木曾「艦娘の前職を知りたい?」 (325)

艦これのSSとなります。
うだうだやっていこうと思ってるんで、よろしくです。

それからオリ設定がこれでもかというほど出てきますので苦手な方はブラウザバック推奨。

では見てる人がいるようでしたら始めます。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1419675678

投下します


木曾「そんなこと知ってどうすんだよ。別に面白いもんでもねえぞ」

木曾「…今後の指揮に生かす、ねえ」

木曾「まあ確かに、艦娘になるってことは不老のサイボーグになるってことだ」

木曾「なんとなく、で選ぶような道じゃない」

木曾「その理由と事情を聞いておくのも何かの役には立つか…」

木曾「…わかった、教えてやる」

木曾「ただし、他の奴等には言うなよ」

木曾「それを守ってくれるなら、話そう」

木曾「さて、どこから話すか…」

木曾「…昔、大陸のほうに日本の領土があったことを知ってるか?」

木曾「そう、10年ほど前に友好条約でもとの国に返還されたところだ」

木曾「当時はまだ多くの日本人が住んでてな」

木曾「…当時っていつだって?ああ、まあ…大体25年ぐらい前だな」

木曾「で、俺はそこで生まれた」

木曾「…いや、生まれた『らしい』、が正解だな」

木曾「そこの領土の…あー、めんどいから『大陸』でいいか?」

木曾「…助かる」

木曾「で、大陸の東のほうにある港町にでかいスラム街があった」

木曾「『九頭竜城砦』って呼ばれてるところだけどな」

木曾「俺はそこの裏路地に捨てられていた」

木曾「まあ、後で義理の親父に聞いた話だが」

木曾「…そんなオロオロすんなよ、聞いてきたのはお前だろうが」

木曾「それが大体…30年ぐらい前の話か」

木曾「いや、はっきりとはわからん。親父に聞いたこともないし」

木曾「…親父?親父は…まあ、おいおい話す」

木曾「…本当の親父?知るかよ」

木曾「両親は両方日本人だったようだが…まあどうせ『できちゃった』だろ」

木曾「特に本当の両親に対しては興味はねえよ」

木曾「顔も知らないし、声も聞いたことがないからな」

木曾「…だから、そんな顔すんなって」

木曾「俺は運よく、スラム街の中で武器商をしていた男に拾われた」

木曾「俺の『親父』さ」

木曾「こればっかりは本当に運が良かった」

木曾「普通、女の捨て子は内臓とられるか娼婦として育つかだからな」

木曾「非合法武器商の娘も、世間一般から見りゃ吐き気がするほどの不幸だろうが…」

木曾「体の一部を奪われたり、変態の慰み者になるよりははるかにマシさ」

木曾「違うか?」

木曾「…まあ、とにかく俺はその武器商に拾われ、育てられた」

木曾「なんで俺を育てようって気になったのかは未だにわからんがな」

今更だが、艦娘の口調とか間違ってるところあれば教えてな

木曾「これは後から聞いた話だが、親父は日本本土である罪を犯して大陸に逃げてきたらしい」

木曾「…いや、その罪がなんだったのかはわからずじまいだ」

木曾「で、親父は逃げに逃げて九頭竜城砦にたどり着いた」

木曾「その街は警察も近づかないほどに治安が悪くてな」

木曾「身を隠すには絶好の場所だったってわけだ」

木曾「そしてそこで武器商を始めた」

木曾「いくらスラムとはいえ、武器は手に入りにくい」

木曾「親父はそれを逆に利用して、武器を売ることで裏組織からの信頼を手に入れた」

木曾「…したたか、とも言うぞ」

木曾「…どうやって武器を手に入れてたか?知るかよ、親父に聞け」

木曾「俺は小さいころから親父の仕事について回った」

木曾「いろいろな組織のボスとか幹部とかと顔を合わせるうちに、次第に街で有名になってな」

木曾「ずいぶんといろんな人に可愛がってもらったもんだ」

木曾「…別に変な意味じゃないぞ、なんだその顔」

木曾「まあそうして育っていくうちにいろんなことを教わるわけだ」

木曾「武器の使い方、護身術、銃撃戦の立ち回り…」

木曾「親父からも武器についてはいろいろと教わった」

木曾「そうしてありとあらゆる戦闘技術を習得していった俺は、いつしか街のアイドルとなった」

木曾「…だからなんだその顔」

木曾「言っとくが、本当だぞ?基本的に毎日の飯は隣近所からのおすそ分けでなんとかなってた」

木曾「…だから、いや知らんし…みたいな顔すんじゃねえって」

そして言い忘れていたが若干シリアスだ

木曾「…転機は25年前だ」

木曾「お前、『トワイライト・レイン』って知ってるか?」

木曾「…歴史の教科書に書いてあるからな、そりゃ知ってるよな」

木曾「そう、その通りだ」

木曾「今から30年ほど前に出現し、大陸を荒らしまわったテロ組織」

木曾「目的は破壊と略奪、用いる手段は暴虐なる暴力」

木曾「そんな組織さ」

木曾「…おお、さすが提督だな。察しがいい」

木曾「ああ、そう。その通りだ」

木曾「…その組織が、親父に武器の仕入れを頼んできたのさ」



なんか名前が痛々しいんだけどどうすればいいかな

詳しくは知らんがチャイニーズマフィアなんか名前を和訳すれば十分イタいネームになると思うから大丈夫だろ(適当)

痛いって…なら「中央ブリーフ連盟」とか「もっともっとメイドラブ隊」とか「死んだ魚でレスリング協会」とかが良いの?

木曾「親父は客を選ばなかった」

木曾「たとえその用途が暗殺だろうが護身だろうが、求める者すべてに武器を与えた」

木曾「だからこそ、あのスラム街で信頼を勝ち取れたんだろう」



木曾「…その結果は、ともかくとして」


>>15 それもそうさな(適当)

