美琴「最後の罰ゲーム」2 (45)
美琴「はぁ……はぁ……」
美琴(終わった………)ガクッ
美琴「ははっ……もう立てないや……
頭もガンガンするし……」
美琴「これで、もう……被害は……」
ガツン
美琴(えっ……嘘……でしょ……!?
何で……)
「--ターゲット、ホソク」
美琴(何で……あれを受けて……生きてる……の?)
「---」
美琴(持ち上げられて……連れてかれてる……
くっ……駄目……体、もう動かない……!!)
美琴(……どうなるんだろう……私……)
美琴(だめ…頭痛で……意識……が……)
美琴(……お願い……助けて……当麻……!!)
ピクッ……
「…………美琴…?」
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ピッ……ピッ……----
美琴(………ん………)パチッ
美琴(……ここ、は……?ぼやけてよく見えない……)
美琴(体…動かない……固定されてる……?
見えないし…聞こえない…)
美琴(私……どうなったんだっけ……
確か、あの機械とやりあって……倒れて……)
美琴(てことは、ここは……機械の根城……か)
美琴(…ぼんやりと…見えてきた…
……なんか病院の天井みたい……)
「……こ………と!?」
美琴(……声……?)
美琴(呼んでる……私の…名前……)
「み…と!?美琴!!」
美琴(……誰だっけ……この声……
あったかくて…好きだな……)
「美琴!!おい!!返事しろ!!」
美琴(なんか、引っ掛かってるんだけどな……
ダメだ……思い出せないや…)
美琴(……疲れちゃった……もう一回…眠ろう……)
「……こと!!……と!!」
上条「っ……おい!!美琴!!」
看護士「落ち着いて下さい!!落ち着いて!!」
上条「美琴!!美琴!!……くそ……」
上条「やっと…起きてくれたと思ったのに……」
冥土返し「……まだ完全に癒えた訳じゃないみたいだね……
それでも目覚めかけた、この事実があるだけで十分だよ。だが、」
冥土返し「彼女がボロボロでここに運ばれてから約一ヶ月……外傷はとうに消えてる。やはり言ってた通り……」
上条「……分かってる。それでも、まだ俺は美琴に、言わなきゃならないことがある」
冥土返し「……そうかい。
なんにせよ、君も怪我人だ。ようやく治ったと思ったらすぐに新しい傷を作ってきて……」
冥土返し「彼女の側にいつもいるためにも、安静にしろと忠告しておいたのにね」
上条「……耳が痛いです」
冥土返し「まぁ後はそこの看護士さんに任せて、君は彼女の親族や友人に連絡してあげたらどうだい?」
上条「そうですね……自分少し出てきます」
美琴(……ここは…?
…冷たくて……静か……)
美琴(そして……暗い…
本当に真っ暗……夜みたい)
美琴(もう…動きたくない……そう思わせる……闇)
美琴(……そっか。これが死なんだ……)
美琴(私…死んじゃうのかな……?)
美琴(……誰にもお別れ言えてないな……
黒子、初春さん、佐天さん、寮管、インデックス……当麻)
美琴(!!そうだ…さっきの声……当麻だ……!!)
美琴(……駄目……!!やっぱり……まだ[ピーーー]ない……!!)
美琴(まだ……私には---
美琴「……ん……っ……」
看護士「!!先生!!また目が!!」
冥土返し「…………」
美琴「と………は……?と……ま…?」
冥土返し「……落ち着いて。私の言葉が分かるかい?無理にしゃべらなくていい、頷いたりするだけでもいいよ」
美琴「」コクリ
冥土返し「……よし、意識はある……すぐに検査の準備をしておくれ」
看護士「はい!!」
美琴「当……?」
冥土返し「大丈夫、彼はすぐにやってくるさ」
美琴「じか……ない……わた………う……」
冥土返し「……そんなこといってはいけないよ。必ず、私が救ってみせるさ。
後は……君の気持ちしだいだ」
美琴「」コクリ
冥土返し「……そう、そのいきだよ」
看護士「先生!!準備できました!!」
冥土返し「分かった。すぐに彼女を部屋へ」
冥土返し(さて……久しぶりに忙しくなりそうだね……)
上条「……先生!!」
冥土返し「おや、君かい。まぁ来るとは思っていたがね」
上条「美琴…美琴は…?」
冥土返し「そう焦らないでおくれ。ただでさえ、徹夜で疲れてるんだ。電話で伝えた通りだよ。
ほら、彼女はそこの病室だ」
上条「ありがとうございます!!」
冥土返し「病院内では静かにね」
冥土返し(…一命は取り留めた…どこまで持つかは、君達しだいだ)
上条「美琴!!」
美琴「………」
上条「!!………本当に…本当に美琴だよな?
