狐娘「おかえりなさい」(101)

男「ただいまー」

男「…」

男「…え?」

狐娘「もふーん」

男「」

男「いやいやいや、え?てか何だその謎のポーズやめ」

狐娘「ただいまなさい」

男「ただいまってお前…」ポカン

狐娘「えへ」

男「…お、おかえり?」

狐娘「たいへんだったんですよ、もどってくるの」

男「…そっか」

狐娘「まいごにはなるし、おなかはすくし」

男「…」

狐娘「…男さん?」

男「あ…いや…」

男「お前が出てってから今日まで、ちょうど3年だなあって」

狐娘「おお、いわれてみれば」

男「…変わってねーな」

狐娘「ふふん」

男「…あ」

狐娘「?」

男「tシャツ」

狐娘「ぎく」

男「返せ」

狐娘「あれ?くれるんじゃなかったんですか?」

男「いっ て ない。返せ」

狐娘「いーじゃないですかしゃつのひとつやふたつ」

男「…まぁいいけどよ」

狐娘「やったー!」

男「…」

狐娘「…」

男「…ご、」

狐娘「はっはい!」

男「…何そんなびっくりしてんの」

狐娘「び、びっくりなんてしてません」

男「あっそう。ご飯くう?」

狐娘「くいます」

狐娘「あれがいいです、おにぎり」

男「そんなんでいいの?」

狐娘「いーんです。男さんつくれますか」

男「つくれるけど」

狐娘「…」ウロウロ

男「…」スタスタ

狐娘「…」テテテ

男「…あのさ」ピタ

狐娘「?」ピタ

男「…何でもない」

狐娘「…」ジー…

男「…」

男「…ほら」

狐娘「!」パアア

狐娘「おにぎり…!」キラキラ

男「食え」

狐娘「いただきまふ」モグ

狐娘「…」モグモグ

男「うまいか?」

狐娘「とっても!」モグモグ

狐娘「…」モグ

男「…」

男「…あのさ、聞いてもいいか」

狐娘「ふぇ?」

男「…いや、覚えてないならいいんだけど、…その、ほら」

狐娘「…」

男「別れ際のアレ」

狐娘「…う」

男「…」

狐娘「やっ、なんかあれはそのっ、わたしがいっぽーてきすぎたというか、あはっ」アタフタ

男「…はは」

狐娘「…おぼえてたんですね」カアア

男「…おう」カアア

狐娘「…その、わたしはいちおう、およめ…さんになるために、かえってきたというか」

狐娘「…おぼえててくれて、よかったです」

男「…」

狐娘「…あは」

男「…はは」

男「…いいの?」

狐娘「ぅ、はい…わたしは」

狐娘「…それでですね、いちおー、おとーさんとおかーさんにもいってきました」

男「…おう」

狐娘「…そしたらですね」

狐娘「めちゃくちゃおこられました」

男「おお…」

狐娘「…で、わたし、もうあっちにかえれないというか…おいだされたというか…」

男「…」

狐娘「…」チラッ

男「…いいよ、ここにいて」

狐娘「ありがとうございます」フカブカ

男「いえいえ。…で?」

狐娘「?」

男「…ずっといてくれんの?」

狐娘「はっ…ははははい、もちろん!もちろんです!」パアア

男「…そっか」

狐娘「…あい」カアア

狐娘「も、もうねましょう!そうしましょう!」

男「そ、そうだな。風呂入ってくる」

狐娘「おふろ!はいりたいです!」テテテッ

男(あれ何このデジャヴ感)

狐娘「?」

男(いや…もう俺たち結婚することになったんだし…いやちょっと待て、妖怪と結婚とかおかしいだろよく考えたら)

狐娘「男さーん」

男(いや、おとぎばなしではよくある…ねーよ、待てよ俺これは現実なのか?夢か?)