木曾「どこまで話したっけか、ええと…武器の仕入れの話か」

木曾「で、親父は瞬く間にその組織と友好関係を結んだ」

木曾「向こうも向こうである程度うちの願いを聞いてくれてな」

木曾「九頭竜城砦だけは襲撃の対象から外してくれ、と言ったらあっさり受け入れてもらったり」

木曾「ちょっと弾薬をサービスしてあげたらお礼にとシャンパンを1000本単位でくれたりな」

木曾「数回だけだが、組織のボスにもあったことがある」

木曾「ちょっとくせっ毛の金髪の、スタイルのいい女性だった」

木曾「いや、本当に女だったんだって」

木曾「…全然。普通に優しい人だった」

木曾「ああ、ただ一回だけ部下に切れた瞬間を見た」

木曾「目が…こう、真っ赤になってな」

木曾「…すまん、やはり思い出したくない。この話は飛ばそう

木曾「その後5年にわたって、親父はその組織に武器を供給し続けた」

木曾「そりゃもう古今東西あらゆる武器を」

木曾「そのおかげもあってか、組織はますます活動範囲を広げた」

木曾「日本の領土に限らず、アジア全土へと」

木曾「日本政府はこの事態を重く見た」

木曾「考えても見ろ、自国の領土内で生まれたテロ組織がアジアで暴れまわってるんだ」

木曾「もうやばいとかいうレベルの話じゃねえだろ」


>>16 お前のそのボキャブラリーはどこからきたんだ

木曾「政府は軍をあげて組織をつぶしにかかった」

木曾「…そう、世間でいう『ト号作戦』だ」

木曾「大陸では血で血を洗う戦いが半年にわたって繰り広げられた」

木曾「日本だけじゃない、アメリカ、ドイツ、世界を巻き込んでの戦いだ」

木曾「それが20年前」


木曾「…俺が艦娘になる8年前、俺が10歳前後のときの話さ」

木曾「結果から言えば政府軍の辛勝」

木曾「組織はほぼ壊滅した」

木曾「だがもちろん、政府はそれだけでは満足しない」

木曾「生け捕りにした厚生委員を尋問して、協力者をあぶりだした」

木曾「…まあ実際には普通に拷問だっただろうな」

木曾「で、だ」

木曾「昼夜問わずその構成員たちを痛め続けた結果、驚くべき人間の関与がわかった」

木曾「本土で重大な犯罪を犯し、指名手配犯となった男」

木曾「組織に武器を供給し、事実上の共犯者となった男」

木曾「…お前は察しが良くて助かる」

すまん、>>21だが「×厚生委員」⇒「○構成員」だ

木曾「政府はショックを受けただろうな」

木曾「指名手配となり逃亡した男がなぜ『こんなところ』にいる?」

木曾「政府は直ちにその男…俺の親父の捕縛を命じた」

木曾「政府直属の特殊部隊に、だ」

木曾「すぐにその知らせは親父のもとに届いた」

木曾「そのときは改めて恩は売っておいて損はない、と思ったよ」

木曾「街中の人間が逃亡に協力してくれた」

木曾「みんなの協力を得て、俺と親父は街を出て近くにある別の街に移った」

木曾「そして新しい隠れ家が見えたその瞬間」

木曾「そう、その瞬間だけ俺は油断した」

木曾「…疲れと、安堵感と、そんなものがごちゃ混ぜになって」

木曾「俺はためらいもなく角を曲がった」

木曾「親父が後ろで制止していたのに気が付かずに」


木曾「向かいのビルに、スナイパーがいたのさ」

中二ですねわかります

木曾「知ってるか?『抉れる』って表現あるだろ?」

木曾「あれ、マジでそうなんだよ」

木曾「『バゴッ』って感じの音だった」

木曾「…親父はそうやって、俺をかばって死んだ」

木曾「残念ながら右目は守れなかったようだが」

木曾「いや、あれは痛かったな」


>>27 わかってくれたようでなにより


木曾「次に目が覚めたとき、俺は軍の収容所の病室に拘束されていた」

木曾「横にはひげ生やした偉そうなおっさんがいて」

木曾「『君のお父さんは亡くなった』と伝えてくれた」

木曾「うん知ってる、って感じだったが」

木曾「とりあえず俺は頷いた」

木曾「そしたらおっさんも頷いて、拘束具を外してくれた」

木曾「きっと、俺にもう暴れたり抵抗する意思がないことを悟ったんだろ」

木曾「実際、俺は拘束具を外されてもベッドの上で動かなかった」

木曾「…もう、生きる意味がなくなったと思い込んでたからだ」

木曾「その後俺はある孤児院に入った」

木曾「生きる必要性を感じないまま、日々を過ごし」

木曾「気が付けば高校を卒業する直前だった」

木曾「…いや、はっきりと年齢は分からなかったぞ?さっきも言ったが」

木曾「学力的にあってる学年に入っただけだ」

木曾「まあ高校でなにかしてたかって言われれば、何もしてなかったけど」

木曾「とにかく、俺は卒業の日を間近に迎えていた」

木曾「そんなある日、担任に呼び出されて」

木曾「『お前、生きる意味はあるか?』と聞かれた」

木曾「俺が正直に『ない』って答えたら、そいつなんて言ったと思う?」


木曾「『うん、俺もない』だとよ」

すまんちんこやけどしたかも

ちょっと離れる

雑炊こぼした
股間にかかった

熱い

すまん大丈夫だ

再開する

木曾「俺が戸惑っているとそいつは続けた」

木曾「『というか、大体の人は生きる意味を持たない』」

木曾「『正確には、まだ見つけてない』」

木曾「『人はそれを見つけるために生きるんだ』とな」

木曾「俺は黙っていた」

木曾「どうせお決まりの綺麗ごとだ」

木曾「中身のない言葉をかけられても、心は動かない」

木曾「…だが、そいつは違った」

木曾「本気で言ってた。目が本気だった」

木曾「傷ついた生徒に向けるような、生暖かい目じゃなかった」

木曾「意地でも自分も本気をぶつけないといけない、そんな目だった」

木曾「その日、俺は遅くまでそいつと話し合った」

木曾「本気をぶつけて、ぶつけられた」

木曾「話を終えて孤児院に帰り着いたときはもう夜の9時を回ってて」

木曾「孤児院の職員に『この子が非行少女になってしまった!!』とか騒がれて、大変だった」

木曾「…だが、割と悪い気はしなかった」

木曾「なんつーか、こう…目が覚めた?」

木曾「そんな感じだった」

木曾「次の日も俺は担任と話した」

木曾「次の日も、次の日も」

木曾「なぜ俺は生きる、なぜお前は生きる」

木曾「そんな下らない話を続けてる間に、卒業式の前日になってしまった」

木曾「もっと前からこいつと話しておけばよかったと後悔したな、あんときは」

木曾「最後の『課外授業』を終えて、職員室を出るときそいつはこう聞いてきた」

木曾「『お前、生きる意味はあるか?』」

木曾「笑って言ってやったさ」




木曾「『ねえよ』ってな」



木曾「結局俺は卒業して、そのまま艦娘になった」

木曾「『親父さんが救ってくれた命だ、無駄遣いはもったいないぞ』と言われてな」

木曾「じゃあこの命、人を助けるために使ってみるかと」

木曾「それが12年前」

木曾「軽巡洋艦『木曾』の誕生の瞬間だ」

木曾「そして俺はその8年後、ある提督の指揮下に置かれた」

木曾「そして俺は生きる意味をまず一つ、手に入れた」


木曾「『お前に、最高の勝利を』」


木曾「…ちょっとクサかったか?」ニヤッ

木曾「さて、これで俺の昔話は終わりだ」

木曾「…おいやめろ、そんな頭下げられるようなことは何もしてねえ」

木曾「たしかに、親父のことでわだかたまりがないと言えば嘘になる」

木曾「だがまあ、納得はしてるさ」

木曾「親父は犯罪を犯し、死刑となった」

木曾「過程は違うが、それと同じことだ」

木曾「…少しづつ、受け入れていくさ」

木曾「さて、じゃあ俺は失礼するぜ」

木曾「…なんだよ、まだあんのか?」

木曾「組織のボスの年齢?そんなん知るかよ」

木曾「見た感じ…そうだな、見た感じ化か…」

木曾「顔はきれいだったが体は傷だらけだったし」

木曾「何より胸が…その、控えめに見ても90近くはあったから」

木曾「たぶん30代ぐらいだったと思うぞ?」

木曾「…そうか?まあいいか」

木曾「じゃあな」


ギイ バタン

はい、木曾編ENDです。

今日中に書き込めるかわからんけど、次は大和編を予定してます。
出来れば木曾編の感想意見批判非難罵倒その他書いてくれると嬉しい。


ではまたあとで。
ちんこがひりひりするのでちょっと確認してみます。

とりあえず乙

艦娘の前職は史実に関係あるの?それとも完全なオリジナル?


>>1の息子事情の方が気になる

>>43 オリです

一応大陸の領地は満州をイメージしてますが、やはりオリ設定です。
あと九頭竜城砦は知ってる人からすれば当然ですが九龍城砦をモデルとしてます。

>>44 軽く火傷したが水ぶくれとかはできてない
たぶん軟膏ぬって寝ればよくなるはず

雑炊はおいしかった

>>1でゲス
やはり今日中の更新は難しいようだ

大和編の
1,導入だけ書く
2,導入も明日に回す

どっちがいい?ちょっとお風呂入ってくるんで、その間に意見を頼む

そうか、みんなありがとう
実は体調があまり良くないんだ

頑張って明日中に直して夜更新するんで許してつかあさい
一応夜8時ぐらいからの投稿を予定してます

この後、大和、明石、赤城と続けるつもり
どうなるかわからんけど最後までお付き合いいただければ幸い

何卒よろしゅう


あと風呂入ったせいでちんこひりひりする

そうか、みんなありがとう
実は体調があまり良くないんだ

頑張って明日中に直して夜更新するんで許してつかあさい
一応夜8時ぐらいからの投稿を予定してます

この後、大和、明石、赤城と続けるつもり
どうなるかわからんけど最後までお付き合いいただければ幸い

何卒よろしゅう


あと風呂入ったせいでちんこひりひりする

ヒリヒリしてるなら舐めて治さないとな

>>54
軟膏ぬったら不覚にも気持ちよさを感じて今死にそう

寝る

>>1です

8時ごろからの投稿の目途がつきました
今日は大和、明石、運が良ければ赤城まで行けたらいいかなと思います

ではよろしく

>>1 なんとか
だいぶ痛みもとれた

ぼちぼち投下するでよ

大和「前職…ですか?」

大和「そんなこと知って、どうなさるんです?」

大和「…そんな殊勝なことを提督が考えてるとは思いませんが」

大和「まあいいです。お教えします」

大和「ただし、全然面白いものではないですから…それは先に言っておきますね」

大和「それから、艦隊のみんなには秘密にすること」

大和「守っていただけますね?」

大和「…分かりました、ではお話しします」

大和「ええと…どこから話せば宜しいのでしょうか」

大和「私は武士の家系の生まれなんです」

大和「…いや別に今も帯刀してるとかちょんまげというわけではなくて」

大和「元をたどればとある武家に行きつく、というだけの話で」

大和「んー…誤解を恐れずに言えば、武士の末裔ってことなんでしょうか」

大和「…なんですかその目」

大和「…まあ、いいです」

大和「続けますね」

大和「私の父はもともと政府の高官で」

大和「最終的にはとある省の大臣になったとか」

大和「小さいころのことなんで、覚えてませんけどね」

大和「…父は礼儀正しい人でした」

大和「きっと、武士の末裔としての自覚があったんでしょうね」

大和「豪快で、それでいて気配りができて」

大和「私も兄も…そんな父を誇りに思っていました」

大和「あ、言ってませんでしたっけ?」

大和「私一人っ子じゃないんですよ」

大和「…はい、2つ上に。兄が」

大和「私は18で高校を卒業してすぐ、海軍に入りました」

大和「おそらく父の影響だと思います」

大和「…いえ、父には最後まで『危ないから』と反対されたんですが」

大和「兄もそのころには士官候補として海軍に入ってましたし」

大和「きっと、父のように強く優しい存在でありたかったんでしょう」

大和「父を何とか説得して、海軍に入隊届を出しました」

大和「まあ、その日の朝まで父にはぐちぐち言われたんですけど」

大和「私が家を出るときは、泣きながら見送ってくれました」

大和「…あ、ちなみに今も生きてますよ」

大和「政界からは…その、引退しましたけど」

大和「私は士官候補生としてではなく、一般応募から入隊しました」

大和「現場でお互いを信頼し、命を預けあう」

大和「上層部であれやこれやと指令を出すより、そういう有り方のほうが性に合ってたんです」

大和「それに…あの、こう、高校時代は青春してたというか」

大和「あれですよ、ほら、ナンバーワンよりオンリーワン!!」

大和「…ええ、そうです。成績悪かったんです」

大和「正直、一般応募で入隊してからすごく後悔しまして」

大和「だって朝6時から基地の周りを30周走らされるんですよ!?」

大和「しかも一周1kmはある外周を!!」

大和「当時の教官に『世界記録ペースでいけば朝8時には朝ごはんだね!』って言われた時は泣きました…」

ちなみに読んでる人いる?