正真正銘の、御坂美琴だよな?」
美琴「……」コクリ
上条「………ははは」ドサッ
美琴『当麻、地面に座っちゃ汚い』
上条「……よかった…本当によかった……」
美琴『当麻』
上条「くそ……また泣きそうだ……」
美琴『当麻』
上条「あっ、そうだ!!早く白井や美鈴さんたちに伝えないと……」
美琴『当麻!!』
上条「痛っ!!おま……お見舞いの果物は投げるもんじゃねぇだろ……」
美琴『当麻が、見てくれないのが悪い』
上条「……そりゃそうだ。悪かった悪かった」
上条(先生が言ってた通り、まだ声は満足に出せないのか。紙に字かいてるの、すっかり気づかなかった……点滴もしてるし……)
美琴『まずは、立つ』
上条「あっ……はい…」
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---
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上条「……先生!!」
冥土返し「おや、君かい。まぁ来るとは思っていたがね」
上条「美琴…美琴は…?」
冥土返し「そう焦らないでおくれ。ただでさえ、徹夜で疲れてるんだ。電話で伝えた通りだよ。
ほら、彼女はそこの病室だ」
上条「ありがとうございます!!」
冥土返し「病院内では静かにね」
冥土返し(…一命は取り留めた…どこまで持つかは、君達しだいだ)
上条「美琴!!」
美琴「………」
上条「!!………本当に…本当に美琴だよな?
正真正銘の、御坂美琴だよな?」
美琴「……」コクリ
上条「………ははは」ドサッ
美琴『当麻、地面に座っちゃ汚い』
上条「……よかった…本当によかった……」
美琴『当麻』
上条「くそ……また泣きそうだ……」
美琴『当麻』
上条「あっ、そうだ!!早く白井や美鈴さんたちに伝えないと……」
美琴『当麻!!』
上条「痛っ!!おま……お見舞いの果物は投げるもんじゃねぇだろ……」
美琴『当麻が、見てくれないのが悪い』
上条「……そりゃそうだ。悪かった悪かった」
上条(先生が言ってた通り、まだ声は満足に出せないのか。紙に字かいてるの、すっかり気づかなかった……点滴もしてるし……)
美琴『まずは、立つ』
上条「あっ……はい…」
上条「……なんにせよ、治ってよかった……
……遊園地のとき、俺がちゃんと気づいていればこんなことには……」
美琴『(怒)』ビシュ
上条「いたっ!!やめろ!!果物はやめろ!!」
美琴『そのことは、いっちゃいけない』
美琴『悪いのは、相談しなかった私』
美琴『全て自業自得』
上条「でも……」
美琴『でももへちまもない』
上条「……そっか。美琴がそういうならそうしとくか」
美琴『それが正しい』
上条「……とりあえず、俺連絡してくるよ、美琴が目、覚ましたって
そっからは自由だ!!お前が寝てる間にいろいろあったんだからな?全部話してやる!!」
美琴『それは、楽しみ』
上条「笑い声だす準備しとけよ?じゃあちょっと行ってくる」
美琴『当麻』
上条「何だ?」
美琴『』(………)
美琴『なんでもない、忘れて』
上条「?まぁ安静にしとけよ」
冥土返し「………どうだい?彼女の様子は」
上条「……大丈夫だと思いますよ。顔色も悪くないです」
