今年のある初秋の日
僕は「彼女」と出会った。
その日は、朝から霧のような細かい雨が降り
やがてやってくる寂しい枯れの季節を連想させるような寒さだった。
僕は、身を縮めながら、秋雨の中を歩いていた…
男「うぅ、寒寒ぅ…」ガタガタ
男「全く、今年の気象はどうなってんのかな…。暑かったり寒かったり、たまらんよ」
男「…ん?」
グルル… キュ ルル…
男(何の音だ…?)
ギュウルルルルルル…
男(うわ怖っ…。野良犬のうなり声か何かかな)
男(無視しよ無視)タタタ
ガタンッ
男「うわ!?」
ドシャッ
男「痛ぁっ…何だよ…」
???「…」ゴロン
男「うわっ、なにこれ粗大ゴミ?誰、こんな所に捨てたのは…」
???「…」
男(あれ…?)
男(汚れててよく分かんないけど…この風貌)
???「…」グルル
男「これ、捨てマツコ…?」
マツコ「…何見てんのよ」ギロ
男「あ、え…ごめん」
マツコ「見てんじゃないわよ。さっさと行きなさいよ」
男「あ、うん…」
マツコ「ったく…」ギュルル…
男(それにしてもこのマツコ、随分やせてるなぁ)ジッ
マツコ「人が気持ちよく寝てたのに…ったく…」グルル
男(あぁ、さっきの音はコイツの腹の音だったんだ)
マツコ「なぁに、まだ何か用?」ギロ
男「…君、飼い主は」
マツコ「ハッ、居ないわよんなもん。あんたさっき、私の事捨てマツコっていってたじゃない。何今更」
男「そっか」
マツコ「そぉよ」
男(可愛そうに…憎たらしいこと言う割りに、震えてる)
男「寒くない?」
マツコ「うっさいわねぇ~。寒いに決まってんでしょ」
男「あっ、お腹空いてるでしょ。チョコ食べない?えっと、たしか此処に」ゴソゴソ
マツコ「…」イラ
男「はい!キットカット…」
パン
男「え」
マツコ「いらないわよ」
男「え、でも」
マツコ「頼んでないし、いらない」
男「でも君、痩せて」
マツコ「うるっっさいわねクソガキ!!!余計なお世話!!失せろ!!」
男「」ビク
マツコ「ハァ、安っい同情なんか…ハァ、いらない、わよ…」ブルブル
男「そ、そう。ごめん」
マツコ「分かったら…ハァ、さっさと行け…ゼェ 行きなさいよ…」
男(顔色が悪くなったな…)
マツコ「行けっつってんのよ!!!!!!!!」
男「わっ…!」ビク
男「ご、ごめんっ」タタタ
タタタ… バシャバシャ
マツコ「……」ゴロン
~男の家~
ガチャ
男「ただいま…」
妹「あーお兄ちゃんお帰りぃ」トトト
弟「兄ちゃんーお外寒かったでしょお」
男「うん。それに霧雨がすごくって…あはは、ぬれちゃった」
妹「大変だぁー大変だぁー。お兄ちゃんが風邪こんこん引くぅ~」
男「大丈夫だって」
男「すぐご飯作るからな」
弟「やったーーー!オムライス?オムライス?」
妹「あのね、妹も、オムライスー!」
男「ごめんねー今日は、野菜炒めだよ」
弟妹「えぇ~~~っ」
男「でも、豚肉さん入れてあげるからね。美味しいぞ~」
弟「お肉ーーー!!」
妹「お肉きたーーー!!!」
男(お肉一つで…現金だなあ)
男(…お肉…)
男(あの捨てマツコ…。大丈夫かな)
妹「お兄ちゃんー。お肉ーにくにくー!早くー!」
男「あぁ、はいはい」
男(寒くないかな…気になるな…)
弟「ピーマン入れないでね」
男「アホ」
~路地裏~
マツコ「…」ノソノソ
ガタン
マツコ「…!」
料理人「ふぅ、よいしょ…。あーだいぶ生ゴミ出たな」
「おーい、早くこっち手伝えー!」
料理人「うぃーす」タタタ
マツコ「…」ゴク
マツコ「…」キョロキョロ
マツコ「…」カパ
マツコ「うわ臭っ!」
マツコ(…でも)
マツコ「…」アーン…
ドドスコスコスコwwwwwwwwwwドドスコスコスコwwwwwwwww
マツコ「!?」ビクッ
野良楽しんご「あぁーーーご飯さんはっけーーーん★」
マツコ「ちょ、何あんた」
野良しんご「えーあんたこそ何ぃー?ここ、僕のテリトリーなんだけどー?★」
マツコ「はぁ…?」
野良しんご「それ僕にちょーだいっ★」
マツコ「嫌。先に見つけたの、私だし」
野良しんご「あぁ?(低音)」
マツコ「…」ギロ
野良しんご「ちょ、まじで一回で聞けよデブ…。やんぞ?お?」
マツコ「…」パク
野良しんご「あっ、テメッ!」
ブンッ
マツコ「…!」
バキッ!!