大和「あとで分かったことですが、その人も武士の家系の出身だったらしくて」

大和「大戦時代は軽巡洋艦に乗って戦ってたらしいんですが」

大和「船が沈む直前に真っ二つになっても、浮いてた前半部分だけで敵を攻撃しまくったらしいです」

大和「…?男の人でしたよ?…子供、でしたら…確か娘さんがいたはずです」

大和「何度か写真を見せてもらいましたが」

大和「なんというか…本当に娘さん?みたいな」

大和「目立たない、おとなしそうな子でしたね」

大和「あ、そうそう、これも最近聞いた話ですが」

大和「その娘さん、艦娘になってるらしいんですよ」

大和「まああくまで聞いた話なので」

大和「本当かとか、誰がそうなのかは知りませんが」

大和「…どうしました、提督?頭押さえて」

ノシ

大和「話がそれちゃいましたね」

大和「私はその後も海軍兵として3年間訓練を受け、とある部隊に配属されました」

大和「今から、17年前のことです」

大和「配属されたのは軍艦ではなく、戦闘部隊でした」

大和「そうですねえ…アメリカ軍で言う海兵隊みたいなものですかね」

大和「まあ平和な世の中なので、特に任務はありませんでしたが」

大和「毎日、訓練したり事務仕事したりでしたけど」

大和「それなりに楽しかったですよ、あの時期は」

見てますよ〜

大和「そこまで大きくもない部隊だったので、みんな仲が良かったんです」

大和「私は一番の新人でしたから、特にかわいがってもらえて」

大和「それでいて、訓練になるとみな真剣な目になって」

大和「隊が一丸となって、一つの個体であるかのように動く」

大和「小隊長さんは特にすごい人で」

大和「50歳を過ぎても100m走10秒台でしたからね」

大和「若いころの記録は怖くて聞けませんでした」

大和「みんなお互いに軽口をたたきあっていて、なのに仲の良さが伝わってくる」

大和「…本当に、素晴らしい部隊でした」


>>71 >>73 サンキュ

大和「…配属されて1年後のことです」

大和「今から、17年前」

大和「…ご存知、ですよね?」

大和「…その、通りです…」



大和「…深海棲艦、首都襲撃事件」


大和「初めて、深海棲艦が日本本土を襲撃した」



大和「…史上最悪の、防衛戦です」

大和「私たちの部隊は最前線へ駆り出されました」

大和「援軍を送っても送っても、すぐに人手が足りなくなる」

大和「まだそのころは艦娘はいませんでしたし」

大和「何より、深海棲艦が群をなして襲ってくるなんてことはなかったんです」

大和「加えてその時まで深海棲艦は本土を襲ったことはなかった」

大和「襲うにしても東南アジアの島々とか…そこらへんでしたから」

大和「みな、油断していたのでしょう」

大和「哨戒中のイージス艦が全滅して、もはや本土に防衛力は残ってなかった」

大和「もう陸上から攻撃するしか、なかったんです」

大和「私たちの部隊も、ある程度は善戦しました」

大和「うまくチームワークで敵の目をごまかしながら、攻撃を食らわせてまた逃げる」

大和「それを繰り返して、少しづつ相手を削っていきました」

大和「…でも、それにも限界がある」

大和「また一人、また一人と」

大和「数時間前まで笑ってた仲間たちが、目の前で殺されてゆく」

大和「…」

大和「…すみません…お茶をいただけますか」

大和「襲撃は一晩続き」

大和「翌日の朝、深海棲艦たちは引き上げてゆきました」

大和「…ぼろぼろになった首都と、仲間の死体と、私を残して」

大和「私は悔しくてならなかった」

大和「なぜ私だけが生き残ったのか、疑問でならなかった」

大和「普通新兵は真っ先に命を落としてしかるべきです」

大和「なのに、なぜ、あんなに素晴らしい人たちが先に死なないといけないのだと」

大和「救護隊に保護された後も、私は問い続けました」

大和「…部隊のみんなが私をかばってくれていたことに気が付いたのは、ずっとずっと後のことでしたけど」

大和「1年足らずで私は何とか前線に復帰しました」

大和「もっとも、所属していた部隊は私を残して全滅してしまったし」

大和「私自身、正直まだ立ち直れていないところがあったので」

大和「昇進という形で、事務関係の仕事に回されたんですけどね」

大和「私も、戦いから自分自身を遠ざけて」

大和「あの戦いのことを、忘れようとしました」

大和「5年がたったころです」

大和「『対深海棲艦人体武装融合型サイバネティクス・オーガニズム』」

大和「通称『艦娘』が誕生しました」

大和「最初はなるべくかかわりを持たないようにしました」

大和「忌まわしい戦いなんて思い出したくない、もう怖いのはいやだ」

大和「誰かが代わりにやってくれる、別に私じゃなくてもいいと」

大和「でも、心のどこかで誰かが叫ぶんです」

大和「『それでいいのか?』って」

大和「夜、寝床に入るたびに、必ず」

大和「いいんだ、いいんだ、と答えても声は響く」

大和「…もう、拷問でも受けてるような気分でしたよ」

大和「そんなある日、押し入れの中にあるものを見つけたんです」

大和「…部隊のみんなでとった、写真」

大和「本当は全部捨てたと思ってたんです」

大和「でも、1枚だけ残ってたみたいで」

大和「捨てよう、と思ってゴミ箱の前に持って行ったんですけど」

大和「…捨てられないんです」

大和「ゴミ箱の上に持ってきても、手が開かない」

大和「もう片方の手で引っ張っても、たたいても、手が開かない」

大和「泣きながら、何度も何度も」


大和「…それでも、捨てられなくて」

大和「結局その日は一晩眠れなくて」

大和「気が付けばもう外は明るくて」

大和「ゴミ箱の近くに私は座り込んで」

大和「…無意識のうちに、写真を見つめていました」

大和「今はいないみんなの、笑顔、笑顔、笑顔」

大和「きっと普段の私だったら辛く感じるんでしょうけど」

大和「もうその時の私は疲れ切っていました」

大和「…すんなりと、あっさりと」

大和「そこでようやくみんなの死を受け止めました」

大和「同時に、みんなの軍人としての誇りと」

大和「私自身の中にあった、武士の末裔としての血が」

大和「私の目を覚まさせてくれました」

大和「私だけが生き残った意味」

大和「私だけに与えられた役割」

大和「それに、気が付いたんです」

大和「私は艦娘になることを決意しました」

大和「…この力があれば」

大和「この力があれば、みんなの無念を晴らせる」

大和「みんなが守ろうとしたこの国を、守れると」

大和「その結果、もともとの性格や鍛えられた体のおかげか」

大和「史上最大の戦艦、大和の適性が出て」

大和「私は今こうして、戦艦大和として提督の指揮下にいるのです」

すまん、ちょっと親のパソコンが不調で見てた

投稿再開する

大和「…さて、以上で私の昔話はおしまいです」

大和「指揮のお役には立ちそうですか?」クスクス

大和「…もう、そんな渋い顔しないで下さいよ」

大和「なんだかこっちがつらくなるじゃないですか」

大和「それでは私はこれで失礼し…え?」

大和「…質問、ですか?」

大和「別にいいですけど…なんでしょう」

大和「…襲撃時の、異変ですか」

大和「たしかに、あの首都襲撃は謎が多く残されています」

大和「なぜいきなり深海棲艦が本土を襲ったのか」

大和「なぜ突然深海棲艦が群れで襲ってきたのか」


大和「そしてなぜ、あんなに統率がとれていたのか」

大和「…これはきっと偶然だと思って今まで口にしなかったんですけど」


大和「あの深海棲艦たちの群れとしての動きは、明らかに軍のそれでした」


大和「加えて…なぜ深海棲艦は本土侵攻を途中でやめ、撤退したのか」


大和「…なにか、裏があるのかもしれません」

大和「まあなんにせよ、私たちのやることは変わりません」

大和「ただ眼前の敵を薙ぎ払い、平和な海を取り戻すこと」

大和「それが艦娘としての、私たちの使命です」

大和「ね?」ニコ

大和「さて、それでは私は失礼させていただきますね」

大和「…え、まだなにか?」

大和「…兄、ですか…」

大和「…その質問はどうしても答えなければなりませんか?」

大和「別に挨拶なんていいですよ、お世話になってるのはこちらですから」


大和「その…」

大和「…いません」

大和「もう、いないんです」


大和「私の兄は死にました」






大和「…7年前の、あのクーデターで」




ギイ   バタン





はーい大和編終了でーす
お疲れ様でしたー

まさかこんな時間になってしまうとは…
とりあえずお風呂入ってから明石編をかけるところまで書きます


マジでどこまで進むかわからんけど、最後まで付き合っていただければうれすぃー

じゃあ風呂行ってくる
軟膏の用意はできてるぜ

うし、再開

明石「…え?前職ですか?」

明石「何ですか藪から棒に、教えませんよそんなこと」

明石「…はあ?指揮に活かす?」

明石「まーた適当なことを言って」ハア

明石「どうせ単に興味があるとかその程度でしょう?どうしても聞きたいなら、それがどう指揮に活きるのか説明してみせてくださいよ!」

明石「…えっ」

明石「…ほ、ほう」

明石「…いや、なんかすいません」

明石「確かに指揮に活きるかもしれないですね…私の考え足らずでした」

明石「分かりました、お教えします」

明石「ただしほかのみんなには言わないでくださいね?約束ですよ?」

あ、すまん言い忘れてた

大和編の感想とか書いてくれると嬉しい
批判非難罵詈雑言すべて正座で受け入れるつもりだ

というか見ている人がいない気が…

いないようなら今日は明石の導入までにして続きは明日ということに
いるなら続きをどうするか教えてほしい

今日はもうちょっと進めようと思えば進められるがどうだろうか

ゴキブリの如く>>3辺りからROMってますが何か?

>>101 ありがとう、今度雑炊をおごろう
じゃあもうちょっと続けてみる

明石「私、親がとある大学の教授だったんです」

明石「一応生物学の権威、とか呼ばれてたらしくて」

明石「なんかこう…私も大きくなったら学者になるみたいな風潮が家の中にあったんですよね」

明石「残念ながら母親は私が生まれたときに亡くなってて」

明石「兄弟もいなかったので、父にとっては私だけが頼りのようでした」

明石「これまた残念なことに、父は私が大学を出る直前に亡くなりましたけど」

明石「…いえ、私飛び級したんですよ」

明石「何ですかその顔は!!信じてませんね!?」

明石「これでも小さいころは神童と呼ばれていたんですよ!?」

明石「元素周期表は2歳ですべて覚えましたし高校化学と物理はは10才で…っ!!」

明石「…はあ、もういいです。続けます」

見てるよー
キャラクターと過去がそれっぽくていいね

伏線っぽいのがちらほらあるけど時系列的に全部つながってたりするのかな

一応、伝えておくが……別に煽る為に姿を見せたわけじゃないんだからね!
も、もう夜も遅いし寝たければ寝ればいいじゃない!

明石「で、わたしが大学を出たのは15歳の時でした」

明石「…ですからその顔やめてください!!腕へし折って直してまたへし折りますよ!!?」

明石「もう!…で、私はそのまま国立科学研究所に入りました」

明石「私はそこで研究者として働き始めたんです」

明石「それがえーと…18年前です」

明石「…なんですか33歳って!!その前に艦娘になってますから肉体年齢はその時で止まってますよ!!」

明石「ああもう腕へし折ります!!絶対にへし折ってやりますから!!!」



>>104 きっとそのうちわかるとおもふ

>>105 っ[雑炊]

明石「…で、です、ね」ハアハア

明石「ふう…なぜ私は自分の身の上話を怒りながら話さないといけないのでしょう…」

明石「…続けますよ?」

明石「研究所に勤務した翌年のことです」

明石「あの事件が起こりました」


明石「…深海棲艦による首都襲撃事件」


明石「国立研究所は都心から少し離れたところにありましたので、大きな被害は受けずに済みました」

明石「同時に、深海棲艦に対抗する術を探すことが最優先の業務へと変更されたんです」

明石「全職員が自分の進めていたプロジェクトを凍結して、その業務にあたりました」

明石「深海棲艦への対処には大きく3つのアプローチがありました」

明石「1つは深海棲艦に対する有効な攻撃手段を作ること」

明石「2つ目は深海棲艦の人間への攻撃性を消すこと」

明石「そして3つ目は、何らかの方法で深海棲艦を一定のエリアへ閉じ込めること」

明石「研究者はそれぞれのグループに分かれ、協力しながら研究を進めていきました」

明石「私は最初のグループで研究をしたんです」

明石「特に深い理由はありませんでしたが、まあなんとなくこれが一番簡単そうだなーと」

明石「結果から言えば、それが大当たりだったんですけどね」

明石「まず私は簡単な実験から始めたんです」

明石「どんな武器や化学物質が効くのか、どんな手順なら効率よく奴らを倒せるか」

明石「銃器類からサリンまでいろいろ試したんです」

明石「…ああ、実は襲撃の際に何匹かの死体が回収できてですね」

明石「それを使って実験したんです」

明石「…すると不思議なことがわかりました」

明石「なぜか使う銃弾や武器によって死体の損傷度が違うんです」

明石「ロケット砲で傷一つつかないこともあれば、ハンドガンで弾が貫通することもある」

明石「さらに同じ武器でも攻撃するたびにその威力が異なる」

明石「私はそこに何らかの謎があると思ったんです」

明石「そこで実際に使った銃器の出所を詳しく調べた結果、あることがわかりました」


明石「…作られた年代が、違ったんですよ」

明石「まさかね、と思って調べたところそれは事実でした」

明石「大体作られた年代が10年さかのぼるたびに攻撃力は2倍ほどになるんです」

明石「ただし、ピークは1940年代ごろ」

明石「このころに作られた兵器であれば、もっとも高い攻撃力を持つことがわかりました」

明石「さらに不思議なことに、あくまで『その武器が関与している』ことが攻撃力増加の条件だったようで」

明石「1930年代に作られた銃で発射した弾丸と、1930年代に作られた弾丸を発射した銃は」

明石「ともに同じ攻撃力を示しました」

明石「これがまず、1つ目の成果です」

うし、今日はここまで

見てくれた奴等ありがとう
ここまでの感想待ってる

設定はまだ始まったばっかだしまだ何とも言えんが
掴みは結構いい感じやね
まぁ気ままに見てるよw
てかもしかして艦娘「艦娘になった理由」の人だったりする? 
なんかストーリー構成が似てる気がしたんだ

