小日向美穂「お昼寝のお月様」 (34)
少し遅れてこひなたん誕生日ss
キャラ崩壊
混乱注意
万が一気分が悪くなったらブラウザバックでお願いします
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かちゃり
と小さな音を立てて仮眠室の扉が開きました
そこから覗いたのはふわっとした綿毛のような髪の小っちゃくてかわいい女の子
遊佐こずえ「ふわぁ...」
その瞳はいつもよりさらに眠そうで、
だからお昼寝に来たんだなぁ、と私は思いました
こずえちゃんは眠たくなるとよく眠っている誰かの毛布の中に潜り込むのです
この間も私が寝ている間に腕の中にちいさく収まってたんですよ
あの時はこずえちゃんがやわっこくて、
抱っこしてると幸せな気持ちになりました
あっ...!?自己紹介が遅れましたっ!
私、今回語り部に選ばれました!小日向美穂ですっ、よろしくお願いします!
今仮眠室にいるのは私とこずえちゃんだけ
こずえちゃんはよっぽど眠いのか私には気付きません
そのまま近くのベッドにかけられていた毛布のところに向かいました
毛布はポッコリ盛り上がっていて、まるで誰かが眠っているようです
もそもそとその端をめくると、
こずえちゃんは頭からもぐりこんでいきました
こずえちゃんって、毛布は頭からかぶるタイプ...?
私は壁にもたれて、ぬいぐるみを抱きしめました
真っ白な熊のぬいぐるみ、通称プロデューサーくん
裁縫に詳しいお友達のアドバイスもあって、抱き心地はいつもフッカフカ
どんなに疲れた時もこの子を抱いて眠れば次の日からまた頑張れちゃうんです
美穂「そろそろ明日のお仕事の予定を確認しとこうっと...」
私は腰かけていた壁際のベッドから腰を上げました、ぬいぐるみは今は置いていきます
隣の事務室にかかっている予定表をちらっと見るだけだし大丈夫だよね?
ガチャッ
美穂「こ、こんにちはー」
千川ちひろ「............」
美穂「ひゃっ...!?」
思わず悲鳴を上げそうになりました
でも、ちひろさんが鬼のような形相でパソコンの画面を凝視していたからって
そんなの失礼だよね?
美穂「すっ、すいません!...ちょ、ちょっと予定見に来ただけなので!すぐ退散しますね!」
たたっと壁際のホワイトボードに駆け寄りました
美穂「......あれ?」
なんでしょう、
ホワイトボードが読めません
いろんな子の予定がびっしり書き込まれてはいるのですがどれも文字がかすれて...?
と思っていたら私の隣で同じようにボードを見上げている方がいました
新田美波「...え~っと」
美穂「あっ、美波さん おはようございます」
日野茜「おはようございますっ!!今日もいい天気ですね!」
美波「わっ、おはようございます」
美波さんと茜さんです
美穂「あの、だれか、明日の仕事ってわかります?」
茜「いやー!3周年記念イベントもついに明日ですね!」
美穂「3周年記念...あっ、そうだ!確かプロデューサーから伝えられてたよね?」
美波「そうですね、ドレスを着るなんて滅多にないからちょっとドキドキしてきちゃいました...」
美穂「確かちひろさんが言うには豪華な客船の上でパーティーでしたっけ?」
茜「他の方も来てみんなで一緒に立食パーティー!ううぅ~!、楽しみですね!!」
美波「うんっ、でも食べ過ぎちゃだめですよ?私たちはアイドルなんですから体調管理には気を付けないと」
美穂「そうだね、私もあんまりお昼寝しすぎないほうがいいのかなぁ...?」
茜「わかりましたっ!今日もいっぱい頑張って、いっぱい食べていっぱい寝て、明日もいっぱい食べます!」
美波「......あはは」
美穂「茜ちゃんは元気だね...」
美波「明日のパーティーの最中も何人かは撮影があるんだから、そのことを忘れちゃだめですよ?」
茜「はいっ!?撮影ですか...?うぅ、あの仕事はあまり動いてはいけませんので苦手です...」
美穂「私もカメラの前だと緊張しちゃうから苦手だなぁ...」
美波「撮影の中心メンバーとなるのは予定だと私と茜ちゃん、あと美穂ちゃんだよ」
美穂「そっ、そうなんですか!?あわわ...今から緊張してきたよぅ...今日ちゃんと眠れるかなぁ...」
茜「なるほどっ!!」
大人っぽくておしとやかな美波さんとある意味対照的な力強い返事が返ってきました
そのまま、ボードの前を脱兎のごとく飛び出していっちゃいました
茜「じゃあちょっと美穂さんにも教えてきますね!!!」
美波「えっ?」
美穂「えええっ!?」
茜ちゃんはそのまま事務室を飛び出していきました、女子寮にでも行っちゃうの!?
