【艦これ】青葉「仮面をつけた提督」 (97)
※艦隊これくしょんのSSです。
※ごくたまに安価あり
※荒らし、批判等は極力NOの方向で
※口調崩壊、キャラ崩壊はしてるかも
※前回の木曾編とは別の鎮守府の話
※誤字脱字だったり、駄文だったりすることも
それでもばっちこいな人はどうぞ↓
温かい目で見てくれるとうれしいです。
前回の話:【艦これ】木曾「スキンシップをしてこない提督」
【艦これ】木曾「スキンシップをしてこない提督」 - SSまとめ速報
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ある鎮守府の昼食の時間。出撃部隊以外の艦娘達は、食堂にで昼食を食べていた。
艦娘達がおしゃべりをしながら楽しく食事をしていると、突然スピーカーにノイズが走った。
??『ガ…プツッ…ザーザー…あー、テステス』
ノイズの後には男の声が。この鎮守府にいる男は一人しかいない。それは、この鎮守府の最高責任者であり、艦娘達を
指揮する提督だ。それがわかった時、食堂の艦娘達が全員凍り付いた。
提督『重巡洋艦青葉、昼食の時間が終わったら至急提督執務室まで』
提督がそれだけ言うと、放送はプツッと切れた。そして、食堂にいた全ての艦娘が青葉に注目する。
しかし、当の青葉は「またかー」というような表情で座っていた。隣に座っていた姉妹艦の衣笠が尋ねる。
衣笠「何青葉、あんたまた何かしたの?」
青葉「いやー、ちょっと取材(という名のセクハラ)をしただけですけどね…」
しかし、他の艦娘達はなぜ青葉が呼ばれたのかということよりも別のことが気になっていた。
敷波「『あの』提督に呼ばれたんだ…」
利根「『あの』提督のことじゃ。青葉の奴、何されるかわからんぞ?」
筑摩「青葉さん、無事に済めばいいんですけど…」
石仮面かな?
そんな様子の皆を一通り見回して、青葉は考えた。
青葉(やっぱりみんな怖がってますねー。まあ、あんな格好ですし。ですが、あの人も案外面白いところもあるんです
けどね)
昼食の時間が終わると、非番の艦娘は自分の部屋へ、出撃がある艦娘は武器庫へ、そして青葉は執務室へと向かった。
そんな青葉の背中に向けて、他の艦娘達は「がんばれー」「無事でいてねー」という無事を祈るような言葉を投げかけた。
青葉はそれに対して無言で右腕を振った。
そして、青葉は執務室の前に着いた。控えめにノックを3回する。すると中から提督の声が聞こえた。
提督『入れ』
青葉「失礼しまーす…」
青葉が控えめな声で挨拶をしながら部屋に入る。
執務室には、応接用のソファが2つ。窓のそばには本棚。ドアの正面には執務机。
そして、その執務机に座っていたのは―
スリップノットかな?
ダース・ベイダーかな
提督「…お前か」
仮面を付けた男だった。その仮面は、顔だけを覆うようになっていて、目の位置らしきところに穴が2つ抜かれて
いて、仮面全体を這うように赤いラインが何本も走っている。仮面は木製だろうか?年齢は20代にも満たないように
見える。仮面で覆われていない髪の毛は黒く短かった。
青葉「青葉、提督からの呼び出しを受け、参上いたしました」
提督「なぜ俺がお前を呼び出したかわかるか?」
提督の声は、とても暗く、威圧的で、攻撃的だった。青葉は、この人本当に20代未満なのか?と思ったが、決して声に
出さなかった。
青葉「…まあ、大体想像がつきますけど…」
提督「そうか。なら、なぜ自分が俺からの呼び出しを受けたのか言ってみろ」
青葉は、この男の前だけでは迂闊なことが言えなかった。下手に機嫌を損ねると一瞬で殺されると思っていた。
青葉は、昨日自分がやったことの中で、提督から注意を受けるような行動を思い出し、口に出した。
青葉「…昨日私が、潮に対してセクハラまがいの取材をしたことですか…?」
事の発端は昨日の昼過ぎ。
青葉は、自分で出版している新聞『日刊青葉』に載せる記事を求めて鎮守府の中を歩き回っていたが、
あまりいいネタがなかった。
青葉(やっぱ、この鎮守府最強のネタはあの提督の素顔でしょうが、そんなの絶対無理ですからね~)
そんなことを考えながら運動場に来てみると、運動場で走り込みをしている綾波型駆逐艦達の姿が見えた。全員が
一生懸命グラウンドを何週も走っている。
青葉(みんな若いですね~。私も年齢的には若いのかもしれませんが)
すると青葉は、綾波型の一番後ろを走っている潮を見た。潮は駆逐艦離れしたスタイルをしている。その潮の豊満な
胸部装甲が、潮が走るたびにたぷたぷと揺れている。その胸部装甲は駆逐艦の間でも有名だった。
青葉(そういえばどのくらいのサイズか聞いたことがありませんね。暇つぶしで少し聞いてみましょうかね?)
そう言うと、丁度休憩に入ったらしき潮に向けて青葉は走った。
青葉「ども、恐縮です潮さん!すこし、聞きたいことがあるんですがいいですかね?」
潮「え?ええ、いいですよ。なんでしょうか?」
潮は少し疲れたような笑顔で答えた。そして、これがチャンスと思い、青葉は思い切って聞いた。
青葉「ぶっちゃけ、潮さんのスリーサイズを教えてください!」
潮「え、えぇ!?」
潮はのけぞった。そんなことを聞かれるとは夢にも思っていなかった。
潮「そ、そんなこと言えるわけないじゃないですか!」
青葉「お願いします!決して記事にはしませんから!」
潮「そんなこと言われても、ダメなものはダメなんです!」
青葉「じゃあせめて、胸のサイズだけでも!」
潮「ダメに決まってるじゃないですか!」
青葉「お願いしますってば~!頼みますよ~!」
そんな問答を繰り返していると、耐え切れなくなったのかついに潮が泣き始めた。
潮「うっ…ひぐっ、本当に…やめてくださいよ…」
そこへ走り込みを続けていた他の綾波型の子たちががやってきた。
敷波「どしたの?」
綾波「青葉さん、何か言ったんですか?」
青葉「え、いや…その…」
青葉は、まさか潮が泣くとは思ってもいなかったから、少し慌てていた。すると、潮が泣きながら話す。
潮「青葉さんが…私のスリーサイズを聞いてきて…ダメだって言ったら、今度は胸のサイズをしつこく聞いてきて…」
それを聞いた綾波型の子たちは一斉に青葉に文句を言った。
朧「ひっどーい!それってセクハラじゃん!」
曙「ホント最低ねアナタ!」
漣「これは提督に報告するしかないっしょ?」
青葉「そ、それだけはやめてください!この通り!すみませんでした潮さん!」
青葉は土下座したが、潮は泣き止まない。
敷波「あーあ、潮泣かせちゃった」
漣「これは提督のお仕置き不可避だわな」
綾波「最悪解体されるかも…」
そして結局、綾波が提督にこのことを報告したのだ。
時は戻って今、執務室。
提督「青葉、これで何度目だ?お前をここで注意するのは」
青葉「えと、もう6回目かと…?」
提督「お前が着任したのは一ヵ月前。それがなんだ、一ヵ月で六回も注意を受けるとは。こんなバカな奴は初めて見たよ」
青葉「うう…すみません!」
青葉が頭を下げると、提督がボソッと呟いた。
提督「…お前はすぐに謝れるやつなのに…なぜこうトラブルを何度も起こすのか…」
青葉「え、なんですって?」
提督「いやなんでもない。それより質問を変えるが、俺がここで問題視してることはなんだと思う?」
青葉は、提督の口調が少し柔らかくなったように聞こえた。
青葉(お、機嫌が少し治ったようですし、ふざけてみましょうかね?反応を知りたいし)
そう青葉は少し考え、反応を見るためにこう答えた。
青葉「……セクハラを受けたのが潮ということですか?」
バキッ!と音が聞こえた。それは、提督が持っていた鉛筆を親指と人差し指でへし折った音だった。青葉は、図星かな
と思ったが、
提督「……ふざけてるのか?」
青葉「すみませんでした」