みんなおはよう
おそらく今日は昼前に更新できそうだ
明石編を何とか午前中で終わらせたいので頑張ろうと思う

>>115 非常に嬉しい勘違いだが、違うぞ
俺はこれが初SSだ

投下するでよ

明石「次に私は『武器の種類による違い』を調べました」

明石「どの武器が最も有効なのか」

明石「陸上兵器ではどうか、海上兵器はどうか」

明石「ここはかなり上に無茶してもらいましたね」

明石「護衛艦の大砲をぶっ放してほしいと言った時なんか反乱を疑われましたからね」

明石「ともかく、結果が残せてよかったです」

明石「この実験の結果、深海棲艦にもっとも有効なのは『1940年代に作られた海上兵器』であることがわかりました」

明石「早い話が、軍艦です」

明石「ただ当然のこととして、そんなもの今は存在しません」

明石「全て沈んだか、廃艦になりましたから」

明石「そこで水底に沈んだり、博物館などで保管されてるものを回収して使うことになりましたが」

明石「その保存状態は最悪です」

明石「なにせ長い間海水に浸かってたわけですから」

明石「船が全体的に腐食してるんです」

明石「ですので、それらをそのまま武器として使うことはできません」

明石「改めて、『武器の関与』という観点から考え直す必要がありました」

面白いから最初から見てる

で、気になることがあるから一つ
反応を求めるレスがたまに見えるけど
感想を書く人は基本的に>>1が「投下終わり」という宣言をしたら書く人が多いよ
SS投下中にレス入ると見辛くなるって思う人が多いからさ