足音が遠ざかって、やがて聞こえなくなりました
美穂「あはは...茜ちゃんったら.....私はここにいるのに」
美波「茜ちゃん!?......あぁ、行っちゃいました」
美波さんは茜ちゃんを追いかけようとして手を伸ばしかけ、
さすがにあの速さに追いつかないと見たのかすぐに立ち止まりました
美波「もうっ、茜ちゃんったらあわてんぼなんですから...」
美穂「うぅん、でもあの勢いはすごいよね...私はいつも緊張しぃだから二の足を踏んじゃうもん」
美波「......美穂ちゃんには、プロデューサーが後からちゃんと説明するって言ってたのに......」
そういうと美波さんはすたすたとボードの近くを離れ、
事務室の近くに置かれたソファに腰かけ雑誌を読み始めました
美波「............」
ぺらり、ぺらりと紙の擦過音
カタカタとキーボードを叩く音
美穂「......?」
なんだろう、この違和感
美穂「あ、あのっ!」
美波「............」
ぺらり
美穂「...あの...美波さん?」
美波「......」
ぺらり
美穂「き、聞こえてますかー...」
ぺらり
美波さんは雑誌を読む手を遅らせません
そして返事もしてくれません...茜ちゃんがいた時とはまるで違う人間になったようで
なんだか怖くなってきました
カタカタ
美穂「あの~、ちひろさん、今大丈夫ですか......?」
ちひろ「............」
カタカタカタカタ
美穂「こ、小日向美穂ですっ!」
ちひろ「............あぁっ!!」
美穂「はいぃ!?」
ちひろ「こっ、こんなところに数値入力ミスがぁ!?」
美穂「はい...?」
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
美穂「ひぃ...」
画面上に並んだよくわからない表を見ていたちひろさんが急に猛然とタイピングを始めました
美穂「あわわ......」
さっきとは別の意味で激しくなったちひろさんの周りの空気にいたたまれなくなった私は、
そそくさと事務室を出ることにしました
最後にちらりとソファを振り返ります
美波「.........」
ぺらり
ちひろ「...!......!」
カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ
扉を半分あけた私に注視する人はいません...
私はそのまま事務室を出て仮眠室に戻ることにしました
美穂「そうだ...やっとわかった」
よく思い返せばさっきボードの前で話していたときから違和感はあった
さっきのやり取りを思い出す、
言葉の交差を、
会話のキャッチボールを
美穂「.........」
茜ちゃんも美波さんにしか喋りかけていなかったし
あのとき美波さんは茜ちゃんにしか返事をしていなかった...?
私はあの場で会話の輪に入れていなかったんだ...
美穂「なんだかおかしいなぁ...」
仮眠室に行く途中で廊下に設置されていた自販機でコーヒーを買いました
もちろんお砂糖のたっぷり入った甘い味のコーヒーですよ?
私にはまだ大人の味は早いみたいなので...
がちゃり
仮眠室のドアを開ける
美穂「こずえちゃんは...うん、起きてないね」
目の前のベッドでは丸まった毛布と白っぽい、もこ毛
美穂「......んん?」
だけどなんだか部屋の様子が変わってる、間違い探しの片方の絵だけ見せられたような
だけど部屋中をくるっと見回してやっとわかりました
美穂「プロデューサーくんが...いない!?」
さっきまで自分が腰掛けていたベッドの下を覗きます
あわわ、結構ホコリ積もってるぅ...
足音を立ててこずえちゃんを起こさないように仮眠室を一周しました
最後にこずえちゃんの寝ているベッドに立ち止まりました
美穂「こずえちゃんを疑うわけじゃないけど...」
毛布の端っこをちょこんとつまんで持ち上げる
細っこい背中、お馴染みのもこもこの髪が見えました
美穂「そーっと...そーっと」
こずえちゃんの寝ている毛布の中を注視します
美穂「ホントにあった...」
こずえちゃんが何かをぎゅっと抱きしめています
それは真っ白な色をしていました。はい、どうみても私のぬいぐるみです
美穂「えっと、これ...無理やり引っ張るのもねぇ...」
ここは一回時間を置くとして、毛布をかけ直そうと少しだけ捲り上げました
美穂「あれ?」
”こずえちゃんは眠たくなるとよく眠っている誰かの毛布の中に潜り込むのです”
毛布の中にいたのはこずえちゃんだけではありませんでした
もちろんプロデューサーくんのことではありません
”今仮眠室にいるのはは私とこずえちゃんだけ”
私の白いぬいぐるみをこずえちゃんとは反対側から抱きしめるようにして...