狐娘「男さんっ!」

男「うお」

狐娘「なにひとりででぶつぶついってるんですか」

男「あ、いや別になんでもない」

狐娘「じゃあさっさとはいりましょう」

男「お、おう」

狐娘「ひさしぶりですね!」

男「おう」

狐娘「せまいですね!」

男「…おう」

狐娘「またあれやりたいです、あわあわ」

男「おう」

狐娘「…さっきから男さんおうってしかいってないです」

男「おう」

狐娘「ほらー!」

男「…あのさ、お前もしかして」

狐娘「?」

男「心読めなくなった?」

狐娘「…よくわかりましたね」

男「いや、なんとなく。会話的に」

狐娘「すばらしいどうさつりょくですね」

男「どうも」

狐娘「いやー、どうやらそのようなんです」

男「まじか」

狐娘「なんかきゅうによめなくなっちゃったんですよ、かえったときから」

男「こっちからあっちに?」

狐娘「そうです」

狐娘「なんででしょうねー…ふべんです」

男「ふーん…いいんじゃねえの別に、それが普通だし」

狐娘「でもわかんないってこわいですよ」

男「へぇ」

狐娘「わたしはあまりたたかうのがとくいではないので、あいてのこころをよむことでみを守っていましたから」

狐娘「それができないとなると、ふべんですねぇ」

男「大丈夫だよ、これからは俺が守るから」

狐娘「…」

男「…」

狐娘「…ありがとうござい、ます」カアア



男(…やべぇ俺今結構恥ずかしいこと言った)カアア

男「なっ、なんかあっついな!あがるか!」ザバア

狐娘「そぉですね!もうきょうはねましょう!」ザパ


男「はは!」

狐娘「あは!」

狐娘(びっくりしました…男さんがあんなこというなんて)

狐娘(…でも、すごくうれしい…)



男(何言ってんだ俺…くせーよマジくせーよ…)

狐娘「では!おやしゅみなさいっ!」ビシィ

男「お、おう!」ビシッ

狐娘(かんじゃいました)

男(噛んだよな今)