冥土返し「そうかい。なら、ひとまずの山は越えたね」
上条(よく見たら、先生すごいくま……)
上条「ありがとうございます。後は任せて、先生は少し休まれては……」
冥土返し「そういう訳にはいかない。僕のもとにやってくる患者は彼女だけじゃない。
まぁ少しは休ませて貰わないといけないけどね」
冥土返し「それに今重要なのは僕よりも彼女だ。
まだ、伝えてはいないよね?」
上条「はい。でも……」
冥土返し「でも?」
上条「多分あいつ、気づいてます。
襲われる前には伝えてましたから」
上条「それに……今は本当のことは、伝えたくない……というのが本音だったりもして……」
上条「もし伝えてしまうと、本当に美琴は……助からないような気がするんです。
まだ、そう決まった訳じゃない、はずなのに…」
冥土返し「…それもそうだね……これ以上の口だしは必要ないようだ。
君の言った通り、任してもいいかい?」
上条「……もちろんです」
上条(美琴は助かる…絶対に)
----
上条「よぉ、美琴」
美琴『30分、遅刻』
上条「悪い悪い。ちょっと補習に捕まってて……」
美琴『補習になる、当麻が悪い』
上条「…返す言葉もございません」
-----
上条「美琴、見ろよこれ。
学園都市でなんかイベントあるっぽいぞ。
えっと……これなんて読むんだ?」
美琴『読めないもの、もってこられても』
上条「だってチラシがあったから……
そこまで言うなら読んでみろよ」
美琴『』(……)
美琴『読めない』
上条「はっはっは。天下の常盤台でも読めませんか」
美琴『私、中学生。当麻、高校生』
美琴『言う立場が逆』
上条「……Oh」
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上条「おーっす、美琴……って、何描いてるんだ?」
美琴『絵』
上条「いや、それは見て分かるけど……何の?」
美琴『秘密』
上条「むっ……そこは教えてくれても」
美琴『完成したら、ちゃんと見せる』
上条「……まぁ、そういうなら」
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美琴『ねぇ、当麻』
上条「お、なんだ?今このトランプタワーいいとこなんだよ。ちょっと待てっ……てあぁぁ!!りんご投げんな!!崩れたぞ!!」
美琴『人の病室ですることじゃない』
上条「うっ……で、なんだよ?」
美琴『これ、あげる』
上条「ガム?食べ飽きたのか?」
美琴『』コクリ
上条「んじゃ、いただきまーす……」
上条「!!か……かっっらぁぁぁぁぁ!!!なにこれ!!?水!水!!」
美琴『』ニヤリ
上条「お前、狙ったろ!!」
美琴『それ以外あるとでも?』
上条「黒いぜ、美琴さん…」
美琴『天罰』ニヤニヤ
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上条「よっ!!…って、先客がいたか」
佐天「どもー、おじゃましてまーす」
初春「こ、こんにちは」
黒子「!!来ましたわね、このウニ頭!!」
上条「うぉ!!あった瞬間ドロップキックは止めろ!!ここ病院だし!!」
黒子「いつもいつも私のお姉様と二人きりだと聞きましたわ……!!
