提督「鈴谷と戯れつつ熊野とも仲を深める」鈴谷「……」熊野「……」 (54)

提督「あぁ、疲れた。やっぱ徹夜で書類に向かうのは体に悪いよなぁ」テクテク

提督「ま、書類終わったからその分今日楽できるし、とりあえず飯食おう」テクテク



提督「おはようございます」

鳳翔「おはようございます。随分お疲れのようですね?」

提督「いやぁ、徹夜で書類書いてまして…。カレーお願いできます?」

鳳翔「完全に徹夜のテンションですね…」

提督「なんだか重いものが食べたくて」

鳳翔「わかりました、ちょっと温めるのに時間がかかりますから、先に席についていてください」

提督「ありがとうございます。待ってますね」



スタスタ ポスン

提督「ふぅ…なんか座ってると寝ちまいそうだ」


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鈴谷「あ、提督じゃん!ちーっす」

提督「おお、鈴谷か。お前も飯?」

鈴谷「そうだよ!提督は何食べるの?」

提督「…あててみ?」

鈴谷「ほぉ?そうきたか…」

提督「まあ、あたんないと思うがな」

鈴谷「言うねぇ?じゃ、あたったらどうする?」

提督「そうだなぁ…あ!そういや間宮のアイス券余ってたからあてたら一枚やるよ」

鈴谷「ほんとっ!?こりゃ、絶対にあてるしかないね」

提督「まあせいぜい頑張ってくれ。俺ちょっと横になるわ…眠い」

鈴谷「うーん……徹夜明けの提督が食べたいものかぁ…」


提督「……zz…」

鈴谷「提督!」

提督「…ん?……なんだ?」

鈴谷「ヒント頂戴!鈴谷の膝使っていいから!」ポンポン

提督「おお、悪いな…」ポスッ

鈴谷「鈴谷の膝、どう?」

提督「うむ。大変素晴らしい…。ヒントか…お前の好きなものだよ」

鈴谷「カレーでしょ!」

提督「ノータイムかよ…」

鈴谷「鈴谷の好きなもので提督が知ってるのカレーくらいしかないっしょ?ね、当たった?」

提督「当たりだよ。さて、膝枕してもらってすぐで悪いが…そろそろ来るかな」ムクリ

鈴谷「やった!にしても、本当に深夜テンションだね…」

提督「まあな。これ食ったら寝る。たまには体に悪いこともしたくなるよな…」



鳳翔「提督、カレーできました。鈴谷ちゃんも」

提督「ありがとうございます。って、お前もカレーかよ!」

鈴谷「鳳翔さんありがと!まあね!鈴谷は三食カレーでも構わないんだよ!」フンス

鳳翔「提督が朝からカレーを食べられるのも、鈴谷ちゃんがカレーをたくさん食べるから作り置きがあったからですよ」

提督「そうですか。ありがとな、鈴谷」ナデナデ

鈴谷「ちょ、提督!?」

提督「深夜テンションだ、何も問題ない」ナデナデ

鈴谷「…えへへ」

鳳翔「ふふっ…仲がいいですね。それでは、私は厨房に戻りますね」

スタスタ

提督「…ふぅ。じゃ、冷めないうちに食べちまうか」パッ

鈴谷「あっ…。そうだね!鈴谷カレー、たんと召し上がれ!」

提督「別にお前が作ったわけじゃなかろうに…。じゃ、いただきまーす」パクッ

鈴谷「いただきまーす」パクッ


提督「…うまい!流石鳳翔さんの料理だ!」パクパク

鈴谷「おいしいよね!それじゃ…あーん」

提督「おいおい、おんなじカレーだろ?」