だから投下中に反応がなくてもそんな気にすることでも無いよ

明石「…ヒントは、深海棲艦にありました」

明石「深海棲艦の…人型の奴らの死体を解剖したところ、驚くべきことが分かったんです」

明石「奴らの脊髄は、金属でできていた」

明石「しかも確認したところ、それらの金属は全て1940年代の艦船のものであることが判明しました」

明石「勿論、体に付けてた武器とかは違いましたけどね」

明石「それに臓器と骨格の一部も金属製でしたが、それも近年のもので」

明石「脊髄だけが、1940年代の艦船に使われていた金属に置き換わっていたんです」

明石「全てが軍艦というわけではなかったですが…」

明石「私はこれに注目しました」

明石「ある人間の脊髄を1940年代の金属に置き換えて、その人間が銃を撃てば」

明石「『武器の関与』が成立するのでは?と」

明石「そこで実際に実験してみたんです」

明石「…いや、もちろんラットにですよ?」

明石「さすがに初期研究段階で人体実験は無理ですよ。死人が出るかもしれないのに」

明石「…そのラットには1950年代に同盟国が保有してたある駆逐艦の一部を使って作った」

明石「疑似脊髄を埋め込みました」

明石「どうなったと思います?」




>>121 なるほど
SS書くの初めてだからこういったこともちょくちょく教えてくれると嬉しい

次からは投下終了を書き込むことにしよう



明石「そのラット、深海棲艦の皮膚をいとも簡単に食いちぎったんです」


明石「当たりだ、と思いましたね」

明石「これを使えばもっとも簡単に深海棲艦を倒せる」

明石「深海棲艦に対抗しうる『兵器』ができる」

明石「…まさかあとで自分もそうなるとは思いませんでしたが」

明石「それが、16年前の出来事です」

明石「勿論その理論が出来上がってからも、課題は残りました」

明石「より安全にその技術を人間に応用するにはどうすればいいのか」

明石「実は人間に人工脊髄を埋め込むという実験はだいぶ前から行われていたんです」

明石「最初にそれ関連の理論が発表されたのがだいたい30年前」

明石「脊髄の損傷により体が動かなくなった人の治療が目的だったと聞きます」

明石「実験動物相手にはうまくいったらしいんですが」

明石「ただ、人体に対する研究は倫理的観点から遅々として進まず」

明石「やはり不可能なんじゃないかということで今は誰も研究する人がいません」

明石「私も、ラットに脊髄を埋め込むのはうまくいきました」

明石「すでに『成功例』が昔の論文に発表されてましたから」

明石「ただ、人間相手にはそう簡単にはいきません」

明石「まず第一に、拒絶反応が起きます」

明石「…いえ、実験動物でも起こってますよ?」

明石「施術から5日以内にすべての動物が死亡しました」

明石「人間でこれが起きたら洒落になりませんし」

明石「まして、長期運用を目的とするならそんな不完全な『兵器』は論外です」

明石「というのも、その脊髄の作り方が難しくて」

明石「骨格に合う他人の脊髄をベースとして」

明石「それに金属を組み込まないといけないんです」

明石「要は他人の体の司令部が突然自分の体の司令部になるというわけですから」

明石「当然、強い拒絶反応が起きます」

明石「…STAP細胞を使って自分の脊髄を作ればよかった?なんですかそのSTAP細胞って」

明石「…よく分かりませんが、私の知識の中にはそんな細胞ないですね」

明石「えーと、どこまで話しましたか?」

明石「ああ、そうでした…この問題を解決するのが『免疫寛容』という現象でした」

明石「女性は体内にこどもを宿す際、自分と全く異なる遺伝子を持つ細胞を」

明石「体内に10か月もの間保持し続けます」

明石「これを可能にしているのが『免疫寛容』です」

明石「特定の遺伝子に対して体の免疫作用を抑えることで、異なる遺伝子との共存を可能にする」

明石「これをこの手術にも応用できるのではないか、と私は考えました」

※あくまで免疫寛容の考え方は一説にすぎませんし、フィクション要素が強いです
 要は半分嘘です
 
 あしからず

明石「したがって当然、『兵器』になれるのは女性に限定される」

明石「また、機動性及び軍人としての力量から対象は若い方がいい」

明石「私はそこまで研究を進めた段階でお役御免となりました」

明石「そこから先は人体実験が必要な領域でしたし」

明石「さすがに公の組織でそんな実験をするわけにもいきませんでしたから」

明石「実際にどんな過程を辿って『艦娘』ができたのかはわかりません」

明石「たぶん、まともな過程ではないです」

明石「…犠牲者も、出たんでしょうか」

明石「私のその研究が終わって、艦娘の第一号が完成したのは1年後」

明石「今から15年前のことです」

明石「…大和さんが12年前と言ってた?」

明石「ああ、公式発表は12年前です」

明石「ただ、成功率が低いことやわからないことも多くて」

明石「初成功から3年遅れての発表だったんですよ」

明石「私は研究が終わってからも研究所で働いてました」

明石「主に工学関係の分野で研究をしていて」

明石「あ、ちなみに何個か特許もとりましたよ」

明石「…事件が起こったのは7年前でした」

明石「研究所が襲撃されたんです」

明石「…そうです」

明石「海軍青年将校によるクーデター」


明石「三・二六事件が起きました」

明石「目的はいまだに不明とされてますが」

明石「青年将校はまだ10年前の傷跡が残る首都でクーデターを起こし」

明石「国会、首相官邸、警視庁、国の主要機関を攻撃」

明石「最終的な死者は1500名にも上りました」

明石「研究所も襲撃を受け」

明石「務めていた職員50人ほどが死亡」

明石「私も銃弾を体に浴び、重傷を負いました」

明石「病院に運び込まれた時はもう虫の息で」

明石「手術を行ってももう助からないかもしれないというところまで体が破壊されていました」

明石「特にひどかったのが脊髄で」

明石「銃弾によって腰と胸の間のあたりで脊髄が切断されていて」

明石「このままでは多臓器不全になるかもしれないと」

明石「それでも延命措置をするか、とお医者さんは聞いたんです」

明石「…皮肉なことに、私の頭にある一つの解決策が思い浮かびました」


明石「艦娘になれば、助かると」

明石「医師にそう伝えたところ、すぐに政府から許可が下りました」

明石「一応艦娘の根底を作り上げた人間でしたから」

明石「政府としても見殺しにはできなかったんでしょう」

明石「事件の前、私は面白半分で軍艦適応の検査を受けてまして」

明石「工作艦『明石』の適応があることはわかっていましたし」

明石「幸か不幸か、人工脊髄のベースとなる脊髄を持った死体はそこらじゅうに転がってましたので」

明石「手術も数日のうちに行われ」

明石「私はなんとか一命を取り留めました」


明石「その後、一応艦娘は軍属でなければならぬということで」

明石「この鎮守府に配属されたんですが」

明石「なにぶん軍人ではありませんでしたので、艦隊に組み込んでもらうわけにもいかず」

明石「とりあえずの仕事として基地内の酒保の担当を任されまして」

明石「3年間の訓練ののち、提督の交代に伴って艦隊に着任しました」

明石「そして現在に至る…というわけです」

明石「はい、これで私の自分語りはおしまいです」

明石「最初にも言いましたけど、絶対に誰にも言わないでくださいね!!」

明石「…信じますからね?」

明石「それじゃ、私はこれで…え?質問?」

明石「何を質問するというんですか…もう充分話したじゃないですか」

明石「…深海棲艦について?」

明石「ふむ…」

明石「…これは、絶対に他人に話さないでください」

明石「この事実を知っているのは、政府と軍のほんの上層部だけです」

明石「研究所のみんなも、この艦隊のみんなも知らないことです」

明石「内容は2つ」

明石「1つは深海棲艦の出所について」

明石「私は深海棲艦の体の構造が艦娘の体の構造を考え付くきっかけとなったといいましたが」

明石「両者には大きな違いがあります」


明石「ベースとなる他人の脊髄が、深海棲艦には使われていないということ」


明石「もっと言えば、内臓の置換や武器の身体への接続は」

明石「明らかに『生まれつき』のものではありません」

明石「…つまり、深海棲艦は自然発生的なものではないということ」

明石「誰かに『作られた』ものだということです」

明石「そして、もう一つ」

明石「同じ顔や体を持つ艦や、そもそも人型ではない艦もあるので最初は気が付きませんでしたが…」




明石「彼女たちは、それぞれの個体ごとに異なった―――」



明石「――――――『元人間』、です」



はい、明石編は以上です
この後赤城編に続きます

次の投稿は夜になるかなーと思います
18:00ぐらいから投稿を再開する予定です

赤城編のあとは川内編を予定してます

ではまた夜に
お疲れ様でした ノシ

真っ二つになった軽巡の前半分で戦ったのってコロンバンガラの伝説の男じゃねぇか
そりゃオーバーワークに定評あるわ

>>144 ちなみに本設定に関係ないのでばらしますが
   教官の娘が神通です

まあわかると思うけれども

ではぼちぼち赤城編開始です

今日はちょっとペースを上げて投稿しようと思う

赤城「…前職?」

赤城「それは艦隊の指揮に関係することなのですか?」

赤城「…ふむ、なるほど。わかりました」

赤城「特別に提督だけにお話ししましょう」

赤城「ですので、ほかの人には話さないでくださいね」

赤城「加賀さんにも話してないことですから」

赤城「…さて、ではどこからお話ししましょうか」

赤城「私は8歳の時に両親を亡くしました」

赤城「本当に不幸な…ただ不幸な事故でした」

赤城「交通事故だったんです」

赤城「暗い山の中で、道を見誤って崖下にまっさかさま」

赤城「車の後部座席にいた私は幸運にも助かりましたけど」

赤城「…両親は、即死だったそうです」

赤城「私は15歳まで孤児院で過ごしました」

赤城「そこである程度は楽しい生活を送っていたんですけど」

赤城「やっぱりどうしても心が空虚な感じになりがちで」

赤城「結局高校にはいかずに軍に入ったんです」

赤城「…まあそれ以上に大きな原因として」

赤城「孤児院の食費を圧迫しすぎたというのがありましたけど」

赤城「私は最初陸軍に入ったんです」

赤城「そこで2年ほど歩兵として訓練を受けていたんですが」

赤城「初めての狙撃訓練で異常にいい成績を残してしまいまして」

赤城「結局そのあと警察のほうに引き抜かれて」

赤城「17歳で警察の機動部隊の狙撃犯に所属することになりました」

赤城「…んー、才能というか…目が良かったことは一つの要因かもしれませんね」

赤城「私、スコープなしでも500mくらいの距離であれば狙撃できるんですよ」

赤城「…本当ですよ!!なんなら今度お見せしましょうか!?」

赤城「その1年後のことです」

赤城「私は政府直属の特殊部隊に召集されました」

赤城「政府の特殊部隊って、常に存在してるわけではなくて」

赤城「必要性が生じたときに、その必要に応じて隊員が選ばれるんですよ」

赤城「ですから当然、名前もありません」

赤城「…私は狙撃手の一人として、部隊に参加しました」


赤城「目的は、とある人物の身柄の拘束」


赤城「大陸で武器商を営んでいた、指名手配犯の確保でした」

赤城「提督は『トワイライト・レイン』という組織をご存知ですか?」

赤城「…ええ。そのテロ組織です」

赤城「そのテロ組織に対して武器の供給を行っていたのが」

赤城「国内で指名手配を受けたとある日本人だったようで」

赤城「私たちは彼を傷つけることなく回収せよ、という命令を受けました」

赤城「…ああ、ご存知でしたか」

赤城「まあ、提督も軍の士官ですから」

赤城「そのぐらいの情報なら、知っていておかしくはないですね」

赤城「任務は熾烈を極めました」

赤城「標的の協力者と思われる組織からの攻撃、威嚇」

赤城「必要以上の爪痕を残すことは許されません」

赤城「あくまで『存在しない』部隊ですから、それなりの戦い方をする必要があったんです」

赤城「なんとか標的を人気のないところに誘導して」

赤城「さああとは無力化するだけという段になって」

赤城「標的が一人で移動しているわけではないことがわかりました」

赤城「用心棒だろう、と思ったんです」

赤城「標的に家族がいるという情報は、ありませんでしたから」

赤城「…隊長は我々狙撃班に、その用心棒の殺害を命じました」

赤城「標的をおびき寄せて、まず用心棒を狙撃し」

赤城「無防備になった標的を強襲班が取り押さえる」

赤城「それが事前に立てられた計画でした」

赤城「そしてその用心棒の殺害が、私に任されました」

赤城「作戦が開始されたのは、もうすぐ日が暮れるというときでした」

赤城「うまく強襲班が標的を街角に追い込んで」

赤城「その角を出てきたところを撃つ」

赤城「難易度的にはそう高くはありませんでした」

赤城「当時の私の技量からすれば、十二分に成功させられるはずの任務」

赤城「…だった、はずなんですけど」


赤城「…女の子だったんです」


赤城「10歳ぐらいの…小さな、女の子だったんです」


赤城「決して用心棒には見えませんでした」

赤城「仮に用心棒だったとしても、少なくとも見た目は普通の女の子でした」


赤城「標的の娘だったのかも…しれません」

赤城「私は撃つのを一瞬だけ、躊躇しました」

赤城「ほんの、一瞬だけ」

赤城「それが、失敗でした」

赤城「任務なんだ、やらないといけないんだ」

赤城「そう自分に言い聞かせて引き金を引いたときには」

赤城「もう標的は女の子をかばうように射線上に動いていて」

赤城「私の放った弾丸は…」


赤城「…二人の頭を、撃ち抜いていました」

赤城「当然任務は失敗」

赤城「私は作戦失敗の責任をとることになって」

赤城「機動部隊を辞任して、警察の一般職務に就きました」

赤城「それが、20年ほど前のことです」

赤城「その後8年間、私は後悔し続けました」

赤城「当時の私の練度が高ければ、女の子を殺さずに無力化することができた」

赤城「奪われるべきでなかった命を、2つも奪わずに済んだ」

赤城「心のどこかに、慢心があったのかもしれません」

赤城「私はすごいんだ、うまいんだ」

赤城「そんな心で、集中力を必要とする狙撃がうまくいくはずがありません」

赤城「そういえば、弓道を始めたのもその時期でした」

赤城「そのとき同僚だった人に勧められて、始めたんです」

赤城「…不思議と、弓を引いているときだけは」

赤城「全てを忘れることができたんです」

赤城「無我の境地ってやつ…ですかね?」

赤城「…あら、提督漫画とかお読みにならないんですか?」

赤城「今のネタが伝わらないとは…残念です」

赤城「…17年前?…ああ、首都襲撃事件のことですね」

赤城「あの時は私は一応警察職員でしたから」

赤城「避難誘導やら交通規制やらのほうに駆り出されていて」

赤城「実質的な戦闘には参加していません」

赤城「なので、幸いにも無傷でした」

赤城「…変なところで悪運強いんですよ、私」

赤城「12年前、艦娘化手術が発明されて」

赤城「私は呼びかけ用のポスターを町中に張ることになりました」

赤城「それで割り当てられたポスターを眺めていて」

赤城「…ふと、あの女の子のことを思い出して」

赤城「なんというか…いてもたってもいられなくなって」

赤城「ある意味、罪滅ぼしのつもりで」

赤城「私は艦娘に志願しました」

赤城「たぶん心のどこかで、あのミスを引きずっていたんだと思います」

赤城「…いえ、もしかしたら」

赤城「私は死にたかったのかもしれません」

赤城「両親に先立たれ、人の命を誤って奪い、防衛戦にも参加せずにすんだ」

赤城「申し訳なさで、いっぱいでした」

赤城「私だけ生き残って、ごめんなさい」

赤城「そんな気持ちが強かったのでしょう」

赤城「幸か不幸か、正規空母『赤城』の適応が出て」

赤城「私は空母として艦隊に着任しました」

赤城「その後、2人の提督の指揮下に入りましたが」

赤城「これまた幸か不幸かお二人とも非常に有能なお方でして」

赤城「戦闘のさなか死ぬこともできず、現在に至るというわけです」

赤城「…もう、そんな顔なさらないでください。冗談ですよ、冗談」

赤城「では私はこれで失礼しますね。指揮のお役には立ったでしょうか?」

赤城「…?なんですか言いたいことって」


赤城「…生き、てる?」


赤城「あの、女の子が?」

赤城「そんな…で、でも、確かにあの子の頭を、私はっ!!」

赤城「…目、だけ…そうだったんですか」

赤城「…今、その子は何処に?」

赤城「…まあ、そうですよね…個人情報ですから」

赤城「でも…そっか…生きてたのね…」

赤城「…」

赤城「…よかった、です」ウルッ

赤城「本当に…よかった」グスッ

赤城「…すいません、お恥ずかしいところをお見せしました」グシグシ

赤城「一航戦・赤城、これからも提督のために尽力いたしますので」

赤城「どうかよろしくお願いいたします」ニコ

赤城「では、わた…質問?なんでしょう」

赤城「前の提督…あれ、お会いしたことないんですか?」

赤城「…ああ、ちゃんと挨拶したことないってことですか」

赤城「でも挨拶って言っても…もう退役されてますよ?」

赤城「家族もいないようでしたし…今は山奥で暮らしてるとか」

赤城「あ、でも恋人の写真なら見せてもらったことありますよ?」

