オババ「あんたがパパになりなさい」 少年エルフ「えぇ!?」 (29)

※注意、このSSは以下の成分で構成されています

台本形式、ご都合主義、ショタ・ファザコン、残念な描写力、頻繁な回想

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○これまでの登場人物

少年エルフ:ハーフエルフ60歳児 喫茶店店主、山で託された人間の娘を育てパパとなる。 第二次性徴期はまだらしい

娘:16歳 少年エルフに育てられた人間の娘、才色兼備でモテモテだがファザコン パパが恋愛するのはまだ早いらしい(オカン)
男:36歳 警備兵分隊長で少年エルフとは幼馴染。 ナイスミドル

これは少年エルフと人間の娘の話。

○教会の墓場、オババの墓

娘「このお墓だっけ?」

少年エルフ「うん、ずいぶんと来れなかったからね」

娘「3年か、けっこう経つのね」

少年エルフ「さて、まず掃除しよう。 ずいぶん草が伸びてるから」

娘「ねぇ、パパ。 男が言ってたんだけどオババが私を育てることを決めたんだって?」

少年エルフ「そうだね。 あの日、山で娘を見つけて帰ったらね……」

○―16年前― オババの薬屋

ガラガラガラ

少年エルフ「オババ……ただいま」

オババ「エルフ! いつまで薬草採りにいってるの、心配させて……この子は?」

娘「すーすー」

少年エルフは山で事故で亡くなった母親の事を説明した

少年エルフ「回復魔法したのに……お母さんは助けれなかった……」

オババ「わかったから、この子は任せてアンタはもう休みな」

少年エルフ「ありがとう、オババ」

トボトボトボ……バタン

オババ(……また父親のことを……。20年は経つのに)

オババ「さて、この子はどうしようかね、誰か里親を探してやるか、教会に預けるか、あたしじゃもう年だしね。フム」

娘「んばぁ」キャッキャ

オババ「おや、いい眼をしてるし元気で素直そうだ。 ……そうさね」

○翌朝

少年エルフ「オババおはよう、今日は教会に娘を連れていくの? それとも他に……」

オババ「その必要はないわ、エルフ。 あんたが育てなさい」

少年エルフ「え?」

オババ「エルフ、あんたがパパになりなさい」

少年エルフ「えぇ!?」

オババ「あんたも40過ぎでしょう、親になってもいい頃よ」

少年エルフ「でも、店の手伝いだってあるのに」

オババ「む、それはいいわ。見習いを雇うから、アンタは子育てに専念なさい」

少年エルフ「でも、子育てなんてしたことないよ」

オババ「あー、もう。誰だって最初からできやしないわ。 基本的なことはアタシが教えてやるからやりなさい」

少年エルフ「でも」

オババ「お黙り! これはもう決定事項、異論は認めない。 それにアタシが間違ってたことはあったかい?」

少年エルフ「……ないです」

オババ「よろしい」

あのssの続きかな?
支援!

○―現在― オババの墓

少年エルフ「それで僕が娘を育てることになったんだよ」

娘「そっか、オババのおかげだったんだ」

少年エルフ「僕もオババには感謝しなくちゃ、娘が居なかったら今頃どうしてただろう」

少年エルフは寂しそうな顔をしている。

少年エルフ(オババが居なくなって、娘が居なくて、ひとりで……)