提督の声の低さと、仮面の奥の眼光から絶対違うと判断した。
提督「俺が問題視しているのは、この鎮守府で一方だけが傷つくようなトラブルが起きたということだ」
青葉「えと、それはつまり…この鎮守府でイジメのようなものが起きることが嫌だって言うことですか?」
提督「そうだ。俺はそういうイジメとかハブとかが大嫌いでな、その元凶となる奴は問答無用で解体してやってもいいの
だが」
青葉「…!」
青葉は震えあがった。まさか、軍艦から女として生まれ変わった自分は今日で第二の人生を終えてしまうのかと想像し
たが、
提督「今回は大目に見てやる。だがこれが最後だ。それに、罰も受けてもらう」
この提督にもそれなりの情があったのか、それだけで許してくれたようだ。だが、提督は「ただし」と付け足し、こう
言った。
提督「次のこのようなことがあれば、お前を解体する。わかったな?」
青葉「は、はい!」
提督「よし」
提督はそこで話を切ると、別の話へ移った。
提督「ここからは別の話だ。今日のヒトロクマルマル(16時00分)に第一艦隊を激戦区であるサブ島沖海域に出撃させる
予定だ。そこで、お前への罰も兼ねて、その艦隊の旗艦をお前にやってもらう。なお、それ以外の艦隊メンバーは
蒼龍、武蔵、川内、如月、皐月とする。これが出撃に関する書類だ。読んでおけ」
青葉「ええ!?」
サブ島沖海域は、未だこの鎮守府で攻略ができていない難しい海域だ。他の提督も苦労していると聞いている。
提督「異論反論異議は認めない。自分のやった罪を悔やむんだな」
青葉「くっ…わかりましたよ…」
青葉はしぶしぶ書類を受け取った。そして、提督は書類業務を始めた。それを見た青葉は、提督に話しかけた。
青葉「あの、一つ聞いてもいいですか…?」
提督「なんだ、手短にな」
青葉「なんで…仮面を付けてるんですか?」
すると、提督の書類を書くペンの動きが止まった。
提督「…………」
青葉「それと、さっきイジメとかハブとかが嫌いって言ってましたけど、もしかして提督―」
提督「さっさと部屋に戻れ」
提督のドスが利いた声を聞くと、青葉は怯み、すごすごと執務室を出た。そして、ドアを閉めるとそこで一つ大きな
息を吐いた。
青葉「はあああああああああああ…緊張した…」
そう呟くと、青葉は自分の部屋へ戻っていった。
青葉が戻ったのを見ると。陰に隠れていた鳳翔が執務室に入った。
鳳翔「失礼します。お茶をお持ちしました」
提督「ああ、すみませんね」
提督は、鳳翔や間宮に対してだけは敬語を使う。そして、この鎮守府でこの2人だけは提督の過去を知っていた。そ
れは自分や間宮の持つ包容力というものに、提督が心を許したからかもしれない。と、鳳翔は思っていた。提督がお盆
に乗ったお茶を受け取ると、鳳翔は静かに話しかけた。
鳳翔「また、青葉さんを叱ったのですか?」
提督「叱ったというより、注意したという感じですね」
そう言うと、提督は窓の方に向き、仮面を少しずらすとお茶を静かに飲み始めた。その様子を見て、鳳翔は少し悲し
げに聞いた。
鳳翔「まだ、お顔を見せていただけないのですか…?」
提督「いくら鳳翔さんの頼みでも、それは無理です」
お茶を飲み終わると、提督は仮面を元に戻し、鳳翔に湯呑を差し出した。
鳳翔「お替わりは?」
提督「結構です」
それを聞くと、鳳翔は聞いた。
鳳翔「提督、少し差し出がましいことを聞きますが、よろしいですか?」
提督「なんですか?」
鳳翔「今後、あなた自身の過去を、この鎮守府の私や間宮さん以外の誰かに話すつもりは?」
提督「ありません」
提督は即答した。
鳳翔「それは、あなたが気を許すことができる人が私たち2人の他にいないということですか?」
提督は少し考えて、言った。
提督「…ええ。今は、ね」
鳳翔「…それは、提督が他の娘たちと触れ合おうとしないからです。だからいつまでたっても、皆はあなたを忌み恐れ、
あなたは皆を信用しないのですよ。このままあなたが何も変わらなければ、今の状況からは何も変わりませんよ」
鳳翔がそう言い切ると、提督は少し俯き気味に静かに言った。
提督「…すみません。少し一人にしてくれませんか?」
鳳翔「…はい。私は14時まで待機室にいますので。何かあったら呼んでください」
鳳翔は、少し言い過ぎたかな、と思いつつ静かに執務室を出た。誰もいなくなった部屋で、提督は静かに言った。
提督「わかっているんですよ…そんなことは」
提督は執務机の引き出しの一つを引き、中から手鏡を取り出した。そして、仮面を外す。
提督「でも、あなたでもこの顔を見たら、俺から離れるんでしょうね」
提督は、手鏡の中に映った自分の素顔を見ながら呟いた。
青葉がこの鎮守府に着任したのは一ヵ月前だった。
青葉が鎮守府の入り口に着くと、和服姿の女性と、仮面の男がやってきた。
鳳翔「初めまして。鳳翔と申します」
提督「俺がこの鎮守府の提督だ」
その時、青葉は自分の耳を疑った。この胡散臭い男が、提督…?
青葉(なんでこの提督、こんなコスプレなんてしてるんですか!?)
気になって仕方ない青葉は提督にこう聞いた。
青葉「会ったばかりで失礼ですが、それは何のコスプレですか?」
その言葉を聞くと秘書艦の鳳翔は、やってしまった、というような表情で自分の額に手をやった。そして、提督はこう
返した。
提督「…会ったばかりで随分と失礼な奴だ。ちなみにこれはコスプレではない。事情があってつけているだけだ。以上。
鳳翔、後は任せる。コイツを案内してやれ」
鳳翔「はい。ですが、提督からも何か一言…」
提督「俺は執務室にいる。何かあったら執務室に来い」
そう言うと、提督は鎮守府に戻って行った。
一通り鎮守府を案内した後、鳳翔は食堂で青葉にお茶を振舞っていた。
鳳翔「青葉さん、あなた、提督を見てどう思った?」
青葉「え?」
お茶を飲み終わった青葉は、すこし厭味ったらしく答えた。
青葉「なんだかすごい不愛想でぶっきらぼうで怖い人ですね!鳳翔さんに対してもそっけないし!こんなに優しいのに!」
鳳翔「でしょうね。そう思うと予想してたわ。最近着任した人たちもみんなそう言うから」
青葉「あの人、なんで仮面なんてつけてるんですか?何かあったんでしょうかね?」
鳳翔「…それは言えないわ。あの人もこうなるのを望んで私に話したのではないでしょうし」
青葉「えっ、鳳翔さん、提督に何があったのか知ってるんですか!?」
青葉は鳳翔に詰め寄った。青葉は、提督のことが気になってしょうがない。
鳳翔「ええ。でも、教える気は無いわ」
青葉「え~何でですか~教えてくださいよ~」
鳳翔は机に突っ伏してぶーたれている青葉を見て、少し考えて言った。
鳳翔「そうね…。もし教えてほしければ、提督自身に聞くべきですね」
青葉「え~?あの提督が教えてくれるとは思いませんけど…」
鳳翔「なら、あの人に話してもらえるようになるべきですね」
鳳翔はそう言った。青葉には、最初鳳翔が何を言っているかわからなかった。
青葉が鎮守府に着任して一週間。青葉はこの鎮守府がどんな感じかがようやく分かった。
鳳翔や間宮を除いて、すべての艦娘が提督を恐れていた。その異様な格好と、冷徹な性格ゆえである。実際青葉も、この
1週間で提督の恐ろしさを知っていた。面白がって提督に恋愛経験はありますか?といったふざけた質問をすると、
提督「そこに正座しろ」
そう言って、青葉に説教を一時間ほど垂れた。青葉はこの提督が嫌いだった。
しかし、秘書艦の鳳翔さんの話では、普段の提督は仕事はとても真面目にこなしているという。どんな雑務でも真剣に
取り組んでいた。さらに、提督自身が組んだ出撃や遠征のスケジュールは全ての艦娘が活躍でき、かつ疲れないように計
算しつくされていたものだった。
青葉(ここまでできるのに、なぜ皆から慕われていないんでしょうか…?)