狐娘「…」

男「…」

男「…なぁ」

狐娘「なっ、なんでしょう」

男「一人で寝るの?」

狐娘「あっ・・・えー、あついかなぁ、とおもって…」

男「別にあつくねーよ」

狐娘「ででででも…」

男「?」

狐娘「どっ、どきどきするのできょうはひとりでねます!おやすみなさい!」テテテッ

男「…」

男「…何だアイツ」




男「…」

男「…うー」ゴロ


狐娘「おきてください」

男「おぉわ!」ビクッ

男「なっなんで…あぁそうか昨日…」

狐娘「あさですよ」

男「はえーな」

狐娘「ばいと、いかなくていいんですか」

男「あー、今日休みの日だ」

狐娘「おやすみですか」

男「…あのさ」

狐娘「?」

男「なんかしたいことある?行きたいとことか…」

狐娘「いいんですか?」

男「おう」

狐娘「うーん、じゃあ、男さんといっしょにいたいです」

男「…うちに?」

狐娘「うちに」コクン

男「そんなんでいーの?」

狐娘「あい」コクン

男「…なにしようか」

狐娘「ねっころがって、おはなししましょう」

男「ん」ゴロ

狐娘「ふふ」コテ

狐娘「きょうはすずしいですね」

男「ああ」

狐娘「ねえ、男さん」

男「ん」

狐娘「これからは、いっしょにねます」

男「…おう」

狐娘「いっしゅうかんにいっかいは、ふたりでおふろにはいりましょう」

男「おう」

狐娘「また、あたまあらってくださいね」

男「おう」

狐娘「ばんごはんは、なるべくいっしょにたべたいです」

男「おう」

狐娘「男さん、さっきからおうってしかいってないです」

男「…おう」

狐娘「もー」

狐娘「それから、ひなたぼっこ、いっしょにしたいです」

男「おう」

狐娘「ねえ、男さん」

男「ん?」

狐娘「おなかがすきました」

男「…」

男「お前の胃袋どーなってんだよ」

狐娘「てへ」

男「おにぎりしか作れないぞ」

狐娘「わたしもやります」

男「おー」

狐娘「…ふふ」

狐娘「たのしいですね、男さん」

男「…ん」

狐娘「これからは、わたしもてつだいます」

男「…ありがと」

狐娘「あい」

狐娘「男さん、ごはんをたべたら、いっしょにおふろにはいりましょう」

男「おう」

狐娘「…てへへ」

狐娘「こんなもんでいいですか、男さん」

男「うん、うまいよ」

狐娘「えへ」

狐娘「では、いただきます」

男「いただきます」

狐娘「…」モグ

男「…」モグモグ

狐娘「…ちょっとしょっぱかったですね」

男「ううん、ちょうどいいよ」モグモグ

狐娘「これからはもっとがんばりますね」

男「おう」モグモグ



狐娘「…はー」

男「ごちそうさまでした」

狐娘「ごちそうさまでした」ペコ

男「…」

狐娘「おふろ、いきましょう」クイ

男「え、もう?」

狐娘「すきなんです、おふろ」

狐娘「また、あたまあらいっこしましょうね」

男「おう」

狐娘「ひさしぶりですね、ふふ」

男「おー」

狐娘「…もー」




狐娘「…ふー」チャプ

男「はー…」ザバ

狐娘「あたま、あらってください」クルッ

男「へいへい」

男「…おー、相変わらずもふもふだな」ワシャワシャ

狐娘「ふふん」

男「おー…」ワシャワシャ

狐娘「…」


狐娘「…男さん」

男「んー?」ワシャワシャ

狐娘「わたしは、ようかいです」

男「知ってるよ」ワシャワシャ

狐娘「それでも、好きになってくれて、うれしかったですよ」

男「…おう」ワシャワシャ

狐娘「わたしは、ようかいだから、にんげんよりもながいきです」

男「知ってるー」ワシャワシャ

狐娘「…男さん、わたしのこと好きですか」

男「なんだよいきなり」ワシャワシャ

狐娘「もうこころがよめなくなってしまったっていいましたよね」

男「そーいえばそうだったな」ワシャワシャ

狐娘「だから、男さんのくちからちゃんときかないとわかりません」

男「…」ワシャワシャ

男「…流すぞ」キュ

狐娘「…あい」

男「…」ザー



男「…好きだよ」ザー

狐娘「うわ、目に入りました」

男「…」ザー

狐娘「?」


男(聞こえてねぇ…)

男「…さっきいったからな」

狐娘「きこえませんでした、もういっかい」

男「暑いな、あがるか」

狐娘「もー!」

狐娘「ばかばかばか、たいみんぐがわるすぎです、もういっかい!」

男「ちゃんといったってば」

狐娘「むぐー…」

男「寝るぞ」

狐娘「…」テテテ

狐娘「男さん」

男「なに」

狐娘「おやすみなさい」

男「おやすみ」

狐娘「…」

男「…」

退院しますた
続けていいかな

狐娘「…男さん」

男「もう寝た」

狐娘「…うそはいけませんよ」

男「なに」

狐娘「えへへ」

男「…」

狐娘「わたし、いま、すっごくしあわせですよ、男さん」

男「…そっか」

狐娘「ぎゅってしてください」

男「ん」ギュ

狐娘「へへ」ギュッ

狐娘「ねえ、男さん、だいすきですよ」

男「うん」

狐娘「男さんは?」

男「すきだよ」

狐娘「どのくらい?」

男「んー…、こんくらい」

狐娘「じゃあ、わたしはもっとです。こんくらい」

男「じゃあ俺もそんくらい」

狐娘「おんなじですか」

男「おんなじくらいでいいだろ」

狐娘「ふふ、そうですね」

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