娘「パパ」ギュ

少年エルフ「ちょっと娘」

娘「そんな顔しないの、ちゃんと居るでしょ」ギュウ

少年エルフ「うん、わかったよ。 ホラ、花も飾らないと」

娘「えぇ、パパ」



男と男子がやってきた

男子「あ、娘」

娘「ゲ、男子」

男子「最近会う暇がなかったしな、ちょうど良かった。 娘、オレの剣を受け取ってくれ」

男子は跪いて剣を差し出した。

娘「メンドクサイわねぇ、いーらーなーいって言ってるでしょ」

男子「そうはイカン。 お前には恩がある、まだ見習いだがいずれ騎士になる。 だからお前に剣を捧げることで返させてもらう」

娘「あーもー、いつまでも昔のことを。 第一アンタより私の方が強いでしょ」

男子「む、『男子三日合わざれば括目してみるべし』 オレが勝ったら剣を受け取ってもらうぞ」チャキ

娘「万が一にアンタが勝っても受け取らないから」チャキ

チャキンチャキンチャキン

男子と娘がたたかいはじめた。

少年エルフ「え? ちょっとなにやってるの二人とも!?」

男「おぉ、エルフ。 お前もオババの墓参りか」

少年エルフ「男、なにをのんきに。 二人を止めないと」

男子「……エルフさんご無沙汰しております。 これはオレと娘の問題ですから」キンキン

娘「アンタが自身が問題そのものよ、私を巻きこまないで」カンカン

少年エルフ「え、二人ってそんなに仲悪かったの」

男「ちがうって、仲良くケンカしてるだけだよ」

娘「違うから、仲良くはないから」シュカカカ

男子「どうであれ、お前には恩を返す義務があるんだオレには」ヒュンヒュンヒュン

\イラナイッテイッテルデショーガ/ \ソウハイカン/

少年エルフ「あーあ、昔はあんなに仲良かったのに」

男「そうだったか? 昔からこんな感じだったろう」

少年エルフ「たしか橋を修理した頃だったよね」

男「そうだな」

○―8年前― 夜、オババの喫茶店

カランカラン

少年エルフ「オババ、ただいま」

男「ばぁちゃん。こんばんわ」

オババ「おかえり、男もよく来たね」

娘「パパー、おかえりー」パタパタパタ

少年エルフ「娘、まだ起きてたの?」

娘「パパが一緒じゃないとイヤ、一緒にねるの」

少年エルフ「娘、僕はオババとちょっとお話あるから先に寝ててね」

娘「イーヤー、一緒がいいの。 パパが起きてるならわたしも起きてる」

男「ずいぶんと甘えん坊なんだな、娘は」

娘「あ、男」

男「おう、こんばんわ」

娘「パパを勝手に連れ出さないでくれる。 困るんだから」

男「あぁ、悪い悪い。 ちょっと用事があったんだ」

娘「ほら、パパ。 はやく」

少年エルフ「んー、オババに報告したらすぐいくから……」

オババ「集会のことは男から訊くからあんたは娘を寝かしつけてきな」

少年エルフ「うん、わかった。 じゃあ行こうか」

娘「うん、パパ。おんぶー」

少年エルフ「しかた無いなぁ、よいしょ。 ちょっと耳を持たないで、くすぐったいから」

娘「えーパパの耳、フニフニしてて好きー」フニフニ

少年エルフ「あーもー、行くよ」 娘「ワーキャー」

ドタドタドタ……



オババ「一杯付き合いなさい、エルフはお酒に弱いからねぇ。 これも婆孝行だよ」

男「わかったよ、ばぁちゃん」

オババ「で、集会はどうなったんだい?」

男「やっぱりあの橋は修理することになったよ、事故も多いし。 頃合いだよ」

オババ「そうだねぇ、半分はそこが抜けちまってたからねぇ。 あの橋が直ればここも人通りがよくなるだろうさ」

男「そういや、なんで急に薬屋辞めて、喫茶店なんて開いたんだ?」

オババ「旦那から教えてもらった東洋の料理を活かしたくてね。 わたしの長年の夢さ」

男「それなら、いいけど。 もったいないなぁ、ばぁちゃんいい薬師だったのに」

オババ「薬屋なら弟子がやってるさ。 それとあの子のためでもあるさ」

男「娘の?」

オババ「いや、エルフのためだよ。 エルフ族だから薬屋は継げないのさ、くだらない法律のおかげでね」

男「オレに言われても」

オババ「男、あんたなんとかできないのかい?」

男「オレは今はただの兵士だよ。 そこまで権限はないよ」

オババ「あの人の孫ならそれくらいやってのけてみせて欲しいね。 ったく、仕方がないね」