この妬み…はらさずには……!!」
美琴『黒子、やめて』
黒子「分かりましたわ、お姉様~」
上条「そこの二人も止めてくれよ……」
佐天「いやー、まぁ今回ばかりは白井さんの言い分もそこそこ正論だったんで……」
上条「出会い頭のドロップキックが正論とは思えないんですけど……」
----
美琴「あ………い……」
美琴(まだ、声でないな……)
上条「よっーす。美琴元気かー」
美琴『超、元気』
上条「そりゃよかった。
今日から一応外出許可出てんだっけ。行くか?」
美琴『もちろん』
上条「……っと、意外と難しいな、車椅子って……」
美琴『ただ押すだけなのに?』
上条「点滴うちつつだと結構危ないからな」
美琴『今度、当麻が座って私が押す』
上条「……それ、遠回しに俺に足怪我しろっていってんだろ」
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-
上条「……美琴が目覚ましてから今日で一ヶ月、か…結構たったな……」
上条(このまま何の変化もなければいいんだけど……)
上条「よっ……てあれ?いないな……どっかいってんのか?」
上条「あっ、すみませーん、この部屋に入院してた人は……」
看護士「ああ、御坂さんなら今中庭の方にいらっしゃいますよ
点滴の合間に少し風に当たりたい、と」
上条「ありがとうございます」
上条(中庭……前車椅子でいったところか……)
上条「おーい、美琴ー。
全く……どこいるんだか…」
上条「ん……?この絵……なんか前美琴が描いてたやつに構図が似てるな……いろんな人が並んでて…
これは…寮管さんか?こっちは白井だし、これは美鈴さんみたいだ……やっぱ美琴の絵だったのか」
上条「この真ん中の、俺か?こんなツンツンしてるか、髪の毛……」
上条(それでも……楽しそうに笑ってるな、この絵の中の人みんな)
上条「っと、とにかくまずは美琴探さないと……」
上条(……?待て、あの茂みから見えてるのって……手、か?
……まさか……!?)
上条「!!おい、美琴!!美琴!!返事しろよ!!」
美琴「…………」
上条「くそ……!!とにかく先生のとこに……
……死ぬなよ……!!」
美琴「…………ん……」
上条「!!美琴!!大丈夫か!?」
美琴「………う……ぁ」
上条「いい、無理に喋るな」
美琴「………っ…」カクン
冥土返し「…眠ったみたいだね」
上条「……先生。もう美琴は……」
冥土返し「…そうだね、もう…いいたくはないが…限界だろう」
上条「!!……っ…」
冥土返し「……正直この一ヶ月持っただけで奇跡に近い。すでに彼女の脳は、能力によって崩壊寸前だ」
冥土返し「よく……頑張ったよ、彼女は。
おそらく、今夜が最期だろうね」
上条「……そう……ですか……」
冥土返し「……どうする?君から友人や親族に連絡するかい……?」
上条「……すみません……少し一人にしてくれませんか?」
冥土返し「……分かったよ」
上条「……くそっ……くそっくそっくそっ!!!!」
上条「何で……何で助からないんだよ……なんで…なんで……」
禁書「……とーま」
上条「……インデックス…何で…」
禁書「とーまの帰りがあまりに遅いから……」
上条「…そっか……ありがとな……でも、今は…」
禁書「……美琴、もう治らないの?」
上条「……あぁ。今夜が最期だって言われたよ」
上条「結局……俺は何も出来なかった…」
禁書「…それで、とーまはどうしたいの?」
上条「……どういう意味だ?」
禁書「こんなところで、イジイジして、イライラして、それがとーまのしたいことなの?今の美琴にしてあげたいことなの?」
禁書「違うよね?今、とーまが本当にしなきゃいけないのは、誰よりも、一番近くに美琴の側にいてあげることじゃないの?」
上条「…だけど、もう…俺じゃ何も出来ないんだ!!側にいる、それだけで美琴が治るわけがないんだよ!あった」
禁書「でも!!それだけで、大好きなとーまが側にいるだけで、美琴も頑張れるんだよ!!とっても嬉しくて、とってもとっても頼もしいんだよ!!」
上条「!!………っ」
禁書「だから、ね?すぐに美琴のとこに戻ってあげて」
上条「……そうだな、ありがとよ、インデックス。なんか吹っ切れた!!」