マツコ「がっ…」ドサッ
野良しんご「あはっ、ゴメンネ~~★つい手が」テヘペロッ★
マツコ「いった…ふざけんなあんた…」ムク
野良しんご「んもぉ~。しつこいなぁ~」
マツコ「返せ!」グイッ
野良しんご「うっぜぇーオラッ、もう一発!!」ブン
マツコ「…っ!!!」
ドカッ バキッ ドゴォッ
………
……
…
……
男「はい、お手手を合わせてくだーさい」
妹弟「いただきーーます!」
モグモグ
男(…八時か)チラ
弟「お兄ちゃん、食べないのー?」
男「…あのさ、ちょっとお兄ちゃん出かけてくる」スク
妹「えーー?どこへー?」
男「内緒。二人とも、食べたらちゃんとお風呂入るんだよ」
男(野菜炒め…あとご飯をタッパーに入れて)
男(そうだ、お茶…あったかいお茶も持っていこう)
男「鍵、ちゃんとかけてね」
バタン
~路地~
男「おかしいなぁ…ここらへんだったのに」キョロキョロ
男「お~~~い、マツコ~~。マツコ~~」
シーン
男(流石に寝床を探すか)
男「マツコー、マツコDXーー」
ドドスコスコスコwwwwwwwドドスコスコスコwwwwww
男「ん?」
野良しんご「きゃっ、イケメンお兄さんだぁ~★」
男(なんだ、楽しんごか…)
男「ねぇ、この辺でマツコ見なかった?ちょっと痩せてる」
野良しんご「え、み、みてなーーーい★」
男「そう…。ありがとう」
野良しんご「うん!!そうそう★えと、じゃーねー★」タタタ
男(さて、どうしたもんか…)
「うわっ!!!!!!!?」
男「ん?」
料理人「うっわ、お前何してんだよ!どけよ!きったねぇな!」
???「…ぅ」グタ
男(あ、れ)
マツコ「ぐ…けふっ」グタ
料理人「ちっ、店の評判が下がるじゃねぇか」
男「あ、あの」タタタ
料理人「あ、すみませんお客様…。今どかしますんで」
男「いえ、そうじゃなくてこのマツコ…」
マツコ「…あん、た」
男「えっと、えっと…これ、僕のマツコで…」
料理人「はぁ?おたくの?困りますよぉ」
男「すみません、すぐ連れて帰りますんで」
マツコ「あんた、何言って」
男「ほら、行こうマツコ」グイ
マツコ「…!」ヨタタ
~公園~
男「けが…してるね」
マツコ「それがなに」プイ
マツコ「あんた、どういうつもり」
男「いや、気になったから…。君の事」
マツコ「余計なお世話…うっ」ヨロ
男「ああ、無理しないで。座りなよ」
マツコ「くっ…」ストン
男「ほら、これ…。家からもってきたんだ。野菜炒めとご飯と、お茶」
マツコ「…」プイ
男「食べてよ」
マツコ「…何、いいことしてるつもり?」
男「いや、あまりものだし」
マツコ「…」チラ
マツコ「…」ゴクリ
男「今唾飲んだでしょ」
マツコ「飲んでない」
男「いいから!食べてよ!お願い」
マツコ「…」
マツコ「…」
モグ
男「あ、ありがとう」ニコ
マツコ「…」モグ
マツコ(なにこれめっちゃ美味しい)モグモグ
男「僕が作ったんだ。どうかな?」ニコニコ
マツコ「…」ペロリ
男(もう食い終わった!!!?)