こずえ「...すぅー......すぅー......」
みほ「...くぅ......くぅ......」
美穂「はい...?」
私と同じ髪型で
私と同じ洋服で
私と同じ寝姿で
小日向美穂がそこにいました
みほ「......んん......えへへ」
美穂「......」
こずえちゃんと一緒に気持ちよさそうにぬいぐるみに頬をこすりつけ
その寝顔はいつか見せてもらった私の寝顔写メと瓜二つ
困惑すると同時に私の中では一つの解答が出ていました
美穂「あぁ、これ夢なんだ」
って、
美穂「えええぇえっ!?!?」
みほ「!......んんっ」
こずえ「くぅー...くぅー」
思わず叫んじゃいました!!
でも納得できるものはできるんです!
美波さんやちひろさん茜ちゃんが私を無視したような振る舞いだったのも「これが夢だから」で説明が付いちゃいます!
でっでもでも、待ってください!
私は仮眠室の中でわちゃわちゃと手を振りました
さっきの大声のせいでこずえちゃんと一緒にいる方の「美穂」が起きちゃいそうです
これは「私が寝ている自分自身を見ている夢」なんですか?
それとも...このまえ小梅ちゃんが言ってた「幽体離脱」ってものなんですかっ?
じゃあこずえちゃんは現実の私の毛布に潜り込んで、美波さん達は私が見えてなくて...
みほ「ん...ん?なぁにぃ...?」
美穂「あれっ?」
もう一人の私が目を覚ましました、とろんとした瞳がどこともなく宙をさまよって
あれ、幽体離脱じゃない?
ということは、これは「眠りから覚めた私を眺めている夢」で...?
でも夢だったら美波さんやこずえちゃんたちが私を無視するのは、そのなんていうか
夢としてはなんだかとっても不自然に思えるから、あっちは現実だとして、こっちは夢で...?
みほ「......ふあ...よく寝た」
もうひとりの私が、目の前の私に気づきもしないで伸びをしました
ほかならぬ自分とはいえ、
私って意外とのんきなんですね、
こっちの私は頭の中が混乱中なのにっ
それにしてもこの状況は一体なにがががががががががががががgggggggggggggggggggggggggggggggg__________________
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小日向美穂「......ふあ...よく寝た」
仮眠室の天井が視界の海をゆらゆらしだしたところで体を起こしました
腰にまで毛布をズリ下げながら上半身だけ力いっぱい伸びをします
美穂「あれ...?こずえちゃん?」
そこで私の腰のあたりに抱きつくようにしてこずえちゃんが寝ていることに気づきました
私のお昼寝のお供、プロデューサーくんも一緒です
美穂「ふふ......どっちもかわいい♪」
3周年記念イベントを終えた私は船上パーティーを存分に楽しんだ後
女子寮に帰宅する途中でこの事務所に立ち寄ったのです
というのもその時着ていたドレスのスカートの端っこの方に飲み物をこぼしてしまったのです
事務所が用意した衣装なのでクリーニングにもって行く前にちひろさんやプロデューサーに指示を仰ごうとして...
そうそう、それで衣装をプロデューサーに渡したあと私服に着替えて仮眠室で休憩して...
美穂「で、寝ちゃったみたい...」
いま何時くらいだろ?
も、もしかして朝になったりはしてないよね......?
わたしのぬいぐるみを抱いて眠るこずえちゃんに毛布をかけなおし仮眠室の出口に向かいました
コンッ
美穂「あいたっ」
足に何かぶつかりました
美穂「これは...だれかの忘れもの...?」
コーヒー缶が未開封のまま床に転がっていました
私でも飲めるようなお砂糖たっぷりの甘い味のコーヒーです
仮眠室に放ってはおけないので拾い上げ、事務室に向かうことにします
多分ちひろさんならいるでしょう。差し入れにはなりませんが持っていくことにします
それにしてもこのコーヒー、誰かがコンビニとかで買ってきたのかな?
事務所の自販機じゃ三日前から売り切れ状態だったし...