そう思って青葉は皆に聞いてみた。
皐月「だって提督、いつもお面つけてて怖いんだよ!」
川内「話しかけてくるときなんてカツアゲされているみたいな気分になるし…」
鈴谷「あれじゃまるでヤ○ザじゃん!」
武蔵「まぁ、あの雰囲気は私の好みだがな」
青葉(なるほど、提督自身の印象が悪いということですか…。でも、ホントなんで仮面なんてつけてるんでしょうか?)
今度はそのことを皆に聞いてみた。
如月「お顔がとても不細工なのでは?」
那珂「イケメンすぎて、皆に見せたら皆がまぶしくて倒れちゃうからとか!」
天龍「顔に大きな傷があるとか?」
青葉は、提督が皆から忌み嫌われているのは、提督の仮面とその性格だからと決定づけた。そして、青葉は何としても
提督の身に何が起こったのかを知りたかったが、いくら聞いても提督は答えてくれなかった。
青葉(鳳翔さんが言っていた、あの人に話してもらえるようになるべきっていうのはこのことだったのでしょうか?)
そして、着任から一か月、青葉は未だに提督の過去を聞けていない。
一回ここで切ります。少し飛ばし過ぎましたかね?
次の投下は夜の予定です。
やっと、筆者の鎮守府に、あきつ丸が着任…!
こんばんわ。投下していきます。
青葉が旗艦である第一艦隊は、多少の損害を受けていたが、サブ島海域中心部のすぐ手前に来ていた。そこまでの道す
がら、青葉は自分が着任してから今までのことを思い出していた。
青葉(ここで戦果を上げれば、提督からの信頼を得ることができますかね…?なら、ここで一旗上げて、提督が信頼でき
るような艦娘になりましょう!)
そんなことを考えていると、蒼龍が叫んだ。
蒼龍「敵艦隊発見!距離20000!また、上空より敵艦載機!距離6000!」
その場にいた全員に緊張が走る。
青葉「みなさん、少しいいですか?」
武蔵「なんだ?敵はもうすぐこちらに来るのだぞ!」
青葉「いえ、少し作戦があります!これなら、敵を倒せます!」
その場の全員は顔を見合い、そして言った。
武蔵「わかった。言ってみてくれ」
蒼龍「説明は簡単にね?」
皐月「青葉さん、本当に大丈夫なの?」
川内「何夜戦?夜戦なの!?」
如月「女の子らしく戦いたいわねぇ」
そして青葉が自分の作戦を皆に伝えた。そして、説明が終わった直後、敵の艦載機が飛んできた。
青葉「来ました!みなさん、気を引き締めてください!」
そして、両陣営は激突した。
そして、最深部での激突から数時間後―。
青葉率いる第一艦隊は、執務室で横一列に、提督の前に整列していた。
青葉「報告します」
その場にいた提督、秘書艦の鳳翔、そして第一艦隊は黙って青葉の言葉を待った。しかし、第一艦隊の面々は皆やりき
ったような笑顔で、提督と鳳翔は、その表情から戦果が予想できた。そして青葉は、笑顔でこう言った。
青葉「敵主力艦隊の撃滅に成功、同時にサブ島沖海域の鎮圧に成功しました。
また、こちら側の損傷は、如月、皐月の二名が大破、武蔵、川内の二名が中破、青葉、蒼龍の二名が小破です」
おおー、と感嘆の声を上げたのは鳳翔だった。第一艦隊の皆はそこで緊張が切れたのか、笑いあったり、抱き合ったり
した。
鳳翔「すごいじゃないですか青葉さん!あなたが旗艦の艦隊がまさか最深部の艦隊を倒すなんて!」
青葉「なんかさらっとひどいことを言われたような…」
すると、蚊帳の外だった提督が咳払いをした。
提督「いいか?」
青葉「あ、はい」
そう言うと、第一艦隊は再び提督の前に横一列に整列した。
提督「皆、ご苦労だった。大破、中破した者はすぐにドックへ行ってくれ。小破した者は明石のところへ。
そして、君たちには明日より5日間の休暇を与える。しっかり休んで疲労を抜くように。鳳翔さん、手配してくだ
さい」
鳳翔「はい、わかりました」
そういうと、鳳翔は手元の紙にメモをした。
提督「ちなみに、今回のMVPは?」
提督がそう聞くと、皐月が元気いっぱいに答えた。
皐月「青葉さんだよ!青葉さんが、最深部のボスと戦う直前で作戦を教えてくれたんだ。その作戦があったから、ボクたち
は勝てたんだよ!」
武蔵「そうだな。青葉の作戦があってこそ、あのにっくき南方棲戦姫を倒せたといっても過言ではない」
皐月や武蔵の言葉を聞いて、提督は少しだけ目を見開いた。
提督(まさか、あの青葉がここまでやるとは…)
提督は、皆から褒められて照れている青葉を見た。
提督(こいつなら…)
提督はそう思った。
提督「わかった。旗艦の青葉は明日の昼までに今日の報告書を書くように。では、解散。各自ドックへ。夕食の時間に
遅れないようにしろよ」
全員「了解!」
第一艦隊は全員敬礼すると、執務室を出ようとする。その時、提督が言った。
提督「ああ、青葉は残ってくれ」
青葉「へ?あ、はい」
提督「それと、鳳翔さん。少し外してください」
鳳翔「わかりました」
そう言うと、青葉以外の第一艦隊と鳳翔は部屋を出た。全員が部屋を出ると、青葉が聞いた。
青葉「えと、提督?一体何を…?」
提督「…こんなことは、皆の前でできることではないからな…」
提督はそう言うと席から立ち上がり、青葉へと歩み寄った。
青葉「て、提督?何を―」
青葉が何かを言う前に、提督は―
青葉「ん…」
青葉の頭に手を置き、優しく撫でた。
青葉(え、なに?何この状況。あの提督が…私の頭を撫でてる…?というか、少し気持ちいい…)
そして、頭を撫でながら提督は言った。
提督「よくやったな。お前がここまでやるとは思わなかったよ」
青葉「う、え、あ、どうも…」
そして、提督は青葉の頭から手を離した。そして、また椅子に座ろうとする。
提督「明石のところへ行って来い」
青葉は、あの事は今しか言えないと思った。そこで、思い切ってこう言った。
青葉「あ、あの!」
提督「ん?なんだ」
そして青葉は、提督が予想もしなかった事を言った。
青葉「えと、私は提督が信頼できるような人になれましたか!?」
その時青葉は、提督の肩がビクッと震えたように見えた。
青葉「もし私が、提督の信頼に足る人になれたというのなら、あなたの過去を教えていただけませんか?お願いします!」
提督「…………」
提督は少し考えて、こう言った。
提督「……今夜フタヒトマルマル(21時00分)に執務室に来い」
青葉は、提督が何を言わんとしているのかを察した。
青葉「は、はい!では、青葉は明石のところへ行ってきます!今夜は楽しみにしてますね!」
そういうと、青葉は小走りに執務室を出ていった。それと入れ違いに、鳳翔が執務室に入ってきた。
鳳翔「…青葉さんに、話すのですね」
提督「…ええ」
鳳翔「それはつまり、あなたが青葉さんを信用できるようになったということですね?」
鳳翔のその問いに、提督は少しの間沈黙した後、こう言った。
提督「青葉が、俺に認められたいと思い今までを頑張ってきたことにはもう気づいていました。それはつまり、俺に対し
少なからず興味を持っていること。それに少し答えてあげようと思いましてね。それだけですよ」
鳳翔「『それだけ』ですか?」
鳳翔の意味ありげな質問に、提督はちらりと鳳翔を見た。
鳳翔「本当に『それだけ』の理由で、青葉さんに全てを話すんですか?」
提督は少し考え、そして降参したように言った。
提督「…鳳翔さんにはすべてわかるってわけか…」
そして提督は本当のことを鳳翔に話した。その話を聞き終わると、鳳翔ははぁ、と小さく息を吐いた。
鳳翔「…やはり、あなたらしいというからしくないというか…。ところで、それを言うのは…」
提督「今日ではありません。それは、明日アイツの反応を見てから決めます」
鳳翔「明日?」
提督「ええ。アイツが今日の報告書を出しに来たら…」
鳳翔は、その時提督が何をしようとしているのかを察した。
鳳翔「…私は、青葉さんに負けたとも言えますね」
提督「まぁ、そうですね」
そう言うと、2人はまた書類を片付ける仕事に取り組んだ。
今日はここまでです。なんだか夜の部分は少なくてすみません。
また明日の午前中に投下する予定です。
少し話が強引かもしれませんが、読者の皆様はどうですか?