赤城「今から35年ぐらい前の写真でしたけど」

赤城「日本軍の軍服を着ていらしたんで、彼女さんのほうも軍人さんだったと思いますけど」

赤城「写真を見た限りでは、かなりスタイルのいい」




赤城「―――――クセのある、金髪の女性でしたけど」



はい赤城編終了です
いかがでしたでしょうか

川内編を始める前に少し休憩します
さっきから変な体勢でタイプしてたんで肩が痛い
次の投稿は1時間後ぐらいを目安にしてるです

ではいったん投下休止
また感想待ってるです ノシ

うっし始めますぜ

川内「夜だね提督!!夜戦しよっ!!」

川内「…夜戦、ないの?」

川内「…夜戦、ないのか…」

川内「…じゃ…おやすみ…」トボトボ

川内「…ん?なに?」

川内「…前職?そんなこと聞いてどうすんのさ」

川内「指揮に…?まあよくわかんないけど」

川内「今度夜戦させてくれるって約束してくれるなら教えたげる」

川内「どう?」

川内「…うん!交渉成立だねっ!」

川内「それじゃあねえ、ええと…前職か…どこから話そうかな」

川内「ちなみに提督には何をやってたように見える?」

川内「…ニンジャ?ニンジャナンデ?」

川内「あー…まあ似たようなものかな」

川内「私の家はね、忍びの家系なの」

川内「…何が『アイエエエエエ!!』なのさ」

川内「まあいいや」

川内「でね、私は小さいころからいろんな訓練を受けたんだ」

川内「…いや忍者になるためってわけではないけど」

川内「まあともかく、いろいろなことを学んでね」

川内「投げナイフとか、音を立てない歩き方とか」

川内「柱に縛り付けられて、『関節外して抜け出さないと死ぬぞ』って言われたり」

川内「世間一般だったら虐待だよ、虐待!」

川内「特に気にしてないけどね、そんな難しくなかったし」

川内「…関節?こうやって…よっと」ゴキッ

川内「…そんな感心されても困るんだけどなあ」ゴキッ

川内「とにかく、私はそういう時代錯誤チックなことを色々やらされたわけ」

川内「というのもね、実は日本には非公式の諜報機関があってね」

川内「…そりゃそうだよ。その事実を知ってるのは、職員以外には数えるほどしかいないもん」

川内「で、私が生まれた家はその機関のエージェントを育てる家の一つだったわけ」

川内「それで私もその機関のエージェントになるために育てられた、とこういうわけ」

川内「…うん、まあ信じないよね。わかってた」

川内「証拠って言われても…何すれば信じてくれるの?」

川内「今夜提督暗殺しに行こうか?」

川内「…冗談だってば、そんなおびえないでよ」

川内「…いやそんな『ドーモ、提督=サン』とか言わないよ…」

川内「というか何のネタ?それ」

川内「…ニンジャスレイヤーって…私駆逐されちゃってるじゃん」

川内「もう…続けるよ?」

川内「私が機関の諜報員になったのが13年前」

川内「艦娘ができる一年前だね」

川内「そのとき私は…ええと…11歳?かな?」

川内「いや、諜報員になるのは普通そのぐらいだよ」

川内「実際に諜報員になっても、最初はまだ訓練が続くから…」

川内「本格的にスパイ的な任務に就くのは16歳ぐらいかな?」

川内「私はちょっと早めに15歳で初任務やったけどね」

川内「…いや、さすがにそれは教えらんないかな」

川内「夜中に暗殺される覚悟があるなら教えてもいいけど…聞く?」

川内「…だから冗談だってば…っていうかさっきからその『アイエエエ!?』ってなんなの…」

川内「一応そのあとも任務をいろいろこなしてたんだけど」

川内「7年前に、ほら、あの事件があったじゃん」

川内「…そうそう、三・二六事件」

川内「あの時に、以後こういった事件が起こらないようにって謎の理論で」

川内「組織が改変されることになったんだよねー」

川内「で、そのときのエージェントは全員転属」

川内「早い話が、クビだったわけ」

川内「一応再就職先にいろいろな政府の機関が紹介されたんだけど」

川内「ほとんどの人が軍に入るか、それ関係の仕事につくかだったんじゃないかな」

川内「つい昨日まで闇夜に紛れて人殺しとかやってた人が、いきなりサラリーマンってわけにはいかないよね」

川内「それが6年前」

川内「で、私はその時艦娘になることを選んで」

川内「軽巡洋艦『川内』として、部下の前で『アイエエエ!?』とかいう提督の指揮下に入ることになったわけ」

川内「おしまい、と」ニコ

川内「…何その不満そうな顔!?」

川内「はあ!?シリアス展開!!?そんなもんないって!!」

川内「っていうか仕事が仕事なだけにあんまりしゃべれる情報がないんだって!」

川内「ああもう、だからその『ナンデ!?』っていうのやめてよ!!」

川内「もう怒った!!絶対今日暗殺する!頸動脈を切り裂いて殺してやるから!!」

川内「だから逃げるなあああああああああっ!!!!!」

川内「はあ、はあ…なんなのこの展開…」

川内「ええ?話せることだけでもいいからって?…もう、しょうがないなあ」

川内「いい?絶対に人に言っちゃだめだよ?」

川内「最悪提督の命が狙われるんだからね、絶対だよ?」

川内「んー…じゃあまず言えそうなことその一」

川内「32年前の事件について」

川内「32年前って何があったか知ってる?」

川内「…おお、当たってる。もしかして提督って成績良かった?」

川内「嘘嘘、冗談だってば」

川内「…え?私?」

川内「まあ一応諜報員だったからね、それなりに勉強はしたよ」

川内「…提督はどれだけ私のこと信用してないのさ…」

川内「…Sono rimasto deluso」

川内「…へえ…本当に提督って成績いいんだね」

川内「ちょっと見直した」

川内「ん?何の話だったっけ」

川内「…ああ、32年前の話か」


川内「…『海軍小隊逃亡事件』」


川内「海外で任務にあたっていた日本海軍の小隊が、任務放棄と逃亡を企てた」

川内「あわてて政府がとっつかまえに行ったんだけど、小隊は激しく抵抗」

川内「結局、全員が死亡したっていう事件」


川内「あれね、裏があるんだよ」

川内「その小隊に与えられていた任務は、機密書類の奪取」

川内「本来なら私たちみたいなエージェントが行くはずの任務だったんだけど」

川内「政府は『ある目的』のためにそれを海軍小隊に任せた」

川内「…やっぱり提督頭いいね、その通りだよ」


川内「機密書類を受け取った後、政府は小隊の隊員を皆殺しにしたんだ」

川内「口封じ、というのが一つ」

川内「それから『機密書類がなくなったことに日本は関係してませんよー』という対外アピールが二つ目の理由だろうね」

川内「…そんな怖い顔しないでよ、提督」

川内「『ありふれた』話だからさ、こんなの」

川内「…書類の内容?詳しくは知らないけど…」

川内「確か、半身不随の身体障害者の治療とかそんなの」

川内「書庫に書類の原本がないところを見るに、内容は嘘っぱちだったみたいだね」

すまん、ちょっといったん中断

10時前には再開する

すまん遅れた
再開する

川内「それから言えそうなことその二」

川内「7年前のクーデターで、国立研究所が襲われたの知ってる?」

川内「…あのときにね、艦娘化手術のデータの一部が奪われたんだ」

川内「まあそこの職員が研究してた内容はあくまで手術のさわりの部分で」

川内「流出しても問題はない程度のものだったらしいけど」

川内「結局そのデータは行方不明のまんま」

川内「今も見つかってないらしいよ」

川内「といっても、『元職員』に教えるわけはないしね」

川内「本当なのかは知らない」

川内「…ただ、これは私の思い違いかもしれないけど」


川内「南方棲戦姫とか、北方棲姫とか」

川内「いわゆる『高等深海棲艦』が出現したのは」



川内「ちょうど7年前、なんだよね」

川内「さっきも言ったけど、あくまで私の想像にすぎない」

川内「だからできればこの会話は、このあとなかったことにしてほしい」


川内「…私の、勝手な想像だけど」






川内「…海軍に、深海棲艦の内通者がいるかもしれない」




川 ☆ 内 ☆ 編 ☆ 完 ☆ 結

とりあえず今日の更新はここまで
明日は不知火編から入ろうと思います
そのあともう一回大和編その2を通ってから…という感じでしょうか

なんにせよネタのストックが今ので切れましたので
また設定の続きを考えないとです

明日は午前と午後の更新を予定してます

みなさま最後まで何卒よろしゅう
感想お待ちしております

なんにせよ楽しかったぞ、次も期待してる。が、この時期忙しいだろうから無理は禁物
せめて身体壊すなよ 乙

>>201 心配してくれてありがとう
どうせだから僕の現職を教えておく









大学受験生だ

ドーモ、読者=サン
>>1デス

午前中の更新は難しそうなので、1時過ぎ頃から更新を始めようと思います

それから受験についても暖かいレスありがとうございます
精一杯頑張ります

更新いくです


不知火「…前職?」

不知火「それを聞いてどうされるのですか?」

不知火「…とても指揮に活きるとは思えませんが」

不知火「どちらにせよ、その命令には従えません」

不知火「失礼します」

不知火「…まだ何か?」

不知火「…なぜ?それも答える必要はないかと思われますが」

不知火「ですから…はあ」

不知火「どうしていきなりそんなことを?」

不知火「…そう、ですか」

不知火「…それでも、お話しできません」

不知火「提督に…」

不知火「あなたに…軽蔑されたくありません」

すまん、今日は更新がゆっくりめになる
申し訳ぬ

不知火「…」

不知火「…信じて…いいのですね?」

不知火「…」

不知火「2つだけ…約束してください」

不知火「他のみんなには言わないこと」

不知火「それから…」

不知火「話が終わった後も…いままでどおり接すること」

不知火「守って…いただけますか」

不知火「…わかりました。お話ししましょう」

申し訳ない、やはり夜からの更新になりそうだ

何時になるかわからないので気長に待っててくれると嬉しい
ではいったん離脱

8時くらいから更新できそうです

よろしくお願いします

いくで

不知火「私の両親は、私が物心つく前に亡くなりました」

不知火「正確には、殺されました」

不知火「私が生まれる前、両親は大陸の旧日本領に住んでいました」

不知火「そこで、28年前に」

不知火「『トワイライト・レイン』の襲撃によって、両親は命を落としました」

不知火「…私が1歳のときの出来事です」

ミスった
一人称は私じゃないな
不知火だな

訂正お願いします

不知火「普通あの組織は襲撃に際して一人も生存者は出さないのが普通なのですが」

不知火「曰く、『眼光が鋭いから』という理由で不知火はその組織のボスに拾われ」

不知火「その後8年間にわたって戦闘訓練を受けることになりました」

不知火「同じように数人の少女が不知火と同じように組織に拾われ」

不知火「さまざまな訓練を受けていました」

不知火「ですから、厳密な意味での『職業』であれば…」

不知火「不知火の前職は…『少女兵』なんです」

不知火「…いえ、大丈夫です。続けます」

不知火「不知火は組織のボスにありとあらゆる戦闘技術を叩き込まれました」

不知火「射撃、近接格闘、集団戦術、ほかにもいろいろ」

不知火「…不知火には組織以外何もありませんでした」

不知火「家族も、生まれるということも、平穏という言葉も」

不知火「そんな言葉の存在すら知らずに生きていたのです」

不知火「…それが不知火にとっての『当たり前』だったのですから」

不知火「不知火が初めて戦闘に参加したのは22年前」

不知火「7歳の時でした」

不知火「襲撃目標はとある化学工場で」

不知火「武器の製造に使う薬品が必要だということで、作戦がたてられました」

不知火「不知火の役割は陽動」

不知火「迷子になったふりをして警備員に近づき」

不知火「殺せ、と」

不知火「その日の目的はあくまで薬品の奪取でしたから」

不知火「あまり大きな騒ぎにしてはいけなかった」

不知火「そのため、不知火たち少女兵が駆り出されたのです」

不知火「…完璧な任務だったぞ、と」

不知火「任務のあと、初めてボスがほめてくれて」

不知火「…嬉しかったのを、覚えています」

ちとフンバルトデルベン
10分ほど休憩

不知火「結局不知火はは組織が壊滅するまでずっと」

不知火「組織の少女兵として殺戮を繰り返しました」

不知火「もう…殺した人間の数の桁数すらわかりません」

不知火「命じられるままに、殺して、殺して、殺して」

不知火「それが悪いことなのだと全く知らないまま」

不知火「不知火の手には、少しずつ血がしみ込んでいきました」

不知火「死ぬまで負いつづけなければならない、不知火の罪です」

不知火「20年前、組織は5国連合軍の攻撃により壊滅しました」

不知火「…ご存知だと思いますが」

不知火「その総攻撃の直前、不知火は突然組織を追放されたのです」

不知火「戦闘準備を整えている間に、突然銃を突き付けられ」

不知火「『足手まといだ』と、ほぼすべての少女兵が追放されました」

不知火「不知火は最後まで戦わせてほしいと頼み込んだのですが、聞き入れてもらえず」

不知火「…結局、組織の攻撃で壊滅した街に置き去りにされた」

不知火「どうして、どうしてとうわごとを呟きながら」

不知火「半ば意識を失った状態で不知火は保護されました」

不知火「その後簡単な尋問が行われたのですが」

不知火「なにぶん『人を殺す』ということの意味すら分かっていない状態でしたので」

不知火「当然組織の活動について事細かに話すこともできず」

不知火「少女兵はほぼ全員政府が直接運営する特殊な孤児院に入れられました」

親の友人の方から激励の電話が来た
泣きたい

投下つづける


不知火「不知火はそこで4年間をかけてすべてを学びなおし」

不知火「何とか中学校から学校に通い始めました」

不知火「それが…16年前ですね」

不知火「それから4年たったある日、艦娘が開発されました」

不知火「不知火はその日限りで学校をやめ」

不知火「艦娘となることを決めました」


不知火「きっと、全てがリセットされたわけではなかったのでしょう」

不知火「9歳から16歳になるまでの8年間をかけて、『人間』になろうとしても」

不知火「…この心のどこかに、『兵士』としての、『兵器』としての」

不知火「自分自身が、残っていたのです」

不知火「…体が勝手に戦いを求めたのです」

不知火「…疼くのです」

不知火「艦娘化手術の話を聞いたときは驚きました」

不知火「本当に『兵器』になれる」

不知火「ただただ戦うためだけの存在になれる」

不知火「私がそれまでの人生で唯一見つけた」

不知火「不知火の『生きるための資格』を手に入れることができる」

不知火「そう、思ったのです」

不知火「…まあ、結局ほとんど人間と変わらない存在になってしまいましたが」

不知火「その後不知火は12年間」

不知火「この鎮守府で艦娘として働いています」

不知火「その間2人の司令官の指揮下につき」

不知火「多少なりとも『兵器』としての自我は薄れつつ」

不知火「姉妹たちと穏やかな生活が送れるほどには『人間らしく』なって」

不知火「いま、司令の目の前に立っています」

不知火「…話は以上です、お役にたったでしょうか」

不知火「…質問ですか?なんでしょう」

不知火「前の司令…ですか?」

不知火「たしか、5年前に退任と同時に退役されたはずです」

不知火「誰もいない山奥で一人で暮らすんだとおっしゃってましたが」

不知火「…いえ、その後は一度も会ったことは」

不知火「家族…ですか?さあ…不知火はそういったことは存じ上げません」

不知火「なにぶんそういったことに興味がない時代でしたので…」

不知火「お役に立てず、すみません」

不知火「…クーデター?首都から離れたこの場所に被害が及ぶはずがないでしょう」

不知火「いえ…別にそういうわけではありませんが」

不知火「…組織のボス?」

不知火「どんな方、と言われても…金髪のクセっ毛の…」

不知火「…む…大きな方でしたけど」

不知火「…なんでしょう、不知火に落ち度でも?」ヌイッ

不知火「年齢は…30代後半ほどでしょうか」

不知火「はっきりとはわかりかねます」

不知火「…元日本軍士官だったと聞いていますが」

不知火「これも事実かどうかは存じ上げません」

不知火「それから…その」

不知火「組織はどうやら新しい武器を作る研究もしていたようで」

不知火「研究員の方がおっしゃっていたことには、ですね」


不知火「自立歩行砲のようなものをつくろうとしている、と」

不知火「いうことだったんだそうですが」

不知火「…あの、司令官」

不知火「不知火はあまり学がなく、高い語彙力ももちませんので」

不知火「司令に誤解を与えるような表現しかできないことを先に断っておきます」


不知火「…一度だけ、その自立歩行法のプロトタイプを見たことがありまして」


不知火「その…」


不知火「その姿が…」







不知火「…そっくりだったんです」



不知火「駆逐…イ級に」




以上で不知火編おしまいです

表記ゆれ万歳

正直不知火の口調がはっきり頭の中にインプットされておらず
そのためこのような見苦しい文章になってしまいました

申し訳ない

この後30分ほどしてから、予定を変更して『提督の手記編』をお送りします
今日中にすべて終わるかわかりませんが、行けるところまで行きたいと思います
年内には終わらせる予定です