禁書「ふふん、迷える子羊を導くのがシスターの……ってもういっちゃった……」
禁書「……私達も行かなきゃね、スフィンクス」
スフィンクス「にゃー」
上条「--美琴!!」
看護士「!!上条さん!?」
上条「美琴は!?」
看護士「い、今ちょうど目を覚まして…」
上条「……美琴、聞こえるか……?」
美琴『』コクリ
美琴『看護士さん、少しだけ二人にしてくれませんか?』
看護士「……分かりました」
上条「……美琴…………」
上条「駄目だ…なんていえばいいか、分かんねぇ」
美琴「……ね…ぇ…当…麻」
上条「……声、無理に出すな。辛いだろ……?」
美琴「…これ……だけは…言いたい…から…」
美琴「…いっつも……ごめんね…」
美琴「電撃……飛ばしたり……無茶い…ったり……
でも…楽しかった……」
上条「……止めろよ…そんなこというの……」
美琴「ホントは……色々あったけど……駄目……だ……もう……喋れない……や……」
上条「…止めて…くれよ……」
美琴「ふふっ…………ありがとう---」
--その後、深夜だと言うのに入りきらないほどの人数が彼女の病室へと入っていった。
寝巻姿にコートなどの防寒具を着用している人も少なくなかった。
それぞれの口から様々な言葉が飛び出していたが、多くの人から悲しみが漏れ出ていた。
俺は、その様子をただただ部屋の外から見守ることしか出来なかった。
彼女の部屋から人がほとんどいなくなったとき、ある三人が俺のもとにやってきた。
そのうち一人にはぶたれると思ってたし、その覚悟もしていた。
でも、彼女はそんなことはせず
「--お姉様は、あなたといたとき、幸せそうでしたか?」
答えることが、出来なかった。
結局、自分には彼女の、本当の気持ちは分かっていない。
病気のことも隠していたし、迷惑もかけていた。そんな奴と一緒にいて、楽しい訳がないだろう。
それでも、一緒にいるときの彼女の顔はとても明るく、輝いていて。
そこで、俺はぶたれた。
残りの二人が止めるまで、何発も何発も殴られた。
泣きながら、叫ばれた。
「嘘でも幸せそうだった、そう言って下さらなければ、あなたにお姉様を私達は、どうすればいいんですの!?」
返す言葉なんて、持ってなかった。
その日、最後に出てきたのは俺もよく知っている白い修道服を来た、小柄な奴だった。
彼女のその表情は、不思議と今まで見てきた人と同じものが読み取れなかった。
彼女は、俺の前に来て言った。
「みことは、幸せだったんだね」
その言葉には、きっと根拠も理由も何もない。
でも、彼女の、修道女としてのその言葉に、縋り付きたかった。
気づけば、俺は泣いていた。
ようやく、初めて彼女の死を受け入れた。
塞きを切ったように溢れるその雫は、止まってはくれなかった。
夜が明けてからも、多くの人が彼女のもとへやってきた。
その中には彼女の母親の姿もあった。
何やら白衣を来た人達と激しく口論をしている。
涙を流しながら訴えている母親に対して、白衣の人間達はあくまで無表情。
きっと彼らは、目の前にいる女性を研究材料を奪いに来た、邪魔の物質としか見てないんだろう。
だから、俺もそこに入って言った。
熱くなっては、丸め込まれるのが分かっていた。
だから、あくまで冷静に、平静を保っている体で話した。
右の拳を、強く強く握りしめながら。
上手くいったのか、彼らはブツブツと言いながらどこかへ言ってしまった。
母親と二人きりになったその空間は、とても何かを話せる空気ではなかった。
結局、軽い挨拶だけをして、俺はその場をあとにした。
何が正しくて、何が正しくなかったのか。
自分の行動の答えの分からないまま、坦々と時間は過ぎていった。
彼女の病室も、すでに清掃も終わって新しい患者さんを受け入れる準備が整っていた。
俺は彼女の寮に行った。
ガランとしたその中には、一人の見知った女性しかいなかった。
女性は何も言わず、俺がやってくると彼女が使っていた部屋と案内した。
そこは、生前やってきたときと全く同じ姿が残されていた。
「……ルームメイト、本人たっての希望でな。しばらくはこのままがいいらしい。……ゆっくりしていけ」