少しでも感想をもらえたらうれしいです。
なんか変なところで改行されてるけど、もしかしてメモ帳の右端で折り返し使ってる?
強引かなでもこれからこれから
おはようございます。これから投下いたします。
>>36
次からは分の区切りがいいところで改行します
>>38
すみません。ですが>>1はまだSSを書くのに慣れていないので、少しずつ直していこうと思いますが、
多少はご容赦いただければ幸いです。
青葉は、明石に損傷を直してもらった後、自室で今回の戦闘の報告書を作成し始めた。この手の報告書は詳細に記入
しなければ、提督から没を喰らう。青葉は新聞の記事を書くことに慣れていても、このような報告書を書くことには
慣れていなかった。そんなわけで、姉妹艦の衣笠からのアドバイスを借りて、半分ほどまで書き上げると、気づけば
夕食の時間が近かった。青葉は夕食を食べて気分転換をしようと考えて、食堂に向かった。
今日は間宮が食事当番だった。この鎮守府では、鳳翔と間宮が交互に食事当番を担当している。そこで、青葉は少し
考えた。
青葉(そういえば、間宮さんも提督の過去を知っているんですよね…なんでだろ…?)
食事を終えると、青葉は間宮のところへ向かった。
青葉「間宮さん、ちょっといいですか?」
間宮「はい。なにかしら?」
青葉「間宮さんは、提督の過去を知ってるんですよね…?」
間宮「ええ。そうですね」
青葉「…なんで知ってるんですか?」
その青葉の問いに、間宮は少し考えてこう言った。
間宮「そうね…私は皆からお母さんみたいって言われてるじゃない?その包容力ゆえかな?提督が心を許したのって」
この鎮守府では、鳳翔と間宮は皆のお母さん的なポジションにいる。この2人の持つ包容力からか、艦娘たちはよく
2人に悩み事などを相談する。
青葉「はあ…包容力、ですか…」
青葉には包容力というものは皆無だったが(むしろそれの正反対)、それでも、提督が自分の過去を話せるくらいの
信頼を得たのだ。それが、青葉は少し嬉しかった。
青葉は食堂を出ると、再び自分の部屋へ戻り、報告書を書くのを再開した。青葉が報告書を書く上で悩んだのが、自分
の作戦の詳細を書くのだった。
青葉(詳細って言われても…とっさに思い付いた作戦ですから、何をどうしたかなんてあまり覚えていないですよ…)
そうして自分の記憶を思い出しながら、文章をひねり出して報告書を書いていると、時刻は21時過ぎだった。
青葉「ヤバッ!提督との話の約束、すっかり忘れてた!」
衣笠「え?青葉また何かやったの?」
衣笠の言葉を無視して、青葉は部屋を飛び出し、執務室へ全速力で走って行った。
青葉はぜえぜえと息を吐きながら執務室の前に着いた。少し息を整えてからドアをノックする。
提督「入れ」
前と同じ、ぶっきらぼうな提督の声。その声を聞くと、青葉は執務室に入った。
青葉「失礼します!」
提督「話が聞きたいと言ったのはお前の方なのに、遅れてくるとは随分といい度胸だな」
青葉「…はい、すみません」
開口一番に嫌味を言われ青葉は頭を下げた。そして、ちらりと壁に掛けられた時計を見ると、時刻は21時15分。
少し遅れてしまった。
提督「まあいい。そこに座れ」
そう言いながら提督は応接用のソファを指さした。
青葉「あ、はい。失礼します」
そう言って青葉は静かにソファに座った。その向かい側に提督が座る。
提督「先に聞いておく。俺がこれから話す内容を、日刊青葉に載せないか?」
青葉「はい!載せません!」
内心、青葉は少しがっかりした。せっかく皆から注目を浴びれるようなネタが載せられないというのは残念だった。
そして提督は安心したかのようにソファに深く座りなおした。
提督「さて、どこから話したものか…」
提督は少し考え込み、こう切り出した。
提督「青葉、過去の俺はどんな性格だったと思う?」
青葉「へ?」
青葉は少し予想外の質問に、驚いた。しかし、青葉は今の提督の性格と同じようなものだろうと考えた。
青葉「やっぱり、今と同じように真面目で、攻撃的で威圧的なもの言いじゃなかったんですか?」
提督「真面目だっていうところは合っている。だがそれ以外は違うな」
青葉「え…」
青葉は驚いた。まさかこの提督、過去はもっと優しかったのか。
提督「他人が言うには、過去の俺は真面目で優しく、誰もを安心させるような話し方だったらしい。声も今より少しだけ
高かったらしい」
青葉「へ、へぇ~…」
青葉は少し怖くなった。そんな優しく真面目な人間が、なぜここまで堕ちてしまったのか。その過程を想像するのが
怖かった。
青葉「その、真面目優男が、なんでここまでこんな悪人みたいな感じになっちゃんたんですか?」
提督「それを話すには、俺が中学生だった時代まで話を遡らなければならない。少し話が長くなるが、それでもいいか」
青葉「はい、大丈夫です!」
提督「途中で寝たら殴るからな」
そう言うと、提督は話し始めた。この鎮守府では鳳翔、間宮以外が誰も知らない提督の過去を。青葉は、そんな貴重な
話を聞けるということに少しだけ興奮していた。
提督「中学生の頃、俺はさっき言ったように周囲から見れば真面目で優しい男だったらしい。顔はそこそこ、女子からの
人気もそれなりにあったらしい。俺は気づかなかったが」
提督がそう冗談交じりに言うと、青葉はフフッと笑った。
提督「だがな、そうちやほやされていると、クラスの中のバカな奴らが俺を排除しようとかかってくるわけだ。仲間を
連れてな」
青葉「もしかして…」
提督「そう、俺は苛められてたんだよ」
青葉は、ある程度そうだろうとは予測していた。昼に言っていた、イジメやハブが嫌いだという言葉から。
提督「色々されたよ、物理的な攻撃はもちろん、持ち物を壊されたり、陰口をたたかれたり。そして、俺がそんなだから
俺の周りからは人は少しずつ離れていったよ」
青葉「そんな…」
提督「だが、そんな俺でも親友はいた。皆離れていっても、そいつだけは俺のそばから離れなかった。俺のことを励まし
たり、一緒に遊んだりしてくれた。それが俺は嬉しかった」
提督はそこで言葉を切った。チラッと青葉を見ると、青葉は黙って提督を見ていた。どうやら続けろという意味らしい。
提督は再び話し始めた。
提督「だが、そんな時だ。その親友が学校に来なくなった。俺はそれを不安に思い、そいつに電話すると、親友は苛められ
ていると言ってきた」
青葉「え…」
提督「俺を苛めてるバカ共が、俺の心の支えすらも失くそうとしようとしたわけだ。そしてついにその一週間後、親友は
転校したよ。俺は、ついに学校で孤独になったってわけだ」
青葉「……」
青葉は何も言えなかった。この提督がそこまでの過去を抱えているとは思っていなかった。
青葉「…でも―」
提督「それだけの理由で仮面をかぶるのはなぜかって聞きたいのか?」
青葉「…はい」
提督「俺には親友がいなくなったが、まだ家族がいた。俺は家族には苛めのことを既に話していた。そしたら一緒に怒って
くれて、学校にも報告してくれた。そしたら学校も、その苛めてるバカに注意をし、そいつの親にも警告をした。
だが、その程度でそのバカは反省するような奴じゃなくてな。そして、中一の冬に、ある事件が起きた」
青葉「事件?」
ここまで過酷な仕打ちを受けていたのに、まだ何かあるのか思うと、青葉は少し悲しくなった。
青葉「事件て…なんですか…?」
提督は少し黙り、そして意を決したかのように言った。
提督「…家が火事になって、両親が死んだ」
青葉「………」
青葉は言葉を失った。
提督「原因はわからん。だが大体の想像はつく。どうせ俺を苛めていたバカ共がやったんだろうな」
青葉には、もう黙って話を聞くしかできなくなった。
提督「その火事で俺だけは生き残ったが、両親は助からなかった。そして、身寄りのない俺は施設に預けられた。だが、
その火事で俺は顔の右半分に大火傷を負い、喉は傷ついて声は低くなった。そのせいで俺は、顔の右半分を常に
包帯で覆っていた。そして俺は学校で、今まで苛めてきた奴はもちろん、男女問わず全学年の奴からも苛められる
ようになった。ミイラ男だのゾンビだのって言われてな。挙句、先生からも敬遠される始末。もう手に負えなく
なったたんだろな。そして、火傷が癒えて包帯をとっても、俺への苛めが止まることはなかった。むしろ、火傷の
痕が気持ち悪いって言われたよ。そして、俺は預けられていた施設でも、常に不気味な俺は孤立していた。」
青葉「……」
提督「俺は中学での3年間ずっと苛められ続けた。そして俺は中学を卒業すると、海軍兵学校に進学した。俺がなんで
海軍兵学校に入ったのかというのは、ただ中学の奴らから離れたいからだよ。笑えるよな、そんな理由で海軍を
志望するなんて」
青葉「…笑えませんよ、ちっとも…」
提督「…そう言ってくれるだけでも嬉しいよ」
そう言って、提督はさらに続けた。
提督「だが、海軍兵学校に入っても状況は何も変わらなかった。火傷の痕は皆から恐れられ、敬遠された。学校の先生も