鈴谷「いいじゃん!はい、あーん」

提督「しょうがねぇなあ…あーん」パクッ

鈴谷「どう?」

提督「うまいけど…同じだろ?」

鈴谷「むぅ、提督はわかってないね」

提督「そういうものか?…ほれ、あーん」

鈴谷「え?ああ…あーん」パクッ

提督「変らんだろ?」

鈴谷「…全然違うよ。鈴谷にとっては」

提督「そんなもんかね…」


熊野「朝から随分と仲がよろしいんではなくて?」ムスッ

提督「あ、熊野。おはようさん。…なんか機嫌悪くね?」

熊野「そんなことありませんわ!ふん」

鈴谷「ありゃりゃ…」

提督「…お前もカレー食う?」

熊野「え?」

提督「ほら、俺のやつ食っていいから。…カレーが食いたかったんだろ?」

熊野「…いりません!」

提督「いいから。ほら、あーん」

鈴谷「!」

熊野「て、提督がそこまでおっしゃるなら…。あ、あーん」パクッ

提督「うまいだろ?」

熊野「…まあまあですわね!」ニコッ

提督「そうだろー」

鈴谷「…むぅ」

提督「と思ったら今度はお前か…」

―――――――――――――――――

提督「あれ、何処だろうここ」

青葉「やっと目が覚めましたか!」

提督「青葉?ここどこ?」

青葉「これは司令官の夢の中です!」

提督「…ああ、俺あの後寝たんだっけ」

青葉「明晰夢というものですよ!便利ですね!」

提督「何が便利なのかは聞かないでおこう…で?」

青葉「で、とは?」


提督「夢は夢でも、何か意味があるんだろ?」

青葉「そうでしたね!司令官は、これから鈴谷さんと接するときに、熊野さんの話をするといいことがありますよ!」

提督「何がいいことなんだ…」

青葉「それはやってみてのお楽しみです!」

提督「…まぁ、それがお告げだというのなら」

青葉「ここで注意ですが、さりげなさを重視してくださいね、とのことです」

提督「さりげなさ?」

青葉「はい!熊野さんの話をするにはするんですけど、あくまでもさりげなく、いつものように接しつつ、だそうです!」

提督「了解だが…とのこと、って…誰かに指図されてるのか?」

青葉「はい!これは、ぷらず―――――」

――――――――――――――――

提督「…はっ!やはり夢か…」ガバッ

提督「疲れてんのかな…でも、ちょっと面白そうかもしれん」

提督「時間は…あ、ちょうどそろそろ遠征に行った鈴谷が帰ってくるころだ。…ガチなお告げか?」

ガチャ

鈴谷「艦隊が帰投しましたー、おつかれ~ぃ」

提督「おお、お疲れ」ニヤニヤ

鈴谷「ちょ、キモいんだけど!…どうしたの?」

提督「いや、別にぃ?それよりどうだった?遠征のほうは」

鈴谷「大成功だよ!ほらほら、鈴谷をほめてくれてもいいんだよ!」

提督「いやぁ、お疲れお疲れ。ほら、朝言った間宮のアイス券」

鈴谷「あざーっす…ってそれだけ?」


提督「お前なあ…他に何を望むというのか」

鈴谷「ほいっ」ズイッ

提督「…?頭突き出して何してんだ?」

鈴谷「もう、提督は察しが悪いな。ほら、鈴谷を撫でてくれていいんだよ?」

提督「そんなんでいいとは、可愛い奴め」ナデナデ

鈴谷「えっへへ」

提督(どこで入れればいいんだ…スキがない…。とりあえずここで一ついってみるか?)