それだけ言うと、女性はもときた道を引き返していった。
静かすぎるその部屋に、ただただ立っていることしか出来なかった。
ふと、壁に掛かっていた絵に目がいった。
以前はなかったもので、一瞬でいつかけられたのか、誰が描いたのか分かった。
たくさんの人が集まって、その表情はみな笑顔。
ようやく背景の下書きが終わったところで、その絵には色がない。
その中を、いくら探しても作者本人の姿が見当たらなかった。
「……やっぱ助からないの分かってたのか」
これが彼女の望み。
この絵こそが、彼女の望んだ世界。
すでに自分がいなくなってしまった後の、そんな世界。
「……できるはずもないのにな。お前がいなきゃ」
呟きは、部屋の静寂に吸い込まれては、消えていった。
上条「……御坂、いいか?よく聞いてくれ」
御坂「ひゃい!」
黒子「こうなったらあの類人猿の心臓に鉄針を……」
佐天「まあ待ってください。それよりも良い方法があります。それっ」バビューン
上条「御坂!俺はお前のことが!」
御坂「」スッ
上条「……御坂?」
御坂「……ふんっ」ブリブリブボボボァベチュチュビュルルブビチチチボボボモワァ
上条「」
黒子「」
初春「」
佐天「……あちゃー」
そこからは、平穏な日々が続いた。
いつもと変わらない朝。
いつもと変わらない街。
いつもと変わらない一日。
彼女の存在など初めからなかったかのように、世界は今日も回っている。
自分も、どこかであの懐かしい記憶から、逃げるように生きていた。
そんなある日。
家に、一通の手紙が届いた。
差出人の名前も郵便番号もかいていないその封筒には、見慣れていた字で、自分の住所だけが書き込まれていた。
一瞬、開くのを躊躇った。
きっと、これを開けたらもう逃げ道はなくなる。
受け入れるしかなくなる。
それでも、分かっていても。
その封を切る以外の道を、俺は見つけられなかった。
--当麻へ
この手紙を読んでいるころ、きっと私はこの世にはいないでしょう……って、これじゃあどっかで聞いたことある台詞だね
でもきっと、そうなるであろうから、この手紙を書いています
正直言うと、何を書けばいいかよく思いつきません
きっと思い出話をここにかいても、傷付くだけだから(私なら傷付くね)、もう言いたいことだけいいます
時間にルーズすぎ。そんなんじゃこの先社会でたとき、やっていけない。
いろいろ悩み事抱え込んだらだめ。周りにはいっぱいいろんな人がいるんだから頼る。
思ったことははっきりと言う。変に戸惑ったりしたら、相手が不安になる。
……と、星の数ほどある欠点あげてもいいけど、このぐらいにしときます
別に悪いとこだけじゃないよ?人の事一番に行動したり、周囲をちゃんと見れてたり、いいとこも負けないぐらいたくさんあるけど、自惚れそうなので書きません
きっと、この手紙読んでるときにはまた一人で悩んでることでしょう
だから、伝えときます
私は、本当に楽しかった
変なことで笑いあったり、いろんなとこに二人でいったりして、そりゃちょっと苛立ったりもしたけど、そんなこと関係なくなるぐらい、私は幸せだったよ
だから、逃げるな
私のことでもう、悩まないで、ちゃんと前向いて進んで
これが、あんたへの最後の罰ゲームだからね
まぁこんなとこかな
みんなにも、よろしく言っといてよ
それじゃあ、またね
P.S. 本当にありがとう
「……はは…」
読んでいるうちに、視界がぼやけてきた。
最後まで読むのに、何分かかったかすら分からない。
それでも、決めた。
どれが正解だったか、どれが間違いだったか。
そんな過去の自分の行動の答えは、出してくれた。
あと一つ。
きっとこの問いに正解はない。間違いもない。
それでも、自分の中で、一つの答えを見つけた。
彼女の、最後の罰ゲームに応える、一つの答えを。
ようやく、自分も回っている世界へと、入り込めた気がした。
自分でss初心者と言い訳してるやつだから糞ssなのはしかたない
-----
---
-
「……それでは、10分後に参ります」
「あぁ、頼むよ」
ブゥゥゥゥゥン……
「……さて、と」
「久しぶりだな、ここにくるのも。あの日から、一年たった時に一回来て、目標達成するまでこないって決めてたからな」