やっぱり俺を敬遠してきた。皆寮では2人部屋だったのに、俺だけは1人部屋だった。そこでも4年間、俺は孤独
だった」
提督は、つまり、と言葉を切ってこう言った。
提督「俺は中学からこの鎮守府に着任するまでの7年間、ずっとこの世に独りぼっちだったんだよ」
青葉「………」
もう、何も言えなかった。皮肉も、慰めの言葉もかけていいのかわからなかった。だから、青葉はこう聞いた。
青葉「その…孤独なあなたは…艦娘をどう思っているのですか?」
提督は、その問いにこう答えた。
提督「中学や海軍兵学校の奴らと同じような存在だ。どうせ、俺の素顔を見たら俺のことを蔑んだり苛めてきたりするに
決まっている。見ず知らずの海軍兵学校の奴らがそうだったようにな。そう思って俺は仮面を付けることにした。
俺はこの顔を誰にも見せるつもりは今のところないよ」
提督が艦娘のことをそんな風に見ているというのは、艦娘の青葉からすれば悲しかった。
青葉(…そんなことはありませんよ…。ここの皆は、あなたを恐れていますが、憎んではいません。少しは慕っている
と思います。私がそうであるように…。中には、そんなあなたを好きでいてくれる人もいるんですよ…?)
青葉「…この過去を、なんで鳳翔さんと間宮さんには言ったんですか?」
提督「なんていうか…鳳翔さんや間宮さんの持つ雰囲気が俺の母に似ていたからかな…それで、つい話してしまったんだ」
提督は、ちなみにと付け足した。
提督「そんな過去のせいか、俺は人のことを一方的に苛めたりする奴や、人が悲しむようなことをする奴は大嫌いだ。
お前のように、人が不快になるようなネタを食い物にしている奴はな」
提督は青葉をジッと見つめた。青葉は少しもひるまず、こう言った。
青葉「その、人が不快になるネタを食い物にしている私に、なぜこの話をしたんですか?」
提督「…お前が、俺に認められたいと思い今までを頑張ってきたことには気づいていた。少しはそれに答えてやろうと
思ってな」
着任し鳳翔から話を聞いた青葉は、提督が信頼できるような人になりたいと思い、戦闘でも雑務でも必死に頑張った。
その時の青葉の印象は超まじめ人間だった。だが、青葉が普段から起こすセクハラまがいのトラブルがその印象を薄く
していたのだ。
提督「さあ、話は終わりだ。消灯時間は過ぎている。早く部屋に戻って寝ろ」
提督はそう言うと、執務机に戻った。青葉は少しの間席を立つことができなかったが、少しすると立ち上がり、ドアへと
向かった。その時、ドアノブを握りながら、提督を見ずにこう言った。
青葉「…明日のマルキュウマルマル(9時00分)に、今日の報告書を出しますので」
提督「今度は遅れるなよ」
青葉は答えずに部屋へと戻って行った。
青葉が部屋へ戻ると、衣笠はベッドで本を読んでいた。そして、その衣笠は夜にドアが急に開いたのでびっくりした。
衣笠「うおびっくりした―って何だ青葉か…。今までどこ行ってたの?」
青葉「…ちょっと提督のところへ…」
そう言うと、青葉は衣笠に聞いた。
青葉「衣笠、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
衣笠「何ー?」
青葉「提督のことをどう思っていますか?」
衣笠「へっ?」
衣笠は青葉の意外な質問に、少し考えてこう言った。
衣笠「うーん…まあ、おっかないとは思うけど、いい人だとも思うよ?あの出撃とか遠征とかのスケジュールや、個人の
性能に合わせた任務や仕事のおかげで疲れることはないし。みんなそう思ってるだろうけど、仮面のせいで印象が
悪いんだよねー。仮面取ればいいのに」
青葉「…そうですよね。みんなそう思うですよね…」
衣笠「どうしたの?」
衣笠の言葉を聞きながら、青葉は明日出す予定の『日刊青葉』の記事を見直した。やっぱり、人をバカにするような
記事が少しある。
衣笠「ホントどうしたの?というか、今日の報告書、明日まででしょ?完成してないんだし、早く書きなさいよー」
そう言うと、衣笠はまた本を読み始めた。そんな衣笠を見て、青葉は言った。
青葉「…衣笠、少し頼みがあるんですが…」
衣笠「報告書の手伝いはしないよ」
青葉「そうではなくてですね…」
青葉は衣笠にやってもらいたい内容をに言った。衣笠は聞き返した。
衣笠「…本気なの?」
青葉「ええ。お願いします」
衣笠「ハァ…ま、いいけどね。じゃ、こっちは衣笠さんにお任せなさい」
そして、2人はそれぞれの作業をしながら夜が更けていく。
一回ここで切ります。
次の投下は3時過ぎの予定です。
改行のことはホントに申し訳ありません。どうすれば読みやすいのかまだわからないんです。
投下します
次の日の早朝、徹夜で作業をしていた青葉と衣笠は鎮守府の掲示板にある紙を貼った。青葉は報告書の作成で、衣笠は
青葉からの頼まれ事で疲れ切っていた。
衣笠「あんた、私にここまでさせたんだから、今度間宮のスイーツおごりなさいよ…」
青葉「はいはい。すみませんね、私のわがままに付き合ってもらっちゃって」
衣笠「ま、いいんだけどね」
そう軽口を言い合うと、2人は朝の朝礼に向かった。
朝礼が終わり、朝食の時間になる。そして、多くの艦娘たちが、掲示板に張られていたお知らせを見て驚いた。その
お知らせにはこう書いてあった。
『お知らせ:「日刊青葉」は当面の間、作者の都合上発行を中止させていただきます』
暁「うそウソ!信じらんない!」
響「Хорошо(ハラショー:驚いた)、今日は雪でも降るのかな」
利根「珍しいこともあるものじゃな。ネタ切れか?」
筑摩「青葉さん、昨日提督と話をしていたし…もしかして、怒られたのかしら?」
朝食の間、艦娘達の話の内容はこの『日刊青葉打ち切り疑惑』で持ち越しだった。
そして、朝食の時間が終わる。今日は月一度の休日だったので、誰もが自分の部屋へ戻って行く。そんな中、青葉は皆
からなぜ発行をやめたのかと質問攻めにされた。青葉はその質問に対して、
青葉「いやー、最近私ちょっと働き過ぎだなと思いましてね、休暇ですよ休暇!」
と、答えていた。
そして9時。青葉は書き上げた報告書を持って提督の執務室へと向かっていた。そして、執務室に着くと、ドアをまた
ノックする。すると、提督のぶっきらぼうな声が聞こえたが、
提督『どうぞ』
青葉は一瞬驚いた。いつもは「入れ」と突き放すような言い方なのに、なぜか今回は温和な感じだった。そして、青葉は
別人がいるのかと考えていると入室するのが遅れた。
青葉「し、失礼します!」
提督「やっぱりお前か」
中に入ると、やっぱり仮面を付けたいつもの提督が。青葉は執務机に近づくと、報告書を差し出した。
青葉「昨日の報告書を作成しました!」
提督はそれを無言で受け取り、パラパラと中身を確認していく。そして、一通り見終わると、
提督「まあいいだろう」
青葉「ありがとうございます」
すると、また執務室の扉がノックされた。青葉と提督はドアの方に注目する。すると提督が、
提督「入れ」
また攻撃的な言い方に。青葉はそれにびっくりし、提督を振り返った。
青葉「え、提督、さっきは…」
鳳翔「失礼します」
提督「どうしました?」
鳳翔「開発の結果を報告しに…」
うろたえる青葉など無視して提督と鳳翔は話を進めていく。そして、何だか青葉は居心地が悪くなってきた。
青葉「では、私はそろそろ…」
提督「待て」
青葉「へ」
提督が青葉を呼び止めた。そのことに青葉は少し驚いた。
提督「俺から話がある。ドアの外で待ってろ」
青葉「あ、はい」
そういうと、青葉は執務室を出てドアのそばで待機した。鳳翔は、青葉が出ていくのを見計らうと提督に小声で
話しかけた。
鳳翔「ついに、やるのですか?」
提督「…ええ」
鳳翔「…大丈夫ですよ。青葉さんならきっと受け入れてくれます」
提督「そうでしょうかね…」
そう提督が言うと、鳳翔は嬉しそうな足取りで執務室を出た。そして、ドアの傍で待機していた青葉に入ることを指示
した。指示を受けると、青葉が再び入室する。提督は話があると言っていたが、おそらく、朝の新聞休刊の話だろうと
青葉は思っていた。
青葉「話とは?」
提督「随分と思い切った行動に出たな。俺はてっきり、お前が批評系記事を書き換えるだろうと思っていたんだが」
青葉は、やはり新聞の話か、と思った。
青葉「…ええ。私は今までいろいろな記事を書いてきましたが、昨日提督の話を聞いて、自分ももしかしたら過去に、
私の書いた記事で誰かが傷ついたのかもしれないって、思いまして…。それで、一度考え直そうと思い…」
提督「そうか…」
青葉「もしかしたら…私は、あなたを苛めていた人と同じような存在なんでしょうね…。こんな、人を傷つけるような記事
を書いていた私は、あなたを苛めて楽しんでいた人と…」
青葉がそう自虐的に言うと、提督は椅子から立ち上がり、青葉に向かって歩き出した。
青葉「え、提督…え?」
そして、提督は青葉を抱きしめた。
青葉(ええええええええええええ!?なにこれぇ!?)
