の話にあった、他言すれば村の男を殺すと言うのも気になる)」

勇者「(弱い魔物ならまだしも、人型の魔物)」

勇者「(人型は総じて知能も高く、そこら辺の兵隊ではかなわぬ程の地位にいるはず)」

勇者「(なのに他言するな…か)」

勇者「まぁまずは村の中からだな」

彼は考えも纏まらないまま、民家へと戻っていった

~朝~

少女「おーい」ギュゥ

勇者「zzz」

少女「むぅ」ムス

少女「とぉ!」ドスッ

勇者「」スイ

勇者「…ん」ムク

少女「あ、起きた」ムゥ

勇者「あぁ少女。おはよう」
少女「おはよ」ニコッ

少女「ご飯出来てるよ!」
勇者「あぁ」スタスタ
勇者「…」パシャ
勇者「(また幼くなっている…)」

顔を洗い食事を済ませた彼は、この先にあるという街を見に行くつもりであった

勇者「じゃあな」
少女「もう来ない?」

勇者「そうだな。またお世話になってもいいか?」

少女「うん!」パァ

勇者「じゃあ行ってくる」スタスタ

少女「お兄さん!」

少女「また泊めてあげるけど…」モジモジ

少女「一度でいいから街に行ってみたい」チラ

勇者「(この状態の少女なら、少しは話が聞けるかもな)」

勇者「あぁ。街までは2、3日掛かるが、大丈夫か?」

少女「!うん!すぐ支度するねっ」タッタッタッ

彼は煙草の煙を吐きながら、ぼぅっと空を見上げた

少女「えへへ~!お待たせ!」タッタッタッ

勇者「早かったな」

勇者「それじゃぁ行こうか」

少女「しゅっぱ~つ!」トテトテ

~道中~
魔物abcd「ぐげげぇ!」ズザ


勇者「!」
少女「きゃぁ!」ガシ
勇者「出たな」スラァ

勇者「少女。少し離れててな」グイッ スタスタ
少女「う、うん」アセアセ

魔物ab「がぁぁぁ!」

勇者「ん」スゥ スパ ドスッ

魔物cd「?!」バァッ

勇者「ん?」ズババ ドサッ


勇者「ふぅ」チャキン

少女「」ビクビク

勇者「この辺りの魔物はずいぶん弱いみたいだな」
少女「」チラ


勇者「もう大丈夫だ」クイクイ

少女「!」トテトテ

少女「怖かった」ウルウル

勇者「俺がいるから平気だ」

少女「!うん!」ガシッ

勇者「(やはりおかしいな)」

勇者「(今まで旅をしてきてこんなに弱い魔物を見たのは、始まりの都市周辺くらいだ)」

勇者「(地図をみるかぎりあと4、5位の街を抜ければ魔王の支配地なはず)」

スタスタ
トテトテ

勇者「(何か起きてるのか?)」

~狭間の街~
ザワザワ

勇者「人が多いな」スタスタ
少女「うん~」トテトテ


勇者「見た感じ、言葉使いもバラバラだしな」

少女「田舎者?」チラ

勇者「ははは。俺たちもそうだろ」

少女「そうだね!」ニコッ

勇者「疲れたし、とりあえず宿でも取ろう」
少女「りょーかい!」ビシッ


~宿屋~

勇者「」スタスタ
ドン

勇者「っ!すまない」クルッ

僧侶「いえ、お気になさらずn?!」
僧侶「って、え!?勇者様?!」

勇者「ん?あぁ、僧侶じゃないか」

勇者「こんな所でどうしたんだ?」

僧侶「こんな所でって…(追っかけてきたなんて言えないし)」

僧侶「巡業中なんです!」

勇者「そうか。僧侶も大変だな」

勇者「魔法使いと戦士も一緒か?」

僧侶「今は街の外に居ますが、夜にでも合流予定です」

勇者「そうか(巡業中に戦士と魔法使いが居るわけ無いだろ)」
勇者「この辺りの魔物は強くないし大丈夫だとは思うが」

勇者「気を付けてくれ」スタスタ

僧侶「えっ。あっちょっと…」オドオド

少女「あのお姉ちゃん…だぁれ?」トテトテ

勇者「ん?あいつは…」




~回想~
始まりの都市を旅立ってからふた月程が過ぎた頃

彼が立ち寄ったとある町

ズルズル

勇者「ハァハァ」

彼の足からは夥しい血が流れていた

複数の魔物による襲撃で、思わぬ深手を負ってしまったのだ


自身の意識も朦朧とする中、町の教会を目指した

ガチャッ

勇者「すまないが」ハァハァ