男「それで、橋の修理なんだけど町の者からも人員を出すようになってさ、それでばぁちゃんは喫茶店だし、橋に一番近いから食事や飲み物の提供をお願いしたいんだけど」

オババ「そんなことならお安い御用さ、店を宣伝するいい機会だわ」

男「……間違ってもこないだみたいな酸っぱい実の入ったお茶とかにしないでよ、普通のレモネードとかでいいから」

オババ「まったく『梅こぶ茶』の良さがわからないなんて、情けない。 まぁ暑いから普通のレモネードをこさえておくよ」

男「ありがとう。 ……ところでばぁちゃん訊いていい? どうして娘を引取ることにしたんだ。 エルフも居るのに、オレや教会に任せてもよかったんじゃないのか?」

オババ「あんたのトコも男子が生まれたばかりだったろう? それにわたしが育ててるんじゃないさ、エルフが育ててるんだ」

男「エルフに? でもあいつは……」

オババ「なんだいあんた、エルフとは幼馴染じゃないか、あんたもあの子の事をとやかく言うのかい?」

男「それはないよ。 けど、実際あいつはエルフ族だ、オレがこんなにデカくなってもあいつはまだ子供のままじゃないか、それなのに子育てなんて」

オババ「ナリは子供のままだけど、エルフはあんたの親父と同じぐらいの歳だよ」

男「年齢的にはそうかもしれないけど、それでもエルフはあまりにも」

オババ「子供っぽいかね。 そうだろうさ、何十年も山暮らしだったし、村に来てもオババと二人きりじゃね。 だからこそ、大人になるために『子供』が必要なのさ」

男「子供を?」

オババ「大人ってのはね、子が居て、親になって、大人になっていくものさ。 一人でほっといたらいつまでも子供のままさ」

男「フーム、それでエルフにも子育てを」

オババ「わたしもそう長くない、だからエルフには心身ともに……体は無理か、……精神的に大人になってもらわないと、心配で死んでも死にきれないよ」

男「大丈夫、ばぁちゃんは長生きするから」

オババ「よくいうわ。 あんたらやエルフがいるとオチオチ老込むこともできんわ」

男「もう、そんなこと言って、……ばぁちゃんには敵わないよ」



男 「それじゃ、ばぁちゃん、ごちそうさま」

オババ「あぁ、気を付けて帰りな」

カランカラン

オババ「さて、娘とエルフはちゃんと寝たかな」

○寝室

オババが寝室をのぞくとエルフと娘が寝ている。

オババ「おやおや、よく寝てるね」

少年エルフ「うん、すぐに寝ちゃったよ。 でも腕を離してくれないから動けないんだよね」

オババ「ホント。 すっかりパパだねぇ、エルフ」

少年エルフ「……ねぇ、オババ」

オババ「なんだい?」

エルフ「本当に僕が『パパ』でいいのかな?」

オババ「……エルフ、『パパ』はイヤなのかい?」

少年エルフ「イヤじゃないけど、いいのかなって。 ごめん、うまく言えない……わからないよ」

オババ「わからないなら、わかるまではやりなさい」

少年エルフ「うん」

オババ「それに、わたしが決めたことが間違ったとでも言うのかい? わたしが今まで間違ったことを言ったかい」

少年エルフ「…………えっと、無いよ」

オババ「だろう、だったらいいのさ。あんたがパパでいいのよ」

少年エルフ「……うん、ありがとうオババ」

オババ「もう寝な、おやすみ」

少年エルフ「うん、おやすみなさい」

○数日後、橋の修復現場

少年エルフ「ふー、やっとついた」

娘「とうちゃくー」

男「お、エルフ。 お疲れ様、ばぁちゃんは?」

少年エルフ「暑いから二人で行って来てって言われた」

男「だと思った、長生きするよあの人は」

男子「……」ジー

少年エルフ「あ、男子くん? 大きくなったねぇ、こんにちわ」

男子「!?」プイ

男「済まない、結構人見知りでなコイツ」

娘「なに、エルフの耳が気になるの? フニフニよ触ってみる」

少年エルフ「ちょっと娘、引っ張らないで」

男子「いいの?」

娘「仕方ないから、特別よ」

男子「……」フニフニ

娘「フニフニでしょう」フンス

男子「うん、フニフニ」

男「エルフ、あーなんか、その。 スマン」

少年エルフ「うん……大丈夫、慣れてるから」

○川岸