提督「お前は、そんな奴じゃない…。お前は、自分の行いをちゃんと悔やみ、反省している。反省どころか逆上したあの
バカ共とは全然違うよ」
青葉「えと、あの…その…ありがとう、ございます…」
提督に抱かれて、青葉は完全に上がってしまっている。そして、青葉の中である感情が沸き上がった。青葉の慌てている
様子を見たのか、提督はパッと青葉を離した。
提督「いや、すまん。ずっと孤独だったせいか、こんな風に愛情を表現する方法がわからなくてな…」
青葉は少し考えた。そして、こう言った。
青葉「…提督、仮面を取っていただけませんか…?」
提督「断る」
提督は即答した。青葉は、そろそろとってくれるかな?と期待していたがそうはいかなかったようだ。
と思っていたが、
提督「―と言うところだが、今の青葉なら信用できし、見せても平気か」
青葉「えっ、本当ですか!」
青葉は大声を上げた。まさか提督が見せてくれるとは思わなかった。
提督「見せる前に言っておく。笑うなよ」
青葉「今の私は、もう笑いませんよ」
提督は右手を仮面にかけて、仮面を外そうとする。
この時、青葉は気分がすごく昂ぶっていた。まだ、この鎮守府では鳳翔でも見たことがない提督の素顔を一番に
見ることができるのだから。
青葉が目をキラキラさせながら提督が仮面を外すのを待つのを見て、提督は言った。
提督「青葉、ありがとう」
そういうと提督は仮面を外した。その顔は―
青葉「うわ…」
元は整った顔立ちだったのだろうが、そのイメージを全て壊しているのが顔の右半分に広がっている火傷の痕だった。
皮膚は赤く変色し少し腫れていて、右目は開いていなかった。しかし、無事だった左目は綺麗な黒色で、眉毛や睫毛は
さらりとしていた。
提督「久方ぶりだな…他人に顔を見せるなんてのは。ご感想は?」
青葉「すごく…痛々しいですね…」
提督「そうか…やっぱりそう言うよな…」
青葉「ですが…」
提督「?」
提督が何か聞こうとする前に―
青葉「ん…」
提督「!?」
青葉は提督にキスをした。マウストゥマウスで。
提督「な、何を…?」
青葉「あなたはその痛みを背負って今までを頑張って生きてきたんでしょう?それは素晴らしいことじゃないですか。
そして、この鎮守府でも皆から忌み嫌われてもめげずに頑張ってきたんですよね?」
提督「い、いや…俺は」
青葉「だったらなんで、苛めていた人たちと同じような存在の艦娘たちを疲れさせないようなスケジュールとかを作った
のですか?あれは、提督が皆から認められたいと思って作ったんじゃないんですか?」
提督「………」
青葉「あなたは本当は、皆から認められたいんじゃないのですか?」
提督「………そうだよ」
提督は少し涙目で答えた。
提督「もう嫌だったんだよ。皆から蔑まされて、淘汰されるのは!だから、皆に認められるように頑張ろうとしたよ!
けど、やっぱり怖かった。これだけ頑張っても、最後には裏切られて、また孤独になるんじゃないかって!だから、
俺は…」
青葉は、そう泣きごとのように言葉を吐き出した提督を優しく抱きしめた。
青葉「大丈夫です。今度は私が一緒にいます。私はあなたを裏切ったりも、孤独にしたりなんてしません。だから、自分は
孤独なんて思わないでください」
提督「え…?」
青葉の言葉に提督は疑問を感じた。そして、青葉は提督を離すと、こう続けた。
青葉「あなたが、不器用ながらも艦娘たちに歩み寄ろうとしているのは何となく気づいていました。私は、そんな風に過去
の痛みに囚われながらも艦娘に存在を認められたいと頑張る姿に、その…惚れて、しまったんですよ…はい」
提督「…本当か?」
青葉「はい…///」
提督「そうか…ありがとう…」
提督はそういうと、左目から流れ出そうになった涙を抑え、こう青葉に尋ねた。
提督「…なら、俺が皆から認められるにはどうしたらいい?俺はどうすればいいんだ?」
青葉は少し考えて、こう言った。
青葉「…少し手がありますが、それは提督次第ですね」
提督「?」
青葉は、自分の考えを提督に伝えた。提督はそれを聞いて、戸惑いを見せた。
提督「それで本当に大丈夫なのだろうか…」
青葉「大丈夫です。私がついていますから!」
青葉はそういうと、二カッと笑った。提督もそれにつられて笑った。それを見ると、青葉は感嘆の声を上げた。
青葉「おおー、提督が笑うとそんな感じになるんですねぇ」
提督「それがなんだよ…?」
青葉「かっこいいなーって。中学時代に女子からの人気があったって言うのも頷けます」
提督「…ヘッ」
提督はそう鼻で笑うと、机に設置されているマイクのスイッチをオンにした。
青葉の言う考えは、昼食後の昼休みの時間に実行されることとなる。
一旦ここで切ります。次の再開は夜の予定です。
ただ、都合によっては夜に書けないかもしれません。そのあたりは注意してほしいです。
次の話の主人公は神通か間宮さんかな…?
>>39
自分が書き込んだ結果って確認してる?
変な所で改行されてるやつが偶にあるからそこみたら原因がわかるのでは?