提督「お前の事はよく撫でるけど、熊野は撫でたことないなあ」ナデナデ

鈴谷「そうなの?」

提督「ああ。撫でてほしいとかいうのお前くらいだもんな。…手が疲れるから終わり」パッ


鈴谷「ふーん…熊野、撫でられたら喜ぶと思うよ」

提督「そうかな?そんなイメージないんだけど」

鈴谷「そうだって!熊野、結構素直じゃないところがあるし」

提督「そうか?」

鈴谷「そうだよ!いつもは照れてるけど、熊野、提督の事結構信頼してると思うよ!」

提督「うむ…。じゃ、次あった時でもやってみようかな」

鈴谷「うん!それがいいと思うな」

提督「じゃ、疲れてるだろうし戻っていいぞ」

鈴谷「うん、そうするよ。用があったら呼んでね!」

ガチャ バタン

提督「…こういう感じでよかったのかな?こんなんで効果出るとは思えんが…」

提督「にしても…そういえば今まで熊野としっかりしゃべったことなかったかもな。これも艦娘と交流を図るいい機会かもしれんな」


――――――――――――

コンコン

熊野「どなた?」

提督「俺だ」

熊野「て、提督?…鈴谷ならお風呂でしてよ?」

提督「いや、今回は熊野に用があるんだ。入っていいかな?」

熊野「す、少し待ってください!」

提督「ああ、慌てなくていいから。別に急な用事ってわけじゃないし」

提督(少し急すぎただろうか…ま、こういうのは勢いが肝心だから)


熊野「…よし、これで提督にお見せしても大丈夫ですわね」

ガチャ

熊野「お待たせしました。入ってもよろしくてよ」

提督「おう。なんか悪いな、いきなり」

熊野「いえ。…それで?お話があるとおっしゃいましたが?」

提督「いや、まあさっき言った通り大した用事じゃないんだけどな?今まで熊野とはあんまり話したことなかったから、少しお話しできないかなって」

熊野「それは…あなたがいつも鈴谷といるからではなくて?」

提督「うぐっ」

熊野「お気遣いはうれしいですが、少し遅いのではなくて?」

提督「それは…申し訳ない」

熊野「まあ、別に気にしてはいませんわ」

提督「え?」

熊野「今は提督がわたくしの事を考えて尋ねてきてくださったのでしょう?なら、今までのことは水に流しましょう」


提督「…」ナデナデ

熊野「きゃっ!」

提督「おっと、すまん!いつもの癖で」パッ

熊野「あっ…」

提督「やっぱり鈴谷みたいに撫でたりするのはまずいよな。ごめんな?」

熊野「むっ…。べ、別にかまいませんわ!」

提督「え?」

熊野「いきなりなので驚いただけですわ。さ、続けてくださいまし」

提督「お、おう」ナデナデ

熊野「…ふふ」ニコッ

提督「……」

提督(かわいいなこいつ……意外とわかりやすいかも)


提督「それで?何か困っていることとかないか?」

熊野「困っていること…ですって?」

提督「ああ。いい機会だから、話があったら聞こう」

熊野「そうですわね…特に…でも…」

提督「……」

熊野「…そうですわ!わたくし、お買い物に行きたいのだけど」チラッ


提督「そっか。じゃ、熊野には世話になってるし、早めに休みを入れられるようにするから」

熊野「…でも、それじゃ荷物を持ってくださる人がいませんわ」チラッ

提督「えっ、誰かと一緒に行きたいってことか?そうだな…誰だ?そいつも一緒に休みいれるから、楽しんで来いよ」

熊野「ああもうっ!」

提督「!?」

熊野「わたくしと親密になりたいのでしょう!?な、なら…提督が一緒に来てくださいまし!」

提督「お、俺が!?」

熊野「そうですわ!」


提督「しかし…」

熊野「鎮守府ごと一日休みにすれば問題ありません!それとも…わたくしと出かけるのは、嫌ですの?」チラッ

提督「…ぐ。…わかったよ。どうにか都合つけるから、一緒に買い物行こうか」

熊野「ありがとうございます!」ニコッ

提督「おう。お手柔らかにな」

提督(熊野って案外強引なところもあるんだな……どう都合つけよ…)


――――――――――――

ガチャ

鈴谷「はぁ、いいお風呂だった!って…どしたの熊野?」

熊野「……え?」ニコニコ

鈴谷「そんなにニコニコして…なんかいいことでもあった?」

熊野「ええ、とてもいいことが」

鈴谷「なになに?教えてよ」

熊野「ふふ…秘密ですわ♪」

鈴谷「ちぇ、でもその様子だと相当いいことあったみたいじゃん?」

熊野「まぁ…そうですわね」

熊野(鈴谷には少し悪いけれど…譲る気はありませんの)