川原で男子と娘が遊んでいる、男がそれを眺めていると少年エルフがやってきた

少年エルフ「配り終えてきたよ」

男「お疲れさん」

少年エルフ「はい、男の分」

男「おう。 ふぅー、酒が飲みたいところだが、レモネードもたまにはいいな」

少年エルフ「そうだねー、でも僕は『うめこぶ茶』の方が好きだな」

男「」ブハァッ

少年エルフ「どうしたの大丈夫?」

男「いや、……教育ってスゴイなっておもっただけだ(ばぁちゃんに育てられなくてよかった)」

少年エルフ「そう?」

男「そういや、この橋ってオレらが子供のころからボロかったよな」

少年エルフ「そうだね、前にも修理したはずだけど、すぐに傷むんだよね」

男「知ってるか、この橋には昔からユーレイの噂があって。 雨の日に通りかかると下から透明な……」

少年エルフ「ワ―ワ―ワ―、キコエナーイ。キキタクナーイ」

男「スマンスマン(変わってないなーホントに)」

少年エルフ「分かって言ってるでしょ」

男「いや、でも実際にこの橋は何故か事故が多いし、行方不明になるやつがあとを絶たなくて……」

少年エルフ「ヤーメーローって言ってるでしょー」

男「はっはっは。 さて、そろそろ再開するかな。」

少年エルフ「もう」

男「でも実際危ないから、子供たちを見ててくれ、頼む」

少年エルフ「うん、わかった」



娘と男子が川原で水切りをしている。

男子「ねぇ、なんでエルフってあんなに耳がながいの?」シュ

パシッ……パシッ……パシッ、ボチャ

娘「エルフ族だから耳が長いのよ」

男子「ふーん、僕の父さんより小さいのもエルフ族だから?」

娘「そうよ、オババがそういってたからそうなのよ」

男子「そっかオババがいうならそうだね、じゃあ娘も大きくなったら耳が長くなるの?」

娘「残念だけどならないって、わたしは人間だから」

男子「エルフがパパなのに娘は人間なの? おかしくない?」

娘「おかしくないわ、オババがそう決めたんだから」

男子「そっかぁ、オババが決めたならそうなんだね」

娘「そうよ。 あ、パパだ。 行こう」

男子「まって、いい石見つけたからこれを……」

???「」グワァア

半透明ななにかがあらわれた!

娘「男子、危ない!」

娘は男子を突き飛ばした。

???「」バシャ

半透明ななにかは娘にのしかかった。

娘「キャアッ、なによ! このッ」

ずるずるずる

男子「な、・・・・・・・ああ、あ・・・・・・」

娘「男子、にげ」

チャポン

半透明ななにかは娘を川に引きずり込んだ。 異変に気付いた少年エルフが駆け付ける

少年エルフ「娘ッ!?」

男子「あ……川から、へんなのが出てきて娘を・・・・・」

少年エルフ「男子君、大人の人を呼んできて、早く!」

少年エルフは川に飛び込んだ。

○川の底

ブクブク

少年エルフ(川の底になにかいる、あれは……スライムだ!)

半透明のなにかはスライムだった。

スライム「」ズルズル

少年エルフ(そんな、山奥にしかいないはずなのに。 それになんて大きさ)

娘「」ブクブク

少年エルフ(娘! どうしよう水中じゃ詠唱が……。 なんとかしないと)

少年エルフは娘の腕を掴んで引っ張った、しかしスライムは娘を離さない。

娘「」フルフル

娘は怯えている。

少年エルフ(娘! ……絶対助けるから)

少年エルフは娘に抱き付いた。しかしエルフもスライムに捕まってしまった。

娘(そんなパパまで)フルフル

少年エルフ(大丈夫だよ)ニコ

少年エルフ「"水流"」ゴボボッ

ギュオオオオッ

少年エルフと娘の間に水流が生まれ娘を川面へ押し上げた



バシャアン

娘「ハアハア、パ? パパぁ!!」

娘が水面に浮かび上がった。

男「そこか娘ぇ、今助ける。まってろー」

男子「父さん、雨降ってきた」

男「お、おう(クソ、行けるか? 3メートルしか泳げないのに!!??)」

娘「」ザブン

娘は川底を覗き込んだ。

少年エルフ「」ゴボゴボ

少年エルフは気を失っている。

スライム「」ズルズルズル

スライムは少年エルフを包み込んだ。

娘(パパッ死んじゃ……)

少年エルフに手を伸ばした娘が青白い光をまとう。

娘(いやーーーーーーっ!!)

ドドドォオオオオン!!