勇者「手当てを頼みた…い」ドサッ

僧侶「?!」

僧侶「大丈夫ですか!?」

僧侶「司祭様!すぐに手当てをして差し上げましょう!」

司祭「そうですね。あなたは薬などを用意してください」

僧侶「はい!」タッタッタッ





勇者「うぅっ」ダラダラ

僧侶「凄い汗…」
僧侶「手拭いを替えよう」スタスタ

勇者「ハァハァ」

勇者「っ!」ビクッ バサッ

勇者「ハッハッ」ムクッ

勇者「ハァハァ…ここは…教会?」

ガチャッ
僧侶「!目が覚めたのですか!」

勇者「君は…」バタリ

僧侶「?!大丈夫ですか?」

僧侶「また眠ってしまったようですね」フゥ

それから彼は、三日三晩眠り続け
その間も僧侶が看病を続けた

時折うなされる彼を
彼女は懸命に看ていた

勇者「」パチッ ムク

勇者「ここは…」

記憶も定かで無い中、部屋を見渡す彼

すると、椅子に腰掛けベッドに俯いて眠る僧侶がいた

勇者「…」モソモソ

グイッ バサァ カチャ

すぐさま旅立つ支度を済ませるが、その時僧侶が目を覚ました

僧侶「う、ん」ゴシゴシ

僧侶「あれ?!」

僧侶「目が覚めたのですか!」

勇者「(チッ)」

勇者「あぁ。君が看てくれたのか?感謝するよ」

僧侶「いえ。神に仕える身ですから」

勇者「というと、ここは教会か」

僧侶「えぇ。あの状態からよくここまで」

勇者「あまり覚えていないんだ」

勇者「支度も済ませたし、もう行くよ」

勇者「世話になったな」パタン


他人と深く関わらぬようしている彼にとって
長居は無用であった

~教会~

ガチャッ
勇者「司祭様」

司祭「おや?もう良くなったのかね」

勇者「傷は癒えておりませんが、行動には支障が無いようなので」

司祭「それは良かったです」

勇者「少ないですがお布施として受け取って下さい」ジャラジャラ

司祭「いえ。そう言うわけには」

勇者「」グッ

無理矢理に司祭の元に押し付けた

司祭「…そうですね」
司祭「あなたに、神の御加護があらんことを…」ペコ


勇者「お世話になりました」スタスタ



バタバタ

ガチャッ
僧侶「司祭様!」

司祭「どうされました?」

僧侶「その、彼、は?」
司祭「もう旅立たれましたよ」

僧侶「そうですか…」

司祭「…」

勇者「みたいな事があったんだ(まぁその後の方が重要だが)」

少女「そうなんだ~」
少女「あ!お部屋ここみたいだよ」トテトテ


ガチャッ

勇者「綺麗な部屋だな」

荷物を置き、食事を済ませた彼ら

少女「ごちそうさま!」パンッ

勇者「ごちそうさま」

勇者「少女、俺は風呂に入ってくる」

勇者「少し待っていてくれ」

少女「?!私もお風呂行く!」

勇者「そうか(まだ子供だしな)」


少女はまだ8、9歳くらいで、勇者はなにも思う事なく風呂場に向かった

~宿風呂~

ザバァ

勇者「ふぅ」

少女「ちょっと熱いね~」ザバザバ すぃ~

勇者「少女?広いからって、風呂で泳ぐな」

少女「むぅ」バシャァ

バシャ

勇者「っ!やったな」
少女「~♪」スイスイ


勇者「!?」

勇者「(背中のこの傷は?)」


勇者「(それに傷痕から感じる魔力、いったいなにが)」





勇者「ふぅ」

少女「zzz」

勇者「寝たみたいだな」

勇者「バーにでもいくか」ガチャッ
シュボ フゥ~


勇者「情報屋でも探そうか」スタスタ

~バー~

カラーン

スタスタ ガタッ

勇者「マスター、何か入れてくれ」

マ「かしこまりたした」ペコ

勇者「(酒場ならある程度情報が拾えるだろう)」

マ「お待たせ致しました」
マ「レッドアイになります」
勇者「ありがとう」コク

ガヤガヤ


ガヤガヤ


ガヤガヤ

勇者「だいぶ客が多いんだな」

マ「…お客様。人をお探しですか?」

勇者「どうしてだ?」
マ「常に背後に気を配り、他のお客様の気配を伺っていらっしゃるご様子」

マ「その上、纏う独特の雰囲気が揺らぐ度」
マ「その視線の先には、噂話を話すお客様方」