ではいったん更新中断

ではそろそろ投下します
今から投下するのは、本編というより補足編といったかんじで
このSSの中で出てきた伏線をある程度回収するためのものです

ですのでわかってる方には面白くもなんともない話となりますが
どうかひとつお付き合いいただければ幸いです

『年代ごとのまとめ』

『テロ組織の成立および海軍小隊逃亡事件:30年ほど前』

『深海棲艦の出現、テロ組織の壊滅:20年ほど前』

『首都襲撃事件:17年ほど前』

『※このころから急速に統率がとれ始める』

『三・二六事件および高等深海棲艦の出現:7年前』

『深海棲艦とテロ組織の関与の可能性高し』

『海軍小隊逃亡事件…目的は書類奪取(脊髄の再生関係の研究?)』

『公式記録では小隊は全員死亡(?)』

『テロ組織…目的は?』

『明らかに日本に対して攻撃的』

『事件との関係?』

『木曾「破壊と略奪が目的」←本当か?』

『調査必須』

『組織壊滅後ボスは?』

『公式では死亡(?)』

『前提督の恋人との類似点多し』

『同一人物?なぜテロ組織に?』

『赤城…目がいい←本当か?←本当だった』

『クーデター…海軍青年将校だけでは起こせない』

『何者かの手引き?』

『将官クラス関与か』

『深海棲艦…元ヒト?』

『不知火が見た自立砲台との関連性』

『クーデターで奪われたデータ』

『誰が、何のために』

『海軍に内通者?』

『ヌイッ』

『前提督に話を聞く』

『本部に問い合わせること』


『事情聴取内容』

『恋人は何者か?』

『クーデターについて』

『海軍逃亡事件について』

『早めに確認する』

『本部に連絡』

『本部曰く管轄違い』

『めんどくさい』

『退役軍人協会に連絡』

『確認』


『5年前に退役、■■■■元中将』

『現住…』

『聴取不可』





『■■■■中将は、退役後現在に至るまで行方不明』



はい、以上で情報整理コーナー『提督の手記』は終了です

あとは■■編、解決編、およびエピローグを残すのみとなりました
ここまで読んでくださった方ありがとうございました

何とか明日中には終わらせようと思います
最後までよろしくお願いします

では本日の投下はここまで
例によって感想意見批判非難罵詈雑言お待ちしております

それから、できればこのSSをSSまとめ速報に掲載していただきたいのだが
どうすれば掲載していただけるのだろうか?

やはりまとめサイトしか見ない人からの評価もぜひ聞きたい

もし何か知ってる人がいたら教えてほしい

じゃあまた明日 ノシ

みなさんおはよう >>1です

今日は大みそかだということにさっき気が付きまして
何とか午前午後使って早めに終わらせたいと思います

最後の更新となります
みなさんどうぞよろしく

最初の更新は10時位を予定しています

すまない、急に家族で出かける用事が出来てしまった

午後に一気に書き上げる

5時くらいから更新します
コロコロいうことが変わってすまない

投下します

■■「…前職?」

■■「なんでそんなこと聞くの?」

■■「…ふーん」

■■「…別に面白く…」

■■「…そっか」

■■「…じゃあ、教えたげる」

■■「でも、ほかの人に話しちゃだめだから」





■■「それだけは、守ってほしいっぽい?」




■■「えと…どこから話せばいいのかな?」

■■「といっても、そんな大した話じゃなくて」

■■「私の両親と私は、昔東南アジアのとある島にすんでたっぽい」

■■「で、17年前にそこが深海棲艦に襲われて」

■■「私は生き残ったんだけど、両親は殺されて」

■■「それで私は復讐を誓うために艦娘になったっぽい」

■■「…うん、おしまい」


■■「…艦娘になったのはいつかって?」


■■「えーっと…初めて艦娘ができた年にはもう志願したから」



■■「15年前、っぽい!!」

■■「…?なんで疑ってるっぽい?」

■■「ううん、15年ま…」

■■「…あ、はは、間違えたっぽい」

■■「12年前だった…っぽい」

■■「ほ、ほんとに、12年、まえ」

■■「…あう…」

■■「…ごめ、んなさい」


■■「…うん、15年前」

■■「私が…艦娘になったのは」

■■「15年前で、あってるっぽい」


■■「嘘、ついて、ごめんなさい」

■■「…私、親がいないっぽい」

■■「ううん、えっと…なんていえばいいのかわからないけど」

■■「私は私だけど、ほかの私もいっぱいいるっていうか」

■■「…いたって、いうか」

■■「…私、本名がないっぽい」

■■「ずっと…番号で呼ばれてたから」

■■「私は17年前、非公式の国立研究機関で生まれたっぽい」

■■「被験体番号、■■■■番」


■■「私は…とあるテロリストの」


■■「…クローン、なの」

■■「…そのテロリストは、昔大陸にあったテロ組織『トワイライト・レイン』のボスで」

■■「とても高い戦闘能力を持つ元日本兵だったらしいっぽい」

■■「政府はその戦闘能力の高さに目をつけて」

■■「なんとかその力を軍事転用できないかと考えたっぽい」

■■「ただ、そのテロリストはあまりに政府に対して反抗心を抱きすぎていて」

■■「とてもじゃないけど日本兵として運用することはできなかった」

■■「だから、その政府はクローンを作ることにしたっぽい」

クローンって事は元の人もぽいぽい言ってたのか

■■「そのテロリストは30年くらい前に政府を裏切って」

■■「テロ組織を作って日本を攻撃し始めたって聞いてるっぽい」

■■「…何があったのかは知らないけど」

■■「で、20年前に組織は壊滅して」

■■「ボスは捕えられた」

■■「そのあと、そのボスをオリジナルとして」

■■「■■■■■体ぐらいのクローンが作られたらしいっぽい」



>>271 ■■「ぽいぽい言うのは研究所の職員さんの口癖だったのを真似してるだけっぽい」

■■「もともとの目的は優秀な兵士の量産」

■■「いろんな訓練をやって、『間引き』して」

■■「それで生き残った子だけが兵士となって」

■■「…っていう話だったんだけど、うまくいかなくて」

■■「17年前に、そのテロリストが収容施設から脱走したっぽい」

■■「それで、いったんクローン大作戦は中止」

■■「そのあと深海棲艦首都襲撃事件が起きて」

■■「政府は『艦娘』の開発に乗り出した」

■■「そのためにはどうしても比較実験をいろいろする必要があって」

■■「同じ理由で、『同じDNAを持つモルモット』が必要だったっぽい」

■■「…うん、そう」

■■「私たちが、実験体になったっぽい」

■■「艦娘になるのは何が必要か知ってるっぽい?」

■■「…そう、『似た脊髄』」

■■「でも、私たちには『同じ脊髄』があったから」

■■「外側を作ることは簡単にできたっぽい」

■■「でも、内側がどうしてもうまくできなくて」

■■「心が壊れたり、機械の内臓がうまく動かなかったり」

■■「…暴走したり」

■■「結局試行錯誤を繰り返して最初にできたのが」

■■「…『この』私だったっぽい」

■■「それが、15年前」

■■「そこから3年間、実験とか訓練とかいろいろやって」

■■「12年前に、艦隊に着任したっぽい」

■■「…てーとくさん」

■■「私のこと、嫌いになった?」

■■「…うん」

■■「…そっか」

■■「ありがとう、てーとくさん」

■■「…うん、質問?いいよ」

■■「…ううん、あったことはないっぽい」

■■「『オリジナル』との接触は一切許可されてなかったから」

■■「脱走したときに何人かの私が動員されたらしいけど」

■■「全員、死んじゃったっぽい」

■■「…ううん、それも知らないっぽい」

■■「一応私はちょっとだけ特別な権限を持ってるから」

■■「海軍の情報局にアクセスできるんだけど」

■■「そこにのってる情報にも、まだ見つかったとは書いてないっぽい」

■■「たぶん本当に、行方不明のまま」

■■「…前のてーとくさん?うん、知ってる」

■■「優しい人だったっぽい」

■■「『まるで娘のようだ』って、いつもナデナデしてくれたから」

■■「私も前のてーとくさんのことは好きだったっぽい」

■■「あ、もちろん今のてーとくさんもだいすきっぽい!」

■■「…家族?いないって聞いてたっぽい」

■■「…ううん、5年前に軍をやめちゃってから一度も会ってないっぽい」

■■「もういっかい会いたいなあ…

■■「質問はこれでおしまいっぽい?」

■■「…うん、いいけど…」

■■「なんか…提督さん顔色わるいっぽい」

■■「だいじょうぶ?」

■■「…わかったっぽい」

■■「それじゃあ、私は部屋にもどるっぽい」

■■「これからもよろしくね、てーとくさん」

■■「…ん?なあに?」

■■「7年前…ちょっと覚えてないっぽい」

■■「んー…んんー…あ!」

■■「そういえば、若い軍人さんが何度か遊びに来てたっぽい」

■■「えっとね、えっとね…」

■■「…あんまり覚えてないけど、たしか」







■■「今の政治体制がどうとか、言ってたような…」





はい、夕立編はこれでおしまいです
お疲れ様でした

以上ですべての「問題編」が終了となります

あとは、再び『提督の手記』の形をとった解決編とエピローグを残すのみです
このまま一気に投下しますので、どうかお付き合いいただければ幸いです

と思ったがいったん離脱します

夕飯の時間でした
申し訳ない

再開はちょっと遅れるかもしれませんが
今年中には終わらせるつもりです

ではいったん離脱します

投下します

解答編か
ついでに>>16の元ネタ
「中央ブリーフ連盟」タモリのボキャブラ天国のネタより
「もっともっとメイドラブ隊」ラノベのまぶらほのMMM(もっともっとメイドさん)より
「死んだ魚でレスリング協会」ラノベの魔術師オーフェン無謀編に出てきた団体