マツコ「…」グビグビ
マツコ「ぷっは」
男「良い食べっぷりだね」
マツコ「…馬鹿みたいでしょ」
男「ん?」
マツコ「本来、上流家庭で飼われるマツコが、こんな汚くて臭くて…」
マツコ「見てたら優越感感じるでしょ?」
男「なんで。そんなことない!」
マツコ「はっ。どぉだか…」
男「…」
マツコ「まぁいいや。もう偽善者ごっこは終わりにしたら?私帰るから」
男「帰るって…?どこに」
マツコ「…あんたには関係ない」
男「帰る場所なんてないでしょ?」
マツコ「うっさいわね」ギロ
男「…僕の家に来ない?」
マツコ「…は?」
男「傷の手当てもしたいし…。ね、おいでよ」
マツコ「あんた、本気?」
男「うん。僕の家、あったかいよ。それに、布団だってある」
マツコ「そ、そんなこと」
男「あと、買い置きのカルピスドーナッツがあるんだ。余っちゃってさ。食べない?」
マツコ「」ピクッ
男「反応した」
マツコ「カルピス…ドーナッツ」
男「うんwww」
マツコ「…案内しなさいよ。お言葉に甘えるわ」
男「うん!」ニコ
~家~
妹「…」
弟「…」
妹弟「おすもうさん?」
男「馬鹿!!!」
マツコ「…」
男「この子は、マツコDXだよ。今日ここに泊まるの。お客さんだよ」
妹「えぇ~~~!お客さん!お客さん!!」バタバタ
弟「やった~~~!!おもてなし!おもてなし!」ジタバタ
男「はいはい…。さ、入って」
マツコ「…お邪魔します」
男「とりあえず、お風呂入ってきなよ」
マツコ「え」
妹弟「お風呂~~入る~~」
男「えぇ?入っておいてって言ったのに…」
妹「だってぇー」
男「じゃあ、マツコ。この二人も一緒に入れてくれない?」
マツコ「は、あ、あたし!!?」
弟「やったーーーー!!入ろ!マツコ入ろう!」
マツコ「待って、私そんなの無理」
妹「いこいこー!」グイグイ
マツコ「うおっ、ちょっ…」
~お風呂場~
マツコ「ゼェゼェ」
妹「何で歩いただけなのに、ゼーゼー言ってるの~?」
弟「なんで汗だくだくなの~?」
マツコ「うるさいガキ!」ハァハァ
妹「すっぽんぽんになろうねぇ、マツコ」ヌギヌギ
弟「お風呂気持ちいいよ~」ヌギヌギ
マツコ「んなふっ…フシーフシー ぬふぉぐっ…」ジタバタ
妹「マツコ大丈夫?」
弟「脱げないの?」
マツコ「脱げる…わよっフシーフシー」
ジタバタ
マツコ「ごめっ…ちょ、手伝って…」フシーフシー
妹「えいー」
弟「てやー」
マツコ「あんた、馬鹿。そこ引張ったら苦しいでしょおー」
妹「マツコ、お洋服お姫様みたいー。ヒラヒラホワホワー」
マツコ「…あっそ」
ガヤガヤ
男(割と楽しそうだなぁ)
ザバアアアアアアアアアアアアアアン
妹「wwwwwwww」
弟「wwwwwwww」
マツコ「なーに笑ってんのよ」
妹「お湯なくなったーww」
弟「津波ーwww」
マツコ「うっさい!!!」
マツコ(あーもうこれだからガキは)
マツコ「…」ホカホカ
男「綺麗になったね」
妹「あのねーwwwお湯がねーwww」
弟「TUNAMIーーーwww」
マツコ「二人とも、だーまーれ」
妹弟「wwwww」
男「じゃあ次は>>48しようかな」
安価は遠くても3か2位下にしといた方がいいぞ
みんなでゲーム
>>46だな。サンクス!