投下します
>>66
指摘ありがとうございます。参考にさせてもらいます
昼食が終わった後の昼休み。全ての艦娘は食堂にまだ残っていた。原因は、10時頃に入った放送である。
提督『全艦娘に知らせる。本日ヒトサンマルマル(13時00分)より、提督から重大な報告がある。全ての艦娘は先に告げた
時間までに食堂に集合するように』
艦娘たちは驚いた。こんな放送が入ったのは、今日が初めてだったのだ。
那珂「なんだろ、重大な報告って?」
川内「ハッ!もしかして大規模夜間演習とか!」
神通「多分違うのでは…?」
伊勢「でも、あんな放送が入るのって珍しいよねー?」
日向「何か、トラブルでも起こったのか?」
伊勢「まあ、あのナリじゃトラブルなんて絶えないだろうけどねー?」
そんな風に艦娘たちが話をしていると、約束の13時になり、鐘がなった。それと同時に、食堂の入り口が開いた。
そこから入ってきたのは提督と、青葉だった。
鳳翔「きをつけぇーっ!!」
提督と青葉が皆の艦娘達の正面に立つと、現在の秘書艦である鳳翔が号令をかける。その一声で全ての艦娘は席から立ち
上がり、気を付けをする。
鳳翔「敬礼!」
鳳翔が号令をかけると、全ての艦娘は海軍式の敬礼をした。提督がそれに答礼すると、鳳翔がもう一度号令をかける。
鳳翔「休め!」
そう言うと、艦娘達は着席する。一部の艦娘達は、なんで青葉が提督と一緒に?という疑問を持っていた。
提督「皆、休日の時に集合をかけてしまい申し訳ない。だが、今日これから行うことは、この鎮守府でも重要なことになる
だろう」
艦娘達は少し提督の物言いに疑問を感じた。なんだか、棘がない。威圧的でもない。そして、青葉が近くにいることから
大体何が起きたのかを察した。
長門(青葉め、提督を脅迫したな!?)
陸奥(多分、提督の過去の黒歴史を掴んで、バラされたくなければその攻撃的な性格をどうにかしろとかでも脅迫されたの
かもしれないわね…)
皆が真相とは真逆のことを考えていたり、話し合ったりしていると、提督は咳払いをした。すると、艦娘達は静かに
なった。
提督「皆は今日まで、俺がこの仮面をかぶっていることを疑問に思っていただろう。これには深いわけがある。そのわけを
知っているのは、鳳翔と間宮、それと昨日話した青葉だけだ」
皆は再び騒ぎ始めた。鳳翔や間宮はわかるが、なぜ青葉が話してもらえたのかというのが不思議でならない。
提督「そして今日、青葉には俺の素顔を見せた」
またも皆が騒ぎ始めた。提督の本当の顔などこの鎮守府には誰もいないはずだったのに。それをなぜ青葉に見せたのか。
提督「そこでだ…」
提督はそこで切ると、仮面に手をかけて外した。皆の目の前で。そして、その下にあった提督の素顔を見て、青葉を除く
艦娘達はひそひそと話し始めた。
天龍「ひでぇ…火傷の痕…」
龍田「右目は開かないのかしら…?」
飛鷹「なんであんな火傷が…?」
提督は皆の喧騒をやめるように、手を前に出した。
提督「手短に話すと、俺は昔苛められていた。自分の性格と、この火傷のせいでな。あ、昔はこんなヤク○みたいな性格
じゃなかったんだぞ?」
提督はそこで言葉を切った。そして、続ける。
提督「そして、その苛めの中で俺は火事に遭い、両親は死に、俺は顔にやけどを負ったってわけだ。そして、中学の3年間
は苛められ続け、中学の奴らから逃げるために入学した海軍兵学校でも、初対面の奴らに苛められた。だから、俺は
初対面のお前たちに顔を見せても、同じように苛められるのだろうと思い、仮面で顔を隠し続けてきた」
けど、と提督は前置きすると、突然土下座をした。
提督「本当にすまなかった!俺たちはお前たちのことを理解しようともせず、ただ自分で勝手にお前たちを遠ざけていた!
つらく当たってきた!本当に申し訳ない!だけど、これから俺はお前たちのことを理解したい!お前たちとともに
生きていきたい!だから、俺にチャンスをくれないか!お前たちともう一度、歩き始めるチャンスを!」
全ての艦娘は、これが本当の提督なのだろうと思った。この、真面目に物事を考えるのが提督という男なのだろうと。
そんな中、天龍が話しかけた。
天龍「あー、提督…」
提督「なんだ?」
天龍「その、右目見えてねぇんだろ…?だったら、俺の予備の眼帯をやるから、これで右目を隠せよ…」
提督「お、おう…」
天龍に予備の眼帯を渡され、提督は試しに眼帯を付けてみた。天龍は、提督がつけている様子を興味深そうに見ていた。
そしてその天龍の様子を龍田はじっと見ていた。
龍田(あら~。天龍ちゃんてば、普通に慰めの言葉をかけないで不器用に眼帯をプレゼントするなんて~)
すると、提督が眼帯を付け終えたようだ。そして、顔を上げる。
提督「ど、どうだ…?」
その奇妙な顔立ちに、天龍のみならず、鳳翔や間宮など他の艦娘達も笑い始めた。
提督「な、なぜ笑う!」
天龍「い、いや…だってすげぇカッコわりぃから…」
提督「コイツ…自分で勧めたくせに…!コノヤロー!」
そう言うと、提督と天龍は追いかけっこを始めた。他の艦娘達も面白がって囃し立てた。
青葉(ね?ちゃんと溶け込めたでしょ?でも、天龍さんには感謝しませんとね…。あの人が切り出さなければ、まだ少し
ピリピリした雰囲気だったでしょうし…)
青葉は楽しそうに逃げる天龍と、それを追う提督の様子を眺めながらそう思った。
そして、提督が天龍を捕まえて一通りボコッた後、全ての艦娘は解散となった。そして提督が帰る時、他の艦娘達から、
皐月「またねー提督!」
敷波「じゃねー」
というように声をかけてもらった。そんな風に皆に声をかけてもらいながら、提督と青葉は執務室に戻った。
青葉「ね?大丈夫だったでしょ?」
提督「ああ。お前の言う通りだったな」
青葉がアドバイスしたのは、提督が皆の前で仮面を外して全て話せということだった。ちなみに、提督の土下座からの
懇願は青葉の予想外だった。
青葉「でもまさか、土下座なんてするとはね」
提督「つい咄嗟にやってしまってな」
青葉「そう言えば、鬼ごっこの後天龍さんをボコっていたんですけど…」
提督「教育だ」
青葉「…一応あなたがこの鎮守府にようやく溶け込めたのってあの人のおかげなんですけど…」
などと軽口を言い合っていると、青葉が思い出したかのように言った。
青葉「そうだ提督!」
提督「なんだ?」
すると、青葉はもじもじしながら少し小さな声で言った。
青葉「その…私の告白の返事…まだ聞いていませんが…」
提督「…あー」
提督は頭を掻き、そして少し恥ずかし気味に言った。
提督「…お前の錬度が99になったら返事を出すよ…」
青葉「…へ?」←レベル81
青葉は、提督が何を言わんとしているのかを理解し、こう返した。
青葉「ハイ!私の錬度が99になるまで待っててくださいね!」
青葉がそう言うと、提督は子供のような笑顔を浮かべた。
そんなやり取りを、鳳翔と間宮は執務室の外で聞いていた。
鳳翔「…やりましたね、青葉さん」
間宮「まさか、あの子が着任からここまで成長するなんて」
鳳翔「…そうですね。なんか、我が子が旅立ちを迎えるような寂しい気持ちですね」
間宮「なら、お母さん的な立場の私たちはちゃんと我が子が旅立てるように見守らないとですね」
提督はその日以来、全ての艦娘から信頼されるようになった。どの艦娘も提督に気軽に話しかけてくるようになった。
そして、青葉は出撃の度にMVPを根こそぎ奪い取り、提督が鎮守府の皆と和解してからわずか数週間で錬度が99に
なった。そして提督は、青葉の錬度が99になった3日後に、青葉にケッコンカッコカリのポロポーズをし、青葉はその
プロポーズを受け取った―。
END
というわけで、青葉編はここで完結となります。いかがでしたでしょうか。
なんだか改行の仕方や話の強引さで読者の方々は読みにくかったのかもと思います。そこに関しては申し訳ございません。
さて、前スレで次の主人公の安価を取ったところ、陸奥が二番目に多かったので、次の主人公は陸奥以外の2人の
神通か間宮のどちらかとさてていただきます。(作者の勝手で申し訳ありません。ですが作者も陸奥は好きです)
主人公の決め方は、↓3までの多数決です。なお、次のスレ立ては来年の1月3日以降の予定ですのでその辺に注意
してください。
次の話では、話が分かりやすいように努力しますのでよろしくお願いします。
それでは皆さん、よいお年を。
次の主人公、神通か間宮か。↓3までの多数決
放火犯がのうのうと生きてるんだとしたら、凄くモヤモヤする
別に復讐しろって話じゃないけどさ
あけましておめでとうございます。>>1です。
家の都合で、明日3日までに用事が終わらなくなり、明日の神通SS立ち上げは難しくなりましたので、
神通SSの立ち上げは4日以降に変更します。(明日にできるかもしれない)
>>82
作者も書き上げた後に後味が悪いと思ったので、後日談的なものを明日か明後日に書こうと思います。
今回は、作者の都合で投稿を遅らせてしまい、本当にすみません。
※IDが違うかもしれませんが、別のPCから投稿しているだけで、書いているのは>>1本人です。
こんばんは。
投下します。
【おまけ】
男(クソ…どうなっていやがる…)
その男は、電車の中を歩きながら心の中でそう毒づいた。そもそもの始まりは1週間前、男の元に次のような手紙が
届いたことだ。
『この手紙は不幸の手紙です。
この手紙を3日以内に別の人に回さないと、あなたは不幸になります。
また、この手紙を捨てたり破いたりした場合も不幸になります。
私たちの尊敬する人を侮辱した恨み、一生許しません。
By.不幸型姉妹』
男はその手紙をただのイタズラだと思い、シュレッダーにかけてゴミ箱に捨てた。その翌日から、男の日常は大きく
変わった。
男(あの手紙を捨てた後からおかしくなったんだ。財布は失くすし、車はパクられるし、付き合っていた彼女は
結婚詐欺師で、自宅に空き巣が侵入するし、バイトもクビになるしで、もう散々だ…)
男は電車の中を歩きながらそう嘆いた。ちなみに、なぜ歩いているのかというと、男が電車に乗って偶然女性の隣に
立つと、その女性が男の方を思いっきり睨んできたからだ。何もしていないのに。
男(ホント、どうなってるんだ?)