勇者「…凄いな。だが詮索は無用だ」
マ「…かしこまりました」スッ

ガヤ…



~バー~

ガヤガヤ

マ「お客様?」

勇者「ん?」

マ「あちらのお客様より、貴方へと」スッ

その方向に目を向けると、妖艶な女が微笑み
こちらを見ていた

勇者は軽く会釈をし、出された酒を飲み干した

勇者「そろそろ行く」ガタッ

マ「左様で御座いますか。ありがとうございます」ペコ


勇者「あぁ」ジャラジャラ

代金を支払った勇者はバーを後にし、裏路地へと向かった

マ「…」

~裏路地~

スタスタ
ピタ
勇者「なにか用か?」

…スッ

?「あら。やっぱり気付いていたのね?」スタスタ

勇者「まぁな。だが、質問に対しての返答がないな」

?「忙しないのね。」
勇者「無駄な事が嫌いなだけだ」フイッ スタスタ

?「ちょっ!ちょっと待って!」

勇者「なんだ?人の質問にも答えず。」クルッ

勇者「要件すら判らぬ者を相手にする程の無駄はない」スタスタ

?「あっ…」
?「ふふっ」

スタスタ

勇者「(着いてきてはいないな)」

勇者「(宿に戻ろう)」

宿屋に戻った勇者は
少女の眠る姿を一瞥し、床に入った


~翌朝~

少女「勇者起きて!」バッ

勇者「zzz」スイ

少女「また避けられた」ムウ
勇者「ん」ムク

勇者「おはよう」

少女「おはよ」プク

勇者「この間といい、朝は不機嫌なんだな」

少女「ちがうもん!」クルッ タッタッタッ ガチャ

クルッ
少女「勇者、ご飯の支度してね」ベー


勇者「あぁ」

いつの間にか、呼び名が「お兄さん」から「勇者」と呼び捨てになっていた

勇者「…」

2人は朝食を済ませ、問題の農村より移住した者を探していた

スタスタ
トテトテ

少女「次はどこ~?」

勇者「次の角を曲がった所だ」

スタスタ
勇者「あそこみたいだな。少女はあそこで待っていろ」

少女「ここが最後だっけ?」
勇者「あぁ。だから待っていろ」
少女「う~ん」トボトボ

コンコン


ガチャッ

勇者「こんにちは」

?「どなた…って!」
勇者「お前は」

?「わざわざ訪ねてきてくれたのね」ニコ

勇者「そんなわけないだろう」
勇者「艶女だな?」

艶女「あら、名前も知っているのね」

勇者「聞きたいことがある。農村の事だ」

艶女「…誰から聞いて来たの?」ジロ

勇者「言ったはずだ。お前にも聞こえて居ただろう」

勇者「詮索は無用だ」

彼は気付いて居たのだ
バーにて、マスターとのやりとりを聞いているものがいることを


艶女「そうね。とりあえず上がって」

~艶女家~


艶女から聞いた話は、村人から聞いた事と一点を除く他は変わらなかった

勇者「そうか。ありがとう」ガタッ

艶女「…でも」

艶女「私が見たモノは、なんだったんでしょうね」ハァ

勇者「?…なにか見たのか?」

艶女「えぇ。広場で殺されたって言う夫婦なんだけど」

艶女「人型の魔物は夫婦に対して何もしていなかったのよ」

艶女「寧ろ、村から引き上げようとしている様だったわ」


勇者「なんだと?」

艶女「夫婦が魔物と会話し終えた所で」

艶女「なんて言うのかな…。夫婦を包む様に景色がグニャ~ってなって」

艶女「元に戻る時には、ね」

勇者「そうか…。間違いないんだな?」ジッ

艶女「えぇ。この目で視たもの」

勇者「わかった。ありがとう」ガタッ スタスタ
艶女「もう行くの?勇者君」

ピクッ
勇者「…あぁ。」ガチャ パタン




艶女「…」スタスタ ガチャッ トントントン

ガチャ

艶女「これでよろしいでしょうか。」

少女似の少年(以降少年)「うん。真実は伝えたしね」

少年「あとは彼が勝手に迷うさ」

少年「さて。勇者様は辿り着けるかな」

艶女「ではこの娘は」

娘「ん~」ムグムグ

艶女「…」ドス
娘「ん゛っ」

娘「」ピクピク

~路地~

少女「おっそいよ~」ムゥ

勇者「すまないな」スタスタ

少女「あっ!待ってよ!」トテトテ