―――――――――――

提督「なんだかんだ流されて休みを作ってしまった…ま、たまにはいいのか」

スタスタ

提督「約束はここに集合だったが…、わざわざ外で待ち合わせなくても、鎮守府から出りゃいいのに」

熊野「わかっていませんのね」

提督「うわっ!おまえ、いつの間に?」

熊野「先ほどですわ。それより、私を見て何か言うことがあるのではなくて?」

提督「ん~…」

熊野「……」

提督「か、かわいいいぞ?」

熊野「なっ……」

提督「いつも通りかわいいなあ!」

提督(これで…どうにかなるか?)


熊野「わ、わわわ、わたくしは騙されませんわよ!?提督…お気づきになられないのですね」ジトッ

提督「うぐっ…」

熊野「はぁ…この服、どうですの?」

提督「あ、ああ!とってもかわいい!いやぁ、熊野はお洒落さんだなあ!」

熊野「調子がいいんですから…もう」ニコニコ

提督(くっそかわいい…いや、アカンアカン。これはあくまで買い物だ。浮ついた気持ちがあってはいけない…)

提督「じゃ、行こうか。あんまり遅くなってもいかんしな」

熊野「ええ」スッ

提督「…その手は?」

熊野「……」ジトッ

提督「…これでいいのか?」ギュッ

熊野「全く、鈍い方ですのね」ギュッ

提督「…っ!ほら、行くぞ」

提督(握り返してきた…だと?いや、これは違う。あくまで兄弟的な…)


―――――――――

鈴谷「んぅ…」ゴソッ

鈴谷「…ん?あ、やばっ!もうこんな時間!…って」ガバッ

鈴谷「そういえば今日お休みじゃん。はぁ、慌てて損した。…あれ、熊野がいない。食堂かな?」

鈴谷「…そうだ!せっかく鎮守府ぜんぶ休みだし、提督と熊野でどっかいこう!うん。提督も熊野と仲良くなれるし、そ、それに…提督と一緒にいられるし!一石二鳥じゃん?」





鈴谷「…むぅ、提督も熊野もどこにもいないし。どこ行ったんだろ?」

鳳翔「あら、鈴谷ちゃん。おはよう」

鈴谷「あ、鳳翔さん。ちっす。あの、提督は?」

鳳翔「提督ならお出かけの用事があったようなので、先ほど外出されましたよ」

鈴谷「んもう、提督がいないとつまんないじゃん!」

鳳翔「ふふ…二人は本当に仲がいいのね」

鈴谷「熊野は知ってる?」

鳳翔「熊野ちゃんは…ごめんなさい、わからないわ」

鈴谷「そっか。ありがと」

鳳翔「でも、熊野ちゃんなら昨日、料理を教えてほしいって私の所にきましたよ?」

鈴谷「熊野が?なんでだろ?」

鳳翔「何か、今日料理を作る用事でもあったのかもしれませんね」

鈴谷「ふーん…ありがとね、鳳翔さん!たまには部屋でゆっくりするのもいいかも」

鳳翔「ええ」


鈴谷「熊野が…料理ねぇ」

スタスタ

青葉「それは本当ですか!?」

電「はい!熊野さんと提督が手をつないで歩いているのを見たのです!」

鈴谷「…えっ?」ピタッ

青葉「これは一大スクープですねえ!まさかあの二人が…」

電「とっても仲がよさそうだったのです!」

鈴谷「ちょ、ちょっと…」

青葉「あ!鈴谷さん」

鈴谷「その話…詳しく聞かせてくれる?」


鈴谷「……はぁ」ボフッ

鈴谷「あの二人がデートなんてするわけ…あ、もしかして…」

――――――――

鈴谷「そんなにニコニコして…なんかいいことでもあった?」

熊野「ええ、とてもいいことが」

鈴谷「なになに?教えてよ」

熊野「ふふ…秘密ですわ♪」

――――――――

鈴谷「いや、でも………提督は熊野とあんまり話、したことないって……」

鈴谷「……」ギュッ

―――――――――――

熊野「提督、今日はありがとうございました」

提督「ああ、気にすんな…」ゼエゼエ

提督(こんなに買うとは…しかも衣類だけで)