がちゃっ
ビュオオオオオオオウ!!!!
美穂「きゃあぁっ!!?」
仮眠室の扉を開けた途端、おもわず悲鳴を上げました
自分でもびっくりしちゃうような大声だったと思います
だって眠気どころか体温すら奪っていきそうな冷たい風が吹いてきのです
うぅ、寒いぃ、すっかり冬になったんだなぁ
事務所の仮眠室の扉の向こう
パーティー会場である船の甲板から見える夜景を見ながらそう思いましsssssss_________
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美波「美穂ちゃん、大丈夫ですか?」
美穂「えっ?...えっ?」
きょろきょろと周りを見回しました
空は夜、だけど照明は眩しくて、豪華客船の板張りの床ツヤツヤと光っていました
美穂「えっと、ここは...」
美波「ふふっ、パーティ中に寝ぼけちゃったんですか?ここは私たちの事務所の3周年記念イベントですよ?」
美波さんが口元に手を当てるようにして微笑みながらそう言いました
美穂「そ、そうでしたねっ!すすすいませんっ!ちょっとぼーっとしてて...!」
美波「うんうん、こんなに豪華なパーティー会場だと私も雰囲気に飲まれちゃいそう...」
そこでビュウと寒い風が吹いて、その冷たさに思わず体をかき抱きました
美穂「うぅ、寒っ!」
ビチャッ
美波「あっ」
そのせいで私が手に持っていたグラスから飲み物がこぼれて、
美穂「ひゃあっ!?」
あわてて容器を持ち直した時にはもう遅くて
ドレスのスカートに落ちた雫がその場所にシミを作っていました
美穂「あわわゎ...どどどうしよう...!シ、シミ抜きって早い内にした方がいいんですよね!?」
美波「落ち着いてください美穂ちゃん...!幸い、そんな大きなシミじゃなさそうなので焦らなくても大丈夫そうですよ?」
美穂「で、でも!コーヒーって目立つ色だし...!」
美波「...コーヒー?美穂ちゃんの飲んでるそれ、コーヒーには見えないけど...」
美穂「え?......え?」
言われて手の中を見る、
そこにあったのはいかにも高そうなグラスとそこに注がれた透明な液体
ちょっと高級な果物ジュース...でしたっけ?
美穂「あれ...何か勘違いしてたかな...?」
美波「まぁ、コーヒーじゃなくてよかったですね」
美穂「うぅ...恥ずかしい...寝ぼけてたのかなぁ...」
美波「でもこのドレスも事務所のものだし、パーティーが終わったらちひろさんかプロデューサーさんに相談してクリーニングに出すしかないですね...」
美穂「うぅ...私のせいでまたご迷惑が...」
美波「あ、あはは...そんなに深刻そうな顔をしないで?今はパーティーを楽しみましょう?」
美波さんがやさしく手を握ってくれました。
こういうところ、やっぱり美波さんって大人だなぁ
そのまま二人で連れ立って豪勢な食事の並んだ船内の会場に向かいました
暖かい明かりのあふれる室内からはとっても楽しそうな声が響いていて、入る前からそのドキドキが伝わってきます
茜「あっ!美穂さぁーん!!こっちでーーす!!!」
扉を力強く押し開け、茜さんが両手にクラッカーを握ったまま飛び出してきました
美穂「わっ...茜ちゃん?」
茜「はい!日野茜です!!さぁさ美穂さん!こちらへどうぞ!!」
美波「茜ちゃん...もう準備はいいの?」
美穂「準備?」
茜「はい!あちらをご覧下さい!!!」
そういって茜ちゃんがビシッと音がでそうな勢いで夜空を指さしました
美波さんと一緒にその方向を振り向きます
バンッ
甲板を照らしていた照明がぐるりと回り、茜さんの示した方向をライトアップしました
美穂「......ぇえぇ?」
船の進行方向に海から飛び出すようにしてプロデューサーくんがいました
それも空に届くほどの巨大なサイズで!!!
茜「どうです!!ボンバー!!なサイズでしょう!!」
美穂「え、ええぇえ!?」
美波「大きいですねぇ...」
海面から飛び出た上半身だけでもライトアップしきれないほど大きく
私はそれを見上げようと首をどんどんと上に向けていきますがそれでもくまさんのお顔は見えません
それくらいに大きいのです
美穂「こ、これじゃあぎゅ、ぎゅって抱っこができませんよ~!!」
最後にこちらを見下ろすぬいぐるみ特有の無垢で真ん丸な瞳と、
同じくらい真ん丸なお月様が見えたところで
私は後ろにのけぞりすぎて...その、えっと
こ、後頭部から転んじゃいましたっ!