男「うわぁ」

男子「ヒィ」

川面に雷が落ちた。

スライム「!!??」バリバリバリ

電撃は水中に伝わりスライムを蒸発させた。

男「ら、落雷!? 川に?」

男子「む、娘は」

男「そうだ、エルフッ、娘ッ」

男子「あそこ」

プカ

少年エルフに抱き付いた娘が川面に浮かんだが二人とも気を失っている。

男「そこか、うおおおおおおお」

男は川に飛び込んだ。

○―現在― オババの墓

男「あの時の事で男子は娘に命を助けられたと思ってるんだよ」

少年エルフ「そうだったんだ」

男「そうだな、エルフ。 あの時の事は俺も感謝してる、ありがとな」

少年エルフ「やめてよ、何年も前だし男こそ僕達を助けてくれたじゃない、泳げないのに」

男「泳げないんじゃない、三メートルしか泳がないんだ」

少年エルフ「はいはい」

男「それでもたまに思うんだよ、お前達が居なかったらどうなってただろうかって、男子も同じさ」

少年エルフ「でも、あれは誰が居てもきっと同じことをしていたよ」

男「そうかもしれないが、お前の行動には驚いたぞ、あっという間に川に飛び込んだとか」

少年エルフ「だってね、あんなに怖い思いしたの初めてだったよ。 娘が居なくなるなんて思うの」

男(……ばぁちゃんが言ってたとうりだったな)

少年エルフ「男だってそうでしょ、男子君を失いそうになったら、同じことしてたよ、きっと」

男「そうだな『パパ』さん」ナデナデ

少年エルフ「ちょっと頭、撫でないで、子供あつかいしないでよ」

男「スマンスマン」

少年エルフ「もう、まったく」

カキーン

娘が男子の剣を弾き飛ばした。

男「お、決着だな」

少年エルフ「あーあ、もう。二人とも傷だらけじゃないか。ほらじっとして"治療"」

娘「これでまた私の勝ちね」

男子「……オレは女は切れんのだ」

娘「だったらまず吹っかけてこないでよ」

男子「それはお前が俺の剣を素直にだな……」

少年エルフ「男子くん、そこすごい腫れてるじゃない、手だして」

男子「……エルフさん」

少年エルフ「うん?」

○―8年前― 橋の修復が仕上げにかかった頃

川原で娘と男子が遊んでいる。

男子「あのさー、娘」

娘「んー、なに?」

男子「あの時にさ、おれを助けてくれたよな」

娘「まー、たまたまよ」

男子「だからさ、娘はさ。 おれの『いのちのおんじん』なんだよ」

娘「ふーん、別にいいわよ、たまたまだし。 それに意味わかっていってる?」

男子「分かってるよ、だからさ。 娘に『おんがえし』したいだ」

娘「どうやって?」

男子「だからさ……。 おれ、強くなって、娘を守るよ」

娘「んー、いらない」

男子「な! なんで!?」

娘「だって」

少年エルフ「娘ー、男子くん。 そろそろ帰るよ」

娘が少年エルフに抱き付く

少年エルフ「どうしたの娘?」

娘「パパが居るから」

○―現在― オババの墓

男子「まだ、勝てないのか。 それとも……」

少年エルフ「うん? 君は十分強いよ、娘に手加減してくれてるでしょ」

男子「……(そうではなく)」

少年エルフ「えっと、なにか言った。 痛い?」

男子「いえ大丈夫です、ありがとうございます」

少年エルフ「うん、よかった」



男「さて、墓参りもすんだし、なにか食べにいくか?」

少年エルフ「娘? 先行くよ」

娘「えぇ、すぐ行くから」

娘はオババの墓に祈る

娘(オババ……)

娘はオババの最後の言葉を思い出す。

 ――『娘、エルフの事は好きかい? そうかよかった』

 ――『だったら放さないでおくれ、寂しがりやだからね、エルフは』

 ――『お前が一緒なら安心していけるよ。 ありがとう』

娘(オババ、約束守ってるよ。 これからも、ずっとね)

――EiMD#30 end――

読了ありがとうございました

話のテンポはサクサクを目指してますが、ダラダラ書いてしまう性分なので削る際に解りづらくなる場面もあるかと思います

ご意見、ご感想がございましたらお気軽にレスを下さい。 ちょっとした暇つぶしになったなら幸いです

突然だけどタイトルがオリバってみえたから刃牙ssかと

>>6
支援ありがとうごさいます、励みになります。

>>28
刃牙は詳しくないのですが、オリバの画像検索したら……。 まぁこんなおばあさんが居てもいいですね、ありがとうございます。

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