熊野「つい、買いすぎてしまいましたわ」

提督「ふぅ…そのようだな。でも、今日はお前の色々なところが見えてよかったよ」

熊野「え?」

提督「おいしい手料理も食わせてもらったし…偶にはこんな日も悪くないかな」

熊野「ええ。喜んでもらえて何よりです」

提督「うむ」

熊野「でも…」ジトッ

提督「ん?」

熊野「わたくしとの買い物だというのに、鈴谷の話ばかりするのは感心しませんわね」ジトーッ


提督「いや、それはな?艦娘で一番仲いいのは鈴谷だし、熊野と俺の数少ない共通点だし…って、なんで鈴谷の話題だしたらまずいんだよ?」

熊野「…はぁ。…ここでいいです」

提督「いや、ここ鎮守府前だし。別にここで別れんでも、一緒に帰ればいいじゃないか」

熊野「いえ、誤解を受けたら困りますし…」チラッ

提督「誤解?なんの?」

熊野「はぁ…とりあえず荷物を置いてくださいませ」

提督「お、おう」

ガサッ 

熊野(………)

提督「おい、一人で持てるか?」

熊野「問題ありませんわ。それより…」



グイッ


提督「うわっ!」



チュッ



提督「」

熊野「本日のお礼ですわ♪それでは!」

ガサッ タッタッタ



提督「」ポカーン




提督「………落ち着け。あれは事故だ。きっと頬にしようとして間違えたに違いない……あれはただのお礼だ…」




鈴谷「……」

ガチャ

熊野「ただいま帰りましてよ」

鈴谷「…!く、熊野?おっそいよ~…どこ行ってたの?」

熊野「少し、提督とお買いものにね」

鈴谷「…っ」

熊野「べ、別に他意はありませんわよ!ただ、荷物を持ってほしかっただけで…」

鈴谷「…そう。水臭いな~熊野も、鈴谷も誘ってくれればよかったのに」

熊野「…そうね。ごめんなさい、鈴谷」

鈴谷「次は誘ってよ?…で?」

熊野「え?」

鈴谷「どうだったの?提督との買い物」

熊野「ま、まあ、悪いものではなかったですね」

鈴谷「……」ジッ

熊野「やはり殿方ですので力もあって、たくさん買い物には付き合わせてしまいましたが…鈴谷?」

鈴谷(いつもより服装、気合入ってる)

鈴谷「…ごめん、なんでもない!」

熊野「…そう。では、私は厨房に用がありますので…」

鈴谷「厨房?」

熊野「鳳翔さんから少しお借りしたものがありますので」

――――――

鳳翔「昨日…料理を教えてほしいって熊野ちゃんが」

――――――

鈴谷(……)ズキッ

熊野「それでは、少し行ってまいりますわ」

鈴谷「あ、うん」

ガチャ バタン

鈴谷「………」


熊野「……」

――――――――――

提督「おお!その服似合ってるぞ!それ、鈴谷が来ても似合いそうだなー」


提督「…うまい。お前が作ったのか?本当においしいよ。鈴谷にもこのくらい女子力があればいいんだけどな!」


提督「んーと…ん?ああ、鈴谷のお土産選んでるんだよ。あいつに黙って来ちゃったしな」

――――――――――


熊野(騙したようになってしまってごめんなさい…鈴谷。でも)

熊野(やっぱり、すこし羨ましい……)ズキッ




提督「ああ…寝不足だ…。昨日はちょっと童貞には刺激が強すぎたな……」ゲッソリ


ガチャ



鈴谷「……提督」

提督「あ、おはよう鈴谷」

鈴谷「……」

提督「…鈴谷?」

鈴谷「…おはよっ!もう、聞いたよ?熊野とデートしたんだって?やるじゃーん」

提督(デートだったのか?……違う違うノーカンだあれは)