『私は全てを理解した』

『過去に何があったのか、それが現在にどう影響しているのか』

『そのすべてを、私は望まない形で理解してしまった』

『誰かが望んだ事実、そして誰もが望まなかった真実』

『いつからこうなることが決まっていたのか』

『それは私にもわからない』

『以下に私が書き連ねるのは、数人の艦娘の証言と海軍司令部にある機密情報の一部をもとに』

『私が組み立てた答えである』

『それが正しいという証拠はどこにもない』

『だが、私はそれが正しいという根拠のない確信を抱いている』

『耳をふさぐな、目をそらすな』

『それが、悲劇の真相だ』

『かつて海軍に世界最強の兵士と謳われた女兵士がいた』

『名は■■■■、最終階級は中尉』

『■■■■年より■■年間、海軍に在籍』

『■■年前から海軍第■師団第■小隊の隊長を務めた』

『また、■■年ごろから当時士官候補生だった■■■■元中将と交際を始める』

『周囲には秘密にしていた模様』




>>287 そうなのか
知っておいて損はないな、覚えておく

『35年前、元■■■■■■■■大学教授の■■■■博士が』

『脊髄の金属化によるサイバネティクス・オーガニズムについての論文を発表』

『その後、研究は進展していないと公的には発表されていたが』

『実際には■■■■研究所で研究は続けられており』

『事実上の人間兵器の開発が進められていた』

『日本政府はその奪取を試み』

『32年前に、海軍第■師団第■小隊に研究所の襲撃と書類の奪取を命令』

『■■■■元隊長は■名の部下とともに作戦を遂行』

『一人の犠牲者を出すこともなく任務を達成した』

『なおこの命令は公的には別の名目で発表されており』

『真実を知るのは政府上層部と軍上層部のみであったと推定される』

『しかし任務達成後、政府は海軍第■師団第■小隊の抹殺を命じた』

『この時■■■■元隊長を除き、部下は全員死亡』

『■■■■元隊長は目的の書類を持ったまま、大陸の旧日本領に逃げ込んだとみられる』

『この事件を機に■■■■元隊長は日本という国家に対して非常に深い憎しみを抱き』

『これがのちに、テロ組織『トワイライト・レイン』の発足につながる』

『この組織はのちに元指名手配犯の■■■■■氏らによる武器提供などを受け』

『巨大な勢力へと発展していった』

『またこの間、■■■■元隊長は■■■■博士の論文やデータをもとに』

『自立歩行が可能な武器の開発に着手』

『これがのちに深海棲艦の低級駆逐艦へとつながってゆく』

『ただしこの兵器の開発には、とある元研究員からもたらされた『免疫寛容』という考え方は使われていない』

『そのため具体的にどのような原理を用いて兵器開発を行っていたのかは不明』

『さらに組織壊滅前には低級人型の深海棲艦の開発にも成功していた様子』

『ただし、当時は深海棲艦という呼称は存在しなかったものとされる』

『政府は20年前にはすでに■■■■元隊長と組織との関連性を推察、もしくは看破』

『同盟国との連合軍で組織に攻撃を加え』

『その混乱に乗じて■■■■元隊長の身柄を拘束』

『組織は壊滅状態となり、今に至るまで再度組織の再結成は確認されていない』

『また、この時組織が研究に使っていた建物から一部の自立歩行兵器が脱走』

『海に逃げた個体が『深海棲艦』となる』

『それに伴い、深海棲艦による一般人への被害が発生し始める』

『政府はもともと32年前に■■■■元隊長の身柄を拘束し、実験材料として使用する予定だった』

『しかし■■■■元隊長が逃亡したため、計画は頓挫』

『20年前に再拘束する運びとなった』

『しかしあまりに政府に対する反抗心が強かったため、政府は実験材料としての使用をあきらめ』

『クローンを製作することでそれに変えようとした』

『また、■■■■元隊長が容姿端麗であったことから政府はクローンを『秘匿収入源』として』

『その一部を海外の買い手に嗜好品として売りつけた模様』

『ただしその際政府は露見を恐れて全ての個体にアポトーシス遺伝子を組み込んだため』

『現在はそのすべてが死亡していると予測される』

『しかし17年前、実験の影響で右手や左目の眼球など身体欠損が著しい状態でありながら■■■■元隊長は逃亡』

『以下は私の推測となるが』

『おそらく■■■■元隊長は何らかの手段を用いて自らを深海棲艦化』

『深海棲艦の指揮をとるようになったと思われる』

『その結果、これ以後深海棲艦に組織的な動きがみられるようになり』

『首都襲撃事件が発生したものとみられる』

『なお、これは組織の研究施設から回収された文書に』

『『全ての自立歩行砲台には同志■■■■に絶対服従する暗示が施してある』と書かれていたことから』

『十二分に信頼性の高い仮説であると考える』

『その後、15年前に■■■■元隊長のクローンを用いて』

『『対深海棲艦人体武装融合型サイバネティクス・オーガニズム』、いわゆる艦娘の最初の成功例として』

『駆逐艦『夕立』が作られた』

『その後試験運用及び耐久実験を経て12年前に艦娘の一般公募を開始』

『現在に至るまで、適応者の発見と素材の回収が続けられている』

『政府はこの艦娘によって構成された艦隊の最初の指揮官として』

『■■■■元隊長のかつての恋人であった■■■■元中将を任命』

『その交際は親しい間柄であった友人数名しか知らないことから』

『政府は二人の関係を知らずに任命したと推測される』

『その後、■■■■元中将は10年にわたって艦隊の指揮をとることとなるが』

『着任してから6年後、9年前に突如として■■■■元隊長にまつわるすべての事実を把握』

『おそらく■■■■元隊長自身による接触があったとみられる』

『■■■■元中将はこれを機に一転して政府に対し憎悪を抱くようになり』

『7年前の三・二六事件を扇動』

『戦艦大和の兄も含め、多数の犠牲者を出しながら』

『■■■■元中将は目的の論文およびデータを研究所から奪取』

『そのデータは■■■■元隊長の手にわたり』

『おそらくその中の『免疫寛容』についてのデータを利用して』

『■■■■元隊長は高等人型の深海棲艦の開発に成功』

『現在に至っていると考えられる』

『以上が私の、過去に起こったすべての悲劇についての考察である』

『現在、様々な艦の特徴を兼ね備えた下級深海棲艦なども発見されていることから』

『深海棲艦はいまだ発展段階にあると考えられ』

『一層の警戒が必要である』

『ただし、上の考察が正しいとすれば』

『深海棲艦の■■■■元隊長に対する服従は解除することが可能であり』

『それどころか人間に対して服従させることも可能であるかもしれない』

『これはあくまでまだ想像でしかないが』

『この方法がうまくいったならば、確実にこれ以上の戦いを抑えることが可能であり』

『艦娘を通常の人間に戻すための研究を始められるようになるかもしれない』




『それが絶望に満ちたこの真実の』






『最後の希望となることを、願ってやまない』






エピローグ


■■「…ほお」ペラッ

■■「何を読んでいるのかしら?」

■■「いや、この前強襲した鎮守府の提督の手記が残っててな…見てみるといい」

■■「ん?どれどれ…あら、ほとんど正解じゃない!よくここまでわかったわね、この人」

■■「しかも深海棲艦に対する対処法まで導き出している。ほら、ここだ」ペラ

■■「…本当にすごい推察力ね…警察にでもなったほうがよかったんじゃない?」

■■「まったくだな、殺すには惜しい男だったかもしれん」ハハハ

■■「楽シソウダナ、何ノ話ダ?」

■■「あら、レ級。これ読んでみて」

■■「ウーン…良ク分カラン」

■■「はっはっは、それもそうだろう。ほらレ級おやつだ、みんなと食べてきなさい」

■■「本当カ!?コレ食ッテイイノカ!!?」

■■「ああ、どうせ沈めた輸送船から回収した鋼材だ。そんなに質もよくない」

■■「ヤッタ!!サンキューテートク!!」


バタバタ コレモラッタゼ!!
マジカ!! レキュウアイシテルゼ!!!
フフフ、モットオレニタヨッテイインダゼ!!


■■「…子供は無邪気だなあ」

■■「あれで最強の深海棲艦の一人っていうんだから…人は見かけによらないものね」

■■「沈んだ艦娘を素材にしてればそりゃつよくもなるさ」

■■「それにしても、あなたあの鎮守府を襲うことに抵抗はなかったの?あなた、前はあそこの提督だったんでしょ?」

■■「…まあなくはなかったが、単に元職場が襲う対象の一つだったというだけの話だ。ほかの鎮守府と変わらん」

■■「へえ…まあ昔からあなたは変にストイックなところがあったものね」

■■「はは…ん?それはほめ言葉か?」

■■「ええ、もちろんよ」ニコッ

■■「う、うむ…まあいいか」

■■「それよりも、今の会話であなたの前職が気になったわあ。私と別れてからのこと、詳しく教えてよ」

■■「前職?そんなこと聞いてどうするんだ」

■■「えーっと、ほら、指揮に活かせそうじゃない?」

■■「どうせ興味があるだけだろまったく…まあいい、話してやろう」

■■「やったー!!」ピョンピョン

■■「うーむ…そうだなあ…前職か…」









■■「…どこから話せばいいかねえ」







終わったああああああああああああああ
まさか年内に終えることができるとは・・・応援してくれたみんなほんとうにありがとう

あと少しだけSSとは関係ないけど話したいことがあるので
聞いてくれるとうれしい

僕の祖父の弟さんは、旧日本海軍のパイロットだった

真珠湾攻撃の時は正規空母のパイロットの一人として戦ったそうだ
その時の年齢が20ちょい
すごく強いパイロットだったと聞いている

(ちなみに戦後佐藤栄作総理大臣から表彰状をいただいている。本人は戦死してるから代理で祖父が受け取ったらしい)

後に南のほうの島の基地(情報統制のせいで今でもその場所ははっきりとは分からない)に転属して
終戦間近には特攻隊の護衛機として戦っていたらしい

終戦の三週間ほど前のある日、その日に護衛を担当するはずだった同僚がエンジンの不調で飛べず
「じゃあ俺が代わりに行ってやるよ」となんでもない風に言って代わりに護衛を担当

その日に撃墜され、彼は戦死したらしい
享年は25かそこらだった、彼の墓に刻まれている

このSSとは直接関係ないけど、この年越し、みんなにも戦争ということの意味を考えてほしい

いいとか悪いとかじゃなく、戦争って結局なんなんだということを
損得勘定じゃなく、正義とか悪とかでもなく、一切の価値観を捨てて考えてみてほしい

俺は将来医師になりたいと思っているが、命に向き合ううえで戦争について考えることは避けては通れないと思っている
だから俺はよくこのことについて考える

未だに答えは影も形もつかめてこない

俺はまだ高校3年生で、人生のひよっこで、そんなこと考えても俺には分からないかもしれないが
それでもやはり考え続けなければならないことだと思う

人間は、戦争とともに発展してきたんだ


別に答えを出すとか自分なりの考えを持つとかじゃなくて
ただ考えること、それだけ

偉そうな文章になってしまって申し訳ない

以上で言いたいことは全部です

伏線とか書き方とか慣れないなりにがんばってみたがいかがだっただろうか
また感想を聞かせてくれると嬉しい

学生のみなさん、冬休み明けもがんばりましょう
受験生の皆さん、ともに最高の春を迎えましょう
社会人の皆さん、また一年全力で過ごしましょう

俺のつたない初SSを支援してくれた皆さんにとって
来年が良い年でありますように

それではみなさんよいお年を

さようなら ノシ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月01日 (木) 15:32:55   ID: gBDTfPNW

おい、人間が喋れるのはどんな天才でも4歳からだ。(明石編

2 :  SS好きの774さん   2015年02月07日 (土) 12:01:31   ID: cw59rVPZ

二歳からだよ

3 :  SS好きの774さん   2017年04月10日 (月) 00:29:32   ID: p2P-O6Pf

少女兵とか、日本海軍で師団とか

お話的には面白いので、頑張って欲しいすねぇ

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