勇者「(人魔は夫婦に手を出していない)」

勇者「(艶女の話によると、その時周辺に村人も居なかったと)」

勇者「…」

勇者「(どういう事だ?)」

勇者「(だとしたらなぜ村人はああまで出来事を話せるんだ。)」
勇者「(村人達は、何者かと繋がっているのか?)」

勇者「(…それに…。俺が勇者だと名乗ったのは少女だけだ…)」

スタスタ

スタスタ

「ねぇ!」

少女「ねぇってば!」ガシッ

勇者「!?」

少女「そろそろ宿に戻るの?」

勇者「!、あぁ。そうだな」

スタスタ
トテトテ

~宿屋夜~

少女「」スゥスゥ

勇者「一度村に戻るべきか…」

勇者「(だが、少女の変貌ぶりも気になる)」

勇者「(俺の名の事も…)」
ガッシャーン

ババッ

勇者「!!?」

魔物a「ゴイヅ。ダ」

魔物b「ゴ…ロ…ズ」ダッ

メキィ

勇者「く!?」ドカァ
魔物a「ガァァ!」ドッ

勇者「ちっ!」ガッ

勇者「はぁ~」タメイキ

勇者「(面倒だな)」

勇者「(すぐに片付けなければ…他の客も騒ぐだろう)」グググ

魔物ab「ぐがぁぁ!」バッ

勇者「?!(くそ…少女!)」ダッ

少女「」ムク


カッ
眩しく光り、勇者は思わず目を閉じた

ズズズ
スゥ

光の奔流は収まり、魔物の気配は消えていた

勇者「なん…だ?」スッ

そこには魔物達の姿はなかった

少女「…ま、だ…」バタリ

勇者「少女?!」タタッ
勇者「!(この魔力…。これは)」
勇者「広場で感じた…」

こうして狭間の街の夜は更けていった

~夜中~
勇者「回復魔法中」パァァ

勇者「ふぅ」

勇者「不意打ちか」チラ
少女「zzz」

勇者「(また厄介事になりそうだな)」



チュンチュン

勇者「」ムク

勇者「」チラ
少女「zzz」

勇者「一度村に戻ってみよう」

少女「ふぁ」ムク

少女「勇者?おはよ」ゴシゴシ

眠そうに目を擦る少女に
村に戻ることを伝え準備を終えた

~村への道中~
スタスタ
トテトテ

少女「全然街のなかをみれなかった」ムス

勇者「また行けばいい」
少女「連れてってくれるの?!」パァ

勇者「…。あぁ。用事が済めばな」スタスタ


スタスタ

少女「楽チン楽チン!」ニコニコ

勇者「まったく」フゥ

勇者「もうすぐ村だ。背負うのもそろそろ終わりだからな」

少女「む~。じゃあまたおんぶしてね!」ニコッ

勇者「それは約束したくないな」ポイッ ドサ

少女「いてっ!」スリスリ
少女「急に離すなんて酷い」ムス

勇者「村が見えてきたぞ」
スタスタ

少女「お、置いてかないでっ!」アセアセ
タッタッタッ

~村入り口~
ザワザワ

「~」
「~!」

スタスタ
トテトテ


村人c「!いたぞ!」
村人a「なに!?」

村人b「急げ!」ダダッ

勇者「なんだ?」

村人a「あんた!何てことしてくれたんだ!」
村人b「だから余所者を村にいれるなんて反対だったんだ!」ダダッ

村人b「早く来い!」ガシッ

少女「!?」

村人a「早く連れていけ!」ザッ

勇者「…やはりまだ話していないことがあったんだな。」

村人c「!」

村人a「?何のことを言ってやがる!」バッ

勇者「」スッ バキッ

村人a「ぐぅっ!」バタ

スタスタ
勇者「俺は真実が知りたいだけだ」チャキ

村人c「すみませんでした。」
村人c「あなたになら全て話しても良いのかも知れませんね」

村人c「もうこんな生活は沢山です」ガクッ ポタポタ


村人は涙を流し、膝を着いた

魔族の恐ろしさを知り
絶望を視たその村人は
以前剣を向けた勇者にすら縋り
最後には懇願していた

勇者「そうか…」チャキン
スタスタ

真相の一部を聞かされた勇者は
剣を納めそのまま少女の家へと向かった

勇者「そうだったのか…」

ブゥン

勇者「?少女家を中心にした巨大な魔法陣」
勇者「これか…。効果はなんだ?」スッ

勇者は手に魔力を込め、魔法陣に触れた

勇者「これは…。融…合の…儀?」パッ