「相変わらず、こざっぱりしてる。この墓以外なんにもない」
「……綺麗に掃除されてる。先に誰か来てたのか。こんな早い時間に」
「…なんにせよ、ここに報告しないことには、終わらないよな、罰ゲームは」
「………美琴」
「お前が死んでから、10年たった。とりあえず今の状況を説明しておくよ」
「9年前に一度ここに来たとき、伝えた通り、俺は自分自身でこの学園都市っていう仕組みをぶっこわすことにした」
「これは案外上手くいったんだ。美鈴さんが火種になってくれて、学園都市に子供を預けていた親が一斉に自分達のもとへ帰すようすがった」
「最初はそんな反対意見押しのけてた。大事な研究材料を手放したくないのは、どこの研究所も同じだったからな」
「そこで、俺の仕事だったって訳だ。上手く出来たかは分からないけど……どうにか学園都市の研究施設は無力化できた」
「……考えれば、普通だよな。ウイルスだのなんだのが原因だ、言ったって大元は能力開発なんだから」
「そして、子供達はみんな親元に無事戻った……とこんなとこかな」
「まぁ事後の処理とかはまだまだ山積みなんだけど……能力関係の事件だって起こっちまってるし。これからなんとかするさ。それだけの手札はある」
「これが、俺の出した罰ゲームの答えだ。結局前向いて、と言われたけどお前のこと忘れられなかったよ」
「だから前向いたとき、俺に見えたのはもう二度とお前のような犠牲者を出さないことだった」
「そして、それはさっき言った通り。もう二度と能力開発が行われることはない。犠牲者は二度と出ない」
「………どうだ?なかなか俺としてはいいと思ってるんだが」
「……なんにせよ、俺なりの答えは示したし、これからも続けていくつもりだよ」
「あっ、そうそう、お前を襲った「機械」。こっちはようやく研究が進みはじめた」
「何回説明しても、こればっかりは耳を貸さなかったからな、あのじいさん達……まぁどうにかなるさ」
「……答え合わせは当分先になりそうだな。でも、一段落ついたし、今日ぐらいは顔見せてもいいと思ったんだ」
「………とんだ長話になったな。お前のとこにこれるのは当分先になりそうだよ」
『…………当麻』
「…………!!美琴!!」
「……気のせいか。一瞬、声が聞こえた気がした……」
「……そうとう疲れてんのかな、俺……いやいや、こっからが正念場!!頑張っちゃいますよ!!」
ブゥゥゥゥゥン……
「おっ、きたきた」
「--お迎えにあがりました。統括理事長」
「相変わらず時間に厳しいね。少しぐらい空気読んでくれない?」
「そうはいきません。もうお立場も考えなすって下さい。それに…」
「それに?」
「お姉様と、いつまでも二人きりにするのはしゃくにさわりますので」
「そっちが本音だろ、それ……」
『……………』
『----頑張れ』
(………!!また声が…)
「?どうかなさいましたか?」
「……いや、なんでもない」
(……次きたときには、その言葉に応えられるようにするさ)
(今度こそお前の罰ゲームにしっかりと丸をつけてもらえるようにして)
「……じゃあまたな、美琴」
終わり
とりあえず、これで終わりです。
個人的に無理矢理でも終わらせたかったので、新しく立てさせてもらいました。
言われた通り、伏線回収も何も出来ていません。
もっと文章が上手く書けるようになれば、そこだけはまた書くかもしれません。
いろいろとご意見、ありがとうございました。
※伏線回収のさいのタイトルはまだ未定です。
おそらくこれに似たタイトルにすると思います。
このSSまとめへのコメント
これはひどい
そうは思わない。あなたの言い分は分かりますが、人には人の考え方があります。人がどのように書こうが、考えようが、あなたとは違う存在です。わざわざ文句を言う必要があるとは思いませんが。あなたは自分のことをどう思いますか?
ちなみに俺はこのSSが悪いとは微塵も思いませんがね。
1スレから見た。
猛烈に感動するいい話だった
うんこみたいなssだな
才能ないから二度と書かない方がいい
>>2
頭大丈夫か?
人には人の考え方があるなら否定的な意見があっても当然だと思うけど
最後テキトーだったな