提督「な、何言ってんだよ?あ!そういえばお土産買ってきたんだ」

鈴谷(デート、否定しないんだ)ズキッ

提督「ほら、ちょっと部屋まで来てくれ」

鈴谷「…うん」


提督「確か昨日はこの辺に…」

ゴソゴソ

提督「ほい」

ポイッ

鈴谷「えっ?あ…」パシッ

提督「さすがに服とかだと、サイズとかわからんし、趣味もあわないし…。あんまり高いものじゃなくて、ごめんな?」

鈴谷「髪留め…ありがと、提督。鈴谷の趣味ぴったしだよ!」

提督「お前のことは誰よりもよくわかってるつもりだしな!」

鈴谷「…!も、もう!何言ってんの?ちょっとキモいよ?」

提督「そんな顔して言われても説得力ないぞ!ほらほら、可愛い奴め」ナデナデ

鈴谷「…えっへへ」


提督「あ、そうだ!可愛いと言えば、昨日の熊野もかわいかったぞ」

鈴谷「…えっ?」

提督「お前と同じで結構わかりやすいんだな、あいつ。褒めてやるとすぐ機嫌よくなるし」

鈴谷「…」

提督「ぶつくさ言いつつ楽しそうにしてたしな!いやあ」




提督「お前のアドバイス通り接してみて成功だったよ!」



鈴谷「鈴谷の…アドバイス通り?」ズキッ

提督「ああ!前言ってたろ?熊野は素直じゃないって」

鈴谷「っ!」


鈴谷「っ!」

提督「あれを機会に熊野とも話してみようって思ってな。ありがとな!おかげで…」



提督「熊野のこと、凄くわかった気がするんだ」


鈴谷(鈴谷の………アドバイス……で………)ズキズキ

提督「あれ、どした?」

鈴谷「…………提督はさ…」

提督「ん?」



鈴谷「熊野のこと、好きなの?」

提督「…は?」


鈴谷「鈴谷とどっちが好き?」

提督「え?は?」

鈴谷「鈴谷は提督の事、好きだよ。多分、熊野も」

提督「な、何言ってんだ?もう!」

鈴谷「……」

提督「…………冗談じゃ、ないのか?」

鈴谷「…うん」




提督「俺は…」





提督「お前達をそういう目で見ては…いない」


鈴谷「…っ」

提督「いや、違うな。見ていないというより、見てはいけないと思っている」

鈴谷「…どういう、こと?」

提督「もちろんお前たちは魅力的だと思うし、ドキリとさせられることももちろんある」

鈴谷「…」

提督「でも、駄目だ。提督として一人の艦娘を愛してしまったら、他の艦娘のモチベーションにかかわることもある。例えば、お前みたいに思ってくれる奴がいた場合とかな」

鈴谷「…」

提督「俺は提督だ。お前たちの命を預かっている。だから、万が一にもお前たちの…士気が下がるようなことをしてはいけない」


鈴谷「でも、おかしいじゃん?そんなこと言うなら…なんで鈴谷とあんなに…」

提督「…鈴谷も熊野も、俺にとってかわいい妹のように思っていた。鈴谷がこんな風に思ってくれたなんて…思いもよらなかった」

鈴谷「…鈴谷のこと、女としてみてなかったってこと?」

提督「そうじゃない!ずっと、そういう目で見ないようにしてたんだ。極力誰に対してもな。…お前の場合、兄弟みたいな親しさがあったから…それで…」

鈴谷「…うっ…ああ…。じゃ、いつも鈴谷だけ…ドキドキして…馬鹿みたいじゃん…」ポロポロ

提督「ごめんな……わかってくれ、鈴谷が嫌いなわけじゃないんだ」

鈴谷「っ!」ダッ



バタンッ!