勇者「この気配。かなりの数の魔物が近付いて来てるな」
スタスタ

ガチャッ
ギギィ

ガチャガチャ
そこには、鎖に繋がれた少女の姿があった

少女「あ…あぁ!」ズァァ

少女「い…いやぁー!」ズズズ

スタスタ
勇者「この魔力。やはり同じだな」

勇者「(だが飲まれかけている)」

勇者「(少女自身の力では無いようだな)」チャキ ズバッ

ガキン
ジャラ

少女「あ…あ…」フラフラ
バタ

勇者「」ダキ

勇者「(少女自身の力で無いのなら)」



勇者「(もう一面の少女の力なんだろうか)」

スタスタ

村人bは、圧倒的な魔力に飲まれ

部屋の隅に倒れていた

そして
彼は魔物の気配が近付いて来ないことに

僅かな疑問を抱いていた

魔法陣の外に出た勇者は、そのまま村はずれにある洞窟へと向かった

スタスタ

勇者「ここならしばらくは凌げるか」スッ

意識の無い少女を降ろし
上着を掛けた勇者は
洞窟の入り口を結界魔法で封じた

スタスタ

勇者「cの話…。あれを前提にするとして」
勇者「まずはあいつか…」

スタスタ

村人cの話では

ある時、件の魔物が現れたこと

魔物達は初めから少女を狙っていたようであり
村を護るため、村人達に少女が生贄にされたこと

事件以降は、魔力を持つ者は例外なく

生かされている少女の家に送るのが習慣になっていた事

その時には必ず
雑音を掻き消す程の雨が降り

訪れた旅人達は
いつの間にかいなくなっていたこと

夫婦と少女が村に住み始めた当時のこと

そして
夫婦の最期を話した男の事

勇者「最初から少女が狙い?」

勇者「それに少女の魔力は…」

ゴロゴロ
ピカッ
ドドーン

勇者「また雨か」フゥ


勇者は村の入り口に立っていた
降りしきる雨の中
それでも佇む彼を見据えて


農夫「おや、旅の方かな?ここは農村。何もないがゆっくりしていくといい」ニコ
勇者「…」

農夫は再び同じ言葉を発した

勇者「(やはり)」

勇者「(こいつにはなにかあるな)」

勇者は腰に掛けた刀に手を伸ばした

グッ

力を込めたその時

「グォォォ!」バサッバサッ

ごめん初ssな上に自己満過ぎで酷いんだろう
上手く筋立てて掛けない自分の無能さが切ない…


勇者「あれは、まさか」

勇者「ドラゴン?」


バサッバサッ
スゥ
ヒュゥゥ…

ドラゴンは勇者を気にも留めず雷雲に曇る空を羽ばたき

近付いてこない魔物の群れがいる方向へ

飛んでいった

ドラゴンが飛び去った直後
農夫「~」バッ

農夫は詠唱もせず
勇者を中心とした魔法陣を展開した

勇者「!?」ダダッ


バッシャッァァァン

ジャァァァ

勇者を巻き込もうとする水渦

勇者「水系魔法!?」タッ

ザァァァァア

農夫「~」ボソボソ

ボゥッ
勇者「(めんどくせぇ!)」バッ

勇者『天雷魔法小』
カッ


瞬く雷雲の下、放たれた彼の魔力は
濡れた地面を走った

それは農夫を焼き尽くし

人とも呼べぬ程の姿となり残る

勇者「ちっ。やっちまった」

勇者「この魔力」
勇者「人のものではないな」

スタスタ

勇者「それに…。広場の痕跡にあったものに近い」

スッ
話を聞くべく
勇者は農夫に触れた


勇者『蘇生魔法』ポゥ

ムク
農夫「…はっ!?」ハァハァ

チャキ

刃を抜き、切っ先を押し付け
勇者は問う

勇者「知っている事があるだろう」グッ

ザァァァ

農夫「はぁはぁ」ゴホゴホ

農夫「はぁ…ふぅ」

勇者「お前自身は人間だろう」

勇者「その力、どうやって手に入れた」グッ

農夫「…ふん」ツゥ

刃のあたる所から
血が流れ始める

農夫「…あんまり覚えてねぇんだ」

勇者「…」

農夫「やけにセクシーな女とよ」
農夫「上手くいって…。まぁ、ヤったんだよ」

農夫「んで気がついたら」
農夫「なんつーのかな」
農夫「自分自身は意識はあるのに、身体は別人みたいな感じで」
農夫「そんで、いつの間にか村の入口で番人やるのが当たり前になってたんだよ」