ゴスッ
鈍い音が頭の中をグワングワンと反響しててててててててててててtttttttttt
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美穂「............ぅぁ?」
仮眠室の壁際のベッドの側で私は目覚めました
目の前ではこずえちゃんが一人、毛布にくるまって眠っています
毛布はかなりはだけていて、中には他に誰もいないのが丸わかりです
美穂「うぅん...なんだか変な夢見たなぁ...」
クシクシと目をこすります、
私の隣では白いクマのぬいぐるみがお行儀よく座っていました
どうやらベッドから落ちたようで、後頭部がズキズキと痛みます
美穂「でも......どんな夢だったっけ?」
こういうのって印象が強かった割にすぐ忘れちゃうんだよね...
美穂「眠気覚ましにコーヒーでも飲もうかなぁ...」
お砂糖のたっぷり入った甘い味のなら私にも飲めるんですよ?
廊下に設置された自販機のがお気に入りですっ
美穂「って、あのコーヒーは売り切れのままだったよね...」
『売切』の赤色ランプの点ったボタンを思い出し、がっくりします
別にそれほど飲みたかったわけでもないのですが、飲めないとわかると落ち込んじゃいます
美穂「じゃあ...事務室で明日の仕事の予定でも確認してこようっと...」
こずえちゃんとプロデューサーくんを置いたまま仮眠室の扉を開けました
がちゃり
「「「「「美穂ちゃん、お誕生日おめでとう!!!!!」」」」
パパパパパパパパパパパパーーーン!!!
美穂「ひゃわっ!!?」
扉を開けた私は音と光、
そして聞き慣れた声に包まれました
美穂「え...え?」
茜「12月16日のお誕生日!!おめでとうございます!!!」
茜ちゃんが両手に紐を引いたクラッカーをぶら下げて笑ってました
いつもみんなが出入りするその部屋はいつもの部屋じゃなくて、
折り紙リングや垂れ幕で飾られまるで小規模よパーティ会場のように色とりどりに変貌していました
美波「びっくりしましたか?美穂ちゃんが仮眠室で寝ている間に準備していたんですよ?」
ちひろ「ちなみに亜季ちゃんは大人組と一緒にまた別のお店で誕生日会を開いてます」
茜ちゃんも美波さんもちひろさんも、他のたくさん仲間も
みんながそれぞれのありったけの笑顔でさっきまで寝こけていた私を祝福してくれていて
私は、私は......
美穂「ぅうぅううれしいよぉ......!」
茜「わっ!?どうして泣くんですか!?お腹が減ったんですか!?ご飯食べますか!!!」
美穂「そうじゃないの...そんなんじゃないのぉ...」
その場で直立のままポロポロ涙をこぼす私の周りを茜ちゃんが慌てたようにくるくる回ってます
それがなんだかおかしくて
美穂「うぐぅ...ふふっ、ふふふ」
美波「ふふふ...」
最後にはみんなで笑い合いました
美穂「嬉しいよぉ...ちひろさん、これ夢じゃないですよね?」
ちひろ「ゆめ、夢って......」
私の言葉に面食らったようにちひろさんが言葉を詰まらせ
ちひろ「あっはは、そんなわけないじゃないですかー♪」
美穂「で、ですよね!あぁ、よかったぁ!」
こずえ「......みほー?」
事務室の喧騒に当てられたのか、こずえちゃんが起きてきてました
美穂「あっごめんねこずえちゃん、起こしちゃった?」
こずえ「んーんー...」
「これー、わすれものぉー」
こずえちゃんは首をふって否定すると手に持ったものを私に差し出しました
それは私のお昼寝のお供、プロデューサーくんでした
美穂「ありがとう、こずえちゃん」
自然に溢れてきた笑顔とともに
小さな体で重そうに精一杯持ち上げているぬいぐるみを受け取りました
そして
そのぬいぐるみの腰から下に
たっぷりと染み込んでいた海水が
一滴の雫になって床に滴りました
以上、終了
思えば初めて書いたssも美穂ちゃんが主役でした
遅れてしまいましたが小日向美穂さん、お誕生日おめでとうございます
あなたがいてくれるだけで私は幸せです
こんなわけのわからないssでしたが、ここまでお読みいただきありがとうございました
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