男「ねぇマツコ」
マツコ「なによ」
男「ジェンガしない?」
マツコ「はぁ?」
妹「じぇんがー!!」バタバタ
弟「やるーーー!!」
マツコ「ちょ、ジェンガって…」
マツコ「なに?」
男「ジェンガを知らない…だと」
マツコ「何?人名?」
男「いや、こんなやつだよ」ドサ
マツコ「積み木?ドミノ?」
妹「あのねーこれをねー、積むのー」
弟「そうそう、こうしてね…あっ」
マツコ「ちょおま」
ガシャアアアアアアアアアアン
弟「…」
男「…」
妹「…」
マツコ「何、これタワーを破壊するゲームなわけ」
男「ちゃいます」
~5分後~
男「なんとか綺麗に立て直せました」
弟「ごめんちゃい(´・ω・)」
男「さーいしょはぐー」
妹「じゃーんけん」
弟「ぽん!」
マツコ「…」ポン
マツコ「え、勝った」
男「じゃあ、マツコが一番手ね」
マツコ「ど、どうすんのよ」
男「一番上以外のジェンガを抜いて、上に積むだけだよ」
マツコ「…」フンス
マツコ「…」ソロー
男「…」
マツコ「…」プルプル
マツコ「…」ヌキー
マツコ「…」ポン
マツコ「…ふー」
男(見てるこっちが緊張するはwwwww)
マツコ「ふっ…次、あんたじゃない?」
妹「えいー!」
妹「わちゃー!」ポン
マツコ「わわっ、もうちょい丁寧にしなさいよ!」
妹「いいんだもーんだ」
男「うわぁ策士だな、妹…もうタワーがぐちゃぐちゃ」
弟「うがー!」ポン
ジェンガ「」グラグラ
男(そーっとそーっと)ヌキ
妹「ふー!」
ジェンガ「チョwwwwwヤメwwww」グラ
男「やめるぉおお!?」
弟「ふぅー!」
男「おいいいぃい!?」
妹「マツコもふーふーして!」
マツコ「は?」
弟「思いっきりふーして!!」
男(まずいっっ)サッ
フウウウウウウウウウウウウウウウゥウウ
ジェンガ「モウダメポwwwwwwww」グラア
ガシャアアアアアアン
男「」
マツコ「…」フンーフンー
男「…」ショボン
マツコ「いや、このがきんちょがやれって」
妹「お兄ちゃんのまーーけっ!」
弟「まーけーーー!」
男「もう一回だ!!くっそぉおお」
マツコ「ちょ」
~10時~
妹弟「…」ウトウト
妹「お兄ちゃんとマツコ楽しそうだね」
弟「うん。輝いてるね」
妹弟「ふあー」
男「おらぁ!!」
マツコ「ちょあんた、そこはヤバイんじゃないのぉ」
マツコ「げっすい男ねぇ~…ここでどうよ?」ポン
男「くっ…くっそ」
妹弟「ねむ…」
ガシャアアン
マツコ「あああああああああ!」
男「やった!」
マツコ「ち、畜生…!!」
妹「…」
クイクイ
男「あっ、妹…。眠いのか?」
妹「うん」コクン
マツコ「…」フワァ
男「マツコもだいぶ眠そうだね」
妹「寝るー」
男「そうだね。歯磨きしておいで」
弟「ぬー」
男「マツコも、寝たら?」
男「そうだ、>>63で寝たらいいよ」
客間に新しい布団をおろしたからそれで
男「客間に新しい布団おろしたから、それで寝たらいいよ」
マツコ「え…」
マツコ「そんな、新しいって」
男「もーーーそんな遠慮しないでってば!ほら、行った行った」グイグイ
マツコ「ちょ」
男「はい、おやすみね」ポフ
マツコ「…」ヌクヌク
マツコ(あったかい)
妹「マツコーおやすみー」
弟「ぐっなーい!」
マツコ「お、おや、すみ…」
男「じゃあ、電気消すね」パチ
男「いい夢を~」
ガチャ
マツコ「ま」
マツコ「待って」
男「ん?」
マツコ「…」
マツコ「あの…ありがとう」
男「…」
男「へへー!どういたしましてー」ニコ
マツコ「おっ、おやすみっ」バッ
男 ニマニマ
バタン
マツコ(…)
マツコ(なんなのよ、あいつ)
マツコ(私なんか家にあげたって、良い事ないし…。態度だって良くなかったのに)
マツコ(…)
マツコ(野菜炒め、美味しかった。お風呂、気持ちよかった。ジェンガ、楽しかった)
マツコ「…」ジワッ
マツコ「ひっぐ、ぅぶ… ぐしゅっ、ふっ…」ポロポロ
……
…
チュンチュン
マツコ「…む」
マツコ「…」ノソリ
マツコ「良い匂い」クンカクンカ
~台所~
男「あ、おはようマツコ」
マツコ「お、おはよう」
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