勇者「それはいつの事だ?」

農夫「いつって…」

農夫「ガキを連れた夫婦が来てからだから」

農夫「まだひと月位じゃねぇか?」

勇者「…」グッ

農夫「痛ってぇな!」
農夫「なんだよ!?」
勇者「…夫婦が村を訪れ、住むようになってからは」

勇者「もう10年近く経っていると聞いた」スゥ

勇者は農夫に突きつけた刃を
農夫の眼前に据えた

農夫「殺すのか…?」チッ
農夫は目を瞑り
死を覚悟した

疑問や願望を押し殺し
ただ待った

勇者「よく見てみるんだ」スゥ

再び勇者は農夫の眼前に刃を据える

農夫「なにをだよっ!?」

農夫「訳わかんねぇ!」
農夫「10年って!」
農夫「俺にも教えてほしい位だ!」

勇者「よく見るんだ…」
勇者は据えた刀を農夫の眼前より動かさない

農夫「もうなんなんだよあんた!」

農夫「何を見れば良いんだy」チラ

農夫「っ!?」

農夫は
透き通るような刀の刀身に

僅かに映る
自分のような姿をみつけた

勇者「…」
勇者「ゆっくりでいい」
勇者「少しずつ」
勇者「話してみるんだ…」

農夫「な…なんだよこれ…」ガシッ

彼は据えられた刀を掴み
そこに映る姿を睨む

不思議と、刀身を握る彼の手からは血が流れる事はない

農夫「誰だよっ!」グググッ

そこには
好き勝手に伸びたボサボサの髪と
胸辺りまで無精に生えた髭

それをたずさえるのは
確かに老けた自分自身

勇者「落ち着くんだ…」

農夫「う…う…」

農夫「うわぁぁぁぁ!」

勇者「落ち着くんだ!」ガシッ

農夫「あぁぁぁ!」ガクガク

勇者『くそっ!回復魔法中』パァァ

農夫「っ?!」ガクガク
農夫「あぁぁ!…あ…ぁ…」バタ

勇者「ふぅ」

勇者「うまくいったか」ガシッ

魔族の使う魔力
人間の使う魔力が相反するものだと考えていた勇者の判断は

間違ってはいなかった

スタスタ
ズルズル

勇者は農夫の襟元を掴み
引きずり歩いてゆく

勇者「とりあえず広場だな」ズルズル


ザァァァ
ゴロゴロ

人間の魔力により
農夫を蝕み放出される魔力は相殺され

魔力強化により活動していた農夫の肉体は

一気に、過ぎた年月の疲労を感じ
倒れたのだった

~村広場~

ズルズル
ドサッ

勇者「ここでいいか…」ブゥン

勇者の左手に魔力が集まる

そして広場を中心に、村の半分近くに達する
魔法陣を展開した

~広場~

広場の中心にある噴水
その脇の小さな屋根とベンチ

1人はベンチに横たわり
もう1人の足元には
何本かの吸い殻


勇者「スゥ。そろそろ起こしてみるか…」

勇者「ふぅ~」モクモク

ザッザッザッ

勇者「…」ピク


艶女「あら?」

艶女「また会ったわね」ニコリ

勇者「艶女…」


艶女「ふふっ」

艶女「この村、なにも変わってないわ」スタスタ

勇者「どうしてここに?」

艶女「あなたのせいよ」
艶女「あなたとこの村の話をしたら」

艶女「久しぶりに…ね」ニコッ

艶女「あなたこそなんでこの村に?」

勇者「…旅の途中だ」

艶女「そう…」
艶女「でもこの村は危ないわよ?」

ムク
その時
ベンチに横たわる彼が目を覚ました

農夫「…ん」

農夫「ここ、は?」ゴシゴシ

勇者「起きたか?」

勇者「回復魔法小」パァァ

農夫「お前…」スッ
農夫「悪ぃ」

勇者「大丈夫か?」

農夫「まだ頭ん中ぐちゃぐちゃだよ」ハァ

勇者「だろうな」

農夫「一体何が何だか…」チラ

農夫「て、てめぇは!」ダッ

勇者「!?」ガシッ