男は電車の中を歩いていると、突然転んだ。何もないところで。そして、近くに座っていた巫女服のような女がクスッと
笑った。
男「いって…クソ…ホントに不幸になったのか…?」
男はそう言って立ち上がろうとすると、近くに座っていた女がこう大声で言った。
??「Hey!そこのニーチャン!このワタシのスカートを覗こうとするなんて良い度胸だネ!」
男「は?何言って―」
男はそう言って立ち上がると、そのエセ外国人のような女の横に座っていた同じ服装のショートヘアの女がこう言った。
??「あ、お姉様!この男、この前青葉さんに見せてもらった、提督を苛めていた男にそっくりです!クリソツです!」
??「What!?Youがテートクを苛めていた男ですって!?」
男「は?テートク?いや、ホントなんの話を…」
??「提督を苛めていた男ですって!?」
??「その男が!?」
そう叫んだのは、ショートカットの女の横に座っていた、ロングヘアの女と、メガネの女。全員同じ巫女服のような
服装だった。そして、その全員が男を思いっきり睨んでいる。
??「Youがテートクを苛めていたなんて…しかも私のスカートを覗こうとしたなんて…Youはもう許せないネ!」
そう言ったエセ外国人の女が取り出したのは、映画で見るようなデカい大砲。しかも、その場の巫女服全員が同じような
大砲を装着している。そして最大の問題が、その大砲全てが男を向いているということ。
男「は!?ちょっと待って!弁明の余地を―」
??「全砲門、ファイヤー!」
??「気合い!入れて!いきます!」
??「勝手は!榛名が!許しません!」
??「距離、速度、良し!全問斉射!」
男「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!」
そして、男の叫び声と同時、その電車の中が閃光に包まれた。
時と場所は変わって、翌日鎮守府。
提督「バカかお前ら!」
そう叫んだのは、数か月前に仮面を外したこの鎮守府の提督。そして、提督の前に横一列で整列しているのは、金剛型の
四姉妹。全員しょんぼりした表情だ。
提督「民間の列車で痴漢相手に砲撃とは…お前らときたら…」
金剛「ケドテートク、その人は前に青葉に見せてもらったテートクを苛めていた男に似てたし、ワタシ達が使ったのは
模擬弾で、当たってもケガは―」
提督「その痴漢が他人の空似だということを考えなかったのか?しかも、その痴漢が病院に運ばれたことを忘れたのか?
模擬弾でもゼロ距離で喰らえば骨の2、3本は持っていかれただろう。おまけに警察のお世話になるなんて…」
霧島「…申し訳ありません提督、私と榛名がついていながら…」
榛名「そうです提督。2人を止められなかった私たちの責任です」
比叡「なんか、私たち2人を暗にバカにしていません?しかも、あなたたちだって砲撃したでしょう?」
そこで提督は短く息を吐くと、こう言った。
提督「とにかく、お前らが起こした事件はこの鎮守府の評判を、さらに海軍のイメージをも悪くしてしまった。
それ相応の罰は後日下す。部屋に帰ってよろしい」
金剛「…ハイ。すみませんデシタ…」
そう言うと、金剛型の4人は執務室をすごすごと出ていった。
提督は、四姉妹が部屋を出たのを見計らうと、最近秘書艦になった青葉に聞いた。
提督「で、青葉。金剛が言っていた、俺を苛めていた男に似ていたというのは?」
青葉「ああ、私が提督が卒業した中学を特定して、そこで評判の一番悪かった生徒を調べたら、その男の今の所在と容姿
までわかりましてね。その男の写真を数人に見せたんですよ。金剛さんの言う通り、その痴漢(?)は本当に提督を
苛めて、家に放火した男です」
提督「…あの男、警察に引き渡される時に『全部不幸の手紙のせいだ!』とか叫んでいたらしいが、それに関しては?」
青葉「あの男の所在を特定した後、扶桑さんと山城さんに不幸の手紙を書いてもらいまして、あの男の家に届けてもらい
ました。」
提督「…あの男が転んだところに丁度良く外出中の金剛四姉妹が座っていたのは?」
青葉「偶然です。いやー、扶桑さん姉妹の不幸の手紙のパワーってすごいですねー」
それを聞くと、提督は少し黙り込んだ。それでも、青葉は喋り続ける。
青葉「でもよかったじゃないですかー。その男を逮捕したのって、提督の親友だったんでしょ?金剛さん達が提督の鎮守府
に所属しているって言ったら、その人金剛さん達をおとがめなしで返したそうですよ?しかも、痴漢を撃退したって
ことで、この鎮守府にもお礼の手紙が届いていますし、海軍上層部からも祝辞の言葉が届いていますよ?あ、その男
は、複雑骨折と内臓破裂で全治一年の大怪我だったそうです。おまけに、これの入院費が馬鹿にならなくて、両親は
その男を縁を切ったそうです。いやー、ホント扶桑さん姉妹の不幸の手紙の力ってすごいですねー」
青葉はそう言って両手でガッツポーズをした。そして、その左手の薬指にはケッコンカッコカリ指輪が輝いている。
それを見た提督は、こう呟いた。
提督「俺なんかのために…ここまでしなくてもよかったのに…」
提督のその少し悲しげな口調に、青葉は首を傾げた。
青葉「提督…。もしかして、悲しかったんですか?」
提督「……」
提督はまた黙り込んだ。それを見て、青葉は再び提督に聞いた。
青葉「…本音は?」
提督「メシウマ」
その後、金剛型四姉妹と扶桑型姉妹には褒賞と特別休暇が与えられて、この鎮守府のイメージはとてもよくなって、
提督を苛めていた男は完全に孤独になったとさ。
本当にEND
というわけで、青葉編は本当にこれで完結となります。ありがとうございました。
神通編は明日の午前中に建てる予定です。
こちらもよろしくお願いします。
提督メシウマの使い方間違ってるだろ
漣に教えて貰ってこい
>>96
そうします。
新スレできました。立てるのが遅れてすみません。
【艦これ】神通「優しすぎる提督」
【艦これ】神通「優しすぎる提督」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420348867/)
応援よろしくお願いします。
なお、今後の話の主人公は
神通→間宮→陸奥の順番です
短編集とかヲ級編とかも作ろうかな…?
このSSまとめへのコメント
タキシード仮面かな?
ポロポーズ…
この提督トューフェイスなのか…
漣も使い方間違ってんだよなぁ
読みにくいけど面白かったわ
オペラ座の怪人を思い出した・・・
厨二病でいじめられてる中高生が書いた印象がすごい
色々酷い上に痛いなぁ…