提督「…はぁ、やっちまった。…鈴谷」



鈴谷「ぐすっ………」

スッ

鈴谷「ハンカチ……え……熊野?」

熊野「ごめんなさい、聞くつもりは…なかったのだけど」

鈴谷「あはは、鈴谷、振られちゃったね」

熊野「そのようですわね。…わたくしも、振られてしまったようですわね」

鈴谷「…やっぱ提督の事好きなんじゃん、熊野」グスッ

熊野「…ええ。昨日は、ごめんなさい鈴谷。…あなたを出し抜く形になってしまいましたわね」

鈴谷「…」

熊野「正直に言って…ずっと、羨ましかったの」

鈴谷「え?」

熊野「いつも楽しそうに提督とお話をしている鈴谷が」

鈴谷「そう…だったんだ」

熊野「だから、提督がわたくしとお話をしたいとおっしゃった時は…うれしかった。あなたが口添えをしてくださったんですって?」

鈴谷「うん、まあ…提督の中ではそうなってるみたいだね」

熊野「だから、つい舞い上がって…。本当にごめんなさい」ペコッ


鈴谷「うん…もう済んだことだし、気にしないでよ」

熊野「……それにしても…あの朴念仁は…」

鈴谷「…」

熊野「あの言葉がわたくしたちのモチベーションにかかわるとは、思わないのかしら」ポロポロ

鈴谷「熊野…」

熊野「ううっ……」ポロポロ

鈴谷「……」ギュッ





青葉「そんな御二方に朗報ですよ!」

電「なのです!」

妖精「……」


鈴谷「……え?」

熊野「…ぐすっ。朗、報?」

―――――――――――――――――――――

提督「えー、というわけで、ケッコンカッコカリシステムというものを作ったそうだ」

ザワザワ ザワザワ

提督「妖精さんによると、練度が最大になった時にこの指輪を付けることで、さらなる性能の向上が期待できるらしい」

青葉「これで合法的に司令官と結ばれることができますね!」

提督「…見方によってはそういうことになるな。で、この先、練度が最大になった艦娘で希望するものがいたら、この指輪を配布したいと思う。質問はないな…話は以上だ!」


鈴谷「提督!ほらほら、早く鈴谷に出撃許可!」ギュ

提督「す、すすす鈴谷?引っ付くな!」ワタワタ

鈴谷「その反応…やっぱりいままで鈴谷のこと、意識してなかったんだね。恥ずかしがってるのバレバレじゃん?」

提督「純情な男には刺激が強すぎるの!と、とりあえず離れてくれ!」

鈴谷「ほら、早く提督と結婚したいから、出撃許可ちょうだいよ!」ギュム

提督「お、押し付けるな!熊野!何とかしてくれ!」


熊野「提督もだらしなく口元を緩めていますし、このままでもよろしいのではなくて?」ジトッ

提督「し、仕方ないだろ!」

熊野「さ、そんなことを言う前に早く出撃許可をいただきたいものですわ」

提督「え?」

熊野「もちろん、早く提督と結婚するために…意味は分かりますわね?」ニコリ



提督「あわわわ…お前…やっぱり…」

鈴谷「むぅ、そんなに顔赤くして。提督だって、かなりわかりやすいじゃん?」

提督「お前は早く離れろ!だ、誰か!こいつらを止めてくれ!」



鈴谷「…負けないからね、熊野♪」

熊野「こちらこそ、受けて立ちますわ」ニコッ





青葉「ふっ……やれやれですね」

電「お告げを出して正解だったのです!」

妖精「一応指輪は量産できるが…今は黙っておこうか。その方が面白そうだ」クククッ








鈴谷「提督!」ギュッ

熊野「ほら、提督!」ギュ



提督「~っ!わかった!わかったから、もう出撃してくれ~!」





おわり

終わりです。
二人とも天使なので、どっちかのルートではなく、二人のフラグを提督に折ってもらって(強引に)オチにしました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月02日 (金) 04:23:53   ID: 5Fa-dfVx

短くまとまってておもしろかった 乙

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