勇者は
突如走り出した農夫を抑える

勇者「(…)」

艶女「ふふっ」ニコッ

艶女「どうかしたのかしら?」スタスタ

スッ
勇者「それ以上近付くn」
農夫「てめぇ俺に何をした!?」グィ

農夫「それに、いつも一緒にいた俺の妹はどこだ!?」

勇者「農夫!落ち着くんだ!」ガシッ

艶女「いつも一緒に居た妹?」ウーン

艶女「あ!今でも私の後に」
艶女「チョロチョロ着いてきてるわよ」ニタッ

農夫「!?」

勇者「(農夫の魔力が…。荒れてきている)」

農夫「どこにいるんだ!」ザワザワ


艶女「今呼ぶわ」ヒラヒラ
艶女「おいで…。娘」


スタスタ

娘「」フラフラ

※妹=娘

農夫「妹っ!」

妹「」フラフラ グラッ

農夫「っ!」ダッ

意識なく倒れそうになる娘

気付き駆け出す農夫

勇者「…」タッ
シュン

ガシッ

ハラリ
勇者「!(この傷…)」

瞬く間に娘に近付き

支えた勇者が見たものは
上着のはだけた娘の左胸にある、傷だった

勇者「これは…」

農夫「妹!」タタッ

グイ
勇者はとっさに
娘の服を引き
傷を隠した

タタッ
農夫「大丈夫かっ!?」ハッハッ

勇者「…」

艶女「娘?ほら!」

艶女「挨拶は?」

娘「あ…あ…」ムクッ

娘「こんに…ちわ?」
娘「こん…ばん…わ?」フラフラ

農夫「妹?」ガシッ

娘「あははっ」ダラダラ

娘「ふふふっ」ケラケラ

娘の眼は焦点が合わず
口元からは唾液を垂れ流していた
それを見た勇者は

艶女を明らかな敵として認識した

勇者「…農夫」グッ

判りづらいので以降「娘」で統一します

農夫「娘!?」ガシッ ユサユサ

娘「あ…あ…」フラフラ

艶女「あらぁ?」
艶女「壊れちゃってるわねぇ」クビカシゲ

農夫「っ!?」ブルブル
スタスタ
スッ
娘を優しく
ベンチに横たえた

農夫「てめぇ…」ズズズズ


農夫の身体を再び魔力が覆う

勇者「!(魔族の魔力なのか?)」
勇者「(だが、邪気が感じられない)」

勇者「(…どういう事だ?)」

農夫「娘に何をしたっ!」ダッ ギュン

艶女「!?」
農夫「おらぁ!」ブン
ドカッ
艶女「うっ!」ドシャァ
瞬時に間合いを詰めた農夫の放った拳は艶女を捉え
彼女を数m吹き飛ばす

艶女「レディ相手にヒドいわねぇ」ゴシゴシ

艶女「汚れちゃったじゃない」ハァ

農夫は更に追い討ちを掛けるため
体制の整わない艶女の背後に回る

農夫「あぁぁ!」ブン
シュン
ガシッ
勇者「農夫。やめるんだ」グググッ

農夫の一撃を抑え込む勇者

農夫「!」

農夫「なんでだよ!?」ワナワナ
農夫「アイツのせいで娘が!」

農夫「…娘が…!」ポロポロ
勇者「お前のその力」
勇者「その身体じゃ保たないだろう」チラ

農夫「うぅ」ガクガク

彼の身体が
数年の疲労からは回復しきっているはずがなかった

勇者「今は身を休めるんだ」グッ

そういうと勇者は娘に近寄り
彼女の両腕を後ろ手に縛る

農夫「なにをしてんだよ!」ハァハァ

勇者「破邪の鎖だ」ジャラジャラ

勇者「お前と同じように」
勇者「魔力を植え付けられている可能性が高い」

農夫「だからって…」ハァハァ

勇者「お前は自分の大切な人間にも」

勇者「辛い思いをさせたいのか?」
農夫「…!」

農夫「…わかった」スゥ フゥ

息を整え娘を背負った農夫に
勇者は洞窟にて休んで居るように

そしてそこにいる少女の様子を見ているよう伝えた

勇者「さて(邪気がなければ結界も通れるだろう)」ジッ

艶女「済んだかしら?」スタスタ

勇者「あぁ」チャキ

ザァー
ゴロゴロ

勇者「お前達はなにをしたいんだ?」

艶女「お前『達』?」
艶女「なにを言ってるのかしら」フフッ

艶女「私は」
艶女「魔力の深淵を見たいだけよ」ニコッ

勇者「…」タッ

ドスッ

艶女「あな…た」ブルブル

勇者「」ズバッ

艶女「」ゴロゴロ

勇者は躊躇無く艶女を刺し

その首をはねた

勇者「…」

勇者「(破邪の力が有れば)」
勇者「(大丈夫だろう)」

艶女「」ピクピク

勇者「…何が目的だ」
艶女「」

勇者「話す気はないか」

勇者「ならば終わりだ…」

勇者「『魔物』よ」ブン

ガキィン

艶女「…勇者って」
艶女「倒れている女にも、刃を突き立てる生き物を言うのね」ゾゾゾゾ

人間であれば死んでいるはずの一撃を受けた艶女

突如として動き出す肢体

艶女「ふふふっ」ゾゾゾ

艶女の首と胴体が引き合わされ

視る間に形が変わり始める
勇者「ラミア族か…」チッ

彼は過去、一度だけラミア族を見た事がある

それは彼の性格を変え
トラウマともなり
克服すべき壁であり
憎むべき
そして倒すべき敵である種族であった

勇者「よりにもよって…だな」グググ


『ねぇ勇者!私も君と世界を見たい!』

「まだ言ってるの?」
「幼馴染…」

『だって離ればなれなんて寂しいじゃん!』
『それに』

『いつでも守ってくれるんだよね!』ニコッ~

あの時の光景が脳裏に浮かぶ

勇者「お前達は…」
勇者「お前達だけは」ワナワナ

艶女「あら。どうかしたの?」

艶女「それにどうして魔物達が来ないのかしら?」ウーン

勇者「絶対にここで…」ズズズ
ヒュウ~

バサッバサッ

艶女「!」

艶女「やっと来たわね~」ナデナデ

先程、飛び去ったドラゴンが艶女の隣に落ち着く

グォォ
ググォ

艶女「え?魔物達が戦ってる?」

グォォ
艶女「三人組の旅人ね」ウンウン

艶女は明らかにドラゴンと会話している様だった

グォォ

艶女「魔法を使うた女と、僧侶?」

艶女「あと戦士?」ウーン

勇者「!?(まさか…)」

艶女「分かったわ」ナデナデ

艶女「あなたはもう監視をしなくて良いわ」

艶女「その代わり…」
艶女「みんな潰しなさい」ニコッ


勇者「!?」ズズズ

勇者「(もし、あいつらだったら…)」

グォォォ!

バサッバサッ
ヒュウゥ

勇者「俺は…」ブルブル

艶女「ふふふ」

艶女「始めましょうか」ニタァ

勇者「…」ブルブル

ゾゾゾゾ
艶女は地を這い近付いていく

勇者「…は」ブルブル

艶女「なぁに?」

艶女「はっきり喋りなさいよ」ブン

長い尾を振り
勇者へ向かって放つ一撃

ドッ

勇者「っ~!?」メキメキ

ドカッ
バキィ

先ほどまで
娘と農夫がいたベンチまで吹き飛ばされた

ガラガラ
ムク
勇者「うっ」ビチャビチャ

艶女「汚いわねぇ」

艶女「勇者も所詮はただの人なのね」ハァ

勇者「俺は…」ズズズ

勇者は
かつて失った大切な人間を
再びその思いをするのかと怯え

周りが見えなくなっていた


艶女「もういいわ」

艶女「あなたも魔族の贄となりなs」

勇者「うぉぁぁぁぁぁ!!」ズァァァァ


艶女「!?なんなのっ?」ビクッ

勇者を包み込むように周囲の風が集まり

それは雨をはじき地を削り
そして圧倒的な圧力を発していた

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